JP7534697B2 - トポロジ推定装置、再取得判定方法およびトポロジ推定プログラム - Google Patents
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Description
本発明は、トポロジ推定装置、再取得判定方法およびトポロジ推定プログラムに関する。
通信キャリアでは、数十万台規模のネットワークを運用および管理し、故障発生時には、迅速な故障復旧が求められ、故障対応およびその他の運用管理業務は、ネットワークの構成情報をもとに実施される。そのため、最新の構成情報を管理することが必要となる。
構成情報の把握については、各インタフェースの組み合わせにおける各時刻のトラヒック量を比較することで、各インタフェースの接続関係を推定する技術がある(特許文献1)。
商用ネットワークのネットワーク装置から取得した実際のトラヒックデータでは、一部のデータに欠損が発生する場合がある。例えば、ネットワーク装置からトラヒックデータを取得する際はSNMP(Simple Network Management Protocol)のポーリングなどを利用するが、データ取得側でのシステム負荷の発生などにより、タイミングによってはネットワーク装置からデータが取得できず、欠損となることがある。ネットワーク装置の各インタフェースで取得したトラヒックデータに欠損が生じると、欠損した時点のデータを使用することができない。そのため、欠損したデータが多くなると、接続関係の推定精度に影響を及ぼしてしまう。
実ネットワークのデータを利用する以上、データの欠損は基本的に避けることができない。欠損がないトラヒックデータを利用するために、欠損が発生する度にトラヒックデータを再取得することが考えられるが、それでは効率が悪い。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、不要なトラヒックデータの再取得を低減する技術を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、トポロジ推定装置であって、複数のネットワーク装置の各インタフェースから取得した時系列なトラヒックデータに欠損があるか否かを判定する欠損判定部と、欠損がある場合、欠損したデータを補間した補間トラヒックデータを生成する補間部と、欠損がある前記トラヒックデータと、他のトラヒックデータとの類似度を示す第1スコアを算出し、前記補間トラヒックデータと前記他のトラヒックデータとの類似度を示す第2スコアを算出する算出部と、第1スコアと第2スコアとを用いて、欠損がある前記トラヒックデータを再取得するか否かを判定する比較部と、を備える。
本発明の一態様は、コンピュータが行う再取得判定方法であって、複数のネットワーク装置の各インタフェースから取得した時系列なトラヒックデータに欠損があるか否かを判定するステップと、欠損がある場合、欠損したデータを補間した補間トラヒックデータを生成するステップと、欠損がある前記トラヒックデータと、他のトラヒックデータとの類似度を示す第1スコアを算出し、前記補間トラヒックデータと前記他のトラヒックデータとの類似度を示す第2スコアを算出するステップと、第1スコアと第2スコアとを用いて、欠損がある前記トラヒックデータを再取得するか否かを判定するステップと、を行う。
本発明の一態様は、上記トポロジ推定装置として、コンピュータを機能させるトポロジ推定プログラムである。
本発明によれば、不要なトラヒックデータの再取得を低減する技術を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態のシステムを示すシステム構成図である。図示するシステムは、ネットワーク9と、トポロジ推定装置1と、取得装置5と、管理装置7とを備える。ネットワーク9は、複数のNW装置3(ネットワーク装置)を備える。NW装置3は、少なくとも1つのIF31(インタフェース)を備える。IF31は、NW装置3間でデータ(パケット)を送受信するための接続部(ポート)である。図示する例では、2つのNW装置3を示すが、NW装置3は3つ以上であってもよい。
NW装置3は、データを送受信する装置であって、NW装置3には、例えばIPレイヤのIP装置、伝送レイヤの伝送装置、データを送受信可能なサーバ、スイッチなどの装置を用いることができる。
取得装置5は、ネットワーク9に配置された複数のNW装置3の各IF31のトラヒックデータを取得し(S1)、トポロジ推定装置1に送信する(S2)。
トポロジ推定装置1は、ネットワーク9におけるNW装置3の各IF31の接続関係(トポロジ)を推定する。本実施形態では、トポロジ推定装置1は、取得装置5から送信されたトラヒックデータ(トラヒック量)を比較することでネットワーク9の接続関係を推定する。
トポロジ推定装置1は、トラヒックデータに欠損がある場合、その欠損点の数が許容範囲なのか否かを判定し、許容範囲の場合は、欠損したトラヒックデータを用いて接続関係を推定し、接続関係情報を管理装置7に出力する(S4)。一方、許容範囲でない場合、トポロジ推定装置1は、取得装置5にトラヒックデータの再取得を指示する(S3)。
管理装置7は、ネットワーク9を管理および運用する。具体的には、管理装置7は、ネットワーク9の構成情報を保持するトポロジ情報DB71を保持し、NW装置3および通信経路を管理する。取得装置5と管理装置7は、同一の装置であってもよい。
図2は、本実施形態におけるNW装置の各IFの接続関係の推定概要を示す説明図である。
本実施形態のトポロジ推定装置1は、各IFの組み合わせ(IFi,IFj)における各時刻のトラヒック量を比較することで、各IFの接続関係を推定する。ある時刻tの各IF(IFi,IFj)における入出力トラヒック量をIFi(t).in,IFi(t).out,IFj(t).in,IFj(t).outとし、解析対象とするデータ点(時刻)の数をTとする。このとき、トポロジ推定装置1は、トラヒックデータの類似度を示す「スコア」を以下の式で算出し、算出したスコアを比較することで接続関係を推定する。
図2では、NW装置Aの各IF(A1、A2)におけるトラヒックデータ201、202と、NW装置Bの各IF(B1、B2)におけるトラヒックデータ203、204を示している。図示する例では、トラヒックデータ201のOUT(送信トラヒック量)と、トラヒックデータ204のIN(受信トラヒック量)とが一致し、トラヒックデータ201とのINと、トラヒックデータ204のOUTとが一致している。この場合、NW装置AのIF1とNW装置BのIF2とが、接続関係にあるといえる。このとき、NW装置AのIF(A1)とNW装置BのIF(B2)との組み合わせで上記式を用いて算出されるスコアは、各時刻における送受信トラフィック量が完全に一致するため、0となる。
同様に、トラヒックデータ202とのOUTと、トラヒックデータ203のINとが一致し、トラヒックデータ202とのINと、トラヒックデータ203のOUTとが一致している。この場合、NW装置AのIF(A2)とNW装置BのIF(B1)とは、接続関係にあるといえ、上記式で算出されるスコアは0となる。
図3は、一部に欠損があるトラヒックデータを用いたスコア算出を示す図である。接続関係の推定に用いる上記スコアの計算式では、各IFで取得したトラヒックデータの一部のデータ点に欠損が生じた場合、当該データ点はスコアの算出に用いることができない。欠損した時刻のデータ点は、スコア算出の対象から除外するが、この欠損が多くなると推定精度に影響を及ぼす。
図3に示すグラフでは、NW装置AのIF(A1)のINのトラヒックデータ301と、NW装置BのIF(B1)のOUTのトラヒックデータ302とを示す。NW装置Bのトラヒックデータ302では、時刻t5およびt10のデータ点が欠損している。この場合、時刻t5およびt10のデータ点は、スコアの算出対象から外れる(例えばnull)。
欠損がないトラヒックデータを利用した解析が理想的であるが、実際のネットワーク上でのトラヒックデータを利用する以上、データの欠損は基本的に避けることができない。また、欠損が発生する度にトラヒックデータを再取得するのは効率が悪い。そこで、本実施形態では、欠損が許容範囲か否かを判定する。
図4は、欠損データの種類について説明するための説明図である。トラヒックデータは離散値のため、線形補間等の手法を利用してデータ補間する場合、基本的には完全に欠損点を模擬できない。また、補間したデータ点は次の2つのパターンがある。
パターン1:データ補間した値と、欠損した実際の値との差分が、所定の閾値より大きいデータ点
パターン2:データ補間した値と、欠損した実際の値との差分が、所定の閾値より小さいデータ点
パターン1は、バースト値などの特徴的な値を有する特異点が該当し、パターン2は、定常変化のデータ点が該当する。
パターン2:データ補間した値と、欠損した実際の値との差分が、所定の閾値より小さいデータ点
パターン1は、バースト値などの特徴的な値を有する特異点が該当し、パターン2は、定常変化のデータ点が該当する。
図4に示すグラフでは、図3と同様に、NW装置AのIF(A1)のINのトラヒックデータ301と、NW装置BのIF(B1)のOUTのトラヒックデータ302とを示す。図4では、トラヒックデータ302において、欠損している時刻t5およびt10のデータ点において、仮にデータが欠損せずに取得できていた場合におけるトラヒック量のデータ点と、データ補間した値とを示している。
時刻t5のデータ点は、パターン2であり、データ補間した値と、欠損した実際の値との差分は小さい。一方、時刻t10のデータ点は、パターン1であり、データ補間した値と、欠損した実際の値との差分は大きい。
トラヒックデータ同士のスコア(類似度)を用いるトポロジ推定では、接続関係にないIFとの間で大きな差分となる特徴量のデータ点であるバースト値などをとらえられない場合に、その推定精度が大きく劣化する。本実施形態では、この特徴を用いて欠損を許容する否かを判定する。
図5は、欠損が許容範囲か否かを説明するための説明図である。本実施形態では、前述のデータ補間を用いて許容範囲か否かを判定する。
トポロジ推定装置1は、補間前のトラヒックデータを用いてスコア(第1スコア)を算出するとともに、補間後のトラヒックデータを用いてスコア(第2スコア)を算出する。トポロジ推定装置1は、補間前の算出結果と補間後の算出結果とを比較し、大きな変化が生じた場合に、欠損したデータ点が推定精度に大きく影響するとみなしてトラヒックデータの再取得が必要と判定する。
一方、補間前の算出結果と補間後の算出結果とが大きく変化しない場合、トポロジ推定装置1は、欠損したデータ点は推定精度への影響が小さいとみなし、トラヒックデータの再取得は不要と判定する。これにより、不要なトラヒックデータの再取得に要するネットワーク負荷およびシステム負荷を軽減することができる。
図5に示す例では、欠損のあるIF(B1)のトラヒックデータと、他のIF(A1、A2、B2)のトラヒックデータとのそれぞれのスコアの算出結果を示す。欠損データを無視した補間前のトラヒックデータを用いた場合、(B1,A1)、(B1,A2)、(B1,B2)の各組み合わせのスコアは、1.03、1.73、1.44である。一方、補間後のトラヒックデータを用いた場合、(B1,A1)、(B1,A2)、(B1,B2)の各組み合わせのスコアは、1.33、1.71、1.42である。
トポロジ推定装置1は、図示するように欠損点のあるIF(B1)と他のIFとのスコアの変化率をそれぞれ算出し、算出した変化率(絶対値)の和が所定の閾値以上の場合に、欠損点のあるIF(B1)のトラヒックデータの再取得が必要であると判定する。変化率は、例えば以下の式により算出する。
変化率=|補間後スコア-補間前スコア|/補間前スコア
図6は、本実施形態のトポロジ推定装置1の構成を示すブロック図である。トポロジ推定装置1は、NW装置3の各IFから取得した時系列なトラヒックデータを比較することで各IFの接続関係(トポロジ)を推定する。トポロジ推定装置1は、トポロジ推定対象の各IFのトラヒックデータに欠損が生じている場合に、当該欠損により推定精度が劣化するか否かを判定し、推定精度が劣化する場合にトラヒックデータの再取得を指示する。
図6は、本実施形態のトポロジ推定装置1の構成を示すブロック図である。トポロジ推定装置1は、NW装置3の各IFから取得した時系列なトラヒックデータを比較することで各IFの接続関係(トポロジ)を推定する。トポロジ推定装置1は、トポロジ推定対象の各IFのトラヒックデータに欠損が生じている場合に、当該欠損により推定精度が劣化するか否かを判定し、推定精度が劣化する場合にトラヒックデータの再取得を指示する。
図示するトポロジ推定装置1は、入出力部10と、処理部20と、記憶部30とを備える。
入出力部10は、入力部11と、出力部12とを備える。入力部11は、取得装置5から送信される、各NW装置3のIF毎の時系列なトラヒックデータを入力する。出力部12は、推定部25は推定した接続関係情報を出力する。
処理部20は、欠損判定部21と、補間部22と、算出部23と、比較部24と、推定部25とを備える。
欠損判定部21は、複数のNW装置3の各IFから取得した時系列なトラヒックデータに欠損があるか否かを判定する。欠損判定部21は、例えば、時系列データであるトラヒックデータのデータ点の間隔を比較することで、欠損が存在するか否かを判定する。欠損判定部21は、入力部11を介して入力された各NW装置3のIF毎のトラヒックデータを、トラヒック記憶部31に記憶する。
補間部22は、トラヒックデータに欠損がある場合、欠損したデータを補間した補間トラヒックデータを生成し、補間データ記憶部32に記憶する。具体的には、補間部22は、欠損したデータ点の値(トラヒック量)を補間する。補間部22は、既存の補間関数(例えばPythonのinterpolate()などの線形補間手法)を用いて補間してもよく、あるいは、独自の補間方法を実装してもよい。
算出部23は、2つのトラヒックデータの類似度を示すスコアを算出する。具体的には、算出部23は、欠損があるトラヒックデータが存在する場合、欠損があるトラヒックデータと、他のトラヒックデータとの類似度を示す補間前のスコア(第1スコア)を算出するとともに、補間トラヒックデータと他のトラヒックデータとの類似度を示す補間後のスコア(第2スコア)を算出する。また、算出部23は、他のトラヒックデータ同士の組み合わせのスコア(第1スコア)も算出する。スコアの算出は、前述のとおりである。
トラヒックデータに欠損がない場合、算出部23は、2つのトラヒックデータの全ての組み合わせのスコア(第1スコア)を算出する。算出部23は、算出したスコアをスコア記憶部33に記憶する。
比較部24は、欠損があるトラヒックデータが存在する場合、補間前のトラヒックデータのスコアと、補間後のトラヒックデータのスコアとを比較し、欠損が許容範囲か否か、すなわちトラヒックデータを再取得すべきか否か判定する。具体的には、比較部24は、補間前のスコア(第1スコア)と補間後のスコア(第2スコア)とを用いて、欠損があるトラヒックデータを再取得するか否かを判定する。
例えば、比較部24は、補間前のスコアと補間後のスコアの変化率を用いて、欠損があるトラヒックデータを再取得するか否かを判定してもよい。変化率は、前述の通りである。
具体的には、算出部23は、欠損があるトラヒックデータと他の複数のトラヒックデータとのそれぞれの第1スコアと、補間トラヒックデータと他の複数のトラヒックデータとのそれぞれの第2スコアとを算出する。比較部24は、第1スコアと第2スコアとの各変化率の合計が所定の閾値以上の場合に、欠損があるトラヒックデータを再取得すると判定する。閾値は、ユーザが経験則に基づいて予め設定してもよく、あるいは機械学習等を利用して設定しても良い。
なお、比較部24は、各変化率と所定の他の閾値とを比較し、少なくとも1つの変化率が他の閾値以上の場合に、欠損があるトラヒックデータを再取得すると判定してもよい。また、第1スコアと第2スコアとの差分を用いて、欠損があるトラヒックデータを再取得するか否かを判定してもよい。
比較部24は、トラヒックデータを再取得すると判定した場合、欠損があるトラヒックデータの再取得指示を取得装置5に送信する。なお、本実施形態では、比較部24は、欠損があるトラヒックデータの再取得指示を送信するが、欠損があるトラヒックデータだけでなく、対象となる全てのトラヒックデータの再取得指示を送信してもよい。
一方、変化率の合計が閾値以下の場合(欠損が許容範囲の場合)、比較部24は、トラヒックデータの再取得指示を送信することなく、推定部25に接続関係の推定を指示する。
推定部25は、算出部23が算出したスコア(第1スコア)を用いて、各IFの接続関係を推定し、推定結果を推定結果記憶部35に記憶する。具体的には、推定部25は、全てのトラヒックデータに欠損がない場合、または、比較部24が欠損は許容範囲であると判定した場合、接続関係を推定し、接続関係情報(推定結果)を出力する。推定部25、構成情報記憶部34を用いて、各IFの組み合わせ候補を生成する。推定部25の推定処理については後述する。
記憶部30は、トラヒック記憶部31と、補間データ記憶部32と、スコア記憶部33と、構成情報記憶部34と、推定結果記憶部35とを備える。トラヒック記憶部31には、取得装置5が収集したNW装置3のトラヒックデータが記憶される。補間データ記憶部32には、補間部22が補間した補間トラヒックデータが記憶される。スコア記憶部33には、算出部23が算出したスコアが記憶される。構成情報記憶部34には、ネットワークに配置されたNW装置およびIFの構成情報が記憶される。推定結果記憶部35には、推定部25が推定したIFの接続関係情報が記憶される。
以下に、本実施形態のトポロジ推定装置1の動作を説明する。
図7は、トポロジ推定装置1の動作概要を示す説明図である。トポロジ推定装置1は、取得装置5から時系列なトラヒックデータを入力し、トラヒックデータに欠損があるか否かを判定する(S21)。
トラヒックデータに欠損がある場合、トポロジ推定装置1は、欠損したデータを補間した補間トラヒックデータを生成する(S22)。トポロジ推定装置1は、欠損があるトラヒックデータと、他のトラヒックデータとの補正前のスコアを算出するとともに、補間トラヒックデータと他のトラヒックデータとの補正後のスコアを算出する(S23)。トポロジ推定装置1は、補正前のスコアと補正後のスコアとの変化率を用いて、欠損があるトラヒックデータを再取得するか否かを判定する(S24)。
本実施形態では、トポロジ推定装置1は、補正前のスコアと補正後のスコアとの各変化率の合計が所定の閾値以上の場合に、欠損があるトラヒックデータを再取得すると判定する。
再取得すると判定した場合、トポロジ推定装置1は、取得装置5に欠損があるトラヒックデータの再取得指示を送信する。再取得しないと判定した場合、トポロジ推定装置1は、補間前のスコアを用いて接続関係を推定し(S25)、推定結果である接続関係情報をトポロジ情報DB71に出力する。
一方、トラヒックデータに欠損がない場合、トポロジ推定装置1は、2つのトラヒックデータの全ての組み合わせのスコアを算出し(S23)、算出したスコアを用いて接続関係を推定し(S25)、推定結果である接続関係情報をトポロジ情報DB71に出力する。
図8は、トポロジ推定装置1の動作を示すフローチャートである。トポロジ推定装置1は、取得装置5から全てのNW装置3のIF毎のトラヒックデータを受信し、各トラヒックデータに欠損があるか否かを判定する(S31)。
欠損があるトラヒックデータが存在する場合(S32:YES)、トポロジ推定装置1は、欠損があるトラヒックデータについてデータ補間し、補間トラヒックデータを生成するする(S33)。
トポロジ推定装置1は、補間前のトラヒックデータを用いた補間前のスコアを算出するとともに、補間トラヒックデータを用いた補間後のスコアを算出する(S34)。トポロジ推定装置1は、補間前のスコアと補間後のスコアの変化率が閾値以上か否かを判定する(S35)。
変化率が閾値以上の場合(S35:YES)、トポロジ推定装置1は、欠損が許容範囲を超えるとみなし、取得装置5に欠損のあるトラヒックデータの再取得指示を送信する(S36)。一方、変化率が閾値未満の場合(S35:NO)、トポロジ推定装置1は、欠損が許容範囲であるとみなし、トラヒックデータの再取得をすることなく、S34で算出した補間前のスコアを用いて接続関係を推定し(S38)、推定結果である接続関係情報を出力する(S39)。接続関係の推定については後述する。
一方、トラヒックデータに欠損がない場合(S32:NO)、トポロジ推定装置1は、2つのトラヒックデータの全ての組み合わせのスコアを算出し(S37)、算出したスコアを用いて接続関係を推定し(S38)、推定結果である接続関係情報を出力する(S39)。
次に、トポロジ推定装置1の推定部25による、スコアを用いた接続関係(トポロジ)の推定について説明する。
本実施形態では、接続関係にあるIF間には以下の2つの原則が成り立つことに着目し、推定対象の全NW装置の全IFから2つの原則を満たすIFの組み合わせを抽出することで、接続関係を推定する。以下、具体例を用いて2つの原則を説明する。
NW装置AがIF(A1、A2)を持ち、NW装置BがIF(B1)を持ち、NW装置CがIF(C1)を持ち、それらがネットワークを介して接続関係にあるとする。それぞれのIFの受信トラヒックをA1.in、A2.in、B1.in、C1.inと表し、送信トラヒックを1.out、A2.out、B1.out、C1.outと表す。
原則1:ネットワーク内では基本的にトラヒックが消滅したり、新たに発生したりすることはないため、受信トラヒックと送信トラヒックは一致し、以下の関係が成り立つ。
A1.out+A2.out+B1.out+C1.out=A1.in+A2.in+B1.in+C1.in
原則2:正常な状態において経路ループは発生しているため、あるNW装置から流出したトラヒックが同じノードに流入することはないことから、以下の関係が成り立つ。
原則2:正常な状態において経路ループは発生しているため、あるNW装置から流出したトラヒックが同じノードに流入することはないことから、以下の関係が成り立つ。
A1.out+A2.out≦B1.in+C1.in
B1.out≦A1.in+A2.in+C1.in
C1.out≦A1.in+A2.in+B1.in
推定部25は、これらの原則を満たすIFの組み合わせを抽出することで接続関係を推定する。取得した実際のトラヒック量は、収集タイミングのズレやパケットロスなどにより、原則1の通りトラヒック量が完全に一致するわけではない。そこで、以下に示すPが許容誤差σ1に収まる場合、原則1を満たしているものとする。
B1.out≦A1.in+A2.in+C1.in
C1.out≦A1.in+A2.in+B1.in
推定部25は、これらの原則を満たすIFの組み合わせを抽出することで接続関係を推定する。取得した実際のトラヒック量は、収集タイミングのズレやパケットロスなどにより、原則1の通りトラヒック量が完全に一致するわけではない。そこで、以下に示すPが許容誤差σ1に収まる場合、原則1を満たしているものとする。
原則2については、推定部25は、原則1が成立した全てのNW装置に対して以下の関係式を満たしているか判定する。
2つのIFの接続関係をIFペアと呼ぶこととする。IFペア(IFi,IFj)の場合、IFiから流出したトラヒックは全て対向のIFjへ流入するため、原則2の式で必ず等号が成り立つ。そのため、前述のスコアが許容誤差σ2に収まる場合、原則1および原則2の両方を満たしているものとする。
各IFの送受信トラヒック量と、NW装置とIFの組み合わせ情報から、各IFの接続関係を推定する手順を以下に示す。
手順1-1では、算出部23が、推定対象のIF群の全ての組み合わせのIFペアについて前述したスコアを算出する。
手順1-2では、推定部25は、スコアが閾値(ペア無し閾値)を下回ったIFペアは接続関係ありと判定し、推定対象のIF群から削除する。ただしIFが重複する組み合わせ、例えば(IFa,IFc)、(IFa,IFd)、(IFb,IFc)、(IFb,IFd)の全てが閾値を下回った場合、推定結果の組み合わせのスコアの合計が最も小さくなるようなIFの組み合わせに接続関係ありと判定する。
手順2では、推定部25は、全ての時刻において、所定のトラヒック閾値を一度も越えていないIFを推定対象から取り除く。これは、トラヒックの絶対量が極端に小さいIFはp(t)値の増減に対する影響が極めて小さいため、推定対象に含まれやすく、誤った推定となりやすいためである。
手順3-1では、推定部25は、推定対象のIF群からk(初期値:k=3)個のIFからなる組み合わせに対して、各時刻のp(t)を算出する。
手順3-2では、推定部25は、算出したp(t)値が全ての時刻tで所定の閾値(サブネット閾値)以下となった組み合わせについて原則1が成立しているものとみなし、かつ原則2が成立している場合は、接続関係ありと判定し、推定対象のIF群から削除する。
手順3-3では、推定部25は、kの値が推定対象のIF群のNW装置の数と等しい場合は終了し、NW装置の数より小さい場合はk=k+1として手順3-1へ戻る。ただし計算量削減のためk_max を定義し、k=k_maxの場合終了してもよい。
以上説明した本実施形態のトポロジ推定装置1は、複数のNW装置3の各IFから取得した時系列なトラヒックデータに欠損があるか否かを判定する欠損判定部21と、欠損がある場合、欠損したデータを補間した補間トラヒックデータを生成する補間部22と、欠損がある前記トラヒックデータと、他のトラヒックデータとの類似度を示す補間前のスコア(第1スコア)を算出し、前記補間トラヒックデータと前記他のトラヒックデータとの類似度を示す補間後のスコア(第2スコア)を算出する算出部23と、補間前のスコアと補間後のスコアとを用いて、欠損がある前記トラヒックデータを再取得するか否かを判定する比較部24と、備える。
このように、本実施形態では、補間前のスコアと補間後のスコアとを比較し、大きな変化が生じた場合に、欠損したデータ点が推定精度に大きく影響するとみなしてトラヒックデータの再取得が必要と判定する。一方、補間前のスコアと補間後のスコアとが大きく変化しない場合、欠損したデータ点は推定精度への影響が小さいとみなし、トラヒックデータの再取得は不要と判定する。
これにより、本実施形態では、接続関係の推定精度を維持しつつ、不要なトラヒックデータの再取得を低減することができる。本実施形態では、不要なトラヒックデータの再取得によるネットワーク負荷およびシステム負荷を軽減し、運用者の作業負荷を低減することができる。
上記説明したトポロジ推定装置1には、例えば、図9に示すような汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。図示するコンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit、プロセッサ)901と、メモリ902と、ストレージ903(HDD:Hard Disk Drive、SSD:Solid State Drive)と、通信装置904と、入力装置905と、出力装置906とを備える。メモリ902およびストレージ903は、記憶装置である。このコンピュータシステムにおいて、CPU901がメモリ902上にロードされたトポロジ推定装置1用のプログラムを実行することにより、トポロジ推定装置1の各機能が実現される。
また、トポロジ推定装置1は、1つのコンピュータで実装されてもよく、あるいは複数のコンピュータで実装されても良い。また、トポロジ推定装置1は、コンピュータに実装される仮想マシンであっても良い。
トポロジ推定装置1用のプログラムは、HDD、SSD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD (Compact Disc)、DVD (Digital Versatile Disc)などのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶することも、ネットワークを介して配信することもできる。
なお、本発明は上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である
1 :トポロジ推定装置
10:入出力部
11:入力部
12:出力部
20:処理部
21:欠損判定部
22:補間部
23:算出部
24:比較部
25:推定部
30:記憶部
31:トラヒック記憶部
32:補間データ記憶部
33:スコア記憶部
34:構成情報記憶部
35:推定結果記憶部
3 :NW装置
5 :取得装置
7 :管理装置
10:入出力部
11:入力部
12:出力部
20:処理部
21:欠損判定部
22:補間部
23:算出部
24:比較部
25:推定部
30:記憶部
31:トラヒック記憶部
32:補間データ記憶部
33:スコア記憶部
34:構成情報記憶部
35:推定結果記憶部
3 :NW装置
5 :取得装置
7 :管理装置
Claims (7)
- 複数のネットワーク装置の各インタフェースから取得した時系列なトラヒックデータに欠損があるか否かを判定する欠損判定部と、
欠損がある場合、欠損したデータを補間した補間トラヒックデータを生成する補間部と、
欠損がある前記トラヒックデータと、他のトラヒックデータとの類似度を示す第1スコアを算出し、前記補間トラヒックデータと前記他のトラヒックデータとの類似度を示す第2スコアを算出する算出部と、
第1スコアと第2スコアとを用いて、欠損がある前記トラヒックデータを再取得するか否かを判定する比較部と、を備える
トポロジ推定装置。 - 前記比較部は、再取得すると判定した場合、取得装置に欠損がある前記トラヒックデータの再取得指示を送信する
請求項1記載のトポロジ推定装置。 - 前記比較部は、第1スコアと第2スコアの差分を用いて、欠損がある前記トラヒックデータを再取得するか否かを判定する
請求項1または2記載のトポロジ推定装置。 - 前記算出部は、欠損がある前記トラヒックデータと他の複数のトラヒックデータとのそれぞれの第1スコアと、前記補間トラヒックデータと他の複数のトラヒックデータとのそれぞれの第2スコアとを算出し、
前記比較部は、第1スコアと第2スコアとの各変化率の合計が所定の閾値以上の場合に、欠損がある前記トラヒックデータを再取得すると判定する
請求項1から3のいずれか1項に記載のトポロジ推定装置。 - 第1スコアを用いて、各インタフェースの接続関係を推定する推定部を備える
請求項1から4のいずれか1項に記載のトポロジ推定装置。 - コンピュータが行う再取得判定方法であって、
複数のネットワーク装置の各インタフェースから取得した時系列なトラヒックデータに欠損があるか否かを判定するステップと、
欠損がある場合、欠損したデータを補間した補間トラヒックデータを生成するステップと、
欠損がある前記トラヒックデータと、他のトラヒックデータとの類似度を示す第1スコアを算出し、前記補間トラヒックデータと前記他のトラヒックデータとの類似度を示す第2スコアを算出するステップと、
第1スコアと第2スコアとを用いて、欠損がある前記トラヒックデータを再取得するか否かを判定するステップと、を行う
再取得判定方法。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載のトポロジ推定装置として、コンピュータを機能させるトポロジ推定プログラム。
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- 2021-05-20 WO PCT/JP2021/019195 patent/WO2022244198A1/ja active Application Filing
- 2021-05-20 JP JP2023522128A patent/JP7534697B2/ja active Active
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