JPH0119729Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は電柱用キヤツプに関し、天蓋の下面に
電柱外周面に被着させる円筒状の外周側壁と電柱
頂部に突出した補強用鉄筋に嵌合させる楕円筒体
を設けて成り、中空に形成されたコンクリート電
柱の頂部へ冠着させて雨水等の浸水を防止するべ
く使用するためのものである。

［従来の技術とその欠点］ 従来、内部を中空にして形成されたコンクリー
ト電柱には雨水等の浸水を防止するために第１図
に示すように電柱９の頂部にコンクリート板１１
を乗せ、その周辺部にモルタル等の接合材１２を
詰めて接着させて蓋をしていたが、これらは建柱
の最終作業として行なわれるもので、高所での困
難な作業となりしかも危険を伴なうものであつ
た。また、折角設けた蓋が長期間の使用で接合材
１２が風化するなどして脱落することがあつた。

このような欠点を解消するものとして例えば第
２図に示すように円形状をなす天蓋２の外周端縁
から円筒状の外周側壁３を一体に垂設すると共に
天蓋２の内面に外周側壁３を同心円状に内周側壁
１３を設けたキヤツプ本体１をモルタル等の接合
材１２を肉盛りした電柱９の頂部に冠着するよう
にしたものが知られているが、このようなものも
やはりモルタル等の接合材１２を使用するために
作業性に難点があり、さらには長期間の使用で接
合材１２が乾燥収縮してキヤツプ本体１を外れ易
くしてしまうといつた欠点がなお残るものであつ
た。

［本考案の目的と構成］ 本考案はこのような従来欠点を解消した電柱用
キヤツプを提供せんとしてなされたものであつ
て、柔軟性を有する合成樹脂により円形状の天蓋
を形成し、該天蓋の外周端縁から円筒状の外周側
壁を一体に垂設してキヤツプ本体を形成し、該キ
ヤツプ本体の天蓋内面に前記外周側壁と同心円状
でかつ等間隔位置に複数の楕円筒体を突設し、該
各楕円筒体は所定の位置にあるものを除きその先
端面に前記同心円の輪郭に沿つて湾曲する弧状の
長孔を穿設すると共に、残りの所定の位置にある
楕円筒体はその先端面に前記弧状の長孔より狭幅
をなす弧状の長孔を穿設して構成した。

［作用］ 電柱用キヤツプの開口を電柱９の頂部に当てが
い押し付けると、外周側壁３が電柱９の上端外周
面に被着されるが、電柱９頂部から上方に突出し
ている複数の補強用鉄筋１０は楕円筒体４の先端
面に穿設した長孔４内に挿入される。

この際、他の長孔５より狭幅をなす弧状の長孔
５ａ内に挿入された鉄筋１０′は強く押し込まれ
てきつく嵌まり込むため、キヤツプが柔軟性を有
する合成樹脂材で形成されていることも相俟ち弾
発的に締め付けられることとなり、長期使用に亘
つてもキヤツプが鉄筋１０′から抜脱することな
く引いては電柱９頂部への冠着状態を安定に保持
し続ける。また、前記他の長孔５内に挿入された
鉄筋１０は遊嵌状態で収まり、キヤツプが無用に
変形するのを防止する。

［実施例］ 以下に本考案の実施例を図面と共に説明する。
第３図において１はキヤツプ本体で柔軟性を有す
る合成樹脂材により円形状に形成した天蓋２の外
周端縁から円筒状の外周側壁３を一体に垂設して
形成される。該キヤツプ本体１の天蓋２内面に
は、前記外周側壁３と同心円状でかつ等間隔位置
に楕円筒体４を12個突設する。

該各楕円筒体４は後記する３個の楕円筒体４ａ
（以下肉厚体という）を除きその先端面に前記同
心円の輪郭に沿つて湾曲する弧状の長孔５を穿設
する。残りの３個の肉厚体４ａは前記12個の楕円
筒体４の内で３個置きに配置してあり、該各先端
面には前記弧状の長孔５により幅を狭くした長孔
５ａを穿設すると共に、該長孔５ａを形成する筒
壁の肉厚を他の楕円筒体４の筒壁の肉厚よりも厚
くする。また、上記長孔５の幅は電柱９頂部から
突出する補強用鉄筋１０の直径より若干大きく
し、長孔５より狭幅の長孔５ａの幅は鉄筋１０の
直径よりも若干小さくしてある。さらに天蓋２の
内面には中央に円形状リブ６を突設すると共に各
楕円筒体４の間を連結するリブ７を設け、さらに
肉厚体４ａを挟んで外周側壁３と円形状リブ６を
つなぐ補強リブ８を突設している。

このように形成された本考案のキヤツプは開口
を電柱９の頂部に当てがい押付けて電柱頂部から
突出している補強用鉄筋１０を対向する楕円筒体
４の長孔５に嵌入させるが、第６図で向つて右側
に示される鉄筋１０′は肉厚体４ａの狭い幅の長
孔５ａに押込ませて強く狭着させ、その他の補強
用鉄筋１０は夫々に対向する楕円筒体４の長孔５
に遊嵌させる。このようにして第４図に示すよう
に肉厚体４ａを３個設けたものでは補強用鉄筋１
０のうちの３本を幅の狭い長孔５ａに夫々強く狭
着させきつく嵌め込ませる。

この際に電柱頂部に突設する補強用鉄筋１０，
１０ａの間隔にムラがあつても、各長孔５は細長
くしかも外周側壁３と同心円の輪郭に沿つて湾曲
しているため該円輪に沿つて長孔が移動する余裕
ができ融通性があつてうまく嵌合させることがで
き、しかもキヤツプが柔軟性を有する合成樹脂材
で形成されていることも相俟ち狭い幅の長孔５ａ
に嵌入した鉄筋１０′は弾発的に締め付けられる
こととなり、長期使用に亘つてもキヤツプが鉄筋
１０′から抜脱することはない。また、長孔５に
挿入された鉄筋１０は遊嵌状態で収まり、キヤツ
プが無用に変形するのを防止する。

［考案の効果］ 以上に述べたように本考案のキヤツプは外周側
壁を電柱の外周面に被着させると共にキヤツプ内
面に突出させた各楕円筒体の長孔に電柱頂部に突
出する補強用鉄筋を嵌入させて電柱に冠着させる
もので、モルタル等の接合材は一切使用せずに簡
単に取付けることができ、しかも一旦冠着した状
態は長期間にわたり安定に保たれて抜脱するよう
なことはなく、電柱内部への雨水等の浸水を完全
に防止することができるものである。

【図面の簡単な説明】

図は本考案に係わるもので第１図及び第２図は
従来例を示す断面図、第３図は本考案のキヤツプ
の斜視図、第４図は平面図、第５図は第４図のＡ
−A′線断面図、第６図は使用状態を示す断面図
である。 １……キヤツプ本体、２……天蓋、３……外周
側壁、４……楕円筒体、４ａ……肉厚体、５……
長孔、５ａ……長孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 柔軟性を有する合成樹脂により円形状の天蓋を
   形成し、該天蓋の外周端縁から円筒状の外周側壁
   を一体に垂設してキヤツプ本体を形成し、該キヤ
   ツプ本体の天蓋内面に前記外周側壁と同心円状で
   かつ等間隔位置に複数の楕円筒体を突設し、該各
   楕円筒体は所定の位置にあるものを除きその先端
   面に前記同心円の輪郭に沿つて湾曲する弧状の長
   孔を穿設すると共に、残りの所定の位置にある楕
   円筒体はその先端面に前記弧状の長孔より狭幅を
   なす弧状の長孔を穿設したことを特徴とする電柱
   用キヤツプ。