JPH02277Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、製本された本をスタツカへ搬送する
製本機の搬送装置に関するものである。

一般に製本工程で使用されている断裁機は、製
本された本を数冊積重ねて断裁する形式のもので
あるために、製本機には製本後順次に搬送されて
くる本を断裁に適する冊数ごとに集積するところ
のスタツカが付設されている。第１図は、従来に
おける製本機の排出部からスタツカに至るまでの
概要図であつて、これを同図に基いて説明する
と、排出部１のデリバリコンベアベルト２によつ
て搬送された本３は、ベルト２と同軸上に張架さ
れて走行するプツシヤチエーン４に一定間隔で設
けられたプツシヤ５によつてテイヤコンベア６上
へ押し出される。

このテイヤコンベア６は、プツシヤ５がスプロ
ケツト７に沿つて回行するときに本３の後端面を
こすつて傷つけないように設けられたものであ
り、デリバリコンベアベルト２よりも高速度で走
行していて、本３をプツシヤ５から引き離すよう
に構成されている。８は垂直姿勢で搬送された本
３を水平姿勢に倒すレーダウンコンベアであつ
て、これには、湾曲した棒状ガイドバーの組合せ
によつて本３を横転させるガイド式や、90゜ひね
つた一対のベルトで本３を挾持して横転させるベ
ルト式や、このベルトの代りに数個のローラを走
行方向に並列したローラ式などの形式のものが用
いられている。

そして、このレーダウンコンベア８の後方に
は、本３を所定数量ごとに集積して排出するスタ
ツカ９が設けられており、レーダウンコンベア８
とスタツカ９との間には、変速コンベア１０が設
けられている。このうちのスタツカ９はストツパ
１１と枠板１２と、プツシヤ１３とで三方を囲ま
れたスタツクポケツト１４を備えており、変速コ
ンベア１０から放擲された本３は、スタツクポケ
ツト１４内に集積されたのち、チエーンで駆動さ
れた往復動するプツシヤ１３によつて紙面と直交
する方向へ押し出されて断裁機へ搬送される。

そして、本３を搬送してスタツカ９へ落下させ
るところの変速コンベア１０は、その走行速度が
遅過ぎると、本がスタツカ９へ飛び込むときに図
に符号３ａで示すごとく本の前端部が先に落ちて
斜めに枠板１２にもたれかゝつてしまい、また、
速過ぎると符号３ｂで示すごとく前端部がストツ
パ１１に当接して傷つくので、本３のサイズに合
わせて走行速度を通常50〜120m／min程度の範
囲で変速調節し得るごとく構成されている。

このように従来の変速コンベア１０は、スタツ
カ９への落下姿勢のために走行速度が制約される
が、これと走行ラインが連続している前段各搬送
部１，６，８の走行速度が変速コンベア１０の走
行速度よりも極端に速いと変速コンベア１０の始
端部で本３が詰つたり互に当接して傷ついたりす
るので、本３のサイズによつては製本速度の高速
化が阻害されるという不具合があつた。また、一
般に50mm厚以上の本の場合には、２冊以上重ねて
断裁することが困難であるために、これを一冊ず
つ搬送してスタツカ９に集積することなくその
まゝスタツカ９を通過させて断裁機へ搬送する
が、この場合でも集積するときと同じように無駄
な飛込み落下をさせなければならず、本３の重量
が大きいこともあつて形が崩れたり損傷したりす
ることがあつた。

本考案は以上のような点に鑑みなされたもの
で、本を搬送してスタツカへ落下させる搬送コン
ベアを搬送終端部が高くなるように傾斜させかつ
傾斜角度を調節自在に形成して張架することによ
り、製本速度および本の寸法にかゝわらず傾斜角
度の調節だけで常に本を安定した姿勢でスタツカ
へ落下させて製本速度の高速化を可能ならしめる
とともに、厚手の本の一冊送りをスタツカに対し
てほゞ水平状に行なわせて飛込み落下による本の
形崩れや損傷を防止するごとく構成した製本機の
搬送装置を提供するものである。

以下、その構成等を図に示す実施例により詳細
に説明する。

第２図ないし第６図は本考案に係る搬送装置を
示し、第２図はその概要側面図、第３図は搬送コ
ンベアの側面図、第４図は第３図のAA断面図、
第５図は揺動装置の側面図、第６図はおなじく平
面図である。図において製本機本体の排出部２１
の後方には搬送される本２２をプツシヤ２３から
引離すために排出速度よりも高速で走行するテイ
ヤコンベア２４が張架されており、その後方に
は、テイヤコンベア２４よりも低速で走行し、本
２２を水平姿勢に横転させるレーダウンコンベア
２５が設けられている。そして、このレーダウン
コンベア２５の後方には、後述するブレーキコン
ベア２６を介してスタツカ２７が設けられてい
る。このスタツカ２７は、ブレーキコンベア２６
によつて搬送されて落下する本２２を集積してブ
レーキコンベア２６の搬送方向と直交する方向へ
排出するものであつて、図の紙面と直交する方向
に進退して本２２を押し出すプツシヤ２８と、こ
のプツシヤ２８の進退方向に直交して対向するス
トツパ２９および一方の側板３０とによつて二方
を囲まれたスタツクポケツト３１を備えている。
そして、スタツカ２７は、スタツクポケツト３１
の底面としての底板３２の上面を、ブレーキコン
ベア２６の前段搬送部としてのレーダウンコンベ
ア２５の搬送面２５ａとほゞ同一平面上に位置さ
せている。

このように構成されたスタツカ２７とレーダウ
ンコンベア２５との間に設けられたブレーキコン
ベア２６は、長方形状に枠組形成されて４隅を脚
３３によつて支持されたベースフレーム３４を備
えており、このベースフレーム３４の中央部に
は、本装置の駆動源としてのモータ３５が設けら
れている。そして、このモータ３５に対する搬送
始端部側には、Ｌ字状に形成された左右一対のロ
ーラ軸受３６がベースフレーム３４上に取付けら
れており、これには、駆動ローラ３７が回動自在
に軸支されている。さらに、この駆動ローラ３７
のローラ軸受３６から突出する片側の軸端部に
は、減速機３８が装着されていて、駆動ローラ３
７はこの減速機の出力軸と駆動連結されていると
ともに、減速機３８の入力軸に軸着されたプーリ
３９は、モータ３５のプーリ４０との間をタイミ
ングベルト４１によつて駆動連結されている。ま
た、減速機３８は、ベースフレーム３４上にブラ
ケツト４２との間に装着されたタイロツド４３に
よつて調節自在に支持されており、これによつて
タイミングベルト４１に張力が付与されている。

そして、左右のローラ軸受３６の内側には、長
方形板状に形成された支持板４４がローラ軸受３
６に対接して駆動ローラ３７の端軸に回動自在に
嵌装されており、これには、テンシヨンローラ４
５とガイドローラ４６とが駆動ローラ３７に近接
してその前後に回動自在に軸支されている。さら
に、左右の支持板４４の上端部には、両端部をそ
れぞれレーダウンコンベア２５とスタツカ２７と
に臨ませるごとく長尺の板状に形成されたローラ
支板４７が、前後一対のステー４８によつて支持
板４４とともに締め付けられて固定されている。
さらに、このローラ支板４７の両端部には、ガイ
ドローラ４９および５０がそれぞれ回動自在に軸
支されており、また両ローラ４９，５０の間を
ほゞ５等分する箇所には、それぞれ小径の支えロ
ーラ５１が回動自在に軸支されている。そして、
これら各ローラ４９，５０，５１と、前記駆動ロ
ーラ３７、テンシヨンローラ４５およびガイドロ
ーラ４６との間には駆動ベルト５２が張架されて
おり、この駆動ベルト５２は、テンシヨンローラ
４５を上下動自在に軸支させてばね手段５３によ
つて上方へ向つて付勢することによつて張力が付
与されている。さらに、片側のローラ支板４７の
両端部と中央部とにはガイド棒支板５４が取付け
られており、これにはガイド棒５５が一端を固定
されて支持されている。そして、このガイド棒５
５には、左右一対のガイド板アーム５６が摺動自
在に嵌装されており、これには断面Ｌ字状に形成
されたローラ支板４７と同長のガイド板５７が取
付けられている。これら両ガイド板５７はガイド
板アーム５６をガイド棒５５上で移動させたのち
固定ねじ５８を緊締することによつて、互の間隔
を本２２の寸法に合わせて調節し得るごとく構成
されている。

一方、ベースフレーム３４上のモータ４０に対
するスタツカ２７側には、全体を符号５９で示す
傾斜角度調節装置が設けられている。この傾斜角
度調節装置５９のギア軸受６０は、コ字状に形成
されてベースフレーム３４上に固定されており、
これに回動自在に軸支されたギア軸６１の両端部
には、これを回動させるハンドル６２と駆動伝達
用のベベルギア６３とがそれぞれ軸着されている
とともに、ストツパ６４を係合させることにより
ギア軸６１の回動を係止する爪車６５が軸着され
ている。さらにギア軸受６０に対するスタツカ２
７側には、ベースフレーム３４全幅にわたるアー
ム軸受６６がギア軸受６０に近接してベースフレ
ーム３４上に固設されており、これには、ギア軸
６１と直交するウオーム軸６７と、ギア軸６１と
平行するアーム軸６８とが回動自在に軸支されて
いる。そしてウオーム軸６７には、前記ベベルギ
ア６３と噛合するベベルギア６９と、ウオーム７
０とが軸着されており、またアーム軸６８には、
ウオーム７０と噛合するウオームホイール７１が
軸着されている。さらに、アーム軸６８には、左
右一対のアーム７２が軸着固定されており、その
先端部は前記ローラ支板４７に枢着された連結リ
ンク７３と回動自在に連結されている。したがつ
てハンドル６２によつてギア軸６１を回動させる
とベベルギア６３，６９、ウオーム７０、ウオー
ムホイール７１を介してアーム軸６８が回動し、
さらにアーム７２と連結リンク７３を介してロー
ラ支板４７が支持板４４とともに駆動ローラ３７
の軸芯を中心にして揺動する。そして、ローラ支
板４７、したがつて駆動ベルト５２の搬送面を第
２図鎖線で示すごとく水平状態にしたときには、
その搬送面がレーダウンコンベア２５の搬送面２
５ａ、ならびにスタツカ２７のスタツクポケツト
３１底面としての底板３２上面とほゞ同一平面上
に位置するごとく設定されている。またギア軸６
１を回動させると駆動ベルト５２の搬送終端部が
上昇して搬送面が傾斜するが、本実施例において
は揺動中心を端部よりも中央寄りに設けて傾斜に
したがつて第２図に実線で示すごとく搬送始端部
が下降するごとく構成されている。

以上のごとく構成された製本機の搬送装置にお
いて、製本機本体の排出部２１から製本速度と同
速度をもつて一定間隔で排出されてくる本２２
は、これよりもわずかに高速度で走行するテイヤ
コンベア２４によつてプツシヤ２３から引き離さ
れて垂直姿勢で搬送されたのち、これよりも低速
度で走行するレーダウンコンベア２５に引き継が
れる。そして、レーダウンコンベア２５によつて
搬送される間に水平姿勢に横転されてブレーキコ
ンベア２６へ引き継がれる。ブレーキコンベア２
６は、あらかじめ本２２の寸法に合わせて傾斜角
度が調節されているとともに、その搬送速度はレ
ーダウンコンベア２５よりも低速度に設定されて
いる。したがつて引き継がれた本２２は、第２図
に示すごとく端部を互に重合させていわゆるさし
み状に重なつて搬送される。この場合、ブレーキ
コンベア２６の始端部がレーダコンベア２５の終
端部よりも低いことによつて引き継ぎ部で本２２
が重なるときに互の端縁同士が衝突せず該部を損
傷させることがない。このようにして搬送された
本２２は、搬送終端部においてスタツカ２７のス
タツクポケツト３１内へ落下するが、ブレーキコ
ンベア２６の搬送面が傾斜し、かつその傾斜角度
が本の寸法に合わせて調節されていることによつ
て本２２は搬送面から離れる瞬間では先端が上向
いているが、落下中に先端が下り、丁度水平姿勢
で着地する。なお、ブレーキコンベア２６の傾斜
角度は、機台の運転中においてもこれを調節する
ことができるので、本２２の落下状態を見ながら
調節すれば、本２２の寸法に適合したきわめて良
好な落下姿勢が得られる。そして落下した本２２
は、設定冊数集積されるごとにプツシヤ２８によ
つてコンベア上へ押し出されて断裁機へ搬送され
る。

以上のよう本２２の搬送動作において、従来ブ
レーキコンベア２６の速度調節によつて行なわれ
ていた本２２の落下姿勢の匡正が、ブレーキコン
ベア２６の傾斜角度を調節することによつて可能
となるので、本の寸法が変つても速度を落す必要
がなく、高速度の製本速度に追随することができ
る。

次に、前述したごとき50mm厚程度以上の一冊送
りの場合には、ブレーキコンベア２６を搬送面が
水平になるように揺動させて固定したのち作業を
行なう。こうすることによつて、レーダウンコン
ベア２５からスタツカ２７に至るまで搬送面が同
一平面となるので、本２２は一冊ずつスタツカ２
７の底板３２上へ送り込まれる。そして、スタツ
カ２７には、本２２がストツパ２９に当接したこ
とを感知してプツシヤ２８を作動させる装置が設
けられているので、本２２はスタツカ２７上でプ
ツシヤ２８によつて一冊ずつ押し出されて断裁機
へ搬送される。

以上の説明により明らかなように、本考案によ
れば製本機の搬送装置において、本を搬送してス
タツカへ落下させる搬送コンベアを搬送終端部が
高くなるように傾斜させ、かつ傾斜角度を調節自
在に形成して張架することにより、製本速度が速
い場合や本の寸法が変つた場合でも傾斜角度を調
節するだけで常に本を安定した姿勢でスタツカへ
落下させることができるので、搬送速度を製本速
度に追随させて高速化することができ、製本速度
の高速化を阻害することなくして製品の形崩れや
損傷のないきわめて良好な集積作業を行なわせる
ことができてその効果がきわめて大きい。また、
ブレーキコンベアを搬送方向の中間部位で傾動自
在に軸支することにより、傾斜状態においてその
始端部の搬送面をレーダウンコンベアの終端部の
搬送面より低くすることができるから、本を無理
なくさしみ状に重ねることができるばかりか、ブ
レーキコンベアからスタツカへ供給される本は、
常に後続する本によつて後端部が保持されるため
特別な保持装置を要しないという利点もある。ま
た、搬送コンベアを水平状態にしたときにその搬
送面が前段搬送部の搬送面ならびにスタツカのス
タツクポケツト底面と同一平面となるごとく形成
することにより、厚本等の一冊送りの場合に本を
落下させることなくスタツカへ送り込むことがで
きるので、搬送がきわめて容易になり、製品の損
傷がなく品質が著しく向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来における製本機の排出部からスタ
ツカに至るまでの概要側面図、第２図ないし第６
図は本考案に係る製本機の搬送装置を示し、第２
図はその概要側面図、第３図は搬送コンベアの側
面図、第４図は第３図のAA断面図、第５図は揺
動装置の側面図、第６図はおなじく平面図であ
る。 ２５……レーダウンコンベア、２５ａ……搬送
面、２６……ブレーキコンベア、２７……スタツ
カ、３１……スタツクポケツト、３２……底板、
５９……傾斜角度調節装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. レーダウンコンベア２５とスタツカ２７との間
   に介装され製本された本２２をスタツカ２７へ搬
   送する搬送コンベア５２を備え、この搬送コンベ
   ア５２の搬送速度を前記レーダウンコンベア２５
   より低速度に設定し、かつ搬送コンベア５２を、
   搬送終端部が搬送始端部よりも高くなるごとく傾
   斜させ搬送方向の中間部位で回動自在に軸支する
   ことによりこの傾斜角度を調節自在に形成すると
   ともに、これをほゞ水平状態にしたときにその搬
   送面がレーダウンコンベア２５の搬送面ならびに
   スタツカ２７のスタツクポケツト底面とほぼ同一
   平面となるごとく、また傾斜状態においてはその
   搬送始端部の搬送面がレーダウンコンベア２５の
   搬送終端部の搬送面より低くなるごとく形成した
   ことを特徴とする製本機の搬送装置。