JP7524249B2 - 抗癌治療における組み合わせ使用のためのメソテリンキメラ抗原受容体(car)およびpd-l1阻害剤に対する抗体 - Google Patents

抗癌治療における組み合わせ使用のためのメソテリンキメラ抗原受容体(car)およびpd-l1阻害剤に対する抗体 Download PDF

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関連出願
本出願は、2015年12月22日に出願の米国仮出願62/270780に基づく優先権を主張し、その内容は、全体として引用により本明細書に包含させる。
配列表
本出願はASCII形式で電子的に提供しており、引用によりその全体を本明細書に包含させる配列表を含む。該ASCIIコピーは、2016年12月20日に作成し、N2067-7099WO_SL.txtなる名称であり、520,028バイトサイズである。
発明の分野
本発明は、一般に疾患処置のために、PD-L1阻害剤と組み合わせた、メソテリンを標的とするキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように改変した細胞、例えば、免疫エフェクター細胞の使用に関する。
発明の背景
メソテリンは、元々Pastanおよび同僚により、正常組織による発現が限定的であり、腫瘍で過発現されるため、腫瘍関連抗原として同定された。Chang K, et al., Cancer Res. 1992;52(1):181-186およびChang K, et al. ProcNatlAcadSciUSA. 1996;93(1):136-140。メソテリン遺伝子は前駆体71kDaタンパク質をコードし、これは処理されて40kDaタンパク質、メソテリンを産生し、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)結合および巨核球増強因子(MPF)と称されるアミノ末端31kDa脱落フラグメントにより、細胞膜に固定される。両フラグメントはN-グリコシル化部位を含む。“可溶性メソテリン/MPF関連”と称される40kDaカルボキシル末端フラグメントの可溶性スプライスバリアントが、膵管腺癌(PDA)を有する患者の血清で見つかっている。Johnston, F, et al. Clinical Cancer Research. 2009;15(21):6511。メソテリンは、現在治療標的ならびに疾患活性および治療応答のバイオマーカーの両方として探索されている。Argani P, et al. Clin Cancer Res. 2001;7(12):3862-3868。
メソテリンは、正常組織にも存在する分化抗原である。Pastanグループにより開発されたマウス抗ヒトメソテリン抗体K1を使用して、強いK1反応性が腹膜、胸膜および心膜腔を裏打ちする中皮細胞内で示されているが、悪性組織で通常見られるより低いレベルである。Chang K, et al., Cancer Res. 1992;52(1):181-186。弱いK1反応性が卵管上皮、気管基底上皮および扁桃上皮内で検出されている。メソテリンはまた角膜の全層で見られている。Jirsova K, et al. Experimental eye research. 2010;91(5):623-629。しかしながら、K1反応性は、肝臓、腎臓、脾臓、骨髄、リンパ節、胸腺、心筋、舌、骨格筋、皮膚、脳皮質、小脳、脊髄、末梢神経、下垂体、副腎、唾液腺、乳腺、甲状腺、副甲状腺、精巣、前立腺、精巣上体、子宮頸上皮、肺実質、食道、小腸上皮、結腸上皮、膀胱上皮、胆嚢上皮を含む正常組織の大部分で検出されていない。Chang K, et al., Cancer Res. 1992;52(1):181-186。
メソテリンは原発膵臓腺癌の大部分で過発現されており、良性膵臓組織での発現は稀であり、弱い。Argani P, et al. Clin Cancer Res. 2001;7(12):3862-3868。上皮性悪性胸膜中皮腫(MPM)は普遍的にメソテリンを発現し、一方肉腫様MPMはメソテリンを発現しない。大部分の漿液性上皮性卵巣癌および関連原発腹膜癌はメソテリンを発現する。
メソテリンは、卵巣癌における天然免疫応答の標的であり、癌免疫療法の標的となることが提案されている。Bracci L, et al. Clin Cancer Res. 2007;13(2 Pt 1):644-653; Moschella F, et al. Cancer Res. 2011;71(10):3528-3539; Gross G, et al. FASEB J. 1992;6(15):3370-3378; Sadelain M, et al. NatRevCancer. 2003;3(1):35-45; Muul LM, et al. Blood. 2003;101(7):2563-2569; Yee C, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2002;99(25):16168-16173。膵臓癌を有する患者におけるメソテリン特異的CTLの存在は、全生存と相関する。Thomas AM, et al. J Exp Med. 2004;200:297-306。さらに、Pastanおよび同僚は、メソテリン陽性腫瘍を有する癌患者の処置に、免疫毒素とコンジュゲートした抗メソテリン抗体の可溶性抗体フラグメントを使用している。この試みは、膵臓癌において妥当な安全性およびいくぶんかの臨床活性を示している。Hassan R, et al. Cancer Immun. 2007;7:20およびHassan R, et al. Clin Cancer Res. 2007;13(17):5144-5149。卵巣癌において、この治療戦略は、一名でRECIST基準による軽微な応答および第二の患者で疾患安定を生じ、後者は腹水も完全に解消している。
発明の要約
本発明は、少なくとも一部、メソテリンに特異的に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞、例えば、免疫エフェクター細胞(ここでは“メソテリンCAR発現細胞”とも称する)およびプログラム死リガンド1阻害剤(ここでは“PD-L1阻害剤”とも称する)を含む、組み合わせ治療の使用により、対象におけるメソテリンの発現と関連する疾患、例えば、癌を処置するための方法および組成物に関する。ある実施態様において、メソテリンに特異的に結合するCARは、例えば、ここに記載する、抗原結合ドメイン、例えば、メソテリン結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある実施態様において、PD-L1阻害剤は、抗体分子、ポリペプチド、小分子またはポリヌクレオチド、例えば、阻害性核酸である。ある実施態様において、PD-L1阻害剤は、抗体分子、例えば、ここに記載する抗体分子である。理論に拘束されることを意図しないが、メソテリン発現と関連する疾患、例えば、ここに記載する癌を有する対象のメソテリンCAR発現細胞とPD-L1阻害剤を含む組み合わせ治療での処置は、例えば、メソテリンCAR発現細胞またはPD-L1阻害剤単独での該疾患を有する対象の処置と比較して、腫瘍進行の阻害または低減を改善すると考えられる。
従って、ある態様において、本発明は、メソテリン発現と関連する疾患、例えば、ここに記載する癌を有する対象を処置する方法に関する。方法は、対象にメソテリンに特異的に結合するCARおよびPD-L1阻害剤を含む、例えば、発現する、細胞、例えば、細胞の集団を投与することを含む。ある実施態様において、CAR発現細胞およびPD-L1阻害剤は、逐次的に投与される。ある実施態様において、PD-L1阻害剤は、メソテリンCAR発現細胞投与前に投与される。ある実施態様において、PD-L1阻害剤は、メソテリンCAR発現細胞投与後に投与される。ある実施態様において、PD-L1阻害剤およびメソテリンCAR発現細胞は、同時にまたは一緒に投与される。
ある実施態様において、CAR発現細胞例えば、ここに記載するメソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤は、処置インターバルで投与する。ある実施態様において、処置インターバルは、PD-L1阻害剤1回投与およびCAR発現細胞1回投与を含む。他の実施態様において、処置インターバルは、PD-L1阻害剤の第一および第二の投与およびCAR発現細胞1回投与を含む。
処置インターバルがPD-L1阻害剤1回投与およびCAR発現細胞1回投与を含む実施態様において、PD-L1阻害剤をCAR発現細胞投与前に投与し、処置インターバルはPD-L1阻害剤投与により開始され、CAR発現細胞投与により完了する。ある実施態様において、処置インターバルは、さらに、PD-L1阻害剤の1以上、例えば、1、2、3、4または5またはそれ以上の続く投与を含む。このような実施態様において、処置インターバルは、PD-L1阻害剤の2、3、4、5、6またはそれ以上の投与およびCAR発現細胞の1回投与を含む。ある実施態様において、CAR発現細胞を、PD-L1阻害剤投与後少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日または2週間後に投与する。1を超えるPD-L1阻害剤が投与される実施態様において、CAR発現細胞をPD-L1阻害剤の最初の投与または処置インターバル開始少なくとも2日、3日、4日、5、日、6日、7日または2週間後に投与する。ある実施態様において、CAR発現細胞は、PD-L1阻害剤投与約2日後に投与される。
処置インターバルがPD-L1阻害剤の第一および第二の投与およびCAR発現細胞の1回投与を含む実施態様において、CAR発現細胞を、PD-L1阻害剤の第一の投与後、しかし、PD-L1阻害剤の第二の投与前に投与する。このような実施態様において、処置インターバルは、PD-L1阻害剤の第一の投与により開始され、PD-L1阻害剤の第二の投与により完了する。ある実施態様において、PD-L1阻害剤の第二の投与は、PD-L1阻害剤の第一の投与少なくとも5日、7日、1週、2週、3週または4週間後に投与される。ある実施態様において、CAR発現細胞は、PD-L1阻害剤の第一の投少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日または2週間後に投与される。ある実施態様において、PD-L1阻害剤の第二の投与は、CAR発現細胞投与少なくとも2日、3日、4日、5日、6日、7日、2週間または3週間後に投与される。
ある実施態様において、ここに記載する処置インターバルの何れも、1回以上、例えば、1回、2回、3回、4回または5回またはそれ以上繰り返してよい。ある実施態様において、処置インターバルを、2処置インターバルを含む処置レジメンをもたらすように、1回繰り返す。ある実施態様において、反復処置インターバルを、第一のまたは先の処置インターバル完了少なくとも1日、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日または2週間後、適用する。ある実施態様において、反復処置インターバルは、第一のまたは先の処置インターバル終了少なくとも3日後、適用される。
ある実施態様において、ここに記載する処置インターバルの何れも、1以上、例えば、1、2、3、4または5のその後の処置インターバルが続き得る。1以上のその後の処置インターバルは、第一のまたは先の処置インターバルと異なる。例として、PD-L1阻害剤1回投与およびCAR発現細胞1回投与からなる第一処置インターバルに、PD-L1阻害剤2回投与およびCAR発現細胞1回投与からなる第二処置インターバルが続く。ある実施態様において、1以上のその後の処置インターバルを、第一のまたは先の処置インターバル完了少なくとも1日、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日または2週間後、適用する。
ここに記載する方法の何れかにおいて、PD-L1阻害剤の1以上のその後の投与、例えば、1、2、3、4または5またはそれ以上の投与を、1以上の処置インターバル完了後に適用する。処置インターバルを繰り返すまたは2以上の処置インターバルが適用される実施態様において、PD-L1阻害剤の1以上のその後の投与、例えば、1、2、3、4または5またはそれ以上の投与を、ある処置インターバルの完了後かつ次の処置インターバルの開始前に適用する。ある実施態様において、PD-L1阻害剤を、1以上のまたは各処置インターバル完了後5日、7日、2週、3週または4日毎に投与する。
ここに記載する方法の何れかにおいて、1以上、例えば、1、2、3、4または5またはそれ以上のCAR発現細胞のその後の投与は、1以上の処置インターバル完了後に適用される。処置インターバルを繰り返すまたは2以上の処置インターバルが適用される実施態様において、CAR発現細胞の1以上のその後の投与、例えば、1、2、3、4または5またはそれ以上の投与は、ある処置インターバルの完了後かつ次の処置インターバル開始前に適用される。ある実施態様において、CAR発現細胞を、1以上のまたは各処置インターバル完了後2日、3日、4日、5日、7日、2週、3週または4週毎に投与する。
ある実施態様において、処置インターバルは、CAR発現細胞1回投与前に投与されるPD-L1阻害剤1回投与を含む。この実施態様において、CAR発現細胞を、PD-L1阻害剤投与2日後に投与する。処置インターバルは1回繰り返され、第二処置インターバルは、第一処置インターバル完了、例えば、CAR発現細胞1回投与3日後に開始される。ある実施態様において、PD-L1阻害剤は、第二処置インターバル完了後5日毎に投与され、例えば、PD-L1阻害剤が1回以上、第二処置インターバル後5日、7日、2週、3週または4週毎に投与される。
ここに記載する方法の何れかにおいて、対象は、CAR発現細胞1回投与およびPD-L1阻害剤1回投与が適用される。ある実施態様において、CAR発現細胞1回投与が、PD-L1阻害剤1回投与少なくとも2日、例えば、2日、3日、4日、5日、6日、7日または2週間後、適用される。
ある実施態様において、CAR発現細胞の1以上、例えば、1、2、3、4または5のその後の投与が、CAR発現細胞の最初の投与後対象に適用される。ある実施態様において、CAR発現細胞の1以上のその後の投与が、CAR発現細胞の先の投与少なくとも2日、例えば、2日、3日、4日、5日、6日、7日または2週間後に適用される。ある実施態様において、CAR発現細胞の1以上のその後の投与が、CAR発現細胞の先の投与少なくとも5日後に適用される。ある実施態様において、対象は、CAR発現細胞を週3回または2日毎に1回投与される。
ある実施態様において、PD-L1阻害剤の1以上、例えば、1、2、3、4または5のその後の投与が、PD-L1阻害剤1回投与後に適用される。ある実施態様において、PD-L1阻害剤の1以上のその後の投与が、PD-L1阻害剤の先の投与少なくとも5日、7日、2週、3週または4週間後に適用される。
ある実施態様において、PD-L1阻害剤の1以上のその後の投与は、CAR発現細胞の投与、例えば、CAR発現細胞の最初の投与少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日または7日後、適用される。
ある実施態様において、PD-L1阻害剤の1以上、例えば、1、2、3、4または5の投与を、CAR発現細胞を最初の投与の前に適用する。
ある実施態様において、CAR発現細胞の1回以上の投与およびPD-L1阻害剤の1回以上の投与は、例えば、1回、2回、3回、4回または5回またはそれ以上反復される。
ここに記載する投与レジメンまたは処置インターバルの何れにおいても、メソテリンCAR発現細胞の用量は、少なくとも約1×10、1.5×10、2×10、2.5×10、3×10、3.5×10、4×10、5×10、1×10、1.5×10、2×10、2.5×10、3×10、3.5×10、4×10、5×10、1×10、2×10または5×10細胞含む。ある実施態様において、メソテリンCAR発現細胞の用量は、少なくとも約1~3×10~1~3×10含む。ある実施態様において、対象に約1~3×10メソテリンCAR発現細胞投与する。他の実施態様において、対象に約1~3×10メソテリンCAR発現細胞投与する。
ここに記載する投与レジメンの何れにおいても、PD-L1阻害剤、例えば、ここに記載する抗PD-L1抗体分子の用量は、約1~30mg/kg、例えば、約5~25mg/kg、約10~20mg/kg、約1~5mg/kgまたは約3mg/kgを含む。ある実施態様において、用量は約10~20mg/kgである。ある実施態様において、用量は約1~5mg/kgである。ある実施態様において、用量は5mg/kg未満、4mg/kg未満、3mg/kg未満、2mg/kg未満または1mg/kg未満である。
他の態様において、本発明は、ここに記載するメソテリンCARを発現する細胞およびここに記載するPD-L1阻害剤を含む組成物(例えば、1以上の投与量製剤、組み合わせまたは1以上の医薬組成物)に関する。ある実施態様において、メソテリンCARは、ここに記載する、メソテリン抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある実施態様において、メソテリンCARは、表2に挙げるメソテリン抗原結合ドメインを含む。ある実施態様において、PD-L1阻害剤は、抗体分子、小分子、ポリペプチド、例えば、融合タンパク質または阻害性核酸、例えば、siRNAまたはshRNAを含む。ある実施態様において、PD-L1阻害剤は、抗体分子、例えば、表6に挙げる抗体分子を含む。CAR発現細胞およびPD-L1阻害剤は同一または異なる製剤または医薬組成物に存在し得る。
他の態様において、本発明は、メソテリンの発現と関連する疾患、例えば、ここに記載する癌の処置方法において使用するための、ここに記載するメソテリンCARを発現する細胞およびここに記載するPD-L1阻害剤を含む組成物(例えば、1以上の投与量製剤、組み合わせまたは1以上の医薬組成物)に関する。ある実施態様において、メソテリンCARは、ここに記載する、メソテリン抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある実施態様において、メソテリンCARは、表2に挙げるメソテリン抗原結合ドメインを含む。ある実施態様において、PD-L1阻害剤は、抗体分子、小分子、ポリペプチド、例えば、融合タンパク質または阻害性核酸、例えば、siRNAまたはshRNAを含む。ある実施態様において、PD-L1阻害剤は、抗体分子、例えば、表6に挙げる抗体分子を含む。CAR発現細胞およびPD-L1阻害剤は同一または異なる製剤または医薬組成物に存在し得る。
PD-L1阻害剤
ここに提供されるのは、ここに記載する方法または組成物の何れかに使用するためのPD-L1阻害剤である。ここに記載する方法または組成物の何れにおいても、PD-L1阻害剤は、抗体分子、小分子、ポリペプチド、例えば、融合タンパク質または阻害性核酸、例えば、siRNAまたはshRNAを含む。
ある実施態様において、PD-L1阻害剤は、次の1以上により特徴付けられる。
PD-L1発現、例えば、PD-L1の転写または翻訳の阻害または低減;PD-L1活性の阻害または低減、例えば、PD-L1のその受容体、例えば、PD-1またはCD80(B7-1)または両方への結合の阻害または低減;またはPD-L1またはその受容体、例えば、PD-1への結合。
ある実施態様において、PD-L1阻害剤は抗体分子である。ある実施態様において、PD-L1阻害剤は、YW243.55.S70、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、MEDI-4736、MSB-0010718C(アベルマブ)、MDX-1105および表6に挙げる何れかの抗PD-L1抗体分子からなる群から選択される。
ある実施態様において、PD-L1阻害剤は、表6に挙げる何れかのPD-L1抗体分子アミノ酸配列の重鎖相補性決定領域1(HC CDR1)、重鎖相補性決定領域2(HC CDR2)および重鎖相補性決定領域3(HC CDR3);および表6に挙げる何れかのPD-L1抗体分子アミノ酸配列の軽鎖相補性決定領域1(LC CDR1)、軽鎖相補性決定領域2(LC CDR2)および軽鎖相補性決定領域3(LC CDR3)を含む抗PD-L1抗体分子を含む。
ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、配列番号287、290または195から選択されるHC CDR1アミノ酸配列、配列番号288のHC CDR2アミノ酸配列および配列番号289のHC CDR3アミノ酸配列;および配列番号295のLC CDR1アミノ酸配列、配列番号296のLC CDR2アミノ酸配列および配列番号297のLC CDR3アミノ酸配列を含む。ある実施態様において、抗PD-L1抗体は、配列番号287、290または195から選択されるHC CDR1アミノ酸配列、配列番号291のHC CDR2アミノ酸配列および配列番号292のHC CDR3アミノ酸配列;および配列番号298のLC CDR1アミノ酸配列、配列番号299のLC CDR2アミノ酸配列および配列番号300のLC CDR3アミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、表6に挙げる何れかの重鎖可変領域のアミノ酸配列、例えば、配列番号304、316、324、332、336、340、348、356または364を含む重鎖可変領域を含む。ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、表6に挙げる何れかの重鎖可変領域のアミノ酸配列、例えば、配列番号304、316、324、332、336、340、348、356または364に少なくとも1、2または3修飾を有するが、修飾が30、20または10を超えないアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、表6に挙げる何れかの重鎖可変領域のアミノ酸配列、例えば、配列番号304、316、324、332、336、340、348、356または364と95~99%同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、表6に挙げる何れかの重鎖のアミノ酸配列、例えば、配列番号306、318、326、334、338、342、350、358、366、393、377または382を含む重鎖を含む。ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、表6に挙げる何れかの重鎖、例えば、配列番号306、318、326、334、338、342、350、358、366、393、377または382に少なくとも1、2または3修飾を有するが、修飾が30、20または10を超えないアミノ酸配列を含む重鎖を含む。ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、表6に挙げる何れかの重鎖のアミノ酸配列、例えば、配列番号306、318、326、334、338、342、350、358、366、393、377または382と95~99%同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、表6に挙げる何れかの軽鎖可変領域のアミノ酸配列、例えば、配列番号308、312、320、328、344、352、360、368または372を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、表6に挙げる何れかの軽鎖可変領域のアミノ酸配列、例えば、配列番号308、312、320、328、344、352、360、368または372に少なくとも1、2または3修飾を有するが、修飾が30、20または10を超えないアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、表6に挙げる何れかの軽鎖可変領域のアミノ酸配列、例えば、配列番号308、312、320、328、344、352、360、368または372と95~99%同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、表6に挙げる何れかの軽鎖のアミノ酸配列、例えば、配列番号310、314、322、330、346、354、362、370または374を含む軽鎖を含む。ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、表6に挙げる何れかの軽鎖、例えば、配列番号310、314、322、330、346、354、362、370または374に少なくとも1、2または3修飾を有するが、修飾が30、20または10を超えないアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、表6に挙げる何れかの軽鎖のアミノ酸配列、例えば、配列番号310、314、322、330、346、354、362、370または374と95~99%同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、
i)配列番号304のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号308のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
ii)配列番号304のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号312のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
iii)配列番号304のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号372のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
iv)配列番号316のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号320のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
v)配列番号316のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号352のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
vi)配列番号324のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号328のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
vii)配列番号324のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号360のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
viii)配列番号332のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号328のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
ix)配列番号336のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号328のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
x)配列番号336のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号308のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
xi)配列番号336のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号372のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
xii)配列番号340のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号344のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
xiii)配列番号340のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号372のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
xiv)配列番号348のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号352のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
xv)配列番号348のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号386のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
xvi)配列番号356のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号352のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;または
xvii)配列番号78のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号368のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
を含む。
ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、
i)配列番号306のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号310のアミノ酸配列を含む軽鎖;
ii)配列番号306のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号214のアミノ酸配列を含む軽鎖;
iii)配列番号306のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号374のアミノ酸配列を含む軽鎖;
iv)配列番号318のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号322のアミノ酸配列を含む軽鎖;
v)配列番号318のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号354のアミノ酸配列を含む軽鎖;
vi)配列番号326のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号330のアミノ酸配列を含む軽鎖;
vii)配列番号326のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号362のアミノ酸配列を含む軽鎖;
viii)配列番号334のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号330のアミノ酸配列を含む軽鎖;
ix)配列番号338のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号330のアミノ酸配列を含む軽鎖;
x)配列番号338のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号310のアミノ酸配列を含む軽鎖;
xi)配列番号338のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号374のアミノ酸配列を含む軽鎖;
xii)配列番号342のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号346のアミノ酸配列を含む軽鎖;
xiii)配列番号342のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号374のアミノ酸配列を含む軽鎖;
xiv)配列番号350のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号354のアミノ酸配列を含む軽鎖;
xv)配列番号350のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号374のアミノ酸配列を含む軽鎖;
xvi)配列番号358のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号354のアミノ酸配列を含む軽鎖;
xvii)配列番号366のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号370のアミノ酸配列を含む軽鎖;
xviii)配列番号393のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号322のアミノ酸配列を含む軽鎖;
xix)配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号330のアミノ酸配列を含む軽鎖;または
xx)配列番号382のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号354のアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む。
メソテリンCAR発現細胞
ここに提供されるのは、ここに記載する方法または組成物の何れかにおいて使用するための、メソテリンを標的とする、例えば、特異的に結合する、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞、例えば、免疫エフェクター細胞である。メソテリンに特異的に結合するCARはここでは“メソテリンCAR”または“mesoCAR”とも称する。ここに記載するメソテリンCAR発現細胞により発現されるメソテリンCARは、メソテリン結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激ドメインおよび/または一次シグナル伝達ドメインを含む。
ある実施態様において、メソテリン結合ドメインは、表2に挙げる何れかのメソテリン重鎖結合ドメインアミノ酸配列の重鎖相補性決定領域1(HC CDR1)、重鎖相補性決定領域2(HC CDR2)および重鎖相補性決定領域3(HC CDR3);および表2に挙げる何れかのメソテリン軽鎖結合ドメインアミノ酸配列の軽鎖相補性決定領域1(LC CDR1)、軽鎖相補性決定領域2(LC CDR2)および軽鎖相補性決定領域3(LC CDR3)を含む。ある実施態様において、メソテリン結合ドメインは、表4におけるHC CDRアミノ酸配列に従うHC CDR1、HC CDR2およびHC CDR3および表5におけるLC CDRアミノ酸配列に従うLC CDR1、LC CDR2およびLC CDR3を含む。
ある実施態様において、メソテリン結合ドメインは、配列番号43、配列番号49、配列番号275、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61または配列番号62からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)。ある実施態様において、メソテリン結合ドメインは、配列番号43、配列番号49、配列番号275、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61または配列番号62の何れかに少なくとも1、2または3修飾を有するが、修飾(例えば、置換、例えば、保存的置換)が30、20または10を超えないアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)。ある実施態様において、メソテリン結合ドメインは、配列番号43、配列番号49、配列番号275、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61または配列番号62の何れかのアミノ酸配列と95~99%同一性を有するアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)。
ある実施態様において、メソテリンCARは、タンパク質、例えば、T細胞受容体のアルファ、ベータまたはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137およびCD154からなる群から選択される、例えば、ここに記載するタンパク質の膜貫通ドメインを含む膜貫通ドメインである。ある実施態様において、膜貫通ドメインは、配列番号6の配列を含む。ある実施態様において、膜貫通ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列に少なくとも1、2または3修飾を有するが、修飾が20、10または5を超えないアミノ酸配列または配列番号6のアミノ酸配列と95~99%同一性の配列または配列番号6のアミノ酸配列と95~99%同一性の配列を含む。ある実施態様において、膜貫通ドメインの核酸配列は、配列番号17のヌクレオチド配列またはそれと95~99%同一性を有する配列を含む。
ある実施態様において、メソテリン結合ドメインは、ヒンジ領域、例えば、ここに記載するヒンジ領域により膜貫通ドメインに結合される。ある実施態様において、コードヒンジ領域は、配列番号2またはそれと95~99%同一性を有する配列を含む。ある実施態様において、ヒンジ領域をコードする核酸配列は、配列番号13のヌクレオチド配列またはそれと95~99%同一性を有する配列を含む。
ある実施態様において、単離核酸分子は、さらに共刺激ドメイン、例えば、ここに記載する共刺激ドメインをコードする配列を含む。ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激ドメインを含む。ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメインを含む。ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激ドメインおよび一次シグナル伝達ドメインを含む。
ある実施態様において、共刺激ドメインは、例えば、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ性活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、OX40、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、4-1BB(CD137)、B7-H3、CDS、ICAM-1、ICOS(CD278)、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19aおよびCD83と特異的に結合するリガンドからなる群から選択される、例えば、ここに記載する、タンパク質からの機能的シグナル伝達ドメインである。
ある実施態様において、4-1BBの共刺激ドメインは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、コードされる共刺激ドメインは、配列番号7のアミノ酸配列に少なくとも1、2または3修飾を有するが、修飾が20、10または5を超えないアミノ酸配列または配列番号7のアミノ酸配列と95~99%同一性を有する配列を含む。ある実施態様において、該共刺激ドメインをコードする核酸配列は、配列番号18のヌクレオチド配列またはそれと95~99%同一性を有する配列を含む。他の実施態様において、CD28の共刺激ドメインは、配列番号43のアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、共刺激ドメインは、配列番号43のアミノ酸配列に少なくとも1、2または3修飾を有するが、修飾が20、10または5を超えないアミノ酸配列または配列番号43のアミノ酸配列と95~99%同一性を有する配列を含む。ある実施態様において、CD28の共刺激ドメインをコードする核酸配列は、配列番号44のヌクレオチド配列またはそれと95~99%同一性を有する配列を含む。他の実施態様において、CD27の共刺激ドメインは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、共刺激ドメインは、配列番号8のアミノ酸配列に少なくとも1、2または3修飾を有するが、修飾が20、10または5を超えないアミノ酸配列または配列番号8のアミノ酸配列と95~99%同一性を有する配列を含む。ある実施態様において、CD27の共刺激ドメインをコードする核酸配列は、配列番号19のヌクレオチド配列またはそれと95~99%同一性を有する配列を含む。他の実施態様において、ICOSの共刺激ドメインは、配列番号45のアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、ICOSの共刺激ドメインは、配列番号45のアミノ酸配列に少なくとも1、2または3修飾を有するが、修飾が20、10または5を超えないアミノ酸配列または配列番号45のアミノ酸配列と95~99%同一性を有する配列を含む。ある実施態様において、ICOSの共刺激ドメインをコードする核酸配列は、配列番号46のヌクレオチド配列またはそれと95~99%同一性を有する配列を含む。
ある実施態様において、一次シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータの機能的シグナル伝達ドメインを含む。ある実施態様において、CD3ゼータの機能的シグナル伝達ドメインは、配列番号9(変異体CD3ゼータ)または配列番号10(野生型ヒトCD3ゼータ)のアミノ酸配列またはそれと95~99%同一性を有する配列を含む。
ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BBの機能的シグナル伝達ドメインおよび/またはCD3ゼータの機能的シグナル伝達ドメインを含む。ある実施態様において、4-1BBの細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号7の配列および/または配列番号9または配列番号10のCD3ゼータアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号7のアミノ酸配列および/または配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列に少なくとも1、2または3修飾を有するが、修飾が20、10または5を超えないアミノ酸配列または配列番号7のアミノ酸配列および/または配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列と95~99%同一性を有する配列を含む。ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは配列番号7の配列および配列番号9または配列番号10の配列を含み、ここで、これら細胞内シグナル伝達ドメインを含む配列は同じフレームにかつ単一ポリペプチド鎖として発現される。ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸配列は、配列番号18のヌクレオチド配列またはそれと95~99%同一性を有する配列および/または配列番号20または配列番号21のCD3ゼータヌクレオチド配列またはそれと95~99%同一性を有する配列を含む。
ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD27の機能的シグナル伝達ドメインおよび/またはCD3ゼータの機能的シグナル伝達ドメインを含む。ある実施態様において、コードされるCD27の細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号8のアミノ酸配列および/または配列番号9または配列番号10のCD3ゼータアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号8のアミノ酸配列および/または配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列に少なくとも1、2または3修飾を有するが、修飾が20、10または5を超えないアミノ酸配列または配列番号8のアミノ酸配列および/または配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列と95~99%同一性を有する配列。ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号8の配列および配列番号9または配列番号10の配列を含み、ここで、これら細胞内シグナル伝達ドメインを含む配列は同じフレームにかつ単一ポリペプチド鎖として発現される。ある実施態様において、CD27の細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸配列は、配列番号19のヌクレオチド配列またはそれと95~99%同一性を有する配列および/または配列番号20または配列番号21のCD3ゼータヌクレオチド配列またはそれと95~99%同一性を有する配列を含む。
ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28の機能的シグナル伝達ドメインおよび/またはCD3ゼータの機能的シグナル伝達ドメインを含む。ある実施態様において、CD28の細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号43のアミノ酸配列および/または配列番号9または配列番号10のCD3ゼータアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号43のアミノ酸配列および/または配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列に少なくとも1、2または3修飾を有するが、修飾が20、10または5を超えないアミノ酸配列または配列番号43のアミノ酸配列および/または配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列と95~99%同一性を有する配列を含む。ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号43の配列および配列番号9または配列番号10の配列を含み、ここで、これら細胞内シグナル伝達ドメインを含む配列は同じフレームにかつ単一ポリペプチド鎖として発現される。ある実施態様において、CD28の細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸配列は、配列番号44のヌクレオチド配列またはそれと95~99%同一性を有する配列および/または配列番号20または配列番号21のCD3ゼータヌクレオチド配列またはそれと95~99%同一性を有する配列を含む。
ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、ICOSの機能的シグナル伝達ドメインおよび/またはCD3ゼータの機能的シグナル伝達ドメインを含む。ある実施態様において、ICOSの細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号45のアミノ酸配列および/または配列番号9または配列番号10のCD3ゼータアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号45のアミノ酸配列および/または配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列に少なくとも1、2または3修飾を有するが、修飾が20、10または5を超えないアミノ酸配列または配列番号45のアミノ酸配列および/または配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列と95~99%同一性を有する配列を含む。ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号45の配列および配列番号9または配列番号10の配列を含み、ここで、これら細胞内シグナル伝達ドメインを含む配列は同じフレームにかつ単一ポリペプチド鎖として発現される。ある実施態様において、ICOSの細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸配列は、配列番号46のヌクレオチド配列またはそれと95~99%同一性を有する配列および/または配列番号20または配列番号21のCD3ゼータヌクレオチド配列またはそれと95~99%同一性を有する配列を含む。
ある実施態様において、メソテリンCARは、さらに、配列番号1のアミノ酸配列を含むリーダー配列を含む。
ある実施態様において、メソテリンCARは、配列番号67;配列番号73、配列番号278、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85または配列番号86の何れかのアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、メソテリンCARは、配列番号67、配列番号73、配列番号278、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85または配列番号86の何れかに少なくとも1、2または3修飾を有するが、修飾が30、20または10を超えないアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、メソテリンCARは、配列番号67;配列番号73、配列番号278、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85または配列番号86の何れかと95~99%同一性を有するアミノ酸配列を含む。
ここに記載する方法および組成物の何れかの実施態様において、CARを含む細胞は、CARをコードする核酸を含む。
ある実施態様において、CARをコードする核酸は、レンチウイルスベクターである。ある実施態様において、CARをコードする核酸は、細胞にレンチウイルス形質導入により導入される。ある実施態様において、CARをコードする核酸は、RNA、例えば、インビトロ転写RNAである。ある実施態様において、CARをコードする核酸は、細胞にエレクトロポレーションにより導入される。
ここに記載する方法および組成物の何れかの実施態様において、細胞はT細胞またはNK細胞である。ある実施態様において、T細胞は、自己または同種T細胞である。
ある実施態様において、方法は、ここに記載する疾患を処置するための付加的治療剤、例えば、抗癌治療剤をさらに投与することを含む。
ここに記載する方法および組成物の何れかの実施態様において、メソテリン発現と関連する疾患は癌である。ある実施態様において、癌は、中皮腫、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、扁平上皮細胞肺癌または大細胞肺癌、膵臓癌、膵管腺癌、膵臓転移、卵巣癌または結腸直腸癌および膀胱癌またはその転移の1以上から選択される。
ここに記載する方法および組成物の何れかの実施態様において、対象は、哺乳動物、例えば、ヒトである。ある実施態様において、対象は、PD-L1および/またはPD-L2を発現する。ある実施態様において、対象における癌細胞または癌細胞に近接する細胞、例えば、癌関連細胞は、PD-L1および/またはPD-L2を発現する。ある実施態様において、癌関連細胞は、抗腫瘍免疫細胞、例えば、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)である。
ある実施態様において、CAR発現細胞、例えば、ここに記載するメソテリンCAR発現細胞は、PD-1および/またはPD-L1を発現する。
特に断らない限り、ここで使用する全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野における当業者により共通して理解されるのと同じ意味を有する。ここに記載するものに類似するまたは均等な方法および材料が本発明の実施または試験に際して使用され得るが、適当な方法および材料は下に記載する。ここに記載する全ての刊行物、特許出願、特許およびその他の文献は、引用によりその全体を本明細書に包含させる。さらに、材料、方法および例は説明のためのみであり、限定を意図するものではない。表題、副題または番号もしくは文字を付した要素、例えば、(a)、(b)、(i)等は、読みやすくするためだけに付される。本明細書における表題または番号もしくは文字を付した要素は、該工程もしくは要素がアルファベット順に行われなければならないことまたは工程もしくは要素が必ず互いに分かれていることを必要とするものではない。本発明の他の特性、目的および利点は、明細書および図面ならびに特許請求の範囲から明らかである。
図1Aは、CAR T細胞上のPD-1の発現のフローサイトメトリー解析を示す。PD-1を発現するCD8 CAR+細胞のパーセンテージを示す。骨髄、脾臓および腫瘍を、Panc02.03腫瘍担持NSGマウスに養子移入30日後に解析した。CAR T細胞他の臓器ではなく、腫瘍から採取したCAR T細胞は、大部分PD-1発現に陽性であった(60%を超える)。CARTを、抗CD8a(BioLegend、RPAT8)、抗PD-1(BD Bioscience、EH12.1)、抗PD-L1(BD Bioscience、M1H1)、タンパク質L-ビオチンおよびストレプトアビジン-PEで染色した。
図1Bは、Panc02.03癌細胞上のPD-L1およびPD-L2の発現のフローサイトメトリー解析を示す。図1Aで解析したのと同じ腫瘍から、インビトロおよびエクスビボの両方で解析したときの、Panc02.03癌細胞によるPDL1およびPD-L2両方の発現を示す。癌細胞を抗PD-L1(BioLegend、29E.2A3)および抗PDL2(BioLegend、24F.10C12)で染色した。
図2は、メソテリンCARTおよびPD-L1阻害剤での種々の組み合わせ処置後の腫瘍進行を示すグラフであり、ここで、PD-L1阻害剤はCAR投与前に投与された。PD-L1抗体を#で示す時点で投与した。記載したCAR発現細胞を、*で示す時点で投与した。組織を採取した時点は、X軸上の星印で示す。
図3は、メソテリンCARTおよびPD-L1阻害剤での種々の組み合わせ処置後の腫瘍進行のグラフであり、ここで、PD-L1阻害剤をCAR投与後に投与した。PD-L1抗体を#で示す時点で投与した。記載したCAR発現細胞を、*で示す時点で投与した。
図4は、M5メソテリンCART処置後のPanc異種移植組織の免疫組織化学的解析からの一連の画像である。
図5は、M5メソテリンCART処置後のPanc異種移植組織の免疫組織化学的解析からの一連の画像である。
図6は、CAR発現、形質導入T細胞の増殖が、細胞培養系における低用量のRAD001により増強されることを示す。CARTを、種々の濃度のRAD001の存在下、Nalm-6細胞と共培養した。CAR陽性CD3陽性T細胞(黒色)および総T細胞(灰色)の数を,共培養4日後に評価した。
図7は、RAD001連日0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kg(mpk)投与または媒体投与でのNALM6-luc細胞の腫瘍増殖測定を記載する。丸は媒体を示し、四角は10mg/kg用量のRAD001を示し、三角は3mg/kg用量のRAD001を示し、逆三角は1mg/kg用量のRAD001を示し、菱形は0.3mg/kg用量のRAD001を示す。
図8Aおよび8Bを含む図8は、NALM6腫瘍を有するNSGマウスの血液におけるRAD001の量を示す薬物動態曲線を示す。図8Aは、RAD001の最初の投与後0日目のPKを示す。図8Bは、RAD001の最後の投与後14日目のPKを示す。菱形は10mg/kg用量のRAD001を示し、四角は1mg/kg用量のRAD001を示し、三角は3mg/kg用量のRAD001を示し、xは10mg/kg用量のRAD001を示す。
図9Aおよび9Bを含む図9は、RAD001投与を併用するおよび併用しないヒト化CD19 CART細胞のインビボ増殖を示す。低用量のRAD001(0.003mg/kg)連日は、huCAR19増殖の正常レベルを超えるCAR T細胞増殖の増強に至った。図9Aは、CD4 CAR T細胞を示し、図9BはCD8 CAR T細胞を示す。白丸はPBSを示し、四角はhuCTL019を示し、三角はhuCTL019と3mg/kg RAD001を示し、逆三角はhuCTL019と0.3mg/kg RAD001を示し、菱形はhuCTL019と0.03mg/kg RAD001を示し、黒丸はhuCTL019と0.003mg/kg RAD001を示す。
詳細な記載
定義
特に断らない限り、ここで使用する全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野における当業者により共通して理解されるのと同じ意味を有する。
単数表現は、文法的対象の1または1を超える(すなわち、少なくとも1)を意味する。例として、“要素”は、1要素または1を超える要素を意味する。
用語“約”は、量、期間などの測定可能な値をいうとき、±20%またはある場合±10%の逸脱またはある場合±5%またはある場合±1%またはある場合±0.1%の逸脱を、このような逸脱が開示の方法の実施に適する限り、包含することを意味する。
ここで使用する“組み合わせた”投与は、2(またはそれ以上)の異なる処置が、対象の障害罹患経過中に対象に送達されることを意味し、例えば、2以上の処置が、対象が障害を有すると診断された後かつ障害が治癒もしくは解消されるかまたは処置が他の理由で中止される前に送達される。ある実施態様において、一方の処置の送達は、投与の重複期間があるように、第二剤の送達時にまだ行われていてよい。これは、ここでは、“同時”または“一括送達”と称することがある。他の実施態様において、一方の処置の送達は、他方の処置の開始前に終了する。何れかの場合のある実施態様において、処置は、組み合わせ投与のためにより効果的である。例えば、第二処置は、第二処置が第一処置非存在下に投与されたときに見られるよりも効果的である、例えば、少ない第二処置で同等な効果画見られるかまたは第二処置が症状をより大きな程度軽減し、または同様の状況が第一処置で見られる。ある実施態様において、送達は、症状または障害と関連する他のパラメータの軽減が、一方の処置を他方の非存在下に送達したときに見られるように大きな程度であるようなものである。2処置の効果は、部分的相加、完全相加または相加より大きくてよい。送達は、送達した第一処置の効果が、第二処置送達時になお検出可能であるようなものであり得る。
用語“キメラ抗原受容体”あるいは“CAR”は、少なくとも細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび下に定義する刺激分子由来の細胞質シグナル伝達ドメイン(ここでは“細胞内シグナル伝達ドメイン”とも称する)を含む、組み換えポリペプチド構築物をいう。ある実施態様において、CARポリペプチド構築物におけるこれらドメインは同じポリペプチド鎖にある、例えば、キメラ融合タンパク質を含む。ある実施態様において、CARポリペプチド構築物におけるこれらドメインは、互いに連続しておらず、例えば、ここに記載するRCARに提供されるように、例えば、異なるポリペプチド鎖にある。
ある態様において、刺激分子は、T細胞受容体複合体と関連するゼータ鎖である。ある態様において、細胞質シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ゼータの一次シグナル伝達ドメイン)を含む。ある態様において、細胞質シグナル伝達ドメインは、さらに、下に定義する少なくとも1共刺激分子に由来する1以上の機能的シグナル伝達ドメインを含む。ある態様において、共刺激分子は、4-1BB(すなわち、CD137)、CD27、ICOSおよび/またはCD28から選択される。ある態様において、CARは、細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。ある態様において、CARは、細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび共刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインおよび刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。ある態様において、CARは、細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび1以上の共刺激分子由来の2個の機能的シグナル伝達ドメインおよび刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。ある態様において、CARは、細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび少なくとも1以上の共刺激分子由来の2個の機能的シグナル伝達ドメインおよび刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。ある態様において、CARは、CAR融合タンパク質のアミノ末端(N-ter)に任意的リーダー配列を含む。ある態様において、CARはさらに細胞外抗原結合ドメインのN末端にリーダー配列を含み、ここで、リーダー配列は、細胞プロセシングおよびCARの細胞膜への局在化の間に抗原認識ドメイン(例えば、scFv)から所望により開裂される。
用語“シグナル伝達ドメイン”は、第二メッセンジャーの産生によりまたはこのようなメッセンジャーに応答することによりエフェクターとして機能することにより、規定シグナル伝達経路を経て細胞活性を制御するために細胞内の情報を伝達することにより作用する、タンパク質の機能的部分をいう。ある態様において、ここに記載するCARのシグナル伝達ドメインはここに記載する刺激分子または共刺激分子に由来するまたは合成もしくは改変シグナル伝達ドメインである。
ここで使用する用語“メソテリン”は、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)結合および巨核球増強因子(MPF)と称されるアミノ末端31kDa脱落フラグメントにより、細胞膜に固定される、40kDaタンパク質、メソテリンをいう。両フラグメントはN-グリコシル化部位を含む。本用語はまた“可溶性メソテリン/MPF関連”とも称される、40kDaカルボキシル末端フラグメントの可溶性スプライスバリアントをいう。好ましくは、本用語は、例えば、細胞膜、例えば、癌細胞膜に発現される、GenBank accession number AAH03512.1のヒトメソテリンおよびその自然に開裂される部分をいう。
ここで使用する用語“抗体”または“抗体分子”は、抗原と特異的に結合する免疫グロブリン分子由来のタンパク質またはポリペプチド配列をいう。抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナル、複数または一本鎖またはインタクト免疫グロブリンであってよく、天然供給源または組み換え供給源由来であり得る。抗体は、免疫グロブリン分子の四量体であり得る。ある実施態様において、抗体または抗体分子は、抗体フラグメントを含む、例えば、それからなる。
用語“抗体フラグメント”は、インタクト抗体またはその組み換えバリアントの抗体フラグメントの少なくとも一部分をいい、抗原などの標的の認識および特異的結合に貢献するのに十分な、抗原結合ドメイン、例えば、インタクト抗体の抗原決定可変領域をいう。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab’)およびFvフラグメント、scFv抗体フラグメント、直線状抗体、sdAbなどの単一ドメイン抗体(VLまたはVH)、ラクダ類VHHドメインおよびヒンジ領域でジスルフィド架橋により結合した2Fabフラグメントを含む二価フラグメントなどの抗体フラグメントから形成された多特異的抗体および単離CDRまたは抗体の他のエピトープ結合フラグメントを含むが、これらに限定されない。抗原結合フラグメントはまた単一ドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、ナノボディ、イントラボディ、二重特異性抗体、トリアボディ、テトラボディ、v-NARおよびビスscFvに取り込まれ得る(例えば、Hollinger and Hudson, Nature Biotechnology 23:1126-1136, 2005参照)。抗原結合フラグメントはまたフィブロネクチンIII型(Fn3)などのポリペプチドに基づくスキャフォールドに移植もされ得る(例えば、フィブロネクチンポリペプチドミニボディを記載する、米国特許6,703,199号参照)。
用語“scFv”は、軽鎖の可変領域を含む少なくとも1抗体フラグメントおよび重鎖の可変領域を含む少なくとも1抗体フラグメントを含む融合タンパク質をいい、ここで、軽鎖および重鎖可変領域が短可撓性ポリペプチドリンカーを介して連続的に結合され、一本鎖ポリペプチドとして発現されることができ、ここで、scFvはそれが由来するインタクト抗体の特異性を保持する。断らない限り、ここで使用するscFvは、例えば、ポリペプチドのN末端およびC末端に対して、VLおよびVH可変領域を何れの順序で有してもよく、scFvはVL-リンカー-VHを含んでも、VH-リンカー-VLを含んでもよい。
ここで使用する用語“相補性決定領域”または“CDR”は、抗原特異性および結合親和性に貢献する抗体可変領域内のアミノ酸の配列をいう。例えば、一般に、各重鎖可変領域に3CDR(例えば、HCDR1、HCDR2およびHCDR3)および各軽鎖可変領域に3CDR(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)ある。あるCDRの厳密なアミノ酸配列境界は、Kabat et al. (1991), “Sequences of Proteins of Immunological Interest,” 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(“Kabat”ナンバリングスキーム)、Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273,927-948(“Chothia”ナンバリングスキーム)またはこれらの組み合わせに記載のものを含む、何れかの数の周知スキームを使用して、決定できる。Kabatナンバリングスキーム下、ある実施態様において、重鎖可変ドメイン(VH)は31~35(HCDR1)、50~65(HCDR2)および95~102(HCDR3)と番号付けられ、軽鎖可変ドメイン(VL)におけるCDRアミノ酸残基は24~34(LCDR1)、50~56(LCDR2)および89~97(LCDR3)と番号付けられる。Chothiaナンバリングスキーム下、ある実施態様において、VHにおけるCDRアミノ酸は26~32(HCDR1)、52~56(HCDR2)および95~102(HCDR3)と番号付けられ、VLにおけるCDRアミノ酸残基は26~32(LCDR1)、50~52(LCDR2)および91~96(LCDR3)と番号付けられる。組み合わせKabatおよびChothiaナンバリングスキームにおいて、ある実施態様において、CDRは、Kabat CDR、Chothia CDRまたは両方の部分であるアミノ酸残基に対応する。例えば、ある実施態様において、CDRは、VH、例えば、哺乳動物VH、例えば、ヒトVHにおけるアミノ酸残基26~35(HCDR1)、50~65(HCDR2)および95~102(HCDR3)およびVL、例えば、哺乳動物VL、例えば、ヒトVLにおけるアミノ酸残基24~34(LCDR1)、50~56(LCDR2)および89~97(LCDR3)に対応する。
本発明のCARの抗体またはその抗体フラグメントを含む部分は、抗原結合ドメインが、例えば、scFv抗体フラグメント、直線状抗体、sdAbなどの単一ドメイン抗体(VLまたはVH)、ラクダ類VHHドメイン、ヒト化抗体、二特異的抗体、抗体コンジュゲートを含む連続ポリペプチド鎖の一部として発現される、多様な形態で存在し得る(Harlow et al., 1999, In: Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY; Harlow et al., 1989, In: Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York; Houston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-588)。ある態様において、本発明のCARの抗原結合ドメインは抗体フラグメントを含む。さらなる態様において、CARは、scFvを含む抗体フラグメントを含む。
ここで使用する用語“抗体分子”は、少なくとも1免疫グロブリン可変ドメイン配列を含む、タンパク質、例えば、免疫グロブリン鎖またはそのフラグメントをいう。用語抗体分子は、抗体および抗体フラグメントを包含する。ある実施態様において、抗体分子は、“結合ドメイン”を包含する(ここでは“抗標的(例えば、メソテリン)結合ドメイン”とも称する)。ある実施態様において、抗体分子は多特異的抗体分子であり、例えば、複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、ここで、該複数の中の第一免疫グロブリン可変ドメイン配列は第一エピトープに結合特異性を有し、該複数の中の第二免疫グロブリン可変ドメイン配列は第二エピトープに結合特異性を有する。ある実施態様において、多特異的抗体分子は、二特異的抗体分子である。二特異的抗体は、2を超える抗原に特異性を有しない。二特異的抗体分子は、第一エピトープに結合特異性を有する第一免疫グロブリン可変ドメイン配列および第二エピトープに結合特異性を有する第二免疫グロブリン可変ドメイン配列により特徴付けられる。
用語“抗体重鎖”は、天然に存在する構造体で抗体分子に存在する2タイプのポリペプチド鎖の大きい方をいい、通常該抗体が属するクラスを決定する。
用語“抗体軽鎖”は、天然に存在する構造体で抗体分子に存在する2タイプのポリペプチド鎖の小さい方をいう。カッパ(κ)およびラムダ(λ)軽鎖は、2つの主要な抗体軽鎖アイソタイプをいう。
用語“組み換え抗体”は、例えば、バクテリオファージまたは酵母発現系により発現された抗体などの、組み換えDNAテクノロジーを使用して産生される抗体をいう。本用語はまた該抗体をコードするDNA分子の合成により産生されており、該DNA分子が抗体タンパク質または該抗体を特徴付けるアミノ酸配列を発現する抗体を意味すると解釈されるべきであり、ここで、DNAまたはアミノ酸配列は、当分野で利用可能であり、周知の組み換えDNAまたはアミノ酸配列テクノロジーを使用して得られたものである。
用語“抗原”または“Ag”は、免疫応答を誘発する分子をいう。この免疫応答は、抗体産生または特異的免疫コンピテント細胞の活性化あるいはそれらの両方を含む。当業者は、事実上全てのタンパク質またはペプチドを含む、あらゆる巨大分子が抗原として作用し得ることを理解する。さらに、抗原は、組み換えまたはゲノムDNAに由来し得る。当業者は、免疫応答を誘発するタンパク質をコードするヌクレオチド配列または部分的ヌクレオチド配列を含むあらゆるDNAが、それ故に、ここで使用する用語としての“抗原”をコードすることを理解する。さらに、当業者は、抗原が必ずしも遺伝子の完全長ヌクレオチド配列によってのみコードされることを要しないことを理解する。本発明は、複数の遺伝子の部分的ヌクレオチド配列の使用を含み、かつこれに限定されないことおよびこれらのヌクレオチド配列が所望の免疫応答を誘発するポリペプチドをコードするように種々の組み合わせで配列されていることは容易に明らかである。さらに、当業者は、抗原が全く“遺伝子”によりコードされる必要が全く無いことを理解する。抗原は合成により製造でき、または生物学的サンプルに由来でき、またはポリペプチド以外の巨大分子であり得ることは容易に明らかである。このような生物学的サンプルは、組織サンプル、腫瘍サンプル、細胞または他の生物学的成分を含む体液を含み得るが、これらに限定されない。
用語“抗癌効果”は、例えば、腫瘍体積減少、癌細胞数減少、転移数減少、余命延長、癌細胞増殖減少、癌細胞生存短縮または癌性状態と関連する種々の生理学的症状改善を含むが、これらに限定されない種々の手段により顕在化され得る生物学的効果をいう。“抗癌効果”はまた、ペプチド、ポリヌクレオチド、細胞および抗体が、まず癌を予防する能力によっても顕在化され得る。用語“抗腫瘍効果”は、例えば、腫瘍体積減少、腫瘍細胞数減少、腫瘍細胞増殖減少または腫瘍細胞生存短縮を含むが、これらに限定されない種々の手段により顕在化され得る生物学的効果をいう。
用語“自己”は、後に再導入される個体と同じ個体由来のあらゆる物質をいう。
用語“同種”は、物質が導入される個体と同じ種に属する他の動物由来のあらゆる物質をいう。2以上の個体は、1以上の座位での遺伝子が同一でない場合、互いに同種であると言える。ある態様において、同じ種の個体から得た同種物質は、抗原的に相互作用するので遺伝的に十分非類似である。
用語“異種”は、異なる種の動物由来の移植片をいう。
用語“癌”は、異常細胞の制御されない増殖により特徴付けられる、疾患をいう。癌は、病理組織学的型または侵襲性のステージとは無関係に、すべてのタイプの癌性増殖または発癌過程、転移組織または悪性転換細胞、組織または臓器を含む。癌細胞は局所性にまたは血流およびリンパ系を介して体の他の部分に拡散され得る。種々の癌の例はここに記載されており、中皮腫、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、皮膚癌、膵臓癌、結腸直腸癌、腎臓癌、肝臓癌、脳腫瘍、リンパ腫、白血病、肺癌などを含むが、これらに限定されない。
用語“メソテリンの発現と関連する疾患”は、例えば、癌または悪性腫瘍または中皮過形成などの前癌状態などの増殖性疾患またはメソテリンを発現する細胞と関連する非癌関連兆候を含む、メソテリンの発現と関連する疾患またはメソテリンを発現する細胞と関連する状態を含むが、これらに限定されない。メソテリンを発現する種々の癌の例は、中皮腫、肺癌、卵巣癌、膵臓癌などを含むが、これらに限定されない。
用語“保存的配列修飾”は、アミノ酸配列を含む抗体または抗体フラグメントの結合特性に顕著に影響しないまたは変えないアミノ酸修飾をいう。このような保存的修飾はアミノ酸置換、付加および欠失を含む。修飾は、部位特異的変異誘発およびPCR介在変異誘発などの当分野で知られる標準技術により本発明の抗体または抗体フラグメントに導入され得る。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が類似側鎖を有するアミノ酸残基に置換されるものである。類似側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当分野で定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。それ故に、本発明のCAR内の1以上アミノ酸残基を同じ側鎖ファミリー由来の他のアミノ酸残基で置き換えてよく、改変CARを、例えば、ここに記載する機能的アッセイを使用して、メソテリンに結合する能力について、試験し得る。
用語“刺激”は、刺激分子(例えば、TCR/CD3複合体またはCAR)とその同族リガンド(またはCARの場合腫瘍抗原)の結合により誘発され、それにより、TCR/CD3複合体を経るシグナル伝達またはCARの適切なNK受容体またはシグナル伝達ドメインを経るシグナル伝達などの、しかし、これらに限定されない、シグナル伝達事象が媒介される、一次応答をいう。刺激は、TGF-βの下方制御などのある分子の発現改変および/または細胞骨格構造の認識などに介在し得る。
用語“刺激分子”は、免疫エフェクター細胞シグナル伝達経路、例えば、T細胞シグナル伝達経路の少なくともある態様について刺激方向で免疫エフェクター細胞の活性化を制御する細胞質シグナル伝達配列を提供する、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞、B細胞)により発現される分子をいう。ある態様において、シグナルは、例えば、TCR/CD3複合体とペプチドと共に導入されたMHC分子の結合により開始され、増殖、活性化、分化などを含むが、これらに限定されないT細胞応答の介在にいたる、一次シグナルである。刺激方向で作用する一次細胞質シグナル伝達配列(“一次シグナル伝達ドメイン”とも称する)は、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフまたはITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含み得る。本発明に特に有用であるITAM含有一次細胞質シグナル伝達配列の例は、CD3ゼータ、共通FcRガンマ(FCER1G)、FcガンマRIIa、FcRベータ(FcイプシロンR1b)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD278(“ICOS”としても知られる)、FcεRI、DAP10、DAP12およびCD66d由来のものを含むが、これらに限定されない。本発明の特定のCARにおいて、本発明の何れかの1以上のCARにおける細胞内シグナル伝達ドメインは、細胞内シグナル伝達配列、例えば、CD3ゼータの一次シグナル伝達配列を含む。本発明の特定のCARにおいて、CD3ゼータの一次シグナル伝達配列は、配列番号18として提供される配列または非ヒト種、例えば、マウス、齧歯類、サル、類人猿などからの等価な残基である。本発明の特定のCARにおいて、CD3ゼータの一次シグナル伝達配列は、配列番号20として提供される配列または非ヒト種、例えば、マウス、齧歯類、サル、類人猿などからの等価な残基である。
用語“抗原提示細胞”または“APC”は、表面上の主要組織適合複合体(MHC)と複合体化した外来抗原を呈するアクセサリー細胞(例えば、B細胞、樹状細胞など)などの免疫系細胞をいう。T細胞は、そのT細胞受容体(TCR)を使用して、これらの複合体を認識し得る。APCは抗原を処理し、それらをT細胞に提示させる。
ここで使用する用語“細胞内シグナル伝達ドメイン”は、分子の細胞内部分をいう。細胞内シグナル伝達ドメインは、CAR発現細胞、例えば、CART細胞またはCAR発現NK細胞の免疫エフェクター機能を促進するシグナルを産生する。例えば、CART細胞またはCAR発現NK細胞における免疫エフェクター機能の例は、サイトカイン分泌を含む、細胞溶解活性およびヘルパー活性を含む。細胞内シグナル伝達ドメイン全体を用いてよいが、多くの場合、鎖全体を用いる必要はない。細胞内シグナル伝達ドメインの切断部分を使用する限り、このような切断部分は、それがエフェクター機能シグナルを伝達する限り、インタクト鎖の代わりに使用され得る。用語細胞内シグナル伝達ドメインは、それ故に、エフェクター機能シグナルの伝達に十分な細胞内シグナル伝達ドメインのあらゆる切断部分を含むことを意味する。
ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含み得る。一次細胞内シグナル伝達ドメインの例は、一次刺激または抗原依存的刺激を担う分子由来のものを含む。ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは共刺激細胞内ドメインを含み得る。共刺激細胞内シグナル伝達ドメインの例は、共刺激シグナルまたは抗原非依存的刺激を担う分子由来のものを含む。ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、合成または改変される。例えば、CAR発現免疫エフェクター細胞、例えば、CART細胞またはCAR発現NK細胞の場合、一次細胞内シグナル伝達ドメインはT細胞受容体の細胞質配列を含むことができ、一次細胞内シグナル伝達ドメインはT細胞受容体の細胞質配列を含むことができ、共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、共受容体または共刺激分子からの細胞質配列を含み得る。
一次細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフまたはITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含み得る。ITAM含有一次細胞質シグナル伝達配列の例は、CD3ゼータ、共通FcRガンマ(FCER1G)、FcガンマRIIa、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD278(“ICOS”)、FcεRI CD66d、DAP10およびDAP12由来のものを含むが、これらに限定されない。
用語“ゼータ”あるいは“ゼータ鎖”、“CD3ゼータ”または“TCRゼータ”は、GenBan Acc. No. BAG36664.1として提供されるタンパク質または非ヒト種、例えば、マウス、齧歯類、サル、類人猿などからの等価な残基として定義され、“ゼータ刺激ドメイン”あるいは“CD3ゼータ刺激ドメイン”または“TCRゼータ刺激ドメイン”は、T細胞活性化に必要な初期シグナルの機能的伝達に十分なゼータ鎖の細胞質ドメインからのアミノ酸残基として定義される。ある態様において、ゼータの細胞質ドメインは、Acc. No. BAG36664.1の残基52~164またはその機能的オルソログである非ヒト種、例えば、マウス、齧歯類、サル、類人猿などからの等価な残基を含む。ある態様において、“ゼータ刺激ドメイン”または“CD3ゼータ刺激ドメイン”は、配列番号18として提供される配列である。ある態様において、“ゼータ刺激ドメイン”または“CD3ゼータ刺激ドメイン”は、配列番号20として提供される配列である。またここに包含されるのは、ここに記載するアミノ酸配列、例えば、配列番号20に1以上の変異を含むCD3ゼータドメインである。
用語“共刺激分子”は、共刺激リガンドと特異的に結合し、それにより、増殖のような、しかしこれに限定されない、T細胞による共刺激応答を媒介する、T細胞上の同族結合パートナーをいう。共刺激分子は、効率的免疫応答に必要な、抗原受容体またはそのリガンド以外の細胞表面分子である。共刺激分子は、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ性活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、OX40、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、4-1BB(CD137)、B7-H3、CDS、ICAM-1、ICOS(CD278)、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19aおよびCD83と特異的に結合するリガンドを含むが、これらに限定されない。
共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激分子の細胞内部分であり得る。細胞内シグナル伝達ドメインは、それが由来する分子の細胞内部分全体または天然細胞内シグナル伝達ドメイン全体またはその機能的フラグメントを含み得る。
用語“4-1BB”は、GenBank Acc. No. AAA62478.2として提供されるアミノ酸配列または非ヒト種、例えば、マウス、齧歯類、サル、類人猿などからの等価な残基を有するTNFRスーパーファミリーのメンバーをいい、“4-1BB共刺激ドメイン”は、GenBank Acc. No. AAA62478.2のアミノ酸残基214~255として定義されまたは非ヒト種、例えば、マウス、齧歯類、サル、類人猿などからの等価な残基である。ある態様において、“4-1BB共刺激ドメイン”は配列番号14として提供される配列または非ヒト種、例えば、マウス、齧歯類、サル、類人猿などからの等価な残基である。
ここで使用する用語“免疫エフェクター細胞”は、例えば、免疫エフェクター応答の促進において、免疫応答に関与する細胞をいう。免疫エフェクター細胞の例は、T細胞、例えば、アルファ/ベータT細胞およびガンマ/デルタT細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、肥満細胞および骨髄由来貪食細胞を含む。
ここで使用する用語“免疫エフェクター機能または免疫エフェクター応答”は、標的細胞の免疫攻撃を増強または促進する、例えば、免疫エフェクター細胞の、機能または応答をいう。例えば、免疫エフェクター機能または応答は、標的細胞の細胞死を促進するまたは成長もしくは増殖を阻害する、T細胞またはNK細胞の性質をいう。T細胞の場合、一次刺激および共刺激が免疫エフェクター機能または応答の例である。
用語“エフェクター機能”は、細胞の特殊化機能をいう。T細胞のエフェクター機能は、例えば、サイトカイン分泌を含む、細胞溶解活性またはヘルパー活性であり得る。
用語“コードする”は、ヌクレオチド(すなわち、rRNA、tRNAおよびmRNA)の規定配列であって、生物学的過程において他のポリマーおよび高分子分子の鋳型として働く、遺伝子、cDNAまたはmRNAなどのポリヌクレオチドにおけるヌクレオチドの特定配列またはアミノ酸の特定配列およびそれらに由来する生物学的性質を含む固有の性質をコードするこという。それ故に、遺伝子、cDNAまたはRNAは、遺伝子に対応するmRNAの転写および翻訳が、細胞または他の生物システムにおけるタンパク質を生ずるならば、その遺伝子、cDNAまたはRNAはタンパク質をコードする。ヌクレオチド配列がmRNA配列に一致し、通常配列表に提供されるコード鎖および遺伝子またはcDNAの転写の鋳型として使用される非コード鎖の両方が、タンパク質またはその遺伝子またはcDNAの他の遺伝子産物をコードするということができる。
特に断らない限り、“アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列”は、互いの縮重バージョンであり、同一アミノ酸配列をコードする、全ヌクレオチド配列を含む。タンパク質またはRNAをコードするヌクレオチド配列なる表現は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列が、あるバージョンでイントロンを含み得る限り、イントロンも含み得る。
用語“有効量”または“治療有効量”は、ここでは相互交換可能に使用し、特定の生物学的結果を達成するのに効果的な、ここに記載する化合物、製剤、物質または組成物の量をいう。
用語“内因性”は、生物、細胞、組織または系の内部に由来するまたは産生されたあらゆる物質をいう。
用語“外因性”は、生物、細胞、組織または系の外部から導入されたまたは産生されたあらゆる物質をいう。
用語“発現”は、特定のヌクレオチド配列の、そのプロモーターにより駆動される、転写および/または翻訳をいう。
用語“導入ベクター”は、単離核酸を含み、該単離核酸を細胞内部に送達するのに使用できる、組成物をいう。多数のベクターは当分野で知られ、直線状ポリヌクレオチド、イオン性または両親媒性化合物と関連するポリヌクレオチド、プラスミドおよびウイルスを含むが、これらに限定されない。それ故に、用語“導入ベクター”は、自己複製プラスミドまたはウイルスを含む。本用語はまた、例えば、ポリリシン化合物、リポソームなど、核酸の細胞への伝達を促進する、非プラスミドおよび非ウイルス化合物をさらに含むとも解釈されるべきである。ウイルス導入ベクターの例は、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターなどを含むが、これらに限定されない。
用語“発現ベクター”は、発現されるヌクレオチド配列に操作可能に結合した発現制御配列を含む組み換えポリヌクレオチドを含む、ベクターをいう。発現ベクターは、発現のための十分なシス作用性要素を含み、発現のための他の要素は宿主細胞またはインビトロ発現系で提供され得る。発現ベクターは、組み換えポリヌクレオチドを取り込む、コスミド、プラスミド(例えば、裸のまたはリポソームに含まれた)およびウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)を含む、当分野で知られる全てのものを含む。
用語“レンチウイルス”は、レトロウイルス科の属である。レンチウイルスは、非分裂細胞に感染できる点で、レトロウイルスの中で独特であり、相当量の遺伝情報を宿主細胞DNAに送達でき、従って、それらは遺伝子送達ベクターの最も効率的方法の1つである。HIV、SIVおよびFIVは、全てレンチウイルスの例である。
用語“レンチウイルスベクター”は、特にMilone et al., Mol. Ther. 17(8): 1453-1464 (2009)により提供される自己不活性化レンチウイルスベクターを含む、レンチウイルスゲノムの少なくとも一部に由来するベクターをいう。臨床において使用され得るレンチウイルスベクターの他の例は、例えば、Oxford BioMedicaからのLENTIVECTOR(登録商標)遺伝子送達テクノロジー、LentigenからのLENTIMAXTMベクターシステムなどを含むが、これらに限定されない。非臨床タイプのレンチウイルスベクターも利用可能であり、当業者に知られる。
用語“相同”または“同一性”は、2重合分子、例えば、2核酸分子、例えば、2DNA分子または2RNA分子または2ポリペプチド分子間のサブユニット配列同一性をいう。2分子の両方におけるサブユニット位置が同じ単量体サブユニットにより占拠されているとき、例えば、2DNA分子の各々におけるある位置がアデニンにより占拠されているならば、それらはその位置で相同または同一である。2配列間の相同性は適合または相同位置の数の直接的関数であり、例えば、2配列の位置の半分(例えば、10サブユニット長ポリマーにおける5位置)が相同であるならば、2配列は50%相同であり、90%の位置(例えば、10中9)が適合または相同であるならば、2配列は90%相同である。
用語“ヒト化”は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含む、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはそのフラグメント(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab’)または抗体の他の抗原結合部分配列)の形態である非ヒト(例えば、マウス)抗体をいう。大部分について、ヒト化抗体および抗体そのフラグメントはヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体または抗体フラグメント)であり、ここで、レシピエントの相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラットまたはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基に置き換わる。ある場合、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基に置き換わる。さらに、ヒト化抗体/抗体フラグメントは、レシピエント抗体にも移入CDRまたはフレームワーク配列にも見られない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体または抗体フラグメント性能をさらに精緻化および最適化し得る。一般に、ヒト化抗体またはその抗体フラグメントは、少なくとも1、一般に2可変ドメインの相当部分を含み、ここで、全てのまたは実質的に全てのCDR領域は非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てのまたは実質的に全てのFR領域はヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体または抗体フラグメントはまた、一般にヒト免疫グロブリンのものである、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部も含み得る。さらなる詳細について、Jones et al., Nature, 321: 522-525, 1986; Reichmann et al., Nature, 332: 323-329, 1988; Presta, Curr. Op. Struct. Biol., 2: 593-596, 1992参照。
用語“完全ヒト”は、分子全体がヒト起源であるかまたはヒト形態の抗体または免疫グロブリンと同一のアミノ酸配列からなる、抗体または抗体フラグメントなどの免疫グロブリンをいう。
用語“単離”は、天然状態からの改変または移動を意味する。例えば、生存動物に天然に存在する核酸またはペプチドは“単離”されていないが、その天然状態での併存物質から一部または完全に離されている同じ核酸またはペプチドは“単離”されている。単離核酸またはタンパク質は、実質的に純粋な形態で存在できまたは、例えば、宿主細胞などの非天然環境で存在できる。
本明細書の記載において、一般的に存在する核酸塩基について、次の略語を使用する。“A”はアデノシンであり、“C”はシトシンであり、“G”はグアノシンであり、“T”はチミジンであり、“U”はウリジンである。
用語“操作可能に結合”または“転写制御”は、制御配列および異種核酸配列の後者の発現をもたらす機能的結合をいう。例えば、第一核酸配列は、第一核酸配列が第二核酸配列と機能的相関にあるとき、第二核酸配列と操作可能に結合される。例えば、プロモーターは、コード配列と、該プロモーターが該コード配列の転写または発現に影響するならば、操作可能に結合される。操作可能に結合されたDNA配列は、互いに連続していてよく、2タンパク質コード領域を連結する必要があるならば、同じリーディングフレームにある。
免疫原性組成物の“非経腸”投与なる用語は、例えば、皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)または胸骨内、腫瘍内注射または点滴技法を含む。
用語“核酸”または“ポリヌクレオチド”は、一本鎖または二本鎖形態のデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)およびそのポリマーをいう。特に限定しない限り、本用語は対照核酸と類似の結合性質を有し、天然に存在するヌクレオチドに準じる方法で代謝される、天然ヌクレオチドの既知アナログを含む核酸を包含する。特に断らない限り、特定の核酸配列は、その保存的修飾バリアント(例えば、縮重コドン置換)、アレル、オルソログ、SNPおよび相補配列ならびに明示された配列も暗に包含する。特に、縮重コドン置換は、1以上の選択(または全)コドンが混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列の産生により達成され得る(Batzer et al., Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991); Ohtsuka et al., J. Biol. Chem. 260:2605-2608 (1985); and Rossolini et al., Mol. Cell. Probes 8:91-98 (1994))。
用語“ペプチド”、“ポリペプチド”および“タンパク質”は相互交換可能に使用され、ペプチド結合により供給結合されたアミノ酸残基を含む化合物をいう。タンパク質またはペプチドは少なくとも2個のアミノ酸含まなければならず、タンパク質またはペプチド配列を構成し得るアミノ酸の最大数に制限は付されていない。ポリペプチドは、互いにペプチド結合により結合された、2以上のアミノ酸を含むあらゆるペプチドまたはタンパク質を含む。ここで使用する本用語は、例えば、当分野でペプチド、オリゴペプチドおよびオリゴマーとしても一般に称される短鎖および一般に当分野でタンパク質と称され、多くのタイプが存在する長鎖の両方をいう。“ポリペプチド”は、数ある中で、例えば、生物活性フラグメント、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドのバリアント、修飾ポリペプチド、誘導体、アナログ、融合タンパク質を含む。ポリペプチドは、天然ペプチド、組み換えペプチドまたはこれらの組み合わせを含む。
用語“プロモーター”は、ポリヌクレオチド配列の特定の転写の開始に必要な、細胞の合成機構または導入された合成機構により認識されるDNA配列をいう。
用語“プロモーター/制御配列”は、プロモーター/制御配列に操作可能に結合した遺伝子産物の発現に必要な核酸配列をいう。ある場合、この配列はコアプロモーター配列であってよく、他の場合、この配列は、遺伝子産物の発現に必要なエンハンサー配列および他の制御要素も含み得る。プロモーター/制御配列は、例えば、組織特異的方法で遺伝子産物を発現するものであり得る。
用語“構成的”プロモーターは、遺伝子産物をコードまたは特定するポリヌクレオチドと操作可能に結合したとき、その細胞の大部分のまたは全ての生理学的条件下、細胞に遺伝子産物を産生させる、ヌクレオチド配列をいう。
用語“誘導性”プロモーターは、遺伝子産物をコードまたは特定するポリヌクレオチドと操作可能に結合したとき、実質的に該プロモーターに対応するインデューサーが細胞に存在するときのみ、細胞に遺伝子産物を産生させる、ヌクレオチド配列をいう。
用語“組織特異的”プロモーターは、遺伝子によりコードまたは特定されるポリヌクレオチドと操作可能に結合したとき、実質的に細胞が該プロモーターに対応する組織タイプの細胞であるときのみ、細胞に遺伝子産物を産生させる、ヌクレオチド配列をいう。
scFvと関連して使用する“可撓性ポリペプチドリンカー”または“リンカー”なる用語は、単独でまたは組み合わせて使用されるグリシンおよび/またはセリン残基などのアミノ酸からなる、可変重鎖および可変軽鎖領域を互いに結合するための、ペプチドリンカーをいう。ある実施態様において、可撓性ポリペプチドリンカーはGly/Serリンカーであり、アミノ酸配列(Gly-Gly-Gly-Ser)n(ここでnは1以上の正の整数である)を含む(配列番号609)。例えば、n=1、n=2、n=3、n=4、n=5およびn=6、n=7、n=8、n=9およびn=10(配列番号606)。ある実施態様において、可撓性ポリペプチドリンカーは、(GlySer)(配列番号27)または(GlySer)(配列番号28)を含むが、これらに限定されない。他の実施態様において、リンカーは、(Gly2Ser)、(GlySer)または(Gly3Ser)の複数反復を含む(配列番号29)。また本発明の範囲内に含まれるのは、引用により本明細書に包含させるWO2012/138475号に記載のリンカーである。
ここで使用する、5’キャップ(RNAキャップ、RNA 7-メチルグアノシンキャップまたはRNA mGキャップとも称される)は、転写開始直後、真核生物メッセンジャーRNAの“フロント”または5’末端に添加されている修飾グアニンヌクレオチドである。5’キャップは、最初に転写されたヌクレオチドに結合する末端基からなる。その存在は、リボソームによる認識およびRNaseからの保護に重要である。キャップ付加は、転写と結びつき、互いが影響を与え合うように、共転写的に生じる。転写開始直後、合成されるmRNAの5’末端は、RNAポリメラーゼと結合したキャップ合成複合体により結合される。この酵素複合体は、mRNAキャッピングに必要な化学反応を触媒する。合成は多段階生化学反応として進む。キャッピング部分は、安定性または翻訳効率などのmRNAの機能性を調節するために修飾され得る。
ここで使用する、“インビトロ転写RNA”は、インビトロで合成されているRNA、好ましくはmRNAをいう。一般に、インビトロ転写RNAは、インビトロ転写ベクターから産生される。インビトロ転写ベクターは、インビトロ転写RNAの産生に使用される、鋳型を含む。
ここで使用する、“ポリ(A)”は、mRNAのポリアデニル化により結合された一連のアデノシンである。一過性発現のための構築物の好ましい実施態様において、ポリAは50~5000(配列番号30)、好ましくは64以上、より好ましくは100以上、最も好ましくは300または400以上である。ポリ(A)配列は、局在化、安定性または翻訳効率などのmRNA機能性を調節するために、化学的または酵素的に修飾され得る。
ここで使用する、“ポリアデニル化”は、メッセンジャーRNA分子へのポリアデニリル部分またはその修飾バリアントの共有結合をいう。真核生物において、大部分のメッセンジャーRNA(mRNA)分子は、3’末端でポリアデニル化される。3’ポリ(A)テイルは、酵素、ポリアデニレートポリメラーゼの作用によりプレmRNAに結合されたアデニンヌクレオチドの長い配列(しばしば数百)である。高級真核生物において、ポリ(A)テイルは特異的配列、ポリアデニル化シグナルを含む転写物に付加される。ポリ(A)テイルおよびそれに結合したタンパク質は、mRNAをエキソヌクレアーゼによる分解から保護することを助ける。ポリアデニル化は転写終了、mRNAの核からの搬出および翻訳にも重要である。ポリアデニル化はDNAのRNAへの転写直後核で起こるが、さらに、後に細胞質でも起こり得る。転写が終了した後、mRNA鎖はRNAポリメラーゼと結合したエンドヌクレアーゼ複合体の作用により開裂される。開裂部位は、通常、開裂部位近くの塩基配列AAUAAAの存在により特徴付けられる。mRNAが開裂された後、アデノシン残基は開裂部位で遊離3’末端に付加される。
ここで使用する、“一過性”は、非統合導入遺伝子の一定の時間、日または週の期間の発現をいい、ここで、発現の期間は、該遺伝子がゲノムに統合されるかまたは宿主細胞における安定なプラスミドレプリコン内に含まれるときより短い。
ここで使用する、用語“処置”および“処置する”は、1以上の治療剤(例えば、本発明のCARなどの1以上の治療剤)の投与により生じる、増殖性障害の進行、重症度および/または期間の低減もしくは改善または増殖性障害の1以上の症状(好ましくは、1以上の認識できる症状)の改善をいう。特定の実施態様において、用語“処置”および“処置する”は、必ずしも患者が認識できるものではない、腫瘍増殖などの増殖性障害の少なくとも1つの測定可能なパラメータの改善をいう。他の実施態様において、用語“処置”および“処置する”は、例えば、認識できる症状の安定化により身体的に、例えば、身体パラメータの安定化により生理学的に、または両方により、増殖性障害の進行を阻止することをいう。他の実施態様において、用語“処置”および“処置する”は、腫瘍サイズまたは癌細胞数の減少または安定化をいう。
用語“シグナル伝達経路”は、細胞のある部分から細胞の他の部分へのシグナル伝達に役割を有する、多様なシグナル伝達分子間の生化学的相関をいう。用語“細胞表面受容体”は、シグナルを受け、細胞膜を通過してシグナルを伝達できる分子および分子の複合体をいう。
用語“対象”は、免疫応答が誘発され得る生存生物(例えば、哺乳動物、ヒト)を含むことを意図する。
用語“実質的に精製された”細胞は、他の細胞型が本質的に共存しない細胞をいう。実質的に精製された細胞は、天然に存在する状態では通常付随する他の細胞型から分離されている細胞もいう。ある場合、実質的に精製された細胞の集団は、同種細胞の集団をいう。他の場合、この用語は、単に天然に存在する状態では通常付随する他の細胞型から分離されている細胞をいう。ある態様において、細胞はインビトロで培養される。他の態様において、細胞はインビトロで培養されない。
ここで使用する用語“治療”は処置を意味する。治療効果は、疾患状態の軽減、抑制、寛解または根絶により得られる。
ここで使用する用語“予防”は、疾患または疾患状態の予防または防止的処置を意味する。
用語“癌関連抗原”または“腫瘍抗原”は、相互交換可能であり、完全にまたはフラグメント(例えば、MHC/ペプチド)として癌細胞表面に発現され、癌細胞への薬剤の優先的ターゲティングに有用である、分子(一般にタンパク質、炭水化物または脂質)をいう。ある実施態様において、腫瘍抗原は、正常細胞および癌細胞両方により発現されるマーカー、例えば、系譜マーカー、例えば、B細胞上のCD19である。ある実施態様において、腫瘍抗原は、正常細胞と比較して癌細胞で過発現している、例えば、正常細胞と比較して、1倍過発現、2倍過発現、3倍過発現またはそれ以上過発現している、細胞表面分子である。ある実施態様において、腫瘍抗原は、癌細胞で不適切に合成されている細胞表面分子、例えば、正常細胞で発現される分子と比較して、欠失、付加または変異を含む分子である。ある実施態様において、腫瘍抗原は排他的に癌細胞の細胞表面に完全にまたはフラグメント(例えば、MHC/ペプチド)として発現され、正常細胞表面で合成または発現されない。ある実施態様において、本発明のCARは、MHC提示ペプチドに結合する抗原結合ドメイン(例えば、抗体または抗体フラグメント)を含むCARを含む。通常、内因性タンパク質由来ペプチドは主要組織適合複合体(MHC)クラスI分子のポケットを満たし、CD8Tリンパ球のT細胞受容体(TCR)により認識される。MHCクラスI複合体は、全有核細胞で構成的に発現される。癌において、ウイルス特異的および/または腫瘍特異的ペプチド/MHC複合体は、免疫療法のための特有のクラスの細胞表面標的を表す。ヒト白血球抗原(HLA)-A1またはHLA-A2におけるウイルスまたは腫瘍抗原由来ペプチドをターゲティングするTCR様抗体は記載されている(例えば、Sastry et al., J Virol. 2011 85(5):1935-1942; Sergeeva et al., Blood, 2011 117(16):4262-4272; Verma et al., J Immunol 2010 184(4):2156-2165; Willemsen et al., Gene Ther 2001 8(21):1601-1608; Dao et al., Sci Transl Med 2013 5(176):176ra33; assev et al., Cancer Gene Ther 2012 19(2):84-100参照)。例えば、TCR様抗体は、ヒトcFvファージディスプレイライブラリーなどのライブラリーのスクリーニングにより同定され得る。
用語“トランスフェクト”または“トランスフォーム”または“遺伝子導入”は、外因性核酸を宿主細胞に転移または導入する方法をいう。“トランスフェクト”または“トランスフォーム”または“遺伝子導入”細胞は、外因性核酸がトランスフェクト、トランスフォームまたは形質導入されているものである。細胞は初代対象細胞およびその子孫を含む。
用語“特異的に結合”は、サンプルに存在する結合パートナー(例えば、腫瘍抗原)タンパク質を認識し、結合する抗体またはリガンドをいうが、該抗体またはリガンドはサンプルに存在する他の分子を実質的に認識または結合しない。
ここで使用する“制御可能キメラ抗原受容体(RCAR)”は、免疫エフェクター細胞において、細胞に標的細胞、一般に癌細胞に対する特異性および制御可能細胞内シグナル産生を提供する、一組の、一般に最も単純な実施態様で2個のポリペプチドをいう。ある実施態様において、RCARは、CAR分子の設定において、ここに定義する少なくとも細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通および刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインおよび/または共刺激分子を含む細胞質シグナル伝達ドメイン(ここでは“細胞内シグナル伝達ドメイン”とも称する)を含む。ある実施態様において、RCARにおける一組のポリペプチドは互いに連続しておらず、例えば、異なるポリペプチド鎖にある。ある実施態様において、RCARは、二量体化分子存在下、互いのポリペプチドに結合でき、例えば、抗原結合ドメインを細胞内シグナル伝達ドメインに結合できる、二量体化スイッチを含む。ある実施態様において、RCARは、ここに記載する細胞(例えば、免疫エフェクター細胞)、例えば、RCAR発現細胞(ここでは“RCARX細胞”とも称する)で発現される。ある実施態様において、RCARX細胞はT細胞であり、RCART細胞と称する。ある実施態様において、RCARX細胞はNK細胞であり、RCARN細胞と称する。RCARは、RCAR発現細胞に標的細胞、一般に癌細胞に対する特異性および、RCAR発現細胞の免疫エフェクター性質を最適化できる制御可能細胞内シグナル産生または増殖を提供し得る。ある実施態様において、RCAR細胞は、少なくとも一部、抗原結合ドメインに結合される抗原を含む標的細胞への特異性の提供を、該抗原結合ドメインに依存する。
ここで使用する“膜固定”または“膜繋留ドメイン”は、細胞外または細胞内ドメインを原形質膜に固定するのに十分なポリペプチドまたは部分、例えば、ミリストイル基をいう。
ここで使用する“スイッチドメイン”は、例えば、RCARを参照するとき、二量体化分子存在下、他のスイッチドメインと結合する、エンティティ、一般にポリペプチドベースのエンティティをいう。結合は、第一スイッチドメインに結合、例えば、融合した第一エンティティと、第二スイッチドメインに結合、例えば、融合した第二エンティティの機能的カップリングをもたらす。第一および第二スイッチドメインは、纏めて二量体化スイッチと称される。ある実施態様において、第一および第二スイッチドメインは互いに同一であり、例えば、それらは、同じ一次アミノ酸配列を有するポリペプチドであり、纏めてホモ二量体化スイッチと称される。ある実施態様において、第一および第二スイッチドメインは互いに異なり、例えば、異なる一次アミノ酸配列を有するポリペプチドであり、纏めてヘテロ二量体化スイッチと称される。ある実施態様において、スイッチは細胞内である。ある実施態様において、スイッチは細胞外である。ある実施態様において、スイッチドメインはポリペプチドベースのエンティティ、例えば、FKBPまたはFRBベースであり、二量体化分子は小分子、例えば、ラパログである。ある実施態様において、スイッチドメインは、ポリペプチドベースのエンティティ、例えば、mycペプチドに結合するscFvであり、二量体化分子はポリペプチド、そのフラグメントまたはポリペプチドの多量体、例えば、1以上のmyc scFvに結合するmycリガンドまたはmycリガンドの多量体である。ある実施態様において、スイッチドメインはポリペプチドベースのエンティティ、例えば、myc受容体であり、二量体化分子は抗体またはそのフラグメント、例えば、myc抗体である。
ここで使用する“二量体化分子”は、例えば、RCARを参照するとき、第一スイッチドメインと第二スイッチドメインの結合を促進する分子をいう。ある実施態様において、二量体化分子は対象で自然に生じないまたは顕著な二量体化をもたらす濃度で生じない。ある実施態様において、二量体化分子は小分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001である。
用語“生物学的同等性”は、対照用量または対照量の対照化合物(例えば、RAD001)により生じる効果と同等な効果をもたらすのに必要な、対照化合物(例えば、RAD001)以外の薬物の量をいう。ある実施態様において、効果は、例えば、P70 S6キナーゼ阻害により測定して、例えば、インビボまたはインビトロアッセイで評価して、例えば、ここに記載するアッセイ、例えば、Boulayアッセイまたはウェスタンブロットによるリン酸化S6レベルの測定により測定して、mTOR阻害レベルである。ある実施態様において、効果は、細胞選別により測定して、PD-1陽性/PD-1陰性T細胞比の改変である。ある実施態様において、mTOR阻害剤の生物学的同等量または用量は、対照用量または対照量の対照化合物と同レベルのP70 S6キナーゼ阻害を達成する量または用量である。ある実施態様において、mTOR阻害剤の生物学的同等量または用量は、対照用量または対照量の対照化合物と同レベルのPD-1陽性/PD-1陰性T細胞比の改変を達成する量または用量である。
mTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001またはラパマイシンまたは触媒mTOR阻害剤と組み合わせて使用するときの用語“低い、免疫増強用量”は、例えば、P70 S6キナーゼ活性阻害により測定して、mTOR活性を部分的に、しかし、不完全に、阻害する、mTOR阻害剤の用量である。例えば、P70 S6キナーゼ阻害により、mTOR活性を評価する方法は、ここに記載される。この用量は、完全免疫抑制をもたらすには不十分であるが、免疫応答増強に十分である。ある実施態様において、mTOR阻害剤の低い、免疫増強用量は、PD-1陽性T細胞数減少および/またはPD-1陰性T細胞数増加またはPD-1陰性T細胞/PD-1陽性T細胞比増加をもたらす。ある実施態様において、mTOR阻害剤の低い、免疫増強用量は、ナイーブT細胞数増加をもたらす。ある実施態様において、mTOR阻害剤の低い、免疫増強用量は、次の1以上をもたらす。
例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体の次のマーカーの1以上の発現増加:CD62L、CD127、CD27およびBCL2;
例えば、記憶T細胞、例えば、記憶T細胞前駆体の、KLRG1発現減少;および
記憶T細胞前駆体、例えば、次の特徴の何れかの1または組み合わせを有する細胞の数の増加:CD62L増加、CD127増加、CD27増加、KLRG1減少およびBCL2増加;
ここで、上記変化の何れも、例えば、非処置対象と比較して、例えば、少なくとも一過性に、起こる。
ここで使用する“難治性”は、処置に応答しない疾患、例えば、癌をいう。ある実施態様において、難治性癌は、処置前または開始時に処置に耐性であり得る。他の実施態様において、難治性癌は、処置の間に耐性となり得る。難治性癌は耐性癌とも称される。
ここで使用する“再発性”または“再発”は、例えば、治療剤、例えば、癌治療剤の先の処置の後の改善または応答性の期間の後の、疾患(例えば、癌)または癌などの徴候および症状の再起または再出現をいう。応答性の最初の期間は、ある閾値、例えば、20%、1%、10%、5%、4%、3%、2%または1%以下の癌細胞のレベルの減少を含み得る。再出現は、ある閾値、例えば、20%、1%、10%、5%、4%、3%、2%または1%を超える癌細胞のレベル上昇を含み得る。例えば、B-ALLにおいて、例えば、再出現は、完全応答後の、例えば、血液、骨髄(>5%)または骨髄外部位における芽細胞再出現を含み得る。完全応答は、この状況において、<5%BM芽細胞を含み得る。より一般に、ある実施態様において、応答(例えば、完全応答または部分応答)は、検出可能MRD(最小残存疾患)の非存在を含み得る。ある実施態様において、応答性の初期期間は、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日または6日;少なくとも1週、2週、3週または4週;少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、8ヶ月、10ヶ月または12ヶ月;または少なくとも1年、2年、3年、4年または5年続く。
範囲:本明細書をとおして、本発明の種々の態様は範囲表現で示され得る。範囲表現での記載は単に便利さおよび簡潔さのためであり、本発明の範囲に対する不動の限定として解釈されるべきではないことは理解される。従って、範囲の記載は、当該範囲内の可能な部分範囲ならびに個々の数値が具体的に記載されていると解釈されるべきである。例えば、例えば、1~6などの範囲の記載は1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、ならびに該範囲内の個々の数値、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3および6が具体的に開示されていると解釈されるべきである。他の例として、95~99%同一性などの範囲は、95%、96%、97%、98%または99%同一性を有する何かを含み、かつ96~99%、96~98%、96~97%、97~99%、97~98%および98~99%同一性などの部分範囲を含む。これは、範囲の広さにかかわらず適用される。
記載
ここに提供されるのは、メソテリンを標的とするキメラ抗原受容体、例えば、メソテリンCARを含む細胞を、PD-L1阻害剤と組み合わせて投与することによる、癌などの疾患を処置するための、組成物および方法である。メソテリンCARおよびメソテリンCAR発現細胞を産生するための成分の例は、ここに開示される。PD-L1阻害剤の例もここに記載される。
ある実施態様において、ここに記載するメソテリンCAR発現細胞およびここに記載するPD-L1阻害剤の組み合わせ治療は、次の1以上をもたらす。メソテリンCAR発現細胞の抗腫瘍活性の改善または増強;メソテリンCAR発現細胞の増殖増加または存続増加;メソテリンCAR発現細胞浸潤の改善または増加;腫瘍進行阻止改善;腫瘍進行遅延;癌細胞増殖阻害または低減;および/または腫瘍負荷、例えば、腫瘍体積またはサイズ減少。
ここに提供する実施例において示されるとおり、ある実施態様において、メソテリンCAR発現細胞投与前のPD-L1阻害剤投与は、例えば、メソテリンCAR発現細胞投与後のPD-L1阻害剤投与またはPD-L1阻害剤またはメソテリンCAR発現細胞単独投与と比較して、ある癌において、治療有効性増加、例えば、腫瘍進行および/または腫瘍増殖阻害の増加をもたらす。
PD-L1は、免疫応答、例えば、抗腫瘍免疫応答を下方制御することが知られる。PD-L1は、癌細胞または癌関連細胞、例えば、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)によっても発現され得る。理論に拘束されることを意図しないが、ある実施態様において、ここに記載する組み合わせ治療、例えば、メソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤を投与される対象は、対象が次のPD-L1を発現、例えば、高度に発現する癌;抗腫瘍免疫細胞、例えば、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)により浸潤されている癌;および/またはPD-L1を発現、例えば、高度に発現する癌関連細胞の1以上を有するならば、組み合わせ治療を投与されないかまたはメソテリンCAR発現細胞またはPD-L1阻害剤単独を投与される対象と比較して、抗腫瘍活性が増加する可能性が高い。例えば、理論に拘束されることを意図しないが、PD-L1阻害剤での処置は、抗腫瘍免疫応答下方制御、例えば、抗腫瘍免疫細胞、例えば、TILまたはメソテリンCAR発現免疫細胞の消耗の予防または軽減をし、それにより、抗腫瘍有効性を増加する。
メソテリンキメラ抗原受容体(CAR)
本発明は、メソテリンを標的とし、例えば、特異的に結合する、CAR分子(メソテリンCAR)を含む免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)を包含する。ある実施態様において、免疫エフェクター細胞は、メソテリンCARを発現するように改変される。ある実施態様において、免疫エフェクター細胞は、メソテリンCARをコードする核酸配列を含む組み換え核酸構築物を含む。
ある実施態様において、メソテリンCARは、メソテリンに特異的に結合する抗原結合ドメイン、例えば、メソテリン結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある実施態様において、抗原結合ドメインの配列は、細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸配列と連続し、同じリーディングフレームにある。細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメインおよび/または一次シグナル伝達ドメイン、例えば、ゼータ鎖を含み得る。共刺激シグナル伝達ドメインは、少なくとも共刺激分子の細胞内ドメインの一部を含む、CARの部分をいう。
ここに記載するメソテリンCAR分子の種々の成分の配列の非限定的例を表1に挙げ、ここで、“aa”はアミノ酸を意味し、“na”は対応するペプチドをコードする核酸を意味する。
ある態様において、CAR構築物の例は、選択されるリーダー配列(例えば、ここに記載するリーダー配列)、細胞外抗原結合ドメイン(例えば、ここに記載する抗原結合ドメイン)、ヒンジ(例えば、ここに記載するヒンジ領域)、膜貫通ドメイン(例えば、ここに記載する膜貫通ドメイン)および細胞内刺激ドメイン(例えば、ここに記載する細胞内刺激ドメイン)を含む。ある態様において、CAR構築物の例は、選択されるリーダー配列(例えば、ここに記載するリーダー配列)、細胞外抗原結合ドメイン(例えば、ここに記載する抗原結合ドメイン)、ヒンジ(例えば、ここに記載するヒンジ領域)、膜貫通ドメイン(例えば、ここに記載する膜貫通ドメイン)、細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン(例えば、ここに記載する共刺激シグナル伝達ドメイン)および/または細胞内一次シグナル伝達ドメイン(例えば、ここに記載する一次シグナル伝達ドメイン)を含む。
ある態様において、メソテリン本発明のCARは、CD137(4-1BB)シグナル伝達ドメイン、CD28シグナル伝達ドメイン、CD27シグナル伝達ドメイン、ICOSシグナル伝達ドメイン、CD3ゼータシグナルドメインおよびこれらの何れかの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある態様において、本発明のCARは、CD137(4-1BB)、CD28、CD27またはICOSから選択される以上の共刺激分子からの少なくとも1細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
抗原結合ドメイン
ある態様において、本発明のCARは、抗原結合ドメインとも称する標的特異的結合要素を含む。ある実施態様において、CARの抗原結合ドメインを含む部分は、メソテリンを標的とし、例えば、特異的に結合する、抗原結合ドメインを含む。ある実施態様において、抗原結合ドメインは、ヒトメソテリンを標的とし、例えば、特異的に結合する。
抗原結合ドメインは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組み換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体および重鎖可変ドメイン(VH)、軽鎖可変ドメイン(VL)およびラクダ類由来ナノボディの可変ドメイン(VHH)などの単一ドメイン抗体を含むその機能的フラグメントおよび組み換えフィブロネクチンドメインなどなどの抗原結合ドメインとして機能することが当分野で知られる代替スキャフォールドを含むが、これらに限定されない、抗原に結合するあらゆるドメインであり得る。ある場合、抗原結合ドメインが、CARを最終的に使用するのと同じ種由来であることが有利である。例えば、ヒトにおける使用のために、CARの抗原結合ドメインが、抗体または抗体フラグメントの抗原結合ドメインについてヒトまたはヒト化残基を含むことが有利である。それ故に、ある態様において、抗原結合ドメインは、ヒト抗体または抗体フラグメントを含む。
ある実施態様において、メソテリン結合ドメインは、配列番号39~62から選択されるメソテリン結合ドメインの軽鎖相補性決定領域1(LC CDR1)、軽鎖相補性決定領域2(LC CDR2)および軽鎖相補性決定領域3(LC CDR3)の1以上(例えば、全3)および配列番号39~62から選択されるメソテリン結合ドメインの重鎖相補性決定領域1(HC CDR1)、重鎖相補性決定領域2(HC CDR2)および重鎖相補性決定領域3(HC CDR3)の1以上(例えば、全3)を含む。ある実施態様において、メソテリン結合ドメインは、ここに記載する軽鎖可変領域(例えば、表2)および/またはここに記載する重鎖可変領域(例えば、表2)を含む。ある実施態様において、メソテリン結合ドメインは、表2のアミノ酸配列の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含むscFvを含む。ある実施態様において、メソテリン結合ドメイン(例えば、scFV)は、表2に提供される軽鎖可変領域のアミノ酸配列に少なくとも1、2または3修飾(例えば、置換)を有するが、修飾(例えば、置換)が30、20または10修飾(例えば、置換)を超えないアミノ酸配列または表2のアミノ酸配列と95~99%同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域;および/または表2に提供される重鎖可変領域のアミノ酸配列に少なくとも1、2または3修飾(例えば、置換)を有するが、修飾(例えば、置換)が30、20または10修飾(例えば、置換)を超えないアミノ酸配列または表2のアミノ酸配列と95~99%同一性を有する配列を含む重鎖可変領域を含む。
ある実施態様において、メソテリン結合ドメインは、リンカー、例えば、ここに記載するリンカーにより、ここに、例えば、表2または3に記載するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域に結合した、ここに、例えば、表2または3に記載するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。ある実施態様において、ヒト化抗メソテリン結合ドメインはGly4-Ser)nリンカー(配列番号26)を含み、ここで、nは1、2、3、4、5または6、好ましくは3または4である。scFvの軽鎖可変領域および重鎖可変領域は、例えば、次の配向の何れでもよい。軽鎖可変領域-リンカー-重鎖可変領域または重鎖可変領域-リンカー-軽鎖可変領域。
他の実施態様において、メソテリン結合ドメインは、メソテリンに結合する当分野で知られる何れかの抗体またはその抗体フラグメントを含む。当分野で知られる他の抗メソテリン抗体またはその抗体フラグメントの例は、WO2009/120769号(例えば、抗体m912、その軽鎖および重鎖アミノ酸配列はWO2009/120769号の配列番号1および配列番号2);米国特許6,083,502号、米国特許公開US2008/0261245号、WO2009/068204号、WO2010/111282号、WO2014/004549号および米国特許公開US2015/0274836号に開示される。
ある態様において、本発明の抗体は、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fvフラグメント、scFv抗体フラグメント、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント、直線状抗体、sdAbなどの単一ドメイン抗体(VLまたはVH)、ラクダ類VHHドメイン、ヒンジ領域でジスルフィド架橋により結合した2Fabフラグメントを含む二価フラグメントなどの抗体フラグメントから形成された多特異的抗体および単離CDRまたは抗体の他のエピトープ結合フラグメントを含む、多様な他の形態で存在し得る。ある態様において、ここに提供する抗体フラグメントはscFvである。ある場合、ヒトcFvは、酵母ディスプレイライブラリー由来でもあり得る。
ある場合、scFvは、当分野で知られる方法により製造できる(例えば、Bird et al., (1988) Science 242:423-426 and Huston et al., (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883参照)。ScFv分子は、例えば、可撓性ポリペプチドリンカーを使用して、VH領域とVL領域を共に連結することにより製造され得る。scFv分子は、最適長および/またはアミノ酸組成のリンカー(例えば、Ser-Glyリンカー)を含み得る。リンカー長は、scFvの可変領域がどのように折りたたまれ、相互作用するかに大きく影響し得る。実際、短ポリペプチドリンカーが用いられるとき(例えば、5~10アミノ酸)、鎖内折りたたみは阻止される。鎖間折りたたみも、2可変領域が一体となって機能的エピトープ結合部位を形成するのに必要である。リンカー配向およびサイズの例は、例えば、Hollinger et al. 1993 Proc Natl Acad. Sci. U.S.A. 90:6444-6448、米国特許出願公開2005/0100543号、2005/0175606号、2007/0014794号およびPCT公開WO2006/020258号およびWO2007/024715号を参照し、引用により本明細書に包含させる。
scFvは、VL領域とVH領域の間に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50またはそれ以上のアミノ酸残基のリンカーを含み得る。リンカー配列は、天然に存在する何れかのアミノ酸を含み得る。ある実施態様において、リンカー配列は、アミノ酸グリシンおよびセリンを含む。他の実施態様において、リンカー配列は、(GlySer)などのグリシンおよびセリン反復のセットを含み、ここで、nは1以上の正の整数である(配列番号135)。ある実施態様において、リンカーは、(GlySer)(配列番号27)または(GlySer)(配列番号28)であり得る。リンカー長の変動は、活性を保持または増強でき、活性試験で優れた有効性をもたらす。
メソテリン抗原結合ドメインおよびCAR構築物の例
ここに開示するメソテリンCAR構築物の例は、この表2または3に開示するscFv(例えば、ヒトcFv)を含み、所望により任意のリーダー配列(例えば、リーダーアミノ酸およびヌクレオチド配列の例についてそれぞれ配列番号1および配列番号12)が前にある。scFvフラグメントの配列(配列番号39~62のアミノ酸配列)は、ここに表2に提供する。メソテリンCAR構築物は、さらに任意のヒンジドメイン、例えば、CD8ヒンジドメイン(例えば、配列番号2のアミノ酸配列を含むまたは配列番号13の核酸配列によりコード);膜貫通ドメイン、例えば、CD8膜貫通ドメイン(例えば、配列番号6のアミノ酸配列を含むまたは配列番号17のヌクレオチド配列によりコード);細胞内ドメイン、例えば、4-1BB細胞内ドメイン(例えば、配列番号7のアミノ酸配列を含むまたは配列番号18のヌクレオチド配列;および機能的シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータドメイン(例えば、配列番号9または10のアミノ酸配列を含むまたは配列番号20または21のヌクレオチド配列によりコード)を含む。ある実施態様において、これらドメインは連続するかまたは同一リーディングフレームにあり、単一融合タンパク質を形成する。他の実施態様において、これらドメインは、例えば、ここに記載するRCAR分子におけるように、別のポリペプチドにある。
ある実施態様において、完全長メソテリンCAR分子は、表2または3に提供する、M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、M8、M9、M10、M11、M12、M13、M14、M15、M16、M17、M18、M19、M20、M21、M22、M23、M24またはss1のアミノ酸配列を含むかまたはそのヌクレオチド配列によりコードされるまたは前記配列の何れかと実質的に同一(例えば、それと95~99%同一または最大20、15、10、8、6、5、4、3、2または1アミノ酸変化)の配列を含むかまたはそれによりコードされる。
ある実施態様において、メソテリンCAR分子またはメソテリン抗原結合ドメインは、表2または3に提供する、M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、M8、M9、M10、M11、M12、M13、M14、M15、M16、M17、M18、M19、M20、M21、M22、M23、M24またはss1のscFvアミノ酸配列を含むかまたはそのヌクレオチド配列によりコードされるまたは前記配列の何れかと実質的に同一(例えば、それと95~99%同一または最大20、15、10、8、6、5、4、3、2または1アミノ酸変化)の配列を含むかまたはそれによりコードされる。
ある実施態様において、メソテリンCAR分子またはメソテリン抗原結合ドメインは、表2に提供するM1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、M8、M9、M10、M11、M12、M13、M14、M15、M16、M17、M18、M19、M20、M21、M22、M23、M24またはss1の重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域または前記配列の何れかと実質的に同一(例えば、95~99%同一または最大20、15、10、8、6、5、4、3、2または1アミノ酸変化)の配列を含む。
ある実施態様において、メソテリンCAR分子またはメソテリン抗原結合ドメインは、表4に提供するM1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、M8、M9、M10、M11、M12、M13、M14、M15、M16、M17、M18、M19、M20、M21、M22、M23、M24またはss1の重鎖可変領域からの1、2または3 CDR(例えば、HCDR1、HCDR2および/またはHCDR3);および/または表5に提供するM1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、M8、M9、M10、M11、M12、M13、M14、M15、M16、M17、M18、M19、M20、M21、M22、M23、M24またはss1の軽鎖可変領域からの1、2または3 CDR(例えば、LCDR1、LCDR2および/またはLCDR3);または前記配列の何れかと実質的に同一(例えば、95~99%同一または最大5、4、3、2または1アミノ酸変化)の配列を含む。
scFvドメインのCDR配列の配列を、重鎖可変ドメインについて表4および軽鎖可変ドメインについて表5に示す。
メソテリンscFvドメインおよびメソテリンCAR分子のアミノ酸および核酸配列は、表2(アミノ酸配列)および表3(核酸配列)。ある実施態様において、メソテリンCAR分子は、例えば、表2に提供する配列において下線を引く、ここに記載するリーダー配列を含む。ある実施態様において、メソテリンCAR分子はリーダー配列を含まない。
二特異的CAR
ある実施態様において、多特異的抗体分子は、二特異的抗体分子である。二特異的抗体は、2を超える抗原に特異性を有しない。二特異的抗体分子は、第一エピトープに結合特異性を有する第一免疫グロブリン可変ドメイン配列および第二エピトープに結合特異性を有する第二免疫グロブリン可変ドメイン配列により特徴付けられる。ある実施態様において、第一および第二エピトープは、同じ抗原、例えば、同じタンパク質(または多量体タンパク質のサブユニット)にある。ある実施態様において、第一および第二エピトープは重複する。ある実施態様において、第一および第二エピトープは重複しない。ある実施態様において、第一および第二エピトープは異なる抗原、例えば、異なるタンパク質(または多量体タンパク質の異なるサブユニット)にある。ある実施態様において、二特異的抗体分子は、第一エピトープに結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列および軽鎖可変ドメイン配列ならびに第二エピトープに結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列および軽鎖可変ドメイン配列を含む。ある実施態様において、二特異的抗体分子は、第一エピトープに結合特異性を有する半抗体および第二エピトープに結合特異性を有する半抗体を含む。ある実施態様において、二特異的抗体分子は、第一エピトープに結合特異性を有する半抗体またはそのフラグメントおよび第二エピトープに結合特異性を有する半抗体またはそのフラグメントを含む。ある実施態様において、二特異的抗体分子は、第一エピトープに結合特異性を有するscFvまたはそのフラグメントおよび第二エピトープに結合特異性を有するscFvまたはそのフラグメントを含む。
ある実施態様において、抗体分子は多特異的(例えば、二特異的または三特異的)抗体分子である。二特異的またはヘテロ二量体抗体分子を産生するプロトコールは当分野で知られ、例えば、US5731168号に記載の、例えば、“ノブ・イン・ホール”アプローチ;例えば、WO09/089004号、WO06/106905号およびWO2010/129304号に記載の静電誘導Fc対合;例えば、WO07/110205号に記載の鎖交換改変ドメイン(SEED)ヘテロ二量体形成;例えば、WO08/119353号、WO2011/131746号およびWO2013/060867号に記載のFabアーム交換;例えば、US4433059号に記載の、例えば、アミン反応性基およびスルフヒドリル反応性基を有するヘテロ二官能性試薬を使用する二特異的構造産生のための抗体架橋結合による、二重抗体コンジュゲート;例えば、US4444878号に記載の、2重鎖間のジスルフィド結合の還元および酸化のサイクルによる、異なる抗体からの半抗体(重-軽鎖対またはFab)組み換えにより産生した二特異的抗体決定基;例えば、US5273743号に記載の、三機能的抗体、例えば、スルフヒドリル反応性基により架橋した3Fab’フラグメント;例えば、US5534254号に記載の、生合成結合タンパク質、例えば、C末端テイルにより、好ましくはジスルフィドまたはアミン反応性化学架橋結合により架橋したscFvの対;例えば、US5582996号に記載の、二機能性抗体、例えば、定常ドメインが置換されたロイシンジッパー(例えば、c-fosおよびc-jun)により二量体化された異なる結合特異性を有するFabフラグメント;例えば、US5591828号に記載の、二特異的およびオリゴ特異的モノおよびオリゴ価受容体、例えば、ある抗体のCH1領域と一般に軽鎖を伴う他の抗体のVH領域の間のポリペプチドスペーサーにより結合された、2抗体(2Fabフラグメント)のVH-CH1領域;例えば、US5635602号に記載の、二特異的DNA-抗体コンジュゲート、例えば、DNAの二本鎖片による抗体またはFabフラグメントの架橋;例えば、US5637481号に記載の、二特異的融合タンパク質、例えば、2scFvとその間の親水性らせんペプチドリンカーおよび完全定常領域を含む発現構築物;例えば、US5837242号に記載の、多価および多特異的結合タンパク質、例えば、一般に二重特異性抗体と呼ばれる、Ig重鎖可変領域の結合領域を有する第一ドメインおよびIg軽鎖可変領域の結合領域の第二ドメインを有するポリペプチドの二量体(二特異的、三特異的または四特異的分子を作る高次構造も包含される);例えば、US5837821号に記載する、二量体化して二特異的/多価分子を形成できる、ペプチドスペーサーにより抗体ヒンジ領域およびCH3領域にさらに結合した、VL鎖およびVH鎖に結合したミニボディ構築物;二特異的二重特異性抗体を形成するために二量体を形成できる、短ペプチドリンカー(例えば、5または10アミノ酸)によりまたはリンカー無しで何れかの配向で結合されたVHおよびVLドメイン;例えば、US5844094号に記載の三量体および四量体;例えば、US5864019号に記載の、ペプチド結合により環境可能基にC末端で結合し、さらにVLドメインと結合して一連のFV(またはscFv)を形成する、VHドメイン(またはファミリーメンバーのVLドメイン)のストリング;および例えば、US5869620号に記載の、scFVまたは二重特異性抗体タイプ形式を使用して、例えば、ホモ二価、ヘテロ二価、三価および四価構造を形成する、非共有結合または化学架橋により多価構造に合わせられたペプチドリンカーにより結合したVHおよびVL両ドメインを有する一本鎖結合ポリペプチドを含むが、これらに限定されない。多特異的および二特異的分子およびその製造方法のさらなる例は、例えば、US5910573号、US5932448号、US5959083号、US5989830号、US6005079号、US6239259号、US6294353号、US6333396号、US6476198号、US6511663号、US6670453号、US6743896号、US6809185号、US6833441号、US7129330号、US7183076号、US7521056号、US7527787号、US7534866号、US7612181号、US2002004587A1号、US2002076406A1号、US2002103345A1号、US2003207346A1号、US2003211078A1号、US2004219643A1号、US2004220388A1号、US2004242847A1号、US2005003403A1号、US2005004352A1号、US2005069552A1号、US2005079170A1号、US2005100543A1号、US2005136049A1号、US2005136051A1号、US2005163782A1号、US2005266425A1号、US2006083747A1号、US2006120960A1号、US2006204493A1号、US2006263367A1号、US2007004909A1号、US2007087381A1号、US2007128150A1号、US2007141049A1号、US2007154901A1号、US2007274985A1号、US2008050370A1号、US2008069820A1号、US2008152645A1号、US2008171855A1号、US2008241884A1号、US2008254512A1号、US2008260738A1号、US2009130106A1号、US2009148905A1号、US2009155275A1号、US2009162359A1号、US2009162360A1号、US2009175851A1号、US2009175867A1号、US2009232811A1号、US2009234105A1号、US2009263392A1号、US2009274649A1号、EP346087A2号、WO0006605A2号、WO02072635A2号、WO04081051A1号、WO06020258A2号、WO2007044887A2号、WO2007095338A2号、WO2007137760A2号、WO2008119353A1号、WO2009021754A2号、WO2009068630A1号、WO9103493A1号、WO9323537A1号、WO9409131A1号、WO9412625A2号、WO9509917A1号、WO9637621A2号、WO9964460A1に見ることができる。上記引用出願の内容は、その全体を引用により本明細書に包含させる。
二特異的抗体分子の各抗体または抗体フラグメント(例えば、scFv)内で、VHはVLの上流でも下流でもよい。ある実施態様において、上流抗体または抗体フラグメント(例えば、scFv)は、VH(VH)がVL(VL)の上流に配置され、下流抗体または抗体フラグメント(例えば、scFv)はVL(VL)がVH(VH)の上流に配置され、その結果、全体的二特異的抗体分子は配置VH-VL-VL-VHを有する。他の実施態様において、上流抗体または抗体フラグメント(例えば、scFv)は、VL(VL)がVH(VH)の上流に配置され、下流抗体または抗体フラグメント(例えば、scFv)は、VH(VH)がVL(VL)の上流に配置され、その結果、全体的二特異的抗体分子は配置VL-VH-VH-VLを有する。所望により、リンカーは、2抗体または抗体フラグメント(例えば、scFvs)間、例えば、構築物がVH-VL-VL-VHとして配置されるならばVLおよびVL間または構築物がVL-VH-VH-VLとして配置されるならばVHおよびVH間に配置される。リンカーは、ここに記載のリンカー、例えば、(Gly-Ser)nリンカー(ここで、nは1、2、3、4、5または6、好ましくは4である)であり得る(配列番号26)。一般に、2scFv間のリンカーは、2scFvのドメイン間の誤対合を避けるのに十分長くなければならない。所望により、リンカーは、第一scFvのVLおよびVHの間に配置する。所望により、リンカーは、第二scFvのVLおよびVHの間に配置する。複数リンカーを有する構築物において、当該2以上のリンカーは同一でも異なっていてもよい。従って、ある実施態様において、二特異的CARはVL、VHおよび所望により1以上のリンカーを、ここに記載する配置で含む
ある態様において、二特異的抗体分子は、第一免疫グロブリン可変ドメイン配列、例えば、メソテリンに対する結合特異性を有する、例えば、ここに記載する、例えば、表2または3に記載する、scFvまたはここに記載するメソテリンscFvからの軽鎖CDRおよび/または重鎖CDRを含むscFvおよび異なる抗原の第二エピトープに結合特異性を有する第二免疫グロブリン可変ドメイン配列により特徴付けられる。ある態様において、第二免疫グロブリン可変ドメイン配列は、メソテリン以外の抗原、例えば、癌または腫瘍細胞により発現される抗原に結合特異性を有する。ある態様において、第二免疫グロブリン可変ドメイン配列は、間質細胞のメソテリン以外の標的、例えば、FAP;前立腺癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、アンドロゲン受容体、OR51E2、PSMA、PSCA、PDGRF-β、TARP、GloboH、MAD-CT-1またはMAD-CT-2;卵巣癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、Tn、PRSS21、CD171、ルイスY、葉酸受容体α、クローディン6、GloboHまたは精子タンパク質17、例えば、肺癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、VEGF、HER3、IGF-1R、EGFR、DLL4またはTrop-2から選択される抗原に結合特異性を有する。
キメラTCR
ある態様において、本発明のメソテリン抗体および抗体フラグメント(例えば、表2または3に記載のもの)は、T細胞受容体(“TCR”)鎖の1以上の定常ドメイン、例えば、TCRアルファまたはTCRベータ鎖に移植し、メソテリンに特異的に結合するキメラTCRを作ることができる。理論に拘束されないが、キメラTCRは抗原結合によりTCR複合体を介してシグナル伝達すると考えられる。例えば、ここに開示するメソテリンscFvは、TCR鎖、例えば、TCRアルファ鎖および/またはTCRベータ鎖の定常ドメイン、例えば、細胞外定常ドメインの少なくとも一部、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインに移植され得る。他の例として、メソテリン抗体フラグメント、例えば、ここに記載するVLドメインを、TCRアルファ鎖の定常ドメインに移植でき、メソテリン抗体フラグメント、例えば、ここに記載するVHドメインを、TCRベータ鎖の定常ドメインに移植できる(またはあるいは、VLドメインを、TCRベータ鎖の定常ドメインに移植してよく、VHドメインをTCRアルファ鎖に移植してよい)。他の例として、メソテリン抗体または抗体フラグメントのCDR、例えば、表4または5に記載のメソテリン抗体または抗体フラグメントのCDRをTCRアルファおよび/またはベータ鎖に移植し、メソテリンに特異的に結合するキメラTCRを作り得る。例えば、ここに開示するLCDRをTCRアルファ鎖の可変ドメインに移植してよく、ここに開示するHCDRをTCRベータ鎖の可変ドメインに移植してよく、またはその逆が可能である。このようなキメラTCRは,当分野で知られる方法により産生され得る(例えば、Willemsen RA et al, Gene Therapy 2000; 7: 1369-1377; Zhang T et al, Cancer Gene Ther 2004; 11: 487-496; Aggen et al, Gene Ther. 2012 Apr;19(4):365-74)。
膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインに関して、種々の実施態様において、CARは、CARの細胞外ドメインに結合する膜貫通ドメインを含むように設計され得る。膜貫通ドメインは、膜貫通領域に隣接した1以上のさらなるアミノ酸、例えば、該膜貫通タンパク質が由来したタンパク質の細胞外領域と関連する1以上のアミノ酸(例えば、細胞外領域の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10から最大15アミノ酸)および/または該膜貫通タンパク質が由来したタンパク質の細胞内領域と関連する1以上のさらなるアミノ酸(例えば、細胞内領域の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10から最大15アミノ酸)を含み得る。ある態様において、膜貫通ドメインは、使用したCARの他のドメインの1つと関連するものであり、例えば、ある実施態様において、膜貫通ドメインは、シグナル伝達ドメイン、共刺激ドメインまたはヒンジドメインが由来するのと同じタンパク質由来であり得る。他の態様において、膜貫通ドメインは、CARの他のドメインの何れかが由来するものと同じタンパク質に由来しない。ある場合、膜貫通ドメインは、このようなドメインの同一または異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインとの結合を避ける、例えば、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小化するために、選択するかまたはアミノ酸置換により修飾され得る。ある態様において、膜貫通ドメインは、CAR発現細胞の細胞表面の他のCARとホモ二量体化できる。異なる態様において、膜貫通ドメインのアミノ酸配列は、同じCAR発現細胞に存在する天然結合パートナーの結合ドメインとの相互作用を最小化するために、修飾または置換され得る。
膜貫通ドメインは天然供給源または組み換え供給源に由来し得る。供給源が天然であるとき、ドメインは何れかの膜結合または膜貫通タンパク質由来であり得る。ある態様において、膜貫通ドメインは、CARが標的と結合しているときはいつでも細胞内ドメインにシグナル伝達できる。本発明で特に有用な膜貫通ドメインは、少なくとも、例えば、T細胞受容体のアルファ、ベータまたはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8(例えば、CD8アルファ、CD8ベータ)、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154の膜貫通ドメインを含む。ある実施態様において、膜貫通ドメインは、例えば、少なくともKIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA-1(CD11a、CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rα、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbp、NKG2DおよびNKG2Cの膜貫通領域である。
ある場合、膜貫通ドメインは、ヒンジ、例えば、ヒトタンパク質からのヒンジにより、CARの細胞外領域、例えば、CARの抗原結合ドメインに結合させ得る。例えば、ある実施態様において、ヒンジは、ヒトIg(免疫グロブリン)ヒンジ(例えば、IgG4ヒンジ、IgDヒンジ)、GSリンカー(例えば、GSここに記載するリンカー)、KIR2DS2ヒンジまたはCD8aヒンジであり得る。ある実施態様において、ヒンジまたはスペーサーは、配列番号2のアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)。ある態様において、膜貫通ドメインは、配列番号6の膜貫通ドメインを含む(例えば、それからなる)。
ある態様において、ヒンジまたはスペーサーは、IgG4ヒンジを含む。例えば、ある実施態様において、ヒンジまたはスペーサーは、配列番号3のアミノ酸配列のヒンジを含む。
ある実施態様において、ヒンジまたはスペーサーは、配列番号14のヌクレオチド配列によりコードされるヒンジを含む。
ある態様において、ヒンジまたはスペーサーは、IgDヒンジを含む。例えば、ある実施態様において、ヒンジまたはスペーサーは、配列番号4のアミノ酸配列のヒンジを含む。
ある実施態様において、ヒンジまたはスペーサーは、配列番号15のヌクレオチド配列のヌクレオチド配列によりコードされるヒンジを含む。
ある態様において、膜貫通ドメインは組み換えであってよく、この場合、ロイシンおよびバリンなどの疎水性残基が主として含まれる。ある態様において、フェニルアラニン、トリプトファンおよびバリンのトリプレットが、組み換え膜貫通ドメインの各末端で見られ得る。
所望により、2~10アミノ酸兆の短オリゴまたはポリペプチドリンカーが、CARの膜貫通ドメインと細胞質シグナル伝達領域の間に結合を形成し得る。グリシン-セリンダブレットが特に適当なリンカーを提供する。例えば、ある態様において、リンカーは、GGGGSGGGGS(配列番号5)のアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、リンカーは、GGTGGCGGAGGTTCTGGAGGTGGAGGTTCC(配列番号16)のヌクレオチド配列によりコードされる。
ある態様において、ヒンジまたはスペーサーは、KIR2DS2ヒンジおよびその部分を含む。
細胞質ドメイン
CARの細胞質ドメインまたは領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。細胞内シグナル伝達ドメインは、一般にCARが導入されている免疫細胞の正常エフェクター機能の少なくとも1つの活性化を担う。用語“エフェクター機能”は、細胞の特殊化機能をいう。T細胞のエフェクター機能は、例えば、サイトカイン分泌を含む、細胞溶解活性またはヘルパー活性であり得る。それ故に、用語“細胞内シグナル伝達ドメイン”はエフェクター機能シグナルを導入し、細胞に特殊化機能の実施を指示する、タンパク質の部分をいう。通常細胞内シグナル伝達ドメイン全体を用いてよいが、多くの場合、鎖全体を用いる必要はない。細胞内シグナル伝達ドメインの切断部分を使用する限り、このような切断部分は、それがエフェクター機能シグナルを伝達する限り、インタクト鎖の代わりに使用され得る。用語細胞内シグナル伝達ドメインは、それ故に、エフェクター機能シグナルの伝達に十分な細胞内シグナル伝達ドメインのあらゆる切断部分を含むことを意味する。
本発明のCARにおいて使用する細胞内シグナル伝達ドメインの例は、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列および抗原受容体結合後に協調してシグナル伝達開始に働く共受容体、ならびにこれらの配列の何れかの誘導体またはバリアントおよび同等の機能的能力を有するあらゆる組み換え配列を含む。
TCR単独により産生されるシグナルはT細胞の完全活性可に不十分であり、二次および/または共刺激シグナルも必要であることが知られている。それ故に、T細胞活性化は、TCR(一次細胞内シグナル伝達ドメイン)により抗原依存性一次活性化を開始するものおよび二次または共刺激シグナル(二次細胞質ドメイン、例えば、共刺激ドメイン)を提供するために抗原非依存的様式で働くものの2つの異なるクラスの細胞質シグナル伝達配列が介在するということができる。
一次細胞質シグナル伝達ドメインは、刺激方向または阻害性方向でTCR複合体の一次活性化を制御する。刺激方向で作用する一次細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフまたはITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含み得る。
本発明に特に有用なITAM含有一次細胞内シグナル伝達ドメインの例は、CD3ゼータ、共通FcRガンマ(FCER1G)、FcガンマRIIa、FcRベータ(FcイプシロンR1b)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD278(“ICOS”としても知られる)、FcεRI、CD66d、DAP10およびDAP12のものを含む。ある実施態様において、本発明のCARは、細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータの一次シグナル伝達ドメイン、例えば、ここに記載するCD3ゼータ配列を含む。
ある実施態様において、一次シグナル伝達ドメインは、天然ITAMドメインと比較して改変(例えば、増加または低減)された活性を有する修飾ITAMドメイン、例えば、変異ITAMドメインを含む。ある実施態様において、一次シグナル伝達ドメインは、修飾ITAM含有一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、最適化および/または切断ITAM含有一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある実施態様において、一次シグナル伝達ドメインは、1、2、3、4またはそれ以上のITAMモチーフを含む。
本発明に特に有用である一次細胞内シグナル伝達ドメイン含有分子のさらなる例は、DAP10、DAP12およびCD32のものを含む。
CARの細胞内ドメインは、CD3ゼータシグナル伝達ドメインそれ自体を含んでよく、または本発明のCARの設定で有用な何れかの他の所望の細胞内シグナル伝達ドメインと組み合わせてよい。例えば、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ鎖部分および共刺激シグナル伝達ドメインを含み得る。共刺激シグナル伝達ドメインは、共刺激分子の細胞内ドメインを含むCARの部分をいう。共刺激分子は、リンパ球の抗原に対する効率的応答に必要な抗原受容体またはそのリガンド以外の細胞表面分子である。このような分子の例は、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1(PD1としても知られる)、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3およびCD83と特異的に結合するリガンドなどを含む。例えば、CD27共刺激は、インビトロでヒトCART細胞の増大、エフェクター機能および生存を増強することならびにインビボでヒトT細胞残留性および抗腫瘍活性を増強することが示されている(Song et al. Blood. 2012; 119(3):696-706)。このような共刺激分子のさらなる例は、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ性活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、OX40、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、4-1BB(CD137)、B7-H3、CDS、ICAM-1、ICOS(CD278)、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19aおよびCD83と特異的に結合するリガンドを含む。例えば、CD27共刺激は、インビトロでヒトCART細胞の増大、エフェクター機能および生存を増強することならびにインビボでヒトT細胞残留性および抗腫瘍活性を増強することが示されている(Song et al. Blood. 2012; 119(3):696-706)。
本発明のCARの細胞質部分内の細胞内シグナル伝達ドメインは、互いに無作為のまたは特定の順序で結合され得る。所望により、短オリゴまたはポリペプチドリンカー、例えば、2~10アミノ酸(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9または10アミノ酸)長が、細胞内シグナル伝達ドメイン間の結合を形成し得る。ある実施態様において、グリシン-セリンダブレットは適当なリンカーとして使用され得る。ある実施態様において、単一アミノ酸、例えば、アラニン、グリシンが適当なリンカーとして使用され得る。
ある態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、2以上、例えば、2、3、4、5またはそれ以上の共刺激シグナル伝達ドメインを含むように設計される。ある実施態様において、2以上、例えば、2、3、4、5またはそれ以上の共刺激シグナル伝達ドメインは、リンカー分子、例えば、ここに記載するリンカー分子により分離される。ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、2共刺激シグナル伝達ドメインを含む。ある実施態様において、リンカー分子はグリシン残基である。ある実施態様において、リンカーはアラニン残基である。
ある態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータのシグナル伝達ドメインおよびCD28のシグナル伝達ドメインを含むように設計される。ある態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータのシグナル伝達ドメインおよび4-1BBのシグナル伝達ドメインを含むように設計される。ある態様において、4-1BBのシグナル伝達ドメインは、配列番号7のシグナル伝達ドメインである。ある態様において、CD3ゼータのシグナル伝達ドメインは、配列番号9(変異体CD3ゼータ)または配列番号10(野生型ヒトCD3ゼータ)のシグナル伝達ドメインである。
ある態様において、細胞内は、CD3ゼータのシグナル伝達ドメインおよび4-1BBのシグナル伝達ドメインを含むように設計される。ある態様において、4-1BBのシグナル伝達ドメインは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。ある態様において、4-1BBのシグナル伝達ドメインは、配列番号18の核酸配列によりコードされる。
ある態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータのシグナル伝達ドメインおよびCD27のシグナル伝達ドメインを含むように設計される。ある態様において、CD27のシグナル伝達ドメインは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。ある態様において、CD27のシグナル伝達ドメインは、配列番号19の核酸配列によりコードされる。
ある態様において、細胞内は、CD3ゼータのシグナル伝達ドメインおよびCD28のシグナル伝達ドメインを含むように設計される。ある態様において、CD28のシグナル伝達ドメインは、配列番号44のアミノ酸配列を含む。ある態様において、CD28のシグナル伝達ドメインは、配列番号45の核酸配列によりコードされる。
ある態様において、細胞内は、CD3ゼータのシグナル伝達ドメインおよびICOSのシグナル伝達ドメインを含むように設計される。ある態様において、ICOSのシグナル伝達ドメインは、配列番号42のアミノ酸配列を含む。ある態様において、ICOSのシグナル伝達ドメインは、配列番号43の核酸配列によりコードされる。
ナチュラルキラー細胞受容体(NKR)CAR
ある実施態様において、ここに記載するCAR分子はナチュラルキラー細胞受容体(NKR)の1以上の成分を含み、それによりNKR-CARを形成する。NKR成分は、次のナチュラルキラー細胞受容体の何れかからの膜貫通ドメイン、ヒンジドメインまたは細胞質ドメインであり得る:キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、例えば、KIR2DL1、KIR2DL2/L3、KIR2DL4、KIR2DL5A、KIR2DL5B、KIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、DIR2DS5、KIR3DL1/S1、KIR3DL2、KIR3DL3、KIR2DP1およびKIR3DP1;天然細胞毒性受容体(NCR)、例えば、NKp30、NKp44、NKp46;免疫細胞受容体のシグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAM)ファミリー、例えば、CD48、CD229、2B4、CD84、NTB-A、CRACC、BLAMEおよびCD2F-10;Fc受容体(FcR)、例えば、CD16およびCD64;およびLy49受容体、例えば、LY49A、LY49C。ここに記載するNKR-CAR分子は、アダプター分子または細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、DAP12と相互作用し得る。NKR成分を含むCAR分子の配置および配列の例は、内容を引用により本明細書に包含させる、国際公開WO2014/145252号に記載される。
スプリットCAR
ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞は、スプリットCARを使用する。スプリットCARアプローチは、引用により本明細書に包含させる公報WO2014/055442号およびWO2014/055657号により詳細に記載される。簡潔には、スプリットCARシステムは、第一抗原結合ドメインおよび共刺激ドメイン(例えば、41BB)を有する第一CARを発現する細胞を含み、該細胞は第二抗原結合ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ゼータ)を有する第二CARも発現する。細胞が第一抗原に遭遇したとき、共刺激ドメインが活性化され、細胞が増殖する。細胞が第二抗原に遭遇したとき、細胞内シグナル伝達ドメインが活性化され、殺細胞活性が開始される。それ故に、CAR発現細胞は、両抗原存在下でのみ完全に活性化される。ある実施態様において、第一抗原結合ドメインは、ここに記載する腫瘍抗原またはB細胞抗原を認識し、例えば、ここに記載する抗原結合ドメインを含み、第二抗原結合ドメインは第二抗原、例えば、ここに記載する第二腫瘍抗原または第二B細胞抗原を認識する。
CARと他の分子または薬剤の共発現
第二CARの共発現
ある態様において、ここに記載するCAR発現細胞は、第二CAR、例えば、同一標的(メソテリン)または異なる標的(例えば、間質細胞上のメソテリン以外の標的、例えば、FAP;前立腺癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、アンドロゲン受容体、OR51E2、PSMA、PSCA、PDGRF-β、TARP、GloboH、MAD-CT-1またはMAD-CT-2;卵巣癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、Tn、PRSS21、CD171、ルイスY、葉酸受容体α、クローディン6、GloboHまたは精子タンパク質17、例えば、肺癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、VEGF、HER3、IGF-1R、EGFR、DLL4またはTrop-2)への異なる抗原結合ドメインを含む、例えば、第二CARをさらに含み得る。ある実施態様において、CAR発現細胞は、第一抗原を標的とし、共刺激シグナル伝達ドメインを有するが、一次シグナル伝達ドメインを有しない細胞内シグナル伝達ドメインを含む第一CARおよび第二の、異なる抗原を標的とし、一次シグナル伝達ドメインを有するが、共刺激シグナル伝達ドメインを有しない細胞内シグナル伝達ドメインを含む第二CARを含む。共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4-1BB、CD28、CD27、OX-40またはICOSの第一CARへのおよび一次シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ゼータの第二CARへの配置は、細胞に対するCAR活性を両標的が発現されたときに限定し得る。ある実施態様において、CAR発現細胞は、メソテリン結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび共刺激ドメインを含む第一メソテリンCARおよびメソテリン以外の抗原(例えば、間質細胞上のメソテリン以外の標的、例えば、FAP;前立腺癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、アンドロゲン受容体、OR51E2、PSMA、PSCA、PDGRF-β、TARP、GloboH、MAD-CT-1またはMAD-CT-2;卵巣癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、Tn、PRSS21、CD171、ルイスY、葉酸受容体α、クローディン6、GloboHまたは精子タンパク質17、例えば、肺癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、VEGF、HER3、IGF-1R、EGFR、DLL4またはTrop-2)を標的とし、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび一次シグナル伝達ドメインを含む第二CARを含む。他の実施態様において、CAR発現細胞は、メソテリン結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび一次シグナル伝達ドメインを含む第一メソテリンCARおよびメソテリン以外の抗原(例えば、間質細胞上のメソテリン以外の標的、例えば、FAP;前立腺癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、アンドロゲン受容体、OR51E2、PSMA、PSCA、PDGRF-β、TARP、GloboH、MAD-CT-1またはMAD-CT-2;卵巣癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、Tn、PRSS21、CD171、ルイスY、葉酸受容体α、クローディン6、GloboHまたは精子タンパク質17、例えば、肺癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、VEGF、HER3、IGF-1R、EGFR、DLL4またはTrop-2)を標的とし、該抗原に対する抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメインを含む第二CARを含む。
ある実施態様において、CAR発現細胞は、ここに記載するメソテリンCARおよび阻害性CARを含む。ある実施態様において、阻害性CARは、癌細胞に見られないが、正常細胞、例えば、メソテリンを同様に発現する正常細胞に見られる抗原に結合する抗原結合ドメインを含む。ある実施態様において、阻害性CARは、阻害性分子の抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含む。例えば、阻害性CARの細胞内ドメインは、PD1、PD-L1、CTLA4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシンまたはTGFRベータの細胞内ドメインであり得る。
ある実施態様において、CAR発現細胞が2以上の異なるCARを含むとき、異なるCARの抗原結合ドメインは、これら抗原結合ドメインが互いに相互作用しないようなものであり得る。例えば、第一および第二CARを発現する細胞は、第二CARの抗原結合ドメイン、例えば、VHHである第二CARの抗原結合ドメインと結合を形成しない、第一CARの抗原結合ドメインを、例えば、フラグメント、例えば、scFvとして有し得る。
ある実施態様において、抗原結合ドメインは、相補性決定領域が単一ドメインポリペプチドである分子を含む、単一ドメイン抗原結合(SDAB)分子を含む。例は、重鎖可変ドメイン、軽鎖を天然に欠く結合分子、慣用の4鎖抗体由来単一ドメイン、改変ドメインおよび抗体由来のもの以外の単一ドメインスキャフォールドを含むが、これらに限定されない。SDAB分子は、当分野の何れでもまたはあらゆる将来的な単一ドメイン分子でもよい。SDAB分子は、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、ヤツメウナギ、魚、サメ、ヤギ、ウサギおよびウシを含むが、これらに限定されないあらゆる種に由来し得る。この用語は、ラクダ科およびサメ以外の種からの天然に存在する単一ドメイン抗体分子も含む。
ある態様において、SDAB分子は、例えば、サメ血清に見られる新規抗原受容体(NAR)として知られる免疫グロブリンアイソタイプ由来のものなどの、魚に見られる免疫グロブリンの可変領域に由来し得る。NARの可変領域由来の単一ドメイン分子(“IgNAR”)を産生する方法は、WO03/014161およびStreltsov (2005) Protein Sci. 14:2901-2909に記載される。
他の態様によって、SDAB分子は、軽鎖を欠く重鎖として知られる、天然に存在する単一ドメイン抗原結合分子である。このような単一ドメイン分子は、例えば、WO9404678号およびHamers-Casterman, C. et al. (1993) Nature 363:446-448に記載される。明確化のために、天然に軽鎖を欠く重鎖分子由来のこの可変ドメインは、慣用の4鎖免疫グロブリンのVHと区別するために、ここではVHHまたはナノボディとして知られる。このようなVHH分子は、ラクダ科種、例えばラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルパカおよびグアナコ由来であり得る。ラクダ科以外の他の種は、軽鎖を天然に欠く重鎖分子を形成し、このようなVHHは、本発明の範囲内である。
SDAB分子は組み換え、CDR移植、ヒト化、ラクダ化、脱免疫化および/またはインビトロ産生(例えば、ファージディスプレイにより選択)であり得る。
受容体の抗原結合ドメインと相互作用する抗原結合ドメインを含む複数のキメラ膜包埋受容体を有する細胞は、例えば、抗原結合ドメインの1以上がその同族抗原に結合する能力を阻害するため、望ましくないことも判明している。従って、ここに開示されるのは、このような相互作用を最小化した、抗原結合ドメインを含む第一および第二非天然に存在するキメラ膜包埋受容体を有する細胞である。またここに開示されるのは、このような相互作用を最小化する抗原結合ドメインを含む第一および第二非の天然に存在するキメラ膜包埋受容体をコードする核酸、ならびにこのような細胞および核酸を製造および使用する方法である。ある実施態様において、第一および第二の非天然に存在するキメラ膜包埋受容体の一方の抗原結合ドメイは、scFvを含み、他方は単一VHドメイン、例えば、ラクダ類、サメまたはヤツメウナギ単一VHドメインもしくはヒトまたはマウス配列由来単一VHドメインを含む。
ある実施態様において、本発明は第一および第二CARを含み、ここで、第一および第二CARの一方の抗原結合ドメインは、可変軽ドメインおよび可変重ドメインを含まない。ある実施態様において、第一および第二CARの一方の抗原結合ドメインはscFvであり、他方はscFvではない。ある実施態様において、第一および第二CARの一方の抗原結合ドメインは、単一VHドメイン、例えば、ラクダ類、サメまたはヤツメウナギ単一VHドメインまたはヒトもしくはマウス配列由来単一VHドメインを含む。ある実施態様において、第一および第二CARの一方の抗原結合ドメインは、ナノボディを含む。ある実施態様において、第一および第二CARの一方の抗原結合ドメインは、ラクダ類VHHドメインを含む。
ある実施態様において、第一および第二CARの一方の抗原結合ドメインはscFvを含み、他方は単一VHドメイン、例えば、ラクダ類、サメまたはヤツメウナギ単一VHドメインまたはヒトもしくはマウス配列由来単一VHドメインを含む。ある実施態様において、第一および第二CARの一方の抗原結合ドメインはscFvを含み、他方はナノボディを含む。ある実施態様において、第一および第二CARの一方の抗原結合ドメインはscFvを含み、他方はラクダ類VHHドメインを含む。
ある実施態様において、細胞表面に存在するとき、第一CARの抗原結合ドメインのその同族抗原への結合は、第二CARの存在により実質的に低減されない。ある実施態様において、第二CAR存在下の第一CARの抗原結合ドメインのその同族抗原への結合は、第二CAR非存在下の第一CARの抗原結合ドメインのその同族抗原への結合の85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%である。
ある実施態様において、細胞表面に存在するとき、第一および第二CARの抗原結合ドメインは、両方がscFv抗原結合ドメインである場合より少なく、互いに結合する。ある実施態様において、第一および第二CARの抗原結合ドメインは、両方がscFv抗原結合ドメインである場合より85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%少なく、互いに結合する。
CAR活性を増強する薬剤の共発現
他の態様において、ここに記載するCAR発現細胞は、他の薬剤、例えば、CAR発現細胞の活性または適応度を増強する薬剤をさらに発現し得る。
例えば、ある実施態様において、薬剤は、T細胞機能を調整または制御、例えば阻害する分子を阻害する薬剤であり得る。ある実施態様において、T細胞機能を調整または制御する分子は阻害性分子である。阻害性分子、例えば、PD1は、ある実施態様において、CAR発現細胞が免疫エフェクター応答を開始する能力を減少させ得る。阻害性分子の例は、PD1、PD-L1、CTLA4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシンまたはTGFRベータを含む。
ある実施態様において、薬剤、例えば、阻害性核酸、例えば、dsRNA、例えば、siRNAまたはshRNAまたは例えば、ここに記載する、例えば、阻害性タンパク質または系、例えば、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)、転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)または亜鉛フィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)を、CAR発現細胞におけるT細胞機能を調整または制御、例えば阻害する分子の発現阻害に使用し得る。ある実施態様において、薬剤はshRNA、例えば、ここに記載するshRNAである。ある実施態様において、T細胞機能を調整または制御、例えば阻害する薬剤は、CAR発現細胞内で阻害される。例えば、T細胞機能を調整または制御、例えば阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子は、CARの成分、例えば、全成分をコードする核酸に結合される。
ある実施態様において、阻害性分子を阻害する薬剤は、細胞、例えば、ここに記載する細胞内シグナル伝達ドメインに正のシグナルを提供する第二ポリペプチドと結合する第一ポリペプチド、例えば、阻害性分子を含む。ある実施態様において、薬剤は、例えば、PD1、PD-L1、CTLA4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシンまたはTGFRベータなどの阻害性分子タまたはこれら何れかのフラグメント(例えば、少なくともこれら何れかの細胞外ドメインの一部)の第一ポリペプチドおよびここに記載する細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、共刺激ドメイン(例えば、例えば、ここに記載する41BB、CD27またはCD28)および/または一次シグナル伝達ドメイン(例えば、ここに記載するCD3ゼータシグナル伝達ドメイン)を含む)である第二ポリペプチド。ある実施態様において、薬剤は、PD1の第一ポリペプチドまたはそのフラグメント(例えば、少なくともPD1の細胞外ドメインの一部)およびここに記載する細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、ここに記載するCD28シグナル伝達ドメインおよび/またはここに記載するCD3ゼータシグナル伝達ドメイン)の第二ポリペプチドを含む。PD1は、CD28、CTLA-4、ICOSおよびBTLAも含む受容体のCD28ファミリーの阻害性メンバーである。PD-1は活性化B細胞、T細胞および骨髄細胞に発現される(Agata et al. 1996 Int. Immunol 8:765-75)。PD1の2リガンド、PD-L1およびPD-L2は、PD1への結合によりT細胞活性化を下方制御することが示されている(Freeman et a. 2000 J Exp Med 192:1027-34; Latchman et al. 2001 Nat Immunol 2:261-8; Carter et al. 2002 Eur J Immunol 32:634-43)。PD-L1はヒト癌で豊富である(Dong et al. 2003 J Mol Med 81:281-7; Blank et al. 2005 Cancer Immunol. Immunother 54:307-314; Konishi et al. 2004 Clin Cancer Res 10:5094)。免疫抑制は、PD1とPD-L1の局所相互作用阻害により回復され得る。
ある実施態様において、阻害性分子、例えば、プログラム死1(PD1)の細胞外ドメイン(ECD)を含む薬剤は、さらに、膜貫通ドメインおよび41BBおよびCD3ゼータなどの細胞内シグナル伝達ドメインと融合され得る(ここではPD1 CARとも称する)。ある実施態様において、PD1 CARは、ここに記載するメソテリンCARと組み合わせて使用されたとき、T細胞の残留性を改善する。ある実施態様において、CARは、配列番号24で下線により示すPD1の細胞外ドメインおよび配列番号24のアミノ酸1~21にシグナル配列を含む、PD1 CARである。ある実施態様において、PD1 CARは、配列番号24のアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、N末端シグナル配列を伴わないPD1 CAR配列番号22に提供するアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、薬剤は、N末端シグナル配列を伴うPD1 CAR、例えば、ここに記載するPD1 CARをコードする核酸配列を含む。ある実施態様において、PD1 CARの核酸配列は表1に示し、PD1 ECDは配列番号23に下線を引く。
他の例において、ある実施態様において、CAR発現細胞の活性を増強できる薬剤は、共刺激分子または共刺激分子リガンドであり得る。共刺激分子の例は、MHCクラスI分子、BTLAおよびTollリガンド受容体、ならびにOX40、CD27、CD28、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)および4-1BB(CD137)を含む。このような共刺激分子のさらなる例は、例えば、ここに記載の、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19aおよびCD83と特異的に結合するリガンドを含む。共刺激分子の例リガンドは、CD80、CD86、CD40L、ICOSL、CD70、OX40L、4-1BBL、GITRLおよびLIGHTを含む。ある実施態様において、共刺激分子リガンドは、CARの共刺激分子ドメインと異なる共刺激分子に対するリガンドである。ある実施態様において、共刺激分子リガンドは、CARの共刺激分子ドメインと同じ共刺激分子に対するリガンドである。ある実施態様において、共刺激分子リガンドは4-1BBLである。ある実施態様において、共刺激リガンドはCD80またはCD86である。ある実施態様において、共刺激分子リガンドはCD70である。ある実施態様において、ここに記載するCAR発現免疫エフェクター細胞は、1以上のさらなる共刺激分子または共刺激分子リガンドを含むように、改変され得る。
ケモカイン受容体とのCARの共発現
ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞、例えば、メソテリンCAR発現細胞は、さらにケモカイン受容体分子を含む。T細胞におけるケモカイン受容体CCR2bまたはCXCR2のトランスジェニック発現は、黒色腫および神経芽腫を含むCCL2-またはCXCL1分泌固形腫瘍への輸送を増強する(Craddock et al., J Immunother. 2010 Oct; 33(8):780-8 and Kershaw et al., Hum Gene Ther. 2002 Nov 1; 13(16):1971-80)。それ故に、理論に拘束されることを意図しないが、腫瘍、例えば、固形腫瘍により分泌されるケモカインを認識するCAR発現細胞において発現されるケモカイン受容体は、CAR発現細胞の腫瘍へのホーミングを改善でき、CAR発現細胞の腫瘍への浸潤を促進し、CAR発現細胞の抗腫瘍有効性を増強すると考えられる。ケモカイン受容体分子は、天然に存在するまたは組み換えケモカイン受容体またはそのケモカイン結合フラグメントを含み得る。ここに記載するCAR発現細胞(例えば、CAR-Tx)における発現に適するケモカイン受容体分子は、CXCケモカイン受容体(例えば、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6またはCXCR7)、CCケモカイン受容体(例えば、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10またはCCR11)、CX3Cケモカイン受容体(例えば、CX3CR1)、XCケモカイン受容体(例えば、XCR1)またはそのケモカイン結合フラグメントを含む。ある実施態様において、ここに記載するCARと発現するケモカイン受容体分子は、腫瘍により分泌されるケモカインに基づき選択される。ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞は、さらに、CCR2b受容体またはCXCR2受容体を含む、例えば、発現する。ある実施態様において、ここに記載するCARおよびケモカイン受容体分子は同じベクターにあるかまたは2個の異なるベクターにある。ここに記載するCARおよびケモカイン受容体分子が同じベクターにあるある実施態様において、CARおよびケモカイン受容体分子は各々2個の異なるプロモーターの制御下にあるかまたは同じプロモーターの制御下にある。
CARをコードする核酸構築物
本発明は、本発明の1以上のCAR構築物をコードする核酸配列を含むCAR導入遺伝子を提供する。ある態様において、CAR導入遺伝子はメッセンジャーRNA転写物として提供される。ある態様において、CAR導入遺伝子はDNA構築物として提供される。
従って、ある態様において、本発明はキメラ抗原受容体(CAR)をコードする単離核酸分子に関し、ここで、CARは抗メソテリン結合ドメイン(例えば、ヒト抗メソテリン結合ドメイン)、膜貫通ドメインおよび刺激ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある実施態様において、抗メソテリン結合ドメインはここに記載する抗メソテリン結合ドメイン、例えば、配列番号87~111からなる群から選択される配列またはそれと95~99%同一性を有する配列を含む抗メソテリン結合ドメインである。ある実施態様において、単離核酸分子は、さらに共刺激ドメインをコードする配列を含む。ある実施態様において、膜貫通ドメインは、T細胞受容体のアルファ、ベータまたはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137およびCD154からなる群から選択されるタンパク質の膜貫通ドメインである。ある実施態様において、膜貫通ドメインは、配列番号6の配列またはそれと95~99%同一性を有する配列を含む。ある実施態様において、抗メソテリン結合ドメインは、膜貫通ドメインにヒンジ領域、例えば、ここに記載するヒンジにより結合される。ある実施態様において、ヒンジ領域は、配列番号2または配列番号3または配列番号4または配列番号5またはそれと95~99%同一性を有する配列を含む。ある実施態様において、単離核酸分子は、さらに共刺激ドメインをコードする配列を含む。ある実施態様において、共刺激ドメインは、OX40、CD27、CD28、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)および4-1BB(CD137)からなる群から選択されるタンパク質の機能的シグナル伝達ドメインである。このような共刺激分子のさらなる例は、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76およびPAG/Cbpを含む。ある実施態様において、共刺激ドメインは、配列番号7の配列またはそれと95~99%同一性を有する配列を含む。ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BBの機能的シグナル伝達ドメインおよびCD3ゼータの機能的シグナル伝達ドメインを含む。ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号7の配列または配列番号8またはそれと95~99%同一性を有する配列および配列番号9または配列番号10の配列またはそれと95~99%同一性を有する配列を含み、ここで、これら細胞内シグナル伝達ドメインを含む配列は同じフレームにかつ単一ポリペプチド鎖として発現される。他の態様において、本発明は、配列番号1のリーダー配列、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61および配列番号62(またはそれと95~99%同一性を有する配列)からなる群から選択される配列を有するscFvドメイン、配列番号2または配列番号3または配列番号4または配列番号5(またはそれと95~99%同一性を有する配列)のヒンジ領域、配列番号6の配列(またはそれと95~99%同一性を有する配列)を有する膜貫通ドメイン、配列番号7の配列(またはそれと95~99%同一性を有する配列)を有する4-1BB共刺激ドメインまたは配列番号8の配列(またはそれと95~99%同一性を有する配列)を有するCD27共刺激ドメインおよび配列番号9または配列番号10の配列(またはそれと95~99%同一性を有する配列)を有するCD3ゼータ刺激ドメインを含むCAR構築物をコードする単離核酸分子に関する。
他の態様において、本発明は、該核酸分子によりコードされる単離ポリペプチド分子に関する。ある実施態様において、単離ポリペプチド分子は、配列番号63;配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85および配列番号86からなる群から選択される配列またはそれと95~99%同一性を有する配列を含む。
他の態様において、本発明は、抗メソテリン結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび刺激ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)分子をコードする単離核酸分子に関し、ここで、核酸は、配列番号111;配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134またはそれと95~99%同一性を有する配列からなる群から選択される配列を含む抗メソテリン結合ドメインをコードする。
ある実施態様において、コードCAR分子は、さらに共刺激ドメインをコードする配列を含む。ある実施態様において、共刺激ドメインは、OX40、CD27、CD28、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)および4-1BB(CD137)からなる群から選択されるタンパク質の機能的シグナル伝達ドメインである。ある実施態様において、共刺激ドメインは、配列番号7の配列を含む。ある実施態様において、膜貫通ドメインは、T細胞受容体のアルファ、ベータまたはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137およびCD154からなる群から選択されるタンパク質の膜貫通ドメインである。ある実施態様において、膜貫通ドメインは、配列番号6の配列を含む。ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BBの機能的シグナル伝達ドメインおよび機能的シグナル伝達ドメインofゼータを含む。ある実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号7の配列および配列番号9の配列を含み、ここで、これら細胞内シグナル伝達ドメインを含む配列は同じフレームにかつ単一ポリペプチド鎖として発現される。ある実施態様において、抗メソテリン結合ドメインは、ヒンジ領域により膜貫通ドメインに結合される。ある実施態様において、ヒンジ領域は、配列番号2を含む。ある実施態様において、ヒンジ領域は、配列番号3、配列番号4または配列番号5を含む。
他の態様において、本発明は、配列番号1のリーダー配列、配列番号39~62またはそれと95~99%同一性を有する配列からなる群から選択される配列を有するscFvドメイン、配列番号2または配列番号3または配列番号4または配列番号5のヒンジ領域、配列番号6の配列を有する膜貫通ドメイン、配列番号7の配列を有する4-1BB共刺激ドメインまたは配列番号8の配列を有するCD27共刺激ドメインおよび配列番号9または配列番号10の配列を有するCD3ゼータ刺激ドメインを含む、単離CAR分子に関する。ある実施態様において、コードCAR分子は、配列番号63~86からなる群から選択される配列またはそれと95~99%同一性を有する配列を含む。
本発明は、さらに、CAR導入遺伝子を含むベクターに関する。ある態様において、CARベクターは、細胞、例えば、T細胞またはNK細胞に直接形質導入され得る。ある態様において、ベクターは、クローニングまたは発現ベクター、例えば、プラスミド(例えば、発現プラスミド、クローニングベクター、ミニサークル、ミニベクター、ダブルマイニュート染色体)、レトロウイルスおよびレンチウイルスベクター構築物の1以上を含むが、これらに限定されないベクターである。ある態様において、ベクターは、哺乳動物T細胞またはNK細胞におけるCAR構築物の発現を可能とする。ある態様において、哺乳動物T細胞はヒトT細胞またはヒトNK細胞である。
本発明はまた、細胞、例えば、T細胞またはNK細胞に直接トランスフェクトされ得るCARコードRNA構築物を含む。トランスフェクションに使用するためのmRNAを産生する方法、一般に50~2000塩基長の、3’および5’非翻訳配列(“UTR”)、5’キャップおよび/または配列内リボソーム進入部位(IRES)、発現する遺伝子およびポリAテイルを含む構築物を産生するための、特に設計されたプライマーでの鋳型のインビトロ転写(IVT)、続くポリA付加を含む。このように産生されたRNAは、異なる種の細胞を効率的にトランスフェクトし得る。ある態様において、鋳型はCARの配列を含む。
ある態様において、メソテリンCAR導入遺伝子は、メッセンジャーRNA(mRNA)によりコードされる。ある態様において、メソテリンCAR導入遺伝子をコードするmRNAは、CART細胞の産生のためにT細胞にまたはNK細胞に導入される。
ベクター
本発明はまた本発明のDNAが挿入される、ベクターも提供する。レンチウイルスなどのレトロウイルス由来のベクターは、導入遺伝子の長期の、安定な組込みおよびその娘細胞における増殖を可能とするため、長期遺伝子導入の達成に適当なツールである。レンチウイルスベクターは、肝細胞などの非増殖細胞に形質導入できる点で、マウス白血病ウイルスなどのオンコレトロウイルス由来ベクターを超える利点を提供する。それらはまたさらに低免疫原性である利点もある。
ある実施態様において、所望の本発明のCARをコードする核酸を含むベクターは、DNA、RNA、プラスミド、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターである。レトロウイルスベクターは、例えば、ガンマレトロウイルスベクターでもよい。ガンマレトロウイルスベクターは、例えば、プロモーター、パッケージングシグナル(ψ)、プライマー結合部位(PBS)、1以上(例えば、2)末端反復配列(LTR)および目的の導入遺伝子、例えば、CARをコードする遺伝子を含み得る。ガンマレトロウイルスベクターは、gag、polおよびenvなどのウイルス構造遺伝子を欠いてよい。ガンマレトロウイルスベクターの例は、マウス白血病ウイルス(MLV)、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)および骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)およびこれら由来のベクターを含む。他のガンマレトロウイルスベクターは、Tobias Maetzig et al., “Gammaretroviral Vectors: Biology, Technology and Application” Viruses. 2011 Jun; 3(6): 677-713に記載される。
他の実施態様において、所望の本発明のCARをコードする核酸を含むベクターは、アデノウイルスベクター(A5/35)である。他の実施態様において、CARをコードする核酸の発現は、sleeping beauty、CRISPR、CAS9および亜鉛フィンガーヌクレアーゼなどのトランスポゾンを使用して達成できる。例えば、引用により全体を本明細書に包含させる、June et al. 2009 Nature Reviews Immunology 9.10: 704-716参照。
短く要約すると、CARをコードする天然または合成核酸の発現は、一般に、CARをコードする核酸ポリペプチドまたはその一部をプロモーターに操作可能に結合させ、該構築物を発現ベクターに取り込むことにより達成される。ベクターは、真核生物における複製および組込みに適し得る。典型的クローニングベクターは、所望の核酸配列の発現の制御に有用な転写および翻訳ターミネーター、開始配列およびプロモーターを含む。
本発明の発現構築物は、標準遺伝子送達プロトコールを使用する、核酸免疫化および遺伝子治療にも使用され得る。遺伝子送達の方法は、当分野で知られる。例えば、引用によりその全体を本明細書に包含させる米国特許5,399,346号、5,580,859号、5,589,466号参照。他の実施態様において、本発明は、遺伝子治療ベクターを提供する。
核酸は多数のタイプのベクターにクローン化され得る。例えば、核酸は、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルスおよびコスミドを含むが、これらに限定されないベクターにクローン化され得る。特に興味深いベクターは、発現ベクター、複製ベクター、プローブ産生ベクターおよび配列決定ベクターを含む。
さらに、発現ベクターは、ウイルスベクターの形で細胞に提供され得る。ウイルスベクターテクノロジーは当分野で周知であり、例えば、Sambrook et al., 2012, MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, volumes 1 -4, Cold Spring Harbor Press, NYおよび他のウイルス学および分子生物学マニュアルに記載される。ベクターとして有用なウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルスおよびレンチウイルスを含むが、これらに限定されない。一般に、適当なベクターは、少なくとも1生物で機能的な複製起点、プロモーター配列、便利な制限エンドヌクレアーゼ部位および1以上の選択可能マーカーを含む(例えば、WO01/96584号、WO01/29058号および米国特許6,326,193号)。
多数のウイルスベースのシステムが、哺乳動物細胞への遺伝子導入のために開発されている。例えば、レトロウイルスは、遺伝子送達系のための便利なプラットフォームを提供する。選択した遺伝子は、当分野で知られる技法を使用して、ベクターに挿入され、レトロウイルス粒子に包装され得る。次いで、組み換えウイルスを単離し、インビボまたはエクスビボで対象の細胞に送達され得る。多数のレトロウイルス系は、当分野で知られる。ある実施態様において、アデノウイルスベクターが使用される。多数のアデノウイルスベクターは、当分野で知られる。ある実施態様において、レンチウイルスベクターが使用される。
さらなるプロモーター要素、例えば、エンハンサーは、転写開始の頻度を制御する。一般に、これらは開始部位の30~110bp上流の領域に位置するが、多数のプロモーターが、同様に開始部位下流に機能的要素を含むことが示されている。プロモーター要素間の空間は、要素が互いに倒置されまたは移動したとき、プロモーター機能が保持されるように、しばしば可撓性である。チミジンキナーゼ(tk)プロモーターにおいて、プロモーター要素間の空間は、活性が減少し始めるまで、50bp離れるまで増加できる。プロモーターによって、個々の要素が、転写活性に協調的または独立して機能できるように見える。プロモーターの例は、CMV IE遺伝子、EF-1α、ユビキチンCまたはホスホグリセロキナーゼ(PGK)プロモーターを含む。
哺乳動物T細胞におけるCAR導入遺伝子の発現が可能なプロモーターの例は、EF1アルファプロモーター(EF1aまたはEFlα)である。天然EF1aプロモーターは、アミノアシルtRNAのリボソームへの酵素送達を担う、伸張因子-1複合体のアルファサブユニットの発現を駆動する。EF1aプロモーターは哺乳動物発現プラスミドで広く使用されており、レンチウイルスベクターにクローン化された導入遺伝子からのCAR発現駆動に効果的であることが示されている。例えば、Milone et al., Mol. Ther. 17(8): 1453-1464 (2009)参照。ある態様において、EF1aプロモーターは、配列番号11として提供される配列を含む。
プロモーターの他の例は、最初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列である。このプロモーター配列は、それに操作可能に結合したあらゆるポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を駆動できる、強力な構成的プロモーター配列である。しかしながら、サルウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)末端反復配列(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、トリ白血病ウイルスプロモーター、エプスタイン・バーウイルス最初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ならびにアクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、伸張因子-1αプロモーター、ヘモグロビンプロモーターおよびクレアチンキナーゼプロモーターなどの、しかしこれらに限定されないヒト遺伝子プロモーターを含むが、これらに限定されない、他の構成的プロモーター配列も使用し得る。さらに、本発明は、構成的プロモーターの使用に限定されるべきではない。誘導性プロモーターも、本発明の一部として企図される。誘導性プロモーターの使用は、操作可能に連結したポリヌクレオチド配列の発現を、該発現が望まれるとき発現をオンにし、発現が望まれないとき発現をオフにする分子スイッチを提供する。誘導性プロモーターの例は、メタロチオナインプロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーターおよびテトラサイクリンプロモーターを含むが、これらに限定されない。
プロモーターの他の例は、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーターである。ある実施態様において、切断PGKプロモーター(例えば、野生型PGKプロモーター配列と比較したとき、1以上、例えば、1、2、5、10、100、200、300または400のヌクレオチド欠失を有するPGKプロモーター)が望ましいものであり得る。例示的PGKプロモーターのヌクレオチド配列は、下に提供する。
WT PGKプロモーター
ACCCCTCTCTCCAGCCACTAAGCCAGTTGCTCCCTCGGCTGACGGCTGCACGCGAGGCCTCCGAACGTCTTACGCCTTGTGGCGCGCCCGTCCTTGTCCCGGGTGTGATGGCGGGGTGTGGGGCGGAGGGCGTGGCGGGGAAGGGCCGGCGACGAGAGCCGCGCGGGACGACTCGTCGGCGATAACCGGTGTCGGGTAGCGCCAGCCGCGCGACGGTAACGAGGGACCGCGACAGGCAGACGCTCCCATGATCACTCTGCACGCCGAAGGCAAATAGTGCAGGCCGTGCGGCGCTTGGCGTTCCTTGGAAGGGCTGAATCCCCGCCTCGTCCTTCGCAGCGGCCCCCCGGGTGTTCCCATCGCCGCTTCTAGGCCCACTGCGACGCTTGCCTGCACTTCTTACACGCTCTGGGTCCCAGCCGCGGCGACGCAAAGGGCCTTGGTGCGGGTCTCGTCGGCGCAGGGACGCGTTTGGGTCCCGACGGAACCTTTTCCGCGTTGGGGTTGGGGCACCATAAGCT
(配列番号597)
例示的切断PGKプロモーター:
PGK100:
ACCCCTCTCTCCAGCCACTAAGCCAGTTGCTCCCTCGGCTGACGGCTGCACGCGAGGCCTCCGAACGTCTTACGCCTTGTGGCGCGCCCGTCCTTGTCCCGGGTGTGATGGCGGGGTG
(配列番号598)
PGK200:
ACCCCTCTCTCCAGCCACTAAGCCAGTTGCTCCCTCGGCTGACGGCTGCACGCGAGGCCTCCGAACGTCTTACGCCTTGTGGCGCGCCCGTCCTTGTCCCGGGTGTGATGGCGGGGTGTGGGGCGGAGGGCGTGGCGGGGAAGGGCCGGCGACGAGAGCCGCGCGGGACGACTCGTCGGCGATAACCGGTGTCGGGTAGCGCCAGCCGCGCGACGGTAACG
(配列番号599)
PGK300:
ACCCCTCTCTCCAGCCACTAAGCCAGTTGCTCCCTCGGCTGACGGCTGCACGCGAGGCCTCCGAACGTCTTACGCCTTGTGGCGCGCCCGTCCTTGTCCCGGGTGTGATGGCGGGGTGTGGGGCGGAGGGCGTGGCGGGGAAGGGCCGGCGACGAGAGCCGCGCGGGACGACTCGTCGGCGATAACCGGTGTCGGGTAGCGCCAGCCGCGCGACGGTAACGAGGGACCGCGACAGGCAGACGCTCCCATGATCACTCTGCACGCCGAAGGCAAATAGTGCAGGCCGTGCGGCGCTTGGCGTTCCTTGGAAGGGCTGAATCCCCG
(配列番号600)
PGK400:
ACCCCTCTCTCCAGCCACTAAGCCAGTTGCTCCCTCGGCTGACGGCTGCACGCGAGGCCTCCGAACGTCTTACGCCTTGTGGCGCGCCCGTCCTTGTCCCGGGTGTGATGGCGGGGTGTGGGGCGGAGGGCGTGGCGGGGAAGGGCCGGCGACGAGAGCCGCGCGGGACGACTCGTCGGCGATAACCGGTGTCGGGTAGCGCCAGCCGCGCGACGGTAACGAGGGACCGCGACAGGCAGACGCTCCCATGATCACTCTGCACGCCGAAGGCAAATAGTGCAGGCCGTGCGGCGCTTGGCGTTCCTTGGAAGGGCTGAATCCCCGCCTCGTCCTTCGCAGCGGCCCCCCGGGTGTTCCCATCGCCGCTTCTAGGCCCACTGCGACGCTTGCCTGCACTTCTTACACGCTCTGGGTCCCAGCCG
(配列番号601)
ベクターは、例えば、分泌を促進するシグナル配列、ポリアデニル化シグナルおよび転写ターミネーター(例えば、ウシ成長ホルモン(BGH)遺伝子)、エピソーム複製および原核生物における複製を可能にする要素(例えばSV40起源およびColE1または当分野で知られるその他)および/または選択を可能にする要素(例えば、アンピシリン耐性遺伝子および/またはゼオシンマーカー)も含み得る。
CARポリペプチドまたはその一部の発現を評価するために、細胞に導入すべき発現ベクターは、ウイルスベクターによりトランスフェクトまたは感染したと考えられる細胞の集団から、発現細胞の同定および選択を容易にするために、選択可能マーカー遺伝子またはレポーター遺伝子または両方も含み得る。他の態様において、選択可能マーカーは、別のDNA片に担持され、同時トランスフェクション法により使用され得る。選択可能マーカーおよびレポーター遺伝子の両方は、宿主細胞における発現を可能にする適切な制御配列が横にあってよい。有用な選択可能マーカーは、例えば、neoなどの抗生物質耐性遺伝子などを含む。
レポーター遺伝子は、トランスフェクトされた可能性のある細胞を同定し、制御配列の機能性を評価するために、使用される。一般に、レポーター遺伝子は、レシピエント生物または組織に存在するかまたは発現され、発現が何らかの容易に検出可能な性質、例えば、酵素活性により顕在化するポリペプチドをコードする、遺伝子である。レポーター遺伝子の発現は、DNAがレシピエント細胞に導入された後適当なときにアッセイされ得る。適当なレポーター遺伝子は、ルシフェラーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌型アルカリホスファターゼまたは緑色蛍光タンパク質をコードする遺伝子を含み得る(例えば、Ui-Tei et al., 2000 FEBS Letters 479: 79-82)。適当な発現系は周知であり、既知技法を使用して製造できまたは商業的に得られる。一般に、レポーター遺伝子の最高レベルの発現を示す最少5’フランキング領域を有する構築物がプロモーターとして同定される。このようなプロモーター領域はレポーター遺伝子と連結させ、プロモーター駆動転写を制御する能力について薬剤を評価するのに使用し得る。
ある実施態様において、ベクターは、さらに、第二CARをコードする核酸を含み得る。ある実施態様において、第二CARは、例えば、間質細胞上のメソテリン以外の標的、例えば、FAP;前立腺癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、アンドロゲン受容体、OR51E2、PSMA、PSCA、PDGRF-β、TARP、GloboH、MAD-CT-1またはMAD-CT-2;卵巣癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、Tn、PRSS21、CD171、ルイスY、葉酸受容体α、クローディン6、GloboHまたは精子タンパク質17;例えば、肺癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、VEGF、HER3、IGF-1R、EGFR、DLL4またはTrop-2への、抗原結合ドメインを含む。ある実施態様において、ベクターは、第一抗原を標的とし、共刺激シグナル伝達ドメインを有するが、一次シグナル伝達ドメインを有しない細胞内シグナル伝達ドメインを含む第一CARをコードする核酸および第二の、異なる抗原を標的とし、一次シグナル伝達ドメインを有するが、共刺激シグナル伝達ドメインを有しない細胞内シグナル伝達ドメインを含む第二CARをコードする核酸を含む。ある実施態様において、ベクターは、メソテリン結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび共刺激ドメインを含む第一メソテリンCARをコードする核酸およびメソテリン以外の抗原(例えば、間質細胞上のメソテリン以外の標的、例えば、FAP;前立腺癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、アンドロゲン受容体、OR51E2、PSMA、PSCA、PDGRF-β、TARP、GloboH、MAD-CT-1またはMAD-CT-2;卵巣癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、Tn、PRSS21、CD171、ルイスY、葉酸受容体α、クローディン6、GloboHまたは精子タンパク質17;例えば、肺癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、VEGF、HER3、IGF-1R、EGFR、DLL4またはTrop-2)を標的とし、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび一次シグナル伝達ドメインを含む核酸コードする第二CARを含む。他の実施態様において、ベクターは、メソテリン結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび一次シグナル伝達ドメインを含む第一メソテリンCARをコードする核酸およびメソテリン以外の抗原(例えば、間質細胞上のメソテリン以外の標的、例えば、FAP;前立腺癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、アンドロゲン受容体、OR51E2、PSMA、PSCA、PDGRF-β、TARP、GloboH、MAD-CT-1またはMAD-CT-2;卵巣癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、Tn、PRSS21、CD171、ルイスY、葉酸受容体α、クローディン6、GloboHまたは精子タンパク質17;例えば、肺癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、VEGF、HER3、IGF-1R、EGFR、DLL4またはTrop-2)を標的とし、該抗原に対する抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメインを含む第二CARをコードする核酸を含む。
ある実施態様において、ベクターは、ここに記載するメソテリンCARをコードする核酸および阻害性CARをコードする核酸を含む。ある実施態様において、阻害性CARは、癌細胞に見られないが、正常細胞に見られる抗原、例えば、同様にCLLを発現する正常細胞に結合する抗原結合ドメインを含む。ある実施態様において、阻害性CARは、阻害性分子の抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含む。例えば、阻害性CARの細胞内ドメインは、PD1、PD-L1、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4およびTGFRベータの細胞内ドメインであり得る。
ある実施態様において、ベクターは2以上の核酸配列を含んでよく、ここで、核酸配列の1つは、ここに記載するCAR、例えば、ここに記載するメソテリンCARをコードする。ある実施態様において、他の核酸は、第二CAR、例えば、阻害性CARをコードするか、またはメソテリン以外の抗原(例えば、間質細胞上のメソテリン以外の標的、例えば、FAP;前立腺癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、アンドロゲン受容体、OR51E2、PSMA、PSCA、PDGRF-β、TARP、GloboH、MAD-CT-1またはMAD-CT-2;卵巣癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、Tn、PRSS21、CD171、ルイスY、葉酸受容体α、クローディン6、GloboHまたは精子タンパク質17;例えば、肺癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、VEGF、HER3、IGF-1R、EGFR、DLL4またはTrop-2)またはここに記載するメソテリンCARの活性を制御できるポリペプチドに特異的に結合し得る。このような実施態様において、2以上の核酸配列、例えば、コードするここに記載するメソテリンCARおよび第二CARまたは他のポリペプチドは、同じフレームの単一核酸分子によりコードされ単一ポリペプチド鎖として発現される。ある実施態様において、2以上のポリペプチドは、1以上のペプチド開裂部位(例えば、自己開裂部位または細胞内プロテアーゼの基質)により分離され得る。ペプチド開裂部位の例は次のものを含み、ここで、GSG残基は任意である。
T2A: (GSG) E G R G S L L T C G D V E E N P G P(配列番号602)
P2A: (GSG) A T N F S L L K Q A G D V E E N P G P(配列番号603)
E2A: (GSG) Q C T N Y A L L K L A G D V E S N P G P(配列番号604)
F2A: (GSG) V K Q T L N F D L L K L A G D V E S N P G P(配列番号605)
細胞に遺伝子を導入し、発現させる方法は、当分野で知られる。発現ベクターの場合、ベクターは、宿主細胞、例えば、哺乳動物、細菌、酵母または昆虫細胞に、当分野で知られる何れかの方法により容易に導入され得る。例えば、発現ベクターは、物理的、化学的または生物学的手段により、宿主細胞に導入され得る。
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入する物理的方法は、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、微粒子銃、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどを含む。ベクターおよび/または外因性核酸を含む細胞の産生方法は、当分野で周知である。例えば、Sambrook et al., 2012, MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, volumes 1 -4, Cold Spring Harbor Press, NY参照。ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための好ましい方法は、例えば、Lipofectamine(Life Technologies)を使用するリポフェクションである。
目的のポリヌクレオチドを宿主細胞に導入する生物学的方法は、DNAおよびRNAベクターの使用を含む。ウイルスベクターおよび特にレトロウイルスベクターは、遺伝子の哺乳動物、例えば、ヒト細胞への挿入に、最も広く使用されている方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI型、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスなどに由来し得る。例えば、米国特許5,350,674号および5,585,362号参照。
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入する化学的手段は、巨大分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズなどのコロイド分散系および水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセルおよびリポソームを含む脂質ベースの系を含む。インビトロおよびインビボで送達媒体として使用するコロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。標的化ナノ粒子または他の適当なサブミクロンサイズ送達系でのポリヌクレオチドの送達などの核酸の最先端の標的化送達の他の方法が利用可能である。
非ウイルス送達系が利用される場合、送達媒体の例はリポソームである。脂質製剤の使用が、核酸の宿主細胞への導入に企図される(インビトロ、エクスビボまたはインビボ)。他の態様において、核酸は、脂質と結合させ得る。脂質と結合した核酸を、リポソームの水性内部に封入する、リポソームの二重層内に分散させる、リポソームおよびオリゴヌクレオチドの両方に結合する結合分子でリポソームに結合させる、リポソームに封入する、リポソームと複合体化させる、脂質含有溶液に分散させる、脂質と混合する、脂質と合わせる、脂質における懸濁液として包含させる、ミセルに包含されるまたは複合体化させるまたは脂質と他に結合させることができる。脂質、脂質/DNAまたは脂質/発現ベクター関連組成物は、溶液中の何らかの特定の構造に限定されない。例えば、二重層構造に、ミセルとしてまたは“崩壊”構造で存在し得る。それらはまた単に溶液に分散し、おそらく、均一サイズまたは形ではない凝集体を形成する。脂質は、天然に存在するまたは合成脂質であり得る脂肪物質である。例えば、脂質は、細胞質に天然に存在する脂肪滴ならびに長鎖脂肪族炭化水素を含む一群の化合物およびその誘導体、例えば脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコールおよびアルデヒドを含む。
使用に適する脂質は、商業的供給源から得ることができる。例えば、ジミリスチルホスファチジルコリン(“DMPC”)はSigma, St. Louis, MOから得ることができ、ジセチルホスフェート(“DCP”)はK & K Laboratories(Plainview, NY)から得ることができ、コレステロール(“Choi”)はCalbiochem-Behringから得ることができ、ジミリスチルホスファチジルグリセロール(“DMPG”)および他の脂質はAvanti Polar Lipids, Inc.(Birmingham, AL.)から得ることができる。クロロホルムまたはクロロホルム/メタノール中の脂質原液は、約-20℃で保存され得る。クロロホルムは、メタノールより容易に蒸発するため、唯一の溶媒として使用され得る。“リポソーム”は、封入脂質二重層または凝集体の産生により形成された多様な単一および多層状脂質媒体を包含する一般的用語である。リポソームは、リン脂質二重層膜および内部水性媒体を備えた小胞構造を有するとして特徴付けられ得る。多層状リポソームは、水性媒体により分離された複数脂質層を有する。それらは、リン脂質が過剰の水溶液に懸濁されたとき、自然に形成される。脂質成分は、密閉構造の形成前に自己再配置され、水を捕捉し、脂質二重層間に溶質を溶解する(Ghosh et al., 1991 Glycobiology 5: 505-10)。しかしながら、通常の小胞構造ではなく、溶液で異なる構造を有する組成物も包含される。例えば、脂質はミセル構造と考えられ得るか単に脂質分子の不均一凝集体として存在し得る。また企図されるのは、リポフェクタミン-核酸複合体である。
外因性核酸を宿主細胞に導入するのに使用したまたはその他細胞を本発明の阻害剤に暴露した方法にかかわらず、宿主細胞における組み換えDNA配列の存在を確認するために、多様なアッセイが実施され得る。このようなアッセイは、例えば、サザンおよびノーザンブロッティング、RT-PCRおよびPCRなどの当業者に周知の“分子生物学的”アッセイ;例えば、本発明の範囲内に入る薬剤を同定するための免疫学的手段(ELISAおよびウェスタンブロット)またはここに記載するアッセイによる特定のペプチドの存在または非存在を検出するなどの“生化学”アッセイを含む。
本発明は、さらにCARコード核酸分子を含むベクターを提供する。ある態様において、CARベクターは、細胞、例えば、T細胞またはNK細胞に直接形質導入され得る。ある態様において、ベクターは、クローニングまたは発現ベクター、例えば、プラスミド(例えば、発現プラスミド、クローニングベクター、ミニサークル、ミニベクター、ダブルマイニュート染色体)、レトロウイルスおよびレンチウイルスベクター構築物の1以上を含むが、これらに限定されないベクターである。ある態様において、ベクターは、CAR構築物を哺乳動物T細胞で発現できる。ある態様において、哺乳動物T細胞はヒトT細胞である。ある態様において、哺乳動物細胞はヒトNK細胞である。
RNAトランスフェクション
ここに開示されるのは、インビトロ転写RNA CARを産生する方法である。本発明はまた、細胞に直接トランスフェクトされ得るCARコードRNA構築物も含む。トランスフェクションに使用するためのmRNAを産生する方法は、一般に50~2000塩基長(配列番号35)の、3’および5’非翻訳配列(“UTR”)、5’キャップおよび/または配列内リボソーム進入部位(IRES)含有構築物を産生するための、特別に設計されたプライマーを用いる鋳型のインビトロ転写(IVT)、ポリA付加を含み得る。このように産生されたRNAは、異なる種の細胞を効率的にトランスフェクトし得る。ある態様において、鋳型はCARの配列を含む。
ある態様において、メソテリンCARは、メッセンジャーRNA(mRNA)によりコードされる。ある態様において、メソテリンCARをコードするmRNAを、CART細胞産生のためにT細胞に導入する。
ある実施態様において、インビトロ転写RNA CARは、一過性トランスフェクションの形で細胞に導入され得る。RNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)産生鋳型を使用してインビトロ転写により産生される。あらゆる供給源からの目的のDNAを、PCRにより、適切なプライマーおよびRNAポリメラーゼを使用するインビトロmRNA合成のための鋳型に直接変換させ得る。DNAの供給源は、例えば、ゲノムDNA、プラスミドDNA、ファージDNA、cDNA、合成DNA配列または他の何れか適切なDNAの供給源であり得る。インビトロ転写のための所望の鋳型は本発明のCARである。例えば、RNA CARのための鋳型は、抗腫瘍抗体の一本鎖可変ドメインを含む細胞外領域;ヒンジ領域、膜貫通ドメイン(例えば、CD8aの膜貫通ドメイン);および細胞内シグナル伝達ドメインを含む、例えば、CD3ゼータのシグナル伝達ドメインおよび4-1BBのシグナル伝達ドメインを含む細胞質領域を含む。
ある実施態様において、PCRに使用するDNAは、オープンリーディングフレームを含む。DNAは、生物ゲノムからの天然に存在するDNA配列に由来し得る。ある実施態様において、核酸は、5’および/または3’非翻訳領域(UTR)の一部または全てを含み得る。核酸はエキソンおよびイントロンを含み得る。ある実施態様において、PCRに使用するDNAはヒト核酸配列である。他の実施態様において、PCRに使用するDNAは、5’および3’UTRを含むヒト核酸配列である。DNAは、あるいは、天然に存在する生物に通常発現されない人工DNA配列であり得る。人工DNA配列の例は、融合タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを形成するよう一緒にライゲートされる遺伝子の部分を含むものである。一緒にライゲートされるDNAの部分は、単一生物または1を超える生物由来であり得る。
PCRは、トランスフェクションに使用されるmRNAのインビトロ転写用鋳型の産生に使用される。PCRを実施する方法は当分野で周知である。PCRにおいて使用するためのプライマーは、PCRの鋳型として使用するDNAの領域と実質的に相補性である領域を有するように設計される。用語“実質的に相補性”は、プライマー配列における塩基の大部分または全てが相補性であるかまたは1以上の塩基が非相補性または不適合である、ヌクレオチドの配列をいう。実質的に相補配列は、PCRに使用するアニーリング条件下、意図するDNA標的とアニールまたはハイブリダイズできる。プライマーは、DNA鋳型の何れかの部分と実質的に相補性であるように設計され得る。例えば、プライマーは、細胞において通常転写される(オープンリーディングフレーム)、5’および3’UTRを含む、核酸の部分の増幅のために設計され得る。プライマーはまた目的の特定のドメインをコードする核酸部分の増幅のためにも設計され得る。ある実施態様において、プライマーは、5’および3’UTRの全てまたは一部を含む、ヒトcDNAのコード領域増幅のために設計される。PCRに有用なプライマーは、当分野で周知である合成方法により産生され得る。“順方向プライマー”は、増幅するDNA配列の上流であるDNA鋳型上のヌクレオチドに実質的に相補性であるヌクレオチドの領域を含むプライマーである。用語“上流”は、コード鎖に対して増幅するDNA配列の5’位置をいう。“逆方向プライマー”は、増幅するDNA配列の下流である二本鎖DNA鋳型上に実質的に相補性であるヌクレオチドの領域を含むプライマーである。用語“下流”は、コード鎖に対して増幅するDNA配列の3’位置をいう。
PCRに有用なあらゆるDNAポリメラーゼが、ここに開示する方法において使用され得る。試薬およびポリメラーゼは、多数の供給源から商業的に入手可能である。
安定性および/または翻訳効率を促進することができる化学構造も使用され得る。RNAは、好ましくは5’および3’UTRを有する。ある実施態様において、5’UTRは1~3000ヌクレオチド長である。コード領域に付加する5’および3’UTR配列の長さは、UTRの異なる領域にアニールするPCR用プライマーの設計を含むが、これに限定されない方法毎に変わり得る。この試みを使用して、当業者は、転写RNAトランスフェクション後最適翻訳効率を達成するのに必要な5’および3’UTR長を修飾できる。
5’および3’UTRは、目的の核酸について、天然に存在する、内因性5’および3’UTRであり得る。あるいは、目的の核酸に対して内因性ではないUTR配列を、UTR配列を順方向および逆方向プライマーに取り込むことによりまたは鋳型の何れかの他の修飾により付加できる。目的の核酸に対して内因性ではないUTR配列の使用は、RNAの安定性および/または翻訳効率修飾に有用であり得る。例えば、3’UTR配列におけるAU富要素がmRNAの安定性を減少させることは知られている。それ故に、3’UTRを、当分野で周知であるUTRの性質に基づき、転写RNAの安定性を増加させるために選択または設計し得る。
ある実施態様において、5’UTRは、内因性核酸のコザック配列を含み得る。あるいは、5’UTRが上記のとおりPCRにより付加される目的の核酸に対して内因性でないとき、コンセンサスコザック配列が、5’UTR配列付加により、再設計され得る。コザック配列は一部RNA転写物の翻訳効率を増加させ得るが、全てのRNAの効率的翻訳に必要であるとは考えられない。多くのmRNAについてコザック配列の必要性は当分野で知られる。他の実施態様において、5’UTRは、RNAゲノムが細胞で安定な、RNAウイルスの5’UTRであり得る。他の実施態様において、種々のヌクレオチドアナログを、mRNAのエキソヌクレアーゼ分解を妨害するために3’または5’UTRに使用できる。
遺伝子クローニングの必要性なしにDNA鋳型からのRNAの合成を可能とするために、転写のプロモーターを、転写する配列の上流のDNA鋳型に結合しなければならない。RNAポリメラーゼのプロモーターとして機能する配列が順方向プライマーの5’末端に結合されるとき、RNAポリメラーゼプロモーターは、転写するオープンリーディングフレームの上流のPCR産物に取り込まれることになる。ある好ましい実施態様において、プロモーターは、本明細書の他の箇所に記載するT7ポリメラーゼプロモーターである。他の有用なプロモーターは、T3およびSP6 RNAポリメラーゼプロモーターを含むが、これらに限定されない。T7、T3およびSP6プロモーターのコンセンサスヌクレオチド配列は、当分野で知られる。
好ましい実施態様において、mRNAは、リボソーム結合、翻訳の開始および細胞におけるmRNA安定性を決定するキャップを5’末端および3’ポリ(A)テイル両方に有する。環状DNA鋳型、例えば、プラスミドDNAにおいて、RNAポリメラーゼは、真核生物細胞での発現に適さない長鎖状体産物を産生する。3’UTRの末端で直線化されたプラスミドDNAの転写は、転写後ポリアデニル化されてさえ、真核生物トランスフェクションに効果的ではない通常サイズmRNAとなる。
直線状DNA鋳型において、ファージT7 RNAポリメラーゼは、鋳型の最後の塩基を超えて転写物の3’末端で伸長できる(Schenborn and Mierendorf, Nuc Acids Res., 13:6223-36 (1985); Nacheva and Berzal-Herranz, Eur. J. Biochem., 270:1485-65 (2003)。
ポリA/TストレッチのDNA鋳型への組込みの慣用の方法は分子クローニングである。しかしながら、プラスミドDNAに統合されたポリA/T配列はプラスミドを不安定にさせ、これが、細菌細胞から得たプラスミドDNA鋳型が、しばしば欠失および他の異常で高度に汚染されているかの理由である。これは、クローニング工程を労力と時間がかかるもとするだけでなく、しばしば信頼できないものとする。これが、クローニング無しでポリA/T 3’ストレッチを伴うDNA鋳型の構築を可能とする方法が高度に望まれる理由である。
転写DNA鋳型のポリA/Tセグメントは、100Tテイル(配列番号31)(サイズは50~5000T(配列番号32)であり得る)などのポリTテイルを含む逆方向プライマーを使用してPCR中またはPCR後、DNAライゲーションまたはインビトロ組換えを含むが、これらに限定されない何れかの他の方法で産生され得る。ポリ(A)テイルはRNAを安定性にし、分解を減少させる。一般に、ポリ(A)テイルの長さは、転写RNAの安定性と正に相関する。ある実施態様において、ポリ(A)テイルは100~5000アデノシン(配列番号33)である。
RNAのポリ(A)テイルは、大腸菌ポリAポリメラーゼ(E-PAP)などのポリ(A)ポリメラーゼの使用により、インビトロ転写後さらに延長され得る。ある実施態様において、ポリ(A)テイルの長さの100ヌクレオチドから300~400ヌクレオチド(配列番号34)への増加は、RNAの翻訳効率の約2倍増加をもたらす。さらに、異なる化学基の3’末端への結合は、mRNA安定性を増加させ得る。このような結合は、修飾/人工ヌクレオチド、アプタマーおよび他の化合物を含み得る。例えば、ATPアナログを、ポリ(A)ポリメラーゼを使用してポリ(A)テイルに取り込み得る。ATPアナログは、RNAの安定性をさらに増加させ得る。
5’キャップも、RNA分子に安定性を提供する。好ましい実施態様において、ここに開示する方法により産生されるRNAは、5’キャップを含む。5’キャップは、当分野で知られ、ここに記載する技法を使用して提供される(Cougot, et al., Trends in Biochem. Sci., 29:436-444 (2001); Stepinski, et al., RNA, 7:1468-95 (2001); Elango, et al., Biochim. Biophys. Res. Commun., 330:958-966 (2005))。
ここに開示する方法により産生されたRNAは、配列内リボソーム進入部位(IRES)配列も含み得る。IRES配列は、キャップ無関係のmRNAへのリボソーム結合を開始し、翻訳の開始を促進するあらゆるウイルス、染色体または人工的に設計した配列であり得る。糖、ペプチド、脂質、タンパク質、抗酸化剤および界面活性剤などのような細胞透過性および生存能を促進する因子を含み得る、細胞エレクトロポレーションのための適当なあらゆる溶質が包含され得る。
RNAは、多数の異なる方法、例えば、エレクトロポレーション(Amaxa Nucleofector-II(Amaxa Biosystems, Cologne, Germany))、(ECM 830(BTX)(Harvard Instruments, Boston, Mass.)またはGene Pulser II(BioRad, Denver, Colo.)、Multiporator(Eppendort, Hamburg Germany)、リポフェクションを使用するカチオン性リポソーム介在トランスフェクション、ポリマー封入、ペプチド介在トランスフェクションまたは“遺伝子銃”などの微粒子銃粒子送達系を含むが、これらに限定されない、商業的に利用可能な方法の何れかを使用して、標的細胞に導入され得る(例えば、Nishikawa, et al. Hum Gene Ther., 12(8):861-70 (2001)参照)。
非ウイルス送達方法
ある態様において、非ウイルス方法を使用して、ここに記載するCARをコードする核酸を細胞または組織または対象に送達し得る。
ある実施態様において、非ウイルス方法は、トランスポゾン(転位性要素とも称される)の使用を含む。ある実施態様において、トランスポゾンは、ゲノムの位置にそれ自体挿入され得るDNAの一部、例えば、自己複製し、そのコピーをゲノムに挿入できるDNAの一部または核酸から切り出され、ゲノムの他の位置に挿入され得るDNAの一部であり得る。例えば、トランスポゾンは、転位のための逆方向反復フランキング遺伝子からなるDNA配列を含む。
トランスポゾンを使用する核酸送達方法の例は、Sleeping Beautyトランスポゾン系(SBTS)およびpiggyBac(PB)トランスポゾン系を含む。例えば、Aronovich et al. Hum. Mol. Genet. 20.R1(2011):R14-20; Singh et al. Cancer Res. 15(2008):2961-2971; Huang et al. Mol. Ther. 16(2008):580-589; Grabundzija et al. Mol. Ther. 18(2010):1200-1209; Kebriaei et al. Blood. 122.21(2013):166; Williams. Molecular Therapy 16.9(2008):1515-16; Bell et al. Nat. Protoc. 2.12(2007):3153-65; and Ding et al. Cell. 122.3(2005):473-83参照、この全て、引用により本明細書に包含させる。
SBTSは、1)導入遺伝子を含むトランスポゾンおよび2)トランスポサーゼ酵素供給源の2成分を含む。トランスポサーゼは、トランスポゾンを担体プラスミド(または他のドナーDNA)から宿主細胞染色体/ゲノムなどの標的DNAに転位できる。例えば、トランスポサーゼは担体プラスミド/ドナーDNAに結合し、トランスポゾン(導入遺伝子を含む)をプラスミドから切り出し、それを宿主細胞のゲノムに挿入する。例えば、Aronovich et al. supra.参照。
トランスポゾンの例は、pT2ベースのトランスポゾンを含む。例えば、Grabundzija et al. Nucleic Acids Res. 41.3(2013):1829-47;およびSingh et al. Cancer Res. 68.8(2008): 2961-2971参照、この全て、引用により本明細書に包含させる。トランスポザーゼの例は、Tc1/marinerタイプトランスポザーゼ、例えば、SB10トランスポザーゼまたはSB11トランスポサーゼ(例えば、サイトメガロウイルスプロモーターから発現され得る、機能亢進トランスポサーゼ)を含む。例えば、Aronovich et al.; Kebriaei et al.;およびGrabundzija et al.参照、この全て、引用により本明細書に包含させる。
SBTSの使用は、導入遺伝子、例えば、ここに記載するCARをコードする核酸の効率的組込みおよび発現を可能にする。ここに提供されるのは、例えば、SBTSなどのトランスポゾン系を使用する、ここに記載するCARを安定に発現する細胞、例えば、T細胞またはNK細胞を産生する方法である。
ここに記載する方法によって、ある実施態様において、SBTS成分を含む1以上の核酸、例えば、プラスミドが細胞(例えば、TまたはNK細胞)に送達される。例えば、核酸は、核酸(例えば、プラスミドDNA)送達の標準法、例えば、ここに記載する方法、例えば、エレクトロポレーション、トランスフェクションまたはリポフェクションにより送達される。ある実施態様において、核酸は、導入遺伝子、例えば、ここに記載するCARをコードする核酸を含むトランスポゾンを含む。ある実施態様において、核酸は、導入遺伝子(例えば、ここに記載するCARをコードする核酸)をコードする核酸配列を含むトランスポゾンならびにトランスポサーゼ酵素を含む。他の実施態様において、2核酸を備えた系、例えば、デュアルプラスミド系であって、例えば、第一プラスミドが導入遺伝子を含むトランスポゾンを含み、第二プラスミドがトランスポサーゼ酵素をコードする核酸配列を含むものを提供する。例えば、第一および第二核酸は、宿主細胞に共送達される。
ある実施態様において、ヌクレアーゼ(例えば、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、CRISPR/Cas系または改変メガヌクレアーゼ再設計ホーミングエンドヌクレアーゼ)を使用するSBTSおよび遺伝子編集を使用する遺伝子挿入の組み合わせを使用することにより、ここに記載するCARを発現する細胞、例えば、TまたはNK細胞が産生される。
ある実施態様において、送達の非ウイルス方法は、細胞、例えば、TまたはNK細胞の再プログラミングおよび該細胞の対象への直接注入を可能とする。非ウイルスベクターの利点は、患者集団に見合うために必要な十分量の容易かつ比較的安価な産生、保存中の安定性および免疫原性欠如を含むが、これらに限定されない。
細胞の供給源
例えば、ここに記載するCARを発現させるための増大および遺伝的修飾の前に、細胞、例えば、T細胞またはNK細胞は、対象から得ることができる。用語“対象”は、免疫応答が誘発され得る生存動物(例えば、哺乳動物)を含むことを意図する。対象の例は、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラットおよびこれらのトランスジェニック種を含む。T細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織および腫瘍を含む、多くのの供給源から得ることができる。本発明のある態様において、当分野で利用可能なあらゆる多くのT細胞株が用いられ得る。本発明のある態様において、T細胞は、FicollTM分離などの当業者に知られる多くの技法の何れかを使用して、対象から採取した血液から得ることができる。ある好ましい態様において、個体の循環血からの細胞は、アフェレーシスにより得る。アフェレーシス産物は、一般に、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球を含むリンパ球、赤血球および血小板を含む。ある態様において、アフェレーシスにより採取した細胞は、血漿フラクションを除くために洗浄し、細胞をその後の処理段階に適する緩衝液または媒体に入れてよい。本発明のある態様において、細胞は、リン酸緩衝化食塩水(PBS)で洗浄される。別の態様において、洗浄溶液はカルシウムを欠き、マグネシウムを欠いてよくまたは全てではないにしても大部分の二価カチオンを欠く。カルシウム非存在下の初期活性化工程は、活性化を増強させ得る。当業者には容易に認識されるとおり、洗浄段階は当業者に既知の方法により達成でき、例えば、製造業者の指示に従い、半自動化“フロースルー”遠心分離(例えば、Cobe 2991 cell processor、Baxter CytoMateまたはHaemonetics Cell Saver 5)を使用するなどである。洗浄後、細胞を、例えば、無Ca、無MgPBS、PlasmaLyte Aまたは緩衝剤を伴うまたは伴わない他の食塩水溶液に、再懸濁し得る。あるいは、アフェレーシスサンプルの望ましくない成分を除去し、細胞を培養培地に直接再懸濁してよい。
本出願の方法は、5%以下、例えば2%のヒトAB血清を含む培養培地条件を利用でき、既知培養培地条件および組成物、例えばSmith et al., “Ex vivo expansion of human T cells for adoptive immunotherapy using the novel Xeno-free CTS Immune Cell Serum Replacement” Clinical & Translational Immunology (2015) 4, e31; doi:10.1038/cti.2014.31に記載のものを用いることは認識される。
ある態様において、T細胞は、例えば、PERCOLLTM勾配による遠心または対向流遠心溶出法による、赤血球の溶解および単球の枯渇により、末梢血リンパ球から単離される。CD3+、CD28+、CD4、CD8、CD45RA+およびCD45RO+T細胞などのT細胞の特定の亜集団は、陽性または陰性選択技法によりさらに単離され得る。例えば、ある態様において、T細胞は、所望のT細胞の陽性選択に十分な時間、DYNAビーズS(登録商標)M-450 CD3/CD28 Tなどの抗CD3/抗CD28(例えば、3x28)コンジュゲートビーズとのインキュベーションにより単離される。ある態様において、時間は約30分である。さらなる態様において、時間は、30分~36時間の範囲またはそれ以上およびその間の全ての整数値である。さらなる態様において、時間は少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間または6時間である。さらに他の好ましい態様において、時間は10~24時間である。ある態様において、インキュベーション時間は24時間である。長いインキュベーション時間を、腫瘍組織からのまたは免疫不全個体からの腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)単離におけるように、他の細胞型と比較してT細胞が少ないあらゆる状況において、T細胞単離に使用できる。さらに、長いインキュベーション時間は、CD8 T細胞の捕捉効率を上げ得る。それ故に、単にT細胞がCD3/CD2をビーズと結合させる時間を短くまたは長くすることによりおよび/またはビーズ対T細胞比を上げるまたは下げることにより(さらにここに記載)、T細胞の亜集団が、培養開示時または該過程の他の時点で優性に選択され得る。さらに、ビーズまたは他の表面上の抗CD3および/または抗CD28抗体の比を挙げるまたは下げることにより、T細胞の亜集団が、培養開示時または他の所望の時点で優性に選択され得る。当業者は、複数回の選択が、本発明の状況においてまた使用され得ることを認識する。ある態様において、選択過程を実施し、“未選択”細胞を活性化および増大過程に使用することが望ましいことがある。“未選択”細胞をまたさらなる選択に付してもよい。
陰性選択によるT細胞集団富化は、陰性選択される細胞特有の表面マーカーに対する抗体の組み合わせを用いて達成され得る。ある方法は、陰性選択される細胞に存在する細胞表面マーカーに対するモノクローナル抗体のカクテルを使用する、陰性磁気免疫粘着性またはフローサイトメトリーによる細胞選別および/または選択である。例えば、陰性選択によりCD4細胞を富化するために、モノクローナル抗体カクテルは一般にCD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DRおよびCD8に対する抗体を含む。ある態様において、一般にCD4、CD25+、CD62Lhi、GITR+およびFoxP3+を発現する制御T細胞を富化するか陽性選択することが望ましいことがある。あるいは、ある態様において、T制御細胞は、抗C25コンジュゲートビーズまたは他の類似の選択法により枯渇される。
ここに記載する方法は、例えば、ここに記載する、例えば、陰性選択技法を使用する、例えば、免疫エフェクター細胞の特異的亜集団、例えば、T制御細胞枯渇集団、CD25+枯渇細胞であるT細胞の選択を含み得る。好ましくは、T制御枯渇細胞の集団は、30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%未満のCD25+細胞を含む。
ある実施態様において、T制御細胞、例えば、CD25+ T細胞は、抗CD25抗体またはそのフラグメントまたはCD25結合リガンド、IL-2を使用して、集団から除去される。ある実施態様において、抗CD25抗体またはそのフラグメントまたはCD25結合リガンドを、基質、例えば、ビーズにコンジュゲートするかまたは基質、例えば、ビーズに他の方法でコートする。ある実施態様において、抗CD25抗体またはそのフラグメントを、ここに記載する基質とコンジュゲートする。
ある実施態様において、T制御細胞、例えば、CD25+ T細胞を、MiltenyiTMの枯渇試薬を使用して集団から除去する。ある実施態様において、細胞対CD25枯渇試薬比は1e7細胞対20uLまたは1e7細胞対15uLまたは1e7細胞対10uLまたは1e7細胞対5uLまたは1e7細胞対2.5uLまたは1e7細胞対1.25uLである。ある実施態様において、例えば、T制御細胞、例えば、CD25+枯渇のために、5億細胞/ml超を使用する。さらなる態様において、6億、7億、8億または9億細胞/mlの細胞濃度を使用する。
ある実施態様において、枯渇する免疫エフェクター細胞の集団は、約6×10 CD25+ T細胞を含む。他の態様において、枯渇する免疫エフェクター細胞の集団は、約1×10~1x1010 CD25+ T細胞およびその間の何れかの整数を含む。ある実施態様において、得られた集団T制御枯渇細胞は、2×10またはそれ以下のT制御細胞、例えば、CD25+細胞を有する(例えば、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10またはそれ以下のCD25+細胞)。
ある実施態様において、T制御細胞、例えば、CD25+細胞は、例えば、チュービング162-01などの枯渇チュービングセットを伴うCliniMAC系を使用して,集団から除去する。ある実施態様において、CliniMAC系は、例えば、DEPLETION2.1などの、枯渇設定で流す。
特定の理論に拘束されることを意図しないが、アフェレーシス前またはCAR発現細胞産物産生前の対象における免疫細胞の陰性レギュレーターの減少(例えば、意図しない免疫細胞、例えば、TREG細胞の数の減少)は、対象の再発のリスクを減少し得る。例えば、TREG細胞を枯渇させる方法は、当分野で知られる。TREG細胞を枯渇させる方法は、シクロホスファミド、抗GITR抗体(ここに記載する抗GITR抗体)、CD25枯渇およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
ある実施態様において、製造方法は、CAR発現細胞製造前に、TREG細胞の数の減少(例えば、枯渇)をすることを含む。例えば、製造方法は、例えば、CAR発現細胞(例えば、T細胞、NK細胞)産物製造前に、サンプル、例えば、アフェレーシスサンプルと抗GITR抗体および/または抗CD25抗体(またはそのフラグメントまたはCD25結合リガンド)を接触させ、例えば、TREG細胞を枯渇させることを含む。
ある実施態様において、対象をCAR発現細胞産物製造前の細胞の採取前にTREG細胞を減少させる1以上の治療で前処置し、それにより対象がCAR発現細胞処置から再発するリスクを減少させる。ある実施態様において、TREG細胞を枯渇させる方法は、対象へのシクロホスファミド、抗GITR抗体、CD25枯渇またはこれらの組み合わせの1以上の投与を含むが、これらに限定されない。シクロホスファミド、抗GITR抗体、CD25枯渇またはこれらの組み合わせの1以上の投与は、CAR発現細胞産物点滴の前、途中または後に行ってよい。
ある実施態様において、対象をCAR発現細胞産物製造前の細胞の採取前にシクロホスファミドで前処理し、それにより対象がCAR発現細胞処置に対して再発するリスクを減少させる。ある実施態様において、対象をCAR発現細胞産物製造前の細胞の採取前に抗GITR抗体で前処理し、それにより対象がCAR発現細胞処置に対して再発するリスクを減少させる。
ある実施態様において、除去する細胞の集団は、制御T細胞または腫瘍細胞ではなく、CART細胞の増大および/または機能に他に負に影響する細胞、例えばCD14、CD11b、CD33、CD15または免疫抑制性の可能性のある細胞により発現される他のマーカーを発現する細胞である。ある実施態様において、このような細胞は、制御T細胞および/または腫瘍細胞と同時にまたは該枯渇後にまたは他の順序で除去されることが想定される。
ここに記載する方法は、1以上の選択工程、例えば、1以上の枯渇工程を含み得る。陰性選択によるT細胞集団の富化は、例えば、陰性選択される細胞特有の表面マーカーに対する抗体の組み合わせにより達成され得る。ある方法は、陰性選択される細胞に存在する細胞表面マーカーに対するモノクローナル抗体のカクテルを使用する、陰性磁気免疫粘着性またはフローサイトメトリーによる細胞選別および/または選択である。例えば、陰性選択によりCD4細胞を富化するために、モノクローナル抗体カクテルは、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DRおよびCD8に対する抗体を含み得る。
ここに記載する方法は、さらに腫瘍抗原、例えば、CD25を含まない腫瘍抗原、例えば、CD19、CD30、CD38、CD123、CD20、CD14またはCD11bを発現する細胞を集団から除去し、それによりCAR、例えば、ここに記載するCARの発現に適するT制御枯渇、例えば、CD25+枯渇および腫瘍抗原枯渇細胞の集団を提供することを含む。ある実施態様において、腫瘍抗原発現細胞は、T制御、例えば、CD25+細胞と同時に除去される。例えば、抗CD25抗体またはそのフラグメントおよび抗腫瘍抗原抗体またはそのフラグメントは、細胞または抗CD25抗体もしくはそのフラグメントの除去に使用し得るのと同じ基質、例えば、ビーズに結合してよくまたは抗腫瘍抗原抗体もしくはそのフラグメントは、異なるビーズに結合してよく、その混合物を細胞除去に使用し得る。他の実施態様において、T制御細胞、例えば、CD25+細胞除去および腫瘍抗原発現細胞除去は逐次的であり、例えば、何れの順序で実施してもよい。
また提供されるのは、T制御枯渇、例えば、CD25+枯渇細胞およびチェックポイント阻害剤枯渇細胞、例えば、PD1+、LAG3+および/またはTIM3+枯渇細胞の集団を提供することを含む方法である。チェックポイント阻害剤の例は、B7-H1、B7-1、CD160、P1H、2B4、PD1、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、LAG3、TIGIT、CTLA-4、BTLAおよびLAIR1を含む。ある実施態様において、チェックポイント阻害剤発現細胞は、T制御、例えば、CD25+細胞と同時に除去される。例えば、抗CD25抗体またはそのフラグメントおよび抗チェックポイント阻害剤抗体またはそのフラグメントを、細胞または抗CD25抗体またはそのフラグメントの除去に使用し得るのと同じビーズに結合してよくおよび抗チェックポイント阻害剤抗体またはそのフラグメントを別のビーズの結合し、その混合物を細胞の除去に使用し得る。他の実施態様において、T制御細胞、例えば、CD25+細胞の除去およびチェックポイント阻害剤発現細胞の除去は逐次的であり、例えば、何れの順序で実施してもよい。
ある実施態様において、T細胞集団は、IFN-γ、TNFα、IL-17A、IL-2、IL-3、IL-4、GM-CSF、IL-10、IL-13、グランザイムBおよびパーフォリンまたは他の適切な分子、例えば、他のサイトカインの1以上を発現するように選択され得る。細胞発現をスクリーニングする方法は、例えば、PCT公開WO2013/126712号に記載の方法により決定され得る。
陽性または陰性選択による所望の細胞の集団の単離のために、細胞および表面(例えば、ビーズなどの粒子)の濃度を変えてよい。ある態様において、ビーズおよび細胞が混合される容積を顕著に減らし(例えば細胞濃度を増加させ)、細胞およびビーズの最大接触を確実にすることが望ましいことがある。例えば、ある態様において、20億細胞/mlの濃度を使用する。ある態様において、10億細胞/mlの濃度を使用する。さらなる態様において、1億細胞/ml超を使用する。さらなる態様において、1000万、1500万、2000万、2500万、3000万、3500万、4000万、4500万または5000万細胞/mlの細胞濃度を使用する。さらにある態様において、7500万、8000万、8500万、9000万、9500万または1億細胞/mlの細胞濃度を使用する。さらなる態様において、1億2500万または1億5000万細胞/ml濃度が使用され得る。高濃度の使用は、細胞収率、細胞活性化および細胞増大の増加をもたらし得る。さらに、高細胞濃度の使用は、CD28陰性T細胞などの目的の標的抗原を弱く発現し得る細胞または多くの腫瘍細胞が存在するサンプル(例えば、白血病性血液、腫瘍組織など)からの効率的捕捉を可能とする。このような細胞の集団は治療価値を有し、得ることが意図しれ得る。例えば、高濃度の細胞の使用は、通常弱いCD28発現であるCD8 T細胞の効率的選択を可能とする。
関連態様において、低濃度の細胞を使用することが望ましいことがある。T細胞および表面(例えば、ビーズなどの粒子)の混合物を顕著に希釈することにより、粒子と細胞の相互作用が減少される。これは、粒子に結合する所望の抗原が高い量で発現される細胞について選択される。例えば、CD4 T細胞はCD28を抗レベルで発現し、希釈濃度でCD8 T細胞より効率的に捕捉される。ある態様において、使用する細胞濃度は5×10e6/mlである。他の態様において、使用する濃度は約1×10/ml~1×10/mlおよびその間の何れかの整数であり得る。
他の態様において、細胞を、回転子上で種々の時間、種々の速度で、2~10℃または室温でインキュベートし得る。
刺激のためのT細胞も洗浄工程後凍結させ得る。理論に拘束されることを意図しないが、凍結および続く解凍工程は、細胞集団から顆粒球およびある程度単球を除去することにより、より均一な産物を提供する。血漿および血小板を除去する洗浄工程後、細胞を凍結溶液に懸濁させ得る。多くの凍結溶液およびパラメータが当分野で知られ、この状況において有用であるが、ある方法は、20%DMSOおよび8%ヒト血清アルブミンを含むPBSまたは10%Dextran 40および5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミンおよび7.5%DMSOまたは31.25%Plasmalyte-A、31.25%デキストロース5%、0.45%NaCl、10%Dextran 40および5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミンおよび7.5%DMSOを含む培養培地または例えば、HespanおよびPlasmaLyte Aを含む他の適当な細胞凍結培地の使用を含む地、次いで細胞を1°/分の速度で-80℃まで凍結させ、液体窒素保存貯蔵タンクの蒸気層で保存する。制御凍結の他の方法ならびに即時に-20℃または液体窒素での無制御凍結を使用し得る。
ある態様において、凍結保存細胞を解凍し、ここに記載するとおり洗浄し、1時間室温で急速させ、その後、ここに記載する方法を使用して活性化する。
本発明においてまた企図されるのは、ここに記載する増大細胞が必要であるときより前の時点での、対象からのサンプルまたはアフェレーシス産物の採取である。すなわち、増大させる細胞を必要な何れかの時点で採取し、T細胞などの所望の細胞を単離し、ここに記載するようなT細胞治療により利益を受ける多くの何れかの疾患または状態のT細胞治療に後に使用するために、単離および凍結し得る。ある態様において、血液サンプルまたはアフェレーシスは、一般に健常対象から採る。ある態様において、血液サンプルまたはアフェレーシは、一般に健常であるが、疾患を発症するリスクがあるが、まだ疾患を発症していない対象から採取し、目的の細胞を単離し、後の使用のために凍結する。ある態様において、T細胞は、増殖され、凍結され、後の時点で使用され得る。ある態様において、サンプルを、ここに記載する特定の疾患の診断直後、しかし、何らかの処置前に患者から採る。さらなる態様において、細胞を、ナタリズマブ、エファリズマブ、抗ウイルス剤、化学療法、放射線、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノレートおよびFK506などの免疫抑制剤、抗体またはキャンパス、抗CD3抗体、シトキサン、フルダラビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228および照射などの他の免疫奪格剤などの薬剤での処置を含むが、これらに限定されない、多くの何れかの関連処置モダリティ前の対象からの血液サンプルまたはアフェレーシスから単離する、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228および照射などの他の免疫奪格剤。
本発明のさらなる態様において、機能的T細胞を対象に残す処置後に、T細胞を直接患者から得る。これに関して、ある癌処置、特に免疫系を損傷させる薬物での処置後、患者が通常該処置から回復する期間である処置直後、得られるT細胞の品質が、エクスビボで増大する能力について最適または改善され得ることが観察されている。同様に、ここに記載する方法を使用するエクスビボ操作後、これらの細胞は、生着およびインビボ増大が増大する好ましい状態にあり得る。それ故に、本発明において、この回復期にT細胞、樹状細胞または造血系の他の細胞を含む血液細胞を採取することが企図される。さらに、ある態様において、動員(例えば、GM-CSFでの動員)およびコンディショニングレジメンを、特に、治療後の一定の時間枠の間、特定の細胞型再増殖、再循環、再生および/または増大を指示する、対象における条件を作るために使用し得る。細胞型の例は、T細胞、B細胞、樹状細胞および免疫系の他の細胞を含む。
ある実施態様において、T細胞集団はジアグリセロールキナーゼ(DGK)欠損である。DGK欠損細胞は、DGK RNAまたはタンパク質を発現しないまたはDGK活性が低減もしくは阻害されている細胞を含む。DGK欠損細胞は、例えば、DGK発現を低減または阻止するRNA干渉剤、例えば、siRNA、shRNA、miRNAを投与する、遺伝的アプローチにより産生され得る。あるいは、DGK欠損細胞は、ここに記載するDGK阻害剤での処置により産生され得る。
ある実施態様において、T細胞集団はIkaros欠損である。Ikaros欠損細胞は、Ikaros RNAまたはタンパク質を発現しないまたはIkaros活性が低減もしくは阻害されている細胞を含み、Ikaros欠損細胞は、例えば、Ikaros発現を低減または阻止するRNA干渉剤、例えば、siRNA、shRNA、miRNAを投与する、遺伝的アプローチにより産生され得る。あるいは、Ikaros欠損細胞は、Ikaros阻害剤、例えば、レナリドマイドでの処置により産生され得る。
ある実施態様において、T細胞集団はDGK欠損およびIkaros欠損であり、例えば、DGKおよびIkarosを発現しないまたはDGKおよびIkaros活性が低減もしくは阻害されている。このようなDGKおよびIkaros欠損細胞は、ここに記載する方法の何れかにより産生され得る。
ある実施態様において、NK細胞は、対象から得られる。他の実施態様において、NK細胞は、NK細胞株、例えば、NK-92細胞株(Conkwest)である。
同種CAR免疫エフェクター細胞
ここに記載するある実施態様において、免疫エフェクター細胞は同種免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞またはNK細胞であり得る。例えば、細胞は、同種T細胞、例えば、機能的T細胞受容体(TCR)および/またはヒト白血球抗原(HLA)、例えば、HLAクラスIおよび/またはHLAクラスIIの発現を欠く同種T細胞であり得る。
機能的TCRを欠くT細胞は、例えば、表面に何ら機能的TCRを発現しないように改変され、機能的TCRを含む1以上のサブユニットを発現しないように改変されまたは表面に極少量の機能的TCRを産生するように改変され得る。あるいは、T細胞は、例えば、TCRのサブユニットの1以上の変異または切断形態の発現により、実質的に障害されたTCRを発現し得る。用語“実質的に障害されたTCR”は、このTCRが宿主で有害免疫反応を誘発しないことを意味する。
ここに記載するT細胞は、例えば、機能的HLAを表面に発現しないように改変され得る。例えば、ここに記載するT細胞は、細胞表面発現HLA、例えば、HLAクラスIおよび/またはHLAクラスIIが下方制御されるように改変され得る。
ある実施態様において、T細胞は、機能的TCRおよび機能的HLA、例えば、HLAクラスIおよび/またはHLAクラスIIを欠いてよい。
機能的TCRおよび/またはHLAの発現を欠く修飾T細胞は、TCRまたはHLAの1以上のサブユニットのノックアウトまたはノックダウンを含む、適当な何れかの手段により得ることができる。例えば、T細胞は、siRNA、shRNA、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)または亜鉛フィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)を使用するTCRおよび/またはHLAのノックダウンを含み得る。
ある実施態様において、同種細胞は、例えばここに記載する何れかの方法により、阻害性分子を発現しないまたは低レベルで発現する細胞であり得る。例えば、細胞は、例えば、免疫エフェクター応答を開始するためにCAR発現細胞の能力を減少させ得る、阻害性分子を発現しないまたは低レベルで発現する細胞であり得る。阻害性分子の例は、PD1、PD-L1、CTLA4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシンおよびTGFRベータを含む。例えば、DNA、RNAまたはタンパク質レベルでの阻害による阻害性分子の阻害は、CAR発現細胞性能を最適化させ得る。ある実施態様において、例えば、ここに記載する、阻害性核酸、例えば、阻害性核酸、例えば、dsRNA、例えば、siRNAまたはshRNA、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)、転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)または亜鉛フィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)が使用され得る。
TCRまたはHLAを阻害するためのsiRNAおよびshRNA
ある実施態様において、TCR発現および/またはHLA発現は、細胞、例えば、T細胞において、TCRおよび/またはHLAおよび/またはここに記載する阻害性分子(例えば、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、をアデノシンおよびTGFRベータ)をコードする核酸を標的とするsiRNAまたはshRNAを使用して阻害させ得る。siRNAおよびshRNAの発現系およびshRNA例は、例えば、全体を引用により本明細書に包含させる、2015年3月13日出願の国際出願WO2015/142675号のパラグラフ649および650に記載される。
TCRまたはHLAを阻害するためのCRISPR
ここで使用する“CRISPR”または“TCRおよび/またはHLAに対するCRISPR”または“TCRおよび/またはHLAを阻害するCRISPR”は、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピートのセットまたは該反復のセットを含む系をいう。ここで使用する“Cas”は、CRISPR関連タンパク質をいう。
ここで使用する“CRISPR/Cas”系は、細胞、例えば、T細胞におけるTCRおよび/またはHLA遺伝子および/またはここに記載する阻害性分子(例えば、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシンおよびTGFRベータ)のサイレンスまたは変異に使用され得る、CRISPRおよびCas由来の系をいう。
CRISPR/Cas系およびその使用は、例えば、全体を引用により本明細書に包含させる、2015年3月13日出願の国際出願WO2015/142675号のパラグラフ651~658に記載される
TCRおよび/またはHLAを阻害するためのTALEN
TALEN”または“HLAおよび/またはTCRに対するTALEN”または“HLAおよび/またはTCRを阻害するTALEN”は、細胞、例えば、T細胞におけるHLAおよび/またはTCR遺伝子および/またはここに記載する阻害性分子(例えば、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシンおよびTGFRベータ)の編集に使用され得る人工ヌクレアーゼである転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼをいう。
TALENおよびその使用は、例えば、全体を引用により本明細書に包含させる、2015年3月13日出願の国際出願WO2015/142675号のパラグラフ659~665に記載される。
HLAおよび/またはTCRを阻害する亜鉛フィンガーヌクレアーゼ
“ZFN”または“亜鉛フィンガーヌクレアーゼ”または“HLAおよび/またはTCRに対するZFN”または“HLAおよび/またはTCRを阻害するZFN”は、細胞、例えば、T細胞におけるHLAおよび/またはTCR遺伝子および/またはここに記載する阻害性分子(例えば、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシンおよびTGFRベータ)の編集に使用され得る人工ヌクレアーゼである亜鉛フィンガーヌクレアーゼをいう。
ZFNおよびその使用は、例えば、全体を引用により本明細書に包含させる、2015年3月13日出願の国際出願WO2015/142675号のパラグラフ666~671に記載される。
テロメラーゼ発現
何らかの特定の理論に拘束されることを意図しないが、ある実施態様において、治療T細胞は、T細胞における短テロメアにより、患者で短期残留性を有し、従って、テロメラーゼ遺伝子でのトランスフェクションは、T細胞のテロメアを延長し、患者におけるT細胞の残留性を改善し得る。Carl June, “Adoptive T cell therapy for cancer in the clinic”, Journal of Clinical Investigation, 117:1466-1476 (2007)参照。それ故に、ある実施態様において、免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞は、テロメラーゼサブユニット、例えば、テロメラーゼの触媒サブユニット、例えば、TERT、例えば、hTERTを異所性に発現する。ある態様において、本発明は、細胞とテロメラーゼサブユニット、例えば、テロメラーゼの触媒サブユニット、例えば、TERT、例えば、hTERTをコードする核酸を接触させることを含む、CAR発現細胞を産生する方法を提供する。細胞は、CARをコードする構築物と接触させる前、同時または後に該核酸と接触させ得る。
ある態様において、本発明は、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)の集団を産生する方法に関する。ある実施態様において、方法は、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)の集団を提供し、免疫エフェクター細胞の集団とCARをコードする核酸を接触させ、そして免疫エフェクター細胞の集団をテロメラーゼサブユニット、例えば、hTERTをコードする核酸と、CARおよびテロメラーゼ発現を可能にする条件した、接触させることを含む。
ある実施態様において、テロメラーゼサブユニットをコードする核酸はDNAである。ある実施態様において、テロメラーゼサブユニットをコードする核酸は、テロメラーゼサブユニットの発現を駆動できるプロモーターを含む。
ある実施態様において、hTERTは、ここに示す配列番号110のGenBank Protein ID AAC51724.1の(Meyerson et al., “hEST2, the Putative Human Telomerase Catalytic Subunit Gene, Is Up-Regulated in Tumor Cells and during Immortalization” Cell Volume 90, Issue 4, 22 August 1997, Pages 785-795)のアミノ酸配列を有する。
ある実施態様において、hTERTは、配列番号110と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一の配列を有する。ある実施態様において、hTERTは、配列番号110の配列を有する。ある実施態様において、hTERTは、N末端、C末端または両方に欠失(例えば、5、10、15、20または30アミノ酸を超えない)を含む。ある実施態様において、hTERTは、N末端、C末端または両方にトランスジェニックアミノ酸配列(例えば、5、10、15、20または30アミノ酸を超えない)を含む。
ある実施態様において、hTERTは、ここに示す配列番号111に示すGenBank Accession No. AF018167(Meyerson et al., “hEST2, the Putative Human Telomerase Catalytic Subunit Gene, Is Up-Regulated in Tumor Cells and during Immortalization” Cell Volume 90, Issue 4, 22 August 1997, Pages 785-795)の核酸配列によりコードされる。
ある実施態様において、hTERTは、配列番号111の配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96、97%、98%または99%同一性を有する核酸によりコードされる。ある実施態様において、hTERTは、配列番号111の核酸によりコードされる。
免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞)の活性化および増大
T細胞などの免疫エフェクター細胞は、例えば、一般に米国特許6,352,694号、6,534,055号、6,905,680号、6,692,964号、5,858,358号、6,887,466号、6,905,681号、7,144,575号、7,067,318号、7,172,869号、7,232,566号、7,175,843号、5,883,223号、6,905,874号、6,797,514号、6,867,041号および米国出願公開20060121005号に記載の方法を使用して活性化および増大され得る。
一般に、免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞の集団は、CD3/TCR複合体関連シグナルを刺激する薬剤および免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞の表面上の共刺激分子を刺激するリガンドが結合した表面との接触により増大され得る。特に、T細胞集団は、表面に固定された抗CD3抗体またはその抗原結合フラグメントまたは抗CD2抗体との接触によりまたはカルシウムイオノフォアと組み合わせたタンパク質キナーゼCアクティベーター(例えば、ブリオスタチン)との接触によるなど、ここに記載するとおり刺激され得る。T細胞表面のアクセサリー分子の共刺激のために、アクセサリー分子に結合するリガンドが使用される。例えば、T細胞の集団を、T細胞増殖の刺激に適する条件下、抗CD3抗体および抗CD28抗体と接触させ得る。CD4 T細胞またはCD8 T細胞の増殖を刺激するために、抗CD3抗体および抗CD28抗体を使用する。抗CD28抗体の例は9.3、B-T3、XR-CD28(Diaclone, Besancon, France)を含み、他の一般的方法と同様使用され得る(Berg et al., Transplant Proc. 30(8):3975-3977, 1998; Haanen et al., J. Exp. Med. 190(9):13191328, 1999; Garland et al., J. Immunol Meth. 227(1-2):53-63, 1999)。
ある態様において、T細胞の一次刺激シグナルおよび共刺激シグナルは、種々のプロトコールにより提供され得る。例えば、各シグナルを提供する薬剤は、溶液にあっても表面に結合してもよい。表面に結合するとき、薬剤は同じ表面(すなわち、“cis”形態)または別の表面(すなわち、“trans”形態)に結合し得る。あるいは、一方の薬剤が表面に結合し、他方の薬剤が溶液にあってよい。ある態様において、共刺激シグナルを提供する薬剤は細胞表面に結合し、一次活性化シグナルを提供する薬剤は溶液にあるか表面と結合する。ある態様において、両剤が溶液であり得る。ある態様において、薬剤は可溶性形態であり、そして、該薬剤と結合するFc受容体または抗体または他の結合剤を発現する細胞などの表面に架橋され得る。これに関して、本発明におけるT細胞の活性化および増大への使用が企図される人工抗原提示細胞(aAPC)について、例えば、米国特許出願公開20040101519号および20060034810号参照。
ある態様において、2剤は同一ビーズに、すなわち、“cis”または別々のビーズ、すなわち、“trans”で固定化される。例として、一次活性化シグナルを提供する薬剤は抗CD3抗体またはその抗原結合フラグメントであり、共刺激シグナルを提供する薬剤は抗CD28抗体またはその抗原結合フラグメントであり、両剤は同じビーズに等分子量で共固定化される。ある態様において、CD4 T細胞増大およびT細胞増殖のためにビーズに結合した各抗体の1:1比を使用する。本発明のある態様において、ビーズに結合する抗CD3:CD28抗体比を、1:1比を使用して観察される増大よりも増加したT細胞増大が観察されるように使用する。ある特定の態様において、1:1比を使用して観察される増大と比較して、約1~約3倍の増加が観察される。ある態様において、ビーズに結合するCD3:CD28抗体比は、100:1~1:100の範囲およびその間の全ての整数値である。本発明のある態様において、抗CD3抗体より多くの抗CD28抗体を粒子に結合させ、すなわち、CD3:CD28比は1未満である。本発明のある態様において、ビーズに結合する抗CD28抗体対抗CD3抗体の比は、2:1より大きい。ある特定の態様において、ビーズに結合する抗体の1:100 CD3:CD28比を使用する。ある態様において、ビーズに結合する抗体の1:75 CD3:CD28比を使用する。さらなる態様において、ビーズに結合する抗体の1:50 CD3:CD28比を使用する。ある態様において、ビーズに結合する抗体の1:30 CD3:CD28比を使用する。ある好ましい態様において、ビーズに結合する抗体の1:10 CD3:CD28比を使用する。ある態様において、ビーズに結合する抗体の1:3 CD3:CD28比を使用する。さらにある態様において、ビーズに結合する抗体の3:1 CD3:CD28比を使用する。
T細胞または他の標的細胞の刺激のために、1:500~500:1およびその間の何れかの整数値の粒子対細胞比を使用し得る。当業者には容易に認識され得るとおり、粒子対細胞比は、標的細胞に対する粒子径に依存し得る。例えば、小型ビーズは少ない細胞しか結合できず、一方大型ビーズは多数結合できる。ある態様において細胞対粒子比は1:100~100:1の範囲およびその間の何れかの整数値であり、さらなる態様において該比は1:9~9:1およびその間の何れかの整数値を含み、またT細胞の刺激に使用され得る。T細胞刺激をもたらす抗CD3および抗CD28結合粒子対T細胞比は上記のとおり変わり得るが、しかしながらある好ましい値は、1:100、1:50、1:40、1:30、1:20、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1および15:1を含み、ある好ましい比は少なくとも1:1粒子対T細胞である。ある態様において、1:1またはそれ以下の粒子対細胞比を使用する。ある特定の態様において、好ましい粒子:細胞比は1:5である。さらなる態様において、粒子対細胞比は、刺激の日により変わり得る。例えば、ある態様において、粒子対細胞比は、1日目は1:1~10:1であり、その後さらなる粒子を連日または隔日で細胞に最大10日添加し,最終比1:1~1:10である(添加日の細胞数に基づく)。ある特定の態様において、粒子対細胞比は、刺激1日目1:1であり、刺激3日目および5日目1:5に調節される。ある態様において、粒子を、1日目1:1および刺激3日目および5日目1:5の最終比となるよう、連日または隔日基準で添加する。ある態様において、粒子対細胞比粒子を、1日目2:1および刺激3日目および5日目1:10の最終比となるよう、連日または隔日基準で添加する。ある態様において、粒子を、1日目1:1および刺激3日目および5日目1:10最終比となるよう、連日または隔日基準で添加する。当業者は、多様な他の比が本発明の使用に適し得ることを理解する。特に、比は、粒子径ならびに細胞サイズおよびタイプにより変わる。ある態様において、使用のための最も典型的な比は、1日目約1:1、2:1および3:1である
本発明のさらなる態様において、T細胞などの細胞を薬剤被覆ビーズと合わせ、ビーズおよび細胞をその後分離し、続いて細胞を培養する。別の態様において、培養前に、薬剤被覆ビーズおよび細胞を分離せず、一緒に培養する。さらなる態様において、ビーズおよび細胞をまず磁力などの力の適用により濃縮し、細胞表面マーカーのライゲーションを増加させ、それにより細胞刺激を誘発する。
例として、細胞表面タンパク質を、抗CD3および抗CD28が結合する常磁性ビーズ(3x28ビーズ)をT細胞と接触させることにより、ライゲートさせ得る。ある態様において、細胞(例えば、10~10 T細胞)およびビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T常磁性ビーズを1:1比)を、緩衝液、例えばPBS(カルシウムおよびマグネシウムなどの二価カチオン不含)中で合わせる。同様に、当業者はあらゆる細胞濃度を使用し得ることを容易に認識できる。例えば、標的細胞はサンプル中に稀であり、わずかサンプルの0.01%しか含まれない可能性があるかまたはサンプル全体(すなわち、100%)が目的の標的細胞から構成され得る。従って、あらゆる細胞数が本発明の設定の範囲内である。ある態様において、粒子および細胞が混合される容積を顕著に減らし(例えば細胞濃度を増加させ)、細胞および粒子の最大接触を確実にすることが望ましいことがある。例えば、ある態様において、約20億細胞/mlの濃度を使用する。ある態様において、1億細胞/ml超を使用する。さらなる態様において、1000万、1500万、2000万、2500万、3000万、3500万、4000万、4500万または5000万細胞/mlの細胞濃度を使用する。さらにある態様において、7500万、8000万、8500万、9000万、9500万または1億細胞/mlの細胞濃度を使用する。さらなる態様において、1億2500万または1億5000万細胞/ml濃度が使用され得る。高濃度の使用は、細胞収率、細胞活性化および細胞増大の増加をもたらし得る。さらに、高濃度の細胞の使用は、CD28陰性T細胞などの目的の標的抗原を弱く発現し得る細胞の効率的捕捉を可能とする。このような細胞の集団は治療価値を有し、得ることが意図しれ得る。ある態様において、例えば、高濃度の細胞の使用は、通常弱いCD28発現であるCD8 T細胞の効率的選択を可能とする。
ある実施態様において、CARをコードする核酸、例えば、ここに記載するCARで形質導入された細胞は、例えば、ここに記載する方法により増大される。ある実施態様において、細胞は、数時間(例えば、約2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、15時間、18時間、21時間)~約14日(例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日または14日)の期間の培養により増大される。ある実施態様において、細胞は4~9日の期間増大される。ある実施態様において、細胞は8日以下、例えば、7日、6日または5日の期間増大される。ある実施態様において、細胞、例えば、ここに記載するCAR発現細胞は5日の培養により増大され、得られた細胞は、同じ条件下で9日培養して増大した同じ細胞より強力である。効力は、例えば、種々のT細胞機能、例えば増殖、殺標的細胞、サイトカイン産生、活性化、遊走またはこれらの組み合わせにより定義され得る。ある実施態様において、5日増大された細胞、例えば、ここに記載するCAR発現細胞は、同じ培養条件下、9日の培養により増大された同じ細胞と比較して、抗原刺激による細胞倍加の少なくとも1倍、2倍、3倍または4倍増加を示す。ある実施態様において、細胞、例えば、ここに記載するCAR発現細胞は5日の培養により増大され、得られた細胞は、同じ培養条件下、9日の培養により増大された同じ細胞と比較して、高い炎症誘発性サイトカイン産生、例えば、IFN-γおよび/またはGM-CSFレベルを示す。ある実施態様において、5日増大された細胞、例えば、ここに記載するCAR発現細胞は、同じ培養条件下、9日の培養により増大された同じ細胞と比較して、炎症誘発性サイトカイン産生、例えば、IFN-γおよび/またはGM-CSFレベルのpg/mlでの少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍またはそれ以上の増加を示す。
本発明のある態様において、混合物を、数時間(約3時間)~約14日間またはその間の何れかの整数の時間、培養し得る。ある態様において、混合物を21日培養し得る。本発明のある態様において、ビーズおよびT細胞を約8日一緒に培養する。ある態様において、ビーズおよびT細胞を2~3日一緒に培養する。数サイクルの刺激も、T細胞の培養時間が60日以上であり得るようにまた望まれ得る。T細胞培養に適する条件は適切な培地(例えば、最小必須培地またはRPMI培地1640またはX-vivo 15(Lonza))を含み、これは血清(例えば、胎仔ウシまたはヒト血清)、インターロイキン-2(IL-2)、インスリン、IFN-γ、IL-4、IL-7、GM-CSF、IL-10、IL-12、IL-15、TGFβおよびTNF-αまたは当業者に知られる細胞増殖のための何れかの他の添加物を含む増殖および生存能に必要な因子を含み得る。他の細胞増殖のための添加物は、界面活性剤、plasmanateおよびN-アセチル-システインおよび2-メルカプトエタノールなどの還元剤を含むが、これらに限定されない。培地は、RPMI 1640、AIM-V、DMEM、MEM、α-MEM、F-12、X-Vivo 15およびX-Vivo 20、Optimizerを含み、アミノ酸、ピルビン酸ナトリウムおよびビタミンが添加され、無血清または適切な量の血清(または血漿)または規定のホルモンセットおよび/またはT細胞増殖および増大に十分な量のサイトカインが添加されているものであり得る。抗生物質、例えば、ペニシリンおよびストレプトマイシンは実験培養にのみ含まれ、対象に注入される際簿の培養には含まれない。標的細胞を、増殖を支持するのに必要な条件下、例えば、適切な温度(例えば、37℃)および雰囲気(例えば、空気+5%CO)に維持する。
ある実施態様において、細胞を、1以上のインターロイキンを含む適切な培地(例えば、ここに記載する培地)で増大され、例えば、フローサイトメトリーなどのここに記載する方法により測定して、14日にわたる増大期間で細胞の少なくとも200倍(例えば、200倍、250倍、300倍、350倍)の増加をもたらす。ある実施態様において、細胞は、IL-15および/またはIL-7(例えば、IL-15およびIL-7)の存在下増大される。
ある実施態様において、ここに記載する方法、例えば、CAR発現細胞製造方法は、例えば、抗CD25抗体またはそのフラグメントまたはCD25結合リガンド、IL-2を使用して、細胞集団からT制御細胞、例えば、CD25+ T細胞を除去することを含む。細胞集団からT制御細胞、例えば、CD25+ T細胞を除去する方法はここに記載される。ある実施態様において、方法、例えば、製造方法は、さらに、細胞集団(例えば、CD25+ T細胞などのT制御細胞が枯渇されている細胞集団;または抗CD25抗体、そのフラグメントまたはCD25結合リガンドと先に接触されている細胞集団)とIL-15および/またはIL-7を接触させることを含む。例えば、細胞集団(例えば、抗CD25抗体、そのフラグメントまたはCD25結合リガンドと予め接触されているもの)を、IL-15および/またはIL-7の存在下増大させる。
ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞を、例えば、エクスビボで、CAR発現細胞製造中、インターロイキン-15(IL-15)ポリペプチド、インターロイキン-15受容体アルファ(IL-15Ra)ポリペプチドまたはIL-15ポリペプチドおよびIL-15Raポリペプチド両方の組み合わせ、例えば、hetIL-15を含む組成物と接触させる。ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞を、例えば、エクスビボで、CAR発現細胞製造中、IL-15ポリペプチドを含む組成物と接触させる。ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞を、例えば、エクスビボで、CAR発現細胞製造中、IL-15ポリペプチドおよびIL-15Raポリペプチド両方の組み合わせを含む組成物と接触させる。ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞を、例えば、エクスビボで、CAR発現細胞製造中、hetIL-15を含む組成物と接触させる。
ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞を、エクスビボ増大中、hetIL-15を含む組成物と接触させる。ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞を、エクスビボ増大中、IL-15ポリペプチドを含む組成物と接触させる。ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞を、エクスビボ増大中、IL-15ポリペプチドおよびIL-15Raポリペプチドの両方を含む組成物と接触させる。ある実施態様において、接触は、リンパ球亜集団、例えば、CD8 T細胞の生存および増殖をもたらす。
ある実施態様において、細胞を、血清含有培地で培養(例えば、増殖、刺激および/または遺伝子導入)する。血清は、例えば、ヒトAB血清(hAB)であり得る。ある実施態様において、hAB血清は、約2%、約5%、約2~3%、約3~4%、約4~5%または約2~5%で存在する。2%および5%血清は、各々、T細胞の数倍増大を可能にするのに適当なレベルである。さらに、Smith et al., “Ex vivo expansion of human T cells for adoptive immunotherapy using the novel Xeno-free CTS Immune Cell Serum Replacement” Clinical & Translational Immunology (2015) 4, e31; doi:10.1038/cti.2014.31に示すとおり、2%ヒトAB血清含有培地はT細胞のエクスビボ増大に適する。
多様な回数の刺激に曝されているT細胞は、異なる特徴を示し得る。例えば、典型的血液またはアフェレーシス末梢血単核細胞産物は、細胞毒性またはサプレッサーT細胞集団(TC、CD8+)より大きいヘルパーT細胞集団(TH、CD4+)を有する。CD3およびCD28受容体での刺激によるT細胞のエクスビボ増大は、約8~9日目までは主にTH細胞からなり、一方、約8~9日目後、増え続ける大きなTC細胞の集団を含むT細胞の集団を生じる。従って、処置の目的によって、主にTH細胞を含むT細胞集団の対象への注入は有利であり得る。同様に、TC細胞の抗原特異的サブセットが単離されているならば、かなりそのサブセットを増大することが有利であり得る。
さらに、CD4およびCD8マーカーに加えて、他の表現型マーカーが相当変わるが、大部分、該細胞増大過程の間に再現性がある。それ故に、このような再現性は、特定の目的のために活性化T細胞産物をあつらえる能力を可能とする。
ある実施態様において、CARをコードする核酸、例えば、ここに記載するCARで形質導入された細胞は、例えば、CCL20、GM-CSF、IFNγ、IL-10、IL-13、IL-17a、IL-2、IL-21、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、TNFαおよび/またはこれらの組み合わせの1以上のタンパク質発現レベルに基づき、投与するために選択され得る。ある実施態様において、CARをコードする核酸、例えば、ここに記載するCARで形質導入された細胞は、例えば、CCL20、IL-17a、IL-6およびこれらの組み合わせのタンパク質発現レベルに基づき、投与するために選択され得る
さらに、CD4およびCD8マーカーに加えて、他の表現型マーカーが相当変わるが、大部分、該細胞増大過程の間に再現性がある。それ故に、このような再現性は、特定の目的のために活性化T細胞産物をあつらえる能力を可能とする。
メソテリンCARが構築されたら、種々のアッセイを、適切なインビトロおよび動物モデルにおける抗原刺激後T細胞を増大する、再刺激非存在下でT細胞増大を持続させる能力および抗癌活性などの、しかし、これらに限定されない分子の活性評価に使用し得る。メソテリンCARの効果を評価するアッセイは、例えば、引用により全体を本明細書に包含させる、2014年12月19日出願の国際公開WO2015/090230号のパラグラフ[0417]~[00423]に記載される。
CAR細胞の集団
他の態様において、本発明は、CAR発現細胞の集団、例えば、メソテリンCAR発現細胞の集団を提供する。ある実施態様において、CAR発現細胞の集団は、種々のCARを発現する細胞の混合物を含む。
例えば、ある実施態様において、CAR発現細胞の集団は、ここに記載する抗メソテリン結合ドメインを有する第一CAR発現細胞および異なる抗メソテリン結合ドメイン、例えば、第一細胞により発現されるCARにおける抗メソテリン結合ドメインと異なるここに記載する抗メソテリン結合ドメインを有する第二CAR発現細胞を含み得る。
他の例として、CAR発現細胞の集団は、例えば、ここに記載する抗メソテリン結合ドメインを含む第一CAR発現細胞およびメソテリン以外の標的(例えば、間質細胞上のメソテリン以外の標的、例えば、FAP;前立腺癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、アンドロゲン受容体、OR51E2、PSMA、PSCA、PDGRF-β、TARP、GloboH、MAD-CT-1またはMAD-CT-2;卵巣癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、Tn、PRSS21、CD171、ルイスY、葉酸受容体α、クローディン6、GloboHまたは精子タンパク質17、例えば、肺癌細胞のメソテリン以外の標的、例えば、VEGF、HER3、IGF-1R、EGFR、DLL4またはTrop-2)に対する抗原結合ドメインを含む第二CAR発現細胞を含む。ある実施態様において、CAR発現細胞の集団は、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む第一CAR発現細胞および二次シグナル伝達ドメインを含む第二CAR発現細胞を含む。
ある実施態様において、CAR発現細胞の集団は、抗メソテリン結合ドメインを含む第一CAR発現細胞およびB細胞に発現される抗原またはB細胞抗原を標的、例えば、特異的に結合する抗原結合ドメインを含む第二CAR発現細胞を含む。ある実施態様において、B細胞抗原はCD19である。
他の態様において、本発明は、集団内の少なくともある細胞がここに記載する抗メソテリン結合ドメインを有するCARを発現し、第二細胞が他の薬剤、例えば、CAR発現細胞の活性または機能を増強する薬剤を発現する、細胞の集団を提供する。例えば、ある実施態様において、薬剤は、T細胞機能を調節または制御、例えば、阻害する薬剤であり得る。ある実施態様において、T細胞機能を調整または制御する分子は阻害性分子、例えば、ここに記載する薬剤である。阻害性分子、例えばは、ある実施態様において、CAR発現細胞が免疫エフェクター応答を開始する能力を減少させ得る。阻害性分子の例は、PD1、PD-L1、CTLA4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシンまたはTGFRベータを含む。ある実施態様において、阻害性分子を阻害する薬剤は、細胞、例えば、ここに記載する細胞内シグナル伝達ドメインに正のシグナルを提供する第二ポリペプチドと結合する第一ポリペプチド、例えば、阻害性分子を含む。ある実施態様において、薬剤は、例えば、PD1、PD-L1、CTLA4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシンまたはTGFRベータなどの阻害性分子タまたはこれら何れかのフラグメント(例えば、少なくともこれら何れかの細胞外ドメインの一部)の第一ポリペプチドおよびここに記載する細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、共刺激ドメイン(例えば、例えば、ここに記載する41BB、CD27またはCD28)および/または一次シグナル伝達ドメイン(例えば、ここに記載するCD3ゼータシグナル伝達ドメイン)を含む)である第二ポリペプチドを含む。ある実施態様において、薬剤は、PD1の第一ポリペプチドまたはそのフラグメント(例えば、PD1の細胞外ドメインの少なくとも一部)およびここに記載する細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、ここに記載するCD28シグナル伝達ドメインおよび/またはここに記載するCD3ゼータシグナル伝達ドメイン)の第二ポリペプチドを含む。
ある態様において、本発明は、CAR発現細胞の集団、例えば、CART細胞、例えば、種々のCARを発現する細胞の混合物を、他の薬剤、例えば、ここに記載するPD-L1阻害剤などのPD-L1阻害剤と組み合わせて投与することを含む、方法を提供する。他の態様において、本発明は、方法は、集団における少なくとも1細胞はここに記載する抗メソテリン結合ドメインを有するCARを発現し、そして第二細胞は他の薬剤、例えば、CAR発現細胞の活性または適応度を像児湯する薬剤を発現する細胞の集団を、他の薬剤、例えば、ここに記載するPD-L1阻害剤などのPD-L1阻害剤と組み合わせて投与することを含む。
PD-L1阻害剤
免疫系は、腫瘍細胞を認識し、排除する能力を有するが、しかしながら、腫瘍は、免疫を回避するために複数の戦略を使用し得る。免疫チェックポイントの遮断は、治療抗腫瘍免疫活性化または再活性化のアプローチの1つである。プログラム死リガンド1(PD-L1)は、免疫阻害性受容体プログラム死1(PD-1)のリガンドとして記載されている。PD-L1のPD-1への結合は、T細胞受容体介在リンパ球増殖およびサイトカイン分泌の阻害に至る(Freeman et al. (2000) J Exp Med 192:1027-34)。それ故に、PD-L1の遮断は抗腫瘍免疫の増強をもたらし得る。
いくつかの細胞型がPD-L1を発現する。例えば、PD-L1は活性化T細胞、樹状細胞(DCs)、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、B細胞、単球および血管内皮細胞で発現される。PD-L1は、ヒト肺、卵巣および結腸癌および種々の骨髄腫を含む多数の癌で発現される(Iwai et al. (2002) PNAS 99:12293-7; Ohigashi et al. (2005) Clin Cancer Res 11:2947-53; Okazaki et al. (2007) Intern. Immun. 19:813-24; Thompson et al. (2006) Cancer Res. 66:3381-5)。PD-L1発現は、腎臓、卵巣、膀胱、乳、胃および膵臓癌を含む種々のタイプの癌の望ましくない予後と強く相関する。
多くの腫瘍浸潤性Tリンパ球は、正常組織におけるTリンパ球および末梢血Tリンパ球と比較して、PD-1を優性に発現する。これは、腫瘍反応性T細胞上のPD-1の上方制御が、障害された抗腫瘍免疫応答に寄与し得ることを示す(Ahmadzadeh et al. (2009) Blood 114:1537-44)。それ故に、PD-1発現T細胞と相互作用するPD-L1シグナル伝達が介在するPD-L1発現腫瘍細胞は、T細胞活性化減弱および免疫監視の回避に貢献し得る(Sharpe et al. (2002) Nat Rev Immunol. 2:116-26; Keir et al. (2008) Annu Rev Immunol. 26:677-704)。PD-1遮断は、エフェクターT細胞動員の増強により、免疫原性が低い腫瘍細胞の血行性拡散を阻止し得る(Iwai et al. (2005) Int. Immunol. 17:133-144)。
PD-L1阻害は、例えば、そのPD-1およびB7-1両方との阻害性相互作用の遮断により、T細胞免疫を増強し得る。PD-L1阻害は、PD-L2/PD-1による免疫制御も可能にし得る。PD-1およびB7-1の両方はT細胞、B細胞、DCsおよびマクロファージに発現され、これは、これらの細胞型でのB7-1およびPD-L1の双方向的相互作用の可能性を提供する。非造血細胞上のPD-L1は、T細胞上のB7-1ならびにPD-1と相互作用し得る。
用語“プログラム死リガンド1”または“PD-L1”は、アイソフォーム、哺乳動物、例えば、ヒトPD-L1、ヒトPD-1の種ホモログおよびPD-L1と少なくとも1つの共通エピトープを含むアナログを含む。PD-L1、例えば、ヒトPD-1のアミノ酸配列は、文献、例えば、Dong et al. (1999) Nat Med. 5(12):1365-9; Freeman et al. (2000) J Exp Med. 192(7):1027-34)により知られる。
本発明は、PD-L1阻害剤投与を含む例えば、メソテリン発現と関連する疾患の処置のための方法および組み合わせを提供する。PD-L1阻害剤は、次の性質の1以上を有し得る。受容体、例えば、PD-1またはCD80(B7-1)または両方へのPD-L1の結合の阻害または低減;PD-L1またはPD-L1結合受容体、例えば、PD-1またはCD80(B7-1)または両方への結合;例えば、腫瘍浸潤性リンパ球増加、T細胞受容体介在増殖増加または癌性細胞による免疫回避減少の1以上をもたらすPD-L1の1以上の活性の阻害または低減;またはPD-L1発現、例えば、PD-L1の転写または翻訳阻害または低減。
ある実施態様において、PD-L1阻害剤は、PD-L1の受容体、例えば、PD-1またはCD80(B7-1)または両方への結合を低減する。例えば、受容体、例えば、PD-1またはCD80(B7-1)または両方へのPD-L1結合は、PD-L1阻害剤の非存在下の結合と比較して、PD-L1阻害剤の存在により少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%低減される。ある実施態様において、受容体、例えば、PD-1またはCD80(B7-1)または両方へのPD-L1結合は、無視できる、例えば、当分野で知られる標準結合アッセイにより検出不可能である。リガンド-受容体結合アッセイは当分野で周知であり、免疫沈殿およびウェスタンブロッティングアッセイを含む。
ある実施態様において、PD-L1阻害剤は、PD-L1の1以上の活性を低減する。例えば、PD-L1活性は、PD-L1阻害剤非存在下と比較して、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%低減される。
ある実施態様において、PD-L1阻害剤はPD-L1発現を低減する、例えば、PD-L1の転写または翻訳を低減する。例えば、PD-L1転写は、PD-L1阻害剤非存在下のPD-L1転写と比較して、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%低減される。他の例において、PD-L1翻訳は、PD-L1阻害剤非存在下のPD-L1翻訳と比較して、少なくとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%低減される。PD-L1 RNA発現を決定するアッセイは当分野で知られ、PCR増幅ベースのアッセイ、例えば、QPCRおよび核酸ハイブリダイゼーションベースのアッセイ、例えば、ノーザンブロットを含む。PD-L1タンパク質発現を決定するアッセイは当分野で知られ、ウェスタンブロッティングおよび免疫組織化学的解析を含む。このような実施態様において、PD-L1阻害剤投与は、細胞で発現されるPD-L1のレベルまたは量の低減またはPD-L1発現細胞数の減少をもたらす
ある実施態様において、PD-L1阻害剤は小分子;ポリペプチド、例えば、融合タンパク質;抗体分子;または阻害性核酸;例えば、siRNAまたはshRNAであり得る。
ある実施態様において、PD-L1阻害剤は小分子である。ある実施態様において、小分子阻害剤はPD-L1に結合する。他の実施態様において、小分子阻害剤はPD-L1の受容体、例えば、PD-1またはCD80(B7-1)または両方に結合する。さらに他の実施態様において、小分子阻害剤はPD-L1のその受容体、例えば、PD-1またはCD80(B7-1)または両方への結合を阻止または低減する。
ある実施態様において、PD-L1阻害剤はポリペプチドまたはペプチドである。ある実施態様において、PD-L1のポリペプチドまたはペプチド阻害剤は、PD-L1またはその受容体、例えば、PD-1またはCD80(B7-1)または両方に結合する。ある実施態様において、ポリペプチドまたはペプチドは、PD-L1のその受容体、例えば、PD-1またはCD80(B7-1)または両方への結合を阻止または低減する。ある実施態様において、ポリペプチドは、野生型PD-L1と比較してPD-1またはCD80(B7-1)への親和性増加を示し得る、PD-L1の一部、例えば、PD-L1の受容体結合部分またはその修飾部分を含む。このような実施態様において、ポリペプチドPD-L1活性は、受容体との結合の競合により阻害または低減される。
ある実施態様において、PD-L1阻害剤は、阻害性核酸、例えば、RNA干渉(RNAi)剤である。阻害性核酸は二本鎖または一本鎖核酸であり得る。阻害性核酸は、DNA、RNAまたはDNAおよびRNAを含むハイブリッドであり得る。阻害性核酸は、PD-L1の発現、例えば、翻訳を阻止または低減する。RNA干渉(RNAi)剤は、一般に標的遺伝子、例えば、PD-L1の発現、例えば、翻訳を阻害または制限するために、標的mRNA分子を破壊させる。RNAi剤の例は、長dsRNA、siRNA、shRNAおよびmicroRNAを含む。ここに記載する阻害性核酸は、アプタマー、モルホリノ、リボザイムおよび核酸配列、例えば、長dsRNA、siRNA、shRNAまたはmicroRNAを含むまたはコードするプラスミドまたはベクターを含むが、これらに限定されない。
ある実施態様において、阻害性核酸は、PD-L1遺伝子またはそのフラグメントと少なくとも75%、80%、85%、90%、95%または99%配列同一性または相補性であるRNAである。
ある実施態様において、阻害性核酸は、約15~約65、約15~約40または約15~約28ヌクレオチド長のsiRNAまたはshRNAである。阻害性核酸がsiRNAである、ある実施態様において、siRNAは約19~25ヌクレオチド、例えば、19、20、21または22ヌクレオチドの長さを有する。阻害性核酸がshRNAである、ある実施態様において、shRNAは、約42~約70ヌクレオチドの長さを有する。ある実施態様において、shRNAは、不対合ヌクレオチドのループにより接続された対合アンチセンスおよびセンスRNA鎖を含む。ある実施態様において、二本鎖幹は約19~約29ヌクレオチドの長さを有し、完全対合または内部ミスマッチおよびループを伴う。ある実施態様において、ループは、4、5、6、7、8、9または10ヌクレオチド、例えば、4または7ヌクレオチドを含む。
阻害性核酸は、例えば、プラスミドまたはベクターから合成または発現され得る。合成RNAi剤は、当業者に知られる多数の技法を使用して産生され得る。例えば、siRNA分子を、適切に保護されたリボヌクレオシドホスホロアミデートおよび慣用のDNA/RNAシンセサイザーを使用するなどの当分野で知られる方法を使用して化学的に合成または組み換えにより産生され得る(Elbashir, S. M. et al. (2001) Nature 411:494-498; Elbashir, S. M., W. Lendeckel and T. Tuschl (2001) Genes & Development 15:188-200; Harborth, J. et al. (2001) J. Cell Science 114:4557-4565; Masters, J. R. et al. (2001) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98:8012-8017; and Tuschl, T. et al. (1999) Genes & Development 13:3191-3197)。あるいは、いくつかの市販RNA合成供給業者が利用可能であり、Proligo(Hamburg, Germany)、Dharmacon Research(Lafayette, Co., USA)、Pierce Chemical(part of Perbio Science, Rockford, Ill., USA)、Glen Research(Sterling, Va., USA)、ChemGenes(Ashland, Mass., USA)およびCruachem(Glasgow, UK)を含むが、これらに限定されない。
発現、例えば、RNAまたはタンパク質レベルを評価するアッセイは当分野で周知である。例えば、PD-L1ヌクレオチド配列に基づくプローブを、転写物または同一もしくは相同タンパク質をコードするゲノム配列の検出に使用し得る。好ましい実施態様において、プローブは、さらには、結合した標識期を含み、例えば、標識基は放射性同位体、蛍光化合物、酵素または酵素補因子であり得る。このようなプローブを、PD-L1 mRNAでベルの測定のために、例えば、PCRベースのアッセイにおいて、使用する。ウェスタンブロッティング技法は当分野で周知であり、PD-L1タンパク質レベルの測定に使用される。
ある実施態様において、PD-L1阻害剤は抗体分子である。ある実施態様において、抗体分子は哺乳動物、例えば、ヒト、PD-L1に結合する。例えば、抗体分子は、PD-L1上のエピトープ、例えば、直線状または立体構造エピトープ(例えば、ここに記載するエピトープ)に特異的に結合する。
ある実施態様において、PD-L1阻害剤はYW243.55.S70、MPDL3280A、MEDI-4736、MSB-0010718CまたはMDX-1105から選択される。MEDI4736(Medimmune)は、PDL1に結合し、該リガンドとPD1の相互作用を阻害するヒトモノクローナル抗体である
ある実施態様において、抗PD-L1抗体はMSB0010718Cである。MSB0010718C(A09-246-2とも称する;Merck Seronoまたはアベルマブ)は、PD-L1に結合するモノクローナル抗体である。他の抗PD-L1抗体および阻害剤は、WO2013/079174号、WO2001/014557号、WO2002/086083号、WO2007005874号、WO2010036959号、WO2010077634号およびWO2011066389号に記載され、ここに開示する配列(または特定した該配列と実質的に同一または類似する配列、例えば、少なくとも85%、90%、95%またはそれ以上同一である配列)を有する。MSB0010718Cの重鎖および軽鎖アミノ酸配列は、少なくとも次のものを含む
重鎖(WO2013/079174号に記載の配列番号24)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYIMMWVRQAPGKGLEWVSSIYPSGGITFYADKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARIKLGTVTTVDYWGQGTLVTVSS(配列番号611)
軽鎖(WO2013/079174号に記載の配列番号25)
QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSN RPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCSSYTSSSTRVFGTGTKVTVL(配列番号612)
ある実施態様において、PD-L1阻害剤はYW243.55.S70である。YW243.55.S70抗体はWO2010/077634号に記載される抗PD-L1抗体(重鎖および軽鎖可変領域配列はそれぞれ配列番号20および21に示す)であり、ここに開示する配列(または特定した該配列と実質的に同一または類似する配列、例えば、少なくとも85%、90%、95%またはそれ以上同一である配列)を有する。
ある実施態様において、PD-L1阻害剤はMDX-1105である。MDX-1105はBMS-936559としても知られ、WO2007/005874号に記載する抗PD-L1抗体であり、ここに開示する配列(または特定した該配列と実質的に同一または類似する配列、例えば、少なくとも85%、90%、95%またはそれ以上同一である配列)を有する。
ある実施態様において、PD-L1阻害剤はMDPL3280A(Genentech/Roche)(アテゾリズマブとしても知られる)である。MDPL3280Aは、PD-L1に結合するヒトFc最適化IgG1モノクローナル抗体である。MDPL3280AおよびPD-L1に対する他のヒトモノクローナル抗体は、米国特許7,943,743号および米国公開20120039906号に開示される。
PD-L1抗体分子の例
ある実施態様において、PD-L1阻害剤は、次の性質の1以上を有する抗体分子(例えば、単離または組み換え抗体分子)を含む。
(i)PD-L1、例えば、ヒトPD-L1に高親和性で、例えば、少なくとも約10-1、一般に約10-1およびより一般に、約10-1~1010-1またはそれ以上の親和性定数で結合する;
(ii)CD28、CTLA-4、ICOSまたはBTLAと実質的に結合しない;
(iii)PD-L1の受容体、例えば、PD-1またはCD80(B7-1)または両方への結合を阻害または低減する;
(iv)PD-L1のエピトープ、例えば、マウスモノクローナル抗体BAP058またはキメラ抗体BAP058、例えば、BAP058-chiにより認識されるエピトープと同じまたは類似するエピトープに特異的に結合する;
(v)BAP058-hum01、BAP058-hum02、BAP058-hum03、BAP058-hum04、BAP058-hum05、BAP058-hum06、BAP058-hum07、BAP058-hum08、BAP058-hum09、BAP058-hum10、BAP058-hum11、BAP058-hum12、BAP058-hum13、BAP058-hum14、BAP058-hum15、BAP058-hum16、BAP058-hum17、BAP058-Clone-K、BAP058-Clone-L、BAP058-Clone-M、BAP058-Clone-NまたはBAP058-Clone-Oの何れかと同等の結合親和性または特異性または両方を示す;
(vi)表1に記載する抗体分子(例えば、重鎖可変領域および軽鎖可変領域)と同等の結合親和性または特異性または両方を示す;
(vii)表1に示すアミノ酸配列を有する抗体分子(例えば、重鎖可変領域および軽鎖可変領域)と同等の結合親和性または特異性または両方を示す;
(viii)表1に示すヌクレオチド配列によりコードされる抗体分子(例えば、重鎖可変領域および軽鎖可変領域)と同等の結合親和性または特異性または両方を示す;
(ix)PD-L1に対する第二抗体分子の結合を阻害、例えば、競合的阻害し、ここで、第二抗体分子は、ここに記載する抗体分子、例えば、BAP058-hum01、BAP058-hum02、BAP058-hum03、BAP058-hum04、BAP058-hum05、BAP058-hum06、BAP058-hum07、BAP058-hum08、BAP058-hum09、BAP058-hum10、BAP058-hum11、BAP058-hum12、BAP058-hum13、BAP058-hum14、BAP058-hum15、BAP058-hum16、BAP058-hum17、BAP058-Clone-K、BAP058-Clone-L、BAP058-Clone-M、BAP058-Clone-NまたはBAP058-Clone-Oの何れかから選択される、例えば、抗体分子である;
(x)PD-1に対する第二抗体分子と同一または重複エピトープに結合し、ここで、第二抗体分子は、ここに記載する抗体分子、例えば、BAP058-hum01、BAP058-hum02、BAP058-hum03、BAP058-hum04、BAP058-hum05、BAP058-hum06、BAP058-hum07、BAP058-hum08、BAP058-hum09、BAP058-hum10、BAP058-hum11、BAP058-hum12、BAP058-hum13、BAP058-hum14、BAP058-hum15、BAP058-hum16、BAP058-hum17、BAP058-Clone-K、BAP058-Clone-L、BAP058-Clone-M、BAP058-Clone-NまたはBAP058-Clone-Oの何れかから選択される、例えば、抗体分子である;
(xi)PD-L1に対する第二抗体分子と結合を競合するおよび/または同じエピトープと結合し、ここで、第二抗体分子はここに記載する抗体分子、例えば、BAP058-hum01、BAP058-hum02、BAP058-hum03、BAP058-hum04、BAP058-hum05、BAP058-hum06、BAP058-hum07、BAP058-hum08、BAP058-hum09、BAP058-hum10、BAP058-hum11、BAP058-hum12、BAP058-hum13、BAP058-hum14、BAP058-hum15、BAP058-hum16、BAP058-hum17、BAP058-Clone-K、BAP058-Clone-L、BAP058-Clone-M、BAP058-Clone-NまたはBAP058-Clone-Oの何れかから選択される、例えば、抗体分子である;
(xii)ここに記載する抗体分子、例えば、BAP058-hum01、BAP058-hum02、BAP058-hum03、BAP058-hum04、BAP058-hum05、BAP058-hum06、BAP058-hum07、BAP058-hum08、BAP058-hum09、BAP058-hum10、BAP058-hum11、BAP058-hum12、BAP058-hum13、BAP058-hum14、BAP058-hum15、BAP058-hum16、BAP058-hum17、BAP058-Clone-K、BAP058-Clone-L、BAP058-Clone-M、BAP058-Clone-NまたはBAP058-Clone-Oの何れかから選択される、例えば、抗体分子の1以上の生物学的性質を有する;
(xiii)ここに記載する抗体分子、例えば、BAP058-hum01、BAP058-hum02、BAP058-hum03、BAP058-hum04、BAP058-hum05、BAP058-hum06、BAP058-hum07、BAP058-hum08、BAP058-hum09、BAP058-hum10、BAP058-hum11、BAP058-hum12、BAP058-hum13、BAP058-hum14、BAP058-hum15、BAP058-hum16、BAP058-hum17、BAP058-Clone-K、BAP058-Clone-L、BAP058-Clone-M、BAP058-Clone-NまたはBAP058-Clone-Oの何れかから選択される、例えば、抗体分子の1以上の薬物動態性質を有する;
(xiv)例えば、腫瘍浸潤性リンパ球増加、T細胞受容体介在増殖増加または癌性細胞による免疫回避減少の1以上をもたらす、PD-L1の1以上の活性を阻害する;または
(xv)ヒトPD-L1に結合し、カニクイザルPD-L1と交差反応性である。
ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、表6に提供するまたは表6のヌクレオチド配列によりコードされる、BAP058-hum01、BAP058-hum02、BAP058-hum03、BAP058-hum04、BAP058-hum05、BAP058-hum06、BAP058-hum07、BAP058-hum08、BAP058-hum09、BAP058-hum10、BAP058-hum11、BAP058-hum12、BAP058-hum13、BAP058-hum14、BAP058-hum15、BAP058-hum16、BAP058-hum17、BAP058-Clone-K、BAP058-Clone-L、BAP058-Clone-M、BAP058-Clone-NまたはBAP058-Clone-Oの何れかのアミノ酸配列;または前記配列の何れかと実質的に同一(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%またはそれ以上同一)である配列を含む、少なくとも1または2重鎖可変ドメイン(所望により定常領域を含む)、少なくとも1または2軽鎖可変ドメイン(所望により定常領域を含む)または両方を含む。
さらに他の実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、ここに記載する抗体、例えば、BAP058-hum01、BAP058-hum02、BAP058-hum03、BAP058-hum04、BAP058-hum05、BAP058-hum06、BAP058-hum07、BAP058-hum08、BAP058-hum09、BAP058-hum10、BAP058-hum11、BAP058-hum12、BAP058-hum13、BAP058-hum14、BAP058-hum15、BAP058-hum16、BAP058-hum17、BAP058-Clone-K、BAP058-Clone-L、BAP058-Clone-M、BAP058-Clone-NまたはBAP058-Clone-Oの何れかから選択される抗体の重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域からの少なくとも1、2または3相補性決定領域(CDR);または表6に提供するまたは表6のヌクレオチド配列によりコードされる;または前記配列の何れかと実質的に同一(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%またはそれ以上同一)である配列を含む。
さらに他の実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、表6に示すまたは表6に示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域からの少なくとも1、2または3CDR(または集合的にCDR全部)を含む。ある実施態様において、CDR(または集合的にCDR全部)の1以上は、表6に示すまたは表6に示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列と比較して、1、2、3、4、5、6またはそれ以上の変化、例えば、アミノ酸置換または欠失を有する。
さらに他の実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、表6に示すまたは表6に示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域からの少なくとも1、2または3CDR(または集合的にCDR全部)を含む。ある実施態様において、CDR(または集合的にCDR全部)の1以上は、表6に示すまたは表6に示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列と比較して、1、2、3、4、5、6またはそれ以上の変化、例えば、アミノ酸置換または欠失を有する。ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子iは、軽鎖CDRに置換、例えば、軽鎖のCDR1、CDR2および/またはCDR3に1以上の置換を含む。
他の実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、表6に示すまたは表6に示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む重および軽鎖可変領域からの少なくとも1、2、3、4、5または6CDR(または集合的にCDR全部)を含む。ある実施態様において、CDR(または集合的にCDR全部)の1以上は、表6に示すまたは表6に示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列と比較して、1、2、3、4、5、6またはそれ以上の変化、例えば、アミノ酸置換または欠失を有する。
ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、
(i)各々表6に開示の配列番号287、配列番号290または配列番号290から選択されるVHCDR1アミノ酸配列;配列番号288のVHCDR2アミノ酸配列;および配列番号289のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および
(ii)各々表6に開示の配列番号1のVLCDR295アミノ酸配列、配列番号2のVLCDR296アミノ酸配列および配列番号3のVLCDR297アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含む。
他の実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、
(i)各々表6に開示の配列番号287、配列番号290または配列番号290から選択されるVHCDR1アミノ酸配列;配列番号291のVHCDR2アミノ酸配列および配列番号292のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および
(ii)各々表6に開示の配列番号1のVLCDR298アミノ酸配列、配列番号2のVLCDR299アミノ酸配列および配列番号3のVLCDR300アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含む。
前記抗体分子のある実施態様において、VHCDR1は、配列番号1のアミノ酸配列を含む。他の実施態様において、VHCDR1は、配列番号4のアミノ酸配列を含む。さらに他の実施態様において、VHCDR1は、アミノ酸配列番号195の配列である。
ある実施態様において、前記抗体分子は、配列番号124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152または154の何れかのアミノ酸配列または配列番号124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152または154の何れかのアミノ酸配列と比較して、少なくとも90%同一であるまたは2を超えるアミノ酸置換、挿入または欠失を有しない配列を含む、少なくとも1フレームワーク(FW)領域を含む、重鎖可変領域を有する。
他の実施態様において、前記抗体分子は、配列番号124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152または154の何れかのアミノ酸配列を含む少なくとも1フレームワーク領域を含む重鎖可変領域を含む。
さらに他の実施態様において、前記抗体分子は、配列番号124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152または154の何れかのアミノ酸配列を含む少なくとも2、3または4フレームワーク領域を含む重鎖可変領域を含む。
他の実施態様において、前記抗体分子は配列番号124、126、128または130のVHFWアミノ酸配列、配列番号132、134、136、138、140または142のVHFW2アミノ酸配列および配列番号144、146、148、150または152のVHFW3アミノ酸配列を含み、所望により、さらに配列番号154のVHFW4アミノ酸配列を含む。
他の実施態様において、前記抗体分子は、配列番号156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184または186の何れかのアミノ酸配列または配列番号156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184または186のアミノ酸配列と比較して、少なくとも90%同一であるまたは2を超えるアミノ酸置換、挿入または欠失を有しない配列を含む少なくとも1フレームワーク領域を含む、軽鎖可変領域を含む。
他の実施態様において、前記抗体分子は、配列番号156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184または186の何れかのアミノ酸配列を含む少なくとも1フレームワーク領域を含む軽鎖可変領域を含む。
他の実施態様において、前記抗体分子は、配列番号156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184または186の何れかのアミノ酸配列を含む少なくとも2、3または4フレームワーク領域を含む軽鎖可変領域を含む。
他の実施態様において、前記抗体分子は、配列番号156、158、160、162、164または166のVLFW1アミノ酸配列、配列番号168または170のVLFW2アミノ酸配列および配列番号172、174、176、178、180、182または184のVLFW3アミノ酸配列を含み、所望により、さらに配列番号186のVLFW4アミノ酸配列を含む。
他の実施態様において、前記抗体分子は、配列番号18、30、38、46、50、54、62、70または78のアミノ酸配列または配列番号18、30、38、46、50、54、62、70または78のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。
他の実施態様において、前記抗体分子は、配列番号22、26、34、42、58、66、74、82または86のアミノ酸配列または配列番号22、26、34、42、58、66、74、82または86の何れかと少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。
他の実施態様において、前記抗体分子は、Fab、F(ab’)、Fvまたは一本鎖Fvフラグメント(scFv)から選択される。
他の実施態様において、前記抗体分子は、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4から選択される重鎖定常領域を含む。
他の実施態様において、前記抗体分子は、約0.2nM未満の解離定数(K)でヒトPD-L1と結合できる。
ある実施態様において、前記抗体分子は、ヒトPD-L1に、例えば、Biacore方法により測定して、約0.2nM、0.15nM、0.1nM、0.05nMまたは0.02nM、例えば、約0.2nM~0.1nM、例えば、約0.166nM~0.176nM、例えば、約0.171nM未満のKで結合する。
他の実施態様において、前記抗体分子は、PD-1またはB7-1のPD-L1またはPD-L1を発現する細胞への結合を低減できる。ある実施態様において、前記抗体分子は、PD-L1を発現する細胞へのPD-1結合を、約1.5nM、1nM、0.8nM、0.6nM、0.4nM、0.2nMまたは0.1nM未満、例えば、約0.2nM~約0.1nM、例えば、約0.15nM以下、例えば、約0.145nMのIC50で低減(例えば、遮断)する。ある実施態様において、前記抗体は、PD-L1を発現する細胞(例えば、ヒトPD-L1発現300.19細胞)へのB7-1結合を、約2nM、1.5nM、1nM、0.5nMまたは0.2nM未満、例えば、約0.5nM~約0.01nMまたは約0.2nM以下、例えば、約0.1nMのIC50で低減(例えば、遮断)する。
他の実施態様において、前記抗体分子は、抗原特異的T細胞応答を増強できる。
ある実施態様において、前記抗体分子は、PD-L1に、例えば、Biacore方法により測定して5×10-4、1×10-4、5×10-5または1×10-5-1、例えば、約6.33×10-5-1より遅いKdで結合する。ある実施態様において、前記抗体分子は、PD-L1に、例えば、Biacore方法により測定して、1×10、5×10、1×10または5×10-1-1、例えば、約3.07×10-1-1より速いKaで結合する。
ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、単特異的抗体分子または二特異的抗体分子である。ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、PD-L1に対する第一結合特異性およびTIM-3、LAG-3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、PD-1またはPD-L2に対する第二結合特異性を有する。ある実施態様において、抗体分子は、抗体の抗原結合フラグメント、例えば、半抗体または半抗体の抗原結合フラグメントを含む。
メソテリン発現疾患および障害に対する治療適用
本発明は、メソテリンの発現と関連する疾患および障害処置用組成物および方法を提供する。メソテリンと関連する疾患または障害の例は、中皮腫である。
悪性中皮腫は、中皮として知られる、体の内蔵を裏打ちする細胞の薄層に生じるタイプの癌である。中皮腫には3つの認識されているタイプがある。胸膜中皮腫(例えば、悪性胸膜中皮腫またはMPM)は、該疾患の最も多い形であり、症例の約70%を占め、胸膜として知られる肺の裏層に生じる。腹膜中皮腫は、腹膜として知られる腹腔の裏層に生じる。心膜中皮腫は、心臓を裏打ちする心膜を起源とする。
対象は、該対象がアスベストに曝されていたならば、中皮腫を発症するリスクがあり得る。アスベストへの暴露およびアスベスト粒子の吸入は、中皮腫を起こし得る。ほとんどの場合、中皮腫症状は、アスベストに曝された対象に、暴露が起こった後長年現れない。
胸膜中皮腫の症状は、例えば、腰痛または側胸部痛および息切れを含む。他の症状は、嚥下困難、持続性咳嗽、発熱、体重減少または疲労を含む。一部の患者が経験するさらなる症状は、筋力低下、感覚能力喪失、喀血、顔面および腕腫脹および嗄声を含む。ステージ1中皮腫などの疾患初期段階において、症状は軽度であり得る。患者は、通常、解消すると思えない胸部の一領域の疼痛、体重減少および発熱を訴える。
腹膜中皮腫は腹部を起源とし、結果として、症状は、しばしば腹痛、体重減少、悪心および嘔吐を含む。体液貯留が腹部に、癌の結果として生じ得る。腹膜中皮腫は腹部を起源とし、しばしば肝臓、脾臓または腸を含む領域の他の臓器に拡散する。重度腹痛が、患者が最初に経験する最も一般的な愁訴である。同様に不快レベルの体液貯留も起こり得る。腹膜中皮腫の他の症状は、腸管運動困難、悪心および嘔吐、発熱および足腫脹を含み得る。
心膜中皮腫は、中皮腫で最も少ない。心膜中皮腫は、名前が示すとおり、心臓が関与する。この稀なタイプの中皮腫癌は、心臓周囲の嚢である心膜に浸潤する。癌が進行するに連れ、心臓は、酸素を体に効率的に送達できなくなり、さらに健康を急速に、速度を上げながら低下させる。心膜中皮腫と最も一般的に関連する症状は、心臓発作に類似して、悪心、胸部痛および息切れである。
本発明による処置により利益を受ける対象は、例えば、ここに記載する症状の1以上の存在および/またはアスベストへの暴露により証明される、中皮腫の対象または中皮腫を有することが疑われる対象を含む。特定の実施態様において、中皮腫は胸膜中皮腫(例えば、悪性胸膜中皮腫)である。他の態様において、例えば、胸膜プラーク、良性中皮腫または中皮過形成などの前癌状態を有する対象を処置し得る。
メソテリンと関連する疾患または障害の他の例は膵臓癌である。ここに記載する方法で処置し得る膵臓癌は、外分泌膵臓癌および内分泌膵臓癌を含むが、これらに限定されない。外分泌膵臓癌は、腺癌、腺房細胞癌、腺扁平上皮癌、膠質癌、破骨細胞様巨細胞を伴う未分化癌、肝様癌、膵管内乳頭粘液性腫瘍、粘液性嚢胞腫瘍、膵芽腫、漿液性嚢胞腺腫、印環細胞癌、固形かつ偽乳頭状腫瘍、膵管癌および未分化癌を含むが、これらに限定されない。ある実施態様において、外分泌膵臓癌は膵管癌である。内分泌膵臓癌は、インスリノーマおよびグルカゴノーマを含むが、これらに限定されない。
ある実施態様において、膵臓癌は、初期ステージ膵臓癌、非転移膵臓癌、原発膵臓癌、切除膵臓癌、進行型膵臓癌、局所進行型膵臓癌、転移膵臓癌、切除不能膵臓癌、寛解膵臓癌、再発膵臓癌、アジュバント設定としての膵臓癌またはネオアジュバント設定としての膵臓癌の何れかである。ある実施態様において、膵臓癌は、局所進行型膵臓癌、切除不能膵臓癌または転移膵管癌である。ある実施態様において、膵臓癌は、ゲムシタビンベースの治療に耐性である。ある実施態様において、膵臓癌は、ゲムシタビンベースの治療に難治性である。
他の態様において、メソテリン発現と関連する障害は卵巣癌である。卵巣癌は、腫瘍の組織学により分類される。表面上皮性間質腫瘍は、卵巣上皮性癌としても知られ、最も一般的なタイプの卵巣癌である。それは、漿液性腫瘍(漿液性乳頭状嚢腺癌を含む)、類内膜腫瘍および粘液性嚢胞腺癌を含む。
ここに記載する方法を、種々のステージの卵巣癌、例えば、ステージI、ステージII、ステージIIIまたはステージIVの処置に使用できる。ステージ分類は、例えば、卵巣癌摘出時に実施し得る。卵巣癌は次のとおり分類され得る。
ステージI癌は一方または両方の卵巣に限局される。癌は、卵巣の一方または両方が関与し、子宮および/または卵管または骨盤における他の部位に広がったならば、ステージIIである。癌は、卵巣の一方または両方が関与し、腸または肝臓表面などの、リンパ節または骨盤外であるが、なお腹腔内である他の部位に広がっているならば、ステージIII癌である。癌は、一方または両方の卵巣が関与し、癌が腹部外または肝臓内に広がっているならば、ステージIV癌である。
ある実施態様において、卵巣癌は、1以上の化学療法剤に耐性である。ある実施態様において、卵巣癌は、1以上の化学療法剤に難治性である。
ここに記載する組み合わせ治療で処置し得る他の癌は、例えば、脳癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、肝臓癌、腎臓癌、リンパ腫、白血病、肺癌(例えば、肺腺癌)、黒色腫、転移黒色腫、中皮腫、神経芽腫、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、腎臓癌、皮膚癌、胸腺腫、肉腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、子宮癌およびこれらの何れかの組み合わせを含む。
ある態様において、本発明は、対象における癌を処置する方法に関する。方法は、対象に、対象における癌が処置されるように、メソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤を含む組み合わせ治療を投与することを含む。ここに記載する組み合わせ治療により処置可能な癌の例は、メソテリンの発現と関連する癌である。ある態様において、ソテリンの発現と関連する癌は、中皮腫、膵臓癌、卵巣癌および肺癌または前記癌の何れか由来の転移から選択される。
ある実施態様において、メソテリンCAR発現細胞およびここに記載するPD-L1阻害剤の組み合わせ治療は、例えば、メソテリンCAR発現細胞またはPD-L1阻害剤単独の単剤療法と比較して、メソテリンCAR発現細胞の抗腫瘍活性改善または増加、メソテリンCAR発現細胞の増殖増加または残留性増加、メソテリンCAR発現細胞浸潤の改善または増加、腫瘍進行阻止改善、腫瘍進行遅延、癌細胞増殖阻害または低減;および/または腫瘍負荷、例えば、腫瘍体積またはサイズ減少の1以上をもたらす。
本発明は、メソテリン発現細胞集団の増殖を阻止するまたはそれを低減させる方法を提供する。ある実施態様において、方法は、組み合わせ治療、例えば、メソテリンCAR発現細胞またはメソテリン-CAR発現細胞の集団およびPD-L1阻害剤を含む組み合わせの投与を含む。ある実施態様において、ここに記載する組み合わせ治療は、細胞および/または癌細胞の含量、量またはパーセンテージを、中皮腫または他のメソテリン発現細胞と関連する癌の対象または動物モデルにおいて、メソテリンCAR発現細胞またはPD-L1阻害剤単独で処置された対象における細胞および/または癌細胞の含量、量またはパーセンテージと比較して、少なくとも少なくとも5%、10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%減少させる。ある態様において、対象はヒトである。
本発明はまたメソテリン発現細胞と関連する障害(例えば、中皮腫)を予防、処置および/または管理する方法も提供し、該方法は,処置を必要とする対象にメソテリンCAR発現細胞またはメソテリンCAR発現細胞の集団およびPD-L1阻害剤を投与することを含む。ある態様において、対象はヒトである。
組み合わせ治療
ここに記載する方法の何れも、他の既知薬剤および治療と組み合わせて使用し得る。
ここに記載する組み合わせ、例えば、メソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤および少なくとも1つの付加的治療剤を、同時に、同じまたは別々の組成物でまたは逐次的に投与し得る。逐次投与について、CAR発現細胞および/またはここに記載するPD-L1阻害剤を付加的治療剤の後に投与してよくまたは投与順序は、付加的治療剤がCAR発現細胞および/またはここに記載するPD-L1阻害剤後に投与され得る逆でよい。あるいは、付加的治療剤を、CAR発現細胞およびPD-L1阻害剤の投与の間に投与し得る。
さらなる態様において、ここに記載する組み合わせ、例えば、メソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤を、手術、化学療法、放射線、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノレートおよびFK506などの免疫抑制剤、抗体またはキャンパス、抗CD3抗体または他の抗体治療剤、サイトキシン、フルダラビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228、サイトカインおよび照射などの他の免疫奪格剤と組み合わせた処置レジメンに使用され得る。Izumoto et al. 2008 J Neurosurg 108:963-971に記載のものなどのペプチドワクチン。
ある実施態様において、ここに記載する組み合わせ、例えば、メソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤を、化学療法剤と組み合わせて使用し得る。化学療法剤の例は、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン(例えば、リポソームドキソルビシン))、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、ダカルバジン、メルファラン、イホスファミド、テモゾロミド)、免疫細胞抗体(例えば、アレムツズマブ、ゲムツズマブ、リツキシマブ、トシツモマブ)、代謝拮抗剤(例えば、葉酸アンタゴニスト、ピリミジンアナログ、プリンアナログおよびアデノシンデアミナーゼ阻害剤(例えば、フルダラビン)を含む)、mTOR阻害剤、TNFRグルココルチコイド誘発TNFR関連タンパク質(GITR)アゴニスト、プロテアソーム阻害剤(例えば、アクラシノマイシンA、グリオトキシンまたはボルテゾミブ)、サリドマイドまたはサリドマイド誘導体(例えば、レナリドマイド)などの免疫調節剤を含む。
組み合わせ治療における使用に考慮される一般的化学療法剤は、アナストロゾール(アリミデックス(登録商標))、ビカルタミド(カソデックス(登録商標))、硫酸ブレオマイシン(Blenoxane(登録商標))、ブスルファン(ミレラン(登録商標))、ブスルファン注射(ブスルフェクス(登録商標))、カペシタビン(ゼローダ(登録商標))、N4-ペントキシカルボニル-5-デオキシ-5-フルオロシチジン、カルボプラチン(パラプラチン(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、クロラムブシル(ロイケラン(登録商標))、シスプラチン(Platinol(登録商標))、クラドリビン(ロイスタチン(登録商標))、シクロホスファミド(シトキサン(登録商標)またはNeosar(登録商標))、シタラビン、シトシンアラビノシド(Cytosar-U(登録商標))、シタラビンリポソーム注射(DepoCyt(登録商標))、ダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD、Cosmegan)、塩酸ダウノルビシン(Cerubidine(登録商標))、ダウノルビシンシトレートリポソーム注射(DaunoXome(登録商標))、デキサメサゾン、ドセタキセル(タキソテール(登録商標))、塩酸ドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標)、Rubex(登録商標))、エトポシド(ベプシド(登録商標))、リン酸フルダラビン(フルダラ(登録商標))、5-フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標))、フルタミド(Eulexin(登録商標))、tezacitibine、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン)、ヒドロキシ尿素(ハイドレア(登録商標))、イダルビシン(イダマイシン(登録商標))、イホスファミド(IFEX(登録商標))、イリノテカン(Camptosar(登録商標))、L-アスパラギナーゼ(ELSPAR(登録商標))、ロイコボリンカルシウム、メルファラン(アルケラン(登録商標))、6-メルカプトプリン(ピュリネソール(登録商標))、メトトレキサート(Folex(登録商標))、ミトキサントロン(Novantrone(登録商標))、マイロターグ、パクリタキセル(タキソール(登録商標))、phoenix(イットリウム90/MX-DTPA)、ペントスタチン、カルムスチンインプラントを伴うpolifeprosan 20(グリアデル(登録商標))、タモキシフェンシトレート(ノルバデックス(登録商標))、テニポシド(Vumon(登録商標))、6-チオグアニン、チオテパ、チラパザミン(Tirazone(登録商標))、注射用塩酸トポテカン(Hycamptin(登録商標))、ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(オンコビン(登録商標))およびビノレルビン(ナベルビン(登録商標))を含む。
アルキル化剤の例は、窒素マスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、ニトロソウレアおよびトリアゼン):ウラシルマスタード(Aminouracil Mustard(登録商標)、Chlorethaminacil(登録商標)、Demethyldopan(登録商標)、Desmethyldopan(登録商標)、Haemanthamine(登録商標)、Nordopan(登録商標)、Uracil nitrogen mustard(登録商標)、Uracillost(登録商標)、Uracilmostaza(登録商標)、Uramustin(登録商標)、Uramustine(登録商標))、シクロホスファミド(シトキサン(登録商標)、Neosar(登録商標)、Clafen(登録商標)、Endoxan(登録商標)、Procytox(登録商標)、RevimmuneTM)、イホスファミド(Mitoxana(登録商標))、メルファラン(アルケラン(登録商標))、クロラムブシル(ロイケラン(登録商標))、ピポブロマン(Amedel(登録商標)、Vercyte(登録商標))、トリエチレンメラミン(Hemel(登録商標)、Hexalen(登録商標)、Hexastat(登録商標))、トリエチレンチオホスホロアミン、テモゾロミド(Temodar(登録商標))、チオテパ(Thioplex(登録商標))、ブスルファン(Busilvex(登録商標)、ミレラン(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、ロムスチン(CeeNU(登録商標))、ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標))およびダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))を含むが、これらに限定されない。さらなるアルキル化剤の例は、オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標))、テモゾロミド(Temodar(登録商標)およびTemodal(登録商標))、ダクチノマイシン(アクチノマイシン-D、Cosmegen(登録商標)としても知られる)、メルファラン(L-PAM、L-サルコリシンおよびフェニルアラニンマスタード、アルケラン(登録商標)としても知られる)、アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)、Hexalen(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標)としても知られる)、ベンダムスチン(Treanda(登録商標))、ブスルファン(ブスルフェクス(登録商標)およびミレラン(登録商標))、カルボプラチン(パラプラチン(登録商標))、ロムスチン(CCNU、CeeNU(登録商標)としても知られる)、シスプラチン(CDDP、Platinol(登録商標)およびPlatinol(登録商標)-AQとしても知られる)、クロラムブシル(ロイケラン(登録商標))、シクロホスファミド(シトキサン(登録商標)およびNeosar(登録商標))、ダカルバジン(DTIC、DICおよびイミダゾールカルボキサミド、DTIC-Dome(登録商標)としても知られる)、アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)、Hexalen(登録商標)としても知られる)、イホスファミド(Ifex(登録商標))、Prednumustine、プロカルバジン(Matulane(登録商標))、メクロレタミン(窒素マスタード、mustineおよびメクロロエタミンヒドロクロライド、Mustargen(登録商標)としても知られる)、ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標))、チオテパ(チオホスホアミド、TESPAおよびTSPA、Thioplex(登録商標)としても知られる)、シクロホスファミド(Endoxan(登録商標)、シトキサン(登録商標)、Neosar(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(登録商標))およびベンダムスチンHCl(Treanda(登録商標))を含むが、これらに限定されない。
mTOR阻害剤の例は、例えば、テムシロリムス;リダフォロリムス(以前はデフォロリムスとして知られる、(1R,2R,4S)-4-[(2R)-2-[(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28Z,30S,32S,35R)-1,18-ジヒドロキシ-19,30-ジメトキシ-15,17,21,23、29,35-ヘキサメチル-2,3,10,14,20-ペンタオキソ-11,36-ジオキサ-4-アザトリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ-16,24,26,28-テトラエン-12-イル]プロピル]-2-メトキシシクロヘキシルジメチルホスフィネート、AP23573およびMK8669としても知られ、PCT公開WO03/064383号に記載);エベロリムス(アフィニトール(登録商標)またはRAD001);ラパマイシン(AY22989、シロリムス(登録商標));セマピモド(CAS 164301-51-3);テムシロリムス、(5-{2,4-ビス[(3S)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル}-2-メトキシフェニル)メタノール(AZD8055);2-アミノ-8-[trans-4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]-6-(6-メトキシ-3-ピリジニル)-4-メチル-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン(PF04691502、CAS 1013101-36-4);およびN-[1,4-ジオキソ-4-[[4-(4-オキソ-8-フェニル-4H-1-ベンゾピラン-2-イル)モルホリニウム-4-イル]メトキシ]ブチル]-L-アルギニルグリシル-L-α-アスパルチルL-セリン-(配列番号613)、分子内塩(SF1126、CAS 936487-67-1)およびXL765を含む。
免疫調節剤の例は、例えば、アフツズマブ(Roche(登録商標)から入手可能);ペグフィルグラスチム(Neulasta(登録商標));レナリドマイド(CC-5013、レブラミド(登録商標));サリドマイド(Thalomid(登録商標))、アクチミド(CC4047);およびIRX-2(インターロイキン1、インターロイキン2およびインターフェロンγを含むヒトサイトカイン混合物、CAS 951209-71-5、IRX Therapeuticsから入手可能)を含む。
アントラサイクリンの例は、例えば、ドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標)およびRubex(登録商標));ブレオマイシン(lenoxane(登録商標));ダウノルビシン(塩酸ダウノルビシン、ダウノマイシンおよび塩酸ルビドマイシン、Cerubidine(登録商標));ダウノルビシンリポソーム(ダウノルビシンシトレートリポソーム、DaunoXome(登録商標));ミトキサントロン(DHAD、Novantrone(登録商標));エピルビシン(EllenceTM);イダルビシン(イダマイシン(登録商標)、イダマイシンPFS(登録商標));マイトマイシンC(Mutamycin(登録商標));ゲルダナマイシン;ハービマイシン;ラビドマイシン;およびデスアセチルラビドマイシンを含む。
ビンカアルカロイドの例は、例えば、ビノレルビンタートレート(ナベルビン(登録商標))、ビンクリスチン(オンコビン(登録商標))およびビンデシン(Eldisine(登録商標)));ビンブラスチン(硫酸ビンブラスチン、ビンカレウコブラスチンおよびVLB、Alkaban-AQ(登録商標)およびVelban(登録商標)としても知られる);およびビノレルビン(ナベルビン(登録商標))を含む。
プロテオソーム阻害剤の例は、ボルテゾミブ(ベルケイド(登録商標));カルフィルゾミブ(PX-171-007、(S)-4-メチル-N-((S)-1-(((S)-4-メチル-1-((R)-2-メチルオキシラン-2-イル)-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)-2-((S)-2-(2-モルホリノアセトアミド)-4-フェニルブタンアミド)-ペンタンアミド);マリゾミブ(NPI-0052);クエン酸イキサゾミブ(MLN-9708);デランゾミブ(CEP-18770);およびO-メチル-N-[(2-メチル-5-チアゾリル)カルボニル]-L-セリル-O-メチル-N-[(1S)-2-[(2R)-2-メチル-2-オキシラニル]-2-オキソ-1-(フェニルメチル)エチル]-L-セリンアミド(ONX-0912)を含む。
ある実施態様において、ここに記載する組み合わせ、例えば、メソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤を、対象にブレンツキシマブと組み合わせて投与する。ブレンツキシマブは、抗CD30抗体およびモノメチルアウリスタチンEの抗体-薬物コンジュゲートである。ある実施態様において、対象は、ホジキンリンパ腫(HL)、例えば、再発性または難治性HLを有する。ある実施態様において、対象は、CD30+HLを含む。ある実施態様において、対象は、自己幹細胞移植(ASCT)を受けている。ある実施態様において、対象はASCTを受けていない。ある実施態様において、ブレンツキシマブを、約1~3mg/kg(例えば、約1~1.5、1.5~2、2~2.5または2.5~3mg/kg)の投与量で、例えば、静脈内に、例えば、3週毎に投与する。
ある実施態様において、ここに記載する組み合わせ、例えば、メソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤を、対象にブレンツキシマブおよびダカルバジンまたはブレンツキシマブおよびベンダムスチンとの組み合わせてと組み合わせて投与する。ダカルバジンは、5-(3,3-ジメチル-1-トリアゼニル)イミダゾール-4-カルボキサミドの化学名のアルキル化剤である。ベンダムスチンは4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチルベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸の化学名のアルキル化剤である。ある実施態様において、対象はホジキンリンパ腫(HL)を有する。ある実施態様において、対象は、以前癌治療を受けていない。ある実施態様において、対象は少なくとも60歳、例えば、60歳、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳またはそれ以上である。ある実施態様において、ダカルバジンを、約300~450mg/m(例えば、約300~325mg/m、325~350mg/m、350~375mg/m、375~400mg/m、400~425mg/mまたは425~450mg/m)の投与量で、例えば、静脈内投与する。ある実施態様において、ベンダムスチンを、約75~125mg/m(例えば、75~100または100~125mg/m、例えば、約90mg/m)の投与量で、例えば、静脈内投与する。ある実施態様において、ブレンツキシマブを、約1~3mg/kg(例えば、約1~1.5、1.5~2、2~2.5または2.5~3mg/kg)の投与量で、例えば、静脈内に、例えば、3週毎に投与する。
ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞を、対象にCD20阻害剤、例えば、抗CD20抗体(例えば、抗CD20単または二特異的抗体)またはそのフラグメントと組み合わせて投与する。抗CD20抗体の例は、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、オビヌツズマブ、TRU-015(Trubion Pharmaceuticals)、オカラツズマブおよびPro131921(Genentech)を含む。例えば、Lim et al. Haematologica. 95.1(2010):135-43参照。
ある実施態様において、抗CD20抗体は、リツキシマブを含む。リツキシマブは、CD20に結合し、CD20発現細胞の細胞溶解をさせるキメラマウス/ヒトモノクローナル抗体IgG1カッパであり、例えば、www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2010/103705s5311lbl.pdfに記載。ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞を、対象にリツキシマブと組み合わせて投与する。ある実施態様において、対象は、CLLまたはSLLを有する。
ある実施態様において、リツキシマブを、静脈内に、例えば、静脈内点滴として投与する。例えば、各点滴は、約500~2000mg(例えば、約500~550mg、550~600mg、600~650mg、650~700mg、700~750mg、750~800mg、800~850mg、850~900mg、900~950mg、950~1000mg、1000~1100mg、1100~1200mg、1200~1300mg、1300~1400mg、1400~1500mg、1500~1600mg、1600~1700mg、1700~1800mg、1800~1900mgまたは1900~2000mg)のリツキシマブを提供する。ある実施態様において、リツキシマブを、150mg/m~750mg/m、例えば、約150~175mg/m、175~200mg/m、200~225mg/m、225~250mg/m、250~300mg/m、300~325mg/m、325~350mg/m、350~375mg/m、375~400mg/m、400~425mg/m、425~450mg/m、450~475mg/m、475~500mg/m、500~525mg/m、525~550mg/m、550~575mg/m、575~600mg/m、600~625mg/m、625~650mg/m、650~675mg/mまたは675~700mg/mの用量で投与し、ここで、mは対象の体表面積を示す。ある実施態様において、リツキシマブを、少なくとも4日、例えば、4日、7日、14日、21日、28日、35日またはそれ以上の投与間隔で投与する。例えば、リツキシマブを、少なくとも0.5週、例えば、0.5週、1週、2週、3週、4週、5週、6週、7週、8週またはそれ以上の投与間隔で投与する。ある実施態様において、リツキシマブを、ここに記載する用量および投与間隔で一定期間、例えば、少なくとも2週、例えば、少なくとも2週、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週、13週、14週、15週、16週、17週、18週、19週、20週またはそれ以上投与する。例えば、リツキシマブを、ここに記載する用量および投与間隔で処置サイクルあたり少なくとも計4回(例えば、処置サイクルあたり4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、15回、16回またはそれ以上)投与する。
ある実施態様において、抗CD20抗体は、オファツムマブを含む。オファツムマブは、約149kDaの分子量の抗CD20 IgG1κヒトモノクローナル抗体である。例えば、オファツムマブは、トランスジェニックマウスおよびハイブリドーマテクノロジーを使用して産生し、組み換えマウス細胞株(NS0)から発現および精製する。例えば、www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2009/125326lbl.pdf;およびClinical Trial Identifier number NCT01363128、NCT01515176、NCT01626352およびNCT01397591参照。ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞を、オファツムマブと組み合わせて対象に投与する。ある実施態様において、対象は、CLLまたはSLLを有する。
ある実施態様において、オファツムマブを静脈内点滴として投与する。例えば、各点滴は、約150~3000mg(例えば、約150~200mg、200~250mg、250~300mg、300~350mg、350~400mg、400~450mg、450~500mg、500~550mg、550~600mg、600~650mg、650~700mg、700~750mg、750~800mg、800~850mg、850~900mg、900~950mg、950~1000mg、1000~1200mg、1200~1400mg、1400~1600mg、1600~1800mg、1800~2000mg、2000~2200mg、2200~2400mg、2400~2600mg、2600~2800mgまたは2800~3000mg)のオファツムマブを提供する。ある実施態様において、オファツムマブを約300mgの出発投与量で、続いて、2000mgを、例えば、約11回、例えば、24週投与する。ある実施態様において、オファツムマブを、少なくとも4日、例えば、4日、7日、14日、21日、28日、35日またはそれ以上の投与間隔で投与する。例えば、オファツムマブを少なくとも1週、例えば、1週、2週、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週、24週、26週、28週、20週、22週、24週、26週、28週、30週またはそれ以上の投与間隔て投与する。ある実施態様においてオファツムマブを、ここに記載する用量および投与間隔で一定期間、例えば、少なくとも1週、例えば、1週、2週、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週、13週、14週、15週、16週、17週、18週、19週、20週、22週、24週、26週、28週、30週、40週、50週、60週またはそれ以上または1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月またはそれ以上または1年、2年、3年、4年、5年またはそれ以上投与する。例えば、オファツムマブを、ここに記載する用量および投与間隔で、処置サイクルあたり少なくとも計2回(例えば、処置サイクルあたり少なくとも2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、15回、16回、18回、20回またはそれ以上)投与する。
ある場合、抗CD20抗体は、オクレリズマブを含む。オクレリズマブは、例えば、Clinical Trials Identifier Nos. NCT00077870、NCT01412333、NCT00779220、NCT00673920、NCT01194570およびKappos et al. Lancet. 19.378(2011):1779-87に記載される、ヒト化抗CD20モノクローナル抗体である。
ある場合、抗CD20抗体は、ベルツズマブを含む。ベルツズマブは、CD20に対するヒト化モノクローナル抗体である。例えば、Clinical Trial Identifier No. NCT00547066、NCT00546793、NCT01101581およびGoldenberg et al. Leuk Lymphoma. 51(5)(2010):747-55参照。
ある場合、抗CD20抗体は、GA101を含む。GA101(オビヌツズマブまたはRO5072759とも称される)は、ヒト化および糖鎖改変抗CD20モノクローナル抗体である。例えば、Robak. Curr. Opin. Investig. Drugs. 10.6(2009):588-96;Clinical Trial Identifier Numbers: NCT01995669、NCT01889797、NCT02229422およびNCT01414205;およびwww.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2013/125486s000lbl.pdf参照。
ある場合、抗CD20抗体は、AME-133vを含む。AME-133v(LY2469298またはオカラツズマブとも称される)は、リツキシマブと比較して、FcγRIIIa受容体に対する親和性が増加し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性が増強されたヒト化IgG1モノクローナル抗体である。例えば、Robak et al. BioDrugs 25.1(2011):13-25;およびForero-Torres et al. Clin Cancer Res. 18.5(2012):1395-403参照。
ある場合、抗CD20抗体は、PRO131921を含む。PRO131921は、リツキシマブと比較して、FcγRIIIaへの良好な結合を有し、ADCCが増強されるように改変されたヒト化抗CD20モノクローナル抗体である。例えば、Robak et al. BioDrugs 25.1(2011):13-25;およびCasulo et al. Clin Immunol. 154.1(2014):37-46;およびClinical Trial Identifier No. NCT00452127参照。
ある場合、抗CD20抗体は、TRU-015を含む。TRU-015は、CD20に対する抗体のドメイン由来の抗CD20融合タンパク質である。TRU-015は、モノクローナル抗体より小さいが、Fc介在エフェクター機能を保持する。例えば、Robak et al. BioDrugs 25.1(2011):13-25参照。TRU-015は、ヒトIgG1ヒンジ、CHおよびCH3ドメインに結合した抗CD20一本鎖可変フラグメント(scFv)を有するが、CH1およびCLドメインを欠く。
ある実施態様において、ここに記載する抗CD20抗体を、治療剤、例えば、ここに記載する、化学療法剤(例えば、シトキサン、フルダラビン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、脱メチル化剤、ペプチドワクチン、抗腫瘍抗生物質、チロシンキナーゼ阻害剤、アルキル化剤、抗微小管または抗有糸分裂剤)、抗アレルギー剤、抗悪心剤(または制吐)、鎮痛剤または細胞保護剤とコンジュゲートまたは他に結合させる。
ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞を、B細胞リンパ腫2(BCL-2)阻害剤(例えば、ベネトクラクス、ABT-199またはGDC-0199とも称する)および/またはリツキシマブと組み合わせて対象に投与する。ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞を、ベネトクラクスおよびリツキシマブと組み合わせて対象に投与する。ベネトクラクスは、抗アポトーシスタンパク質、BCL-2を阻害する小分子である。ベネトクラクス(4-(4-{[2-(4-クロロフェニル)-4,4-ジメチルシクロヘキシ-1-エン-1-イル]メチル}ピペラジン-1-イル)-N-({3-ニトロ-4-[(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)アミノ]フェニル}スルホニル)-2-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イルオキシ)ベンズアミド)の構造を下に示す。
ある実施態様において、対象はCLLを有する。ある実施態様において、対象は再発性CLLを有する、例えば、対象は、以前に癌治療剤を投与されている。ある実施態様において、ベネトクラクスを、約15~600mg(例えば、15~20mg、20~50mg、50~75mg、75~100mg、100~200mg、200~300mg、300~400mg、400~500mgまたは500~600mg)の投与量で、例えば、連日投与する。ある実施態様において、リツキシマブを、約350~550mg/m(例えば、350~375mg/m、375~400mg/m、400~425mg/m、425~450mg/m、450~475mg/mまたは475~500mg/m)の投与量で、例えば、静脈内に、例えば、毎月投与する。
ある実施態様において、ここに記載する組み合わせ、例えば、メソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤を、腫瘍溶解性ウイルスと組み合わせて投与する。ある実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、癌細胞で選択的に複製し、細胞死を誘発するかまたは増殖を遅延させることができる。ある場合、腫瘍溶解性ウイルスは、非癌細胞に影響を有しないか影響が最小である。腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍溶解性アデノウイルス、腫瘍溶解性単純ヘルペスウイルス、腫瘍溶解性レトロウイルス、腫瘍溶解性パルボウイルス、腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、腫瘍溶解性シンドビスウイルス、腫瘍溶解性インフルエンザウイルスまたは腫瘍溶解性RNAウイルス(例えば、腫瘍溶解性レオウイルス、腫瘍溶解性ニューカッスル病ウイルス(NDV)、腫瘍溶解性麻疹ウイルスまたは腫瘍溶解性水疱性口内炎ウイルス(VSV))を含むが、これらに限定されない。
ある実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルス、例えば、引用により全体を本明細書に包含させるUS2010/0178684A1号に記載の、組み換え腫瘍溶解性ウイルスである。ある実施態様において、組み換え腫瘍溶解性ウイルスは、例えば、引用により全体を本明細書に包含させるUS2010/0178684A1号に記載の、免疫または炎症性応答の阻害剤をコードする核酸配列(例えば、異種核酸配列)を含む。ある実施態様において、組み換え腫瘍溶解性ウイルス、例えば、腫瘍溶解性NDVは、アポトーシス促進性タンパク質(例えば、アポプチン)、サイトカイン(例えば、GM-CSF、インターフェロン-ガンマ、インターロイキン-2(IL-2)、腫瘍壊死因子-アルファ)、免疫グロブリン(例えば、ED-Bフィブロネクチンに対する抗体)、腫瘍関連抗原、二特異的アダプタータンパク質(例えば、CD3またはCD28などのNDV HNタンパク質およびT細胞共刺激受容体に対する二特異的抗体または抗体フラグメント;またヒトIL-2およびNDV HNタンパク質に対する一本鎖抗体の融合タンパク質)を含む。例えば、引用により全体を本明細書に包含させるZamarin et al. Future Microbiol. 7.3(2012):347-67参照。ある実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスiは、各々引用により全体を本明細書に包含させる、US8591881B2号、US2012/0122185A1号またはUS2014/0271677A1号に記載のキメラ腫瘍溶解性NDVである。
ある実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、癌細胞で排他的に複製するように設計されている制限増殖型アデノウイルス(CRAd)を含む。例えば、Alemany et al. Nature Biotechnol. 18(2000):723-27参照。ある実施態様において、腫瘍溶解性アデノウイルスは、引用により本明細書に包含させる、Alemany et al.の表1に記載のものを含む。
腫瘍溶解性ウイルスの例は、次のものを含むが、これらに限定されない。
B群腫瘍溶解性アデノウイルス(ColoAd1)(PsiOxus Therapeutics Ltd.)(例えば、Clinical Trial Identifier: NCT02053220参照);顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)(Oncos Therapeutics)を含むアデノウイルスであるONCOS-102(以前はCGTG-102称される)(例えば、Clinical Trial Identifier: NCT01598129参照);ヒトPH20ヒアルロニダーゼをコードする遺伝子修飾腫瘍溶解性ヒトアデノウイルスであるVCN-01(VCN Biosciences, S.L.)(例えば、Clinical Trial Identifiers: NCT02045602およびNCT02045589参照);
網膜芽細胞腫/E2F経路が下方制御された癌細胞で選択的に複製するように修飾されている、野生型ヒトアデノウイルス血清型5(Had5)由来ウイルスである制限増殖型アデノウイルスICOVIR-5(Institut Catala d’Oncologia)(例えば、Clinical Trial Identifier: NCT01864759参照);ICOVIR5、腫瘍溶解性アデノウイルスで感染させた骨髄由来自己間葉性幹細胞(MSCs)を含むCelyvir(Hospital Infantil Universitario Nino Jesus, Madrid, Spain/Ramon Alemany)(例えば、Clinical Trial Identifier: NCT01844661参照);ヒトE2F-1プロモーターが必須E1aウイルス遺伝子の発現を駆動し、それによりRb経路欠損腫瘍細胞のウイルス複製および細胞毒性を制御する、制限増殖型腫瘍溶解性血清型5アデノウイルス(Ad5)であるCG0070(Cold Genesys, Inc.)(例えば、Clinical Trial Identifier: NCT02143804参照);または網膜芽細胞腫(Rb)経路欠損細胞で選択的に複製し、あるRGD結合インテグリンを発現する細胞により効率的に感染するように改変されているアデノウイルスであるDNX-2401(以前の名前デルタ-24-RGD)(Clinica Universidad de Navarra, Universidad de Navarra/DNAtrix, Inc.)(例えば、Clinical Trial Identifier: NCT01956734参照)。
ある実施態様において、ここに記載する腫瘍溶解性ウイルスは、注射、皮下、動脈内、静脈内、筋肉内、髄腔内または腹腔内注射により投与される。ある実施態様において、ここに記載する腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍内、経皮、経粘膜、経口、鼻腔内または肺投与により投与される。
ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞は、Treg細胞集団を減少させる分子と組み合わせて対象に投与される。Treg細胞数を減らす(例えば、枯渇させる)方法は当分野で知られ、例えば、CD25枯渇、シクロホスファミド投与、GITR機能調節を含む。理論に拘束されることを意図しないが、アフェレーシス前またはここに記載するCAR発現細胞投与前の対象におけるTreg細胞数の減少は、腫瘍微小環境における望ましくない免疫細胞(例えば、Treg)数を減らし、対象の再発のリスクを減らすと考えられる。
ある実施態様において、ここに記載する組み合わせ、例えば、メソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤を、対象にGITRアゴニストなどのGITRを標的とするおよび/またはGITR機能を調節する分子および/または制御T細胞(Treg)を枯渇させるGITR抗体と組み合わせて投与する。ある実施態様において、GITR結合分子および/またはGITR機能調節分子(例えば、GITRアゴニストおよび/またはTreg枯渇GITR抗体)を、CAR発現細胞前に投与する。例えば、ある実施態様において、GITRアゴニストは、細胞のアフェレーシス前に投与される。ある実施態様において、対象はCLLを有する。GITRアゴニストの例は、例えば、GITR融合タンパク質および抗GITR抗体(例えば、二価抗GITR抗体)、例えば、米国特許6,111,090号、欧州特許090505B1号、米国特許8,586,023号、PCT公開WO2010/003118号および2011/090754号に記載のGITR融合タンパク質または、例えば、米国特許7,025,962号、欧州特許1947183B1号、米国特許7,812,135号、米国特許8,388,967号、米国特許8,591,886号、欧州特許EP1866339号、PCT公開WO2011/028683号、PCT公開WO2013/039954号、PCT公開WO2005/007190号、PCT公開WO2007/133822、PCT公開WO2005/055808号、PCT公開WO99/40196、PCT公開WO2001/03720、PCT公開WO99/20758、PCT公開WO2006/083289号、PCT公開WO2005/115451号、米国特許7,618,632およびPCT公開WO2011/051726号に記載の抗GITR抗体を含む。
ある実施態様において、ここに記載する組み合わせ、例えば、メソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤を、対象にmTOR阻害剤、例えば、ここに記載のmTOR阻害剤、例えば、エベロリムスなどのラパログと組み合わせて投与する。ある実施態様において、mTOR阻害剤はCAR発現細胞前に投与される。例えば、ある実施態様において、mTOR阻害剤は、細胞のアフェレーシス前に投与される。ある実施態様において、対象はCLLを有する。
ある実施態様において、ここに記載する組み合わせ、例えば、メソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤を、対象にGITRアゴニスト、例えば、ここに記載するGITRアゴニストと組み合わせて投与する。ある実施態様において、GITRアゴニストは、CAR発現細胞前に投与される。例えば、ある実施態様において、GITRアゴニストは、細胞のアフェレーシス前に投与される。ある実施態様において、対象はCLLを有する。
ある実施態様において、ここに記載する組み合わせ、例えば、メソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤を、対象にタンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤、例えば、ここに記載するタンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤と組み合わせて投与する。ある実施態様において、タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤はSHP-1阻害剤、例えば、スチボグルコン酸ナトリウムなどの、例えば、ここに記載するSHP-1阻害剤である。ある実施態様において、タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤はSHP-2阻害剤である。
ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞は、キナーゼ阻害剤と組み合わせて投与され得る。ある実施態様において、キナーゼ阻害剤はCDK4阻害剤、例えば、ここに記載するCDK4阻害剤、例えば、6-アセチル-8-シクロペンチル-5-メチル-2-(5-ピペラジン-1-イル-ピリジン-2-イルアミノ)-8H-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-オン、ヒドロクロライド(パルボシクリブまたはPD0332991とも称する)などの、例えば、CDK4/6阻害剤である。ある実施態様において、キナーゼ阻害剤はBTK阻害剤、例えば、イブルチニブなどの例えば、ここに記載するBTK阻害剤である。ある実施態様において、キナーゼ阻害剤はmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシン、ラパマイシンアナログ、OSI-027などの、例えば、ここに記載のmTOR阻害剤である。mTOR阻害剤は、例えば、mTORC1阻害剤および/またはmTORC2阻害剤、例えば、ここに記載するmTORC1阻害剤および/またはmTORC2阻害剤であり得る。ある実施態様において、キナーゼ阻害剤はMNK阻害剤、例えば、4-アミノ-5-(4-フルオロアニリノ)-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジンなどの、例えば、ここに記載するMNK阻害剤である。MNK阻害剤は、例えば、MNK1a、MNK1b、MNK2aおよび/またはMNK2b阻害剤であり得る。ある実施態様において、キナーゼ阻害剤は、例えば、PF-04695102など、ここに記載のデュアルPI3K/mTOR阻害剤である。
ある実施態様において、キナーゼ阻害剤はアロイシンA;フラボピリドールまたはHMR-1275、2-(2-クロロフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-8-[(3S,4R)-3-ヒドロキシ-1-メチル-4-ピペリジニル]-4-クロメノン;クリゾチニブ(PF-02341066;2-(2-クロロフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-8-[(2R,3S)-2-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-3-ピロリジニル]-4H-1-ベンゾピラン-4-オン、ヒドロクロライド(P276-00);1-メチル-5-[[2-[5-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-2-イル]-4-ピリジニル]オキシ]-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ベンズイミダゾール-2-アミン(RAF265);インジスラム(E7070);ロスコビチン(CYC202);パルボシクリブ(PD0332991);ディナシクリブ(SCH727965);N-[5-[[(5-tert-ブチルオキサゾール-2-イル)メチル]チオ]チアゾール-2-イル]ピペリジン-4-カルボキサミド(BMS 387032);4-[[9-クロロ-7-(2,6-ジフルオロフェニル)-5H-ピリミド[5,4-d][2]ベンズアゼピン-2-イル]アミノ]-安息香酸(MLN8054);5-[3-(4,6-ジフルオロ-1H-ベンズイミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-5-イル]-N-エチル-4-メチル-3-ピリジンメタンアミン(AG-024322);4-(2,6-ジクロロベンゾイルアミノ)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸N-(ピペリジン-4-イル)アミド(AT7519);4-[2-メチル-1-(1-メチルエチル)-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-2-ピリミジンアミン(AZD5438);およびXL281(BMS908662)から選択されるCDK4阻害剤である。
ある実施態様において、キナーゼ阻害剤はCDK4阻害剤、例えば、パルボシクリブ(PD0332991)であり、パルボシクリブを、約50mg、60mg、70mg、75mg、80mg、90mg、100mg、105mg、110mg、115mg、120mg、125mg、130mg、135mg(例えば、75mg、100mgまたは125mg)の用量で、一定期間連日、例えば、28日サイクルの14~21日目連日または28日サイクルの7~12日目連日投与する。ある実施態様において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれ以上のサイクルのパルボシクリブが投与される。
ある実施態様において、ここに記載する組み合わせ、例えば、メソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤を、対象にサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4または6阻害剤、例えば、ここに記載するCDK4阻害剤またはCDK6阻害剤と組み合わせて投与する。ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞を、CDK4/6阻害剤(例えば、CDK4およびCDK6両方を標的とする阻害剤)、例えば、ここに記載するCDK4/6阻害剤と組み合わせて対象に投与する。ある実施態様において、対象はMCLを有する。MCLは、現在利用可能な治療にほとんど応答しない、すなわち、本質的に治癒不可能な攻撃的癌である。MCLの多くの場合、サイクリンD1(CDK4/6のレギュレーター)が、MCL細胞で発現される(例えば、免疫グロブリンおよびサイクリンD1遺伝子を含む染色体転座のため)。それ故に、理論に拘束されないが、MCL細胞は、高特異性(すなわち、正常免疫細胞に最小の影響で)でCDK4/6阻害に高度に感受性であると考えられる。CDK4/6阻害剤単独はMCLの処置にある程度有効性を有しているが、部分寛解しか達成されず、高再発率は高い。CDK4/6阻害剤の例はLEE011(リボシクリブとも称する)であり、その構造を下に示す。
理論に拘束されないが、ここに記載するCAR発現細胞とCDK4/6阻害剤(例えば、LEE011または他のここに記載するCDK4/6阻害剤)の投与は、例えば、CDK4/6阻害剤単独と比較して、高い応答性、例えば、高い寛解率および/または低い再発率を達成すると考えられる。
ある実施態様において、キナーゼ阻害剤は、イブルチニブ(PCI-32765);GDC-0834;RN-486;CGI-560;CGI-1764;HM-71224;CC-292;ONO-4059;CNX-774;およびLFM-A13から選択されるBTK阻害剤である。好ましい実施態様において、BTK阻害剤はインターロイキン-2-誘導性キナーゼ(ITK)のキナーゼ活性を低減または阻害せず、GDC-0834;RN-486;CGI-560;CGI-1764;HM-71224;CC-292;ONO-4059;CNX-774;およびLFM-A13から選択される。
ある実施態様において、キナーゼ阻害剤はBTK阻害剤、例えば、イブルチニブ(PCI-32765)である。ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞を、BTK阻害剤(例えば、イブルチニブ)と組み合わせて対象に投与する。ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞を、イブルチニブ(PCI-32765とも称する)と組み合わせて対象に投与する。イブルチニブ(1-[(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]ピペリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オン)の構造を下に示す。
ここに記載する方法、使用および組成物のある実施態様において、BTK阻害剤は引用によりその全体を本明細書に包含させる国際出願WO2015/079417号に記載のBTK阻害剤である。例えば、ある実施態様において、BTK阻害剤は式(I)
〔式中、
R1は水素、場合によりヒドロキシで置換されていてよいC-Cアルキルであり;
R2は水素またはハロゲンであり;
R3は水素またはハロゲンであり;
R4は水素であり;
R5は水素またはハロゲンであり;
またはR4およびR5は互いに結合し、結合、-CH-、-CH-CH-、-CH=CH-、-CH=CH-CH-;-CH-CH=CH-;または-CH-CH-CH-であり;
R6およびR7は互いに独立してH、場合によりヒドロキシで置換されていてよいC-Cアルキルル、場合によりハロゲンもしくはヒドロキシで置換されていてよいC3-C6シクロアルキルまたはハロゲンであり;
R8、R9、R、R’、R10およびR11は互いに独立してHまたは場合によりC-Cアルコキシで置換されていてよいC-Cアルキルであるか;またはR8、R9、R、R’、R10およびR11の何れかの2個はそれらが結合している原子と共に3~6員飽和炭素環式環を形成してよく;
R12は水素または場合によりハロゲンもしくはC-Cアルコキシで置換されていてよいC-Cアルキルであり;
またはR12およびR8、R9、R、R’、R10またはR11の何れかの一個はそれらが結合している原子と共に4員、5員、6員または7員アザ環式環を形成してよく、該環は所望によりハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、C-CアルキルまたはC-Cアルコキシで置換されていてよく;
nは0または1であり;
R13は場合によりC-Cアルキル、C-CアルコキシまたはN,N-ジ-C-Cアルキルアミノで置換されていてよいC-Cアルケニル;場合によりC-CアルキルまたはC-Cアルコキシで置換されていてよいC-Cアルキニル;または場合によりC-Cアルキルで置換されていてよいC-Cアルキレニルオキシドである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩である。
ある実施態様において、式IのBTK阻害剤は、N-(3-(5-((1-アクリロイルアゼチジン-3-イル)オキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(E)-N-(3-(6-アミノ-5-((1-(ブト-2-エノイル)アゼチジン-3-イル)オキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-((1-プロピオロイルアゼチジン-3-イル)オキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-((1-(ブト-2-インオイル)アゼチジン-3-イル)オキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(5-((1-アクリロイルピペリジン-4-イル)オキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-(2-(N-メチルアクリルアミド)エトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(E)-N-(3-(6-アミノ-5-(2-(N-メチルブト-2-エンアミド)エトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-(2-(N-メチルプロピオルアミド)エトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(E)-N-(3-(6-アミノ-5-(2-(4-メトキシ-N-メチルブト-2-エンアミド)エトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-(2-(N-メチルブト-2-インアミド)エトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(2-((4-アミノ-6-(3-(4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリミジン-5-イル)オキシ)エチル)-N-メチルオキシラン-2-カルボキサミド;N-(2-((4-アミノ-6-(3-(6-シクロプロピル-8-フルオロ-1-オキソイソキノリン-2(1H)-イル)フェニル)ピリミジン-5-イル)オキシ)エチル)-N-メチルアクリルアミド;N-(3-(5-(2-アクリルアミドエトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-(2-(N-エチルアクリルアミド)エトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-(2-(N-(2-フルオロエチル)アクリルアミド)エトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(5-((1-アクリルアミドシクロプロピル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(S)-N-(3-(5-(2-アクリルアミドプロポキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(S)-N-(3-(6-アミノ-5-(2-(ブト-2-インアミド)プロポキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(S)-N-(3-(6-アミノ-5-(2-(N-メチルアクリルアミド)プロポキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(S)-N-(3-(6-アミノ-5-(2-(N-メチルブト-2-インアミド)プロポキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-(3-(N-メチルアクリルアミド)プロポキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(S)-N-(3-(5-((1-アクリロイルピロリジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(S)-N-(3-(6-アミノ-5-((1-(ブト-2-インオイル)ピロリジン-2-イル)メトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(S)-2-(3-(5-((1-アクリロイルピロリジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)フェニル)-6-シクロプロピル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン;N-(2-((4-アミノ-6-(3-(6-シクロプロピル-1-オキソ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-5-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ピリミジン-5-イル)オキシ)エチル)-N-メチルアクリルアミド;N-(3-(5-(((2S,4R)-1-アクリロイル-4-メトキシピロリジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-(((2S,4R)-1-(ブト-2-インオイル)-4-メトキシピロリジン-2-イル)メトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;2-(3-(5-(((2S,4R)-1-アクリロイル-4-メトキシピロリジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)フェニル)-6-シクロプロピル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン;N-(3-(5-(((2S,4S)-1-アクリロイル-4-メトキシピロリジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-(((2S,4S)-1-(ブト-2-インオイル)-4-メトキシピロリジン-2-イル)メトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(5-(((2S,4R)-1-アクリロイル-4-フルオロピロリジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-(((2S,4R)-1-(ブト-2-インオイル)-4-フルオロピロリジン-2-イル)メトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(S)-N-(3-(5-((1-アクリロイルアゼチジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(S)-N-(3-(6-アミノ-5-((1-プロピオロイルアゼチジン-2-イル)メトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(S)-2-(3-(5-((1-アクリロイルアゼチジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)フェニル)-6-シクロプロピル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン;(R)-N-(3-(5-((1-アクリロイルアゼチジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(R)-N-(3-(5-((1-アクリロイルピペリジン-3-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(5-(((2R,3S)-1-アクリロイル-3-メトキシピロリジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(5-(((2S,4R)-1-アクリロイル-4-シアノピロリジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;またはN-(3-(5-(((2S,4S)-1-アクリロイル-4-シアノピロリジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミドから選択される。
特に断らない限り、式IのBTK阻害剤の記載において上に使用する化学用語は、引用によりその全体を本明細書に包含させる国際出願WO2015/079417号に示す意味に従い使用される。
ある実施態様において、キナーゼ阻害剤は、テムシロリムス;AP23573およびMK8669としても知られるリダフォロリムス(1R,2R,4S)-4-[(2R)-2-[(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28Z,30S,32S,35R)-1,18-ジヒドロキシ-19,30-ジメトキシ-15,17,21,23、29,35-ヘキサメチル-2,3,10,14,20-ペンタオキソ-11,36-ジオキサ-4-アザトリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ-16,24,26,28-テトラエン-12-イル]プロピル]-2-メトキシシクロヘキシルジメチルホスフィネート;エベロリムス(RAD001);ラパマイシン(AY22989);セマピモド;(5-{2,4-ビス[(3S)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル}-2-メトキシフェニル)メタノール(AZD8055);2-アミノ-8-[trans-4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]-6-(6-メトキシ-3-ピリジニル)-4-メチル-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン(PF04691502);およびN-[1,4-ジオキソ-4-[[4-(4-オキソ-8-フェニル-4H-1-ベンゾピラン-2-イル)モルホリニウム-4-イル]メトキシ]ブチル]-L-アルギニルグリシル-L-α-アスパルチルL-セリン-(配列番号613)、分子内塩(SF1126);およびXL765から選択されるmTOR阻害剤である。
ある実施態様において、キナーゼ阻害剤はmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンであり、ラパマイシンを、約3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg(例えば、6mg)連日の用量で一定期間、例えば、21日サイクルで連日または28日サイクルで連日投与する。ある実施態様において、ラパマイシンの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれ以上のサイクルが投与される。ある実施態様において、キナーゼ阻害剤はmTOR阻害剤、例えば、エベロリムスであり、エベロリムスを約2mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg(例えば、10mg)の用量で一定期間、例えば、28日サイクルで連日投与する。ある実施態様において、エベロリムスの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれ以上のサイクルが投与される。
ある実施態様において、キナーゼ阻害剤はCGP052088;4-アミノ-3-(p-フルオロフェニルアミノ)-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン(CGP57380);セルコスポラミド;ETC-1780445-2;および4-アミノ-5-(4-フルオロアニリノ)-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジンから選択されるMNK阻害剤である。
ある実施態様において、キナーゼ阻害剤は2-アミノ-8-[trans-4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]-6-(6-メトキシ-3-ピリジニル)-4-メチル-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン(PF-04691502);N-[4-[[4-(ジメチルアミノ)-1-ピペリジニル]カルボニル]フェニル]-N’-[4-(4,6-ジ-4-モルホリニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]尿素(PF-05212384、PKI-587);2-メチル-2-{4-[3-メチル-2-オキソ-8-(キノリン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]フェニル}プロパンニトリル(BEZ-235);アピトリシブ(GDC-0980、RG7422);2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド(GSK2126458);8-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-1-(4-(ピペラジン-1-イル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2(3H)-オンマレイン酸(NVP-BGT226);3[4-(4-モルホリニルピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル]フェノール(PI-103);5(9-イソプロピル-8-メチル-2-モルホリノ-9H-プリン-6-イル)ピリミジン-2-アミン(VS-5584、SB2343);およびN-[2-[(3,5-ジメトキシフェニル)アミノ]キノキサリン-3-イル]-4-[(4-メチル-3-メトキシフェニル)カルボニル]アミノフェニルスルホンアミド(XL765)から選択されるデュアルホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)およびmTOR阻害剤である。
ある実施態様において、キナーゼ阻害剤はmTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンであり、ラパマイシンを、約3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg(例えば、6mg)連日の用量で一定期間、例えば、21日サイクルで連日または28日サイクルで連日投与する。ある実施態様において、ラパマイシンの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれ以上のサイクルが投与される。ある実施態様において、キナーゼ阻害剤はmTOR阻害剤、例えば、エベロリムスであり、エベロリムスを約2mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg(例えば、10mg)の用量で一定期間連日、例えば、28日サイクルで連日である。ある実施態様において、エベロリムスの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれ以上のサイクルが投与される。
ある実施態様において、キナーゼ阻害剤はCGP052088;4-アミノ-3-(p-フルオロフェニルアミノ)-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン(CGP57380);セルコスポラミド;ETC-1780445-2;および4-アミノ-5-(4-フルオロアニリノ)-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジンから選択されるMNK阻害剤である。
ある実施態様において、ここに記載する組み合わせ、例えば、メソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤を、対象に、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤(例えば、ここに記載するPI3K阻害剤、例えば、イデラリシブまたはドゥベリシブ)および/またはリツキシマブと組み合わせて投与する。ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞を、イデラリシブおよびリツキシマブと組み合わせて対象に投与する。ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞を、ドゥベリシブおよびリツキシマブと組み合わせて対象に投与する。イデラリシブ(GS-1101またはCAL-101とも称される;Gilead)は、PI3Kのデルタアイソフォームを遮断する小分子である。イデラリシブ(5-フルオロ-3-フェニル-2-[(1S)-1-(7H-プリン-6-イルアミノ)プロピル]-4(3H)-キナゾリノン)の構造を下に示す。
ドゥベリシブ(IPI-145とも称される;Infinity PharmaceuticalsおよびAbbvie)は、PI3K-δ,γを遮断する小分子である。ドゥベリシブ(8-クロロ-2-フェニル-3-[(1S)-1-(9H-プリン-6-イルアミノ)エチル]-1(2H)-イソキノリノン)の構造を下に示す。
ある実施態様において、対象はCLLを有する。ある実施態様において、対象は再発性CLLを有する、例えば、対象は癌治療を先に投与されている(例えば、抗CD20抗体を先に投与されているまたはイブルチニブを先に投与されている)。例えば、対象は、染色体17の短アームに欠失を有する(例えば、白血病細胞における、del(17p))。他の例において、対象はdel(17p)を有しない。ある実施態様において、対象は、免疫グロブリン重鎖可変領域(IgV)遺伝子に変異を含む白血病細胞を含む。他の実施態様において、対象免疫グロブリン重鎖可変領域(IgV)遺伝子に変異を含む白血病細胞を含まない。ある実施態様において、対象は、長アームの染色体11に欠失を有する(del(11q))。他の実施態様において、対象はdel(11q)を有しない。ある実施態様において、イデラリシブを約100~400mg(例えばmg、100~125mg、125~150mg、150~175mg、175~200mg、200~225mg、225~250mg、250~275mg、275~300mg、325~350mg、350~375mgまたは375~400mg)の投与量で、例えば、BIDで投与する。ある実施態様において、ドゥベリシブを、約15~100mg(例えば、約15~25mg、25~50mg、50~75mgまたは75~100mg)の投与量で、例えば、1日2回投与する。ある実施態様において、リツキシマブを、約350~550mg/m(例えばmg/m、350~375mg/m、375~400mg/m、400~425mg/m、425~450mg/m、450~475mg/mまたは475~500mg/m)の投与量で、例えば、静脈内投与する。
ある実施態様において、キナーゼ阻害剤は2-アミノ-8-[trans-4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]-6-(6-メトキシ-3-ピリジニル)-4-メチル-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン(PF-04691502);N-[4-[[4-(ジメチルアミノ)-1-ピペリジニル]カルボニル]フェニル]-N’-[4-(4,6-ジ-4-モルホリニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]尿素(PF-05212384、PKI-587);2-メチル-2-{4-[3-メチル-2-オキソ-8-(キノリン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]フェニル}プロパンニトリル(BEZ-235);アピトリシブ(GDC-0980、RG7422);2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド(GSK2126458);8-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-1-(4-(ピペラジン-1-イル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2(3H)-オンマレイン酸(NVP-BGT226);3[4-(4-モルホリニルピリド[3’,2’:4,5]フロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル]フェノール(PI-103);5(9-イソプロピル-8-メチル-2-モルホリノ-9H-プリン-6-イル)ピリミジン-2-アミン(VS-5584、SB2343);およびN-[2-[(3,5-ジメトキシフェニル)アミノ]キノキサリン-3-イル]-4-[(4-メチル-3-メトキシフェニル)カルボニル]アミノフェニルスルホンアミド(XL765)から選択されるデュアルホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)およびmTOR阻害剤である。
ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞を、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤と組み合わせて対象に投与する。ALKキナーゼの例は、クリゾチニブ(Pfizer)、セリチニブ(Novartis)、アレクチニブ(中外)、ブリガチニブ(AP26113とも称される;Ariad)、エントレクチニブ(Ignyta)、PF-06463922(Pfizer)、TSR-011(Tesaro)(例えば、Clinical Trial Identifier No. NCT02048488)、CEP-37440(Teva)およびX-396(Xcovery)を含むが、これらに限定されない。ある実施態様において、対象は固形癌、例えば、ここに記載する固形癌、例えば、肺癌を有する。
クリゾチニブの化学名は3-[(1R)-1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ]-5-(1-ピペリジン-4-イルピラゾール-4-イル)ピリジン-2-アミンである。セリチニブの化学名は5-クロロ-N-[2-イソプロポキシ-5-メチル-4-(4-ピペリジニル)フェニル]-N-[2-(イソプロピルスルホニル)フェニル]-2,4-ピリミジンジアミンである。アレクチニブの化学名は9-エチル-6,6-ジメチル-8-(4-モルホリノピペリジン-1-イル)-11-オキソ-6,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[b]カルバゾール-3-カルボニトリルである。ブリガチニブの化学名は5-クロロ-N-{4-[4-(ジメチルアミノ)-1-ピペリジニル]-2-メトキシフェニル}-N-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-2,4-ピリミジンジアミンである。エントレクチニブの化学名はN-(5-(3,5-ジフルオロベンジル)-1H-インダゾール-3-イル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ベンズアミドである。PF-06463922の化学名は(10R)-7-アミノ-12-フルオロ-2,10,16-トリメチル-15-オキソ-10,15,16,17-テトラヒドロ-2H-8,4-(メテノ)ピラゾロ[4,3-h][2,5,11]-ベンズオキサジアザシクロテトラデシン-3-カルボニトリルである。CEP-37440の化学構造は(S)-2-((5-クロロ-2-((6-(4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル)-1-メトキシ-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[7]アヌレン-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-メチルベンズアミドである。X-396の化学名は(R)-6-アミノ-5-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)-N-(4-(4-メチルピペラジン-1-カルボニル)フェニル)ピリダジン-3-カルボキサミドである。
カルシウム依存性ホスファターゼカルシニューリンを阻害する(シクロスポリンおよびFK506)または増殖因子誘発シグナル伝達に重要なp70S6キナーゼを阻害する(ラパマイシン)薬物(Liu et al., Cell 66:807-815, 1991; Henderson et al., Immun. 73:316-321, 1991; Bierer et al., Curr. Opin. Immun. 5:763-773, 1993も使用され得る。さらなる態様において、本発明の細胞組成物を、骨髄移植、フルダラビンなどの化学療法剤、外部ビーム放射線療法(XRT)、シクロホスファミドおよび/またはOKT3またはキャンパスなどの抗体を使用するT細胞剥奪療法と組み合わせて(例えば、前、同時または後に)患者に投与し得る。ある態様において、本発明の細胞組成物を、CD20と反応する薬剤、例えば、リツキサンなどのB細胞剥奪療法後投与する。例えば、ある実施態様において、対象を、高用量化学療法と続く末梢血幹細胞移植の標準処置に付し得る。ある実施態様において、移植後、対象は、本発明の増大免疫細胞の点滴を受ける。さらなる実施態様において、増大細胞を手術の前または後に投与する。
ある実施態様において、ここに記載する組み合わせ、例えば、メソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤を、対象にインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤と組み合わせて投与する。IDOは、アミノ酸、L-トリプトファンのキヌレニンへの分解を触媒する酵素である。多くの癌、例えば、前立腺、結腸直腸、膵臓、子宮頸、胃、卵巣、頭部および肺癌はIDOを過発現する。pDC、マクロファージおよび樹状細胞(DCs)はIDOを発現する。理論に拘束されないが、L-トリプトファンの減少(例えば、IDOによる触媒)は、T細胞アネルギーおよびアポトーシス誘発により免疫抑制性環境をもたらすと考えられる。それ故に、理論に拘束されないが、IDO阻害剤は、例えば、CAR発現免疫細胞の抑制または細胞死を減少させることにより、ここに記載するCAR発現細胞の有効性を増強できると考えられる。ある実施態様において、対象は固形腫瘍、例えば、ここに記載する固形腫瘍、例えば、前立腺、結腸直腸、膵臓、子宮頸、胃、卵巣、頭部または肺癌を有する。IDO阻害剤の例は、1-メチル-トリプトファン、インドキシモド(NewLink genetics)(例えば、Clinical Trial Identifier Nos. NCT01191216; NCT01792050参照)およびINCB024360(Incyte Corp.)(例えば、Clinical Trial Identifier Nos. NCT01604889; NCT01685255参照)を含むが、これらに限定されない。
ある実施態様において、ここに記載する組み合わせ、例えば、メソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤を、対象に骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)モジュレーターと組み合わせて投与する。MDSCは末梢および多くの固形腫瘍の腫瘍部位に蓄積する。これらの細胞はT細胞応答を抑制し、それによりCAR発現細胞治療の有効性を妨害する。理論に拘束されないが、MDSCモジュレーターの投与は、ここに記載するCAR発現細胞の有効性を増強すると案が得られる。ある実施態様において、対象は、固形腫瘍、例えば、ここに記載する固形腫瘍、例えば、神経膠芽腫を有する。MDSCモジュレーターの例は、MCS110およびBLZ945を含むが、これらに限定されない。MCS110は、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)に対するモノクローナル抗体(mAb)である。例えば、Clinical Trial Identifier No. NCT00757757参照。BLZ945はコロニー刺激因子1受容体(CSF1R)の小分子阻害剤である。例えば、Pyonteck et al. Nat. Med. 19(2013):1264-72参照。BLZ945の構造を下に示す。
ある実施態様において、ここに記載する組み合わせ、例えば、ここでのメソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤を、免疫抑制性形質細胞の活性を阻害または低減する薬剤と組み合わせて対象に投与する。免疫抑制性形質細胞は、オキサリプラチンなどのT細胞依存性免疫原性化学療法を妨害することが示されている(Shalapour et al., Nature 2015, 521:94-101)。ある実施態様において、免疫抑制性形質細胞はIgA、インターロイキン(IL)-10およびPD-L1の1以上を発現できる。ある実施態様において、薬剤はCD19 CAR発現細胞またはBCMA CAR発現細胞である。
ある実施態様において、ここに記載する組み合わせ、例えば、メソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤を、対象にインターロイキン-15(IL-15)ポリペプチド、インターロイキン-15受容体アルファ(IL-15Ra)ポリペプチドまたはIL-15ポリペプチドとIL-15Raポリペプチド両方の組み合わせ、例えば、hetIL-15(Admune Therapeutics、LLC)と組み合わせて投与する。hetIL-15は、IL-15およびIL-15Raのヘテロ二量体非共有結合複合体である。hetIL-15は、例えば、引用により本明細書に包含させる米国8,124,084号、米国2012/0177598号、米国2009/0082299号、米国2012/0141413号および米国。2011/0081311号に記載される。ある実施態様において、het-IL-15は皮下投与される。ある実施態様において、対象は癌、例えば、固形癌、例えば、黒色腫または結腸癌を有する。ある実施態様において、対象は転移癌を有する。
ある実施態様において、ここに記載する疾患を有する対象にここに記載する組み合わせ、例えば、メソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤を、薬剤、例えば、細胞毒性または化学療法剤、生物学的治療(例えば、抗体、例えば、モノクローナル抗体または細胞性治療)または阻害剤(例えば、キナーゼ阻害剤)と組み合わせて投与する。ある実施態様において、対象に、ここに記載するCAR発現細胞を細胞毒性剤、例えば、CPX-351(Celator Pharmaceuticals)、シタラビン、ダウノルビシン、ボサロキシン(Sunesis Pharmaceuticals)、サパシタビン(Cyclacel Pharmaceuticals)、イダルビシンまたはミトキサントロンと組み合わせて投与する。CPX-351は、シタラビンおよびダウノルビシンを5:1モル比で含むリポソーム製剤である。ある実施態様において、対象に、ここに記載するCAR発現細胞を、低メチル化剤、例えば、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、アザシチジンまたはデシタビンと組み合わせて投与する。ある実施態様において、対象に、ここに記載するCAR発現細胞を、生物学的治療、例えば、抗体または細胞性治療、例えば、225Ac-リンツズマブ(Actimab-A;Actinium Pharmaceuticals)、IPH2102(Innate Pharma/Bristol Myers Squibb)、SGN-CD33A(Seattle genetics)またはゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ;Pfizer)と組み合わせて投与する。SGN-CD33Aは、抗CD33抗体に結合したピロロベンゾジアゼピン二量体を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)である。Actimab-Aは、アクチニウムで標識された抗CD33抗体(リンツズマブ)である。IPH2102は、キラー免疫グロブリン様受容体(KIRs)を標的とするモノクローナル抗体である。ある実施態様において、対象にここに記載するCAR発現細胞を、FLT3阻害剤、例えば、ソラフェニブ(Bayer)、ミドスタウリン(Novartis)、キザルチニブ(第一三共)、クレノラニブ(Arog Pharmaceuticals)、PLX3397(第一三共)、AKN-028(Akinion Pharmaceuticals)またはASP2215(アステラス)と組み合わせて投与する。ある実施態様において、対象に、ここに記載するCAR発現細胞を、イソシトレートデヒドロゲナーゼ(IDH)阻害剤、例えば、AG-221(Celgene/Agios)またはAG-120(Agios/Celgene)と組み合わせて投与する。ある実施態様において、対象に、ここに記載するCAR発現細胞を、細胞周期レギュレーター、例えば、ポロ様キナーゼ1(Plk1)阻害剤、例えば、ボラセルチブ(Boehringer Ingelheim);またはサイクリン依存性キナーゼ9(Cdk9)阻害剤、例えば、アルボシジブ(Tolero Pharmaceuticals/Sanofi Aventis)と組み合わせて投与する。ある実施態様において、対象に、ここに記載するCAR発現細胞を、B細胞受容体シグナル伝達ネットワーク阻害剤、例えば、B細胞リンパ腫2(Bcl-2)阻害剤、例えば、ベネトクラクス(Abbvie/Roche);またはブルトンチロシンキナーゼ(Btk)阻害剤、例えば、イブルチニブ(Pharmacyclics/Johnson & Johnson Janssen Pharmaceutical)と組み合わせて投与する。ある実施態様において、対象に、ここに記載するCAR発現細胞を、M1アミノペプチダーゼ阻害剤、例えば、トセドスタット(CTI BioPharma/Vernalis);ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、例えば、プラシノスタット(MEI Pharma);多キナーゼ阻害剤、例えば、リゴセルチブ(Onconova Therapeutics/Baxter/SymBio);またはペプチド性CXCR4逆アゴニスト、例えば、BL-8040(BioLineRx)と組み合わせて投与する。
一部患者は、本発明の化合物および/または他の抗癌剤に対し、投与中または投与後アレルギー反応を経験するかもしれず、それ故に、抗アレルギー剤をアレルギー反応のリスク最小化のためにしばしば投与する。適当な抗アレルギー剤は、コルチコステロイド、例えばデキサメサゾン(例えば、デカドロン(登録商標))、ベクロメタゾン(例えば、Beclovent(登録商標))、ヒドロコルチゾン(コルチゾン、ヒドロコルチゾンナトリウムスクシネート、ヒドロコルチゾンナトリウムホスフェートとしても知られ、商品名Ala-Cort(登録商標)、ヒドロコルチゾンホスフェート、Solu-Cortef(登録商標)、Hydrocort Acetate(登録商標)およびLanacort(登録商標)として販売)、プレドニゾロン(商品名Delta-Cortel(登録商標)、Orapred(登録商標)、Pediapred(登録商標)およびPrelone(登録商標)として販売)、プレドニゾン(商品名Deltasone(登録商標)、Liquid Red(登録商標)、Meticorten(登録商標)およびOrasone(登録商標)として販売)、メチルプレドニゾロン(6-メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンアセテート、メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネートとしても知られ、商品名Duralone(登録商標)、Medralone(登録商標)、メドロール(登録商標)、M-Prednisol(登録商標)およびソルメドロール(登録商標)として販売);抗ヒスタミン、例えばジフェンヒドラミン(例えば、ベナドリル(登録商標))、ヒドロキシジンおよびシプロヘプタジン;および気管支拡張剤、例えばベータ-アドレナリン受容体アゴニスト、アルブテロール(例えば、Proventil(登録商標))およびテルブタリン(Brethine(登録商標))を含む。
一部患者は、本発明の化合物および/または他の抗癌剤の投与中または投与後、悪心を経験するかもしれず、それ故に、制吐剤を悪心(胃上部)および嘔吐予防のために使用し得る。適当な制吐剤は、アプレピタント(イメンド(登録商標))、オンダンセトロン(ゾフラン(登録商標))、グラニセトロンHCl(カイトリル(登録商標))、ロラゼパム(アチバン(登録商標)、デキサメサゾン(デカドロン(登録商標))、プロクロルペラジン(Compazine(登録商標))、カソピタント(Rezonic(登録商標)およびZunrisa(登録商標))およびこれらの組み合わせを含む。
処置期間中に経験する疼痛を軽減するための医薬が、患者をより快適とするためにしばしば処方される。一般的な一般用医薬品鎮痛剤、例えばタイレノール(登録商標)がしばしば使用される。しかしながら、ヒドロコドン/パラセタモールまたはヒドロコドン/アセトアミノフェン(例えば、バイコジン(登録商標))、モルヒネ(例えば、Astramorph(登録商標)またはAvinza(登録商標))、オキシコドン(例えば、オキシコンチン(登録商標)またはパーコセット(登録商標))、オキシモルホンヒドロクロライド(Opana(登録商標))およびフェンタニル(例えば、デュラゲシク(登録商標))などのオピオイド鎮痛剤も中度または重度疼痛に有用である。
正常細胞を処置毒性から保護し、臓器毒性を制限する努力において、細胞保護剤(例えば神経保護剤、フリーラジカルスカベンジャー、心保護剤、アントラサイクリン血管外漏出中和剤、栄養剤など)を補助剤治療として使用し得る。適当な細胞保護剤は、アミホスチン(Ethyol(登録商標))、グルタミン、ジメスナ(Tavocept(登録商標))、メスナ(Mesnex(登録商標))、デクスラゾキサン(Zinecard(登録商標)またはTotect(登録商標))、キサリプロデン(Xaprila(登録商標))およびロイコボリン(カルシウムロイコボリン、シトロボラム因子およびフォリン酸としても知られる)を含む。コード番号、一般名または商品名により特定した活性化合物の構造は、標準概説書“The Merck Index”の現行版またはデータベース、例えばPatents International(例えばIMS World Publications)からとり得る。
本発明の化合物と組み合わせて使用し得る上記化合物は、上に引用した文献などの文献の記載に従い製造および投与し得る。
ある実施態様において、本発明は、少なくとも1個の本発明の化合物(例えば、本発明の化合物)またはその薬学的に許容される塩を、単独でまたは他の抗癌剤と共にヒトまたは動物対象に投与するのに適する薬学的に許容される担体と共に含む医薬組成物である。
ある実施態様において、本発明は、癌などの細胞増殖性疾患を有するヒトまたは動物対象を処置する方法である。本発明は、対象に治療有効量の本発明の化合物(例えば、本発明の化合物)またはその薬学的に許容される塩、単独でまたは他の抗癌剤と組み合わせて投与することを含む、処置を必要とするヒトまたは動物対象の処置方法である。
特に、組成物を、組み合わせ治療として一緒に製剤しても、別々に投与してもよい。
組み合わせ治療において、本発明の化合物および他の抗癌剤を、同時に、一緒にまたは特定の時間制限なく逐次的に投与してよく、ここで、このような投与が患者体内で2化合物の治療的効果的レベルを提供する。
好ましい実施態様において、本発明の化合物および他の抗癌剤を、一般に、何れかの順序で点滴または経口で逐次的に投与する。投与レジメンは、疾患のステージ、患者の身体的適応度、個々の薬物の安全性プロファイルおよび個々の薬物の耐容性、ならびに組み合わせを投与する担当医師および医療従事者に周知の他の基準により変わり得る。本発明の化合物および他の抗癌剤を、処置に使用する特定のサイクルにより、互いに数分内に、数時間、数日または数週離れて投与し得る。さらに、サイクルは、処置サイクル中一方の薬物を他方の薬物より多くおよび薬物の投与あたり異なる用量で投与することを含む。
本発明の他の態様において、ここに開示する1以上の本発明の化合物および組み合わせパートナーを含むキットが提供される。代表的キットは、(a)本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、(b)例えば、上記の少なくとも1個の組み合わせパートナーを含み、ここで、このようなキットは添付文書または投与指示を含むたのラベルを含み得る。
本発明の化合物は、既知治療方法、例えば、ホルモンまたは特に放射線の適用と組み合わせてまた有利に使用され得る。本発明の化合物は、特に放射線増感剤として、特に放射線療法に低感受性を示す腫瘍の処置のために使用し得る。
ある実施態様において、対象は、CAR発現細胞の投与と関連する副作用を軽減または改善する薬剤を投与され得る。CAR発現細胞投与と関連する副作用は、CRSおよび血球貪食性リンパ組織球症(HLH)、別名マクロファージ活性化症候群(MAS)を含むが、これらに限定されない。CRSの症状は、高熱、悪心、一過性低血圧、低酸素症などを含む。CRSは、発熱、疲労、摂食障害、筋肉痛、関節痛(arthalgias)、悪心、嘔吐および頭痛などの臨床的体質的徴候および症状を含み得る。CRSは、発疹などの臨床的皮膚徴候および症状を含み得る。CRSは、悪心、嘔吐および下痢などの臨床的消化器徴候および症状を含み得る。CRSは、頻呼吸および低酸素血症などの臨床的呼吸器徴候および症状を含み得る。CRSは、高窒素血症などの頻脈、脈圧拡大、低血圧、心拍出量増加(初期)およびおそらく心拍出量減少(後期)などの臨床的心血管徴候および症状を含み得る。CRSは、高d-二量体、出血を伴うまたは伴わない低フィブリノーゲン血症などの臨床的凝固徴候および症状を含み得る。CRSは、臨床的腎臓徴候および症状を含み得る。CRSは高トランスアミナーゼ血症および高ビリルビン血症などの臨床的肝臓徴候および症状を含み得る。CRSは、頭痛、精神状態変化、混乱、譫妄、喚語困難またはフランク失語症、幻覚、振戦、測定異常、歩調変化および発作などの臨床的神経性徴候および症状を含む。
従って、ここに記載する方法は、ここに記載するCAR発現細胞を対象に投与し、さらにCAR発現細胞での処置に起因する可溶性因子のレベル上昇を管理する1以上の薬剤を投与することを含む。ある実施態様において、対象で上昇する可溶性因子は、IFN-γ、TNFα、IL-2およびIL-6の1以上である。ある実施態様において、対象で上昇する因子は、IL-1、GM-CSF、IL-10、IL-8、IL-5およびフラクタルカインの1以上である。それ故に、この副作用処置のために投与する薬剤は、これら可溶性因子の1以上を中和する薬剤であり得る。ある実施態様において、これらの可溶性形態の1以上を中和する薬剤は抗体またはその抗原結合フラグメントである。このような薬剤の例は、ステロイド(例えば、コルチコステロイド)、TNFα阻害剤およびIL-6阻害剤を含むが、これらに限定されない。TNFα阻害剤の例は、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴールおよびゴリムマブなどの、抗TNFα抗体分子である。TNFα阻害剤の他の例は、エタネルセプトなどの融合タンパク質である。小分子TNFα阻害剤は、キサンチン誘導体(例えばペントキシフィリン)およびブプロピオンを含むが、これらに限定されない。IL-6阻害剤の例は、トシリズマブ(toc)、サリルマブ、elsilimomab、CNTO 328、ALD518/BMS-945429、CNTO 136、CPSI-2364、CDP6038、VX30、ARGX-109、FE301およびFM101などの抗IL-6抗体分子を含む。ある実施態様において、抗IL-6抗体分子はトシリズマブである。IL-1Rベースの阻害剤の例はアナキンラである。
ある実施態様において、対象は、数ある中で、例えば、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾンなどのコルチコステロイドを投与される。
ある実施態様において、対象は、例えば、ノルエピネフリン、ドーパミン、フェニレフリン、エピネフリン、バソプレシンまたはこれらの組み合わせなどの、昇圧剤を投与される。
ある実施態様において、対象は、解熱剤を投与され得る。ある実施態様において、対象は鎮痛剤を投与され得る。
ある実施態様において、対象は、CAR発現細胞の活性または適応度を増強する薬剤を投与され得る。例えば、ある実施態様において、薬剤は、T細胞機能を調節または制御、例えば阻害する分子を阻害する薬剤であり得る。ある実施態様において、T細胞機能を調節または制御する分子は阻害性分子である。阻害性分子、例えば、プログラム死1(PD-1)は、ある実施態様において、CAR発現細胞が免疫エフェクター応答を開始する能力を減少させる。阻害性分子の例は、PD-1、PD-L1、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシンおよびTGFRベータを含む。例えば、DNA、RNAまたはタンパク質レベルでの阻害により、T細胞機能を調節または制御、例えば阻害する分子の阻害は、CAR発現細胞性能を最適化し得る。ある実施態様において、例えば、ここに記載の、薬剤、例えば、阻害性核酸、例えば、阻害性核酸、例えば、阻害性核酸、例えば、dsRNA、例えば、siRNAまたはshRNA、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)、転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)または亜鉛フィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)を、CAR発現細胞における阻害性分子発現阻害に使用し得る。ある実施態様において、阻害剤はshRNAである。
ある実施態様において、T細胞機能を調節または制御、例えば阻害する薬剤はCAR発現細胞内で阻害される。これらの実施態様において、T細胞機能を調節または制御、例えば阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子は、CARの成分、例えば、成分全部をコードする核酸に結合される。ある実施態様において、T細胞機能を調節または制御、例えば阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、プロモーター、例えば、H1またはU6由来プロモーターに、T細胞機能を調節または制御、例えば阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子が発現される、例えば、CAR発現細胞内で発現されるように、操作可能に連結される。例えば、Tiscornia G., “Development of Lentiviral Vectors Expressing siRNA,” Chapter 3, in Gene Transfer: Delivery and Expression of DNA and RNA (eds. Friedmann and Rossi). Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, USA, 2007; Brummelkamp TR, et al. (2002) Science 296: 550-553; Miyagishi M, et al. (2002) Nat. Biotechnol. 19: 497-500参照。ある実施態様において、T細胞機能を調節または制御、例えば阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、CARの成分、例えば、全成分をコードする核酸分子を含むのと同じベクター、例えば、レンチウイルスベクターに存在する。このような実施態様において、T細胞機能を調節または制御、例えば阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、ベクター、例えば、レンチウイルスベクターでCARの成分、例えば、全成分をコードする核酸の5’または3’に位置する。T細胞機能を調節または制御、例えば阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、CARの成分、例えば、全成分をコードする核酸と同一または異なる方向で転写され得る。ある実施態様において、T細胞機能を調節または制御、例えば阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、CARの成分、例えば、全成分をコードする核酸分子を含むベクターと異なるベクターに存在する。ある実施態様において、T細胞機能を調節または制御、例えば阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、CAR発現細胞内で一過性に発現される。ある実施態様において、T細胞機能を調節または制御、例えば阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、CAR発現細胞のゲノムに安定に統合される。CARの成分、例えば、全成分を、T細胞機能を調節または制御、例えば阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子と共に発現する例示的ベクターの配置は、例えば、引用により本明細書に包含させる2014年12月19日出願の国際公開WO2015/090230号の図47に提供される。
T細胞機能を調節または制御、例えば阻害する分子がPD-1であるときのT細胞機能を調節または制御、例えば阻害する分子の発現阻害に有用なdsRNA分子の例は、例えば、引用により本明細書に包含させる2014年12月19日出願の国際公開WO2015/090230号のパラグラフ[00489]および表16および17に記載する、PD-1を標的とするRNAidである。
ある実施態様において、T細胞機能を調節または制御、例えば阻害する薬剤は、例えば、阻害性分子に結合する抗体または抗体フラグメントであり得る。例えば、薬剤は、PD-1、PD-L1、PD-L2またはCTLA4に結合する抗体または抗体フラグメントである(例えば、イピリムマブ(MDX-010およびMDX-101とも称され、ヤーボイ(登録商標)として市販;Bristol-Myers Squibb;トレメリムマブ(Pfizerから入手可能なIgG2モノクローナル抗体、以前はチシリムマブ、CP-675,206として知られる))。ある実施態様において、薬剤は、TIM3に結合する抗体または抗体フラグメントである。ある実施態様において、薬剤は、LAG3に結合する抗体または抗体フラグメントである。
PD-1は、CD28、CTLA-4、ICOSおよびBTLAも含む受容体のCD28ファミリーの阻害性メンバーである。PD-1は活性化B細胞、T細胞および骨髄細胞に発現される(Agata et al. 1996 Int. Immunol 8:765-75)。PD-1の2リガンド、PD-L1およびPD-L2がPD-1への結合によりT細胞活性化を下方制御することが示されている(Freeman et a. 2000 J Exp Med 192:1027-34; Latchman et al. 2001 Nat Immunol 2:261-8; Carter et al. 2002 Eur J Immunol 32:634-43)。PD-L1はヒト癌で豊富である(Dong et al. 2003 J Mol Med 81:281-7; Blank et al. 2005 Cancer Immunol. Immunother 54:307-314; Konishi et al. 2004 Clin Cancer Res 10:5094)。免疫抑制は、PD1とPD-L1の局所相互作用阻害により回復され得る。PD-1、PD-L1およびPD-L2の抗体、抗体フラグメントおよび他の阻害剤が当分野で利用可能であり、ここに記載するCARと組み合わせて使用され得る。例えば、ニボルマブ(BMS-936558またはMDX1106とも称される;Bristol-Myers Squibb)は、PD-1を特異的に遮断する完全ヒトIgG4モノクローナル抗体である。PD-1に特異的に結合するニボルマブ(クローン5C4)および他のヒトモノクローナル抗体は、US8,008,449号およびWO2006/121168号に開示される。ピジリズマブ(CT-011;Cure Tech)は、PD-1に結合するヒト化IgG1kモノクローナル抗体である。ピジリズマブおよび他のヒト化抗PD-1モノクローナル抗体はWO2009/101611号に開示される。ペムブロリズマブ(以前はランブロリズマブとして知られ、MK03475とも称される;Merck)は、PD-1に結合するヒト化IgG4モノクローナル抗体である。ペムブロリズマブおよび他のヒト化抗PD-1抗体は、US8,354,509号およびWO2009/114335号に開示される。AMP-224(B7-DCIg;Amplimmune;例えば、WO2010/027827号およびWO2011/066342号に開示)は、PD-1およびB7-H1の相互作用を遮断するPD-L2 Fc融合可溶性受容体である。他の抗PD-1抗体は、AMP 514(Amplimmune)、とりわけ、例えば、US8,609,089号、US2010028330号および/またはUS20120114649号に開示の抗PD-1抗体を含む。
ある実施態様において、抗PD-1抗体またはそのフラグメントは、引用によりその全体を本明細書に包含させる、“PD-1に対する抗体分子およびその使用”なる表題のUS2015/0210769号に記載の抗PD-1抗体分子である。ある実施態様において、抗PD-1抗体分子は、BAP049-hum01、BAP049-hum02、BAP049-hum03、BAP049-hum04、BAP049-hum05、BAP049-hum06、BAP049-hum07、BAP049-hum08、BAP049-hum09、BAP049-hum10、BAP049-hum11、BAP049-hum12、BAP049-hum13、BAP049-hum14、BAP049-hum15、BAP049-hum16、BAP049-Clone-A、BAP049-Clone-B、BAP049-Clone-C、BAP049-Clone-DまたはBAP049-Clone-Eの何れかから選択される抗体からの重および軽鎖可変領域からの少なくとも1、2、3、4、5または6CDR(または集合的にCDR全部);またはUS2015/0210769の表1に記載されるまたは表におけるヌクレオチド配列によりコードされるまたは前記配列の何れかと実質的に同一(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%またはそれ以上同一)である配列;または密接に関連するCDR、例えば、同一であるかまたは少なくとも1アミノ酸改変を含むが、改変(例えば、置換、欠失または挿入、例えば、保存的置換)が2、3または4を超えないCDRを含む。
さらに他の実施態様において、抗PD-1抗体分子は、ここに記載する抗体、例えば、BAP049-hum01、BAP049-hum02、BAP049-hum03、BAP049-hum04、BAP049-hum05、BAP049-hum06、BAP049-hum07、BAP049-hum08、BAP049-hum09、BAP049-hum10、BAP049-hum11、BAP049-hum12、BAP049-hum13、BAP049-hum14、BAP049-hum15、BAP049-hum16、BAP049-Clone-A、BAP049-Clone-B、BAP049-Clone-C、BAP049-Clone-DまたはBAP049-Clone-Eの何れかから選択される抗体からの少なくとも1、2、3または4可変領域;またはUS2015/0210769の表1に記載されるまたは表におけるヌクレオチド配列によりコードされる;または前記配列の何れかと実質的に同一(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%またはそれ以上同一)である配列を含む。
TIM3(T細胞免疫グロブリン-3)も、特にIFN-g分泌CD4Tヘルパー1およびCD8T細胞毒性1細胞においてT細胞機能を負に制御し、T細胞消耗に重要な役割を有する。TIM3とそのリガンド、例えば、ガレクチン-9(Gal9)、ホスホチジルセリン(PS)およびHMGB1の相互作用の阻害は免疫応答を増加させ得る。TIM3およびそのリガンドの抗体、抗体フラグメントおよび他の阻害剤は当分野で利用可能であり、ここに記載するCD19 CARと組み合わせて使用され得る。例えば、TIM3を標的とする抗体、抗体フラグメント、小分子またはペプチド阻害剤は、そのリガンドとの相互作用阻害のためにTIM3のIgVドメインと結合する。TIM3を阻害する抗体およびペプチドは、WO2013/006490号およびUS20100247521号に開示される。他の抗TIM3抗体は、RMT3-23のヒト化バージョン(Ngiow et al., 2011, Cancer Res, 71:3540-3551に開示)およびクローン8B.2C12(Monney et al., 2002, Nature, 415:536-541に開示)を含む。TIM3およびPD-1を阻害する二特異的抗体はUS20130156774号に開示される。
ある実施態様において、抗TIM3抗体またはそのフラグメントは、引用によりその全体を本明細書に包含させる、“TIM3に対する抗体分子およびその使用”なる表題のUS2015/0218274号に記載の抗TIM3抗体分子である。ある実施態様において、抗TIM3抗体分子は、ABTIM3、ABTIM3-hum01、ABTIM3-hum02、ABTIM3-hum03、ABTIM3-hum04、ABTIM3-hum05、ABTIM3-hum06、ABTIM3-hum07、ABTIM3-hum08、ABTIM3-hum09、ABTIM3-hum10、ABTIM3-hum11、ABTIM3-hum12、ABTIM3-hum13、ABTIM3-hum14、ABTIM3-hum15、ABTIM3-hum16、ABTIM3-hum17、ABTIM3-hum18、ABTIM3-hum19、ABTIM3-hum20、ABTIM3-hum21、ABTIM3-hum22、ABTIM3-hum23の何れかから選択される抗体からの重および軽鎖可変領域からの少なくとも1、2、3、4、5または6CDR(または集合的にCDR全部);またはUS2015/0218274号の表1~4に記載の;または表1~4におけるヌクレオチド配列によりコードされる;;または前記配列の何れかと実質的に同一(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%またはそれ以上同一)である配列または密接に関連するCDR、例えば、同一であるかまたは少なくとも1アミノ酸改変を含むが、改変(例えば、置換、欠失または挿入、例えば、保存的置換)が2、3または4を超えないCDRを含む。
さらに他の実施態様において、抗TIM3抗体分子は、ここに記載する抗体、例えば、ABTIM3、ABTIM3-hum01、ABTIM3-hum02、ABTIM3-hum03、ABTIM3-hum04、ABTIM3-hum05、ABTIM3-hum06、ABTIM3-hum07、ABTIM3-hum08、ABTIM3-hum09、ABTIM3-hum10、ABTIM3-hum11、ABTIM3-hum12、ABTIM3-hum13、ABTIM3-hum14、ABTIM3-hum15、ABTIM3-hum16、ABTIM3-hum17、ABTIM3-hum18、ABTIM3-hum19、ABTIM3-hum20、ABTIM3-hum21、ABTIM3-hum22、ABTIM3-hum23の何れかから選択される抗体からの少なくとも1、2、3または4可変領域;またはUS2015/0218274号の表1~4に記載の;または表1~4におけるヌクレオチド配列によりコードされる;;または前記配列の何れかと実質的に同一(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%またはそれ以上同一)である配列を含む。
他の実施態様において、CAR発現細胞の活性を増強する薬剤は、CEACAM阻害剤(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5阻害剤)である。ある実施態様において、CEACAMの阻害剤は、抗CEACAM抗体分子である。抗CEACAM-1抗体の例は、WO2010/125571号、WO2013/082366号、WO2014/059251号およびWO2014/022332号に開示され、例えば、モノクローナル抗体34B1、26H7および5F4;または、例えば、US2004/0047858号、US7,132,255号およびWO99/052552号に記載の、その組み換え形態である。他の実施態様において、抗CEACAM抗体は、例えば、Zheng et al. PLoS One. 2010 Sep 2;5(9). pii: e12529 (DOI:10:1371/journal.pone.0021146)に記載のとおり、CEACAM-5に結合するまたは例えば、WO2013/054331号およびUS2014/0271618号に記載のとおり、CEACAM-1およびCEACAM-5と交差反応する。
理論に拘束されることを願わないが、癌胎児性抗原細胞接着分子(CEACAM)、例えば、CEACAM-1およびCEACAM-5は、少なくとも一部、抗腫瘍免疫応答の阻害に介在すると考えられる(例えば、Markel et al. J Immunol. 2002 Mar 15;168(6):2803-10; Markel et al. J Immunol. 2006 Nov 1;177(9):6062-71; Markel et al. Immunology. 2009 Feb;126(2):186-200; Markel et al. Cancer Immunol Immunother. 2010 Feb;59(2):215-30; Ortenberg et al. Mol Cancer Ther. 2012 Jun;11(6):1300-10; Stern et al. J Immunol. 2005 Jun 1;174(11):6692-701; Zheng et al. PLoS One. 2010 Sep 2;5(9). pii: e12529参照)。例えば、CEACAM-1は、TIM-3のヘテロ親和性リガンドとしておよびTIM-3介在T細胞耐容性および消耗に役割を有すると記載されている(例えば、WO2014/022332号;Huang, et al. (2014) Nature doi:10.1038/nature13848参照)。ある実施態様において、CEACAM-1およびTIM-3の共遮断は、異種移植結腸直腸癌モデルにおける抗腫瘍免疫応答を増強することが示されている(例えば、WO2014/022332号;Huang, et al. (2014), supra参照)。他の実施態様において、CEACAM-1およびPD-1の共遮断は、例えば、WO2014/059251号に記載のとおり、T細胞耐容性を減少させる。それ故に、CEACAM阻害剤をここに記載する他の免疫調節剤(例えば、抗PD-1および/または抗TIM-3阻害剤と共に使用して、ここに記載する癌、例えば、黒色腫、肺癌(例えば、NSCLC)、膀胱癌、結腸癌、卵巣癌および他の癌に対する免疫応答を増強し得る。
LAG3(リンパ球活性化遺伝子-3またはCD223)は、CD8T細胞消耗における役割を有することが示されている、活性化T細胞およびB細胞に発現される細胞表面分子である。LAG3およびそのリガンドの抗体、抗体フラグメントおよび他の阻害剤は当分野で利用可能であり、ここに記載するCD19 CARと組み合わせて使用し得る。例えば、BMS-986016(Bristol-Myers Squib)は、LAG3を標的とするモノクローナル抗体である。IMP701(Immutep)はアンタゴニストLAG3抗体であり、IMP731(ImmutepおよびGlaxoSmithKline)は枯渇性LAG3抗体である。他のLAG3阻害剤は、MHCクラスII分子に結合し、抗原提示細胞(APC)を活性化する、LAG3の可溶性部分およびIgの組み換え融合タンパク質である、IMP321(Immutep)である。他の抗体は、例えば、WO2010/019570号に開示される。
ある実施態様において、抗LAG3抗体またはそのフラグメントは、引用によりその全体を本明細書に包含させる、“LAG3に対する抗体分子およびその使用”なる表題のUS2015/0259420号に記載の抗LAG3抗体分子である。ある実施態様において、抗LAG3抗体分子は、BAP050-hum01、BAP050-hum02、BAP050-hum03、BAP050-hum04、BAP050-hum05、BAP050-hum06、BAP050-hum07、BAP050-hum08、BAP050-hum09、BAP050-hum10、BAP050-hum11、BAP050-hum12、BAP050-hum13、BAP050-hum14、BAP050-hum15、BAP050-hum16、BAP050-hum17、BAP050-hum18、BAP050-hum19、BAP050-hum20、huBAP050(Ser)(例えば、BAP050-hum01-Ser、BAP050-hum02-Ser、BAP050-hum03-Ser、BAP050-hum04-Ser、BAP050-hum05-Ser、BAP050-hum06-Ser、BAP050-hum07-Ser、BAP050-hum08-Ser、BAP050-hum09-Ser、BAP050-hum10-Ser、BAP050-hum11-Ser、BAP050-hum12-Ser、BAP050-hum13-Ser、BAP050-hum14-Ser、BAP050-hum15-Ser、BAP050-hum18-Ser、BAP050-hum19-SerまたはBAP050-hum20-Ser)、BAP050-Clone-F、BAP050-Clone-G、BAP050-Clone-H、BAP050-Clone-IまたはBAP050-Clone-Jの何れかから選択される抗体からの重および軽鎖可変領域からの少なくとも1、2、3、4、5または6CDR(または集合的にCDR全部);またはUS2015/0259420号の表1に記載の;または表1におけるヌクレオチド配列によりコードされる;または前記配列の何れかと実質的に同一(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%またはそれ以上同一)である配列または密接に関連するCDR、例えば、同一であるかまたは少なくとも1アミノ酸改変を含むが、改変(例えば、置換、欠失または挿入、例えば、保存的置換)が2、3または4を超えないCDRを含む。
さらに他の実施態様において、抗LAG3抗体分子は、ここに記載する抗体、例えば、BAP050-hum01、BAP050-hum02、BAP050-hum03、BAP050-hum04、BAP050-hum05、BAP050-hum06、BAP050-hum07、BAP050-hum08、BAP050-hum09、BAP050-hum10、BAP050-hum11、BAP050-hum12、BAP050-hum13、BAP050-hum14、BAP050-hum15、BAP050-hum16、BAP050-hum17、BAP050-hum18、BAP050-hum19、BAP050-hum20、huBAP050(Ser)(例えば、BAP050-hum01-Ser、BAP050-hum02-Ser、BAP050-hum03-Ser、BAP050-hum04-Ser、BAP050-hum05-Ser、BAP050-hum06-Ser、BAP050-hum07-Ser、BAP050-hum08-Ser、BAP050-hum09-Ser、BAP050-hum10-Ser、BAP050-hum11-Ser、BAP050-hum12-Ser、BAP050-hum13-Ser、BAP050-hum14-Ser、BAP050-hum15-Ser、BAP050-hum18-Ser、BAP050-hum19-SerまたはBAP050-hum20-Ser)、BAP050-Clone-F、BAP050-Clone-G、BAP050-Clone-H、BAP050-Clone-IまたはBAP050-Clone-Jの何れかから選択される抗体からの少なくとも1、2、3または4可変領域;またはUS2015/0259420号の表1に記載の;または表1におけるヌクレオチド配列によりコードされる;または前記配列の何れかと実質的に同一(例えば、少なくとも80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、99%またはそれ以上同一)である配列を含む。ある実施態様において、CAR発現細胞の活性を増強する薬剤は、例えば、第一ドメインおよび第二ドメインを含む融合タンパク質であり、ここで、第一ドメインは阻害性分子またはそのフラグメントであり、第二ドメインは正のシグナルと関連するポリペプチド、例えば、ここに記載する細胞内シグナル伝達ドメインを含むポリペプチドであり得る。ある実施態様において、正のシグナルと関連するポリペプチドは、例えば、ここに記載する、CD28、CD27、ICOSの共刺激ドメイン、例えば、CD28、CD27および/またはICOSの細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または、例えば、CD3ゼータの一次シグナル伝達ドメインを含み得る。ある実施態様において、融合タンパク質は、CARを発現するのと同じ細胞で発現される。他の実施態様において、融合タンパク質は、本発明のCARを発現しない細胞、例えば、T細胞により発現される。
ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞の活性を増強する薬剤はmiR-17-92である。
ある実施態様において、ここに記載するCARの活性を増強する薬剤はサイトカインである。サイトカインは、T細胞増大、分化、生存および恒常性に関連する重要な機能を有する。ここに記載するCAR発現細胞を受ける対象に投与され得るサイトカインは、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15、IL-18およびIL-21またはこれらの組み合わせを含む。好ましい実施態様において、投与するサイトカインはIL-7、IL-15またはIL-21またはこれらの組み合わせである。サイトカインは1日1回または1日1回以上、例えば、1日2回、1日3回または1日4回投与され得る。サイトカインは、1日を超えて投与してよく、例えばサイトカインを2日、3日、4日、5日、6日、1週、2週、3週または4週投与する。例えば、サイトカインは、1日1回、7日投与される。
ある実施態様において、サイトカインを、ここに記載する組み合わせ、例えば、メソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤と組み合わせて投与する。サイトカインはCAR発現細胞と同時にまたは一緒に投与してよく、例えば、同日に投与される。サイトカインはCAR発現細胞と同じ医薬組成物に製造されてよくまたは別の医薬組成物に製造され得る。あるいは、サイトカインを、CAR発現細胞投与直後、例えば、CAR発現T細胞投与1日、2日、3日、4日、5日、6日または7日後に投与してよい。サイトカインを1日を超えて行う投与レジメンにおいて投与するある実施態様において、サイトカイン投与レジメンの初日CAR発現細胞投与と同実であってよくまたはサイトカイン投与レジメンの一日目は、CAR発現細胞1日、2日、3日、4日、5日、6日または7日後であり得る。ある実施態様において、一日目に、CAR発現細胞を対象に投与し、二日目に、サイトカインを1日1回、その後7日投与する。好ましい実施態様において、CAR発現細胞と組み合わせて投与するサイトカインはIL-7、IL-15またはIL-21である。
他の実施態様において、サイトカインを、CAR発現細胞投与一定期間後、例えば、CAR発現細胞投与少なくとも2週、3週、4週、6週、8週、10週、12週、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月または1年またはそれ以上後に投与する。ある実施態様において、サイトカインを、CAR発現細胞に対する対象の応答の評価後に投与する。例えば、対象に、CAR発現細胞をここに記載する用量およびレジメンに従って投与する。CART治療に対する対象の応答を、CAR発現細胞投与2週、3週、4週、6週、8週、10週、12週、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月または1年またはそれ以上後、腫瘍増殖阻害、循環腫瘍細胞減少または腫瘍退縮を含むここに記載する方法の何れかを使用して評価する。CAR発現細胞治療に十分な応答を示さない対象に、サイトカインを投与し得る。CAR発現細胞治療に対する最適以下の応答の対象へのサイトカイン投与は、CAR発現細胞有効性または抗腫瘍活性を改善する。好ましい実施態様において、CAR発現細胞投与後投与されるサイトカインはIL-7である。
低用量のmTOR阻害剤との組み合わせ
ある実施態様において、ここに記載する組み合わせ、例えば、メソテリンCAR発現細胞およびPD-L1阻害剤を、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤と組み合わせて投与する。
他の実施態様において、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤の投与は、例えば、非処置CAR発現細胞または非処置対象と比較して、例えば、培養または対象における、CAR発現細胞の増殖増加または延長をもたらす。ある実施態様において、増殖増加は、CAR発現細胞数の増加と関係する。増殖増加または延長を測定する方法は、ここでの実施例に記載される。他の実施態様において、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤の投与は、例えば、非処置CAR発現細胞または非処置対象と比較して、例えば、培養または対象における、CAR発現細胞による癌細胞殺滅増加をもたらす。ある実施態様において、癌細胞殺滅増加は、腫瘍体積減少と関連する。
ある実施態様において、CAR分子、例えば、ここに記載するCAR分子を発現する細胞を、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤、例えば、アロステリックmTOR阻害剤、例えば、RAD001または触媒的mTOR阻害剤と組み合わせて投与する。例えば、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤投与は、ここに記載するCAR発現細胞の投与前に開始され、ここに記載するCAR発現細胞の投与前に完了し、ここに記載するCAR発現細胞の投与と同時に開始され、ここに記載するCAR発現細胞の投与と重複し、またはここに記載するCAR発現細胞の投与後継続され得る。
これとは別にまたはこれに加えて、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤の投与は、ここに記載するCAR分子の発現を最適化するために改変される免疫エフェクター細胞を最適化し得る。このような実施態様において、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤、例えば、アロステリック阻害剤、例えば、RAD001または触媒的阻害剤の投与は、対象から、ここに記載するCAR分子を発現するように改変する免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞またはNK細胞の採取前に開始または完了する。
他の実施態様において、例えば、対象から最初後にここに記載するCAR分子を発現するよう改変する免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞またはNK細胞または例えば、対象への投与前のCAR発現免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞またはNK細胞を、低い、免疫増強用量のmTOR阻害剤存在下、培養してよい。
ここで使用する用語“mTOR阻害剤”は、細胞におけるmTORキナーゼを阻害する化合物またはリガンドまたはその薬学的に許容される塩をいう。ある実施態様において、mTOR阻害剤はアロステリック阻害剤である。ある実施態様において、mTOR阻害剤は触媒的阻害剤である。
アロステリックmTOR阻害剤は、中性三環式化合物ラパマイシン(シロリムス)、例えば、ラパマイシン誘導体、ラパマイシンアナログ(ラパログとも称される)を含む、ラパマイシンと構造的および機能的類似性を有する化合物であるラパマイシン関連化合物およびmTOR活性を阻害する他のマクロライド化合物を含む。
ラパマイシンは、ストレプトマイセス・ヒグロスコピクスにより産生される、式Aで示される構造を有する既知マクロライド抗生物質である。
他の適当なラパマイシンアナログは、エベロリムス(アフィニトール(登録商標))としても知られ、化学名(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28E,30S,32S,35R)-1,18-ジヒドロキシ-12-{(1R)-2-[(1S,3R,4R)-4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メトキシシクロヘキシル]-1-メチルエチル}-19,30-ジメトキシ-15,17,21,23,29,35-ヘキサメチル-11,36-ジオキサ-4-アザ-トリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ-16,24,26,28-テトラエン-2,3,10,14,20-ペンタオンを有するRAD001、シロリムス(ラパマイシン、AY-22989)、40-[3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロパノエート]-ラパマイシン(テムシロリムスまたはCCI-779とも称される)およびリダフォロリムス(AP-23573/MK-8669)を含むが、これらに限定されない。アロステリックmTOR阻害剤の他の例は、引用により内容を本明細書に包含させるUS2005/0101624号に記載のゾタロリムス(ABT578)およびウミロリムスを含む。他の適当なmTOR阻害剤は、引用によりその全体を本明細書に包含させる、2015年3月13日出願の国際公開WO2015/142675号のパラグラフ946~964に記載される。低い、免疫増強量のmTOR阻害剤、低用量のmTOR阻害剤と関連するmTOR阻害の適当なレベル、mTOR阻害レベルを検出する方法およびその適当な医薬組成物は、引用によりその全体を本明細書に包含させる、2015年3月13日出願の国際公開WO2015/142675号のパラグラフ936~945および965~1003に記載される。
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、ここに記載するCAR発現細胞、例えば、複数のCAR発現細胞を、1以上の薬学的にまたは生理学的に許容される担体、希釈剤または添加物と組み合わせて含み得る。このような組成物は、中性緩衝化食塩水、リン酸緩衝化食塩水などの緩衝液;グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン、マンニトールなどの炭水化物;タンパク質;グリシンなどのポリペプチドまたはアミノ酸;抗酸化剤;EDTAまたはグルタチオンなどのキレート剤;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);および防腐剤を含み得る。本発明の組成物は、ある態様で静脈内投与用に製剤される。
本発明の医薬組成物を、処置(または予防)する疾患に適する方法で投与し得る。投与の量および頻度は患者状態ならびに患者疾患のタイプおよび重症度などの因子により決定するが、適切な投与量は治験により決定され得る。
ある実施態様において、医薬組成物は、例えば、エンドトキシン、マイコプラズマ、複製コンピテントレンチウイルス(RCL)、p24、VSV-G核酸、HIV gag、残存抗CD3/抗CD28被覆ビーズ、マウス抗体、貯蔵ヒト血清、ウシ血清アルブミン、ウシ血清、培養培地成分、ベクターパッケージング細胞またはプラスミド成分、細菌および真菌からなる群から選択される、汚染物が実質的にない、例えば、検出可能レベルでない。ある実施態様において、細菌は、アルガリゲネス・フェカリス、カンジダ・アルビカンス、エシェリキア・コリ、ヘモフィルス・インフルエンザエ、ナイセリア・メニンギティディス、シュードモナス・エルジノーサ、スタフィロコッカス・アウレウス、ストレプトコッカス・ニューモニエおよびストレプトコッカス・ピオゲネスA群からなる群から選択される少なくとも一つである。
処置方法
“免疫学的有効量”、“効果的用量”、“抗癌有効量”、“癌阻害有効量”または“治療量”をいうとき、本発明の組成物の投与すべき厳密な量は、患者(対象)の年齢、体重、腫瘍サイズ、感染または転移の程度および状態の個々の差異を考慮して、医師により決定され得る。
対象に投与すべき上記処置の投与量は、処置する状態および処置のレシピエントの厳密な性質により変わる。ヒト投与のための投与量のスケーリングは、当分野で認められる実務により決定され得る。キャンパスの用量は、例えば、一般に成人患者で1~約100mg範囲であり、通常1~30日の期間連日投与される。好ましい一日用量は1日あたり1~10mgであるが、ある場合、最大1日40mgまでの高用量を使用し得る(米国特許6,120,766号に記載)。
ここに記載する組成物の投与は、エアロゾル吸入、注射、摂取、点滴、インプラントまたは移植を含む、何れかの慣用の方式により実施され得る。ここに記載する組成物は、患者に経動脈、皮下、皮内、腫瘍内、結節内、髄内、筋肉内、静脈内(i.v.)または腹腔内注射により投与され得る。ある実施態様において、例えば、CAR発現細胞および/またはPD-L1阻害剤を含む、ここに記載する組成物は、患者に皮内または皮下注射により投与される。ある実施態様において、例えば、CAR発現細胞および/またはPD-L1阻害剤を含む、ここに記載する組成物は、i.v.注射により投与される。例えば、CAR発現細胞および/またはPD-L1阻害剤を含む、ここに記載する組成物は、腫瘍、リンパ節または感染部位に直接注射され得る。
一般にここに記載する免疫エフェクター細胞を含む医薬組成物を、10~10細胞/kg体重、ある場合10~10細胞/kg体重の、これらの範囲内の全整数値を含む、投与量で投与され得るということができる。免疫エフェクター細胞組成物は、これらの投与量で複数回投与してもよい。細胞を、免疫療法で一般に知られる点滴技法を使用して投与できる(例えば、Rosenberg et al., New Eng. J. of Med. 319:1676, 1988参照)。
ある態様において、活性化免疫エフェクター細胞を対象に投与し、次いで再び採血し(またはアフェレーシスを実施し)、本発明によりそこからの細胞を活性化し、これらの活性化および増大細胞を患者に再注入することが望ましいことがある。この工程を、数週毎に複数回実施し得る。ある態様において、細胞は、10cc~400ccの採血血液から活性化させ得る。ある態様において、細胞を、20cc、30cc、40cc、50cc、60cc、70cc、80cc、90ccまたは100ccの採血血液から活性化させる。
特定の例示的態様において、対象を白血球除去に付し、ここで、白血球を採取し、エクスビボで富化または枯渇して、目的の細胞、例えば、T細胞を選択および/または単離する。これらのT細胞単離物を、1以上の本発明のCAR構築物が導入され、それにより、本発明のCAR T細胞が産生されるように、当分野で知られる方法により増大し、処置し得る。これを必要とする対象は、その後、高用量化学療法と続く末梢血幹細胞移植の標準処置に付され得る。ある態様において、移植の後または同時に、対象は、本発明の増大CAR発現細胞の点滴を受け得る。付加的態様において、増大細胞を手術の前または後に投与する。
ある実施態様において、CARを、例えば、インビトロ転写を使用して、免疫エフェクター細胞に導入し、対象は本発明のCAR発現細胞の最初の投与および本発明のCAR発現細胞のその後の投与を受け、ここで、1以上のその後の投与は、先の投与後15日以内、例えば、14日、13日、12日、11日、10日、9日、8日、7日、6日、5日、4日、3日または2日以内に投与する。ある実施態様において、本発明のCAR発現細胞の1を超える投与を、週あたり対象(例えば、ヒト)に投与し、例えば、本発明のCAR発現細胞の2、3または4投与量が週あたり投与される。ある実施態様において、対象(例えば、ヒト対象)は、週あたり1を超えるCAR発現細胞の投与を受け(例えば、週あたり2、3または4投与)(ここではサイクルとも称する)、続いて、1週CAR発現細胞投与がなく、その後CAR発現細胞の1以上のさらなる投与(例えば、週あたりCAR発現細胞の1を超える投与)が対象に投与される。他の実施態様において、対象(例えば、ヒト対象)は1を超えるサイクルのCAR発現細胞を受け、各サイクル間の期間は、10日、9日、8日、7日、6日、5日、4日または3日未満である。ある実施態様において、CAR発現細胞を、週あたり3回、隔日で投与し得る。ある実施態様において、本発明のCAR発現細胞を、少なくとも2週、3週、4週、5週、6週、7週、8週またはそれ以上投与する。
ある実施態様において、ここに記載するCAR発現細胞(例えば、メソテリンCAR発現細胞)の用量は、約1×10、1.1×10、2×10、3.6×10、5×10、1×10、1.8×10、2×10、5×10、1×10、2×10、3×10または5×10細胞/kgを含む。ある実施態様において、CAR細胞(例えば、メソテリンCAR発現細胞)の用量は、少なくとも約1×10、1.1×10、2×10、3.6×10、5×10、1×10、1.8×10、2×10、5×10、1×10、2×10、3×10または5×10細胞/kgを含む。ある実施態様において、CAR細胞(例えば、メソテリンCAR発現細胞)の用量は、最大約1×10、1.1×10、2×10、3.6×10、5×10、1×10、1.8×10、2×10、5×10、1×10、2×10、3×10または5×10細胞/kgを含む。ある実施態様において、CAR細胞(例えば、メソテリンCAR発現細胞)の用量は、約1.1×10~1.8×10細胞/kgを含む。ある実施態様において、CAR細胞(例えば、メソテリンCAR発現細胞)の用量は、約1×10、2×10、5×10、1×10、2×10、3×10、5×10、1×10、2×10または5×10細胞を含む。ある実施態様において、CAR細胞(例えば、例えば、メソテリンCAR発現細胞)の用量は、少なくとも約1×10、2×10、5×10、1×10、2×10、3×10、5×10、1×10、2×10または5×10細胞を含む。ある実施態様において、CAR細胞(例えば、例えば、メソテリンCAR発現細胞)の用量は、最大約1×10、2×10、5×10、1×10、2×10、3×10、5×10、1×10、2×10または5×10細胞を含む。
ある実施態様において、CAR細胞(例えば、メソテリンCAR発現細胞)の用量は、最大約1×10、1.5×10、2×10、2.5×10、3×10、3.5×10、4×10、5×10、1×10、1.5×10、2×10、2.5×10、3×10、3.5×10、4×10、5×10、1×10、2×10または5×10細胞を含む。ある実施態様において、CAR細胞(例えば、メソテリンCAR発現細胞)の用量は、最大約1~3×10~1~3×10を含む。ある実施態様において、対象に、約1~3×10のメソテリンCAR発現細胞を投与する。他の実施態様において、対象に、約1~3×10のメソテリンCAR発現細胞を投与する。
ある態様において、メソテリンCAR発現細胞は、レンチウイルスなどのレンチウイルスウイルスベクターを使用して産生される。この方法で産生されたCAR発現細胞は、安定なCAR発現を有する。
ある態様において、CAR発現細胞は、形質導入後4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、CARベクターを一過性に発現する。CARの一過性発現は、RNA CARベクター送達により行われ得る。ある態様において、CAR RNAは、エレクトロポレーションによりT細胞に形質導入される。
一過性発現CAR発現細胞(特にCAR発現細胞担持マウスscFvを備える)を使用して処置される患者で生じる可能性のある問題は、複数処置後のアナフィラキシーである。
この理論に拘束されることを意図しないが、このようなアナフィラキシー応答は、液性抗CAR応答、すなわち、抗IgEアイソタイプを有する抗CAR抗体を発症する患者が原因であると考えられる。患者の抗体産生細胞は、IgGアイソタイプ(アナフィラキシーの原因ではない)からIgEアイソタイプに、抗原暴露の10~14日中断があったときクラススイッチを受けると考えられる。
患者が一過性CAR治療(例えばRNA形質導入により産生されるもの)の間に抗CAR抗体応答を生ずる高いリスクにあるならば、CAR発現細胞点滴中断は、10~14日を超えて継続してはならない。
ヒト(マウスのかわりに)scFvを備えたCARの使用は、抗CAR応答を有する患者の可能性および強度を軽減させ得る。
PD-L1阻害剤、例えば、抗PD-L1抗体分子の投与量および治療レジメンは、当業者により決定され得る。
PD-L1阻害剤が抗PD-L1抗体分子である、ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、注射(例えば、皮下または静脈内)により、約1~30mg/kg、例えば、約5~25mg/kg、約10~20mg/kg、約1~5mg/kgまたは約3mg/kgの用量で投与される。投与スケジュールは、例えば、週1回~2週、3週または4週に1回まで変化し得る。ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、約10~20mg/kgの用量で隔週投与される。ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、単独または組み合わせで(例えば、抗LAG-3抗体分子と組み合わせで)、約5mg/kgまたはそれ未満;約4mg/kgまたはそれ未満;約3mg/kgまたはそれ未満;約2mg/kgまたはそれ未満;約1mg/kgまたはそれ未満の用量で、隔週投与される。ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、1~5mg/kg隔週;1~4mg/kg隔週、1~3mg/kg隔週または1~2mg/kg隔週の用量で投与される。ある実施態様において、抗PD-L1抗体分子は、単独または組み合わせで(例えば、抗PD-L1抗体分子と組み合わせで)1~5mg/kg隔週;1~4mg/kg隔週、1~3mg/kg隔週または1~2mg/kg隔週の用量で投与される。
抗体分子は当分野で知られる多様な方法により投与され得るが、多くの治療適用について、好ましい投与経路/方式は静脈内注射または点滴である。例えば、抗体分子は、静脈内点滴により、20mg/分を超える速度で、例えば、20~40mg/分および一般に40mg/分以上の速度で約35~440mg/m、一般に約70~310mg/mおよびより一般に、約110~130mg/mの用量に到達させ得る。ある実施態様において、約110~130mg/mの点滴速度は、約3mg/kgのレベルを達成する。他の実施態様において、抗体分子を、10mg/分未満、例えば、5mg/分以下の速度での静脈内点滴により投与し、約1~100mg/m、例えば、約5~50mg/m、約7~25mg/mまたは約10mg/mの用量に到達させる。ある実施態様において、抗体を、30分の時間にわたり点滴する。抗体分子を、10mg/分未満、例えば、5mg/分以下の速度での静脈内点滴により投与し、約1~100mg/m、好ましくは約5~50mg/m、約7~25mg/mおよびより好ましくは、約10mg/mの用量に到達させ得る。投与量値は、軽減される状態のタイプおよび重症度により変わり得ることは注意すべきである。あらゆる特定の対象について、特定の投与量レジメンは経時的に個々の要求および組成物を投与するまたは監督する人の専門的判断により調節すべきであり、ここに示す投与量範囲は単なる例であり、本願組成物の範囲または実施を制限することを意図しないことは理解されるべきである。
本発明を、さらに次の実施例の記載により詳細に説明する。これら実施例は説明のみを目的として提供され、特に断らない限り限定を意図しない。それ故に、本発明は、以下の実施例により限定されると如何なる意味においても解釈されるべきではなく、むしろ、ここに提供される教示の結果として明らかになるすべての変更が包含されると解釈すべきである。
実施例1:膵臓癌におけるMSLN CARTおよびPD-L1阻害剤組み合わせ治療の有効性
PD-L1抗体と組み合わせたメソテリンCART治療の抗腫瘍活性を、膵臓癌マウスモデル、PANC02.03で評価した。PANC02.03マウスモデルにおけるメソテリンCAR治療での先の試験は、メソテリンCAR T細胞が腫瘍で増大および浸潤することを示した。これらの腫瘍浸潤性CAR T細胞のフローサイトメトリーによる分析は、PD-1(図1A参照)およびPD-L1発現を確認した。さらに、PAN02.03癌細胞は、インビトロおよびインビボ両方で試験したとき、PD-L1およびPD-L2を発現した(図1B参照)。
メソテリンCAR T細胞とPDL1阻害の相乗性の試験のための続く実験において、5×10 PANC02.03膵臓腫瘍細胞を、免疫無防備状態NSGマウスの脇腹に皮下にインプラントした。PANC02.03マウスを、CART治療単独、PD-L1治療単独またはCARTとPD-L1阻害剤治療の組み合わせで処置した。PD-L1阻害剤治療のCART治療に対する投与順の抗腫瘍活性に対する影響を、下記実験で評価した。
CART治療前の抗体処置
T細胞を、レンチウイルス形質導入により、M5メソテリンCAR構築物(例えば、表2の配列番号67)を発現するように改変した。対照CAR T細胞を、CD19 CARを発現するよう改変した。マウスを9群に分け、下記投与量および処置スケジュールに従い処置した。4×10 CART細胞の2用量を、腫瘍インプラント後23日および28日目に静脈内注射した。PD-L1抗体を、腫瘍インプラント後21日目、例えば、CART治療48時間前に腹腔内注射した。

マウスを週2回処置投与前に体重測定およびカリパス測定し、腫瘍増殖をモニターした。投与後、マウスを週2回カリパス測定した。試験の最後に、骨髄(BM)、腫瘍および脾臓をFAC分析のために採取する。
図2に示す結果は、mesoCARTとPD-L1阻害剤の組み合わせ治療が、一過性腫瘍退縮とその後の腫瘍静止を示す。組み合わせ処置は、mesoCART単独処置より、腫瘍進行阻止に効果的であることが示された。CD19 CART単独またはPD-L1阻害剤との組み合わせでの処置は、腫瘍進行に効果がなかった。
CART治療後の抗体処置
次の実験において、PD-L1阻害剤治療をメソテリンCART治療後に投与した。4×10 M5 CART細胞を、腫瘍インプラント21日後に投与した。PD-1またはPD-L1抗体を、10mg/kgで毎週i.v.投与し、第一用量をCART投与24時間後に投与した。
処置の腫瘍進行に対する効果を図3に示す。M5 CART治療とPD-L1抗体処置の組み合わせは、僅かなかつ一過性抗腫瘍活性のみを示した。
2実験からのデータを合わせると、CART治療投与前のPD-L1阻害剤が、より強固な抗腫瘍効果を示す。
実施例2:癌患者におけるPD-L1発現
4×10 M5メソテリンCAR陽性T細胞で処置したNSGマウスからのPANC02.03腫瘍をさらに特徴付けるために、さらなる分析を実施した。PANC02.03腫瘍サンプルを、M5メソテリンCARTで処置したマウスから35日目に得た。腫瘍サンプルを腫瘍におけるメソテリンおよびPD-L1発現ならびにCART浸潤およびアポトーシスの分析のために、調製し、連続的切片染色を行った。メソテリン抗体、抗PD-L1抗体(#SP263, Ventana Medical Systems, Tuscon, AZ)、抗ヒトCD3抗体(#2GV6, Ventana Medical Systems)および抗CC3抗体(アポトーシスマーカー)(#9661, Cell Signaling Technology, Danvers, MA)を、例えば、免疫組織化学当分野で知られる技法を使用する、免疫組織化学染色に使用した。メソテリンmRNAのインサイチュハイブリダイゼーション(#413101, ACDBio, Hayward, CA)も実施した。
図4は、腫瘍におけるメソテリン発現およびPD-L1発現を示す。腫瘍は、メソテリンタンパク質発現レベルと逆相関しているように見える、高PD-L1染色領域を有する。図5は、CAR T細胞浸潤(CD3染色サンプル、上左パネル)、アポトーシス(CC3染色サンプル、下左パネル)、PD-L1発現(上右パネル)およびメソテリンmRNA発現(下右パネル)を示す。この発現分析の結果は、PD-L1発現が腫瘍領域で高く、メソテリンタンパク質およびmRNA発現が低く(図4)、さらに高いCAR T細胞浸潤(図5)を示す。これらのPD-L1高メソテリン低細胞は、類紡錘または間葉形態により特徴付けられ、上皮性間葉形質転換により生じた可能性がある。この過程は、膵臓腫瘍で詳しく報告されており、免疫抑制的腫瘍微小環境および疾患進行に寄与する可能性がある。それ故に、これらの結果は、メソテリンCARTおよびPD-L1阻害剤の組み合わせ処置が、一方でメソテリン発現腫瘍細胞を標的とし、致死させ、他方で、例えば、癌細胞および腫瘍間質細胞からの免疫抑制性シグナルを阻害して、メソテリン発現腫瘍における有効性増強に相乗効果を有することを示唆する。
実施例3:低用量RAD001は、細胞培養モデルにおけるCART増殖を刺激する
インビトロでのCAR T細胞増殖に対する低用量のRAD001の効果を、CART発現細胞と標的細胞を、種々の濃度のRAD001の存在下、共培養することにより評価した。
材料および方法
CAR形質導入T細胞の産生
ヒト化、抗ヒトCD19 CAR(huCART19)レンチウイルス導入ベクターを、VSVg偽型レンチウイルス粒子に封入されたゲノム材料の産生に使用した。ヒト化抗ヒトCD19 CAR(huCART19)のアミノ酸およびヌクレオチド配列は、2014年3月15日出願のPCT公開WO2014/153270号に記載されるCAR 1、ID 104875であり、そこで配列番号85および31と指定されている。
レンチウイルス導入ベクターDNAを、リポフェクタミン試薬と組み合わせて3パッケージング成分VSVg env、gag/polおよびrevと混合し、レンチ-X 293T細胞をトランスフェクトする。培地を24時間および30時間後に交換し、ウイルス含有培地を採取し、濾過し、-80℃で保存する。CARTを、健常ドナー血液またはleukopakの陰性磁気選択から得た新鮮または凍結ナイーブT細胞の形質導入により得る。T細胞を24時間抗CD3/抗CD28ビーズとのインキュベーションにより活性化し、その後、ウイルス上清または濃縮ウイルス(各MOI=2または10)を培養物に添加する。修飾T細胞を約10日増大させる。細胞形質導入のパーセンテージ(細胞表面上のCARを表す)およびCAR発現レベル(相対的蛍光強度、Geo Mean)を、7~9日にフローサイトメトリー分析により決定する。増殖速度減速および約350fLに近づくT細胞サイズの組み合わせが、後の分析のために凍結保存するT細胞の状態を決定する。
CARTの増殖評価
CARTの機能性を評価するために、T細胞を解凍し、計数し、生存能をCellometerにより評価する。各培養物におけるCAR陽性細胞数を、非形質導入T細胞(UTD)を使用して正規化する。CARTに対するRAD001の影響を、50nMから開始するRAD001の力価測定により試験した。全共培養実験に使用した標的細胞株は、CD19を発現し、ルシフェラーゼ発現のために形質導入されている、ヒトプレB細胞急性リンパ芽球性白血病(ALL)細胞株、Nalm-6である。
CARTの増殖を測定するために、T細胞を、標的細胞と1:1比で培養する。アッセイを4日行い、その時点で細胞をCD3、CD4、CD8およびCAR発現について染色する。T細胞数を、参照としてカウンティングビーズを使用するフローサイトメトリーにより評価する。
結果
CART細胞の増殖能を、4日共培養アッセイで試験した。多数のCAR陽性CD3陽性T細胞(濃色バー)および総CD3陽性T細胞(薄色バー)を、CAR遺伝子導入および非形質導入T細胞をNalm-6と培養後に評価した(図6)。huCART19細胞は、0.016nMより少ないRAD001の存在下で培養したとき増大し、高濃度の該化合物存在下、低度に増大した。重要なことに、0.0032nMおよび0.016nM両方のRAD001で、増殖はRAD001添加せずに観察されたものより高かった。非形質導入T細胞(UTD)は検出可能な増大を示さなかった。
実施例4:低用量RAD001は、インビボでCART増大を刺激する
本実施例は、種々の濃度のRAD001存在下、huCAR19細胞がインビボで増殖する能力を評価する。
材料および方法:
NALM6-luc細胞:NALM6ヒト急性リンパ芽球性白血病(ALL)細胞株を、再発性ALLを有する患者の末梢血から展開した。次いで、細胞をホタルルシフェラーゼで標識した。これらの懸濁液細胞を10%熱不活性化胎仔ウシ血清添加RPMIで培養した。
マウス:6週齢NSG(NOD.Cg-PrkdcscidIl2rgtm1Wjl/SzJ)マウスを、Jackson Laboratory(stock number 005557)から得た。で
腫瘍インプラント:NALM6-luc細胞を、インビトロで10%熱不活性化胎仔ウシ血清添加RPMIで増殖および増大させた。次いで細胞を15mlコニカルチューブに移し、冷無菌PBSで2回洗浄した。次いでNALM6-luc細胞を計数し、PBS1mlあたり10×10細胞濃度で再懸濁した。細胞を氷に乗せ、直ぐに(1時間以内に)マウスにインプラントした。NALM6-luc細胞を、100μl容積で、マウスあたり計1×10細胞で尾静脈から静脈内注射した。
CAR T細胞投与:マウスに、腫瘍インプラント7日後5×10 CAR T細胞を投与した。細胞は、37℃水浴で一部解凍され、次いで、細胞含有チューブへの1mlの冷無菌PBS添加により完全に解凍された。解凍細胞を、15mlファルコンチューブに移し、10mlの最終容積にPBSで調節した。細胞を各1000rpmで10分で2回洗浄し、次いで、血球計算板で計数した。次いで、T細胞を冷PBS1mlあたり50×10 CAR T細胞濃度で再懸濁し、マウスに投与するまで氷上に維持した。マウスに、100μlのCAR T細胞を、マウスあたり5×10 CAR T細胞用量で、尾静脈から静脈内注射した。群あたり8マウスを、100μlのPBS単独(PBS)またはヒト化CD19 CAR T細胞で処置した。
RAD001投与:1mg RAD001に等しい50mg濃縮マイクロエマルジョンを製剤し、次いで、D5W(デキストロース5%水溶液)に投与時に再懸濁した。マウスに、200μlの所望の用量のRAD001を連日経口投与した(強制経口投与)。
PK分析:マウスに、腫瘍インプラント7日後に開始して、連日RAD001を投与した。投与群は次のとおりである。0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kg。マウスは、最初の投与後0日目および14日目ならびにRAD001の最後の投与後下記の15分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間および24時間の時点でPK分析のために採血した。
結果:
RAD001の増大および薬物動態を、NALM6-luc腫瘍を有するNSGマウスで試験した。RAD001単独の連日経口投与は、NALM6-luc腫瘍増殖に影響を有しなかった(図7)。RAD001の薬物動態分析は、腫瘍担持マウス血液で相当安定であることを示した(図8Aおよび8B)。0日目および14日目両方のPK分析は、血中RAD001濃度が、試験した最低用量(0.3mg/kg)投与24時間後でさえ、10nmを超えることを示す。
これらの用量に基づき、huCAR19 CAR T細胞を、これらの細胞の増殖能を決定するために、RAD001と共にまたは伴わずに投与した。使用した最高用量は、24時間投与後の血液中のRAD001のレベルに基づき、3mg/kgであった。RAD001濃度が、RAD001最終投与24時間後10nMを超えていたため、いくつかの低用量のRAD001を、CAR T細胞でのインビボ試験に用いた。CAR T細胞を、連日経口RAD001投与開始1日前にIV投与した。マウスを、T細胞増についてFACSでモニターした。
RAD001の最低用量は、CAR T細胞の増殖増強を示した(図9Aおよび9B)。この増殖増強は、CD8CAR T細胞よりCD4CAR T細胞で顕著かつ長期である。しかしながら、CD8CAR T細胞で、増殖増強はCAR T細胞後の初期時点で見ることができる。ある実施態様において、RNA CART細胞も、チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用した。
均等物
ここに引用する全特許、特許出願および刊行物の各々のおよび全ての発明を、引用によりその全体を本明細書に包含させる。本発明は特定の態様を参照して開示されているが、本発明の他の態様およびバリエーションが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者により考案され得ることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、全てのこのような態様および均等なバリエーションを含むと解釈されることが意図される。

Claims (26)

  1. 細胞集団またはPD-L1阻害剤を含む、対象におけるメソテリン発現と関連するPD-L1発現癌の処置用医薬組成物であって、ここで該医薬組成物は該細胞集団および該PD-L1阻害剤を用いた組合せ処置において使用される、ここで該処置において処置される対象は該細胞集団の投与の2日から2週間前に該PD-L1阻害剤を投与される、およびここで
    (a)該細胞集団は、メソテリン特異的抗原結合ドメイン、CD8膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、およびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する、ここで該メソテリン特異的抗原結合ドメインはscFvである;および
    (b)該PD-L1阻害剤は、約0.2nM未満の解離定数(K)でPD-L1に結合する抗PD-L1抗体分子を含む、医薬組成物。
  2. 抗PD-L1抗体分子が、YW243.55.S70、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、MEDI-4736、MSB-0010718C(アベルマブ)、MDX-1105、ならびに抗PD-L1抗体であって、
    (a)配列番号287または290から選択される重鎖相補性決定領域(HC CDR)1アミノ酸配列、配列番号288のHC CDR2アミノ酸配列および配列番号289のHC CDR3アミノ酸配列、および
    配列番号295の軽鎖相補性決定領域(LC CDR)1アミノ酸配列、配列番号296のLC CDR2アミノ酸配列および配列番号297のLC CDR3アミノ酸配列;または
    (b)配列番号287または290から選択されるHC CDR1アミノ酸配列、配列番号291のHC CDR2アミノ酸配列および配列番号292のHC CDR3アミノ酸配列、および
    配列番号298のLC CDR1アミノ酸配列、配列番号299のLC CDR2アミノ酸配列および配列番号300のLC CDR3アミノ酸配列、を含む抗PD-L1抗体、からなる群より選択される、請求項1に記載の処置用医薬組成物。
  3. 抗PD-L1抗体分子が、約0.15nM未満、約0.1nM未満、約0.171nM未満、約0.05nM未満、約0.02nM未満、約0.2nM~0.1nM、または約0.166nM~0.176nMの解離定数(K)でPD-L1に結合する、請求項1または2に記載の処置用医薬組成物。
  4. 抗PD-L1抗体分子が、
    (a)少なくとも約10-1、約10-1、または約10~約1010-1またはそれ以上の親和性定数でPD-L1に結合する;
    (b)CD28、CTLA-4、ICOSまたはBTLAと実質的に結合しない;
    (c)PD-L1を発現する細胞へのPD-1結合を約1.5nM未満、約1nM未満、約0.8nM未満、約0.6nM未満、約0.4nM未満、約0.2nM未満、約0.1nM未満、約0.145nM未満、約0.15nM以下、または約0.2nM~約0.1nMの間、のIC50で低減する;または
    (d)PD-L1を発現する細胞へのB7-1結合を約2nM、約1.5nM未満、約1nM未満、約0.5nM未満、約0.2nM未満、約0.1nM未満、または約0.5nM~約0.01nMの間、のIC50で低減する、
    請求項1~3の何れかに記載の処置用医薬組成物。
  5. 抗PD-L1抗体が、
    (a)配列番号304のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号308、312、または372から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
    (b)配列番号316のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号320または352から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
    (c)配列番号324のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号328または360から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
    (d)配列番号332のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号328のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
    (e)配列番号336のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号308、328、または372から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
    (f)配列番号340のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号344または372から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
    (g)配列番号348のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号352または386から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;
    (h)配列番号356のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号352のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン;または
    (i)配列番号364のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号368のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン
    (j)配列番号306のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号314、310、または374から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖;
    (k)配列番号318のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号322または354のアミノ酸配列を含む軽鎖;
    (l)配列番号326のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号330または362のアミノ酸配列を含む軽鎖;
    (m)配列番号334のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号330のアミノ酸配列を含む軽鎖;
    (n)配列番号338のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号310、330または374のアミノ酸配列を含む軽鎖;
    (o)配列番号342のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号346または374のアミノ酸配列を含む軽鎖;
    (p)配列番号350のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号354または374のアミノ酸配列を含む軽鎖;
    (q)配列番号358のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号354のアミノ酸配列を含む軽鎖;
    (r)配列番号366のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号370のアミノ酸配列を含む軽鎖;
    (s)配列番号393のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号322のアミノ酸配列を含む軽鎖;
    (t)配列番号377のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号330のアミノ酸配列を含む軽鎖;
    (u)配列番号382のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号354のアミノ酸配列を含む軽鎖、または
    (v)配列番号391のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号370のアミノ酸配列を含む軽鎖、
    を含む、請求項1~4の何れかに記載の処置用医薬組成物。
  6. 抗PD-L1抗体が、
    (a)BAP058-hum01、BAP058-hum02、BAP058-hum03、BAP058-hum04、BAP058-hum05、BAP058-hum06、BAP058-hum07、BAP058-hum08、BAP058-hum09、BAP058-hum10、BAP058-hum11、BAP058-hum12、BAP058-hum13、BAP058-hum14、BAP058-hum15、BAP058-hum16、BAP058-hum17、BAP058-clone K、BAP058-clone L、BAP058-clone M、BAP058-clone N、およびBAP058-clone Oからなる群より選択される抗PD-L1抗体分子の結合親和性と同一または類似の結合親和性を示す:または
    (b)BAP058-hum01、BAP058-hum02、BAP058-hum03、BAP058-hum04、BAP058-hum05、BAP058-hum06、BAP058-hum07、BAP058-hum08、BAP058-hum09、BAP058-hum10、BAP058-hum11、BAP058-hum12、BAP058-hum13、BAP058-hum14、BAP058-hum15、BAP058-hum16、BAP058-hum17、BAP058-clone K、BAP058-clone L、BAP058-clone M、BAP058-clone N、またはBAP058-clone Oからなる群より選択される、
    請求項1~5の何れかに記載の処置用医薬組成物。
  7. メソテリン特異的抗原結合ドメインが、
    (a)配列番号138、156、および179に記載のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(HC CDR1)、重鎖相補性決定領域2(HC CDR2)および重鎖相補性決定領域3(HC CDR3);および配列番号203、227、および251に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(LC CDR1)、軽鎖相補性決定領域2(LC CDR2)および軽鎖相補性決定領域3(LC CDR3)を含む;または
    (b)配列番号144、162、および185に記載のアミノ酸配列を含むHC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3;および配列番号209、233、および257に記載のアミノ酸配列を含むLC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3を含む、
    請求項1~6の何れかに記載の処置用医薬組成物。
  8. メソテリン特異的抗原結合ドメインが、
    (a)配列番号43の軽鎖可変領域のアミノ酸配列、または配列番号43の軽鎖可変領域のアミノ酸配列と95~99%同一性を有するアミノ酸配列を含む、ここで該メソテリン特異的抗原結合ドメインがCDR領域内に変異を含まない、
    (b)配列番号43の重鎖可変領域のアミノ酸配列、または配列番号43の重鎖可変領域のアミノ酸配列と95~99%同一性を有するアミノ酸配列を含む、ここで該メソテリン特異的抗原結合ドメインがCDR領域内に変異を含まない、
    (c)配列番号43の軽鎖可変領域のアミノ酸配列、および配列番号43の重鎖可変領域のアミノ酸配列を含む、
    (d)配列番号49の軽鎖可変領域のアミノ酸配列、または配列番号49の軽鎖可変領域のアミノ酸配列と95~99%同一性を有するアミノ酸配列を含む、ここで該メソテリン特異的抗原結合ドメインがCDR領域内に変異を含まない、
    (e)配列番号49の重鎖可変領域のアミノ酸配列、または配列番号49の重鎖可変領域のアミノ酸配列と95~99%同一性を有するアミノ酸配列を含む、ここで該メソテリン特異的抗原結合ドメインがCDR領域内に変異を含まない、または
    (f)配列番号49の軽鎖可変領域のアミノ酸配列、および配列番号49の重鎖可変領域のアミノ酸配列を含む、
    請求項1~7の何れかに記載の処置用医薬組成物。
  9. メソテリン特異的抗原結合ドメインが、配列番号43、配列番号49、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、または配列番号62からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~8の何れかに記載の処置用医薬組成物。
  10. (a)膜貫通ドメインが、T細胞受容体のアルファ、ベータまたはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137およびCD154からなる群から選択されるタンパク質の膜貫通ドメインを含む;
    (b)膜貫通ドメインが、配列番号6のアミノ酸配列を含む;および/または
    (c)共刺激ドメインが、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ性活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、OX40、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、4-1BB(CD137)、B7-H3、ICOS(CD278)、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、およびCD83と特異的に結合するリガンド、からなる群から選択されるタンパク質から得られる、
    請求項1~9の何れかに記載の処置用医薬組成物。
  11. 共刺激ドメインが、
    (a)4-1BBの共刺激シグナル伝達ドメイン;
    (b)配列番号7のアミノ酸配列、および配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列;または
    (c)配列番号7のアミノ酸配列、および配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列、
    を含む、請求項1~10の何れかに記載の処置用医薬組成物。
  12. CARが、配列番号67;配列番号73、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85または配列番号86の何れかのアミノ酸配列を含む、請求項1~11の何れかに記載の処置用医薬組成物。
  13. 処置が、
    (a)CAR発現細胞およびPD-L1阻害剤を処置インターバルで投与する事を含み、ここで、処置インターバルは、PD-L1阻害剤の1回投与およびCAR発現細胞の1回投与を含む;または
    (b)CAR発現細胞の1回投与およびPD-L1阻害剤の1回投与を含む、
    請求項1~12の何れかに記載の処置用医薬組成物。
  14. 処置または処置インターバルが、
    (a)PD-L1阻害剤の投与により開始され、CAR発現細胞の投与により完了する;または
    (b)PD-L1阻害剤の1以上のその後の投与をさらに含む、
    請求項13に記載の処置用医薬組成物。
  15. CAR発現細胞が、PD-L1阻害剤の投与の2日後に投与される、請求項1~14の何れかに記載の処置用医薬組成物。
  16. CAR発現細胞およびPD-L1阻害剤が処置インターバルで投与され、ここで、処置インターバルは、PD-L1阻害剤の第一および第二の投与ならびにCAR発現細胞の1回投与を含み、ここで、CAR発現細胞が、PD-L1阻害剤の第一の投与後であって、PD-L1阻害剤の第二の投与前に投与される、請求項1~12の何れかに記載の処置用医薬組成物。
  17. (a)処置インターバルが、PD-L1阻害剤の第一の投与により開始され、PD-L1阻害剤の第二の投与により完了する;
    (b)PD-L1阻害剤の第二の投与が、PD-L1阻害剤の第一の投与の5日~3週間後に行われる;
    (c)CAR発現細胞が、PD-L1阻害剤の第一の投与の2日~2週間後に投与される;および/または
    (d)PD-L1阻害剤の第二の投与が、CAR発現細胞の投与の2日~2週間後に行われる、
    請求項16に記載の処置用医薬組成物。
  18. 処置インターバルが、
    (a)1回以上反復される、または
    (b)1以上のその後の処置インターバルに続く、
    請求項13~17の何れかに記載の処置用医薬組成物。
  19. 1以上のその後の処置インターバルが、
    (a)第一の処置インターバルまたは先の処置インターバルと異なる、および/または
    (b)第一の処置インターバルまたは先の処置インターバルの完了の1日~2週間後に適用される、
    請求項18に記載の処置用医薬組成物。
  20. PD-L1阻害剤の1以上のその後の投与が、
    (a)1以上の処置インターバル完了後、
    (b)PD-L1阻害剤の1回投与の投与後、
    (c)PD-L1阻害剤の先の投与の5日~4週間後、
    (d)CAR発現細胞の最初の投与の1日~7日後、または
    (e)CAR発現細胞の最初の投与の前、
    に行われる、請求項13~19の何れかに記載の処置用医薬組成物。
  21. (a)処置インターバルが、PD-L1阻害剤の投与2日後のT細胞集団の投与を含み、ここで、処置インターバルが2回反復され、処置インターバルが先の処置インターバル完了の3日後に開始される;および/または
    (b)PD-L1阻害剤の1以上のその後の投与が、第二処置インターバル後、5日、7日、2週、3週または4週毎に行われる、
    請求項13~15の何れかに記載の処置用医薬組成物。
  22. CAR発現細胞の1以上のその後の投与が、CAR発現細胞の最初の投与後に対象に行われ、任意にはここで、CAR発現細胞の1以上のその後の投与が、
    (a)CAR発現細胞の先の投与の2日~2週間後、
    (b)CAR発現細胞の先の投与の2日後、または
    (c)CAR発現細胞の先の投与の5日後、に行われる、
    請求項13に記載の処置用医薬組成物。
  23. T細胞集団の用量が、
    (a)約1~3×10個から1~3×10個の、CARを発現するT細胞を含む、
    (b)約1~3×10個の、CARを発現するT細胞である、または
    (c)約1~3×10個の、CARを発現するT細胞である、
    請求項13~22の何れかに記載の処置用医薬組成物。
  24. PD-L1阻害剤の用量が、
    (a)約1~30mg/kg、約5~25mg/kg、約10~20mg/kgまたは約1~5mg/kgである、または
    (b)約10~20mg/kgである、
    請求項13~23の何れかに記載の処置用医薬組成物。
  25. 細胞がT細胞、自己T細胞、同種T細胞、またはNK細胞である、請求項1~24の何れかに記載の処置用医薬組成物。
  26. 癌が、中皮腫、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、扁平上皮細胞肺癌または大細胞肺癌、膵臓癌、膵管腺癌、膵臓転移、卵巣癌または結腸直腸癌または膀胱癌である、請求項1~25の何れかに記載の処置用医薬組成物。
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