JP7841356B2 - 生体情報処理方法及び生体情報処理装置 - Google Patents

生体情報処理方法及び生体情報処理装置

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Description

本発明は、生体情報処理方法及び生体情報処理装置に関する。
エピジェネティクスは、DNA配列の変化を伴わずに、細胞又は多細胞生物からその子孫へと遺伝子発現又は表現型の変化を継承する仕組みである。エピジェネティクスのメカニズムには、DNAメチル化等のDNAの化学修飾、ヒストンの化学修飾、及びそれらによるヌクレオソームやクロマチンの構造もしくは安定性の変化などが関与していると考えられている。
特許文献1には、生体のエピジェネティクス修飾の履歴に関する情報を取り出し、取り出した情報について、他の生体との類似性を解析し、将来の生体の状態の変化を予想して制御する方法が開示されている。
特開2018-042560号公報
特許文献1では、エピジェネティクス修飾を利用して、生体における生体状態の発現の活性化及び抑制に関する情報を求めることは示唆されていない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、生体における生体状態の発現の活性化及び抑制に関する情報を求めることが可能な生体情報処理方法及び生体情報処理装置を提供することを目的とする。
本発明に係る生体情報処理方法は、第1時点における生体のクロマチン構造及び生体状態と前記第1時点より後の第2時点における前記生体のクロマチン構造及び生体状態とのそれぞれの相違を求め、前記生体のクロマチン構造及び生体状態のそれぞれの相違に基づいて、当該生体状態を変化させるクロマチン構造の変化を引き起こすヒストン修飾を特定し、特定した前記ヒストン修飾と当該ヒストン修飾に対応する前記生体の生体状態との対応を示す対応情報を求め、前記対応情報に基づいて、指定された生体状態を前記生体と同一の種である対象生体に対して発現の活性化又は抑制させるための前記ヒストン修飾を特定する。
本発明に係る生体情報処理装置は、生体のヒストン修飾と当該ヒストン修飾に対応する前記生体の生体状態との対応を示す対応情報を記憶する記憶部と、前記生体と同一の種である対象生体に対して生体状態の発現の活性化又は抑制させるための指定情報が入力された場合、前記記憶部に記憶される前記対応情報に基づいて当該生体状態の発現の活性化又は抑制させるための前記ヒストン修飾を推定する演算部とを備え、前記対応情報において、生体状態を変化させるクロマチン構造の変化を引き起こす前記ヒストン修飾は、前記生体の第1時点におけるクロマチン構造及び生体状態と前記第1時点より後の第2時点におけるクロマチン構造及び生体状態とのそれぞれの相違に基づいて特定される。
本発明によれば、生体における生体状態の発現の活性化及び抑制に関する情報を求めることができる。
図1は、本実施形態に係る生体情報処理方法の流れを示すフローチャートである。 図2は、エピジェネティクスの原理を模式的に示す図である。 図3は、ニューラルネットワークの一例を示す図である。 図4は、本実施形態に係る生体情報処理装置の一例を示す機能ブロック図である。
以下、本発明に係る生体情報処理方法及び生体情報処理装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本実施形態に係る生体情報処理方法の流れを示すフローチャートである。図1に示すように、本実施形態に係る生体情報処理方法は、相違検出ステップ(S10)と、第1ヒストン修飾特定ステップ(S20)と、対応情報算出ステップ(S30)と、生体状態指定ステップ(S40)と、第2ヒストン修飾特定ステップ(S50)とを含む。
まず、本実施形態に係る生体情報処理方法の原理を説明する。本実施形態に係る生体情報処理方法は、エピジェネティクスと呼ばれる仕組みに基づく。エピジェネティクスは、DNA配列の変化を伴わずに、細胞又は多細胞生物からその子孫へと遺伝子発現又は表現型の変化を継承する仕組みである。
図2は、エピジェネティクスの原理を模式的に示す図である。、DNAが、ヒストンと呼ばれるタンパク質に巻き付いたクロマチン構造を示している。ヒストンがメチル化、ユビキチン化、リン酸化、アセチル化等により修飾されることで、クロマチン構造が変化する。クロマチン構造の変化により、遺伝子による生体状態の発現の活性化及び抑制が変化する。
例えば、ヒストンがメチル化されることにより、遺伝子による生体状態の発現が抑制される。ヒストンは、例えば20~30のアミノ酸によりひも状(テール状)に形成される。ヒストンを構成するアミノ酸は、各種の修飾ターゲットとなる。図2に示すように、ヒストンH3テール及びヒストンH4テールがメチル化(Me)、アセチル化(Ac)により修飾されることで、遺伝子による生体状態の発現の活性化及び抑制が変化する。具体的には、ヒストンH3テールのK4、K36、K79で示されるアミノ酸がメチル化されることにより、遺伝情報をDNAからmRNAへコピーする転写が活性化される。また、ヒストンH3テールのK9、K27で示されるアミノ酸及びヒストンH4テールのK20で示されるアミノ酸がメチル化されることにより、転写が抑制される。
このように、ヒストン修飾が変化することで、遺伝子による生体状態の発現が活性化又は抑制されることになる。
本発明者は、クロマチン構造の変化が、例えば所定の因子により引き起こされる可能性があることを見出した。このような所定の因子としては、例えば生体が生活する緯度、経度、気候等の環境に基づく生活環境因子、生体が生活により得られる経験に基づく経験因子、生体の心理的ストレス、幸福感等に基づく心理的因子、生体の年齢に基づく年齢因子、生体の性別に基づく性別因子等が挙げられる。
例えば、低緯度で高温の環境で長期間生活した生体は、高い発汗能力を有することが知られている。つまり、この場合においては、高温の環境に長期間さらされることにより、遺伝子による発汗能力の発現が活性化されるように、生体のクロマチン構造が変化したものと考えることができる。
また、例えばヒトの場合、幼児の脳は成長途中であり、成人の脳にあるような大規模で複雑な脳組織はできあがっていない。ヒトの脳において、生後略3歳頃の所定年齢までに得られた長期記憶は、未成熟な脳によって作り出された不安定な記憶であるため老化するにつれて失われていく。そして、古い細胞が新しい細胞に置き換わるようなことはなく、むしろ既存の脳細胞に新しい細胞が追加された形で成長する。これは神経発生によって古い記憶が一掃されるわけではないことを示しているが、新しい細胞が加わることにより、脳内で記憶が再構成され、古い記憶にアクセスできなくなる。つまり、ヒトの場合、生後略3年が経過して脳が成長することにより、脳内の古い細胞の記憶にアクセスできないようにクロマチン構造が変化したものと考えることができる。
上記の例において、例えば、発汗能力の低い生体が高温の環境で生活する際には、発汗能力を高めることができれば、高温の環境により適応することができる。また、ヒトの脳において、再構成される前の古い細胞における記憶には、本能的な行動や地磁気を感じる等の能力が残っている可能性がある。このような能力を成長後に活用することができれば、新たな発見等につながる可能性がある。また、これらの例とは別に、癌、糖尿病、自己免疫疾患等になりやすい遺伝子がある場合、その発現を抑制するようなヒストン修飾を推定することは有用であると考えられる。
そこで、本実施形態では、第1時点における生体のクロマチン構造及び生体状態と第1時点より後の第2時点における生体のクロマチン構造及び生体状態とのそれぞれの相違を求め、生体のクロマチン構造及び生体状態のそれぞれの相違に基づいて、当該生体状態を変化させるクロマチン構造の変化を引き起こすヒストン修飾を特定し、特定したヒストン修飾と当該ヒストン修飾に対応する生体の生体状態との対応を示す対応情報を求め、対応情報に基づいて、指定された生体状態を生体と同一の種である対象生体に対して発現の活性化又は抑制させるためのヒストン修飾を推定する。
まず、相違検出ステップS10において、第1時点における生体のクロマチン構造及び生体状態と第1時点より後の第2時点における生体のクロマチン構造及び生体状態とのそれぞれの相違を検出する。生体のクロマチン構造は、例えば生体の細胞を採取し、採取した細胞のDNAを公知の手法で分析することにより取得することができる。本実施形態における生体情報は、生体のクロマチン構造に関する情報を含む。また、生体状態は、生体の能力や病気の発病等、クロマチン構造の変化により変化する生体の状態を含む。生体の生体状態については、例えば生体状態を取得可能なウェアラブル装置を生体に取り付けておき、生体から所定のタイミングで生体状態を取得するようにしてもよい。生体状態としては、例えば歩行速度、走行速度、筋肉量、心拍数、呼吸数、血圧、体温、脳波、脳血流、発汗量、癌細胞の有無等が挙げられる。
第1時点及び第2時点は、任意の時点とすることができる。なお、生体がヒトであり第1時点と第2時点とで同一個体である場合、第1時点が例えば所定年齢である生後略3歳よりも前の時点であり、第2時点が所定年齢である生後略3歳よりも後の時点であってもよい。この場合、所定年齢である生後略3歳において脳内の古い細胞の記憶にアクセスできなくなる前後のクロマチン構造の変化を適切に検出することができる。なお、生体は、ヒト以外の動物、植物等の生物であってもよい。
クロマチン構造の相違を検出する生体は、後述する対象生体と同一の個体であってもよいし、対象生体よりも前の世代の個体であってもよい。従来、環境による後天的な影響は次の世代に引き継がれないと考えられてきた。たとえば、喫煙は肺細胞の構成を変化させ、癌を引き起こす。このような後天的な影響は世代を越えて継承されることはないと考えられてきた。即ち、エピジェネティックな記憶は、卵細胞の分裂途中で完全にクリアされるとされてきた。しかしながら、近年、後天的な影響が実際に世代を越えて継承される可能性があることを示していることが証明された。
後天的な影響が遺伝的にどのように継承されるかについて、例えばヒトにおいては、H3K27me3が細胞核内のDNAのパッケージングであるクロマチン構造を変化させる遺伝子発現の抑制に関連することが分かっている。このH3K27me3による修飾は、他のエピジェネティック修飾が消去されたとしても、受精後も胚に存在することが発見された。これは、母親が後天的環境による影響の痕跡を子孫に伝えていることを示している。継承されたエピジェネティック修飾は胚発生にとって重要である。例えば、H3K27me3のNAのパッケージングを変えるトリガー酵素を除去し、胚発生の初期においてH3K27me3を欠く胚は、胚発生が終わる前に破壊されることが知られている。つまり生殖において、エピジェネティックな情報は世代から世代へと受け継がれるだけでなく、胚自体の発達にとっても重要である。
初期胚発生中に通常はオフになっているいくつかの重要な発生遺伝子が、H3K27me3の無い胚でオンになっていることで、卵細胞の分裂中にこれらの遺伝子を活性化するのが早すぎて胚発生が破壊されることが分かっている。即ち、胚の遺伝暗号を処理して正しく転写するには、継承されたエピジェネティックな情報が必要である。
これらのことは、ヒトが遺伝子以上のもの(環境や個人のライフスタイルに影響を与える可能性のある、微調整された重要な遺伝子調節機構)を継承していることを示している。つまり、ヒトが生存過程で獲得した環境適応が、生殖細胞系列を介して子孫に受け継がれるという根拠となる。逆にエピジェネティックなメカニズムの崩壊は、癌、糖尿病、自己免疫疾患などの病気を引き起こす可能性がある。
第1ヒストン修飾特定ステップS20では、相違検出ステップS10で検出した生体のクロマチン構造及び生体状態のそれぞれの相違に基づいて、当該生体状態を変化させるクロマチン構造の変化を引き起こすヒストン修飾を特定する。
対応情報算出ステップS30では、特定されたヒストン修飾と当該ヒストン修飾に対応する生体の生体状態との対応を示す対応情報を求める。
なお、例えば第1時点における生体のクロマチン構造及び生体情報と、第2時点における生体のクロマチン構造及び生体情報とを入力した場合に、入力結果に基づいて当該生体状態を変化させるクロマチン構造の変化を引き起こすヒストン修飾を算出して出力し、出力結果と生体情報とを対応付けるようなニューラルネットワークを予め生成しておいてもよい。図3は、ニューラルネットワークの一例を示す図である。図3に示すニューラルネットワークNWは、第1時点における生体のクロマチン構造及び生体情報を含む第1情報I1と、第2時点における生体のクロマチン構造及び生体情報を含む第2情報I2とを入力することにより、変化した生体状態を含む第3情報I3と、当該生体状態を変化させるクロマチン構造の変化を引き起こすヒストン修飾を含む第4情報I4を出力し、第3情報I3と第4情報I4とを対応づける。この場合、当該ニューラルネットワークNWに第1情報I1及び第2情報I2を入力することで第3情報I3と第4情報I4とが対応付けられた対応情報を得ることができるため、相違検出ステップS10、第1ヒストン修飾特定ステップS20及び対応情報算出ステップS30を速やかに行うことができる。
生体状態指定ステップS40では、対象生体に対して、対象となる生体状態と、当該生体状態の発現を活性化させるか抑制させるかの情報とを指定する。対象生体は、相違検出ステップS10において相違を検出した生体と同一の種である。
第2ヒストン修飾特定ステップS50では、対応情報算出ステップS30で算出された対応情報に基づいて、生体状態指定ステップS40で指定された生体情報を対象生体に対して発現の活性化又は抑制させるためのヒストン修飾を特定する。
なお、第1時点における生体が第2時点における生体よりも前の世代の個体である場合、上記ステップS10~S50とは別個に、又は上記ステップS10~S50に加えて、第1時点における生体の所定の因子と第2時点における生体の所定の因子との相違をさらに求めてもよい。この場合、求めた生体のクロマチン構造及び所定の因子の相違に基づいて、生体のクロマチン構造を変化させる所定の因子を特定し、特定した所定の因子とクロマチン構造の対応を示す前の世代の対応情報を求めることができる。そして、例えば前の世代の対応情報に基づいて、対象生体のクロマチン構造の変化を推定することができる。例えば親の世代の生体が20歳で癌になったとし、当該生体が19歳の時点と20歳の時点とでクロマチン構造に相違する部分があり、生活環境や習慣等の生活環境因子や心理的因子などの所定の因子にも相違する部分があった場合、子の世代の生体では、その生活環境や習慣、心理状態になることを避けることで癌になる可能性を低減させる、という対策を行うことができる。
また、例えば、生体がヒトであり、第1時点と第2時点とで同一個体であり、第1時点が所定年齢である生後略3歳よりも前の時点であり、第2時点が所定年齢である生後略3歳よりも後の時点である場合、上記ステップS10~S30により、生後略3歳において脳内の古い細胞の記憶にアクセスできなくなるという生体状態の変化が生じる前後のクロマチン構造の変化を検出し、当該クロマチン構造の変化を引き起こすヒストン修飾を特定し、特定したヒストン修飾と当該生体状態との対応情報を適切に求めることができる。この場合、生体情報指定ステップS40において、例えば脳内の古い細胞の記憶にアクセスするという生体状態(能力)を指定した場合、対応情報に基づいて、指定した生体状態に対応するヒストン修飾を適切に特定することができる。したがって、特定したヒストン修飾に基づいて対象生体のクロマチン構造を変化させることにより、対象生体が脳の古い細胞の記憶にアクセスするという生体状態の発現及び活性化を行うことができる。なお、所定年齢は一例として生後略3歳の例を示したが、これには限定されず、任意の年齢を設定可能である。
図4は、本実施形態に係る生体情報処理装置100の一例を示す機能ブロック図である。図4に示すように、生体情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置と、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等の記憶装置を有する。
生体情報処理装置100は、取得部10と、記憶部20と、演算部30とを有する。生体情報処理装置100は、不図示の通信部を有してもよい。生体情報処理装置100は、入力装置40及び出力装置50等の外部装置に接続される。入力装置40は、各種の操作を受け付ける。入力装置40は、例えば、キーボード、マウス、ボタン、スイッチ、タッチパネルなどの各種の入力装置で構成される。入力装置40は、生体情報処理装置100に対して、例えば対象となる生体状態と、当該生体状態の発現を活性化させるか抑制させるかの情報とを入力することができる。出力装置50は、表示部及び音声出力部等により構成される。出力装置50は、生体情報処理装置100における処理内容を文字、映像、音声等により出力する。取得部10は、各種情報を取得する。取得部10は、例えば入力装置40で入力される情報を取得する。取得部10は、不図示の通信部で受信した情報を取得する。
記憶部20は、各種情報を記憶する。記憶部20は、例えばハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等のストレージを有している。なお、記憶部20として、リムーバブルディスク等の外部記憶媒体が用いられてもよい。記憶部20は、上記したニューラルネットワーク及び当該ニューラルネットワークで出力される対応情報等、各種のデータ、アプリケーション等を記憶する。
演算部30は、各種演算を行う。演算部30は、生体状態指定ステップS40及び第2ヒストン修飾特定ステップS50に対応する各演算を行う。なお、記憶部20に上記のニューラルネットワークを記憶させておくことにより、演算部30は、当該ニューラルネットワークを用いて、相違検出ステップS10、第1ヒストン修飾特定ステップS20及び対応情報算出ステップS30を行うことができる。なお、相違検出ステップS10、第1ヒストン修飾特定ステップS20及び対応情報算出ステップS30については、生体情報処理装置100とは異なる他の装置で行ってもよい。この場合、予め他の装置で求めた対応情報を記憶部20に記憶させることができる。
以上のように、本実施形態に係る生体情報処理方法は、第1時点における生体のクロマチン構造及び生体状態と第1時点より後の第2時点における生体のクロマチン構造及び生体状態とのそれぞれの相違を求め、生体のクロマチン構造及び生体状態のそれぞれの相違に基づいて、当該生体状態を変化させるクロマチン構造の変化を引き起こすヒストン修飾を特定し、特定したヒストン修飾と当該ヒストン修飾に対応する生体の生体状態との対応を示す対応情報を求め、対応情報に基づいて、指定された生体状態を生体と同一の種である対象生体に対して発現の活性化又は抑制させるためのヒストン修飾を特定する。
また、本実施形態に係る生体情報処理装置100は、生体のヒストン修飾と当該ヒストン修飾に対応する生体の生体状態との対応を示す対応情報を記憶する記憶部20と、生体と同一の種である対象生体に対して生体状態の発現の活性化又は抑制させるための指定情報が入力された場合、記憶部に記憶される対応情報に基づいて当該生体状態の発現の活性化又は抑制させるためのヒストン修飾を特定する演算部30とを備え、対応情報において、生体状態を変化させるクロマチン構造の変化を引き起こすヒストン修飾は、生体の第1時点におけるクロマチン構造及び生体状態と第1時点より後の第2時点におけるクロマチン構造及び生体状態とのそれぞれの相違に基づいて特定される。
この構成によれば、第1時点における生体のクロマチン構造及び生体状態と第1時点より後の第2時点における生体のクロマチン構造及び生体状態とのそれぞれの相違を求め、生体のクロマチン構造及び生体状態のそれぞれの相違に基づいて、当該生体状態を変化させるクロマチン構造の変化を引き起こすヒストン修飾を特定する。このため、ヒストン修飾を高精度に特定できる。また、特定したヒストン修飾と生体状態との対応を示す対応情報に基づいて、対象生体についての生体状態の発現を活性化又は抑制させるためのヒストン修飾を適切に特定することができる。これにより、生体における生体状態の発現の活性化及び抑制に関する情報を適切に求めることができる。このように推定したヒストン修飾に基づいて対象生体のクロマチン構造を変化させることにより、対象生体に所定の生体状態の発現又は発現の抑制を行うことができる。
本実施形態に係る生体情報処理方法において、第1時点における生体は、第2時点における生体よりも前の世代の個体であり、第1時点における生体の所定の因子と第2時点における生体の所定の因子との相違をさらに求め、生体のクロマチン構造及び所定の因子の相違に基づいて、生体のクロマチン構造を変化させる所定の因子を特定し、特定した所定の因子とクロマチン構造の対応を示す前の世代の対応情報を求め、前の世代の対応情報に基づいて、対象生体のクロマチン構造の変化を推定する。この構成によれば、所定の因子により発生したヒストン修飾を高精度に特定できる。また、対象生体よりも前の世代の個体において求められた相違に基づいて、後の世代の個体の生体状態の発現の活性化及び抑制に関する情報を適切に求めることができる。また、子が生まれる前の親世代のクロマチン構造の変化によるヒストン修飾の変化がわかることで、子の世代において特定の時期に人工的にヒストン修飾する等の対策を行うことができる。また、例えば親の世代の生体が第1時点と第2時点とでクロマチン構造に相違する部分があり、所定の因子にも相違する部分があった場合、子の世代の生体では、その所定の因子を避けるように生活することで、特定の生体情報の発現を活性化又は抑制させることができる、という対策を行うことができる。
本実施形態に係る生体情報処理方法において、生体は、同一個体であり、第1時点は、所定年齢よりも前の時点であり、第2時点は、所定年齢よりも後の時点である。この構成によれば、同一個体の、所定年齢前後によって変化するクロマチン構造のヒストン修飾の相違を対応させて相関を取ることで、所定年齢までに得られた生体状態の発現を活性化させるためのヒストン修飾を適切に求めることができる。
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記各実施形態では、第1時点における生体の所定の因子と第1時点より後の第2時点における所定の因子との相違をさらに求め、生体のクロマチン構造及び所定の因子の相違に基づいて、生体のクロマチン構造を変化させる所定の因子を特定し、特定した所定の因子とクロマチン構造の対応を示す前の世代の対応情報を求め、前の世代の対応情報に基づいて、対象生体のクロマチン構造の変化を推定する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。上記対応情報を求める場合に、所定の因子として挙げた生活環境因子、心理的因子、年齢因子、性別因子とは異なる他の因子を含めるようにしてもよい。
10…取得部、20…記憶部、30…演算部、40…入力装置、50…出力装置、100…生体情報処理装置

Claims (4)

  1. 第1時点における生体のクロマチン構造及び生体状態と前記第1時点より後の第2時点における前記生体のクロマチン構造及び生体状態とのそれぞれの相違を求め、
    前記生体のクロマチン構造及び生体状態のそれぞれの相違に基づいて、当該生体状態を変化させるクロマチン構造の変化を引き起こすヒストン修飾を特定し、
    特定した前記ヒストン修飾と当該ヒストン修飾に対応する前記生体の生体状態との対応を示す対応情報を求め、
    前記対応情報に基づいて、指定された生体状態を前記生体と同一の種である対象生体に対して発現の活性化又は抑制させるための前記ヒストン修飾を特定する
    生体情報処理方法。
  2. 前記第1時点における生体は、前記第2時点における生体よりも前の世代の個体であり、
    前記第1時点における前記生体の所定の因子と前記第2時点における前記生体の所定の因子との相違をさらに求め、
    前記生体のクロマチン構造及び所定の因子の相違に基づいて、前記生体のクロマチン構造を変化させる前記所定の因子を特定し、
    特定した前記所定の因子と前記クロマチン構造の対応を示す前の世代の対応情報を求め、
    前記前の世代の対応情報に基づいて、前記対象生体の前記クロマチン構造の変化を推定する
    請求項1に記載の生体情報処理方法。
  3. 前記生体は、同一個体であり、
    前記第1時点は、所定年齢よりも前の時点であり、
    前記第2時点は、前記所定年齢よりも後の時点である
    請求項1に記載の生体情報処理方法。
  4. 生体のヒストン修飾と当該ヒストン修飾に対応する前記生体の生体状態との対応を示す対応情報を記憶する記憶部と、
    前記生体と同一の種である対象生体に対して生体状態の発現の活性化又は抑制させるための指定情報が入力された場合、前記記憶部に記憶される前記対応情報に基づいて当該生体状態の発現の活性化又は抑制させるための前記ヒストン修飾を特定する演算部と
    を備え、
    前記対応情報において、生体状態を変化させるクロマチン構造の変化を引き起こす前記ヒストン修飾は、前記生体の第1時点におけるクロマチン構造及び生体状態と前記第1時点より後の第2時点におけるクロマチン構造及び生体状態とのそれぞれの相違に基づいて特定される
    生体情報処理装置。
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