JPH0341409Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は燃料電池など多数の単セルを積層し
てなる積層電池内で、少なくとも一部の単セルに
異常発熱が発生した際に、直ちにこれを検知する
バイポーラ形積層燃料電池の異常過熱検知装置に
関する。

〔従来の技術〕

頭記積層電池としての燃料電池は、通常数十個
ないし数百個の単セルを積層してセルスタツクと
なし、実用的な出力を得るように構成されてい
る。かかる燃料電池は運転中に時として異常発熱
する単セルの生じることがある。この原因は、ガ
ス通路の目詰り等による反応ガス供給量の不足に
起因する冷却機能の低下、電池性能の劣化に起因
する発熱量の増大、あるいは単セル内部での燃料
と空気との直接混合等が考えられる。しかもこの
ような発熱によつて温度が異常に上昇すると、電
池の構成部材の溶融、炭化劣化に進展するのみな
らず、燃料の電池外への吹出しによつて爆発事故
を引起こす恐れもある。

このために、従来より各単セルあるいは複数枚
の単セルを１ブロツクとする各セルブロツクごと
にその温度を監視し、セルスタツク内に一部でも
異常発熱が生じた際には、これを検知して直ちに
運転を停止して安全処置を図ることが行われてい
る。

ところで、従来のこの種の異常過熱検知方式
は、各単セルあるいは各セルブロツク単位で個々
に温度監視を行つており、このために中央制御盤
と燃料電池の間には、単セルあるいはセルブロツ
クの数だけの測定ケーブルを配線せねばならず、
配線が煩雑になる。また数百個にもおよぶ単セル
あるいはセルブロツクの温度を常時自動的に監視
するには、高価な高速度多点監視装置が必要とな
り、電池設備全体としてのイニシヤルコストを増
加させる等難点があつた。

上記の点に鑑み、簡易な回路構成で積層電池内
に生じた異常過熱を確実に検知できるようにした
異常過熱装置として、第１図ないし第３図に示す
装置が、本考案者等によつて提案されている。

以下にこの装置について図示に基づいて説明す
る。

まず第１図において、１は積層電池としての燃
料電池のセルスタツク、２は単セル、３は単セル
２への反応ガス供給通路の画成と単セル相互間を
電気的に結ぶ役目を持つたバイポーラプレートで
あり、単セル２とバイポーラプレート３を交互に
積層してセルスタツク１を構成している。ここで
各単セルごとに対応させて、各単セル２に伝熱的
に隣接するバイポーラプレート３には、電気的な
温度センサとして所定の設定温度で作動する温度
ヒユーズ４がそれぞれ設置されており、かつこれ
等の温度ヒユーズ４の相互間を直列接続した上
で、電流検出器５とともに電源６へ接続して異常
過熱検知回路７が構成されている。温度ヒユーズ
を実装備したセルスタツク１の外形図を示すと第
２図のごとくであり、温度ヒユーズ４はバイポー
ラプレート３のざぐり穴８に挿入して取付けられ
ている。なお第２図において、符号９はセルスタ
ツクの端板、１０はスタツク組立ボルト、１１は
電解質の供給配管である。また第３図は温度ヒユ
ーズ４の取付部分の拡大図である。

さて、第１図の回路において、平常運転状態で
は各温度ヒユーズ４を直列に通じて回路７に電流
が流れている。この状態から或る単セルに異常発
熱が生じると、その単セルに隣接する温度ヒユー
ズ４は設定温度を超えたところで直ちに溶断動作
する。したがつて回路７は断路し、電流検出器５
の電流は零に変わる。ここで中央制御盤に警報器
１２を備え、電流検出器５の電流が零になつた場
合に警報を発するように回路を組んでおくことに
より、自動的に異常過熱の発生を知らせることが
できる。また必要により電流検出器５の電流零の
信号で直線燃料電池の運転を停止させるように制
御を行わせることも可能である。

〔考案が解決しようとする課題〕

本考案者等によつて提案された前記の改良装置
において、下記のような問題がある。即ち、温度
センサとして前記装置は、温度ヒユーズを用いて
いるので、平常運転状態において、各温度ヒユー
ズ４を直列に通じて回路７に電流が流れている。
そのため、常時電力を消費していることになり、
省電力の観点から好ましくない。

この考案は、上記の点に鑑みなされたもので、
その目的は、簡易な回路構成で異常過熱を確実に
検知し、かつ省電力形の異常過熱装置を提供する
ことにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的は、バイポーラ形積層燃料電池の異
常過熱装置の構成を、以下のようにすることによ
り達成される。即ち、単セルとバイポーラプレー
トとを交互に多数積層してなるバイポーラ形積層
燃料電池において、各単セルごと、あるいは複数
枚の積層セルを１ブロツクとする各セルブロツク
ごとに対応させて、所定の設定温度以上で抵抗が
急激に減少する動作特性をもつサーミスタを前記
バイポーラプレートに取付けるとともに、前記各
サーミスタをそれぞれ相互に並列接続した上で１
台の電流検出器とともに電源に接続して異常過熱
検知回路を構成し、積層燃料電池内に生じた異常
発熱を前記電流検出器の電流変化で検知するよう
に構成するものとする。

〔実施例〕

第４図に実施例を示す。第４図の実施例におい
ては温度センサとして、所定の設定温度以上で抵
抗が急激に減少する動作特性もつたサーミスタ１
３が用いられ、第１図と同じように各単セルごと
に対応させて、これに隣接するバイポーラプレー
ト３に取付けられている。そして各サーミスタ１
３の相互を並列接続した上で、電流検出器５とと
もに電源６へ接続して異常過熱検知回路７を構成
している。この実施例では、平常運転状態にあれ
ば電流検出器５に流れる電流が殆ど零である。こ
の状態からセルスタツク内の或る単セルが異常発
熱を引き起こすと、その単セルに隣接するサーミ
スタが設定温度以上で作動し、そのサーミスタ通
じて電流検出器５に電流が流れる。したがつて電
流検出器５の電流を検出することによつて異常過
熱の発生を素早く検知できる。然して第４図の実
施例は第１図のものと較べて、平常運転中は回路
７に電流が流れないのでそれだけ消費電力量が少
なくて済む。

なお、上記の実施例ではセルスタツクの全部の
バイポーラプレートに温度センサを設置した例を
示したが、温度センサをバイポーラプレートの数
枚置きに設置し、複数枚の単セル積層体を１単位
とする各セルブロツクごとに１個の温度センサを
対応させるようにして回路を構成してもよい。

〔考案の効果〕

上述のようにこの考案は、サーミスタをそれぞ
れ相互に並列接続した上で１台の電流検出器とと
もに電源に接続して異常過熱検知回路を構成して
いるので、平常運転中は、前記回路にほとんど電
流が流れない。従つて、消費電力が少なくてす
む。然して、サーミスタは、温度継電器のような
接点を有する素子ではないので、高温環境下での
接触不良などのトラブルの問題がない。さらに、
サーミスタをバイポーラプレートに取付けるの
で、簡単な取付け構造で確実な積層燃料電池の異
常過熱検知が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来装置に係わる回路図、第２図は
第１図における温度ヒユーズを実装備した燃料電
池の外形斜視図、第３図は第２図におけるバイポ
ーラプレートの温度ヒユーズ４取付部分を示す拡
大図、第４図は、本考案に係わる実施例の回路図
である。 １：積層電池としてのセルスタツク、２：単セ
ル、３：バイポーラプレート、５：電流検出器、
６：電源、７：異常過熱検知回路、１３：温度セ
ンサとしてのサーミスタ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 単セルとバイポーラプレートとを交互に多数積
   層してなるバイポーラ形積層燃料電池において、
   各単セルごと、あるいは複数枚の積層セルを１ブ
   ロツクとする各セルブロツクごとに対応させて、
   所定の設定温度以上で抵抗が急激に減少する動作
   特性をもつサーミスタを前記バイポーラプレート
   に取付けるとともに、前記各サーミスタをそれぞ
   れ相互に並列接続した上で１台の電流検出器とと
   もに電源に接続して異常過熱検知回路を構成し、
   積層燃料電池内に生じた異常発熱を前記電流検出
   器の電流変化で検知するようにしたことを特徴と
   するバイポーラ形積層燃料電池の異常過熱検知装
   置。