JPH018780Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、バルブステムのグランド部にグリ
ースを封入し、当該グリースを使用流体の圧力に
見合つて加圧し得るように形成し、固体的な摩擦
接触部分を少く形成したバルブステムのシール機
構に関する。

従来例においても、バルブステムのグランド部
に、グリース又は液体を封入し、使用流体の外部
漏洩を防止するように形成したシール機構は存在
する。従来例におけるこれらのシール機構は、第
１図に示すように、グランド部１の内周面および
バルブステム２とそれぞれ遊嵌する内外径を有す
る筒状若しくはリング状のいわゆるランタンリン
グ３を設け、該ランタンリング３の内周面および
外周面に、それぞれポケツト部４，５を形成する
と共に、それぞれのポケツト部４，５を複数個の
連通孔６を設けて連通して形成し、このランタン
リング３をグランド部１に挿嵌すると共に、グラ
ンド部１のランタンリング３の接液側に２個ない
し３個の角状の偏組パツキン７を挿入し、さらに
ランタンリング３の大気側に接液側に挿入したパ
ツキン数以上の数の偏組パツキン８を挿入し、該
偏組パツキン８をパツキン押え９およびグランド
フランジ１０並びにグランドボンド１１で締付け
るように形成されている。一方ランタンリング３
のポケツト部５に相当する位置にグリースノズル
又は注液ノズル１２を形成し、ランタンリング３
のそれぞれのポケツト部４，５にグリース又は液
体を充填するように形成されている。従来例にお
けるこのシール機構では、ランタンリング３に封
入されたグリース又は液体が使用流体の外部漏洩
に対して有効に作用するためには、封入されたグ
リース又は液体の外部漏洩を防がねばならず、従
つて、大気側のパツキン８に強い押圧力を与える
必要から、厚いグランドフランジ１０と強力なグ
ランドボルト１１が必要となり、シール機構が大
きくなり過ぎると共に、偏組パツキン７，８とス
テム２間の相互接触による固体的な摩擦接触部分
が多く、かつ、使用流体の圧力が高くなると、必
要とする相互面圧も高くする必要があるため、バ
ルブステムの上下動に大きなハンドルトルクが必
要となる欠点を有している。この考案は、この欠
点を解決し、固体的な摩擦接触部分を少なく形成
すると共に、封入グリースの圧力を使用流体の圧
力に見合つて加減し得るように形成したバルブス
テムのシール機構を提供することを目的とするも
のである。

この考案を図示の実施例に基づいて詳細に説明
する。

第２図はこの考案に係るバルブステムのシール
機構を設けたバルブの一例を示す断面図である。
図中１３はボデイ、１４はボンネツト、１５はグ
ランド部、１６はヨーク、１７はパツキン押え、
１８はグランドフランジ、１９はグランドボル
ト、２０はバルブステム、２１はハンドルであ
る。

ボンネツト１４は、ボデイ１３内を通過する使
用流体の温度が、−50℃以下のいわゆる超低温域
や、350℃を越える高温域にある場合では、長く
伸延して形成すると共に、中間部に隔離板２２を
設けて形成し、さらにグランド部１５に近接する
部分には、放熱板２３を複数枚設けてグランド部
５の温度が、−50℃以上150℃以下の温度範囲にあ
るように形成する。グランド部１５は外壁部に逆
止構造を有するグリーズノズル２４を設け、内側
部にシール機構２５を設けて形成する。ヨーク１
６はボンネツト１４の端縁部に脱着可能に固定
し、他端部にヨークナツト２６を設けてバルブス
テム２０と螺合させ、バルブステム２０若しくは
ヨークナツト２６に係合したハンドル２１を回転
させ、バルブステム２０を上下動させるように形
成する。またヨーク１６には、対向して対をなす
二組のグランドボルト１９の一端部を係合し、他
端部をグランドフランジ１８に係合して、該グラ
ンドフランジ１８を上下動し得るように形成し、
グランド部１５に挿嵌するパツキン押え１７に押
圧力を与え、パツキン押え１７が押えるシール機
構２５の受圧力を調整し得るように形成する。

グランド部１５の内側に設けるシール機構２５
は、第３図に示すように、グランド部１５にバル
ブステム２０と同心にシール室２７を形成し、該
シール室２７内に、向い合つて対をなす二組の調
圧リング２８，２９を、コイルスプリング３０を
挟接して挿嵌し、一方の接液側調圧リング２８を
固定し、他方の調圧リング２９をパツキン押え１
７の押圧力によつて上下動させ、二組の調圧リン
グ２８，２９に封入した高粘度グリースの封入圧
力を調整して、ボデイ１３内に使用流体の圧力を
越える封入圧力を誘起させ、バルブステム２０に
沿つてシール室２７に侵入する使用流体を防止す
るように形成する。すなわち、シール室２７はグ
ランド部１５の端面に開口する有底孔に形成し、
底部中心にバルブステム２０を遊嵌する貫通孔を
設けて形成する。またシール室２７の底部にはリ
ング状の座板３１を設ける。座板３１は、ハンド
ル２１の操作に伴うバルブステム２０の振れを防
止するものであるから、リング状の内外径は、そ
れぞれ、バルブステム２０およびシール室２７の
内周面とわずかに遊嵌する寸法に形成し、リング
平面は平滑に形成する。対をなす二組の調圧リン
グ２８，２９は同形に形成し、矩形形状の断面を
有するリング基台３２の一方の短辺縁稜線部から
両側に末広状に伸延する板状の同形のシール片部
３３，３４を設けて形成し、さらに、リング基台
３２の中心に、シール片部３３，３４が形成する
中心角より小さい中心角を有するＶ字形状の有底
傾斜溝３５を設けて形成したシールリング３６
と、該シールリング３６のリング基台３２に形成
した有底傾斜溝３５の傾斜面と当接し、板状のシ
ール片部３３，３４を外方に押広くように作用す
る截頂二等辺三角形状の断面形状を有するウエツ
ジリング３７を設けて形成する。該ウエツジリン
グ３７の中心角は、シールリング３６の有底傾斜
溝３５の中心角と同一に形成するが、シール室２
７の内周径をバルブステム２０の直径に比して大
きく取り得ないような場合には、ウエツジリング
３７の中心角をわずかに有底傾斜溝３５の中心角
よりも大きく形成する。また有底傾斜溝３５の底
面は弧状に形成し、傾斜面の接続部稜線を作らな
いように形成することが望ましい。

この場合、シールリング３６のシール片部３
３，３４の先端縁部は、弧状のなめらかな面に形
成すると共に、先端縁を含むシール片部３３，３
４の両面をテフロン材又は他の合成樹脂材をモー
ルドして形成した接触部３８を設け、またシール
リング３６のリング基台３２の平底部３９にはコ
イルスプリング３６を案内状に挿嵌する座溝４０
を形成しておく。またウエツジリング３７には、
截頂部と対向端面４３とを貫通する小径貫通孔４
１と、該小径貫通孔４１の開口縁と連通し、対向
端面４３に開口する有底溝４２を設けて、シール
リング３６の、有底傾斜溝３５とウエツジリング
３７によつて封塞される部分の圧力を逃がすよう
に形成する。また、シールリング３６のシール片
部３３，３４の開先間隔は、シール片部３３，３
４の先端縁に形成した接触部３８が、バルブステ
ム２０とシール室２７の内周面とわずかな間隙を
有して遊嵌するように形成して、ウエツジリング
３７のクサビ作用によつて、接触部３８がバルブ
ステム２０およびシール室２７の内周面と接触す
るように形成する。

この調圧リング２８，２９は、第３図に示すよ
うに、一方の調圧リング２８のウエツジリング３
７の対向端面４３を座板３１に截置状に挿嵌し、
コイルスプリング３０をリング基台３２の座溝４
０に挿嵌して設け、さらに対をなす他の調圧リン
グ２９を対称にシール室２７に挿入し、調圧リン
グ２９のリング基台３２に形成した座溝４０に前
記コイルスプリング３０の他方の端座を挿嵌して
設ける。また調圧リング２９のウエツジリング３
７に形成される対向端面４３上に、前記座板３１
と同一に形成した座板４４を挿嵌する。この状態
でグリースノズル２４からシール室２７内にグリ
ースを導入すると共に、シール室２７内の残留空
気を逃し、パツキン押え１７を座板４４上に挿入
する。この場合、パツキン押え１７の外周面およ
び内周面に溝を設けて、防塵用のダストシール４
５，４６を設けることが望ましい。

次に第２の実施例について説明する。

第１の実施例における対をなす調圧リング２
８，２９は、シールリング３６におけるリング基
台３２の平底部３９が対向するように設けられて
いるが、第２の実施例においては、第５図に示す
ように、シールリング３６におけるシール片部３
３，３４が対向するように設ける。この場合、第
１の実施例におけるリング基台３２の平底部３９
に形成したコイルスプリング３０を案内する座溝
４０はウエツジリング３７の対向端面４３に形成
する。すなわちシール室２７の底部に挿嵌した座
板３１上に調圧リング２８におけるシールリング
３６のリング基台３２をその平底部３９を載置す
るように挿嵌し、ウエツジリング３７の対向端面
４３にコイルスプリング３０の端座を座溝４０に
挿嵌して設け、該コイルスプリング３０の他方の
端座を、対をなす調圧リング２９のウエツジリン
グ３７の座溝４０に挿嵌し、シールリング３６の
リング基台３２の平底部３９上に座板４４を設
け、座板４４にパツキン押え１７を当接させるよ
うに形成する。この調圧リング２８，２９におけ
るシールリング３６およびウエツジリング３７は
共に低温域においても、機械的性質の変らないク
ローム・ニツケルステンレス鋼を使用することが
望ましく、またコイルスプリング３０も同質のス
テンレス鋼を使用する。

この考案は上述の実施例に基づいて実用新案登
録請求の範囲のように構成したので、バルブステ
ムおよびシール室内周面と固体的な摩擦接触をな
す部分が極めて少く、封入高粘度潤滑材の封入圧
力を高めてもハンドルトルクが大きくなることが
ないバルブステムのシール機構の提供が可能とな
る。また一方の調圧リングはパツキン押えの押圧
力で上下動し得るので、使用流体の圧力に見合つ
て封入圧力を調整し得るのでバルブステムおよび
シール片部が損傷することが少く、またシールリ
ングとウエツジリングはクサビ効果により、パツ
キン押えの押圧力も少く、シール機構全体をコン
パクトに形成し得る実益を有する。またリング基
台を向合して対向させて設けたものでは、接液側
のシール片部は使用流体圧力によつても押広くよ
うに作用するのでパツキン押えの押圧力が少くて
すむ利点を有し、シール片部を向合して対向させ
て設けたものでは、封入高粘度潤滑材の圧力を高
くし得るのでガス状使用流体のシールに効果を有
する実益を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例におけるグランド部の一部を断
面とした説明図、第２図は、この考案に係るシー
ル機構を設けたバルブの一例を示す説明図、第３
図はグランド部の断面図、第４図は調圧リングの
断面図、第５図は他の実施例におけるグランド部
の断面図である。 １３……ボデイ、１４……ボンネツト、１５…
…グランド、１７……パツキン押え、２０……バ
ルブステム、２７……シール室、２８，２９……
調圧リング、３０……コイルスプリング、３２…
…リング基台、３３，３４……シール片部、３５
……有底傾斜溝、３６……シールリング、３７…
…ウエツジリング、３８……接触部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) バルブボデイ１３に結合されたボンネツト１
   ４のグランド部１５にバルブステム２０と同心
   に形成したシール室２７を設け、該シール室２
   ７に、矩形状の断面形状を有するリング基台３
   ２の一方の短辺縁稜線部から両側に末広状に伸
   延する板状の同形のシール片部３３，３４を設
   け該シール片部３３，３４に合成樹脂材をモー
   ルドして接触部３８を形成すると共にシール片
   部３３，３４が形成する中心角より小さい中心
   角を有しリング基台３２の中心に開口するＶ字
   形状の有底傾斜溝３５を設けて形成したシール
   リング３６と有底傾斜溝３５の傾斜面と当接す
   る截頂二等辺三角形状の断面形状を有するウエ
   ツジリング３７で形成した二組の調圧リング２
   ８，２９をコイルスプリング３０を設けて対向
   して挿嵌し、二組の調圧リング２８，２９の対
   向間隔内に高粘度潤滑材を充填し、一の調圧リ
   ング２９を押圧し高粘度潤滑材の封圧力を加減
   するパツキン押え１７を設けて形成したことを
   特徴とするバルブステムのシール機構。 (2) 二組の調圧リング２８，２９をリング基台３
   ２が向い合うように対向して挿嵌した実用新案
   登録請求の範囲第１項記載のバルブステムのシ
   ール機構。 (3) 二組の調圧リング２８，２９をシール片部３
   ３，３４が向い合うように対向して挿嵌した実
   用新案登録請求の範囲第１項記載のバルブステ
   ムのシール機構。