JP7499538B1 - 慢性疼痛の治療、改善およびセルフケアシステム - Google Patents

慢性疼痛の治療、改善およびセルフケアシステム Download PDF

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Abstract

【課題】慢性疼痛治療支援システム及び慢性疼痛治療支援アプリを提供する。【解決手段】ネットワークシステム100は、慢性疼痛或いは片頭痛の生物心理社会的要因を分析するための疾患特異的指標及び診断横断的指標および/またはユーザの疼痛の状態を記録する疼痛日誌と、慢性疼痛の疾患特異的な心理療法を実行する治療モジュールと、を記憶した記憶装置と、慢性疼痛を診断するための指標に対するユーザの回答の入力および/またはユーザの疼痛状態を記録した疼痛日誌の日々の記録の入力と、治療モジュールをユーザに提供するためのユーザ情報端末101と、ユーザの回答および/または日々の記録を、所定のアルゴリズム或いはAIによって最適化されたアルゴリズムにより、ユーザの慢性疼痛のタイプをアセスメントし、かつ、タイプに応じた治療用カリキュラムを記載したリストに基づいてユーザ端末に治療用カリキュラムを提供するサーバ106と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、慢性疼痛の治療を支援するための慢性疼痛治療支援システムおよび慢性疼痛治療支援用プログラムに関するものである。
慢性疼痛とは「治癒に要すると予測される時間を超えて持続する 痛み、あるいは進行性の非がん性疾患に関連する痛み」と定義される。整形外科疾患や術後に遷延する痛み、帯状疱疹や糖尿病に関連する神経障害性疼痛などがある。 慢性疼痛は痛みが長期間持続することにより病態が複雑化し、心理社会的要因も痛みの構成要素となることが知られている。そして、心理療法によって、痛みの軽減だけでなく、慢性痛による日常生活の不自由さや悲観的な考えを軽減し、達成感や充実感のある生活を取り戻すのに有効であることが知られている。
片頭痛は片頭痛は頭痛発作を繰り返す疾患で,発作は 4~72 時間持続する。典型的には、片側性、拍動性の頭痛で、中等度から重度の強さであり、日常的な動作により頭痛が増悪する。随伴症状には悪心や光過敏・音過敏がある。片頭痛は、心理社会的なストレスが関与していることも多い。片頭痛はストレスがあるときにだけ起こるのではなく、ストレスがなくなった後に起こることもある。心身のストレスから解放された時に、副交感神経の働きで急に血管が拡張することがあり、その際に片頭痛が起こるといわれている。そこで、心理社会的因子の変容を図る治療としては、心理療法が多く用いられ、有効であることが知られている。
特許文献1には、利用者の精神状態を、通信網を介して行う認知行動療法により改善させるための情報を提供する情報処理方法であって、利用者の属性及び精神状態に係る情報を取得し、利用者の属性及び精神状態に応じて該精神状態を改善させるための情報の提供方法が算出されるように機械学習させた学習済みモデルに、取得した前記属性及び精神状態に係る情報を入力して情報の提供方法を算出し、前記学習済みモデルによって算出された提供方法に基づいて、利用者の精神状態を改善させるための情報を、通信網を介して利用者に提供するが記載されている。
再表2020/059789号公報
特許文献1では、うつ病等の精神状態を改善するために自身の感情が動いた瞬間の状況と、行動、考え、体の状態、気持ち及びその強さを入力し、その結果に基づいて、改善のためのセッションを提供することを教示している。しかしながら、慢性疼痛などの心身症の場合は、そういった心理的要因の改善だけでなく生物的あるいは社会・環境要因なども考慮に入れないと効果が得られないという問題があった。
本発明の課題は、慢性疼痛(慢性頭痛、腰痛、関節痛等を含む)や片頭痛の症状を訴える患者に対して症状の緩和・改善あるいは、痛みのコントロールのトレーニングを手軽に、かつ安全に提供することにある。
(請求項1)
慢性疼痛あるいは片頭痛の生物心理社会的要因を分析するための疾患特異的(および診断横断的)指標および/またはユーザの疼痛の状態を記録する疼痛日誌と、
慢性疼痛の疾患特異的な心理療法を実行する治療モジュールと、を記憶した記憶装置と、
前記慢性疼痛を診断するための指標に対するユーザの回答の入力および/または前記ユーザの疼痛状態を記録した疼痛日誌の日々の記録の入力と、前記治療モジュールをユーザに提供するためのユーザ端末と、
前記ユーザの回答および/または前記日々の記録を、所定のアルゴリズム、あるいはAIによって最適化されたアルゴリズムにより、ユーザの慢性疼痛のタイプをアセスメントし、かつ、前記タイプに応じた治療用カリキュラムを記載したリストに基づいて前記ユーザ端末に治療用カリキュラムを提供するように制御する制御部と、を含む慢性疼痛の治療・改善・セルフケア用のシステム。
(請求項2)
医療機関の端末の通信部と優先又は無線で接続され、医療機関の端末の電子カルテシステム等とデータ送受信を行う請求項1のシステム。
(請求項3)
前記慢性疼痛が、慢性頭痛、慢性関節痛、慢性腰痛、または片頭痛である請求項1または請求項2に記載のシステム。
(請求項4)
診断、治療またはセルフケアのための疼痛日誌のためのシステムであって、
少なくとも、ユーザの疼痛の程度と、気分を含むその他のデータとを時系列に従って記憶する記憶装置と、
ユーザの痛みの程度および気分を入力するための入力装置と、
前記システムを連携させて制御する制御部と、
前記疼痛の程度と、前記データとを表示するための表示器または送信するための通信部と、
を含むシステム。
(請求項5)
前記制御部は、前記疼痛の程度と、前記その他のデータの相関関係を分析する請求項4のシステム。
(請求項6)
前記相関関係を基に、疼痛の予測を行う請求項5のシステム。
(請求項7)
前記通信部は医療機関の端末の通信部と優先又は無線で接続され、医療機関の端末の電子カルテシステム等とデータ送受信を行う請求項5のシステム。
(請求項8)
前記疼痛が、慢性頭痛、慢性関節痛、慢性腰痛、片頭痛のいずれかである請求項4ないし請求項7のいずれかに記載のシステム。
(請求項9)
慢性疼痛の治療法支援方法であって、
患者の慢性疼痛に関する状況の入力を受け付ける入力工程、
前記患者の前記状況に応じて治療法を決定する決定工程、
前記決定に応じて、心理療法に基づく治療のための治療モジュールを前記患者に提供する治療工程、 とを有する慢性疼痛の治療支援方法。
本発明のシステムを示す概念図である。 本発明の疼痛日誌の例を示す図である。 本発明のアセスメント項目の入力方法の例を示す図である。 本発明のPDASのアセスメント項目の入力方法の例を示す図である。 本発明のGAD-7のアセスメント項目の入力方法の例を示す図である。 本発明のPHQ-9のアセスメント項目の入力方法の例を示す図である。 本発明の第一の実施例のフローを示す図である。 本発明の第一の実施例で提供されるタイプ別の治療用カリキュラムの一例を示す図である。
(治療用アプリを含むシステムの構成)
本発明の一実施形態として、インターネット上に設置されたネットワークシステムにインストールされたプログラムを挙げる。ネットワークシステムは、サーバやクラウド上の大容量の記憶装置を備え、ノートパソコンやスマートフォン、タブレットなどのユーザ端末がインターネットを介して接続されたサーバであり、このサーバ装置は、本実施形態に係るプログラムを実行することで、ユーザ端末とのデータ通信を通じて、ユーザ端末から入力された情報や、サーバの記憶装置に格納されている情報を用いてユーザ端末を介してユーザに慢性疼痛(腰痛、関節痛、片頭痛を含む)の治療や緩和、セルフケアを可能とする治療用アプリや慢性疼痛に関わる疾患教育等の各種情報を提供するものである。また、本システムはサーバとユーザ端末が協同して利用者、慢性疼痛患者の症状を改善する例として示したが、すべての要素をサーバ側だけに保持し、ユーザ端末は情報入出力と情報表示のためだけに用いるシステム、あるいは、必要なデータやプログラムをユーザ端末にダウンロードして、すべての処理をユーザ端末で実行できるシステムや、ユーザーがアクセスできるウェブページでの提供も本発明の範囲に含まれる。
図1にユーザ端末101とサーバ106を含むネットワークシステム100の構成の概略を示した。ユーザ端末101は、インターネット110を介してユーザサーバ106と通信するための通信部102、個人情報や、データ、プログラムを記録するための記憶装置104、表示装置105、ユーザからの入力を受け付ける入力装置111、これらの制御を行う制御装置103などを含む。サーバ106は、インターネット110を介してユーザ端末101と通信するための通信部108、大容量の記憶装置109、および制御装置107などを含む。制御装置107には、通信部108を介してユーザ端末101と通信するための通信制御プログラムが実装されているとともに、記憶装置109に構築されたデータベースを管理するプログラムと、ユーザの現在または過去の症状・状態を記録した症状の記録(日誌)を管理する専用のプログラム(以下、症状日誌プログラムとも言う)や、治療用アプリのサーバ側プログラム、治療用アプリの治療用のモジュールであるワークや疾患教育の動画などのデータが実装されている。そして、サーバ側の治療用プログラムは、ユーザ側の治療用アプリと連携して診断・治療・緩和・改善・維持またはセルフケアを実行し、制御装置107が治療に必要な情報を通信制御プログラムやデータベース管理プログラムと連携させながらユーザ端末に提供する。それによってサーバ106による診断・治療・緩和・改善・維持あるいはセルフケアがユーザに提供される。この例では治療用アプリはサーバ側部分とユーザ端末側部分に分けられ、診断・治療・緩和・改善・維持またはセルフケアが実行される例を示すが、必要なプログラム・データ等をすべてユーザ端末101にダウンロードし、ユーザ端末101で独立して実行できる構成としてもよい。または、ユーザー端末101は入力手段および表示手段としてのみ機能し、サーバ106はユーザ端末101からの入力、例えば専用のウェブページを介した、に基づいてプログラムを実行するように構成してもよい。
(疼痛日誌(症状日誌))
図2に記憶装置109(場合によっては記憶装置104)に記憶される疼痛日誌のデータの一例を示した。本疼痛日誌は、患者の午前・午後・夜の疼痛の程度、午前・午後・夜の服薬の記録、午前・午後・夜の生活への疼痛の影響、その日の気分、天候、平均気温(最高気温、最低気温、寒暖差などを記録するようにしても良い)、平均湿度(午前・午後・夜の湿度としても良い)、体温(午前・午後・夜の湿度としても良い)、最高血圧・最低血圧(午前・午後・夜の湿度としても良い)、環境要因や状況などのストレス要因などを記録する、その日の出来事・メモ、生理の有無などをセットにして日毎に記憶している。なお、本日誌はいずれかの慢性疼痛、慢性頭痛、片頭痛、関節痛、腰痛などに対して利用することができるが、さらに、いずれの痛みかを記録するようにしても良い。次に図3にそれぞれのデータをユーザ端末101を介して入力する方法を示す。まず、入力時刻はユーザ入力欄をクリックすると、「午前」、「午後」、「夜」を選択可能とするドロップボックスが表示され、ユーザはいずれかを入力する、次に、その入力時点での痛みの程度を入力するために、入力欄をクリックし、出願するドロップボックスから、「強」、「中」、「弱」、「なし」を選択する、続いて、薬品名個数入力のドロップボックスをクリックし、薬品名「バファリン」、「ロキソニン」、「イミグラン」、「ゾーミッグ」、「レルバックス」、「マクサルト」、「アマージ」、「インデラル」などから選択し、また、その量を「1錠」、「2錠」、「3錠」などから選択する。次に、痛みの生活への影響を記録するために、ユーザ入力欄をクリックし、出現するドロップボックスから「大」、「中」、「小」を選ぶ。さらに、その日の気分を記録するために、気分の横のユーザ入力欄をクリックし、「憂鬱」、「不安」、「イライラ」、「脈打つ痛み」、「吐き気」、「重い痛み」、「嘔吐」、「不眠」、「その他」から感情、症状を選択する。また、女性の場合は、生理の有無を入力することもできる。さらに、毎日一定時間に測定した体温、血圧をユーザー欄をクリックして入力する。さらに、その日の天候をユーザ記入欄をクリックして、出てきたドロップボックスの「晴れ」、「曇り」、「雨」から選択して、入力、気温、湿度を、ユーザ入力欄に記入して記憶する。すべての入力が終わったら、図示していない「完了」ボタンをクリックして、図2に示したリストに入力値を上書きする。また、上記例ではユーザが手入力したが、天候、気温、湿度は地方の気象情報提供サイト等からダウンロードすることができる。さらに、体温、血圧は、スマホのカメラや、スマートウォッチ、イヤホン型のウェアラブルデバイスなどから自動的に取得しても良い。また、痛みを感じたときに都度、タッチするボタンを入力装置として設けて、その都度押すように構成し、その強さや回数から痛みの程度を判定する、あるいは、脈拍などで頭痛の状態にあることが認識できる場合はそのようなバイタルサインを用いて入力するようにしても良い。その他、当業者周知の入力方法でこれらのデータを入力することもできるし、項目を増減することもできる。また、ここでは、日にちの情報はスマートフォンから自動取得されたが、ユーザが入力できるようにしても良い。図2のリストでは3月1日から3月3日のデータの例を示しているが、これに限らず、連続してデータが増えていくことは言うまでもない。さらに、これらのデータはユーザ端末101や管理者や医療機関の端末(図示しない)と連携させ、これらの端末から、特定日の患者のデータの呼び出し、あるいは、評価しやすいように集計・分析したデータ、例えば、平均データの呼び出し、特定期間のデータの推移(折れ線グラフ等で)を呼びだして表示できるようにすることによって、患者の状態の確認や、ユーザのセルフケアに役立てることができる(呼び出すだけでなく定期的にデータを送信するようにしても良い)。さらに、医療機関の端末の電子カルテ等のソフトと連携させ、データをソフトに転送、あるいは特定のデータをソフトに転送して医療機関で利用することもできる。
疼痛日誌は服薬管理アプリとして使うことも可能で、服薬時に服薬した時間、服薬した薬品名、個数を記録できるようにしても良い。ここで、良く服薬する薬品は、簡単に選択できるように、入力画面でボタン表示させ服薬時にボタンを押すと、その押した回数とともに、時間、を記憶させても良い。さらに、この服薬管理と痛みの相関関係のグラフや、両者のデータの折れ線グラフなどを表示、あるいはそれらのデータを医療機関端末に転送するようにしても良い。
(集計例)
(1)一日の痛みの総量を計算する(総量=午前の痛みの程度+午後の痛みの程度+夜の痛みの程度)。
(2)気温
(3)気温変化量(変化量=前日の気温―当日の気温)
(4)湿度
(5)湿度変化量(変化量=前日の湿度―当日の湿度)
(6)気分
(7)メモ(言語解析により、メモ欄に記載された文章から単語を抽出する)
これらのパラメーターを時系列で並べたグラフを作成し、ユーザからのリクエストに応じて表示する。曜日などとの周期的な特徴などを抽出して、痛みが起きやすい日(曜日)を表示時に色で変えるなどすることができる。
さらに、(1)と、そのほかの(2)-(7)のパラメータとの相関係数を算出し、相関係数が0.7-1.0と強い相関があるパラメーターを色を変えてり、点滅で表示させるなど、ユーザからのデータリクエスト時に、気づきやすいように表示する(疼痛が対象なので疼痛に関する相関を分析するのが好ましい)。
集計方法はこれに限られず、多変数解析など複数のパラメータを用いた解析を行ったり、当業者周知のそのほかの集計・分析方法を利用することができる。
(予測例)
前記集計結果を参照し、例えば、湿度変化量が+50%の時にその変化と痛みの程度「強」が強い相関を示していたとする。そして、天気予報情報提供サービスから翌日の湿度予想を取得し、当日の湿度より60%上昇することが予想された場合、表示部にアラートを発して、ユーザに警告することができる。
(片頭痛の心理的アセスメント)
片頭痛(慢性頭痛を含む)をもたらす生物心理社会的要因は多様であり、治療アプリによって改善を目指す対象(アウトカム)によってアセスメント方法が異なってくる。片頭痛や慢性頭痛疼痛に用いられる疾患特異的な尺度としては、MIDAS(MIDS)質問票が挙げられる。これは片頭痛による日常生活への支障度を評価する方法である。また、頭痛の、痛み、日常役割機能、社会的役割機能、活力/疲労、認知機能、精神的ストレスなどをとらえる尺度としてHIT-6や、痛みの尺度であるVASなどを用いることができる。また、頭痛に伴う精神症状としての診断横断的な状態を測定するために、不安と抑うつを評価するHADS、破局的思考を評価するPCS、抑うつ傾向を測定するBDI、SDS、HAM-D、EPDS、PHQ-9などの尺度や、不安傾向を測定するMAS、STAI、LSAS-J、GAD-7などの尺度や、AISなどの睡眠障害の尺度、あるいは診断横断的な尺度であるPFQ、CMI、GHQなどを単独、好ましくは組み合わせて用いることもできる。
これらの尺度を用いて、例えば、日常生活への片頭痛の困り感を測定するためには、疾患特異的な尺度MIDASを、また、片頭痛による様々な精神情報を測定するには診断横断的な尺度PFQを、同時に双方をターゲットとする場合は疾患特異的な尺度と診断横断的な尺度の双方を利用するなどといった利用が可能である。
そして、これらの指標への対象者の回答結果を集計し、所定のアルゴリズムを用いて、その対象者の片頭痛や慢性疼痛をもたらす生物心理社会的要因を分類することができる。
なお、頭痛には、その要因が、器質性か心因性か混合性かといった区分も可能で、器質性の頭痛に対して、心理療法を提供しても一定の効果しか期待できない。そこで、器質性か心因性か混合成果といったアセスメントを先立って行うと都合が良い。
(慢性疼痛の心理的アセスメント)
慢性疼痛(慢性関節痛や慢性腰痛などを含む)をもたらす生物心理社会的要因も多様であり、治療アプリによって改善を目指す対象(アウトカム)によってアセスメント方法が異なってくる。慢性疼痛に用いられる疾患特異的な尺度としては、PDAS質問票が挙げられる。これは疼痛による生活生涯、身体運動と移動能力がどの程度障害されているか評価する方法である。また疼痛の生活の質(QOL)に対する影響を評価するためのEuroQolやSF-36などを利用することもできる。そのほかの、疼痛の、痛み、日常役割機能、社会的役割機能、活力/疲労、認知機能、精神的ストレスなどをとらえる尺度としてHIT-6や、痛みの尺度であるVAS、NRS、Face Scale、VRS、MPQ、BRTP、痛みの7角形プロフィールなどを用いることができる。また、疼痛に伴う精神症状としての診断横断的な状態を測定するために、不安と抑うつを評価するHADS、破局的思考を評価するPCS、抑うつ傾向を測定するBDI、SDS、HAM-D、EPDS、PHQ-9などの尺度や、不安傾向を測定するMAS、STAI、LSAS-J、GAD-7、CASなどの尺度、AISなどの睡眠障害の尺度、あるいは診断横断的な尺度であるPFQ、CMI、GHQなどを単独、好ましくは組み合わせて用いることもできる。
これらの尺度を用いて、例えば、日常生活への疼痛の困り感を測定するためには、疾患特異的な尺度PDASを、また、疼痛による様々な精神情報を測定するには診断横断的な尺度PFQを、同時に双方をターゲットとする場合は疾患特異的な尺度と診断横断的な尺度の双方を利用するなどといった利用が可能である。
そして、これらの指標への対象者の回答結果を集計し、所定のアルゴリズムを用いて、その対象者の片頭痛や慢性疼痛をもたらす生物心理社会的要因を分類することができる。
なお、疼痛には、その要因が、器質性の急性疼痛か心因性の慢性頭痛か混合性かといった区分も可能で、器質性の疼痛に対して、心理療法を提供しても一定の効果しか期待できない。そこで、器質性か心因性か混合成果といったアセスメントを先立って行うと都合が良い。
上記質問票や心理検査だけでなく、さらに、疾患特異的なアセスメントのための指標や診断横断的なアセスメントのための指標を追加してもよい。例えば、アクセプタント&コミットメント・セラピー(ACT)で用いられる診断横断的な指標は、心理社会的問題、生活適応やストレス等に対して、患者がどの程度適応的に行動できているのか、或いは非適応的に行動しているのかをアセスメントするためのものであり、量的測定指標を用いてアセスメントを行う。例えば、適応的な行動として、不快な思考や感情を回避しないで、そのままにしておく「アクセプタンス」、考えと現実を区別して、不快な思考や感情にのみ込まれない「脱フュージョン」、目の前の現実への気づきを保持する「今、この瞬間との接触」、俯瞰的な視点から、自分自身が気づいていることに気づく「視点としての自己」、生きたい「生き方」を明確にする「価値の明確化」、生きたい「生き方」を追求する「コミットメント」等を想定している。心理社会的問題、生活適応やストレス等に対して、上述の適応的な行動をアセスメントすることにより、アクセスしたユーザー(患者:対象者)の心理的柔軟性をアセスメントする。そして、心理社会的問題、生活適応やストレス等に対して、上述の適応的な行動が見られる対象者であれば、健康的であり、生活の質が高く、ストレスが低く、各種疾患に対する抵抗力が高い状態にあると判断できる。また、これらの心理的柔軟性を高めることによって疾患特異的な介入の効果を高めることができるので、認知行動療法においてこれらの評価をするために用いられている公知の指標を用いて、その量的評価を行い、例えば、脱フュージョンで問題があればそこに介入する治療モジュールを追加して、治療を行うことが好ましい。ここでは好例として認知行動療法の指標に言及したが、そのほかの診断横断的な指標を用いることもできる。
心理的アセスメントの質問例を、図4、図5、図6にPDAS、GAD-7、PHQ-9による質問項目をユーザ端末101で入力する例として示した(これら質問票の質問項目のすべて、一部抜粋、あるいは代替えの質問としても良い)。このほか、身体症状、精神症状、社会的症状等に関する質問項目を設ける、あるいは、EMA(Ecological Momentary Assessment、経験サンプリング法)と同時に記録することができる。本例では、ユーザ端末101の表示装置105に入力項目が表示され、表示装置105の表面に設けられたタッチパネルである入力装置111によってそれぞれの項目について該当する・該当しないという判断に基づいて0-3の数値を選択する例を示したが、スライダバーを利用して入力することなど、表示や入力方法はこれに限られず、自由記載やチェックボックスを利用してもよい。さらに、入力方法は、音声入力や、バイタルサインによる入力などでも構わない。これらの質問項目の回答の統計処理、あるいは、AIによる処理によって、患者の不眠症のタイプを分類することができる。たとえば、スマートフォンのGPSを利用して、平均的な活動度が下がっている場合、PDASの「レストランや喫茶店に行く」の活動度の質問を省略し、回答結果の記録として、25%程度低下していた場合は、「2」を記録するなど、バイタルデータ(特にパッシブに測定できるものが都合が良い)で代用しても良い。
(教育コンテンツ)
慢性疼痛や片頭痛についての生理的、心理的メカニズム、健全な日常生活の活動やリズム、慢性疼痛や片頭痛の症状を改善するために、患者の生物学的特性やパーソナリティ特性といった器質的要因と、慢性疼痛や片頭痛を発生させるストレスや状況といった促進要因と、慢性疼痛や片頭痛を発症させるメカニズム、慢性疼痛や片頭痛を持続させる信念や、不安、習慣を修正するための必要性などの、疾患教育コンテンツ、本プログラムによる治療プログラムや、認知行動療法などの心理療法による認知のゆがみの改善や行動の修正の原理と期待効果に関する、心理教育コンテンツ、さらに、アセスメントを実行する場合は患者の慢性疼痛や片頭痛をもたらしている要因とその典型的な治療計画、その治療経過の例示などに関するタイプ別教育コンテンツ、を含み、これらの教育コンテンツによって患者のアドヒアランスを向上させることができる。
(Transtheoretical model、以下、「TTM」と呼ぶ )
行動変容ステージモデルでは、人が行動を変える場合は「無関心期」→「関心期」→「準備期」→「実行期」→「維持期」の5つのステージを通るといわれている。行動変容のステージをひとつでも先に進むには、その人が今どのステージにいるかを把握し、それぞれのステージに合わせた働きかけが必要になるため、心理教育、治療モジュールを提供する段階で、そのアプリの実施時点でどのステージにいるかを質問票により確認し、次のステージに進むのが不適当と判断された場合は、再度直前のプログラムを提供するようにすると治療効率を上げることができる。ここで、一つのプログラムについて、共通の目的を持つ異なるプログラム(つまり記憶装置に複数の同一目的ではあるがことなる治療モジュールが記憶されている)であると利用者に飽きを感じさせることがないので都合がよい。
(心理療法に基づく治療モジュール(ワーク))
疾患特異的なワークとしては、漸進的筋弛緩法、腹式呼吸法、視覚イメージ法、睡眠法、入浴法などの「リラクゼーション」(筋緊張は慢性疼痛を持つ方の多くに共通する感情である不安や落胆、ストレスなども強めるのでそれらを弱めるワーク)、「注意シフト」(痛みのある部位あるいは、内部委に触れることで、過度に痛みのある部位に注目していることに気づき、痛みへの注意をセルフケアするカウンセリング)、「安全行動・行動活性化」(実際に再び起こるかわからない痛みを回避する行動を続けていることに気づくカウンセリング)、「ストレスマネジメント」(慢性疼痛や片頭痛について考え続けるストレスを減らすためのカウンセリング)、「イメージの書き直し」(疼痛時の最もつらい気持ちを思い出してしまうインデックスイメージを書き直すことによって疼痛の緩和を目指すカウンセリング)、「ページング」(痛みが悪化しない、ペース配分での活動をするためのカウンセリング)、「行動活性化」(慢性疼痛場面における患者の特定の否定的な予測を反証するためのカウンセリング)、「認知再構成」(痛みに対する否定的な認知や感情を発見し、改善するためのカウンセリング)などが挙げられる。
一方で、診断横断的なワークとしては、「白くま実験」(「シロクマ」のことだけは絶対に考えないでください!と言われるとつい白くまのことを考えてしまうという現象に基づく認知のメカニズムに関するカウンセリング)、「アクセプタンス」(思考に逃げないことに関するカウンセリング)、「脱フュージョン」(事実とネガティブな思考や感情と同一化し起きてもいないことに対して不安になってしまう認知のとらえ方をネガティブな思考や感情と自分を切り離して、否定的な感情に巻き込まれないようにするカウンセリング)、「今、この瞬間」(過去や未来は思考でしかないことに気付くようにするカウンセリング)、「価値とゴール」(個人の価値を明確にし、思考に引きずられることなく、その価値に基づいて、人生を生きることに意味を感じ、心理的柔軟性を増して思考から行動していけるようにするカウンセリング)、「マインドフルネス呼吸法」、「自律訓練法」(自分自身の力で適度なリラックス状態を得られるようになるための訓練)、「認知再構成法」(否定的な認知(全か無かの思考、「べき」思考、過度の一般化、感情的理由付け、レッテル貼り、過大視と微小視、運命の先読み、の改善)などが挙げられる。典型的には、これらの、疾患特異的なワークだけでなく、診断横断的なワークとを複数組み合わせたプログラム(場合によってはいずれかのみの場合もある)をユーザのスマホアプリを介して提供して治療やセルフケアを行うが、その患者のタイプに応じて、複数組み合わせて順序だててプログラム化して提供することによって、例えば、その患者の元々のパーソナリティとしての認知の歪みが改善されたうえで、慢性疼痛や片頭痛に関する、その対象者の素養的な認知の歪みが改善されるので、疾患特異的な治療のみ、あるいは典型的なプログラムを提供する場合に比べて、より一層症状の改善が期待できる。ここで、慢性疼痛や片頭痛の場合、複数の認知等の問題が関連していることが多いので少なくとも3以上のワークをプログラム化したものであると好ましい。ここで、典型的には、それぞれのワークは複数のその目的を達成するための複数のセッションからなる。
ワークに含まれるカウンセリングは医療機関で行われるカウンセリングの問答をベースにしたデータが記憶装置109に記憶され、そのデータを治療用アプリのプログラムがチャットボット形式で提供するものである。ただし、ここでは、チャットボットを用いて、文書としてユーザ端末101を介して提供することを想定しているが、ユーザ端末101を介して音声や動画(VRなどを含む)で提供するなど他の方法でユーザに提供してもよい、またこれらをユーザが選択できるように構成してもよい。
(実施例1)
図4に本発明の第一の実施例の慢性疼痛治療用アプリによる症状の改善フローを示した。まず、ユーザ(患者)がユーザ端末101にシステム100(またはGoogle Play(登録商標)やApple Store(登録商標)のようなダウンロードサーバ)から慢性疼痛治療用アプリ(本アプリ)をダウンロードしてインストールする。次にユーザは本アプリを起動すると、まず、(工程701)図3の入力画面に従って、毎日の疼痛に関する情報を入力する。入力された値はネットワーク110を介してシステム100に送信され、記憶装置109に図2の様式で保存される。ユーザは以後毎日この日誌の入力を続ける。(工程702)次に、疼痛日誌の開始と前後して、慢性疼痛の心理的アセスメントを行う。まず、慢性疼痛であるか否かの簡易的アセスメントでアプリへの適合性を確認する。システムはアプリの適合性判定機能を起動し、図7(b)のように、「3か月以上続いている痛みですか?」、「がんなどの疾患はありますか?」との問いをユーザ端末101の表示部に表示し、ユーザーはがそれぞれ、YES、NOと回答した場合に、アプリの適合性ありと判定してプログラムを続行し、それ以外の場合は、表示部に「医療機関を受診してください」と表示してアプリを停止する。続いて、たとえば、システム100のプログラムは、図4の入力されたPDASの質問項目の値、図5で入力されたGAD-7の値,図6で入力されたPHQ-9の値を分析し、典型的にはそれぞれの合計得点を用いて、(0)PDASの値が40以上、GAD-7、PHQ―9の少なくともいずれかの値が15点以上(重度、この場合、医療機関等への受診勧奨を行う)、(1)PDASの値が10点以下はタイプ1(健康状態)、(2)PDASの値が11-39点、GAD-7の値が4以下、PHQ―9の値が4以下(慢性疼痛タイプ)、(3)PDASの値が11-39点、GAD-7の値が5-14、PHQ―9の値が4以下(慢性疼痛不安型タイプ)、(4)PDASの値が11-39点、GAD-7の値が4以下、PHQ―9の値が5-14(慢性疼痛うつ型タイプ)、(5)PDASの値が11-39点、GAD-7とPHQ―9の値がともに5-14点(慢性疼痛・うつ・不安混合タイプ)と判断する。ここでタイプ分けのアルゴリズムは指標の項目や、数値、あるいは他の統計分析手段やAIによる解析によってさらにおおざっぱ、あるいは細分化することもできる。また、ここではPDAS、GAD-7、PHQ-9の指標が用いられたが、対象疾患に応じて変更することが可能で、たとえば、片頭痛の場合は、MIDAS, GAD-7、PHQ-9、AISなどを用いることができる。また、本実施例では疾患特異的な指標(PDAS)と、診断横断的な分析をするための二つの指標(GAD-7、PHQ-9)とを用いたが、疾患特異的な指標だけでその特徴を分析して、分析結果に基づく疾患特異的なワークあるいは疾患特異的なワークと典型的な診断横断的なワークとの組み合わせを提供する、また、診断横断的な指標だけを用いて、疾患に典型的な疾患特異的なワークと分析に基づく診断横断的なワークとの組み合わせを提供する、などの変形も可能である。また、アセスメントを除いて、典型的なワークの組み合わせを提供することもできる。指標についてはすべての質問項目を用いても良いし、アセスメントをするために必要な一部の質問項目のみを用いても良い。
(治療モジュール提供工程703)
図8に上記タイプ別で提供されるワーク(治療モジュールであって、治療用カリキュラムのセッションとして提供される)のカリキュラムを示した。各カリキュラムは6週間から8週間の治療カリキュラムとして提供される(縦軸が各タイプ、横軸が時系列で、治療用アプリの開始から1週間目~8週間目までを示す)。ED1~ED4は心理教育モジュールを示し(例えば、ED1は、慢性疼痛(対象となる慢性痛で、慢性疼痛、腰痛、間接痛、片頭痛など、ED2は心理療法の紹介や、効果をもたらす機序説明など、ED3は慢性疼痛の説明と不安傾向の方の説明など、ED4は慢性疼痛の説明とうつ傾向の方の説明など)の疾患教育、W1~W4はワークを示す。これらのワークは記憶装置に記憶されており、システムからのリクエストに応じて読みだされる。ワークは典型的にはそれぞれの前述のように目的を持ったテーマ(例えば、前述の「リラクゼーション」がW1、「ストレスマネジメント」がW2、「認知再構成」がW3、「マインドフルネス」がW4など)ごとに区分されており、それぞれ複数のセッションからなり、一つのテーマが1週間で完結するように設計されている。また、「〇」のついたものは、ユーザが複数回実行しても効果が得られるワークとなっている。これらのワークとタイプとの対応するワークの種類と順番を記録したリストが記憶装置に記憶されており、システムは治療用アプリプログラムのリクエストに応じてこれらのリストに基づいてワークを利用者端末に提供し、ユーザが実施する。なお、リストには、これらの情報のほかに、実施日や、ワークの理解度(確認テストでの合否)、実施の有無の記録を含むと都合がよい。なぜなら、心理カウンセリングではワークに応じて1度きりのもの(たとえば、シロクマ実験など)と、複数回使えるもの(たとえば、マインドフルネス瞑想など)があるので、その情報を基に再度提供するか、提供しないかをシステムが判断することができる。これらは例示であって、それぞれの実施期間や、カリキュラム内でのテーマの順序や、テーマ選定、テーマ数は適宜選択可能である。
そして、ユーザのタイプに応じて、これらのカリキュラムに沿ったテーマのセッションがユーザーにユーザ端末101の表示装置および/または音声出力を介して提供され、ユーザはそのワークを受講・実践する。ワークの実施後、(理解度確認工程704)理解度の確認を行う。これは実施したワークの内容についての理解度を確認するためのテストであって、典型的には、チャットボットなどをユーザ端末101を介してユーザに対して、内容についてのいくつかの質問を行い、ユーザの回答の入力をもとめるものである。システムは質問に対する回答の評価を行い、例えば、正解率が80%以下だった場合には、間違った質問に関する事項についての情報をユーザ端末101の表示部を介して提供する。ここで、理解度の低いワークが前述の複数回使えるものであった場合は、再度提供する、あるいは、そのワークと同じ効果が期待できる、異なるあるいは類似するワークをユーザ端末101を介して提供して理解を深めることもできる。そして、理解度が80%より高くなった場合には、カリキュラムの次のセッションのワークの提供に進む。これらの工程を繰り返して、カリキュラムを最後まで実行して、治療を完了する。
治療用カリキュラムの疾患教育および心理教育を実施した後に、前述のTTMに基づく、チャットボット等を介した質問を行い、まだ心理療法の実施が効果を得られない(ユーザの準備ができていない)と判定された場合、再度、心理教育などのコンテンツのユーザへの提供を繰り返しても良い。質問形式や回答の評価方法は上述の心理アセスメントの実施方法や当業者周知の方法を用いることができる。
また、心理アセスメントをカリキュラムの実施時に行って治療の成果を確認しながら進めることもできる。例えば、テーマの終了毎、あるいは、教育コンテンツ(たとえば、図8の「ED」コンテンツ)から、治療コンテンツ(たとえば、図8の「W」コンテンツ)へ移行する際に実施することができる。また、この時点でユーザのタイプが変わっていた場合は、新たなタイプに適応するように、新しいタイプと古いタイプとの差分を再度実施するように変形することもできる(たとえば、タイプ(2)にタイプ判定されたユーザが2週目後に再度心理アセスメントを行い、タイプ(3)であると判定された場合、ED3を再度実施し、その後は(3)のW1‘以降のカリキュラムを実行する)。
(実施例2)
本発明の実施例2は、実施例1で心理的アセスメントを慢性疼痛(慢性頭痛、腰痛、関節痛、片頭痛やその他の慢性疼痛と判定される疾患)の評価尺度を用いて行っているが、それに代わって、疼痛日誌で入力された情報を基に心理的アセスメントを行う。たとえば、直前の疼痛日誌に入力された情報、あるいは所定の期間(例えば、2週間)の入力情報の平均値を基にアセスメントを行う。例えば、治療を開始する直前の2週間前からのデータについて、朝・昼・夜痛みの程度(未記入:0、小:1、中:2、大:3と数値化する)の平均値、行動への影響の平均値(未記入:0、小:1、中:2、大:3と数値化する)、不安が現れる頻度(出現頻度/14)、憂鬱が現れる頻度(出現頻度/14)などの数値に関して、前述の心理的アセスメントと同様に所定のアルゴリズムを用いてユーザのタイプ分けを行って、実施例1と同様に治療カリキュラムをユーザに提供することができる。また、本実施例でもテーマ毎などに再度心理アセスメントを行うこと、TTMなどでカリキュラムの進捗調整を行うなどしても良い。
(変形例)
実施例1では尺度を用いた心理的アセスメント、実施例2では疼痛日誌を基にした心理的アセスメントを行うことを示したが、これらの尺度と疼痛日誌のデータとを組みあわせて、たとえば、尺度と疼痛日誌の両者を組み合わせたアセスメント、当初のアセスメントとして尺度を、その後のアセスメントで疼痛日誌データを、あるいは当初のアセスメントとして疼痛日誌を、その後のアセスメントで尺度を用いるようにしても良い。
(その他の実施例)
本発明で用いる疼痛日誌について、痛みと気象条件やイベントとの相関から、痛みの予測を行い、ユーザに警告する機能を持つ例を示したが、痛みだけでなく、イライラなどの気分についての予測を提供することもできる。また、この予測された痛みや、気分、行動に合わせて、対処法、例えば、痛みの場合に事前に腰痛体操のコンテンツ、イライラの気分の場合はマインドフルネス瞑想のコンテンツ、外出を控える傾向の行動をとる場合は行動を過度に控える必要がないアドバイス、などを提供することをユーザーに行っても良い。
さらに、治療用アプリは患者の服薬スケジュールを管理する機能を持ち、服薬と併用して治療モジュールをユーザに提供するように構成されてもよい。服薬の為の処方については医療機関や医師、薬剤師の利用する端末と連携してもよい。
本発明のテーマを医療機関での診察と診察の合間に実行するように、例えば、医療機関での電子カルテで、次のテーマへの遷移を承認し、その承認に基づいて、治療用アプリで次のカリキュラムに移るように制御しても良い。また、カリキュラムを医師が設定し、リストとして記憶させそれを用いる、あるいは診察時に次のテーマを医師が設定するようにしても良い。
本発明の治療用モジュールとして、メタバースやVR、ARなどの技術を利用してユーザに提供することもできる。
各フローはシステムに搭載されたソフトウェアプログラムの機能単位として示しているが、これに限られず、各機能単位を実行するハードウェア(FPGA等)を用いたハードウェアから構成したシステム、あるいはそれらの組み合わせれたシステムとしてもよい。
実施例1ないし実施例5にそれぞれ実例を示して説明してきたがそれぞれの実施例に用いられた要素を他の実施例の構成に追加して用いることが可能なことは言うまでもない。
101 ユーザ情報端末
102 通信部
103 制御装置
104 記憶装置
105 表示装置
106 サーバ
107 制御装置
108 通信部
109 記憶装置
110 インターネット
111 入力装置

Claims (4)

  1. 記憶装置を含み、前記記憶装置は、
    ユーザの疼痛の程度、服薬の状況、生活への疼痛の影響、気分、その日の天候、平均気温、平均湿度、体温、血圧、ストレス要因を記録する疼痛日誌と、疾患特異的な心理療法を実行する治療モジュールを記憶しており、
    前記疼痛日誌の日々の記録の入力と、前記治療モジュールをユーザに提供するためのユーザ端末と、
    前記日々の記録を、所定のアルゴリズム或いはAIによって最適化されたアルゴリズムにより、ユーザの慢性疼痛のタイプをアセスメントしてユーザの片頭痛や慢性疼痛をもたらす生物心理社会的要因を分類する制御部を含み、
    前記制御部は、
    前記治療モジュールを実施したユーザのユーザ端末を介してチャットボットにより実施した治療モジュールの内容についての質問を行い、ユーザ端末を介して入力されたユーザの回答を評価する機能と、
    治療モジュールの内容について理解度が低いと評定されたユーザに対しては当該治療モジュールを再度提供し、或いは、当該治療モジュールと同じ効果が期待できる別の治療モジュールを提供し、理解度が高いと評定されたユーザに対しては治療用カリキュラムの次のセッションの治療モジュールを提供し、前記チャットボットによる質問と、ユーザの回答の評価と、治療モジュールの提供を治療が完了するまで繰り返す機能と、
    前記疼痛日誌に記録されたデータと疼痛との相関関係を分析する機能と、
    ユーザ端末を介して前記疼痛日誌に記録されたデータを集計して、集計結果を参照して、前記疼痛との相関関係により疼痛が生じる状況が予測された場合には、ユーザ端末の表示部にアラートを発してユーザに警告する機能を有している慢性疼痛の治療・改善・セルフケア用のシステム。
  2. 医療機関の端末の通信部と有線又は無線で接続され、医療機関の端末の電子カルテシステムとデータ送受信を行う請求項1のシステム。
  3. 前記慢性疼痛が、慢性頭痛、慢性関節、慢性腰痛、または片頭痛である請求項1のシステム。
  4. 前記記憶装置は、疾患特異的な心理療法を実行する治療モジュールに加えて、心理社会的問題や生活適応やストレスに対してどの程度適応的に行動できているのか或いは日適応的に行動してるのかを評定して行われる診断横断的な心理療法を実行する治療モジュールを記憶している請求項1~3のうちいずれか1項のシステム。
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