以下、本発明の実施形態に係る容器について、図1~図7を参照しつつ説明する。
シリンジ1は、図1及び図2に示すように、内容物を分割して投与するためのシリンジである。具体的に、シリンジ1は、霧状の薬液を双方の鼻孔内に分割して投与できる鼻腔投与容器である。このシリンジ1は、薬液を二回に分割して投与するが、薬液を三回以上の複数回に分割して投与してもよい。薬液は、液状の薬液であり、例えば、インフルエンザワクチンである。シリンジ1の形状は、略円筒状である。
また、シリンジ1は、軸方向の先端部20及び基端部21を有し、先端部20から内容物を吐出可能なバレル2と、バレル2内に対して軸方向の基端側から挿入され、先端側へ押込み可能なロッド3と、バレル2に装着されるベース部4と、を備える。さらに、シリンジ1は、ベース部4及びロッド3に対して回動可能なボディ部5と、ベース部4のベース側付勢係合部40とボディ部5のボディ側付勢係合部50とを含み、ベース側付勢係合部40及びボディ側付勢係合部50の係合により、ボディ部5を回動するように付勢する付勢手段6と、を備える。
シリンジ1は、ロッド3とボディ部5との一方に押込案内部70を有し、ロッド3とボディ部5との他方に押込案内部70で案内される被押込案内部71を有する押込制御機構7と、を備える。本実施形態のシリンジ1では、ボディ部5が押込案内部70を有し、ロッド3が押込案内部70で案内される被押込案内部71を有する。また、このシリンジ1は、押込案内部70と、被押込案内部71とで構成される回動制御機構8を有する。さらに、本実施形態のシリンジ1は、噴射ノズル9を備える。
なお、シリンジ1において、バレル2の先端部20の配置される側(図1、図2、図5A、図6A、図7における下側)が「先端側」であり、バレル2の基端部21の配置される側(図1、図2、図5A、図6A、図7におけるにおける上側)が「基端側」である。また、シリンジ1の「軸方向」はシリンジ1の筒軸方向である。さらに、シリンジ1の径方向を単に「径方向」とも称する。
なお、シリンジ1を使用する際には、ロッド3が基端側に上がった初期状態(図1参照)から、ロッド3を先端側に押し込んで初回の薬液噴霧を行い、ロッド3のさらなる押込が規制された規制状態とする(図5A参照)。次に、ボディ部5を回動させるための付勢手段6による付勢が解除された解除状態を経た上で(図6A参照)、ロッド3をさらに押し込んで二回目の薬液噴霧を行い完了状態とする(図7参照)。
以下、シリンジ1の各構成について詳細に説明する。
バレル2は、内部に薬液を収容する部材である(図2参照)。本実施形態のシリンジ1では、バレル2は、バレル本体22と、バレル本体22に設けられたフランジ部23と、を備える。
バレル本体22は、筒状の部位である。このバレル2では、バレル本体22の先端部である本体先端部220が、バレル2の先端部20を構成し、バレル本体22の基端部である本体基端部221は、バレル2の基端部21を構成する。バレル本体22は、本体先端部220及び本体基端部221に加えて、本体先端部220と本体基端部221とを接続する筒状の本体接続部222を備える。
フランジ部23は、例えば、基端部21の筒軸方向における一端の外周全周から外方(バレル本体22の径外方向)に向かって延出する。即ち、フランジ部23は、筒軸方向から見たとき環状(例えば、円環状)である。
本体先端部220の外径は、本体接続部222の外径よりも小さい。また、本体接続部222の外径は、筒軸方向におけるいずれの部位においても略同じである。
バレル2は、例えば、透明、且つ、薬液を投与する際にかかる内圧に耐えうる材質で形成される。具体的に、バレル2の材質は、ノルボルネンなどの環状オレフィンを繰り返し単に含む樹脂やガラス等である。より具体的に説明すると、バレル2の材質は、環状オレフィンによる単独重合体であるCOP(シクロオレフィンポリマー)や環状オレフィンとエチレン等との共重合体であるCOC(シクロオレフィンコポリマー)等の透明な樹脂や、ガラス等である。
ロッド3は、バレル2内の内容物を吐出する際に移動する部材である。先端部から基端部まで一本の剛体である。即ち、ロッド3は、先端部から基端部まで押込み操作などで受ける外力によって、例えば長手方向の伸縮や長手方向周りのねじれなどの変形が実質的に生じないように構成された棒状体であり、先端部から基端部まで連続して一体的に形成される一本の棒状体である。ロッド3は、医者や看護師等により操作されるものであるが、患者が操作するものであってもよい。
また、ロッド3は、被押込案内部71に加えて、軸部30と、軸部30の長手方向における一端に設けられた操作部31と、軸部30からロッド3の外径方向に突出した複数(例えば、四つ)の蓄圧凸部32を有する。また、ロッド3は、軸部30の長手方向における先端部に設けられたピストン33を有する。このロッド3は、操作部31が基端側に位置し且つピストン33が先端側に位置する姿勢で、バレル2内に挿入される。
このロッド3では、操作部31と軸部30とピストン33とが、基端側から先端側に、軸方向において連続している。また、このロッド3では、操作部31と軸部30とは一体に成形されているが、ピストン33は別部材であり、これらの部材を接続して形成されている、なお、軸部30、操作部31、及びピストン33の少なくとも二つを一体に形成することも、全てを別部材として連結することもできる。
軸部30の長手方向と直交する方向における断面形状は、図3に示すように、例えば、十字形状である。なお、軸部30のこの断面形状は、他の形状(円形状、四角形状等)であってもよい。
被押込案内部71は、例えば、突起である(図1参照)。この被押込案内部71は、軸部30からロッド3の外径方向に突出した突起である。本実施形態のシリンジ1では、被押込案内部71は、例えば、複数(具体的には、二つ)設けられている(図2参照)。
蓄圧凸部32は、例えば、基端側に配置された一つの基端側蓄圧凸部320と、先端側に配置された一つの先端側蓄圧凸部321と、を含む。基端側蓄圧凸部320は、軸部30の全周に連続して設けられている。先端側蓄圧凸部321についても同様である。
なお、基端側蓄圧凸部320は、複数配置されていてもよく、この場合、複数の基端側蓄圧凸部320は、ロッド3の周方向に等間隔を空けて設けられていてもよい。先端側蓄圧凸部321についても同様である。
ピストン33は、バレル2の先端部20の基端側に位置する内面に当接可能な部材である。また、ピストン33は、バレル2の本体接続部222の内周面全周に亘って密接する。本実施形態のピストン33の先端面は、薬液の投与完了時(具体的には、薬液の二回目吐出後)に、バレル2の先端部20の前記内面と当接する。
ベース部4は、例えば、使用者が指を掛けるフィンガーグリップとして機能する(図1参照)。また、ベース部4は、図4に示すように、ベース側付勢係合部40に加えて、第一筒部41と、第一筒部41よりも先端側に設けられた第二筒部42と、第二筒部42よりも先端側に設けられた指掛け部43と、指掛け部43よりも先端側に設けられた延出部44と、を有する。ベース部4の材質は、例えば、ポリプロピレンである。
第一筒部41は、円筒状である。第一筒部41の外周面410には、ベース側付勢係合部40が設けられている。また、第一筒部41は、筒形状で、内部がロッド3を挿通するロッド挿通孔411となっている。
第二筒部42は、例えば、第一筒部41よりも外径の大きい円筒状である。筒軸方向から見たとき、指掛け部43は、第二筒部42よりも径方向における外側に広がっている。第二筒部42には、ボディ部5が回動可能に係止されている。
延出部44は、バレル2に係合する部分である。また、延出部44は、例えば、バレル2のフランジ部23に引っ掛かる構造を有する。延出部44は、例えば、複数(例えば、四つ)設けられている。本実施形態のシリンジ1では、複数の延出部44は、第二筒部42の周方向に等間隔を空けて設けられている。
ベース側付勢係合部40は、例えば、ボディ側付勢係合部50よりも径内側に位置している(図3参照)。また、ベース側付勢係合部40は、第一筒部41の外周面410から径外側に延びている。本実施形態のシリンジ1では、ベース側付勢係合部40は、径方向に延びる基部400と、基部400の先端から周方向に延設され、径方向で弾性変形可能な弾性部401と、を有する。
このシリンジ1では、ベース側付勢係合部40は、第一筒部41のロッド挿通孔411の径方向外側に配置されている。また、ベース側付勢係合部40は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。ロッド挿通孔411(回転規制部)の周囲にベース側付勢係合部40が配置される。
基部400は、筒軸を挟んで一対設けられている。具体的に、一対の基部400は、筒軸を挟んで180°反対側に配置されている。
弾性部401は、例えば、径方向における内側に撓むように弾性変形可能である。また、弾性部401は、各基部400からそれぞれ延びている。弾性部401の厚み(弾性部401の延びる方向と直交する方向における寸法)は、先端部402で厚くなっているため、先端部402よりも薄い部分(基部400側)が弾性変形しやすくなる。
ボディ部5は、筒状の部材である(図4参照)。また、ボディ部5は、ボディ側付勢係合部50に加えて、例えば、ボディ本体筒部51と、ボディ本体筒部51よりも基端側に設けられたボディ基端側筒部52と、ボディ本体筒部51よりも先端側に設けられたボディ先端側筒部53と、ボディ基端側筒部52の基端側に設けられた天板部54と、を有する。ボディ部5の材質は、ポリプロピレンやポリカーボネートである。
ボディ本体筒部51は、円筒状である。また、ボディ本体筒部51は、ベース部4の第一筒部41の径方向における外側に配置され、例えば、第一筒部41に対して外嵌される。
ボディ基端側筒部52は、例えば、ボディ本体筒部51よりも外径の大きい円筒状である。また、ボディ基端側筒部52は、ロッド3の径方向における外側に配置される。
ボディ先端側筒部53は、例えば、ボディ基端側筒部52よりも外径の大きい円筒状である。また、ボディ先端側筒部53は、ベース部4の第二筒部42の径方向における外側に配置され、例えば、第二筒部42に対して外嵌される。本実施形態1のシリンジ1では、ボディ先端側筒部53は、ベース部4の第二筒部42に係合することで、ボディ部5はベース部4に対して回動可能に取り付けられる。
天板部54は、例えば、ロッド3を挿通する貫通孔が設けられた円板状である。また、天板部54は、径内側に延び、且つ、蓄圧凸部32と係止可能な蓄圧部540を有する(図2参照)。
ボディ側付勢係合部50は、ボディ本体筒部51の内周面に設けられた径方向に交差する傾斜面からなるリブである(図3参照)。また、ボディ側付勢係合部50は、ロッド挿通孔411の周囲に配置されている。ボディ側付勢係合部50(例えば、リブ)は、ボディ本体筒部51の筒軸を挟んで一対設けられている。具体的に、一対のボディ側付勢係合部50は、筒軸を挟んで180°反対側に配置されている。
付勢手段6は、上述のように、ベース部4のベース側付勢係合部40とボディ部5のボディ側付勢係合部50とを含み、これら付勢係合部40、50の係合により、ボディ部5をベース部4に対して回動するように付勢する。また、本実施形態のシリンジ1では、付勢手段6は、図5Bに示すように、弾性部401の弾性変形によって、ボディ部5を回動方向(例えば、左周り)へ付勢する。
本実施形態のシリンジ1では、押込案内部70は、ボディ本体筒部51に設けられている(図1参照)。押込案内部70は、例えば、溝であり、具体的に、ボディ本体筒部51に形成された溝である。この溝は、ボディ本体筒部51を厚み方向に貫通している。
押込案内部70は、被押込案内部71を案内してロッド3の押込みを許容する第一押込許容部701と、第一押込許容部701の先端側に配置され且つ被押込案内部71を案内してロッド3の押込みを許容する第二押込許容部702と、を有する。また、押込案内部70は、第一押込許容部701及び第二押込許容部702の間に配置され、且つ、被押込案内部71と係合してロッド3の押込みを規制する押込規制部703を有する。
本実施形態のシリンジ1では、押込案内部70は、被押込案内部71と同じ数だけ設けられる。このシリンジ1では、押込案内部70は、例えば、複数(具体的には、二つ)設けられている。
第一押込許容部701は、付勢手段6の付勢によるボディ部5の回動を規制する回動規制部704を有する。また、第一押込許容部701は、ロッド3の押込みストロークのうちの前半に相当する分だけの押込みを許容する。第一押込許容部701は、基端側の端部である始端に対して先端側の端部である終端が周方向でずれた位置となるように、筒軸の軸線に対して交差した方向に延びる傾斜溝である。
このシリンジ1では、被押込案内部71(突起)が第一押込許容部701を始端から終端に移動するにつれて、ボディ部5がベース部4に対して回動し、ボディ側付勢係合部50がベース側付勢係合部40を押して弾性変形させる。これにより、弾性部401が弾性変形して付勢手段6に付勢が蓄積される。つまり、第一押込許容部701は、ボディ部5を回転させる付勢を付勢手段6に蓄積する付勢蓄積部として機能する。
回動規制部704は、例えば、軸方向に延びている。また、回動規制部704は、例えば、付勢手段6に蓄積された付勢が解放しないように保持するための付勢保持部811を兼ねている。
押込規制部703は、第一押込許容部の終端に設けられる部分であり、突起71が基端側から当接する部分である。具体的に、押込規制部703は、後述の押込規制面7030である。本実施形態では、押込規制部703は、水平方向に延びる平坦面である押込規制面7030である。
押込規制部703に、付勢手段6の付勢によるボディ部5の回動を許容する回動許容部705が連接されている。押込規制部703は、回動許容部705で、付勢手段6による付勢によってボディ部5が回動することにより、押込規制部703による押込規制(押込規制部703と被押込案内部71との係合によるロッド3の押込みの規制)が解除されるように構成される。
回動許容部705は、押込規制部703に連続して設けられる構成で、押込規制部703の周方向の開口である。本実施形態では、この開口は、押込規制部703と第二押込許容部702との境界領域に形成され、第二押込許容部702の始端と押込規制部703とを連通させている。即ち、回動許容部705は、押込規制部703と第二押込許容部702の始端との間の開口である。換言すると、回動許容部705は、押込規制部703に連通し、第二押込許容部702の始端に連通する開口(溝)である。回動許容部705は、例えば、ストレート形状(略直線状)の溝である。
回動許容部705の始端は、第一押込許容部701の終端に連続し、回動許容部705の終端は、第二押込許容部702の始端に連続する。具体的に、回動許容部705の始端では、基端側に面がなく且つ第一押込許容部701の終端に連通し、先端側に面(例えば、押込規制面7030)がある。回動許容部705の終端では、基端側に面があり、先端側に面がなく且つ第二押込許容部702の始端に連通する。
回動許容部705の始端では、ロッド3の押込みが規制される。回動許容部705の終端では、ロッド3の押込み規制は解除されている。
被押込案内部71が回動許容部705に配置されると、付勢手段6の付勢力が解放される。具体的に、回動許容部705の始端に被押込案内部71(例えば、ロッド3の突起)が位置している状態では、付勢手段6に付勢が蓄積されており、付勢に対する規制が解放可能な状態となっている。回動許容部705の終端に位置している状態では、ボディ部5の回動は完了し、付勢手段6の付勢は残存していない。
回動許容部705の始端と終端との間では、ボディ部5のベース部4(ロッド3)に対する回動が許容される。回動許容部705の始端でこの回動の規制が解除されて回動可能な状態となる。回動許容部705の終端で付勢によるボディ部5のベース部4(ロッド3)に対する回動が完了し、付勢手段6に付勢が残存しなくなる。
さらに、本実施形態のシリンジ1では、押込案内部70は、被押込案内部71を案内してボディ部5の回動を規制する第一回動規制部81と、第一回動規制部81の先端側に配置され且つ被押込案内部71を案内してボディ部5の回動を規制する第二回動規制部82と、を有する。また、このシリンジ1では、第一回動規制部81及び第二回動規制部82の間に、回動許容部705が配置されている。
第一回動規制部81は、軸方向に対して傾斜して延びる部位である付勢蓄積部810と、軸方向に延びる部位である付勢保持部811と、を有する。付勢蓄積部810は、例えば、軸方向に対してボディ部5の回動方向(具体的には、左周り)と反対側の方向に傾斜した方向、即ち、右斜め下に延びている。この構成では、被押込案内部71が付勢蓄積部810を案内される際に付勢手段6での付勢力が蓄積されるので、組み立て時(初期状態)で、付勢しておく必要がない。
ロッド3の最初の押込みが開始されると、被押込案内部71が付勢蓄積部810に当接して移動し、ボディ部5がベース部4に対して回動する。具体的には、ベース側付勢係合部40とボディ側付勢係合部50とが係合し、弾性部401の弾性変形が大きくなる方向にボディ部5が回動する。これにより、弾性部401に弾性力が蓄積され、付勢手段6にボディ部5を回動させるための付勢が蓄積される。
なお、第一回動規制部81は、付勢保持部811を備えず付勢蓄積部810のみで形成されてもよい。また、第一回動規制部81は、付勢蓄積部810を備えず付勢保持部811のみで形成されてもよい。第一回動規制部81を付勢保持部811のみで形成する場合、シリンジ1の組み立て時(初期状態)に、予め付勢手段6に付勢を蓄積しておけばよい。
第二押込許容部702は、軸方向に延びている。また、第二押込許容部702は、例えば、第二回動規制部82を兼ねている。
本実施形態のシリンジ1では、第一押込許容部701と第二押込許容部702との軸方向における寸法は、略同じである。これにより、第一投与、第二投与時の噴射量を均一にできる。
噴射ノズル9は、薬液を抽出する部位である。本実施形態の噴射ノズル9は、薬液を霧状に噴出するように構成されている。
以下、シリンジ1を使用する際の操作や各状態について、詳しく説明する。
初期状態は、薬液を未だ噴射していない状態である(図1及び図2参照)。このとき、被押込案内部71は、押込案内部70の第一押込許容部701の始端である初期位置に配置されている。本実施形態のシリンジ1では、初期位置は、回動制御機構8の第一回動規制部81の始端でもある。
初期状態から、シリンジ1の使用者がロッド3(具体的には、操作部31)を先端側に押し込むと、ロッド3が先端側に移動するとともに、初期位置に配置された被押込案内部71が、第一押込許容部701を案内されて先端側に移動して、第一押込許容部701の先端側端部である規制位置に到達し、初回の薬液噴霧がなされて規制状態となる(図5A参照)。このとき、被押込案内部71が、押込規制部703である押込規制面7030に押し当てられる。被押込案内部71と押込規制面7030との係止により、ロッド3の押込み(先端側への移動)が規制されている。
本実施形態のシリンジ1では、ロッド3の最初の押込みが開始されると、被押込案内部71が、第一回動規制部81を案内されて先端側に移動して、第一回動規制部81の始端でもある規制位置に到達し、規制状態となる。具体的に、被押込案内部71が、付勢蓄積部810を案内されて先端側に移動している間、ボディ部5がベース部4に対して付勢が蓄積される方向(図3から図5Bに移動する方向、右周りへの回動が許容されているが、ボディ部5がベース部4に対して付勢によって回動する方向(例えば、左周り)への回動は規制されている。また、付勢保持部811を案内されて先端側に移動している間、ボディ部5がベース部4に対して付勢によって回動する方向(例えば、左周り)に付勢された状態が保持される(図5B参照)。
なお、本実施形態のシリンジ1では、初回の薬液噴霧時において、ボディ部5の蓄圧部540と、ロッド3の蓄圧凸部32とで蓄圧部が構成される(図2参照)。具体的に、初回の薬液噴霧時において、ロッド3が押し込まれるとき、ロッド3の先端側蓄圧凸部321が蓄圧部540を乗り越える際に、抵抗感が生じている。これにより、初回の薬液噴霧時に、薬液を霧状で吐出可能なレベルまでロッド3を付勢できる。
以上のように、ロッド3を先端側に押し込んで初回の薬液噴霧を行うことで、シリンジ1は、押込みが規制された規制状態となる(図5A参照)。初回の薬液噴霧は、被押込案内部71が押込規制部703(具体的には、押込規制面7030)に当接した位置で完了する。即ち、初回の薬液噴霧は、押込制御機構7が動作することにより完了する。このように、本実施形態のシリンジ1は、初期状態から所定長さ(初回噴射分)だけ、ロッド3を先端側に押し込むと、ロッド3が先端側に押し込まれることを規制する押込制御機構7を備えるため、初回の投与の際にロッド3が必要以上に先端側に押し込まれることを防ぐことができ、初回の投与の際に、適切な量の内容物を吐出できる。
また、初回の薬液噴霧が完了すると、付勢手段6の付勢により、ボディ部5が、付勢が解放される回動方向(例えば、左回り)に回動するとともに、被押込案内部71が回動許容部705に案内されて、回動許容部705の終端であり、且つ、第二押込許容部702の始端の位置である解除位置へと移動して、解除状態となる(図6A参照)。このように、付勢手段6による付勢によってボディ部5が回動することにより、ロッド3の押込規制が解除される(図6B参照)。
ボディ部5がベース部4に対して両付勢係合部が係合する方向に回動すると、ベース側付勢係合部40とボディ側付勢係合部50の一方が他方に対して当接し、他方を径方向または周方向に弾性変形させることで蓄積される。具体的には、ボディ部5のボディ側付勢係合部50が、ベース部4のベース側付勢係合部40の弾性部401に径方向で当接して弾性部401を径方向へ弾性変形させることで弾性部に弾性力が蓄積され、付勢が蓄積される。ボディ側付勢係合部50は弾性部401の径方向外側から当接して、401を径内側へ弾性変形させる。
また、ベース側付勢係合部40とボディ側付勢係合部50の他方の弾性変形が復元することで付勢が解放されることで、ボディ部5がベース部4に対して両付勢係合部の係合が解除される方向に回動する。具体的には、弾性部401の弾性変形が復元することで、弾性部401の付勢が解放され、ボディ側付勢係合部50が係合解除する方向に押し出されてボディ部5がベース部4に対して回動する。
解除状態から、シリンジ1の使用者がロッド3(具体的には、操作部31)を先端側に押し込むと、被押込案内部71が第二押込許容部702に案内されて、第二押込許容部702の先端側端部である完了位置に到達し、二回目の薬液噴霧がなされて完了状態となる(図7参照)。
本実施形態のシリンジ1では、ロッド3の押込みにより解除状態から完了状態となるとき、被押込案内部71が、第二回動規制部82を案内されて先端側に移動して、第二回動規制部82の先端側端部でもある完了位置に到達し、完了状態となる。このとき、ボディ部5の回動は規制されている。
また、二回目の薬液噴霧時において、ボディ部5の蓄圧部540と、ロッド3の蓄圧凸部32とで蓄圧部が構成される(図6A参照)。具体的に、二回目の薬液噴霧時において、ロッド3が押し込まれるとき、ロッド3の基端側蓄圧凸部320が蓄圧部540を乗り越える際に、抵抗感が生じている。これにより、二回目の薬液噴霧時に、薬液を霧状で吐出可能なレベルまでロッド3を付勢できる。
このように、ロッド3を先端側に押し込んで二回目の薬液噴霧を行うことで、シリンジ1は、完了状態となる。二回目の薬液噴霧は、ピストン33がバレル2の先端部20の基端側に位置する内面に当接した位置で完了する。
以上のシリンジ1によれば、ロッド3が一本の剛体として軸方向先端側にのみ動き、付勢手段6と、押込案内部70及び被押込案内部71を有する押込制御機構7とによって、第一押込許容部でのロッド3の押込み(第一押込み)と第二押込許容部でのロッド3の押込み(第二押込み)とが分けてできる。よって、第一押込みのときのロッド3の操作感と、第二押込みのときのロッド3の操作感とが、同じような操作感となり、内容物を安定して吐出することができる。
また、本実施形態のシリンジ1では、付勢手段6は、ベース側付勢係合部40の弾性部401の径方向での弾性変形を利用して、ボディ部5を回動方向へ付勢するのでスムーズに回動させることができる。
なお、本発明のシリンジは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
例えば、シリンジ1の各部材の構成は、上述の構成と異なっていてもよい。
具体的に、ベース側付勢係合部40の弾性部401は、径方向における外側に弾性変形可能であってもよい。また、図8A~図13Bに示すように、ボディ側付勢係合部50は、径方向に延びる基部500と、基部500の先端から周方向に延出された延出部501と、を有していてもよい。ベース側付勢係合部40は、延出部501の先端部502が当接する平坦な当接面403を有する(図8B参照)。
このシリンジ1では、ボディ部5が両付勢係合部の係合する方向に回動すると、延出部501が弾性部401に対して径方向内側から当接し、弾性部を径方向外側へ弾性変形させる。これにより、付勢手段6に付勢が蓄積される。
また、ベース部4は、ベース側付勢係合部40に加えて、バレル2に挿入されたロッド3の軸回りの回転を規制する回転規制部45を有していてもよい。このシリンジ1では、回転規制部45は、例えば、第一筒部41の内周面412に設けられた溝である。この溝は、一つ又は複数(例えば、四つ)設けられている。ロッド3の軸部30は、四角柱状の棒本体300と、棒本体300から径方向の外側に延びる凸部301(例えば、四つの凸部301)と、を有する。各凸部301は、第一筒部41の内周面412に設けられた各溝(回転規制部45)に嵌合している。これにより、ベース部4の回転規制部45によりロッド3の回転が規制されるので、第一押込みのときと第二押込みのときとのロッド3の操作感を同じような操作感にできる。
なお、ロッド3に凹部を設け、ベース部4に凸部(回転規制部45)を設けて、これら凹部凸部により、ベース部4の回転規制部45によりロッド3の回転が規制される構成とすることもできる。
さらに、このシリンジ1は、付勢手段6の付勢を補助する補助付勢手段を備えてもよい。具体的に、補助付勢手段は、ベース側補助付勢部46とボディ側補助付勢部55とを備える。ベース部4は、ベース側補助付勢部46を有する(図8A参照)。ベース側補助付勢部46は、例えば、指掛け部43から基端側に突出する凸部である。ボディ部5は、ボディ側補助付勢部55を有する。ボディ側補助付勢部55は、ボディ先端側筒部53から先端側に突出する凸部である。ベース側補助付勢部46は、筒軸を挟んで一対設けられている。具体的に、一対のベース側補助付勢部46は、筒軸を挟んで180°反対側に配置されている。ボディ側補助付勢部55についても同様である。なお、ベース側補助付勢部46及びベース側補助付勢部46は、それぞれ、一つ又は三つ以上設けられてもよい。このシリンジ1では、付勢手段6に加えて、ベース側補助付勢部46及びボディ側補助付勢部55の係合により、ボディ部5が回動するように付勢されている(図11A参照)。
ボディ部5がベース部4に対してボディ側補助付勢部55がベース側補助付勢部46に係合する方向に回動すると、ボディ側補助付勢部55がベース側補助付勢部46に当接し、ボディ側補助付勢部55の先端が周方向に弾性変形する。これにより、補助付勢手段に付勢が蓄積される。さらに、ボディ部5の回動規制が解除されて回動が許容されると、ボディ側補助付勢部55の弾性変形が復元し、この復元による付勢によって、ボディ部5がベース部4に対して、ボディ側補助付勢部55がベース側補助付勢部46から離れる方向に回動する。
以下、このシリンジ1を使用する際の操作や各状態について、詳しく説明する。
初期状態(図8A参照)から、シリンジ1の使用者がロッド3(具体的には、操作部31)を先端側に押し込むと、ロッド3が先端側に移動するとともに、初期位置に配置された被押込案内部71が、第一押込許容部701を案内されて先端側に移動して、第一押込許容部701の先端側端部である規制位置に到達し、初回の薬液噴霧がなされて規制状態となる(図11A参照)。このとき、被押込案内部71が、押込規制部703である押込規制面7030に押し当てられ、被押込案内部71と押込規制面7030との係止により、ロッド3の押込み(先端側への移動)が規制されている。
また、初回の薬液噴霧が完了すると、付勢手段6の付勢により、ボディ部5が、回動方向(例えば、左回り)に回動するとともに、被押込案内部71が回動許容部705に案内されて、回動許容部705の回動方向における端部であり、且つ、第二押込許容部の基端側の端部の位置である解除位置へと移動して、解除状態となる(図12A)。このように、付勢手段6(このシリンジ1では、付勢手段6に加えて、ベース側補助付勢部46及びボディ側補助付勢部55の係合)による付勢によってボディ部5が回動することにより、ロッド3の押込規制が解除される。
解除状態から、シリンジ1の使用者がロッド3(具体的には、操作部31)を先端側に押し込むと、被押込案内部71が第二押込許容部72に案内されて、第二押込許容部702の先端側端部である完了位置に到達し、二回目の薬液噴霧がなされて完了状態となる(図13A参照)。
以上のシリンジ1では、ロッド3の基端部(例えば、操作部31)とバレル2の基端部(例えば、フランジ部23)との間に、ボディ部5及びベース部4が配置される。また、このシリンジ1では、ロッド3の基端部(例えば、操作部31)とバレル2の基端部(例えば、フランジ部23)との間に、押込制御機構7、回動制御機構8、ロッド3の回転規制部45、及び付勢手段6が配置される。
なお、ベース側付勢係合部40及びボディ側付勢係合部50が、いずれも、径方向に延びる基部と、該基部の先端から周方向に延設され、径方向で弾性変形可能な弾性部と、を有していてもよい。また、ボディ側付勢係合部50のみが、径方向に延びる基部と、該基部の先端から周方向に延設され、径方向で弾性変形可能な弾性部と、を有していてもよい。つまり、ベース側付勢係合部40とボディ側付勢係合部50の少なくとも一方が弾性変形するように構成すればよい。また、ベース側付勢係合部40は、ボディ側付勢係合部50よりも径方向における内側に位置していたが、径方向における外側に位置してもよい。
さらに、弾性部401は、径方向において弾性変形可能であったが、周方向に伸縮するように弾性変形してもよい。
また、ロッド3は、先端部から基端部まで連続して一体的形成される一本の棒状体でなくてもよい。具体的に、ロッド3は、先端部を有する先端領域と、基端部を有する基端領域と、が連結された構成であってもよい。より具体的に、ロッド3は、先端側に先端部を有するとともに基端側に雄ねじを有する一本の棒状体である先端棒部と、基端側に基端部を有するとともに先端側に雌ねじを有する一本の棒状体である基端棒部と、を前記雄ねじと雌ねじとを螺合して連結した連結棒状体として構成することもできる。
ベース側付勢係合部40やボディ側付勢係合部50は、一つであってもよいし、三つ以上あってもよい。また、周方向に等間隔に配置されていなくてもよい。
被押込案内部71は、一つ又は三つ以上設けられていてもよい。この場合、押込案内部70は、被押込案内部71と同じ数だけ(一つ又は三つ以上)設けられることが考えられる。
上記実施形態では、押込案内部70がボディ部5に設けられ、被押込案内部71がロッド3に設けられていたが、押込案内部70をロッド3に、被押込案内部71をボディ部5に設けることもできる。
また、第一押込許容部701は、ストレートの溝形状でもよい。この場合、第一押込許容部701の全体が付勢保持部811となって付勢蓄積部810は備えないこととなる。
なお、ベース部4は、指掛け部43を備えなくてもよい。