JP7507997B2 - 保守コスト推定装置及び保守コスト推定方法 - Google Patents

保守コスト推定装置及び保守コスト推定方法 Download PDF

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Description

本開示は、保守コスト推定装置及び保守コスト推定方法に関する。
シミュレーションを利用して工場の設備の補修計画を策定する技術がある。
特開平9-234652号公報
特許文献1が開示する技術によれば、設備全体の信頼性の尺度及びコストを、予め用意した複数の補修計画案を用いて算出し、算出した尺度及びコストのバランスに応じて最適な補修計画案を選定する。
しかしながら、実際の設備においては定期的な点検作業が通常は行われる。点検作業において設備を構成する機器の故障の予兆を発見し、発見した故障の予兆に対して部品交換又は手入れ等の対応をすることにより、機器の故障を未然に防止することができる場合もある。そして、点検作業により機器の故障を未然に防止することができた場合と、機器の故障を未然に防止することができず突発的な故障に対応した場合とでは、コスト及びダウンタイムが互いに異なる。
そのため、比較的高い精度で設備の保守コストを推定するためには、予め用意した補修計画だけでなく、点検作業により故障を未然に防止することができる効果も考慮する必要がある。しかしながら、特許文献1が開示する技術によれば、保守コストを推定することに用いられる設備保全計画を、点検作業の効果を考慮して決定することができない。従って、当該技術には高い精度で設備の保守コストを推定することができないという課題がある。
本開示は、比較的高い精度で設備の保守コストを推定することを目的とする。
本開示に係る保守コスト推定装置は、
設備が備える部品に故障が発生するか否かをシミュレーションにより推定する保守コスト推定装置であって、
前記部品に対する修繕作業を実施してからの経過時間に応じて推定される確率であって、対象時点において前記部品に故障が発生している確率である故障発生確率を示す劣化モデルと、前記部品に対する点検作業によって前記部品の故障を防止することができると推定される確率である故障防止確率とを用いて、前記対象時点において前記部品に故障が発生しているか否かを前記シミュレーションによって推定する際に用いられるモデルである故障推定モデルを生成する保守効果統合部
を備える。
本開示によれば、保守効果統合部は、故障推定モデルを生成する際に点検作業によって部品の故障を防止することができると推定される確率である故障防止確率を用いる。また、故障推定モデルは部品に故障が発生するか否かをシミュレーションによって推定する際に用いられる。従って、本開示を活用することにより比較的高い精度で設備の保守コストを推定することができる。
実施の形態1に係る保守コスト推定装置100の構成例を示す図。 実施の形態1に係る保守コスト推定装置100のハードウェア構成例を示す図。 実施の形態1に係る保守コスト推定装置100の動作を示すフローチャート。 実施の形態1に係るフォルトツリー構成部120の処理を説明する図。 実施の形態1に係るフォルトツリー構成部120の処理を説明する図。 実施の形態1に係る故障シミュレーション部150の処理を説明する図。 実施の形態1に係る保守コスト推定部160の処理を説明する図。 実施の形態1に係るシミュレーション結果の活用事例を説明する図。 実施の形態1の変形例に係る保守コスト推定装置100のハードウェア構成例を示す図。
実施の形態の説明及び図面において、同じ要素及び対応する要素には同じ符号を付している。同じ符号が付された要素の説明は、適宜に省略又は簡略化する。図中の矢印はデータの流れ又は処理の流れを主に示している。また、「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」又は「サーキットリー」に適宜読み替えてもよい。
実施の形態1.
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係る保守コスト推定装置100の構成例を示している。保守コスト推定装置100は、設備が備える部品に故障が発生するか否かをシミュレーションにより推定する。保守コスト推定装置100は、本図に示すように、入力部110と、フォルトツリー構成部120と、保守効果算出部130と、保守効果統合部140と、故障シミュレーション部150と、保守コスト推定部160と、出力表示部170とを備える。また、保守コスト推定装置100は、劣化モデルDB(Database)191と、遠隔監視DB192と、保守情報DB193と、保守効果DB194とを保持している。なお、各DBは外部の記憶装置に格納されていてもよい。また、保守コスト推定装置100は保守効果DB194を備えなくてもよい。
入力部110は、保守コストの推定対象である設備の構成と、故障シミュレーション部150が実施するシミュレーションの条件等の各々を示す情報を受け付ける機能を有する。設備の構成は、設備を構成する部品の型番等によって指定される。シミュレーションの条件は、シミュレーション期間と、サンプリング数と、時間刻み幅等である。入力部110が受け付ける情報は、ユーザーによって入力される。
フォルトツリー構成部120は、入力された設備の構成を示す情報が示す各部品に対応する劣化モデルを劣化モデルDB191から抽出し、抽出した各劣化モデルを用いてフォルトツリーを構成する機能を有する。劣化モデルDB191は各部品に対応する劣化モデルを示す情報を記録する。ある部品の劣化モデルは当該ある部品の故障発生確率を示す。当該ある部品の故障発生確率は、当該ある部品に対する修繕作業を実施してからの経過時間に応じて推定される確率であって、各対象時点において当該ある部品に故障が発生している確率を示すモデルである。劣化モデルは、具体例として、物理モデル及び故障履歴等に基づいて構築したモデルである。また、劣化モデルは部品の故障モードごとに構築されてもよい。即ち、ある部品に対応する劣化モデルが複数存在してもよい。ある部品に対する修繕作業は、具体例として、当該ある部品の交換、又は当該ある部品の手入れである。ある部品の手入れは、具体例として、当該ある部品の位置の調整、当該ある部品に対する締め付けの強化、又は当該ある部品に対する潤滑油の交換である。
フォルトツリー構成部120は、フォルトツリーの代わりに、ガウシアンネットワーク等、複数の部品から成る機器を構成する各部品の故障確率を算出し、算出した各故障確率を適宜統合することにより当該機器の故障確率を算出することができる他の手法を用いてもよい。
保守効果算出部130は、点検作業の対象である各部品の保守履歴に関する情報を保守情報DB193から抽出し、抽出した情報に基づいて故障防止確率を算出し、算出した故障防止確率を示す情報を保守効果DB194に記録する機能を有する。ここで、保守情報DB193は、点検作業の対象である各部品の保守履歴に関する情報を記録する。保守履歴に関する情報は、具体例として、点検作業の実施記録と、故障予兆の発見の有無との各々を示す情報である。また、保守情報DB193は、各部品について、故障発生時の作業及び予防保全作業の各々において要する費用及び設備停止時間の各々を示す情報を記録する。保守効果DB194は、点検作業の対象である各部品に対応する故障防止確率を示す情報を記録する。故障防止確率は、点検作業によって各部品の故障を未然に防止することができると推定される確率であり、点検作業によって各部品の故障予兆を発見することができると推定される確率である。なお、各部品に対する点検作業は、各部品の状態等を確認することであり、通常は定期的に行われる。また、保守作業は修繕作業及び点検作業の総称である。
保守効果算出部130は、遠隔で状態を監視している設備又は部品等に関しては、遠隔監視DB192に格納されている情報を利用して故障防止確率を算出してもよい。この際、遠隔監視の結果に基づいて、作業員が点検作業において各部品の故障予兆を発見してもよい。遠隔監視DB192は、遠隔監視によって検出された故障予兆を示す情報を格納している。また、保守効果算出部130は、部品の設計情報を用いて故障防止確率を算出してもよく、点検作業によって部品の故障を防止した実績に基づいて故障防止確率を算出してもよい。
保守効果統合部140は、劣化モデルと故障防止確率とを用いて故障推定モデルを生成する。故障推定モデルは、各対象時点において部品に故障が発生しているか否かをシミュレーションによって推定する際に用いられるモデルである。故障推定モデルは複数の部品に対応するモデルであってもよい。故障推定モデルは、フォルトツリー解析を実施するためのモデルであってもよい。具体例として、保守効果統合部140は、保守効果算出部130が算出した故障防止確率を、フォルトツリー構成部120が構成したフォルトツリーに統合する機能を有する。
故障シミュレーション部150は、各部品の故障発生確率及び故障防止確率を考慮して、将来における各部品の故障発生過程をシミュレーションする。この際、故障シミュレーション部150は、対象期間を対象としてシミュレーションを実行する。当該シミュレーションは、確率的シミュレーション技術に基づくシミュレーションであってもよい。
保守コスト推定部160は、故障シミュレーション部150がシミュレーションを実行した結果と、保守情報DB193に格納されている情報とを利用して、各経過時間における保守コスト及びダウンタイムの各々の推定値を算出する。保守コスト推定部160は保守コスト及びダウンタイム推定部とも呼ばれる。保守コスト推定部160は、故障シミュレーション部150がシミュレーションを実行した結果に基づいて対象期間における各部品の保守コストを推定してもよい。
出力表示部170は、推定した保守コスト及びダウンタイムをユーザーに向けて出力する機能を有する。
図2は、本実施の形態に係る保守コスト推定装置100のハードウェア構成例を示している。保守コスト推定装置100はコンピュータから成る。保守コスト推定装置100は複数のコンピュータから成ってもよい。
保守コスト推定装置100は、本図に示すように、プロセッサ11と、メモリ12と、補助記憶装置13と、入力IF(Interface)14と、出力IF15等のハードウェアを備えるコンピュータである。これらのハードウェアは、信号線19を介して適宜接続されている。
プロセッサ11は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)であり、かつ、コンピュータが備えるハードウェアを制御する。プロセッサ11は、具体例として、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、又はGPU(Graphics Processing Unit)である。
保守コスト推定装置100は、プロセッサ11を代替する複数のプロセッサを備えてもよい。複数のプロセッサはプロセッサ11の役割を分担する。
メモリ12は、典型的には揮発性の記憶装置であり、具体例としてRAM(Random Access Memory)である。メモリ12は、主記憶装置又はメインメモリとも呼ばれる。メモリ12に記憶されたデータは、必要に応じて補助記憶装置13に保存される。
補助記憶装置13は、典型的には不揮発性の記憶装置であり、具体例として、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、又はフラッシュメモリである。補助記憶装置13に記憶されたデータは、必要に応じてメモリ12にロードされる。
メモリ12及び補助記憶装置13は一体的に構成されていてもよい。
入力IF14は入力装置21が接続されるポートである。入力IF14は、具体例として、USB(Universal Serial Bus)端子、通信チップ、又はNIC(Network Interface Card)である。入力装置21は、具体例として、キーボード及びマウスである。
出力IF15は出力装置22が接続されるポートである。出力IF15の構成は入力IF14の構成と同様であってもよい。入力IF14及び出力IF15は一体的に構成されていてもよい。出力装置22は、具体例としてディスプレイである。
保守コスト推定装置100の各部は、他の装置等と通信する際に、入力IF14及び出力IF15を適宜用いる。
補助記憶装置13は保守コスト推定プログラムを記憶している。保守コスト推定プログラムは、保守コスト推定装置100が備える各部の機能をコンピュータに実現させるプログラムである。保守コスト推定プログラムは、メモリ12にロードされて、プロセッサ11によって実行される。保守コスト推定装置100が備える各部の機能は、ソフトウェアにより実現される。
保守コスト推定プログラムを実行する際に用いられるデータと、保守コスト推定プログラムを実行することによって得られるデータ等は、記憶装置に適宜記憶される。保守コスト推定装置100の各部は記憶装置を適宜利用する。記憶装置は、具体例として、メモリ12と、補助記憶装置13と、プロセッサ11内のレジスタと、プロセッサ11内のキャッシュメモリとの少なくとも1つから成る。なお、データと情報とは同等の意味を有することもある。記憶装置は、コンピュータと独立したものであってもよい。
メモリ12及び補助記憶装置13の機能は、他の記憶装置によって実現されてもよい。
保守コスト推定プログラムは、コンピュータが読み取り可能な不揮発性の記録媒体に記録されていてもよい。不揮発性の記録媒体は、具体例として、光ディスク又はフラッシュメモリである。保守コスト推定プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
***動作の説明***
保守コスト推定装置100の動作手順は保守コスト推定方法に相当する。また、保守コスト推定装置100の動作を実現するプログラムは保守コスト推定プログラムに相当する。
図3は、保守コスト推定装置100の動作の一例を示すフローチャートである。図3を参照して保守コスト推定装置100の動作を説明する。
(ステップS101)
ユーザーは、入力装置21を用いて、対象設備の構成と、シミュレーション条件等を示す情報を入力する。対象設備は、将来における保守コストをユーザーが推定したい設備である。
入力部110は、ユーザーが入力した情報を受け付ける。
(ステップS102)
フォルトツリー構成部120は、対象設備の構成を示す情報に基づいて対象設備に対応するフォルトツリーを構成する。具体的には、フォルトツリー構成部120は、フォルトツリーの各要素に対応する劣化モデルを劣化モデルDB191から抽出し、抽出した劣化モデルをフォルトツリーの各要素に割り当てる。フォルトツリーの各要素は対象設備を構成する各部品に対応する。
図4は、本ステップにおいて構成されるフォルトツリーの具体例を示している。本例において、ドアがドア部品Aとドア部品Bとドア部品Cとから構成されており、各部品に対応する劣化モデルを用いてフォルトツリーが構成されている。ドアは、具体例として昇降機のドアである。また、「ドア部品Aの故障有無」に対応する論理値が劣化モデルに基づいて算出されることを示している。劣化モデルにおいて、ドア部品Aに対して修繕作業を実施してからの経過時間tと、ドア部品Aの故障発生確率との関係が示されている。ドア部品Aに対する修繕作業は、具体例として、ドア部品Aの交換、又はドア部品Aの調整等である。
(ステップS103)
保守効果算出部130は、対象設備を構成する部品のうち点検作業の対象である各部品の保守履歴を示す情報を保守情報DB193から抽出し、抽出した情報に基づいて下記の通り各部品に対応する故障防止確率を算出する。ここで、Aは点検作業によってある部品の故障予兆を発見した回数を示し、Bは次回の点検作業までに当該ある部品に故障が発生した回数を示す。次回の点検作業までに当該ある部品に故障が発生した回数は、点検作業によって当該ある部品の故障を防止することができなかった回数である。Aは当該ある部品の故障防止実績でもあり、Bは当該ある部品の故障実績でもある。なお、保守効果算出部130は、ステップS101が実行される前に故障防止確率を算出してもよい。この際、保守効果算出部130は算出した故障防止確率を保守効果DB194に記録する。
故障防止確率C=A/(A+B)
その後、保守効果統合部140は、保守効果算出部130が算出した故障防止確率を、フォルトツリー構成部120が構成したフォルトツリーに統合する。
図5は、本ステップの具体例を示している。本例において、保守効果算出部130は、点検作業の対象である各部品についての故障防止実績及び故障実績に基づいて故障防止確率を算出する。ここで、具体例として、各部品についての故障防止実績及び故障実績の各々は、保守情報DB193に格納されている情報であり、各部品と型番が同一である部品についての通算の実績であり、各部品が対象設備を構成する部品であるか否かを問わずに集計した実績である。なお、ある部品の仕様、当該ある部品の型名の詳細、又は当該ある部品を製造してからの経過時間等の条件によって当該ある部品についての故障予兆の発見し易さが大幅に異なる場合、当該ある部品についての実績は条件ごとに分類して集計されていてもよい。ここで、実績は故障防止実績及び故障実績の総称である。各部品についての実績が分類されている場合、保守効果算出部130は、故障防止確率を算出する対象である対象部品に対応する故障防止確率を算出する際、対象部品と同種の部品についての実績のうち、対象部品の分類と同じ又は類似する分類に分類されている実績のみを用いてもよい。
なお、点検作業の対象ではない部品についての情報は保守情報DB193に格納されていないため、保守効果統合部140は、当該部品についての故障防止確率をフォルトツリーに統合しない。そのため、本例において、保守効果統合部140はドア部品Cについての故障防止確率をフォルトツリーに統合しない。
なお、保守効果算出部130は、遠隔で状態を監視している設備又は部品等に関しては、遠隔監視DB192に格納されている情報を利用することにより故障防止確率を算出してもよい。
また、保守効果算出部130は、故障防止確率を算出する際に、保守及び設計における知見等を用いてもよい。ある部品についての保守における知見は、具体例として、当該ある部品について故障予兆を発見することができる確率である。
(ステップS104)
故障シミュレーション部150は、ユーザーが入力した情報と、保守効果統合部140が作成したフォルトツリーとを用いて、将来における対象設備の故障発生過程をシミュレーションする。故障シミュレーション部150は、シミュレーションにおいて、故障発生確率及び故障防止確率等の確率を考慮して乱数を発生させることができる手法を用いる。当該手法は、確率事象を扱うことができるシミュレーション手法であればどのような手法であってもよく、具体例として、モンテカルロ法、準モンテカルロ法、マルコフ連鎖モンテカルロ法、又はNUTS(No-U-Turn Sampler)法等である。故障シミュレーション部150は、フォルトツリーの末端に位置する各部品について、サンプリング数分以下の処理を実施する。サンプリング数はサンプルパスの数である。なお、故障シミュレーション部150は、各部品について、設定したシミュレーション期間分のシミュレーション結果を、設定したサンプリング数分発生させる。以下、故障シミュレーション部150がフォルトツリーの末端に位置する部品である対象部品を対象とするものとして故障シミュレーション部150の処理の具体例を説明する。
(処理1)
故障シミュレーション部150は、経過時間Tにおける対象部品の故障発生確率を、対象部品に対応する劣化モデルにおいて変数tに経過時間Tを代入することにより算出する。ここで、変数tは対象部品に対して修繕作業を実施してからの経過時間を示す。また、ある部品に対応する経過時間Tは当該ある部品に対して修繕作業を実施してからの経過時間である。なお、当該ある部品に対して修繕作業を実施したことがない場合、具体例として、経過時間Tの開始時点として当該ある部品を備える設備が稼働を開始した日時が用いられる。
(処理2)
故障シミュレーション部150は、処理1において算出した故障発生確率を用いて、対象部品のサンプルパスの一部として、対象部品について故障発生の有無のいずれかを示す情報を生成する。
(処理3)
故障シミュレーション部150は、対象部品が点検作業の対象である場合、かつ、処理2において対象部品に故障が発生するものとされた場合、対象部品に対応する故障防止確率を用いて故障防止成功又は故障防止失敗を示す情報を生成する。
(処理4)
故障シミュレーション部150は、フォルトツリーのブール代数則に基づいて、対象部品の状態が、「故障発生」、「点検作業による故障防止」、又は「故障なし」のいずれであるかを求める。
(処理5)
対象部品の状態が「故障発生」又は「点検作業による故障防止」である場合、故障シミュレーション部150は、対象部品が交換されたとものとみなして経過時間Tをリセットする。
(処理6)
故障シミュレーション部150は、経過時間TをT+Tiに更新する。ここで、Tiはシミュレーション間隔を示す。故障シミュレーション部150は、設定したシミュレーション期間の終了時点にシミュレーション経過時間が達するまで処理1から処理5を繰り返す。シミュレーション経過時間は、シミュレーションを開始した時点からのシミュレーション上の経過時間である。
図6は、故障シミュレーション部150がサンプルパスを生成する様子を、具体例を用いて示している。本例において、あるサンプルパスの5月目において、劣化モデルに基づいてドア部品Aに故障が発生するものの、当該故障は点検作業により未然に防止される。そのため、故障シミュレーション部150はドア部品Aに対応する経過時間Tをリセットする。また、9月目において、劣化モデルに基づいてドア部品Aに故障が発生するものの、点検作業により当該故障を未然に防止することができなかったためにドアの故障が発生する。そのため、故障シミュレーション部150はドア部品Aに対応する経過時間Tをリセットする。
(ステップS105)
保守コスト推定部160は、故障シミュレーション部150が実施したシミュレーションの結果から、各シミュレーション経過時間における保守コスト及びダウンタイムを算出する。なお、当該シミュレーション結果はサンプルパスに当たる。
具体的には、保守コスト推定部160は、各部品について、全てのサンプルパスを対象として、各シミュレーション経過時間において「故障発生」と「点検作業による故障防止」と「故障なし」との各状態の発生回数を集計する。保守コスト推定部160は、具体例として、集計した結果に対して、保守情報DB193にあらかじめ設定されている各コストを掛け合わせることにより、各年における設備の保守コスト及び設備のダウンタイムの期待値を算出する。各コストは、具体例として、部品ごと又は故障内容ごとに定められているコストである。
図7は、あるシミュレーション経過時間におけるある部品に対する保守コスト及びダウンタイムを算出する処理を、具体例を用いて説明する図である。本例において、当該あるシミュレーション経過時間において、当該ある部品についての全てのサンプルパスにおいて、「故障発生」が合計で2000回発生し、「点検作業による故障防止」が合計で3000回発生し、「故障なし」が合計で5000回発生した。なお、サンプリング数は10000である。保守コスト及びダウンタイムの各々は、保守情報DB193に格納されているデータを用いて算出されてもよい。このとき、期待保守コスト及び期待ダウンタイムの各々は図7に示すように算出される。ここで、期待保守コストは保守コストの期待値である。期待ダウンタイムはダウンタイムの期待値である。
保守コスト推定部160は、各シミュレーション経過時間における各部品についての期待保守コスト及び期待ダウンタウンを算出し、算出した期待保守コスト及び期待ダウンタウンの各々を合算することにより、将来における対象設備全体についての保守コスト及びダウンタイムを推定する。
図8は、点検作業の実施間隔を変えながらシミュレーションを実施した結果を活用することについて説明する図である。ユーザーは、具体例として、各実施間隔における保守コスト及びダウンタイムに基づいて期待損失を算出し、算出した期待損失を比較することにより、最適な実施間隔を選択することができる。ここで、保守コストは部品交換及び手入れ等にかかる費用の総額の期待値である。ダウンタイムは、部品の故障対応、設備の復旧対応、及び設備の点検等に要する総時間の期待値である。
なお、ある実施間隔に対応するシミュレーションを実施する場合において、当該ある実施間隔における点検作業の実績のみを用いることが望ましい。即ち、具体例として、ある部品に対して2か月間隔で点検作業を実施する条件において当該ある部品の故障をシミュレーションする場合において、保守情報DB193に格納されている当該ある部品に関するデータのうち、2か月間隔で点検作業を実施した際に取得されたデータのみを用いることが望ましい。
***実施の形態1の効果の説明***
以上のように、本実施の形態によれば、設備の故障の関係性を表すフォルトツリーに点検作業の効果を取り込み、点検作業の効果を取り込んだフォルトツリーを用いて故障シミュレーションを実施する。ここで、点検作業の効果は、点検作業によって故障予兆を発見することができ、故障を未然に防止することができると推定される確率である。そのため、本実施の形態によれば、点検作業によって故障を未然に防止することができる効果を考慮して保守コスト及びダウンタイムを推定することができる。即ち、本実施の形態によれば、従来技術と比較して、現実の設備保守過程により近い故障シミュレーションを実施することができる。そのため、本実施の形態によれば、比較的高い精度で保守コスト及びダウンタイムを推定することができる。
また、本実施の形態によれば、点検作業の頻度ごとに将来における保守コスト及びダウンタイムを推定することができる。そのため、適切な点検作業の頻度を選択する際に本実施の形態を活用することができる。
***他の構成***
<変形例1>
保守効果統合部140は、故障防止確率として、保守情報DB193に格納されているデータから算出した値の代わりに任意の目標値を用いてもよい。
本変形例を活用することにより「点検作業によってX%の確率で故障予兆を発見することができれば、保守コストをY円下げることができる」といった評価を仮想的な点検作業に対して実施することができる。そのため、故障予測技術を開発する場合等において精度目標の検討等に本変形例を活用することできる。
<変形例2>
図9は、本変形例に係る保守コスト推定装置100のハードウェア構成例を示している。
保守コスト推定装置100は、プロセッサ11、プロセッサ11とメモリ12、プロセッサ11と補助記憶装置13、あるいはプロセッサ11とメモリ12と補助記憶装置13とに代えて、処理回路18を備える。
処理回路18は、保守コスト推定装置100が備える各部の少なくとも一部を実現するハードウェアである。
処理回路18は、専用のハードウェアであってもよく、また、メモリ12に格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。
処理回路18が専用のハードウェアである場合、処理回路18は、具体例として、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はこれらの組み合わせである。
保守コスト推定装置100は、処理回路18を代替する複数の処理回路を備えてもよい。複数の処理回路は、処理回路18の役割を分担する。
保守コスト推定装置100において、一部の機能が専用のハードウェアによって実現されて、残りの機能がソフトウェア又はファームウェアによって実現されてもよい。
処理回路18は、具体例として、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせにより実現される。
プロセッサ11とメモリ12と補助記憶装置13と処理回路18とを、総称して「プロセッシングサーキットリー」という。つまり、保守コスト推定装置100の各機能構成要素の機能は、プロセッシングサーキットリーにより実現される。
***他の実施の形態***
実施の形態1について説明したが、本実施の形態のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、本実施の形態を部分的に実施しても構わない。その他、本実施の形態は、必要に応じて種々の変更がなされても構わず、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施されても構わない。
なお、前述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本開示と、その適用物と、用途の範囲とを制限することを意図するものではない。フローチャート等を用いて説明した手順は適宜変更されてもよい。
11 プロセッサ、12 メモリ、13 補助記憶装置、14 入力IF、15 出力IF、18 処理回路、19 信号線、21 入力装置、22 出力装置、100 保守コスト推定装置、110 入力部、120 フォルトツリー構成部、130 保守効果算出部、140 保守効果統合部、150 故障シミュレーション部、160 保守コスト推定部、170 出力表示部、191 劣化モデルDB、192 遠隔監視DB、193 保守情報DB、194 保守効果DB。

Claims (7)

  1. 設備が備える部品に故障が発生するか否かをシミュレーションにより推定する保守コスト推定装置であって、
    前記部品に対する修繕作業を実施してからの経過時間に応じて推定される確率であって、対象時点において前記部品に故障が発生している確率である故障発生確率を示す劣化モデルと、前記部品に対する点検作業によって前記部品の故障を防止することができると推定される確率である故障防止確率とを用いて、前記対象時点において前記部品に故障が発生しているか否かを前記シミュレーションによって推定する際に用いられるモデルである故障推定モデルを生成する保守効果統合部
    を備える保守コスト推定装置。
  2. 前記故障推定モデルはフォルトツリー解析を実施するためのモデルである請求項1に記載の保守コスト推定装置。
  3. 前記保守コスト推定装置は、さらに、
    前記故障防止確率を算出する保守効果算出部
    を備える請求項1又は2に記載の保守コスト推定装置。
  4. 前記保守効果算出部は、前記部品に対する点検作業によって前記部品の故障を防止した実績に基づいて前記故障防止確率を算出する請求項3に記載の保守コスト推定装置。
  5. 前記保守効果算出部は、前記部品を遠隔監視することによって得られた情報と、前記部品の設計情報との少なくともいずれかを用いて前記故障防止確率を算出する請求項3に記載の保守コスト推定装置。
  6. 前記保守コスト推定装置は、さらに、
    対象期間を対象として前記シミュレーションを実行する故障シミュレーション部と、
    前記シミュレーションを実行した結果に基づいて前記対象期間における前記部品の保守コストを推定する保守コスト推定部と
    を備え、
    前記シミュレーションは確率的シミュレーション技術に基づくシミュレーションである請求項1又は2に記載の保守コスト推定装置。
  7. 設備が備える部品に故障が発生するか否かをシミュレーションにより推定する保守コスト推定方法であって、
    コンピュータが、前記部品に対する修繕作業を実施してからの経過時間に応じて推定される確率であって、対象時点において前記部品に故障が発生している確率である故障発生確率を示す劣化モデルと、前記部品に対する点検作業によって前記部品の故障を防止することができると推定される確率である故障防止確率とを用いて、前記対象時点において前記部品に故障が発生しているか否かを前記シミュレーションによって推定する際に用いられるモデルである故障推定モデルを生成する保守コスト推定方法。
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