JP7486136B1 - 人工歯根 - Google Patents

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Abstract

【課題】液性の流動に着目し、歯周組織の再生を促すのに最適な人工歯根を提供する。【解決手段】人工歯根(10)は、一端に歯冠部(20)、反対側の端部に根尖(39)を備える円柱状であって、前記歯冠部と前記根尖の間は、二以上の縦並びの球体(31,32)を備え、前記球体の境界部(38)は、軸心(P)側へ窪む滑らかな曲面で形成した。これにより、骨髄の血液の反復性流動が起こりやすくなり、歯根膜の形成が促進され、歯周組織の再生・回復が行われる。【選択図】図2

Description

特許法第30条第2項適用 令和5年2月1日に北海道歯科医師会誌第78号にて発表
本発明は、歯周組織の再生を促す人工歯根に関する。
欠損歯を回復する技術として、歯科用インプラントが知られている。インプラントでは、下部にネジ溝を備えたチタン製の人工歯根を顎骨に植立することで、オッセオインテグレーションとして知られるように、骨と人工歯根との剛体固着が形成される。しかしインプラントの技術は、次の課題を残している。
まず、歯の咬合動作により、時間とともに、インプラントとの接合部の骨が崩壊するおそれがあるというものである。この理由は、骨にインプラントを直接ネジ止め(固定)するため、咬合動作によりネジがゆるむ現象がおこるからである。力学エネルギーの作用を受けるネジで緩まないネジは存在しないということである。
また、骨とインプラントの間に歯根膜が形成されないという問題である。
天然歯の場合、骨と歯の間に歯根膜を備えている。歯根膜は有窓血管であり、窓の存在により、虫歯菌や歯周病菌等の侵入物を洗い流す自浄作用と白血球の捕捉貪食作用が発揮される。一方、インプラントでは歯根膜が形成されないため、上記の免疫系システムの作用が期待できない。このことから、インプラント周囲が炎症を起こすことが近年問題となっている。また、歯根膜は動静脈脈管を有しているため、歯応えを感じる神経系としての機能を備えている。インプラントでは歯根膜が形成されないため、歯応えを感じにくいことも問題となっている。
これに対し、特許文献1の人工歯根が提案されている。特許文献1の人工歯根を図12に示す。図12の(A)は上顎前歯用人工歯根1A、(B)は下顎前歯または犬歯用人工歯根1B、(C)は上下顎小臼歯用人工歯根1C、(D)は上顎大臼歯用人工歯根1D、(E)は下顎大臼歯用人工歯根1Eである。人工歯根1A~1Eは円柱状で、一端に歯冠部2、反対端に根尖5を備え、軸方向に沿って側面部に膨出部4と陥凹部3が螺旋を形成しないように交互に形成されている。人工歯根1A~1Eは、顎骨に空けた穴に挿し込む形で非固定で植立される。非固定であるため、人工歯根1A~1Eの周囲では、咀嚼に伴い骨と人工歯根の間に血液が流れるため、白血球造血作用が誘発される。このため、人工歯根1A~1Eは、歯根膜誘導型人工歯根として提案されている。歯根膜が誘導されると、上記の免疫系システムが実現されるため、特許文献1の歯根膜誘導型人工歯根は、インプラント技術の課題を克服する画期的な治療法であると言える。
特許第2599873号
しかしながら、特許文献1の形状は、膨出部4に対して陥凹部3の形成範囲を小さくし、膨出部4と膨出部4の間に陥凹部3による溝が入るように形成されている。これは、陥凹部3がネジ溝のように機能することを期待したものであり、挿入した人工歯根1A~1Eが骨から抜けにくいようにと形状設計されているからである。また、特許文献1の上顎大臼歯用人工歯根1Dと下顎大臼歯用人工歯根1Eは、根尖5が二股または三股に分かれる形状に形成されている。これは、天然歯の形状に合わせたからであり、同じく骨からの抜け止めの効果を期待して形状設計されたものである。
歯根膜の形成に関連する白血球造血作用は、骨と人工歯根の間に血液が流れることで導かれる。陥凹部3による溝や根尖5の分岐は、人工歯根周囲の血液の流れを滞留させる形状であり、歯根膜の形成を重視すると、より最適な形状が求められることが分かる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、液性(骨髄の血液)の流動に着目し、歯根膜の形成を含め、歯周組織の再生を促すのに最適な人工歯根を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様の人工歯根は、一端に歯冠部、反対側の端部に根尖を備える円柱状であって、前記歯冠部と前記根尖の間は、二以上の縦並びの球体を備え、前記球体の境界部は、軸心側へ窪む滑らかな曲面形状で形成したことを特徴とする。
第2の態様の人工歯根では、第1の態様において前記歯冠部の根本部は半球の形状を備え、前記根本部と前記球体の境界部も軸心側へ窪む滑らかな曲面形状で形成するのも好ましい。
第3の態様の人工歯根では、第1または2の態様において、歯列に関係なく、前記根尖を前記球体で形成するのも好ましい。
第4の態様の人工歯根では、第1~3のいずれかの態様において、前記境界部は、隣接する前記球体に接触し、かつ、いずれかの前記球体と略同一の直径を有する仮想球体の球面の曲面形状を備えるのも好ましい。
第5の態様の人工歯根では、第1~4のいずれかの態様において、前記歯冠部の最大外径と前記歯冠部に隣接する前記球体の直径を同一にし、前記歯冠部から離れるにつれ、前記球体の直径はやや小さくなるように形成するのも好ましい。
第6の態様の人工歯根では、第1~4のいずれかの態様において、前記歯冠部の最大外径と前記球体の直径を全て同一に形成するのも好ましい。
第7の態様の人工歯根では、第2~6のいずれかの態様において、前記球体および前記半球は、並び方向の頂点が接するように並ぶのも好ましい。
第8の態様の人工歯根では、第2~6のいずれかの態様において、前記球体および前記半球は、並び方向の頂点がいずれかの前記球体の半径以下に隔てられて並ぶのも好ましい。
第9の態様の人工歯根では、第1~8のいずれかの態様において、前記人工歯根はジルコニアからなるのも好ましい。
本発明の人工歯根によれば、歯周組織の再生を促すのに最適な形状を備え、感染症予防に効果があり、歯応えを伴うことができる。延いては、人間の健康寿命の延伸や認知症予防にも有益な新しい治療を提供することができる。
本発明の第一の実施形態に係る人工歯根10を植立した状態を示す下顎の模式図である。 第一の実施形態に係る人工歯根10の形状を説明する図であって、(a)正面図、(b)左側面図、(c)右側面図、(d)背面図、(e)平面図、(f)底面図である。 有限要素法による主応力線解析図である。 ミーゼス応力分布解析図である。 第二の実施形態に係る人工歯根10-2の形状を説明する図であって、(a)正面図、(b)左側面図、(c)右側面図、(d)背面図、(e)平面図、(f)底面図である。 第三の実施形態に係る人工歯根10-3の形状を説明する図であって、(a)正面図、(b)左側面図、(c)右側面図、(d)背面図、(e)平面図、(f)底面図である。 第四の実施形態に係る人工歯根10-4の形状を説明する図であって、(a)正面図、(b)左側面図、(c)右側面図、(d)背面図、(e)平面図、(f)底面図である。 第四の実施形態に係る人工歯根10-4との比較例を示す図である。 実際の欠損補綴の症例を示すものであり、手術翌日のレントゲン写真である。 実際の欠損補綴の症例を示すものであり、術後5カ月のレントゲン写真である。 実際の欠損補綴の症例を示すものであり、術後12カ月のレントゲン写真である。 従来技術の人工歯根を示す図である。
次に、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る人工歯根10を植立した状態を示す下顎の模式図であり、施術直後の状態を示す図である。符号6は顎骨の皮質骨、符号7は固有歯槽骨、符号8付近は骨髄である。図1に示すように、本形態に係る人工歯根10は、顎骨にドリル等で筒状に埋入窩9を形成し、埋入窩9に非固定で植立される。具体的に、人工歯根10の直径D10(後述する図2参照)は、埋入窩9の直径D9に対してやや大きくなるよう設計し、人工歯根10を骨の弾性変形を利用して埋入窩9に押し込むようにして挿入する。この施術の数か月後、人工歯根10の歯冠部20にプロビジョナルクラウンを装着する。
術後より、人工歯根10の周囲には歯根膜が形成されはじめ、後述の図10で示すように、術後5カ月程度で歯周組織の再生の様子ははっきりと確認できるようになる。本形態の人工歯根10により歯周組織が再生されるメカニズムは、以下である。
哺乳動物の関節は、骨格器官が種々の外力を受ける時、外力の方向が異なる時、または外力の性質が際立って異なる種類である時に、骨格間に形成されるクッション、すなわち軸受け部となる。線維関節、軟骨性関節、滑膜性関節等の別を問わず、哺乳動物において関節部の骨は白血球造血を行う。ここで、骨と歯の間は、哺乳動物の関節に相当する。つまり、骨と歯の間に、咀嚼による振幅運動刺激が加わり、反復性の適度な力学的刺激を受けることで、骨髄腔においてステムセルから白血球造血が行われる。
基本的原理として、生命現象は、水溶性コロイドの有機体における電気現象である。アパタイトに生理食塩水を流すと、10~15マイクロアンペアの流動電位が流れる。力学的刺激が生体内の体液の流体力学に変換され、流動電流に転換されて、間葉細胞の遺伝子の引き金が引かれ、BMP(Bone Morphogenic Protein)が形成される。誘導されたBMPがさらに細胞の遺伝子の引き金を引き、これにより造血と造骨が共役して起こる。
人工歯根10においては、咀嚼による約0.2ミリメートルの反復的かつ流動的運動によるエネルギーによって、人工歯根10に接する血液に流動電流が発生する。噛むことにより、血圧の上昇に伴う流動電流の高まり(1.5マイクロアンペアから10マイクロアンペア)があると、骨髄の未分化な間葉系細胞の遺伝子の引き金が引かれ、骨髄造血細胞や骨芽細胞、セメント芽細胞や繊維芽細胞が形成され、骨髄腔において白血球造血作用が誘発される。
すなわち、白血球造血作用のメカニズムにより着目すると、咬合により人工歯根10の周囲で血液が反復的かつ流動的に流れるほど、骨髄で電気的刺激が発生し、顎骨中の骨髄の未分化間葉系細胞の細胞変化を促し、歯根膜の形成が促進され、歯周組織が再生・回復することが理解できる。
すると、歯周組織の再生に好適な人工歯根の形状の条件が見えてくる。咀嚼(咬合)による反復性の振動運動に適した柔軟性を持つ構造を備え、歯冠部から与えられる力学エネルギーの主応力を有効に変換できる形状が求められる。すなわち、咀嚼(咬合)により加わる力が流体力学に翻訳され、人工歯根の歯根部全域に反復的かつ流動的な応力がかかること、歯根部の外側に直交する三次元の流動電位が生じることで、人工歯根は咬合運動による力学的刺激を受けて、流動電位と遺伝子の誘導を介して、歯根膜を含め、歯周組織の再生が促されることになると考える。
以上の考察に基づき創作されたのが、人工歯根10である。
(第一の実施形態)
図2は第一の実施形態に係る人工歯根10の形状を説明する図であって、(a)正面図、(b)左側面図、(c)右側面図、(d)背面図、(e)平面図、(f)底面図である。(a)に示すように、人工歯根10は、顎骨の埋入窩9に挿入される歯根部30と、プロビジョナルクラウンを被せる歯冠部20からなり、全体として軸心Pを備える円柱状に形成されている。歯冠部20の上方部22は円柱状または上窄まりの円錐状で、歯冠部20の天面21は水平面として形成される。天面21を含む上方部22の横断面の形状は真円((e-1)参照)である。上方部22の横断面は楕円形((e-2)参照)であってもよいが、歯根部30へと繋がる歯冠部20の根本部23は略半球形状である。
歯根部30は、軸心P上に球体31,32を縦並びで備える。球体の数は2以上とし、患者の骨の状態に合わせて球体の数は増やしてよいものとする。球体31は上方で歯冠部20の根本部23に隣接し、下方で球体32に隣接する。以降、説明の便宜上、球体31を第一球体31、球体32を第二球体32と称する。
(b)に破線で示すように、第一球体31と第二球体32は、軸心P上で頂点(第一球体31の下頂点V35と第二球体32の上頂点V36)が接するように隣接し、第一球体31と第二球体32の境界部38は、軸心P側に窪む滑らかな曲面となるよう形成されている。より詳細には、第一球体31と第二球体32の境界部38は、隣接する第一球体31と第二球体32に接触し,かつ,第二球体32の直径D32((c)を参照)と同程度の直径を有する仮想球体S1の球面の曲面形状となるよう形成されている。
同様に、歯冠部20の根本部23の半球と第一球体31は、軸心P上で頂点(根本部23の頂点V24と第一球体31の上頂点V34)が接するように隣接し、根本部23の半球と第一球体31の境界部38´は、隣接する根本部23の半球と第一球体31に接触し,かつ,第二球体32の直径D32と同程度の直径を有する仮想球体S2の球面の曲面形状となるよう形成されている。
なお、境界部38,38´の形状を形成する仮想球体S1,S2のサイズは、第二球体32の直径D32に限るものではなく、いずれかの球体(本形態では第一球体31または第二球体32)と同程度のサイズの仮想球体の球面形状とすればよいものとする。以下、他の実施の形態の説明においても同様とする。
人工歯根10の根尖39は、第二球体32により形成される。すなわち、人工歯根10の根尖39は第二球体32の球面形状であり、根尖39には分岐形状を備えないものとする。
(c)に示すように、歯冠部20の最大外形D20は歯冠部20に隣接する第一球体31の直径D31と略同一にする。第二球体32の直径D32は、第一球体31の直径D31よりもやや小さくなるように形成し、好ましくは、80%~95%、より好ましくは85%~93%に形成する。
(d)に示すように、歯冠部20の天面21から歯根部30の根尖39までを長径L10とする。人工歯根10の直径D10は、第一球体31の直径D31である。人工歯根10のサイズ,すなわち長径L10と直径D10の決定診断はCT像による計測にて行い、患者の骨の状態に合わせてオーダーメイドで設計される。
以上の形状を備える人工歯根10は、3Dプリンター等を使用してジルコニアの成形品として形成する。比較例として、アパタイトは生体親和性が良いが、歯や骨を構成する主成分であるため虫歯となるおそれがある。チタンも生体親和性が良いが、一部の人に金属アレルギーが生じることと、金属色であるため審美性が問題となることがある。これに対し、ジルコニアは、生体親和性が良く、アレルギー反応の心配も少なく、白色であるため審美性も良い。ジルコニアは耐熱性材料であり、高温処理により安定な正方晶結晶構造を持ち、酸とアルカリに対する耐性も評価されている。また、Y-TZP(イットリアで安定した正方晶ジルコニア)は900MPaを超える耐性を持つ。これらの点から、ジルコニアはセラミック材料や歯科用金属合金よりも優れた特性を持っている。ジルコニアは化学的に安定していて、細胞や組織との生体親和性が高いことがin vitroおよびin vivo試験で実証されており、炎症、変形、免疫反応のような副作用は報告されていない。また、ジルコニア培養では、骨芽細胞や繊維芽細胞の良好なコロニー形成、分化、増殖が確認されている。ジルコニアを骨に埋入した骨内部の表面処理により骨との接触面積が拡大し、液体の含浸が増して細胞との結合が向上することも分かっている。
ここで、図3は有限要素法による主応力線解析図、図4はミーゼス応力分布解析図である。図3から、人工歯根10の天面21に応力を与えたとき、人工歯根10の外表面に、直交する三成分の主応力が全体に万遍なく反復方向に発生することが分かる。また図4では、色が濃いほど応力値が高いことを示しているが、人工歯根10の天面21に応力を与えたとき、人工歯根10の外周に万遍なく適度な力学的刺激が加わることが分かる。人工歯根10の形状は、全体が縦繋ぎの大きな球による球面形状の連続で凹凸を形成しているため、咀嚼(咬合)による振動運動により、液性(骨髄の血液)の反復性流動が起きる。この液性流動は主応力線に近似した走行で伝わり、そして流動電流になる。この流動電流における流動電位により骨髄の未分化間葉系細胞の遺伝子の引き金が引かれ、歯根膜を含め、セメント質(線維骨),歯周線維組織,歯周微小血管群,固有歯槽骨等の歯周組織が形成される。すなわち人工歯根10の形状により、人工歯根10の周囲全体に、直交する主応力が反復方向にかかり、万遍なく力学的刺激が加わるため、造血造骨が促進されることが理解できる。
(第二の実施形態)
図5は本発明の第二の実施形態に係る人工歯根10-2の形状を説明する図であって、(a)正面図、(b)左側面図、(c)右側面図、(d)背面図、(e)平面図、(f)底面図である。第一の実施形態と同一の構成には同一の符号を付して説明を割愛する。本形態の人工歯根10-2は、顎が小さい患者用に設計したものであって、第一の実施形態よりも細身の形状となっている。人工歯根10-2は、歯冠部20と歯根部30からなり、全体として軸心Pを備える円柱状に形成されている。歯根部30は軸心P上に球体31,32を縦並びで備え、(c)に示すように、本形態では、第一球体31の直径D31と第二球体32の直径D32は略同一である。(b)に破線で示すように、境界部38,38´は仮想球体S1,S2の球面の曲面形状となるよう形成され、根尖39は第二球体32の球面形状であり、(d)に示すように、人工歯根10-2の直径D10は第一球体31の直径D31である。人工歯根10-2のサイズ,すなわち長径L10と直径D10の決定診断はCT像による計測にて行い、患者の骨の状態に合わせてオーダーメイドで設計される。人工歯根10-2も、ジルコニアの成形品として形成される。
(第三の実施形態)
図6は本発明の第三の実施形態に係る人工歯根10-3の形状を説明する図であって、(a)正面図、(b)左側面図、(c)右側面図、(d)背面図、(e)平面図、(f)底面図である。第一の実施形態と同一の構成には同一の符号を付して説明を割愛する。本形態の人工歯根10-3は、顎が大きい患者用に設計したものであって、第一の実施形態の長径L10を延ばした(球数を増やした)形状として設計されている。人工歯根10-3も、歯冠部20と歯根部30からなり、全体として軸心Pを備える円柱状に形成される。歯根部30は、軸心P上に第一球体31,第二球体32,第三球体33を縦並びで備える。第三球体33の直径D33は第二球体の直径D32よりもやや小さくなるように形成する。(b)に破線で示すように、境界部38,38´は仮想球体S1,S2の球面の曲面形状となるよう形成され、第二球体32と第三球体33は、軸心P上で頂点(第二球体32の下頂点V40と第三球体33の上頂点V41)が接するように隣接し、第二球体32と第三球体33の境界部38´´は、第二球体32と第三球体33に接触し,かつ,第三球体33の直径D33と同程度の直径を有する仮想球体S3の球面の曲面形状となるよう形成されている。人工歯根10-3の根尖39は第三球体33の球面形状であり、人工歯根10-3の直径D10は、第一球体31の直径D31である。人工歯根10-3のサイズ,すなわち長径L10と直径D10の決定診断はCT像による計測にて行い、患者の骨の状態に合わせてオーダーメイドで設計される。人工歯根10-3も、ジルコニアの成形品として形成される。
(第四の実施形態)
図7は本発明の第四の実施形態に係る人工歯根10-4の形状を説明する図であって、(a)正面図、(b)左側面図、(c)右側面図、(d)背面図、(e)平面図、(f)底面図である。第一の実施形態と同一の構成には同一の符号を付して説明を割愛する。第四の実施形態は第一の実施形態の長径L10を延ばす別のアイディアであり、第一の実施形態では、境界部38,38´で球体の頂点が接していたが、本形態の人工歯根10-4では、境界部38,38´で頂点の離間を許容する形状となっている。(b)に示すように、人工歯根10-4では、第一球体31の下頂点V35と第二球体32の上頂点V36は、軸心P上で、距離dだけ隔てて並べられている。第一球体31と第二球体32の境界部38は、仮想球体S1の球面の曲面形状で形成されている。離間する距離dは、大きくとも第一球体31の半径d31以下とする。人工歯根10-4も、ジルコニアの成形品として形成される。
一方、図8は、人工歯根10-4との比較例を示す図である。比較例の人工歯根100は、距離dを第一球体31の半径d31超にして形成した形状である。比較例の人工歯根100では、境界部38を第一球体31または第二球体32と同等サイズの仮想球体の球面で接続することが不可能となり、境界部38が直線的となる。境界部38は、球体31,32と境界部38´の成す球面凹凸とは異なる流れを生み、結果、境界部38付近に適度な力学的刺激を生まず、根尖39付近に血液の滞留を生む。このため、人工歯根10-4の形状を採るときは、球体の離間距離dは第一球体31の半径d31以下に設定することが好ましい。
(症例)
図9~図11は実際の欠損補綴の症例を示すものであり、図9は手術翌日のレントゲン写真、図10は術後5カ月のレントゲン写真、図11は術後12カ月のレントゲン写真である。患者には、静脈鎮静下にて局所麻酔を併用し、ドリル直径3.5mmおよび直径3.8mmを用いて埋入窩9を形成し、第二の実施形態で示した人工歯根10-2で、直径D10=4.1mm、長径L10=11.0mmに設計したものを埋入植立した。手術直後の図9では、人工歯根10-2周りに歯槽硬線は確認されないが、術後5カ月の図10では、歯槽硬線様白線がはっきりと確認できる。術後12カ月の図11では、歯槽硬線様白線はより鮮明であり、歯周ポケットも正常であることが確認できる。術後1年半の検診でも、歯槽硬線様白線および歯周組織は図11と同様に良好であり、患者は咬合痛もなく歯応えも十分感じているとのことであった。
(作用効果)
以上、第一から第四までの実施形態実施の形態で示した人工歯根10らによれば、縦繋ぎの球による球面形状の連続で凹凸を形成する形状を備えたため、液性(骨髄の血液)の反復性流動が起こりやすくなり、歯根膜を含め、セメント質(線維骨),歯周線維組織,歯周微小血管群,固有歯槽骨等の形成が促進される。造血と造骨が共役して、歯根膜の形成が促進されるため、歯根膜に伴う免疫系システム(有窓血管による自浄作用、白血球の捕捉貪食作用)を早く作用させることができる。天然歯に備わるものと同様の歯周組織を再生・回復させることにより、咀嚼の感覚入力を受け取り、歯に加わる刺激に伴う様々な口腔反射が引き起こされるので、患者の術後の違和感も和らぐものと考えられる。さらに、歯根膜を含む歯周組織の再生により、歯応えを感じることができる治療となるので、人間の健康寿命の延伸や認知症予防にも有益な治療として提供することができる。
また、実施の形態で示した人工歯根10らは、歯列に関係なく、根尖39は球体の球面形状により形成される。すなわち、歯列における上顎前歯、下顎前歯、犬歯用人工歯根、上下顎小臼歯、上顎大臼歯、下顎大臼歯のいずれの箇所であっても、根尖39は球面形状で形成される。これは、液性(骨髄の血液)の反復性流動を重視するからであり、また、人工歯根10を成形する観点からみても、根尖39の形状を天然歯の形状に合わせて設計変更するという面倒が無く、患者の骨の状態をCT像にて計測し、好適な直径D10と長径L10を決定すれば簡単に設計できるというメリットがある。
以上、本発明の好ましい実施の形態および変形例を述べたが、これらを当業者の知識に基づいて改変および組み合わせることは可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
10…人工歯根, 20…歯冠部, 21…歯冠部の天面, 22…歯冠部の上方部, 23…歯冠部の根本部, 30…歯根部, 31…第一球体, 32…第二球体, 33…第三球体, 38,38´,38´´…境界部, 39…根尖, V24,V34,V35,V36,V40,V41…頂点, P…軸心

Claims (7)

  1. 一端に歯冠部、反対側の端部に根尖を備える円柱状であって、
    前記歯冠部と前記根尖の間は、二以上の縦並びの球体を備え、前記球体の境界部は、軸心側へ窪む滑らかな曲面形状で形成した人工歯根であって
    前記人工歯根は、
    前記歯冠部の最大外径と前記歯冠部に隣接する前記球体の直径を同一にし、前記歯冠部から離れるにつれ、前記球体の直径はやや小さくなるように形成した、または
    前記歯冠部の最大外径と前記球体の直径を全て同一に形成した
    ことを特徴とする人工歯根。
  2. 前記歯冠部の根本部は半球の形状を備え、前記根本部と前記球体の境界部も軸心側へ窪む滑らかな曲面形状で形成したことを特徴とする請求項1に記載の人工歯根。
  3. 上下顎前歯、犬歯、上下顎小臼歯、上下顎大臼歯のいずれの箇所であっても、前記根尖を前記球体で形成したことを特徴とする請求項1に記載の人工歯根。
  4. 前記境界部は、隣接する前記球体に接触し、かつ、いずれかの前記球体と略同一の直径を有する仮想球体の球面の曲面形状を備えることを特徴とする請求項1に記載の人工歯根。
  5. 前記球体および前記半球は、上下方向を前記球体および前記半球の並び方向にみたときの、隣り合う前記球体の上頂点と下頂点が、および/または前記半球の下頂点と該半球と隣り合う前記球体の上頂点が、接するように並ぶことを特徴とする請求項2に記載の人工歯根。
  6. 前記球体および前記半球は、上下方向を前記球体および前記半球の並び方向にみたときの、隣り合う前記球体の上頂点と下頂点が、および/または前記半球の下頂点と該半球と隣り合う前記球体の上頂点が、いずれかの前記球体の半径以下に隔てられて並ぶことを特徴とする請求項2に記載の人工歯根。
  7. 前記人工歯根はジルコニアからなることを特徴とする請求項1に記載の人工歯根。


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