JPH0321347Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、特に外洋における救命ボートとして
最適な、軽量且つ組立容易な膨脹式ゴムボートに
関するものである。

〔従来の技術〕

外洋における救命ボートとしては、通常、膨脹
式ゴムボートが使用されており、その船底は、気
柱と同質のゴム引布により形成されている。

また、外洋における救命ボート以外のボートと
しては、船体全体をガラス繊維強化プラスチツク
（FRP）で形成したものがある。

〔考案が解決しようとする問題点〕 しかしながら、上記膨脹式ゴムボートは、ゴム
引布により形成されたその船底に剛性を付与する
ために、又横滑り性を良好にし、プレーニングを
し易くする等のために、キール、トランサム、床
板等を使用時に組付けるのが通常であり、緊急を
要する場合、組立に時間を要する等の問題があつ
た。

また、船体全体をガラス繊維強化プラスチツク
で形成した上記ボートは、組立を要さず取扱が容
易であるが、軽過ぎて安定性を著しく欠くため、
外洋にける救命ボートとしての実用性はない。

そこで、本考案者は、膨脹式ゴムボートにおけ
る船底全体をガラス繊維強化プラスチツクで形成
することによつて、上述の如き従来の問題を解消
した外洋における救命ボートして最適な膨脹式ゴ
ムボートを先に提案（実願昭58−81609号参照）
したが、提案した膨脹式ゴムボートでは、気柱と
船底とを結合布、リベツト（又はボルト）で固着
すると、工数がかかり高価となる上、リベツト
（又はボルト）と結合布との取付部において剥離、
破損の惧れがある等の問題点がある。

従つて、本考案の目的は、本考案者が先に提案
した膨脹式ゴムボートの上記問題点を、従来の膨
脹式ゴムボートの問題を解決した形態で解消する
ことにある。

〔問題点を解決するための手段〕 本考案は、上述の目的を、船底全体をガラス繊
維強化プラスチツクで形成し且つ気柱の接着受座
及びトランサム用受座をガラス繊維強化プラスチ
ツクで上記船底と一体的に形成して設けてあり、
且つ上記接着受座が、上記気柱の最下端部内側か
ら最外端部に亘つて上記気柱の外側周部を被覆す
る断面形状を有することを特徴とする膨脹式ゴム
ボートを提供することによつて達成したものであ
る。

〔実施例〕

以下、本考案の膨脹式ゴムボートを図面に示す
一実施例について説明する。

図面において、１，１はそれぞれゴム引布より
る形成し且つ船首において合体させた気柱、２は
ガラス繊維強化プラスチツクにより全体を形成し
た船底で、船底２には気柱の接着受座３及びトラ
ンサム用受座４，４をガラス繊維強化プラスチツ
クで上記船底２と一体的に形成して設けてあり、
気柱１，１は、接着受座３に接着剤で固着してあ
る。

実施例について更に詳述すると、上記船底２
は、第２図及び第３図に示す如く、ボートとして
最適なキール構造を有する形状となしてある。

又、上記接着受座３は、第１図〜第３図に示す
如く、船底２の外縁部にその一方の船尾から船首
を通つて他方の船尾に亘つてガラス繊維強化プラ
スチツクで一体的に形成してあり、その断面形状
は、第２図に示す如く、気柱１の最下端部内側か
ら最外端部に亘つて気柱１の外側周部を被覆する
形状となしてある。

又、トランサム用受座４，４は、第３図に示す
如く、船底２の船尾の両端部にガラス繊維強化プ
ラスチツクで一体的に形成してあり、それぞれの
断面形状は、第３図に示す如く、気柱１の最下端
部内側から上端部に亘つて気柱１の内側周部を被
覆する形状となしてある。そして、第１図及び第
３図に示す如く、トランサム用受座４，４にはゴ
ム座５，５を固定してあり、ゴム座５，５間にト
ランサム６を挟み込んで取付け得るようになして
ある。尚、トランサム６のトランサム用受座４，
４への取付は、ゴム座５，５の固定に代えてトラ
ンサム用受座４，４にトランサム用受溝（図示せ
ず）を形成することによつても行うことができ
る。

この他、図中、７は床板で、前後４枚の分割可
能なガラス繊維強化プラスチツク板で構成してあ
り、その両縁部及び前縁部を気柱１，１と船底２
との間に挾み込んで着脱自在に装着してある。
尚、床板７は木製であつても良く、又折り畳み可
能に構成しても良い。又、８は気柱１，１の船首
側上部に張られた防水覆、９は空気弁、１０はオ
ールクラツチ、１１，１２はライフラインであ
る。

本考案の膨脹式ゴムボートは上述の如く構成し
てあるため、その使用に際しては、気柱１，１を
膨脹させ、分割式の床板７を、この両縁部及び前
縁部を気柱１，１と船底２との間に挿入し、トラ
ンサム６を取付けるだけで迅速に組立られ、外洋
における救命ボートとして好適に利用される。

一方、不使用時には、気柱１，１を脱気し、ト
ランサム６及び床板７を取外せば良く、気柱１，
１、床板７、その他オール等の備品は船底２の内
側に収納する。

尚、船底、接着受座及びトランサム用受座の形
状は、実施例のものに制限されるものでないこと
は云う迄もない。

〔考案の効果〕

叙上の如く、本考案の膨脹式ゴムボートは、船
底全体をガラス繊維強化プラスチツクで形成して
あるため、軽量な上、キール等の取付が不必要で
組立が容易であり、しかも不使用時には気柱、床
板、その他オール等の備品を船底の内側に収納で
きると共に、船底に気柱との接着受座及びトラン
サム用受座をガラス繊維強化プラスチツクで上記
船底と一体的に形成して設けてあるため、気柱を
容易、確実且つ安価に取付けることができる上、
トランサムを容易且つ確実に取付けることがで
き、また接着受座が、上記気柱の最下端部内側か
ら最外端部に亘つて上記気柱の外側周部を被覆す
る断面形状を有するため、該接着受座により、ボ
ートの使用時にボートが物に衝突した場合等にお
いて気柱を保護することができ且つ気柱を一層確
実に固定できる等の実用的効果を有し、外洋にお
ける救命ボートとして最適なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の平面図、第２図は
そのＡ−Ａ線拡大断面図、第３図はそのＢ−Ｂ線
拡大断面図である。 ２……船底、３……接着受座、４……トランサ
ム用受座。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 船底全体をガラス繊維強化プラスチツクで形
   成した膨脹式ゴムボートであつて、気柱の接着
   受座及びトランサム用受座を、ガラス繊維強化
   プラスチツクで上記船底と一体的に形成して設
   けてあり、且つ上記接着受座が、上記気柱の最
   下端部内側から最外端部に亘つて上記気柱の外
   側周部を被覆する断面形状を有することを特徴
   とする膨脹式ゴムボート。 (2) トランサム用受座が、気柱の最下端部内側か
   ら上端部に亘つて気柱の内側周部を被覆する断
   面形状を有する、実用新案登録請求の範囲第(1)
   項に記載の膨脹式ゴムボート。