JP7508450B2 - Brassica事象MON94100及びその使用方法 - Google Patents

Brassica事象MON94100及びその使用方法 Download PDF

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本出願は、2018年10月16日に出願の米国仮出願第62/746,158号の優先権の利益を主張し、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
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本発明は、Brassica事象MON94100の組換えDNA分子に関する。また本発明は、Brassica事象MON94100を含有するトランスジェニックBrassica植物、植物部分、種子、細胞、及び農産物、ならびにそれらを使用する方法及びBrassica事象MON94100を検出する方法に関する。Brassica事象MON94100を含有するトランスジェニックBrassica植物、植物部分、種子、及び細胞は、ジカンバに対する耐性を示す。
Brassicaは世界の多くの地域で重要な作物であり、作物生産における雑草防除のための除草剤の使用は確立されたツールである。雑草は、空間、養分、水、及び光をめぐって作物と競合し、収穫物に混入し得、従って、雑草防除は農業に不可欠なものとなっている。導入遺伝子としても公知の異種遺伝子の発現に起因して特定の除草剤に対する耐性の形質を有するトランスジェニックBrassicaを作製するために、バイオテクノロジーの方法が使用されてきた。トランスジェニック除草剤耐性は、薬害を伴わない作物栽培環境における除草剤の使用を可能にし、これにより、雑草防除を改善し、作物収量を支える。Brassicaにおけるグリホセート耐性及びグルホシネート耐性のトランスジェニック形質は、Brassicaの商業生産において雑草防除のために広く使用されてきた除草剤耐性形質の例である。除草剤耐性形質は、単独でまたは他の形質と組み合わせて使用され得、除草剤耐性形質の組み合わせは、栽培者の自由度を向上させ、選択肢を拡大し、手ごわい雑草を防除するための複数の除草剤作用様式の使用を可能にする雑草防除選択肢を提供することが望ましい場合がある。形質の組み合わせは、各個別の形質を互いに交配させることによって達成され得る。
トランスジェニック形質は、染色体の固定された位置での固有のDNA配列である、ゲノムにおける遺伝子導入事象の存在により付与される。事象は、トランスジェニック発現カセットの植物ゲノム内の単一の特定位置への1回限りのランダムな挿入により創出される。各事象は固有であり、各事象においてトランスジェニック植物、植物部分、種子、または細胞における導入遺伝子の発現は、トランスジェニック発現カセットに使用されるエレメント、それらのエレメントの相互作用、遺伝子挿入断片のゲノム位置、及び遺伝子挿入断片の染色体状況などの多数の異なる因子により影響を受け得、従って、導入遺伝子の有効性はそれらにより影響を受け得る。例えば、同様に作製された事象間で導入遺伝子の発現の全体的なレベル、または導入遺伝子の発現の空間的もしくは時間的パターンに幅広い変動が存在する場合があることが観察されている。このために、数百の個々の事象を作製及び試験して、最終的に商業的農業用途に有用な1つの事象を同定する必要がある。商業的作物生産に必要とされる特性を有する事象の創出及び選択は、何年にも及ぶ植物試験、分子的特徴付け、圃場試験、及びデータ解析を必要とする科学的プロセスである。最初に、トランスジェニック発現カセットが、特定の作物での特定の導入遺伝子発現のために設計、試験、及び最適化されなければならない。次いで、数千の固有の事象が作製され、商用利用のための固有のより優れた事象を選択するために、植物の複数世代にかけて種々の圃場条件及び遺伝的背景で解析されなければならない。かかる事象は、所望の導入遺伝子発現及び分子的特徴を有するものとして同定されると、植物育種方法を使用して他のBrassica遺伝的背景に形質を遺伝子移入して、天然の形質、高収量の生殖質、耐病性、雑種種子生産のための形質、及び他のトランスジェニック除草剤耐性形質(複数可)などの他の所望の特性と組み合わされた新規な形質を有する多数の異なるBrassica品種を作製するために使用され得る。
本発明は、配列番号10、配列番号9、配列番号8、配列番号7、配列番号6、配列番号5、配列番号4、配列番号3、配列番号2、及び配列番号1からなる群から選択される配列を含む組換えDNA分子を提供する。一実施形態では、組換えDNA分子は、Brassica事象MON94100を含む植物、種子、または細胞に由来し、当該事象を含む種子の代表的試料がATCC受入番号PTA-125182として寄託されている。別の実施形態では、組換えDNA分子は、Brassica事象MON94100を含む植物、細胞、種子、または植物部分に存在し、当該事象を含む種子の代表的試料がATCC PTA-125182として寄託されている。別の実施形態では、組換えDNA分子は、Brassica事象MON94100の存在の診断に役立つアンプリコンである。
本発明は、Brassica植物、Brassica種子、またはBrassica細胞に由来するDNA試料中の配列番号10に特異的なDNAプローブとして機能するのに十分な長さの配列番号10のうちの連続ヌクレオチドを有するDNA分子を提供する。一実施形態では、DNAプローブは、配列番号13を含む。
本発明は、第1のDNA分子及び第2のDNA分子を含む一対のDNA分子を提供し、ここで、当該第1及び第2のDNA分子は、それぞれ配列番号10の断片を含み、試料におけるBrassica事象MON94100の診断に役立つアンプリコンを生成するための増幅反応においてBrassica事象MON94100を含有するDNAと共に使用される場合に、DNAプライマーとして機能する。一実施形態では、DNAプライマーは、配列番号11及び配列番号12を含む。
本発明は、Brassica植物、Brassica種子、またはBrassica細胞に由来するDNA試料におけるBrassica事象MON94100の存在を検出する方法であって、当該試料をDNAプローブと接触させること、当該試料及び当該DNAプローブをストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下に置くこと、ならびに当該試料におけるDNA分子への当該DNAプローブのハイブリダイゼーションを検出すること、を含み、当該DNAプローブの当該DNA分子への当該ハイブリダイゼーションが、当該DNA試料におけるBrassica事象MON94100の存在を示す、当該方法を提供する。
本発明は、Brassica植物、Brassica種子、またはBrassica細胞に由来するDNA試料におけるBrassica事象MON94100の存在を検出する方法であって、当該試料をDNAプライマーとして機能する一対のDNA分子と接触させること、配列番号10、配列番号9、配列番号8、配列番号7、配列番号6、配列番号5、配列番号4、配列番号3、配列番号2、及び配列番号1からなる群から選択される配列を含むDNAアンプリコンを生成するのに十分な増幅反応を実行すること、ならびに当該DNAアンプリコンの存在を検出すること、を含み、当該DNAアンプリコンの存在が当該試料におけるBrassica事象MON94100の存在を示す、当該方法を提供する。
本発明は、Brassica植物、Brassica種子、またはBrassica細胞に由来する試料におけるBrassica事象MON94100の存在を検出する方法であって、当該試料をBrassica事象MON94100によりコードされるタンパク質に特異的な少なくとも1種の抗体と接触させること、及び当該試料におけるタンパク質への当該抗体の結合を検出すること、を含み、当該抗体のタンパク質への当該結合が当該試料におけるBrassica事象MON94100の存在を示す、当該方法を提供する。
本発明は、配列番号10に特異的なDNAプローブ、Brassica事象MON94100の診断に役立つアンプリコンを生成する一対のDNAプライマー、またはBrassica事象MON94100によりコードされるタンパク質に特異的な抗体を含む、Brassica事象MON94100の存在を検出するためのキットを提供する。
本発明は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択される配列を含むDNA分子を含む植物、種子、細胞、植物部分、または商品生産物を提供する。一実施形態では、植物、種子、細胞、または植物部分は、ジカンバに対して耐性を示す。
本発明は、区域の雑草を防除するための方法であって、Brassica事象MON94100を含むBrassicaを植えること、及び当該Brassicaを害することなく当該区域の当該雑草を防除するために有効量のジカンバを施用すること、を含む当該方法を提供する。一実施形態では、有効量のジカンバは、生育期にわたって約0.1ポンド酸当量/エーカー~約16ポンド酸当量/エーカーである。一実施形態では、有効量のジカンバは、生育期にわたって約0.5ポンド酸当量/エーカー~約2ポンド酸当量/エーカーである。
本発明は、区域におけるBrassica事象MON94100を含む自生Brassicaを防除するための方法であって、ジカンバでない除草上有効量の少なくとも1種の除草剤を施用することを含み、当該除草剤施用がBrassica事象MON94100を含むBrassicaの生育を防止する、当該方法を提供する。一実施形態では、除草剤は、2,4-D(2,4-ジクロロフェノキシ酢酸)、ブロモキシニル(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシベンゾニトリル)、及びMCPAアミン(4-クロロ-2-メチルフェノキシ酢酸)からなる群から選択される。
本発明は、ジカンバに対する耐性を示す植物を生産する方法であって、種子を生産するためにBrassica事象MON94100を含む植物をそれ自体とまたは第2の植物と交配すること、及びBrassica事象MON94100を含む後代種子を同定すること、を含む当該方法を提供する。一実施形態では、Brassica事象MON94100を含む後代種子を同定することは、後代植物を生産するために後代種子を生育させること、当該後代植物を有効量のジカンバで処理すること、及びジカンバに対する耐性を示す後代植物を選択することによるものである。一実施形態では、Brassica事象MON94100を含む後代種子を同定することは、当該後代種子に由来する試料におけるBrassica事象MON94100の存在を検出することによるものである。一実施形態では、Brassica事象MON94100を含む後代種子を同定することは、当該後代種子に由来する試料におけるBrassica事象MON94100によりコードされる少なくとも1種のタンパク質の存在を検出することによるものである。
本発明は、Brassica事象MON94100について植物の接合性を判定する方法であって、当該植物に由来するDNAを含む試料を、Brassica事象MON94100の存在の診断に役立つ第1のアンプリコン及びBrassica事象MON94100を含まない野生型BrassicaゲノムDNAの診断に役立つ第2のアンプリコンを生成することができるプライマーセットと接触させること、核酸増幅反応を実行すること、当該第1のアンプリコン及び/または当該第2のアンプリコンを検出すること、を含み、両方のアンプリコンの存在が、当該試料がBrassica事象MON94100についてヘテロ接合性であることを示し、当該第1のアンプリコンのみの存在が、当該試料がBrassica事象MON94100についてホモ接合性であることを示す、当該方法を提供する。一実施形態では、プライマーセットは、配列番号11及び配列番号12を含む。
本発明は、Brassica植物のジカンバに対する耐性を改善する方法であって、作動可能に連結された、(a)ピーナッツ白化条斑ウイルス(Peanut chlorotic streak virus)由来のプロモーター、(b)タバコエッチウイルス由来のリーダー、(c)Pisum sativum由来のリブロース1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼの葉緑体輸送ペプチド、(d)Stenotrophomonas maltophilia由来のジカンバモノオキシゲナーゼコード配列、及び(e)Medicago truncatula由来の3’UTRを含む発現カセットを含むDNA構築物を得ること、ならびに当該DNA構築物をBrassica細胞のゲノムに挿入すること、当該Brassica細胞をBrassica植物に再生させること、及び当該DNA構築物を含むBrassica植物を選択すること、を含む、当該方法を提供する。一実施形態では、選択することは、Brassica植物を有効量のジカンバで処理することによるものである。本発明は、本方法により入手可能なジカンバに対する耐性を示すBrassica植物、Brassica種子、またはBrassica細胞を提供し、ここで、当該Brassica植物、Brassica種子、またはBrassica細胞は、DNA構築物を含む。別の実施形態では、本方法により作製されるBrassica植物、Brassica種子、またはBrassica細胞は、配列番号10を含む。
Brassica事象MON94100の配列を示す。水平線は、配列番号10に対する配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、及び配列番号9の位置に相当し、SQ51321(配列番号11)及びSQ13805(配列番号12)と表記された水平矢印は、Brassica事象MON94100を検出するために使用され得る一対のプライマーのおおよその位置を示し、PB4832(配列番号13)と表記された水平線は、Brassica事象MON94100を検出するために使用され得るDNAプローブのおおよその位置を示す。 配列番号9に対する表1に記載のように表記された遺伝的エレメントを有するBrassica事象MON94100の発現カセットを示す。
配列の簡単な説明
配列番号1は、BrassicaゲノムDNAと導入遺伝子挿入断片との5’ジャンクションを示す30ヌクレオチドのDNA配列である。配列番号1は、配列番号10のヌクレオチドの986位~1015位に相当する。
配列番号2は、BrassicaゲノムDNAと導入遺伝子挿入断片との3’ジャンクションを示す30ヌクレオチドのDNA配列である。配列番号2は、配列番号10のヌクレオチドの3899位~3928位に相当する。
配列番号3は、BrassicaゲノムDNAと導入遺伝子挿入断片との5’ジャンクションを示す60ヌクレオチドのDNA配列である。配列番号3は、配列番号10のヌクレオチドの971位~1030位に相当する。
配列番号4は、BrassicaゲノムDNAと導入遺伝子挿入断片との3’ジャンクションを示す60ヌクレオチドのDNA配列である。配列番号4は、配列番号10のヌクレオチドの3884位~3943位に相当する。
配列番号5は、BrassicaゲノムDNAと導入遺伝子挿入断片との5’ジャンクションを示す100ヌクレオチドのDNA配列である。配列番号5は、配列番号10のヌクレオチドの951位~1050位に相当する。
配列番号6は、BrassicaゲノムDNAと導入遺伝子挿入断片との3’ジャンクションを示す100ヌクレオチドのDNA配列である。配列番号6は、配列番号10のヌクレオチドの3864位~3963位に相当する。
配列番号7は、5’隣接BrassicaゲノムDNAの1000ヌクレオチド及び導入遺伝子挿入断片の5’末端の104ヌクレオチドを示す1104ヌクレオチドのDNA配列である。
配列番号8は、導入遺伝子挿入断片の3’末端の281ヌクレオチド及び3’隣接BrassicaゲノムDNAの1000ヌクレオチドを示す1281ヌクレオチドのDNA配列である。
配列番号9は、Brassica事象MON94100の導入遺伝子挿入断片に相当する2913ヌクレオチドのDNA配列である。
配列番号10は、Brassica事象MON94100に相当する4913ヌクレオチドのDNA配列であり、当該配列は、1位~1000位の5’隣接ゲノムDNA配列、1001位~3913位のトランスジェニックDNA挿入断片、及び3914位~4913位の3’隣接ゲノムDNA配列を含有する。
配列番号11は、SQ51321と称されるプライマーに相当し、試料におけるBrassica事象MON94100のDNAを同定するために使用される23ヌクレオチドのDNA配列であり、これは、配列番号10の3953位~3931位に相当する。
配列番号12は、SQ13805と称されるプライマーに相当し、試料におけるBrassica事象MON94100のDNAを同定するために使用される26ヌクレオチドのDNA配列であり、これは、配列番号10の3839位~3864位に相当する。
配列番号13は、PB4832と称されるプローブに相当し、試料におけるBrassica事象MON94100のDNAを同定するために使用される16ヌクレオチドのDNA配列であり、これは、配列番号10の3869位~3881位に相当する。
以下の定義及び方法は、本発明をより十分に定義し、本発明の実施において当業者を導くために提供される。別途注記のない限り、用語は、関連する技術分野の当業者による慣例的用法に従って理解されるべきである。
植物形質転換技術は、外来DNA(トランスジェニックDNAとしても公知)を細胞のゲノムの染色体にランダムに挿入して、「トランスジェニック」細胞または「組換え」細胞とも称される遺伝子操作された細胞を作製するために使用される。この技術を使用して、多数の個々の細胞が形質転換され、外来DNAのゲノムへのランダムな挿入により、各々が固有のトランスジェニック事象を生じる。次いで、トランスジェニック植物は、各個別のトランスジェニック細胞から再生される。これは、固有の挿入されたトランスジェニック事象をゲノムの安定した部分として含有するトランスジェニック植物のあらゆる細胞を生じる。次いで、このトランスジェニック植物は、それぞれが固有のトランスジェニック事象を含有する後代植物を生産するために使用され得る。Brassica事象MON94100は、(i)トランスジェニック発現カセット(多数の異なる発現カセットの設計及び試験後に選択されている)を含むDNA構築物による数千個のBrassica細胞の形質転換、(ii)各々が固有のトランスジェニック事象を含有するトランスジェニック植物集団の再生、ならびに(iii)数千の事象についての数万の植物による種々の遺伝的背景での分子的特徴、除草剤耐性の有効性、及び農業特性の試験及び分析を伴う複数年にわたる厳密な事象の選択、により作製及び選択された。Brassica事象MON94100は、このようにして作製され、大規模な商業的農業目的に有用な固有の優れた事象として選択された。
トランスジェニックDNAをBrassica植物のゲノムに挿入する行為は、当該技術分野において公知の植物形質転換法により達成され、「トランスジェニック事象」または「事象」として公知の新規なトランスジェニックゲノムDNA配列を創出する。この事象のDNA配列は、挿入された外来DNA(「トランスジェニック挿入断片」と称される)及び挿入位置の両側にある当該トランスジェニック挿入断片に直接隣接するか、または「隣接する」ゲノムDNA(「隣接DNA」と呼ばれる)からなる。事象のDNA配列は、当該事象に固有かつ特異的であり、他の事象の配列または非形質転換BrassicaゲノムDNAの配列などの他のDNA配列と比較される場合に容易に同定され得る。Brassica事象MON94100は、配列番号10として提供される新規かつ固有のDNA配列を有し、これは配列番号9として提供されるトランスジェニック挿入断片配列、ならびにそれぞれ配列番号7及び配列番号8に提供される5’及び3’隣接DNA配列を含有する。従って、Brassica事象MON94100は、当該事象を含むトランスジェニックBrassica細胞及び植物の染色体の構成要素であるDNA分子であり、従って、静的であり、後代細胞及び後代植物に伝えられ得る。
本発明は、Brassica事象MON94100を含む最初の形質転換細胞及び植物の後代も提供する。かかる後代は、細胞組織培養により、Brassica事象MON94100を含むBrassica植物の自家受粉により、またはBrassica事象MON94100を含むBrassica植物と当該事象を含有するか、または含有しない別の植物との間の有性異系交配により生産され得る。かかる他の植物は、同一のもしくは異なる事象(複数可)を含むトランスジェニック植物、または異なる品種由来のものなどの非トランスジェニック植物であり得る。Brassica事象MON94100は、各世代にわたって元の親から後代に伝えられる。
本明細書で使用する場合、用語「Brassica」は、Brassica属に属する植物を意味し、Brassicaと交配することができる全ての植物品種を含む。本発明の方法を実施するのに有用なBrassicaとしては、Brassica napusの品種(アブラナと称され得るナタネ及び特定の栽培品種として一般に公知)、Brassica juncea、Brassica napobrassica、Brassica oleracea、Brassica carinata、Brassica napus、Brassica rapa、及びBrassica campestris、ならびにBrassica種間の交配を可能にするBrassica属に属する任意の他の植物が挙げられるが、これらに限定されない。Brassica napusは、Brassica rapa(以前はBrassica campestris)及びBrassica oleraceaの交配及びそれらの両方のゲノムの保持により生じる異質四倍体であるため、Brassica事象MON94100を含むBrassica napus植物は、育種方法によりBrassica事象MON94100及び従ってジカンバ耐性形質を、Brassica属の他のメンバーに導入するために使用され得る。本明細書で使用する場合、用語「アブラナ」または「アブラナ植物」は、キャノーラ油(すなわち、2%未満のエルカ酸を含有するという特定の品質指定を満たす油)を生成するために使用することができるBrassica植物を指す。
本発明は、Brassica事象MON94100を提供し、これは、当該事象を含むBrassica細胞、植物、及び種子にジカンバに対する耐性を提供する。Brassica事象MON94100は、DMOタンパク質を発現させるための発現カセットを含有する。本明細書で使用する場合、「発現カセット」または「カセット」は、形質転換細胞により発現される別個のエレメントの組み合わせを含む組換えDNA分子である。表1は、配列番号9に含有され、図2に図示されるエレメントのリストを提供する。
Figure 0007508450000001
本明細書で使用する場合、用語「組換え」は、通常は自然界に見い出されず、ヒトの介入により作製された非天然のDNA、タンパク質、または生物を指す。本明細書で使用する場合、「組換えDNA分子」は、天然には一緒に存在しないであろう、かつヒトの介入の結果であるDNA分子の組み合わせを含むDNA分子、例えば、互いに異種の少なくとも2つのDNA分子の組み合わせから構成されるDNA分子、例えば、導入遺伝子及び当該導入遺伝子に隣接する植物ゲノムDNAを含むDNA分子である。組換えDNA分子の例は、配列番号1~10から選択される少なくとも1つの配列を含むDNA分子である。本明細書で使用する場合、「組換え植物」は、通常自然界には存在せず、ヒトの介入の結果であり、トランスジェニックDNA分子を含有する植物である。かかるゲノム改変の結果として、組換え植物は新規なものであり、関連する野生型植物とは明確に異なる。組換え植物の例は、Brassica事象MON94100を含むBrassica植物である。
本明細書で使用する場合、用語「導入遺伝子」は、例えば、植物形質転換法によるヒトの介入の結果として、生物のゲノムに人為的に組み込まれたDNA分子を指す。導入遺伝子は生物にとって異種であり得る。本明細書で使用する場合、用語「トランスジェニック挿入断片」は、Brassica事象MON94100を作製するために植物形質転換技術によりBrassicaゲノムに挿入された外来DNAを指す。Brassica事象MON94100のトランスジェニック挿入断片の配列は、配列番号9として提供される。用語「トランスジェニック」は、導入遺伝子を含むことを指し、例えば「トランスジェニック植物」は導入遺伝子を含む植物を指す。
本明細書で使用する場合、用語「異種」は、第1の分子であって、通常、自然界で第2の分子または生物と関連しない、当該第1の分子を指す。例えば、DNA分子は、第1の種に由来し得、第2の種のゲノムに挿入され得る。そうであるとすれば、DNA分子はゲノム及び生物にとって異種であろう。
本明細書で使用する場合、用語「キメラ」は、第1のDNA分子を第2のDNA分子に融合させることによって作製される単一のDNA分子を指し、ここで、第1のDNA分子も第2のDNA分子も、通常、他方に融合されたその構成では見出されない。従って、キメラDNA分子は、通常、自然界には見出されない新規なDNA分子である。キメラDNA分子の例は、配列番号1~10から選択される少なくとも1つの配列を含むDNA分子である。
本明細書で使用する場合、用語「DMO」または「ジカンバモノオキシゲナーゼ」は、O-脱メチル化反応を介した非除草性化合物である3,5-ジクロロサリチル酸へのジカンバの不活性化を触媒するタンパク質を指す。ジカンバモノオキシゲナーゼは、一般に土壌の根圏に見出される微生物であるStenotrophomonas maltophiliaから最初に単離された。ジカンバモノオキシゲナーゼをコードする核酸分子の例示的な配列、及びこれらの核酸分子によりコードされるタンパク質配列は、当該技術分野において公知であり、例えば、米国特許第7,884,262号に記載されている。
本明細書で使用する場合、用語「単離」は、分子を、通常、自然状態または天然状態でそれに関連する他の分子から分離することを指す。従って、用語「単離」は、DNA分子であって、自然状態または天然状態でそれに関連する他のDNA分子(複数可)から分離されている当該DNA分子を指し得る。かかるDNA分子は、組換えDNA分子などの組み換えられた状態で存在し得る。従って、天然状態から取り出され、通常、関連しない別のDNA分子に融合されたDNA分子は、単離DNA分子であろう。かかる単離DNA分子は、組換えDNAを作製すること、または外来DNA分子を細胞、植物、または種子の染色体に組み込むことなどのバイオテクノロジー技術の使用によりもたらされ得る。
本発明は、DNA分子及びそれらの対応するDNA配列を提供する。本明細書で使用する場合、用語「DNA」及び「DNA分子」は、デオキシリボ核酸(DNA)分子を指す。DNA分子は、ゲノム起源または合成起源のものであり得、慣例により、5’(上流)末端から3’(下流)末端までである。本明細書で使用する場合、用語「DNA配列」は、DNA分子のヌクレオチド配列を指す。使用される名称は、米国連邦規則集のタイトル37、§1.822によって要求され、WIPO標準ST.25(1998)の表、付録2、表1及び3に記載されているものである。慣例により、本発明のDNA配列及びその断片は、2本の相補的DNA配列鎖のうちの一方の鎖のみを参照して開示される。暗示的かつ意図的に、本明細書において提供される配列の相補配列(相補鎖の配列、当該技術分野において逆相補配列とも称される)は、本発明の範囲内であり、請求される主題の範囲内であることが明確に意図される。従って、本明細書で使用する場合、配列番号1~10及びその断片への言及は、相補鎖及びその断片の配列を含み、それらを指す。
本明細書で使用する場合、用語「断片」は、全体のより小さな部分を指す。例えば、配列番号10の断片は、配列番号10の完全配列のうちの少なくとも約10個の連続ヌクレオチド、少なくとも約11個の連続ヌクレオチド、少なくとも約12個の連続ヌクレオチド、少なくとも約13個の連続ヌクレオチド、少なくとも約14個の連続ヌクレオチド、少なくとも約15個の連続ヌクレオチド、少なくとも約16個の連続ヌクレオチド、少なくとも約17個の連続ヌクレオチド、少なくとも約18個の連続ヌクレオチド、少なくとも約19個の連続ヌクレオチド、少なくとも約20個の連続ヌクレオチド、少なくとも約25個の連続ヌクレオチド、少なくとも約30個の連続ヌクレオチド、少なくとも約35個の連続ヌクレオチド、少なくとも約40個の連続ヌクレオチド、少なくとも約45個の連続ヌクレオチド、少なくとも約50個の連続ヌクレオチド、少なくとも約60個の連続ヌクレオチド、少なくとも約70個の連続ヌクレオチド、少なくとも約80個の連続ヌクレオチド、少なくとも約90個の連続ヌクレオチド、または少なくとも約100個の連続ヌクレオチドである配列を含むであろう。
Brassica事象MON94100のトランスジェニック挿入断片のDNA配列は、配列番号9として提供される。トランスジェニック挿入断片及びトランスジェニック挿入断片のそれぞれの側に隣接するBrassicaゲノムDNAのDNA配列は、配列番号10として提供される。隣接するDNAの一部及びトランスジェニック挿入断片の5’末端のDNA配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、及び配列番号7として提供される。隣接するDNAの一部及びトランスジェニック挿入断片の3’末端のDNA配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8として提供される。
トランスジェニック挿入断片の一端の隣接するBrassicaゲノムDNAへのホスホジエステル結合連結による連結部にまたがる領域のDNA配列は、本明細書において「接合部」と称される。接合部は、1つの連続した分子としてのトランスジェニック挿入断片及び隣接するDNAの連結点である。一方の接合部はトランスジェニック挿入断片の5’末端に見出され、他方はトランスジェニック挿入断片の3’末端に見出され、本明細書においてそれぞれ5’接合部及び3’接合部と称される。「接合部配列」は、事象の5’または3’接合部にまたがる任意の長さのDNA配列を指す。Brassica事象MON94100の接合部配列は、配列番号10を使用すれば当業者に明らかである。Brassica事象MON94100の接合部配列の例は、配列番号1~8として提供される。図1は、5’から3’に配置された配列番号1~10の物理的配置を示す。Brassica事象MON94100の接合部配列は、Brassica事象MON94100を含有する植物、種子、または細胞のゲノムの一部として存在し得る。植物、植物部分、種子、または細胞に由来する試料における配列番号1~8または10のうちのいずれか1つ以上の同定は、DNAがBrassica事象MON94100を含有するBrassicaから得られたこと、及びBrassica事象MON94100の存在の診断に役立つことを示す。
本発明の植物、種子、細胞、植物部分、及び商品生産物は、Brassica事象MON94100の存在を示すDNA分子またはタンパク質分子の検出に使用され得る。試料におけるBrassica事象MON94100の存在を検出するためのプライマーまたはプローブのいずれかとして使用され得る例示的なDNA分子が提供される。かかるプライマーまたはプローブは、標的核酸配列に特異的であり、従って、本明細書に記載される方法によるBrassica事象MON94100の同定に有用である。Brassica事象MON94100の存在の検出は、核酸の熱増幅または核酸ハイブリダイゼーション技術(例えば、ノーザンブロット及びサザン解析)などの当該技術分野において公知の方法を使用することによって行われ得る。
「プライマー」は、増幅反応を伴うアニーリング法またはハイブリダイゼーション法に使用するために設計されるDNA分子である。増幅反応は、鋳型DNAを増幅してアンプリコンを生成するインビトロ反応である。本明細書で使用する場合、「アンプリコン」は、増幅技術を使用して合成されているDNA分子である。本発明のアンプリコンは、配列番号1~10のうちの1つ以上またはその断片を含むDNA配列を有する。一対のプライマーは、アンプリコンを生成するために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの増幅反応においてBrassicaのゲノムDNAの試料などの鋳型DNAと共に使用され得、ここで、生成される当該アンプリコンは、プライマーが鋳型にハイブリダイズした2つの部位の間に位置する鋳型DNAの配列に相当するDNA配列を有する。プライマーは、通常、相補的な標的DNA鎖とハイブリダイズして、プライマーと標的DNA鎖との間でハイブリッドを形成するように設計される。プライマーの存在は、標的DNA鎖を鋳型として使用してプライマーの伸長を開始するためにポリメラーゼにより認識される位置である。プライマー対は、それらの間のヌクレオチドセグメントを増幅するための二本鎖ヌクレオチドセグメントの反対側の鎖に結合する2つのプライマーの使用を指す。プライマー配列の例は、配列番号11(SQ51321)及び配列番号12(SQ13805)として提供される。配列番号11及び配列番号12として提供されるプライマー対は第1のDNA分子及び第2のDNA分子として有用であり、ここで、当該第1のDNA分子は配列番号10のトランスジェニック挿入断片DNA配列の断片であり、当該第2のDNA分子は配列番号10の隣接DNA配列の断片であり、試料におけるBrassica事象MON94100の診断に役立つアンプリコンを生成するためのBrassica事象MON94100を含有するDNAを用いる増幅反応に一緒に使用される場合に、各々がDNAプライマーとして機能するのに十分な長さのものである。ある種の実施形態では、本発明のプライマー対は、第1のDNA分子及び第2のDNA分子を含むとして定義されてもよく、ここで、当該第1のDNA分子は配列番号10のBrassicaゲノム部分の断片であり、当該第2のDNA分子は配列番号10の導入遺伝子部分の断片であり、試料におけるBrassica事象MON94100の診断に役立つアンプリコンを生成するためのBrassica事象MON94100を含有するDNAを用いる増幅反応に一緒に使用される場合に、各々がDNAプライマーとして機能するのに十分な長さのものである。
「プローブ」は、標的核酸の鎖に相補的であり、ハイブリダイゼーション検出法に有用である核酸分子である。本発明によるプローブは、デオキシリボ核酸またはリボ核酸だけでなく、標的DNA配列に特異的に結合するポリアミド及び他のプローブ物質も含み、かかる結合の検出は、標的DNA配列の存在または非存在の検出に有用であり得る。プローブは、放射性同位元素、リガンド、化学発光剤、または酵素などの従来の検出可能な標識またはレポーター分子に付着され得る。Brassica事象MON94100を検出するためのプローブとして有用な例示的なDNA配列は、配列番号13(PB4832)として提供される。
プライマー及びプローブを設計及び使用する方法は、当該技術分野において周知である。配列番号1~10の断片を含むDNA分子は、Brassica事象MON94100を検出するためのプライマー及びプローブとして有用であり、本明細書において提供される配列を使用して当業者により容易に設計され得る。
本発明によるプローブ及びプライマーは、標的配列と完全な配列同一性を有し得るが、標的配列に優先的にハイブリダイズする能力を保持する、標的配列と異なるプライマー及びプローブが従来の方法により設計され得る。核酸分子がプライマーまたはプローブとして機能するためには、核酸分子の配列が、用いられる特定の溶媒及び塩濃度下で安定した二本鎖構造を形成できるように十分に相補的であることのみを必要とする。試料におけるBrassica事象MON94100由来のトランスジェニックDNAの存在を同定するために、任意の従来の核酸ハイブリダイゼーション法または増幅法が使用され得る。プローブ及びプライマーは、一般に、少なくとも約11ヌクレオチド、少なくとも約18ヌクレオチド、少なくとも約24ヌクレオチド、または少なくとも約30ヌクレオチド以上の長さである。かかるプローブ及びプライマーは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的DNA配列に特異的にハイブリダイズする。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、当該技術分野において公知であり、例えば、MR Green and J Sambrook,Molecular cloning:a laboratory manual,4th Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2012)に記載されている。本明細書で使用する場合、2つの核酸分子は、当該2つの分子が逆平行の二本鎖核酸構造を形成することができる場合、互いに特異的にハイブリダイズすることができる。核酸分子は、それらが完全な相補性を示す場合、別の核酸分子の「相補体」である。本明細書で使用する場合、アラインメントされた第1の分子の全てのヌクレオチドが第2の分子の全てのヌクレオチドに相補的である場合、2つの分子は「完全な相補性」を示す。2つの分子は、少なくとも従来の「低ストリンジェンシー」条件下で、それらが互いにアニーリングした状態を維持するのを可能にするほど十分な安定性で互いにハイブリダイズすることができる場合、「最小限に相補的」である。同様に、当該分子は、従来の「高ストリンジェンシー」条件下で、それらが互いにアニーリングした状態を維持するのを可能にするほど十分な安定性で互いにハイブリダイズすることができる場合、「相補的」である。従って、完全な相補性からの逸脱は、かかる逸脱が二本鎖構造を形成する分子の能力を完全に排除しない限り許容される。
DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェンシー条件、例えば、約45℃での6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、その後の50℃での2.0×SSCの洗浄は、当業者に公知であるか、またはCurrent Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,N.Y.(1989),6.3.1-6.3.6に見出され得る。例えば、洗浄ステップにおける塩濃度は、50℃での約2.0×SSCの低ストリンジェンシー~50℃での約0.2xSSCの高ストリンジェンシーから選択され得る。加えて、洗浄ステップにおける温度は、室温(約22℃)での低ストリンジェンシー条件から約65℃での高ストリンジェンシー条件まで上昇され得る。温度及び塩の両方が変更され得るか、または温度もしくは塩濃度のいずれかが一定に保たれ、一方で他の変数が変更される。
試料におけるBrassica事象MON94100の存在を検出するための抗体を生成するために使用され得るタンパク質が提供される。かかる抗体は、Brassica事象MON94100によりコードされるタンパク質のうちの1種以上に特異的である。かかるタンパク質をコードするDNA配列は配列番号10に提供され、コード配列の開始位置及び停止位置は表1に示される。各タンパク質をコードするDNA配列及び配列によりコードされるタンパク質は、本明細書に記載される方法によりBrassica事象MON94100の存在を検出するための抗体を生成するのに有用である。Brassica事象MON94100の存在の検出は、当該技術分野において公知の任意のタンパク質検出技術、例えば、ウェスタンブロット法、免疫沈降、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、検出可能な標識もしくはレポーター分子(例えば、放射性同位元素、リガンド、化学発光剤、または酵素)への抗体の付着、またはレポーター分子に対する酵素作用を使用して行われ得る。1つの方法は、試料をBrassica事象MON94100によりコードされるDMOタンパク質に結合する抗体と接触させること、及び次いで抗体結合の存在または非存在を検出することを提供する。かかる抗体の結合は、Brassica事象MON94100によりコードされる1種以上のタンパク質の存在の診断に役立つ。
Brassica事象MON94100の存在を検出するためのタンパク質及び核酸検出キットが提供される。かかるキットの変形形態も、本明細書において開示される組成物及び方法、ならびにタンパク質及び核酸検出の技術分野において周知の方法を使用して開発され得る。タンパク質及び核酸検出キットは、Brassica事象MON94100を含有する植物と交配するための方法に適用され得る。かかるキットは、配列番号1~10の断片を含むプライマーもしくはプローブ、またはBrassica事象MON94100によりコードされるタンパク質に特異的な抗体を含有し、1種以上の反応試薬などの他の要素(例えば、ヌクレオチド、ポリメラーゼ、緩衝液)を含有し得る。キットは、陽性対照、陰性対照、及び使用するためのプロトコールも含み得る。
検出キットの一例は、試料におけるBrassica事象MON94100の存在または非存在を検出するのに有用なDNAプローブとして機能するのに十分な長さの配列番号10のうちの連続ヌクレオチドの少なくとも1種のDNA分子を含む。プローブとして使用するのに十分な例示的なDNA分子は、配列番号13として提供される配列を含むものである。他のプローブは当業者によって容易に設計され得る。検出キットの別の例は、試料におけるBrassica事象MON94100の存在または非存在を検出するのに有用なアンプリコンを生成するのに有用な少なくとも1つのプライマー対を含む。かかる方法は、アンプリコンまたはその断片を配列決定することも含み得る。プライマー対としての使用に十分な例示的なDNA分子は、それぞれ配列番号11及び配列番号12として提供される配列を含むものである。他のプライマー対は当業者により容易に設計され得る。本発明のキットは、任意により、本明細書に記載される検出反応または診断反応を実行するための試薬も含み得る。検出キットの別の例は、Brassica事象MON94100によりコードされる少なくとも1種のタンパク質に特異的な少なくとも1種の抗体を含む。例えば、かかるキットは、ラテラルフローストリップであって、当該ストリップの先端が水溶液と接触すると活性化される試薬を含む当該ラテラルフローストリップを利用し得る。抗体生成に使用するのに十分な例示的なタンパク質は、配列番号10として提供される配列によりコードされるもの、または任意のその断片である。
本発明は、Brassica事象MON94100を含有するBrassica植物、後代、種子、細胞、及び植物部分、ならびにこれらを使用して生産される商品生産物を提供する。本発明の植物、後代、種子、細胞、植物部分、及び商品生産物は、配列番号1~8及び配列番号10として提供される配列のうちの少なくとも1つを有する検出可能量のDNAを含有する。
本発明の植物、後代、種子、細胞、及び植物部分は、1つ以上の追加の所望の形質(複数可)も含有し得る。かかる所望の形質は、トランスジェニック形質、天然形質、またはゲノム編集または他の従来の変異誘発法などの他の方法により作製される形質であり得る。所望の形質は、例えば、Brassica事象MON94100を含有するBrassica植物を追加の形質(複数可)を含有する別のBrassica植物と交配することにより、Brassica事象MON94100と組み合わされ得る。かかる形質としては、虫害抵抗性の向上、脱さやまたは脱粒の改善、油品質の改善、水利用効率の向上、収量性の向上、耐乾燥性の向上、種子品質の向上、栄養品質の改善、雑種種子生産、及び/または除草剤耐性の向上が挙げられるが、これらに限定されず、ここで、形質はかかるトランスジェニック形質を欠くBrassica植物と比較して測定される。
本発明の植物は、Brassica事象MON94100を含有する後代を生産するために使用され得る。本明細書で使用する場合、「後代」には、配列番号1~8及び配列番号10から選択される少なくとも1つの配列を有するDNA分子を含む植物によって示される、先祖植物から受け継がれたBrassica事象MON94100を含む任意の植物、種子、及び細胞が含まれる。植物、種子、及び細胞は、Brassica事象MON94100についてホモ接合性またはヘテロ接合性であり得る。後代植物は、Brassica事象MON94100を含有するBrassica植物により生産された種子から、またはBrassica事象MON94100を含有する花粉で受精させたBrassica植物により生産された種子から生育され得る。
本明細書で使用する場合、本発明の「植物部分」は、Brassica事象MON94100を含有する植物に由来する任意の部分である。植物部分としては、組織試料、花粉、胚珠、さや、種子、花、根、茎、繊維、及び葉の全体または一部が挙げられるが、これらに限定されない。植物部分は生育可能であっても、生育可能でなくてもよい。
本発明は、Brassica事象MON94100を含有する植物から生産される商品生産物を提供する。本発明の商品生産物は、配列番号1~10からなる群から選択されるDNA配列を含む検出可能量のDNAを含有する。本明細書で使用する場合、「商品生産物」は、Brassica事象MON94100を含む植物、種子、細胞、または植物部分に由来する材料から構成される任意の組成物または生産物を指す。商品生産物としては、加工された種子、穀物、植物部分、ミール、及び油が挙げられるが、これらに限定されない。商品生産物は、生きていない植物物質、すなわち、生きておらず、Brassica事象MON94100を含む植物、種子、細胞、または植物部分に由来する物質であり得る。本発明の商品生産物は、Brassica事象MON94100に対応する検出可能量のDNAを含有する。試料におけるこのDNAのうちの1種以上の検出は、商品生産物の内容または供給源を決定するために使用され得る。本明細書において開示される検出方法が含まれる、DNA分子の任意の標準的な検出方法が使用され得る。
本明細書で使用する場合、ジカンバは、3,6-ジクロロ-2-メトキシ安息香酸という化学名を有する除草活性成分、ならびにジカンバ-Na塩、ジカンバブトチル、ジカンバジグリコールアミン塩、ジカンバジメチルアミン塩、ジカンバジメチルアンモニウム塩、ジカンバジエタノールアンモニウム、N,N-ビス-(アミノプロピル)メチルアミン塩、ジカンバイソプロピルアンモニウム、ジカンバカリウム、ジカンバナトリウム、及びジカンバトロラミンが含まれるがこれらに限定されないジカンバの任意の塩またはエステルを意味する。ジカンバは、1種以上の追加の除草剤(複数可)を含む製剤で使用され得る。
本明細書で使用する場合、「除草剤に対する耐性を示す」または「除草剤耐性」または「耐性」は、1種以上の除草剤(複数可)の存在または施用による影響を完全にまたは部分的に受けない能力、例えば、施用された場合に除草剤の毒性作用に抵抗する能力を意味する。細胞、種子、または植物は、1種以上の除草剤(複数可)の存在下で少なくともある程度の正常な生育または表現型を維持することができる場合、「除草剤に対する耐性を示す」または「改善された耐性」を有する。形質は、その存在が、野生型または対照の細胞、植物、または種子と比較して、細胞、植物、または種子に除草剤に対する改善された耐性を付与することができる場合、除草剤耐性形質である。除草剤耐性形質を含む作物は、生育し続けることができ、除草剤の存在による最小限の影響を受ける。タンパク質は、当該タンパク質の発現が、野生型または対照の細胞、植物、または種子と比較して、細胞、植物、または種子に除草剤に対する改善された耐性を付与することができる場合、「除草剤耐性」を付与する。除草剤耐性タンパク質の例は、ジカンバモノオキシゲナーゼである。除草剤耐性は、特定の除草剤に対する完全または部分的な非感受性であり得、特定の除草剤に対するパーセント(%)耐性または非感受性として表され得る。
本明細書で使用する場合、「薬傷」または「傷害」は、除草剤の施用に起因する植物への傷害を指す。「傷害率」または「傷害パーセント」は、除草剤により引き起こされる傷害の目視評価を指す。Brassica事象MON94100を含有するBrassica植物の場合、植物は、ジカンバ施用後に傷害が減少する。ジカンバは、インドール-3-酢酸などの天然オーキシンと同様に植物の生育に影響を及ぼし得るが、植物により代謝調節されない合成オーキシンである。結果として、ジカンバで処理された植物組織は、生育が植物に対する負の効果を有する場合であっても生育し続ける。葉の上偏生長は、それらの成長撹乱の結果としての葉の顕著な下向きの屈曲または湾曲であり、薬傷の目視評価に有用であるジカンバの1つの効果である。
本明細書で使用する場合、「雑草」は、任意の望ましくない植物である。植物は、一般に、農業もしくは園芸目的にとって望ましくないとみなされてもよく(例えば、Amaranthus種)、または特定の状況では望ましくないとみなされてもよい(例えば、自生植物としても公知の、異なる種の圃場における1つの種の作物)。雑草は、一般に、当該技術分野において公知であり、地理、シーズン、生育環境、及び時間により異なる。雑草種のリストは、農業組合及び学会(例えば、Weed Science Society of America及びCanadian Weed Science Society)、政府機関(例えば、United States Department of Agriculture)、ならびに産業組合及び農民組合(例えば、Canola Council of Canada)から入手可能である。
本発明は、ジカンバを施用することによってBrassica栽培区域における雑草を防除する方法を提供し、ここで、除草剤を施用する前、施用時、または施用した後にBrassica事象MON94100を含む種子または植物が当該区域に植えられ、除草剤施用が雑草の生育を防止または阻害し、Brassica植物を害さない。植物生育区域は、除草剤施用時に雑草の種子または植物を含んでいてもいなくてもよい。本発明の方法において使用されるジカンバは、生育期の間に単独で、または1種以上の除草剤(複数可)と組み合わせて施用され得る。本発明の方法において使用される除草剤(複数可)は、1種以上の除草剤(複数可)と時間的に(例えば、タンク混合物として、または逐次施用で)、空間的に(例えば、Brassica種子の植え付けの前後を含む生育期の間の異なる時点で)、またはその両方で組み合わせて施用され得る。例えば、雑草を防除する方法であって、区域にBrassica事象MON94100を含む種子を植えること、及びBrassica事象MON94100を含有する植物を害することなく当該区域の雑草を防除する目的で、除草上有効量のジカンバを、単独でまたは別の除草剤と組み合わせて生育期にわたって施用すること、からなる当該方法が提供される。かかる施用は、植え付け前(枯殺目的、すなわち、種子の植え付け前に出現または存在した雑草に対する施用が含まれる、Brassica事象MON94100を含有する種子を植える前の任意の時点)、出芽前(Brassica事象MON94100を含有する種子が植えられた後、かつBrassica事象MON94100を含有する植物が出芽する前の任意の時点)、または出芽後(Brassica事象MON94100を含む植物が出芽した後の任意の時点)であり得る。ジカンバの複数回の施用、またはジカンバ及び1種以上の他の除草剤(複数可)の組み合わせの同時もしくは個別での複数回の施用、例えば、2回の施用(例えば、植え付け前の施用及び出芽後の施用、または出芽前の施用及び出芽後の施用)、または3回以上の施用(例えば、植え付け前の施用及び2回の出芽後の施用)が、生育期にわたって使用され得る。
本発明の方法を実施する際の除草剤施用は、商業的に推奨される量またはその任意の割合もしくは倍数、例えば、商業的に推奨される量の2倍であり得る。除草剤の量は、除草剤及び製剤に応じて、1エーカー当たりの1ポンド当たりの酸当量(ポンド酸当量/エーカー)または1エーカー当たりの1ポンド当たりの活性成分(ポンド活性成分/エーカー)として表され得る。雑草を防除するために区域に使用するジカンバの除草上有効量は、生育期にわたって約0.1ポンド酸当量/エーカー~約16ポンド酸当量/エーカー程度の範囲からなるべきである(例えば、ジカンバは、約0.5ポンド酸当量/エーカー~約2.0ポンド酸当量/エーカーの量で施用され得る)。
本発明は、除草上有効量の別の除草剤、例えば、2,4-D(2,4-ジクロロフェノキシ酢酸)、ブロモキシニル(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシベンゾニトリル)、及びMCPAアミン(4-クロロ-2-メチルフェノキシ酢酸)からなる群から選択される合成オーキシンを施用することによる、作物栽培のために区域におけるBrassica事象MON94100を含む自生Brassicaを防除する方法を提供し、ここで、当該除草剤の施用は、Brassica事象MON94100を含むBrassicaの生育を予防する。自生Brassicaを防除するために区域に使用する除草上有効量の2,4-D除草剤は、生育期にわたって約0.1ポンド酸当量/エーカー~約16ポンド酸当量/エーカー程度の量で施用され得る(例えば、2,4-Dは、生育期にわたって約0.5ポンド酸当量/エーカー~約2.0ポンド酸当量/エーカーの量で施用され得る)。自生Brassicaを防除するために区域に使用する除草上有効量のブロモキシニル除草剤は、生育期にわたって約0.1ポンド酸当量/エーカー~約16ポンド酸当量/エーカー程度の量で施用され得る(例えば、ブロモキシニルは、生育期にわたって約0.5ポンド酸当量/エーカー~約2.0ポンド酸当量/エーカーの量で施用され得る)。自生Brassicaを防除するために区域に使用する除草上有効量のMCPAアミン除草剤は、生育期にわたって約0.1ポンド酸当量/エーカー~約16ポンド酸当量/エーカー程度の量で施用され得る(例えば、MCPAアミンは、生育期にわたって約0.5ポンド酸当量/エーカー~約2.0ポンド酸当量/エーカーの量で施用され得る)。
Brassica事象MON94100を含有する植物及び種子を生産する方法が提供される。植物は、当該技術分野において公知の任意の方法、例えば、WR Fehr,in Breeding Methods for Cultivar Development,Wilcox J.ed.,American Society of Agronomy,Madison WI(1987)に見出され得る一般的に使用される育種法の記載を使用して交配され得る。植物は自家受粉(「自殖」としても公知)または他家受粉(「交配」としても公知)され得る。Brassica事象MON94100を含有する植物は、Brassica事象MON94100についてホモ接合性である植物の純粋系統を作製するために自家受粉され得る。自殖は「近交系」として公知の後代を生じ、遺伝的に均一である近交系を生産するために使用され得る。あるいは、Brassica事象MON94100を含有する植物は、変種または雑種の種子を生産するために他花受粉(トランスジェニックまたは非トランスジェニックである別の植物と交配)され得る。本発明の方法により作製される種子及び後代植物は、Brassica事象MON94100を含有する。Brassica事象MON94100が耐性を付与する1種以上の除草剤の施用は、Brassica事象MON94100を含有する後代を選択するために使用され得る。あるいは、後代は、Brassica事象MON94100を含有する植物または種子を選択するための診断方法を使用して解析され得る。後代は、変種または雑種の植物であってもよく、Brassica事象MON94100を含有する植物により生産された種子から、またはBrassica事象MON94100を含有する植物由来の花粉で受精させた植物により生産された種子から生育されてもよく、Brassica事象MON94100についてホモ接合性またはヘテロ接合性であってもよい。
本発明の植物、後代、種子、細胞、及び植物部分は、1つ以上の追加のBrassica形質(複数可)またはトランスジェニック事象(複数可)も含有し得る。かかる追加の形質(複数可)またはトランスジェニック事象(複数可)としては、虫害抵抗性の向上、水利用効率の向上、収量性の向上、耐乾燥性の向上、種子品質の向上、栄養品質の改善、雑種種子生産、雄性不稔性、及び除草剤耐性が挙げられるが、これらに限定されず、ここで、形質はかかるトランスジェニック形質を欠くBrassica植物と比較して測定される。Brassicaのトランスジェニック事象は当業者に公知であり、例えば、かかる形質のリストは、United States Department of Agriculture(USDA)のAnimal and Plant Health Inspection Service(APHIS)により提供される。各々が1種以上のトランスジェニック事象(複数可)を含む2つの親植物を交配し、後代種子を収集し、2種以上のトランスジェニック事象を含有する後代種子または植物を選択することによって、2種以上のトランスジェニック事象が後代種子または植物において組み合わされてもよく、次いで、これらのステップが、後代においてトランスジェニック事象の所望の組み合わせが達成されるまで繰り返されてもよい。親植物への戻し交配及び非トランスジェニック植物との異系交配も、栄養繁殖と同様に意図される。
Brassica事象MON94100を含む種子の代表的試料は、ブダペスト条約に従って、10801 University Boulevard,Manassas,Virginia 20110(USA)に住所を有するAmerican Type Culture Collection(ATCC(登録商標))Patent Depositoryに寄託された。Brassica事象MON94100を含む種子のATCC特許寄託名称(受託番号)はPTA-125182であり、寄託日は2018年8月21日であった。寄託は、30年間、または最後の請求から5年間、または特許の有効期間のうちのいずれか長い方の期間、寄託機関で維持される。
本明細書で使用する場合、用語「を含む」は、「を含むが、これに限定されない」を意味する。
以下の実施例は、本発明をより完全に説明するために含まれる。Brassica事象MON94100の創出及び最終的な選択のために必要とされる、6種の異なる発現構築物の構築及び試験、2,775の固有の形質転換事象の作製、ならびに厳密な分子的試験、農学的試験、及び圃場試験による5年間にわたる数百万の個々の植物の解析が要約される。
多数の改変が開示されている特定の例においてなされ得、それでも同様の結果が得られることが当業者によって理解されよう。化学的関連性及び生理学的関連性の両方を示す特定の薬剤が、同一または同様の結果を達成する限り、本明細書に記載される薬剤の代わりに使用され得る。当業者にとって明らかなかかる代用及び改変は、全て本発明の範囲内であるとみなされる。
実施例1:発現構築物の設計、事象の作製、ならびにR0及びR1植物の試験
この実施例は、ジカンバ耐性のための6種の異なる発現構築物の設計、これらの構築物を含有する植物ベクターを使用した数千の固有のBrassica事象の作製、ならびに2世代(R0及びR1)にわたる得られたトランスジェニックBrassica植物の試験及び解析を記載する。
6種の発現構築物を設計し、植物形質転換ベクターにクローニングした。各々が作動可能に連結された発現エレメント及びDMO導入遺伝子の固有の組み合わせを有し、Brassica植物において3種の異なるプロモーター、3種の異なるCTP、及び2種の異なるDMOバリアントを試験することを可能にする4種の単一の発現カセット構築物(DT-1、DT-2、DT-3、及びDT-4)を設計した。各々が作動可能に連結された発現エレメント及びDMO導入遺伝子の固有の組み合わせを有し、同一のCP4-EPSPS発現カセットと組み合わされた2種の異なるプロモーター、2種の異なるCTP、及び2種の異なるDMOバリアント導入遺伝子を試験することを可能にする2種の二重発現カセット構築物(DT-5及びDT-6)を設計した。構築物を表2に示す。次いで、6種の発現構築物を植物形質転換ベクターにクローニングした。
Figure 0007508450000002
6種の植物形質転換ベクターを、当該技術分野において公知の方法を使用した稔性回復系統であるBrassica napus品種65037(カナダ植物育成者権出願第06-5517号)のAgrobacteriumにより媒介される形質転換に使用して、2,775の固有の形質転換事象を作製した。各形質転換事象は、導入遺伝子挿入断片のBrassicaゲノムへの固有の位置でのランダムな挿入により作製された。次いで、R0植物をトランスジェニック細胞から再生させ、正常な表現型の特徴を有する発根した植物を生育及び更なる評価のために土壌に移した。
2,775本のR0植物を、インタクトな単一コピーのトランスジェニック挿入断片を有し、ベクター骨格配列が存在しないことについて解析した。この最初の分子的解析により、201の固有の事象が、先に進めるための最も高品質な事象として同定された。
DT-1、DT-2、及びDT-3構築物を代表する植物を選択し、温室でのR0形質有効性(ジカンバ耐性)試験に使用した。ジカンバを、1.0ポンド酸当量/エーカーのClarity(登録商標)除草剤(2倍量)または2.0ポンド酸当量/エーカーのClarity除草剤(4倍量)のいずれかの散布量でV3生育段階に施用した。ジカンバにより誘発された植物の傷害を、植物の上偏成長(葉の屈曲またはねん曲)、生育減退、白化、及び壊死の評価に基づいて目視で評価した。20%を超える傷害を示した植物は廃棄した。DT-1及びDT-3構築物では、R0植物は、温室での2倍量の散布に対して耐性(20%未満の傷害)を示したが、DT-2構築物では、全てのR0植物が、2倍量に対して20%超のジカンバ傷害を示した。このデータの解析から、DT-2構築物を使用して作製されたどの事象も先に進めないことを決定した。
6種の形質転換ベクターを使用して作製された最初の2,775の固有の形質転換事象の分子的解析データ及びR0でのジカンバ耐性試験を組み合わせて、206の固有の事象を先に進めるために選択した。選択された事象のR0植物を、R1試験のためのホモ接合性種子を生産するために自家受粉させた。
ジカンバ耐性の温室試験を、169の固有の事象のR1植物を用いて実施した。ジカンバを、1120g酸当量/ヘクタールのClarity除草剤(2倍量)の散布量でV3生育段階で施用した。二重カセット事象(DT-5またはDT-6を使用して作製されたもの)については、ジカンバを、グリホセートのタンク混合物として3600g酸当量/ヘクタールのRoundup(登録商標)の散布量(2倍量)で施用した。ジカンバにより誘発された植物傷害を上記のように評価した。ジカンバによる症候の軽さに基づいて先に進める植物の優先順位をつけた。
R1植物は、DT-1構築物で7.48%、DT-3構築物で72.66%、DT-5構築物で20.7%、及びDT-6構築物で33.4%の平均傷害率を示した。しかしながら、20%未満の傷害を有する個々の事象を、当該傷害が上偏成長でない限り先に進めた。これにより、DT-4構築物からの1つの事象に加えて、DT-1構築物から9つの事象、DT-5構築物から17の事象、及びDT-6構築物から9つの事象が選択された。
最初の分子的解析(コピー数、インタクトな挿入断片、及びベクター骨格の欠如について)ならびに温室でのR0及びR1の除草剤耐性評価のデータの解析に基づいて、36の固有の事象をF1圃場試験に進めるために選択した。これに関するデータを表3に要約する。選択された事象のR1植物を従来の植物と他花受粉させ、種子を生産した。
Figure 0007508450000003
実施例2:第1シーズンの圃場試験
この実施例は、R1解析から先に進んだ36の固有の事象の各々を含有する植物の第1シーズン圃場試験を記載する。各固有の事象について、第1シーズン圃場試験で数千本の植物を、8~13の異なる場所で2年にわたって形質有効性(ジカンバ耐性)、農業性能、及び収量について圃場試験した。これらのデータを解析して、全ての植物及び全ての場所にわたって圃場条件における各事象の性能を比較した。次いで、第1シーズン圃場試験のデータを使用して、第2シーズン圃場試験に進めるための優れた事象を選択した。
Brassica napus雌親系統を選択された事象のR1またはR2植物で他花受粉させ、雑種F1種子(事象についてヘミ接合)を生産することによって、圃場試験のための雑種F1植物を生産した。第1シーズン圃場試験が実施された2年間の各年で、異なるBrassica napus雌親系統を選択された事象のR1植物で他花受粉させて、F1雑種種子を生産した。また対照として使用するために、この雌親系統を、R1系統と同じ遺伝的背景の非トランスジェニック植物で他花受粉させた。この戦略により、種々の雌親系統での事象の試験及び比較のための適切な対照の使用を確実にした。
第1シーズン試験において、36の固有の事象が、最初の2,775の事象から圃場試験に選択された。これらの36の事象は、4種の異なる発現構築物による最も良好な事象を示した:構築物DT-1について9つの事象、構築物DT-4について1つの事象、構築物DT-5について17の事象、及び構築物DT-6について9つの事象。第1シーズン試験は、2年にわたって実施されたが、各事象についての第1シーズン農業性能圃場試験は、第1シーズン形質有効性圃場試験と同時に(同一シーズンの間に)行われた。全ての圃場試験で無作為完備型ブロック計画を使用し、北米の8~13の異なる場所で実施した。
第1シーズン形質有効性試験では、F1雑種植物をジカンバに対する耐性について評価した。全ての事象について以下の2種のジカンバ施用を試験した。処理1(TRT1)は、2.4kg酸当量/ヘクタール(商業的量の2倍)のBANVEL(登録商標)IIによる出芽前処理及び1.2kg酸当量/ヘクタール(商業的量の2倍)のBANVEL(登録商標)IIによる3葉生育段階(V3)での出芽後処理を含んだ。処理2(TRT2)は、2.4kg酸当量/ヘクタール(商業的量の2倍)のBANVEL(登録商標)IIによる出芽前処理、1.2kg酸当量/ヘクタール(商業的量の2倍)のBANVEL(登録商標)IIによるV3での出芽後処理、及び1.2kg酸当量/ヘクタール(商業的量の2倍)のBANVEL(登録商標)IIによる初花段階での出芽後処理を含んだ。各施用(それぞれ、V3または初花)の7日後に、除草剤により誘発された植物傷害百分率を、植物上偏成長(葉の屈曲またはねん曲)、生育減退、白化、及び壊死の判定に基づいて目視で評価した。農業的評価を圃場試験シーズンにわたって収集した。シーズンの終わりにポンド/エーカー(lb/ac)として収量を決定した。
第1シーズン圃場試験の形質有効性データを集計した。各固有の事象について、第1シーズン形質有効性圃場試験の全ての場所及び全ての個々の植物にわたる集計データのメタ解析を、雑種傷害評価の比較のために実施した。表4は、2種のジカンバ処理計画についての全ての場所にわたる各事象の平均傷害評価を提供する(NAは処理についてのデータが利用不可であることを示す)。各シーズンにわたる形質有効性圃場試験のメタ解析は、概して全ての事象の植物が、ジカンバによる軽い傷害を有したが、DT-1及びDT-4構築物の事象が、より低い傷害評価を有し、成績が非常に良好であったことを示した。
Figure 0007508450000004

Figure 0007508450000005
第1シーズン形質有効性圃場試験の収量データを集計した。各固有の事象について、第1シーズン形質有効性圃場試験の全ての場所及び全ての個々の植物にわたって集計した収量データのメタ解析を、比較のために実施した。表5は、2種のジカンバ処理計画についての全ての場所にわたる各事象のポンド/エーカー(lb/ac)として平均収量を提供する(NAは処理についてのデータが利用不可であることを示す)。各シーズンにわたる形質有効性圃場試験の収量のメタ解析は、概して全ての事象の植物が、散布していない対照植物と同等の収量を有したことを示した。DT-6構築物による事象を含む植物の集計されたデータのメタ解析は、DT-5構築物による事象を含む植物より顕著に低い平均収量を有した。
Figure 0007508450000006

Figure 0007508450000007
第1シーズン農業性能試験において、F1雑種植物を、農業性能及び収量について評価した。試験区は、完全除草を維持し、試験除草剤(ジカンバまたはジカンバ及びグリホセート)を生育期の間に施用しなかった。以下の農業的評価を、全ての事象について収集した:早期強勢、出芽均一性、初花の日付、開花の終わりの日付、草高、成熟日付、実際の収穫粒重、パーセント穀粒水分、収穫日付、ならびに適用可能な場合、自立性(Standability)、脱さや、Sclerotinia属菌の発生、ならびに疾病及び害虫圧力。農業的評価を圃場試験シーズンにわたって収集した。シーズンの終わりにポンド/エーカー(lb/ac)として農業収量を決定した。
第1シーズン農業性能圃場試験の収量データを集計した。各固有の事象について、第1シーズン農業圃場試験の全ての場所及び全ての個々の植物にわたる集計データのメタ解析を、比較のために実施した。表6は、各事象についての全ての場所にわたるポンド/エーカー(lb/ac)としての平均収量を提供する。各シーズンにわたる農業圃場試験の収量のメタ解析は、顕著に低い収量を有したDT-4構築物による事象68403ならびにDT-5構築物による事象43166及び43237を除いて、概して全ての事象の植物が、散布していない対照植物と同等の収量を有したことを示した。DT-1構築物による4つの事象は、DT-1構築物による他の5つの事象より顕著に低い農業収量を有した。
Figure 0007508450000008

Figure 0007508450000009
(1)商業的量のジカンバに対する耐性の形質有効性、及び(2)農業性能を評価する雑種植物の圃場試験から集めたデータを、構築物DT-1、DT-4、DT-5、及びDT-6の試験された36の事象について解析した。各事象についてのこの解析を、実施例3に記載される綿密な分子的特徴付けの結果と組み合わせて、第2シーズン圃場試験に進める事象を選択した。
実施例3:分子的特徴付け
この実施例は、圃場試験と同時に行われた選択された事象の詳細な分子的特徴付けを記載する。各事象の分子的特徴付けは、事象が先に進めるために選択されるべきかどうかを決定するために使用した。
事象のDNA及びRNA解析を、当該技術分野において公知の種々の技術を使用して実施した。サザンブロット解析をゲノムDNAに対して実行して、トランスジェニック植物が、ベクター骨格を全く含有せずに単一コピーの導入遺伝子挿入断片全体を含有することを確認した。DNA増幅及び配列決定を使用して、各事象についてトランスジェニック挿入断片の挿入配列の構成及び配列が変化していないことを確認した。トランスジェニック挿入断片の各末端(5’及び3’末端)に隣接するDNAを配列決定し、それぞれの接合部を決定した。ノーザン解析を行って、各事象のトランスジェニック植物におけるdmo遺伝子及びcp4遺伝子(適用可能な場合)のmRNA転写物を検出及び測定した。
各事象を含む植物のタンパク質解析を、当該技術分野において公知の技術を使用して実施した。各事象を含有するトランスジェニック植物から精製されたDMOタンパク質のN末端タンパク質配列決定を行って、組換えタンパク質配列を確認した。ウェスタンブロット解析を、各事象を含有する植物からのタンパク質抽出物に対して実施して、DMOタンパク質が生成されていたことを確認した。酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を使用して、DMOタンパク質について植物の葉、種子、根、及び花粉におけるタンパク質レベルを決定した。
ゲノムにおける各事象の挿入部位を解析した。隣接配列を事象の染色体上の位置のバイオインフォマティクス解析に使用し、各事象の挿入部位を一般公開されているBrassica napusゲノム(Boulos Chalhoub,et al.“Early allopolyploid evolution in the post-Neolithic Brassica napus oilseed genome”,Science,Vol 345 Issue 6199(22 August 2014))にマッピングした。ゲノムにおける野生型アリルにわたるDNA増幅を、各事象の隣接領域に特異的なプライマーを使用して実施した。野生型の挿入部位配列を使用して、事象について固有の導入遺伝子組み込み部位をBrassica napusの参照ゲノムにマッピングした。
各事象についての綿密な分子的特徴付けの解析を、各事象についての第1シーズン圃場試験の形質有効性及び農業性能データと組み合わせた。この組み合わせた情報を使用して、第1のシーズン圃場試験で試験された36から13の固有の事象を、先に進めるために選択した。解析後、構築物DT-6の9つの事象のいずれも先に進めるために選択されず、DT-5の17の事象のうちの10が先に進まず、構築物DT-1の5つの事象、構築物DT-4の1つの事象、及び構築物DT-5の7つの事象を含む13の固有の事象が先に進めるために選択された。
実施例4:第2シーズン圃場試験
この実施例は、第1シーズン圃場試験から進んだ13の固有の事象の各々を含有する植物の第2シーズン圃場試験を記載する。各固有の事象について、第2シーズン圃場試験で数千本の植物を、複数の場所で2年にわたって形質有効性(ジカンバ及びグリホセート耐性)、農業性能、及び収量について圃場試験した。これらのデータを解析して、全ての植物及び全ての場所にわたって圃場条件における各事象の性能を比較した。次いで、第2シーズン圃場試験のデータを使用して、第3シーズン圃場試験に進めるための優れた事象を選択した。
Brassica napus雌親系統を選択された事象のR2植物で他花受粉させ、雑種F1種子(事象についてヘミ接合)を生産することによって、第2シーズン圃場試験のための雑種F1植物を生産した。市販のグリホセート耐性事象(RRとして示す)を含有する雌親系統を、DT-1及びDT-4構築物を含むR2植物と交配させるために使用し、これにより、ジカンバ及びグリホセートの両方に対する耐性を示すF1植物を生産した。第2シーズン圃場試験が実施された2年間の各年で、1~3の異なるBrassica napus雌親系統を選択された事象のR2植物で他花受粉させて、F1雑種種子を生産した。また対照として使用するために、この雌親系統を、R2系統と同じ遺伝的背景の非トランスジェニック植物で他花受粉させた。この戦略により、種々の雌親系統での事象の試験及び比較のための適切な対照の使用を確実にした。
第2シーズン試験では、試験に選択された13の固有の事象は、構築物DT-1の5つの事象、構築物DT-4の1つの事象、及び構築物DT-5の7つの事象であった。第2シーズン試験は、2年にわたって実施されたが、各事象について第2シーズン農業性能圃場試験は、第2シーズン形質有効性圃場試験と同時に(同一シーズンの間に)行われた。全ての圃場試験で無作為完備型ブロック計画を使用し、北米の4~9の異なる場所で実施した。
第2シーズン形質有効性試験において、F1雑種植物を、ジカンバ及びグリホセートに対する耐性について評価した。植物を、V3段階での1.2kg酸当量/ヘクタール(商業的量の2倍)のジカンバ(BANVEL II)及び1.8kg酸当量/ヘクタールのグリホセート(Roundup)、続いて、初花段階での1.2kg酸当量/ヘクタール(商業的量の2倍)のジカンバ(BANVEL II)及び1.8kg酸当量/ヘクタールのグリホセート(Roundup)による出芽後施用(タンク混合物として)で処理した。各施用(それぞれ、V3または初花)の7日後に、除草剤により誘発された植物傷害百分率を、植物上偏成長(葉の屈曲またはねん曲)、生育減退、白化、及び壊死の判定に基づいて目視で評価した。農業的評価を圃場試験シーズンにわたって収集した。シーズンの終わりにポンド/エーカー(lb/ac)として収量を決定した。
第2シーズン圃場試験の形質有効性データを集計した。各固有の事象について、形質有効性圃場試験の全ての場所及び全ての個々の植物にわたる集計データのメタ解析を、雑種傷害評価の比較のために実施した。表7は、処理計画についての全ての場所にわたる各事象の平均傷害評価を提供する。各シーズンにわたる形質有効性圃場試験のメタ解析は、概してDT-1及びDT-4構築物による植物が、より低い薬傷評価を有し、成績が非常に良好であったことを示した。
Figure 0007508450000010
第2シーズン形質有効性圃場試験の収量データを集計した。各固有の事象について、第2シーズン形質有効性圃場試験の全ての場所及び全ての個々の植物にわたって集計した収量データのメタ解析を、比較のために実施した。表8は、全ての場所にわたる各事象についての処理計画で散布した植物及び散布していない植物(対照)のポンド/エーカー(lb/ac)としての平均収量を提供する。各シーズンにわたる形質有効性圃場試験の収量のメタ解析は、概してBrassica事象MON94100を含有する植物が、ジカンバ及びグリホセートを散布された場合に他の12の事象の植物と比較して最も高い収量を有したことを示した。
Figure 0007508450000011
第2シーズン農業性能試験において、F1雑種植物を、実施例2に記載したように農業性能及び収量について評価した。シーズンの終わりにポンド/エーカー(lb/ac)として農業収量を決定した。第2シーズン農業性能圃場試験の収量データを集計した。各固有の事象について、第2シーズン農業圃場試験の全ての場所及び全ての個々の植物にわたって集計した収量データのメタ解析を、比較のために実施した。表9は、各事象についての全ての場所にわたるポンド/エーカー(lb/ac)としての平均収量を提供する。各シーズンにわたる農業圃場試験の収量のメタ解析は、DT-5構築物の事象40819の収量が顕著に低かったことを除いて、概して全ての事象の植物が対照植物と同等の収量を有したことを示した。
Figure 0007508450000012
分子的解析ならびに(1)商業的量のジカンバ及びグリホセートに対する耐性の形質有効性、及び(2)農業性能を評価する雑種植物での圃場試験から集めたデータを、構築物DT-1、DT-4、及びDT-5の試験された13の事象について解析した。各事象についての第2シーズン圃場試験の形質有効性、農業性能、及び収量データの解析を、実施例3に記載される綿密な分子的特徴付けの結果と組み合わせて、第3シーズン圃場試験で試験する4つの固有の事象を選択した。4つの固有の事象は、構築物DT-1の2つの事象及び構築物DT-5の2つの事象であった。
実施例5:第3シーズン圃場試験
この実施例は、第2シーズン圃場試験から進んだ4つの固有の事象の各々を含有する植物の第3シーズン圃場試験を記載する。各固有の事象について、第3シーズン圃場試験で数千本の植物を、複数の場所で2年にわたって形質有効性(ジカンバ耐性)、農業性能、及び収量について圃場試験した。これらのデータを解析して、全ての植物及び全ての場所にわたって圃場条件における各事象の性能を比較した。次いで、第3シーズン圃場試験のデータを使用して、商業化のための優れた事象を選択した。
Brassica napus雌親系統を選択された事象のR2またはR3植物で他花受粉させ、雑種F1種子(事象についてヘミ接合)を生産することによって、第3シーズン圃場試験のための雑種F1植物を生産した。第3シーズン圃場試験が実施された2年間の各年で、2~3つの異なるBrassica napus雌親系統を選択された事象のR1植物で他花受粉させて、F1雑種種子を生産した。また対照として使用するために、この雌親系統を、R2またはR3系統と同じ遺伝的背景の非トランスジェニック植物で他花受粉させた。この戦略により、種々の雌親系統での事象の試験及び比較のための適切な対照の使用を確実にした。
第3シーズン試験は、2年にわたって実施されたが、各事象について第3シーズン農業性能圃場試験は、第3シーズン形質有効性圃場試験と同時に(同一シーズンの間に)行われた。全ての圃場試験で無作為完備型ブロック計画を使用し、北米の5~10の異なる場所で実施した。
第3シーズン形質有効性試験において、F1雑種植物を、XtendiMax(登録商標)除草剤を使用して、実施例2に記載するようにジカンバに対する耐性について評価し、シーズンの終わりにポンド/エーカー(lb/ac)として収量を決定した。第3シーズン圃場試験の形質有効性データを集計した。各固有の事象について、形質有効性圃場試験の全ての場所及び全ての個々の植物にわたる集計データのメタ解析を、雑種傷害評価の比較のために実施した。表10は、処理計画についての全ての場所にわたる各事象の平均傷害評価を提供する。各シーズンにわたる形質有効性圃場試験のメタ解析は、概してDT-1構築物による植物が、より低い薬傷評価を有し、成績が非常に良好であったことを示した。
Figure 0007508450000013
第3シーズン形質有効性圃場試験の収量データを集計した。各固有の事象について、第3シーズン形質有効性圃場試験の全ての場所及び全ての個々の植物にわたって集計した収量データのメタ解析を、比較のために実施した。表11は、2種のジカンバ処理計画についての全ての場所にわたる各事象のポンド/エーカー(lb/ac)として平均収量を提供する(NAは処理についてのデータが利用不可であることを示す)。形質有効性圃場試験の収量のメタ解析は、概して全ての事象の植物が、散布していない対照植物と同等の収量を有したことを示した。
Figure 0007508450000014
第3シーズン農業性能試験において、F1雑種植物を、実施例2に記載したように農業性能及び収量について評価し、シーズンの終わりにポンド/エーカー(lb/ac)として農業収量を決定した。第3シーズン農業性能圃場試験の収量データを集計した。各固有の事象について、第3シーズン農業圃場試験の全ての場所及び全ての個々の植物にわたって集計した収量データのメタ解析を、比較のために実施した。表12は、各事象についての全ての場所にわたるポンド/エーカー(lb/ac)としての平均収量を提供する。農業圃場試験の収量のメタ解析は、概して全ての事象の植物が、散布していない対照植物と同等の収量を有し、統計学的に有意な差がなかったことを示した。
Figure 0007508450000015
分子的解析及び第3シーズン圃場試験から集めたデータを、4つの事象について解析した。各事象についての第3シーズン圃場試験の形質有効性、農業性能、及び収量データの解析を、実施例3に記載される綿密な分子的特徴付けの結果と組み合わせて、事象を評価した。加えて、別の除草剤耐性形質に分子的に連結されていないジカンバ耐性形質が好ましいことが考慮された。単一のジカンバ耐性発現カセットの構成は、自生防除、雑草防除、農業経営、及び輪作における農業従事者の自由度の向上及び選択肢の拡大を可能にする。DT-1構築物を代表する2つの事象を、3シーズンの圃場試験からの複合データのメタ解析に進めた。
実施例6:圃場試験複合データのメタ解析
この実施例は、最終的な2つの事象についての全ての圃場試験データのメタ解析を記載する。これは、長い年数、多数の場所、及び数十万本の植物にわたる圃場条件下での雑種植物の形質性能及び収量影響のより大規模な比較を可能にした。
構築物DT-1による2つの選択された事象について、形質有効性のメタ解析を、全ての場所にわたる第1及び第3シーズンのデータを集計することによって実施した。これは、雑種傷害評価のより大規模な比較を可能にした。表13は、各処理についての各事象の平均傷害評価を提供する。形質有効性圃場試験のメタ解析は、DT-1構築物での両方の事象が、両方の処理で非常に低い薬傷評価を有したことを示した。
Figure 0007508450000016
構築物DT-1による2つの選択された事象について、形質有効性圃場試験の全ての収量データのメタ解析を、全ての場所にわたる第1及び第3シーズンのデータを集計することによって実施した。表14は、各処理についての各事象のエーカー当たりのポンド(lb/ac)としての平均収量変化を提供する(同一の事象を含有する散布した植物と散布していない植物との間のポンド/エーカーでの収量差として計算した)。形質有効性圃場試験の収量のメタ解析は、事象MON94100が非常に良好な成績を示し、両方の処理において事象170060より高い平均収量をもたらしたことを示した。このデータは、優良な商業用事象を選択するのに重要であり、圃場条件におけるジカンバ施用下でのBrassica事象MON94100を含有する植物の顕著な性能を実証した。
Figure 0007508450000017
構築物DT-1による2つの選択された事象及び対照植物についての農業圃場試験の全ての収量データのメタ解析を、全ての場所にわたる3シーズン全てのデータを集計することによって実施した。これは、ジカンバを施用しない場合の収量データのより大規模な比較を可能にした。表15は、各処理について、各事象のポンド/エーカーでの平均収量を提供する。農業圃場試験の収量データのメタ解析は、散布しない条件においてMON94100及び170060が対照植物と同等の収量を提供し、対照植物と比較した場合に、これらの事象のいずれかを含有する植物の収量と統計的に有意差がないことを示した。
Figure 0007508450000018
累積データの解析は、事象170060と比較したBrassica事象MON94100の除草剤施用条件下でのジカンバ耐性及び作物収量における優位性を実証し、この事象を商業目的に有用な優れた事象として選択した。
実施例7:Brassica事象MON94100の検出
この実施例は、Brassica事象MON94100の検出を記載する。試料におけるBrassica事象MON94100の検出は、DNA、RNA、またはタンパク質検出技術を使用して行うことができる。例示的な検出法及び材料を以下に提供する。Brassica事象MON94100のDNA配列情報を、配列番号1~10として本明細書において提供する。Brassica事象MON94100のトランスジェニック挿入断片は、表1に記載されるエレメントを含有する。
検出は、試料におけるBrassica事象MON94100の存在または非存在を判定するために使用され得、ゲノムDNAの試料におけるBrassica事象MON94100のゲノムコピー数(すなわち、ヘミ接合性、ホモ接合性、またはヘテロ接合性)を示し得る。事象特異的なApplied Biosystems(商標)TAQMAN(登録商標)エンドポイント熱増幅法(Thermo Fisher Scientific)を、試料におけるBrassica事象MON94100を同定するために開発した。エンドポイントアッセイに使用されるDNAプライマー及びプローブは、プライマーSQ51321(配列番号11)、SQ13805(配列番号12)、及び6-FAM(商標)標識プローブPB4832(配列番号13)である。6-FAM(6-カルボキシフルオレセイン)は、DNAプローブに付着されるApplied Biosystems(Foster City,CA)の蛍光色素製品である。TAQMAN MGB(商標)プローブでは、Taq DNAポリメラーゼの5’エキソヌクレアーゼ活性が、フルオロフォアとクエンチャーとの間のプローブを5’末端から切断する。標的DNA鎖とハイブリダイズした場合、クエンチャー及びフルオロフォアが蛍光シグナルが生成されるほど十分に分離され、これにより、蛍光が放出される。これらの反応方法及びPB4832と共に使用される場合、SQ51321及びSQ13805は、Brassica事象MON94100の診断に役立つDNAアンプリコンを生成する。この解析の対照には、Brassica事象MON94100を含有する陽性対照、非トランスジェニックBrassica由来の陰性対照、及び鋳型DNAを含有しない陰性対照が含まれるべきである。更に、PCR反応の対照には、好ましくは、Brassicaゲノムにおける単一コピー遺伝子に特異的な内部対照プライマー及び内部対照プローブが含まれるべきである。これらのアッセイは、最高速度で実行されるApplied Biosystems GeneAmp(登録商標)PCRシステム9700(Thermo Fisher Scientific)と共に使用するために最適化されるが、他の機器が使用されてもよい。
Brassica事象MON94100を検出するためのTAQMAN法と共に使用するのに有用な条件の例は、以下の通りである。ステップ1:5μlの最終体積に調整される18メガオームの水。ステップ2:1×最終濃度となる2.28μlの2× Universal Master Mix(dNTP、酵素、緩衝液)。ステップ3:0.9μMの最終濃度となる0.05μlの事象プライマー1(SQ51321)及び事象プライマー2(SQ13805)(18メガオームの水に各プライマーについて100uMの濃度まで再懸濁)。ステップ4:0.2μMの最終濃度となる0.01μlの6-FAM MGB事象プローブPB4832(18メガオームの水に100μMの濃度まで再懸濁)。ステップ5:0.9μMの最終濃度となる0.05μlの内部対照プライマー1及び内部対照プライマー2の混合物(18メガオームの水に各プライマーについて100μMの濃度まで再懸濁)。ステップ6:0.2μMの最終濃度となる0.01μlの内部対照VIC(商標)プローブ(18メガオームの水に100μMの濃度まで再懸濁)。ステップ7:以下のうちの各1つを有する各試料の2.5μlの抽出DNA(鋳型):(a)解析される葉試料、(b)陰性対照(非トランスジェニックDNA)、(c)陰性水対照(鋳型なし)、及び(d)Brassica事象MON94100のDNAを含有する陽性対照Brassica。ステップ8:サーモサイクラーの条件は以下の通りである:95℃で20秒間を1サイクル、95℃で3秒間、次いで、60℃で20秒間を40サイクル、及び10℃の最終サイクル。
Brassica事象MON94100を含む植物が事象または野生型アリルについてヘテロ接合性であるかホモ接合性であるかを判定するために、接合性アッセイが開発される。本明細書において提供される配列情報を使用して増幅反応アッセイが設計され得る。例えば、かかるPCRアッセイには、少なくとも3つのプライマー:プライマー1、プライマー2、及びプライマー3の設計が含まれ、ここで、プライマー1はBrassica事象MON94100の3’隣接DNAのBrassicaゲノムDNAに特異的であり、プライマー2はBrassica事象MON94100トランスジェニック挿入断片に特異的であり、プライマー3は野生型アリルに特異的である。増幅反応においてプライマー対として使用される場合、プライマー1はプライマー2と共に、Brassica事象MON94100に特異的なPCRアンプリコンを生成するであろう。増幅反応においてプライマー対として使用される場合、プライマー1はプライマー3と共に、野生型アリルに特異的なPCRアンプリコンを生成するであろう。BrassicaゲノムDNAで実行されるPCR反応では、プライマー1+プライマー2により生成された各PCRアンプリコン及びプライマー1+プライマー3により生成された各PCRアンプリコンは、アンプリコンの配列及びサイズが異なるであろう。3つのプライマーがBrassica事象MON94100についてホモ接合性の植物から抽出されたDNAでのPCR反応に含まれる場合、プライマー1+プライマー2でのアンプリコン(Brassica事象MON94100挿入断片に特異的)のみが生成されるであろう。3つのプライマーがBrassica事象MON94100についてヘテロ接合性の植物から抽出されたDNAでのPCR反応に含まれる場合、プライマー1+プライマー2でのアンプリコン(Brassica事象MON94100挿入断片に特異的)及びプライマー1+プライマー3でのアンプリコン(野生型アリルに特異的またはBrassica事象MON94100挿入断片がないことに特異的)の両方が生成されるであろう。3つのプライマーがBrassica事象MON94100についてヌルである(すなわち野生型である)植物から抽出されたDNAでのPCR反応において混合される場合、プライマー1+プライマー3でのアンプリコン(野生型アリルに特異的)のみが生成されるであろう。PCR反応を使用して生成されるアンプリコンは、当該技術分野において公知の任意の方法を使用して同定または区別され得る。
Brassica事象MON94100の別の接合性アッセイは、TAQMAN熱増幅反応である。この種のアッセイでは、上記のようなプライマーに加えて、アッセイには2つの蛍光標識プローブが含まれる。プローブ1はBrassica事象MON94100に特異的であり、プローブ2はBrassica事象MON94100(野生型)についてヌルである(野生型)Brassica植物に特異的であり、ここで、2つのプローブは異なる蛍光標識、例えば、6-FAM標識またはVIC(商標)標識を含有する。TAQMAN反応において使用される場合、プライマー1+プライマー2+プローブ1はBrassica事象MON94100に特異的な第1の蛍光シグナルを生成し、プライマー1+プライマー3+プローブ2は野生型Brassicaに特異的な第2の蛍光シグナルを生成するであろう。3つのプライマー及び2つのプローブがBrassica事象MON94100についてホモ接合性の植物から抽出されたDNAを用いるTAQMAN反応に含まれる場合、第1の蛍光シグナル(プライマー1+プライマー2+プローブ1に特異的)のみが生成されるであろう。3つのプライマーがBrassica事象MON94100についてヘテロ接合性の植物から抽出されたDNAを用いるTAQMAN反応に含まれる場合、第1の蛍光シグナル(プライマー1+プライマー2+プローブ1に特異的)及び第2の蛍光シグナル(プライマー1+プライマー3+プローブ2に特異的)の両方が生成されるであろう。3つのプライマーがBrassica事象MON94100についてヌルである(野生型)植物から抽出されたDNAを用いるTAQMAN反応において一緒に混合される場合、第2の蛍光シグナル(プライマー1+プライマー3+プローブ2に特異的)のみが生成されるであろう。
植物試料におけるBrassica事象MON94100の存在を検出する別の方法はサザン解析である。当業者は、Brassica事象MON94100に特異的なサザンハイブリダイゼーションプローブ(複数可)及びBrassica事象MON94100についてヌルである(野生型)Brassica植物に特異的な第2のサザンハイブリダイゼーションプローブを設計する方法を理解するであろう。サザン解析では、第1のサザンハイブリダイゼーションプローブからのみ検出されるシグナルはBrassica事象MON94100についてホモ接合性の植物を示し、第1のサザンハイブリダイゼーションプローブ及び第2のサザンハイブリダイゼーションプローブの両方から検出されるシグナルはBrassica事象MON94100についてヘテロ接合性の植物を示し、第2のサザンハイブリダイゼーションプローブからのみ検出されるシグナルはBrassica事象MON94100についてヌルである(野生型)植物からDNAが抽出されたことを示すであろう。
検出キットの別の例は、Brassica事象MON94100によりコードされる少なくとも1種のタンパク質に特異的な少なくとも1種の抗体を含む。例えば、かかるキットは、ラテラルフローストリップであって、当該ストリップの先端が水溶液と接触すると活性化される試薬を含む当該ラテラルフローストリップを利用し得る。抗体生成に使用するのに十分な例示的なタンパク質は、配列番号10として提供される配列によりコードされるもの、または任意のその断片である。
試料がBrassica事象MON94100を含む植物、種子、細胞、または植物部分に由来するかどうかを決定するために、タンパク質検出法が開発される。Brassica事象MON94100によりコードされる少なくとも1種のタンパク質に特異的な少なくとも1種の抗体が、試料におけるBrassica事象MON94100によりコードされるタンパク質を検出するために使用される。Brassica事象MON94100によりコードされる1種以上のタンパク質に特異的な1種以上の抗体を含む検出キットは、ラテラルフローストリップであって、当該ストリップの先端が水溶液と接触すると活性化される試薬を含有する当該ラテラルフローストリップを利用し得る。Brassica組織の試料が粉砕され、水または水性緩衝液(例えば、界面活性剤及びウシ血清アルブミンを含有するリン酸緩衝食塩水)を使用して解析のためにタンパク質が抽出され得る。遠心分離後に、吸収パッドを有するラテラルフローストリップ上でサンドイッチフォーマットのELISA法を使用して水性上澄みが解析される。試験される試料を含有する水溶液にストリップの先端を浸すことによって検出が開始される。水溶液は毛管作用によりストリップの上方に運ばれ、ストリップ上の金標識抗体を可溶化する。金標識抗体は、Brassica事象MON94100によりコードされる少なくとも1種のタンパク質に特異的であり、試料中の当該タンパク質のエピトープに結合して、抗体抗原複合体を形成する。次いで、金標識抗体抗原複合体は、ニトロセルロース膜までストリップの上方に運ばれる。膜は、Brassica事象MON94100によりコードされるタンパク質上の第2の別個のエピトープに結合する固定化抗体の試験ラインを含み、Brassica事象MON94100によりコードされるタンパク質が試料中に存在する場合、試験ストリップを横切る可視のラインを出現させる。
実施例8:自生防除
この実施例は、Brassica事象MON94100を含む植物を防除するための方法を記載する。自生防除の目的のために、Brassica事象MON94100を含む植物が高い感受性を示す任意の除草剤が有用である。
自生防除の目的のための例示的な除草剤としては、ジカンバ以外の合成オーキシン除草剤が挙げられるであろう。Brassica事象MON94100を含む植物のジカンバ以外の合成オーキシン除草剤に対する感受性は、農業従事者に望ましくないジカンバ耐性Brassica(これはBrassica事象MON94100を含むものである)を環境から除去する能力を提供する。かかる環境は、他の所望の作物またはBrassica事象MON94100を含有しないBrassicaを含んでいてもいなくてもよい。
Brassica事象MON94100を含む植物及び対照として同一の生殖質の非トランスジェニック植物を、無作為完備型ブロック計画を使用して温室で生育させた。V3段階の植物に、4種の合成オーキシン除草剤:ジカンバ(XtendiMax(登録商標))、2,4-Dアミン4(2,4-ジクロロフェノキシ酢酸のジメチルアミン塩)、ブロモキシニル(Buctril(登録商標)である3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシベンゾニトリル)、及びMCPAアミン(4-クロロ-2-メチルフェノキシ酢酸)のうちの1種を無作為化パターンで散布した。植物傷害率を処理の9日後に測った。
商業的量(1倍)のジカンバを散布した後、Brassica事象MON94100を含む植物は傷害を有さず、対照植物は21.3%の傷害を有した。しかしながら、他の3種の合成オーキシン除草剤(2,4-Dアミン、ブロモキシニル、及びMCPA)を1倍または2倍量で散布した場合、Brassica事象MON94100を含む植物及び対照植物の両方が70%~90%の傷害率を示した。これにより、Brassica事象MON94100を含む植物及び対照植物が3種のオーキシン除草剤に同様に反応することが確認された。データを表16に示す。
Figure 0007508450000019
Brassica事象MON94100を含む種子の代表的試料は、ブダペスト条約に従って、10801 University Boulevard,Manassas,Virginia 20110(USA)に住所を有するAmerican Type Culture Collection(ATCC(登録商標))Patent Depositoryに寄託された。Brassica事象MON94100を含む種子のATCC特許寄託名称(受託番号)は受託番号PTA-125182であり、寄託日は2018年8月21日であった。寄託は、30年間、または最後の請求から5年間、または特許の有効期間のうちのいずれか長い方の期間、寄託機関で維持される。

Claims (22)

  1. 配列番号10、配列番号8、配列番号7、配列番号6、配列番号5、配列番号4、配列番号3、配列番号2、及び配列番号1からなる群から選択される配列を含む組換えDNA分子。
  2. 前記組換えDNA分子が、Brassica事象MON94100を含む植物、種子、または細胞に由来し、前記事象を含む種子の代表的試料がATCC受入番号PTA-125182として寄託されている、請求項1に記載の組換えDNA分子。
  3. 前記組換えDNA分子が、Brassica事象MON94100を含む植物、細胞、種子、または植物部分に存在し、前記事象を含む種子の代表的試料がATCC受入番号PTA-125182として寄託されている、請求項1に記載の組換えDNA分子。
  4. 前記組換えDNA分子が、Brassica事象MON94100の存在の診断に役立つアンプリコンである、請求項1に記載の組換えDNA分子。
  5. Brassica植物、Brassica種子、またはBrassica細胞に由来するDNA試料中の配列番号10に特異的なDNAプローブであって、配列番号1または配列番号2を含む前記DNAプローブ
  6. Brassica植物、Brassica種子、またはBrassica細胞に由来するDNA試料中の配列番号10に特異的なDNAプローブであって、配列番号13を含む前記DNAプローブ
  7. Brassica植物、Brassica種子、またはBrassica細胞に由来するDNA試料におけるBrassica事象MON94100の存在を検出する方法であって、
    a)前記試料を請求項5に記載のDNAプローブと接触させることと、
    b)前記試料及び前記DNAプローブをストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下に置くことと、
    c)前記試料におけるDNA分子への前記DNAプローブのハイブリダイゼーションを検出することと、を含み、
    前記DNAプローブの前記DNA分子への前記ハイブリダイゼーションが、前記DNA試料におけるBrassica事象MON94100の存在を示す、前記方法。
  8. Brassica植物、Brassica種子、またはBrassica細胞に由来するDNA試料におけるBrassica事象MON94100の存在を検出する方法であって、
    a)前記試料を第1のDNA分子及び第2のDNA分子を含む一対のDNA分子と接触させることと、但し、前記第1及び第2のDNA分子が、それぞれ配列番号10の断片を含み、DNAプライマーとして機能し、増幅反応においてBrassica事象MON94100を含有するDNAと共に使用される場合に、第1のDNA分子と第2のDNA分子が、試料におけるBrassica事象MON94100の診断に役立つアンプリコンを生成し、該アンプリコンが配列番号10、配列番号8、配列番号7、配列番号6、配列番号5、配列番号4、配列番号3、配列番号2および配列番号1から成る群から選択される配列を含む、
    b)配列番号10、配列番号8、配列番号7、配列番号6、配列番号5、配列番号4、配列番号3、配列番号2、及び配列番号1からなる群から選択される配列を含むDNAアンプリコンを生成するのに十分な増幅反応を実行することと、
    c)前記DNAアンプリコンの存在を検出することと、を含み、
    前記DNAアンプリコンの存在が前記試料におけるBrassica事象MON94100の存在を示す、前記方法。
  9. Brassica植物、Brassica種子、またはBrassica細胞に由来する試料におけるBrassica事象MON94100の存在を検出する方法であって、これらBrassica植物、Brassica種子、またはBrassica細胞は、Brassica事象MON94100を含む植物またはその後代植物由来であり、該方法が
    a)前記試料をBrassica事象MON94100によりコードされる少なくとも1種のタンパク質に特異的な少なくとも1種の抗体と接触させることと、
    b)前記試料における前記タンパク質への前記抗体の結合を検出することと、を含み、
    前記抗体の前記タンパク質への前記結合が前記試料におけるBrassica事象MON94100の存在を示す、前記方法。
  10. 請求項5に記載のDNAプローブを含む、Brassica事象MON94100の存在を検出するためのキット。
  11. 配列番号10の配列を含むDNA分子を含むBrassica植物、種子、細胞、植物部分、または商品生産物。
  12. 前記植物、種子、細胞、または植物部分がジカンバに対する耐性を示す、請求項11に記載のBrassica植物、種子、細胞、または植物部分。
  13. 区域の雑草を防除するための方法であって、Brassica事象MON94100を含むBrassicaを植えること、及び前記Brassicaを害することなく前記区域の前記雑草を防除するために有効量のジカンバを施用すること、を含む前記方法。
  14. 前記有効量のジカンバが、生育期にわたって約0.5ポンド酸当量/エーカー~約2ポンド酸当量/エーカーである、請求項13に記載の方法。
  15. 区域におけるBrassica事象MON94100を含む自生Brassicaを防除するための方法であって、ジカンバ以外の除草上有効量の少なくとも1種の除草剤を施用することを含み、前記除草剤施用がBrassica事象MON94100を含むBrassicaの生育を防止する、前記方法。
  16. ジカンバ以外の前記除草剤が、2,4-D(2,4-ジクロロフェノキシ酢酸)、ブロモキシニル(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシベンゾニトリル)、及びMCPAアミン(4-クロロ-2-メチルフェノキシ酢酸)からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
  17. ジカンバに対する耐性を示すBrassica植物を生産する方法であって、
    a)種子を生産するためにBrassica事象MON94100を含む植物をそれ自体とまたは第2の植物と交配することと、
    b)Brassica事象MON94100を含む後代種子を同定することと、を含む前記方法。
  18. Brassica事象MON94100を含む後代種子を同定することが、
    i.後代植物を生産するために前記後代種子を生育させることと、
    ii.前記後代植物を有効量のジカンバで処理することと、
    iii.ジカンバに対する耐性を示す後代植物を選択することと、によるものである、請求項17に記載の方法。
  19. Brassica事象MON94100を含む後代種子を同定することが、前記後代種子に由来する試料におけるBrassica事象MON94100の存在を検出することによるものである、請求項17に記載の方法。
  20. Brassica事象MON94100を含む後代種子を同定することが、前記後代種子に由来する試料におけるBrassica事象MON94100によりコードされる少なくとも1種のタンパク質の存在を検出することによるものである、請求項17に記載の方法。
  21. Brassica事象MON94100について植物の接合性を判定する方法であって、
    a)前記植物に由来するDNAを含む試料を、Brassica事象MON94100の存在の診断に役立つ第1のアンプリコン及びBrassica事象MON94100を含まない野生型BrassicaゲノムDNAの診断に役立つ第2のアンプリコンを生成することができるプライマーセットと接触させることと、
    b)核酸増幅反応を実行することと、
    c)前記第1のアンプリコン及び前記第2のアンプリコンを検出することと、を含み、両方のアンプリコンの存在が、前記試料がBrassica事象MON94100についてヘテロ接合性であることを示し、前記第1のアンプリコンのみの存在が、前記試料がBrassica事象MON94100についてホモ接合性であることを示し、前記第1のアンプリコンが、配列番号10、配列番号8、配列番号7、配列番号6、配列番号5、配列番号4、配列番号3、配列番号2および配列番号1から成る群より選択される配列を含む、前記方法。
  22. 前記プライマーセットが配列番号11及び配列番号12を含む、請求項21に記載の方法。
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