JPH0143026Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は農耕地における鳥類の襲来防除のため
の立方体形驚鳥具に関する。

衆知の如く、近時の農耕地、特に稲作は食管制
度による生産調整、稲作転換政策が強力に推し勧
められていて、転作や、農地流動化等による穀
物、野菜などへの転用が図られている。又一方で
は、市街化が進行する地域では生活環境の拡大に
伴い農地の宅地化が年々急速に増進する傾向にあ
る。この様にして徐々に狭められた農耕地におい
て、効率良く高収穫量を確保するためには農作物
の育成と共に日々様々な努力が傾注されている。
作物は耕作技術に加えて気象条件が大きく影響す
るが、この様にして、大過なく成育する過程にお
いてなお現今の機械化による近代化された高条件
下での作柄状況で、害虫の駆除に加え特に懸念さ
れることは、多数飛来する鳥類の餌場と化す広い
範囲に亘る啄害である。広く分布する其の地域地
域の耕作面積の被害状況を累積し、これを全国規
模で総計したとき、測り知れない窮めて厖大な作
物被害を計上することになる。

周知の如く、この種の害鳥に対しては従前から
のものとして案山子等が著明であるが、静止態様
の慣用性に加えて効果性が乏しいため既に疎外さ
れて用いられておらず、昨今では光輝性リボンの
吹き流し等が主流となつている。併し、これとて
経時するに従い慣性化されて効果が極めて希薄な
ものとなつてしまい、農作物における重要な害虫
駆除の対策と共に、大挙襲来する鳥類撃退の方策
として、より信頼性の高いこの種の用具の具現が
早急に求められている。

本考案は上記の事由に着目して鋭意研求の結
果、長期にるもその効果を低下させることなく、
極めて安定した鳥驚作用並びに嫌気効果を発揮す
ることができる吊下式立方体形驚鳥具を創案し、
これを供せんとするものである。

斯る目的を達成せしめた、本考案による一実施
例の構成を以下図面によつて説明する。

第１図は本考案吊下式立方体形驚鳥具イ全体の
斜視図を現わし、第２図は立方体形驚鳥具イを分
解して、基なる一片の板面を現わした平面図であ
る。第３図は第２図におけるＡ〜Ａ線断面図であ
り、第４図は叩音を発生させる部分を共用する吊
下用フツクの拡大図を現わす。

本考案は図示の如く、農耕地において鳥類の啄
害による作物被害を防ぐための驚鳥用用具であつ
て、その構成とするところは、夫々に色彩等の異
なる比較的大きな眼状紋４が記された６枚の単体
板１と、紐等８による吊下フツク５から成り、そ
の夫々の単体板１は、ほぼ正四角形又は矩形状の
同形にして、その四方辺には糊しろ状の隅部を斜
切した組立片２が、若干表面側へ35゜乃至45゜の勾
配で内折し、盆形状に延設されて形成されてい
る。この糊しろ状に形成された組立片２には、更
に複数の組付用貫通孔３が穿設されている。つま
り、表面に眼状紋４を色彩標記しかつ延設した組
立片に、組付け用孔３を有する単体板１を構成し
たものである。そして、各々色彩の異なる眼状紋
を標記した該単体板１の、四方辺に延設された組
立片２を夫々合着せしめ、加えて前記貫通孔３へ
紐等８の吊下用フツク５を宛てて螺子等７で分解
自在な立方体に組み立て、これを竿等に吊下する
ことにより前記盆形状に内折した組立片２が翼と
なつて風を受け、ゆつくりと旋回、時には速く回
転、若しくは風圧による揺動等により、多面体に
形成された夫々色彩の異なる眼状紋４の動きによ
つて、驚鳥作用を図る手段と成し本考案吊下式立
方体形驚鳥具イを構成したものである。

亦本考案は、上記を構成する驚鳥具イに組付け
た吊下用フツク５の紐等８を通す環部６が、自由
に緩動して、立方体の驚鳥具をはためき叩く作用
を図り、鳥の嫌悪する微妙なカサカサ音、又はカ
タカタ音を発し、更には空洞体を叩いて起る音響
の増幅によつて一段と嫌気作用を生じせしめる如
く成して構成したことも特徴とするものである。
この様に、本考案の立方体を構成する６枚の単体
板１には、軽金属類、又は耐水紙等を用いてもよ
いが、主として屋外で用いられるものであるた
め、耐久性、経済性或いは成形性の共に優れた樹
脂製品が最も適し、廉価にて提供できる有利性を
も存している。亦、眼状紋は蛇の目紋様に限定さ
れるものではなく、例えば、人物眼に近似した眼
形紋様を標記してもよいことは論を俣ない。更に
紐等による吊下フツク５の紐通し６は、三角状に
して図記したが、丸、又は四角状のものでもよ
く、緩やかにはためき動く状態で止具側に遊着し
ていればよい。亦、紐等８は金属性か樹脂性の鎖
でもよいことは勿論である。

この様な構成において、夫々６枚の単体板１の
組立片２を合せ、吊下フツク５を該組立片の組立
用孔３に宛てがつて、螺子等７で固定し乍らサイ
コロ状の立方体に組み立てて、任意な箇所、所望
としては角隅の三カ処のフツク環部６へ、紐等８
を通して吊り下げるだけで本考案の目的は達成で
きるものである。

即ち、鳥類は音に対して非常に順応性が早く、
自動車の走行音や、警笛音、或いは比較的大きな
音に対しても、直きに慣化して飛び去らなくなる
が、落葉や枯木を踏み歩く音、若しくは不規則な
音には敏感に反応して恐怖心を感じ、囀音が啼声
音へと微妙に変化していることが判明し、研究過
程において本考案吊下用フツク環部６の自由な緩
動による、多数個の金属環の立方体をはためき叩
く微妙なカタカタ音、又はカサカサ音が、習慣性
を伴なわない不規則音として極めて有効であるこ
とが実験の結果実証された。

更に本考案の吊下式立方体形驚鳥具イは、紐等
の吊下げ位置を順次変えていくだけで、俯瞰位
置、斜横、側横方向、並びに下面方向からは、い
ずれも異なる３面の色彩眼状紋を表出できるた
め、長期間に亙るも、慣性化の虞れの生じない特
性を常に有することができるものである。

以上の如く本考案は、鳥に恐怖心を与える眼状
紋の旋回と揺動を併せた複雑な動き、及び色彩を
変化させるに止どまらず、近寄り難い驚愕心を生
じせしめる不規則な多数叩音の、二重の布石によ
つて防除するものであり、冒記の現状を憂えると
きその実用性並びに貢献性は有益であり、極めて
顕著な効果を奏することができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案吊下式立方体形驚鳥具イの斜視
図を現わし、第２図は立方体形驚鳥具イを分解し
て、基となる一片の板面を現わした平面図であ
り、第３図は第２図におけるＡ〜Ａ線断面図であ
る。第４図は叩音を発生させる吊下用フツクの拡
大図を現わす。イ……本考案の立方体形驚鳥具。
１……６枚から構成される単体板、２……組立
片、３……組立用の貫通孔、４……眼状紋、５…
…吊下用フツク、６……同紐通し環部、７……螺
子、８……吊下用紐又は鎖等。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 農耕地において鳥類の啄害による作物被害を
   防ぐための驚鳥用用具であつて、 夫々に色彩等の異なる比較的大きな眼状紋が
   記された６枚の単体板と紐等による吊下フツク
   から成り、その夫々の単体板はほぼ正四角形又
   は矩形状の同形にして且つその四方辺には糊し
   ろ状の隅部を斜切した組立片が若干表面側に内
   折した盆形状に延設されており、この糊しろ状
   の組立片には更に複数の組付用貫通孔を形成し
   て、表面に眼状紋を標記しかつ延設した組立片
   に組付け用孔を有する単体板を構成したもので
   あつて、夫々に色彩等の異なる眼状紋を標記し
   た該単体板四方辺の組立片を合着せしめ、加え
   て前記貫通孔へ紐等の吊下用フツクを宛てて螺
   子等で分解自在な立方体に組み立て吊下するこ
   とにより、前記盆形状に内折した組立片に風を
   受けての旋回、又は風圧による揺動等により、
   多面体に形成した夫々色彩の異なる眼状紋の動
   きによつて驚鳥作用を図る手段と成したことを
   特徴とする吊下式立方体形驚鳥具。 ２ 上記単体板の四方辺へ隅部を斜切して延設さ
   れる組立片は35゜乃至45゜の勾配を有する該単体
   板の全体が盆形状に形成されて成る実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の吊下式立方体形驚鳥
   具。 ３ 上記を構成する驚鳥具に組付けた吊下用フツ
   クの紐等を通す環部が、自由に緩動して立方体
   の驚鳥具をはためき叩く作用を図つたことによ
   り、微妙なカタカタ音を発し更に空洞物を叩く
   音響の増幅によつて嫌気作用を生じせしめる如
   く成して構成したことを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の吊下式立方体形驚鳥
   具。