JP7494620B2 - 変圧器 - Google Patents

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Description

本開示は、Fe基アモルファス合金薄帯を用いて構成された鉄心と、前記鉄心に巻かれた巻線とを備える変圧器に関する。
変圧器は、小型から大型のものまで、多種多様な構成を有し、生活環境のあらゆる場面で使用されている。そして、その使用量の多さから、電力損失の大きな一因ともなっており、常に変圧器での損失を抑制する要求が存在する。このため、世界各国では、その損失を抑制するための規格を定めている。その代表的なものとしては、日本のトップランナー規格JIS C 4304: 2013およびJIS C 4306: 2013、米国のDOE規格US Department of Energy 10 CFR Part 431.196、EU規格Commotions Regulation(EU) No.548/2014、中国国家規格GB 20052-2013、インド規格IS 1180 (Part 1):2018などがあり、いずれも定期的な改定作業の都度、許容される損失、あるいはエネルギー効率が厳格化されている。このため、これらの規格に対応する形で、より損失が少ない高効率変圧器が普及している。
変圧器は、鉄心と巻線とを主な構成要素として構成され、鉄心には、一般的に方向性電磁鋼板が多く用いられている。しかし、方向性電磁鋼板よりも低損失な材料として、Fe基アモルファス合金薄帯も存在し、このFe基アモルファス合金薄帯を用いた鉄心も使用されている。
変圧器の損失は、大きく分けると、鉄心で発生しその負荷電流に関わらず常に一定量発生する無負荷損(鉄損)と、巻線で発生しその負荷電流の2乗に比例して発生する負荷損(銅損)とが存在する。それぞれ損失を低減する検討が繰り返し行われ、損失の改善はみられるものの、更なる損失の低減が求められている。
変圧器の無負荷損を低減するため、いくつかの方法が提案されている。
特開2017-54896号公報では、無負荷損を低減した効率の良い鉄心を得るため、内周側の接合構造をオーバーラップ接合とし、外周側の接合構造をステップラップ接合とし、内周側に配置されたオーバーラップ構造の鉄心の割合を32~62%としたアモルファス材料を用いた巻鉄心を採用する。
特開2008-71982号公報では、アモルファス合金薄帯を複数層に環状に成形した鉄心と励磁用の巻線を備えて成る変圧器であって、該鉄心を形成するアモルファス合金薄帯の表面に絶縁性の薄膜が形成されていて、このアモルファス合金薄帯表面に絶縁性の薄膜を形成することで、渦電流損の増加を抑制し、変圧器の無負荷損を低減することができる。
特開2005-72160号公報では、三相五脚巻鉄心変圧器において、巻鉄心の磁性材料にアモルファス合金薄帯と電磁鋼板を同時に用いた構造とする。具体的には、三相五脚巻鉄心変圧器において、外側の一つの巻線とのみ鎖交する巻鉄心を電磁鋼板とし、二つの巻線と鎖交する中央の巻鉄心をアモルファス合金薄帯とする構造である。これにより、巻線を押さえる補強材を不要とし、構造をコンパクトにすることで、組立作業の工数や材料費を低減し、また磁性材料が電磁鋼板のみの場合よりも無負荷損を低減するアモルファス合金薄帯巻鉄心及び三相五脚巻鉄心変圧器を提供する。
また、鉄心の材料として用いられるFe基アモルファス合金薄帯においても、損失の低減のための取り組みが行われている。
例えば、Fe基アモルファス合金薄帯の異常渦電流損失を低減する方法として、Fe基アモルファス合金薄帯の表面を機械的にスクラッチする方法、Fe基アモルファス合金薄帯の表面にレーザ光を照射することにより局部的に溶解・急冷凝固させて磁区を細分化するレーザスクライビング法等が知られている。
レーザスクライビング法として、例えば特公平3-32886号公報には、パルスレーザをアモルファス合金薄帯の幅方向に照射することにより、アモルファス合金薄帯の表面を局部的かつ瞬間的に溶解し、次いで急冷凝固させてアモルファス化させたスポットを点列状に形成することにより磁区を細分化する方法が開示されている。
特開昭61-258404号公報には、薄帯の表面温度が300℃以上にある間にレーザ光を薄帯の幅方向に掃引しながら照射することが開示されている。
特公平2-53935号公報には、薄帯を局部的に加熱することにより、この薄帯の長手方向に、2~100mmの間隔で、しかも該薄帯幅方向となす角度θが30゜以下で列状に並ぶ条状の結晶化領域を形成すると同時に、前記各領域の板厚方向の平均深さdと薄帯の厚さDとの比d/Dが0.1以上となるようにすると共に、それらの領域が占める薄帯中での割合が8体積%以下となるようにすることが開示されている。
特開昭61-29103号公報には、従来材の板厚(20~30μm)より大きな板厚(40~80μm)の非晶質合金の性能を十分に引き出すために、ビーム径が0.5mmφ以下に絞ったパルスレーザ光を照射することが開示されている。具体的には、板幅50mm、板厚65μmの非晶質薄帯に、周波数400Hz、ビーム径0.2mmφ、出力5W、ビーム掃引速度10cm/see、点列の間隔5mmの条件でYAGレーザを照射することが記載されている。
特開2017-54896号公報 特開2008-71982号公報 特開2005-72160号公報 特公平3-32886号公報 特開昭61-258404号公報 特公平2-53935号公報 特開昭61-29103号公報
上述したとおり、変圧器の損失は、鉄心で発生する無負荷損と、巻線で発生する負荷損とが主な損失を構成している。変圧器の無負荷損を低減するため、鉄損の小さいFe基アモルファス合金薄帯を用いることが考えられる。特に、配電用変圧器の場合、高木、山本、山地:「柱上変圧器負荷パターン作成モデルを用いたアモルファス変圧器の評価」P885~892、電学論B、128巻6号、2008年、あるいはFinal Report, LOT 2: Distribution and power transformers Tasks 1-7 2010/ETE/R/106, January 2011に記載されるように、その年間を通じての負荷率の実効値に相当する平均等価負荷率は15%程度と低いことが知られており、無負荷損の小さなFe基アモルファス合金薄帯を用いた変圧器が省エネルギーとCO排出量削減の観点から極めて有効である。
変圧器の鉄心用のFe基アモルファス合金薄帯としては、JIS C2534:2017(対応IEC規格IEC60404-8-11)の表1と表2に記載されるように普通材と高磁束密度材の2種類に大別され、その鉄損の最大値と占積率の最小値を基準として、各々、16種類存在する。最も鉄損の小さなもので、その周波数50Hz、磁束密度1.3Tにおける鉄損の最大値は0.08W/kg、その周波数60Hz、磁束密度1.3Tにおける鉄損の最大値は0.11W/kgとなっている。しかし、より高効率の変圧器を得るためには、これよりも小さな鉄損のFe基アモルファス合金薄帯を鉄心に使用する必要がある。
アモルファス合金薄帯の低鉄損化のため、前述したレーザスクライビング法が試みられているが、その鉄損は上記JIS C2534:2017の表1と表2に記載される最低鉄損値に達していない(例えば、特公平3-32886号公報、特開昭61-258404号公報、特公平2-53935号公報、特開昭61-29103号公報の各々における実施例参照)。
また、レーザ照射によりアモルファス合金薄帯の表面形態が大きく変形することがある。変形が大きい場合、アモルファス合金薄帯を巻いたり、積層したりして鉄心を構成した場合のアモルファス合金薄帯の占積率が低くなる。このようなアモルファス合金薄帯の表面形態の大きな変形は、鉄心特性においては好ましい形態ではない。また、薄帯を局部的に加熱することにより、結晶化領域を形成すると、結晶化により、所望の特性が得られない。
本開示は、前記JIS C2534:2017の表1と表2に記載される最低鉄損値よりも小さな鉄損値を示すFe基アモルファス合金薄帯を用いて構成された鉄心を備えた変圧器であって、その無負荷損の低減された変圧器を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> Fe基アモルファス合金薄帯の少なくとも一方面に、前記Fe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向に直交する方向に沿って設けられた点列状レーザ照射痕を複数有し、複数の前記点列状レーザ照射痕のうち、互いに隣り合う点列状レーザ照射痕間の、前記鋳造方向に直交する幅方向の中央部における中心線間隔をライン間隔とし、前記点列状レーザ照射痕を構成する個々のレーザ照射痕の中心点間隔をスポット間隔とした場合に、前記スポット間隔が、0.10mm~0.50mmであり、前記ライン間隔をd1(mm)とし、前記スポット間隔をd2(mm)とし、前記レーザ照射痕の数密度DをD=(1/d1)×(1/d2)としたとき、前記レーザ照射痕の数密度Dが、0.05個/mm~0.50個/mmであり、前記Fe基アモルファス合金薄帯の単板での周波数60Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.150W/kg以下であるFe基アモルファス合金薄帯を用いて構成された鉄心と、前記鉄心に巻かれた巻線とを備える変圧器。
<2> 前記変圧器は単相変圧器であって、前記鉄心の重量当たりの無負荷損が50Hzにおいて0.15W/kg以下、または60Hzにおいて0.19W/kg以下である、<1>に記載の変圧器。
<3> 前記変圧器は3相変圧器であって、前記鉄心の重量当たりの無負荷損が50Hzにおいて0.19W/kg以下、または60Hzにおいて0.24W/kg以下である、<1>に記載の変圧器。
<4> 前記変圧器の定格容量が10kVA以上である、<1>~<3>のいずれかに記載の変圧器。
<5> 前記ライン間隔d1が10mm~60mmである、<1>~<4>のいずれか1項に記載の変圧器。
<6> 前記Fe基アモルファス合金薄帯の幅方向の長さ全体に占める、前記点列状レーザ照射痕の幅方向の長さの割合が、幅方向の中心から幅方向両端に向かう方向にそれぞれ10%~50%の範囲内である<1>~<5>のいずれかに記載の変圧器。
<7> 前記Fe基アモルファス合金薄帯の厚さが18μm~35μmである、<1>~<6>のいずれかに記載の変圧器。
<8> 前記Fe基アモルファス合金薄帯は、Fe、Si、B、及び不純物からなり、Fe、Si、及びBの合計含有量を100原子%とした場合に、Feの含有量が78原子%以上であり、Bの含有量が10原子%以上であり、B及びSiの合計含有量が17原子%~22原子%である<1>~<7>のいずれかに記載の変圧器。
<9> 前記Fe基アモルファス合金薄帯は、自由凝固面及びロール面を有し、前記点列状レーザ照射痕部分を除く前記自由凝固面における最大断面高さRtが、3.0μm以下である<1>~<8>のいずれかに記載の変圧器。
<10> 前記点列状レーザ照射痕は、前記Fe基アモルファス合金薄帯の幅方向を8等分した8個の領域から両端の2個の領域を除く、前記幅方向の中央の6個の領域内に少なくとも形成されている、<1>~<9>のいずれかに記載の変圧器。
本開示の一態様によれば、無負荷損が低減された変圧器が提供される。
本実施形態の変圧器の一例を示す概略図である。 本実施形態の変圧器の別の例を示す概略図である。 本実施形態の変圧器の更に別の例を示す概略図である。 本実施形態のFe基アモルファス合金薄帯の一例を示す模式図である。 スポット間隔を変えた場合の磁束密度と鉄損との関係を示すグラフである。 スポット間隔を変えた場合の磁束密度と励磁電力との関係を示すグラフである。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。本明細書において段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、Fe基アモルファス合金薄帯とは、Fe基アモルファス合金からなる薄帯を指す。
本明細書において、Fe基アモルファス合金とは、Fe(鉄)を主成分とするアモルファス合金を指す。ここで、主成分とは、含有比率(質量%)が最も高い成分を指す。
以下、本開示に関する実施形態について記載する。なお、本開示は、以下に記載の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で適宜変更可能である。
本開示に関する実施形態の変圧器は、
Fe基アモルファス合金薄帯の少なくとも一方面に、前記Fe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向に直交する方向に沿って設けられた点列状レーザ照射痕を複数有し、複数の前記点列状レーザ照射痕のうち、互いに隣り合う点列状レーザ照射痕間の、前記鋳造方向に直交する幅方向の中央部における中心線間隔をライン間隔とし、前記点列状レーザ照射痕を構成する個々のレーザ照射痕の中心点間隔をスポット間隔とした場合に、前記スポット間隔が、0.10mm~0.50mmであり、前記ライン間隔をd1(mm)とし、前記スポット間隔をd2(mm)とし、前記レーザ照射痕の数密度DをD=(1/d1)×(1/d2)としたとき、前記レーザ照射痕の数密度Dが、0.05個/mm~0.50個/mmであり、
前記Fe基アモルファス合金薄帯の単板での周波数60Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.150W/kg以下であるFe基アモルファス合金薄帯を用いて構成された鉄心と、前記鉄心に巻かれた巻線とを備える変圧器である。
また、上記Fe基アモルファス合金薄帯は、単板での周波数50Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損も低減されている。上記Fe基アモルファス合金薄帯は、単板での周波数50Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.120W/kg以下であることが好ましい。
上記Fe基アモルファス合金薄帯は、周波数50Hz、磁束密度1.3Tにおける鉄損が0.08W/kg以下、または周波数60Hz、磁束密度1.3Tにおける鉄損が0.11W/kg以下であることが好ましい。
また、本実施形態における鉄心は、複数枚のFe基アモルファス合金薄帯を曲げてオーバーラップ巻きされた周回状の鉄心を用いることが好ましい。また、この周回状の鉄心を複数個組み合わせて用いることが好ましい。また、この鉄心としては、複数枚のFe基アモルファス合金薄帯を積み重ねて構成した積み鉄心を用いてもよいし、Fe基アモルファス合金薄帯を巻き回して構成した巻鉄心を用いてもよい。
また、本実施形態の変圧器は、単相変圧器または3相変圧器であることが好ましく、その変圧器の定格容量が10kVA以上であることが好ましい。
また、単相変圧器の場合、鉄心の重量当たりの無負荷損が50Hzにおいて0.15W/kg以下、または60Hzにおいて0.19W/kg以下であることが好ましい。
また、3相変圧器の場合、鉄心の重量当たりの無負荷損が50Hzにおいて0.19W/kg以下、または60Hzにおいて0.24W/kg以下であることが好ましい。
実施例1
本実施形態の変圧器の鉄心と巻線の構成の1例を図1に示す。図1に示す変圧器は、積層された複数枚のFe基アモルファス合金薄帯を曲げてオーバーラップ巻きされた周回状の鉄心1と、前記鉄心に巻き回された巻線2とを備える。なお、鉄心をオーバーラップする前の、鉄心が開いた状態で、鉄心に巻線2が組み込まれる。この第1の実施形態の鉄心1は、1つの周回状の鉄心(単相2脚巻鉄心)から構成されている。この実施形態の鉄心1を用いたJIS C 4304:2013に準拠した本発明による単相50Hz、定格容量10kVAの油入り変圧器(以下、実施例1)の主な特性と重量を従来例1との比較で表1に示す。ここで、実施例1に使用したFe基アモルファス合金薄帯は上記特性を有することから、JIS C 2534:2017の「5アモルファス帯の種類の記号」の定義に従い、鉄心材料を25AMP06-88と表記した。従来例1で使用したFe基アモルファス合金薄帯は25AMP08-88である。なお、以下の実施例1から実施例8の特性は、シミュレーションによる解析で得られた数値である。
実施例1に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、厚さ25μm、幅142.2mmであり、自由凝固面に点列状レーザ照射痕が形成されており、点列状レーザ照射痕のライン間隔が20mmであり、スポット間隔が0.20mmであり、レーザ照射痕の数密度Dが0.25個/mmであり、周波数50Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.083W/kg、周波数60Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.105W/kgである。
また、従来例1に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、厚さ25μm、幅142.2mmであり、レーザ照射痕が形成されていなく、周波数50Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.130W/kg、周波数60Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.167W/kgである。
この実施例1および従来例1において、周回状の鉄心1は、積層数が1875枚であり、その重量は表1に示す。
この変圧器の一次巻線は、直径0.9mmの銅線を用い、3143ターン巻かれており、二次巻線は、アルミニウム製の3.2mm×6.0mmの平角線を用い、一つ100ターンの巻線を並列接続とした。
表1から、実施例1では鉄心の重量当たりの無負荷損失が0.149W/kgとなり、従来例1の鉄心の重量当たりの無負荷損失0.197W/kgに比べ約25%低減されていることが分かる。
また、これに対応してJIS C 4304:2013で定められるエネルギー消費効率規格値に対し、従来例1が0.73の比(表1の「エネルギー消費効率比」に記載。以下、同様。)であるのに対し、実施例1では0.70に改善できており、配電用変圧器の平均等価負荷率15%としたときの年間CO排出量も約15%改善されることが分かる。このことは、表1に記載の「負荷率15%とした場合の年間CO排出量比」が0.85となっていることから分かる(以下、同様)。
実施例2
図1に示す本実施形態の鉄心と巻線の構成の変圧器の第2の実施例として、JIS C 4304:2013に準拠した本発明による単相60Hz、定格容量10kVAの油入り変圧器(以下、実施例2)の主な特性と重量を従来例2との比較で表2に示す。
実施例2に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、実施例1と同一であり、従来例2に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、従来例1と同一である。
この実施例2および従来例2において、周回状の鉄心1は、積層数が1785枚であり、その重量は表2に示す。
この変圧器の一次巻線は、直径0.9mmの銅線を用い、2776ターン巻かれており、二次巻線は、アルミニウム製の2.6mm×6.0mmの平角線を用い、一つ88ターンの巻線を並列接続とした。
表2から、実施例2では鉄心の重量当たりの無負荷損失が0.189W/kgとなり、従来例2の鉄心の重量当たりの無負荷損失0.259W/kgに比べ約27%低減されていることが分かる。
また、これに対応してJIS C 4304:2013で定められるエネルギー消費効率規格値に対し、従来例2が0.72の比であるのに対し、実施例2では0.68に改善できており、配電用変圧器の平均等価負荷率15%としたときの年間CO排出量も約18%改善されることが分かる。
実施例3
図1に示す本実施形態の鉄心と巻線の構成の変圧器の第3の実施例として、JIS C 4304:2013に準拠した本発明による単相50Hz、定格容量30kVAの油入り変圧器(以下、実施例3)の主な特性と重量を従来例3との比較で表3に示す。
実施例3に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、厚さ25μm、幅213.4mmであり、自由凝固面に点列状レーザ照射痕が形成されており、点列状レーザ照射痕のライン間隔が20mmであり、スポット間隔が、0.20mmであり、レーザ照射痕の数密度Dが、0.25個/mmであり、周波数50Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.085W/kg、周波数60Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.108W/kgである。
また、従来例3に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、厚さ25μm、幅213.4mmであり、レーザ照射痕が形成されていなく、周波数50Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.132W/kg、周波数60Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.168W/kgである。
この実施例3および従来例3において、周回状の鉄心1は、積層数が3015枚であり、その重量は表3に示す。
この変圧器の一次巻線は、直径1.4mmの銅線を用い、1509ターン巻かれており、二次巻線は、アルミニウム製の3.2mm×15mmの平角線を用い、一つ44ターンの巻線を並列接続とした。
表3から、実施例3では鉄心の重量当たりの無負荷損失が0.138W/kgとなり、従来例3の鉄心の重量当たりの無負荷損失0.197W/kgに比べ約30%低減されていることが分かる。
また、これに対応してJIS C 4304:2013で定められるエネルギー消費効率規格値に対し、従来例3が0.72の比であるのに対し、実施例3では0.68に改善できており、配電用変圧器の平均等価負荷率15%としたときの年間CO排出量も約18%改善されることが分かる。また、前記実施例1の鉄心の重量当たりの無負荷損が0.149W/kgだったのに対し、実施例3では0.138W/kgと0.011W/kg改善されている。この理由は、鉄心の大型化により鉄心の磁路長に対する曲線部の長さの比が小となり、鉄心曲線部の残留応力による無負荷損加が抑制されたためである。
実施例4
図1に示す本実施形態の鉄心と巻線の構成の変圧器の第4の実施例として、JIS C 4304:2013に準拠した本発明による単相60Hz、定格容量30kVAの油入り変圧器(以下、実施例4)の主な特性と重量を従来例4との比較で表4に示す。
実施例4に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、実施例3と同一であり、従来例4に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、従来例3と同一である。
この実施例4および従来例4において、周回状の鉄心1は、積層数が2715枚であり、その重量は表4に示す。
この変圧器の一次巻線は、直径1.3mmの銅線を用い、1509ターン巻かれており、二次巻線は、アルミニウム製の4.0mm×13mmの平角線を用い、一つ44ターンの巻線を並列接続とした。
表4から、実施例4では鉄心の重量当たりの無負荷損失が0.180W/kgとなり、従来例4の鉄心の重量当たりの無負荷損失0.256W/kgに比べ約30%低減されていることが分かる。
また、これに対応してJIS C 4304:2013で定められるエネルギー消費効率規格値に対し、従来例4が0.72の比であるのに対し、実施例4では0.67に改善できており、配電用変圧器の平均等価負荷率15%としたときの年間CO排出量も約19%改善されることが分かる。また、前記実施例2の鉄心の重量当たりの無負荷損が0.189W/kgだったのに対し、実施例4では0.180W/kgと0.009W/kg改善されている。これは、前記実施例3で説明した理由により、減少している。
実施例5
本実施形態の変圧器の鉄心と巻線の構成の別の例を図2に示す。図2に示す変圧器は、積層された複数枚のFe基アモルファス合金薄帯を曲げてオーバーラップ巻きされた周回状の鉄心1を組み合わせた3相3脚巻鉄心(3つの周回状の鉄心の組み合わせ)と、前記鉄心に巻き回された3組の巻線2とを備える。この実施形態の鉄心を用いたJIS C 4304:2013に準拠した本発明による3相50Hz、定格容量100kVAの油入り変圧器(以下、実施例5)の主な特性と重量を従来例5との比較で表5に示す。
実施例5に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、実施例3と同一であり、従来例5に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、従来例3と同一である。
この実施例5および従来例5において、周回状の鉄心1は、それぞれ積層数が3480枚であり、その重量(3つの周回状の鉄心の合計)は表5に示す。
この変圧器の一次巻線は、直径2.2mmの銅線を用い、星形結線で653ターン巻かれており、二次巻線は、アルミニウム製の0.4mm×247mmのシートを用い、三角結線で36ターンの巻線とした。
表5から、実施例5では鉄心の重量当たりの無負荷損失が0.188W/kgとなり、従来例5の鉄心の重量当たりの無負荷損失0.269W/kgに比べ約30%低減されていることが分かる。
また、これに対応してJIS C 4304:2013で定められるエネルギー消費効率規格値に対し、従来例5が0.78の比であるのに対し、実施例5では0.73に改善できており、配電用変圧器の平均等価負荷率15%としたときの年間CO排出量も約20%改善されることが分かる。
実施例6
図2に示す本実施形態の鉄心と巻線の構成の変圧器の別の実施例として、JIS C 4304:2013に準拠した本発明による3相60Hz、定格容量100kVAの油入り変圧器(以下、実施例6)の主な特性と重量を従来例6との比較で表6に示す。
実施例6に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、実施例3と同一であり、従来例6に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、従来例3と同一である。この実施例6および従来例6において、周回状の鉄心1は、積層数が2895枚であり、その重量は表6に示す。
この変圧器の一次巻線および二次巻線は、実施例5および従来例5と同じとした。
表6から、実施例6では鉄心の重量当たりの無負荷損失が0.238W/kgとなり、従来例6の鉄心の重量当たりの無負荷損失0.339W/kgに比べ約30%低減されていることが分かる。
また、これに対応してJIS C 4304:2013で定められるエネルギー消費効率規格値に対し、従来例6が0.81の比であるのに対し、実施例6では0.77に改善できており、配電用変圧器の平均等価負荷率15%としたときの年間CO排出量も約19%改善されることが分かる。
実施例7
図2に示す本実施形態の鉄心と巻線の構成の変圧器の別の実施例として、JIS C 4304:2013に準拠した本発明による3相50Hz、定格容量500kVAの油入り変圧器(以下、本発明実施例7)の主な特性と重量を従来例7との比較で表7に示す。
実施例7に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、実施例3と同一であり、従来例7に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、従来例3と同一である。
この実施例7および従来例7において、周回状の鉄心1は、実施例7の積層数が5685枚、従来例7が5955枚であり、その重量(3つの周回状の鉄心の合計)は表7に示す。
この実施例7の一次巻線は、3.5mm×4.5mmの平角銅線を用い、星形結線で399ターン巻かれており、二次巻線は、アルミニウム製の1.3mm×438mmのシートを用い、三角結線で22ターンの巻線とした。また、従来例7の一次巻線は、3.2mm×5.0mmの平角銅線を用い、星形結線で381ターン巻かれており、二次巻線は、アルミニウム製の1.4mm×383mmのシートを用い、三角結線で21ターンの巻線とした。
表7から、実施例7では鉄心の重量当たりの無負荷損失が0.172W/kgとなり、従来例7の鉄心の重量当たりの無負荷損失0.246W/kgに比べ約30%低減されていることが分かる。
また、これに対応してJIS C 4304:2013で定められるエネルギー消費効率規格値に対し、従来例7が0.93の比であるのに対し、実施例7では0.90に改善できており、配電用変圧器の平均等価負荷率15%としたときの年間CO排出量も約16%改善されることが分かる。また、前記実施例5の鉄心の重量当たりの無負荷損が0.188W/kgだったのに対し、実施例7では0.172W/kgと0.016W/kg改善されている。この理由は、鉄心の大型化により鉄心の磁路長に対する曲線部の長さの比が小となり、鉄心曲線部の残留応力による無負荷損加が抑制されたためである。
実施例8
本実施形態の変圧器の鉄心と巻線の構成の別の例を図3に示す。この変圧器は、積層された複数枚のFe基アモルファス合金薄帯を曲げてオーバーラップ巻きされた周回状の鉄心1を組み合わせた3相5脚巻鉄心と、前記鉄心に巻き回された3組の巻線2とを備える。この実施形態の鉄心を用いたJIS C 4304:2013に準拠した本発明による3相50Hz、定格容量1000kVAの油入り変圧器(以下、実施例8)の主な特性と重量を従来例8との比較で表8に示す。
実施例8に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、実施例3と同一であり、従来例8に使用したFe基アモルファス合金薄帯は、従来例3と同一である。
この実施例8および従来例8において、周回状の鉄心1は、それぞれ積層数が2610枚の鉄心を図3の垂直方向に2つ重ねたものであり、その重量(8つの周回状の鉄心の合計)は表8に示す。
この実施例8の一次巻線は、2.8mm×7.0mmの平角銅線を用い、三角結線で377ターン巻かれており、二次巻線は、アルミニウム製の3.0mm×305mmのシートを用い、三角結線で12ターンの巻線とした。また、従来例8の一次巻線は、2.8mm×7.0mmの平角銅線を用い、三角結線で377ターン巻かれており、二次巻線は、アルミニウム製の3.2mm×306mmのシートを用い、三角結線で12ターンの巻線とした。
表8から、実施例8では鉄心の重量当たりの無負荷損失が0.188W/kgとなり、従来例8の鉄心の重量当たりの無負荷損失0.269W/kgに比べ約30%低減されていることが分かる。
また、これに対応してJIS C 4304:2013で定められるエネルギー消費効率規格値に対し、従来例8が0.999の比であるのに対し、実施例8では0.996に改善できており、配電用変圧器の平均等価負荷率15%としたときの年間CO排出量も約15%改善されることが分かる。
以上説明したように、本開示の変圧器は、無負荷損を低減することができるので、特に、平均等価負荷率の低い配電用変圧器などの低損失化およびCO排出量削減に効果的である。なお、本実施例では巻鉄心変圧器への適用に関し詳細に説明したが、積み鉄心変圧器の場合にも無負荷損の低減効果が得られることは言うまでもない。
〔Fe基アモルファス合金薄帯〕
本実施形態で用いるFe基アモルファス合金薄帯について、以下に詳しく説明する。
本実施形態で用いるFe基アモルファス合金薄帯は、上記したとおり、Fe基アモルファス合金薄帯の少なくとも一方面に、Fe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向に直交する方向に沿って設けられた点列状レーザ照射痕を複数有し、
複数の点列状レーザ照射痕のうち、互いに隣り合う点列状レーザ照射痕間の、鋳造方向に直交する幅方向の中央部における中心線間隔をライン間隔とし、点列状レーザ照射痕を構成する個々のレーザ照射痕の中心点間隔をスポット間隔とした場合に、スポット間隔が0.10mm~0.50mmであり、ライン間隔をd1(mm)とし、スポット間隔をd2(mm)とし、レーザ照射痕の数密度DをD=(1/d1)×(1/d2)としたとき、レーザ照射痕の数密度Dが、0.05個/mm~0.50個/mmであり、Fe基アモルファス合金薄帯の単板での周波数60Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.150W/kg以下である。
また、上記Fe基アモルファス合金薄帯は、単板での周波数50Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損も低減されている。
また、上記Fe基アモルファス合金薄帯は、周波数50Hz、磁束密度1.3Tにおける鉄損、または周波数60Hz、磁束密度1.3Tにおける鉄損が低減されている。
本開示のFe基アモルファス合金薄帯(以下、単に「薄帯」ともいう。)では、上記構成を有することにより、磁束密度1.45Tの条件における鉄損が低減され、かつ、磁束密度1.45Tの条件における励磁電力の上昇が抑制される。
まず、磁束密度1.45Tの条件における鉄損が低減されるという効果について説明する。本開示のFe基アモルファス合金薄帯は、上述したとおり、少なくとも一方面に、複数のレーザ照射痕から構成される点列状レーザ照射痕を有している。本開示のFe基アモルファス合金薄帯では、この点列状レーザ照射痕を有することにより、磁区が細分化され、その結果、磁束密度1.45Tの条件における鉄損が低減される。
このように、Fe基アモルファス合金薄帯に点列状レーザ照射痕を形成すること自体は、磁束密度1.45Tの条件における鉄損を低減させることに寄与する。
次に、磁束密度1.45Tの条件における励磁電力の上昇が抑制されるという効果について説明する。詳細は後述するが、本発明者等は、Fe基アモルファス合金薄帯にレーザ照射痕を形成することは、磁束密度1.45Tの条件における励磁電力の上昇の原因となる場合があることを見出した。磁束密度1.45Tの条件における励磁電力の上昇は、磁束密度B0.08の低下を招くため、望ましくない。
この点に関し、本開示のFe基アモルファス合金薄帯では、薄帯の鋳造方向に設けられた複数の点列状レーザ照射痕のうち、互いに隣り合う点列状レーザ照射痕間の、鋳造方向に直交する方向(以下、幅方向という)の中央部における中心線間隔であるライン間隔をd1(mm)とし、点列状レーザ照射痕を構成する個々のレーザ照射痕の中心点間隔であるスポット間隔をd2(mm)とする。そして、スポット間隔が0.10mm~0.50mmであり、レーザ照射痕の数密度DをD=(1/d1)×(1/d2)としたとき、レーザ照射痕の数密度Dが、0.05個/mm~0.50個/mmとなっている。要するに、本開示のFe基アモルファス合金薄帯では、レーザ照射痕のスポット間隔及びライン間隔をある程度広げ、レーザ照射痕の個数がある程度少なくなっている(即ち、レーザ照射痕の数密度がある程度小さくなっている)。
本開示のFe基アモルファス合金薄帯では、レーザ照射痕のスポット間隔及びライン間隔をある程度広げ、レーザ照射痕の数密度をある程度小さくすることにより、磁束密度1.45Tの条件における励磁電力の上昇が抑制される。
なお、点列状レーザ照射痕が薄帯の幅方向の中央部に及んでいない場合、ライン間隔は、その点列状レーザ照射痕を薄帯の幅方向において中央部に及ぶ位置に延長して測定することができる。
更に、励磁電力の上昇に伴う磁束密度B0.08の低下も抑制される。
以上のようにして、本開示のFe基アモルファス合金薄帯では、磁束密度1.45Tの条件における鉄損が低減され、かつ、磁束密度1.45Tの条件における励磁電力の上昇が抑制される。
以下、本開示のFe基アモルファス合金薄帯による上記効果について、従来技術との対比を交えて更に詳細に説明する。
従来、鉄損及び励磁電力は、磁束密度1.3Tの条件で測定することが一般的であった。
例えば、前述した特開昭61-29103号公報の実施例には、Fe基アモルファス合金薄帯の自由凝固面にYAGレーザを、点列の間隔を5mmとして照射(このときの数密度Dは0.8個/mmである)することにより、磁束密度1.3Tの条件における鉄損が低減されることが開示されている。
また、前述した国際公開第2011/030907号の実施例4には、Fe基アモルファス合金薄帯の自由凝固面に、レーザ光を照射し、5mmの長手方向間隔にて凹部列を形成した場合(このときの数密度Dは0.8個/mmである)において、凹部の深さt1と薄帯の厚さTとの比t1/Tが0.025~0.18であること等の条件を満足する場合には、磁束密度1.3Tの条件における鉄損及び皮相電力が低減されることが開示されている。国際公開第2011/030907号における皮相電力は、本明細書でいう励磁電力に対応する。
また、前述した国際公開第2012/102379号の実施例1には、Fe基アモルファス合金薄帯の自由凝固面に、波状凹凸が形成されており、波状凹凸が、長手方向にほぼ一定間隔で並ぶ幅方向谷部を有し、谷部の平均振幅が20mm以下となる場合には、磁束密度1.3Tの条件における鉄損及び励磁電力が低減されることが開示されている。
しかし、近年では、Fe基アモルファス合金薄帯を用いて作製される変圧器の小型化等の観点から、磁束密度1.3Tの条件における鉄損及び励磁電力ではなく、磁束密度1.45Tの条件における鉄損及び励磁電力を低減させることが求められる場合がある。
この点に関し、本発明者等の検討により、ある種のFe基アモルファス合金薄帯(具体的には、レーザ照射痕の数密度が高いFe基アモルファス合金薄帯)では、磁束密度1.3Tの条件で測定した場合には励磁電力がある程度低減されていても、磁束密度1.45Tの条件で測定した場合には励磁電力が大幅に上昇することが判明した。
以下、この点を、図5及び図6を参照しながら詳述する。
図5は、レーザ加工されていないFe基アモルファス合金薄帯、スポット間隔0.05mmにてレーザ加工されたFe基アモルファス合金薄帯、スポット間隔0.10mmにてレーザ加工されたFe基アモルファス合金薄帯、及び、スポット間隔0.20mmにてレーザ加工されたFe基アモルファス合金薄帯の4種のFe基アモルファス合金薄帯について、磁束密度と鉄損との関係を示すグラフである。
図6は、同様に、磁束密度と励磁電力との関係を示すグラフである。
図5及び図6において、スポット間隔0.05mmにてレーザ加工されたFe基アモルファス合金薄帯は、ライン間隔を60mmとしたこと以外は後述の比較例102と同様の条件で作製したものである。このときの数密度Dは0.33個/mmである。
図5及び図6において、スポット間隔0.10mmにてレーザ加工されたFe基アモルファス合金薄帯は、ライン間隔を60mmとしたこと以外は後述の実施例101と同様の条件で作製したものである。このときの数密度Dは0.167個/mmである。
図5及び図6において、スポット間隔0.20mmにてレーザ加工されたFe基アモルファス合金薄帯は、後述の実施例103と同様の条件で作製したものである(ライン間隔は20mm)。このときの数密度Dは0.25個/mmである。
図5及び図6において、レーザ加工されていないFe基アモルファス合金薄帯は、後述の比較例101と同様の条件で作製したものである。
図5に示されるように、いずれの条件のFe基アモルファス合金薄帯においても、磁束密度が上昇するにつれ、鉄損が緩やかに上昇することがわかる。
更に、Fe基アモルファス合金薄帯に対し、スポット間隔0.05mm、スポット間隔0.10mm、及びスポット間隔0.20mmの各条件のレーザ加工を施すことにより、鉄損が低減されることもわかる。レーザ加工によって鉄損が低減される効果自体は、特開昭61-29103号公報及び国際公開第2011/030907号等の公知文献に記載されているとおりである。
図6に示されるように、磁束密度1.3Tの条件においては、4種のFe基アモルファス合金薄帯において、励磁電力にはほとんど差が無いことがわかる。即ち、磁束密度1.3Tの条件においては、レーザ加工の有無は、励磁電力にはほとんど影響しないことがわかる。従って、磁束密度1.3Tにて鉄損及び励磁電力を測定する前提の下では、Fe基アモルファス合金薄帯に対しレーザ加工を施すことにより、励磁電力をほとんど上昇させることなく、鉄損低減の効果を得ることができる。
しかし、図6において、スポット間隔0.05mmのFe基アモルファス合金薄帯に注目すると、磁束密度が1.3Tを超えると、励磁電力が急激に上昇することがわかる。その結果、磁束密度が1.45Tの条件の下では、スポット間隔0.05mmのFe基アモルファス合金薄帯は、他の3種のFe基アモルファス合金薄帯と比較して、励磁電力が著しく高くなることがわかる。
以上のように、本発明者等は、スポット間隔が0.05mmである場合等、レーザ照射痕のスポット間隔が狭過ぎる場合には、磁束密度が1.45Tの条件での励磁電力が著しく高くなる傾向があることを知見した(図6参照)。更に、本発明者等は、スポット間隔を0.20mmのように拡げることにより(即ち、レーザ照射痕の数密度を小さくすることにより)、磁束密度1.45Tの条件下での励磁電力の上昇を抑制できることも知見した(図6参照)。
更に、本発明者等は、スポット間隔を0.10mm又は0.20mmのように拡げても、レーザ加工による鉄損低減の効果が得られることも知見した(図5参照)。
これらの知見は、後述の実施例の表9にも示されている。
このことから、スポット間隔を広げること、並びに、数密度Dを小さくすることにより、磁束密度1.45Tの条件下で、励磁電力の上昇を抑制し、低損失なFe基アモルファス合金薄帯が得られることを知見した。
また、本発明者等は、複数の点列状レーザ照射痕のライン間隔を拡げることによっても(例えば、ライン間隔を10mm以上とすることによっても)、スポット間隔を拡げた場合と同様に、磁束密度1.45Tの条件下での励磁電力の上昇を抑制でき、かつ、レーザ加工による鉄損低減の効果を得ることができることを知見した。
この知見については、後述の実施例の表10に示されている。
ところで、例えば前述した国際公開第2012/102379号に記載されているとおり、従来から、Fe基アモルファス合金薄帯の自由凝固面に波状凹凸を形成することにより、鉄損を低減することが行われていた。波状凹凸は、チャターマーク等とも称されているものであり、Fe基アモルファス合金薄帯を製造(鋳造)する際のパドルの振動に起因して発生する(例えば、国際公開第2012/102379号の段落0008参照)。波状凹凸を形成して鉄損を低減する技術においては、Fe基アモルファス合金薄帯の製造条件を調整することにより、意図的に、自由凝固面に波状凹凸を形成する。
波状凹凸を形成して鉄損を低減する技術に対し、例えば特開昭61-29103号公報及び国際公開第2011/030907号に記載の従来のレーザ加工の技術は、自由凝固面に波状凹凸を形成することに代えて、自由凝固面にレーザ加工を施すことにより、波状凹凸と同様の効果(鉄損等の低減の効果)を得ようとする技術である。このため、従来のレーザ加工の技術では、波状凹凸に類似した形状を形成するために、ライン間隔を狭くして(例えば、特開昭61-29103号公報及び国際公開第2011/030907号の実施例に記載のとおり、ライン間隔を5mmとして)、即ち、レーザ照射痕の数密度を比較的高くして、レーザ照射痕を形成していた。
従来は、励磁電力を、磁束密度1.3Tの条件で測定していたために、レーザ照射痕の数密度を高くすることのデメリット(即ち、励磁電力の上昇)は、認識されていなかった。しかし前述したとおり、本発明者等は、レーザ照射痕の数密度を高くした場合には、磁束密度1.45Tの条件で測定される励磁電力が上昇することを見出し、かつ、レーザ照射痕の数密度を小さくすることにより、磁束密度1.45Tの条件で測定される励磁電力の上昇を抑制できることを見出した。
本開示のFe基アモルファス合金薄帯は、この知見によってなされたものである。
従って、本開示のFe基アモルファス合金薄帯は、薄帯の表面にレーザ照射痕が形成されている点では特開昭61-29103号公報及び国際公開第2011/030907号に記載の技術と共通するが、本開示のFe基アモルファス合金薄帯は、レーザ照射痕の数密度を小さくすることにより、磁束密度1.45Tの条件で測定される励磁電力の上昇を抑制しようとする技術である点で、特開昭61-29103号公報及び国際公開第2011/030907号に記載の技術とは全く異なる。
以下、本開示のFe基アモルファス合金薄帯及びその好ましい態様について、より詳細に説明する。
本開示のFe基アモルファス合金薄帯は、自由凝固面及びロール面を有するFe基アモルファス合金薄帯である。
自由凝固面及びロール面を有するFe基アモルファス合金薄帯は、単ロール法によって製造(鋳造)される薄帯である。鋳造時、冷却ロールに接して急冷凝固された面がロール面であり、ロール面に対して反対側の面(即ち、鋳造時、雰囲気に暴露されていた面)が、自由凝固面である。単ロール法については、国際公開第2012/102379号等の公知文献を適宜参照できる。
本開示のFe基アモルファス合金薄帯は、鋳造後、カットされていない状態の薄帯(例えば、鋳造後にロール状に巻き取られたロール体)であってもよいし、鋳造後、所望とする大きさに切り出された薄帯片であってもよい。
<レーザ照射痕、点列状レーザ照射痕>
本開示のFe基アモルファス合金薄帯は、少なくとも一方面に、複数のレーザ照射痕から構成される点列状レーザ照射痕を複数有する。
点列状レーザ照射痕を構成する複数のレーザ照射痕の各々は、レーザ加工(即ち、レーザ照射)によってエネルギーが付与された痕跡でありさえすればよく、レーザ照射痕の形状(平面視形状及び断面形状)については特に制限はない。
複数のレーザ照射痕の各々が、レーザ照射によってエネルギーが付与された痕跡でありさえすれば、レーザ照射による鉄損低減の効果が得られる。
レーザ照射痕の平面視形状としては、王冠状、ドーナツ状、フラット状等、どのような平面視形状であってもよい。
Fe基アモルファス合金薄帯におけるレーザ照射痕の耐候性(錆び防止)、Fe基アモルファス合金薄帯の占積率向上の観点からみると、レーザ照射痕の平面視形状としては、ドーナツ状又はフラット状が好ましく、フラット状がより好ましい。フラット状であると、薄帯を積層させて鉄心を構成した場合、薄帯間の空間を抑制し、鉄心の薄帯密度を向上させることができる。
本開示のFe基アモルファス合金薄帯では、Fe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向に設けられた複数の点列状レーザ照射痕のうち、互いに隣り合う点列状レーザ照射痕間の、Fe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向に直交する幅方向の中央部における中心線間隔をライン間隔とした場合に、ライン間隔は10mm~60mmであることが好ましい。
なお、幅方向とは、Fe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向に直交する方向である。
また、点列状レーザ照射痕が薄帯の自由凝固面及びロール面の両面に形成されている場合、ライン間隔は、薄帯を透過的に見た場合の両面の点列状レーザ照射痕を対象に、測定される。例えば、点列状レーザ照射痕が、薄帯の鋳造方向で、両面に交互に、形成されている場合、「互いに隣り合う点列状レーザ照射痕」は、一方の面に形成された点列状レーザ照射痕と、他方の面に形成され、かつ鋳造方向に隣接する点列状レーザ照射痕とが対象となる。
ライン間隔が10mm以上であることにより、ライン間隔が10mm未満である場合と比較して、磁束密度1.45Tの条件で測定される励磁電力の上昇を抑制できる。
ライン間隔が60mm以下であることにより、ライン間隔が60mm超である場合と比較して、磁束密度1.45Tの条件で測定される鉄損を低減させる効果に優れる。
ライン間隔は、より好ましくは10mm~50mmであり、より好ましくは10mm~40mmであり、さらに好ましくは10mm~30mmである。
複数の点列状レーザ照射痕の方向は、略平行であることが好ましいが、略平行であることに限定されない。薄帯の幅方向の中央部において、ライン間隔が10mm~60mmであることが好ましい。複数の点列状レーザ照射痕の方向は、平行であってもよいし平行でなくてもよい。
Fe基アモルファス合金薄帯の「幅方向の中央部」とは、幅方向の中心から幅方向両端に向かってある程度の幅をもった部分とすることができる。例えば、幅方向の中心から幅方向両端に向かって、前記「ある程度の幅」が幅全体の1/4となる領域の範囲を中央部とすることができる。中でも、前記「ある程度の幅」が幅全体の1/2となる領域の範囲を中央部とすることがより好ましい。
本開示の一実施形態として、Fe基アモルファス合金薄帯は、複数の点列状レーザ照射痕の各々の方向が、Fe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向に直交する幅方向に対して、互いに平行でない配置関係を有していてもよい。
つまり、複数の点列状レーザ照射痕の各々の方向とFe基アモルファス合金薄帯の幅方向とのなす角度を10°以上として鋳造方向に対して鋭角又は鈍角の傾斜角をもって交差していてもよい。
本開示の他の一実施形態として、Fe基アモルファス合金薄帯は、複数の点列状レーザ照射痕の各々の方向が、Fe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向及び厚さ方向に直交する方向に対して、略平行であることが好ましい。
複数の点列状レーザ照射痕の各々の方向がFe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向及び厚さ方向に直交する方向に対して略平行であるとは、複数の点列状レーザ照射痕の各々の方向と、Fe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向及び厚さ方向に直交する方向と、のなす角度が10°以下であることを意味する。
但し、複数の点列状レーザ照射痕が略平行であることに限定されない。
また、本開示のFe基アモルファス合金薄帯において、一実施形態として、複数の点列状レーザ照射痕の各々の方向は、Fe基アモルファス合金薄帯の幅方向に対して、略平行であることが好ましい。
複数の点列状レーザ照射痕の各々の方向がFe基アモルファス合金薄帯の幅方向に対して略平行であるとは、複数の点列状レーザ照射痕の各々の方向とFe基アモルファス合金薄帯の幅方向とのなす角度が10°以下であることを意味する。
但し、複数の点列状レーザ照射痕が略平行であることに限定されない。
上記のとおり、点列状レーザ照射痕の方向は、Fe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向に直交する方向に平行でなくてもよく、点列状レーザ照射痕の方向とFe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向とのなす角度が10°超の傾斜角をもっていてもよい。このように、10°超の傾斜角をもっていても、点列状レーザ照射痕は、Fe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向に直交する方向に沿って設けられていると解釈する。この傾斜角は45°未満が好ましく、さらに40°以下が好ましく、さらに30°以下が好ましく、さらに20°以下が好ましい。最も好ましくは10°以下である。
本開示のFe基アモルファス合金薄帯は、点列状レーザ照射痕が薄帯の鋳造方向に一定の間隔で設けられたレーザ照射痕列を、薄帯の幅方向に1つ有する態様でもよいし、薄帯の幅方向に2つ以上有する態様でもよい。
具体的には、本開示のFe基アモルファス合金薄帯は、Fe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向に設けられた複数の点列状レーザ照射痕を、鋳造方向に直交する幅方向において、
(1)前記「幅方向の中央部」に一列有する態様(以下、単一列群という。)でもよいし、(2)前記「幅方向の中央部」に複数列有する態様(以下、複数列群という。)でもよい。
以下、Fe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向に設けられた複数の点列状レーザ照射痕を「照射痕列の群」ともいう。
後者の複数列群では、照射痕列の群が薄帯の幅方向に複数存在し、複数の群間において、点列状レーザ照射痕の各々の位置が幅方向の同一線上にある必要はなく、点列状レーザ照射痕の各々が鋳造方向にずれた位置関係となっていてもよい。例えば、薄帯の幅方向に照射痕列の群が2つ存在する場合、2つの群は薄帯の幅方向中央部の照射痕列非形成領域により隔てられ、一方の群中に並ぶ複数の点列状レーザ照射痕と他方の群中に並ぶ複数の点列状レーザ照射痕とが、鋳造方向に一定の距離ずらして互いに交互に存在する位置関係となっていてもよい。
本開示におけるライン間隔は、以下のようにして求められる値である。
上記(1)のように、鋳造方向に設けられた複数の点列状レーザ照射痕を、前記「幅方向の中央部」に一列有する単一列群として有する場合、ライン間隔は、単一列群中において鋳造方向に互いに隣り合う2つの点列状レーザ照射痕間の間隔を任意に5箇所選択して測定し、測定値の平均値とすることができる。この場合、単一列群を構成する複数の点列状レーザ照射痕は、一定の間隔をおいて存在することが好ましいが、任意の間隔で存在してもよい。
また、上記(2)のように、鋳造方向に設けられた複数の点列状レーザ照射痕を、前記「幅方向の中央部」に複数列からなる複数列群として有する場合、ライン間隔は、複数列群中の各「照射痕列の群」ごとに上記方法と同様にして求めた値(平均値)を更に平均した値とすることができる。この場合、各「照射痕列の群」を構成する複数の点列状レーザ照射痕は、一定の間隔をおいて存在することが好ましいが、任意の間隔で存在してもよい。
本開示のFe基アモルファス合金薄帯において、複数の点列状レーザ照射痕を構成する個々のレーザ照射痕の中心点間隔をスポット間隔とした場合、スポット間隔が0.10mm~0.50mmである。したがって、スポット間隔を0.10mm未満として連続的に形成された構成は含まれない。
スポット間隔が0.10mm以上であることにより、スポット間隔が0.10mm未満である場合と比較して、磁束密度1.45Tの条件で測定される励磁電力の上昇を抑制できる(前述の図6参照)。
スポット間隔が0.50mm以下であることにより、スポット間隔が0.50mm超である場合と比較して、磁束密度1.45Tの条件で測定される鉄損を低減させる効果に優れる。
スポット間隔は、好ましくは0.15mm~0.40mmであり、より好ましくは0.20mm~0.40mmである。
前述のとおり、本開示のFe基アモルファス合金薄帯は、点列状レーザ照射痕を構成するレーザ照射痕の数密度を従来よりも小さくすることにより、磁束密度1.45Tの条件で測定される励磁電力の上昇を抑制しようとするものである。
また、本開示のFe基アモルファス合金薄帯において、ライン間隔をd1(mm)とし、スポット間隔をd2(mm)としたとき、レーザ照射痕の数密度Dを下記式で算出される値とする。
D=(1/d1)×(1/d2)
数密度Dは、ライン間隔及びスポット間隔から算出される値であり、形成されているレーザ照射痕の密度を表している。即ち、あるライン間隔とスポット間隔を有する単位面積(mm)中において、d1×d2×D=1を満たす数密度(D)が0.05個/mm~0.50個/mmである。
レーザ照射痕の数密度Dを適正な値(従来より小さい値)とすることにより、磁束密度1.45Tの条件で測定される励磁電力の上昇を抑制することができる。
点列状レーザ照射痕を構成するレーザ照射痕の数密度Dとしては、0.05個/mm~0.50個/mmとする。
点列状レーザ照射痕を構成するレーザ照射痕の数密度Dとしては、より好ましくは0.10個/mm~0.50個/mmである。
本開示における点列状レーザ照射痕が複数存在する場合、数密度Dは、場合に応じて以下のようにして求めることができる。
上記(1)のように、鋳造方向に設けられた複数の点列状レーザ照射痕を、前記「幅方向の中央部」に一列有する単一列群として有する場合、数密度Dは、単一列群を構成する複数の点列状レーザ照射痕から「互いに隣り合う点列状レーザ照射痕」を任意に5箇所選択し、それぞれのライン間隔及びスポット間隔を測定してそれぞれ測定値の平均値を求め、ライン間隔の平均値及びスポット間隔の平均値から上記式より数密度Dを求める。求めた数密度Dが0.05個/mm~0.50個/mmの範囲にあることで、本発明の効果が奏される。
また、上記(2)のように、鋳造方向に設けられた複数の点列状レーザ照射痕を、前記「幅方向の中央部」に複数列からなる複数列群として有する場合、数密度Dは、複数列群中の各「照射痕列の群」ごとに上記と同様の方法にて求める。そして、求めた数密度Dのうち、複数列群中の少なくとも1つの「照射痕列の群」における数密度Dが0.05個/mm~0.50個/mmの範囲にあることで効果が奏され、本発明の効果がより奏される点で、求めた数密度Dの平均値が0.05個/mm~0.50個/mmの範囲にあることが好ましく、複数列群中の全ての「照射痕列の群」における数密度Dが0.05個/mm~0.50個/mmの範囲にあることがより好ましい。
ここで、「鋳造方向」とは、Fe基アモルファス合金薄帯を鋳造する際の冷却ロールの周方向に対応する方向であり、言い換えれば、鋳造後、カットされる前のFe基アモルファス合金薄帯の長手方向に対応する方向である。
なお、切り出された薄帯片においても、薄帯片の自由凝固面及び/又はロール面を観察することにより、「鋳造方向」がどの方向であるかを確認できる。例えば、薄帯片の自由凝固面及び/又はロール面には、鋳造方向に沿った薄いスジが観測される。また、鋳造方向に直交する方向が幅方向である。
また、Fe基アモルファス合金薄帯の幅方向の長さ全体に占める、点列状レーザ照射痕の幅方向の長さの割合が、幅方向の中心から幅方向両端に向かう方向にそれぞれ10%~50%であることが好ましい。なお、ここでの「%」は、Fe基アモルファス合金薄帯の幅方向の長さ全体を100%としている。
なお、点列状レーザ照射痕の方向が幅方向に対して傾きを持つ場合は、傾きを持った点列状レーザ照射痕自体の長さではなく、点列状レーザ照射痕が形成されている部分において薄帯の幅方向における長さに換算した値を点列状レーザ照射痕の長さとする。
上記長さの割合が50%であるとは、点列状レーザ照射痕が、Fe基アモルファス合金薄帯の幅方向の中央を起点とし、幅方向に一端及び他端にまで到達していることを意味する。この「中央を起点とし、幅方向に一端及び他端まで達している」とは、一端及び他端それぞれにおいて、点列状レーザ照射痕の端のレーザ照射痕とFe基アモルファス合金薄帯の端部との間隔が、レーザ照射痕のスポット間隔以下であることを意味する。
例えば、点列状レーザ照射痕の方向とFe基アモルファス合金薄帯の幅方向とが平行である場合、Fe基アモルファス合金薄帯の点列状レーザ照射痕の方向の長さ全体は、Fe基アモルファス合金薄帯の全幅に対応する。
また、上記長さの割合が10%とは、幅方向の中心から幅方向両端に向かってそれぞれ10%ずつの長さを有していること、即ち、幅全体中の中心領域として幅長の20%の長さの点列状レーザ照射痕を有していることをいう。換言すると、点列状レーザ照射痕が、Fe基アモルファス合金薄帯の幅方向の両端に、幅方向の全体の長さに対して40%ずつの余白を残して形成されていることを意味する。
Fe基アモルファス合金薄帯の点列状レーザ照射痕の、幅方向の長さ全体に占める点列状レーザ照射痕の幅方向の長さの割合が、幅方向の中心から幅方向両端に向かう方向にそれぞれ25%以上であることがより好ましい。
更には、点列状レーザ照射痕は、Fe基アモルファス合金薄帯の幅方向を8等分した8個の領域から両端の2個の領域を除く、前記幅方向中央の6個の領域内に少なくとも形成されていることが好ましい。
<自由凝固面の粗さ(最大断面高さRt)>
ところで、例えば前述の国際公開第2012/102379号に記載のとおり、従来、自由凝固面に波状凹凸を設けることにより、鉄損を低減させることが行われていた。
しかし、本発明者等の検討によると、波状凹凸は、磁束密度1.45Tの条件で測定される励磁電力の上昇を招く場合があることがわかった。
従って、磁束密度1.45Tの条件で測定される励磁電力の上昇を抑制する観点からみて、波状凹凸は、極力低減されていることが好ましい。
具体的には、自由凝固面における複数の点列状レーザ照射痕以外の部分における最大断面高さRtは、3.0μm以下であることが好ましい。最大断面高さRtが3.0μm以下であることは、自由凝固面に波状凹凸が無いか、又は、波状凹凸が低減されていることを意味する。
本明細書中において、自由凝固面における複数の点列状レーザ照射痕以外の部分における最大断面高さRtは、自由凝固面における複数の点列状レーザ照射痕以外の部分について、JIS B 0601:2001に準拠し、評価長さを4.0mmとし、カットオフ値を0.8mmとし、カットオフ種別を2RC(位相補償)として測定(評価)する。ここで、評価長さの方向は、Fe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向とする。また、評価長さを4.0mmとする上記測定は、詳細には、カットオフ値0.8mmにて連続して5回測定することにより行う。
自由凝固面における複数の点列状レーザ照射痕以外の部分における最大断面高さRtは、より好ましくは2.5μm以下である。
また、最大断面高さRtの下限には特に制限はないが、Fe基アモルファス合金薄帯の製造適性の観点から、最大断面高さRtの下限は、好ましくは0.8μmであり、より好ましくは1.0μmである。
<化学組成>
本開示のFe基アモルファス合金薄帯の化学組成には特に制限はなく、Fe基アモルファス合金の化学組成(即ち、Fe(鉄)を主成分とする化学組成)であればよい。但し、本開示のFe基アモルファス合金薄帯による効果をより効果的に得る観点から、本開示のFe基アモルファス合金薄帯の化学組成は、以下の化学組成Aであることが好ましい。
好ましい化学組成である化学組成Aは、Fe、Si、B、及び不純物からなり、Fe、Si、及びBの合計含有量を100原子%とした場合に、Feの含有量が78原子%以上であり、Bの含有量が10原子%以上であり、B及びSiの合計含有量が17原子%~22原子%である化学組成である。
以下、化学組成Aについて、より詳細に説明する。
化学組成Aにおいて、Feの含有量は78原子%以上である。
Fe(鉄)は、アモルファス構造であっても最も磁気モーメントが大きい遷移金属の一つであり、Fe-Si-B系のアモルファス合金では磁性の担い手となる。
Feの含有量は78原子%以上である場合には、Fe基アモルファス合金薄帯の飽和磁束密度(Bs)を高くすることができる(例えば、1.6T程度のBsを実現できる)。更に、後述する好ましい磁束密度B0.08(1.52T以上)を達成し易くなる。
Feの含有量は、好ましくは80原子%以上であり、さらに好ましくは80.5原子%以上であり、更に好ましくは81.0原子%以上である。また、好ましくは82.5原子%以下であり、更に好ましくは82.0原子%以下である。
化学組成Aにおいて、Bの含有量は、10原子%以上である。
B(ホウ素)は、アモルファス形成に寄与する元素である。Bの含有量が10原子%以上である場合には、アモルファス形成能がより向上する。
また、Bの含有量が10原子%以上である場合には、鋳造方向に磁区が配向しやすく、磁区幅が広くなることにより磁束密度(B0.08)が向上しやすい。
Bの含有量は、好ましくは11原子%以上であり、さらに好ましくは12原子%以上であり、さらに好ましくは13原子%以上である。
Bの含有量の上限は、後述するB及びSiの合計含有量にもよるが、好ましくは16原子%である。
化学組成Aにおいて、B及びSiの合計含有量は、17原子%~22原子%である。
Si(ケイ素)は、溶湯状態で表面に偏析し、溶湯の酸化を防ぐ効果を有する元素である。さらに、Siは、アモルファス形成の助剤として作用し、ガラス転移温度を上昇させる効果があり、より熱的に安定なアモルファス相を形成させる元素でもある。
B及びSiの合計含有量が17原子%以上である場合には、上述したSiの効果が効果的に発揮される。
また、B及びSiの合計含有量が22原子%以下である場合には、磁性の担い手であるFeの量を多く確保できるので、飽和磁束密度Bsの向上及び磁束密度B0.08の向上の点で有利である。
Siの含有量は、好ましくは2.0原子%以上であり、より好ましくは2.4原子%以上であり、更に好ましくは3.5原子%以上である。
Siの含有量の上限は、B及びSiの合計含有量にもよるが、好ましくは6.0原子%である。
上記化学組成Aの中でも、後述する鉄損及び励磁電力をより向上させる観点からは、Fe基アモルファス合金薄帯のより好ましい化学組成は、Fe、Si、B、及び不純物からなり、Fe、Si、及びBの合計含有量を100原子%とした場合に、Feの含有量が80原子%以上であり、Bの含有量が12原子%以上であり、B及びSiの合計含有量が17原子%~20原子%である。
化学組成Aは、不純物を含有する。
この場合、化学組成Aに含有される不純物は、1種のみであっても2種以上であってもよい。
不純物としては、Fe、Si、及びB以外のあらゆる元素が挙げられるが、具体的には、例えば、C、Ni、Co、Mn、O、S、P、Al、Ge、Ga、Be、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、希土類元素などが挙げられる。
これらの元素は、Fe、Si、及びBの総質量に対し、総量で1.5質量%以下の範囲で含有することができる。これらの元素の総含有量は、好ましくは1.0質量%以下であり、更に好ましくは0.8質量%以下であり、更に好ましくは0.75質量%以下である。なお、この範囲で、これらの元素は添加されていてもかまわない。
<厚さ>
本開示のFe基アモルファス合金薄帯の厚さには特に制限はないが、厚さは、好ましくは18μm~35μmである。
厚さが18μm以上であることは、Fe基アモルファス合金薄帯のうねり抑制、ひいては占積率向上の点で有利である。
厚さが35μm以下であることは、Fe基アモルファス合金薄帯の脆化抑制、磁気的飽和性の点で有利である。
Fe基アモルファス合金薄帯の厚さは、より好ましくは20μm~30μmである。
<鉄損>
前述したとおり、本開示のFe基アモルファス合金薄帯では、レーザ加工(レーザ照射痕の形成)による磁区の細分化により、周波数60Hz及び磁束密度1.45Tの条件における鉄損が低減される。
周波数60Hz及び磁束密度1.45Tの条件における鉄損は、0.150W/kg以下であり、好ましくは0.140W/kg以下であり、更に好ましくは0.130W/kg以下である。
周波数60Hz及び磁束密度1.45Tの条件における鉄損の下限には特に制限はないが、Fe基アモルファス合金薄帯の製造適性の観点から、鉄損の下限は、好ましくは0.050W/kgである。
また、本開示のFe基アモルファス合金薄帯では、周波数50Hz及び磁束密度1.45Tの条件における鉄損CLも低減される。本開示のFe基アモルファス合金薄帯では、周波数50Hz及び磁束密度1.45Tの条件における鉄損CLが0.120W/kg以下であることが好ましい。
また、本開示のFe基アモルファス合金薄帯では、周波数50Hz、磁束密度1.3Tにおける鉄損、または周波数60Hz、磁束密度1.3Tにおける鉄損も低減される。周波数50Hz、磁束密度1.3Tにおける鉄損が0.08W/kg以下、または周波数60Hz、磁束密度1.3Tにおける鉄損が0.11W/kg以下であることが好ましい。
Fe基アモルファス合金薄帯における鉄損の測定は、JIS C2535:2017もしくはJIS H7152:1996に従い測定される。
<励磁電力>
前述したとおり、本開示のFe基アモルファス合金薄帯では、磁束密度1.45Tの条件における励磁電力の上昇が抑制される。
周波数60Hz及び磁束密度1.45Tの条件における励磁電力は、好ましくは0.200VA/kg以下であり、より好ましくは0.170VA/kg以下であり、更に好ましくは0.165VA/kg以下である。
周波数60Hz及び磁束密度1.45Tの条件における励磁電力の下限には特に制限はないが、Fe基アモルファス合金薄帯の製造適性の観点から、励磁電力の下限は、好ましくは0.100VA/kgである。
<磁束密度B0.08>
前述したとおり、本開示のFe基アモルファス合金薄帯では、磁束密度1.45Tの条件における励磁電力の上昇が抑制されるので、励磁電力の上昇に伴う磁束密度B0.08の低下が抑制され、その結果、磁束密度B0.08を高く維持できる。
本開示のFe基アモルファス合金薄帯において、周波数60Hz及び磁場8A/mの条件における磁束密度B0.08は、好ましくは1.52T以上である。
周波数60Hz及び磁場8A/mの条件における磁束密度B0.08の上限は特に制限はないが、上限は、好ましくは1.62Tである。
<比率〔動作磁束密度Bm/飽和磁束密度Bs〕>
前述したとおり、本開示のFe基アモルファス合金薄帯では、従来の条件である磁束密度1.3Tよりも高い磁束密度である、磁束密度1.45Tの条件における鉄損及び励磁電力を低く抑えることができる。
このため、比率〔動作磁束密度Bm/飽和磁束密度Bs〕(以下、「Bm/Bs比」ともいう)が従来よりも高い条件の動作磁束密度Bmにて用いた場合においても、鉄損及び励磁電力を抑制できる。
この点に関し、従来の一例に係るFe基アモルファス合金薄帯は、飽和磁束密度Bsが1.56Tであり、かつ、動作磁束密度Bmが1.35Tの条件(即ち、Bm/Bs比=0.87)で用いられていた(例えば、IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS Vol:44, Issue:11,Nov.2008,pp.4104-4106(特に、p.4106)参照)。
これに対し、本開示のFe基アモルファス合金薄帯において、例えば、後述の実施例の化学組成(Fe82Si14)を有するFe基アモルファス合金薄帯のBsは、1.63Tである。Bsは、化学組成によってほぼ一義的に定まる。この場合の本開示のFe基アモルファス合金薄帯は、1.43T以上(好ましくは1.45T~1.50T)のBmにて用いることが可能である。Bmが1.43Tである場合のBm/Bs比は、0.88であり、Bmが1.50Tである場合のBm/Bs比は、0.92である。
以上の理由により、本開示のFe基アモルファス合金薄帯は、Bm/Bs比が0.88~0.94(好ましくは0.89~0.92)であることを満足する動作磁束密度Bmにて用いられる用途に特に好適である。
本開示のFe基アモルファス合金薄帯は、Bm/Bs比が0.88~0.94(好ましくは0.89~0.92)であることを満足する動作磁束密度Bmにて用いた場合においても、鉄損及び励磁電力の増大を抑制できる。
~Fe基アモルファス合金薄帯の製造方法(製法X)~
上述した本開示のFe基アモルファス合金薄帯は、好ましくは以下の製法Xによって製造することができる。
製法Xは、
Fe基アモルファス合金からなり、自由凝固面及びロール面を有する素材薄帯を準備する工程(以下、「素材準備工程」ともいう)と、
素材薄帯の自由凝固面及びロール面の少なくとも一方面に対し、レーザ加工により、複数のレーザ照射痕から構成される点列状レーザ照射痕を複数形成することにより、複数の点列状レーザ照射痕を有するFe基アモルファス合金薄帯を得る工程(以下、「レーザ加工工程」ともいう)と、
を有し、
前記Fe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向に設けられた複数の点列状レーザ照射痕のうち、互いに隣り合う点列状レーザ照射痕間の、鋳造方向に直交する幅方向の中央部における中心線間隔をライン間隔とし、複数の点列状レーザ照射痕の各々における複数のレーザ照射痕の中心点間隔をスポット間隔とした場合に、スポット間隔が0.10mm~0.50mmであり、ライン間隔をd1(mm)とし、スポット間隔をd2(mm)とし、レーザ照射痕の数密度DをD=(1/d1)×(1/d2)としたとき、レーザ照射痕の数密度Dが、0.05個/mm~0.50個/mmである。
製法Xは、必要に応じ、素材準備工程及びレーザ加工工程以外のその他の工程を有していてもよい。
-素材準備工程-
製法Xにおける素材準備工程は、自由凝固面及びロール面を有する素材薄帯を準備する工程である。
ここでいう素材薄帯は、鋳造後、カットされていない状態の薄帯(例えば、鋳造後にロール状に巻き取られたロール体)であってもよいし、鋳造後、所望とする大きさに切り出された薄帯片であってもよい。素材薄帯は、いわば、レーザ照射痕が形成される前の段階の、本開示のFe基アモルファス合金薄帯である。
素材薄帯における自由凝固面及びロール面は、それぞれ、本開示のFe基アモルファス合金薄帯における自由凝固面及びロール面と同義である。
素材薄帯の好ましい態様(例えば好ましい化学組成、好ましいRt)は、レーザ照射痕の有無を除けば、本開示のFe基アモルファス合金薄帯の好ましい態様と同様である。
素材準備工程は、予め鋳造された(即ち、既に完成した)素材薄帯を、レーザ加工工程に供するために単に準備するだけの工程であってもよいし、素材薄帯を新たに鋳造する工程であってもよい。
また、素材準備工程は、素材薄帯の鋳造、及び、素材薄帯からの薄帯片の切り出しの少なくとも一方を行う工程であってもよい。
-レーザ加工工程-
製法Xにおけるレーザ加工工程では、素材薄帯の自由凝固面及びロール面の少なくとも一方面に対し、レーザ加工により(即ち、レーザを照射することにより)、複数のレーザ照射痕(詳細には、複数のレーザ照射痕から構成される点列状レーザ照射痕)を形成する。
レーザ照射工程によって形成されるレーザ照射痕及び点列状レーザ照射痕の好ましい態様(好ましい、ライン間隔、スポット間隔、レーザ照射痕の数密度等)は、前述した本開示のFe基アモルファス合金薄帯におけるレーザ照射痕及び点列状レーザ照射痕の好ましい態様と同様である。
前述のとおり、複数のレーザ照射痕の各々は、レーザ照射によってエネルギーが付与された痕跡でありさえすれば、レーザ照射による鉄損低減の効果が得られる。
従って、レーザ加工工程におけるレーザの条件には特に制限はないが、好ましい条件は以下のとおりである。
レーザ光の照射エネルギーをFe基アモルファス合金薄帯の厚みに対して制御することにより、凹部の直径や凹部の深さを制御することができる。
レーザ加工工程において、各レーザ照射痕を形成するためのレーザの出力(以下、「レーザ出力」ともいう)として、好ましくは0.4mJ~2.5mJであり、より好ましくは0.6mJ~2.5mJであり、更に好ましくは0.8mJ~2.5mJであり、更に好ましくは1.0mJ~2.0mJであり、更に好ましくは1.3mJ~1.8mJである。
レーザビームの直径(以下、「スポット径」ともいう)は、50μm~200μmが好ましい。
レーザ出力をスポット面積によって除した値を、レーザのエネルギー密度と定義した場合、エネルギー密度としては、好ましくは0.01J/mm~1.50J/mmであり、より好ましくは0.02J/mm~1.30J/mmであり、更に好ましくは0.03J/mm~1.02J/mmである。
レーザのパルス幅は、50nsec以上が好ましく、より好ましくは100nsec以上である。パルス幅を上記範囲にすることにより、レーザ照射痕を形成した薄帯片の鉄損等の磁気特性を効率的に改善できる。
パルス幅とは、レーザ照射されている時間のことをいい、パルス幅が小さいことは照射時間が短いことを指す。即ち、照射レーザ光の全エネルギーは、単位時間当たりのエネルギーとパルス幅の積で表される。
レーザ処理では、凹部の形成にあたり、パルスレーザ光を薄帯幅方向に走査して照射する。
レーザ光源としては、YAGレーザ、COガスレーザ、ファイバーレーザなどを利用することができる。中でも、高出力で高周波のパルスレーザ光を長時間に亘り安定的に照射することができる点で、ファイバーレーザが好ましい。ファイバーレーザでは、ファイバーに導入されたレーザ光が、ファイバー両端の回折格子によりFBG(Fiber Bragg grating)の原理で発振する。レーザ光は、細長いファイバー中で励起されるので、結晶内部に生じる温度勾配によりビーム品質が低下する熱レンズ効果の問題がない。更に、ファイバーコアは、数ミクロンと細いので、レーザ光は高出力でもシングルモードで伝播するだけでなく、ビーム径が絞られ、高エネルギー密度のレーザ光が得られる。そのうえ、焦点深度が長いので、200mm以上と幅広の薄帯にも精度良く凹部列を形成できる。ファイバーレーザのパルス幅は、通常マイクロ秒~ピコ秒程度である。
レーザ光の波長は、レーザ光源により、約250nm~1100nmであるが、900nm~1100nmの波長が、合金薄帯において十分吸収されるため好適である。
レーザ光のビーム径としては、10μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、50μm以上がより好ましい。また、ビーム径は、500μm以下が好ましく、400μm以下がより好ましく、300μm以下がより好ましい。
また、レーザ加工工程は、単ロール法による鋳造後であって巻取り前の素材薄帯に対してレーザ加工を施す工程であってもよいし、巻取り後の素材薄帯(ロール体)から巻き出された素材薄帯に対しレーザ加工を施す工程であってもよいし、巻取り後の素材薄帯(ロール体)から巻き出された素材薄帯から切り出された薄帯片に対しレーザ加工を施す工程であってもよい。
レーザ加工工程が、単ロール法による鋳造後であって巻取り前の素材薄帯に対してレーザ加工を施す工程である場合、製法Xは、例えば、冷却ロールと巻取りロールとの間に、レーザ加工装置が配置されたシステムを用いて実施する。
以下、本開示の変圧器に用いるのに適したFe基アモルファス合金薄帯の実施例を示す。
〔実施例101〕
<素材薄帯(レーザ加工される前のFe基アモルファス合金薄帯)の製造>
単ロール法により、Fe82Si14の化学組成を有し、厚さが25μmであり、幅が210mmである素材薄帯(即ち、レーザ加工される前のFe基アモルファス合金薄帯)を製造した。ここで、「Fe82Si14の化学組成」とは、Fe、Si、B、及び不純物からなり、Fe、Si、及びBの合計含有量を100原子%とした場合に、Feの含有量が82原子%であり、Bの含有量が14原子%であり、Siの含有量が4原子%である化学組成を意味する。
以下、素材薄帯の製造の詳細を説明する。
素材薄帯の製造は、Fe82Si14の化学組成を有する溶湯を1300℃の温度に保持し、次いでこの溶湯をスリットノズルから、軸回転する冷却ロールの表面に噴出した。噴出された溶湯を冷却ロールの表面で急冷凝固させ、素材薄帯を得た。このとき、冷却ロールの表面における、溶湯のパドルが形成されるスリットノズルの直下の周辺の雰囲気は、非酸化性ガス雰囲気とした。スリットノズルにおける、スリット長さは210mmとし、スリット幅は0.6mmとした。冷却ロールの材質はCu系合金とし、冷却ロールの周速は27m/sとした。溶湯を噴出する圧力及びノズルギャップ(即ち、スリットノズル先端と冷却ロール表面とのギャップ)は、製造される素材薄帯の自由凝固面における最大断面高さRt(詳細には、素材薄帯の鋳造方向に沿って測定された最大断面高さRt)が、3.0μm以下となるように調整した。
<レーザ加工>
素材薄帯からサンプル片を切り出し、切り出したサンプル片に対してレーザ加工を施すことにより、レーザ加工されたFe基アモルファス合金薄帯片を得た。
以下、詳細を説明する。
図4は、レーザ加工されたFe基アモルファス合金薄帯片(薄帯10)の自由凝固面を概略的に示す概略平面図である。
図4に示す薄帯10の長さL1(即ち、素材薄帯から切り出すサンプル片の長さ)は120mmとし、薄帯10の幅W1(即ち、素材薄帯から切り出すサンプル片の幅)は25mmとした。サンプル片は、サンプル片の長さ方向と素材薄帯の長さ方向とが一致し、かつ、サンプル片の幅方向と素材薄帯の幅方向とが一致する向きに切り出した。
切り出したサンプル片の自由凝固面にパルスレーザを照射することにより、複数のレーザ照射痕14から構成される点列状レーザ照射痕12を複数形成し、薄帯10を得た。
詳細には、サンプル片(レーザ加工前の薄帯10。以下同じ。)の自由凝固面に、複数のレーザ照射痕14を、サンプル片の幅方向に対して平行な方向に一列に形成することにより、点列状レーザ照射痕12を形成した。点列状レーザ照射痕12は、サンプル片の幅方向の全域にわたって形成した。即ち、点列状レーザ照射痕のサンプル片の幅方向についての長さが、サンプル片の全幅に対して100%となるようにした。これは、Fe基アモルファス合金薄帯の幅方向の長さ全体に占める、線状レーザ照射痕の幅方向の長さの割合が、幅方向の中心から幅方向両端に向かう方向にそれぞれ50%であることに相当する。
以上の点列状レーザ照射痕12を複数形成した。複数の点列状レーザ照射痕12の方向は、平行となるようにした。
点列状レーザ照射痕12における、スポット間隔SP1(即ち、レーザ照射痕14の中心点間隔)、及び、ライン間隔LP1(即ち、点列状レーザ照射痕12の中心線間隔)は、表9に示す通りとした。
また、薄帯10におけるレーザ照射痕の数密度(個/mm)は、表9に示す通りとした。レーザ照射痕の数密度D(個/mm)は、下記式より算出した。
D=(1/d1)×(1/d2)
式中、d1はライン間隔(単位:mm)を表し、d2はスポット間隔(単位:mm)を表す。
パルスレーザの照射条件は、以下の通りとした。
-パルスレーザの照射条件-
レーザ発振器としては、IPGフォトニクス社のパルスファイバーレーザ(YLP-HP-2-A30-50-100)を使用した。このレーザ発振器のレーザ媒質はYbドープのガラスファイバーであり、発振波長は1064nmである。上記レーザ発振器のファイバー端のコリメータからの出射ビーム径は、6.2mmとした。
一方、サンプル片の自由凝固面におけるレーザのスポット径は、60.8μmとなるように調整した。ビーム径の調整は、光学部品であるビームエキスパンダ(BE)と、fθ:f254mmの集光レンズ(焦点距離254mm)と、を用いて行った。
ビームモードM2は3.3(マルチモード)とした。
レーザの出力は2.0mJとし、レーザのパルス幅は、250nsecとした。
BEによるビームの拡大倍率は3倍とし、Focusは0mmとした。ここで、Focusとは、集光レンズの焦点距離(254mm)と、集光レンズから薄帯の自由凝固面までの実際の距離と、の差(絶対値)を意味する。
また、入射径Dとスポット径D0との間に、D0=4λf/πD(ここで、λはレーザの波長を表し、fは焦点距離を表す)の関係が成り立つことから、ビームの拡大倍率BEが大きくなるにつれ(即ち、入射径Dが大きくなるにつれ)、スポット径D0が小さくなる傾向となる。
上記の照射条件において、レーザ出力(2.0mJ)を、サンプル片の自由凝固面におけるレーザのビーム径(60.8μm)によって除した値を、エネルギー密度と定義した場合、エネルギー密度をJ/mm単位で表すと、0.689J/mmとなる。
<測定及び評価>
レーザ加工されたFe基アモルファス合金薄帯(図4中の薄帯10)について、以下の測定及び評価を行った。結果を表9に示す。
(非レーザ加工領域の最大断面高さRt)
レーザ加工されたFe基アモルファス合金薄帯の自由凝固面中、点列状レーザ照射痕12以外の部分(即ち、非レーザー加工領域)について、JISB 0601:2001に準拠し、評価長さを4.0mmとし、カットオフ値を0.8mmとし、カットオフ種別を2RC(位相補償)として、最大断面高さRtを測定した。ここで、評価長さの方向は、素材薄帯の鋳造方向となるように設定した。評価長さを4.0mmとする上記測定は、詳細には、カットオフ値0.8mmにて連続して5回測定することにより行った。評価長さを4.0mmとする上記測定を、非レーザ加工領域中の3箇所について行い、得られた3つの測定値の平均値を、本実施例における最大断面高さRt(μm)とした。
(鉄損CLの測定)
レーザ加工されたFe基アモルファス合金薄帯について、周波数60Hz及び磁束密度1.45Tの条件、並びに、周波数60Hz及び磁束密度1.50Tの条件の2条件にて、鉄損CLを、交流磁気測定器により正弦波励磁で測定した。
(励磁電力VAの測定)
レーザ加工されたFe基アモルファス合金薄帯について、周波数60Hz及び磁束密度1.45Tの条件、並びに、周波数60Hz及び磁束密度1.50Tの条件にて、励磁電力VAを、交流磁気測定器により正弦波励磁で測定した。
(磁束密度B0.08の測定)
レーザ加工されたFe基アモルファス合金薄帯について、周波数60Hz及び磁場8A/mの条件で、磁束密度B0.08を測定した。
〔比較例101〕
レーザ加工を行わなかったこと以外は実施例101と同様の操作を行った。結果を表9、表10に示す。
〔実施例102~114、比較例102~104〕
スポット間隔及びライン間隔の組み合わせを、表9及び表10に示すように変更したこと以外は実施例101と同様の操作を行った。
なお、これらの例において、最大断面高さRtも異なる値となっているが、この最大断面高さRtについては意図的にコントロールしたものではない。最大断面高さRtが3.0μm以下の範囲において、最大断面高さRtを意図的にコントロールすることは技術的に困難である。結果を表9及び表10に示す。
〔比較例105〕
最大断面高さRtが3.0μm超となるように、溶湯を噴出する圧力及びノズルギャップを調整したこと以外は比較例101と同様の評価を行った。結果を表10に示す。この比較例105のFe基アモルファス合金薄帯では、自由凝固面に波状の凹凸が形成されていた。
表9及び表10に示すように、スポット間隔(即ち、複数のレーザ照射痕の中心点間隔)が0.10mm~0.50mmであり、かつ、レーザ照射痕の数密度Dが0.05個/mm~0.50個/mmである実施例101~114のFe基アモルファス合金薄帯は、磁束密度1.45Tの条件における鉄損CL及び励磁電力VAが低減されていた。また、実施例101~114のライン間隔(即ち、複数の点列状レーザ照射痕の中心線間隔)は10mm~60mmであった。
これに対し、レーザ照射痕が形成されていない比較例101のFe基アモルファス合金薄帯では、鉄損CLが高かった。
また、スポット間隔が0.10mm未満である比較例102のFe基アモルファス合金薄帯では、鉄損CLは低減されているものの、励磁電力VAが高かった。
また、ライン間隔が10mm未満である比較例103及び104のFe基アモルファス合金薄帯では、鉄損CLは低減されているものの、励磁電力VAが高かった。
また、レーザ照射痕を有さず、自由凝固面の非レーザ加工領域における最大断面高さRtが3.0μm超である比較例105のFe基アモルファス合金薄帯では、鉄損CLは低減されているものの、励磁電力VAが高かった。
<レーザ照射痕の形状>
実施例101~114のFe基アモルファス合金薄帯のレーザ照射痕の平面視形状を、光学顕微鏡によって観察した。結果、いずれの実施例においても、レーザ照射痕の平面視形状は王冠状であった。ここで、王冠状とは、レーザ照射痕の縁の部分に、溶融合金が飛散した痕跡が残っている形状を意味する。
ところで、Fe82Si14の化学組成を有する実施例101~114のFe基アモルファス合金薄帯における飽和磁束密度Bsは、1.63Tである。
実施例101~114において、磁束密度1.45Tの条件における鉄損CL及び励磁電力VAは、比率〔動作磁束密度Bm/飽和磁束密度Bs〕が0.89(=1.45/1.63)であることを満足する動作磁束密度BmにてFe基アモルファス合金薄帯を使用することを想定した例であり、磁束密度1.50Tの条件における鉄損CL及び励磁電力VAは、比率〔動作磁束密度Bm/飽和磁束密度Bs〕が0.92(=1.50/1.63)であることを満足する動作磁束密度BmにてFe基アモルファス合金薄帯を使用することを想定した例である。
表9及び表10の結果から、実施例101~114のFe基アモルファス合金薄帯は、比率〔動作磁束密度Bm/飽和磁束密度Bs〕が0.88~0.94であることを満足する動作磁束密度Bmにて用いた場合においても、鉄損及び励磁電力を抑制できることが期待される。

Claims (10)

  1. Fe基アモルファス合金薄帯の少なくとも一方面に、前記Fe基アモルファス合金薄帯の鋳造方向に直交する方向に沿って設けられた点列状レーザ照射痕を複数有し、複数の前記点列状レーザ照射痕のうち、互いに隣り合う点列状レーザ照射痕間の、前記鋳造方向に直交する幅方向の中央部における中心線間隔をライン間隔とし、前記点列状レーザ照射痕を構成する個々のレーザ照射痕の中心点間隔をスポット間隔とした場合に、前記スポット間隔が、0.10mm~0.50mmであり、前記ライン間隔をd1(mm)とし、前記スポット間隔をd2(mm)とし、前記レーザ照射痕の数密度DをD=(1/d1)×(1/d2)としたとき、前記レーザ照射痕の数密度Dが、0.05個/mm~0.50個/mmであり、
    前記Fe基アモルファス合金薄帯の単板での周波数60Hz、磁束密度1.45Tにおける鉄損が0.150W/kg以下であるFe基アモルファス合金薄帯を用いて構成された鉄心と、前記鉄心に巻かれた巻線とを備える変圧器。
  2. 前記変圧器は単相変圧器であって、前記鉄心の重量当たりの無負荷損が50Hzにおいて0.15W/kg以下、または60Hzにおいて0.19W/kg以下である、請求項1に記載の変圧器。
  3. 前記変圧器は3相変圧器であって、前記鉄心の重量当たりの無負荷損が50Hzにおいて0.19W/kg以下、または60Hzにおいて0.24W/kg以下である、請求項1に記載の変圧器。
  4. 前記変圧器の定格容量が10kVA以上である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の変圧器。
  5. 前記ライン間隔d1が10mm~60mmである、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の変圧器。
  6. 前記Fe基アモルファス合金薄帯の幅方向の長さ全体に占める、前記点列状レーザ照射痕の幅方向の長さの割合が、幅方向の中心から幅方向両端に向かう方向にそれぞれ10%~50%の範囲内である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の変圧器。
  7. 前記Fe基アモルファス合金薄帯の厚さが18μm~35μmである、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の変圧器。
  8. 前記Fe基アモルファス合金薄帯は、Fe、Si、B、及び不純物からなり、Fe、Si、及びBの合計含有量を100原子%とした場合に、Feの含有量が78原子%以上であり、Bの含有量が10原子%以上であり、B及びSiの合計含有量が17原子%~22原子%である、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の変圧器。
  9. 前記Fe基アモルファス合金薄帯は、自由凝固面及びロール面を有し、前記点列状レーザ照射痕部分を除く前記自由凝固面における最大断面高さRtが、3.0μm以下である、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の変圧器。
  10. 前記点列状レーザ照射痕は、前記Fe基アモルファス合金薄帯の幅方向を8等分した8個の領域から両端の2個の領域を除く、前記幅方向の中央の6個の領域内に少なくとも形成されている、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の変圧器。
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