JPH0235201Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は短靴に関するものである。

従来技術 一般に短靴はその使用目的により種々の材料と
形状に分けられている。ところで背丈の低い人が
靴を覆く場合、背丈が少しでも高くありたいとの
希望を満たすため、大底の踵部分を高くした所謂
ハイヒールを履き、背丈の低さをカバーしてい
る。また現在では特に紳士用の皮靴にも、大底の
踵部分を高くしたこの種の短靴が知られている。
しかし乍ら、これらの婦人用ハイヒールあるいは
紳士用短靴の両者とも、単に大底の踵部分を高く
しているだけであるから、踵部分の高さの増大に
より身長を高く見せかけていることがわかり好ま
しくなかつた。通常、靴を履いた際、足の踵部分
の形状により靴の胛部後革部分の内周面の上下部
に、即ち、足のアキレス腱の下方および中底の踵
部分と足の踵との接触開始点のやや後方上部に、
僅かな隙間が生じる。この隙間の存在により、歩
行時に足元が不安定となり靴の抜脱の原因にな
る。特に走つたり傾斜した道路や凹凸の激しい路
面を歩く時には更に足元が不安定となり、足首の
ねんざや靴ズレ等の傷害を引き起こすおそれがあ
つた。

考案の目的 本考案は上記従来の欠点に鑑みこれを改良した
もので、背丈を高く見せると共に、靴の抜脱や靴
ズレ防止、さらに歩行時の安定性と安全性の向上
に寄与する短靴を提供せんとするものである。

考案の構成 斯かる目的に鑑みて本考案は、大底、中底およ
び胛部からなる短靴に於いて、胛部でかくれる中
底の厚みを爪先から踵部に向かつて漸次増大させ
大底と中底とで形成される底部踵部分のうち、外
部から見えない中底踵部分の厚みを厚くすると共
に、該中底踵部分の高さの増大に対応して胛部の
はき口の上端縁の高さを増大させ、且つ、前記胛
部の後革部分の内周面に、足の踵部分およびアキ
レス腱の下方部分を抱持する２個の膨隆部を形成
し、且つ前記胛皮上部に形成されたはき口の内周
面に着脱用の隙間を形成した短靴を提供するもの
である。

実施例 図面は本考案を親士用の皮靴に適用した場合の
説明図で、１は底部２および胛部３とからなる靴
本体である。上記靴本体１の底部２は適当な合成
樹脂材料からなる大底４および中底５から構成さ
れており、胛皮でかくれる中底の厚みは爪先部分
から踵部に向つて漸次増大し、踵部分５ａでは例
えば通常のハイヒールと略同等の厚みになつてい
る。また胛部３は天然皮革あるいは合成皮革等の
胛皮６を適当な形状に裁断し、これを底部２に縫
い付けたり、あるいは接着剤を用いて圧着して一
体化したものである。その際、靴本体１のはき口
７は中底５の踵部分５ａの厚みの増大に対応し
て、普通の短靴よりも若干高くなるように胛皮６
の裁断形状を選定し、歩行時に於ける靴の抜脱を
防止している。この際、胛皮６上部のはき口７に
は、足首との間に適当な隙間を形成し、着脱の容
易性を向上させている。８は胛部３の後革部分３
ａの内周面の上下部に縫着あるいは接着によつて
一体構造に固着された膨隆部で、当該膨隆部８は
上記胛部３の後革部分３ａと同様に天然皮革ある
いは合成皮革等から製作されている。通常、靴を
履いた際、前述した如く、足の踵部分の形状によ
り胛部３の後革部分３ａの内周面の上下部、即
ち、足のアキレス腱の下方と、中底５の踵部分５
ａと足の踵との接触開始点よりやや後方上部に隙
間が生じる。この隙間の存在によつて靴の履き心
地が悪くなり、一方、歩行時に於いては靴の抜脱
の原因となる。従つて、本考案は上述した如く、
靴を履いた際、胛部３の後革部分３ａの内周面に
生じる隙間の形状ならびに大きさに対応して、後
革部分３ａの内側に足の踵部分およびアキレス腱
の下方部分の抱持部材として機能する上記隙間と
略同形状の膨隆部８を形成したものである。これ
により靴を履いた時、足の踵部後端を完全に抱持
することができるため、歩行時に於ける靴の抜脱
やグヤツキを効果的に防止することができる。

尚、本考案は紳士用の皮靴に適用した実施例に
基いて説明されているがこれに限定されるもので
はなく、同様に要領に従つて、婦人靴、スニーカ
ーあるいは布製の運動靴等に適用することも可能
である。

考案の効果 以上説明したようにこの考案は底部の大底の踵
部分を高くしなくても通常のローヒールのままで
実際の背丈より高く見せることができる。従つ
て、靴の外観から背丈の低さがわからない実用価
値の高い靴が提供される。また、本考案の如く、
中底踵部分を高くすると歩行が不安定になるが、
靴を履いた際、胛部の後革部分の内周面に形成し
た２個の膨隆部で足の踵後端部を完全に抱持し、
歩行時に於ける靴の抜脱やグラツキを効果的に防
止することができる。さらにまた、胛皮上部のは
き口に、足首との間に適当な隙間を形成したか
ら、胛部の後革部分内周面の膨隆部の存在にかか
わらず、靴の着脱が容易になる。さらに外観上靴
の形状がローヒールであつても、実際は靴本体の
内部、即ち底部の中底の踵部分が高くなつている
ため、通常のハイヒールと同じ踵部分の高さを取
得することができる。本考案は上述した如く、膨
隆部の形成により足の踵部分後端部を完全に抱持
しているため、特に走つたり或いは傾斜した道路
や凹凸の激しい路面を歩く時でも、通常のハイヒ
ールの如く足下がグラツクことがなく歩行の安定
性が向上する。斯くして、本考案によれば、足首
のねんざや靴ズレ等の傷害を惹起するおそれのな
い安全性の高い短靴が提供される。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る短靴の正断面図である。 １……靴本体、２……底部、３……胛部、４…
…大底、５……中底、３ａ……後革部分、４ａ，
５ａ……踵部分、６……胛皮、７……はき口、８
……膨隆部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 大底、中底および胛部からなる短靴に於いて、
   胛皮でかくれる中底の厚みを爪先から踵部に向か
   つて漸次増大させ大底と中底とで形成される底部
   踵部分のうち、外部から見えない中底踵部分の厚
   みを厚くすると共に、該中底踵部分の高さの増大
   に対応して胛部のはき口の上端縁の高さを増大さ
   せ、且つ、前記胛部の後革部分の内周面に、足の
   踵部分およびアキレス腱の下方部分を抱持する２
   個の膨隆部を形成し、且つ前記胛皮上部に形成さ
   れたはき口の内周面に着脱用の隙間を形成したこ
   とを特徴とする短靴。