JP7516007B2 - 経口抗生物質からのマイクロバイオーム防御 - Google Patents

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優先権
本出願は、内容が全体として参照により本明細書に組み入れられる、2016年6月28日出願の米国特許仮出願第62/355,599号の利益を主張するものである。
発明の分野
本発明は、一部には、胃腸マイクロバイオームを抗生物質性の崩壊から防御するための様々な組成物および方法に関する。
電子手段により提出されたテキストファイルの記載
本明細書と共に電子手段により提出されたテキストファイルの内容は、全体として参照により本明細書に組み入れられる:コンピュータで読み取り可能な配列表のフォーマットのコピー(ファイル名:SYN-025PC_Sequence_listing_ST25.txt;記録日:2017年6月27日;ファイルサイズ:13.6KB)。
背景
ヒトのマイクロバイオームは、ヒトの健康および疾患の両方における重要成分であることがわかりつつある。このことは胃腸(GI)管に特にあてはまり、それは1000を超える異なるバクテリア種および推定で1×1014個を超える微生物を生息させ、ヒト宿主の健康状態を定義する際に重要であると思われる。例えば、GI管のマイクロバイオームは、栄養の獲得および代謝の重要な過程の土台であるが、このマイクロバイオームの崩壊は、複数の障害の原因であるとも考えられる。
事実、ヒトの健康に及ぼす細菌(microbes)の有害作用を防ぐ最前線の治療であることが多い抗生物質は、GI管中を含むマイクロバイオームの崩壊を誘導し、さらなる疾患をもたらす可能性がある。例えば、感染の処置では多くの場合、経口抗生物質を投与することが必要である。しかし、感染の根絶に必要とされる量を超える残留経口抗生物質は、消化管中の正常な腸微生物叢の生態学的バランスを改変し、さらなる疾患をもたらす可能性がある。
本発明者らは、静脈内投与された抗生物質からマイクロバイオームを防御するためのベータラクタマーゼに基づく方策を過去に記載した。この方策は、GI管へのベータラクタマーゼの送達を含み、ベータラクタマーゼはそこで、例えば肝胆道系排出を通してGI管に排出され得る静脈内抗生物質を見張る。重要なこととして、ベータラクタマーゼはGI管に閉じ込められるため、それは全身効果をもたず、それゆえ静脈内投与された抗生物質の所望の抗菌効果を妨害しない。しかし、ベータラクタマーゼおよび抗生物質の両方がGI管を直接移動するため、このアプローチは患者が経口投与される抗生物質を受けている場合にはより複雑であり、それゆえ、ベータラクタマーゼが抗生物質を分解し、マイクロバイオームを防御しながらも、所望の全身抗菌効果を排除するかもしれないリスクがある。
それゆえ、対象におけるこれらの抗生物質の有益な抗感染効果を減少または根絶せずに、経口抗生物質によるマイクロバイオーム崩壊を防ぐ薬剤が必要とされている。
したがって本発明は、対象の胃腸マイクロバイオームを防御するための組成物および方法を提供する。一態様において、ベータラクタマーゼを含む医薬組成物の有効量が、経口抗生物質での処置を受けているまたは最近受けた対象に投与される、GI管のマイクロバイオームを防御するための方法が提供され、ここでベータラクタマーゼは経口抗生物質を失活させることができる。一実施形態において、ベータラクタマーゼは、全身に吸収された経口投与の抗生物質の血漿レベルを実質的に妨害しない。別の実施形態において、ベータラクタマーゼは、GI管中に排出された過剰の経口抗生物質残留物を失活させる。幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼは、経口投与の後にGI管から吸収されない、または全身循環から腸管へと活性形態で戻された、残留する活性な抗生物質を失活させる。
様々な実施形態において、本発明は、GI管中の十分に遠位でのベータラクタマーゼの放出を可能にして経口抗生物質の吸収を可能にし、それゆえ吸収前の経口抗生物質に対するベータラクタマーゼの酵素活性を防ぐまたは実質的に低下させる(およびそれゆえ、所望の全身抗菌効果を可能にする、または促進する)、配合物を提供する。様々な実施形態において、本発明の配合物は、GI管中の近位でのベータラクタマーゼの漏出を防ぎ、または実質的に減少させ、こうして経口抗生物質吸収の妨害を防ぎまたは実質的に減少させながら、尚もベータラクタマーゼに基づく消化管マイクロバイオームの防御を可能にする。様々な実施形態において、本発明は、ベータラクタマーゼと、本明細書に記載される様々な緩衝剤および賦形剤とを含むペレットを含む配合物を提供し、そこでペレットは例えば、FS EUDRAGIT FS 30DまたはEUDRAGIT S100でコーティングされ、かつペレットはカプセル内に含まれ、カプセル自体は例えば、FS EUDRAGIT FS 30DまたはEUDRAGIT S100でコーティングされる。したがって、「入れ子」と称される場合もある、コーティングされるカプセルの内部でペレットを活性ベータラクタマーゼ剤でコーティングする本発明のアプローチは、抗生物質性の崩壊なしにマイクロバイオームを防御するために不可欠であると本発明者らが見出した、移行中にGI管での早すぎるベータラクタマーゼ漏出を防ぐための安全な手法を提供する。
さらに、様々な実施形態において、本発明は、ベータラクタマーゼと本明細書に記載される様々な緩衝剤および賦形剤とを含むペレットを含む配合物を提供し、そこでペレットは例えば、FS EUDRAGIT FS 30DまたはEUDRAGIT S100でコーティングされ、かつペレットは、小さなカプセル(例えば、約15μL以下のカプセル本体容量を有するカプセル、例えばサイズ9hのカプセル)内に含まれ、カプセル自体は例えば、FS EUDRAGIT FS 30Dでコーティングされ、そのような装填された小さなカプセルは今度はより大きなカプセル(例えば、ゼラチンカプセル)中に装填される。非限定的例示として、図26および図28を参照されたい。
さらに様々な実施形態において、本発明は、ベータラクタマーゼ阻害剤、例えばクラブラン酸と組み合わせた、または共配合された本発明の配合物を提供し、それはGI管中の過度に近位でのベータラクタマーゼ触媒効果を克服することを助けて、経口抗生物質の抗感染活性を可能にする。
様々な実施形態において、ベータラクタマーゼは、GI管送達用に配合される。例えばベータラクタマーゼは、腸溶性コーティングであってよい。一実施形態において、ベータラクタマーゼはGI管中のある位置で放出されるよう配合され、そこでそれは残留するまたは過剰の経口抗生物質(例えば、経口投与後にGI管から吸収されない、または全身循環から腸管へと活性形態で戻される残留活性抗生物質)を失活させる。別の実施形態において、ベータラクタマーゼは、それが残留するまたは過剰の経口抗生物質の殺菌活性を防ぐ位置での放出のために配合される。さらなる実施形態において、ベータラクタマーゼは、それが経口投与された抗生物質の全身活性を実質的に妨害しないGI管中の位置での放出のために配合される。別の実施形態において、ベータラクタマーゼは、それが経口投与された抗生物質の放出および吸収に対し遠位であるGI管中の位置での放出のために配合される。様々な実施形態において、ベータラクタマーゼは、GI管中の放出エリアでの実質的に均一な溶解のために配合される。さらなる実施形態において、ベータラクタマーゼは、GI管中の微生物に基づく放出のために配合される。
様々な実施形態において、本発明の組成物および方法は、GI管中の近位(例えば、十二指腸から空腸まで包括的に)での経口抗生物質活性を可能にする。様々な実施形態において、本発明の組成物および方法は、回腸およびより下部でのベータラクタマーゼ触媒活性を介するGI管のマイクロバイオームのベータラクタマーゼ介在性防御を可能にする。
様々な実施形態において、本発明の方法は、抗生物質誘導性有害作用、クロストリジウム・ディフィシル(C.ディフィシル)感染、C.ディフィシル関連疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、および過敏性腸症候群などの、マイクロビオーム介在性障害を処置または予防する。一実施形態において、本発明の方法は、対象の正常な腸微生物叢を維持する。例えば幾つかの実施形態において、本発明の方法は、対象の腸微生物叢の健常なバランス(例えば、健常な比率および/または健常な分布)を維持する。別の実施形態において、本発明の方法は、GI管での1種または複数の病原性微生物の過剰増殖を処置または予防する。さらなる実施形態において、本発明の方法は、院内感染および/または二次的な緊急を要する感染を処置するまたは予防することに用途を見出す。
実施例1の試験のための子ブタ投与のタイムラインを示す。 実施例2に記載される噴霧積層(spray layered)マルチパーティキュレートのための加工スキームを示す。 pH6.2で放出する腸溶性SYN-004粒子の特徴づけを表す。72.7/18.2/9.1の比率にてEUDRAGIT L100、EUDRAGIT S100、およびクエン酸トリエチルでコーティングされた粒子を、推定コート重量に対する平均コート厚(パネルA)および粒子径に対する質量分率(パネルB)に基づいて特徴づけた。 pH6.2で放出する腸溶性SYN-004粒子の走査電子顕微鏡像を示す。72.7/18.2/9.1の比率にてEUDRAGIT L100、EUDRAGIT S100、およびクエン酸トリエチルで、かつ異なるコーティング重量、即ち25%、30%、および35%にてコーティングされた粒子を、走査電子顕微鏡測定に供した。上のパネルは、粒子径の特徴づけのための50倍拡大像を示し、下のパネルは、コーティング厚の計測を可能にする各コーティング率%についての粒子断面(n=6)の700倍拡大像を示す。 pH6.2で放出する腸溶性SYN-004粒子の走査電子顕微鏡像を示す。35%のコーティング重量で72.7/18.2/9.1の比率にてEUDRAGIT L100、EUDRAGIT S100、およびクエン酸トリエチルでコーティングされた粒子を、走査電子顕微鏡測定に供した。パネルは、左から右に向かって、粒子径の特徴づけのための50倍拡大像、表面均一性分析のための250倍拡大像、粒子断面の50倍拡大像、および三層を示す粒子の略図を示す。 pH6.7で放出する腸溶性SYN-004粒子の特徴づけを表す。30/60.9/9.1の比率にてEUDRAGIT L100、EUDRAGIT S100、およびクエン酸トリエチルでコーティングされた粒子を、推定コーティング重量に対する平均コーティング厚(パネルA)および粒子径に対する質量分率(パネルB)に基づいて特徴づけた。 pH6.7で放出する腸溶性SYN-004粒子の走査電子顕微鏡像を示す。30/60.9/9.1の比率にてEUDRAGIT L100、EUDRAGIT S100、およびクエン酸トリエチルで、かつ異なるコーティング重量、即ち25%、30%、および35%にてコーティングされた粒子を、走査電子顕微鏡測定に供した。上のパネルは、粒子径の特徴づけのための50倍拡大像を示し、下のパネルは、コーティング厚の計測を可能にする各コーティング率%についての粒子断面(n=6)の400倍拡大像を示す。 pH6.7で放出する腸溶性SYN-004粒子の走査電子顕微鏡像を示す。35%のコーティング重量で30/60.9/9.1の比率にてEUDRAGIT L100、EUDRAGIT S100、およびクエン酸トリエチルでコーティングされた粒子を、走査電子顕微鏡測定に供した。パネルは、左から右に向かって、粒子径の特徴づけのための50倍拡大像、表面均一性分析のための1000倍拡大像、粒子断面の50倍拡大像、および三層を示す粒子の略図を示す。 コーティングされた粒子の浸透圧破裂を表す。50℃または60℃の硬化温度、ならびに2、5および8時間の硬化時間での10%または11.5%のオスモティックコーティング重量を有する粒子を比較した。指示されたペレットを、50mM KHPO(pH6.2)緩衝液に室温で撹拌せずに添加し、ペレットの画像を7時間にわたり5分ごとに撮影して、粒子崩壊を評価した。粒子崩壊は、目に見えるコーティングの変化および粒子の著しい変形を含んだ。試料は、10%コーティング、60℃で2時間の硬化(菱形);11.5%コーティング、50℃で2時間の硬化(三角);11.5%コーティング、50℃で5時間の硬化(四角);11.5%コーティング、50℃で8時間の硬化(X);および11.5%コーティング、60℃で2時間の硬化(星印)を含んだ。 コーティングされた粒子の浸透圧破裂を表す。7.3%、9.1%、10%、11.4%、または13.5%のオスモティックコーティング重量を有する粒子を比較した。指示されたペレットを、50mM KHPO(pH6.2)緩衝液に室温で撹拌せずに添加し、ペレットの画像を10時間にわたり5分ごとに撮影して、粒子崩壊を評価した。粒子崩壊は、目に見えるコーティングの変化および粒子の著しい変形を含んだ。試料は、7.3%コーティング(三角);9.1%コーティング(四角);10%コーティング(菱形);11.4%コーティング(星印);および13.5%コーティング(X)を含んだ。 コーティングされた粒子の浸透圧破裂を表す。10%または13.5%のオスモティックコーティング重量を有する粒子の写真を示す。指示されたペレットを、50mM KHPO(pH6.2)緩衝液に室温で撹拌せずに添加した。上のパネルは、0、2、および4時間の浸漬での10%コーティング重量の粒子を示す。下のパネルは、0、6、および8.5時間の浸漬での13.5%コーティング重量の粒子を示す。 浸透圧破裂SYN-004粒子の特徴づけを表す。粒子を、推定コーティング重量に対する平均コーティング厚(パネルA)および粒子径に対する質量分率(パネルB)に基づいて特徴づけた。 浸透圧破裂SYN-004粒子の走査電子顕微鏡像を示す。異なるコーティング重量10%、11.5%、および13.5%の浸透圧破裂粒子を、走査電子顕微鏡測定に供した。上のパネルは、粒子径の特徴づけのための50倍拡大像を示し、下のパネルは、コーティング厚の計測を可能にするための各コーティング率%についての粒子断面(n=10)の1000倍または400倍拡大像を示す。 浸透圧破裂SYN-004粒子の走査電子顕微鏡像を示す。13.5%コーティング重量の浸透圧破裂粒子を、走査電子顕微鏡測定に供した。パネルは、左から右に向かって、粒子径の特徴づけのための50倍拡大像、表面均一性分析のための250倍拡大像、粒子断面の50倍拡大像、および三層を示す粒子の略図を示す。 浸透圧破裂SYN-004粒子に対する酵素活性に及ぼす硬化時間および温度の評価を示す。SYN-004コーティングされたスクロースペレットを、膨張剤層でコーティングし、その後、浸透圧破裂層でコーティングした。浸透圧層は、硬化ステップを必要とした。50℃または60℃の硬化温度、ならびに0、2、5、および8時間の硬化時間を評価した。ペレットをpH6.8リン酸カリウム緩衝液に添加して一晩撹拌し、コーティング全体を確実に除去した。緩衝液のアリコットを、CENTA発色性マイクロタイタープレートアッセイを利用してSYN-004生物活性について分析した。活性は、各配合物中に存在するSYN-004タンパク質の量に基づく理論的活性%として示される。非コーティング(SYN-004ペレット出発原料)は、三角で示される。50℃硬化温度は、菱形で示され、60℃は、四角で示される。 経口抗生物質の経口送達のためのSYN-004の放出改変配合物を選択するための基準の図式を提供する。所望の転帰は、腸管からの抗生物質吸収を妨害せずに抗生物質の生物学的利用度を最大限にすること、およびマイクロフローラへの損傷を引き起こす前に腸管中にある抗生物質を分解することである。 SYN-004ペレットの溶解プロファイルを表す。3種のSYN-004配合物(7.5mg活性)を、0.01N HCl(pH2.0)中で2時間、pH5.5で2時間、およびpH6.5で最大24時間、インキュベートした。試料を、280nmでの吸収を測定することによるタンパク質濃度(実線)およびCENT発色アッセイを用いるSYN-004の生物活性(点線)についてテストした。配合物は、実施例2に記載される通り、腸溶性pH6.2、腸溶性pH6.7、および浸透圧性であった。 本来のSYN-004配合物に比較した、SYN-004ペレット溶解プロファイルを表す。本来の(腸溶性pH5.5)および3種のSYN-004配合物(7.5mg活性)を、0.01N HCl(pH2.0)中で2時間、pH5.5で2時間、およびpH6.5で最大24時間、インキュベートした。試料を、280nmでの吸収を測定することによるタンパク質濃度(実線)およびCENT発色アッセイを用いるSYN-004の生物活性(点線)についてテストした。配合物は、実施例2に記載される通り、SYN-004の本来のもの(SynBio腸溶性、pH5.5)、腸溶性pH6.2、腸溶性pH6.7、および浸透圧性であった。 3種のSYN-004配合物について溶解プロファイルをカプセルとペレットを対比させて表す。3種のSYN-004配合物のカプセルまたはペレット(コア)を、0.01N HCl(pH2.0)中で2時間、pH5.5で2時間、およびpH6.5で最大24時間、インキュベートした。試料を、280nmでの吸収を測定することによりタンパク質濃度について試験した。配合物は、腸溶性pH6.2(左パネル)、腸溶性pH6.7(中央パネル)、および浸透圧性(右パネル)であった。 子ブタ投与のタイムラインを示す。動物は、SYN-004を0日目に開始して9日間、受けた。動物は、経口アモキシシリンを1日目に開始して7日間、受けた。糞便を5回、-7日目、-4日目、4日目、8日目、および9日目の5回、採取した。血液は、2日目に3回採取した。 0.1M HCl中で4時間のFS 30Dコーティングされたペレットを示す(左が配合物1、右が2)。 配合物10:FS 30Dコーティングされたゼラチンカプセル(FS 30Dペレット)の溶解プロファイルを示す。 配合物11:FS 30D DRカプセル(FS 30Dペレット)の溶解プロファイルを示す。 最後の5種の配合物の溶解プロファイルを示す。 アモキシシリン単独(試験群1)およびアモキシシリン+SYN-004(試験群2)でのイヌにおけるアモキシシリン血清レベルを示す。3つのパネルそれぞれは、試験における3匹の動物を表す。各パネルは、群1および群2における血清アモキシシリンレベルの2つのグラフを含む。曲線下面積(AUC)を各曲線について計算し、計算された面積を、グラフの各曲線の内側に示す。 SYN-004配合物についての改変入れ子方策の例を示す。FS 30DコーティングされたSYN-004の積層スクロースペレットを、FS 30Dでコーティングされた小さなゼラチンカプセル中に入れ、この小さなゼラチンカプセルを、送達を容易にするためにより大きなゼラチンカプセル中に入れた。 アモキシシリン単独(なし)およびアモキシシリン+SYN-004(0.5mg)で処置されたブタにおけるアモキシシリン血清レベルを示す。データは、平均および標準偏差としてプロットされる。 異なるSYN-004用量を有するSYN-004配合物についての改変入れ子方策の例を示す。コーティングされたSYN-004の積層スクロースペレットをコーティングされた小さなゼラチンカプセル中に入れ、この小さなカプセルまたは複数のカプセルを、送達を容易にするために大きなゼラチンカプセル中に入れた。 Augmentin単独(なし)、またはAugmentin+SYN-004(1.0mg)またはAugmentin+SYN-004(3.0mg)で処置されたブタにおけるアモキシシリン血清レベルを示す。黒色の棒は、1.5時間の採血時間を表し、白色の棒は、3.0時間の採血時間を表す。データは、平均および標準偏差としてプロットされる。 抗生物質吸収をベータラクタマーゼ放出から隔離するための本発明の様々な配合アプローチを示す。
詳細な記載
本発明は、一部には、ベータラクタマーゼが、経口抗生物質での処置を受けている、または処置を受けた対象の胃腸マイクロバイオームを防御し得る、という発見に基づく。経口抗生物質の投与は多くの場合、腸(例えば、遠位の小腸および/または大腸)に排出される残留する未吸収の抗生物質のため、正常な腸マイクロバイオームの形態学的バランスを崩壊させる。ベータラクタマーゼは、GI管中の未吸収の抗生物質を不活性化し、それにより正常な腸微生物叢を回復および/または維持させ、かつ潜在的な病原性微生物の任意の過剰増殖を防ぐ。より具体的には、本発明者らは、GI管中の近位での(例えば、十二指腸から空腸まで包括的に)防御的ベータラクタマーゼの少量の漏出が、経口抗生物質を分解し抗感染活性を全身で防止し得ることを発見した。したがって、様々な実施形態において、本発明の組成物および方法は、場合によりベータラクタマーゼ阻害剤の存在下で、例えばベータラクタマーゼの「入れ子」配合物を通して、回腸およびその下部におけるベータラクタマーゼ触媒活性を介するGI管のマイクロバイオームのベータラクタマーゼ介在性防御を可能にする。
幾つかの態様において、本発明は、一部には、1種または複数のベータラクタマーゼがGI管内の1つまたは複数の位置で放出されるように配合でき、そこでベータラクタマーゼは、経口送達されたベータラクタム系抗生物質を不活性化し(例えば、加水分解し)、それを行うことで、マイクロバイオームを防御するが、ベータラクタマーゼは経口抗生物質の腸吸入を妨害せず、したがって経口抗生物質の全身血中または血漿レベルを妨害しない、という発見に基づく。本発明はさらに、そのようなベータラクタマーゼの放出または活性化の位置を同定する。様々な実施形態において、腸溶性コーティングされたカプセルの内部に腸溶性コーティングされたベータラクタマーゼ含有ペレットを有する本発明の配合物は、GI管中の近位でベータラクタマーゼの最小限の漏出を提供し、それゆえ経口抗生物質治療効果の保持を提供しながら、GI管中の遠位で最大限の放出も提供して、マイクロバイオームを損傷し得る残留経口抗生物質を分解する。
さらに、幾つかの実施形態において、以下の2つのアプローチが、別個に、または組み合わせて用いられ得る:GI管中の所望の位置でベータラクタマーゼを放出するように設計された配合物の使用、および抗生物質を経口ベータラクタマーゼ阻害剤と組み合わせること。後者では、幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼ阻害剤が、ベータラクタム系抗生物質と移動し、両者が近位小腸での吸収に利用可能であるようにする。ベータラクタマーゼ阻害剤は、ベータラクタム系抗生物質を近位小腸でベータラクタマーゼから防御するように働く。抗生物質および阻害剤は、その後、両者とも血流中に吸収され、それにより近位小腸から除去される。阻害剤の濃度が小腸で低下すると、ベータラクタマーゼが活性になる。腸に残留する、または胆汁と共に再度進入する、任意の残留するまたは過剰の抗生物質は、結腸マイクロバイオームと遭遇する前に不活性化される。
一態様において、本発明は、対象の胃腸(GI)マイクロバイオームを経口抗生物質から防御する方法であって、経口抗生物質を失活させることができるベータラクタマーゼを含む配合物の有効量を、経口抗生物質での処置を受けている、または処置を最近受けた対象に投与することを含み、上記配合物が、腸溶性コーティングされたペレットを含む腸溶性コーティングされたカプセルを含み、上記ペレットが、ペレット重量に関して、約20%~25%のスクロース球体;約30~40%の結合賦形剤;約12%~約18%のベータラクタマーゼ;約1%~2%の緩衝塩;約0.5%~3%の可塑化剤;約15%~30%のEUDRAGITコーティング、および場合により約0.5%~約1.5%のKH2PO4および約2.5%~5%のHPMC603を含み、上記カプセルが、FS EUDRAGIT FS 30Dでコーティングされる、方法に関する。
幾つかの実施形態において、EUDRAGITコーティングは、EUDRAGIT FS 30DまたはEUDRAGIT S100から選択される。
幾つかの実施形態において、カプセルは、総カプセル重量の約10%のFS EUDRAGIT FS 30Dでコーティングされる。
幾つかの実施形態において、カプセルは、約15μL未満の本体容積を有し、FS EUDRAGIT FS 30Dでコーティングされる。
幾つかの実施形態において、約15μL未満の本体容積を有する1つまたは複数のカプセルは、より大きなカプセル中に装填される。
幾つかの実施形態において、カプセルは、クラブラン酸などのベータラクタマーゼ阻害剤をさらに含む。
幾つかの実施形態において、結合賦形剤は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)であり;および/またはベータラクタマーゼは、P1A、P2A、P3A、もしくはP4Aから選択され、および/または可塑化剤は、クエン酸トリエチルである。
幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼは、経口投与された抗生物質の全身活性を実質的に妨害しない、GI管中の位置で放出されるように配合される。
幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼは、全身に吸収された経口投与抗生物質の血漿レベルを実質的に妨害しない。
幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼは、GI管中に排出される残留経口抗生物質を失活させ、残留経口抗生物質は、経口投与後にGI管から吸収されない、または全身循環から腸管へと活性形態で戻される。
幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼは、経口投与された抗生物質の放出部より遠位であるGI管中の位置での放出のために配合される。
幾つかの実施形態において、対象のマイクロバイオームの防御は、マイクロバイオーム介在性障害、例えば潰瘍性大腸炎、クローン病、および過敏性腸症候群、抗生物質誘導性有害作用、C.ディフィシル感染(CDI)、C.ディフィシル関連疾患(例えば、抗生物質関連の下痢、C.ディフィシルによる下痢(CDD)、C.ディフィシルによる腸炎症疾患、大腸炎、偽膜性大腸炎、発熱、腹痛、脱水および電解質の障害、巨大結腸症、腹膜炎、ならびに結腸の穿孔および/または破裂)の処置または予防を含む。
幾つかの実施形態において、対象のマイクロバイオームの防御は、正常な腸微生物叢の維持を含む。
幾つかの実施形態において、方法は、対象のGI管中の1種または複数の病原性微生物の過剰増殖を処置および/または予防する。
幾つかの実施形態において、方法は、院内感染および/または二次的な緊急感染を処置または予防する。
ベータラクタマーゼおよび医薬組成物
本発明は、一部には、1種または複数のベータラクタマーゼの医薬組成物、配合物、および使用を対象とする。本明細書で用いられるベータラクタマーゼは、ベータラクタムを失活させる酵素を指す。例えばベータラクタマーゼは、加水分解(例えば、残留するまたは過剰の抗生物質の加水分解)によりベータラクタムを失活させ得る。ベータラクタマーゼによるベータラクタム環のアミド結合の加水分解は、抗生物質などの抗菌剤を生物学的に不活性にする。
様々な実施形態において、本発明は、クラスEC 3.5.2.6の1種または複数のベータラクタマーゼ酵素を含む組成物を対象とする。幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼは、Bushらにより提案された機能的分類のスキーム(1995, Antimicrob. Agents Chemother. 39: 1211 -1233;内容全体が参照により本明細書に組み入れられる)に従う、群1、2、3、または4のベータラクタマーゼである。理論に束縛されるのを望むものではないが、群1のベータラクタマーゼは、クラブラン酸により充分に阻害されないセファロスポリナーゼを含み;群2は、活性な部位特異的ベータラクタマーゼ阻害剤により概ね阻害されるペニシリナーゼ、セファロスポリナーゼおよび広域スペクトラムのベータラクタマーゼを含み;群3は、ペニシリン、セファロスポリンおよびカルバペネムを加水分解し、ほぼ全てのベータラクタム含有分子により極わずかに阻害される、メタロベータラクタマーゼを含み;群4は、クラブラン酸により充分に阻害されないペニシリナーゼを含む。
幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼは、それらのアミノ酸配列に基づいてベータラクタマーゼを分別するアンブラーの分類に従う、クラスA、B、C、またはDベータラクタマーゼである(Ambler 1980, Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci. 289: 321-331;内容全体が参照により本明細書に組み入れられる)。理論に束縛されるのを望むものではないが、クラスA、C、およびDのベータラクタマーゼは、セリンベータラクタマーゼの進化的に異なる群を含み、クラスBは、亜鉛依存性(「EDTAで阻害される」)ベータラクタマーゼを含む(内容全体が参照により本明細書に組み入れられる、Ambler R.P. et al., 1991 , Biochem J. 276: 269-270を参照されたい)。
例えば一実施形態において、ベータラクタマーゼは、非限定的に例えば、KPC-1、KPC-2、KPC-3およびKPC-4を含むクラスA酵素であり得る。別の実施形態において、ベータラクタマーゼは、非限定的に例えば、IMPファミリー、VIMファミリー、GIM-1およびSPM-1、ならびに他を含むクラスB酵素であり得る。別の実施形態において、ベータラクタマーゼは、AmpCベータラクタマーゼなどのクラスC酵素であり得る。AmpCベータラクタマーゼは、広域で拡張されたスペクトラムのセファロスポリン(即ち、セファマイシンおよびオキシイミノベータラクタム)を加水分解する。さらなる実施形態において、ベータラクタマーゼは、非限定的に例えば、OXA-23、OXA-24、OXA-25、OXA-26、OXA-27、OXA-40およびOXA-40、ならびに他を含むクラスD酵素であり得る。幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼは、オキシイミノ鎖を有するセファロスポリンを加水分解する拡張型ベータラクタマーゼ(ESBL)であり得る。ESBLとしては、TEM、SHV、CTX-M、OXA、PER、VEB、GES、およびIBCベータラクタマーゼが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態において、ベータラクタマーゼは、場合によりAmpC型βラクタマーゼ、カルバペネマーゼ、IMP型カルバペネマーゼ(メタロ-βラクタマーゼ)、VIM(ベローナインテグロンをコードするメタロ-βラクタマーゼ)、OXA(オキサシリナーゼ)群のβラクタマーゼ、KPC(K.ニューモニアカルバペネマーゼ)、CMY(クラスC)、SME、IMI、NMC、CcrA、およびNDM(ニューデリーメタロ-βラクタマーゼ、例えばNDM-1)ベータラクタマーゼから選択される、阻害剤耐性βラクタマーゼであり得る。
特定の実施形態において、ベータラクタマーゼは、P1A、P2A、P3AもしくはSYN-004(同じ酵素の同義語)、またはP4Aである。一実施形態において、ベータラクタマーゼは、P1Aまたはその誘導体である。P1A酵素は、バチルス・リケニフォルミス749/Cのスモールエクソ(small exo)ベータ-ラクタマーゼの組換え形態であり(WO2008/065247)、それは、クラスAに属し、機能的分類ではサブグループ2aに群分けされる。B.リケニフォルミスのベータ-ラクタマーゼおよびそのP1A誘導体は、例えばペニシリン、アンピシリン、アモキシシリン、またはピペラシリンを分解する高い加水分解能力を有するペニシリナーゼとみなされ、それらは一般に、クラブラン酸、スルバクタムまたはタゾバクタムなどの活性な部位特異的ベータラクタマーゼ阻害剤により阻害される。別の実施形態において、ベータラクタマーゼは、例えば、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2007/147945に記載される通り、P2Aまたはその誘導体である。P2A酵素は、クラスBに属し、酵素活性の補因子として1つまたは複数の亜鉛イオンを必要とするメタロ酵素である。別の実施形態において、ベータラクタマーゼは、例えば、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2011/148041および米国特許第9,290,754号に記載される通り、P3Aまたはその誘導体である。さらなる実施形態において、ベータラクタマーゼは、例えば、内容全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第9,290,754号に記載される通り、P4Aまたはその誘導体である。
例えば、ベータラクタマーゼは、バチルス・リケニフォルミスPenPの配列、即ちP1A(SEQ ID NO:1)を有し得るか、またはSEQ ID NO:1の1つもしくは複数の突然変異に由来する。本明細書で提供されるのは、P1Aの263アミノ酸の配列である(N-末端での31アミノ酸のシグナル配列およびQASKT(Gln-Ala-Ser-Lys-Thr)ペンタペプチドの除去後、SEQ ID NO:3参照)。本明細書に記載される通り、突然変異がこの配列に対し生成されて、ベータラクタマーゼ誘導体を作製し得る。
SEQ ID NO:1
Glu Met Lys Asp Asp Phe Ala Lys Leu Glu Glu Gln Phe Asp Ala Lys Leu Gly Ile Phe Ala Leu Asp Thr Gly Thr Asn Arg Thr Val Ala Tyr Arg Pro Asp Glu Arg Phe Ala Phe Ala Ser Thr Ile Lys Ala Leu Thr Val Gly Val Leu Leu Gln Gln Lys Ser Ile Glu Asp Leu Asn Gln Arg Ile Thr Tyr Thr Arg Asp Asp Leu Val Asn Tyr Asn Pro Ile Thr Glu Lys His Val Asp Thr Gly Met Thr Leu Lys Glu Leu Ala Asp Ala Ser Leu Arg Tyr Ser Asp Asn Ala Ala Gln Asn Leu Ile Leu Lys Gln Ile Gly Gly Pro Glu Ser Leu Lys Lys Glu Leu Arg Lys Ile Gly Asp Glu Val Thr Asn Pro Glu Arg Phe Glu Pro Glu Leu Asn Glu Val Asn Pro Gly Glu Thr Gln Asp Thr Ser Thr Ala Arg Ala Leu Val Thr Ser Leu Arg Ala Phe Ala Leu Glu Asp Lys Leu Pro Ser Glu Lys Arg Glu Leu Leu Ile Asp Trp Met Lys Arg Asn Thr Thr Gly Asp Ala Leu Ile Arg Ala Gly Val Pro Asp Gly Trp Glu Val Ala Asp Lys Thr Gly Ala Ala Ser Tyr Gly Thr Arg Asn Asp Ile Ala Ile Ile Trp Pro Pro Lys Gly Asp Pro Val Val Leu Ala Val Leu Ser Ser Arg Asp Lys Lys Asp Ala Lys Tyr Asp Asp Lys Leu Ile Ala Glu Ala Thr Lys Val Val Met Lys Ala Leu Asn Met Asn Gly Lys
幾つかの実施形態において、SEQ ID NO:1は配列の最初の残基の前にMetおよび/またはThrを有し得る。様々な実施形態において、Metは、切断され得る。本明細書に記載される通り、最初の残基の前にMetおよび/またはThrを含む配列に対し突然変異が作製されて、ベータラクタマーゼ誘導体を作製し得る。
また本明細書で提供されるのは、SEQ ID NO:3として、N-末端での31アミノ酸のシグナル配列およびQASKT(Gln-Ala-Ser-Lys-Thr)ペンタペプチドの除去前のP1Aの229アミノ酸の配列である:
SEQ ID NO:3
Met Ile Gln Lys Arg Lys Arg Thr Val Ser Phe Arg Leu Val Leu Met Cys Thr Leu Leu Phe Val Ser Leu Pro Ile Thr Lys Thr Ser Ala Gln Ala Ser Lys Thr Glu Met Lys Asp Asp Phe Ala Lys Leu Glu Glu Gln Phe Asp Ala Lys Leu Gly Ile Phe Ala Leu Asp Thr Gly Thr Asn Arg Thr Val Ala Tyr Arg Pro Asp Glu Arg Phe Ala Phe Ala Ser Thr Ile Lys Ala Leu Thr Val Gly Val Leu Leu Gln Gln Lys Ser Ile Glu Asp Leu Asn Gln Arg Ile Thr Tyr Thr Arg Asp Asp Leu Val Asn Tyr Asn Pro Ile Thr Glu Lys His Val Asp Thr Gly Met Thr Leu Lys Glu Leu Ala Asp Ala Ser Leu Arg Tyr Ser Asp Asn Ala Ala Gln Asn Leu Ile Leu Lys Gln Ile Gly Gly Pro Glu Ser Leu Lys Lys Glu Leu Arg Lys Ile Gly Asp Glu Val Thr Asn Pro Glu Arg Phe Glu Pro Glu Leu Asn Glu Val Asn Pro Gly Glu Thr Gln Asp Thr Ser Thr Ala Arg Ala Leu Val Thr Ser Leu Arg Ala Phe Ala Leu Glu Asp Lys Leu Pro Ser Glu Lys Arg Glu Leu Leu Ile Asp Trp Met Lys Arg Asn Thr Thr Gly Asp Ala Leu Ile Arg Ala Gly Val Pro Asp Gly Trp Glu Val Ala Asp Lys Thr Gly Ala Ala Ser Tyr Gly Thr Arg Asn Asp Ile Ala Ile Ile Trp Pro Pro Lys Gly Asp Pro Val Val Leu Ala Val Leu Ser Ser Arg Asp Lys Lys Asp Ala Lys Tyr Asp Asp Lys Leu Ile Ala Glu Ala Thr Lys Val Val Met Lys Ala Leu Asn Met Asn Gly Lys
さらに、ベータラクタマーゼは、SEQ ID NO:1の最初の残基からさらなる上流の残基を含み得る(例えば、penPおよびpenP1のエクソラージおよびエクソスモール型(exo-large and exo-small versions)を含む、例えば内容が参照により本明細書に組み入れられるJBC 258 (18): 11211, 1983を参照されたい)。さらに、ベータラクタマーゼポリペプチドは、SEQ ID NO:1の最後の残基からさらなる下流の残基も含み得る。
P1Aのポリヌクレオチド配列(N-末端での31アミノ酸のシグナル配列およびQASKTペンタペプチドの除去後)は、SEQ ID NO:2として提供される。本明細書に記載される通り、この配列に対し突然変異が作製されて、ベータラクタマーゼ誘導体を作製し得る(遺伝子コードの縮重を考慮することを含む)。
SEQ ID NO:2
gagatgaaagatgattttgcaaaacttgaggaacaatttgatgcaaaactcgggatctttgcattggatacaggtacaaaccggacggtagcgtatcggccggatgagcgttttgcttttgcttcgacgattaaggctttaactgtaggcgtgcttttgcaacagaaatcaatagaagatctgaaccagagaataacatatacacgtgatgatcttgtaaactacaacccgattacggaaaagcacgttgatacgggaatgacgctcaaagagcttgcggatgcttcgcttcgatatagtgacaatgcggcacagaatctcattcttaaacaaattggcggacctgaaagtttgaaaaaggaactgaggaagattggtgatgaggttacaaatcccgaacgattcgaaccagagttaaatgaagtgaatccgggtgaaactcaggataccagtacagcaagagcacttgtcacaagccttcgagcctttgctcttgaagataaacttccaagtgaaaaacgcgagcttttaatcgattggatgaaacgaaataccactggagacgccttaatccgtgccggtgtgccggacggttgggaagtggctgataaaactggagcggcatcatatggaacccggaatgacattgccatcatttggccgccaaaaggagatcctgtcgttcttgcagtattatccagcagggataaaaaggacgccaagtatgatgataaacttattgcagaggcaacaaaggtggtaatgaaagccttaaacatgaacggcaaataa
また提供されるのは、SEQ ID NO:4として、N-末端での31アミノ酸のシグナル配列およびQASKTペンタペプチドの除去前のP1Aのポリヌクレオチド配列である。本明細書に記載される通り、この配列に対し突然変異が作製されて、ベータラクタマーゼ誘導体を作製し得る(遺伝子コードの縮重を考慮することを含む)。
SEQ ID NO:4
atgattcaaaaacgaaagcggacagtttcgttcagacttgtgcttatgtgcacgctgttatttgtcagtttgccgattacaaaaacatcagcgcaagcttccaagacggagatgaaagatgattttgcaaaacttgaggaacaatttgatgcaaaactcgggatctttgcattggatacaggtacaaaccggacggtagcgtatcggccggatgagcgttttgcttttgcttcgacgattaaggctttaactgtaggcgtgcttttgcaacagaaatcaatagaagatctgaaccagagaataacatatacacgtgatgatcttgtaaactacaacccgattacggaaaagcacgttgatacgggaatgacgctcaaagagcttgcggatgcttcgcttcgatatagtgacaatgcggcacagaatctcattcttaaacaaattggcggacctgaaagtttgaaaaaggaactgaggaagattggtgatgaggttacaaatcccgaacgattcgaaccagagttaaatgaagtgaatccgggtgaaactcaggataccagtacagcaagagcacttgtcacaagccttcgagcctttgctcttgaagataaacttccaagtgaaaaacgcgagcttttaatcgattggatgaaacgaaataccactggagacgccttaatccgtgccggtgtgccggacggttgggaagtggctgataaaactggagcggcatcatatggaacccggaatgacattgccatcatttggccgccaaaaggagatcctgtcgttcttgcagtattatccagcagggataaaaaggacgccaagtatgatgataaacttattgcagaggcaacaaaggtggtaatgaaagccttaaacatgaacggcaaataa
幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼの突然変異誘発を実施して、本発明の方法により利用される有利な酵素を誘導する(例えば、広域スペクトラム抗生物質を標的とし得るもの)。幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼ誘導体は、部位特異的突然変異、ランダム突然変異、および/または指向性進化法により得られる。幾つかの実施形態において、突然変異体の設計は、とりわけ、以下のもの:P1A結晶構造(Knox and Moews, J. Mol Biol., 220, 435-455(1991))、CTX-M-44(1BZA(Ibuka et al. Journal of Molecular Biology Volume 285, Issue 5 2079-2087 (1999)、1IYS(Ibuka et al. Biochemistry, 2003, 42 (36): 10634-43)、1IYO、1IYPおよび1IYQ(Shimamura et al. 2002 J. Biol. Chem. 277:46601-08)、プロテウス・ブルガリスK1(1HZO、Nugaka et al. J Mol Biol. 2002 Mar 15;317(1):109-17)およびプロテウス・ペンネリHugA(Liassine et al. Antimicrob Agents Chemother. 2002 Jan;46(1):216-9. 2002)の構造データ(例えば、結晶構造データ、相同体モデルなど)に基づき、Bonnet, Antimicrob. Agents Chemother 48(1): 1-14(2004)(CTM-Xの場合)で論評され、それらの全ての内容は参照により本明細書に組み入れられる。幾つかの実施形態において、本発明の突然変異は、以下のベータラクタマーゼの任意の1つの構造データ(例えば、結晶構造データ、相同体モデルなど)の分析により情報が与えられる:P1A(例えば、内容が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,607,671号参照)、P2A(例えば、内容が参照により本明細書に組み入れられるWO2007/147945参照)、P3A(例えば、内容が参照により本明細書に組み入れられるWO 2011/148041参照)、CTX-M-3、CTX-M-4、CTX-M-5、CTX-M-9、CTX-M-10、CTX-M-14、CTX-M-15、CTX-M-16、CTX-M-18、CTX-M-19、CTX-M-25、CTX-M-26、CTX-M-27、CTX-M-32、CTX-M-44、CTX-M-45、およびCTX-M-54。そのような情報は、公知のデータベース、例えばSwiss-Prot Protein Sequence Data Bank、NCBI、およびPDBの当業者に入手可能である。
幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼは、SEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:3、またはSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:3に対し少なくとも30%、35%、40%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.8%、もしくは99.9%の同一性(またはSEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3に対し約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%の同一性)を有する配列への1つまたは複数の(例えば、約1、または約2、または約3、または約4、または約5、または約6、または約7、または約8、または約9、または約10、または約15、または約20、または約30、または約40、または約50、または約60、または約70、または約80、または約90、または約100、または約110、または約120、または約130、または約140、または約150の)突然変異を含む。
様々な実施形態において、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3の1つまたは複数のアミノ酸は、親水性アミノ酸(例えば、アルギニン(R)もしくはリシン(K)などの極性で正電荷の親水性アミノ酸;アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、プロリン(P)、およびシステイン(C)などの極性で中性電荷の親水性アミノ酸;アスパラギン酸(D)もしくはグルタミン酸(E)などの極性で負電荷の親水性アミノ酸、またはヒスチジン(H)などの芳香族で極性の正電荷親水性アミノ酸)または疎水性アミノ酸(例えば、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、もしくはバリン(V)などの疎水性脂肪族アミノ酸;フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、もしくはチロシン(Y)などの疎水性芳香族アミノ酸などの、天然由来アミノ酸、または非古典的アミノ酸(例えば、セレノシステイン、ピロリシン、N-ホルミルメチオニンβ-アラニン、GABAおよびδ-アミノレブリン酸、4-アミノ安息香酸(PABA)、一般的アミノ酸のD-異性体、2,4-ジアミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、γ-Abu、ε-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコスメ(sarcosme)、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、フルオロアミノ酸、デザイナーアミノ酸、例えばβ-メチルアミノ酸、Cα-メチルアミノ酸、Nα-メチルアミノ酸、および一般的なアミノ酸類似体)で置換される。幾つかの実施形態において、SEQ ID NO:1は、配列の最初の残基の前にMetおよび/またはThrを有し得る。これらの残基は、上記と同様に突然変異され得る。
例示的な突然変異は、全ての内容全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第9,290,754号に記載される。
全てのクラスAベータラクタマーゼ突然変異体において、残基のナンバリングは、SEQ ID NO:1に対応する。これらの残基番号は、例えばBLAST(Basic Local Alignment Search Tools)またはFASTA(FAST-AII)を用いることにより、任意の従来の生物情報学的方法の使用を通して、アンブラー番号(内容が参照により本明細書に組み入れられる、Ambler et al., 1991, A standard numbering scheme for the Class A β-lactamases, Biochem. J. 276:269-272)に変換され得る。例えば残基244は、アンブラー276に対応する。例えば、以下の変換が、用いられ得る:
Figure 0007516007000001
さらに、同一性%も、これらの従来の生物情報学的方法で評定され得る。
一実施形態において、本発明の方法により用いられるベータラクタマーゼは、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3との少なくとも60%(例えば、約60%、または約61%、または約62%、または約63%、または約64%、または約65%、または約66%、または約67%、または約68%、または約69%、または約70%、または約71%、または約72%、または約73%、または約74%、または約75%、または約76%、または約77%、または約78%、または約79%、または約80%、または約81%、または約82%、または約83%、または約84%、または約85%、または約86%、または約87%、または約88%、または約89%、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%)の配列同一性と、以下のアンブラーの分類の突然変異:F33X、Q135X、G156X、A232X、A237X、A238X、S240X、T243X、R244X、S266X、およびD276X(ここで、Xは、任意の天然由来アミノ酸であるが、但し、D276Xが単一の突然変異体に関して存在しないことを条件とする)の1つまたは複数とを有するアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態において、Xは、天然由来の親水性もしくは疎水性のアミノ酸残基、または非古典的アミノ酸である。
別の実施形態において、本発明の方法により用いられるベータラクタマーゼは、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3との少なくとも60%の配列同一性と、以下のアンブラーの分類の突然変異:位置33でのフェニルアラニン(F)以外の疎水性残基;位置135でのグルタミン(Q)以外の疎水性残基;位置156でのグリシン(G)以外の親水性残基;位置232でのアラニン(A)以外の疎水性残基;位置237でのアラニン(A)以外の親水性残基;位置238でのアラニン(A)以外の疎水性または親水性残基;位置240でのセリン(S)以外の親水性残基;位置243でのトレオニン(T)以外の疎水性残基;位置244でのアルギニン(R)以外の疎水性残基;位置266でのセリン(S)以外の親水性残基;および位置276でのアスパラギン酸(D)以外の親水性残基、の1つまたは複数とを有するアミノ酸配列を含むが、但し、位置276に対応する位置でのアスパラギン酸(D)以外の親水性アミノ酸残基は、単一の突然変異に関して存在しないことを条件とする。
全体を通して用いられる通り、親水性アミノ酸残基は、アルギニン(R)およびリシン(K)から選択される極性で正電荷の親水性残基;アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、プロリン(P)、およびシステイン(C)から選択される極性で中性電荷の親水性残基;アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E)から選択される極性で負電荷の親水性残基、またはヒスチジン(H)を含む芳香族で極性の正電荷親水性を含み得る。全体を通して用いられる通り、疎水性アミノ酸残基は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、もしくはバリン(V)から選択される疎水性脂肪族アミノ酸;またはフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、もしくはチロシン(Y)から選択される疎水性芳香族アミノ酸を含み得る。
突然変異は、コドン縮重などを考慮して、遺伝子コードを参照することによりベータラクタマーゼの遺伝子配列(例えば、SEQ ID NO:3および4)の遺伝子配列に作製されてよい。
幾つかの実施形態において、本発明の方法により用いられるベータラクタマーゼは、アンブラーの分類の位置に以下の突然変異:F33Y、Q135M、G156R、A232G、A237S、A238GまたはT、S240PまたはD、T243I、R244T、S266N、D276NまたはRまたはK、の1つまたは複数を含むが、但し、D276NまたはRまたはKが、単一の突然変異体との関連でないことを条件とする。一実施形態において、ベータラクタマーゼは、Q135Mを含む。別の実施形態において、ベータラクタマーゼは、G156RおよびA238Tを含む。別の実施形態において、ベータラクタマーゼは、F33YおよびD276Nを含む。さらに別の実施形態において、ベータラクタマーゼは、F33Y、S240P、およびD276Nを含む。一実施形態において、ベータラクタマーゼは、F33Y、A238T、およびD276Nを含む。別の実施形態において、ベータラクタマーゼは、A232G、A237S、A238G、およびS240Dを含む。さらなる実施形態において、ベータラクタマーゼは、A232G、A237S、A238G、S240D、およびR244Tを含む。別の実施形態において、ベータラクタマーゼは、A232G、A237S、A238G、S240D、およびD276Rを含む。一実施形態において、ベータラクタマーゼは、A232G、A237S、A238G、S240D、およびD276Kを含む。一実施形態において、ベータラクタマーゼは、A232G、A237S、A238G、S240D、およびQ135Mを含む。一実施形態において、ベータラクタマーゼは、A238Tを含む。一実施形態において、ベータラクタマーゼは、T243I、S266N、およびD276Nを含む。一実施形態において、ベータラクタマーゼは、A232G、A237S、A238G、S240D、およびD276Nを含む。
他の実施形態において、ベータラクタマーゼは、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3との少なくとも60%の配列同一性と、以下のアンブラーの分類:位置232でのアラニン(A)以外の疎水性残基;位置237でのアラニン(A)以外の親水性残基;位置238でのアラニン(A)以外の疎水性残基;位置240でのセリン(S)以外の親水性残基;および位置276でのアスパラギン酸(D)以外の親水性残基とを有するアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態において、位置232でのアラニン(A)以外の疎水性残基は、グリシン(G)である。幾つかの実施形態において、位置237でのアラニン(A)以外の親水性残基は、セリン(S)である。幾つかの実施形態において、位置238でのアラニン(A)以外の疎水性残基は、グリシン(G)である。幾つかの実施形態において、位置240でのセリン(S)以外の親水性残基は、アスパラギン酸(D)である。幾つかの実施形態において、位置276でのアスパラギン酸(D)以外のものは、アスパラギン(N)である。幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物は、A232G、A237S、A238G、S240D、およびD276Nの1つまたは複数を含む。幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼは、A232G、A237S、A238G、S240D、およびD276Nの全てを含み、その配列は、SEQ ID NO:5:
SEQ ID NO:5
EMKDDFAKLEEQFDAKLGIFALDTGTNRTVAYRPDERFAFASTIKALTVGVLLQQKSIEDLNQRITTRDDLVNYNPITEKHVDTGMTLKELADASLRYSDNAAQNLILKQIGGPESLKKELRKIGDEVTNPERFEPELNEVNPGETQDTSTARALVTSLRAFALEDKLPSEKRELLIDWMKRNTTGDALIRAGVPDGWEVGDKTGSGDYGTRNDIAIIWPPKGDPVVLAVLSSRDKKDAKYDNKLIAEATKVVMKALNMNGK
であり、または
SEQ ID NO:6は、SEQ ID NO:5に由来し、シグナルおよびQASKTアミノ酸の付加をさらに含む:
SEQ ID NO:6
MIQKRKRTVSFRLVLMCTLLFVSLPITKTSAQASKTEMKDDFAKLEEQFDAKLGIFALDTGTNRTVAYRPDERFAFASTIKALTVGVLLQQKSIEDLNQRITYTRDDLVNYNPITEKHVDTGMTLKELADASLRYSDNAAQNLILKQIGGPESLKKELRKIGDEVTNPERFEPELNEVNPGETQDTSTARALVTSLRAFALEDKLPSEKRELLIDWMKRNTTGDALIRAGVPDGWEVGDKTGSGDYGTRNDIAIIWPPKGDPVVLAVLSSRDKKDAKYDNKLIAEATKVVMKALNMNGK
本発明の例示的なポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:7:


Figure 0007516007000002
である。
A232G、A237S、A238G、S240D、およびD276N突然変異体の全ヌクレオチド配列、Hind III部位(太字のAAGCTT)、ならびに付加的KおよびTアミノ酸。リーダーおよび付加的ヌクレオチド(アミノ酸配列QASKTの付加のための、Hind III部位ならびにKおよびTアミノ酸)に下線が引かれている。
P1A、P2A、P3A、およびP4Aならびにその誘導体を含むベータラクタマーゼの付加的配列は、例えば全ての内容全体が参照により本明細書に組み入れられる、WO2011/148041および米国特許第9,290,754号に記載される。以下の表に、本発明の方法で用いられ得る代表的なベータラクタマーゼおよびその誘導体を列挙する:
Figure 0007516007000003
様々な実施形態において、ベータラクタマーゼは、例えば、経口抗生物質を含む広域スペクトラムの抗生物質を効率的に標的とする能力を有することを含む、所望の特徴を有する。様々な実施形態において、ベータラクタマーゼは、所望の酵素反応速度論的特徴を有する。例えば幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼは、例えば、約500μM未満、または約100μM、または約10μM、または約1μM、または約0.1μM(100nM)、または約0.01μM(10nM)、または約1nMのKを含む、少なくとも1種の経口抗生物質に対する低いKを有する。様々な実施形態において、ベータラクタマーゼは、例えば、約100s-1を超える、または約1000s-1、または約10000s-1、または約100000s-1、または約1000000s-1のVmaxを含む、少なくとも1種の経口抗生物質に対する高いVmaxを有する。様々な実施形態において、ベータラクタマーゼは、少なくとも1種の経口抗生物質に対する約10-1-1を超える触媒効率を有する。
様々な実施形態において、ベータラクタマーゼは、GI管において、例えば口、食道、胃、十二指腸、小腸、十二指腸、空腸、回腸、大腸、横行結腸、下行結腸、上行結腸、S状結腸、盲腸、および直腸の1つまたは複数において、安定であり、および/または活性である。具体的実施形態において、ベータラクタマーゼは、場合により横行結腸、下行結腸、上行結腸、S状結腸および盲腸の1つまたは複数から選択される、大腸において安定である。具体的実施形態において、ベータラクタマーゼは、場合により十二指腸、空腸、および回腸の1つまたは複数から選択される、小腸において安定である。幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼは、例えば小腸を含む、GI管中でプロテアーゼに耐性である。幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼは、約6.0~約7.5、例えば約6.0、または約6.1、または約6.2、または約6.3、または約6.4、または約6.5、または約6.6、または約6.7、または約6.8、または約6.9、または約7.0、または約7.1、または約7.2、または約7.3、または約7.4、または約7.5のpHで実質的に活性である(例えば、本明細書に記載される配合物を介してなど)。様々な実施形態において、本発明のベータラクタマーゼは、場合によりアビバクタム、タゾバクタム、スルバクタム、およびクラブラン酸から選択される、1種または複数のベータラクタマーゼ阻害剤に耐性である。別の実施形態において、本明細書に記載される通り、本発明のベータラクタマーゼは、1種または複数のベータラクタマーゼ阻害剤に感受性であり、この特性は、経口抗生物質の加水分解が抗生物質の治療上の利益を妨害しないことを確実にするために活用される。幾つかの実施形態において、安定な、は、充分に長い半減期を有し、かつ治療有効性に充分な活性を維持する酵素を指す。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるベータラクタマーゼは、修飾された、即ち、共有結合による付着が酵素の活性を防止しないようなベータラクタマーゼへの任意の型の分子の共有結合による付着による、誘導体を包含する。例えば誘導体としては、とりわけグリコシル化、脂質化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知の保護/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解性開裂、細胞内リガンドまたは他のタンパク質への連結などにより修飾されたベータラクタマーゼが挙げられるが、これらに限定されない。非限定的に、特異的な化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含む、数多くの化学修飾のいずれかを実施できる。加えて誘導体は、1種または複数の非古典的アミノ酸を含有し得る。
さらに別の実施形態において、本明細書に記載されるベータラクタマーゼは、化学リンカーなどのエフェクター部分、例えば蛍光色素、酵素、基質、生物発光材料、放射性材料、および化学発光部分などの検出可能な部分、または例えばストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、サイトトキシン、細胞障害剤、および放射性材料などの機能的部分を付加するように修飾されてよい。
本明細書に記載されるベータラクタマーゼは、医薬的に許容できる塩を形成するために、無機もしくは有機酸と反応し得る充分に塩基性の官能基、または無機もしくは有機塩基と反応し得るカルボキシル基を有し得る。医薬的に許容できる酸付加塩は、当該技術分野で周知の通り、医薬的に許容できる酸から形成される。そのような塩としては、例えば全体として参照により組み入れられるJournal of Pharmaceutical Science, 66, 2-19 (1977)、およびThe Handbook of Pharmaceutical Salts; Properties, Selection, and Use. P. H. Stahl and C. G. Wermuth (eds.), Verlag, Zurich (Switzerland) 2002に列挙された医薬的に許容できる塩が挙げられる。
医薬的に許容できる塩としては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩(glucaronate)、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ショウノウスルホン酸塩、パモ酸塩、フェニル酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アクリル酸塩、クロロ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、o-アセトキシ安息香酸塩、ナフタレン-2-安息香酸塩、イソ酪酸塩、フェニル酪酸塩、α-ヒドロキシ酪酸塩、ブチン-1,4-二酸塩、ヘキシン-1,4-二酸塩、カプリン酸塩、カプリル塩、ケイ皮酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩、馬尿酸塩、リンゴ酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシラート、ニコチン酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、プロピオル酸塩、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、セバシン酸塩、スベリン酸塩、p-ブロモベンゼンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エチルスルホン酸塩、2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩、メチルスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、ナフタレン-1,5-スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、および酒石酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「医薬的に許容できる塩」はまた、カルボン酸官能基などの酸性官能基と、塩基とを有するベータラクタマーゼの塩を指す。適切な塩基としては、ナトリウム、カリウムおよびリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウムおよび亜鉛などの他の金属の水酸化物;アンモニア、ならびに非置換またはヒドロキシ置換されたモノ-、ジ-、またはトリ-アルキルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの有機アミン;トリブチルアミン;ピリジン;N-メチル、N-エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ-、ビス-またはトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミンなどのモノ-、ビス-またはトリス-(2-OH-低級アルキルアミン)、2-ヒドロキシ-tert-ブチルアミン、またはトリス-(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミンまたはトリ-(2-ヒドロキシエチル)アミンなどのN,N-ジ-低級アルキル-N-(ヒドロキシル-低級アルキル)-アミン;N-メチル-D-グルカミン;ならびにアルギニン、リシンなどのアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、医薬的に許容できる塩の形態である。
さらに、本明細書に記載される任意のベータラクタマーゼは、医薬的に許容できる担体またはビヒクルを含む組成物の成分として、対象に投与され得る。そのような組成物は、適当な投与のための形態を提供するように、医薬的に許容できる賦形剤の適切な量を場合により含み得る。
医薬賦形剤は、水および油などの液体であってよく、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油などの石油、動物、植物または合成物起源のものを含む。医薬賦形剤は、例えば生理食塩水、アラビアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素などであり得る。加えて、補助剤、安定化剤、増粘剤、滑沢剤、および着色剤が、用いられ得る。一実施形態において、医薬的に許容できる賦形剤は、対象に投与される際に滅菌される。水は、本明細書に記載される任意の薬剤が静脈投与される場合に有用な賦形剤である。生理食塩溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液もまた、具体的には注射溶液のための、液体賦形剤として用いられ得る。適切な医薬賦形剤としては、デンプン、グルコース、セルロース、ヒプロメロース、ラクトース、スクロース、麦芽、コメ、小麦、白亜、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、ポビドン、クロスポビドン、水、エタノールなども挙げられる。本明細書に記載される任意の薬剤は、所望なら、微量の湿潤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤も含み得る。適切な医薬賦形剤の他の例は、参照により本明細書に組み入れられる、Remington’s Pharmaceutical Sciences 1447-1676(Alfonso R. Gennaro eds., 19th ed. 1995)に記載される。
必要に応じて、ベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)は、可溶化剤を含み得る。また薬剤は、適切なビヒクルまたは送達デバイスで送達され得る。投与のための組成物は、注射部位の疼痛を減少させるために、例えばリグノカインなどの局所麻酔を場合により含み得る。本明細書に概説される併用療法は、単一の送達ビヒクルまたは送達デバイス中で共送達され得る。
経口抗生物質
様々な実施形態において、ベータラクタマーゼは、1種または複数の経口抗生物質を失活させる。様々な実施形態において、ベータラクタマーゼは、1種または複数の経口抗生物質を加水分解する。様々な実施形態において、記載されるベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)は、1種または複数の経口抗生物質の治療的(例えば、全身の)作用を保持しながら、それらがGI微生物叢を崩壊し得るGI管の下部で、過剰量のこれらの経口抗生物質の作用を防ぐような様式で配合される。例えば、記載されるベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)は、経口投与後にGI管から吸収されない、または全身循環から腸管へと活性形態で戻される、活性な抗生物質が、失活されるような様式で配合される。特定の実施形態において、経口投与される抗生物質は、ペニシリン、セファロスポリン、モノバクタム、およびカルバペネムから選択される。
ペニシリンとしては、例えば、アムジノシリン、アモキシシリン(例えば、NOVAMOX、AMOXIL);アンピシリン(例えば、PRINCIPEN);アズロシリン;カルベニシリン(例えば、GEOCILLIN);クロキサシリン(例えば、TEGOPEN);シクラシリン、ジクロキサシリン(例えば、DYNAPEN);フルクロキサシリン(例えば、FLOXAPEN);メズロシリン(例えば、MEZLIN);メチシリン(例えば、STAPHCILLIN);ナフシリン(例えば、UNIPEN);オキサシリン(例えば、PROSTAPHLIN);ペニシリン酸、ペニシリンG(例えば、PENTIDSまたはPFIZERPEN);ペニシリンV(例えば、VEETIDS(PEN-VEE-K));ピペラシリン(例えば、PIPRACIL);スルバクタム、テモシリン(例えば、NEGABAN);およびチカルシリン(例えば、TICAR)が挙げられる。
例示的ペニシリンは:
Figure 0007516007000004
を含む。
セファロスポリンとしては、例えば第一世代セファロスポリン(例えば、セファドロキシル(例えば、DURICEF);セファゾリン(例えば、ANCEF);セフトロザン、セファロチン/セファロチン(例えば、KEFLIN);セファレキシン(例えば、KEFLEX));第二世代セファロスポリン(例えば、セファクロル(例えば、DISTACLOR);セファマンドール(例えば、MANDOL);セフォキシチン(例えば、MEFOXIN);セフプロジル(例えば、CEFZIL);セフロキシム(例えば、CEFTIN、ZINNAT));第三世代セファロスポリン(例えば、セフィキシム(例えば、SUPRAX);セフジニル(例えば、OMNICEF、CEFDIEL);セフジトレン(例えば、SPECTRACEF);セフォペラゾン(例えば、CEFOBID);セフォタキシム(例えば、CLAFORAN);セフポドキシム(例えば、VANTIN);セフタジジム(例えば、FORTAZ);セフチブテン(例えば、CEDAX);セフチゾキシム(例えば、CEFIZOX);およびセフトリアキソン(例えば、ROCEPHIN));第四世代セファロスポリン(例えば、セフェピム(例えば、MAXIPIME));または第五世代セファロスポリン(例えば、セフタロリン・フォサミル(例えば、TEFLARO);セフトビプロール(例えば、ZEFTERA))が挙げられる。また、ラタモキセフ(またはマキサラクタム)も含まれる。具体的実施形態において、セファロスポリンとしては、例えばセフォペラゾン、セフトリアキソンまたはセファゾリンが挙げられる。
例示的なセファロスポリンは
Figure 0007516007000005
Figure 0007516007000006
Figure 0007516007000007
を含む。
モノバクタムとしては、例えばアズトレオナム(例えば、AZACTAM、CAYSTON)、チゲモナム、ノカルジシンA、およびタブトキシンが挙げられる。
カルバペネムとしては、例えばメロペネム、イミペネム(非限定的例として、イミペネム/シラスタチン)、エルタペネム、ドリペネム、パニペネム/ネタミプロン、ビアペネム、ラズペネム(PZ-601)、テビペネム、レナペネム、およびトモペネムが挙げられる。カルバペネムは、チエナマイシンも含む。
例示的なカルバペネムは、
Figure 0007516007000008
を含む。
ベータラクタマーゼ阻害剤
様々な実施形態において、記載されるベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)は、1種または複数の経口抗生物質の治療的(例えば、全身の)作用を保持しながら、それらがGI微生物叢を崩壊し得るGI管中の下部で、残留するまたは過剰量のこれらの経口抗生物質(例えば、経口投与の後にGI管から吸収されない活性抗生物質、または全身循環から腸管へと活性形態で戻される活性抗生物質)の作用を防ぐような様式で配合され、この二重の目的は、一部には、1種または複数のベータラクタマーゼ阻害剤の使用により実行される。
例えば、記載されるベータラクタマーゼは、1種または複数のベータラクタマーゼ阻害剤を受ける患者に投与されてもよく(例えば、連続または同時の共投与、または共配合)、それにより1種または複数のベータラクタマーゼ阻害剤は、ベータラクタマーゼ活性を低下または排除することにより、GI管中のより高い部分(例えば、回腸およびその上部、または近位小腸)で経口抗生物質を防御するように作用する。しかし、1種または複数のベータラクタマーゼ阻害剤は、GI管中の下部(例えば、遠位小腸および/または結腸)ではベータラクタマーゼ活性に対しそのような阻害作用をもたず、それゆえ記載されるベータラクタマーゼがGI管中の下部で残留するまたは過剰の経口抗生物質を失活させる(例えば、加水分解する)ことを可能にし、こうしてGI微生物叢への損傷を防ぐまたは軽減する。
幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼ阻害剤は、ベータラクタム系抗生物質と共に移行し、両者が近位小腸内での吸収に利用可能であるようにする。ベータラクタマーゼ阻害剤は、近位小腸でベータラクタム系抗生物質をベータラクタマーゼから防御するのに役立つ。この抗生物質および阻害剤はその後、両者とも、血流中に吸収され、それにより近位小腸から除去される。阻害剤の濃度が、小腸で低下すると、ベータラクタマーゼが活性になる。腸に残留する、または胆汁と共に再度進入する、全ての残留するまたは過剰の抗生物質は、結腸マイクロバイオームと遭遇する前に不活性化される。
幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼ阻害剤としては、例えばタゾバクタム、スルバクタム、クラブラン酸、アビバクタム、モノバクタム誘導体、ATMO誘導体、ペネム類(例えば、BRL42715およびその誘導体、Syn1012、オキサペネム、トリネム、1-β-メチルカルバペネム)、ペニシリンおよびセファロスポリンスルホン誘導体(例えば、C-2/C-3置換されたペニシリンおよびセファロスポリンスルホン、C-6-置換されたペニシリンスルホン)、非β-ラクタム阻害剤(例えば、ボロン酸遷移状態類似体、ホスホナート、NXL104、ヒドロキシマート)およびメタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤、例えばチオール誘導体、ピリジンジカルボキシラート、トリフルオロメチルケトンおよびアルコール、カルバペネム類似体、三環式天然生成物、スクシナート誘導体、およびC-6-メルカプトメチルペニシリナートが挙げられる。経口抗生物質と1種または複数のベータラクタマーゼ阻害剤の共配合もまた、幾つかの実施形態において提供される(例えば、Augmentinはアモキシシリンとクラブラン酸の混合物であり、スルタミシリンはアンピシリンとスルバクタムの混合物である)。
さらに、内容が全体として参照により本明細書に組み入れられる、Drawz, Clin Microbiol Rev. Jan 2010; 23(1): 160-201に記載されたベータラクタマーゼ阻害剤のいずれも、本発明に包含される。
配合物および投与
様々な実施形態において、本発明は、GI管中の充分遠位でベータラクタマーゼの放出を可能にして、経口抗生物質の吸収を可能にし、それゆえ吸収前の経口抗生物質へのベータラクタマーゼの酵素活性を防ぐまたは実質的に低下させる(およびそれゆえ、所望の全身抗菌効果を可能にする、または促進する)配合剤を提供する。様々な実施形態において、本発明の配合物は、GI管中の近位でのベータラクタマーゼの漏出を防ぐ、または実質的に減少させ、こうして経口抗生物質吸収の妨害を防ぐまたは実質的に減少させる。様々な実施形態において、本発明は、ベータラクタマーゼと、本明細書に記載される様々な緩衝剤および賦形剤とを含むペレットを含む配合物を提供し、そこでペレットは、例えばFS EUDRAGIT FS 30DまたはEUDRAGIT S100でコーティングされ、かつペレットはカプセル内に含まれ、カプセル自体は、例えばFS EUDRAGIT FS 30Dにコーティングされる。したがって、コーティングされたカプセルの内部で、ペレットを活性ベータラクタマーゼ剤でコーティングする本発明のアプローチは、本発明者らがマイクロバイオームを抗生物質性の崩壊なしに防御するのに不可欠であると見出した、移動中のGI管での早すぎるベータラクタマーゼ漏出を防ぐための安全な手法を提供する。
本発明は、記載されるベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)を様々な配合で含む。本明細書に記載される任意のベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)は、溶液、懸濁液、エマルジョン、液滴、錠剤、丸薬、ペレット、カプセル、液体含有カプセル、マルチパーティキュレート含有カプセル、粉末、坐剤、エマルジョン、エアロゾル、スプレー、懸濁液、遅延放出性配合物、持続放出性配合物、制御放出性配合物、または使用に適した任意の他の形態をとってよい。一実施形態において、組成物は、カプセルまたは錠剤の形態である(例えば、米国特許第5,698,155号参照)。
ベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)を含む配合物は簡便に、単位投与剤形で存在してもよい。例えば投与剤形は、治療薬を、1種または複数の付帯的成分を構成する担体と会合させるステップを含む方法により調製されてよい。典型的には配合物は、治療薬を液体担体、微細化固体担体、またはその両方と均一かつ緊密に会合させ、その後、必要に応じて、生成物を所望の配合物の投与剤形に成形すること(例えば、湿式または乾式造粒、粉末ブレンドなど、その後、圧縮打錠)により調製される。
一実施形態において、本明細書に記載されるベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)は、本明細書に記載される投与様式に適合された組成物として配合される。
幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)の投与は、経口、静脈内、および非経口のいずれか1つである。幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)の投与は、例えば、全身投与された抗生物質を妨害することを防ぐために、静脈内でない。他の実施形態において、投与経路としては、例えば経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜外、舌下、鼻内、嚢内、膣内、経皮、直腸、吸入、または外用、特に耳、鼻、目、または皮膚への外用が挙げられる。幾つかの実施形態において、投与は、経口で、または非経口注射により実行される。
様々な実施形態において、ベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)の投与は、例えば、経口送達、鼻腔チューブ、腸挿管(例えば、経腸チューブまたは栄養管、例えば空腸管または胃空腸管など)、内視鏡、大腸内視鏡、または浣腸などを介して、GI管内へ行われる。
一実施形態において、本明細書に記載されるベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)は、経口投与され得る。他の実施形態において、ベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)は、任意の他の簡便な経路により、例えば静脈内輸液またはボーラス注射により、上皮または粘膜皮膚内層(例えば、経口粘膜、直腸および腸粘膜など)を通した吸収により、投与されてもよく、かつ追加の治療薬と一緒に投与されてよい。投与は、全身または局所であり得る。幾つかの実施形態において、投与は、例えば感染部位での抗生物質の加水分解を、回避するために感染部位ではない。様々な送達系、例えばリポソーム、微粒子、マイクロカプセル、カプセルなどでのカプセル化が公知であり、投与に用いられ得る。
具体的実施形態において、処置が必要なエリアへ局所投与することが、望ましい場合がある。
一実施形態において、本明細書に記載されるベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)は、ヒトへの経口投与に適合された組成物として配合される。経口送達用の組成物は、例えば錠剤、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁液、顆粒、粉末、スプリンクル、エマルジョン、カプセル、シロップ、またはエリキシルの形態であり得る。経口投与される組成物は、医薬的に口当たりの良い調製物を提供するために、1種または複数の薬剤、例えばフルクトース、アスパルテームまたはサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、冬緑油、またはチェリーなどの香味剤;着色剤;および防腐剤を含み得る。その上、錠剤または丸薬の形態の場合、組成物は、崩壊を遅延させて長期にわたる持続的作用を提供するようにコーティングされ得る。本明細書に記載される任意のベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を推進する浸透圧性活性剤を取り囲む選択的に透過可能な膜もまた、経口投与組成物に適する。これらの後者のプラットフォームでは、カプセルを取り囲む環境からの流体が、推進する化合物により同化され、それが膨張して、薬剤または薬剤組成物を穴を通して移動させる。これらの送達プラットフォームは、即時放出配合物の急上昇するプロファイルと対照的に、本質的にゼロオーダーの送達プロファイルを提供し得る。モノステアリン酸グリセロールまたはステアリン酸グリセロールなどの時間遅延材料もまた、有用であり得る。経口組成物は、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、エタクリル酸およびその誘導体ポリマー、ならびに炭酸マグネシウムなどの標準の賦形剤を含み得る。一実施形態において、賦形剤は、医薬等級のものである。懸濁液は、活性化合物に加えて、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタンおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、トラガカントなど、ならびにそれらの混合物などの懸濁剤を含有し得る。
様々な実施形態において、ベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)は、錠剤、分散性粉末、顆粒、およびカプセルなどの固体投与剤形として配合される。一実施形態において、ベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)は、カプセルとして配合される。別の実施形態において、ベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)は、錠剤として配合される。さらに別の実施形態において、ベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)は、ソフトゲルカプセルとして配合される。さらなる実施形態において、ベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)は、ゼラチンカプセルとして配合される。
非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下および関節内注射および輸液)に適した投与剤形としては、例えば、溶液、懸濁液、分散物、エマルジョンなどが挙げられる。それらは、使用の直前に滅菌注射可能媒体中に溶解または懸濁され得る、滅菌固体組成物(例えば、凍結乾燥組成物)の形態で製造されてもよい。それらは、例えば懸濁剤または分散剤を含有してよい。
様々な方法を用いて、本明細書に記載される薬剤を配合し、および/または目的の位置へ送達してよい。例えば本明細書に記載されるベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)は、胃腸管への送達のために配合されてよい。胃腸管は、口、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸および直腸などの消化系の臓器を含み、かつそれらの全ての小区分を含む(例えば小腸は、十二指腸、空腸および回腸を含み得;大腸は、横行結腸、下行結腸、上行結腸、S状結腸および盲腸を含み得る)。例えば本明細書に記載されるベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)は、胃、小腸、大腸および結腸ならびにそれらの全ての小区分(例えば、十二指腸、空腸および回腸、横行結腸、下行結腸、上行結腸、S状結腸および盲腸)を含む1つまたは複数への送達のために配合されてよい。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、上部または下部GI管への送達のために配合されてよい。一実施形態において、ベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)は、例えば胃腸管の粘膜組織と直接的または間接的に接触することにより、対象に投与されてよい。
例えば様々な実施形態において、本発明は、少なくとも1種のベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を含む放出改変配合物であって、GI管の1つまたは複数の領域中にベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)の実質的量を放出する、配合物を提供する。例えば、配合物は、胃の後で、およびGI管の1つまたは複数の領域中に、ベータラクタマーゼの少なくとも約60%を放出し得る。様々な実施形態において、少なくとも1種のベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を含む放出改変配合物は、1種または複数の経口抗生物質(および/またはベータラクタマーゼ阻害剤)の治療的(例えば、全身の)活性を可能にするがGI管の微生物叢に対する残留するまたは過剰の経口抗生物質(例えば、経口投与後にGI管から吸収されない、または全身循環から腸管へと活性形態で戻される活性抗生物質)の有害作用を防ぐまたは軽減する様式で放出される。様々な実施形態において、少なくとも1種のベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を含む放出改変配合物は、1種または複数の経口抗生物質(および/またはベータラクタマーゼ阻害剤)の放出部に対し遠位で放出される。例えば様々な実施形態において、少なくとも1種のベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を含む放出改変配合物は、回腸およびその下部に対し遠位で放出される。例えば様々な実施形態において、少なくとも1種のベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を含む放出改変配合物は、遠位の小腸および/または結腸で放出される。
様々な実施形態において、本発明の放出改変配合物は、胃の後で腸の1つまたは複数の領域中にベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%を放出する。例えば、放出改変配合物は、腸でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%を放出する。
様々な実施形態において、本発明の放出改変配合物は、小腸でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%を放出する。例えば、放出改変配合物は、小腸でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%を放出する。
一実施形態において、本発明の放出改変配合物は、十二指腸でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%を放出する。例えば、放出改変配合物は、十二指腸でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%を放出する。
一実施形態において、本発明の放出改変配合物は、空腸でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%を放出する。例えば、放出改変配合物は、空腸でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%を放出する。
一実施形態において、本発明の放出改変配合物は、回腸および/または回盲接合部でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%を放出する。例えば、放出改変配合物は、回腸および/または回盲接合部でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%を放出する。
様々な実施形態において、本発明の放出改変配合物は、大腸でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%を放出する。例えば、放出改変配合物は、大腸でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%を放出する。
一実施形態において、本発明の放出改変配合物は、盲腸でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%を放出する。例えば、放出改変配合物は、盲腸でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%を放出する。
一実施形態において、本発明の放出改変配合物は、上行結腸でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%を放出する。例えば、放出改変配合物は、上行結腸でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%を放出する。
一実施形態において、本発明の放出改変配合物は、横行結腸でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%を放出する。例えば、放出改変配合物は、横行結腸でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%を放出する。
一実施形態において、本発明の放出改変配合物は、下行結腸でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%を放出する。例えば、放出改変配合物は、下行結腸でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%を放出する。
一実施形態において、本発明の放出改変配合物は、S状結腸でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%を放出する。例えば、放出改変配合物は、S状結腸でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)の少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%を放出する。
様々な実施形態において、放出改変配合物は、胃でベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)を実質的に放出しない。
特定の実施形態において、放出改変配合物は、特異的pHでベータラクタマーゼ(または追加の治療薬)を放出する。例えば幾つかの実施形態において、放出改変配合物は、酸性環境において実質的に安定であり、中性付近~アルカリ性環境において実質的に不安定である(例えば、急速に溶解するか、または物理的に不安定である)。幾つかの実施形態において、安定性は、実質的に放出しないことを示し、不安定性は、実質的に放出することを示す。例えば幾つかの実施形態において、放出改変配合物は、約7.0以下、または約6.7以下、または約6.5以下、または約6.2以下、または約6.0以下、または約5.5以下、または約5.0以下、または約4.5以下、または約4.0以下、または約3.5以下、または約3.0以下、または約2.5以下、または約2.0以下、または約1.5以下、または約1.0以下のpHで実質的に安定である。幾つかの実施形態において、本発明の配合物は、低pHのエリアで安定であり、それゆえ例えば胃では実質的に放出されない。幾つかの実施形態において、放出改変配合物は、約1~約4またはより低いpHで実質的に安定であり、より高いpH値で実質的に不安定である。これらの実施形態において、放出改変配合物は、胃で実質的に放出されない。これらの実施形態において、放出改変配合物は、小腸(例えば、十二指腸、空腸および回腸の1つまたは複数)および/または大腸(例えば、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、およびS状結腸)で実質的に放出される。幾つかの実施形態において、放出改変配合物は、約4~約5またはより低いpHで実質的に安定であり、その結果、より高いpH値で実質的に不安定であり、それゆえ胃および/または小腸(例えば、十二指腸、空腸および回腸の1つまたは複数)で実質的に放出されない。これらの実施形態において、放出改変配合物は、大腸(例えば、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、およびS状結腸の1つまたは複数)で実質的に放出される。一実施形態において、放出改変配合物は、約6.2より高いpHで実質的に不安定である。別の実施形態において、放出改変配合物は、約6.7より高いpHで実質的に不安定である。様々な実施形態において、本明細書に列挙されるpH値は、例えば空腹状態または食後状態にあるかどうか、対象の状態を考慮するために当該技術分野で公知の通り調整されてよい。
幾つかの実施形態において、放出改変配合物は、胃液中で実質的に安定であり、腸液中で実質的に不安定であり、したがって小腸(例えば、十二指腸、空腸および回腸の1つまたは複数)および/または大腸(例えば、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、およびS状結腸)で実質的に放出される。
幾つかの実施形態において、放出改変配合物は、胃液中で安定である、または酸性環境で安定である。これらの放出改変配合物は、約4~約5もしくはより低いpHの胃液、または約4~約5もしくはより低いpHの模擬胃液中で、放出改変配合物中のベータラクタマーゼおよび/または追加の治療薬の約30重量%以下を、約15分、または約30分、または約45分、または約60分、または約90分で放出する。本発明の放出改変配合物は、約4~約5もしくはより低いpHの胃液、または約4~約5もしくはより低いpHの模擬胃液中で、放出改変配合物中のベータラクタマーゼおよび/または追加の治療薬の約0~約30重量%、約0~約25重量%、約0~約20重量%、約0~約15重量%、約0~約10重量%、約5~約30重量%、約5~約25重量%、約5~約20重量%、約5~約15重量%、約5~約10重量%を約15分、または約30分、または約45分、または約60分、または約90分で放出する。本発明の放出改変配合物は、約5以下のpHの胃液、または約5以下のpHの模擬胃液中で、放出改変配合物中の総ベータラクタマーゼおよび/または追加の治療薬の約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%を約15分、または約30分、または約45分、または約60分、または約90分で放出し得る。
幾つかの実施形態において、放出改変配合物は、腸液中で不安定である。これらの改変配合物は、腸液または模擬腸液中で、放出改変配合物中のベータラクタマーゼおよび/または追加の治療薬の約70重量%以上を約15分、または約30分、または約45分、または約60分、または約90分で放出する。幾つかの実施形態において、放出改変配合物は、中性付近~アルカリ性環境で不安定である。これらの改変配合物は、約4~5もしくはより高いpHの腸液または約4~5もしくはより高いpHの模擬腸液中で、放出改変配合物中のベータラクタマーゼおよび/または追加の治療薬の約70重量%以上を、約15分、または約30分、または約45分、または約60分、または約90分で放出する。中性付近またはアルカリ性環境で不安定である改変配合物は、約5より高いpHを有する流体(例えば、約5~約14、約6~約14、約7~約14、約8~約14、約9~約14、約10~約14、または約11~約14のpHを有する流体)の中で、放出改変配合物中のベータラクタマーゼおよび/または追加の治療薬の70重量%以上を、約5~約90分、または約10~約90分、または約15~約90分、または約20~約90分、または約25~約90分、または約30~約90分、または約5~約60分、または約10~約60分、または約15~約60分、または約20~約60分、または約25~約90分、または約30~約60分で放出し得る。
模擬胃液および模擬腸液の例としては、「2005 Pharmacopeia 23NF/28USP in Test Solutions」の2858頁に開示されるもの、ならびに/または当業者に知られている他の模擬胃液および模擬腸液、例えば酵素を用いずに調製された模擬胃液および/もしくは模擬腸液が挙げられるが、これらに限定されない。
様々な実施形態において、ベータラクタマーゼを含む放出改変配合物は、消化液中で実質的に安定である。例えば幾つかの実施形態において、投与後約10、または約9、または約8、または約7、または約6、または約5、または約4、または約3、または約2、または約1時間でベータラクタマーゼの約50%、約40%、約30%、約20%、約10%未満の損失がある。
様々な実施形態において、本発明の放出改変配合物は、遅延放出性コーティングなどの1種または複数の放出改変コーティングを利用して、場合により追加の治療薬を伴う、ベータラクタマーゼのGI管への効果的で、遅延されるが実質的な送達を提供してよい。一実施形態において、遅延放出性コーティングは、酸性環境で実質的に安定であり、中性付近~アルカリ性の環境で実質的に不安定である腸溶性薬剤を含む。一実施形態において、遅延放出性コーティングは、胃液中で実質的に安定である腸溶性薬剤を含有する。腸溶性コーティングは、例えばメタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、酢酸フタル酸ポリビニル、カルボキシメチルエチルセルロース、EUDRAGIT型ポリマー(ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸メチル)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート、トリメリト酸酢酸セルロース、シェラク、または他の適切な腸溶性コーティングポリマーの溶液または分散物から選択され得る。EUDRAGIT型ポリマーとしては、例えばEUDRAGIT FS 30D、L 30D-55、L 100-55、L 100、L 12,5、L 12,5P、RL 30D、RL PO、RL 100、RL 12,5、RS 30D、RS PO、RS 100、RS 12,5、NE 30D、NE 40D、NM 30D、S 100、S 12,5、およびS 12,5Pが挙げられる。幾つかの実施形態において、EUDRAGIT FS 30D、L 30D-55、L 100-55、L 100、L 12,5、L 12,5P、RL 30D、RL PO、RL 100、RL 12,5、RS 30D、RS PO、RS 100、RS 12,5、NE 30D、NE 40D、NM 30D、S 100、S 12,5およびS 12,5Pの1つまたは複数が用いられる。腸溶性薬剤は、前述の溶液または分散物の組み合わせであってもよい。
一実施形態において、放出改変配合物は、胃液中で本質的に無傷のままである、または本質的に不溶性であり得る、1種もしくは複数の遅延放出性コーティング(複数可)を含んでよい。遅延放出性コーティングの安定性は、pH依存性であり得る。pH依存性である遅延放出性コーティングは、酸性環境(約5以下のpH)で実質的に安定であり、中性付近~アルカリ性(約5より高いpH)で実質的に不安定である。例えば遅延放出性コーティングは、小腸(例えば、十二指腸、空腸および回腸の1つまたは複数の1つまたは複数)および/または大腸(例えば、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、およびS状結腸の1つまたは複数)で見出されるような中性付近~アルカリ性環境で本質的に崩壊されるまたは溶解されてよい。
非限定的例として、pH>5.5(EUDRAGIT L30D-550)、pH>6.0(EUDRAGIT L12,5)、およびpH>7.0(EUDRAGIT FS 30D)で溶解する配合物と共に、高いpHで溶解する様々なEUDRAGIT配合物が存在する。回腸は、7.3~7.8の範囲での、小腸で最も高いpHを有するため、抗生物質分解酵素を含有するペレットをコーティングするためのEUDRAGIT FS 30Dの使用は、ペレットの溶解を、それが回腸に到達しそれにより抗生物質分解酵素の放出を回腸に局在化するまで、遅延させてよい。しかし、空腸は6.6~7.4の範囲のpHを有し、それゆえ放出は、一部の患者では、pHが7.0以上であれば空腸で開始し得る。そのような実施形態において、抗生物質分解酵素は、記載される通り抗生物質/阻害剤の組み合わせと共に送達され得る。異なる型のEUDRAGITが互いに組み合わされてよく、または異なる型のEUDRAGITコーティングが組み合わされて、溶解プロファイルを微調整して、優れた機能を実現する標的送達を実現できる。例えば、EUDRAGIT L100、EUDRAGIT S100、およびクエン酸トリエチルを、例えば約72.7/18.2/9.1の比率で互いに混合して、約6.2より高いpHで実質的に放出するコーティングを形成してもよい。別の例において、EUDRAGIT L100、EUDRAGIT S100、およびクエン酸トリエチルを、例えば約30/60.9/9の比率で互いに混合して、約6.7より高いpHで実質的に放出するコーティングを形成できる。さらなる例において、DUOCOAT(KUECEPT)は、腸溶性ポリマー(EUDRAGITと同様)の外層、および部分的に中和された腸溶性ポリマーの内層の2種のコーティングと、緩衝剤とを使用する。DUOCOATの技術は、腸溶性ポリマーの単一コーティングに比較して、標的pHで開始される治療薬のより急速な放出を可能にする(Liu et al., 2010, European J. Pharmaceutics and Biopharmaceuticals 47:311;全ての内容全体が参照により本明細書に組み入れられる)。健常な志願者10名において、回腸および/または回盲接合部に標的される放出が実証された(Varum et al., 2013, European J. Pharmaceutics and Biopharmaceuticals 84:573;全ての内容全体が参照により本明細書に組み入れられる)。
別の実施形態において、遅延放出性コーティングは、溶液中のpHおよび/または酵素の存在に関わらず、水性溶液中の場合に時間の関数として分解し得る。そのようなコーティングは、水不溶性ポリマーを含んでよい。水性溶液中のその溶解度は、それゆえpHに非依存性である。本明細書で用いられる用語「pH非依存的」は、ポリマーの水浸透性および医薬成分を放出するポリマーの能力が、pHの関数でないこと、ならびに/またはpHに非常にわずかにのみ依存することを意味する。そのようなコーティングを用いて、例えば持続放出性配合物、を調製してよい。適切な水不溶性ポリマーとしては、溶液のpHに非依存性の水性媒体、例えば水に実質的に不溶である医薬的に許容できる非毒性ポリマーが挙げられる。適切なポリマーとしては、セルロースエーテル、セルロースエステル、またはセルロースエーテル-エステル、即ちセルロース骨格のヒドロキシ基の幾つかがアルキル基で置換され、かつ幾つかがアルカノイル基で修飾される、セルロース誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。例としては、エチルセルロース、アセチルセルロース、ニトロセルロース、などが挙げられる。不溶性ポリマーの他の例としては、ラッカー、ならびにアクリル酸および/もしくはメタクリル酸エステルポリマー、少量の第四級アンモニウムを有するアクリラートもしくはメタクリラートのポリマーもしくはコポリマー、またはそれらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されない。不溶性ポリマーの他の例としては、EUDRAGIT RS、EUDRAGIT RL、およびEUDRAGIT NEが挙げられる。本発明において有用な不溶性ポリマーとしては、ポリビニルエステル、ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸エステル、ブタジエンスチレンコポリマーなどが挙げられる。一実施形態において、結腸送達は、緩やかに侵食するワックスプラグ(例えば、様々なPEG、例えばPEG6000)またはペクチンの使用により実現される。一実施形態において、本発明は、クロスカルメロースナトリウムおよびヒドロキシプロピルセルロース(hydroxyproplycellulose)を含む膨張層を含む、時間の関数として分解する遅延放出性コーティングの使用を企図する。そのような実施形態において、配合は、エチルセルロース分散物などのエチルセルロースを含む浸透圧破裂コーティングをさらに含んでよい。
あるいは放出改変配合物の安定性は、酵素依存性であり得る。酵素依存性である遅延放出性コーティングは、特定の酵素を含有しない流体中で実質的に安定であり、酵素を含有する流体中で実質的に不安定であろう。遅延放出性コーティングは、適当な酵素を含有する流体中で本質的に崩壊または溶解するであろう。酵素依存性の制御は、例えば、ガラクトマンナンなどの腸内酵素への暴露のみで有効成分を放出する材料を使用することにより、もたらされ得る。また放出改変配合物の安定性は、腸管フローラ中に存在する細菌酵素の存在下での酵素安定性に依存し得る。例えば様々な実施形態において、遅延放出性コーティングは、腸管フローラ中に存在する細菌酵素により分解され得る。一実施形態において、遅延放出性コーティングは、小腸に存在するバクテリアにより分解され得る。別の実施形態において、遅延放出性コーティングは、大腸に存在するバクテリアにより分解され得る。
様々な実施形態において、本発明の放出改変配合物は、即時放出用(例えば、摂取時の)に設計される。様々な実施形態において、放出改変配合物は、持続放出性プロファイル、即ち長期間にわたる体内(例えば、GI管)での有効成分(複数可)の緩徐な放出を有し得る。様々な実施形態において、放出改変配合物は、遅延放出性プロファイル、即ち、摂取時に有効成分(複数可)を直ちに放出せず、むしろ、例えば小腸(例えば、十二指腸、空腸および回腸の1つまたは複数)または大腸(例えば、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸またはS状結腸および直腸の1つまたは複数)での放出のために、組成物が胃腸管中の下部にあるまで、有効成分(複数可)の放出の延期を有し得る。例えば組成物は、それが小腸または大腸に到達するまで有効成分(複数可)の放出を遅延させるために、腸溶性コーティングされ得る。幾つかの実施形態において、糞便中に本発明の配合物の有効成分(複数可)の実質的な量は存在しない。
様々な実施形態において、放出改変配合物は、結腸での放出用に設計される。様々な結腸特異性送達アプローチが、用いられてよい。例えば、放出改変配合物は、例えば、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるLi et al., AAPS PharmSciTech(2002),3(4):1-9に記載された通り、結腸特異性薬物送達システム(CODES)を利用して配合され得る。そのようなシステムでの薬物放出は、pH感受性ポリマーコーティングを伴い結腸マイクロフローラにより惹起される。例えば配合物は、ポリマーの三層を有するコア錠剤として設計されてよい。第一のコーティングは、酸溶解性ポリマー(例えば、EUDRAGIT E)であり、外部コーティングは、間に挟まれたヒドロキシプロピルメチルセルロースバリア層と共に腸溶性である。別の実施形態において、結腸送達は、ベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を、例えばペクチンなどの結腸で分解する特異的ポリマーと配合することにより、実現されてよい。ペクチンは、亜鉛カチオンなどのカチオンでさらにゲル化または架橋されてよい。一実施形態において、配合物は、ポリマー(例えば、EUDRAGITポリマー)でさらにコーティングされたイオン架橋ペクチンビーズの形態である。さらなる結腸特異性配合物としては、圧力制御性薬物送達システム(例えば、エチルセルロースで調製)および浸透圧制御性薬物送達システム(即ち、ORDS-CT)が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に記載される、ベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)の結腸特異性送達のための配合物は、例えばインビトロ溶解テストを用いて、評価されてよい。例えば、異なるpHレベルでの配合物の挙動を特徴づけるために、異なる緩衝液中の並行溶解試験を行ってよい。あるいはインビトロ酵素テストを実施してもよい。例えば、配合物を、バクテリアに適した培地を含有する発酵槽中でインキュベートし、異なる時間間隔で放出される薬物の量を決定する。薬物放出試験を、酵素またはラットもしくはモルモットもしくはウサギの盲腸内容物を含有する緩衝培地中で実施してもよく、特定の時間に放出された薬物の量を決定する。さらなる実施形態において、インビボ評価を、イヌ、モルモット、ラット、およびブタなどの動物モデルを用いて実施してもよい。さらに、結腸特異性薬物送達配合物の臨床評価が、RSC(血中の、即ち薬物への相対的全身暴露である薬物の相対的量)に対するRCE(薬物への相対的結腸組織暴露)の相対比率を検討する薬物送達指数(DDI)を計算することにより評価されてよい。より高い薬物DDIは、より良好な結腸薬物送達を示す。結腸からの薬物吸収は、大腸内視鏡検査および挿管によりモニタリングされてよい。
様々な実施形態において、本発明の配合物は、GI管中の放出エリアにおいてベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)の実質的な均一溶解を提供する。一実施形態において、本発明の配合物は、ベータラクタマーゼのまばらな、または不均質な放出を最小限に抑える。例えば、遠位小腸、または特に結腸で放出される場合、ベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)の分布が、不均質であるかもしれず、それゆえ局所作用を最小限に抑える配合を必要とする。
幾つかの実施形態において、二重パルス配合物が、提供される。様々な実施形態において、本発明は、腸に沿った異なる位置で、異なる時間に、および/または異なるpHで、ベータラクタマーゼの複数の用量を放出する放出改変配合物を提供する。例示的実施形態において、放出改変配合物は、ベータラクタマーゼの第一の用量と、ベータラクタマーゼの第二の用量とを含み、第一の用量と第二の用量は、腸に沿った異なる位置で、異なる時間に、および/または異なるpHで放出される。例えば第一の用量は、十二指腸で放出され、第二の用量は、回腸で放出される。別の実施形態において、第一の用量は、空腸で放出され、第二の用量は、回腸で放出される。他の実施形態において、第一の用量は、小腸に沿った位置(例えば、十二指腸)で放出され、第二の用量は、大腸(例えば、上行結腸)に沿って放出される。様々な実施形態において、放出改変配合物は、少なくとも1用量、少なくとも2用量、少なくとも3用量、少なくとも4用量、少なくとも5用量、少なくとも6用量、少なくとも7用量、または少なくとも8用量のベータラクタマーゼを腸に沿った異なる位置で、異なる時間に、および/または異なるpHで放出する。さらに、本明細書の二重パルスの記載は、ベータラクタマーゼおよび追加の治療薬を放出する放出改変配合物に適用される。
幾つかの実施形態において、二重パルス配合物が提供され、そこでベータラクタマーゼの用量および経口抗生物質(および/またはベータラクタマーゼ阻害剤)の用量が、腸に沿った異なる位置で、異なる時間に、および/または異なるpHで、放出される。例えば経口抗生物質(および/またはベータラクタマーゼ阻害剤)の用量は、ベータラクタマーゼの投与に対し近位で放出される。例えば経口抗生物質(および/またはベータラクタマーゼ阻害剤)の用量は、回腸および上流で放出され、ベータラクタマーゼの用量は、遠位小腸および/または結腸で放出される。
様々な実施形態において、本発明は、1種または複数のベータラクタマーゼを含むベースコートを有するコア粒子と、コーティングされたコア粒子の上に配置される遅延放出性コーティングとを含む配合物を提供する。遅延放出性コーティングは、酸性環境および/もしくは胃液中で実質的に安定であり得、および/または中性付近~アルカリ性環境もしくは腸液中で実質的に不安定であり得、それによりコーティングされたコア粒子を腸液に暴露し得る。1種または複数のベータラクタマーゼを含むベースコートは、1種または複数の追加の治療薬をさらに含んでよい。場合により複数のベースコートが、コア粒子に塗布されてよく、ベースコートのそれぞれが、ベータラクタマーゼおよび/または追加の治療薬を含有してよい。一実施形態において、コア粒子は、スクロースを含む。
一実施形態において、ベータラクタマーゼは、不活性コア(例えば、微結晶スクロースまたはセルロースコアなどのスクロースコアまたはセルロースコア)上に噴霧され、かつ腸溶性層と共に噴霧乾燥されて、ベータラクタマーゼ含有ペレットまたはビーズを形成できる。様々な実施形態において、腸溶性層は、本明細書に記載される1種または複数の腸溶性薬剤を含んでよい。例えば腸溶性層は、例えば開示全体が参照により本明細書に組み入れられるPCT/US2015/054606に記載される通り、EUDRAGIT L30 D-55などのEUDRAGIT型ポリマーを含んでよい。そのような実施形態において、ベータラクタマーゼ含有ペレットまたはビーズを含む配合物は、約5.5のpHでベータラクタマーゼを放出し得る。
様々な実施形態において、本発明の配合物は、ベータラクタマーゼ含有粒子を提供し、粒子は、遠位GI管での放出のためにコーティングされ、また遠位GI管での放出のためにコーティングされるカプセルの内部に存在する。
場合によりコア粒子は、1種もしくは複数のベータラクタマーゼおよび/または1種もしくは複数の追加の治療薬を含み得る。一実施形態において、ベータラクタマーゼの1種または複数の用量は、コア粒子中に、例えばマイクロスフェアまたはミニスフェアの形態でカプセル化され得る。例えばベータラクタマーゼは、ポリマー(例えば、ラテックス)と組み合わされ、その後、スクロースコアを用いずに、微粒子のマイクロカプセル化酵素調製物に形成されてよい。こうして形成されたマイクロスフェアまたはミニスフェアは、遅延放出性コーティングで場合により覆われてもよい。
微粒子(マイクロスフェア、ミニスフェア、集合体、その他など)を作製するための種々のアプローチが、酵素性タンパク質の包含に用いられてよい。それらは、典型的には少なくとも2相を含み、1相はタンパク質を含有し、1相は微粒子のバックボーンを形成するポリマーを含有する。最も一般的なものは、第三の成分の添加によりポリマーがその溶媒相から分離させられる、コアセルベーション、または内部水相がタンパク質を含有し、中間の有機相がポリマーを含有し、かつ外部水相が、溶媒が除去されて例えばマイクロスフェアまたはミニスフェアを形成し得るまで水中油中水(w/o/w)二重エマルジョンを支持する安定化剤であるw/o/wエマルジョンなどの、多相エマルジョン、である。あるいはベータラクタマーゼおよび安定化賦形剤(例えば、トレハロース、マンニトール、Tween80、ポリビニルアルコール)が組み合わされ、水溶液から噴霧され収集される。粒子はその後、ポリマーを含有する無水の水不混和性有機溶媒中に懸濁され、改変化合物を放出し、懸濁液を音波処理して粒子を分散させる。追加のアプローチは、水相を使用するが、有機溶媒は使用しない。具体的には、酵素性タンパク質、緩衝成分、ポリマーラテックス、ならびに安定化および放出改変賦形剤を、水に溶解/分散させる。水性分散液を噴霧乾燥し、ラテックスの合体と、合体されたラテックスの粒子中のタンパク質および賦形剤の取り込みをもたらす。放出改変剤が、酸性条件で不溶であるが、より高いpH(カルボン酸など)で可溶である場合、マトリックスからの放出は、胃環境で阻害される。一実施形態において、ベータラクタマーゼは、最初はエマルジョン、マイクロエマルジョン、または懸濁液として可溶化され、その後、固体ミニスフェアまたはマイクロスフェアに配合されてよい。配合物はその後、例えば遅延放出性、持続放出性、または制御放出性コーティングでコーティングされて、例えば腸などの特異的な位置での送達を実現してよい。
様々な実施形態において、配合物は、複数の放出改変粒子またはビーズまたはペレットまたはマイクロスフェアを含んでよい。一実施形態において、配合物は、複数のビーズを含むカプセルの形態である。別の実施形態において、配合物は、複数のペレットを含むカプセルの形態である。別の実施形態において、配合物は、複数のマイクロスフェアまたはミニスフェアを含むカプセルの形態である。
幾つかの実施形態において、コーティングされたコア粒子に遅延放出性コーティングを塗布する前に、粒子を場合により、例えばpH緩衝化合物などのアルカリ性化合物を含む医薬賦形剤を含む1つまたは複数の分離層で覆うことができる。分離層は、コーティングされたコア粒子を遅延放出性コーティングから分離する。
分離層は、コーティングパン、コーティング造粒機またはコーティング工程のための水および/または有機溶媒を用いる流動床装置でなどのコーティング機器で典型的に用いられるコーティングまたは積層手順により、コーティングされたコア粒子に塗布され得る。別法として、分離層は、粉体塗膜技術を利用することによりコア材料に塗布され得る。分離層のための材料は、単独で、または混合して用いられる、例えば糖、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびその他などの医薬的に許容できる化合物である。可塑化剤、着色剤、色素、充填剤、粘着防止剤および静電防止剤などの添加剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、二酸化チタン、タルクおよび他の添加剤などが、分離層に含まれてもよい。
幾つかの実施形態において、遅延放出性コーティングを有するコーティングされた粒子は、オーバーコート層でさらに覆われてよい。オーバーコート層は、他のコーティング組成物に関して記載された通り塗布され得る。オーバーコート材料は、単独で、または混合して用いられる、糖、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどの医薬的に許容できる化合物である。オーバーコート材料は、遅延放出性コーティングでコーティングされた粒子の潜在的凝集を防ぐこと、遅延放出性コーティングを圧縮工程の間の亀裂から防御すること、または打錠工程を増進することができる。
様々な実施形態において、配合物は、複数の放出改変粒子またはペレットまたはマイクロスフェアを含んでよい。一実施形態において、配合物は、複数のペレットを含むカプセルの形態である。一実施形態において、配合物は、複数のマイクロスフェアを含むカプセルの形態である。
幾つかの実施形態において、放出改変配合物は、そこからベータラクタマーゼが放出される複数のベータラクタマーゼ含有ペレット(例えば、P3A(または本明細書に記載される他のベータラクタマーゼ剤、およびその変種)含有ペレット)で充填されたカプセルである。一実施形態において、カプセルは、ハードゼラチンカプセルなどのゼラチンカプセルである。別の実施形態において、カプセルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルである。例えば配合物は、複数のペレットを含むカプセルの形態であってよい。例えば配合物は、例えばベータラクタマーゼ(例えば、P3A、または本明細書に記載される他のベータラクタマーゼ剤、およびその変種)を含有する複数の腸溶性コーティングされたペレットを含むゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルなどのカプセルの形態であってよい。別の実施形態において、配合物は、例えば浸透圧破裂コーティングでコーティングされたベータラクタマーゼ(例えば、P3A、または本明細書に記載される他のベータラクタマーゼ剤、およびその変種)を含有する複数のペレットを含むゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルなどのカプセルの形態であってよい。そのような実施形態において、各ペレットが特定の時点または位置で放出されるように設計されたペレットの組み合わせが、用いられてよい。様々な実施形態において、ペレット(例えば、腸溶性コーティングされたペレット)は、胃を不変のまま通過し、腸の1つまたは複数の領域中にベータラクタマーゼ(例えば、P3A、または本明細書に記載される他のベータラクタマーゼ剤、およびその変種)を放出するように設計される。幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼ含有ペレットは、異なる腸pH値でベータラクタマーゼ(例えば、P3A、または本明細書に記載される他のベータラクタマーゼ剤、およびその変種)を放出するように腸溶性コーティングされてよい。幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼ含有ペレットは、特定の時間枠内でベータラクタマーゼ(例えば、P3A、または本明細書に記載される他のベータラクタマーゼ剤、およびその変種)を放出するように浸透圧破裂コーティングでコーティングされてよい。
様々な実施形態において、本発明の配合物は、カプセル(例えば、ハードゼラチンまたはHPMCカプセル)の形態であり、それは腸溶性コーティング(例えば、EUDRAGIT FS 30Dで)されて、かつ複数の腸溶性コーティングされたベータラクタマーゼ含有ペレットを含む。、そのような実施形態において、ペレット(または個々のペレット)は、ベータラクタマーゼ(例えば、P3A、または本明細書に記載される他のベータラクタマーゼ剤、およびその変種)およびその上にベータラクタマーゼ、例えばP3Aまたは変種が噴霧されるスクロース球体、例えば1種または複数の腸溶性ポリマーを含むコーティング、および/または追加の賦形剤および/または緩衝剤を含む。そのような実施形態において、ペレット(または個々のペレット)は、ベータラクタマーゼ(例えば、P3A、または本明細書に記載される他のベータラクタマーゼ剤、およびその変種)、その上にベータラクタマーゼ、例えばP3Aまたは変種が噴霧されるスクロース球体、結合賦形剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC))、腸溶性コーティング(例えば、EUDRAGIT FS 30DまたはEUDRAGIT S100)、および場合により可塑化剤(例えば、クエン酸トリエチル)、滑剤(例えば、モノステアリン酸グリセリル)、乳化剤、および緩衝塩を含む。様々な実施形態において、腸溶性コーティングは、EUDRAGIT FS 30D、EUDRAGIT S100、Duocoat FS 30D(内部の5%KHPOおよびHPMC603緩衝剤層)および外部のFS 30Dの20%乾燥ポリマー重量増分(dry polymer weight gain))およびDuocoat S100の1種または複数を含む。
幾つかの実施形態において、本発明のペレットは1種または複数の小さなカプセルに装填され、それは腸溶性コーティングされ(例えば、EUDRAGIT FS 30Dで)、かつそのような小さなカプセルは、より大きなカプセル内に装填される。幾つかの実施形態において、小さなカプセルは、約15μL以下、例えば約15μL、または約14.5μL、または約14μL、または約13.5μL、または約13μL、または約12.5μL、または約12μL、または約10μLのカプセル本体容積を有する。幾つかの実施形態において、小さなカプセルは、サイズ9Hカプセルである。
幾つかの実施形態において、本発明は、ENTRANSIC薬物送達技術(CAPSUGEL)を用いて、コーティングを使用せずに完全な腸溶性防御および上部胃腸(GI)管での急速な放出を伴う経口送達を提供する。
本明細書で用いられる用語「EUDRAGIT」は、当該技術分野で公知の通りポリメタクリラートに基づくコポリマーを指す(例えば、内容全体位が参照により本明細書に組み入れられるExpert Opin Drug Deliv. 2013 Jan;10(1):131-49参照)。この用語は、メタクリル酸およびメタクリル酸/アクリル酸エステルまたはそれらの誘導体に基づく陰イオン性、陽イオン性、および中性コポリマーを包含する。
EUDRAGIT FS 30Dは、30%の乾燥物質を有する水性分散液を指す。分散液は、固体物質上に0.3%のラウリル硫酸ナトリウム Ph.Eur./ NFおよび1.2%のポリソルベート80 Ph.Eur./ NFを乳化剤として含有する。EUDRAGIT(登録商標)FS 30Dは、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸に基づく陰イオン性コポリマーの水性分散液である。遊離カルボキシル基とエステル基の比率は、およそ1:10である。
Figure 0007516007000009
モノマーは、コポリマー鎖に沿ってランダムに分散される。SEC法に基づき、EUDRAGIT(登録商標)FS 30Dの重量平均モル質量(Mw)は、およそ280,000g/molである。
EUDRAGIT S100は、メタクリル酸およびメタクリル酸メチルに基づく陰イオン性コポリマーである。遊離カルボキシル基とエステル基の比率は、およそ1:2である。
Figure 0007516007000010
モノマーは、コポリマー鎖に沿ってランダムに分散される。SEC法に基づき、EUDRAGIT(登録商標)L100およびEUDRAGIT(登録商標)S100の重量平均モル質量(Mw)は、およそ125,000g/molである。
幾つかの実施形態において、本発明の配合物は、積層ペレットを含み、積層ペレットは、スクロース球体、ヒドロキシプロピルセルロース、P3A、および緩衝塩を含み、積層ペレットは、ペレットコーティングで覆われる。
幾つかの実施形態において、本発明の配合物は、カプセルコーティングで覆われたカプセルと、積層ペレットとを含み、積層ペレットは、スクロース球体、ヒドロキシプロピルセルロース、P3A、および緩衝塩を含み、積層ペレットは、ペレットコーティングで覆われる。
幾つかの実施形態において、本発明の配合物は、積層ペレットを含み、積層ペレットは、スクロース球体、ヒドロキシプロピルセルロース、P3A、および緩衝塩を含み、積層ペレットは、ペレットコーティングで覆われる。
幾つかの実施形態において、ペレットは、腸溶性コーティングされたカプセル(例えば、EUDRAGIT FS 30Dで、例えば、ペレット(複数可)を含有する総カプセルの重量の約7%、または約8%、または約9%、または約10%、または約11%、または約12%、または約15%にて)内にあり、ペレット重量に対比して、約20%~30%のスクロース球体(例えば、約20%、または約21%、または約22%、または約23%、または約24%、または約25%、または約26%、または約27%、または約28%、または約29%、または約30%)と、約30%~40%の結合賦形剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、例えば、約30%、または約31%、または約32%、または約33%、または約34%、または約35%、または約36%、または約37%、または約38%、または約39%、または約40%)と、約13%~18%のベータラクタマーゼ(例えば、P3A、例えば、約13%、または約14%、または約15%、または約16%、または約17%、または約18%)と、約1%~2%の緩衝塩(例えば、約1%、または約1.1%、または約1.2%、または約1.3%、または約1.4%、または約1.5%、または約1.6%、または約1.7%、または約1.8%、または約1.9%、または約2%)と、約15%~35%のペレットコーティング(例えば、FS EUDRAGIT FS 30D および/またはEUDRAGIT S100、例えば、約15%、または約16%、または約17%、または約18%、または約19%、または約20%、または約21%、または約22%、または約23%、または約24%、または約25%、または約26%、または約27%、または約28%、または約29%、または約30%、または約31%、または約32%、または約33%、または約34%、または約35%)とを含む。
幾つかの実施形態において、ペレットは、腸溶性コーティングされたカプセル(例えば、EUDRAGIT FS 30Dで)内にあり、
Figure 0007516007000011
を含む。
幾つかの実施形態において、本発明の配合物は、以下の表Aに表されたものの1つ、および/または本明細書の実施例(非限定的に表17および18を含む)に記載される通りである:
Figure 0007516007000012
幾つかの実施形態において、ペレットは、腸溶性コーティングされたカプセル(例えば、EUDRAGIT FS 30Dで、例えば、ペレット(複数可)を含有する総カプセルの重量の約7%、または約8%、または約9%、または約10%、または約11%、または約12%、または約15%にて)内にあり、ペレット重量に対比して、約20%~25%(例えば、約20%、または約21%、または約22%、または約23%、または約24%、または約25%)のスクロース球体と、約30%~40%(例えば、約30%、または約31%、または約32%、または約33%、または約34%、または約35%、または約36%、または約37%、または約38%、または約39%、または約40%)の結合賦形剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC))と、約12%~18%(例えば、約12%、約13%、または約14%、または約15%、または約16%、または約17%、または約18%)のベータラクタマーゼ(例えば、P3A)と、約1%~2%(例えば、約1%、または約1.1%、または約1.2%、または約1.3%、または約1.4%、または約1.5%、または約1.6%、または約1.7%、または約1.8%、または約1.9%、または約2%)の緩衝塩と、約0.5%~3%(例えば、約0.5%、または約1%、または約1.5%、または約2%、または約2.5%、または約3%)の可塑化剤(例えば、クエン酸トリエチル)と、約15%~30%(例えば、約15%、または約16%、または約17%、または約18%、または約19%、または約20%、または約21%、または約22%、または約23%、または約24%、または約25%、または約26%、または約27.5%、または約30%)のEUDRAGITコーティング、例えばFS EUDRAGIT FS 30DまたはEUDRAGIT S100と、場合により約0.5%~約1.5%(例えば、約0.5%、または約7.5%、または約1%、または約1.25%、または約1.5%)のKHPO、および約2.5%~5%(例えば、約2.5%、または約3%、または約3.5%、または約4%、または約4.5%、または約5%)のHPMC603を含む。
幾つかの実施形態において、ペレットは、腸溶性コーティングされたカプセル(例えば、EUDRAGIT FS 30Dで、例えば、ペレット(複数可)を含有する総カプセルの重量の約7%、または約8%、または約9%、または約10%、または約11%、または約12%、または約15%にて)内にあり、ペレット重量に対比して、約25%のスクロース球体と、約40%のヒドロキシプロピルセルロースと、約20%のベータラクタマーゼ(例えば、P3A)と、約2%の緩衝塩と、約15%のEUDRAGIT FS 30D(乾燥ポリマー)と、約1%クエン酸トリエチルとを含む。
幾つかの実施形態において、ペレットは、腸溶性コーティングされたカプセル(例えば、EUDRAGIT FS 30Dで、例えば、ペレット(複数可)を含有する総カプセルの重量の約7%、または約8%、または約9%、または約10%、または約11%、または約12%、または約15%にて)内にあり、ペレット重量に対比して、約20%のスクロース球体と、約30%のヒドロキシプロピルセルロースと、約15%のベータラクタマーゼ(例えば、P3A)と、約1%の緩衝塩と、約30%のEUDRAGIT S100と、約2.5%クエン酸トリエチルとを含む。
幾つかの実施形態において、ペレットは、腸溶性コーティングされたカプセル(例えば、EUDRAGIT FS 30Dで、例えば、ペレット(複数可)を含有する総カプセルの重量の約7%、または約8%、または約9%、または約10%、または約11%、または約12%、または約15%にて)内にあり、ペレット重量に対比して、約25%のスクロース球体と、約35%のヒドロキシプロピルセルロースと、約15%のベータラクタマーゼ(例えば、P3A)と、約2%の緩衝塩と、約15%のEUDRAGIT FS 30D(乾燥ポリマー)と、約1%クエン酸トリエチルと、約1%のDuocoatの内層:KHPOと、約5%Duocoatの内層:HPMC603とを含む。
幾つかの実施形態において、本発明の配合物は、以下の表Bに表されたものの1つ、および/または本明細書の実施例(非限定的に表17および18を含む)に記載される通りである:
Figure 0007516007000013
幾つかの実施形態において、本発明の配合物は、以下の表Cに表されたものの1つ、および/または本明細書の実施例(非限定的に表17および18を含む)に記載される通りである:
Figure 0007516007000014
様々な実施形態において、配合物は、ベータラクタマーゼをラテックスまたは他のポリマーおよび微粒子と組み合わせてもよく、マイクロカプセル化酵素調製物が、形成されるであろう。マイクロスフェアはその後、pH依存性腸溶性コーティングで覆われてよい。幾つかの実施形態において、スクロースコアは必要とされず、これは、ペレットあたりより多量の薬物装填、およびしたがって治療のためのより小さなカプセルサイズを可能にする。タンパク質の包含用に修正可能な微粒子(マイクロスフェア、集合体、その他など)を作製するための種々のアプローチが存在する。幾つかの実施形態において、アプローチは、少なくとも2相を含み、1相はタンパク質を含有し、1相は微粒子のバックボーンを形成するポリマーを含有する。例えば、以下のものの1つまたは複数が用いられてよい:第三の成分の添加によりポリマーが溶媒相から分離させられる、コアセルベーション、または内部水相がタンパク質を含有し、中間の有機相がポリマーを含有し、および外部水相が、溶媒を除去されてマイクロスフェアを形成し得るまで水中油中水(w/o/w)二重エマルジョンを支持する安定化剤である、w/o/wエマルジョンなどの多相エマルジョン。
幾つかの実施形態において、タンパク質および安定化賦形剤(例えば、トレハロース、マンニトール、Tween80、ポリビニルアルコール)が組み合わされ、その後、混合物が水溶液から噴霧され、形成された粒子が収集される。粒子はその後、ポリマーを含有する無水の水不混和性有機溶媒中に懸濁され、改変化合物を放出し、懸濁液を音波処理して粒子を分散させる。酵素がこの工程後に活性を保持することは、予期されよう。別のアプローチは、水相を使用するが、有機溶媒は使用しない。この場合、酵素、緩衝成分、ポリマーラテックス、ならびに安定化および放出改変賦形剤を水中に溶解/分散させる。水性分散液を噴霧乾燥させ、ラテックスの合体と、合体されたラテックスの粒子中のタンパク質および賦形剤の取り込みをもたらす。放出改変剤が、酸性条件で不溶であるが、より高いpH(カルボン酸など)で可溶である場合、マトリックスからの放出は胃環境で阻害されるはずである。
様々な実施形態において、本発明の配合物は、内容が全体として参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第8,535,713号および同第8,9117,77号、ならびに米国特許出願公開第20120141585号、同第20120141531号、同第2006/001896号、同第2007/0292523号、同第2008/0020018号、同第2008/0113031号、同第2010/0203120号、同第2010/0255087号、同第2010/0297221号、同第2011/0052645号、同第2013/0243873号、同第2013/0330411号、同第2014/0017313号、および同第2014/0234418号の1つまたは複数に記載されるものの形態をとる。
様々な実施形態において、本発明の配合物は、内容が全体として参照により本明細書に組み入れられる国際特許出願公開WO2008/135090に記載されるものの形態をとる。
様々な実施形態において、本発明の配合物は、内容が全体として参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第4,196,564号、同第4,196,565号、同第4,247,006号、同第4,250,997号、同第4,268,265号、同第5,317,849号、同第6,572,892号、同第7,712,634号、同第8,074,835号、同第8,398,912号、同第8,440,224号、同第8,557,294号、同第8,646,591号、同第8,739,812号、同第8,810,259号、同第8,852,631号および同第8,911,788号、ならびに米国特許出願公開第2014/0302132号、同第2014/0227357号、同第20140088202号、同第20130287842号、同第2013/0295188号、同第2013/0307962号、および同第20130184290号に記載されるものの形態をとる。
様々な実施形態において、本明細書に記載されるベータラクタマーゼは、微生物に基づく放出のために配合される。幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼは、場合により真菌、バクテリア、および藻類から選択される、遺伝的に修飾された微生物による放出のために配合される。幾つかの実施形態において、遺伝的に修飾された微生物は、1種または複数の経口抗生物質に耐性がある。例えば本発明は、本明細書に記載される通りGI管送達のために配合され、例えば分泌により、ベータラクタマーゼを放出する、1種または複数のベータラクタマーゼを含む遺伝的に修飾された微生物に関係し得る。例えば1種または複数のベータラクタマーゼを含む遺伝的に修飾された微生物は、遠位小腸および/または結腸における放出のために配合されてよく、放出されると、順次、βラクタマーゼを分泌または他の方法で放出し(例えば、遺伝的に修飾された微生物の死滅または消化を介して)、それによりラクタマーゼは、残留するまたは過剰の経口抗生物質(例えば、経口投与後にGI管から吸収されない、または全身循環から腸管へと活性形態で戻される、活性抗生物質)を排除し、GI管の微生物叢破壊を防ぐ。
様々な実施形態において、1種または複数のベータラクタマーゼを含む遺伝的に修飾された微生物は、活性なベータラクタマーゼが遺伝的に修飾された微生物により分泌される腸に、生存可能な組換え酵母を送達するように配合される。一実施形態において、1種または複数のベータラクタマーゼを含む遺伝的に修飾された微生物は、組換え体の遺伝的に修飾された微生物を腸で直接放出する腸溶性コーティングされたカプセルとして配合される。他の実施形態において、1種もしくは複数のベータラクタマーゼを含む遺伝的に修飾された微生物は、ゼラチンカプセルとして配合されてよく、または1種もしくは複数のベータラクタマーゼを含む遺伝的に修飾された微生物は、液体中に溶解され摂取され得る。そのような実施形態において、1種または複数のベータラクタマーゼを含む遺伝的に修飾された微生物は、GI管に沿う任意の場所へ送達される。本明細書に記載される通り、1種または複数のベータラクタマーゼを含む遺伝的に修飾された微生物は、遠位小腸および/または結腸に放出され得るが、例えば1種または複数のベータラクタマーゼを含む遺伝的に修飾された微生物が、経口抗生物質の活性損失または全身活性の崩壊なしに目的のエリアに移行し得るような、GI管中の任意の場所への送達が考えられる。例として、幾つかの実施形態において、組換え酵母細胞、例えばサッカロマイセス・ブラウディは、胃酸に耐性があり、下部GI管で残留するまたは過剰の経口抗生物質(例えば、経口投与後にGI管から吸収されない、または全身循環から腸管へと活性形態で戻される、活性抗生物質)を中和するために活性ベータラクタマーゼを分泌する腸への移行の間、生存可能のままである。
幾つかの実施形態において、1種または複数のベータラクタマーゼを含む遺伝的に修飾された微生物は、小腸を急速に移行するが、結腸では緩やかに移行し、それゆえ結腸にはより長く滞留し、微生物が分泌または放出するいずれのベータラクタマーゼも、結腸で濃縮される。
幾つかの実施形態において、遺伝的に修飾された微生物は、酵母細胞である。様々な実施形態において、酵母細胞は、サッカロマイセスspp.、ハンセヌラspp.、クルイベロマイセスspp.、スキゾサッカロマイセスspp.、ジゴサッカロイニセスspp.、ピキアspp.、モナスクスspp.、ゲオトリクムspp.、およびヤロウイアspp.から選択される。様々な実施形態において、本発明は、組換え酵母細胞におけるベータラクタマーゼの発現を企図する。組換え酵母細胞は、1つまたは複数のベータラクタマーゼをコードし発現し得る発現カセット(複数可)の酵母染色体DNAへの安定な組み込みにより作製されてよい。あるいは組換え酵母細胞は、安定なエピソーム上で1つまたは複数のベータラクタマーゼをコードし発現し得る発現カセット(複数可)を酵母が維持する工程を利用して作製されてもよい。組換え酵母細胞は、哺乳動物の腸で存続可能な任意の酵母細胞であってよい。様々な実施形態において、酵母細胞は、ケフィア、コンブチャまたは乳製品から選択される酵母株などの、公知のプロバイオティクス能力を有する。
一実施形態において、組換え酵母細胞は、サッカロマイセス・セレビシエである。別の実施形態において、組換え酵母細胞は、サッカロマイセス・セレビシエの亜種であるサッカロマイセス・ブラウディ(非限定的例として、ATCC74352ならびに/または内容が全体として参照により本明細書に組み入られる米国特許第6,010,695号および同第7,799,328号の任意の細胞)である。S.セレビシエは、プロバイオティクスとして40年を超えて販売されてきた。それは、抗生物質関連の下痢およびC.ディフィシル感染(Kelesidis and Pothoulakis, 2012; Hatoum et al., 2012で論評される)を含む、下痢疾患の予防および処置に用いられてきた。S.ブラウディの最適増殖温度は37℃であるが、他の株はより低温(30~33℃の間)を好み、S.ブラウディは低pHに耐性であり、胆汁酸に対して高い耐容性があるため、S.ブラウディは、他のS.セレビシエ株と異なる(Edwards-Ingram et al., 2007; Graff et al., 2008)。S.ブラウディは、ヒトの腸管で生存することが実証されており(Klein et al., 1993)、1010個の細胞の単回投与後に、糞便中で0.1%の生存可能な酵母が回収された。併用での抗生物質処置は、回収率を2倍増加させた(Klein et al., 1993)。
幾つかの実施形態において、遺伝的に修飾された微生物は、バクテリア細胞である。幾つかの実施形態において、バクテリア細胞は、バチルスspp.である。幾つかの実施形態において、遺伝的に修飾された微生物は、藻類細胞(例えば、クラミドモナスspp.、例えばクラミドモナス・ラインハーディー)またはそれらのクロロプラストである。
幾つかの実施形態において、遺伝的に修飾された微生物は、サッカロマイセス・ブラウディ、ラクトバチルス・ラムノサスGG、ラクトバチルス・プランタラム299v、クロストリジウム・ブチリカムM588、クロストリジウム・ディフィシルVP20621(非毒素産生性C.ディフィシル株)、ラクトバチルス・カゼイとラクトバチルス・アシドフィルスの組み合わせ(Bio-K+CL1285)、ラクトバチルス・カゼイとラクトバチルス・ブルガリカスとストレプトコッカス・サーモフィリスの組み合わせ(Actimel)、ラクトバチルス・アシドフィリスとビフィドバクテリウム・ビフィダムの組み合わせ(Florajen3)、ラクトバチルス・アシドフィリスとラクトバチルス・ブルガリカス・デルブルッキー・亜種・ブルガリカスとラクトバチルス・ブルガリカス・カゼイとラクトバチルス・ブルガリカス・プランタラムとビフィドバクテリウム・ロンガムとビフィドバクテリウム・インファンティスとビフィドバクテリウム・ブレベとストレプトコッカス・サリバリウス・亜種・サーモフィラスの組み合わせ(VSL#3)の1つまたは複数である。
そのような遺伝的に修飾された微生物は、例として経口などの腸内への投与を含み、本明細書に記載される通り投与されてよい。
投与および投与量
本発明により投与されるベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)の実際の用量が、例えば特定の投与剤形および投与様式により変動することは、認識されよう。ベータラクタマーゼの作用を改変し得る多くの因子(例えば、体重、性別、食事、投与時間、投与経路、排出速度、対象の状態、薬物併用、遺伝的素因および反応感受性)が、当業者により考慮され得る。投与は、最大耐容用量内で、連続で、または1回もしくは複数の別個の投与で実施され得る。所与の一連の条件のための最適な投与速度は、従来の投与量の投与テストを利用して、当業者により確認され得る。
ベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)の個々の用量は、例えば約0.01mg~約5,000mg、約0.01mg~約4,000mg、約0.01mg~約3,000mg、約0.01mg~約2,000mg、約0.01mg~約1,000mg、約0.01mg~約950mg、約0.01mg~約900mg、約0.01mg~約850mg、約0.01mg~約800mg、約0.01mg~約750mg、約0.01mg~約700mg、約0.01mg~約650mg、約0.01mg~約600mg、約0.01mg~約550mg、約0.01mg~約500mg、約0.01mg~約450mg、約0.01mg~約400mg、約0.01mg~約350mg、約0.01mg~約300mg、約0.01mg~約250mg、約0.01mg~約200mg、約0.01mg~約150mg、約0.01mg~約100mg、約0.1mg~約90mg、約0.1mg~約80mg、約0.1mg~約70mg、約0.1mg~約60mg、約0.1mg~約50mg、約0.1mg~約40mg、約0.1mg~約30mg、約0.1mg~約20mg、約0.1mg~約10mg、約0.1mg~約5mg、約0.1mg~約3mg、約0.1mg~約1mgの有効成分/単位投与剤形、または約5mg~約80mg/単位投与剤形を含有する単位投与剤形(例えば、錠剤またはカプセル)で投与され得る。例えば単位投与剤形は、約0.01mg、約0.02mg、約0.03mg、約0.04mg、約0.05mg、約0.06mg、約0.07mg、約0.08mg、約0.09mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1,000mg、約2,000mg、約3,000mg、約4,000mg、または約5,000mgの有効成分(それらの間の全ての数値および範囲を含む)を含み得る。
一実施形態において、ベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)は、約0.01mg~約100mg/日の量、約0.01mg~約5,000mg/日、約0.01mg~約4,000mg/日、約0.01mg~約3,000mg/日、約0.01mg~約2,000mg/日、約0.01mg~約1,000mg/日、約0.01mg~約950mg/日、約0.01mg~約900mg/日、約0.01mg~約850mg/日、約0.01mg~約800mg/日、約0.01mg~約750mg/日、約0.01mg~約700mg/日、約0.01mg~約650mg/日、約0.01mg~約600mg/日、約0.01mg~約550mg/日、約0.01mg~約500mg/日、約0.01mg~約450mg/日、約0.01mg~約400mg/日、約0.01mg~約350mg/日、約0.01mg~約300mg/日、約0.01mg~約250mg/日、約0.01mg~約200mg/日、約0.01mg~約150mg/日、約0.1mg~約100mg/日、約0.1mg~約95mg/日、約0.1mg~約90mg/日、約0.1mg~約85mg/日、約0.1mg~約80mg/日、約0.1mg~約75mg/日、約0.1mg~約70mg/日、約0.1mg~約65mg/日、約0.1mg~約60mg/日、約0.1mg~約55mg/日、約0.1mg~約50mg/日、約0.1mg~約45mg/日、約0.1mg~約40mg/日、約0.1mg~約35mg/日、約0.1mg~約30mg/日、約0.1mg~約25mg/日、約0.1mg~約20mg/日、約0.1mg~約15mg/日、約0.1mg~約10mg/日、約0.1mg~約5mg/日、約0.1mg~約3mg/日、約0.1mg~約1mg/日、または約5mg~約80mg/日の量で投与される。様々な実施形態において、ベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)は、約0.01mg、約0.02mg、約0.03mg、約0.04mg、約0.05mg、約0.06mg、約0.07mg、約0.08mg、約0.09mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1,000mg、約2,000mg、約3,000mg、約4,000mg、または約5,000mg(それらの間の全ての数値および範囲を含む)の日用量で投与される。
幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)の適切な投与量は、約0.01mg/kg~約100mg/kg対象体重、例えば、約0.01mg/kg、約0.02mg/kg、約0.03mg/kg、約0.04mg/kg、約0.05mg/kg、約0.06mg/kg、約0.07mg/kg、約0.08mg/kg、約0.09mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、1.9mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg体重、約20mg/kg体重、約30mg/kg体重、約40mg/kg体重、約50mg/kg体重、約60mg/kg体重、約70mg/kg体重、約80mg/kg体重、約90mg/kg体重、または約100mg/kg体重(それらの間の全ての数値および範囲を含む)の範囲である。他の実施形態において、ベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)の適切な投与量は、約0.01mg/kg~約100mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約90mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約80mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約70mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約60mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約50mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約40mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約30mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約20mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約10mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約9mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約8mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約7mg/kg体重の範囲、0.01mg/kg~約6mg/kg体重の範囲、約0.05mg/kg~約5mg/kg体重の範囲、約0.05mg/kg~約4mg/kg体重の範囲、約0.05mg/kg~約3mg/kg体重の範囲、約0.05mg/kg~約2mg/kg体重の範囲、約0.05mg/kg~約1.5mg/kg体重の範囲、または約0.05mg/kg~約1mg/kg体重の範囲である。
本発明の特定の実施形態によれば、ベータラクタマーゼは、例えば1日1回より多く、約1日1回、約1日おき、約2日おき、1週ごとに約1回、2週ごとに約1回、1ヶ月ごとに約1回、2ヶ月ごとに約1回、3ヶ月ごとに約1回、6ヶ月ごとに約1回、または1年ごとに約1回、投与されてよい。
追加の治療薬および併用療法または共配合
本発明の配合物の投与は、追加の治療薬と組み合わされてよい。追加の治療薬と本発明の配合物との共投与は、同時または連続であってよい。さらに本発明の配合物は、追加の治療薬(例えば、共配合を介して)を含んでよい。例えば、追加の治療薬とベータラクタマーゼは、単一配合物に組み合わされてよい。
一実施形態において、追加の治療薬とベータラクタマーゼは、同時に対象に投与される。本明細書で用いられる用語「同時に」は、追加の治療薬とベータラクタマーゼが、約30分以下、約20分以下、約10分以下、約5分以下、または約1分以下などの、約60分以下の時間的分離を有して投与されることを意味する。追加の治療薬とベータラクタマーゼの投与は、単一配合物(例えば、追加の治療薬およびベータラクタマーゼを含む配合物)または別個の配合物(例えば、追加の治療薬を含む第一の配合物と、ベータラクタマーゼを含む第二の配合物)の同時投与によるものであり得る。
共投与は、それらの投与のタイミングが追加の治療薬とベータラクタマーゼの薬理学的活性が時間的に重複するようであれば、追加の治療薬が同時に投与される必要はない。例えば、追加の治療薬とベータラクタマーゼは、連続で投与され得る。本明細書で用いられる用語「連続で」は、追加の治療薬とベータラクタマーゼが、約60分より長い時間的分離を有して投与されることを意味する。例えば追加の治療薬とベータラクタマーゼの連続投与の間の時間は、約60分より長く、約2時間より長く、約5時間より長く、約10時間より長く、約1日より長く、約2日より長く、約3日より長く、または約1週間より長く離れていてよい。最適な投与時間は、代謝および排出の速度、ならびに/または投与される追加の治療薬およびベータラクタマーゼの薬力学的活性に依存するであろう。追加の治療薬またはベータラクタマーゼのいずれが、最初に投与されてもよい。
さらなる実施形態において、追加の治療薬およびベータラクタマーゼは、対象に同時に投与されるが、GI管でのそれらの各投与剤形(または共配合される場合には単一投与剤形)からの追加の治療薬およびベータラクタマーゼの放出は、連続で起こる。
共投与はまた、投与される追加の治療薬が同じ投与経路により対象に投与される必要はない。むしろ各追加の治療薬は、任意の適切な経路、例えば非経口または非経口でない経路で投与されてよい。
幾つかの実施形態において、追加の治療薬は、非限定的にセファロスポリン系抗生物質(セファレキシン、セフロキシム、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、およびセフトビプロール);フルオロキノロン系抗生物質(シプロ、Levaquin、フロキシン、Tequin、アベロックス、およびノルフロックス);テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、およびドキシサイクリン);ペニシリン系抗生物質(アモキシシリン、アンピシリン、ペニシリンV、ジクロキサシリン、カルベニシリン、バンコマイシン、およびメチシリン);モノバクタム系抗生物質(アズトレオナム);およびカルバペネム系抗生物質(エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチン、およびメロペネム)を含む、抗菌剤である。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるペニシリンおよびセファロスポリンのいずれも、追加の治療薬であってよい。
幾つかの実施形態において、追加の治療薬は、ベータラクタマーゼ阻害剤である。例示的なベータラクタマーゼ阻害剤としては、例えばタゾバクタム、スルバクタム、クラブラン酸、アビバクタム、モノバクタム誘導体、ATMO誘導体、ペネム(例えば、BRL42715およびその誘導体、Syn1012、オキサペネム、トリネム、1-β-メチルカルバペネム)、ペニシリンおよびセファロスポリンスルホン誘導体(例えば、C-2/C-3-置換ペニシリンおよびセファロスポリンスルホン、C-6-置換ペニシリンスルホン)、非βラクタム阻害剤(例えば、ボロン酸遷移状態類似体、ホホナート(phophonates)、NXL104、ヒドロキシマート)およびチオール誘導体などのメタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤、ピリジンジカルボキシラート、トリフルオロメチルケトンおよびアルコール、カルバペネム類似体、三環式天然産物、コハク酸誘導体、ならびにペニシリン酸C-6-メルカプトメチルが挙げられる。
幾つかの実施形態において、追加の治療薬は、例えば、本明細書に記載されるCDIの処置に使われる補助的療法剤である。幾つかの実施形態において、追加の治療薬は、メトロニダゾール(例えば、FLAGYL)、フィダキソマイシン(例えば、DIFICID)、またはバンコマイシン(例えば、Vancocin)、リファキシミン、木炭系結合剤/吸着剤(例えば、DAV132)、糞便細菌療法、プロバイオティクス療法(例えば、内容が参照により本明細書に組み入れられるIntnat’l J Inf Dis,16(11):e786参照、例示的なプロバイオティクスは、サッカロマイセス・ブラウディ、ラクトバチルス・ラムノサスGG;ラクトバチルス・プランタラム299v;クロストリジウム・ブチリカムM588;クロストリジウム・ディフィシルVP20621(非毒素産生性C.ディフィシル株);ラクトバチルス・カゼイとラクトバチルス・アシドフィルスの組み合わせ(Bio-K+CL1285);ラクトバチルス・カゼイとラクトバチルス・ブルガリカスとストレプトコッカス・サーモフィラスの組み合わせ(Actimel);ラクトバチルス・アシドフィルスとビフィドバクテリウム・ビフィダムの組み合わせ(Florajen3);ラクトバチルス・アシドフィルスとラクトバチルス・ブルガリカス・デルブルッキー・亜種・ブルガリクスとラクトバチルス・ブルガリカス・カゼイとラクトバチルス・ブルガリカス・プランタラムとビフィドバクテリウム・ロンガムとビフィドバクテリウム・インファンティスとビフィドバクテリウム・ブレベとストレプトコッカス・サリバリウス・亜種・サーモフィラスの組み合わせ(VSL#3)が挙げられる)および抗体またはその他の生物学的療法(例えば、内容が参照によりその全体が本明細書に組み入れられるN Engl J Med.2010;362(3):197に記載されたC.ディフィシル毒素AおよびBに対するモノクローナル抗体;例えば、内容が参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2013/0058962号に列挙されたSEQ ID NOの1つまたは複数(例えば、SEQ ID NO:59、60、95、67、68および87の1つまたは複数)に向けられる、多量体として配列された、中和結合タンパク質);またはC.ディフィシル二元毒素に対する任意の中和結合タンパク質を含む。
幾つかの実施形態において、追加の治療薬は、下痢止め剤である。本発明での使用に適した下痢止め剤としては、DPP-IV阻害剤;アヘン、パレゴリックおよびコデインのチンキなどの天然オピオイド;ジフェノキシラート、ジフェノキシンおよびロペラミドなどの合成オピオイド;次サリチル酸ビスマス、ランレオチド、バプレオチドおよびオクトレオチド;モチリンアンタゴニスト(motiln antagonists);セレコキシブのようなCOX2阻害剤;グルタミン、サリドマイド;ならびにカオリン、ペクチン、ベルベリンおよびムスカリン性薬剤などの伝統的な下痢止め治療薬が挙げられるが、これらに限定されない。
幾つかの実施形態において、追加の治療薬は、ステロイド性抗炎症剤または非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)などの抗炎症剤である。ステロイド、詳細には副腎皮質ステロイドおよびその合成類似体は、当該技術分野で周知である。本発明において有用な副腎皮質ステロイドの例としては、ヒドロキシトリアムシノロン、アルファメチルデキサメタゾン、ベータメチルベタメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、安息香酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、二酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロゾン、フルラドレノロン(fluradrenolone)アセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾンおよびそのエステルのバランス(balance)、クロロプレドニゾン、クロコルテロン(clocortelone)、クレシノロン(clescinolone)、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明で用いられ得る(NSAIDS)としては、サリチル酸、アセチルサリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、サリチルミド(salicylmide)、ベンジル-2,5-ジアセトキシ安息香酸、イブプロフェン、フリンダク(fulindac)、ナプロキセン、ケトプロフェン、エトフェナマート、フェニルブタゾン、およびインドメタシンが挙げられるが、これらに限定されない。さらなる抗炎症剤は、例えば内容全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,537,776号に記載される。
幾つかの実施形態において、追加の治療薬は、鎮痛剤であってよい。本発明の組成物および方法で有用な鎮痛剤としては、モルヒネ、コデイン、ヘロイン、メサドンおよび関連の化合物、テバイン、オルピアビン(orpiavine)、およびこれらの誘導体、ブプレノルフィン、ピペリジン、モルフィナン、ベンゾモルファン、テトラヒドロイソキノリン、チアンブタン(thiambutane)、ベンジルアミン、チリジン、ビミノール、ネホパム、カプサイシン(8-メチル-N-バニリル-6E-ノネンアミド)、「合成」カプサイシン(N-バニリルノナミド(N-vanillylnonamide))、および関連の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
幾つかの実施形態において、追加の治療薬は、アバカビル、アシクロビル、アデホビル、アンプレナビル、アタザナビル、シドフォヴィル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、ドコサノール、エファビレンツ、エルビテグラビル、エムトリシタビン、エンフビルチド、エトラビリン、ファムシクロビル、およびホスカルネットを含むが、これらに限定されない抗ウイルス薬であってよい。
全ての追加の治療薬組成物および方法について、GI管の様々な部分への標的化が本明細書に記載される通り用いられてよい。
幾つかの実施形態において、本発明の配合物は、追加の治療薬での処置を回避するために対象に投与される。例えば、C.ディフィシル感染(CDI)および/またはC.ディフィシル関連疾患を予防することに関連して、本発明の配合物は、例えばバンコマイシンを受ける必要性を回避するために、対象に提供されてよい。
処置の方法
様々な態様において、本発明は、ベータラクタマーゼを含む医薬組成物、例えば本明細書に記載される配合物のいずれかの有効量を、経口抗生物質での処置を受けている、または処置を最近受けた対象に投与することを含む、対象の胃腸マイクロバイオームを防御するための方法を提供する。ベータラクタマーゼは、経口抗生物質を失活させる(非限定的に加水分解する)ことが可能である。様々な実施形態において、経口抗生物質は、セフトリアキソン、セフォタキシム、セファゾリン、セフォペラゾン、セフロキシム、およびピペラシリンの1つまたは複数である。
様々な実施形態において、対象は、経口抗生物質での処置を受けている、または処置を最近受けた対象などの、マイクロバイオーム介在性障害の特定のリスクがある対象を含むが、これに限定されない。例えば対象は、過去30日ほどの間、経口抗生物質を受けていてもよく、および/または脆弱な(例えば、慢性疾患による)免疫系を有してもよく、および/または女性であり、および/または高齢者(例えば、約65歳を超える)であり、および/または高齢の女性であり、および/または胸やけもしくは胃酸障害のための処置を受けている(例えば、PREVACID、TAGAMET、PRILOSEC、またはNEXIUMおよび関連の薬物などの薬剤で)、および/または最近、集中治療室などに入院していた、もしくは介護施設で生活している。したがって幾つかの実施形態において、本発明の方法および使用は、院内感染および/または二次的な緊急の感染および/または病院感染(HAI)を処置または予防する。
幾つかの実施形態において、本発明の方法および使用は、初期のおよび/または付属的な治療が対象に施されるものを包含する。初期のおよび/または付属的な治療は、例えばマイクロバイオーム介在性障害または疾患の検出の際にそのような障害または疾患を処置するために用いられ治療を示す。幾つかの実施形態において、初期のおよび/または付属的な治療は、本明細書に記載される、メトロニダゾール、バンコマイシン、フィダキソマイシン、リファキシミン、木炭系結合剤/吸着剤、糞便細菌療法、プロバイオティクス療法、および抗体療法の1種または複数である。様々な実施形態において、本発明の方法および使用は、これらの初期および/または付属的治療(同時投与または連続投与を含む)のいずれかに対するアジュバントとしてベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を含む医薬組成物および配合物の使用を含む。様々な実施形態において、本発明の方法および使用は、初期のおよび/または付属的な治療を受けている対象におけるベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を含む医薬組成物および配合物の使用を含む。
幾つかの実施形態において、本発明の方法および使用は、経口抗生物質およびベータラクタマーゼ阻害剤が対象に投与されるものを含む。様々な実施形態において、対象は、経口抗生物質と1種または複数のベータラクタマーゼ阻害剤の共配合物(例えば、Augmentinはアモキシシリンとクラブラン酸の混合物である)を受けていてよい。そのような共配合物としては、アモキシシリン-クラブラン酸(Augmentin)、チカルシリン-クラブラン酸(Timentin)、アンピシリン-スルバクタム(スルタミシリン、例えばUnasyn)、ピペラシリン-タゾバクタム(Zosyn)、およびセフォペラゾン-スルバクタムが挙げられるが、これらに限定されない。様々な実施形態において、本発明の方法は、ベータラクタマーゼに対し近位のGI管で放出されるベータラクタマーゼ阻害剤のさらなる投与を含む。一実施形態において、ベータラクタマーゼ阻害剤は、経口抗生物質が活性であり得るGI管の種々の部位で放出されてよい。例えば、ベータラクタマーゼ阻害剤は、胃、十二指腸、空腸および回腸で放出されてよい。例示的なベータラクタマーゼ阻害剤としては、例えば、タゾバクタム、スルバクタム、クラブラン酸、アビバクタム、モノバクタム誘導体、ATMO誘導体、ペネム(例えば、BRL42715およびその誘導体、Syn1012、オキサペネム、トリネム、1-β-メチルカルバペネム)、ペニシリンおよびセファロスポリンスルホン誘導体(例えば、C-2/C-3-置換ペニシリンおよびセファロスポリンスルホン、C-6-置換ペニシリンスルホン)、非βラクタム阻害剤(例えば、ボロン酸遷移状態類似体、ホホナート、NXL104、ヒドロキシマート)およびチオール誘導体などのメタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤、ピリジンジカルボキシラート、トリフルオロメチルケトンおよびアルコール、カルバペネム類似体、三環式天然産物、コハク酸誘導体、ならびにペニシリン酸C-6-メルカプトメチルが挙げられる。
様々な実施形態において、本発明の方法は、マイクロバイオーム介在性障害を処置または予防することを含む。例示的なマイクロバイオーム介在性障害としては、例えば内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2014/121298の表3に見出されるものなどが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、マイクロバイオーム介在性障害は、抗生物質誘導性有害作用、C.ディフィシル感染(CDI)、C.ディフィシル関連疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、および過敏性腸症候群から選択されてよい。様々な実施形態において、マイクロバイオーム介在性障害は、抗生物質誘導性有害作用、C.ディフィシル感染(CDI)、またはC.ディフィシル関連疾患である。一実施形態において、本発明は、本明細書に記載されるベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を含む医薬組成物または配合物の有効量を、経口抗生物質での処置を受けている、または処置を最近受けた対象に投与することを含む、GI管における抗生物質誘導性有害作用を処置するための方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載されるベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を含む医薬組成物または配合物の有効量を、経口抗生物質での処置を受けている、または処置を最近受けた対象に投与することを含む、GI管における抗生物質誘導性有害作用を予防するための方法を提供する。
一実施形態において、本発明は、本明細書に記載されるベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を含む医薬組成物または配合物の有効量を、経口抗生物質での処置を受けている、または処置を最近受けた対象に投与することを含む、C.ディフィシル感染(CDI)および/またはC.ディフィシル関連疾患を処置する方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載されるベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を含む医薬組成物または配合物の有効量を、経口抗生物質での処置を受けている、または処置を最近受けた対象に投与することを含む、C.ディフィシル感染(CDI)および/またはC.ディフィシル関連疾患を予防する方法を提供する。
様々な実施形態において、本発明は、非限定的に本明細書の他の箇所に記載されたもの、ならびに表A、BまたはCおよび実施例に表されたものなど、本明細書に記載されるベータラクタマーゼ配合物の有効量を投与することにより、対象が抗生物質関連の有害作用(例えば、クロストリジウム・ディフィシル感染、抗生物質関連の下痢)に罹患する可能性を防ぐおよび/または低下させる方法に関する。幾つかの実施形態において、場合によりカプセル(例えば、ハードゼラチンまたはHPMCカプセル)の形態の、配合物は、複数の腸溶性コーティングされたベータラクタマーゼ含有ペレットを含む。幾つかの実施形態において、場合によりカプセル(例えば、ハードゼラチンまたはHPMCカプセル)の形態の、配合物は、浸透圧破裂コーティングでコーティングされた複数のベータラクタマーゼ含有ペレットを含む。
様々な実施形態において、抗生物質誘導性有害作用および/またはCDIもしくはC.ディフィシル関連疾患は、抗生物質関連の下痢、C.ディフィシル下痢(CDD)、C.ディフィシル炎症性腸疾患、大腸炎、偽膜性大腸炎、発熱、腹痛、脱水および電解質障害、巨大結腸症、腹膜炎、ならびに結腸の穿孔および/または破裂の1つまたは複数である。本発明の組成物および方法での処置に適した追加の疾患、障害および状態としては、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2014/121298の表3に列挙されたものが挙げられる。
様々な実施形態において、本発明の使用および方法は、本明細書に記載される様々な疾患の処置のための、本明細書に記載されるベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を含む医薬組成物もしくは配合剤ならびに/または任意の初期および/もしくは付属的治療の併用処置(同時または連続で)、あるいは本明細書に記載されるベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を含む医薬組成物もしくは配合物ならびに/または任意の初期および/もしくは付属的治療剤の共配合物に関係する。
様々な実施形態において、マイクロバイオーム介在性障害は、初期兆候または再燃/再発(例えば、継続されるまたは再度開始される抗生物質療法による)に関して処置または予防される。例えばマイクロバイオーム介在性障害(例えば、CDI)に過去に罹患した対象において、ベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を含む本発明の医薬組成物または配合物が、対象における再発の最初の症状の際に投与されてよい。非限定的例として、再発の症状は、軽度の症例では、1日あたり約5~約10回の水溶性の便通、顕著な発熱なし、および軽度の腹部痙攣があるが白血球テストで最大約15,000(正常レベルは最大約10,000)の白血球数の軽度上昇を示す場合があることを含み、重度の症例では、1日あたり約10回を超える水溶性の便通、吐気、嘔吐、高熱(例えば、約102~104°F)、直腸出血、重度の腹痛(例えば、圧痛を伴う)、腹部膨満、および高い白血球数(例えば、約15,000~約40,000)を含む。
初期兆候または再燃/再発に関わらず、マイクロバイオーム介在性障害は、本明細書に記載される症状(例えば、2日以上にわたり1日あたり約3回以上の水様性下痢、軽度~重度の痙攣、腹部疼痛、発熱、糞便中の血液または膿、吐気、脱水、食欲欠乏、体重減少など)のいずれかにより診断されてよい。初期兆候または再燃/再発にかかわらず、マイクロバイオーム介在性障害は、酵素免疫測定法(例えば、C.ディフィシル生物体により産生されるC.ディフィシル毒素AもしくはB抗原および/またはグルタミンデヒドロゲナーゼ(GDH)を検出するため)、ポリメラーゼ連鎖反応(例えば、C.ディフィシル毒素AもしくはB抗原、またはそれらの一部(例えば、tcdAまたはtcdB)を検出するため;ILLUMIGENE LAMPアッセイを含む)、細胞障害性アッセイにより診断されてよい。例えば、以下のテストのいずれかを用いてよい:Meridian ImmunoCard Toxins A/B; Wampole Toxin A/B Quik Chek; Wampole C. diff Quik Chek Complete; Remel Xpect Clostridium difficile Toxin A/B; Meridian Premier Toxins A/B; Wampole C. difficile Tox A/B II; Remel Prospect Toxin A/B EIA; Biomerieux Vidas C. difficile Toxin A&B; BD Geneohm C. diff; Prodesse Progastro CD;およびCepheld Xpert C. diff。様々な実施形態において、臨床試料は、対象の糞便試料である。
結腸の画像を提供する軟性S状結腸鏡検査の「スコープ」テストおよび/または腹部X線および/またはコンピュータ断層撮影(CT)スキャンもまた、対象を評定する上で用いられてよい(例えば、結腸の壁に接着した特徴的なクリーム色または黄色のプラークを探す)。さらに、生検(例えば、GI管の任意の領域の)を用いて、対象における潜在的なマイクロバイオーム介在性障害(例えば、CDIおよび/またはC.ディフィシル関連疾患)を評定してもよい。
様々な実施形態において、本発明の方法および使用は、過剰の経口抗生物質残留物を失活させるGI管中の位置でベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を放出する、ベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を含む医薬組成物および配合物に関する。一実施形態において、本発明の方法および使用は、小腸および/または大腸を含むGI管に進入する前に過剰の経口抗生物質残留物を失活させる、ベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を含む医薬組成物および配合物に関する。一実施形態において、本発明の方法および使用は、大腸に進入する前に過剰の経口抗生物質残留物を失活させる、ベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を含む医薬組成物および配合物に関する。一実施形態において、本発明の方法および使用は、GI管中の過剰の経口抗生物質残留物を失活させる、ベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を含む医薬組成物および配合物に関する。様々な実施形態において、本明細書に記載されるベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)含む医薬組成物および配合物は、経口抗生物質の放出部に対し遠位のGI管中の位置でベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を放出する。様々な実施形態において、ベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)は、それがGI管微生物叢への残留するまたは過剰の経口抗生物質(例えば、経口投与後にGI管から吸収されない、または全身循環から腸管へと活性形態で戻される活性抗生物質)の殺菌活性を防ぐ、GI管中の位置で放出される。
幾つかの実施形態において、本発明の方法および使用は、対象のGI管中で正常な腸微生物叢を維持し、および/または1種もしくは複数の病原性微生物の過剰増殖を予防する、ベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を含む医薬組成物および配合物に関する。様々な実施形態において、本発明は、対象の消化管中の様々な大腸菌群(劇毒性および/または抗生物質耐性である大腸菌群を含む)の過剰増殖を軽減または予防する医薬組成物および方法を提供する。様々な態様において、本明細書に記載される方法、医薬組成物および配合物は、耐性生物体による二次感染を予防または低減し、幾つかの実施形態において、ベータラクタム耐性の発生を低減できる。さらに、本明細書に記載される方法、医薬組成物および配合物は、耐性問題により現在回避されるベータラクタム抗生物質の使用を可能にし、および/または1種もしくは複数のベータラクタマーゼ阻害剤(例えば、Augmentin、スルタミシリン)との共投与もしくは共配合の必要性を低減できる。
様々な態様において、ベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)は、経口抗生物質の血液または血漿レベルを実質的に妨害しない。例えば本発明のベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)は、感染のために必要とされ得る経口抗生物質を対象に受けさせることができ、経口抗生物質の全身活性または血漿中の抗生物質の最小阻害濃度を超える時間を妨害しない。一実施形態において、ベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)は、経口抗生物質の血中または血漿中レベルを実質的に妨害しない。むしろベータラクタマーゼおよび/または医薬組成物(および/または追加の治療薬)は、GI管の一部に存在し得る残留するまたは過剰の経口抗生物質(例えば、経口投与後にGI管から吸収されない、または全身循環から腸管へと活性形態で戻される、活性抗生物質)を不活性化し、そうすることで、本明細書に記載される様々な疾患状態に関連する微生物叢の崩壊を防ぐ。
様々な態様において、ベータラクタマーゼおよび/または追加の治療薬を含む医薬組成物および配合物は、全身に吸収されない。幾つかの実施形態において、ベータラクタマーゼ(および/または追加の治療薬)を含む組成物および配合物は、消化管からの抗生物質吸収、および/または臨床上問題となるほど抗生物質腸肝再循環を妨害しない。
様々な態様において、ベータラクタマーゼおよび/または追加の治療薬を含む医薬組成物および配合物は、例えば胃粘膜中の、H.ピロリ感染の処置のためのアジュバントとして用いられる。例えば、本発明の医薬組成物および配合物は、アモキシシリン処置へのアジュバントとして(例えば、「三剤療法」(例えば、オメパラゾール、パントプラゾール、またはラベプラゾールなどのプロトンポンプ阻害薬と、抗生物質クラリスロマイシンおよびアモキシシリン、またはメトロニダゾール)へのアジュバントとして)用いられてよい。例として、アモキシシリンは、それが治療効果を有する胃へ送達され、その後それが、医薬組成物および配合物により胃から出る際に失活されるように(例えば、十二指腸で放出される)、投与されるであろう。したがって、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されるベータラクタマーゼおよび/または追加の治療薬を含む医薬組成物および配合物を投与することにより対象の胃におけるH.ピロリ感染を処置または予防する方法である。さらに本発明は、H.ピロリ感染関連疾患(非限定的例として、潰瘍(例えば、十二指腸潰瘍、胃潰瘍疾患)、癌(例えば、胃癌、胃MALTリンパ腫)、および消化不良)を処置または予防する際に有用である。これらの実施形態の幾つかにおいて、経口抗生物質の全身レベルを維持する必要はない。
幾つかの実施形態において、用語「患者」および「対象」は、互換的に用いられる。幾つかの実施形態において、対象および/または動物は、哺乳動物、例えばヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ウサギ、ヒツジ、またはサル、チンパンジー、またはヒヒなどの非ヒト霊長類である。他の実施形態において、対象および/または動物は、非哺乳動物、例えばゼブラフィッシュなどである。幾つかの実施形態において、対象および/または動物は、蛍光標識細胞(例えばGFPでの)を含んでよい。幾つかの実施形態において、対象および/または動物は、蛍光細胞を含むトランスジェニック動物である。
様々な態様において、本発明の方法は、ヒト対象の処置に有用である。幾つかの実施形態において、ヒトは、小児である。他の実施形態において、ヒトは、成人である。他の実施形態において、ヒトは、老人である。他の実施形態において、ヒトは、対象と称されてよい。幾つかの実施形態において、ヒトは、女性である。幾つかの実施形態において、ヒトは、男性である。
特定の実施形態において、ヒトは、約1ヶ月~約18ヶ月齢、約18ヶ月~約36ヶ月齢、約1~約5歳、約5~約10歳、約10~約15歳、約15~約20歳、約20~約25歳、約25~約30歳、約30~約35歳、約35~約40歳、約40~約45歳、約45~約50歳、約50~約55歳、約55~約60歳、約60~約65歳、約65~約70歳、約70~約75歳、約75~約80歳、約80~約85歳、約85~約90歳、約90~約95歳、または約95~約100歳の範囲の年齢を有する。一実施形態において、ヒトは、子どもである。一実施形態において、ヒトは、女性である。
別の実施形態において、対象は、非ヒト動物であり、それゆえ本発明は、獣医学的使用に関係する。具体的実施形態において、非ヒト動物は、家庭のペットである。別の具体的実施形態において、非ヒト動物は、家畜である。
キット
本発明は、本明細書に記載される任意の薬剤の投与を簡便にし得るキットを提供する。本発明の例示的キットは、本明細書に記載される任意の組成物を単位投与剤形で含む。一実施形態において、単位投与剤形は、本明細書に記載される任意の薬剤および医薬的に許容できる担体、希釈剤、賦形剤、またはビヒクルを含有し、無菌であり得る、プレフィルドシリンジなどのコンテナである。キットは、本明細書に記載される任意の薬剤の使用を指示するラベルまたは印刷された使用説明書をさらに含み得る。キットは、開瞼器、局所麻酔、および投与部位の洗浄剤を含む場合もある。キットは、本明細書に記載される1種または複数の追加の治療薬をさらに含み得る。一実施形態において、キットは、本発明の組成物の有効量と、本明細書に記載されたものなどの別の組成物の有効量とを含有するコンテナを含む。
幾つかの実施形態において、追加の治療薬は、例えば本明細書に記載されるCDIの処置において、用いられる補助的治療である。幾つかの実施形態において、追加の治療薬は、メトロニダゾール(例えば、FLAGYL)、フィダキソマイシン(例えば、DIFICID)、またはバンコマイシン(例えば、Vancocin)、リファキシミン、糞便細菌療法、木炭系結合剤/吸着剤(例えば、DAV132)、プロバイオティクス療法(例えば、内容が参照により本明細書に組み込まれるIntnat’l J Inf Dis,16(11):e786参照。例示的プロバイオティクス剤としては、サッカロマイセス・ブラウディ、ラクトバチルス・ラムノサスGG;ラクトバチルス・プランタラム299v;クロストリジウム・ブチリカムM588;クロストリジウム・ディフィシルVP20621(非毒素産生性C.ディフィシル株);ラクトバチルス・カゼイとラクトバチルス・アシドフィルスの組み合わせ(Bio-K+CL1285);ラクトバチルス・カゼイとラクトバチルス・ブルガリカスとストレプトコッカス・サーモフィラスの組み合わせ(Actimel);ラクトバチルス・アシドフィルスとビフィドバクテリウム・ビフィダムの組み合わせ(Florajen3);ラクトバチルス・アシドフィルスとラクトバチルス・ブルガリカス・デルブルッキー・亜種・ブルガリカスとラクトバチルス・ブルガリカス・カゼイとラクトバチルス・ブルガリカス・プランタラムとビフィドバクテリウム・ロンガムとビフィドバクテリウム・インファンティスとビフィドバクテリウム・ブレベとストレプトコッカス・サリバリウス・亜種・サーモフィラスの組み合わせ(VSL#3)が挙げられる)および抗体もしくはその他の生物学的療法(例えば、内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれるN Engl J Med.2010;362(3):197に記載されたC.ディフィシル毒素AおよびBに対するモノクローナル抗体;例えば、内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2013/0058962号に列挙されたSEQ ID NOの1つまたは複数(例えば、SEQ ID NO59、60、95、67、68および87の1つまたは複数)を対象とする多量体として配列される中和結合タンパク質)、またはC.ディフィシル二元毒素に対する任意の中和結合タンパク質である。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるペニシリンおよびセファロスポリンのいずれも、追加の治療薬であってよい。
実施例
実施例1.経口アモキシシリンによるマイクロバイオーム損傷からのSYN-004のマイクロバイオーム防御
SYN-004は、5.5以上のpHで放出される腸溶性コーティングされたペレットとして配合された。それゆえSYN-004は、胃で見出されるものと類似の低pHから防御され、十二指腸でのpH(pH5.9~6.6)と類似の5.5を超えるpHで放出される。SYN-004の放出は、小腸全体、即ち空腸(pH6.6~7.4)、回腸(pH7.3~7.8)、および/または盲腸(pH5.6~5.9)で継続すると予測される。
この試験に用いられる配合物は、以下の通りであり、および内容全体が参照により本明細書に組み入れられるPCT/US15/54606に記載された通りである:
Figure 0007516007000015
インビトロ溶解試験は、SYN-004のこの配合物が、pH依存的様式で放出され、完全な放出に1~3時間を要し、一方で小腸の通過時間は、十二指腸に進入した後およそ3時間+1時間SEMであることを明らかにした。内容全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2016/0101058を参照されたい。これらのデータは、SYN-004が近位および遠位の小腸全体にわたり持続的様式で放出されることを示唆する。アモキシシリンなどの経口送達される抗生物質は、十二指腸および空腸などの近位小腸で吸収されるが、回腸では吸収されない(Barr, et al., 1994)。
正常な子ブタを用い、SYN-004が経口アモキシシリンと共に経口送達された場合に血中へのアモキシシリン吸収を妨害するか否かを決定するために試験を実施した。SYN-004が、アモキシシリン吸収を妨害しない場合、試験全体の様々な時点で採取された糞便DNAを配列決定し分析して、SYN-004がマイクロバイオームを防御するよう機能するか否かを決定する(表2)。
Figure 0007516007000016
合計10匹の2ヶ月齢ヨークシャー子豚(それぞれおよそ20kg)を、この試験に用いた。動物10匹全てを1日2回、合計7日間経口アモキシシリンで処置し、5匹からなる1つのコホートは、経口SYN-004で1日4回合計9日間の処置も受けた。SYN-004処置は、アモキシシリン処置の前日に開始し、アモキシシリンを停止した後、1日間継続した(図1)。
2種の処置前糞便試料、最初の動物が動物処置施設に到着した後の4日目(-7日目)および二回目の到着後7日目(-4日目)の試料、を得た。追加の3つの糞便試料を、4日目、8日目および9日目に採取した。糞便試料を、OMNIgeneGUT試料採取キット(OMR-200、DNA Genotek、カナダ、オンタリオ州所在)を用いて採取し、全ての試料が採取されるまで照明から離して室温で貯蔵した。
試験0日目に、群2(ブタ6~10)は、SYN-004 75mgを含有するSYN-004のサイズ0カプセル 1個を経口で合計9日間にわたり午前7時、午後12時、午後5時および午後10時の1日4回受けた。ブタは1日3回、午前7時のSYN-004投与後、午後12時のSYN-004投与後、および午後5時のSYN-004投与後に摂餌した。群1および2(ブタ1~10)は、経口アモキシシリン(フルーツフレーバーの経口懸濁液、Sandoz、NDC:0781-6157-46、ロット番号EY9130;20mg/kg)を、試験1日目に開始して合計7日間にわたり1日2回、午前7時および午後5時に受けた。動物は、最初にアモキシシリンを、続いてSYN-004を受け、その後、摂餌した。
2日目に、4回のアモキシシリン投与の後に、動物を採血して、血清を採取した。麻酔された動物から、血液を無菌的に大静脈から採取した。3回の採血を、アモキシシリン投与後1時間目、3時間目および8時間目に実施した。Telazolカクテルを最小用量(1mL以下/50ポンド)で静脈投与して、軽度麻酔/鎮静を実現した。各時点で、血液およそ9mLを血清分離バキュテーナ試験管に採取した。凝固後に、試料を遠心分離し、血清を冷凍保存バイアルに移し、評価実験室(Sannova Analytical, Inc.、ニュージャージー州サマセット所在)への運搬まで-80℃で貯蔵した。
ブタ血清中アモキシシリンレベルを、MS/MS検出を備える妥当性が確認された(validated)液体クロマトグラフィー法を利用して定量した。標準曲線を、陰性対照ブタ血清で調製し、100.724ng/mL~10072.381ng/mLアモキシシリンの範囲で8点を有した。アッセイの検出限界は、100ng/mLであった。アモキシシリン単独を受けた動物(ブタ1~5)のアモキシシリンレベルは、1032~1687ng/mLの範囲で3時間目にピークを示し、8時間までに191~353ng/mLに減少した(表3)。動物がSYN-004+アモキシシリンを受けた場合、アモキシシリンは、いずれの時点のいずれの動物の血清中でも検出されなかった(ブタ6~10;表3)。これらのデータは、SYN-004がアモキシシリン吸収を妨害することを実証し、SYN-004がアモキシシリン吸収前に放出され、GI管中でアモキシシリンを分解することを示唆する。それゆえ、糞便DNAは分析されなかった。SYN-004の追加の放出改変配合物を作製し、評価した。
Figure 0007516007000017
実施例2.SYN-004のマルチパーティキュレート、追加のSYN-004配合物、およびそれらのインビトロ特徴づけ
SYN-004の3つの追加的な放出改変配合物を作製し、テストした。配合物のための出発原料は、外側の腸溶性コーティングを欠くSYN-004コーティングされたスクロースペレットであった。P3A(SYN-004)積層ペレットを、結合賦形剤としてヒドロキシプロピルセルロース(HPC)またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、溶媒として水、および出発原料としてスクロース球体を用いて、P3A薬物の噴霧塗布により生成した。噴霧塗布は、少なくとも15%の最終活性薬剤(API)率を実現するために、6つのワークシフトにわたり流動床システムを用いて実施した。P3A/HPC混合物の噴霧塗布の6回目のワークシフトの後、P3A積層ペレットをトレイ上にて室温で一晩乾燥させ、その後、1.4mmふるいに移した後、ポリエチレン(PE)バッグおよびPEコンテナ中にバルク包装した。薬物積層ペレットを、さらなる加工のために5±3℃で貯蔵した。例えば幾つかの実施形態において、P3A積層ペレットを異なるコーティングでコーティングして、特異的酵素放出プロファイルを実現した。
この3種の新しい配合物は、異なるコーティングを利用して、改変された酵素放出プロファイルを得た(図2)。異なるコーティングは、pH>6.2で放出する腸溶性コーティング、またはpH>6.7で放出する腸溶性コーティングを含んだ。コーティングの第三のタイプは、摂取後2~4時間の間に指定された時間枠内で酵素を放出する浸透圧破裂コーティングであった。第三の配合物を、物理的外観、組成および酵素溶解プロファイルについてインビトロで特徴づけた。最も有望なプロファイルを有する3つの配合物を、ブタモデルにおける経口アモキシシリンでの評価のために選択した。
pH>6.2で放出される腸溶性コーティングSYN-004配合物
SYN-004コーティングされたスクロースペレット出発原料を、72.7/18.2/9.1の比率にてEUDRAGIT L100、EUDRAGIT S100、およびクエン酸トリエチルの混合物でコーティングした。スプレー塗装のパラメータ(図2)は、Niro-Aeromatic Lab Fluid Bed Dryer、ボウルサイズ 3.5インチのModel MP-1、Mod B Plateでの空気分布、1.2mm液体チップサイズのSchlick 970 (トール)ノズル、および10mmのカラム間隙を用いることであった。72.7/18.2/9.1の比率にてEUDRAGIT L100、EUDRAGIT S100、およびクエン酸トリエチルを、95/5比率のイソプロパノールおよび水に溶解した。最初にイソプロパノールおよび水を混合し、その後、EUDRAGITを添加した後、クエン酸トリエチルを添加した。混合物を、クエン酸の添加後少なくとも30分間、溶解するまで撹拌した。流動床ドライヤーの操作パラメータは、気体流速35CFM、入口温度28℃、入口露点8.6℃、噴霧器の圧力2.7バール、噴霧速度2.3g/分、および床温度25℃であった。流動床工程の性能は、噴霧された総溶液612g、運転時間4時間25分、流動床ドラム(bed drum)105.1g、推定最終コーティング重量35%およびコーティング効率97.2%であった。試料を40℃で2時間、乾燥させた。試料を、35%のコーティング重量と併せた特徴づけのために、中間のコーティング重量25%および30%で採取した。
コーティング粒子を、コーティング重量に対するコーティング厚、および粒子径に対する質量分率(重量%)に基づいて特徴づけた(図3のパネルAおよびB)。採取された粒子は、推定コーティング重量25%で、平均コーティング厚およそ70μm、平均80μmのコーティング厚30%、および平均100μmのコーティング厚35%を有することが確認された。最終生成物粒子(35%コーティング効率)を、粒子径に対する質量分率に基づいて特徴づけ、粒子径の中点値(D50)が1390μmであることが見出された。コーティング粒子を、走査電子顕微鏡測定でも特徴づけた(図8および9)。粒子は、滑らかな外観であり、およそ1.4mmのサイズでコーティングされていた。粒子の断面積(各コーティング率%についてn=6)により、コーティング厚の算出が可能であった。算出されたコーティング厚は、コーティング重量の評価に対するコーティング厚で観察されたものと同様に、25%で69.7μm、30%で77.9μm、35%で99.7μmであった(図3)。35%粒子の追加の走査電子顕微鏡の特徴づけは、均一な表面を示し、粒子断面の50倍拡大像は、スクロースのコア、コアの上のSYN-004層、および外側のEUDRAGITコーティングを明瞭に示した(図5)。これらのデータに基づき、35%のpH>6.2粒子を、さらなるテストの原型として選択した。
6.7を超えるpHで放出される腸溶性コーティングSYN-004配合物
SYN-004でコーティングされたスクロースペレット出発原料を、30/60.9/9.1の比率にてEUDRAGIT L100、EUDRAGIT S100、およびクエン酸トリエチルの混合物でコーティングした。スプレー塗装のパラメータ(図2)は、Niro-Aeromatic Lab Fluid Bed Dryer、ボウルサイズ 3.5インチのModel MP-1、Mod B Plateでの空気分布、1.2mm液体チップサイズのSchlick 970 (トール)ノズル、および10mmのカラム間隙を用いることであった。72.7/18.2/9.1の比率にてEUDRAGIT L100、EUDRAGIT S100、およびクエン酸トリエチルを、95/5比率のイソプロパノールおよび水に溶解した。最初にイソプロパノールおよび水を混合し、その後、EUDRAGITを添加した後、クエン酸トリエチルを添加した。混合物を、クエン酸の添加後少なくとも30分間、溶解するまで撹拌した。流動床ドライヤーの操作パラメータは、気体流速35CFM、入口温度29℃、入口露点7.5℃、噴霧器の圧力2.5バール、噴霧速度2.4g/分、および床温度25℃であった。流動床工程の性能は、噴霧された総溶液628.7g、運転時間4時間24分、流動床ドラム105.1g、推定最終コーティング重量35%およびコーティング効率99.6%であった。試料を35℃で2時間、乾燥させた。試料を、35%のコーティング重量と併せた特徴づけのために、中間コーティング重量25%および30%で採取した。
コーティング粒子を、コーティング重量に対するコーティング厚、および粒子径に対する質量分率(重量%)に基づいて特徴づけた(図6のパネルAおよびB)。コーティングは、予測より効率的であり、推定コーティング重量は、30%(予測25%と称する)、35%(予測30%と称する)、および40%(予測35%と称する)であり、コーティング厚は、それぞれおよそ65μm、85μm、および110μmであった。最終生成物粒子(40%コーティング効率)を、粒子径に対する質量分率に基づいて特徴づけ、粒子径の中点値(D50)が1388μmであることが見出された。コーティングされた粒子を、走査電子顕微鏡測定でも特徴づけた(図7および8)。粒子は、滑らかな外観であり、およそ1.5mmのサイズでコーティングされていた。粒子の断面積(各コーティング率%についてn=6またはn=10)により、コーティング厚の算出が可能であった。算出されたコーティング厚は、コーティング重量の評価に対するコーティング厚で観察されたものと同様に、25%で68.5μm、30%で85.2μm、35%で113μmであった(図10)。35%粒子の追加の走査電子顕微鏡の特徴づけは、均一な表面を示し、粒子断面の50倍拡大像は、スクロースのコア、コアの上のSYN-004層、および外側のEUDRAGITコーティングを明瞭に示した(図8)。
これらのデータに基づき、35%のpH>6.7粒子を、さらなるテストの原型として選択した。
持続放出される浸透圧破裂コーティングSYN-004配合物
SYN-004でコーティングされたスクロースペレット出発原料を、100標準強度のエチルアルコール中の71.4%の粉砕クロスカルメロースナトリウム(AcDiSol、FMC Biopolymer)、28.6%のヒドロキシプロピルセルロース(HPC)の混合物でコーティングした。この層を、膨張剤層と称した。HPCを、エチルアルコールの2/3に添加し、AcDiSolをエチルアルコールの1/3に添加した。溶液を4000rpmで3分間、高せん断混合した。スプレー塗装のパラメータ(図2)は、Niro-Aeromatic Lab Fluid Bed Dryer、ボウルサイズ 3.5インチのModel MP-1、Mod B Plateでの空気分布、1.2mm液体チップサイズのSchlick 970 (トール)ノズル、および10mmのカラム間隙を用いることであった。流動床ドライヤーの操作パラメータは、気体流速35CFM、入口温度32℃、入口露点6.1℃、噴霧器の圧力2.5バール、噴霧速度3.4g/分、および床温度28℃であった。流動床工程の性能は、噴霧された総溶液385g、運転時間1時間53分、流動床ドラム119.1g、推定最終コーティング重量37%およびコーティング効率82%であった。中間の試料は、採取しなかった。
次のステップは、膨張剤層でコーティングされたSYN-004に浸透圧破裂コーティングを添加することであった。浸透圧破裂コーティング組成物は、75%のAquacoat ECD(エチルセルロース分散体、FMC Biopolymer)、および水中の25%クエン酸トリエチル(TEC)であった。TECをAquacoat ECDに添加し、残留するTECを水で洗浄し、溶液に添加した。その懸濁液を運転の間ずっと撹拌した。スプレー塗装のパラメータ(図2)は、Niro-Aeromatic Lab Fluid Bed Dryer、ボウルサイズ 3.5インチのModel MP-1、Mod B Plateでの空気分布、1.2mm液体チップサイズのSchlick 970 (トール)ノズル、および10mmのカラム間隙を用いることであった。流動床ドライヤーの操作パラメータは、気体流速35CFM、入口温度51℃、入口露点8.3℃、噴霧器の圧力2.5バール、噴霧速度2.0g/分、および床温度35℃であった。流動床工程の性能は、噴霧された総溶液146g、運転時間1時間11分、流動床ドラム 124、推定最終コーティング重量13.5%およびコーティング効率66%であった。中間の試料を、7.3%、9.1%、10%、および11.5%で採取した。
コーティングの後、粒子を硬化させた。複数の硬化温度および時間を、浸透圧破裂(バースト時間(burst time))およびベータラクタマーゼ酵素活性について評価した。初期分析は、硬化温度50℃または60℃で、および硬化時間2.5時間および8時間で10%または11.5%のオスモティックコーティング重量を有する粒子を比較した(図9)。ペレットを、室温で50mM KHPO(pH6.2)緩衝液に撹拌しながら添加し、ペレットの画像を5分ごとに撮影して、粒子崩壊をコーティングの視覚的崩壊、粒子の顕著な変形、および外部AcDiSolの存在として評価した。データは、粒子が2~3時間の間に破壊を見せ始めたため、10%および11.5%のコーティング重量が所望の4時間の粒子バースト遅延に達するのに十分な厚さでないことを示した。加えて、60℃で2時間の硬化時間および温度が最良と思われた。これらのデータに基づき、10%SYN-004ペレットを硬化温度60℃で2時間により11.4%および13.5%に再コーティングし、記載された通り再テストした(図10)。13.5%コーティングを備えるペレットは、5時間にわたり無傷のままであり8時間で50%の破裂が生じ、一方10%および11.4%は、2.5または3時間で破壊し始め、4時間で50%破裂が生じた。0~8.5時間の浸漬後の10%および13.5%粒子の外観を、図11に示す。
コーティングされた粒子を、コーティング重量に対するコーティング厚、および粒子径に対する質量分率(重量%)に基づいて特徴づけた(図12)。コーティングは、予測通り、7%~13%の範囲のコーティング重量および20μm~50μmの厚さを有した。最終生成物粒子(13.5%コーティング重量)を、粒子径に対する質量分率に基づいて特徴づけ、粒子径の中点値(D50)が1432μmであることが見出された。コーティングされた粒子を、走査電子顕微鏡測定でも特徴づけた(図13および14)。粒子は、滑らかな外観であり、およそ1.5mmのサイズでコーティングされていた。粒子の断面積(各コーティング率%についてn=10)により、コーティング厚の算出が可能であった。算出されたコーティング厚は、10%コーティング重量で30.8μm、11.5%コーティング重量で41.3μmおよび13.5%コーティング重量で48μmであった。13.5%コーティング重量粒子の追加の走査電子顕微鏡の特徴づけは、均一な表面を示し、粒子断面の50倍拡大像は、スクロースのコア、SYN-004、およびコーティング層を示した(図14)。
オスモティックコーティングを硬化させるために選択された条件がSYN-004の生物活性に影響を及ぼさなかったことを確証するために、追加の試験を実施した。異なる硬化条件下で浸透圧破裂性の13.5%コーティング重量SYN-004ペレットを、生物活性の保持力について評価した(図15)。浸透圧破裂性ペレットをpH6.8のリン酸カリウム緩衝液に添加し、一晩撹拌して、全コーティングの除去を確実にした。緩衝液のアリコットを、CENTA発色性マイクロタイタープレートアッセイを利用してSYN-004生物活性について分析した。データは、50℃で8時間または60℃で2時間の範囲の硬化時間はSYN-004の生物活性に影響を及ぼさなかったことを実証する。SYN-004の出発原料である非コーティングペレットは、84.0±15.2%活性を、非コーティング粒子は94.5+12.2%活性を、50℃2時間で84.0+6.2%活性を、50℃5時間で75.8+6.4%活性を、50℃8時間で83.9+1.9%を、および60℃2時間で86.1+1.4%を示した。
これらのデータに基づき、60℃で2時間硬化された13.5%の浸透圧破裂粒子を、さらなるテストの原型として選択した。
経口抗生物質との経口使用のためのSYN-004の有望な放出改変配合物を同定するための基準は、抗生物質の生物学的利用度を最大にしながら腸のマイクロフローラへの抗生物質の影響を最小にするための所望の酵素放出プロファイルを有するSYN-004配合物または配合物(複数)を同定することであった(図16)。実施例2に記載された通り作製された3種のSYN-004配合物を、さらに特徴づけた。選択された3種の配合物は、1)腸溶性pH6.2放出物、2)腸溶性pH6.7放出物、および3)浸透圧破裂性配合物であった。これらの配合物の特徴づけを、表4に示す。
Figure 0007516007000018
溶解プロファイルを特徴づけSYN-004酵素が各配合物において生物活性を保持することを確証するために、3種の配合物をインビトロで評価した(図21および22)。各配合物について、合計7.5mgのSYN-004活性剤をpH2.0溶液(0.01N HCl)25ml中で2時間インキュベートして、摂取後の胃の条件を模倣した。その後、さらなる2時間でpHを5.5に上昇させた(リン酸カリウム中の総容量75ml)。その後、pHを、10N KOHを用いて6.5に調整した。インキュベートは全て、250rpmで撹拌しながら、37.5℃で実施した。各試料について、20μlを2mlボルメトリックポストオートサンプラー(2 ml volumetric post auto sampler)中に、指示された時点で採取した。試料を、280nmの吸光度を利用してタンパク質濃度について、およびCENTA発色アッセイを利用してSYN-004生物活性について評価した。腸溶性pH6.2配合物は、酸性環境での最小の放出を示し、およそ2時間の放出持続時間を有した。腸溶性pH6.7配合物は、酸性環境での最小の放出と、その後のおよそ8~10時間の放出持続時間を示した。pH非依存性放出を提供する浸透圧破裂性配合物は、3時間の遅延と、その後の3時間の放出持続時間を示した。本来のSYN-004配合物(腸溶性、pH5.5)は、酸性環境での最小の放出と、その後の1.3時間の放出持続時間を示した。データは、配合物の全てが24時間の三段階溶解テストの期間にSYN-004の生物活性を維持することを実証する。配合物は、アモキシシリンなどの経口抗生物質での動物モデルにおけるテストで、所望の放出特性を有する。
実施例3:インビボ評価のためのSYN-004配合物で充填されたカプセルの調製
実施例2に記載された3種のSYN-004配合ペレット、および実施例1に記載された本来のSYN-004配合ペレット(腸溶性5.5)を用いて、サイズ0ゼラチンカプセルを充填し、SYN-004活性剤50mgの用量を実現した(表5)。これらのカプセル内の成分および量の列挙を、以下の表6に提供する。容積充填(volumetric fill)を、100%重量選別および+3%標的棄却限界と共に用いた。3%未満のRDS充填変動が存在した。空のゼラチンカプセルの平均重量は、93mgであった。
Figure 0007516007000019
Figure 0007516007000020
カプセルからのSYN-004ペレットの溶解を評価し、カプセル化前にSYN-004ペレットの溶解から得られたデータと比較した(図19)。溶解試験を先に記載された通り実施したが、7.5mgのペレットを用いる代わりに、活性SYN-004 50mgを含有する1個のカプセルを用いた。手短に述べると、本来のSYN-004(腸溶性pH5.5)以外の各配合物の1カプセルを、pH2.0溶液(0.01N HCl)中でインキュベートして、摂食後の胃の条件を模倣した。その後、pHをさらなる2時間で5.5に上昇させた。その後、pHを、10N KOHを用いて6.5に調整した。インキュベートは全て、250rpmで撹拌しながら、37.5℃で実施した。各試料について、20μlを2mlボルメトリックポストオートサンプラー中に、指示された時点で採取した。試料を、280nmの吸光度を利用してタンパク質濃度について評価した。データは、ペレットへの損傷がカプセル充填の間に生じなかったことを実証する。予測されたよりも緩やかな放出速度が、腸溶性pH6.2および腸溶性pH6.7配合物で観察された。
カプセル化に続き、配合物は、アモキシシリンなどの経口抗生物質での動物モデルにおけるテストについて所望の放出特性を保持した。
実施例4.正常な子ブタにおけるSYN-004の放出改変配合物の評価
経口アモキシシリンと共に経口送達される、実施例2に記載されたSYN-004の3種の放出改変配合物、および実施例1に記載された本来のSYN-004配合物(腸溶性pH5.5)を比較して、アモキシシリン血清レベルに及ぼす影響およびアモキシシリン誘導性腸内毒素症からのマイクロバイオームの防御を評価するために、正常な子ブタを用いて試験を実施した(図20)。
合計25匹の2ヶ月齢ヨークシャー子豚(それぞれおよそ20kg)を、この試験に用いた。動物25匹全てを1日2回、合計7日間経口アモキシシリンで処置し、加えて、群2~5は4回、SYN-004を受け、データは合計9日間のアモキシシリン処置の前日に始まる(表7)。
Figure 0007516007000021
3種の処置前糞便試料を、-4日目、-2日目および0日目に得た(SYN-004処置前)。糞便試料を、OMNIgeneGUT試料採取キット(OMR-200、DNA Genotek、カナダ、オンタリオ州所在)を用いて採取し、全ての試料が採取されるまで照明から離して室温で貯蔵した。糞便から単離されたDNAを、腸マイクロバイオームおよび分析のディープシンケンシングに供した。さらなる糞便試料を、-2日目および4日目に採取した。これらの試料を50mlコニカルチューブに採取し、急速冷凍し-80℃で貯蔵した。これらの試料をアモキシシリン定量に供した。
試験0日目に、群2~5(ブタ6~25)は、SYN-004 50mgを含有するSYN-004配合物4種それぞれの1つのサイズ0カプセルを、合計9日間にわたり1日4回午前7日、午後12時、午後5時、および午後10時に受けた。ブタは、1日3回、午前7時にSYN-004投与の後、午後12時にSYN-004投与の後、および午後5時にSYN-004投与の後で摂餌した。試験1日目に開始して、群1~5の全て(ブタ1~25)は、経口アモキシシリン(フルーツフレーバーの経口懸濁液、Sandoz、NDC:0781-6157-46、ロット番号FB0703;20mg/kg)を合計7日間にわたり1日2回午前7時および午後5時に受けた。動物は最初にアモキシシリンを、続いてSYN-004を受け、その後、摂餌した。
3日目に、5回のアモキシシリン投与の後に、動物を採血して、血清を採取した。麻酔された動物から、血液を無菌的に大静脈から採取した。3回の採血を、アモキシシリン投与後1時間、3時間および6時間に実施した。Telazolカクテルを最小用量(1mL以下/50ポンド)で静脈投与して、軽度麻酔/鎮静を実現した。各時点で、血液およそ9mLを血清分離バキュテーナ試験管に採取した。凝固後に、試料を遠心分離し、血清を冷凍保存バイアルに移し、評価実験室(Sannova Analytical, Inc.、ニュージャージー州サマセット所在)への運搬まで-80℃で貯蔵した。
ブタ血清中アモキシシリンレベルを、MS/MS検出を備える妥当性が確認された液体クロマトグラフィー法を利用して定量した。標準曲線を、陰性対照ブタ血清で調製し、100.724ng/mL~10072.381ng/mLアモキシシリンの範囲で8点を有した。アッセイの検出限界は、100ng/mLであった。アモキシシリン単独を受けた動物のアモキシシリンレベルは、1162~2318ng/mLの範囲で3時間でピークレベルを示し、6時間までに667~1161ng/mLに減少した(表8)。動物がSYN-004+アモキシシリンを受けた場合、アモキシシリンは、いずれの動物のいずれの時点でも検出されなかった(図8)。これらのデータは、SYN-004の本来の配合物(腸溶性pH5.5;表1)がアモキシシリン吸収を妨害すること、および3種の新しい放出改変配合物のそれぞれもまたアモキシシリン吸収を妨害することを検証する。SYN-004の追加の放出改変配合物を作製し、評価した。
Figure 0007516007000022
実施例5:さらなる放出改変配合物
SYN-004のさらなる放出改変配合物を作製し、テストした。配合物の出発原料は、外側の腸溶性コーティングを欠くSYN-004コーティングされたスクロースペレットであった。SYN-004コーティングされたスクロースペレットは、実施例2に記載されたものと類似していた。この新しい配合物は、SYN-004コーティングされたスクロースペレット上のpH>7.0で溶解される2つの異なる腸溶性コーティングの一方(EUDRAGIT FS 30DまたはEUDRAGIT S100)を利用した。加えて、幾つかの配合物は、SYN-004コーティングされたスクロースペレットの上および外側のEUDRAGIT FS 30DまたはS100腸溶性コーティングの下にDuocoat内層を含有した。Duocoatは、pH7.0での他のEUDRAGITコーティングの溶解後にSYN-004酵素のより急速な溶解を可能にし得る(Liuら)。注目すべきこととして、腸溶性コーティングの別の層が、カプセル上に含まれた。カプセルの2つの異なるタイプ:ゼラチンカプセルまたは遅延放出性カプセルを用いた。配合物をインビトロで特徴づけ、最も有望なプロファイルを有する5種の配合物をさらなる評価用に選択した。
0.8mmより大きなサイズの非コーティングの薬物積層糖コア(SYN-004)を、トップスプレーノズルおよび静電防止ユニットを具備した流動床Mini-Coater/Drier(Caleva)を用いてコーティングした。用いたコーティング条件を、表9に列挙する。
Figure 0007516007000023
上部GI管を通る移行の際の配合物の耐性を改善するために、コーティングされたペレットをカプセルに充填し、カプセルを腸溶性ポリマーEUDRAGIT FS 30Dでフィルムコーティングした。サイズ4のゼラチンおよび遅延放出性(DR)カプセルに、カプセルあたり15または10mg当量の酵素を手作業で充填した。充填後に、カプセルを、HPMCのエタノール性溶液およびバンドの領域の後乾燥を用いてバンド封印した(band-sealed)。その後、カプセルをフィルムコーティングした。カプセルのフィルムコーティングは、同じコーターで実施し、用いたコーティング条件を、表10に列挙する。
Figure 0007516007000024
コーティング溶液を、以下の通り調製した。EUDRAGIT FS 30D水性分散液を、製造業者の使用説明書に従うが粘着防止剤を用いずに調製した。EUDRAGIT FS 30Dコーティング溶液は、HO 49.89g、クエン酸トリエチル 0.65g、FS 30Dポリマー 43.01gで構成された。EUDRAGIT S100有機分散液を、2-プロパノール:水(20:1;2-プロパノール 85.71gおよびHO 4.29g)中に溶解した後、クエン酸トリエチル(10%w/w、0.625g)およびS100ポリマー 6.25gを添加した。粘着防止剤は、用いなかった。Duocoat内層溶液を、KHPOおよびHPMC603を水に溶解することにより調製し、pHを10.5に調整した。実施された全てのコーティングの列挙を以下の表11に見出すことができる。
Figure 0007516007000025
コーティングされた糖コアおよびカプセルでのインビトロ溶解テスト
コーティングされたコアのインビトロ放出反応速度を、溶解媒体15mLおよびバイアルあたり酵素15mgと同等量をコア中で利用して、評価した。3種の異なる媒体を用いて、GI管の異なる部分で見出される可能性があるpH条件を模擬した;pH1.1の塩酸溶液(0.1M)を用いて空腹条件下の胃液のpHを模擬し、pH値5.5および7.1のリン酸緩衝液は、それぞれ腸の近位および遠位領域の条件を模擬した。pH5.5緩衝液は、0.1M HClおよび0.3M KHPOの1:1混合物で構成されpH5.5に調整した。pH7.1緩衝液は、0.1M HClおよび0.3M KHPOの1:1混合物で構成されpH7.1に調整した。各時点で放出されたベータラクタマーゼの割合%は、0.2μmろ過と、それに続くUV(10mmキュベット)でのA280-A320により決定した。FS 30Dコーティングされたペレット(配合物1、表11)を0.1M HClに15時間暴露し、放出はUVにより検出されず、溶解媒体は透明であった:pH5.5に暴露された時、放出は4時間では検出されず、20時間後に2%のベータラクタマーゼが放出された。コーティングされたペレットをpH7.1に暴露し、結果を表12に示す。
Figure 0007516007000026
これらの結果は、20%乾燥ポリマー重量増分のコーティング厚でのEUDRAGIT FS 30Dコーティングされたペレットが、酸性および弱酸性の両方のインビトロ条件に耐性があることを示した。
テストした次の配合物は、5%ポリマー重量増分でKHPOを含有するヒプロメロース(HPMC603)の内層と、20%および25%乾燥ポリマー増分(EUDRAGIT FS 30D)(それぞれ配合物2および3、表11)での外層とでコーティングされた積層ペレットで構成された。配合物2を0.1M HClに暴露し、放出は4時間で検出されず、15時間後に2%のベータラクタマーゼが放出された。配合物2をpH5.5に暴露した場合、ペレットは漏出し易く全時点でベータラクタマーゼが放出され、pH5.5で15時間後に50%より多く放出された(表13)。pH7.1でテストした場合、配合物2は、20分での放出および4時間までに完全な放出を示した(表14)。
Figure 0007516007000027
Figure 0007516007000028
pH5.5の媒体での配合物3のテストは、この厚いコーティング(25%、表11)が早期放出を予防し、配合物2と類似の最初の3時間の放出プロファイルを呈することを示した(表13)。全ての溶解試験において、20% FS 30D(単一コーティングおよびDuocoatの両方)を有するペレットがpHに関わらず経時的に大きく膨張することが認められた(図21)。この膨張が、内層への少量の緩衝液の侵入に関与し、内層を溶解させ始め、かつより低いpH値であっても外層の溶解を加速させる可能性がある。
配合物4(表11)ペレットを、30%の乾燥ポリマー重量増分にてEUDRAGIT S100の有機溶液でコーティングした。インビトロ放出の結果は、コーティングされたペレットがpH5.5で2時間後に酵素を放出し始めることを示した。それゆえコーティング厚を、40%の乾燥ポリマー重量増分に増加させた(配合物5)。このコーティングされたペレットを0.1M HClおよびpH5.5媒体に暴露したが、両媒体について最初の2時間で放出は検出されなかった。コーティングされたペレットを、pH7.1に暴露した(表15)。10%を超えるベータラクタマーゼがpH7.1で20分までに放出され、1.5時間までに完全な放出が生じた。これらのデータは、S100コーティングされたペレットがFS 30Dコーティングされたペレットよりも漏出し易いことを実証する。しかし、40%のS100コーティングは、酸耐性であり、少なくとも2時間、pH5.5に耐性であった。ペレットが、下部のGI管でpH7.1に達すると、ベータラクタマーゼは、およそ1.5時間後に完全に放出されるであろう。
Figure 0007516007000029
5%のポリマー重量増分での内層(KHPOを含有するヒプロメロース)と、20%の乾燥ポリマー重量増分での外層(EUDRAGIT S100)とでコーティングされた配合物6ペレット(表11)を評価し、直後の溶解を実証した。外層が30%および40%のポリマー重量増分にコーティングされた配合物7および8(表11)をその後、評価した。暴露の2時間後に、配合物7は、pH5.5および0.1M HCl中の1%でおよそ2%の放出を有し、30%のコーティング厚が早期放出を防ぐのに充分でないことを示唆した。より大きなコーティング厚では、配合物8は、pH5.5でわずか3時間後に放出を開始し、より大きな厚さが良好な防御を提供することを示唆した。しかし、配合物5(40%のS100単一コーティング;表11参照)と比較すると、Duocoatは、pH7.1の媒体でより急速な放出を提供しなかった(表16)。それゆえペレット上のDiocoat S100コーティングは、配合物として選択されなかった。
Figure 0007516007000030
配合物10(表11)を調製するために、コーティングされたペレット(配合物1:20% FS 30D)をサイズ4ゼラチンカプセルに充填した。カプセルを、カプセルあたりベータラクタマーゼ15mgと同等量で充填した。カプセルを5.5mg/cmのEUDRAGIT FS 30Dでコーティングし、インビトロ溶解反応速度をテストし、結果を図22に示しす。酸中において最初の2時間およびpH5.5での続く2時間で放出は見出されず、カプセルをpH7.1に移した後、4時間以内に完全な放出が実現された。この配合物をまた、pH5.5の媒体に60時間より長く暴露したが、放出は検出されなかった。
配合物11(表11)を調製するために、サイズ4 DRカプセルをベータラクタマーゼ 15mgと同等量のコーティングされた糖コア(配合物1:20% FS 30D)で充填し、5.5mg/cmのポリマー重量増分にてEUDRAGIT FS 30Dでコーティングした。図23に示されたインビトロ溶解の結果は、pH1.6への暴露の2時間と、続くpH5.5での2時間の後、放出は検出できなかったことを裏付けた。カプセルをpH7.1のリン酸緩衝液に移した後、カプセルシェルの緩徐な放出による、2時間の遅延時間が観察された。酵素の緩徐な放出は、4時間を超えて認められ、4時間後に放出された酵素はわずかに約40%であった。
最も有望な溶解プロファイルを呈した5種の配合物を、表17に示す。これらの配合物の組成を、表18に示す。これらの5種の配合物を、溶解試験でテストした。これらの試験では、各サイズ4カプセルを酵素10mgと同等量で充填した。これらの配合物で得られたインビトロ溶解の結果を、図24に表す。5種の配合物全てが、酸中での最初の2時間と、pH5.5媒体中での続く2時間に、酵素の放出を防ぐことができた。F2およびF4は、ゼラチンカプセル上に同じコーティングを有し、それゆえそれらの両者はpH7.1に暴露されると急速に放出を開始した。pH7.1でのプロファイルに関して両方の配合物の間にあまり差はなく、ペレット上の同じコーティングレベルのFS 30DおよびS100では、FS 30DがS100よりも良好な防御を示し得ることを示唆した。3種のDRカプセル配合物(F1、F3およびF5)は全て、およそ2時間の予測された遅延時間を有した。
Figure 0007516007000031
Figure 0007516007000032
実施例6.経口アモキシシリンで処置されたイヌにおける配合物2の評価
配合物2(表17)を、イヌにおける評価のために選択した。2群の薬物動態(PK)試験を、3匹の非ナイーブビーグル犬(2歳、およそ12kg)で実施した。動物を、各群での投与日前に一晩、絶食させた。群1では、イヌに80mg/kgの1用量のアモキシシリン懸濁液(リンゴジュースで400mg/5mLに再構成されるアモキシシリン粉末;Sandoz、ロットFW1707)を強制経口投与により投与した。動物を、投与後にケージに戻し、アモキシシリン投与後1.5時間目に摂餌させた。群2では、イヌにアモキシシリン懸濁液(80mg/kg、群1と同様に調製)を強制経口投与により投与した。経口アモキシシリンを投与した直後に、動物は、SYN-004 10mgを含有する配合物2(表17)のサイズ4カプセル1個を受けた。カプセルは、噛まずに丸飲みされた。カプセルは、イヌの口の奥にカプセルを置きMottの100%アップルジュース 6mLをシリンジで入れることにより、手で投与された。動物を、投与後にケージに戻し、アモキシシリン投与後1.5時間目に摂餌させた。2群の間には、7日のウォッシュアウト期間があった。両方の試験群で、血液(およそ2mL)を、投与前および投与後30分、1、2、3、4、6、8、および10時間目に血清PK分析用に採取した。血清を採取し、直後に-80℃で凍結させた。飼料は、記載された通り絶食を行った投与の期間以外は、両群を通して随意に摂取できた。臨床観察は、処置関連の異常を明らかにしなかった。最後の採血の後、動物を居住場所に戻した。
血清を、タンデム質量分析検出法(LC/MS/MS)を備える妥当性が確認された液体クロマトグラフィー(LC)法を用いてアモキシシリンレベルについて分析した。手短に述べると、血清試料を、タンパク質沈殿抽出法を利用して抽出し、逆相LCを用いて分析した。アモキシシリンおよびアモキシシリン-d(内部標準)を、タンデムMSを用いて検出した。試験を、Turboイオンスプレーインターフェースを備えるApplied BiosystemsのTriple Quad API 500 LC/MS/MSを用いて実施した。データを取得し、Applied Biosystemsの「Analyst」ソフトウエア バージョン1.5により解析した。アモキシシリンの定量下限(LLOQ)は、101.723ng/mLであった。アモキシシリンの定量上限(ULOQ)は、20344.678ng/mLであった。実験に使われていないイヌの血清で調製され、101.723~20344.678ng/mLの範囲を含む、2つの対照ブランク、2つのゼロ標準および10の非ゼロ標準からなる較正曲線を、各試料のバッチで作成した。アモキシシリンレベルは、試験の群1および群2の各動物で類似していた(表19)。各イヌの群1および群2におけるアモキシシリン血清レベルを別々にプロットし、曲線下面積を算出した(図25)。各動物の曲線下面積は、試験の群1および群2の各動物で類似していた。これらのデータは、遅延放出性SYN-004配合物2(表17)がアモキシシリンの全身吸収を妨害しなかったことを実証し、このSYN-004配合物2がイヌの上部小腸でのアモキシシリン吸収の前に早期に放出されなかったことを示す。それゆえ、FS 30Dコーティングされたカプセルの内側に組み込まれたFS 30 DコーティングされたSYN-004積層スクロースペレット、または「入れ子」方式を利用することによる、早期放出の可能性を低下させ、経口送達されるアモキシシリンの吸収前に小腸で放出する方策は、SYN-004を用いた場合および用いなかった場合の各イヌでの類似のアモキシシリン血中レベルにより示される通り、成功した。
Figure 0007516007000033
実施例7.正常な子ブタにおけるSYN-004入れ子配合物の誘導体の評価
FS 30Dコーティングされたカプセル内のFS 30DコーティングされたSYN-004ペレットからなる配合物2(表17)カプセルを、正常な子ブタでのテストのために調製した。この配合物では、サイズ9Hゼラチンカプセル(小カプセル、2.7mm径、5mm長)を、FS 30DコーティングされたSYN-004スクロースコアのペレット3つで充填し、その後FS 30Dでコーティングした。SYN-004ペレットを含むコーティングされた9Hカプセルをその後、ブタへの送達を容易にするために、サイズ5ゼラチンカプセル中に挿入した(図26)。SYN-004の各FS 30Dコーティングされたペレットは、SYN-004 165mgを含有した。それゆえ、SYN-004の総用量は、0.5mg/サイズ5ゼラチンカプセルであった。小さな9Hカプセルを用いるこの入れ子方策の予期される利点は、ゼラチンカプセルが胃で溶解され、胃酸から防御されかつ胃を空にする必要なしに胃幽門部を通過するのに充分小さい、小さなFS 30Dコーティングされた9Hカプセルを放出することである。
試験を、SYN-004の改変入れ子配合物をテストするために、正常な子ブタを使用して実施した。それぞれおよそ20kgの2ヶ月齢ヨークシャー子豚5匹からそれぞれなるコホート2つを、この試験に用いた。ブタは、経口アモキシシリン(40mg/kg)を単独で、またはSYN-004の改変入れ子配合物のカプセル1つと共に受けた。ブタを3時間後に採血し、血清を採取し、実施例4に記載された通りMS/MS検出を備える妥当性が確認された液体クロマトグラフィーを利用してブタ血清中のアモキシシリンレベルを測定するために分析検査室に運搬した。アモキシシリンレベルは、アモキシシリン単独で処置された動物とアモキシシリンSYN-004で処置された動物で類似していた(図27;表20)。これらのデータは、SYN-004を用いた場合または用いない場合で動物におけるアモキシシリン血清レベルが顕著に異ならなかったため、SYN-004の改変入れ子配合物は子ブタの経口送達アモキシシリンの腸吸収を妨害しなかったことを実証する。結果は、SYN-004の改変入れ子配合物がSYN-004の早期放出を防いだことを示す。
Figure 0007516007000034
実施例8.Augmentinで処置された正常子ブタにおけるSYN-004入れ子配合物の誘導体の評価
FS 30Dコーティングされたカプセル内のFS 30DコーティングされたSYN-004ペレットからなる配合物2(表17)カプセルを、実施例7に記載されたものと類似の方法で、正常な子ブタでのテストのために調製した。サイズ9Hゼラチンカプセルを、FS 30DコーティングされたSYN-004スクロースコアのペレット6つで充填し、その後FS 30Dでコーティングした。カプセルを2用量:1.0mg用量および3.0mg用量のSYN-004で調製した(図28)。1.0mg用量では、SYN-004ペレット6つを含むコーティングされた9Hカプセル1つを、サイズ5ゼラチンカプセルに挿入した。3.0mg用量では、SYN-004ペレット6つをそれぞれ含むコーティングされた9Hカプセル3つを、サイズ5ゼラチンカプセルに挿入した。
より高用量のSYN-004配合物を、経口アモキシシリン/クラブラン酸塩(Augmentin;抗生物質/阻害剤の組み合わせ)により正常なブタでテストした。それぞれおよそ20kgの2ヶ月齢ヨークシャー子豚5匹からそれぞれなるコホート3つを、この試験に用いた。ブタは、経口Augmentin(40mg/kgアモキシシリン+クラブラン酸塩)を単独で、または1.0mgもしくは3.0mg用量のSYN-004の改変入れ子配合物のカプセル1つと共に受けた。ブタを1.5時間および3時間後に採血し、血清を採取し、実施例4に記載された通りMS/MS検出を備える妥当性が確認された液体クロマトグラフィーを利用してブタ血清中のアモキシシリンレベルを測定するために、分析検査室に運搬した。アモキシシリンレベルは、アモキシシリン単独で処置された動物とアモキシシリン+SYN-004で処置された動物で類似していた(図29;表21)。これらのデータは、SYN-004を用いた場合または用いない場合での動物におけるアモキシシリン血清レベルが顕著に異ならなかったため、1.0mgおよび3.0mg用量のSYN-004の改変入れ子配合物はブタの経口送達Augmentinの腸吸収を妨害しなかったことを実証する。
Figure 0007516007000035
実施例9.イヌマイクロバイオーム防御試験におけるSYN-004配合物2および誘導体の評価
配合物2カプセルは3つの方法で調製され、全ての誘導体はSYN-004で覆われたスクロースコアから作製されかつEUDRAGIT FS 30DまたはL30-D55でコーティングされたペレットで構成された。配合物2と最も似ている1つの誘導体は、FS 30Dでコーティングされたサイズ9Hカプセル中のFS 30Dペレットを含有し、全てがサイズ5の非コーティングゼラチンカプセルに入れられた(送達を容易にするため)。ゼラチンカプセルが胃で溶解し、胃を空にする必要なしに胃幽門部を通過するのに充分小さい、小さなFS 30Dコーティングされた9Hカプセルを放出することが予期される。別の誘導体は、SYN-004ペレットが確実にイヌGI管で放出されるように非コーティングゼラチンカプセルに直接充填されたFS30Dペレットを含有した。最後の誘導体は、FS 30Dコーティングされた9Hカプセルに充填されその後サイズ4非コーティングゼラチンカプセルに入れられた、L30-D55コーティングされたSYN-004ペレットを含有した。配合物は全て、およそ10mgのSYN-004を含有した。3種の配合物を、表22に記載する。
Figure 0007516007000036
配合物2の誘導体3種のインビトロ溶解を、実施例5および図24に記載された通り評価する。配合物2の3つの誘導体を、その後、イヌで評価する。イヌの試験では、抗生物質に暴露されたことのない実験に使われていないビークル(n=20)が、コホートあたり5匹で、アモキシシリン(40~80mg/kg、TID、PO)をSYN-004配合物と共に、または伴わずに受ける。処置前血清試料を、試験開始前にイヌ全匹から得る。SYN-004を、アモキシシリンでの投与(10mg、TID、PO)後に送達する。動物に、5日間アモキシシリンおよびSYN-004を投与し、最後の投与は6日目の午前である(合計16用量のアモキシシリン+/-SYN-004)。イヌを最初の投与後および6日目の7つの時点:0.5、1、2、3、4、6、および8時間目に採血する。血液を血清へと処理する。処置前および6日目に、糞便試料を採取する。血清を用いてアモキシシリンレベルを定量し、糞便試料をDNAに処理し全ゲノムショットガンシーケンシング分析に供して、糞便マイクロバイオームを評定する。この試験の予測される結果は、全てのSYN-004誘導体、または少なくとも1種の誘導体は全身アモキシシリンレベルを変化させず、マイクロバイオームをアモキシシリン暴露により生じる損傷から防御することである。
実施例10.ブタマイクロバイオーム防御試験におけるSYN-004配合物の評価
ブタにおいてアモキシシリン吸収を妨害しない配合物に基づくSYN-004の配合物(実施例7および8参照)を調製し、ブタでテストする。配合物は、SYN-004で覆われEUDRAGIT FS 30DまたはL30-D55でコーティングされたスクロースコアから作製されるペレットを含有すると予期される。ペレットは、FS 30Dでコーティングされたサイズ9またはサイズ9Hゼラチンカプセルに含有される。用いるSYN-004用量に応じて、コーティングされたサイズ9または9Hカプセルを、サイズ5以上の非コーティングゼラチンカプセルに入れる(送達を容易にするため)。SYN-004配合物は、0.5mg~10mgの間のSYN-004を含有する。
SYN-004配合物のインビトロ溶解を、実施例5および図24に記載された通り評価する。SYN-004配合物をその後ブタで評価する。ブタ試験では、正常な子ブタが、経口アモキシシリンまたは経口アモキシシリン/クラブラン酸塩(Augmentin;抗生物質/阻害剤の組み合わせ)を受ける。各SYN-004配合物をブタのコホート(n=5)でテストし、1つのコホート(n=5)は、アモキシシリンまたはAugmentinを単独で受ける。ブタは、合計16回の抗生物質+/-SYN-004投与のために、8時間間隔で1日3回の抗生物質+/-SYN-004を受ける。ブタは、各抗生物質+/-SYN-004の投与後1.5時間目に摂餌する。処置前の血清試料を、試験開始前の全てのイヌから得る。ブタは、抗生物質+/-SYN-004の初回投与後および抗生物質+/-SYN-004の最終投与後に採血される。各採血では、動物を抗生物質+/-SYN-004の投与後1.5、3.0、および4.5時間目に採血する。血液を血清へと処理し、血清中のアモキシシリンレベルを実施例4に記載された通りMS/MS検出を備える妥当性が確認された液体クロマトグラフィー法を利用して定量する。糞便を、抗生物質+/-SYN-004投与前、および抗生物質+/-SYN-004の最終投与の後に採取する。糞便をDNAへと処理し、全ゲノムショットガンシーケンシング分析に供して、糞便マイクロバイオームを評定する。この試験の予測される結果は、全てのSYN-004誘導体、または少なくとも1種の誘導体は全身アモキシシリンレベルを変化させず、マイクロバイオームをアモキシシリン暴露により生じる損傷から防御することである。
実施例11.ベータラクタマーゼ放出物のGI管局在化
これらの試験は、GI管へのベータラクタマーゼ送達の好ましい部位を同定して、効率的な抗生物質吸収およびマイクロバイオーム防御を実現するために設計される。
ベータラクタマーゼSYN-004、別名P3A(PBSもしくは他の緩衝液に再懸濁される、またはSYN-004の配合物のいずれか)を、腸での挿管または瘻孔によりイヌの腸管の様々な領域に直接送達する。動物は、アモキシシリン、またはアモキシシリン/クラブラン酸(Augmentin)などの経口抗生物質、およびP3Aを十二指腸、空腸、回腸、および/または盲腸を含む小腸への直接送達を介して受ける。抗生物質の血漿レベルを測定し、抗生物質分解およびマイクロバイオームの防御の評定として、マイクロバイオームの多様性を糞便中の細菌の16S配列分析により評定する。コホートは、小腸の指示されたエリアへ送達される、抗生物質単独、抗生物質/阻害剤単独、抗生物質/阻害剤+P3A、および抗生物質+P3Aを含む。
この試験を実施するために、イヌの群(コホートあたりn=3~5)において、十二指腸、空腸、回腸、盲腸、および上行結腸を含む小腸内の指示された位置に、瘻孔を移植する(表20)。イヌは、アモキシシリンなどの経口抗生物質、またはアモキシシリン/クラブラン酸(Augmentin)などの抗生物質/阻害剤の組み合わせの投与を単回投与として受ける。P3Aは、経口丸薬として(現行のSYN-004配合物を用いて)送達されるか、または瘻孔への直接輸液を介してPBS緩衝液に溶解され経口抗生物質の後30分以内に送達される。血漿試料を様々な時点でイヌから採取して、血中抗生物質レベルを抗生物質吸収の尺度として測定する。糞便試料を動物から採取して、抗生物質分解のさらなる評定として、排出された抗生物質のレベルを測定し、および16S配列分析を利用して腸マイクロバイオームを評定する。
Figure 0007516007000037
結果は、小腸へのP3Aの送達がマイクロバイオームの防御をもたらし、かつ抗生物質の血漿レベルに影響を及ぼさないことの実証を可能にする。この試験は、マイクロバイオーム防御を実現するための小腸または結腸へのベータラクタマーゼ送達の好ましい部位の同定を可能にする。異なる抗生物質および/または抗生物質/阻害剤の組み合わせを用いる関連の試験を行って腸管での重要な位置を特定してもよい。
実施例12.ハムスターにおける経口抗生物質処置後のC.ディフィシル疾患(CDI)を予防するための予防薬としてのP3Aの評価
これらの試験は、ハムスター疾患モデルでのCDIの予防におけるSYN-004(例えば本明細書に記載されるような、P3Aの現行の腸溶性配合物または放出改変配合物)の有効性を評価する。
SYN-004またはP3Aの放出改変配合物を、CDIのげっ歯類モデルにおいてテストする。げっ歯類モデルとしては、シリア産ゴールデンハムスター(メソクリセタス・アウラタス)C.ディフィシルモデルが挙げられる(Sambol and Tang, 2001; J. Infect. Disease 183:1760)。ハムスターモデルは、CDIに対する種々の予防的および治療的介入の有効性評価のための「ゴールドスタンダード」の小動物モデルと称されてきた。CDIは、以下のプロトコールを用いてハムスターに導入される。Harlan(インディアナ州インディアナポリス)から購入される雄シリア産ゴールデンハムスターを、10または30mg/kgクリンダマイシンの単回皮下注射での感染前に5日または24時間前処置して、動物のマイクロバイオームを枯渇させ、C.ディフィシル感染に罹り易くする。アンピシリンもまたC.ディフィシル感染のリスクがある(Freeman and Wilcox, 1999; Microbes Infect. 1:377)ため、経口Augmentin、スルタミシリン、アンピシリンおよび/またはアモキシシリンをクリンダマイシンの代わりに用いて、動物をC.ディフィシル感染に罹り易くする。血漿を抗生物質送達の前後の様々な時間に採取して、抗生物質の血中レベルを測定する。感染の当日に、動物にC.ディフィシル(ATCC 43255)栄養細胞10個/ハムスターを強制経口投与により接種する。C.ディフィシル接種物は、細菌を、1%オキシラーゼを含むDifcoクロストリジウム増菌培地中で嫌気的条件下にて24時間増殖させることにより調製する。600nmでの光学密度を、1.5に調整し、その後、1:10に希釈する。ハムスターに、この懸濁液0.75mlを胃管により経口的に与える。接種物のアリコットをその後、系列希釈し、ヘミンおよびビタミンK(Remel、カンザス州レネックサ所在)を補充されたブルセラ寒天に播種し、気密的コンテナ(Pack-Anaero MGC)中、嫌気的に48時間インキュベートして、感染力価を決定する。動物を、感染後最初の24時間に1日2回、疾患急性期の次の24時間は2時間ごとに、および試験の残り期間に1日2回、観察する。CDIの兆候としては、死亡および罹患の兆候、尾の湿潤により示される下痢の存在、ならびに活動性、取り扱いに対する全体的応答、接触、または体毛の乱れなどの全体的外観が挙げられる。体重を2~3日ごとにモニタリングする。
SYN-004またはP3Aの放出改変配合物の予防的能力を評価するために、C.ディフィシル感染の1日前に、経口抗生物質投与時に開始してそれを経口投与し、最大で28日目、試験の期間中継続する。疾患を、クリンダマイシン(陽性対照として)または経口抗生物質/阻害剤の組み合わせまたは経口抗生物質(経口抗生物質)を受けた動物で比較する。P3A処置群の有効性を、処置を受けない対照動物、標準のケアであるバンコマイシン(感染の24時間後に開始して5日間継続する1日1回、20mg/kgでの経口投与)を受ける動物に比較する。血漿を抗生物質レベルについてモニタリングし、便のDNAをシーケンシングに供してマイクロバイオームの多様性をモニタリングする。有効性の評価としては、死亡率、ならびに死亡時点または安楽死後の試験終了時の盲腸内容物中のC.ディフィシル細菌力価ならびに/またはC.ディフィシル毒素AおよびBの評価が挙げられる。結果は、経口抗生物質での処置およびP3A配合物の全てまたは1種での処置は抗生物質の血中レベルに影響を及ぼさず、かつ動物をCDIから防御することを示し得、P3Aが初期抗生物質吸収に影響を及ぼさずに抗生物質吸収後に腸内に排出された抗生物質を分解したことを示す。実験計画については、表24を参照されたい。
Figure 0007516007000038
実施例13.ブタにおける経口抗生物質処置後のC.ディフィシル疾患(CDI)を予防するための予防薬としてのP3Aの評価
これらの試験は、ヒト化ブタでのCDIの予防におけるSYN-004(例えば本明細書に記載されるような、P3Aの腸溶性配合物または放出改変配合物)の有効性を評価する。
SYN-004またはP3Aの放出改変配合物を、CDIのヒト化ブタモデルにおいてテストする。ヒト化ブタモデルは、ノトバイオートブタがヒト糞便相同体で再構成されるヒト胃腸管のモデルである(Zhang et al., Gut Microbes 4:193)。このヒト化ブタを抗生物質(クリンダマイシン、Augmentin、スルタミシリン、アンピシリンまたはアモキシシリン)で処置して、腸マイクロバイオームを崩壊した後、C.ディフィシルに暴露し、その後、それらはC.ディフィシル関連性の下痢(CDAD)を含むCDIを発症する。
SYN-004またはP3Aの放出改変配合物の予防的能力をテストするために、P3Aを抗生物質処置の前日(-1日目)に投与し、抗生物質処置の期間中維持する。クリンダマイシンを、C.ディフィシル接種前1~5日目に送達する。Augmentin、スルタミシリン、アンピシリンまたはアモキシシリンなどの経口抗生物質を、C.ディフィシル接種の1~5日前に開始して送達し、5-7日間維持する。抗生物質を用いて、腸マイクロバイオームを崩壊して、動物をC.ディフィシル感染に罹り易くする。血漿の抗生物質レベルを、抗生物質処置前および処置間にモニタリングして、抗生物質吸収を評定する。C.ディフィシル栄養細胞または芽胞を、10~10個の範囲の用量で投与し、動物を、CDADを含むCDI症状についてモニタリングする。C.ディフィシルに暴露された動物は、細菌接種の48時間以内に疾患症状を発症すると予測される(Steele et al., 2010; J. Infect. Dis 201:428)。CDIを、クリンダマイシンを受けた動物またはAugmentin、スルタミシリン、アンピシリンもしくはアモキシシリン(経口抗生物質)などの経口抗生物質を受けた動物において比較する。P3A処置群の有効性を、処置を受けない対照動物、標準のケアであるバンコマイシン(感染の24時間後に開始して5日間継続する1日1回、20mg/kgでの経口投与)を受ける動物に比較する。結果は、経口抗生物質での処置または1種もしくは複数の経口P3A配合物での処置は抗生物質の血中レベルに影響を及ぼさず、かつ動物をCDIから防御することを示し得、P3Aが初期抗生物質吸収に影響を及ぼさずに抗生物質吸収後の腸内に排出された抗生物質を分解することを示す。実験計画については、表25を参照されたい。
Figure 0007516007000039
実施例14.人工小腸および大腸系におけるSYN-004および経口抗生物質の評価
人工の小腸および大腸系であるTIMおよび/またはTIM2(例えば、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるYoo, J.Y., & Chen, X.D.(2006).GIT physicochemical modeling- A Critical Review, International Journal of Food Engineering, 2(4)参照)を用いて、例えば本明細書に記載されるような、現行の腸溶性コーティングされたSYN-004配合物および/またはSYN-004の放出改変配合物を評価して、腸管内のSYN-004放出および抗生物質放出の部位(複数可)をより特異的に局在化させる。
均等物
本発明を具体的実施形態に関連して記載したが、本発明が属する当該技術分野における公知の、または慣例的な実務に含まれる通り、および本明細書の以前に示された本質的特性に適用され得る通り、および添付の特許請求の範囲に含まれる通り、さらなる改良が可能であり、この適用が一般に本発明の原理に従い、本開示からのそのような逸脱を含む、本発明の任意の変更、使用、または適合に及ぶことは、理解されよう。
当業者は、日常的実験のみを利用して、本明細書に具体的に記載された具体的実施形態の数多くの均等物を認識し、またはそれを確認することができよう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲に含まれるものとする。
参照による組み入れ
本明細書で参照される全ての特許および発行物は、全体として参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書で議論された発行物は、単に本出願の出願日以前のそれらの開示のために提供される。本明細書では、本発明が先行の発明を考慮してそのような出願よりも前の日付けであるという資格を与えられないことの承認と解釈されるべきではない。
本明細書で用いられる全ての見出しは、単に組織化のためのものであり、本開示の限定するものではない。任意の個々の段落の内容は、全ての段落に均等に適用可能であり得る。
参考資料
以下のものは、全体として参照により本明細書に組み入れられる:
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Claims (19)

  1. 対象の胃腸(GI)マイクロバイオームをベータラクタム系経口抗生物質から防御するためのベータラクタマーゼを含む経口用の医薬組成物であって、前記ベータラクタマーゼは、前記ベータラクタム系経口抗生物質での処置を受けているまたは前記処置を最近受けた対象において、前記ベータラクタム系経口抗生物質を失活させることができ、
    記医薬組成物は、腸溶性コーティングされたペレットを含む腸溶性コーティングされたカプセルを含み、前記ペレットが、前記ペレット重量に関して、
    約20%~25%のスクロース球体;
    約30%~40%の結合賦形剤;
    約12%~約18%のベータラクタマーゼ;
    約1%~2%緩衝塩;
    約0.5%~3%の可塑化剤;および
    場合により約0.5%~約1.5%のKHPOおよび約2.5%~5%のHPMC603を含み、
    前記ペレットがペレット重量に関して約15%~30%のEUDRAGIT(登録商標)FS 30DまたはEUDRAGIT(登録商標)S100によりコーティングされており、かつ
    前記カプセルが、EUDRAGIT(登録商標)FS 30DまたはEUDRAGIT(登録商標)S100でコーティングされている、
    前記医薬組成物。
  2. 前記結合賦形剤が、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)であり;および/または
    前記ベータラクタマーゼが、配列番号1、アンブラーの分類番号に従ったD276Nの変異を有する配列番号1、または配列番号5のアミノ酸配列から選択され;および/または
    前記可塑化剤が、クエン酸トリエチルである、
    請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記ベータラクタマーゼが、アンブラーの分類番号に従ったD276Nの変異を有する配列番号1である、請求項に記載の医薬組成物。
  4. 前記カプセルが、総カプセル重量の約10%にてEUDRAGIT(登録商標)FS 30Dでコーティングされている、請求項1に記載の医薬組成物。
  5. 前記カプセルが、約15μL未満の本体容積を有しかつEUDRAGIT(登録商標) FS 30Dでコーティングされている、請求項1に記載の医薬組成物。
  6. 約15μL未満の本体容積を有する1つまたは複数のカプセルが、より大きなカプセル中に装填されている、請求項に記載の医薬組成物。
  7. 前記カプセルが、ベータラクタマーゼ阻害剤をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  8. 前記ベータラクタマーゼ阻害剤が、クラブラン酸である、請求項に記載の医薬組成物。
  9. 前記対象のマイクロバイオームの防御が、マイクロバイオーム介在性障害の処置または予防を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  10. 前記マイクロバイオーム介在性障害が、抗生物質誘導性有害作用、C.ディフィシル感染(CDI)、C.ディフィシル関連疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、および過敏性腸症候群から選択される、請求項に記載の医薬組成物。
  11. 前記マイクロバイオーム介在性障害が、抗生物質誘導性有害作用、C.ディフィシル感染(CDI)、およびC.ディフィシル関連疾患の1つまたは複数である、請求項10に記載の医薬組成物。
  12. 前記マイクロバイオーム介在性障害が、抗生物質関連の下痢、C.ディフィシルによる下痢(CDD)、C.ディフィシルによる腸炎症疾患、大腸炎、偽膜性大腸炎、発熱、腹痛、脱水および電解質の障害、巨大結腸症、腹膜炎、ならびに結腸の穿孔および/または破裂の1つまたは複数である、請求項11に記載の医薬組成物。
  13. 前記対象のマイクロバイオームの防御が、正常な腸微生物叢の維持を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  14. 対象のGI管での1種または複数の病原性細菌の過剰増殖を処置するおよび/または予防する、請求項1に記載の医薬組成物。
  15. 院内感染および/または二次的な緊急の感染を処置するまたは予防する、請求項1に記載の医薬組成物。
  16. 前記ベータラクタマーゼが、全身に吸収される経口投与された抗生物質の血漿レベルを実質的に妨害しない、請求項1に記載の医薬組成物。
  17. 前記ベータラクタマーゼが、前記GI管中に排出される残留ベータラクタム系経口抗生物質を失活させ、前記残留ベータラクタム系経口抗生物質が、経口投与後に前記GI管から吸収されないまたは全身循環から腸管へと活性形態で戻される、請求項1に記載の医薬組成物。
  18. 前記ベータラクタマーゼが、前記経口投与される抗生物質の全身活性を実質的に妨害しない前記GI管中の位置での放出用に配合されている、請求項1に記載の医薬組成物。
  19. 前記ベータラクタマーゼが、前記経口投与される抗生物質の放出に対し遠位である前記GI管中の位置での放出用に配合されている、請求項1に記載の医薬組成物。
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