JP7494080B2 - 量子コンピュータ - Google Patents

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Description

本発明は、量子コンピュータに関する。
IT社会では計算機性能への要求は限りがなく、その要求に応えられるものとして量子コンピュータへの期待が大きい。量子コンピュータの基本素子である量子ビットの作製技術は近年急速に進歩している。しかし、量子ビット誤りは確率的現象であるために無くすことはできず、量子誤り訂正符号が必須になる。
これは量子状態を冗長化し、ある量子ビットの測定を通して、誤りがあった場合に誤りのあった量子ビットの位置と誤りの種類を同定可能にするものである。誤りが検出されれば、誤りのあった量子ビットを直ちに訂正することも可能であるし、訂正する代わりに検出結果に基づいてその後のフローを改変することも可能である。
量子誤り訂正符号に関して現在よく知られている手法が表面符号である(非特許文献1参照)。これは量子ビットを、量子状態の保持と演算を担当するデータ量子ビットと、そのデータ量子ビットの誤りを検出するための測定量子ビットに2分し、それらを正方格子の頂点上に交互に配置するものである。
辺で結ばれた量子ビット同士、即ち、データ量子ビットと測定量子ビットを相互作用させてデータ量子ビットの情報を測定量子ビットに転写し、測定量子ビットの測定を通して誤りを検出する。各量子ビットは正方格子の頂点に位置しているので、それぞれ4つの量子ビットと相互作用する。
測定量子ビットは、ビット誤り検出用と位相誤り検出用に2分され、それらが交互に配置される。データ量子ビットはビット情報と位相情報を保持しており、両情報の誤り訂正が必要である。データ量子ビットは4つの測定量子ビットと相互作用する配置になっており、その内の2つがビット誤り検出用であり、残りの2つが位相誤り検出用である。
A.G.Fowler,M.Mariantoni,J.M.Martinis,and Andrew N.Cleland,"Surface codes:Towards practical large-scale quantum computation,"Phys.Rev.A86,032324(2012).
現在の量子ビットは主流が超伝導体であることもあり素子サイズが比較的大きく、正方格子上に配置しても互いの距離が比較的大きい。
しかし、例えば、今後LSI技術が適用可能なシリコン量子ビットに主流が移れば素子サイズが小さくなり、量子ビット間の距離が小さくなる。集積度が上がるという点では好ましいが、素子が密接し過ぎると相互作用にクロストークが生じてしまう。
このように、量子ビットの作製技術の進歩に伴い量子ビットの素子サイズが小さくなると、素子が接近し過ぎて相互作用にクロストークが生じるようになる。即ち、誤り訂正のために実行している作用が逆に誤りを発生させることになる。
本発明の目的は、相互作用のクロストークが低減し、誤りの生じにくい量子コンピュータを実現することにある。
本発明の一態様の量子コンピュータは、複数の量子ビットを有する量子コンピュータであって、量子状態を保持するデータ量子ビットと、前記データ量子ビットの前記量子状態を転送する転送量子ビットと、前記転送量子ビットを介して転送された前記データ量子ビットの前記量子状態を測定して前記データ量子ビットの状態に関して出力する測定量子ビットと、を有することを特徴とする。
本発明の一態様の量子コンピュータは、複数の量子ビットを有する量子コンピュータであって、前記量子ビットとして、量子状態を保持するデータ量子ビットを有し、前記データ量子ビットは、ビット情報を保持する第1のデータ量子ビットと、位相情報を保持する第2のデータ量子ビットと、前記ビット情報と前記位相情報の両方を保持する第3のデータ量子ビットと、を有することを特徴とする。
本発明の一態様によれば、相互作用のクロストークが低減し、誤りの生じにくい量子コンピュータを実現することができる。また、周辺回路の設計の自由度が向上する。
実施例1に係る量子ビットの配置の例を示す図である。 実施例1に係り、CNOT演算を説明する図である。 実施例1に係り、CNOT演算を説明する図である。 実施例1に係り、データ量子ビットから転送量子ビットを経由して、Z基底における情報が測定量子ビットに転送され、その後に測定量子ビットが測定されることを示す図である。 実施例1に係り、(A)はX基底における情報転送法を示す図であり、(B)はそれに等価な回路を示す図である。 実施例1に係り、データ量子ビットから転送量子ビットを経由して、X基底における情報が測定量子ビットに転送され、その後に測定量子ビットが測定されることを示す図である。 実施例1に係り、各測定量子ビットが同期して動作することを示す図である。 実施例2に係り、スタビライザの構成を示す図である。 実施例3に係り、論理量子ビットの構成を示す図である。 実施例4に係り、Zカットホールを利用した論理量子ビットを示す図である。 実施例4に係り、Xカットホールを利用した論理量子ビットを示す図である。 実施例5に係り、Zカットホールを拡大した論理量子ビットを示す図である。 実施例5に係り、図11のZカットホールを縮小し、図9と比べるとZカットホールの位置が移動した論理量子ビットを示す図である。 実施例5に係り、図12と比べて論理量子ビットの構成を変化させた図である。 実施例6に係り、辺上に2個の転送量子ビットを配置した符号と、Zカットホールを利用した論理量子ビットを示す図である。 実施例6に係り、データ量子ビットから転送量子ビットを経由して、Z基底における情報が測定量子ビットに転送され、その後に測定量子ビットが測定されることを示す図である。 実施例6に係り、データ量子ビットから転送量子ビットを経由して、X基底における情報が測定量子ビットに転送され、その後に測定量子ビットが測定されることを示す図である。 実施例6に係り、辺上に2個の転送量子ビットを配置した符号と、Xカットホールを利用した論理量子ビットを示す図である。 実施例7に係り、転送量子ビットを横方向の辺上のみに1個配置し縦方向に配置しない符号と、2種類のZカットホールを利用した論理量子ビット及び2種類のXカットホールを利用した論理量子ビットを示す図である。 実施例8に係り、転送量子ビットを横方向の辺上のみに2個配置し縦方向に配置しない符号と、2種類のZカットホールを利用した論理量子ビット及び2種類のXカットホールを利用した論理量子ビットを示す図である。 実施例10に係る量子ビットの配置を示す図である。 実施例10に係り、スタビライザの構成を示す図である。 実施例10に係り、Zスタビライザの構成を示す図である。 実施例10に係り、Xスタビライザの構成を示す図である。 実施例11に係り、Zカットホール利用した論理量子ビットを示す図である。 実施例11に係り、Zカットホールを拡大した論理量子ビットを示す図である。 実施例11に係り、図25のZカットホールを縮小し、図24と比べるとZカットホールの位置が移動した論理量子ビットを示す図である。 実施例11に係り、Xカットホール利用した論理量子ビットを示す図である。 実施例12に係り、横方向の辺上に2個の量子ビットを配置し縦方向の辺上に量子ビットを配置しない符号と、2種類のZカットホールを利用した論理量子ビット及び2種類のXカットホールを利用した論理量子ビットを示す図である。 実施例14に係り、量子演算装置を含む計算機システム全体を示す図である。
本発明は量子力学を基礎にしている。そこで、最初に、量子力学の一般的性質について述べる。
量子力学では可観測量(オブザーバブル)を演算子で表し、演算子を状態ベクトルに作用させることにより得られる値が実際の測定値と解釈する。例えば、オブザーバブルをA、状態を|Ψ>として、A|Ψ>=a|Ψ’>であったとする。測定値はAの固有値のひとつaになり、状態|Ψ>はaの固有状態|Ψ’>に変化する。測定値は必ずAの固有値の一つである。状態|Ψ>が状態|Ψ’>に変化することを波束が収束するとも言う。
コンピュータの最小単位であるビットは古典的には0あるいは1の2値であるが(自由度1)、量子ビットは0状態(|0>と表記)と1状態(|1>と表記)の線形重ね合わせが可能で、線形重ね合わせ状態|Ψ>は係数α及びβを使って|Ψ>=α|0>+β|1>と書ける。ベクトル表記で|0>=(1,0)及び|1>=(0,1)とすれば|Ψ>=(α,β)である。ここで上付き文字のTは転置を表す。|α|と|β|がそれぞれ状態|0>及び状態|1>にいる確率になる。確率が保存するように|α|+|β|=1である。αとβは一般に複素数であり、αとβは確率を決めるだけでなく|0>と|1>間の位相関係も決める。(α,β)を任意の状態(α’,β’)≡|Ψ’>に変換するユニタリ行列Uは2行2列で表される。2行2列の行列は合計で4成分なのでUは4つの行列の線形結合で表される。その基底行列として(数1)がよく使われる。
Figure 0007494080000001
Uは係数a,b,c,dを用いてU=aI+bX+cY+dZと書ける。
I|Ψ>=|Ψ>なのでIは状態変化がない場合である。X(α,β)=(β,α)なのでXはビット反転を表す。Z(α,β)=(α,-β)なのでZは位相反転を表す。Y=-iZXなのでYはビット反転と位相反転の組み合わせである。
前述のように量子ビットは線形重ね合わせ状態になっているので0≦|α|≦1、0≦|β|≦1の自由度(2自由度)を持つが、αやβが測定できるわけではなく、状態判定の測定をすれば測定値は+1か-1になる。測定値は基底の取り方により結果が異なる。状態(α,β)を|0>=(1,0)及び|1>=(0,1)を基底にして状態判定(オブザーバブルがZ)すれば確率|α|で状態は|0>に収束して測定値+1になり、確率|β|で|1>に収束して測定値-1になる。この場合の測定はZの固有ベクトルを基底にしているのでZ基底での測定、あるいは単にZ測定と呼ぶ。Xの固有ベクトルは|+>=(|0>+|1>)/√2=(1,1)/√2及び|->=(|0>-|1>)/√2=(1,-1)/√2で、それぞれの固有値が+1及び-1である。この基底での状態判定(オブザーバブルがX)をX基底(Xを対角化する基底:Xの固有ベクトル)での測定、あるいは単にX測定と呼ぶ。X測定では、状態(α,β)は確率|α+β|/2で状態|+>に収束して測定値+1になり、確率|α-β|/2で|->に収束して測定値-1になる。
測定時に波束の収束があるので測定の順番で結果が異なってくる。数学的には、オブザーバブルが状態ベクトルに作用する順番により結果が異なることになる。例えば、ある量子ビットに関してZ基底で測定をしたとする。測定値は+1あるいは-1となって状態は+1の固有状態あるいは-1の固有状態になる。元々の状態がZの固有状態に変化してしまうのでこの後X測定を行っても測定値はランダムに+1あるいは-1になる。
逆に、X測定を先にすれば元々の量子状態はXの固有状態に変化するのでその後Z測定してもランダムな結果が得られるだけである。即ち、意味のあるX測定とZ測定の両者を実施することはできない。この性質は数学的にはオブザーバブルが演算子であり、演算子同士では非可換な場合があることによる。例えばXとZに着目すれば、XZ=-ZXでありXとZは交換しない。この非可換性(交換しないこと)が、結果が測定の順番に依存する性質を導く。尚、交換を表す記号[X,Z]=XZ-ZXがしばしば用いられ、[X,Z]≠0である。
オブザーバブルが可換ならばどちらを先に測定してもよく、両者が同時に正確に測定可能になる。数学的にはそれらのオブザーバブルが「同時対角化可能」で「同時固有状態を取る」ことになる。例えばX,Zを量子ビット1のオブザーバブル、X,Zを量子ビット2のオブザーバブルとする。異なる量子ビット間のオブザーバブル同士は交換するので[X,X]=[X,Z]=[Z,X]=[Z,Z]=0である。オブザーバブルZとZは交換するので同時対角化可能でZの同時固有状態はZ|00>=+|00>、Z|11>=+|11>、Z|01>=-|01>、Z|10>=-|10>となる。
前述のように[X,Z]≠0、[X,Z]≠0であるが、掛け合わせたXとZは、(X)(Z)=(X)(X)=(-Z)(-Z)=(Z)(Z)=(Z)(X)なので[X,Z]=0となって交換する。即ち、XとZは同時固有状態を取る。具体的には|00>±|11>と|01>±|10>がX及びZの同時固有状態になる。
ここで要点となったのは1量子ビットのオブザーバブル個々では[X,Z]≠0及び[X,Z]≠0であったものが、2量子ビットからなるオブザーバブルにすれば[X,Z]=0になることである。
以下、図面を用いて実施例について説明する。
以上の量子力学に関する準備を利用し、図1を参照して、実施例1の量子コンピュータについて説明する。図1は平面上に配置した量子ビットの模式図である。
白丸(〇、例えば101)、三角形(△、例えば102)、黒丸(●、例えば111)が量子ビットである。白丸の量子ビット(〇)と黒丸の量子ビット(●)が交互に頂点に配置され、三角形(△)の量子ビットが辺上に配置される。相互作用のある量子ビット対はハッチ状図形(例えば、121や122)あるいは白抜きの図形(例えば、126や127)で結ばれている。
白丸の量子ビット(〇、例えば101)はデータ量子ビットと呼ばれるもので、量子状態の保持と演算を担当する。黒丸(●、例えば111)の量子ビットは測定量子ビットと呼ばれるもので誤りの検出に利用する。三角形(△、例えば102)の量子ビットは転送量子ビットと呼ばれるもので、相互作用を通して白丸の量子ビット(〇)の状態を黒丸(●)の量子ビットに転送する。誤りは黒丸(●)の量子ビットの測定を通して検出される。
量子ビットには確率的に誤りが生じる。そのため各量子ビットの情報を1量子ビットずつ使って保持するのではなく、1量子ビット分の情報を複数の量子ビットを使って冗長にして保持する。即ち、誤り訂正符号化する。以下では誤り訂正符号化のことを符号化と略記する。図1の符号化では1量子ビット分の情報をデータ量子ビット(〇)全体で保持する。
前述のように|Ψ’>=U|Ψ>の変換を表す任意のユニタリ行列はU=aI+bX+cY+dZと書ける。Iが状態変化なし、Xがビット反転、Zが位相反転、Y=-iZXがビット反転と位相反転の組み合わせであった。よって、量子ビットの誤りとしてはビット反転と位相反転の2種類と、その組み合わせを考えればよい。即ち、誤り訂正を実現するためにはビット反転と位相反転の2種類の誤りに対応できればよい。
ビット反転誤り(Xが作用)があれば|0>⇔|1>、|+>→|+>、|->→-|->となる。位相反転誤り(Zが作用)があれば|0>→|0>、|1>→-|1>、|+>⇔|->となる。
誤り検出を行うための測定量子ビットは2種類に分類される。ビット反転誤りを検出するための測定量子ビットと位相反転誤りを検出するための測定量子ビットである。前者がハッチ状図形(例えば、122)に挟まれた黒丸(●)であり、後者が白抜きの図形(例えば、127)に挟まれた黒丸(●)である。ハッチ状の図形及び白抜きの図形はそれらの両側の量子ビット間が相互作用可能なことを表し、その相互作用を通して情報が転送される。まずデータ量子ビット(○)の情報が転送量子ビット(△)に転送され、その後転送量子ビット(△)からデータ量子ビット(●)に転送される。
データ量子ビット(〇)から測定量子ビット(●)への情報伝達方法を図1のデータ量子ビットZに着目して具体的に述べる。ここでは、量子ビットのZ基底での情報に着目しているので量子ビットをZを使って表記した。誤りのない場合としてZが|0>とする。まず転送量子ビット(△、Z6b, Z4b, Z2a, Z7a)と測定量子ビットZs1を|0>に初期化する。次に、CNOTと呼ばれる(あるいはCXと呼ばれる)ゲート動作によりデータ量子ビットZの状態を転送量子ビットZ6bに転送する。
CNOTの動作は図2A、図2Bに示す。
CNOTは制御量子ビットが|1>の時に標的量子ビットを反転させ、制御量子ビットが|0>の時は何もしない。ここではZを制御量子ビット、Z6bを標的量子ビットとする。誤りのない場合としてZを|0>としたので、Z6bは|0>のままである。もしZに誤りがあればZ6bは|1>になる。Z6bに転送されたZの情報は再びCNOTゲートによりZs1に転送される。Zに誤りがなければZs1は|0>になり、Zに誤りがあればZs1は|1>になる。
図1のZからZs1への情報転送と同様のことを、ZからZs1へ、ZからZs1へ、ZからZs1へも行う。Z、Z、Zも誤りのない状態を|0>とする。Zs1にはZ、Z、Z、Zの情報が転送されている。このタイミングでZs1をZ基底で測定する。これはZs1=Zを測定していることになる。
測定値が-1ならばZs1が|1>であったことを意味し、Z、Z、Z、Zのいずれかにビット反転誤りがあったことが判明する。尚、誤りが3個の場合もZs1は|1>になる。Zs1の測定値が+1ならばZs1が|0>であったことを意味し、ビット反転誤りがなかったことになる。尚、誤りが2個あるいは4個の場合もZs1は|0>になる。
以上の動作をまとめたものが図3である。実施例1では転送量子ビット(△)と測定量子ビットZs1の初期値を|0>としたが、初期値を|1>にしてもよい。|0>と|1>の役割が逆になるだけである。そこで図3では初期値を|g>としている。回路図にある矢印を含む記号は測定を意味する。
図3の回路図は測定量子ビットの動作の1周期を示す。
測定量子ビットはこの周期を繰り返す。量子ビット間の情報転送はCNOTゲートで実現した。CNOTゲートは制御ビットと標的ビット間に量子相関(エンタングルメント)をもたらすので、データ量子ビットから測定量子ビットへのデータ転送終了後は、データ量子ビットと転送量子ビット間で再びCNOTゲートを作用させて転送量子ビットとデータ量子ビット間にある量子相関と、転送量子ビットと測定量子ビット間にある量子相関を消す。
以上の測定量子ビットに関する一連の処理はすべての測定量子ビット間で同期して行う。例えば、図1のZからZs1に情報転送しているタイミングではZからZs2に情報転送する。同様にZからZs1に情報転送しているタイミングではZからZs2に情報転送する。さらにZからZs1に情報転送しているタイミングではZからZs2に情報転送し、ZからZs1に情報転送しているタイミングではZからZs2に情報転送する。
s3等への情報転送も同様であるが、Zs3では相互作用する相手が3つしかないためにZからZs1に情報転送しているタイミングでは何もしないことになる。Zs4等も相互作用相手が3つしかないために、ZからZs1に情報転送しているタイミングでは何もしないことになる。
さて、図1においてZs1とZs2において誤りが検出され、その他の測定量子ビットに誤りが検出されなかったとする。この場合、Zにビット反転誤りがあったことが分かる。この原理に従えば、誤りが検出される測定量子ビット(●)の数が比較的少数ならばそれらの組み合わせからビット反転誤りのあった箇所を特定できる。確定後はビット反転誤りのあったデータ量子ビットに対してX作用(ビット反転処理)して誤りを訂正してもよいし、あるいはビット反転誤りのあったことを記録して次の処理に進んでもよい。後者の場合は後段の適当な段階(例えば、最終処理の段階)でビット反転誤りのあったことに基づく補正をする。
誤りの検出された測定量子ビットが孤立しておりペアとなる誤りがない場合はデータ量子ビットの誤りではなく、情報転送時か読み出しにおける誤りと判定する。どちらの場合でも測定値の誤りとして処理すればよい。
以上の例では誤りのないデータ量子ビットをすべて|0>としたが、|0>と|1>が混じっていてもよい。但し、この場合は測定量子ビットの測定値も+1と-1が混じるので、誤りのない場合に+1になるのか-1になるのかを測定量子ビットごとに予め特定しておく必要がある。
ここまでビット反転誤りの検出手順を述べた。位相反転誤りの検出も手順を一部変形することにより可能である。誤りのないデータ量子ビットの状態を|+>≡(|0>+|1>)/√2とする。この状態に位相反転誤りがあると(|0>-|1>)/√2≡|->になる。測定量子ビットへの伝達に先立ちデータ量子ビットに(数2)で記述されるアダマール変換を施す。
Figure 0007494080000002
これによりH|+>=|0>,H|->=|1>になる。アダマール変換したデータ量子ビットを制御量子ビットにして転送量子ビット(測定量子ビット)にCNOTゲートを作用させれば、位相反転誤りがない場合は転送量子ビット(測定量子ビット)に変化がなく、位相反転誤りがあれば転送量子ビット(測定量子ビット)が反転する。よってビット反転誤りの検出の場合と同様に位相反転誤りを検出できる。
以上の動作原理を図4(A)に示す。
図4(A)の動作は、(B)に示すようにアダマールゲートの対象を制御と標的の間で入れ替えてCNOTの制御と標的の役割を入れ替えても同じである。図4(B)の構成にするとアダマール変換の対象がデータ量子ビットではなく転送量子ビットや測定量子ビットになるので、データ量子ビットに作用するゲートの数が減らせる分有利である。
図4(B)を元に位相誤り検出用の測定量子ビットの配置と回路図を示したのが図5である。図3との違いは、アダマールゲートが加わっていることと、CNOTゲートの制御と標的の役割が入れ替わっていることである。以上の違いを考慮すれば、ビット反転誤りの検出・訂正の手順と位相反転誤りの検出・訂正の手順は基本的に同様である。
ビット反転誤りの場合と同様に、測定量子ビット(●)の初期化は|0>でもよいし|1>でもよい。|0>と|1>の役目が逆になるだけである。またデータ量子ビットの誤りのない状態も|+>に限定されることはなく|->でもよい。但し、データ量子ビットが|+>であるか|->であるかによって測定量子ビットの測定値が+1になるか-1になるか変化するので、誤りがない場合に測定値が+1になるのか-1になるのかを予め特定しておく必要がある。
データ量子ビットから測定量子ビットへの情報転送においてはすべての測定量子ビット間で同期して行う旨を図3において言及した。この同期は位相反転誤りを検出するための図5の回路においても同様である。さらに図3の量子ビット間の情報転送と図5の量子ビット間の情報転送も同期している必要がある。その様子を示したのが図6である。(A)と(B)の回路図を垂直方向に見比べるとCNOTの位置が一致している。
実施例1で言及したように、量子力学における演算子は非可換であり、測定があれば一般に量子系は変化する。量子誤り訂正では測定量子ビットの測定を通して誤りの検出・訂正を行うが、この測定を通してデータ量子ビットに変化があってはならないし、他の測定量子ビットの測定結果に影響があってもならない。実施例1で言及したように非可換な演算子を2つ組み合わせれば可換な組を作ることができる。この原理を利用してこの要請を満たす。
測定量子ビットが可換になるのは図7を参照して理解できる。ここで、添え字が6等のデータ量子ビットはZ演算とX演算の両者が議論の対象になるのでZ,X等の表記とした。測定量子ビットZs1はデータ量子ビットZ、Z、Z、Zの情報が転送されたものでありZs1=Zと書ける。同様に測定量子ビットXs1はデータ量子ビットX、X、X、Xの情報が転送されたものでありXs1=Xと書ける。Zs1=ZとXs1=Xで添え字が共通なのはZ(X)とZ(X)である。[Z,X]≠0及び[Z,X]≠0であるがX=-Z及びX=-Zから[Z,X]=0となり、[Zs1,Xs1]=0、即ちZs1とXs1は可換である。図7の破線と一点鎖線は測定量子ビットに転送量子ビットを加えて囲ってある。これにより測定量子ビットがどのデータ量子ビットを担当しているかが分かる。Zs1とXs1の場合であれば、共通の担当データ量子ビットがZ(X)とZ(X)の2つであることが分かる。
図7の破線で囲った測定量子ビットはZ測定するものであり、一点鎖線で囲った測定量子ビットはX測定するものである。前者をZスタビライザ、後者をXスタビライザと呼ぶ。
s1=ZはZスタビライザの例であり、Xs1=XはXスタビライザの例である。図7のZスタビライザとXスタビライザはどの組み合わせにしても担当が共通するデータ量子ビット数は0あるいは2個である。よってZスタビライザとXスタビライザは交換する。Zスタビライザ同士とXスタビライザ同士が交換するのは自明である。よってすべてのスタビライザは交換する。データ量子ビットと測定量子ビット(スタビライザ)の交換性については実施例3で述べる。
実施例1で言及したように、本発明の符号では量子情報をデータ量子ビット全体で保持する。量子ビット個々を物理量子ビットと呼び、1量子ビット分の情報を担っている一群の物理量子ビットを論理量子ビットと呼ぶ。本実施例では、論理量子ビットについて述べる。
図1は13個のデータ量子ビット(○)と12個の測定量子ビット(●)からなる。測定量子ビットはデータ量子ビットの情報が転送された後に測定されるので、13個のデータ量子ビットの情報の内、12個分は確定することになる。よって、図1の符号が保持する量子情報は1量子ビット分である。言い換えれば、1論理量子ビットが定義できる。
論理量子ビットが機能するためには測定量子ビットの測定結果が論理量子ビットに影響してはならない。そのためにはスタビライザと論理量子ビットが交換しなければならない。そのための定義を図8に示す。論理量子ビットのZ演算子をZ=Z、X演算子をX=Xと定義する。XスタビライザXS1はXとXを含み、XスタビライザXS2はXとXを含む。いずれもZと添え字が共通するX演算子の数は偶数個でありZとXスタビライザは交換する。
同様に、ZスタビライザZS1はZとZを含み、ZスタビライザZS2はZとZを含む。いずれもXと添え字が共通するZ演算子の数は偶数個でありXとZスタビライザは交換する。ZがZスタビライザと交換すること、およびXがXスタビライザと交換することは自明である。また、ZとXの右辺で添え字が共通しているのはZ(X)であり、Z=-Xとなって通常の交換関係を満たす。
以上の性質からZとXが図8(図1)における論理量子ビットのZ演算子とX演算子になっていることがわかる。論理量子ビットのZ測定をする場合はZ,Z,Zのそれぞれを測定し、3つの測定値の積を取ればよい。X測定をする場合はX,X,Xのそれぞれを測定し、3つの測定値の積を取ればよい。
実施例3では図8の2次元配置において1論理量子ビットを構成できることを示した。本実施例では複数の論理量子ビットを構成する方法を述べる。
図8の論理量子ビットZ=Zは2次元格子上の上境界から下境界に連なるデータ量子ビットの列で構成され、論理量子ビットX=Xは左境界から右境界に連なるデータ量子ビットで構成される。
この構成により論理量子ビットとすべてのスタビライザが交換した。また、データ量子ビット数が測定量子ビット数よりもひとつ多いことにより論理量子ビットの自由度が確保された。即ち、境界と自由度の確保が要点である。
その要点を満たす方法を図9に示す。図9は十分に大きい2次元平面格子を部分的に切り出したものとする。その中で2つの測定量子ビット及びそれに付随する転送量子ビットが消されている。これはこの測定量子ビットを測定せず、またこの測定量子ビットへのデータ量子ビットの転送も遮断していることを意味する。測定量子ビットを抜くことにより平面内部に境界が作られ、また、測定量子ビット数が減ることにより論理量子ビットの自由度が生まれる。
停止した測定量子ビットはZスタビライザを構成していたものなのでZカットホールと呼ぶことにする。2つのZカットホールを用いれば1論理量子ビットを定義できる。論理量子ビットのZ演算子は1つのカットホールを取り囲むようにZ=Zにより構成する。X演算子は2つのホールを結ぶようにX=Xにより構成する。
とXで添え字が共通しているのはZ(X)であり、ZとXの交換関係によりZ=-Xとなって通常の交換関係を満たす。また論理量子ビットが各スタビライザと交換するのは、各スタビライザが担当するデータ量子ビットの中で非可換性が問題となる論理量子ビットの数が0個あるいは2個になっていることから理解できる。例えば、スタビライザZS1はXとXに共役なZとZを含むが(Z)(X)=(X)(Z)なのでZS1とX=Xは交換する。X=XがXスタビライザと交換するのは自明である。Xスタビライザに関しても同様で、例えばスタビライザXS1はZとZに共役なXとXを含むが(Z)(X)=(X)(Z)なのでXS1とZ=Zは交換する。Z=ZがZスタビライザと交換するのは自明である。本実施例の原理に従えば2次元格子状の量子ビット数が多ければいくらでも論理量子ビットを構成できる。
図9はZカットホールによる論理量子ビットの構成法を示した。
X基底測定の測定量子ビットを停止させれば、同様にしてXカットホールによる論理量子ビットの構成も可能である。図10にその場合を示す。論理量子ビットのX演算子は2つのXホールの一方を取り囲むようにX=Xにより構成される。Z演算子は2つのカットホールを結ぶようにZ=Zにより構成される。ZとXで添え字が共通しているのはZ(X)であり、ZとXの交換関係によりZ =-Xとなって通常の交換関係を満たす。また論理量子ビットが各スタビライザと交換することはZカットホールの場合と同様である。
図9では論理量子ビットの演算子をX=X及びZ=Zとして構成した。カットホールの位置や大きさは変更可能であり、それにより論理量子ビットの構成も変更可能である。図9においてZ=ZにスタビライザZS3=Zを掛けるとZ=IなのでZ≡Z’になる。論理量子ビットのZ演算子をZからZ’へ変更し、スタビライザZS3を停止したものが図11である。
図9に比べてZカットホールが大きくなり、論理量子ビットのZ演算子のサイズが大きくなった。カットホールのサイズを調整することにより論理量子ビットのサイズを調整できる。尚、Zカットホールを拡大したことに伴い、XS2及びXS3が4量子ビットスタビライザから3量子ビットスタビライザになる。また、Zカットホール内のデータ量子ビットXはスタビライザの測定のタイミングでX基底での測定を行う。これはXS2とXS3を3量子ビットスタビライザから4量子ビットスタビライザに戻す際にXの値が必要になるからである。
次に図11の拡大したカットホールを縮小することを考える。論理量子ビットZ’=ZにスタビライザZS2=Zを掛けて新たな論理量子ビットZ”=Zを定義し、カットホールになっていたスタビライザZS2=Zの動作を再開する。それを示したのが図12である。図11で3量子ビットスタビライザになっていたXS2とXS3も4量子ビットスタビライザに戻す。以上の変更により論理量子ビットはZ”=Z及びX’=Xになる。
図9と比較すればZカットホールの位置が右へ移動し、論理量子ビットのX演算子の構成数が3から4になった。図9、11、12の動作を繰り返せばZカットホールの位置を自由に動かすことができると共に、X演算子の構成数を変化させることができる。Z演算子の構成数を変化させることができるのは図9と図11の差から理解できる。
鎖状に定義されているX’=Xの位置を変更することも可能である。図13に示すようにX’=XにスタビライザXS4=X1011を掛けて新たな論理量子ビットX”= X1011を定義する。このような定義変更を行うことにより鎖状配置の論理量子ビットを自由に動かすことができる。
実施例5では、Zカットホールの場合に論理量子ビットを自由に動かせることを述べた。Xカットホールの場合もZ演算子とX演算子の役割を入れ替えれば同様である。
実施例1~4ではデータ量子ビット、測定量子ビット、転送量子ビットの役割や動作原理について述べた。それらの例ではデータ量子ビットと測定量子ビットの間にある転送量子ビットはひとつであった。転送量子ビットは1つである必要はなく、0でもよいし、2個以上でもよい。転送量子ビットを2個にした場合を図14に示す。
図14はZカットホールにより論理量子ビットを形成した場合を示す。論理量子ビットはX=X及びZ=Zとして定義される。スタビライザは例えば点線で囲ったZS1=Zや一点鎖線で囲ったXS1=X10等になる。点線内と一点鎖線内を見れば分かるように測定量子ビットとデータ量子ビットに挟まれた転送量子ビットは2つずつになっている。転送量子ビットが2つになれば誤り検出のための動作もその分増える。Zスタビライザの回路図を示したのが図15である。これは図3を転送量子ビットの増加に合わせて拡張したものである。Xスタビライザの回路図を示したのが図16である。これは図5を転送量子ビットの増加に合わせて拡張したものである。
図14ではZカットホールの場合を示した。Xカットホールの場合を示したのが図17である。論理量子ビットはZ=Z及びX=Xとして定義される。スタビライザは例えば一点鎖線で囲ったXS1=Xや点線で囲ったZS1=Z10等になる。
実施例1~5では転送量子ビットの数が縦方向と横方向で同じであった。縦方向と横方向が対称である必要はない。横方向にひとつの転送量子ビットを配置して縦方向に転送量子ビットを配置しない場合を図18に示す。
図中に4種類の論理量子ビットを配置している。XL0=X及びZL0=Zからなる論理量子ビットと、XL1=X111213及びZL1=Z13141516からなる論理量子ビットはZカットホールを使って定義されている。前者のXL0=Xが横方向に配置しているのに対して後者のXL1=X111213が縦方向に配置している点が異なる。ZL2=Z212223及びXL2=X23242526からなる論理量子ビットと、ZL3=Z313233及びXL3=X33343536からなる論理量子ビットはXカットホールを使って定義されている。前者のZL2=Z212223が横方向に配置しているのに対して後者のZL3=Z313233が縦方向に配置している点が異なる。
ZスタビライザとXスタビライザの例もそれぞれZs1及びXs1として示す。
実施例7では横方向にひとつの転送量子ビットを配置して縦方向に転送量子ビットを配置しない場合を述べた。実施例8では、横方向に2つの転送量子ビットを配置して縦方向に転送量子ビットを配置しない場合を述べる。
図19に4種類の論理量子ビットを示す。図18の場合と同様にXL0=X及びZL0=Zからなる論理量子ビットとXL1=X111213及びZL1=Z13141516からなる論理量子ビットがZカットホールを使った論理量子ビットである。また、ZL2=Z212223及びXL2=X23242526からなる論理量子ビットとZL3=Z313233及びXL3=X33343536からなる論理量子ビットがXカットホールを使った論理量子ビットである。
ZスタビライザとXスタビライザの例もそれぞれZs1及びXs1として示す。
実施例1~8では量子ビットの配置の仕方と符号の動作原理を述べた。本実施例では演算の基本動作について述べる。
初期化は例えば、すべての量子ビットを|0>にする。具体的演算に先立ち、対象とする論理量子ビットをX=X及びZ=Zとする。論理量子ビットにZ演算する場合は論理量子ビットにZ=Zを作用させればよい。論理量子ビットにX演算する場合は論理量子ビットにX=Xを作用させればよい。論理量子ビットにY演算する場合は論理量子ビットにZ=ZとX=Xを順番に作用させればよい。
CNOT演算する場合は非特許文献1に記載されている方法に基づき、一つの論理量子ビットをもう一つの論理量子ビットによって編み込むように、実施例4に記載した方法によりカットホールの位置を移動させる。編む作用がCNOT演算と等価である。
アダマール変換(H)は非特許文献1に記載されている方法に基づき、論理量子ビットの構成量子ビットを個々にアダマール変換させることで実現する。その結果Z=ZはX=Xに変換され、X=XはZ=Zに変換される。
S=√Z及びT=√Sも非特許文献1に記載されている方法に基づいて実施する。
量子コンピュータはCNOT、H、Tが揃えばそれらの組み合わせで任意の演算が可能なことが知られている。よって、本発明の符号を利用して誤り耐性のある量子コンピュータが実現される。
実施例1~7ではデータ量子ビットと測定量子ビットの間に配置している量子ビットを転送量子ビットとして動作させた。実施例10では、転送量子ビットとして利用していた量子ビットをデータ量子ビット及び測定量子ビットとして動作させる方法を示す。
実施例3に合わせて論理量子ビットをZ=ZはX=Xとする。添え字が共通なのはZ(X)だけである。即ち、ひとつを除いて論理量子ビットはZ担当とX担当に分かれている。Z担当のデータ量子ビットはビット反転誤りに対して耐性があればよく、X担当のデータ量子ビットは位相反転誤りに対する耐性があればよい。
どちらか一方の誤り耐性だけを満足させるのであれば、それらのデータ量子ビットは4つの測定量子ビットにデータ転送する必要はなく、2つの測定量子ビットに転送できれば良い。これは辺上に位置する転送量子ビットをデータ量子ビット及び測定量子ビットとして利用できることを意味する。但し、データ量子ビットと測定量子ビットが交互に並ぶ必要があるので、辺上の量子ビット数は偶数でなければならない。以上の条件を満たす例を図20に示す。
白丸(○)と黒丸(●)は図19までと同様にそれぞれデータ量子ビット及び測定量子ビットを表す。上凸三角形(△)と下凸三角形(▽)は辺上に位置するデータ量子ビットを表し、前者がビット反転誤り耐性を、後者が位相反転誤り耐性を持つ。
破線がZスタビライザを表し、一点鎖線がXスタビライザを表す。前者の例がZs1=Zで、後者の例がXs1=Xである。添え字が共通なのはZ(X)とZ(X)であり、偶数個なのでZs1とXs1は交換する。同様に図20の破線のスタビライザと一点鎖線のスタビライザは交換する。
Zスタビライザ同士とXスタビライザ同士が交換するのは自明である。論理量子ビットとスタビライザが交換するのも例えば、Z=ZとXs1=Xで添え字が共通するのがZ(X)とZ(X)であることから分かる。
スタビライザZs1=Zを示す破線内には測定量子ビットが5つ存在する。図21を参照してそれらを具体的に書くとZm1=Z4b、Zm2=Z6b4b2a7a、Zm3=Z2a、Zm4=Z6b、Zm5=Z7aである。これらを掛け合わせるとZm1m2m3m4m5=Z=Zs1となる。即ち、5つの測定量子ビットの測定値の積を取ることによってスタビライザの出力値を得る。図20に破線及び一点鎖線で示すスタビライザも同様にして出力値を得る。
s1=Zm1m2m3m4m5の例では5つの測定値を使ってひとつのスタビライザの出力値を得ている。出力値の使用率は1/5に留まるため、残りの4/5に関する利用法があるはずである。即ち、図20に示したスタビライザに留まらず他にスタビライザが存在するはずである。Zスタビライザに関してそれを示したのが図22である。点線内にある測定量子ビットの積がスタビライザになる。
s2=Zm2は一つの測定量子ビットだけでスタビライザを構成する。Zs3=Zm3m6=Z2a2bは2つの測定量子ビットからスタビライザを構成する。Zs4等も同様である。Zm1とZm7はZs3等と同様にペアを伴ってスタビライザを構成するべきであるが、境界にあるためにペアになる相手が存在しない。そこでZm1とZm7をペアにしてZs5=Zm1m7=Z5a4bとする。データ量子ビットでaとbの添え字の付くものはZ演算子あるいはX演算子だけが定義されているデータ量子ビットである。従って、例えばZ4bに共役なX4bは図22の符号では定義されていない。Zs2,Zs3,Zs5等はa,bの添え字の付いたデータ量子ビットだけからなるのですべてのXスタビライザ及びデータ量子ビットのX演算子と交換する。
この可換性は図22の破線で示したすべてのZスタビライザに関して成り立つ。Zスタビライザ同士及び、Zスタビライザがデータ量子ビットのZ演算子と交換するのは自明である。
誤り検出の例は以下のようになる。すべてのZスタビライザとデータ量子ビットが固有値1になるように初期化されていたとする。Zs1とZs6の出力が固有値-1になったとする。この場合、ビット誤りはZである。Zs2とZs4の出力が固有値-1になったならば、ビット誤りはZ6bである。他の組み合わせも同様である。誤りがペアでなく単独の場合は、データ量子ビットから測定量子ビットへの転送誤りか、測定時の誤りである。
尚、測定量子ビットはすべて同時測定することを前提とする。即ち、スタビライザの同時固有状態を実現させる。よって、各スタビライザは構成要素全体としての固有値に意味がある。例えばスタビライザZs1の値は全体として+1なのか-1なのかに意味があり、Zm2を除くZm1,Zm3,Zm4,Zm5の個々の値に意味がある訳ではない。Zm2=Zs2は単独でもスタビライザを構成するのでZm2の値には意味がある。Zm1,Zm3,Zm4,Zm5は単独ではスタビライザを構成しないが、Zs1の構成要素であると共にZs1と交換するので、Zs1=Zm1m2m3m4m5の固有状態を実現するようにZm1,Zm3,Zm4,Zm5の状態の組み合わせが自動的に決まる。この性質はその他のスタビライザでも同様である。
図22はZスタビライザの観点でまとめたものであった。同様にXスタビライザの観点でまとめたものが図23である。XとZの役割が入れ替わるだけで動作原理は同じである。
辺上の量子ビットをデータ量子ビット及び測定量子ビットとして利用した場合にもカットホールを用いて論理量子ビットを定義できる。Zカットホールを利用した場合の論理量子ビットを図24に示す。論理量子ビットはX=X及びZ=Zである。
カットホールを拡大した場合を図25に示す。論理量子ビットはX=X及びZ’=Zになる。スタビライザXs2とXs3は3量子ビットスタビライザとなり、Xs2とXs3を4量子ビットスタビライザに戻す時のためにX4a,X,X4bは、測定量子ビットの測定のタイミングでX基底測定を行う。
拡大したZカットホール内のスタビライザZs1を再稼働してZカットホールを縮小した場合を図26に示す。論理量子ビットはX=X及びZ”=Zになる。
Xカットホールの場合も同様に論理量子ビットを定義できる。一例を図27に示す。Z=Z及びX=Xである。
実施例11では縦方向と横方向が対称であった。しかし、これは対象でなくてもよい。実施例12では横方向のみに辺上量子ビットが配置される場合を示す。
図28に4種類の論理量子ビットを示す。XL0=X及びZL0=Zからなる論理量子ビットとXL1=X111213及びZL1=Z13141516からなる論理量子ビットがZカットホールを使った論理量子ビットである。また、ZL2=Z2122及びXL2=X22232425からなる論理量子ビットとZL3=Z313233及びXL3=X33343536からなる論理量子ビットがXカットホールを使った論理量子ビットである。Zスタビライザの例はZs1とZs2で、Xスタビライザの例はXs1とXs2である。
辺上量子ビットをデータ量子ビット及び測定量子ビットとして利用した場合も、論理量子ビットの演算は実施例9で述べた方法を利用すればよい。
論理量子ビットをX=X及びZ=Zとれば、Z演算する場合は論理量子ビットにZ=Zを作用させればよく、X演算する場合は論理量子ビットにX=Xを作用させればよい。CNOT演算、アダマール変換(H)、Tは非特許文献1に記載の方法に基づき実施例9で述べた方法を実施すればよい。
量子コンピュータはCNOT、H、Tが揃えばそれらの組み合わせで任意の演算が可能なので、本発明の符号を利用して誤り耐性のある量子コンピュータが実現される。
本発明は量子コンピュータで利用する誤り訂正符号(略して、符号)に係るものである。本実施例ではこの誤り訂正符号が全体システムで見た際にどこで利用されるかを述べる。
図29に本実施例の計算機構成の一例を示す。図29は通常の計算機の構成と類似であるが量子演算装置100を含むことが特徴である。量子演算装置100は実施例1~13で述べた量子誤り訂正符号を利用して量子力学的演算を専門に行う部分であり、その他の一般的演算は一般演算装置202で行う。
以上の構成は、一体型のコンピュータとして構成してもよいし、あるいは、主記憶装置201、一般演算装置202、制御装置203、補助記憶装置204、入力装置205、出力装置206等の任意の部分がネットワークで接続された他のコンピュータで構成してもよい。
一般的な演算は通常の計算機と同様な手順で動作させる。記憶部である主記憶装置201と演算部である一般演算装置202間でデータをやり取りし、その繰り返しで演算を進める。その際、全体を指揮するのが制御装置203である。一般演算装置202で実行されるプログラムは記憶部である主記憶装置201で記憶される。主記憶装置201で記憶容量が足りない場合は、同じく記憶部である補助記憶装置204を利用する。データやプログラム等の入力には入力装置205を使用し、結果の出力には出力装置206を利用する。入力装置205はキーボードのような手入力装置の他、ネットワーク接続のためのインターフェースも含む。また、このインターフェースは出力装置も兼ねる。
量子演算も同様な手順で実施される。記憶部である主記憶装置201と演算部である量子演算装置100間でデータをやり取りし、その繰り返しで演算を進める。その際、全体を指揮するのが制御装置203である。量子演算装置100で実行されるプログラムは記憶部である主記憶装置201で記憶される。
プログラムは一般演算装置202を利用して量子演算装置100で利用される符号へ変換され、主記憶装置201に記憶される。この符号化されたプログラムが主記憶装置201から量子演算装置100に送られ、制御装置203は符号化されたプログラムに従って、量子演算装置100に制御信号を送って演算を実行する。量子演算装置100の実行結果は主記憶装置201に送られ、必要に応じて一般演算装置202で後処理される。
上記実施例では、2次元格子の辺上に量子ビットを配置することにより量子ビットの配置を疎にし、量子ビット間で必要な相互作用のクロストークを低減した。量子ビットが疎になった配置は図14、図17、図20~27において特に顕著である。疎になったおかげで2次元平面上に使用していない空間が生まれる。この空間は周辺回路の埋め込みにも利用できる。言い換えれば、回路全体の設計の自由度が向上する。
上記実施例では、データ量子ビットと測定量子ビットを2次元格子の格子点(頂点)に配置し、辺上に別の量子ビットを配置する。その結果、頂点間が広がり量子ビットの配置が疎になる。辺上の量子ビットは転送量子ビットとして動作させるか、ビット情報あるいは位相情報に限定したデータ量子ビットと測定量子ビットを交互に配置するかのどちらかにする。
上記実施例によれば、量子ビットの配置が疎になれば相互作用の箇所も疎になる。その結果、相互作用のクロストークが低減し、誤りの生じにくい量子コンピュータが実現する。また、素子が疎になったことに伴い周辺回路の設計の自由度が向上する。このような効果は、量子ビットをLSI技術が適用可能なシリコン量子ビットで構成した場合に特に顕著である。
100 量子演算装置
101 データ量子ビット
102 転送量子ビット
111 測定量子ビット
121 Z基底における情報を転送するための相互作用の箇所
122 Z基底における情報を転送するための相互作用の箇所
126 X基底における情報を転送するための相互作用の箇所
127 X基底における情報を転送するための相互作用の箇所
201 主記憶装置
202 一般演算装置
203 制御装置
204 補助記憶装置
205 入力装置
206 出力装置

Claims (15)

  1. 複数の量子ビットを有する量子コンピュータであって、
    量子状態を保持するデータ量子ビットと、
    前記データ量子ビットの前記量子状態を転送する転送量子ビットと、
    前記転送量子ビットを介して転送された前記データ量子ビットの前記量子状態を測定して前記データ量子ビットの状態に関して出力する測定量子ビットと、
    を有することを特徴とする量子コンピュータ。
  2. 前記データ量子ビットの前記状態に誤りが有るかどうかを判定するための情報を、前記測定量子ビットが出力することを特徴とする請求項1に記載の量子コンピュータ。
  3. 前記測定量子ビットは、
    ビット反転誤りを検出する第1の測定量子ビットと、
    位相反転誤りを検出する第2の測定量子ビットと、
    を有することを特徴とする請求項1に記載の量子コンピュータ。
  4. 前記データ量子ビットと前記測定量子ビットは、2次元格子の格子点に交互に配置され、
    前記転送量子ビットは、前記2次元格子の辺上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の量子コンピュータ。
  5. 前記データ量子ビットから前記転送量子ビットへの前記量子状態の転送は、前記データ量子ビットと前記転送量子ビットとの間の相互作用を介して実現され、
    前記転送量子ビットから前記測定量子ビットへの前記量子状態の転送は、前記転送量子ビットと前記測定量子ビットとの間の相互作用を介して実現され、
    前記データ量子ビットから前記測定量子ビットへの前記量子状態の転送は、前記データ量子ビットと前記測定量子ビットと間の相互作用を介して実現されることを特徴とする請求項1に記載の量子コンピュータ。
  6. 複数の前記データ量子ビットを利用して論理量子ビットが構成され、
    前記論理量子ビットは、
    前記測定量子ビットに関する測定量と量子力学における可換性を満足することを特徴とする請求項1に記載の量子コンピュータ。
  7. 複数の量子ビットを有する量子コンピュータであって、
    前記量子ビットとして、量子状態を保持するデータ量子ビットを有し、
    前記データ量子ビットは、
    ビット情報を保持する第1のデータ量子ビットと、
    位相情報を保持する第2のデータ量子ビットと、
    前記ビット情報と前記位相情報の両方を保持する第3のデータ量子ビットと、
    を有することを特徴とする量子コンピュータ。
  8. 前記データ量子ビットの前記量子状態が転送されてきた後に測定されて前記データ量子ビットの状態に関して出力する測定量子ビットを更に有することを特徴とする請求項7に記載の量子コンピュータ。
  9. 前記データ量子ビットの前記状態に誤りが有るかどうかを判定するための情報を、前記測定量子ビットが出力することを特徴とする請求項8に記載の量子コンピュータ。
  10. 前記測定量子ビットは、
    前記ビット情報の反転誤りを検出する第1の測定量子ビットと、
    前記位相情報の反転誤りを検出する第2の測定量子ビットと、
    を有することを特徴とする請求項9に記載の量子コンピュータ。
  11. 前記第3のデータ量子ビットは、2次元格子の格子点に配置され、
    前記第1のデータ量子ビットと前記第2のデータ量子ビットは、前記2次元格子の辺上に配置されることを特徴とする請求項10に記載の量子コンピュータ。
  12. 前記2次元格子の前記格子点には、
    前記第3のデータ量子ビットと前記第1の測定量子ビットが交互に、あるいは前記第3のデータ量子ビットと前記第2の測定量子ビットが交互に配置され、
    前記第3のデータ量子ビットと前記第1の測定量子ビットが交互に配置された前記2次元格子の辺上には、前記第1のデータ量子ビットと前記第1の測定量子ビットが配置され、
    前記第3のデータ量子ビットと前記第2の測定量子ビットが交互に配置された前記2次元格子の辺上には、前記第2のデータ量子ビットと前記第2の測定量子ビットが配置されることを特徴とする請求項11に記載の量子コンピュータ。
  13. 前記データ量子ビットから前記測定量子ビットへの前記量子状態の転送は、前記データ量子ビットと前記測定量子ビットとの間の相互作用を介して実現されることを特徴とする請求項10に記載の量子コンピュータ。
  14. 前記第1の測定量子ビットには、前記第1のデータ量子ビット及び前記第3のデータ量子ビットを相互作用させ、
    前記第2の測定量子ビットには、前記第2のデータ量子ビット及び前記第3のデータ量子ビットを相互作用させることを特徴とする請求項13に記載の量子コンピュータ。
  15. 複数の前記データ量子ビットを利用して論理量子ビットが構成され、
    少なくとも一つの前記測定量子ビットからなる複数の種類のスタビライザが構成され、
    前記論理量子ビットと前記スタビライザが、又前記スタビライザ同士が、量子力学における可換性を満足することを特徴とする請求項に記載の量子コンピュータ。
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