JP7697606B1 - ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、電極合剤、電極、及び二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】二次電池用バインダーとして用いられるポリテトラフルオロエチレン系樹脂であって、安息角が、32~44°であり、細孔容積が、0.2~9.0cm3/gである、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂。
【選択図】なし
Description
また、本発明は、電極合剤、電極、及び二次電池の提供も課題とする。
〔1〕
二次電池用バインダーとして用いられるポリテトラフルオロエチレン系樹脂であって、
安息角が、32~44°であり、
細孔容積が、0.2~9.0cm3/gである、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂。
〔2〕
細孔メディアン径が、10μm以上である、〔1〕に記載のポリテトラフルオロエチレン系樹脂。
〔3〕
耐電圧が5kV以上である、〔1〕又は〔3〕に記載のポリテトラフルオロエチレン系樹脂。
〔4〕
〔1〕又は〔2〕に記載のポリテトラフルオロエチレン系樹脂と、活物質とを含む、電極合剤。
〔5〕
さらに、硫化物系固体電解質を含み、
上記ポリテトラフルオロエチレン系樹脂の含有量が、上記硫化物系固体電解質の100質量部に対して、1~10質量部である、〔4〕に記載の電極合剤。
〔6〕
シート状である、〔4〕又は〔5〕に記載の電極合剤。
〔7〕
さらに導電助剤を含み、
上記ポリテトラフルオロエチレン系樹脂の含有量が、上記電極合剤の全質量に対して、0.5~10質量%であり、
上記活物質の含有量が、上記電極合剤の全質量に対して、88~99質量%であり、
上記導電助剤の含有量が、上記電極合剤の全質量に対して、0.5~10質量%である、〔4〕~〔6〕のいずれかに記載の電極合剤。
〔8〕
集電体と、上記集電体上に配置される〔4〕~〔7〕のいずれかに記載の電極合剤を含む電極層とを含む、電極。
〔9〕
〔8〕に記載の電極を含む、二次電池。
また、本発明によれば、電極合剤、電極及び二次電池を提供できる。
「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、各成分は、各成分に該当する物質を1種単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上の物質を併用する場合、その成分についての含有量とは、特段の断りがない限り、併用した物質の合計の含有量を指す。
本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
「単位」とは、単量体が重合して直接形成された、上記単量体1分子に由来する原子団と、上記原子団の一部を化学変換して得られる原子団との総称である。「単量体に基づく単位」は、以下、単に「単位」ともいう。
重合体(ポリテトラフルオロエチレン系樹脂)が含む全単位に対する、それぞれの単位の含有量(質量%又はモル%)は、重合体を固体核磁気共鳴スペクトル(NMR)法により分析して求められるが、通常、各単量体の添加量から計算される各単位の含有量は、実際の各単位の含有量と略一致している。
本発明のポリテトラフルオロエチレン系樹脂(以下、単に「PTFE系樹脂」ともいう。)は、二次電池用バインダーとして用いられるPTFE系樹脂であって、安息角が32~44°であり、細孔容積が0.2~9.0cm3/gである。
PTFE系樹脂が粒子状である場合、PTFE系樹脂は、一次粒子及び二次粒子のいずれであってもよい。
PTFE系樹脂の安息角は、例えば、公知の測定方法で測定できる。例えば、測定対象であるPTFE系樹脂の粉末を一定の高さの漏斗から水平な測定テーブル上に落下させ、生成した円錐状堆積物の直径及び高さから底角を算出し、上記底角を安息角とできる。例えば、JIS-R931-2-2:1999(対応国際規格:ISO 920:1976)に基づき測定できる。
PTFE系樹脂の安息角を調整する方法としては、例えば、後述のPTFE系樹脂の製造方法におけるロータリーキルン処理を実施する方法が挙げられる。具体的には、ロータリーキルン処理の処理時間を長くすると、PTFE系樹脂の安息角は、小さくなる傾向がある。そのほかの方法として、転動式造粒機、流動式混合機等の回転を行いながら冷却可能な装置で冷却する方法が挙げられる。過剰なせん断がかかりにくく、安息角の調整がしやすいことから、ロータリーキルン処理が特に好ましい。
PTFE系樹脂の細孔容積は、例えば、公知の分析装置(例えば、Micromeritics社製 AutoPoreIV 9520)を用いて水銀圧入法により測定できる。
PTFE系樹脂の細孔容積を調整する方法としては、例えば、後述のPTFE系樹脂の製造方法におけるプラズマ処理を実施する方法が挙げられる。具体的には、プラズマ処理の処理時間を長くすると、PTFE系樹脂の細孔容積は、小さくなる傾向がある。そのほかの方法として、マイクロ波照射が挙げられる。過剰な熱がかかりにくく、細孔容積を調整しやすいことから、プラズマ処理が特に好ましい。
PTFE系樹脂の平均細孔径は、例えば、公知の分析装置を用いて水銀圧入法により測定できる。具体的には、細孔容積をV(cm3/g)とし、比表面積をA(m2/g)とした際に、平均細孔径(μm)=4V/Aで求められる。なお比表面積は、BET比表面積である。BET比表面積は、表面積計(例えば、大倉理研社製全自動表面積測定装置)を用い、試料に対して窒素流通下150℃で30分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって測定した値で定義される。
PTFE系樹脂の細孔メディアン径は、公知の分析装置を用いて水銀圧入法により得られる細孔分布プロファイルにおいて、累積値が細孔容積の50体積%となるときの細孔径である。
PTFE系樹脂の細孔メディアン径を調整する方法としては、例えば、後述のPTFE系樹脂の製造方法におけるプラズマ処理温度を調整する方法が挙げられる。具体的には、プラズマ処理温度を高くすると、細孔メディアン径の挙動が変化し、PTFE系樹脂のミクロ溶融が生じて、PTFE系樹脂の大きい細孔がより小さい細孔へ変化が促進されるため、PTFE系樹脂の細孔メディアン径が小さくなる傾向がある。
帯電圧は、種々のイオナイザー及び機械的な摩擦により調整できる。機械的な摩擦を与えて帯電させる場合、帯電列の関係からナイロンの素材に接した状態で振動を与えることで、効率的に帯電させることができる。なかでも、ポットミルに乾燥したPTFE系樹脂を投入し、臨界回転数の10~50%の速度で回転させることで帯電圧を調整しやすい。臨界回転数とは、内容物が遠心力で容器と連れ回りしてしまう回転数を意味し、以下の式で表される。
N(臨界回転数、単位:rpm)=42.4/√D(容器内径、単位:m)
平均一次粒子径とは、レーザー散乱法粒子径分布分析計により得られた体積基準のメジアン径である。
PTFE粉体の平均二次粒子径は、例えば、JIS K 6891:1995に準拠して測定できる。
SSGは、相対的な分子量の尺度として用いられるが、その値が低いほど、分子量が高いことを意味する。また、PTFE系樹脂におけるテトラフルオロエチレン以外の単量体の導入量が多いと、非結晶構造がさらに増して、密度が下がり、SSGの値が小さくなる傾向がある。
なお、SSGはASTM D4895-10に準拠して測定する。具体的には、12.0gの試料を計量し、内径28.6mmの円筒金型で34.5MPaで2分間保持して成形試料とする。これを290℃のオーブンへ入れて120℃/hrで昇温し、380℃で30分間保持した後、60℃/hrで降温して294℃で24分間保持する。23℃のデシケーター中で12時間保持した後、23℃での成形物と水との比重値を測定し、これをSSGとする。
なお、押出圧力は、以下の方法で測定する。室温で2時間以上放置されたPTFE系樹脂の100gを内容量500mLのガラス瓶に入れ、潤滑油(アイソパーH(登録商標)、エクソン社製)の21.7gを添加し、3分間混合して混合物を得る。得られた混合物を25℃恒温槽に2時間放置した後に、リダクションレシオ(ダイスの入り口の断面積と出口の断面積の比)100、押出し速度51cm/分の条件で、25℃にて、直径2.5cm、ランド長1.1cm、導入角30°のオリフィスを通して、ペースト押出しし押出ビード(ひも状物)を得る。このときの押出しに要する圧力を測定し、押出し圧力(単位:MPa)とする。
上記水分含有量は、以下の方法により測定する。PTFE系樹脂を150℃で2時間加熱した前後の質量を測定し、以下の式に従って算出する。試料を3回取り、それぞれ算出した後、平均を求めて前記平均値を採用する。
水分含有量(質量%)=100×[(加熱前のPTFE系樹脂の質量(g))-(加熱後のPTFE系樹脂の質量(g))]/(加熱前のPTFE系樹脂の質量(g))
嵩密度は、JIS K6892:1995に準拠して測定する。
PTFE系樹脂は、例えば、二次電池を構成する部材又は層を形成するための組成物に用いられることが好ましい。また、PTFE系樹脂と活物質等とを混合して得られる電極合剤に用いられることがより好ましい。
なお、バインダーとは、一般的なバインダーの意義と同義であり、いわゆる結合剤、分散剤及び接着剤が挙げられる。
二次電池を構成する部材又は層としては、例えば、後述の電極における電極層が挙げられる。また、二次電池としては、公知の二次電池であれば、特に制限されない。二次電池の好適態様については、後述するとおりである。
他の用途としては、例えば、低温焼結型のチタン酸バリウム等のセラミックコンデンサーが挙げられる。コンデンサーではチタン酸バリウムとPTFE系樹脂とを混合し、シート化した後、微量の水を加え、100~200℃の温度と数百MPaの圧力をかけ、緻密化する。本発明のPTFE系樹脂を用いることで緻密化後の強度を上げることができる。
PTFE系樹脂は、テトラフルオロエチレンに基づく単位(以下、「TFE単位」)を含む樹脂を意味する。
PTFE系樹脂は、TFE単位を含む樹脂であり、TFE単位の含有量が、樹脂の全単位に対して、99質量%以上が好ましく、99.5質量%以上がより好ましく、99.9質量%以上がさらに好ましい。上限は、100質量%が挙げられる。
また、TFE単位の含有量が、PTFE系樹脂の全単位に対して、99モル%以上が好ましく、99.5モル%以上がより好ましく、99.9モル%以上がさらに好ましい。上限は、100モル%が挙げられる。
PTFE系樹脂は、TFE単位以外の他の単量体に基づく単位を含んでいてもよい。
他の単量体としては、例えば、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)等のパーフルオロオレフィン;トリフルオロエチレン及びフッ化ビニリデン(VdF)等の水素含有フルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン等のパーハロオレフィン;パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)等のパーフルオロビニルエーテル;パーフルオロアリルエーテル;(フルオロアルキル)エチレン(FAE);エチレンが挙げられる。
なかでも、他の単量体としては、HFP、VdF、FAE又はPAVEが好ましい。
また、他の単量体は、後述のPTFE粉体の製造方法において使用される単量体であってもよい。
CF2=CF-O-Rf1 (PA)
式(PA)中、Rf1は、炭素数1~10のパーフルオロアルキル基を表す。Rf1で表されるパーフルオロアルキル基の炭素数は、重合反応性がより優れる点から、1~8が好ましく、1~6がより好ましく、1~5がさらに好ましく、1~3が特に好ましい。
パーフルオロアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
CZ2=CX(CF2)mY (FA)
式(FA)中、X、Y及びZは、それぞれ独立に、水素原子又はフッ素原子を表し、mは、2~6の整数を表す。
FAEの具体例としては、CH2=CH(CF2)2F、CH2=CH(CF2)3F、CH2=CH(CF2)4F(PFBE)、CH2=CF(CF2)3H、CH2=CF(CF2)4Hが挙げられ、PFBE又はCH2=CH(CF2)2Fが好ましく、PFBEよりが好ましい。
他の単量体に基づく単位の含有量は、PTFE系樹脂の全単位に対して、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましい。
コアシェル構造を有するPTFE系樹脂としては、例えば、粒子中に高分子量のPTFE系樹脂のコアと、より低分子量のPTFE系樹脂、又は、他の単位を含むPTFE系樹脂のシェルと、を含むPTFE系樹脂が挙げられる。
PTFE系樹脂の製造方法は、上述のPTFE系樹脂を製造できる方法であれば、特に制限されない。
PTFE系樹脂の製造方法としては、例えば、PTFE系樹脂を含む水性分散液を得る工程Aと、上記水性分散液からPTFE系樹脂を得る工程Bとを含む、PTFE系樹脂の製造方法が好ましい。
工程Aは、PTFE系樹脂を含む水性分散液を準備する工程である。
水性媒体の具体例としては、水、及び、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。水溶性有機溶媒の具体例としては、tert-ブタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、及び、トリプロピレングリコールが挙げられる。水と水溶性有機溶媒との混合物の場合、水溶性有機溶媒濃度は、10質量%以下が好ましい。
水性媒体としては、水のみであることが好ましい。
第1単量体は、TFEを含む。
第1単量体は、TFE以外の上述の他の単量体を含んでいてもよい。
TFEの含有量は、第1単量体の全モル数に対して、70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、99モル%以上が特に好ましい。上限は、100モル%以下が好ましい。
水性媒体及び重合開始剤の存在下、上記単量体を加熱することにより実施できる。水性媒体中には、乳化剤が含まれていてもよく、含まれていなくてもよい。
重合開始剤としては、例えば、油溶性ラジカル重合開始剤及び水溶性ラジカル重合開始剤が挙げられる。
水溶性ラジカル開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、ジコハク酸過酸化物、ビスグルタル酸過酸化物及びtert-ブチルヒドロパーオキシド等の水溶性有機過酸化物が好ましい。
水溶性酸化還元系触媒としては、臭素酸又はその塩、塩素酸又はその塩、過硫酸又はその塩、過マンガン酸又はその塩、過酸化水素等の酸化剤と、亜硫酸又はその塩、亜硫酸水素又はその塩、チオ硫酸又はその塩、有機酸等の還元剤と、の組み合わせが好ましい。なかでも、臭素酸又はその塩と、亜硫酸又はその塩(例:亜硫酸アンモニウム)との組み合わせ、過マンガン酸又はその塩(例:過マンガン酸カリウム)と、シュウ酸との組み合わせがより好ましい。
重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム単独、又は、過硫酸塩とジコハク酸過酸化物との混合系が好ましく、過硫酸アンモニウム単独、又は、過硫酸アンモニウムとジコハク酸過酸化物との混合系がより好ましい。
重合開始剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、重合開始剤の仕込み方法としては、重合反応を開始する前にその全量を重合系に仕込んでおいてもよく、連続的または断続的に重合系に添加してもよい。
第1単量体の重合においては、核形成剤、連鎖移動剤、緩衝剤、pH調整剤、安定化助剤、分散安定剤、ラジカル捕捉剤、重合開始剤の分解剤、及び、ジカルボン酸等の他の成分を用いてもよい。
安定化助剤としては、パラフィンワックス、フッ素系溶媒、又は、シリコーンオイルが好ましく、パラフィンワックスがより好ましい。パラフィンワックスとしては、室温で、液体でも、半固体でも、固体であってもよい。なかでも、炭素数12以上の飽和炭化水素が好ましい。パラフィンワックスの融点は、40~65℃が好ましく、50~65℃がより好ましい。
安定化助剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合温度は、5℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、30℃以上がさらに好ましく、50℃以上が特に好ましい。上限は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、100℃以下がさらに好ましい。重合温度は、5~150℃が好ましく、10~120℃がより好ましく、50~100℃がさらに好ましい。
重合圧力は、0.05MPaG以上が好ましく、0.3MPaG以上がより好ましく、0.5MPaG以上がさらに好ましい。上限は、5.0MPaG以下が好ましく、3.0MPaG以下がより好ましい。重合圧力は、0.05~5.0MPaGが好ましく、0.3~5.0MPaGがより好ましく、0.5~3.0MPaGがさらに好ましい。
水性分散液の固形分濃度は、5~50質量%が好ましく、10~45質量%がより好ましく、10~30質量%がさらに好ましい。
水性分散液の固形分濃度は、例えば、以下の方法で測定できる。
水性分散液の固形分濃度は、水性分散液2.0gを170℃で20分間加熱した後、残渣の質量を秤量して、次の式によって求めて固形分濃度を算出する。
「固形分濃度(質量%)=100×水性分散液の加熱残渣(g)/水性分散液の質量(2.0g)」
工程Bは、工程Aにて得られた水性分散液からPTFE系樹脂を得る工程である。
水性分散液からPTFE系樹脂を得る方法としては、例えば、公知の方法が挙げられ、水性分散液から凝集処理及び乾燥処理して、PTFE系樹脂を得ることが好ましく、水性分散液から凝集処理してPTFE湿潤粉体を得て、上記PTFE湿潤粉体を乾燥処理して、PTFE系樹脂を得ることがより好ましい。
凍結凝集の場合、凝集温度は-20~0℃が好ましい。凝集時間は1時間以上が好ましく、2時間以上がより好ましい。
酸凝集の場合、酸を含む溶液を水性分散液に添加する方法が好ましい。添加する酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、シュウ酸及びフッ化水素酸等が挙げられ、塩酸又は硝酸が好ましい。酸を含む溶液中の酸の濃度は0.1~50質量%が好ましく、1~30質量%がより好ましく、1~10質量%がさらに好ましい。
塩基凝集としては、塩基を含む溶液を水性分散液に添加する方法が好ましい。添加する塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び炭酸アンモニウムが挙げられ、水酸化ナトリウムが好ましい。塩基を含む溶液中の塩基の濃度は0.1~50質量%が好ましく、1~30質量%がより好ましく、1~10質量%がさらに好ましい。
凝析剤による凝集としては、公知の凝析剤が使用できる。公知の凝析剤としては、アルミニウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩が挙げられる。具体的には、硫酸アルミニウム、一般式M’Al(SO4)2・12H2O〔式中、M’はリチウム以外の一価カチオンである。〕で表されるミョウバン、硝酸カルシウム及び硫酸マグネシウムが挙げられ、ミョウバンが好ましく、Mがカリウムであるカリミョウバンがより好ましい。
凝集方法としては、酸凝集又は凍結凝集が好ましい。
乾燥温度は、100℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、170℃以上がさらに好ましい。上限は、280℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。乾燥温度は、100~280℃が好ましく、150~280℃がより好ましく、170~250℃がさらに好ましい。
乾燥時間は、1時間以上が好ましく、3時間以上が好ましい。上限は、100時間以下が好ましく、50時間以下がより好ましく、30時間以下がさらに好ましい。乾燥時間は、1~100時間が好ましく、1~50時間がより好ましく、3~30時間がさらに好ましい。
また、乾燥対象物であるPTFE湿潤粉体の水の含有量は、PTFE湿潤粉体の100質量部に対して、10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、30質量部以上がさらに好ましい。上限は、150質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましい。乾燥対象物であるPTFE湿潤粉体の水の含有量は、PTFE湿潤粉体の100質量部に対して、10~150質量部が好ましく、20~150質量部がより好ましく、30~100質量部がさらに好ましい。
PTFE系樹脂の製造方法は、さらにその他工程を含んでいてもよい。
その他工程としては、例えば、ロータリーキルン処理及びプラズマ処理が挙げられる。
その他工程は、工程Bの後に実施することが好ましい。
ロータリーキルン処理は、ロータリーキルンを用いてPTFE系樹脂を処理する。ロータリーキルン処理を行うことにより安息角を調整できる。なお、以下ではロータリーキルイン処理を説明するが、上述した通り、回転をしながら冷却可能な装置で処理しても同様に安息角を調整できる。このような装置としては、転動式造粒機、流動式混合機が例示される。
ロータリーキルン処理の方法は、特に制限されないが、ロータリーキルンの中心軸を中心として回転する円筒状の回転炉内で、PTFE系樹脂を転動させつつ、回転炉内を通過させて処理する。一般的に、ロータリーキルンは、加熱しつつ、流動させて処理する装置であるが、本発明においては冷却をしながら回転炉の内面に系樹脂を接触しつつ転動することが好ましい。
冷却の際の温度は、PTFE系樹脂のガラス転移温度以下が好ましく、PTFE系樹脂のガラス転移温度-200℃超、PTFE系樹脂のガラス転移温度-5℃以下がより好ましく、-200℃超10℃以下がさらに好ましく、-50~0℃が特に好ましい。
上記温度でPTFE系樹脂を処理すれば、系樹脂の繊維化を抑えつつ、緻密性がより高まり、PTFE系樹脂の安息角が低下し得る。その結果、混合中の流動性と解砕性とが高まりやすい。
回転炉の水平方向(ロータリーキルンの接地面)に対する傾斜角度は、0.01~5°が好ましく、0.1~3°がより好ましい。上記範囲内の傾斜角度で回転炉を傾斜すれば、PTFE系樹脂の回転炉内の通過時間(系樹脂の回転炉内での滞留時間)を充分に長く確保できる。その結果、PTFE系樹脂をより均一かつ充分に処理できる。
PTFE系樹脂の処理時間(回転炉内での処理時間)は、1~50分間が好ましく、5~40分間がより好ましく、安息角を適した範囲に調整しやすい点で、20~40分間がさらに好ましい。この場合、PTFE系樹脂の冷却と転動時間とを充分に確保できる。
回転炉の回転数は、1~20rpmが好ましく、3~10rpmがより好ましい。この場合、PTFE系樹脂に過剰な衝撃力がかかりにくいので、転動(流動)の際におけるPTFE系樹脂の不本意な破砕及び繊維化を防止できる。
PTFE系樹脂の回転炉内への投入速度は、回転炉のPTFE系樹脂の充填率が0.1~40%になる速度が好ましく、1~20%になる速度がより好ましい。この場合、PTFE系樹脂の処理を充分に、かつ、高効率で実施できる。
上記ロータリーキルンとしては、例えば、ノリタケカンパニーリミテッド社製の装置及びサンアイ化熱社製の装置が挙げられ、これらの装置の回転炉を覆うヒーターの代わりに、配管をらせん状に巻き付け、その中を、冷却媒体を流動させることで冷却をすることができる。
なお、結露を防止するため、本装置の設置環境は露点を処理温度以下とすることが好ましい。
プラズマ処理は、プラズマ装置を用いてPTFE系樹脂を処理する。
プラズマ処理を実施することで、PTFE系樹脂の細孔容積を調整でき、プラズマ処理を適切にかけることで表面の微細な形状が変化しやすい。なお、上述した通り、プラズマ処理に代えてマイクロ波照射を行ってもPTFE系樹脂の細孔容積を調整できる。
プラズマ照射に用いる装置及び条件は、産業的に利用される各種のプラズマ処理に通常用いられている装置及び条件であってもよい。プラズマを生じる産業機器の機構は多くの場合、0.1~150Paの減圧環境において、電極間に電界をかけることで気体を電離する。このような減圧環境での電界のかけ方には様々な形態が可能であるが、希薄気体雰囲気中に正負2つの電極を入れて電圧を加える直流放電である場合が多い。雰囲気ガスを放電現象によって電離させて生じたプラズマにPTFE系樹脂を晒すことが可能な装置であれば特に制限されないが、PTFE系樹脂の粒子表面のミクロな細孔を調整しやすい点で、グロー放電を用いるものが好ましい。
回転速度は、10~100rpmであってもよい。
処理槽の回転軸は、水平でもよく傾けてもよい。
プラズマの照射方法は、特に制限されないが、PTFE系樹脂を平面上に薄く戴置したり、戴置したPTFE系樹脂を一定時間ごとに撹拌したりする方法によっても効果を得ることが可能である。冷却した状態で処理することで、PTFE系樹脂(二次粒子)中の細孔をミクロに溶解させ、又は、ミクロに分解し、細孔容積を調整することができ、適した範囲に調整しやすい。
冷却の際の温度は、PTFE系樹脂のガラス転移温度以下が好ましく、PTFE系樹脂のガラス転移温度-200℃超、PTFE系樹脂のガラス転移温度-5℃以下がより好ましく、-200℃超10℃以下がさらに好ましく、細孔メディアン径を適した範囲に調整しやすい点で、-50~0℃が特に好ましい。
回転式プラズマ照射としては、例えば、処理槽へPTFE系樹脂を250~300g導入した後、5Pa以下まで真空ポンプにて真空引きを行い、ポンプによる真空引き状態を維持しながら、雰囲気ガスを所定流量導入し、処理槽内が70±10Paの範囲に保たれるように調整し、100~800Vの範囲で電極間に電圧をかけることで行うことが挙げられる。
PTFE系樹脂の製造方法は、第1態様であってもよい。
PTFE系樹脂の製造方法の第1態様は、工程Cと、工程Dと、工程Eとを有する、PTFE系樹脂の製造方法である。
工程C:水性媒体中で非フッ素系単量体を重合させて、非フッ素系単量体に基づく単位を含む重合体(以下、「特定重合体C」ともいう。)を含む溶液1を得る工程。
工程D:溶液1に界面活性剤を実質的に添加することなく、溶液1中にて、TFEの重合を行い、PTFE系樹脂を含む水性乳化液を得る工程。
工程E:工程Dで得られた水性乳化液からPTFE系樹脂を得る工程。
また、第1態様は、工程Eの後に、さらに上述のその他工程を含んでいてもよい。
工程Cは、水性媒体中で非フッ素系単量体を重合させて、特定重合体Cを含む溶液1を得る工程である。
以下では、まず、工程Cで使用される材料について詳述し、その後、工程Cの手順について詳述する。
非フッ素系単量体とは、フッ素原子を含まない単量体である。
非フッ素系単量体は、通常、重合性基を有し、重合性基の数は、1~3個が好ましく、1個がより好ましい。
重合性基としては、エチレン性不飽和基が好ましい。より具体的には、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、ビニル基、アリル基が挙げられ、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルエステル基、又は、ビニルエーテル基が好ましい。
式(NF) CH2=CR11-L1-R12
R11は、水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基の炭素数は、1~3が好ましく、1がより好ましい。
L1は、単結合、-C(=O)-O-*、-O-C(=O)-*又は-O-を表す。*はR12との結合位置を表す。例えば、L1が-C(=O)-O-*である場合、式(1)はCH2=CR11-C(=O)-O-R12を表す。
R12は、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はニトリル基を表す。ただし、L1が単結合の場合、R12はニトリル基である。
アルキル基及びアルケニル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~4がさらに好ましい。
アルキル基は、鎖状であっても、環状であってもよい。アルキル基が環状である場合、シクロアルキル基に該当する。
アルケニル基は、鎖状であっても、環状であってもよい。
式(NF-1) CH2=CR11-C(=O)-O-R13
式(NF-2) CH2=CR11-O-C(=O)-R14
式(NF-3) CH2=CR11-O-R15
式(NF-4) CH2=CR11-R16
R11の定義は、上記した通りである。
R13は、水素原子、アルキル基またはアルケニル基を表し、炭素数1~6のアルキル基または炭素数2~6のアルケニル基が好ましい。
R14は、アルキル基を表し、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
R15は、アルキル基を表し、直鎖状アルキル基または環状アルキル基が好ましい。
R16は、ニトリル基を表す。
非フッ素系単量体は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非フッ素系単量体としては、式(NF-1)で表される単量体又は式(NF-2)で表される単量体が好ましく、R13がアルキル基である式(NF-1)で表される単量体がより好ましい。式(NF-1)で表される単量体及び式(NF-2)で表される単量体は、水親和性の基であるエステル基やカルボキシ基を有することより、前記単量体及びその重合体は水親和性を有する。従って、特に低濃度では、前記単量体及びその重合体は、界面活性剤を必要とすることなく水性媒体中に安定に分散すると考えられる。
特定重合体Cは、非フッ素系単量体に基づく単位を含む重合体である。
特定重合体Cは、通常、非フッ素系単量体に基づく単位のみを含むが、フッ素系単量体に基づく単位を含んでいてもよい。つまり、非フッ素系単量体以外に、フッ素系単量体を工程Cで用いてもよい。フッ素系単量体とは、フッ素原子を有する単量体であり、例えば、TFEが挙げられる。
特定重合体C中における非フッ素系単量体に基づく単位の含有量は、特定重合体Cの全単位に対して、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。上限としては、100質量%が挙げられる。
水性媒体としては、上述の工程Aにおける水性媒体が挙げられる。
工程Cでは、重合開始剤を用いてもよい。つまり、非フッ素系単量体の重合の際に、重合開始剤を用いてもよい。
重合開始剤としては、上述の工程Aにおける水溶性ラジカル重合開始剤重合開始剤が挙げられる。
工程Cでは、水性媒体中にて非フッ素系単量体の重合を行う。具体的には、非フッ素系単量体と水性媒体とを混合して、得られた混合液中にて非フッ素系単量体の重合を行うのが好ましい。
なお、上記したように、必要に応じて、フッ素系単量体を併用してもよい。
なお、非フッ素系単量体の仕込み方法としては、重合反応を開始する前に、その全量を重合系に仕込んでおく、初期一括添加が好ましい。
非フッ素系単量体は通常その全量が重合して特定重合体Cとなることより、得られた溶液1中における特定重合体C濃度は、上記数値範囲となる。
上記非フッ素系単量体濃度および特定重合体Cの濃度は、得られた溶液1を水性媒体で希釈することなく工程Dに使用する場合の濃度である。得られた溶液1を水性媒体で希釈して上記特定重合体C濃度とし、その希釈液を工程Dに使用する場合は、工程Cで希釈倍率に応じた高濃度の溶液を製造する。希釈倍率は特に限定されるものではないが、10倍以下が好ましい。
重合時の圧力条件は、減圧条件または常圧条件が好ましい。中でも、0~2.0MPaが好ましく、0~1.0MPaがより好ましく、0~0.5MPaがさらに好ましい。
また、重合時の雰囲気をTFE雰囲気として、重合を行ってもよい。なお、通常、水性媒体中での非フッ素系単量体の重合が、TFEの重合よりも優先して進行する。
特定重合体Cは、溶液1中に溶解していてもよいし、粒子状で水性媒体中に分散していてもよい。後述する工程DのTFEの重合の際に、特定重合体Cは乳化剤ではないが、水性媒体及びPTFE系樹脂双方に対する界面張力のバランスにより特定重合体Cが双方の境界に存在して、PTFE系樹脂の水性媒体中における分散安定化に寄与すると推測される。
特定重合体Cの粒子の平均粒子径は、0.1~100nmが好ましく、0.1~50nmがより好ましい。
また、別の見方からすれば、工程Dで得られるPTFE粒子は、特定重合体CとPTFEとの物理的混合物からなる粒子に限られず、非フッ素系単量体に基づく単位を有するTFE共重合体を含む粒子であるとも考えられる。
工程Dは、溶液1に界面活性剤を実質的に添加することなく、工程Dで得られた溶液1中、TFEの重合を行い、PTFE系樹脂を含む水性乳化液を得る工程である。
以下では、まず、工程Dで使用される材料について詳述し、その後、工程Dの手順について詳述する。
工程Dでは、TFEが用いられる。
工程Dでは、本発明の効果を損なわない範囲において、TFE以外の他の単量体をさらに用いてもよい。
他の単量体としては、極性基を有する単量体(以下、「特定単量体D」ともいう。)が挙げられる。特定単量体D中の極性基は水性媒体に対して相互作用を示すため、TFEの重合の際にTFEと水性媒体との間に位置して、界面活性剤的な機能を示すと推測される。結果として、TFEの重合が良好に進行すると共に、連鎖移動の発生も抑制される。
式(A) -SO3M
式(B) -COOM
式(A)及び式(B)中、Mは、水素原子、NH4、又は、アルカリ金属原子を表す。アルカリ金属原子としては、例えば、リチウム原子、ナトリウム原子、及び、カリウム原子が挙げられる。
重合性基としては、エチレン性不飽和基が好ましい。より具体的には、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、ビニル基、及び、アリル基が挙げられ、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルエステル基、又は、ビニルエーテル基が好ましい。
式(3) CR31R32=CR33-L3-R34
式(3)中、R31及びR32は、それぞれ独立に、水素原子又はフッ素原子を表す。
なお、「フッ素原子が置換していてもよいアルキル基」とは、アルキル基中の少なくとも一個の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基を意味する。
フッ素原子が置換していてもよいアルキル基の炭素数は、1~3が好ましく、1がより好ましい。
2価の連結基としては、例えば、2価の炭化水素基、2価の複素環基、-O-、-S-、-SO2-、-C(O)-、-Si(Ra)2-、-N(Rb)-、及び、これらを2種以上組み合わせた基が挙げられる。Raは、アルキル基(好ましくは炭素数1~10)又はフェニル基を表す。Rbは、水素原子又はアルキル基(好ましくは炭素数1~10)を表す。2価の炭化水素基としては、2価の飽和炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、アルケニレン基、又は、アルキニレン基であってもよい。2価の飽和炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状であってもよく、例えば、アルキレン基が挙げられる。炭素数は1~20が好ましい。また、2価の芳香族炭化水素基は、炭素数5~20が好ましく、例えば、フェニレン基が挙げられる。それ以外にも、炭素数2~20のアルケニレン基、又は、炭素数2~20のアルキニレン基であってもよい。
上記これらを2種以上組み合わせた基としては、例えば、-OC(O)-、-C(O)N(Rb)-、アルキレン基-O-アルキレン基、アルキレン基-OC(O)-アルキレン基、及び、アルキレン基-Si(Ra)2-フェニレン基-Si(Ra)2が挙げられる。
なお、上記2価の炭化水素基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)が挙げられる。つまり、上記2価の炭化水素基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。
式(3-1) CR31R32=CR33-R34
式(3-2) CR31R32=CR33-(CF2)m1-R34
式(3-3) CR31R32=CR33-(CF2C(CF3)F)m2-R34
式(3-4) CR31R32=CR33-O-(CFR35)m3-R34
式(3-5) CR31R32=CR33-O-(CF2CFR35O)m4-CF2CF2-R34
式(3-6) CR31R32=CR33-CF2-O-(CF(CF3)CF2O)m5-CF(CF3)-R34
式(3-2)中、m1は1~10の整数を表す。
式(3-3)中、m2は1~5の整数を表す。
式(3-4)中、m3は1~10の整数を表す。R35は、フッ素原子またはCF3を表す。
式(3-5)中、m4は1~10の整数を表す。R35の定義は、上記した通りである。
式(3-6)中、m5は0または1~10の整数を表す。
特定単量体Dは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
工程Dでは、重合開始剤を用いてもよい。つまり、TFEの重合の際に、重合開始剤を用いてもよい。
使用される重合開始剤としては、工程Cで説明した重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤としては、過硫酸塩とジコハク酸過酸化物との混合系が好ましく、過硫酸アンモニウムとジコハク酸過酸化物との混合系がより好ましい。
重合開始剤の使用量は、重合系に供給するTFEの全量に対して、0.10質量%以上が好ましく、0.10~1.5質量%がより好ましく、0.20~1.0質量%がさらに好ましい。
工程Dでは、安定化助剤を用いてもよい。
安定化助剤としては、パラフィンワックス、フッ素系溶媒、又は、シリコーンオイルが好ましく、パラフィンワックスがより好ましい。パラフィンワックスとしては、室温で、液体でも、半固体でも、固体であってもよい。なかでも、炭素数12以上の飽和炭化水素が好ましい。パラフィンワックスの融点は、40~65℃が好ましく、50~65℃がより好ましい。
安定化助剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、工程Dでは、本発明の効果を損なわない範囲で、TFEおよび特定単量体D以外の単量体を使用してもよいが、PTFE系樹脂の各種特性がより優れる点で、TFEの使用量が、工程Dで使用される単量体の合計使用量に対して、99.5質量%以上が好ましく、99.8質量%以上がより好ましい。
工程Dの際、溶液1には界面活性剤を実質的に添加されない。つまり、工程Dにおいては、溶液1に新たに界面活性剤を実質的に添加することなく、溶液1中にて、TFEの重合を行う。
界面活性剤とは、親水性基(例えば、極性基)及び疎水性基(例えば、炭化水素基)を有する化合物である。極性基の定義は、特定単量体Dに含まれる極性基の定義と同じである。
界面活性剤としては、公知の界面活性剤が挙げられ、非イオン性界面活性剤、及び、イオン性界面活性剤が挙げられ、より具体的には、炭化水素含有界面活性剤及びフッ素系界面活性剤が挙げられる。炭化水素含有界面活性剤の定義は、後述するとおりである。
工程Dにおいて、溶液1には炭化水素含有界面活性剤及びフッ素系界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種を実質的に添加しないことが好ましい。
上記「実質的に添加しない」とは、界面活性剤を添加しないか、又は、添加する場合であっても、界面活性剤の添加量が、溶液1全質量に対して200質量ppm以下であることを意味する。下限は特に制限されないが、0質量ppmが好ましい。つまり、工程Dにおいて、溶液1に界面活性剤を添加しないことが好ましい。
重合開始剤を用いる場合、重合開始剤は重合系に一括して添加されてもよいし、分割して添加されてもよい。
重合中の乳液の安定性の点から、TFE全量に対する特定単量体Dの使用量は、0.100質量%以下が好ましく、0.090質量%以下がより好ましい。また、分子量向上の点から、TFE全量に対する特定単量体Dの使用量は、0.005質量%以上が好ましく、0.010質量%以上がより好ましい。
なお、2種以上の特定単量体Dを用いる場合、特定単量体Dの合計使用量が上記範囲であればよい。
重合中の乳液の安定性の点から、TFE全量に対する特定単量体Dの使用量は、0.100モル%以下が好ましく、0.090モル%以下がより好ましい。また、分子量向上の点から、TFE全量に対する特定単量体Dの使用量は、0.001モル%以上が好ましく、0.005モル%以上がより好ましい。特定単量体Dを使用する場合、TFE全量に対する特定単量体Dの使用量は、0.100~0.100モル%が好ましく、0.005~0.090モル%がより好ましい。
なお、2種以上の特定単量体Dを用いる場合、特定単量体Dの合計使用量が上記範囲であればよい。
また、本発明の製造方法においては、工程Cにおいて特定重合体Cが形成されればよく、工程Cにおいて完全に非フッ素系単量体が消費される前に、工程Dを実施してもよい。
PTFE系樹脂の平均一次粒子径は、100~500nmが好ましく、150~300nmがより好ましい。
PTFE系樹脂の平均一次粒子径は、レーザー散乱法粒子径分布分析計により測定されるD50に該当する。
工程Eは、工程Dで得られた水性乳化液からPTFE系樹脂を得る工程である。
工程Eとしては、上述の工程Bにおける手順及び条件で実施できる。
PTFE系樹脂の製造方法は、下記の第2態様であってもよい。
PTFE系樹脂の製造方法の第2態様は、工程Fと、工程Gとを有する、PTFE系樹脂の製造方法である。
工程F:第1含フッ素重合体、及び、水性媒体を含む水性分散液中において、テトラフルオロエチレンを含む単量体(以下、「特定単量体F」ともいう。)を重合して、上記第1含フッ素重合体とは異なるPTFE系樹脂を含む水性分散液を得る工程。
工程G:工程Fで得られた水性分散液からPTFE系樹脂を得る工程。
また、第2態様は、工程Eの後に、さらに上述のその他工程を含んでいてもよい。
工程Fは、第1含フッ素重合体、及び、水性媒体を含む水性分散液中において、TFEを含む単量体(以下、「特定単量体F」ともいう。)を重合して、上記第1含フッ素重合体とは異なるPTFE系樹脂を含む水性分散液を得る工程である。
第2態様では、第1含フッ素重合体及び水性媒体を含む水性分散液を用いる。
第1含フッ素重合体は、特定単量体Fの重合時に、疎水部で特定単量体Fを吸着し、取り込むことにより特定単量体Fを可溶化し、ここに重合開始剤を加えることで特定単量体Fは第1含フッ素重合体の粒子内で重合すると推測される。また、第1含フッ素重合体は水性媒体中における分散安定化に寄与すると推測される。
第1含フッ素重合体のTgは、成型加工後の熱安定性の点から、-50℃以上が好ましく、-45℃以上がより好ましく、-40℃以上がさらに好ましい。第1含フッ素重合体のガラス転移温度は、-50~10℃が好ましく、-45~5℃がより好ましく、-40~3℃がさらに好ましい。
第1含フッ素重合体のTgは、示差走査熱量測定(DSC)法で測定される。
第1含フッ素重合体のTgを上記範囲内にする方法としては、例えば、第1含フッ素重合体の製造に使用する単量体の種類及び使用量を調整する方法が挙げられる。
他の単量体に基づく単位を実質的に含まないとは、他の単量体に基づく単位の含有量が、第1含フッ素重合体の全単位に対して、0.01モル%以下であることを意味し、0モル%がより好ましい。
他の単量体に基づく単位を含む場合、他の単量体としてはヘキサフルオロプロピレンが好ましい。
硫酸イオンの濃度を上記値にする方法の一例としては、第1含フッ素重合体の製造時にアニオン交換樹脂を用いて硫酸イオンを除去する方法が挙げられる。
ここで、硫酸イオンは、例えば、第1含フッ素重合体の製造時に使用する重合開始剤(特に、過硫酸アンモニウム)を由来としており、第1含フッ素重合体を含む水性分散液中に含まれる場合がある。硫酸イオンの含有量が10質量ppm以下(特に5質量ppm以下)であることで、耐熱性の低い末端基がPTFE系樹脂に形成されることを抑制できる結果、PTFE系樹脂の着色が抑制されたと推測される。
アンモニウムイオンの濃度を上記値にする方法の一例としては、第1含フッ素重合体の製造時にカチオン交換樹脂を用いてアンモニウムイオンを除去する方法が挙げられる。
ここで、アンモニウムイオンは、例えば、第1含フッ素重合体の製造時に使用する開始剤(特に、過硫酸アンモニウム)を由来としており、第1含フッ素重合体を含む水性分散液中に含まれる場合がある。アンモニウムイオンの含有量が20質量ppm以下であることで、水性媒体中のイオン強度が減少した結果、PTFE系樹脂の製造効率が向上したと推測される。
この場合、第1含フッ素重合体の平均粒子径は、PTFE系樹脂をより効率よく製造できる点から、1~150nmが好ましく、10~120nmがより好ましく、50~120nmがさらに好ましい。
第1含フッ素重合体の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって粒度分布を測定し、粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径(D50)であり、詳細な測定条件は実施例欄に記載の通りである。
このようにして得られた第1含フッ素重合体の粒子が分散した水性媒体を、そのまま上記水性分散液として用いてよく、あるいは、さらに別の水性媒体を加えて、これを上記水性分散液として用いてもよい。また、溶媒置換して別の水性媒体に第1含フッ素重合体を分散させて、これを上記水性分散液として用いてもよい。
水性分散液に含まれる水性媒体は、第1含フッ素重合体の製造時に使用した重合溶媒であってもよい。
PTFE系樹脂の重合に用いる単量体の重合を開始する前において、水性媒体の含有量は、水性分散液の全質量に対して、60~99.9質量%が好ましく、96~99.9質量%がより好ましく、98~99.9質量%がさらに好ましい。
加熱工程における加熱温度は、水性媒体中の重合開始剤の失活をより促進できる点から、70~100℃が好ましく、80~98℃がより好ましく、85~95℃がさらに好ましい。
本製造方法に用いる水性分散液は、第1含フッ素重合体及び水性媒体以外の他の成分を含んでいてもよい。
水性分散液が含み得る他の成分の具体例としては、連鎖移動剤、フッ素系乳化剤以外の乳化剤、pH調整剤、及び、ワックスが挙げられる。
水性分散液がフッ素系乳化剤以外の乳化剤を含む場合、フッ素系乳化剤以外の乳化剤の含有量は、水性媒体の100質量に対して、0.01~5質量部が好ましい。
水性分散液がpH調整剤を含む場合、pH調整剤の含有量は、水性媒体の100質量部に対して、0.01~3.0質量部が好ましい。
水性分散液がワックスを含む場合、ワックスの含有量は、水性媒体の100質量部に対して、1~10質量部が好ましい。
フッ素系乳化剤とは、乳化剤が有する親水性部位及び疎水性部位において、疎水性部位がフッ素原子を含む乳化剤を意味する。フッ素系乳化剤の具体例としては、含フッ素アルカン酸塩、含フッ素エーテルカルボン酸化合物が挙げられる。
フッ素系乳化剤の濃度を上述の範囲にする方法の一例としては、フッ素系乳化剤を使用しないで水性分散液を製造する方法が挙げられる。
フッ化物イオンの濃度を上記値にする方法の一例としては、第1含フッ素重合体の製造時にアニオン交換樹脂を用いて硫酸イオンを除去する方法が挙げられる。
ここで、フッ化物イオンは、重合開始剤(例えば、過硫酸アンモニウム)と、第1含フッ素重合体の製造に使用する単量体と、の反応によって生じて、水性分散液中に含まれる場合がある。
特定単量体Fは、TFEを含む。
TFEの使用量は、特定単量体Fの使用量に対して、97~100質量%が好ましく、98~100質量%がより好ましく、99~100質量%がさらに好ましい。
TFE以外の含フッ素単量体を実質的に含まないとは、TFE以外の含フッ素単量体の使用量が、特定単量体Fの使用量に対して、0.0001質量%以下であることを意味し、0質量%であってもよい。
TFE以外の含フッ素単量体としては、クロロトリフルオロエチレン(以下、「CTFE」ともいう。)、フッ化ビニリデン(以下、「VdF」ともいう。)、フルオロアルキルエチレン、PAVE、及び、ヘキサフルオロプロピレンが挙げられる。TFE以外の含フッ素単量体は、2種以上を併用してもよい。
他の単量体を実質的に含まないとは、他の単量体の使用量が、特定単量体Fの使用量に対して、0.0001質量%以下であることを意味し、0質量%がより好ましい。
他の単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンが挙げられる。他の単量体は、2種以上を併用してもよい。
第2態様において、特定単量体Fは、重合開始剤の存在下で重合されることが好ましい。
重合開始剤としては、上述の工程Aにおける水溶性ラジカル重合開始剤重合開始剤が挙げられる。
特定単量体Fの重合の際に、上記以外の成分(以下、「他の成分」ともいう。)をさらに用いてもよい。他の成分の具体例としては、還元剤が挙げられる。
他の成分の使用量は、特定単量体Fの使用量100質量部に対して、1~2000質量ppmが好ましい。
本製造方法では、上記水性分散液中において上記特定単量体Fを重合して、PTFE系樹脂を製造する。
なお、第1含フッ素重合体とPTFE系樹脂は、共重合していてもよい。
重合開始剤を用いる場合、重合開始剤は反応系に一括して添加されてもよいし、分割して添加されてもよい。
重合圧力は、0.5~4.0MPaGが好ましく、0.6~3.5MPaGがより好ましい。
重合時間は、バッチ処理の場合、90~1000分間が好ましく、90~700分間がより好ましい。
乳化剤としては、公知の乳化剤が挙げられ、一般的な界面活性剤が挙げられる。
乳化剤を実質的に存在しない下とは、乳化剤の含有量が、上記水性分散液に含まれる水性媒体の全質量に対して0.03質量ppm以下である環境を意味し、0.02質量ppm以下が好ましく、0質量ppmがより好ましい。
工程Gは、工程Fで得られた水性分散液からPTFE系樹脂を得る工程である。
工程Gとしては、上述の工程Bにおける手順及び条件で実施できる。
本発明の電極合剤は、上述のPTFE系樹脂と、活物質とを含む。
また、電極合剤が負極合剤である場合、負極合剤は、PTFE系樹脂と、負極活物質とを含むことが好ましい。電極合剤が正極合剤である場合、正極合剤は、PTFE系樹脂と、正極活物質とを含むことが好ましい。
電極合剤は、PTFE系樹脂を含む。
PTFE系樹脂は、上述の本実施形態のPTFE系樹脂と同義であり、好適態様も同じである。
PTFE系樹脂は結着力に優れるため、含有量が少なくても電極合剤内に活物質を充分に保持できる。
電極合剤は、活物質を含む。
活物質としては、例えば、正極活物質及び負極活物質が挙げられ、目的の電極に合わせて適宜選択できる。
電極合剤が正極合剤である場合、正極合剤は正極活物質を含む。
正極合剤は、PTFE系樹脂及び正極活物質に加え、PTFE系樹脂以外の結着材、導電材、増粘剤及び添加剤からなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよい。
正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵及び放出する材料が用いられる。このような材料としては、例えば、リチウム含有遷移金属酸化物、遷移金属フッ化物、ポリアニオン、フッ素化ポリアニオン及び遷移金属硫化物よりなる群から選択される少なくとも1つが挙げられる。平均放電電圧が高く、コスト的に有利である観点から、正極活物質は、リチウム含有遷移金属酸化物であってもよい。
表面付着物質としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、及び、炭素が挙げられる。
正極作成時の充填性が向上する点で、正極活物質として、異なるメディアン径d50の正極活物質を2種類以上混合してもよい。
上記BET比表面積は、表面積計(例えば、大倉理研社製全自動表面積測定装置)を用い、試料に対して窒素流通下150℃で30分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって測定した値で定義される。
2種以上の正極活物質を用いる場合、好適な組み合わせとしては、LiCoO2と、LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2等の三元系との組み合わせ;LiCoO2と、LiMn2O4又はこのMnの一部を他の遷移金属等で置換したものとの組み合わせ;LiFePO4と、LiCoO2又はこのCoの一部を他の遷移金属等で置換したものとの組み合わせが挙げられる。
負極活物質としては、例えば、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンのカウンターアニオンのドープ及び脱ドープを可逆的に進行できれば、特に制限されない。具体的には、リチウム金属、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素系材料、アルミニウム、シリコン、スズ等のリチウムと合金を形成できる金属、酸化シリコン、酸化スズ等の非晶質の酸化物、及び、チタン酸リチウムが挙げられる。
ケイ素を含む負極活物質としては、ケイ素粒子、ケイ素の微粒子がケイ素系化合物に分散した構造を有する粒子、一般式SiOx(0.5≦x≦1.6)で表される酸化ケイ素粒子、又は、これらの混合物が好ましい。
酸化ケイ素とは非晶質のケイ素酸化物の総称であり、酸化ケイ素は、例えば、一般式SiOx(0.5≦x≦1.6)で表される。xは0.8≦x<1.6が好ましく、0.8≦x<1.3がより好ましい。この酸化ケイ素は、例えば、二酸化ケイ素と金属ケイ素との混合物を加熱して生成した一酸化ケイ素ガスを冷却・析出して得ることができる。
炭素で被覆されることで導電性を付与し、電池特性が向上し得る。導電性を付与するための方法としては、例えば、黒鉛等の導電性のある粒子と混合する方法、ケイ素を含む負極活物質の表面を炭素被膜で被覆する方法、及び、その両方を組み合わせる方法が挙げられるが、炭素被膜で被覆する方法が好ましく、化学蒸着(CVD)する方法がより好ましい。
平均粒子径は、レーザー回折法による粒度分布測定における重量平均粒径である。
電極合剤は、導電助剤を含んでいてもよい。
導電助剤としては、例えば、銅及びニッケル等の金属材料;天然黒鉛及び人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック及びサーマルブラック等のカーボンブラック;ニードルコークス、カーボンナノチューブ、フラーレン及び気相法炭素繊維等の無定形炭素;が挙げられる。
電極合剤は、熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンオキシドが挙げられる。
電極合剤は、上述の各種成分以外のその他成分を含んでいてもよい。
その他成分としては、例えば、固体電解質、上記以外の結着材、導電材、増粘剤、および、添加剤からなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。
固体電解質としては、例えば、アルジロダイト型の結晶構造を有する硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、及び、ハロゲン化固体電解質が挙げられる。
結着材としては、例えばエラストマーとして、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、スチレン―エチレン-ブタジエン-スチレン、などが挙げられる。また、繊維成分として、セルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースナノファイバー、アラミド繊維、などが挙げられる。繊維成分の場合は粉体として混合することが好ましく、事前に各種粉砕方法によって細かく粉砕(ミクロフィブリル化)されていると、PTFE粉体との混合性が良化して好ましい。繊維成分を添加することで、成形後のシート強度が上がりやすい。
電極合剤の製造方法としては、上述の電極合剤を製造できる方法であれば、特に制限されない。
なかでも、電極合剤の製造方法としては、PTFE系樹脂を含むバインダーと、活物質と、必要に応じて導電助剤を含む原料組成物を粉砕混合する工程X1を含む、電極合剤の製造方法が好ましい。上記電極合剤の製造方法であれば、比較的短工程で電極合剤を得られる。
また、電極合剤の製造方法は、工程X1で粉砕混合された原料組成物をシート状に圧延する工程X2をさらに含むことも好ましい。工程X2を含む場合、シート状の電極合剤が得られる。
工程X1は、PTFE系樹脂を含むバインダーと、活物質と、必要に応じて導電助剤を含む原料組成物を混合する工程である。
混合方法としては、混合装置を用いて混合する方法が好ましい。
混合装置としては、例えば、ジェットミル、ピンミル、ブレンダー、二軸押出機及びミキサーが挙げられる。PTFE系樹脂の解砕及び繊維化抑制を両立できる点で、ジェットミル、ミキサー又は二軸押出機が好ましい。
ジェットミルとしては、粒子同士又は粒子と衝突体(ターゲット)とを衝突させて粉砕する衝突型、循環する気流中に配された複数の粉砕ノズルで形成される粉砕ゾーン中で粒子の相互衝突によって粉砕する旋回気流型及びループ型、流動層の中で粒子同士の衝突又は摩擦によって粉砕する流動層型、及び、超音速型が挙げられる。
衝突型、旋回気流型、ループ型及び流動層型のジェットミルについては、日本系樹脂工業技術協会編、「先端粉砕技術と応用」、有限会社エヌジーティー、162頁に詳細が記載されている。
衝突型のジェットミルとしては、圧縮空気等の流体をノズルから吐出させ、ジェットミル中で形成される高速乱気流中で粒子を相互衝突させて粉砕する粉砕機、高速の気流で樹脂粒子を搬送し、衝突体に衝突させて粉砕する粉砕機が挙げられる。
ジェットミルとしては、生産性に優れる点で、シングルトラックジェットミルが好ましい。
工程X2は、工程X1で粉砕混合された原料組成物をシート状に圧延する工程である。
工程X2における圧延方法としては、ロールプレス機、平板プレス機及びカレンダーロール機等を用いて圧延する方法が挙げられる。
圧延条件は、特に制限されず、目的の電極合剤の厚さ及び密度に合わせて適宜選択できる。
本発明の電極は、集電体と、集電体上に配置される電極合剤を含む電極層とを含む。
電極は、集電体と電極層との間には、必要に応じて、導電性の炭素質材料を配置してもよい。
電極は、集電体を含む。
電極が正極である場合、集電体としては、例えば、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼及びニッケル等の金属、又は、その合金等の金属材料;カーボンクロス及びカーボンペーパー等の炭素材料が挙げられ、金属材料が好ましく、アルミニウム又はその合金がより好ましい。
電極が負極である場合、集電体としては、例えば、銅、ニッケル、チタン、タンタル及びステンレス鋼等の金属、又は、その合金等の金属材料;カーボンクロス及びカーボンペーパー等の炭素材料が挙げられ、金属材料が好ましく、銅、ニッケル又はその合金がより好ましい。
集電体の厚さは、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましい。上限は、1mm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、50μm以下がさらに好ましい。上記範囲内であれば、取り扱い性及び強度に優れ得る。
導電助剤としては、炭素、金、白金及び銀等の貴金属類が挙げられる。
電極は、電極層を含む。
電極層は、集電体上に配置され、上述の電極合剤を含む。
電極層は、正極層及び負極層のいずれであってもよく、電極合剤が含む活物質等によって適宜選択できる。
負極層の密度は、1.3g/cm3以上が好ましく、1.4g/cm3以上がより好ましく、1.5g/cm3以上がさらに好ましい。上限は、2.0g/cm3以下が好ましく、1.9g/cm3以下がより好ましく、1.8g/cm3以下がさらに好ましい。負極層の密度は、1.3~2.0g/cm3が好ましく、1.4~1.9g/cm3がより好ましく、1.5~1.8g/cm3がさらに好ましい。
上記範囲内であれば、集電体と活物質との界面付近への電解液の浸透性に優れ、特に高電流密度での充放電特性に優れ得る。また活物質間の導電性にも優れ得る。
本発明の二次電池は、上述の電極を含む。
二次電池は、電解液を使用する二次電池であってもよく、固体二次電池であってもよい。
二次電池としては、例えば、非水電解液二次電池等の非水系二次電池、全固体電池及び燃料電池が挙げられ、具体的には、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池及びリチウム二次電池、ナトリウムイオン二次電池、亜鉛イオン二次電池、フッ化物イオン二次電池、アルカリ金属二次電池、ハロゲン化物二次電池、及び、リチウム空気二次電池が挙げられる。
二次電池は、正極とセパレータと負極とをこの順で含む積層構造、及び、正極とセパレータと負極とを渦巻き状に捲回した捲回構造のいずれであってもよい。
二次電池が積層構造である場合、積層構造は、各電極層の金属芯部分を束ねて端子に溶接して形成される構造が好ましい。
二次電池が捲回構造である場合、正極及び負極にそれぞれ複数のリード構造を設け、端子に束ねることにより、内部抵抗を低くすることができる。
セパレータの材質又は形状は、電解液に安定であり、かつ、保液性に優れていれば、特に制限されない。
なかでも、セパレータの材質は、樹脂、ガラス繊維又は無機物が好ましい。セパレータの形状は、多孔性シート又は不織布状が好ましい。
セパレータの厚さは、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、8μm以上がさらに好ましい。上限は、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。セパレータの厚さは、1~50μmが好ましく、5~40μmがより好ましく、8~30μmがさらに好ましい。
電解質塩溶解用有機溶媒としては、例えば、ビニレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びエチルメチルカーボネート等の公知の炭化水素系溶媒;フルオロエチレンカーボネート、フルオロエーテル及びフッ素化カーボネート等のフッ素系溶媒が挙げられる。
電解質塩としては、例えば、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF3)2、及び、LiFSI(LiN(SO2F)2)、LiBOB(LiB(C2O4)2)、LiDFOB(LiBF2(C2O4))、LiPF2(C2O4)2、LiPF4(C2O4)、及び、LiN(SO2C2F5)2が挙げられ、サイクル特性が良好な点で、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2又はこれらの組合せが好ましい。
固体二次電池は、リチウムイオン電池、又は、硫化物系全固体二次電池であることも好ましい。
固体二次電池は、正極、負極、並びに、上記正極及び上記負極の間に固体電解質層を含むことが好ましい。
また、硫化物系固体電解質は、リチウムを含むことが好ましい。
リチウムを含む硫化物系固体電解質は、リチウムイオンをキャリアとして使用する固体電池に使用されるものであり、高エネルギー密度を有する電気化学デバイスという点で好ましい。
各種測定方法及び評価方法は下記のとおりである。
後述の各例で得られたPTFE系樹脂を、マルチテスターMT-02(セイシン企業社製)を用い、注入法で測定した。なお、事前にPTFE系樹脂を目開き2360μmのふるいにかけて、測定を行った。
なお、上記PTFE系樹脂は、後述の各例の電極合剤に使用したPTFE系樹脂を意図する。例えば、例1においては、PTFE系樹脂1Cの安息角を測定した。
後述の各例で得られたPTFE系樹脂について、水銀圧入法にて以下の条件で測定を行った。なお、細孔容積及び細孔メディアン径の定義については、上述したとおりである。
なお、上記PTFE系樹脂は、後述の各例の電極合剤に使用したPTFE系樹脂を意図する。例えば、例1においては、PTFE系樹脂1Cの細孔容積及び細孔メディアン径を測定した。
・前処理 :PTFE系樹脂を150℃、2時間乾燥
・使用機器:Micromeritics社製 AutoPoreIV 9520
・測定範囲:約4nm~500μm
・解析方法:Washburn法
・表面張力:480dynes/cm
・接触角:140°
後述の各例で得られた水性分散液を試料とし、レーザー散乱法粒子径分布分析計(堀場製作所製、商品名「LA-920」)を用いて測定した。なお、平均一次粒子径は体積基準のメディアン径である。
後述の各例で得られたPTFE系樹脂における各単位の割合は、19F-NMR分析、及び、赤外吸収スペクトル分析から求めた。
後述の各例で得られた水性分散液の固形分濃度は、水性分散液2.0gを170℃で20分間加熱した後、残渣の質量を秤量して、次の式によって求めて固形分濃度を算出する。
「固形分濃度(質量%)=100×水性分散液の加熱残渣(g)/水性分散液の質量(2.0g)」
SSGはASTM D4895-10に準拠して測定した。具体的には、12.0gの試料を計量し、内径28.6mmの円筒金型で34.5MPaで2分間保持して成形試料とした。これを290℃のオーブンへ入れて120℃/hrで昇温し、380℃で30分間保持した後、60℃/hrで降温して294℃で24分間保持した。23℃のデシケーター中で12時間保持した後、23℃での成形物と水との比重値を測定し、これをSSGとした。
耐電圧は、JIS K6892:1995に準拠して測定した。具体的な手順は以下の通りである。各例で得られたPTFE粉末を25±2℃の温度に1時間以上放置した後、上記温度で目開き1.7mmのふるいでよくふるい、通過したもの100±0.1gを量り取り試料とした。試料を500mLの広口ガラス瓶に入れ、25±0.1gのトルエンを、器壁をぬらさないように少しずつ加えて栓をして3分間よく振って試料とトルエンを混合させた。得られた混合物を予備成形金型に入れ、押棒の移動速度が50mm/min以上にならないように静かに加圧し、成形圧0.98MPaで1分間保ち,予備成形を行った。予備成形品を予備成形金型から取り出し、直ちに押出成形試験機に移した。なお、押出成形試験機の金型下部は60±5℃の温度に保った。
次に、予備成形品がセットされた押出成形試験機を容量が3トンの油圧プレスに取り付け、5~10mm/minの速度でラムを移動させ、押出成形を行った。寸法は外径5mm、内径4mmとした。成形品が出はじめてから約1mを切り捨て、以後の成形品は鋭利な刃物で25±1cmの長さに15本切り取り、試料保持台の棒に差し込んで室温で12~24時間放置した。次に試料保持台を365±5℃に保たれた電気炉に入れ、炉内の温度が再び365±5℃になってから30±3分間加熱して焼成した後、取り出し、室温で放冷した。
得られた成形品を試験片とし、金属棒を試験片に挿入して内部電極とし、金属箔を中央に巻き付けて外部電極とした。外部電極に高圧印加用リード線を接続し、内部電極は接地した。印加電圧を速やかに所定の電圧まで上昇させ、この電圧で1分間耐えるかどうかを調べた。所定の電圧を1kVずつ上げていき、1分間耐えられる最大の電圧を耐電圧とした。
NMC622(宝泉社製、平均粒子径10μm、正極活物質)と、各例のPTFE系樹脂と、アセチレンブラック(SigmaAldrich製)とを、96:3:1の質量比で混合し、Ex-ミニジェットミル(エムテック化学社製)にて、フィード量3g/min、0.4MPaのエアー圧力で粉砕混合を実施し、電極合剤(正極合剤)を得た。混合終了後、分解清掃時に配管への付着を目視で確認した。
得られた電極合剤の50gを、温度90℃、3tのロールプレスで1度だけ通してシート化し、平均厚さ200μmの正極合剤シートを得た。
<正極合剤の作製>におけるジェットミルを用いて系樹脂混合して電極合剤を作製した後に、配管及び容器壁面への付着物の有無を目視で確認し、以下の評価基準に従って壁面付着性を評価した。
「A」:付着物が、見られなかった。
「B」:付着物が、見られた。
<正極合剤の作製>で得られた正極合剤シートを4.5cm×4.5cmに裁断して裁断物を得た。次いで、得られた裁断物の周縁部から1cmの領域を除く、2.5cm×2.5cmの領域内から、さらに0.5cm×0.5cmに裁断して測定サンプルを得ることを繰り返し行い、合計25個の測定サンプルを得た。各測定サンプルの任意の1か所の厚さを測定し、下記式に従ってX値を算出し、厚さの均一性について評価した。得られた測定値から、最大値、最小値及び算術平均値を算出し、下記式に従ってX値を算出した。X値について下記評価基準に従って、シートの厚さの均一性を評価した。Aを合格とする。
X値(%)=100×(最大値-最小値)/算術平均値
「A」:X値が、10%以下。
「B」:X値が、10%超20%以下。
「C」:シートが得られない若しくはシートに穴が生じた、又は、X値が20%超。
グラファイトQC-6(宝泉社製)と各例(例1、10、及び11)のPTFE系樹脂を96:4の質量比で、Vブレンダーで予備混合したのち、Ex-ミニジェットミル(エムテック化学社製)にて、フィード量3g/min、0.4MPaのエアー圧力で粉砕混合を実施し、負極合剤を得た。混合終了後、得られた負極合剤を温度100℃、3tのロールプレスで、ロール間ギャップを1mm→0.5mm→0.2mmの順に3回通してシート化し、平均厚さ180μm(平均目付:15.5mg/cm2)の負極合剤シートを得た。この過程で、上記<壁面付着性>及び<厚さの均一性>を評価した。
この負極合剤シートをφ16mm打ち抜き、12μm厚みの銅箔と100℃1MPaでプレスして積層したのち、以下の構成でHSフラットセル(宝泉社製)に組み込み、ハーフセルを構成した。
(構成)
作用極:負極合剤シート
対極:金属リチウム(本荘ケミカル社製 100μm)
セパレーター:GA55(Advantec社製ガラスセパレーター)
電解液:1M LiPF6/エチレンカーボネート:ジメチレンカーボネート=1:1
含浸条件:-60kPa、3min×6回
(評価)
充放電評価装置TOSCAT(東洋システム社製)を用い、2.0-0.0V vs Li極で、0.05Cで充放電を5サイクル繰り返した際の容量mAh/gを測定し、初期容量とした。
上記にて初期容量を評価後、充放電レートを0.5Cに上げて、20サイクル充放電を行った。その後再度0.05Cに戻し、5サイクルの充放電を行った。最終サイクルにおける容量をサイクル後容量として確認し、以下の式より、容量維持率を算出した。
容量維持率=サイクル後容量/初期容量×100
なお、評価基準は以下の通りである。
A:98%以上。
B:98%未満。
<PTFE系樹脂の作製>
ステンレススチール製撹拌翼と温度調節用ジャケットとを備えた内容量6リットルのステンレススチール製オートクレーブに、脱イオン水の3480g、パラフィンワックスの100g、CF3CF2OCF2CF2OCF2COONH4の15.75g、及び親水性単量体D(Ammonium 2,3,3,3-tetrafluoro-2-[(1,1,2-trifluoro-2-propenyl)oxy]-Propanoate、構造式:CH2=CFCF2OCF(CF3)COONH4)の35mgを仕込み、70℃に加温しながらオートクレーブ内を窒素ガスで置換して酸素を除いた。TFEを圧入して系内圧力を0.78MPaGとし、撹拌しながら系内温度を70℃に保った。次いで、水の20gに過硫酸アンモニウムの14.0mgを溶解した水溶液をTFEで圧入し、重合反応を開始した。重合反応の進行に伴い系内圧力が低下するがTFEを追加して系内温度を70℃、系内圧力を0.78MPaGに維持した。重合開始からTFEが433g消費された時点で、ラジカル捕捉剤としてヒドロキノンの17.0mgを水の20gに溶解した水溶液をTFEで圧入した。重合はその後も継続し、TFEの重合量が重合開始から1273gになった時点で撹拌及びTFEの供給を止め、直ちに系内のガスを放出して常圧とし、重合反応を終了し、水性分散液を得た。得られた水性分散液を取り出し、冷却後、パラフィンワックスを分離し、PTFE系樹脂を含む水性分散液Aを得た。得られたPTFE系樹脂を含む水性分散液AにおけるPTFE系樹脂の平均一次粒子径は295nmであり、固形分濃度は26.5質量%であった。
得られたPTFE湿潤系樹脂をステンレス製のメッシュトレーに配置し(配置量:2.0g/cm2)、180℃の熱風循環式電気炉内でメッシュトレーを熱処理した。5時間後、メッシュトレーを取り出し、メッシュトレーを空冷させた後、PTFE系樹脂1Aを得た。
PTFE系樹脂1Aの平均粒子径は520μmであり、安息角は47°であり、細孔容積は13.0cm3/gであり、細孔メディアン径(体積)は100μmであった。
得られたPTFE系樹脂1Aに対して下記の手順でロータリーキルン処理を実施した。
ロータリーキルン(モトヤマ社RK-0330のヒーターを取り外し、SUS304のトレース配管を巻き付けたもの)と、チラー(小型水槽付チラー CLC250A、オリオン社)とを準備し、チラーにエチレングリコール水溶液を投入した。
チラーの設定温度を-10℃とし、PTFE系樹脂1Aをロータリーキルンの回転炉内に供給及び通過させて処理した。PTFE系樹脂1Aの回転炉内での滞留時間(処理時間)が30分間となるように、回転炉を回転数7rpmで回転させた。PTFE系樹脂1Aの投入速度を回転炉内のPTFE系樹脂1Aの充填率が10%となるようにし、回転炉の水平方向に対する傾斜角度を0.2°とした。回転炉を通過した後のPTFE系樹脂1Bの安息角は32°であり、細孔容積は13.0cm3/gであった。また、SSGは2.16、耐電圧は6kVであった。
得られたPTFE系樹脂1Bに対して、さらに下記の手順でプラズマ処理を実施した。
PTFE系樹脂1Bに対して、回転軸をグロー放電電極とする回転式のドラム型処理槽を備える回転式卓上真空プラズマ装置YHS-DφS(魁半導体製)を用いてプラズマ処理を行った。ドラム外側に冷却用のチューブを巻き付け、チラー循環装置で-10℃の冷媒を循環させた。処理槽内部の気圧を5Pa、雰囲気をArとし、回転状態としてその内部空間にプラズマを生成し、回転速度は10rpmで処理槽の回転軸を水平から20度傾けて5分間処理し、PTFE系樹脂1Cを得た。安息角は32°であり、細孔容積は0.5cm3/g、細孔メディアン径は50μmであった。得られたPTFE粉体を用いて、上記評価を行った。結果を表1及び2に示す(以下、同様に表1~3に示す)。
例2~例9の電極合剤シートについては、表1に示す条件に変更した外は、例1と同様の手順で、各電極合剤シートを得た。
なお、例5は、ロータリーキルン処理及びプラズマ処理のいずれも実施しなかった。例8は、ロータリーキルン処理を実施せず、プラズマ処理を実施した。例9は、ロータリーキルン処理を実施し、プラズマ処理は実施しなかった。
また、各PTFE系樹脂における各単位の割合を上述の方法で測定したところ、いずれのPTFE系樹脂においてもTFE単位の含有量が、各PTFE系樹脂の全単位に対して、99質量%以上であった。
邪魔板、撹拌機を備えた、100Lのステンレス鋼製オートクレーブに、C2F5OC2F4OCF2COONH4(Ammonium perfluoro-3,6-dioxaoctanoate、以下、「APFDO」と記す。)の70g、パラフィンワックスの872g、脱イオン水の59リットルを仕込んだ。オートクレーブを窒素置換した後減圧にして、CH2=CH-(CF2)4F(以下、「PFBE」と記す。)の2g、脱イオン水の300gを共に吸引させて仕込んだ。次いで、TFEで加圧し、撹拌しながら70℃に昇温した。次いで、TFEで1.765MPaまで昇圧し、ジコハク酸パーオキシド(濃度80質量%、残りは水分)の5.0gを約70℃の温水1リットルに溶解して注入した。そして、オートクレーブ内圧を1.765MPaに保つようにTFEを添加しながら重合を進行させた。APFDOを温水に溶解して重合途中でAPFDOとして合計125g添加した。また亜硫酸アンモニウムを水に溶解して重合途中で亜硫酸アンモニウムとして合計4g添加した。温度は途中65℃まで下げ、重合後半は90℃まで昇温した。TFEの添加量が23kgになったところで反応を終了させ、オートクレーブ中のTFEを大気放出した。
得られたPTFE水性乳化液を冷却し、上澄みのパラフィンワックスを除去した。PTFE水性乳化液の固形分濃度は約26質量%であった。使用したAPFDOは、最終PTFE収量に対して8478質量ppmであった。また、PFBEの添加量は、最終PTFE収量に対して0.0087質量%であった。また、反応器中の凝固物は痕跡程度であった。そして、PTFE微粒子の平均一次粒子径は250nmであり、
このPTFE水性乳化液を純水で濃度10質量%に希釈し、20℃に調整して撹拌し凝集させてPTFE湿潤系樹脂を得た。次いでこのPTFE湿潤系樹脂を180℃で乾燥した。例1と同様にロータリーキルン処理とプラズマ処理を行い、PTFE系樹脂10Cを得た。PTFE樹脂10CのSSGは2.14、耐電圧は10kVであった。
ステンレススチール製撹拌翼と、温度調節用ジャケットとを備えた内容量6リットルのステンレススチール製オートクレーブに、脱イオン水の3600g、パラフィンワックスの180g及びパーフルオロエーテルカルボン酸B(CF3CF2OCF2CF2OCF2COONH4)のアンモニウム塩の5.4g、コハク酸の0.108g、シュウ酸の0.0252gを仕込み、70℃に加温しながら重合槽内を窒素ガスで置換して酸素を除いた。撹拌しながら槽内温度を70℃に保った後に、TFEを導入し、2.7MPaGの圧力とした。内容物を撹拌しながら、過マンガン酸カリウムの3.5mgを溶解した脱イオン水を一定速度で連続的に添加し、重合槽内の圧力が2.7MPaGに一定になるように、TFEを連続的に供給した。TFE消費量が184gの時点で、パーフルオロエーテルカルボン酸Bのアンモニウム塩の3.8gを添加、TFE消費量が900gの時点で、上記過マンガン酸カリウムの3.5mgを溶解した脱イオン水全量を添加した。TFE消費量が1543gの時点で、撹拌及びTFE供給を停止して、重合槽内のTFEをパージし、重合反応を終了し、分散液を得た。得られた分散液を取り出し、冷却後、パラフィンワックスを分離し、PTFE系樹脂を含む水性分散液を得た。
得られたPTFE系樹脂を含む水性分散液の平均一次粒子径は310nmであり、上記水性分散液の固形分濃度は30.6質量%であった。
また、得られた水性分散液を固形分濃度13質量%まで希釈し、容器内で撹拌しながら硝酸を加え、PTFE系樹脂を凝固させた後、水と濾別し、PTFE湿潤系樹脂を得た。PTFE湿潤系樹脂の水の含有量は、PTFE湿潤系樹脂の全質量に対して、40質量%であった。
得られたPTFE湿潤系樹脂をステンレス製のメッシュトレーに配置し(配置量:2.0g/cm2)、180℃の熱風循環式電気炉内でメッシュトレーを熱処理した。5時間後、メッシュトレーを取り出し、メッシュトレーを空冷させた後、PTFE系樹脂11Aを得た。例1と同様にロータリーキルン処理とプラズマ処理を行い、例11のPTFE系樹脂11Cを得た。PTFE系樹脂11CのSSGは2.15、耐電圧は4kVであった。
露点-60℃以下の環境で、平均粒径1μmの硫化物固体電解質(NEI社製 Fine LPSCl)と、平均粒径7μmのニオブ酸リチウム被覆をしたNCM111粒子(正極活物質)と、導電助剤と例10のPTFE樹脂10Cと、を20質量部:75質量部:2質量部:3質量部の比で<正極合剤の作製>と同様にして混合とシート化を行った。得られた正極合剤シートに関して<壁面付着性>と<厚さの均一性>を評価した。
PTFE樹脂10Cに変えて、例5のPTFE樹脂5Cを使用した以外は、例12と同様に正極合剤シートを製造し、正極合剤シートに関して<壁面付着性>と<厚さの均一性>を評価した。
また、表1に示される例1~4の比較から、PTFE系樹脂の細孔メディアン径が10μm以上である場合、壁面付着性がより優れることが確認された。また、同様の比較から、プラズマ処理の温度が-50~0℃である場合も上記効果がより優れることが確認された。
さらに、表2に示されるように、耐電圧がそれぞれ6kV、10kVの例1、10では、耐電圧が4kVの例11よりも容量維持率が高くなった。
Claims (10)
- 二次電池用バインダーとして用いられるポリテトラフルオロエチレン系樹脂であって、
前記ポリテトラフルオロエチレン系樹脂の全単位に対するテトラフルオロエチレンに基づく単位の含有量は、99質量%以上であり、
安息角が、32~44°であり、
細孔容積が、0.2~9.0cm3/gである、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂。 - 細孔メディアン径が、10μm以上100μm以下である、請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレン系樹脂。
- 二次電池用バインダーとして用いられるポリテトラフルオロエチレン系樹脂であって、
安息角が、32~44°であり、
細孔容積が、0.2~9.0cm 3 /gであり、
細孔メディアン径が、10μm以上100μm以下である、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂。 - 外径5mm、内径4mmの中空円柱状の成形体の耐電圧が5kV以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリテトラフルオロエチレン系樹脂。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載のポリテトラフルオロエチレン系樹脂と、活物質とを含む、電極合剤。
- さらに、硫化物系固体電解質を含み、
前記ポリテトラフルオロエチレン系樹脂の含有量が、前記硫化物系固体電解質の100質量部に対して、1~10質量部である、請求項5に記載の電極合剤。 - シート状である、請求項5に記載の電極合剤。
- さらに導電助剤を含み、
前記ポリテトラフルオロエチレン系樹脂の含有量が、前記電極合剤の全質量に対して、0.5~10質量%であり、
前記活物質の含有量が、前記電極合剤の全質量に対して、88~99質量%であり、
前記導電助剤の含有量が、前記電極合剤の全質量に対して、0.5~10質量%である、請求項5に記載の電極合剤。 - 集電体と、前記集電体上に配置される請求項5に記載の電極合剤を含む電極層とを含む、電極。
- 請求項9に記載の電極を含む、二次電池。
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