JP7672115B2 - 直翅目昆虫用飼料 - Google Patents

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Description

本開示は、直翅目昆虫用飼料に関する。
近年、人間の活動に由来する地球環境への負荷を軽減する観点から、食料生産過程で生じる環境負荷を低減することが望まれている。例えば、タンパク源の一つである牛などの家畜の飼育には、穀類が飼料として用いられることがある。しかし、飼料用の穀類の生産は人間の食糧用の穀類の生産と競合するため、飼料用の穀類生産に由来する環境負荷が発生する。また、家畜の飼育に当たっては、水資源の消費や温室効果ガスの排出による環境負荷も生じる。これらの理由により、家畜の飼育による環境負荷は比較的高いという問題がある。
一方、コオロギやバッタなどの直翅目昆虫は、飼料のエネルギー変換効率が高く、飼育時の水資源の消費量や温室効果ガスの排出量も少ないため、家畜に比べて飼育時の環境負荷が低い。それ故、直翅目昆虫をタンパク源として利用することが期待されている。直翅目昆虫の飼育に当たっては、例えば特許文献1に記載されているように、動物質飼料や植物質飼料などの種々の飼料が用いられる。また、直翅目昆虫を大規模かつ効率よく成長させるために、養鶏用飼料等の穀類を基本とした飼料が用いられることもある。
特開平10-191834号公報
しかし、特許文献2に記載されたような動物質飼料や植物質飼料、及び穀類を基本とした家畜用飼料は、いずれも人間用の食料生産と競合する可能性がある。そのため、このような飼料を用いて直翅目昆虫の飼育を大規模に行う場合には、飼育時の環境負荷が低いという昆虫のメリットを十分に活かせなくなるおそれがある。
本開示は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、環境負荷が低く、直翅目昆虫を効率よく成長させることができる直翅目昆虫用飼料を提供しようとするものである。
本開示の一態様は、直翅目昆虫の飼育に用いられる飼料であって、
穀類のぬかと、
醤油粕と、を含み、
前記ぬかの含有量と前記醤油粕の含有量との合計に対する前記醤油粕の含有量の比率が2.5質量%以上75質量%以下である、直翅目昆虫用飼料にある。
前記直翅目昆虫用飼料(以下、「飼料」という。)には、穀類のぬかと醤油粕とが前記特定の比率で含まれている。このように、ぬかに対して醤油粕を前記特定の比率で混合することにより直翅目昆虫の成長を促進することができる。また、ぬか及び醤油粕は人間用の食料の生産に伴って生じる副生物であり、これらの原料の製造は人間用の食料生産と競合しない。従って、ぬか及び醤油粕を飼料として用いることにより、これらの原料の生産に起因する環境負荷を低減し、ひいては飼料に起因する環境負荷を低減することができる。
以上のように、前記の態様によれば、環境負荷が低く、直翅目昆虫を効率よく成長させることができる直翅目昆虫用飼料を提供することができる。
図1は、実施例における飼育終了時点でのコオロギの1匹当たり重量を示すグラフである。
前記飼料は、直翅目昆虫の飼育のために好適に用いることができる。直翅目昆虫としては、例えば、フタホシコオロギ(Gryllus bimaculatus)、ヨーロッパイエコオロギ(Acheta domesticus)、ジャマイカンフィールドコオロギ(Gryllus assimilis)及びタイワンオオコオロギ(Brachytrupes portentosus)などのコオロギ科に属する昆虫や、バッタ科の昆虫、ケラ科の昆虫などが挙げられる。前記飼料は、これらの昆虫の中でも、コオロギ科に属する昆虫に対して特に好適である。
食料としての有用性の観点からは、繁殖力に優れたフタホシコオロギ及びヨーロッパイエコオロギに対して前記飼料を用いることが好ましい。
前記飼料に含まれる穀類のぬかは、具体的には、穀類を精白した際に生じる果皮や種皮、胚芽などの混合物である。ぬかの原料となる穀類としては、例えば、米や小麦、大麦、ライ麦、エン麦などのイネ科植物の実を使用することができる。前記飼料には、単一種類の穀類のぬかが含まれていてもよく、2種類以上の穀類のぬかが含まれていてもよい。昆虫の成長促進効果をより確実に高める観点からは、飼料中に米ぬか及び小麦のぬかのうち少なくとも一方が含まれていることが好ましく、小麦のぬかが含まれていることがより好ましい。
前記飼料に含まれる醤油粕は、具体的には、醤油の醸造過程においてもろみから醤油を抽出した後に残る固形の残渣である。醤油粕には少なくとも大豆の発酵生成物が含まれており、さらに小麦の発酵生成物やトウモロコシの発酵生成物等の、醤油の原料に由来する発酵生成物が含まれ得る。醤油粕に含まれる大豆の発酵生成物は、脱脂されていない大豆(つまり、丸大豆)に由来する発酵生成物であってもよく、脱脂処理が施された大豆(つまり、脱脂大豆)に由来する発酵生成物であってもよい。すなわち、前記飼料に含まれる醤油粕は、丸大豆醤油の醤油粕であってもよいし、脱脂大豆醤油の醤油粕であってもよい。また、前記飼料には、単一種類の醤油粕が含まれていてもよいし、2種類以上の醤油粕が含まれていてもよい。
飼料中の醤油粕の含有量は、ぬかの含有量と醤油粕の含有量との合計に対して2.5質量%以上75質量%以下である。醤油粕は、後述するように単独で用いた場合には直翅目昆虫の成長を促進する効果をほとんど有しないが、前記特定の比率でぬかと混合することにより、ぬかを単独で飼料として用いた場合に比べて直翅目昆虫を効率よく成長させることができる。醤油粕の含有量がぬかの含有量と醤油粕の含有量との合計に対して2.5質量%未満の場合、または75質量%を超える場合には、醤油粕による直翅目昆虫の成長促進の効果が得られにくくなる。
直翅目昆虫の成長促進効果をより高める観点からは、飼料中の醤油粕の含有量は、ぬかの含有量と醤油粕の含有量との合計に対して5質量%以上70質量%以下であることが好ましく、10質量%以上65質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上60質量%以下であることがさらに好ましく、25質量%以上50質量%以下であることが特に好ましい。
前記飼料は、必須成分としての穀類のぬかと醤油粕とから構成されていてもよいし、ぬか及び醤油粕に加え、他の成分が含まれていてもよい。例えば、前記飼料中には、直翅目昆虫の成長促進に有効な栄養素の製剤や、これらの栄養素を多く含む動物質原料及び植物質原料等を配合することができる。このような栄養素としては、ビタミンA及びビタミンE等のビタミンが挙げられる。特に、飼料中にビタミンA及び/またはビタミンEを多く含む成分を配合することにより、直翅目昆虫の成長促進効果をより高めることが期待できる。
ビタミンAを多く含む原料としては、例えば、畜肉や卵、乳製品、魚、ニンジン、ホウレンソウ及びこれらを含む食品残渣などが挙げられる。また、ビタミンEを多く含む原料としては、例えば、卵、植物性油、植物の種子及びこれらを含む食品残渣などが挙げられる。飼料の原料に由来する環境負荷の増大を容易に回避する観点からは、飼料中に配合する成分は、人間用の食料生産に伴って生じる副生物又は食品残渣であることが好ましい。
飼料中にぬか及び醤油粕以外の成分が配合される場合、飼料中のぬかの含有量と醤油粕の含有量との合計は50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。
前記直翅目昆虫用飼料の実施例について、図1を参照しつつ説明する。本例においては、表1に示す15種類の飼料(飼料S1~S12及び飼料R1~R3)を準備し、これらの飼料を用いてフタホシコオロギを一定の期間飼育した。そして、飼育終了時点におけるコオロギ一匹当たりの重量に基づき、飼料の有効性の評価を行った。以下、飼料の具体的な構成及び飼育方法等について詳説する。
<飼料>
・飼料S1~S12
飼料S1~S12は、市販されている飼料用の小麦のぬかと、市販されている飼料用の脱脂醤油粕とを表1に示す比率で含有する混合物である。飼料S1~S12を作製するに当たっては、まず、原料である小麦のぬか及び脱脂醤油粕を粉砕した後、表1に示す比率で混合する。この混合粉末に水を加え、ぬかと脱脂醤油粕とが概ね均一になるまで練り混ぜる。練り混ぜた混合物を乾燥させた後、破砕してペレット化することにより、飼料S1~S12を得ることができる。
・飼料R1
飼料R1は、小麦のぬかである。飼料R1としては、市販されている飼料用の小麦のぬかをそのまま使用した。
・飼料R2
飼料R2は、脱脂醤油粕である。飼料R2としては、市販されている飼料用の脱脂醤油粕をそのまま使用した。
・飼料R3
飼料R3は、魚粉を含む市販の混合飼料である。なお、飼料R3には魚粉などが含まれているため、飼料R3の製造過程における環境負荷は飼料S1~S12及び飼料R1~R2に比べて高いと考えられる。
<コオロギの飼育方法>
飼育実験には、孵化から9日目のフタホシコオロギを用いた。まず、フタホシコオロギ50匹の総重量を測定し、この値をコオロギの数(つまり、50)で除することにより飼育開始時点での1匹当たりのコオロギの重量を算出した。
次に、飼育ケージ内に水、隠ぺい物及び飼料を入れたシャーレを配置した。この飼育ケージ内に重量測定後のフタホシコオロギ50匹を入れ、飼料を適宜補充しながら3週間飼育した。そして、3週間経過時点(つまり、孵化から30日目)において生存していたコオロギの総重量を計測した。このようにして得られたコオロギの総重量を3週間経過時点の生存数で除することにより、飼育終了時点での1匹当たりのコオロギの重量を算出した。
以上の飼育実験を各飼料について4回ずつ行い、飼育開始時及び飼育終了時の1匹当たりのコオロギの重量の算術平均値及び標準偏差を算出した。表1にこれらの値を示す。また、図1に、飼育終了時点での1匹当たりのコオロギの重量と飼料中の醤油粕の含有量の比率との関係をまとめたグラフを示す。図1の縦軸は1匹当たりのコオロギの重量(単位:mg)であり、横軸は小麦のぬかの含有量と醤油粕の含有量との合計に対する醤油粕の含有量の比率(単位:質量%)である。また、図1のデータ点は飼育終了時の1匹当たりのコオロギの重量の算術平均値であり、エラーバーは標準偏差である。
Figure 0007672115000001
表1及び図1に示したように、醤油粕の含有量の比率が2.5質量%以上75質量%以下である飼料S1~S10を用いて行った飼育実験では、飼育終了時の1匹当たりのコオロギの重量が小麦のぬかのみからなる飼料R1を用いて行った飼育実験と同等以上となった。また、表1によれば、これらの飼料の中でも醤油粕の含有量の比率が25質量%以上50質量%以下である飼料S6~S8は、市販されている飼料R3に近い成長促進効果を有していることが理解できる。
一方、表1及び図1に示したように、醤油粕のみからなる飼料R2や、醤油粕の含有量の比率が75質量%以上である飼料S11~S12を用いて飼育されたコオロギは、飼料R1を用いて飼育されたコオロギに比べても1匹当たりの重量が小さくなった。特に、醤油粕のみからなる飼料R2を用いた場合には、飼育開始時点の1匹当たりのコオロギの重量と飼育終了時点の1匹当たりのコオロギの重量との差が他の飼料に比べて格段に小さくなった。
以上の結果によれば、穀類のぬかに対して、単独ではコオロギの成長を促進する効果をほとんど有しない醤油粕を前記特定の範囲で配合することにより、穀類のぬかを単独で用いた場合に比べて直翅目昆虫の成長を促進させることができることが理解できる。
以上、実施例に基づいて本開示に係る直翅目昆虫用飼料の具体的な態様を説明したが、本開示に係る直翅目昆虫用飼料の具体的な態様は実施例の態様に限定されるものではなく、本開示の趣旨を損なわない範囲で適宜構成を変更することができる。

Claims (3)

  1. 直翅目昆虫の飼育に用いられる飼料であって、
    穀類のぬかと、
    醤油粕と、を含み、
    前記ぬかの含有量と前記醤油粕の含有量との合計に対する前記醤油粕の含有量の比率が2.5質量%以上75質量%以下である、直翅目昆虫用飼料。
  2. 前記ぬかの含有量と前記醤油粕の含有量との合計に対する前記醤油粕の含有量の比率が20質量%以上60質量%以下である、請求項1に記載の直翅目昆虫用飼料。
  3. 前記直翅目昆虫がコオロギ科に属する昆虫である、請求項1または2に記載の直翅目昆虫用飼料。
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