JPH0354423Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はSHF放送の送信用アンテナ等に敵し
たホーン型反射鏡アンテナに関するものである。

SHF放送において、或る限られた放送区域を
隈無くカバーするとともに他域に妨害を与えない
ためには、放送電波の送信点から見てその放送区
域をちようど覆うような水平指向性を有する送信
用アンテナが必要になる。特にSHF放送におい
ては、放送区域が放送電波の送信点から見て広い
範囲に拡つていることが多く、送信用アンテナの
水平指向性としては例えば第１図の曲線１０に示
すように水平面内で幅広いロープを有するものが
求められている。

ところが、現在実用化されている放送用アンテ
ナは、例えば第２図に示すように、水平方向の断
面が直線状で且つ垂直方向の断面が曲線である２
次元反射鏡２０を用い、これに１次放射器２１よ
り電波を吹き付けてそれを反射させる構成のもの
であり、所要垂直断面の反射鏡を用いることから
ホーンアンテナのみでは得難い所望の垂直面内指
向性が得られるものの、水平指向性は１次放射器
２１の水平指向性を裏返した例えば第３図の曲線
３０に示すものとなり（図中、３１は１次放射器
２１のイメージを示す）、幅広の水平指向性を得
ることは困難であつた。

そこで、例えば第４図に示すように２個のホー
ン型１次放射器４０，４１をその主放射部方向が
ある角度θを成すように近接配置し、それらを分
配回路４２を介して励振することにより曲線４３
に示すような幅広の水平指向性を実現せしめ、且
つ反射鏡４４で反射させることにより所望の水平
及び垂直指向性を実現する形式のアンテナが提案
されているが、給電系に構成複雑な分配回路４２
が必要となるので経済的に不利な欠点がある。特
に、幅広の１次放射波の殆んどを反射させてやる
必要があるから反射鏡４４の幅が非常に大きくな
り、重量が増すとともに経済性及び受風圧などの
点でも不利である。

また第５図に示すように、第２図及び第３図で
説明した形式のアンテナ２基５０，５１を、その
主指向性方向がある角度を成すように組合せる方
法も考えられている。これは、VHF，UHF帯で
の放送用アンテナにおける指向性合成の主流を占
める方法であるが、SHF帯では波長が短いため
アンテナ５０，５１の中心点間隔が波長に比べて
非常に大きくなるから、両者の合成指向性は同図
の曲線５２に示すように干渉域での落込みがひど
く多数の花びらをまとめたような指向性となり、
落込んだ方向では電波が出なくなり実用上問題が
生じる。

このように、従来のアンテナにおいては、水平
面内で幅広の指向性を実現するには多くの困難が
あり、その解決策が早急に望まれていた。

本考案はこのような事情に鑑みて為されたもの
であり、その目的は、経済的な構成で所望の幅広
の水平指向性を得ることができるホーン型反射鏡
アンテナを提供することにある。以下実施例につ
いて詳細に説明する。

第６図は本考案の一実施例の要部斜視図であ
り、６０は１次放射器、６１は反射鏡、６２，６
３は側壁、６４，６５はフレア、６６は指向性調
整片である。

反射鏡６１は、直線上の水平断面形状と必要と
する垂直面内指向性に応じた垂直断面形状とを有
するもので、この点における限り第２図に示した
反射鏡２０と同一であるが、その幅は波長に比べ
てあまり大きくない程度例えば波長の1/2以下程
度に設定されている。この反射鏡６１の両側端に
は平行平板状の側壁６２，６３が取付けられ、ま
た側壁６２，６３の一辺に開度が自由に調整でき
るフレア６４，６５が取付けられている。なお、
側壁６２，６３は先に向つて若干開くものであつ
ても差し支えはない。

１次放射器６０は側壁６２，６３の一方の開口
部側に設けられ、その放射電波を所定の角度で反
射鏡６１に入射させる。この１次放射器６０は、
放射電波の電界ベクトルが例えば第７図の矢印で
示すように両側壁６２，６３に垂直になるよう
に、即ち水平偏波となるように励振されるもので
ある。なお、１次放射器６０は図示のようなホー
ンアンテナ以外に各種構成のものを採用すること
ができ、例えば一方の側壁を貫いて同軸ケーブル
を側壁間に導き、その内部導体を側壁と垂直にな
るようにしたもの等を使用することができる。

また、フレア６４，６５を設けた側壁６２，６
３の開口端部には、開口側の一番内部では幅がほ
ぼ零であり離れるに従つて順次幅が増すような断
面形状を有し、高さがほぼフレア６４，６５の縦
の長さに等しい図示のようなくさび形状を有する
指向性調整片６６が設けられている。この指向性
調整片６６はアルミニウム、真ちゅう、銅等の導
体で作られ、その上部および下部を図示しない導
体板で挟み込んで支持されるか、若しくはフレア
６４，６５との間に薄い絶縁板を挿入して左右か
ら挟み込む格好で支持される。なお、指向性調整
片６６の先端は側壁６２，６３の開口端部近傍に
位置付けるもので、また指向性調整片６６の側壁
とフレア６４，６５とは図示例ではほぼ平行にな
つているが、先に向つて開くようにしても良い。
更に、フレア６４，６５の端部と指向性調整片６
６の底部とで形成される開口面は、電界ベクトル
と平行になるのが好ましく、このようになるよう
にフレア６４，６５の長さが調整される。

いま、１次放射器を励振して電界の偏波方向が
前述したように側壁６２，６３に対し垂直になる
ような水平偏波を発生させると、この電波は反射
鏡６１で反射して両側壁６２，６３の間を伝播
し、反射鏡前面方向の側壁端部面に到達する。こ
の場合、側壁端部面の幅が波長に比べてあまり大
きくないように構成されているので、第６図にお
いてフレア６４，６５と指向性調整片６６を取除
いて側壁端部面を開口面とした例えば第８図に示
すような状態のアンテナにおいても、その水平指
向性は例えば第９図の曲線90に示すように或る程
度幅広のローブ状のものとなる。

しかしながら、その水平指向性は開口面の寸法
で決まる一様なものであり、所望の幅広の水平指
向性を実現するのは困難である。本発明における
フレア６４，６５及び指向性調整片６６は係る水
平指向性をより幅広のものに調整するためのもの
である。即ち、反射鏡６１ではね返つた電波が側
壁内を開口面方向に伝播して側壁端部面に達する
と、ここに、先端の幅がほぼ零で側面方向が電界
と直交した指向性調整片６６が置かれていること
から、電磁界は何等乱されることなく電波は２つ
に分割され、それぞれフレア６４と指向性調整片
６６の一側壁間またはフレア６５と指向性調整片
６６の他方の側壁間を伝播して開口面Ａ，Ｂの方
向へ伝わつていく。このとき側壁部内部から開口
部への変換は徐々に行われるから大きな反射が発
生することはない。このようにして２つの開口面
Ａ，Ｂが形成されることにより、その水平指向性
は例えば第１０図に示すように相当に幅広のもの
となる。なお、第１０図で使用してアンテナは、
側壁間隔ι₁が12mm、開口面幅ι₂，ι₃が20mm、指向
性調整片６６の底辺ι₄が10mm、その高さｈが16
mm、開口角度θが60°のものである。

一般に、開口面Ａ，Ｂの間隔及び方向を広げて
行けば、第１０図の指向性図におけるロープ１０
０の高さは減少するがロープ１０１，１０２は矢
印方向に移動するからより幅広の水平指向性を得
ることができる。また、開口面Ａ，Ｂの間隔及び
方向を狭めれば上記とは反対の水平指向性が得ら
れるから、それらを調整することにより所望の幅
広の水平指向性を得ることができるものである。

第１１図は本考案の別の実施例を表わす要部外
観斜視図であり、第６図と同一符号は同一部分を
示し、１１０〜１１２は指向性調整片である。本
実施例のホーン型反射鏡アンテナは、同図に示す
ように複数個の指向性調整片１１０〜１１２をそ
の先端が側壁６２，６３の開口端部にほぼ一致す
るようにして設けたものであり、開口面の数が増
加することから指向性調整の自由度が高い利点が
ある。なお、指向性調整片１１０，１１２の先端
を第１２図に示すように若干開口面方向にずらす
ことにより、側壁の開口端部で発生する高次モー
ドを打消すことができる。また、指向性調整片の
個数を増して開口面の数を増加すれば、指向性曲
線の凹凸がなくなつて半円形の指向性に近づくも
のとなる。

第１３図〜第１５図は本考案のそれぞれ異なる
更に別の実施例を表わす要部平面図であり、各図
において第６図と同一符号は同一部分を示し、１
３０，１４０，１５０は指向性調整片、１５１は
溝である。

第１３図示実施例は、幅の薄い部分を長く延長
した指向性調整片１３０を用い、その延長した部
分を側壁間内に深く差込むことにより、不連続部
分にある程度の緩衝区間を設け、一層整合をとり
易くしたものである。

また第１４図示実施例は、指向性調整片１４０
と側壁６２，６３との間隔ａ，ｂの比を変えるこ
とにより分割される電磁波の電力比を変え、その
水平指向性の形状を変えたものであり、間隔の広
い開口部側のローブは大きく、間隔の狭い開口部
側のローブは小さくでき、これによつても水平指
向性の調整を行なうことができる。

更に第１５図示実施例は、指向性調整片１５０
の幅の最大となる底辺部分に深さλ／４（λは放
射電波の波長）の溝１５１を設けたものである。
このような溝を設けないと、２つの開口面Ａ，Ｂ
からの放射電波の回り込みにより例えば第１０図
の0°方向にローブ１００が極端に大きくなつたり
小さくなつたりする弊害が生じる虞れがあるが、
上記のような溝を設ければ、ホーン側からその方
向のインピーダンスが無限大となるので上述のよ
うな回り込みはなくなり、上記弊害を除去するこ
とが可能となる。なお、溝１５１の形状はその深
さとがほぼλ／４であれば他の形状たとえば矩形
にしても良い。

以上説明したように、本考案は、１次放射器と
該１次放射器からの電波を反射する水平方向の断
面が直線状でかつ垂直方向の断面が曲線である２
次元反射鏡と該反射鏡の両側に平行に設けられた
平板状の側壁とから成るホーン型反射鏡アンテナ
において、前記側壁の平行平板間に前記反射鏡に
対向して構成される開口端部の両端縁にフレアを
設けるとともに、該フレアで挟まれた領域に伝播
電波を分割する少なくとも１個の二等辺三角形状
の断面における二等辺が該フレアに平行であるく
さび状を有する指向性調整辺を設けたものであ
り、フレアの開度と指向性調整辺により所望の幅
広の水平指向性を得ることができる効果がある。
また、使用する反射鏡は幅の狭い小型のものであ
り、然も分配回路等の複雑な回路を使用していな
いので、小型軽量で経済的になる利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図はSHF放送の送信用アンテナに要求さ
れる水平指向性を示す線図、第２図〜第５図は従
来のホーン型反射鏡アンテナの構成を表わす図、
第６図、第１１図、第１３図〜第１５図は本考案
のそれぞれ異なる実施例を表わす図、第７図〜第
１０図は第６図示アンテナの動作説明図、第１２
図は第１１図示アンテナの平面図である。 ６０は１次放射器、６１は反射鏡、６２，６３
は側壁、６４，６５はフレア、６６，１１０〜１
１２，１３０，１４０，１５０は指向性調整片で
ある。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １次放射器６０と該１次放射器から電波を反射
   する水平方向の断面が直線状でかつ垂直方向の断
   面が曲線である２次元反射鏡６１と該反射鏡の両
   側に平行に設けられた平板状の側壁６２，６３と
   から成るホーン型反射鏡アンテナにおいて、 前記側壁６２，６３の平行平板間に前記反射鏡
   ６１に対向して構成される開口端部の両端縁にフ
   レア６４，６５を設けるとともに、該フレアで挟
   まれた領域に伝播電波を分割する少なくとも１個
   の二等辺三角形状の断面における二等辺が該フレ
   アに平行であるくさび形状を有する指向性調整片
   ６６を設けたことを特徴とするホーン型反射鏡ア
   ンテナ。