以下、本発明の実施形態の例を、図面を用いて説明する。
(実施例1)
[システム構成]
図1は、放送システムの構成の一例を示すシステム構成図である。
放送システムは、例えば、放送受信装置100とアンテナ200、放送局の電波塔300と放送局サーバ400、サービス事業者サーバ500、移動体電話通信サーバ600と移動体電話通信網の基地局600B、携帯情報端末700、インターネット等のブロードバンドネットワーク800とルータ装置800R、で構成される。また、インターネット800には、各種サーバ装置や通信機器がさらに接続されても良い。
放送受信装置100は、高度デジタル放送サービスの受信機能を備えたテレビ受信機である。放送受信装置100は、さらに既存デジタル放送サービスの受信機能を備えても良い。さらに、デジタル放送サービス(既存デジタル放送サービスまたは高度デジタル放送サービス)にブロードバンドネットワークを利用した機能を連携させ、ブロードバンドネットワークを介した付加コンテンツの取得やサーバ装置における演算処理、携帯端末機器との連携による提示処理等をデジタル放送サービスと組み合わせる放送通信連携システムに対応可能である。放送受信装置100は、アンテナ200を介して、電波塔300から送出されたデジタル放送波を受信する。前記デジタル放送波は、電波塔300からアンテナ200に直接送信されても良いし、図示を省略した放送衛星や通信衛星等を経由して送信されても良い。ケーブルテレビ局が再送信した放送信号を、ケーブル回線等を経由して受信しても良い。また、放送受信装置100は、ルータ装置800Rを介してインターネット800と接続可能であり、インターネット800上の各サーバ装置との通信によるデータの送受信が可能である。
ルータ装置800Rは、インターネット800と無線通信または有線通信により接続され、また、放送受信装置100とは有線通信で、携帯情報端末700とは無線通信で接続される。これにより、インターネット800上の各サーバ装置と放送受信装置100と携帯情報端末700とが、ルータ装置800Rを介して、データの送受信を相互に行うことが可能となる。ルータ装置800Rと放送受信装置100と携帯情報端末700は、LAN(Local Area Network)を構成する。なお、放送受信装置100と携帯情報端末700との通信は、ルータ装置800Rを介さずに、BlueTooth(登録商標)やNFC(Near Field Communication)等の方式で直接行われても良い。
電波塔300は、放送局の放送設備であって、デジタル放送サービスに係る各種制御情報や放送番組のコンテンツデータ(動画コンテンツや音声コンテンツ等)等を含むデジタル放送波を送出する。また、放送局は放送局サーバ400を備える。放送局サーバ400は、放送番組のコンテンツデータおよび各放送番組の番組タイトル、番組ID、番組概要、出演者、放送日時、等のメタデータを記憶する。放送局サーバ400は、前記コンテンツデータやメタデータを、契約に基づいて、サービス事業者に対して提供する。サービス事業者に対するコンテンツデータおよびメタデータの提供は、放送局サーバ400が備えるAPI(Application Programming Interface)を通して行われる。
サービス事業者サーバ500は、サービス事業者が放送通信連携システムによるサービスを提供するために用意するサーバ装置である。サービス事業者サーバ500は、放送局サーバ400から提供されたコンテンツデータおよびメタデータと、放送通信連携システム用に制作されたコンテンツデータおよびアプリケーション(動作プログラムおよび/または各種データ等)の記憶、管理および配信等を行う。また、テレビ受信機からの問い合わせに対して、提供可能なアプリケーションの検索や一覧の提供を行う機能も有する。なお、前記コンテンツデータおよびメタデータの記憶、管理および配信等と、前記アプリケーションの記憶、管理および配信等は、異なるサーバ装置が行うものであっても良い。放送局とサービス事業者は同一であっても良いし、異なる事業者であっても良い。サービス事業者サーバ500は、異なるサービスごとに複数用意されても良い。また、サービス事業者サーバ500の機能は、放送局サーバ400が兼ね備えるものであっても良い。
移動体電話通信サーバ600はインターネット800と接続され、一方、基地局600Bを介して携帯情報端末700と接続される。移動体電話通信サーバ600は、携帯情報端末700の移動体電話通信網を介した電話通信(通話)およびデータ送受信を管理し、携帯情報端末700とインターネット800上の各サーバ装置との通信によるデータの送受信を可能とする。なお、携帯情報端末700と放送受信装置100との通信は、基地局600Bと移動体電話通信サーバ600、およびインターネット800、ルータ装置800Rを介して行われるものであっても良い。
[放送受信装置のハードウェア構成]
図2Aは、放送受信装置100の内部構成の一例を示すブロック図である。
放送受信装置100は、主制御部101、システムバス102、ROM103、RAM104、ストレージ(蓄積)部110、LAN通信部121、拡張インタフェース部124、デジタルインタフェース部125、第一チューナ/復調部130C、第二チューナ/復調部130T、第三チューナ/復調部130L、第四チューナ/復調部130B、第一デコーダ部140S、第二デコーダ部140U、操作入力部180、映像選択部191、モニタ部192、映像出力部193、音声選択部194、スピーカ部195、音声出力部196、で構成される。
主制御部101は、所定の動作プログラムに従って放送受信装置100全体を制御するマイクロプロセッサユニットである。システムバス102は主制御部101と放送受信装置100内の各動作ブロックとの間で各種データやコマンド等の送受信を行うための通信路である。
ROM(Read Only Memory)103は、オペレーティングシステムなどの基本動作プログラムやその他の動作プログラムが格納された不揮発性メモリであり、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)やフラッシュROMのような書き換え可能なROMが用いられる。また、ROM103には、放送受信装置100の動作に必要な動作設定値等が記憶される。RAM(Random Access Memory)104は基本動作プログラムやその他の動作プログラム実行時のワークエリアとなる。ROM103およびRAM104は主制御部101と一体構成であっても良い。また、ROM103は、図2Aに示したような独立構成とはせず、ストレージ(蓄積)部110内の一部記憶領域を使用するようにしても良い。
ストレージ(蓄積)部110は、放送受信装置100の動作プログラムや動作設定値、放送受信装置100のユーザの個人情報等を記憶する。また、インターネット800を介してダウンロードした動作プログラムや前記動作プログラムで作成した各種データ等を記憶可能である。また、放送波から取得した、或いは、インターネット800を介してダウンロードした、動画、静止画、音声等のコンテンツも記憶可能である。ストレージ(蓄積)部110の一部領域を以ってROM103の機能の全部または一部を代替しても良い。また、ストレージ(蓄積)部110は、放送受信装置100に外部から電源が供給されていない状態であっても記憶している情報を保持する必要がある。したがって、例えば、フラッシュROMやSSD(Solid State Drive)等の半導体素子メモリ、HDD(Hard Disc Drive)等の磁気ディスクドライブ、等のデバイスが用いられる。
なお、ROM103やストレージ(蓄積)部110に記憶された前記各動作プログラムは、インターネット800上の各サーバ装置や放送波からのダウンロード処理により、追加、更新および機能拡張することが可能である。
LAN通信部121は、ルータ装置800Rを介してインターネット800と接続され、インターネット800上の各サーバ装置やその他の通信機器とデータの送受信を行う。また、通信回線を介して伝送される番組のコンテンツデータ(或いは、その一部)の取得も行う。ルータ装置800Rとの接続は有線接続であっても良いし、Wi-Fi(登録商標)等の無線接続であっても良い。LAN通信部121は符号回路や復号回路等を備える。また、放送受信装置100が、BlueTooth(登録商標)通信部やNFC通信部、赤外線通信部等、他の通信部をさらに備えていても良い。
第一チューナ/復調部130Cと第二チューナ/復調部130Tと第三チューナ/復調部130Lと第四チューナ/復調部130Bは、それぞれ、デジタル放送サービスの放送波を受信し、主制御部101の制御に基づいて所定のサービスのチャンネルに同調することによる選局処理(チャンネル選択)を行う。さらに、受信信号の変調波の復調処理や波形整形処理等、また、フレーム構造や階層構造の再構成処理、エネルギー逆拡散処理、誤り訂正復号処理、等を行い、パケットストリームを再生する。また、受信信号から伝送TMCC(Transmission Multiplexing Configuration Control)信号の抽出および復号処理を行う。
なお、第一チューナ/復調部130Cは、現行地上デジタル放送受信用アンテナであるアンテナ200Cが受信した現行の地上デジタル放送サービスのデジタル放送波が入力可能である。また、第一チューナ/復調部130Cは、後述する偏波両用地上デジタル放送の水平(H)偏波信号と垂直(V)偏波信号のうち一方の偏波の放送信号を入力して、現行の地上デジタル放送サービスの同じ変調方式を採用する階層のセグメントを復調することも可能である。また、第一チューナ/復調部130Cは、後述する階層分割多重地上デジタル放送の放送信号を入力して、現行の地上デジタル放送サービスと同じ変調方式を採用する階層を復調することも可能である。第二チューナ/復調部130Tは、偏波両用地上デジタル放送受信用アンテナであるアンテナ200Tが受信した高度地上デジタル放送サービスのデジタル放送波を、変換部201Tを介して入力する。第三チューナ/復調部130Lは、階層分割多重地上デジタル放送受信用アンテナであるアンテナ200Lが受信した高度地上デジタル放送サービスのデジタル放送波を、変換部201Lを介して入力する。第四チューナ/復調部130Bは、BS/CS共用受信用アンテナであるアンテナ200Bが受信した高度BS(Broadcasting Satellite)デジタル放送サービスや高度CS(Communication Satellite)デジタル放送サービスのデジタル放送波を、変換部201Bを介して入力する。
なお『チューナ/復調部』との表現は、チューナ機能と復調機能を備えた構成部を意味する。
また、アンテナ200C、アンテナ200T、アンテナ200L、アンテナ200B、変換部201T、変換部201L、変換部201Bは、放送受信装置100の一部を構成するものではなく、放送受信装置100が設置される建物等の設備側に属するものである。
また、上述の現行地上デジタル放送は、水平1920画素×垂直1080画素を最大解像度とする映像を伝送する地上デジタル放送サービスの放送信号である。
また、偏波両用地上デジタル放送(偏波両用伝送方式を採用した高度地上デジタル放送)の詳細は後述するが、水平1920画素×垂直1080画素を超える画素数を最大解像度とする映像を伝送可能な地上デジタル放送サービスの放送信号である。偏波両用地上デジタル放送は、水平(H)偏波と垂直(V)偏波の複数の偏波を用いる地上デジタル放送であり、複数の偏波の両方の偏波において、分割された一部のセグメントで、水平1920画素×垂直1080画素を超える画素数を最大解像度とする映像を伝送可能な地上デジタル放送サービスを伝送する。
なお、本発明の各実施例の説明において、偏波両用地上デジタル放送について『複数の偏波』という表現を用いた場合、特に断りがない限り、水平(H)偏波と垂直(V)偏波の2つの偏波を意味するものである。また、単に『偏波』との表現を用いた場合でも『偏波信号』を意味する。また、複数の偏波の一方または両方の偏波において、分割された一部のセグメントで、水平1920画素×垂直1080画素を最大解像度とする映像を伝送する上述の現行地上デジタル放送を同じ変調方式で伝送可能である。即ち、偏波両用地上デジタル放送では、本発明の各実施例の複数の偏波の異なるセグメントで、水平1920画素×垂直1080画素を最大解像度とする映像を伝送する現行地上デジタル放送サービスと、水平1920画素×垂直1080画素を超える画素数を最大解像度とする映像を伝送可能な地上デジタル放送サービスとを同時に伝送することができる。
また、階層分割多重地上デジタル放送(階層分割多重伝送方式を採用した高度地上デジタル放送)の詳細は後述するが、水平1920画素×垂直1080画素を超える画素数を最大解像度とする映像を伝送可能な地上デジタル放送サービスの放送信号である。階層分割多重地上デジタル放送は、信号レベルが異なる複数のデジタル放送信号を多重化するものである。なお、信号レベルが異なるデジタル放送信号とは、デジタル放送信号を送信する電力が異なることを意味する。本発明の各実施例の階層分割多重地上デジタル放送は、当該信号レベルが異なる複数のデジタル放送信号として、水平1920画素×垂直1080画素を最大解像度とする映像を伝送する現行地上デジタル放送サービスの放送信号と、水平1920画素×垂直1080画素を超える画素数を最大解像度とする映像を伝送可能な地上デジタル放送サービスとの放送信号を同一物理チャンネルの周波数帯で階層多重して伝送可能である。即ち、本発明の各実施例の階層分割多重地上デジタル放送では、信号レベルの異なる複数の階層で、水平1920画素×垂直1080画素を最大解像度とする映像を伝送する現行地上デジタル放送サービスと、水平1920画素×垂直1080画素を超える画素数を最大解像度とする映像を伝送可能な地上デジタル放送サービスとを同時に伝送することができる。
なお、本発明の各実施例における放送受信装置は、高度なデジタル放送を好適に受信できる構成であれば良く、第一チューナ/復調部130Cと第二チューナ/復調部130Tと第三チューナ/復調部130Lと第四チューナ/復調部130Bのすべてを備えることが必須ではない。例えば、少なくとも第二チューナ/復調部130Tまたは第三チューナ/復調部130Lの一方を備えれば良い。また、より高度な機能を実現するために、第二チューナ/復調部130Tまたは第三チューナ/復調部130Lの一方に加えて、上記4つのチューナ/復調部の1つまたは複数をともに備えても良い。
また、アンテナ200Cとアンテナ200Tとアンテナ200Lは適宜兼用されても良い。また、第一チューナ/復調部130Cと第二チューナ/復調部130Tと第三チューナ/復調部130Lのうち、複数のチューナ/復調部が適宜兼用(或いは統合)されても良い。
第一デコーダ部140Sと第二デコーダ部140Uは、それぞれ、第一チューナ/復調部130Cや第二チューナ/復調部130Tや第三チューナ/復調部130Lや第四チューナ/復調部130Bから出力されたパケットストリーム、或いは、LAN通信部121を介してインターネット800上の各サーバ装置から取得したパケットストリームを入力する。第一デコーダ部140Sと第二デコーダ部140Uが入力するパケットストリームは、MPEG(Moving Picture Experts Group)-2 TS(Transport Stream)やMPEG-2 PS(Program Stream)、TLV(Type Length Value)、MMT(MPEG Media Transport)、等の形式のパケットストリームであって良い。
第一デコーダ部140Sと第二デコーダ部140Uは、それぞれ、コンディショナルアクセス(Conditional Access:CA)処理、パケットストリームに含まれる各種制御情報に基づいて前記パケットストリームから映像データや音声データや各種情報データ等を分離抽出する多重分離処理、映像データや音声データの復号処理、番組情報の取得およびEPG(Electronic Program Guide:電子番組表)生成処理、データ放送画面やマルチメディアデータの再生処理、等を行う。また、生成したEPGや再生したマルチメディアデータを復号した映像データや音声データと重畳する処理を行う。
映像選択部191は、第一デコーダ部140Sから出力された映像データと第二デコーダ部140Uから出力された映像データを入力し、主制御部101の制御に基づいて、適宜選択および/または重畳等の処理を行う。また、映像選択部191は、適宜スケーリング処理やOSD(On Screen Display)データの重畳処理等を行う。モニタ部192は、例えば液晶パネル等の表示デバイスであり、映像選択部191で選択および/または重畳処理を施された映像データを表示して、放送受信装置100のユーザに提供する。映像出力部193は、映像選択部191で選択および/または重畳処理を施された映像データを外部に出力する映像出力インタフェースである。
音声選択部194は、第一デコーダ部140Sから出力された音声データおよび第二デコーダ部140Uから出力された音声データを入力し、主制御部101の制御に基づいて、適宜選択および/またはミックス等の処理を行う。スピーカ部195は、音声選択部194で選択および/またはミックス処理を施された音声データを出音して、放送受信装置100のユーザに提供する。音声出力部196は、音声選択部194で選択および/またはミックス処理を施された音声データを外部に出力する音声出力インタフェースである。
デジタルインタフェース部125は、符号化されたデジタル映像データおよび/またはデジタル音声データを含むパケットストリームを出力若しくは入力するインタフェースである。デジタルインタフェース部125は、第一デコーダ部140Sや第二デコーダ部140Uが第一チューナ/復調部130Cや第二チューナ/復調部130Tや第三チューナ/復調部130Lや第四チューナ/復調部130Bから入力したパケットストリームをそのまま出力可能である。また、デジタルインタフェース部125を介して外部から入力したパケットストリームを第一デコーダ部140Sや第二デコーダ部140Uに入力したり、ストレージ(蓄積)部110に記憶するように制御しても良い。或いは、第一デコーダ部140Sや第二デコーダ部140Uで分離抽出した映像データや音声データを出力しても良い。また、デジタルインタフェース部125を介して外部から入力した映像データや音声データを第一デコーダ部140Sや第二デコーダ部140Uに入力したり、ストレージ(蓄積)部110に記憶するように制御しても良い。
拡張インタフェース部124は、放送受信装置100の機能を拡張するためのインタフェース群であり、アナログ映像/音声インタフェース、USB(Universal Serial Bus)インタフェース、メモリインタフェース等で構成される。アナログ映像/音声インタフェースは、外部映像/音声出力機器からのアナログ映像信号/音声信号の入力、外部映像/音声入力機器へのアナログ映像信号/音声信号の出力、等を行う。USBインタフェースは、PC等と接続してデータの送受信を行う。HDDを接続して放送番組やその他のコンテンツデータの記録を行っても良い。また、キーボードやその他のUSB機器の接続を行っても良い。メモリインタフェースはメモリカードやその他のメモリ媒体を接続してデータの送受信を行う。
操作入力部180は、放送受信装置100に対する操作指示の入力を行う指示入力部であり、図示を省略したリモコン(リモートコントローラ)から送信されるコマンドを受信するリモコン受信部とボタンスイッチを並べた操作キーで構成される。いずれか一方のみであっても良い。また、操作入力部180は、モニタ部192に重ねて配したタッチパネル等で代替可能である。拡張インタフェース部124に接続したキーボード等で代替しても良い。リモコンはリモコンコマンド送信機能を備えた携帯情報端末700で代替可能である。
なお、放送受信装置100がテレビ受信機等である場合、映像出力部193および音声出力部196は必須の構成ではない。また、放送受信装置100は、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダなどの光ディスクドライブレコーダ、HDDレコーダなどの磁気ディスクドライブレコーダ、STB(Set Top Box)等であっても良い。デジタル放送サービスの受信機能を備えたPC(Personal Computer)やタブレット端末等であっても良い。放送受信装置100がDVDレコーダやHDDレコーダやSTB等である場合、モニタ部192およびスピーカ部195は必須の構成ではない。映像出力部193および音声出力部196或いはデジタルインタフェース部125に外部モニタおよび外部スピーカを接続することにより、テレビ受信機等と同様の動作が可能となる。
図2Bは、第一チューナ/復調部130Cの詳細構成の一例を示すブロック図である。
選局/検波部131Cは、アンテナ200Cが受信した現行のデジタル放送波を入力し、チャンネル選択制御信号に基づいてチャンネル選択を行う。TMCC復号部132Cは選局/検波部131Cの出力信号からTMCC信号を抽出して各種TMCC情報を取得する。取得したTMCC情報は後段の各処理の制御に使用される。TMCC信号およびTMCC情報の詳細に関しては後述する。
復調部133Cは、TMCC情報等に基づいて、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、DQPSK(Differential QPSK)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM、等の方式を用いて変調された変調波を入力し、周波数デインターリーブや時間デインターリーブやキャリアデマッピング処理等を含む復調処理を行う。復調部133Cは、前述の各変調方式と異なる変調方式にさらに対応可能であっても良い。
ストリーム再生部134Cは、階層分割処理、ビタビ復号等の内符号誤り訂正処理、エネルギー逆拡散処理、ストリーム再生処理、RS(Reed Solomon)復号等の外符号誤り訂正処理、等を行う。なお、誤り訂正処理としては、前述の各方式と異なるものが用いられても良い。また、ストリーム再生部134Cで再生されて出力されるパケットストリームは、例えばMPEG-2 TS等である。その他の形式のパケットストリームであっても良い。
図2Cは、第二チューナ/復調部130Tの詳細構成の一例を示すブロック図である。
選局/検波部131Hは、アンテナ200Tが受信したデジタル放送波の水平(H)偏波信号を入力し、チャンネル選択制御信号に基づいてチャンネル選択を行う。選局/検波部131Vは、アンテナ200Tが受信したデジタル放送波の垂直(V)偏波信号を入力し、チャンネル選択制御信号に基づいてチャンネル選択を行う。なお、選局/検波部131Hにおけるチャンネル選択処理の動作と選局/検波部131Vにおけるチャンネル選択処理の動作は、連動して制御されても良いし、それぞれ独立に制御されても良い。即ち、選局/検波部131Hと選局/検波部131Vを1つの選局/検波部であるものと見做して、水平/垂直両偏波を利用して伝送されるデジタル放送サービスの1つのチャンネルを選局するように制御することも可能であり、選局/検波部131Hと選局/検波部131Vを独立した二つの選局/検波部であるものとして、水平偏波のみ(或いは垂直偏波のみ)を利用して伝送されるデジタル放送サービスの異なる二つのチャンネルをそれぞれ選局するように制御することも可能である。
なお、本発明の各実施例における放送受信装置の第二チューナ/復調部130Tが受信する水平(H)偏波信号と垂直(V)偏波信号は偏波方向が略90度異なる放送波による偏波信号であれば良く、以下に説明する水平(H)偏波信号と垂直(V)偏波信号とその受信に関する構成を逆にしても構わない。
TMCC復号部132Hは選局/検波部131Hの出力信号からTMCC信号を抽出して各種TMCC情報を取得する。TMCC復号部132Vは選局/検波部131Vの出力信号からTMCC信号を抽出して各種TMCC情報を取得する。TMCC復号部132HとTMCC復号部132Vはいずれか一方のみであっても良い。取得したTMCC情報は後段の各処理の制御に使用される。
復調部133Hと復調部133Vは、それぞれ、TMCC情報等に基づいて、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、DBPSK(Differential BPSK)、QPSK、DQPSK、8PSK(Phase Shift Keying)、16APSK(Amplitude and Phase Shift Keying)、32APSK、16QAM、64QAM、256QAM、1024QAM、等の方式を用いて変調された変調波を入力し、周波数デインターリーブや時間デインターリーブやキャリアデマッピング処理等を含む復調処理を行う。復調部133Hと復調部133Vは、前述の各変調方式と異なる変調方式にさらに対応可能であっても良い。
ストリーム再生部134Hとストリーム再生部134Vは、それぞれ、階層分割処理、ビタビ復号やLDPC(Low Density Parity Check)復号等の内符号誤り訂正処理、エネルギー逆拡散処理、ストリーム再生処理、RS復号やBCH復号等の外符号誤り訂正処理、等を行う。なお、誤り訂正処理としては、前述の各方式と異なるものが用いられても良い。また、ストリーム再生部134Hで再生されて出力されるパケットストリームは、例えばMPEG-2 TS等である。ストリーム再生部134Vで再生されて出力されるパケットストリームは、例えばMPEG-2 TSやMMTパケットストリームを含むTLV等である。それぞれ、その他の形式のパケットストリームであっても良い。
図2Dは、第三チューナ/復調部130Lの詳細構成の一例を示すブロック図である。
選局/検波部131Lは、階層分割多重(Layered Division Multiplexing:LDM)処理を施されたデジタル放送波をアンテナ200Lから入力し、チャンネル選択制御信号に基づいてチャンネル選択を行う。階層分割多重処理を施されたデジタル放送波は、上側階層(Upper Layer:UL)の変調波と下側階層(Lower Layer:LL)の変調波が異なるデジタル放送サービス(或いは同一の放送サービスの異なるチャンネル)の送信に用いられて良い。また、上側階層の変調波は復調部133Sに、下側階層の変調波は復調部133Lに、それぞれ出力される。
TMCC復号部132Lは、選局/検波部131Lから出力される上側階層の変調波と下側階層の変調波を入力し、TMCC信号を抽出して各種TMCC情報を取得する。TMCC復号部132Lに入力される信号は、上側階層の変調波と下側階層の変調波のいずれか一方のみであっても良い。
復調部133Sと復調部133Lは、復調部133Hや復調部133Vと同様の動作を行うため、詳細説明を省略する。また、ストリーム再生部134Sやストリーム再生部134Lは、それぞれ、ストリーム再生部134Hやストリーム再生部134Vと同様の動作を行うため、詳細説明を省略する。
図2Eは、第四チューナ/復調部130Bの詳細構成の一例を示すブロック図である。
選局/検波部131Bは、アンテナ200Bが受信した高度BSデジタル放送サービスや高度CSデジタル放送サービスのデジタル放送波を入力し、チャンネル選択制御信号に基づいてチャンネル選択を行う。その他の動作は選局/検波部131Hや選局/検波部131Vと同様であるので、詳細説明を省略する。また、TMCC復号部132B、復調部133B、ストリーム再生部134Bも、それぞれ、TMCC復号部132HやTMCC復号部132V、復調部133Hや復調部133V、ストリーム再生部134Vと同様の動作を行うため、詳細説明を省略する。
図2Fは、第一デコーダ部140Sの詳細構成の一例を示すブロック図である。
選択部141Sは、主制御部101の制御に基づいて、第一チューナ/復調部130Cから入力したパケットストリームと第二チューナ/復調部130Tから入力したパケットストリームと第三チューナ/復調部130Lから入力したパケットストリームとから1つを選択して出力する。第一チューナ/復調部130Cや第二チューナ/復調部130Tや第三チューナ/復調部130Lから入力するパケットストリームは、例えばMPEG-2 TS等である。CAデスクランブラ142Sは、パケットストリームに重畳された限定受信に関する各種制御情報に基づいて、所定のスクランブル方式の暗号アルゴリズムの解除処理を行う。
多重分離部143Sは、ストリームデコーダであり、入力したパケットストリームに含まれる各種制御情報に基づいて、映像データや音声データや文字スーパーデータや字幕データや番組情報データ等を分離抽出する。分離抽出された映像データは映像デコーダ145Sに、分離抽出された音声データは音声デコーダ146Sに、分離抽出された文字スーパーデータや字幕データや番組情報データ等はデータデコーダ144Sに、それぞれ分配される。多重分離部143Sには、LAN通信部121を介してインターネット800上のサーバ装置から取得したパケットストリーム(例えば、MPEG-2 PS等)が入力されても良い。また、多重分離部143Sは、第一チューナ/復調部130Cや第二チューナ/復調部130Tや第三チューナ/復調部130Lから入力したパケットストリームを、デジタルインタフェース125を介して外部に出力することが可能であり、デジタルインタフェース125を介して外部から取得したパケットストリームを入力することが可能である。
映像デコーダ145Sは、多重分離部143Sから入力した映像データに対して、圧縮符号化を施された映像情報の復号処理や復号した映像情報に対するカラリメトリ変換処理やダイナミックレンジ変換処理等を行う。また、主制御部101の制御に基づいた解像度変換(アップ/ダウンコンバート)等の処理を行い、適宜UHD(水平3840画素×垂直2160画素)やHD(水平1920画素×垂直1080画素)やSD(水平720画素×垂直480画素)等の解像度で映像データを出力する。その他の解像度での映像データ出力を行っても良い。音声デコーダ146Sは、圧縮符号化を施された音声情報の復号処理等を行う。また、主制御部101の制御に基づいたダウンミックス処理等を行い、22.2chや7.1chや5.1chや2ch等のチャンネル数で音声データを出力する。なお、映像デコーダ145Sや音声デコーダ146Sは、映像データや音声データの復号処理等を複数同時に行うために、複数備えられていても良い。
データデコーダ144Sは、番組情報データに基づいてEPGを生成する処理やBMLデータに基づくデータ放送画面生成処理や放送通信連携機能に基づく連携アプリケーションの制御処理等を行う。データデコーダ144SはBML文書を実行するBMLブラウザ機能を備え、データ放送画面生成処理は前記BMLブラウザ機能により実行される。また、データデコーダ144Sは、文字スーパーデータを復号して文字スーパー情報を生成する処理や字幕データを復号して字幕情報を生成する処理等を行う。
重畳部147Sと重畳部148Sと重畳部149Sは、それぞれ、映像デコーダ145Sから出力された映像データとデータデコーダ144Sから出力されたEPGやデータ放送画面等の重畳処理を行う。合成部151Sは、音声デコーダ146Sから出力された音声データとデータデコーダ144Sで再生された音声データとを合成する処理を行う。選択部150Sは、主制御部101の制御に基づいた映像データの解像度選択を行う。なお、重畳部147Sや重畳部148Sや重畳部149Sや選択部150Sの機能は映像選択部191と統合されても良い。合成部151Sの機能は音声選択部194と統合されても良い。
図2Gは、第二デコーダ部140Uの詳細構成の一例を示すブロック図である。
選択部141Uは、主制御部101の制御に基づいて、第二チューナ/復調部130Tから入力したパケットストリームと第三チューナ/復調部130Lから入力したパケットストリームと第四チューナ/復調部130Bから入力したパケットストリームとから1つを選択して出力する。第二チューナ/復調部130Tや第三チューナ/復調部130Lや第四チューナ/復調部130Bから入力するパケットストリームは、例えば、MMTパケットストリーム或いはMMTパケットストリームを含むTLV等である。映像圧縮方式にHEVC(High Efficiency Video Coding)等を採用したMPEG-2 TS形式のパケットストリームであっても良い。CAデスクランブラ142Uは、パケットストリームに重畳された限定受信に関する各種制御情報に基づいて、所定のスクランブル方式の暗号アルゴリズムの解除処理を行う。
多重分離部143Uは、ストリームデコーダであり、入力したパケットストリームに含まれる各種制御情報に基づいて、映像データや音声データや文字スーパーデータや字幕データや番組情報データ等を分離抽出する。分離抽出された映像データは映像デコーダ145Uに、分離抽出された音声データは音声デコーダ146Uに、分離抽出された文字スーパーデータや字幕データや番組情報データ等はマルチメディアデコーダ144Uに、それぞれ分配される。多重分離部143Uには、LAN通信部121を介してインターネット800上のサーバ装置から取得したパケットストリーム(例えば、MPEG-2 PSやMMTパケットストリーム等)が入力されても良い。また、多重分離部143Uは、第二チューナ/復調部130Tや第三チューナ/復調部130Lや第四チューナ/復調部130Bから入力したパケットストリームを、デジタルインタフェース125を介して外部に出力することが可能であり、デジタルインタフェース125を介して外部から取得したパケットストリームを入力することが可能である。
マルチメディアデコーダ144Uは、番組情報データに基づいてEPGを生成する処理やマルチメディアデータに基づくマルチメディア画面生成処理、放送通信連携機能に基づく連携アプリケーションの制御処理等を行う。マルチメディアデコーダ144UはHTML文書を実行するHTMLブラウザ機能を備え、マルチメディア画面生成処理は前記HTMLブラウザ機能により実行される。
映像デコーダ145Uと音声デコーダ146Uと重畳部147Uと重畳部148Uと重畳部149Uと合成部151Uと選択部150Uは、それぞれ、映像デコーダ145Sや音声デコーダ146Sや重畳部147Sや重畳部148Sや重畳部149Sや合成部151Sや選択部150Sと同様の機能を有する構成部である。これらは図2Fにおける映像デコーダ145Sや音声デコーダ146Sや重畳部147Sや重畳部148Sや重畳部149Sや合成部151Sや選択部150Sについての説明において符号の末尾のSをUに読み替えれば、図2Gにおける映像デコーダ145Uと音声デコーダ146Uと重畳部147Uと重畳部148Uと重畳部149Uと合成部151Uと選択部150Uのそれぞれの説明となるので別途の詳細説明は省略する。
[放送受信装置のソフトウェア構成]
図2Hは、放送受信装置100のソフトウェア構成図であり、ストレージ(蓄積)部110(或いはROM103、以下同様)およびRAM104におけるソフトウェア構成の一例を示す。ストレージ(蓄積)部110には、基本動作プログラム1001と受信機能プログラム1002とブラウザプログラム1003とコンテンツ管理プログラム1004およびその他の動作プログラム1009が記憶されている。また、ストレージ(蓄積)部110は、動画や静止画や音声等のコンテンツデータを記憶するコンテンツ記憶領域1011、外部の携帯端末機器やサーバ装置等との通信や連携の際に使用する認証情報等を記憶する認証情報記憶領域1012、その他の各種情報を記憶する各種情報記憶領域1019を備えるものとする。
ストレージ(蓄積)部110に記憶された基本動作プログラム1001はRAM104に展開され、さらに主制御部101が前記展開された基本動作プログラムを実行することにより、基本動作制御部1101を構成する。また、ストレージ(蓄積)部110に記憶された受信機能プログラム1002やブラウザプログラム1003やコンテンツ管理プログラム1004は、それぞれRAM104に展開され、さらに主制御部101が前記展開された各動作プログラムを実行することにより、受信機能制御部1102やブラウザエンジン1103やコンテンツ管理部1104を構成する。また、RAM104は、各動作プログラム実行時に作成したデータを、必要に応じて一時的に保持する一時記憶領域1200を備えるものとする。
なお、以下では、説明を簡単にするために、主制御部101がストレージ(蓄積)部110に記憶された基本動作プログラム1001をRAM104に展開して実行することにより各動作ブロックの制御を行う処理を、基本動作制御部1101が各動作ブロックの制御を行うものとして記述する。他の動作プログラムに関しても同様の記述を行う。
受信機能制御部1102は、放送受信装置100の放送受信機能や放送通信連携機能等の基本的な制御を行う。特に、選局/復調部1102aは、第一チューナ/復調部130Cや第二チューナ/復調部130Tや第三チューナ/復調部130Lや第四チューナ/復調部130B等におけるチャンネル選局処理やTMCC情報取得処理や復調処理等を主として制御する。ストリーム再生制御部1102bは、第一チューナ/復調部130Cや第二チューナ/復調部130Tや第三チューナ/復調部130Lや第四チューナ/復調部130B等における階層分割処理や誤り訂正復号処理やエネルギー逆拡散処理やストリーム再生処理等を主として制御する。AVデコード部1102cは、第一デコーダ部140Sや第二デコーダ部140H等における多重分離処理(ストリームデコード処理)や映像データ復号処理や音声データ復号処理等を主として制御する。マルチメディア(MM)データ再生部1102dは、第一デコーダ部140SにおけるBMLデータ再生処理や文字スーパーデータ復号処理や字幕データ復号処理や通信連携アプリの制御処理、第二デコーダ部140HにおけるHTMLデータ再生処理やマルチメディア画面生成処理や通信連携アプリの制御処理、等を主として制御する。EPG生成部1102eは、第一デコーダ部140Sや第二デコーダ部140HにおけるEPG生成処理および生成したEPGの表示処理を主として制御する。提示処理部1102fは、第一デコーダ部140Sや第二デコーダ部140Hにおけるカラリメトリ変換処理やダイナミックレンジ変換処理や解像度変換処理や音声のダウンミックス処理等の制御、および映像選択部191や音声選択部194等の制御を行う。
ブラウザエンジン1103のBMLブラウザ1103aやHTMLブラウザ1103bは、前述のBMLデータ再生処理やHTMLデータ再生処理の際にBML文書やHTML文書の解釈を行い、データ放送画面生成処理やマルチメディア画面生成処理を行う。
コンテンツ管理部1104は、放送番組の録画予約や視聴予約を行う際のタイムスケジュール管理や実行制御、放送番組や録画済み番組等をデジタルI/F125やLAN通信部121等から出力する際の著作権管理や放送通信連携機能に基づき取得した連携アプリケーションの有効期限管理等を行う。
前記各動作プログラムは、製品出荷の時点で予めストレージ(蓄積)部110および/またはROM103に記憶されていても良い。製品出荷後にインターネット800上のサーバ装置からLAN通信部121等を介して取得しても良い。また、メモリカードや光ディスク等に記憶された前記各動作プログラムを、拡張インタフェース部124等を介して取得しても良い。放送波を介して新たに取得或いは更新されても良い。
[放送局サーバの構成]
図3Aは、放送局サーバ400の内部構成の一例である。放送局サーバ400は、主制御部401、システムバス402、RAM404、ストレージ部410、LAN通信部421、デジタル放送信号送出部460、で構成される。
主制御部401は、所定の動作プログラムに従って放送局サーバ400全体を制御するマイクロプロセッサユニットである。システムバス402は主制御部401と放送局サーバ400内の各動作ブロックとの間で各種データやコマンド等の送受信を行うための通信路である。RAM404は各動作プログラム実行時のワークエリアとなる。
ストレージ部410は、基本動作プログラム4001およびコンテンツ管理/配信プログラム4002とコンテンツ送出プログラム4003を記憶し、さらに、コンテンツデータ記憶領域4011およびメタデータ記憶領域4012を備える。コンテンツデータ記憶領域4011は放送局が放送する各放送番組のコンテンツデータ等を記憶する。メタデータ記憶領域4012は前記各放送番組の番組タイトル、番組ID、番組概要、出演者、放送日時、等のメタデータを記憶する。
また、ストレージ部410に記憶された基本動作プログラム4001およびコンテンツ管理/配信プログラム4002とコンテンツ送出プログラム4003は、それぞれRAM404に展開され、さらに主制御部401が前記展開された基本動作プログラムおよびコンテンツ管理/配信プログラムとコンテンツ送出プログラムを実行することにより、基本動作制御部4101およびコンテンツ管理/配信制御部4102コンテンツ送出制御部4103を構成する。
なお、以下では、説明を簡単にするために、主制御部401がストレージ部410に記憶された基本動作プログラム4001をRAM404に展開して実行することにより各動作ブロックの制御を行う処理を、基本動作制御部4101が各動作ブロックの制御を行うものとして記述する。他の動作プログラムに関しても同様の記述を行う。
コンテンツ管理/配信制御部4102は、コンテンツデータ記憶領域4011およびメタデータ記憶領域4012に記憶されたコンテンツデータやメタデータ等の管理と、前記コンテンツデータやメタデータ等を契約に基づいてサービス事業者に提供する際の制御を行う。さらに、コンテンツ管理/配信制御部4102は、前記サービス事業者に対してコンテンツデータやメタデータ等の提供を行う際に、必要に応じてサービス事業者サーバ500の認証処理等も行う。
コンテンツ送出制御部4103は、コンテンツデータ記憶領域4011に記憶された放送番組のコンテンツデータや、メタデータ記憶領域4012に記憶された放送番組の番組タイトル、番組ID、番組コンテンツのコピー制御情報等を含むストリームを、デジタル放送信号送出部460を介して送出する際のタイムスケジュール管理等を行う。
LAN通信部421は、インターネット800と接続され、インターネット800上のサービス事業者サーバ500やその他の通信機器との通信を行う。LAN通信部421は符号回路や復号回路等を備える。デジタル放送信号送出部460は、コンテンツデータ記憶領域4011に記憶された各放送番組のコンテンツデータや番組情報データ等で構成されたストリームに変調等の処理を施して、電波塔300を介して、デジタル放送波として送出する。
[サービス事業者サーバの構成]
図3Bは、サービス事業者サーバ500の内部構成の一例である。サービス事業者サーバ500は、主制御部501、システムバス502、RAM504、ストレージ部510、LAN通信部521、で構成される。
主制御部501は、所定の動作プログラムに従ってサービス事業者サーバ500全体を制御するマイクロプロセッサユニットである。システムバス502は主制御部501とサービス事業者サーバ500内の各動作ブロックとの間で各種データやコマンド等の送受信を行うための通信路である。RAM504は各動作プログラム実行時のワークエリアとなる。
ストレージ部510は、基本動作プログラム5001およびコンテンツ管理/配信プログラム5002とアプリケーション管理/配布プログラム5003を記憶し、さらに、コンテンツデータ記憶領域5011およびメタデータ記憶領域5012とアプリケーション記憶領域5013を備える。コンテンツデータ記憶領域5011およびメタデータ記憶領域5012は、放送局サーバ400から提供されたコンテンツデータやメタデータ等、或いはサービス事業者が制作したコンテンツや前記コンテンツに関するメタデータ等を記憶する。アプリケーション記憶領域5013は、各テレビ受信機からの要求に応じて配布するための、放送通信連携システムの各サービスの実現に必要となるアプリケーション(動作プログラムおよび/または各種データ等)を記憶する。
また、ストレージ部510に記憶された基本動作プログラム5001およびコンテンツ管理/配信プログラム5002とアプリケーション管理/配布プログラム5003は、それぞれRAM504に展開され、さらに主制御部501が前記展開された基本動作プログラムおよびコンテンツ管理/配信プログラムとアプリケーション管理/配布プログラムを実行することにより、基本動作制御部5101およびコンテンツ管理/配信制御部5102とアプリケーション管理/配布制御部5103を構成する。
なお、以下では、説明を簡単にするために、主制御部501がストレージ部510に記憶された基本動作プログラム5001をRAM504に展開して実行することにより各動作ブロックの制御を行う処理を、基本動作制御部5101が各動作ブロックの制御を行うものとして記述する。他の動作プログラムに関しても同様の記述を行う。
コンテンツ管理/配信制御部5102は、放送局サーバ400からのコンテンツデータやメタデータ等の取得、コンテンツデータ記憶領域5011およびメタデータ記憶領域5012に記憶されたコンテンツデータやメタデータ等の管理、および各テレビ受信機に対する前記コンテンツデータやメタデータ等の配信の制御を行う。また、アプリケーション管理/配布制御部5103は、アプリケーション記憶領域5013に記憶された各アプリケーションの管理と、前記各アプリケーションを各テレビ受信機からの要求に応じて配布する際の制御と、を行う。さらに、アプリケーション管理/配布制御部5103は、各テレビ受信機に対して各アプリケーションの配布を行う際に、必要に応じてテレビ受信機の認証処理等も行う。
LAN通信部521は、インターネット800と接続され、インターネット800上の放送局サーバ400やその他の通信機器との通信を行う。また、ルータ装置800Rを介した放送受信装置100や携帯情報端末700との通信を行う。LAN通信部521は符号回路や復号回路等を備える。
[デジタル放送の放送波]
ここで、本発明の実施例の放送受信装置が受信するデジタル放送の放送波の一例に関して説明する。
放送受信装置100は、ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting for Terrestrial Television Broadcasting)方式と少なくとも一部の仕様を共通にする地上デジタル放送サービスを受信可能である。具体的には、第二チューナ/復調部130Tが受信可能な、偏波両用地上デジタル放送は、一部の仕様をISDB-T方式と共通にする高度な地上デジタル放送である。また、第三チューナ/復調部130Lが受信可能な、階層分割多重地上デジタル放送は、一部の仕様をISDB-T方式と共通にする高度な地上デジタル放送である。なお、第一チューナ/復調部130Cが受信可能な現行地上デジタル放送は、ISDB-T方式の地上デジタル放送である。また、第四チューナ/復調部130Bが受信可能な高度BSデジタル放送や高度CSデジタル放送は、ISDB-T方式と異なるデジタル放送である。
ここで、本実施例に係る偏波両用地上デジタル放送および階層分割多重地上デジタル放送は、ISDB-T方式と同様に、伝送方式にマルチキャリア方式の1つであるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)を採用する。OFDMは、マルチキャリア方式であるためにシンボル長が長く、ガードインターバルと呼ばれる時間軸方向の冗長部分を付加することが有効であり、ガードインターバルの範囲内のマルチパスの影響を軽減することが可能である。このためSFN(Single Frequency Network:単一周波数ネットワーク)を実現することが可能であり、周波数の有効利用が可能となる。
本実施例に係る偏波両用地上デジタル放送および階層分割多重地上デジタル放送は、ISDB-T方式と同様に、OFDMのキャリアをセグメントと呼ばれるグループに分割しており、図4Aに示すように、デジタル放送サービスの1つのチャンネル帯域幅は13セグメントで構成される。帯域の中央部をセグメント0の位置とし、この上下に順次セグメント番号(0~12)が割り付けられる。本実施例に係る偏波両用地上デジタル放送および階層分割多重地上デジタル放送の伝送路符号化はOFDMセグメントを単位に行われる。このため階層伝送を定義することが可能であり、例えば、1つのテレビジョンチャンネルの帯域幅の中で、一部のOFDMセグメントを固定受信サービスに、残りを移動体受信サービスに、それぞれ割り当てることができる。階層伝送では、各階層が1つまたは複数のOFDMセグメントで構成され、階層ごとにキャリア変調方式、内符号の符号化率、時間インターリーブ長、等のパラメータを設定することができる。なお、階層数は任意に設定できて良く、例えば、最大3階層までと設定すれば良い。図4Bに、階層数を3または2とした場合のOFDMセグメントの階層割り当ての一例を示す。図4B(1)の例では、階層数が3であり、A階層が1セグメント(セグメント0)で構成され、B階層が7セグメント(セグメント1~7)で構成され、C階層が5セグメント(セグメント8~12)で構成される。図4B(2)の例では、階層数が3であり、A階層が1セグメント(セグメント0)で構成され、B階層が5セグメント(セグメント1~5)で構成され、C階層が7セグメント(セグメント6~12)で構成される。図4B(3)の例では、階層数が2であり、A階層が1セグメント(セグメント0)で構成され、B階層が12セグメント(セグメント1~12)で構成される。各階層のOFDMセグメント数や伝送路符号化パラメータ等は編成情報に従って決定され、受信機の動作を補助するための制御情報であるTMCC信号によって伝送される。
なお、図4Bの(1)、(2)、(3)のセグメント階層割り当ての使用例の一例としては、例えば以下の例があり得る。
例えば、図4B(1)の階層割り当ては、本実施例に係る偏波両用地上デジタル放送において用いることができ、水平偏波、垂直偏波ともに同じセグメント階層割り当てを用いれば良い。具体的には、A階層として水平偏波の上記1セグメントで現行の地上デジタル放送の移動体受信サービスを伝送すれば良い。(なお、当該現行の地上デジタル放送の移動体受信サービスは同じサービスを垂直偏波の上記1セグメントで伝送しても良い。この場合、これもA階層として扱う。)また、B階層として水平偏波の上記7セグメントで、現行の地上デジタル放送である水平1920画素×垂直1080画素を最大解像度とする映像を伝送する地上デジタル放送サービスを伝送すれば良い。(なお、当該水平1920画素×垂直1080画素を最大解像度とする映像を伝送する地上デジタル放送サービスは同じサービスを垂直偏波の上記7セグメントで伝送しても良い。この場合、これもB階層として扱う。)さらに、C階層として水平偏波と垂直偏波の両者の上記5セグメント、合計10セグメントで水平1920画素×垂直1080画素を超える画素数を最大解像度とする映像を伝送可能な高度な地上デジタル放送サービスを伝送するように構成しても良い。当該伝送の詳細は後述する。当該セグメント階層割り当ての伝送波は例えば、放送受信装置100の第二チューナ/復調部130Tで受信可能である。
例えば、図4B(2)の階層割り当ては、本実施例に係る偏波両用地上デジタル放送において図4B(1)とは別の例として用いることができ、水平偏波、垂直偏波ともに同じセグメント階層割り当てを用いれば良い。具体的には、A階層として水平偏波の上記1セグメントで現行の地上デジタル放送の移動体受信サービスを伝送すれば良い。(なお、当該現行の地上デジタル放送の移動体受信サービスは同じサービスを垂直偏波の上記1セグメントで伝送しても良い。この場合、これもA階層として扱う。)さらに、B階層として水平偏波と垂直偏波の両者の上記5セグメント、合計10セグメントで水平1920画素×垂直1080画素を超える画素数を最大解像度とする映像を伝送可能な高度な地上デジタル放送サービスを伝送するように構成しても良い。また、C階層として、水平偏波の上記7セグメントで現行の地上デジタル放送である、水平1920画素×垂直1080画素を最大解像度とする映像を伝送する地上デジタル放送サービスを伝送すれば良い。(なお、当該水平1920画素×垂直1080画素を最大解像度とする映像を伝送する地上デジタル放送サービスは同じサービスを垂直偏波の上記7セグメントで伝送しても良い。この場合、これもC階層として扱う。)当該伝送の詳細は後述する。当該セグメント階層割り当ての伝送波は例えば、本実施例の放送受信装置100の第二チューナ/復調部130Tで受信可能である。
例えば、図4B(3)の階層割り当ては、本実施例に係る階層分割多重地上デジタル放送や現行の地上デジタル放送において用いることができる。具体的には、階層分割多重地上デジタル放送で用いる場合には、A階層として図中の1セグメントで現行の地上デジタル放送の移動体受信サービスを伝送すれば良い。さらに、B階層として図中の12セグメントで水平1920画素×垂直1080画素を超える画素数を最大解像度とする映像を伝送可能な高度な地上デジタル放送サービスを伝送するように構成しても良い。当該セグメント階層割り当ての伝送波は、例えば、本実施例の放送受信装置100の第三チューナ/復調部130Lで受信可能である。現行の地上デジタル放送において用いる場合には、A階層として図中の1セグメントで現行の地上デジタル放送の移動体受信サービスを伝送すれば良く、B階層として図中の12セグメントで現行の地上デジタル放送である、水平1920画素×垂直1080画素を最大解像度とする映像を伝送する地上デジタル放送サービスを伝送すれば良い。当該セグメント階層割り当ての伝送波は、例えば、本実施例の放送受信装置100の第一チューナ/復調部130Cで受信可能である。
図4Cに、本実施例に係る偏波両用地上デジタル放送および階層分割多重地上デジタル放送のデジタル放送波であるOFDM伝送波の生成処理を実現する放送局側のシステムの一例を示す。情報源符号化部411は映像/音声/各種データ等をそれぞれ符号化する。多重化部/限定受信処理部415は、情報源符号化部411でそれぞれ符号化した映像/音声/各種データ等を多重化し、さらに限定受信に対応した処理を適宜実行して、パケットストリームとして出力する。情報源符号化部411と多重化部/限定受信処理部415は、並列的に複数存在させることができ、複数のパケットストリームを生成する。伝送路符号化部416では、当該複数のパケットストリームを再多重して1つのパケットストリームと為し、伝送路符号化処理を行って、OFDM伝送波として出力する。図4Cに示す構成は、情報源符号化や伝送路符号化の方式の詳細は異なるものの、OFDM伝送波の生成処理を実現する構成としては、ISDB-T方式と共通である。よって、複数の情報源符号化部411と多重化部/限定受信処理部415のうち、一部をISDB-T方式の地上デジタル放送サービスのための構成とし、一部を高度な地上デジタル放送サービスのための構成とし、複数の異なる地上デジタル放送サービスのパケットストリームを伝送路符号化部416で多重しても良い。多重化部/限定受信処理部415をISDB-T方式の地上デジタル放送サービスのための構成とする場合は、MPEG-2システムズで規定されるTSP(Transport Stream Packet)のストリームであるMPEG-2TSを生成すれば良い。また、多重化部/限定受信処理部415を高度な地上デジタル放送サービスのための構成とする場合は、MMTパケットストリーム或いはMMTパケットを含むTLVストリームや、その他のシステムで規定されるTSPのストリームを生成すれば良い。当然、複数の情報源符号化部411と多重化部/限定受信処理部415のすべてを高度な地上デジタル放送サービスのための構成とし、伝送路符号化部416で多重するすべてのパケットストリームを高度な地上デジタル放送サービスのためのパケットストリームにしても良い。
図4Dに、伝送路符号化部416の構成の一例を示す。
まず、図4D(1)について説明する。図4D(1)は、現行の地上デジタル放送サービスのデジタル放送のOFDM伝送波のみを生成する場合の伝送路符号化部416の構成である。本構成で伝送するOFDM伝送波は、例えば、図4B(3)のセグメント構成を有するものである。多重化部/限定受信処理部415から入力されて再多重処理を施されたパケットストリームは、誤り訂正の冗長度が付加される他、バイトインターリーブ、ビットインターリーブ、時間インターリーブ、周波数インターリーブなどの各種のインターリーブ処理が行われる。その後、パイロット信号、TMCC信号、AC信号とともにIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)による処理が行われ、ガードインターバルが付加された後に直交変調を経てOFDM伝送波となる。なお、外符号処理、電力拡散処理、バイトインターリーブ、内符号処理、マッピング処理までは、A階層やB階層などの階層ごとに別々に処理が可能なように構成される。(なお、現行の地上デジタル放送サービスのデジタル放送では運用上2階層であるが、3階層まで伝送可能であるため、図4D(1)では3階層の例を示している。)マッピング処理はキャリアの変調処理である。また、多重化部/限定受信処理部415から入力されるパケットストリームは、TMCCの情報やモードやガードインターバル比等の情報が多重されていて良い。なお、伝送路符号化部416に入力されるパケットストリームは、上述のとおり、MPEG-2システムズで規定されるTSPのストリームで良い。図4D(1)の構成で生成されたOFDM伝送波は、例えば、本実施例の放送受信装置100の第一チューナ/復調部130Cで受信可能である。
次に、図4D(2)について説明する。図4D(2)は、本実施例に係る偏波両用地上デジタル放送のOFDM伝送波を生成する場合の伝送路符号化部416の構成である。本構成で伝送するOFDM伝送波は、例えば、図4B(1)または(2)のセグメント構成を有するものである。図4D(2)においても、多重化部/限定受信処理部415から入力されて再多重処理を施されたパケットストリームは、誤り訂正の冗長度が付加される他、バイトインターリーブ、ビットインターリーブ、時間インターリーブ、周波数インターリーブなどの各種のインターリーブ処理が行われる。その後、パイロット信号、TMCC信号、AC信号とともにIFFTによる処理が行われ、ガードインターバル付加処理がされた後に直交変調を経てOFDM伝送波となるものである。
図4D(2)の構成例では、外符号処理、電力拡散処理、バイトインターリーブ、内符号処理、マッピング処理、時間インターリーブまでは、A階層、B階層、C階層などの階層ごとに別々に処理が可能なように構成する。しかしながら、図4D(2)の構成例では、水平偏波(H)のOFDM伝送波のみではなく、垂直偏波(V)のOFDM伝送波を生成するものであり、処理フローが2系統に分岐する。水平偏波(H)の処理系統から垂直偏波(V)の処理系統に分岐する際に、水平偏波(H)の処理系統と同じデータを垂直偏波(V)の処理系統に分岐するか、水平偏波(H)の処理系統と異なるデータを垂直偏波(V)の処理系統に分岐するか、または垂直偏波(V)の処理系統にデータを分岐しないかは、図4B(1)または(2)で説明したセグメント構成に対応して、階層ごとに異ならせることができる。
図4D(2)の構成に示される外符号、内符号、マッピング等の処理は、図4D(1)の構成と互換性のある処理に加えて、図4D(1)の構成の各処理では採用していないより高度な処理を用いることができる。具体的には、図4D(2)の構成のうち、階層ごとに処理が行われる部分について、現行の地上デジタル放送の移動体受信サービスや水平1920画素×垂直1080画素を最大解像度とする映像を伝送する現行の地上デジタル放送サービスが伝送される階層では、外符号、内符号、マッピング等の処理について、図4D(1)の構成と互換性のある処理が行われる。これに対し、図4D(2)の構成のうち、階層ごとに処理が行われる部分について、水平1920画素×垂直1080画素を超える画素数を最大解像度とする映像を伝送可能な高度な地上デジタル放送サービスを伝送する階層については、外符号、内符号、マッピング等の処理について、図4D(1)の構成の各処理では採用していないより高度な処理を用いるように構成すれば良い。
なお、本実施例に係る本実施例に係る偏波両用地上デジタル放送では、後述するTMCC情報により、階層と伝送される地上デジタル放送サービスの割り当てが切り替え可能とすることもできるため、各階層に施す外符号、内符号、マッピング等の処理をTMCC情報により切り替え可能に構成することが望ましい。
なお、水平1920画素×垂直1080画素を超える画素数を最大解像度とする映像を伝送可能な高度な地上デジタル放送サービスを伝送する階層については、バイトインターリーブ、ビットインターリーブ、時間インターリーブは現行の地上デジタル放送サービスと互換性のある処理を行っても良く、またより高度な異なる処理を行っても良い。または高度な地上デジタル放送サービスを伝送する階層については、一部のインターリーブを省略しても構わない。
また、図4D(2)の構成では、現行の地上デジタル放送の移動体受信サービスや水平1920画素×垂直1080画素を最大解像度とする映像を伝送する現行の地上デジタル放送サービスが伝送される階層のソースとなる入力ストリームは、伝送路符号化部416に入力されるパケットストリームのうち、現行の地上デジタル放送で採用されているMPEG-2システムズで規定されるTSPのストリームで良い。図4D(2)の構成の高度な地上デジタル放送サービスを伝送する階層のソースとなる入力ストリームは、伝送路符号化部416に入力されるパケットストリームのうち、MMTパケットストリーム或いはMMTパケットを含むTLVなどの、MPEG-2システムズで規定されるTSPのストリーム以外のシステムで規定されるストリームであって良い。ただし、高度な地上デジタル放送サービスにおいてMPEG-2システムズで規定されるTSPのストリームを採用しても構わない。
以上説明した図4D(2)の構成では、入力ストリームからOFDM伝送波が生成されるまで、現行の地上デジタル放送の移動体受信サービスや水平1920画素×垂直1080画素を最大解像度とする映像を伝送する現行の地上デジタル放送サービスが伝送される階層では、現行の地上デジタル放送と互換性のあるストリーム形式や処理が維持される。これにより、図4D(2)の構成で生成される水平偏波のOFDM伝送波や垂直偏波のOFDM伝送波の一方の伝送波を、現存する現行の地上デジタル放送サービスの受信装置が受信した場合も、現行の地上デジタル放送の移動体受信サービスや水平1920画素×垂直1080画素を最大解像度とする映像を伝送する現行の地上デジタル放送サービスが伝送される階層については、地上デジタル放送サービスの放送信号を正しく受信および復調することが可能となる。
また、図4D(2)の構成では、水平偏波のOFDM伝送波と垂直偏波のOFDM伝送波との両者のセグメントを用いる階層において、水平1920画素×垂直1080画素を超える画素数を最大解像度とする映像を伝送可能な高度な地上デジタル放送サービスを伝送することができ、当該高度な地上デジタル放送サービスの放送信号は本発明の実施例に係る放送受信装置100で受信および復調することが可能となる。
即ち、図4D(2)の構成では、高度な地上デジタル放送サービスに対応した放送受信装置においても、現存する現行の地上デジタル放送サービスの受信装置においても、デジタル放送が好適に受信および復調できるデジタル放送波を生成することができる。
次に、図4D(3)について説明する。図4D(3)は、本実施例に係る階層分割多重地上デジタル放送のOFDM伝送波を生成する場合の伝送路符号化部416の構成である。図4D(3)においても、多重化部/限定受信処理部415から入力されて再多重処理を施されたパケットストリームは、誤り訂正の冗長度が付加される他、バイトインターリーブ、ビットインターリーブ、時間インターリーブ、周波数インターリーブなどの各種のインターリーブ処理が行われる。その後、パイロット信号、TMCC信号、AC信号とともにIFFTによる処理が行われ、ガードインターバルが付加された後に直交変調を経てOFDM伝送波となるものである。
しかしながら、図4D(3)の構成では、上側階層で伝送される変調波と下側階層で伝送される変調波とをそれぞれ生成し、多重したのちデジタル放送波であるOFDM伝送波を生成する。図4D(3)の構成の上側に示す処理系統が上側階層で伝送される変調波を生成するための処理系統であり、下側に示す処理系統が下側階層で伝送される変調波を生成するための処理系統である。図4D(3)の上側階層で伝送される変調波を生成するための処理系統を伝送するデータは、現行の地上デジタル放送の移動体受信サービスや水平1920画素×垂直1080画素を最大解像度とする映像を伝送する現行の地上デジタル放送サービスであり、図4D(3)の上側階層で伝送される変調波を生成するための処理系統における各種処理は、図4D(1)の各種処理と同一または互換性を有する処理である。図4D(3)の上側階層で伝送される変調波は、例えば、図4D(1)の伝送波と同様に図4B(3)のセグメント構成を有するものである。よって、図4D(3)の上側階層で伝送される変調波は現行の地上デジタル放送の移動体受信サービスや水平1920画素×垂直1080画素を最大解像度とする映像を伝送する現行の地上デジタル放送サービスと互換性を有するデジタル放送波である。これに対し、図4D(3)の下側階層で伝送される変調波を生成するための処理系統を伝送するデータは、水平1920画素×垂直1080画素を超える画素数を最大解像度とする映像を伝送可能な高度な地上デジタル放送サービスであり、例えば、外符号、内符号、マッピング等の処理について、図4D(1)の構成の各処理では採用していないより高度な処理を用いるように構成すれば良い。
図4D(3)の下側階層で伝送される変調波は、例えば、13セグメントすべてをA階層として水平1920画素×垂直1080画素を超える画素数を最大解像度とする映像を伝送可能な高度な地上デジタル放送サービスに割り当てても良い。または、図4B(3)のセグメント構成を有して1セグのA階層で現行の地上デジタル放送の移動体受信サービスを伝送し、12セグのB階層で水平1920画素×垂直1080画素を超える画素数を最大解像度とする映像を伝送可能な高度な地上デジタル放送サービスを伝送しても良い。後者の場合、図4D(2)と同様に、外符号処理から時間インターリーブ処理までA階層とB階層などの階層ごとに処理を切り替えられるように構成すれば良い。現行の地上デジタル放送の移動体受信サービスを伝送する階層では、現行の地上デジタル放送と互換性のある処理を維持する必要がある点は、図4D(2)の説明と同様である。
図4D(3)の構成では、上側階層で伝送される変調波と、下側階層で伝送される変調波とを多重化した地上デジタル放送波であるOFDM伝送波を生成する。当該OFDM伝送波から上側階層で伝送される変調波を分離する技術は現存する現行の地上デジタル放送サービスの受信装置にも搭載されているため、上側階層で伝送される変調波に含まれる、現行の地上デジタル放送の移動体受信サービスや水平1920画素×垂直1080画素を最大解像度とする映像を伝送する現行の地上デジタル放送サービスの放送信号は、現存する現行の地上デジタル放送サービスの受信装置で正しく受信および復調される。これに対し、下側階層で伝送される変調波に含まれる、水平1920画素×垂直1080画素を超える画素数を最大解像度とする映像を伝送可能な高度な地上デジタル放送サービスの放送信号は、本発明の実施例に係る放送受信装置100で受信および復調することが可能となる。
即ち、図4D(3)の構成では、高度な地上デジタル放送サービスに対応した放送受信装置においても、現存する現行の地上デジタル放送サービスの受信装置においても、デジタル放送が好適に受信および復調できるデジタル放送波を生成することができる。また、図4D(3)の構成では、図4D(2)の構成と異なり、複数の偏波を用いる必要がなく、より簡便に受信可能なOFDM伝送波を生成することができる。
本実施例の図4D(1)、図4D(2)、および図4D(3)に係るOFDM伝送波生成処理では、SFNの置局間距離への適合性や移動受信におけるドップラーシフトへの耐性等を考慮し、キャリア数の異なる三種類のモードを用意する。なお、キャリア数の異なる別モードをさらに用意しても良い。キャリア数が多いモードでは有効シンボル長が長くなり、同じガードインターバル比(ガードインターバル長/有効シンボル長)であればガードインターバル長が長くなり、長い遅延時間差のマルチパスに対する耐性を持たせることが可能である。一方、キャリア数が少ないモードの場合にはキャリア間隔が広くなり、移動体受信等の場合に生じるドップラーシフトによるキャリア間干渉の影響を受けにくくすることが可能である。
本実施例の図4D(1)、図4D(2)、および図4D(3)に係るOFDM伝送波生成処理では、1つまたは複数のOFDMセグメントにより構成される階層ごとにキャリア変調方式、内符号の符号化率、時間インターリーブ長等のパラメータを設定可能である。図4Eに、本実施例に係るシステムのモードで識別されるOFDMセグメントの1セグメント単位の伝送パラメータの一例を示す。なお、図中のキャリア変調方式とは『データ』キャリアの変調方式を指すものである。SP信号、CP信号、TMCC信号、AC信号は、『データ』キャリアの変調方式とは異なる変調方式を採用する。これらの信号は、情報量よりも雑音に対する耐性が重要な信号であるため、『データ』キャリアの変調方式(いずれもQPSK以上即ち4状態以上)より状態数の少ない少値のコンスタレーション(BPSKまたはDBPSK即ち2状態)にマッピングを行う変調方式を採用し、雑音に対する耐性を高めている。
また、キャリア数の各数値は、斜線の左側の数値がキャリア変調方式としてQPSKや16QAMや64QAM等を設定した場合の値であり、斜線の右側の数値がキャリア変調方式としてDQPSKを設定した場合の値である。図中、下線を引いたパラメータは、現行の地上デジタル放送の移動体受信サービスとは互換性のないパラメータである。具体的には『データ』キャリアの変調方式の256QAM、1024QAMや4096QAMは、現行の地上デジタル放送サービスでは採用されていない。したがって、本実施例の図4D(1)、図4D(2)、および図4D(3)に係るOFDM放送波生成処理における現行の地上デジタル放送サービスと互換性が必要な階層における処理においては、『データ』キャリアの変調方式の256QAM、1024QAMや4096QAMは用いない。高度な地上デジタル放送サービスに対応する階層で伝送する『データ』キャリアに対しては、現行の地上デジタル放送サービスと互換性のあるQPSK(状態数4)、16QAM(状態数16)、64QAM(状態数64)などの変調方式に加えて、256QAM(状態数256)、1024QAM(状態数1024)や4096QAM(状態数4096)などのさらに多値の変調方式を適用しても構わない。また、これらの変調方式と異なる変調方式を採用しても構わない。
なお、パイロットシンボル(SPやCP)キャリアの変調方式は、現行の地上デジタル放送サービスと互換性のあるBPSK(状態数2)を用いれば良い。ACキャリアとTMCCキャリアの変調方式は、現行の地上デジタル放送サービスと互換性のあるDBPSK(状態数2)を用いれば良い。
また、内符号処理の方式として、LDPC符号は、現行の地上デジタル放送サービスでは採用されていない。したがって、本実施例の図4D(1)、図4D(2)、および図4D(3)に係るOFDM放送波生成処理における現行の地上デジタル放送サービスと互換性が必要な階層における処理においては、LDPC符号は用いない。高度な地上デジタル放送サービスに対応する階層で伝送するデータに対しては、内符号としてLDPC符号を適用して構わない。また、外符号処理の方式として、BCH符号は、現行の地上デジタル放送サービスでは採用されていない。したがって、本実施例の図4D(1)、図4D(2)、および図4D(3)に係るOFDM放送波生成処理における現行の地上デジタル放送サービスと互換性が必要な階層における処理においては、BCH符号は用いない。高度な地上デジタル放送サービスに対応する階層で伝送するデータに対しては、外符号としてBCH符号を適用して構わない。
また、図4Fに、本実施例の図4D(1)、図4D(2)、および図4D(3)に係るOFDM放送波生成処理の1物理チャンネル(6MHz帯域幅)単位の伝送信号パラメータの一例を示す。本実施例の図4D(1)、図4D(2)、および図4D(3)に係るOFDM放送波生成処理においては、現行の地上デジタル放送サービスとの互換性のために基本的には、図4Fのパラメータでは原則として現行の地上デジタル放送サービスと互換性のあるパラメータを採用する。ただし、図4D(3)の下側階層で伝送する変調波においてすべてのセグメントを高度な地上デジタル放送サービスに割り当てる場合は、当該変調波において現行の地上デジタル放送サービスと互換性を維持する必要はない。したがって、この場合、図4D(3)の下側階層で伝送する変調波については図4Fに示すパラメータ以外のパラメータを用いても良い。
次に、本実施例に係るOFDM伝送波のキャリアについて説明する。本実施例に係るOFDM伝送波のキャリアには、映像や音声等のデータが伝送されるキャリアの他、復調の基準となるパイロット信号(SP、CP、AC1、AC2)が伝送されるキャリアや、キャリアの変調形式や畳込み符号化率等の情報であるTMCC信号が伝送されるキャリアがある。これらの伝送には、セグメントごとのキャリア数の1/9に相当する数のキャリアが使用される。また、誤り訂正には連接符号を採用しており、外符号には短縮化リードソロモン(204,188)符号、内符号には拘束長7、符号化率1/2をマザーコードとするパンクチャード畳込み符号を採用する。外符号、内符号ともに前記と異なる符号化を使用しても良い。情報レートは、キャリア変調形式や畳込み符号化率やガードインターバル比等のパラメータにより異なる。
また、204シンボルを1フレームとし、1フレーム内には整数個のTSPが含まれる。伝送パラメータの切り替えはこのフレームの境界で行われる。
復調の基準となるパイロット信号には、SP(Scattered Pilot)、CP(Continual Pilot)、AC(Auxiliary Channel)1、AC2がある。図4Gに、同期変調(QPSK、16QAM、64QAM、256QAM、1024QAM、4096QAM等)の場合のパイロット信号等のセグメント内での配置イメージの一例を示す。SPは同期変調のセグメントに挿入され、キャリア番号(周波数軸)方向に12キャリアに1回、OFDMシンボル番号(時間軸)方向には4シンボルに1回伝送される。SPの振幅および位相は既知であるため、同期復調の基準として使用可能となる。図4Hに、差動変調(DQPSK等)の場合のパイロット信号等のセグメント内での配置イメージの一例を示す。CPは差動変調のセグメントの左端に挿入される連続した信号であり、復調に使用される。
AC1およびAC2はCPに情報を載せたものであり、パイロット信号の役割に加え、放送事業者用の情報の伝送にも使用される。その他の情報の伝送に使用されても良い。
なお、図4Gおよび図4Hに示した配置イメージは、それぞれモード3の場合の例であり、キャリア番号は0から431となるが、モード1やモード2の場合では、それぞれ、0から107或いは0から215となる。また、AC1やAC2やTMCCを伝送するキャリアはセグメントごとに予め決められていて良い。なお、AC1やAC2やTMCCを伝送するキャリアは、マルチパスによる伝送路特性の周期的なディップの影響を軽減するために、周波数方向にランダムに配置されるものとする。
[TMCC信号]
TMCC信号は、階層構成やOFDMセグメントの伝送パラメータ等、受信機の復調動作等に関わる情報(TMCC情報)を伝送する。TMCC信号は、各セグメント内で規定されたTMCC伝送用のキャリアで伝送される。図5Aに、TMCCキャリアのビット割り当ての一例を示す。TMCCキャリアは204ビット(B0~B203)で構成される。B0はTMCCシンボルのための復調基準信号であり、所定の振幅および位相基準を有する。B1~B16は同期信号であり、16ビットのワードで構成される。同期信号は、w0とw1の二種類が規定され、フレームごとにw0とw1が交互に送出される。B17~B19はセグメント形式の識別に用いられ、各セグメントが差動変調部か同期変調部かを識別する。B20~B121はTMCC情報が記載される。B122~B203はパリティビットである。
本実施例に係るOFDM伝送波のTMCC情報は、例えば、その一例として、システム識別、伝送パラメータ切替指標、起動制御信号(緊急警報放送用起動フラグ)、カレント情報、ネクスト情報、周波数変換処理識別、物理チャンネル番号識別、主信号識別、4K信号伝送階層識別、追加階層伝送識別、等の、受信機の復調と復号動作を補助するための情報を含むように、構成すれば良い。カレント情報は現在の階層構成および伝送パラメータを示し、ネクスト情報は切り替え後の階層構成および伝送パラメータを示す。伝送パラメータの切り替えはフレーム単位で行われる。図5Bに、TMCC情報のビット割り当ての一例を示す。また、図5Cに、カレント情報/ネクスト情報に含まれる伝送パラメータ情報の構成の一例を示す。なお、連結送信位相補正量は、伝送方式が共通な地上デジタル音声放送ISDB-TSB(ISDB for Terrestrial Sound Broadcasting)等の場合に使用される制御情報であり、ここでは詳細の説明を省略する。
図5Dに、システム識別のビット割り当ての一例を示す。システム識別用の信号には2ビットが割り当てられる。現行の地上デジタルテレビジョン放送システムの場合、『00』が設定される。伝送方式が共通な地上デジタル音声放送システムの場合、『01』が設定される。また、本実施例に係る偏波両用地上デジタル放送または階層分割多重地上デジタル放送などの高度地上デジタルテレビジョン放送システムの場合、『10』が設定される。高度地上デジタルテレビジョン放送システムでは、偏波両用伝送方式または階層分割多重方式による放送波伝送により、2K放送番組(水平1920画素×垂直1080画素の映像の放送番組、それ以下の解像度の映像の放送番組を含んでも良い)と4K放送番組(水平1920画素×垂直1080画素を超える映像の放送番組)を同一サービス内で同時に伝送することが可能である。
伝送パラメータ切替指標は、伝送パラメータを切り替える場合にカウントダウンすることにより、受信機に切り替えタイミングを通知するために用いられる。この指標は、通常時には『1111』の値であり、伝送パラメータを切り替える場合には切り替えの15フレーム前からフレームごとに1ずつ減算される。切り替えタイミングは『0000』を送出する次のフレーム同期とする。指標の値は、『0000』の次は『1111』に戻る。図5Bに示したTMCC情報のシステム識別やカレント情報/ネクスト情報に含まれる伝送パラメータや周波数変換処理識別や主信号識別や4K信号伝送階層識別や追加階層伝送識別等のパラメータのいずれか1つ以上を切り替える場合にはカウントダウンを行う。TMCC情報の起動制御信号のみを切り替える場合にはカウントダウンを行わない。
起動制御信号(緊急警報放送用起動フラグ)は、緊急警報放送において受信機への起動制御が行われている場合には『1』とし、起動制御が行われていない場合には『0』とする。
カレント情報/ネクスト情報ごとの部分受信フラグは、伝送帯域中央のセグメントが部分受信に設定される場合には『1』に、そうでない場合には『0』に設定される。部分受信用にセグメント0が設定される場合、その階層はA階層として規定される。ネクスト情報が存在しない場合には、部分受信フラグは『1』に設定される。
図5Eに、カレント情報/ネクスト情報ごとの各階層伝送パラメータにおけるキャリア変調マッピング方式(データキャリアの変調方式)に対するビット割り当ての一例を示す。このパラメータが『000』の場合、変調方式がDQPSKであることを示す。『001』の場合、変調方式がQPSKであることを示す。『010』の場合、変調方式が16QAMであることを示す。『011』の場合、変調方式が64QAMであることを示す。『100』の場合、変調方式が256QAMであることを示す。『101』の場合、変調方式が1024QAMであることを示す。『110』の場合、変調方式が4096QAMであることを示す。未使用の階層またはネクスト情報が存在しない場合には、このパラメータには『111』が設定される。
符号化率や時間インターリーブの長さ等の設定は、カレント情報/ネクスト情報ごとの各階層の編成情報に応じて各パラメータが設定されて良い。セグメント数は各階層のセグメント数を4ビットの数値で示す。未使用の階層やネクスト情報が存在しない場合には『1111』を設定する。なお、モードやガードインターバル比等の設定は、受信機側において独自に検出されるため、TMCC情報での伝送は行わなくとも良い。
図5Fに、周波数変換処理識別のビット割り当ての一例を示す。周波数変換処理識別は、図2Aの変換部201Tや変換部201Lにおいて、後述の周波数変換処理(偏波両用伝送方式の場合)や周波数変換増幅処理(階層分割多重伝送方式の場合)が行われた場合には『0』を設定する。周波数変換処理や周波数変換増幅処理が行われていない場合には『1』を設定する。このパラメータは、例えば、放送局から送出される際には『1』に設定され、変換部201Tや変換部201Lで周波数変換処理や周波数変換増幅処理を実行した際に変換部201Tや変換部201Lにおいて『0』への書き換えを行うように構成しても良い。このようにすれば、放送受信装置100の第二チューナ/復調部130Tや第三チューナ/復調部130Lで受信した際に、周波数変換処理識別のビットが『0』であった場合に、当該OFDM伝送波が放送局から送出された後に周波数変換処理等が行われたことを識別することができる。
本実施例に係る偏波両用地上デジタル放送においては、複数の偏波のそれぞれにおいて、当該周波数変換処理識別ビットの設定や書き換えを行えば良い。例えば、複数の偏波の両者が図2Aの変換部201Tで周波数変換されないのであれば、両者のOFDM伝送波に含まれる周波数変換処理識別ビットを『1』のままとすれば良い。また、複数の偏波の一方の偏波のみを変換部201Tで周波数変換するのであれば、当該周波数変換された偏波のOFDM伝送波に含まれる周波数変換処理識別ビットを変換部201Tにおいて『0』に書き換えれば良い。また、複数の偏波の両者を変換部201Tで周波数変換するのであれば、当該周波数変換された両者の偏波のOFDM伝送波に含まれる周波数変換処理識別ビットを変換部201Tにおいて『0』に書き換えれば良い。このようにすれば、放送受信装置100において、複数の偏波のうち、偏波ごとに周波数変換の有無を識別することができる。
なお、当該周波数変換処理識別ビットは、現行地上デジタル放送では定義されていないため、既にユーザに使用されている地上デジタル放送受信装置では無視されることとなる。ただし、現行地上デジタル放送を改良した水平1920画素×垂直1080画素を最大解像度とする映像を伝送する新たな地上デジタル放送サービスに当該ビットを導入しても良い。この場合、本発明の実施例の放送受信装置100の第一チューナ/復調部130Cも当該新たな地上デジタル放送サービスに対応する第一チューナ/復調部として構成しても良い。
なお、変形例としては、図2Aの変換部201Tや変換部201Lで当該OFDM伝送波に対して周波数変換処理や周波数変換増幅処理が実行されることを前提に、放送局から送出される際に予め『0』に設定されても良い。なお、受信する放送波が高度地上デジタル放送サービスでない場合、このパラメータは『1』に設定されるように構成しても良い。
図5Gに、物理チャンネル番号識別のビット割り当ての一例を示す。物理チャンネル番号識別は6ビットの符号で構成され、受信する放送波の物理チャンネル番号(13~52ch)を識別する。受信する放送波が高度地上デジタル放送サービスでない場合、このパラメータは『111111』に設定される。当該物理チャンネル番号識別のビットは、現行地上デジタル放送では定義されておらず、現行地上デジタル放送の受信装置では、放送局側で指定した放送波の物理チャンネル番号をTMCC信号やAC信号などから取得することができなかった。本発明の実施例に係る放送受信装置100では、受信したOFDM伝送波の物理チャンネル番号識別のビットを用いて、TMCC信号やAC信号以外のキャリアを復調しなくとも、当該OFDM伝送波に対して放送局側が設定した物理チャンネル番号を把握することができる。なお、13ch~52chの物理チャンネルは、1ch当たり6MHzの帯域幅で、470~710MHzの周波数帯域に予め割り当てられているものである。よって、放送受信装置100で物理チャンネル番号識別のビットに基づいてOFDM伝送波の物理チャンネル番号を把握できるということは、当該OFDM伝送波が地上デジタル放送波として空中で伝送されていた周波数帯を把握できることを意味するものである。
本実施例に係る偏波両用地上デジタル放送においては、放送局側のOFDM伝送波の生成処理においては元々1つの物理チャンネルを構成する帯域幅における複数の偏波のペアのそれぞれに当該物理チャンネル番号識別ビットを配置し、同一の物理番号を付与しておけば良い。ここで、放送受信装置100の設置環境によっては、図2Aの変換部201Tにおいて複数の偏波のうち一方の偏波の周波数のみを変換する場合がある。これにより、放送受信装置100で受信する際の当該複数の偏波のペアのそれぞれの周波数が互いに異なってしまった場合、周波数が異なってしまった当該複数の偏波を元々ペアであったことを何らかの方法で把握できなければ放送受信装置側で、偏波両用地上デジタル放送の両方の偏波を用いた高度な地上デジタル放送の復調ができなくなってしまう。このような場合でも、上述の物理チャンネル番号識別ビットを用いれば、放送受信装置100において物理チャンネル番号識別ビットが同一の値を示す伝送波が複数の異なる周波数に存在した場合、放送局側で元々1つの物理チャンネルを構成していた偏波ペアとして伝送されていた伝送波であると識別することができる。これにより、当該同一の値を示す複数の伝送波を用いて、偏波両用地上デジタル放送の高度な地上デジタル放送の復調を実現することが可能となる。
図5Hに、主信号識別のビット割り当ての一例を示す。本例は当該主信号識別のビットをビットB117に配置する例である。
伝送されるOFDM伝送波が偏波両用地上デジタル放送の伝送波である場合、主たる偏波で伝送される伝送波のTMCC情報ではこのパラメータが『1』に設定する。副たる偏波で伝送される伝送波のTMCC情報では『0』に設定する。なお、主たる偏波で伝送される伝送波とは、垂直偏波信号と水平偏波信号のうちの、現行の地上デジタル放送サービスの伝送に使用されている偏波方向と同一の偏波方向の偏波信号を指す。即ち、現行の地上デジタル放送サービスで水平偏波での伝送が採用されている地域では、偏波両用地上デジタル放送サービスにおいては、水平偏波が主たる偏波であり、垂直偏波が副たる偏波となる。また、現行の地上デジタル放送サービスで垂直偏波での伝送が採用されている地域では、偏波両用地上デジタル放送サービスにおいては垂直偏波が主たる偏波であり、水平偏波が副たる偏波となる。
本発明の実施例の偏波両用地上デジタル放送の伝送波を受信した放送受信装置100においては、当該主信号識別のビットを用いることにより、受信している伝送波が伝送時に主たる偏波で伝送されていたのか、副たる偏波で伝送されていたのかを識別することができる。例えば、当該主たる偏波および副たる偏波の識別処理を用いれば、後述する初期スキャンの際に、主たる偏波で伝送された伝送波を先に初期スキャンを行い、主たる偏波で伝送された伝送波の初期スキャンの終了後に、副たる偏波で伝送された伝送波の初期スキャンを行うなどの処理が可能となる。
本実施例に係る偏波両用地上デジタル放送の階層とセグメントと送信するデジタル放送サービスの構成例の詳細は後述するが、主たる偏波のみに含まれるセグメントから構成される階層を用いて現行の地上デジタル放送サービスを伝送し、主たる偏波と副たる偏波の両者に含まれるセグメントを含む階層で高度な地上デジタルサービスを伝送する場合は、先に主たる偏波で伝送された伝送波の初期スキャンを行ってしまい、現行の地上デジタル放送サービスの初期スキャンを完了し、その後、副たる偏波で伝送された伝送波の初期スキャンを行って高度な地上デジタル放送サービスの初期スキャンを行うようにしても良い。このようにすれば、高度な地上デジタル放送サービスの初期スキャンを現行の地上デジタル放送サービスの初期スキャンの完了後に行うことができ、現行の地上デジタル放送サービスの初期スキャンによる設定を、高度な地上デジタル放送サービスの初期スキャンによる設定に反映することができ、好適である。
なお、主信号識別のビットの『1』と『0』の意味の定義は上述の説明の逆でも構わない。
また、当該主信号識別のビットに替えて、偏波方向識別ビットをTMCC情報の一パラメータとしても良い。具体的には、水平偏波で伝送する伝送波には放送局側で偏波方向識別ビットを『1』とし、垂直偏波で伝送する伝送波には放送局側で偏波方向識別ビットを『0』とすれば良い。本発明の実施例の偏波両用地上デジタル放送の伝送波を受信した放送受信装置100においては、当該偏波方向識別ビットを用いることにより、受信している伝送波が伝送時にいずれの偏波方向で伝送されていたのかを識別することができる。例えば、当該偏波方向の識別処理を用いれば、後述する初期スキャンの際に、水平偏波で伝送された伝送波を先に初期スキャンを行い、水平偏波で伝送された伝送波の初期スキャンの終了後に、垂直偏波で伝送された伝送波の初期スキャンを行うなどの処理が可能となる。当該処理の効果の説明は、上述の主信号識別のビットの説明における初期スキャンに関する部分の『主たる偏波』を『水平偏波』と読み替え、『副たる偏波』を『垂直偏波』と読み替えれば良いため、再度の説明は省略する。
なお、偏波方向識別ビットの『1』と『0』の意味の定義は上述の説明の逆でも構わない。
また、上述の主信号識別のビットに替えて、第1信号第2信号識別ビットをTMCC情報の一パラメータとしても良い。具体的には、水平偏波と垂直偏波のうち一方の偏波を第1の偏波と定義し、第1の偏波で伝送する伝送波の放送信号を第1信号と定義し、放送局側で第1信号第2信号識別ビットを『1』とすれば良い。また、他方の偏波を第2の偏波と定義し、第2の偏波で伝送する伝送波の放送信号を第2信号と定義し、放送局側で第1信号第2信号識別ビットを『0』とすれば良い。本発明の実施例の偏波両用地上デジタル放送の伝送波を受信した放送受信装置100においては、当該第1信号第2信号識別ビットを用いることにより、受信している伝送波が伝送時にいずれの偏波方向で伝送されていたのかを識別することができる。なお、当該第1信号第2信号識別ビットは、上述の主信号識別のビットの定義から『主たる偏波』および『副たる偏波』という概念を『第1の偏波』および『第2の偏波』に替えたのみであり、放送受信装置100における処理および効果は、上述の主信号識別のビットの説明における放送受信装置100の処理に関する部分の『主たる偏波』を『第1の偏波』と読み替え、『副たる偏波』を『第2の偏波』と読み替えれば良いため、再度の説明は省略する。
なお、第1信号第2信号識別ビットの『1』と『0』の意味の定義は上述の説明の逆でも構わない。
次に、本実施例に係る階層分割多重地上デジタル放送の伝送波では、上述の主信号識別のビットに替えて、上下階層識別ビットをTMCC情報の一パラメータとしても良い。具体的には、上側階層で伝送される変調波のTMCC情報では上述の上下階層識別ビットを『1』に設定し、下側階層で伝送される伝送波のTMCC情報では上述の上下階層識別ビットを『0』に設定すれば良い。また、受信する放送波が高度地上デジタル放送サービスではない場合、このパラメータは『1』に設定すれば良い。
本実施例に係る階層分割多重地上デジタル放送においては、ここで、放送局側のOFDM伝送波の生成処理においては元々1つの物理チャンネルの上側階層と下側階層とで伝送していた複数の変調波のうち下側階層について、放送受信装置100の設置環境によっては、図2Aの変換部201Lで周波数変換と信号増幅が行われる場合もある。放送受信装置100では、階層分割多重地上デジタル放送の伝送波を受信している場合、上述の上下階層識別ビットに基づいて、元々上側階層で伝送されていた変調波であったのか、下側階層で伝送されていた変調波であったのかを識別することが可能である。例えば、当該識別処理により、下側階層で伝送される高度な地上デジタル放送サービスの初期スキャンを上側階層で伝送される現行の地上デジタル放送サービスの初期スキャンの完了後に行うことができ、現行の地上デジタル放送サービスの初期スキャンによる設定を、高度な地上デジタル放送サービスの初期スキャンによる設定に反映することが可能となる。また、放送受信装置100の第三チューナ/復調部130Lにおいて、当該識別結果に基づいて復調部133Sと復調部133Lの処理の切り替えに用いることもできる。
なお、以下の各実施例における偏波両用伝送方式の説明においては、特に断りのない場合、一例として水平偏波が主たる偏波であり垂直偏波が副たる偏波である例について説明する。しかしながら、水平偏波と垂直偏波について、主と副の関係が逆であっても良い。
図5Iに、4K信号伝送階層識別のビット割り当ての一例を示す。
伝送する放送波が本実施例に係る偏波両用地上デジタル放送サービスの伝送波の場合、当該4K信号伝送階層識別のビットは、B階層およびC階層のそれぞれについて、水平偏波信号と垂直偏波信号の両方を使用して4K放送番組の伝送を行うか否かを示すものとすれば良い。B階層の設定およびC階層の設定にそれぞれ1ビットを割り当てる。例えば、B階層およびC階層おいて、それぞれの階層についての4K信号伝送階層識別のビットが『0』の場合、当該階層において水平偏波信号と垂直偏波信号の両方を使用して4K放送番組の伝送を行うことを示すようにすれば良い。B階層およびC階層において、それぞれの階層についての4K信号伝送階層識別のビットが『1』の場合、当該階層において水平偏波信号と垂直偏波信号の両方を使用する4K放送番組の伝送を行わないことを示すようにすれば良い。このようにすれば、放送受信装置100において、4K信号伝送階層識別のビットを用いて、B階層およびC階層において、それぞれの階層で水平偏波信号と垂直偏波信号の両方を使用して4K放送番組の伝送を行うか否かを識別することができる。
また、伝送する放送波が、本実施例の階層分割多重地上デジタル放送サービスの放送波である場合、当該4K信号伝送階層識別のビットは、下側階層で4K放送番組の伝送を行うか否かを示すものとすれば良い。このパラメータのB119が『0』の場合、下側階層で4K放送番組の伝送を行う。このパラメータのB119が『1』の場合、下側階層で4K放送番組の伝送を行わない。このようにすれば、放送受信装置100において、4K信号伝送階層識別のビットを用いて、下側階層で4K放送番組の伝送を行うか否かを識別することができる。
なお、このパラメータが『0』の場合、キャリア変調マッピング方式として、図5Cに示した基本的な変調方式の他、NUC(Non-Uniform Constellation)の変調方式を採用することが可能である。この場合、B階層/C階層に関する伝送パラメータ付加情報のカレント/ネクスト情報を、AC1等を用いて伝送することが可能である。
また、伝送する放送波が高度地上デジタル放送サービスでない場合、このパラメータはそれぞれ『1』に設定しても良い。
なお、以上説明した4K信号伝送階層識別のビットの『0』と『1』の定義を上述の説明と逆にしても構わない。
図5Jに、追加階層伝送識別のビット割り当ての一例を示す。当該追加階層伝送識別のビットは、伝送する放送波が本実施例の偏波両用地上デジタル放送サービスであって、副たる偏波で伝送される伝送波のB階層およびC階層のそれぞれについて、仮想D階層または仮想E階層として使用するか否かを示すものとすれば良い。
例えば、図の例では、B120に配置するビットは、D階層伝送識別ビットであり、このパラメータが『0』の場合、副たる偏波で伝送されるB階層を仮想D階層として使用する。これは、正確に表現すれば、副たる偏波で伝送されるセグメントのうち、主たる偏波で伝送されるB階層に属するセグメントと同じセグメント番号を有するセグメント群を、主たる偏波で伝送されるB階層とは異なる階層であるD階層として扱うということである。このパラメータが『1』の場合、副たる偏波で伝送されるB階層を仮想D階層として使用せず、B階層として使用する。
また、例えば、B121に配置するビットは、E階層伝送識別ビットであり、このパラメータが『0』の場合、副たる偏波で伝送されるC階層を仮想E階層として使用する。これは、正確に表現すれば、副たる偏波で伝送されるセグメントのうち、主たる偏波で伝送されるC階層に属するセグメントと同じセグメント番号を有するセグメント群を、主たる偏波で伝送されるC階層とは異なる階層であるE階層として扱うということである。このパラメータが『1』の場合、副たる偏波で伝送されるC階層を仮想E階層として使用せず、C階層として使用する。
このようにすれば、放送受信装置100において、追加階層伝送識別のビット(D階層伝送識別ビットおよび/またはE階層伝送識別ビット)を用いて、副たる偏波で伝送されるD階層、E階層の有無識別することができる。即ち、本実施例に係る地上デジタル放送では、図5Jに示す追加階層伝送識別のパラメータを用いることにより、現行の地上デジタル放送ではA階層、B階層、C階層の3つに制限されていた階層数を越えて新たな階層(図5Jの例ではD階層とE階層)を運用することができる。
なお、このパラメータが『0』の場合、図5Cに示したキャリア変調マッピング方式や符号化率や時間インターリーブの長さ等のパラメータを、仮想D階層/仮想E階層とB階層/C階層とで異ならせることが可能である。この場合、仮想D階層/仮想E階層に関するキャリア変調マッピング方式や畳込み符号化率や時間インターリーブの長さ等のパラメータのカレント/ネクスト情報はAC情報(例えばAC1)等を用いて伝送すれば、放送受信装置100側で、仮想D階層/仮想E階層に関するキャリア変調マッピング方式や畳込み符号化率や時間インターリーブの長さ等のパラメータを把握することができる。
なお、変形例としては、追加階層伝送識別のビット(D階層伝送識別ビットおよび/またはE階層伝送識別ビット)が『0』の場合、副たる偏波で伝送されるTMCC情報のカレント情報/ネクスト情報のB階層および/またはC階層の伝送パラメータを、仮想D階層および/または仮想E階層の伝送パラメータの意味に切り替えるように構成しても良い。この場合、仮想D階層および/または仮想E階層が使用される場合、主たる偏波では、A階層、B階層、C階層が使用され、これらの階層の伝送パラメータは主たる偏波で伝送されるTMCC情報のカレント情報/ネクスト情報で伝送すれば良い。また、副たる偏波では、A階層、D階層、E階層が使用され、これらの階層の伝送パラメータは副たる偏波で伝送されるTMCC情報のカレント情報/ネクスト情報で伝送すれば良い。この場合でも、放送受信装置100側で、仮想D階層/仮想E階層に関するキャリア変調マッピング方式や畳込み符号化率や時間インターリーブの長さ等のパラメータを把握することができる。
また、伝送する放送波が高度地上デジタル放送サービスでない場合、或いは、高度地上デジタル放送サービスであっても階層分割多重伝送方式である場合、このパラメータはそれぞれ『1』に設定するように構成しても良い。
なお、追加階層伝送識別のパラメータは、主たる偏波のTMCC情報と副たる偏波のTMCC情報の両者に格納しても良いが、少なくとも副たる偏波のTMCC情報に格納されていれば、上述の処理はいずれも実現可能である。
また、以上説明した追加階層伝送識別のビットの『0』と『1』の定義を上述の説明と逆にしても構わない。
なお、上述の4K信号伝送階層識別のパラメータがB階層で4K放送番組の伝送を行うことを示している場合、上記D階層伝送識別ビットがB階層を仮想D階層として使用することを示していても、放送受信装置100は当該D階層伝送識別ビットを無視するようにしても良い。同様に、4K信号伝送階層識別のパラメータがC階層で4K放送番組の伝送を行うことを示している場合、E階層伝送識別ビットがC階層を仮想E階層として使用することを示していても、放送受信装置100は当該E階層伝送識別ビットを無視するように構成しても良い。判断処理に用いるビットの優先順位をこのように明確にしておけば、放送受信装置100における判断処理のコンフリクトを防止することができる。
また、伝送する放送波において、上述の周波数変換処理識別のビットや物理チャンネル番号識別のビットや主信号識別のビットや4K信号伝送識別のビットや追加階層伝送識別のビット等は、上述のシステム識別のパラメータが『10』でない場合にはすべてのビットが『1』に設定されることを原則とすれば良い。システム識別のパラメータが『10』でないが、何らかの問題で例外的に、周波数変換処理識別のビットや物理チャンネル番号識別のビットや主信号識別のビットや4K信号伝送識別のビットや追加階層伝送識別のビットが『1』でない場合であっても、放送受信装置100は、当該『1』でないビットを無視して、これらのすべてのビットが『1』であると判断するように構成しても良い。
図5Kに、図5Cに示される「符号化率」ビット、即ち誤り訂正の符号化率識別のビット割り当ての一例を示す。
ここで、現行の2K放送の地上デジタル放送方式においては、「畳込み符号」専用の符号化率を伝送する識別ビットが伝送される。しかしながら、本実施例に係るデジタル放送では、4K放送の高度地上デジタル放送サービスを2K放送の地上デジタル放送サービスと混在して放送することができる。そして既に説明したとおり、当該4K放送の高度地上デジタル放送サービスでは、内符号としてLDPC符号を用いることができる。
そこで、図5Kに示す本実施例に係る誤り訂正の符号化率識別のビットは、現行の2K放送の地上デジタル放送方式とは異なり、畳込み符号専用の符号化率識別ビットではなく、LDPC符号にも対応するように構成している。
ここで、対象となる地上デジタル放送サービスの内符号が畳込み符号である場合でもLDPC符号である場合でも、共通の範囲に配置されるビットを、符号化率伝送の識別ビットとすることで、ビット数の節約を実現する。さらに、同一の識別ビットであっても、対象となる地上デジタル放送サービスの内符号が畳込み符号である場合と、LDPC符号である場合とでそれぞれ符号化率の設定を独立して設定することにより、デジタル放送システムとして、それぞれの符号化方式に好適な符号化率の選択肢群を採用することができる。
具体的には、図5Kの例では、識別ビットが『000』の場合、内符号が畳込み符号であれば符号化率が1/2、内符号がLDPC符号であれば符号化率が2/3であることを示す。識別ビットが『001』の場合、畳込み符号であれば符号化率が2/3、内符号がLDPC符号であれば符号化率が3/4であることを示す。識別ビットが『010』の場合、内符号が畳込み符号であれば符号化率が3/4、内符号がLDPC符号であれば符号化率が5/6であることを示す。識別ビットが『011』の場合、内符号が畳込み符号であれば符号化率が5/6、内符号がLDPC符号であれば符号化率が2/16であることを示す。識別ビットが『100』の場合、内符号が畳込み符号であれば符号化率が7/8、内符号がLDPC符号であれば符号化率が6/16であることを示す。識別ビットが『101』の場合、内符号が畳込み符号であれば未定義、内符号がLDPC符号であれば符号化率が10/16であることを示す。識別ビットが『110』の場合、内符号が畳込み符号であれば未定義、内符号がLDPC符号であれば符号化率が14/16であることを示す。未使用の階層またはネクスト情報が存在しない場合には、このパラメータには『111』が設定される。
なお、対象となる地上デジタル放送サービスの内符号が畳込み符号であるかLDPC符号であるかの識別は、当該地上デジタル放送サービスが現行の地上デジタル放送サービスであるか高度地上デジタル放送サービスであるかを識別した結果を用いて識別しても良い。当該識別は、図5Dまたは図5Iで説明した識別ビットを用いて行えば良い。ここで、対象となる地上デジタル放送サービスが現行の地上デジタル放送サービスである場合に内符号が畳込み符号であると識別すれば良い。また、対象となる地上デジタル放送サービスが高度地上デジタル放送サービスである場合に内符号がLDPC符号であると識別すれば良い。
また、対象となる地上デジタル放送サービスの内符号が畳込み符号であるかLDPC符号であるかの識別の別の例としては、図6Iで後述する、誤り訂正方式の識別ビットに基づいて識別しても良い。
以上説明した図5Kに示す誤り訂正の符号化率識別のビットによれば、複数の内符号の方式に対応しながら識別ビットのビット数の増加を防止することができ、好適である。
また、偏波両用伝送方式の高度地上デジタル放送サービスにおいて、水平偏波で伝送される伝送波のTMCC情報と垂直偏波で伝送される伝送波のTMCC情報は、同一のものであっても良いし、異なるものであっても良い。同様に、階層分割多重伝送方式の高度地上デジタル放送サービスにおいて、上側階層で伝送される伝送波のTMCC情報と下側階層で伝送される伝送波のTMCC情報は、同一のものであっても良いし、異なるものであっても良い。また、前述の周波数変換処理識別のパラメータや主信号識別のパラメータや追加階層伝送識別等は、副たる偏波で伝送される伝送波や下側階層で伝送される伝送波のTMCC情報のみに記載されても良い。
なお、上述の説明では、周波数変換処理識別のパラメータ、主信号識別のパラメータ、偏波方向識別のパラメータ、第1信号第2信号識別のパラメータ、上下階層識別のパラメータ、4K信号伝送階層識別のパラメータ、追加階層伝送識別のパラメータがTMCC信号(TMCCキャリア)に含められて伝送される例を説明した。しかしながら、これらのパラメータはAC信号(ACキャリア)に含められて伝送されても良い。即ち、これらのパラメータは、データキャリアの変調方式より状態数の少ないマッピングを行う変調方式で変調されるキャリア(TMCCキャリア、ACキャリアなど)の信号で伝送されれば良い。
[AC信号]
AC信号は、放送に関する付加情報信号であり、変調波の伝送制御に関する付加情報または地震動警報情報などである。なお、地震動警報情報はセグメント0のACキャリアを用いて伝送される。一方、変調波の伝送制御に関する付加情報は任意のACキャリアを用いて伝送可能である。図6Aに、AC信号のビット割り当ての一例を示す。AC信号は204ビット(B0~B203)で構成される。B0はACシンボルのための復調基準信号であり、所定の振幅および位相基準を有する。B1~B3はAC信号の構成を識別するための信号である。B4~B203は変調波の伝送制御に関する付加情報の伝送または地震動警報情報の伝送に用いられる。
図6Bに、AC信号の構成識別のビット割り当ての一例を示す。AC信号のB4~B203を用いて地震動警報情報を伝送する場合、このパラメータは『001』または『110』に設定する。地震動警報情報の伝送する場合の構成識別のパラメータ(『001』または『110』)は、TMCC信号の同期信号の先頭3ビット(B1~B3)と同一の符号とし、TMCC信号と同一のタイミングでフレームごとに交互に送出する。また、このパラメータが前述以外の値の場合は、AC信号のB4~B203を用いて変調波の伝送制御に関する付加情報を伝送していることを示す。AC信号のB4~B203を用いて変調波の伝送制御に関する付加情報を伝送するようにしても良い。この場合、AC信号の構成識別のパラメータは、『000』と『111』を、或いは『010』と『101』を、或いは『011』と『100』を、フレームごとに交互に送出する。
AC信号のB4~B203は、変調波の伝送制御に関する付加情報の伝送または地震動警報情報の伝送に用いられる。
変調波の伝送制御に関する付加情報の伝送は、多様なビット構成により行われて良い。例えば、TMCC信号の説明において述べた、周波数変換処理識別や物理チャンネル番号識別や主信号識別や4K信号伝送階層識別や追加階層伝送識別等は、TMCC信号に変えてまたはTMCC信号に加えて、AC信号の変調波の伝送制御に関する付加情報にビットを割り当てて伝送するようにしても良い。このようにすれば、放送受信装置100において、これらのパラメータを用いて既にTMCC信号の説明において説明した各種識別処理を行うことができる。また、4K信号伝送階層識別のいずれかのパラメータが『0』の場合の4K放送番組の伝送階層に関する伝送パラメータ付加情報や、追加階層伝送識別のいずれかのパラメータが『0』の場合の仮想D階層/仮想E階層に関する伝送パラメータの、カレント/ネクスト情報を割り当てても良い。このようにすれば、放送受信装置100において、これらのパラメータを用いて各階層の伝送パラメータを取得することができ、各階層の復調処理を制御することができる。
地震動警報情報の伝送は、図6Cに示すビット割り当てにより行われて良い。地震動警報情報は、同期信号、開始/終了フラグ、更新フラグ、信号識別、地震動警報詳細情報、CRC、パリティビット、等で構成される。同期信号は、13ビットの符号で構成され、TMCC信号の同期信号の先頭3ビットを除く13ビット(B4~B16)と同一の符号とする。AC信号の構成識別が地震動警報情報を伝送することを示している場合、構成識別と同期信号を組み合わせた16ビットの符号は、TMCCの同期信号と同一の16ビットの同期ワードとなる。開始/終了フラグは、地震動警報情報の開始タイミング/終了タイミングのフラグとして、2ビットの符号で構成される。開始/終了フラグは、地震動警報情報の送出の開始時には『11』から『00』に変更され、地震動警報情報の送出の終了時には『00』から『11』に変更される。更新フラグは、2ビットの符号で構成され、開始/終了フラグが『00』の場合に伝送される一連の地震動警報詳細情報の内容に変更が生じるごとに、『00』を初期値として『1』ずつ増加される。『11』の次は『00』に戻るものとする。開始/終了フラグが『11』の場合は更新フラグも『11』となる。
図6Dに、信号識別のビット割り当ての一例を示す。信号識別は、3ビットの符号で構成され、地震動警報詳細情報の種別を識別するために使用される。このパラメータが『000』の場合、『地震動警報詳細情報(該当地域あり)』を意味する。このパラメータが『001』の場合、『地震動警報詳細情報(該当地域なし)』を意味する。このパラメータが『010』の場合、『地震動警報詳細情報の試験信号(該当地域あり)』を意味する。このパラメータが『011』の場合、『地震動警報詳細情報の試験信号(該当地域なし)』を意味する。このパラメータが『111』の場合、『地震動警報詳細情報なし』を意味する。なお、開始/終了フラグが『00』の場合には、信号識別は『000』または『001』または『010』または『011』となる。開始/終了フラグが『11』の場合には、信号識別は『111』となる。
地震動警報詳細情報は、88ビットの符号で構成される。信号識別が『000』や『001』や『010』や『011』の場合、地震動警報詳細情報は、地震動警報情報を送出する現在時刻に関する情報や地震動警報の対象となる地域を示す情報や地震動警報の対象となる地震の震源地の緯度/経度/震度、等の情報を伝送する。信号識別が『000』や『001』や『010』や『011』の場合の地震動警報詳細情報のビット割り当ての一例を、図6Eに示す。また、信号識別が『111』の場合、地震動警報詳細情報のビットを用いて、放送事業者を識別するための符号等を伝送することが可能である。信号識別が『111』の場合の地震動警報詳細情報のビット割り当ての一例を、図6Fに示す。
CRCは、地震動警報情報のうちのB21~B111について、所定の生成多項式を用いて生成される符号である。パリティビットは、地震動警報情報のうちのB17~B121について、差集合巡回符号(273,191)の短縮符号(187,105)により生成される符号である。
放送受信装置100では、図6C、図6D、図6E、図6Fで説明した地震動警報に関するパラメータを用いて、緊急事態に対処するための各種制御を行うことが可能である。例えば、地震動警報に関する情報を提示制御、優先度の低い表示内容を地震動警報に関する表示に切り替える制御、アプリケーションの表示を終了して地震動警報に関する表示や放送番組映像に切り替える制御などを行うことが可能である。
図6Gに、変調波の伝送制御に関する付加情報のビット割り当ての一例を示す。変調波の伝送制御に関する付加情報は、同期信号、カレント情報、ネクスト情報、パリティビット、等で構成される。同期信号は、13ビットの符号で構成され、TMCC信号の同期信号の先頭3ビットを除く13ビット(B4~B16)と同一の符号とする。AC信号の構成識別が変調波の伝送制御に関する付加情報を伝送することを示している場合、構成識別と同期信号を組み合わせた16ビットの符号は、TMCCの同期信号に準ずる16ビットの同期ワードとなる。カレント情報は、B階層またはC階層で4K放送番組を伝送する際の伝送パラメータ付加情報や、仮想D階層または仮想E階層に関する伝送パラメータの、現在の情報を示す。ネクスト情報は、B階層またはC階層で4K放送番組を伝送する際の伝送パラメータ付加情報や、仮想D階層または仮想E階層に関する伝送パラメータの、切り替え後の情報を示す。
図6Gの例において、カレント情報のB18~B30は、B階層伝送パラメータ付加情報の現在の情報であり、B階層で4K放送番組を伝送する際の伝送パラメータ付加情報の現在の情報を示すものである。また、カレント情報のB31~B43は、C階層伝送パラメータ付加情報の現在の情報であり、C階層で4K放送番組を伝送する際の伝送パラメータ付加情報の現在の情報を示すものである。また、ネクスト情報のB70~B82は、B階層伝送パラメータ付加情報の、伝送パラメータの切り替え後の情報であり、B階層で4K放送番組を伝送する際の伝送パラメータ付加情報の伝送パラメータの切り替え後の情報を示すものである。また、ネクスト情報のB83~B95は、C階層伝送パラメータ付加情報の伝送パラメータの切り替え後の情報であり、C階層で4K放送番組を伝送する際の伝送パラメータ付加情報の伝送パラメータの切り替え後の情報を示すものである。ここで、伝送パラメータ付加情報とは、図5Cに示すTMCC情報の伝送パラメータに追加して仕様を拡張する、変調に関する伝送パラメータである。伝送パラメータ付加情報の具体的な内容は後述する。
図6Gの例において、カレント情報のB44~B56は、仮想D階層を運用する場合の仮想D階層についての伝送パラメータの現在情報である。カレント情報のB57~B69は、仮想E階層を運用する場合の仮想E階層についての伝送パラメータの現在情報である。また、ネクスト情報のB96~B108は、仮想D階層を運用する場合の仮想D階層についての伝送パラメータの切り替え後の情報である。カレント情報のB109~B121は、仮想E階層を運用する場合の仮想E階層についての伝送パラメータの切り替え後の情報である。仮想D階層についての伝送パラメータと仮想E階層についての伝送パラメータに格納するパラメータは図5Cに示したものと同様で良い。
仮想D階層と仮想E階層は、現行の地上デジタル放送に存在しない階層である。図5BのTMCC情報は、現行の地上デジタル放送と互換性を維持する必要があるためビット数の増加を行うことは容易ではない。そこで、本発明の実施例では、当該仮想D階層と仮想E階層についての伝送パラメータを、TMCC情報ではなく、図6Gに示すようにAC情報に格納する。
これにより、TMCC情報を現行の地上デジタル放送と互換性を維持したままとしながら、新たな仮想D階層と仮想E階層についての変調に関する情報を受信装置に伝送することが可能となる。これにより、本実施例に係る偏波両用地上デジタル放送サービスの放送波であって、副たる偏波で伝送される伝送波のB階層/C階層を仮想D階層/仮想E階層として使用する場合に、副たる偏波で伝送される伝送波の仮想D階層/仮想E階層の伝送パラメータを主たる偏波で伝送される伝送波のB階層/C階層の伝送パラメータと異ならせて設定することが可能となる。
なお、仮想D階層または仮想E階層が使用されない場合には、使用されない階層についての伝送パラメータの情報は、放送受信装置100において無視して問題ない。例えば、仮想D階層または仮想E階層について、図5JのTMCC情報の追加階層伝送識別のパラメータが『1』を示す場合(仮想D階層/仮想E階層を使用しないことを示す場合)、放送受信装置100は、当該使用されない仮想D階層または仮想E階層についての図6Gに示す伝送パラメータにいかなる値が入っていても無視するように構成すれば良い。
次に、図6Gで説明した伝送パラメータ付加情報の詳細について説明する。
図6Hに伝送パラメータ付加情報の具体的な一例を示す。伝送パラメータ付加情報には、誤り訂正方式のパラメータ、コンスタレーション形式のパラメータ等を含めることができる。
誤り訂正方式は、B階層またはC階層で4K放送番組(高度な地上デジタル放送サービス)を伝送する際に、内符号および外符号の誤り訂正方式としてどのような符号化方式を使用するかの設定を示す。図6Iに、誤り訂正方式のビット割り当ての一例を示す。このパラメータが『000』の場合、B階層またはC階層で4K放送番組を伝送する際に、内符号として畳込み符号を使用し、外符号として短縮化RS符号を使用する。このパラメータが『001』の場合、B階層およびC階層で4K放送番組を伝送する際に、内符号としてLDPC符号を使用し、外符号としてBCH符号を使用する。さらにその他の組み合わせを設定して選択できるようにしても良い。
また、B階層およびC階層で4K放送番組を伝送する際、キャリア変調マッピング方式として均一コンスタレーションだけでなく不均一コンスタレーション(Non Uniform Constellation:NUC)を採用することが可能である。図6Jに、コンスタレーション形式のビット割り当ての一例を示す。このパラメータが『000』の場合、TMCC情報の伝送パラメータで選択されたキャリア変調マッピング方式を均一コンスタレーションで適用する。このパラメータが『001』~『111』のいずれかである場合、TMCC情報の伝送パラメータで選択されたキャリア変調マッピング方式を不均一コンスタレーションで適用する。なお、不均一コンスタレーションを適用する場合、誤り訂正方式の種別およびその符号化率等に応じて、不均一コンスタレーションの最適値が異なる。よって、コンスタレーション形式のパラメータが『001』~『111』のいずれかである場合に、本実施例の放送受信装置100は、復調処理で使用する不均一コンスタレーションを、キャリア変調マッピング方式のパラメータと誤り訂正方式のパラメータとその符号化率のパラメータに基づいて、決定すれば良い。当該決定は、放送受信装置100が予め記憶している所定のテーブルを参照することなどで行えば良い。
[高度地上デジタル放送サービスの伝送方式1]
現行の地上デジタル放送サービスの視聴環境を維持しつつ、4K(水平3840画素×垂直2160画素)放送を実現するため、本発明の実施例に係る高度地上デジタル放送サービスの伝送方式の一例として、偏波両用伝送方式について説明する。本発明の実施例に係る偏波両用伝送方式は、現行の地上デジタル放送方式と一部の仕様を共通とする方式である。例えば、1つの物理チャンネルに相当する約6MHz帯域内の13セグメントを分割して、7セグメントを2K(水平1920画素×垂直1080画素)放送番組の伝送用に、5セグメントを4K放送番組の伝送用に、1セグメントを移動体受信(所謂ワンセグ放送)用に、それぞれ割り当てる。さらに、4K放送用の5セグメントは、水平偏波信号だけでなく垂直偏波信号も用いて、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)技術により合計10セグメント分の伝送容量を確保する。なお、2K放送番組は最新のMPEG-2 Video圧縮技術の最適化等による画質維持を行い、現行のテレビ受信機でも受信可能とし、4K放送番組についてはMPEG-2 Videoよりも高効率なHEVC圧縮技術の最適化や変調多値化等による画質確保を行う。なお、各放送用に対するセグメントの割り当て数は前述と異なっても良い。
図7Aに、本発明の実施例に係る高度地上デジタル放送サービスにおける偏波両用伝送方式の一例を示す。地上デジタル放送サービスの放送波の伝送には470~710MHzの周波数帯域が用いられる。前記周波数帯域における物理チャンネル数は13~52chの40チャンネルであり、各物理チャンネルは6MHzの帯域幅を有する。本発明の実施例に係る偏波両用伝送方式では、1つの物理チャンネル内で水平偏波信号と垂直偏波信号の両方を使用する。
図7Aには、13セグメントの割り当て例について(1)と(2)の二つの例を示している。(1)の例では、水平偏波信号のセグメント1~7(B階層)を用いて2K放送番組の伝送を行う。水平偏波信号のセグメント8~12(C階層)と垂直偏波信号のセグメント8~12(C階層)の合計10セグメントを用いて4K放送番組の伝送を行う。垂直偏波信号のセグメント1~7(B階層)は、水平偏波信号のセグメント1~7(B階層)で伝送する2K放送番組と同一の放送番組の伝送に用いても良い。または、垂直偏波信号のセグメント1~7(B階層)において水平偏波信号のセグメント1~7(B階層)で伝送する2K放送番組と異なる放送番組の伝送に用いても良い。または、垂直偏波信号のセグメント1~7(B階層)において、その他のデータ伝送に使用しても良いし、未使用でも良い。垂直偏波信号のセグメント1~7(B階層)をどのように使用するかの識別情報は、既に説明したTMCC信号の4K信号伝送階層識別のパラメータや追加階層伝送識別のパラメータ等により受信装置側に伝送可能である。放送受信装置100では、これらパラメータにより、垂直偏波信号のセグメント1~7(B階層)の扱いを識別することができる。また、水平偏波信号のB階層を用いて伝送する2K放送番組と水平/垂直両偏波信号のC階層を用いて伝送する4K放送番組とは、同一の内容の放送番組を異なる解像度で伝送するサイマル放送であっても良いし、異なる内容の放送番組を伝送するものであっても良い。水平/垂直両偏波信号のセグメント0は、同一のワンセグ放送番組の伝送を行う。
図7Aの(2)の例は、(1)とは別の変形例である。(2)の例では、水平偏波信号のセグメント1~5(B階層)と垂直偏波信号のセグメント1~5(B階層)の合計10セグメントを用いて4K放送番組の伝送を行う。水平偏波信号のセグメント6~12(C階層)を用いて2K放送番組の伝送を行う。(2)の例でも、垂直偏波信号のセグメント6~12(C階層)は、水平偏波信号のセグメント6~12(C階層)で伝送する2K放送番組と同一の放送番組の伝送に用いても良い。垂直偏波信号のセグメント6~12(C階層)は、水平偏波信号のセグメント6~12(C階層)で伝送する2K放送番組と異なる放送番組の伝送に用いても良い。また、垂直偏波信号のセグメント6~12(C階層)は、その他のデータ伝送に使用しても良いし、未使用でも良い。これらの識別情報についても(1)の例と同様であるため再度の説明を省略する。
なお、図7Aの(1)(2)の例はいずれも、水平偏波が主たる偏波である場合の例を説明したが、運用によっては、水平偏波と垂直偏波を逆にしても構わない。
図7Bに、本発明の実施例に係る偏波両用伝送方式を用いた高度地上デジタル放送サービスの放送システムの構成の一例を示す。これは、偏波両用伝送方式を用いた高度地上デジタル放送サービスの送信側のシステムと受信側のシステムを共に示したものである。偏波両用伝送方式を用いた高度地上デジタル放送サービスの放送システムの構成は、基本的に図1に示した放送システムの構成と同様であるが、放送局の設備である電波塔300Tは水平偏波信号と垂直偏波信号とを同時に送出可能な偏波共用送信アンテナとなる。また、図7Bの例では、放送受信装置100は第二チューナ/復調部130Tの選局/検波部131Hと選局/検波部131Vのみを抜粋して記載し、他の動作部は記載を省略している。
電波塔300Tから送出された水平偏波信号は、偏波共用受信アンテナであるアンテナ200Tの水平偏波受信用エレメントで受信され、同軸ケーブル202T1を介して、コネクタ部100F1から選局/検波部131Hに入力される。一方、電波塔300Tから送出された垂直偏波信号は、アンテナ200Tの垂直偏波受信用エレメントで受信され、同軸ケーブル202T2を介して、コネクタ部100F2から選局/検波部131Vに入力される。アンテナ(同軸ケーブル)とテレビ受信機とを接続するコネクタ部にはF型コネクタが使用されることが一般的である。
ここで、ユーザが誤って、同軸ケーブル202T1をコネクタ部100F2に接続し、同軸ケーブル202T2をコネクタ部100F1に接続する可能性もある。この場合、選局/検波部131Hおよび選局/検波部131Vにおいて、入力された放送信号が水平偏波信号か垂直偏波信号かを識別できない等の不具合を生じる可能性がある。前述の不具合を防ぐためには、アンテナ(同軸ケーブル)とテレビ受信機とを接続するコネクタ部の一方、例えば、垂直偏波信号を伝送する同軸ケーブル202T2およびコネクタ部100F2のコネクタ部を、水平偏波信号を伝送する同軸ケーブル202T1とコネクタ部100F1のコネクタ部のF型コネクタとは異なる形状のコネクタ部にする等が考えられる。或いは、選局/検波部131Hおよび選局/検波部131Vが、それぞれ各入力信号のTMCC情報の主信号識別を参照することにより、入力された放送信号が水平偏波信号か垂直偏波信号かを識別して動作するように制御すれば良い。
図7Cに、本発明の実施例に係る偏波両用伝送方式を用いた高度地上デジタル放送サービスの放送システムの構成の前述とは異なる構成例の一例を示す。図7Bに示したような、放送受信装置100が二つの放送信号入力用コネクタ部を備え、アンテナ200Tと放送受信装置100との接続に二本の同軸ケーブルを用いる構成は、設備のコスト面およびケーブル配線時の取り扱い等で必ずしも好適ではない場合がある。そこで、図7Cに示した構成では、アンテナ200Tの水平偏波受信用エレメントで受信された水平偏波信号とアンテナ200Tの垂直偏波受信用エレメントで受信された垂直偏波信号とを変換部(コンバータ)201Tに入力し、変換部201Tと放送受信装置100との接続を一本の同軸ケーブル202T3で行うようにする。コネクタ部100F3から入力された放送信号は、分波されて選局/検波部131Hと選局/検波部131Vに入力される。コネクタ部100F3は、変換部201Tに対して動作用電力を供給する機能を有して良い。
変換部201Tは、放送受信装置100を設置する環境(例えば集合住宅など)の設備に属しても良い。または、アンテナ200Tと一体の装置として構成して住宅等に設置しても良い。変換部201Tは、アンテナ200Tの水平偏波受信用エレメントで受信された水平偏波信号とアンテナ200Tの垂直偏波受信用エレメントで受信された垂直偏波信号のいずれか一方に対して、周波数変換処理を行う。この処理により、同一周波数帯域の水平偏波と垂直偏波を使用して電波塔300Tからアンテナ200Tに伝送された水平偏波信号と垂直偏波信号を、互いに異なる周波数帯域に分離して、一本の同軸ケーブル202T3で同時に放送受信装置100に送信することが可能となる。なお、必要があれば、水平偏波信号と垂直偏波信号の両者に対して周波数変換処理を行っても良いが、この場合も周波数変換後の両者の周波数帯が互いに異なっている必要がある。また、放送受信装置100は1つの放送信号入力用コネクタ部100F3を備えれば良い。
図7Dに、周波数変換処理の一例を示す。この例では、垂直偏波信号に対して周波数変換処理を行っている。具体的には、470~710MHzの周波数帯域(UHFの13ch~52chに相当する帯域)で伝送された水平偏波信号と垂直偏波信号のうち、垂直偏波信号の周波数帯域を470~710MHzの周波数帯域から770~1010MHzの周波数帯域に変換する。この処理により、同一周波数帯域の水平偏波と垂直偏波を使用して伝送された信号を、相互に干渉等することなく、一本の同軸ケーブル202T3で同時に放送受信装置100に送信できるようになる。なお、水平偏波信号に対して周波数変換処理を行っても良い。
また、周波数変換処理は、TMCC情報の主信号識別を参照した結果に応じて、副たる偏波で伝送された信号に対して行うようにすることが好ましい。図5Hを用いて説明したとおり、主たる偏波で伝送された信号は、副たる偏波で伝送された信号よりも現行の地上デジタル放送サービスが含められて伝送される可能性が高い。よって、現行の地上デジタル放送サービスとの互換性をより好適に維持するために、主たる偏波で伝送された信号は周波数変換せずに、副たる偏波で伝送された信号を周波数変換するのが好適といえる。
また、副たる偏波で伝送された信号を周波数変換する場合には、変換後の信号において、主たる偏波で伝送された信号の周波数帯よりも副たる偏波で伝送された信号の周波数帯を高くすることが望ましい。これにより、放送受信装置100の初期スキャンにおいて、低周波数側から開始し高周波数側にスキャンを進めていけば、主たる偏波で伝送された信号を副たる偏波で伝送された信号よりも先に初期スキャンを行うことができる。これにより、現行の地上デジタル放送サービスの初期スキャンによる設定を、高度な地上デジタル放送サービスの初期スキャンによる設定に反映する処理などをより好適に行うことができる。
また、周波数変換処理は、高度地上デジタル放送サービスで使用するすべての物理チャンネルに対して行っても良いが、偏波両用伝送方式による信号伝送を用いている物理チャンネルに対してのみ行っても良い。
なお、周波数変換処理による変換後の周波数帯域は、710~1032MHzの間とすることが好ましい。即ち、地上デジタル放送サービスとBS/CSデジタル放送サービスとを同時に受信しようとする場合、アンテナ200Tで受信した地上デジタル放送サービスの放送信号とアンテナ200Bで受信したBS/CSデジタル放送サービスの放送信号とを混合して一本の同軸ケーブルで放送受信装置100に送信することが考えられる。この場合、BS/CS-IF信号が1032~2150MHz程度の周波数帯域を使用するため、前記周波数変換処理による変換後の周波数帯域を710~1032MHzの間となるようにしておけば、水平偏波信号と垂直偏波信号との干渉を避けつつ、地上デジタル放送サービスの放送信号とBS/CSデジタル放送サービスの放送信号との干渉も避けることが可能となる。また、ケーブルテレビ(Community Antenna TVまたはCable TV:CATV)局による再送信放送信号の受信等を考慮した場合、ケーブルテレビ局によるテレビ放送配信で770MHz以下の周波数帯域(UHFの62ch以下に相当する帯域)が使用されていることから、周波数変換処理による変換後の周波数帯域を、UHFの62chに相当する帯域を超える770~1032MHzの間とすれば、より好ましい。
また、周波数変換処理による変換前の周波数帯域と変換後の周波数帯域との間の領域(図中のa部)の帯域幅は、1つの物理チャンネルの帯域幅(6MHz)の整数倍となるように設定することが好ましい。このようにすると、放送受信装置100において、周波数変換処理による変換前の周波数帯域の放送信号と変換後の周波数帯域の放送信号とを一括して周波数スキャンする場合等に、周波数設定制御が容易になる等の利点がある。
なお、前述のように、本発明の実施例に係る偏波両用伝送方式では、4K放送番組の伝送に水平偏波信号と垂直偏波信号の両方を使用する。したがって、4K放送番組を正しく再生するためには、受信側で、水平偏波で伝送された放送信号と垂直偏波で伝送された放送信号の物理チャンネルの組み合わせを正しく把握する必要がある。周波数変換処理を行って、同一物理チャンネルについての、水平偏波で伝送された放送信号と垂直偏波で伝送された放送信号とが互いに異なる周波数帯の信号として受信装置に入力される場合でも、本実施例の放送受信装置100では、図5Fから図5Jに示されるTMCC情報のパラメータ(例えば、主信号識別および物理チャンネル番号識別)を適宜参照することにより、同一物理チャンネルの水平偏波で伝送された放送信号と垂直偏波で伝送された放送信号の組み合わせを正しく把握することが可能である。これにより、本実施例の放送受信装置100では、4K放送番組を好適に受信および復調して再生することが可能である。
なお、図7B、図7C、図7Dの例はいずれも、水平偏波が主たる偏波である場合の例を説明したが、運用によっては、水平偏波と垂直偏波を逆にしても構わない。
なお、以上説明した偏波両用伝送方式で伝送される地上デジタル放送の放送波は、上述のとおり、放送受信装置100の第二チューナ/復調部130Tで受信および再生が可能であるが、放送受信装置100の第一チューナ/復調部130Cでも受信可能である。当該地上デジタル放送の放送波を第一チューナ/復調部130Cで受信した場合、当該地上デジタル放送の放送波の放送信号のうち、高度地上デジタル放送サービスの階層で伝送された放送信号は無視されるが、現行の地上デジタル放送サービスの階層で伝送された放送信号については再生が行われる。
<高度地上デジタル放送サービスのパススルー伝送方式>
放送受信装置100は、パススルー伝送方式で伝送される信号を受信することが可能である。パススルー伝送方式は、ケーブルテレビ局等が受信した放送信号を、そのままの信号方式で、同一の周波数或いは周波数変換してCATVの配信システムに送出する方式である。
パススルー方式は、(1)地上波受信アンテナ出力の各地上デジタル放送信号の伝送信号帯域抽出やレベル調整を行い、伝送信号周波数と同一周波数でCATV施設に伝送する方式と、(2)地上波受信アンテナ出力の各地上デジタル放送信号の伝送信号帯域抽出やレベル調整を行い、CATV施設管理者の設定したVHF帯域やMID帯域やSHB帯域やUHF帯域の周波数でCATV施設に伝送する方式と、がある。前記第一の方式の信号処理を行うための受信増幅器を構成する機器或いは前記第二の方式の信号処理を行うための受信増幅器および周波数変換器を構成する機器がOFDMシグナルプロセッサ(OFDM Signal Processor:OFDM-SP)である。
図7Eに、偏波両用伝送方式の高度地上デジタル放送サービスにパススルー伝送方式の前記第一の方式を適用した場合のシステム構成の一例を示す。図7Eには、ケーブルテレビ局のヘッドエンド設備400Cと放送受信装置100が示されている。また、図7Fに、その際の周波数変換処理の一例を示す。図7Fにおける(H・V)との表記は、水平偏波で伝送された放送信号と垂直偏波で伝送された放送信号の両者が同じ周波数帯に存在する放送信号の状態を示し、(H)との表記は水平偏波で伝送された放送信号を示し、(V)との表記は垂直偏波で伝送された放送信号を示すものである。以降の図7H、図7Iにおける表記も同様の意味である。
本発明の実施例の偏波両用伝送方式の高度地上デジタル放送サービスに対して、前記第一の方式のパススルー伝送を適用する場合、水平偏波で伝送された放送信号に対しては、ケーブルテレビ局のヘッドエンド設備400Cにおいて信号帯域抽出やレベル調整を行い、伝送信号周波数と同一周波数での送出を行う。一方、垂直偏波で伝送された放送信号に対しては、ケーブルテレビ局のヘッドエンド設備400Cにおいて信号帯域抽出やレベル調整を行い、図7Dの説明と同様の周波数変換処理(垂直偏波で伝送された放送信号をUHFの13ch~62chに相当する帯域である470~770MHzの周波数帯域よりも高い周波数帯に変換する処理)を行った後に送出を行う。この処理により、水平偏波で伝送された放送信号と垂直偏波で伝送された放送信号との周波数帯域が重複しなくなるので、一本の同軸ケーブル(または光ファイバケーブル)での信号伝送が可能となる。伝送された信号は、本実施例の放送受信装置100で受信可能である。本実施例の放送受信装置100において当該信号に含まれる水平偏波で伝送された放送信号と垂直偏波で伝送された放送信号とを受信、復調する処理は、図7Dの説明と同様であるため、再度の説明を省略する。
図7Gに、偏波両用伝送方式の高度地上デジタル放送サービスにパススルー伝送方式の前記第二の方式を適用した場合のシステム構成の一例を示す。図7Gには、ケーブルテレビ局のヘッドエンド設備400Cと放送受信装置100が示されている。また、図7Hに、その際の周波数変換処理の一例を示す。
本発明の実施例の偏波両用伝送方式の高度地上デジタル放送サービスに対して、前記第二の方式のパススルー伝送を適用する場合、水平偏波で伝送された放送信号に対しては、ケーブルテレビ局のヘッドエンド設備400Cにおいて信号帯域抽出やレベル調整を行い、CATV施設管理者の設定した周波数への周波数変換処理を行った後に送出を行う。一方、垂直偏波で伝送された放送信号に対しては、ケーブルテレビ局のヘッドエンド設備400Cにおいて信号帯域抽出やレベル調整を行い、図7Dの説明と同様の周波数変換処理(垂直偏波で伝送された放送信号をUHFの13ch~62chの帯域である470~770MHzの周波数帯域よりも高い周波数帯に変換する処理)を行った後に送出を行う。図7Hに示す周波数変換処理は、図7Fと異なり、水平偏波で伝送された放送信号が、UHFの13ch~62chの帯域である470~770MHzの周波数帯域にとどまらず、より低い周波数帯域にまで範囲を広げて90~770MHzの範囲で再配置するように周波数変換を行うものである。この処理により、水平偏波で伝送された放送信号と垂直偏波で伝送された放送信号との周波数帯域が重複しなくなるので、一本の同軸ケーブル(または光ファイバケーブル)での信号伝送が可能となる。伝送された信号は、本実施例の放送受信装置100で受信可能である。本実施例の放送受信装置100において当該信号に含まれる水平偏波で伝送された放送信号と垂直偏波で伝送された放送信号とを受信、復調する処理は、図7Dの説明と同様であるため、再度の説明を省略する。
また、図7Gにおけるケーブルテレビ局のヘッドエンド設備400Cの周波数変換処理の別の変形例として、周波数変換後のパススルー出力時の放送信号を図7Hから図7Iに示す状態に変更しても良い。この場合、水平偏波で伝送された放送信号と垂直偏波で伝送された放送信号の双方に対して、信号帯域抽出やレベル調整を行い、CATV施設管理者の設定した周波数への周波数変換処理を行った後に送出を行うようにしても良い。図7Iの例では、水平偏波で伝送された放送信号と垂直偏波で伝送された放送信号の双方をともに、90~770MHzの範囲(VHF1chからUHF62chまでの範囲)で再配置するように周波数変換を行うものであり、UHF62chを超えた範囲の周波数帯を使用しないので、放送信号の周波数帯利用効率が図7Hよりも高くなる。
また、アンテナ受信時のUHFの13ch~52chの帯域である470~710MHzの周波数帯域よりも放送信号を再配置する帯域が広くなるため、図7Iの例に示すように、水平偏波で伝送された放送信号と垂直偏波で伝送された放送信号を交互に再配置することも可能である。このとき、図7Iの例に示すように、アンテナ受信時に同一の物理チャンネルであった水平偏波で伝送された放送信号と垂直偏波で伝送された放送信号のペアを、アンテナ受信時の物理チャンネル順に、交互に再配置すれば、本実施例の放送受信装置100が低周波数側から初期スキャンを行う場合に、元々同一の物理チャンネルあった水平偏波で伝送された放送信号と垂直偏波で伝送された放送信号のペアを元々同一の物理チャンネル単位で順に初期設定を進めていくことができ、初期スキャンを効率良く行うことができる。
なお、図7E、図7F、図7G、図7Hおよび図7Iの例はいずれも、水平偏波が主たる偏波である場合の例を説明したが、運用によっては、水平偏波と垂直偏波を逆にしても構わない。
なお、以上説明したパススルー伝送方式がなされた偏波両用伝送方式の地上デジタル放送の放送波についても、上述のとおり、放送受信装置100の第二チューナ/復調部130Tで受信および再生が可能であるが、放送受信装置100の第一チューナ/復調部130Cでも受信可能である。当該地上デジタル放送の放送波を第一チューナ/復調部130Cで受信した場合、当該地上デジタル放送の放送波の放送信号のうち、高度地上デジタル放送サービスの階層で伝送された放送信号は無視されるが、現行の地上デジタル放送サービスの階層で伝送された放送信号については再生が行われる。
[高度地上デジタル放送サービスの伝送方式2]
現行の地上デジタル放送サービスの視聴環境を維持しつつ、4K放送を実現するため、本発明の実施例に係る高度地上デジタル放送サービスの伝送方式の前述とは異なる一例として、階層分割多重伝送方式について説明する。本発明の実施例に係る階層分割多重伝送方式は、現行の地上デジタル放送方式と一部の仕様を共通とする方式である。例えば、現行の2K放送サービスの放送波と同一チャンネルに信号レベルが低レベルの4K放送サービスの放送波を多重して伝送する。なお、2K放送は所要C/N以下に4K放送の受信レベルを抑制して、従来どおりの受信を行う。4K放送については変調多値化等による伝送容量の拡大等を行いつつ、LDM(階層分割多重)技術に対応した受信技術を用いて、2K放送波をキャンセルし、残った4K放送波で受信を行う。
図8Aに、本発明の実施例に係る高度地上デジタル放送サービスにおける階層分割多重伝送方式の一例を示す。上側階層を現行の2K放送の変調波で構成し、下側階層を4K放送の変調波で構成し、前記上側階層と下側階層とを多重し、同一周波数帯で合成波として出力する。例えば、上側階層では変調方式として64QAM等を用い、下側階層では変調方式として256QAM等を用いる構成にすれば良い。なお、上側階層を用いて伝送する2K放送番組と下側階層を用いて伝送する4K放送番組とは、同一の内容の放送番組を異なる解像度で伝送するサイマル放送であっても良いし、異なる内容の放送番組を伝送するものであっても良い。ここで、上側階層は高電力で送信され、下側階層は低電力で送信される。なお、上側階層の変調波レベルと下側階層の変調波レベルの差(電力の差)をインジェクションレベル(IL:Injection Level)と呼び、これは、放送局側で設定する値である。インジェクションレベルは、変調波レベルの差(電力の差)を対数表現の相対比(dB)で示すのが一般的である。
図8Bに、本発明の実施例に係る階層分割多重伝送方式を用いた高度地上デジタル放送サービスの放送システムの構成の一例を示す。階層分割多重伝送方式を用いた高度地上デジタル放送サービスの放送システムの構成は、基本的に図1に示した放送システムの構成と同様であるが、放送局の設備である電波塔300Lは、上側階層の2K放送と下側階層の4K放送とを多重した放送信号を送出する送信アンテナである。また、図8Bの例では、放送受信装置100は第三チューナ/復調部130Lの選局/検波部131Lのみを抜粋して記載し、他の動作部は記載を省略している。
アンテナ200Lで受信された放送信号は、変換部(コンバータ)201Lおよび同軸ケーブル202Lを介して、コネクタ部100F4から選局/検波部131Lに入力される。ここで、前記構成にて、アンテナ200Lから放送受信装置100に放送信号が送信される際、図8Cに示すように、変換部201Lにおいて、周波数変換増幅処理を放送信号に対して施すようにしても良い。即ち、マンション等の屋上にアンテナ200Lを設置し、ケーブル長の長い同軸ケーブル202Lにより各部屋の放送受信装置100まで放送信号の送信を行う場合、放送信号が減衰してしまい、選局/検波部131Lにおいて特に下側階層の4K放送波が正しく受信できないという不具合を生じる可能性が考えられる。
そこで、前述の不具合を防ぐため、変換部201Lでは、下側階層の4K放送信号に対して周波数変換増幅処理を行う。周波数変換増幅処理は、下側階層の4K放送信号の周波数帯域を470~710MHzの周波数帯域(UHFの13ch~52chに相当する帯域)から、例えば、UHFの62chに相当する帯域を超える770~1010MHzの周波数帯域に変換する。さらに、下側階層の4K放送信号をケーブルでの減衰の影響が問題とならない程度の信号レベルに増幅する処理を行う。このような処理を行うことにより、2K放送信号と4K放送信号との干渉を避けつつ、同軸ケーブル送信中の放送信号の減衰の影響も避けることが可能となる。なお、同軸ケーブル202Lのケーブル長が短い場合等、減衰の影響が問題とならない場合には、変換部201Lおよび周波数変換増幅処理は不要としても良い。
また、周波数変換増幅処理による変換後の周波数帯域は、UHFの52chに相当する帯域を超える710~1032MHzの間またはUHFの62chに相当する帯域を超える770~1032MHzの間(ケーブルテレビ局による再送信等の場合)とすることが好ましいこと、周波数変換増幅処理による変換前の周波数帯域と変換後の周波数帯域との間の領域の帯域幅は、1つの物理チャンネルの帯域幅(6MHz)の整数倍となるように設定することが好ましいこと、周波数変換増幅処理は、階層分割多重伝送方式による信号伝送を用いている物理チャンネルに対してのみ行っても良いこと、等は、いずれも既に説明した周波数変換に係る本実施例の説明と同様であるため、再度の説明は省略する。
なお、本実施例の放送受信装置100は、受信した放送信号が下側階層で伝送された放送信号であるのか上側階層で伝送された放送信号であるのかを、図5Hで説明したTMCC情報の上下階層識別ビットを用いて識別することが可能である。また、本実施例の放送受信装置100は、受信した放送信号が、アンテナ受信後に周波数変換がなされた放送信号であるか否かを、図5Fで説明したTMCC情報の周波数変換処理識別ビットを用いて識別することが可能である。また、本実施例の放送受信装置100は、受信した放送信号が、下側階層で4K番組を伝送しているか否かを、図5Iで説明したTMCC情報の4K信号伝送階層識別ビットを用いて識別することが可能である。これらの識別処理は、データキャリアを復調してストリーム内に含まれる制御情報を参照して行うことも不可能ではないが、データキャリアの復調が必要であり処理が複雑になる。上述のTMCC情報のパラメータを参照して識別する方が、処理がより簡便で高速になるため、例えば、放送受信装置100の初期スキャンをより高速化することが可能である。
なお、本発明の実施例に係る放送受信装置100の第三チューナ/復調部130Lの選局/検波部131Lは、既に説明したとおり、LDM(階層分割多重)技術に対応した受信機能を有しているので、アンテナ200Lから放送受信装置100の間に必ずしも図8Cに示す変換部201Lが必要ではない。
なお、以上説明した階層分割多重伝送方式で伝送される地上デジタル放送の放送波は、上述のとおり、放送受信装置100の第三チューナ/復調部130Lで受信および再生が可能であるが、放送受信装置100の第一チューナ/復調部130Cでも受信可能である。当該地上デジタル放送の放送波を第一チューナ/復調部130Cで受信した場合、当該地上デジタル放送の放送波の放送信号のうち、高度地上デジタル放送サービスの階層で伝送された放送信号は無視されるが、現行の地上デジタル放送サービスの階層で伝送された放送信号については再生が行われる。
[MPEG-2 TS方式]
本実施例の放送システムは、映像や音声等のデータを伝送するメディアトランスポート方式として、現行の地上デジタル放送サービス等で採用されているMPEG-2 TSに対応可能である。具体的には、図4D(1)のOFDM伝送波によって伝送されるストリームの方式はMPEG-2 TSであり、図4D(2)および図4D(3)のOFDM伝送波のうち、現行の地上デジタル放送サービスが伝送される階層で伝送するストリームの方式はMPEG-2 TSである。また、図2の放送受信装置100の第一チューナ/復調部130Cで伝送波を復調して得るストリームの方式はMPEG-2 TSである。また、第二チューナ/復調部130Tで伝送波を復調して得るストリームのうち、現行の地上デジタル放送サービスが伝送される階層に対応するストリームの方式はMPEG-2 TSである。同様に、第三チューナ/復調部130Lで伝送波を復調して得るストリームのうち、現行の地上デジタル放送サービスが伝送される階層に対応するストリームの方式はMPEG-2 TSである。
MPEG-2 TSは、番組を構成する映像や音声等のコンポーネントを、制御信号やクロックと共に1つのパケットストリームに多重することを特徴とする。クロックも含めて1つのパケットストリームとして扱うため、伝送品質が確保された1つの伝送路で1つのコンテンツを伝送するのに適しており、現行の多くのデジタル放送システムで採用されている。また、固定網/携帯網等の双方向網を介して双方向通信を実現することが可能であり、デジタル放送サービスにブロードバンドネットワークを利用した機能を連携させ、ブロードバンドネットワークを介した付加コンテンツの取得やサーバ装置における演算処理、携帯端末機器との連携による提示処理等をデジタル放送サービスと組み合わせる放送通信連携システムに対応可能である。
図9Aに、MPEG-2 TSを用いる放送システムにおける伝送信号のプロトコルスタックの一例を示す。MPEG-2 TSにおいて、PSIやSI、その他の制御信号等は、セクション形式で伝送される。
[MPEG-2 TS方式を用いる放送システムの制御信号]
MPEG-2 TS方式の制御情報としては、主として番組配列情報で使用されるテーブルと番組配列情報以外で使用されるテーブルがある。テーブルはセクション形式で伝送され、記述子はテーブル内に配置される。
<番組配列情報で使用されるテーブル>
図9Bに、MPEG-2 TS方式の放送システムの番組配列情報で使用されるテーブルの一覧を示す。本実施例では、番組配列情報で使用されるテーブルとして以下に示すものが用いられる。
(1)PAT(Program Association Table)
(2)CAT(Conditional Access Table)
(3)PMT(Program Map Table)
(4)NIT(Network Information Table)
(5)SDT(Service Description Table)
(6)BAT(Bouquet Association Table)
(7)EIT(Event Information Table)
(8)RST(Running Status Table)
(9)TDT(Time and Date Table)
(10)TOT(Time Offset Table)
(11)LIT(Local Event Information Table)
(12)ERT(Event Relation Table)
(13)ITT(Index Transmission Table)
(14)PCAT(Partial Content Announcement Table)
(15)ST(Stuffing Table)
(16)BIT(Broadcaster Information Table)
(17)NBIT(Network Board Information Table)
(18)LDT(Linked Description Table)
(19)AMT(Address Map Table)
(20)INT(IP/MAC Notification Table)
(21)事業者が設定するテーブル
<デジタル放送で使用されるテーブル>
図9Cに、MPEG-2 TS方式の放送システムの番組配列情報以外で使用されるテーブルの一覧を示す。本実施例では、番組配列情報以外で使用されるテーブルとして以下に示すものが用いられる。
(1)ECM(Entitlement Control Message)
(2)EMM(Entitlement Management Message)
(3)DCT(Download Control Table)
(4)DLT(DownLoad Table)
(5)DIT(Discontinuity Information Table)
(6)SIT(Selection Information Table)
(7)SDTT(Software Download Trigger Table)
(8)CDT(Common Data Table)
(9)DSM-CCセクション
(10)AIT(Application Information Table)
(11)DCM(Download Control Message)
(12)DMM(Download Management Message)
(13)事業者が設定するテーブル
<番組配列情報で使用される記述子>
図9Dと図9Eと図9Fに、MPEG-2 TS方式の放送システムの番組配列情報で使用される記述子の一覧を示す。本実施例では、番組配列情報で使用される記述子として以下に示すものが用いられる。
(1)限定受信方式記述子(Conditional Access Descriptor)
(2)著作権記述子(Copyright Descriptor)
(3)ネットワーク名記述子(Network Name Descriptor)
(4)サービスリスト記述子(Service List Descriptor)
(5)スタッフ記述子(Stuffing Descriptor)
(6)衛星分配システム記述子(Satellite Delivery System Descriptor)
(7)地上分配システム記述子(Terrestrial Delivery System Descriptor)
(8)ブーケ名記述子(Bouquet Name Descriptor)
(9)サービス記述子(Service Descriptor)
(10)国別受信可否記述子(Country Availability Descriptor)
(11)リンク記述子(Linkage Descriptor)
(12)NVOD基準サービス記述子(NVOD Reference Descriptor)
(13)タイムシフトサービス記述子(Time Shifted Service Descriptor)
(14)短形式イベント記述子(Short Event Descriptor)
(15)拡張形式イベント記述子(Extended Event Descriptor)
(16)タイムシフトイベント記述子(Time Shifted Event Descriptor)
(17)コンポーネント記述子(Component Descriptor)
(18)モザイク記述子(Mosaic Descriptor)
(19)ストリーム識別記述子(Stream Identifier Descriptor)
(20)CA識別記述子(CA Identifier Descriptor)
(21)コンテント記述子(Content Descriptor)
(22)パレンタルレート記述子(Parental Rating Descriptor)
(23)階層伝送記述子(Hierarchical Transmission Descriptor)
(24)デジタルコピー制御記述子(Digital Copy Control Descriptor)
(25)緊急情報記述子(Emergency Information Descriptor)
(26)データ符号化方式記述子(Data Component Descriptor)
(27)システム管理記述子(System Management Descriptor)
(28)ローカル時間オフセット記述子(Local Time Offset Descriptor)
(29)音声コンポーネント記述子(Audio Component Descriptor)
(30)対象地域記述子(Target Region Descriptor)
(31)ハイパーリンク記述子(Hyperlink Descriptor)
(32)データコンテンツ記述子(Data Content Descriptor)
(33)ビデオデコードコントロール記述子(Video Decode Control Descriptor)
(34)基本ローカルイベント記述子(Basic Local Event Descriptor)
(35)リファレンス記述子(Reference Descriptor)
(36)ノード関係記述子(Node Relation Descriptor)
(37)短形式ノード情報記述子(Short Node Information Descriptor)
(38)STC参照記述子(STC Reference Descriptor)
(39)部分受信記述子(Partial Reception Descriptor)
(40)シリーズ記述子(Series Descriptor)
(41)イベントグループ記述子(Event Group Descriptor)
(42)SI伝送パラメータ記述子(SI Parameter Descriptor)
(43)ブロードキャスタ名記述子(Broadcaster Name Descriptor)
(44)コンポーネントグループ記述子(Component Group Descriptor)
(45)SIプライムTS記述子(SI Prime TS Descriptor)
(46)掲示板情報記述子(Board Information Descriptor)
(47)LDTリンク記述子(LDT Linkage Descriptor)
(48)連結送信記述子(Connected Transmission Descriptor)
(49)TS情報記述子(TS Information Descriptor)
(50)拡張ブロードキャスタ記述子(Extended Broadcaster Descriptor)
(51)ロゴ伝送記述子(Logo Transmission Descriptor)
(52)コンテント利用記述子(Content Availability Descriptor)
(53)カルーセル互換複合記述子(Carousel Compatible Composite Descriptor)
(54)限定再生方式記述子(Conditional Playback Descriptor)
(55)AVCビデオ記述子(AVC Video Descriptor)
(56)AVCタイミングHRD記述子(AVC Timing and HRD Descriptor)
(57)サービスグループ記述子(Service Group Descriptor)
(58)MPEG-4オーディオ記述子(MPEG-4 Audio Descriptor)
(59)MPEG-4オーディオ拡張記述子(MPEG-4 Audio Extension Descriptor)
(60)登録記述子(Registration Descriptor)
(61)データブロードキャスト識別記述子(Data Broadcast Id Descriptor)
(62)アクセス制御記述子(Access Control Descriptor)
(63)エリア放送情報記述子(Area Broadcasting Information Descriptor)
(64)素材情報記述子(Material Information Descriptor)
(65)HEVCビデオ記述子(HEVC Video Descriptor)
(66)階層符号化記述子(Hierarchy Descriptor)
(67)通信連携情報記述子(Hybrid Information Descriptor)
(68)スクランブル方式記述子(Scrambler Descriptor)
(69)事業者が設定する記述子
<デジタル放送で使用される記述子>
図9Gに、MPEG-2 TS方式の放送システムの番組配列情報以外で使用される記述子の一覧を示す。本実施例では、番組配列情報以外で使用される記述子として以下に示すものが用いられる。
(1)パーシャルトランスポートストリーム記述子
(Partial Transport Stream Descriptor)
(2)ネットワーク識別記述子(Network Identification Descriptor)
(3)パーシャルトランスポートストリームタイム記述子
(Partial Transport Stream Time Descriptor)
(4)ダウンロードコンテンツ記述子(Download Content Descriptor)
(5)CA_EMM_TS_記述子(CA EMM TS Descriptor)
(6)CA契約情報記述子(CA Contract Information Descriptor)
(7)CAサービス記述子(CA Service Descriptor)
(8)カルーセル識別記述子(Carousel Identifier Descriptor)
(9)アソシエーションタグ記述子(Association Tag Descriptor)
(10)拡張アソシエーションタグ記述子
(Deferred Association tags Descriptor)
(11)ネットワークダウロードコンテンツ記述子
(Network Download Content Descriptor)
(12)ダウンロード保護記述子(Download Protection Descriptor)
(13)CA起動記述子(CA Startup Descriptor)
(14)事業者が設定する記述子
<INTで使用される記述子>
図9Hに、MPEG-2 TS方式の放送システムのINTで使用される記述子の一覧を示す。本実施例では、INTで使用される記述子として以下に示すものが用いられる。なお、前述の番組配列情報で使用される記述子および番組配列情報以外で使用される記述子は、INTでは使用しない。
(1)ターゲットスマートカード記述子(Target Smartcard Descriptor)
(2)ターゲットIPアドレス記述子(Target IP Address Descriptor)
(3)ターゲットIPv6アドレス記述子(Target IPv6 Address Descriptor)
(4)IP/MACプラットフォーム名記述子(IP/MAC Platform Name Descriptor)
(5)IP/MACプラットフォームプロバイダ名記述子
(IP/MAC Platform Provider Name Descriptor)
(6)IP/MACストリーム配置記述子(IP/MAC Stream Location Descriptor)
(7)事業者が設定する記述子
<AITで使用される記述子>
図9Iに、MPEG-2 TS方式の放送システムのAITで使用される記述子の一覧を示す。本実施例では、AITで使用される記述子として以下に示すものが用いられる。なお、前述の番組配列情報で使用される記述子および番組配列情報以外で使用される記述子は、INTでは使用しない。
(1)アプリケーション記述子(Application Descriptor)
(2)伝送プロトコル記述子(Transport Protocol Descriptor)
(3)簡易アプリケーションロケーション記述子
(Simple Application Location Descriptor)
(4)アプリケーション境界権限設定記述子
(Application Boundary and Permission Descriptor)
(5)起動優先情報記述子(Autostart Priority Descriptor)
(6)キャッシュ情報記述子(Cache Control Info Descriptor)
(7)確率的適用遅延記述子(Randomized Latency Descriptor)
(8)外部アプリケーション制御記述子
(External Application Control Descriptor)
(9)録画再生アプリケーション記述子(Playback Application Descriptor)
(10)簡易録画再生アプリケーションロケーション記述子
(Simple Playback Application Location Descriptor)
(11)アプリケーション有効期限記述子(Application Expiration Descriptor)
(12)事業者が設定する記述子
[MMT方式]
本実施例の放送システムは、映像や音声等のデータを伝送するメディアトランスポート方式として、MMT方式に対応することも可能である。具体的には、図4D(2)および図4D(3)のOFDM伝送波のうち、高度な地上デジタル放送サービスが伝送される階層で伝送するストリームの方式は原則としてMMT方式である。また、図2の放送受信装置100の第二チューナ/復調部130Tで伝送波を復調して得るストリームのうち、高度な地上デジタル放送サービスが伝送される階層に対応するストリームの方式は原則としてMMTである。同様に、第三チューナ/復調部130Lで伝送波を復調して得るストリームのうち、高度な地上デジタル放送サービスが伝送される階層に対応するストリームの方式は原則としてMMTである。なお、変形例としては、高度な地上デジタル放送サービスでMPEG-2 TSのストリームを運用しても構わない。また、第四チューナ/復調部130Bで伝送波を復調して得るストリームの方式はMMTである。
MMT方式は、近年のコンテンツの多様化、コンテンツを利用する機器の多様化、コンテンツを配信する伝送路の多様化、コンテンツ蓄積環境の多様化、等、コンテンツ配信に関する環境変化に対してMPEG-2 TS方式の機能に限界があることから、新たに策定されたメディアトランスポート方式である。
放送番組の映像信号および音声信号の符号はMFU(Media Fragment Unit)/MPU(Media Processing Unit)とし、MMTP(MMT Protocol)ペイロードに乗せてMMTPパケット化し、IPパケットで伝送する。また、放送番組に関連するデータコンテンツや字幕の信号についてもMFU/MPUの形式とし、MMTPペイロードに乗せてMMTPパケット化し、IPパケットで伝送する。
MMTPパケットの伝送には、放送伝送路ではUDP/IP(User Datagram Protocol/Internet Protocol)が用いられ、通信回線では、UDP/IPまたはTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が用いられる。また、放送伝送路においては、IPパケットの効率的な伝送のためにTLV多重化方式が用いられても良い。
図10Aに、放送伝送路におけるMMTのプロトコルスタックを示す。また、図10Bに、通信回線におけるMMTのプロトコルスタックを示す。MMT方式では、MMT-SIとTLV-SIの二種類の制御情報を伝送する仕組みを用意する。MMT-SIは、放送番組の構成等を示す制御情報である。MMTの制御メッセージの形式とし、MMTPペイロードに乗せてMMTPパケット化して、IPパケットで伝送する。TLV-SIは、IPパケットの多重に関する制御情報であり、選局のための情報やIPアドレスとサービスの対応情報を提供する。
[MMT方式を用いる放送システムの制御信号]
前述のように、MMT方式では、制御情報としてTLV-SIとMMT-SIを用意する。TLV-SIは、テーブルと記述子で構成される。テーブルはセクション形式で伝送され、記述子はテーブル内に配置される。MMT-SIは、テーブルや記述子を格納するメッセージ、特定の情報を示す要素や属性を持つテーブル、より詳細な情報を示す記述子の三階層で構成される。
<TLV-SIで使用するテーブル>
図10Cに、MMT方式の放送システムのTLV-SIで使用されるテーブルの一覧を示す。本実施例では、TLV-SIのテーブルとして以下に示すものが用いられる。
(1)TLV用ネットワーク情報テーブル(Network Information Table for TLV)
(2)アドレスマップテーブル(Address Map Table)
(3)事業者が設定するテーブル
<TLV-SIで使用する記述子>
図10Dに、MMT方式の放送システムのTLV-SIで使用される記述子の一覧を示す。本実施例では、TLV-SIの記述子として以下に示すものが用いられる。
(1)サービスリスト記述子(Service List Descriptor)
(2)衛星分配システム記述子(Satellite Delivery System Descriptor)
(3)システム管理記述子(System Management Descriptor)
(4)ネットワーク名記述子(Network Name Descriptor)
(5)リモートコントロールキー記述子(Remote Control Key Descriptor)
(6)事業者が設定する記述子
<MMT-SIで使用するメッセージ>
図10Eに、MMT方式の放送システムのMMT-SIで使用されるメッセージの一覧を示す。本実施例では、MMT-SIのメッセージとして以下に示すものが用いられる。
(1)PA(Package Access)メッセージ
(2)M2セクションメッセージ
(3)CAメッセージ
(4)M2短セクションメッセージ
(5)データ伝送メッセージ
(6)事業者が設定するメッセージ
<MMT-SIで使用するテーブル>
図10Fに、MMT方式の放送システムのMMT-SIで使用されるテーブルの一覧を示す。本実施例では、MMT-SIのテーブルとして以下に示すものが用いられる。
(1)MPT(MMT Package Table)
(2)PLT(Package List Table)
(3)LCT(Layout Configuration Table)
(4)ECM(Entitlement Control Message)
(5)EMM(Entitlement Management Message)
(6)CAT(MH)(Conditional Access Table (MH))
(7)DCM(Download Control Message)
(8)DMM(Download Management Message)
(9)MH-EIT(MH-Event Information Table)
(10)MH-AIT(MH-Application Information Table)
(11)MH-BIT(MH-Broadcaster Information Table)
(12)MH-SDTT(MH-Software Download Trigger Table)
(13)MH-SDT(MH-Service Description Table)
(14)MH-TOT(MH-Time Offset Table)
(15)MH-CDT(MH-Common Data Table)
(16)DDMテーブル(Data Directory Management Table)
(17)DAMテーブル(Data Asset Management Table)
(18)DCCテーブル(Data Content Configuration Table)
(19)EMT(Event Message Table)
(20)事業者が設定するテーブル
<MMT-SIで使用する記述子>
図10Gと図10Hと図10Iに、MMT方式の放送システムのMMT-SIで使用される記述子の一覧を示す。本実施例では、MMT-SIの記述子として以下に示すものが用いられる。
(1)アセットグループ記述子(Asset Group Descriptor)
(2)イベントパッケージ記述子(Event Package Descriptor)
(3)背景色指定記述子(Background Color Descriptor)
(4)MPU提示領域指定記述子(MPU Presentation Region Descriptor)
(5)MPUタイムスタンプ記述子(MPU Timestamp Descriptor)
(6)依存関係記述子(Dependency Descriptor)
(7)アクセス制御記述子(Access Control Descriptor)
(8)スクランブル方式記述子(Scrambler Descriptor)
(9)メッセージ認証方式記述子(Message Authentication Method Descriptor)
(10)緊急情報記述子(Emergency Information Descriptor)
(11)MH-MPEG-4オーディオ記述子(MH-MPEG-4 Audio Descriptor)
(12)MH-MPEG-4オーディオ拡張記述子
(MH-MPEG-4 Audio Extension Descriptor)
(13)MH-HEVC記述子(MH-HEVC Descriptor)
(14)MH-リンク記述子(MH-Linkage Descriptor)
(15)MH-イベントグループ記述子(MH-Event Group Descriptor)
(16)MH-サービスリスト記述子(MH-Service List Descriptor)
(17)MH-短形式イベント記述子(MH-Short Event Descriptor)
(18)MH-拡張形式イベント記述子(MH-Extended Event Descriptor)
(19)映像コンポーネント記述子(Video Component Descriptor)
(20)MH-ストリーム識別記述子(MH-Stream Identifier Descriptor)
(21)MH-コンテント記述子(MH-Content Descriptor)
(22)MH-パレンタルレート記述子(MH-Parental Rating Descriptor)
(23)MH-音声コンポーネント記述子(MH-Audio Component Descriptor)
(24)MH-対象地域記述子(MH-Target Region Descriptor)
(25)MH-シリーズ記述子(MH-Series Descriptor)
(26)MH-SI伝送パラメータ記述子(MH-SI Parameter Descriptor)
(27)MH-ブロードキャスタ名記述子(MH-Broadcaster Name Descriptor)
(28)MH-サービス記述子(MH-Service Descriptor)
(29)IPデータフロー記述子(IP Data Flow Descriptor)
(30)MH-CA起動記述子(MH-CA Startup Descriptor)
(31)MH-Type記述子(MH-Type Descriptor)
(32)MH-Info記述子(MH-Info Descriptor)
(33)MH-Expire記述子(MH-Expire Descriptor)
(34)MH-CompressionType記述子
(MH-Compression Type Descriptor)
(35)MH-データ符号化方式記述子(MH-Data Component Descriptor)
(36)UTC-NPT参照記述子(UTC-NPT Reference Descriptor)
(37)イベントメッセージ記述子(Event Message Descriptor)
(38)MH-ローカル時間オフセット記述子(MH-Local Time Offset Descriptor)
(39)MH-コンポーネントグループ記述子(MH-Component Group Descriptor)
(40)MH-ロゴ伝送記述子(MH-Logo Transmission Descriptor)
(41)MPU拡張タイムスタンプ記述子(MPU Extended Timestamp Descriptor)
(42)MPUダウンロードコンテンツ記述子(MPU Download Content Descriptor)
(43)MH-ネットワークダウンロードコンテンツ記述子
(MH-Network Download Content Descriptor)
(44)アプリケーション記述子(MH-Application Descriptor)
(45)MH-伝送プロトコル記述子(MH-Transport Protocol Descriptor)
(46)MH-簡易アプリケーションロケーション記述子
(MH-Simple Application Location Descriptor)
(47)アプリケーション境界権限設定記述子
(MH-Application Boundary and Permission Descriptor)
(48)MH-起動優先情報記述子(MH-Autostart Priority Descriptor)
(49)MH-キャッシュ情報記述子(MH-Cache Control Info Descriptor)
(50)MH-確率的適用遅延記述子(MH-Randomized Latency Descriptor)
(51)リンク先PU記述子(Linked PU Descriptor)
(52)ロックキャッシュ指定記述子(Locked Cache Descriptor)
(53)アンロックキャッシュ指定記述子(Unlocked Cache Descriptor)
(54)MH-ダウンロード保護記述子(MH-DL Protection Descriptor)
(55)アプリケーションサービス記述子(Application Service Descriptor)
(56)MPUノード記述子(MPU Node Descriptor)
(57)PU構成記述子(PU Structure Descriptor)
(58)MH-階層符号化記述子(MH-Hierarchy Descriptor)
(59)コンテンツコピー制御記述子(Content Copy Control Descriptor)
(60)コンテンツ利用制御記述子(Content Usage Control Descriptor)
(61)緊急ニュース記述子(Emergency News Descriptor)
(62)MH-CA契約情報記述子(MH-CA Contract Info Descriptor)
(63)MH-CAサービス記述子(MH-CA Service Descriptor)
(64)MH-外部アプリケーション制御記述子
(MH-External Application Control Descriptor)
(65)MH-録画再生アプリケーション記述子
(MH-Playback Application Descriptor)
(66)MH-簡易録画再生アプリケーションロケーション記述子
(MH-Simple Playback Application Location Descriptor)
(67)MH-アプリケーション有効期限記述子
(MH-Application Expiration Descriptor)
(68)関連ブロードキャスタ記述子(Related Broadcaster Descriptor)
(69)マルチメディアサービス情報記述子(Multimedia Service Descriptor)
(70)事業者が設定する記述子
<MMT方式におけるデータ伝送と各制御情報の関係>
図10Jに、MMT方式の放送システムにおけるデータ伝送と代表的なテーブルの関係を示す。
MMT方式の放送システムでは、放送伝送路を介したTLVストリームや通信回線を介したIPデータフロー等、複数の経路でデータ伝送を行うことができる。TLVストリームには、TLV-NITやAMTなどのTLV-SIと、IPパケットのデータフローであるIPデータフローが含まれる。IPデータフロー内には一連の映像MPUを含む映像アセットや一連の音声MPUを含む音声アセットが含まれる。さらに、一連の字幕MPUを含む字幕アセット、一連の文字スーパーMPUを含む文字スーパーアセット、一連のデータMPUを含むデータアセット等が含まれても良い。これらの各種アセットは、PAメッセージに格納されて伝送されるMPT(MMTパッケージテーブル)により、パッケージ単位で関連付けられる。具体的には、MPTにパッケージIDと当該パッケージに含まれる各アセットのアセットIDとを関連付けて記載すれば良い。
パッケージを構成するアセットはTLVストリーム内のアセットのみとすることもできるが、図10Jに示したように、通信回線のIPデータフローで伝送されるアセットを含めることもできる。これは、当該パッケージに含まれる各アセットのロケーション情報をMPT内に含めて、放送受信装置100が各アセットの参照先を把握可能とすることにより実現できる。各アセットのロケーション情報としては、
(1)MPTと同一のIPデータフローに多重されているデータ
(2)IPv4データフローに多重されているデータ
(3)IPv6データフローに多重されているデータ
(4)放送のMPEG2-TSに多重されているデータ
(5)IPデータフロー内にMPEG2-TS形式で多重されているデータ
(6)指定するURLにあるデータ
等、様々な伝送経路で伝送される各種データ指定することが可能である。
MMT方式の放送システムでは、さらにイベントという概念を有する。イベントは、M2セクションメッセージに含められて送られるMH-EITが扱う、所謂番組を示す概念である。具体的には、MH-EITに格納されたイベントパッケージ記述子が指し示すパッケージにおいて、MH-EITに格納された開示時刻から、継続時間分の期間に含まれる一連のデータが、当該イベントの概念に含まれるデータである。MH-EITは、放送受信装置100において当該イベント単位での各種処理(例えば、番組表の生成処理や、録画予約や視聴予約の制御、一時蓄積などの著作権管理処理、等)などに用いることができる。
[放送受信装置のチャンネル設定処理]
<初期スキャン>
現行の地上デジタル放送では、送出マスター単位でネットワークIDが異なり、NITに他局の情報が記載されないことが一般的である。したがって、現行の地上デジタル放送に対する互換性を有する、本発明の実施例の放送受信装置100は、本発明の実施例の地上デジタル放送(高度地上デジタル放送、または高度地上デジタル放送と現行の地上デジタル放送とが別階層で同時に伝送される地上デジタル放送)について、受信地点における全受信可能チャンネルをサーチ(スキャン)して、サービスIDに基づくサービスリスト(受信可能周波数テーブル)の作成を行う機能を有する必要がある。なお、MFN(Multi Frequency Network:多周波数ネットワーク)により、同一ネットワークIDを異なる物理チャンネルで受信可能な地域では、基本的に受信C/NまたはBER(Bit Error Rate)の良好なチャンネルを選択してサービスリストに記憶するように動作すれば良い。
なお、本発明の実施例の放送受信装置100の第四チューナ/復調部130Bで受信する高度BSデジタル放送または高度CSデジタル放送では、放送受信装置100がTLV-NITに格納されるサービスリストを取得して記憶すれば良く、サービスリストを作成する必要はない。しがたって、第四チューナ/復調部130Bで受信する高度BSデジタル放送または高度CSデジタル放送については、初期スキャンおよび後述する再スキャンは不要である。
<再スキャン>
本発明の実施例の放送受信装置100は、新規の開局や新中継局設置やテレビ受信機の受信地点変更等の場合に備えた再スキャン機能を有する。既設定の情報を変更する場合、放送受信装置100は、その旨をユーザに報知することが可能である。
<初期/再スキャン時の動作例>
図11Aに、本発明の実施例の放送受信装置100のチャンネル設定処理(初期/再スキャン)の動作シーケンスの一例を示す。なお、同図ではメディアトランスポート方式としてMPEG-2 TSを採用する場合の例を示すが、MMT方式を採用した場合も基本的に同様の処理となる。
チャンネル設定処理では、まず受信機能制御部1102が、ユーザの指示に基づいて、居住地域の設定(放送受信装置100の設置された地域の選択)を行う(S101)。このときユーザの指示に替えて、所定の処理により取得した放送受信装置100の設置位置情報に基づいて、居住地域の設定を自動的に行っても良い。設置位置情報の取得処理の例としては、LAN通信部121が接続するネットワークから情報を取得しても良く、デジタルI/F部125が接続する外部機器から設置位置に関する情報を取得しても良い。次に、スキャンする周波数範囲の初期値を設定し、前記設定した周波数へのチューニングを行うようにチューナ/復調部(第一チューナ/復調部130Cと第二チューナ/復調部130Tと第三チューナ/復調部130Lを区別しない場合はこのように記述する。以下同様。)に対して指示する(S102)。
チューナ/復調部は、前記指示に基づいてチューニングを実行し(S103)、前記設定した周波数へのロックに成功した場合(S103:Yes)はS104の処理に進む。ロックに成功しなかった場合(S103:No)はS111の処理に進む。S104の処理では、C/Nの確認を行い(S104)、所定以上のC/Nが得られている場合(S104:Yes)はS105の処理に進み、受信確認処理を行う。所定以上のC/Nが得られていない場合(S104:No)はS111の処理に進む。
受信確認処理では、受信機能制御部1102が、まず受信した放送波のBERを取得する(S105)。次に、NITを取得して照合することにより、NITが有効なデータか否かを確認する(S106)。S106の処理で取得したNITが有効なデータである場合、受信機能制御部1102は、NITからトランスポートストリームIDやオリジナルネットワークID等の情報を取得する。また、地上分配システム記述子から各トランスポートストリームID/オリジナルネットワークIDに対応する放送伝送路の物理的条件に関する分配システム情報を取得する。また、サービスリスト記述子からサービスIDの一覧を取得する。
次に、受信機能制御部1102は、受信装置に記憶しているサービスリストを確認することにより、S106の処理で取得したトランスポートストリームIDが既取得であるか否かの確認を行う(S107)。S106の処理で取得したトランスポートストリームIDが既取得ではない場合(S107:No)、S106の処理で取得した各種情報をトランスポートストリームIDと関連付けてサービスリストに追加する(S108)。S106の処理で取得したトランスポートストリームIDが既取得である場合(S107:Yes)、S105の処理で取得したBERとサービスリストに記載済みのトランスポートストリームIDを取得した際のBERとの比較を行う(S109)。その結果、S105の処理で取得したBERのほうが良好な場合(S109:Yes)は、S106の処理で取得した各種情報を以ってサービスリストを更新する(S110)。S105の処理で取得したBERのほうが良好でない場合(S109:No)は、S106の処理で取得した各種情報は破棄する。
また、前述のサービスリスト作成(追加/更新)処理の際に、TS情報記述子からリモコンキーIDを取得し、トランスポートストリームごとの代表的なサービスとリモコンキーとの関連付けを行っても良い。この処理により、後述のワンタッチ選局が可能となる。
受信確認処理を終えると、受信機能制御部1102は、現在の周波数設定がスキャンする周波数範囲の最終値か否かを確認する(S111)。現在の周波数設定がスキャンする周波数範囲の最終値でない場合(S111:No)は、チューナ/復調部に設定された周波数値をアップさせて(S112)、S103~S110の処理を繰り返す。現在の周波数設定がスキャンする周波数範囲の最終値である場合(S111:Yes)は、S113の処理に進む。
S113の処理では、前述の処理で作成(追加/更新)したサービスリストを、チャンネル設定処理の結果としてユーザに提示する(S113)。また、リモコンキーの重複等がある場合にはその旨をユーザに報知し、リモコンキー設定の変更等を行う(S114)ように促しても良い。前述の処理で作成/更新したサービスリストは、放送受信装置100のROM103やストレージ(蓄積)部110等の不揮発性メモリに記憶される。
図11Bに、NITのデータ構造の一例を示す。図中の『transpotrt_stream_id』が前述のトランスポートストリームIDに、『original_network_id』がオリジナルネットワークIDに、それぞれ対応する。また、図11Cに、地上分配システム記述子のデータ構造の一例を示す。図中の『guard_interval』や『transmission_mode』や『frequency』等が前述の分配システム情報に対応する。図11Dに、サービスリスト記述子のデータ構造の一例を示す。図中の『service_id』が前述のサービスIDに対応する。図11Eに、TS情報記述子のデータ構造の一例を示す。図中の『remote_control_key_id』が前述のリモコンキーIDに対応する。
なお、放送受信装置100では、前述のスキャンする周波数範囲を、受信する放送サービスに応じて適宜変更するように制御しても良い。例えば、放送受信装置100が現行の地上デジタル放送サービスの放送波を受信している場合には、470~770MHzの周波数範囲(物理チャンネルの13ch~62chに相当)をスキャンするように制御する。即ち、前記周波数範囲の初期値を470~476MHz(中心周波数473MHz)と設定し、周波数範囲の最終値を764~770MHz(中心周波数767MHz)と設定し、S112の処理では+6MHzの周波数値アップを実施するように制御を行う。
また、放送受信装置100が高度地上デジタル放送サービスを含む放送波を受信している場合には、470~1010MHzの周波数範囲(図7Dに示した周波数変換処理や図8Cに示した周波数変換増幅処理を行っている可能性があるため)をスキャンするように制御する。即ち、前記周波数範囲の初期値を470~476MHz(中心周波数473MHz)と設定し、周波数範囲の最終値を1004~1010MHz(中心周波数1007MHz)と設定し、S112の処理では+6MHzの周波数値アップを実施するように制御を行う。なお、放送受信装置100が高度地上デジタル放送サービスを受信している場合であっても、前述の周波数変換処理や周波数変換増幅処理を行っていないと判断される場合には、470~770MHzの周波数範囲のみをスキャンするように制御すれば良い。スキャンする周波数範囲の選択制御は、放送受信装置100が、TMCC情報のシステム識別および周波数変換処理識別等に基づいて行うことが可能である。
また、本発明の実施例の放送システムが、例えば図7Cに示した構成であって、放送受信装置100が偏波両用伝送方式の高度地上デジタル放送サービスを受信している場合、選局/検波部131Hと選局/検波部131Vの一方で470~770MHzの周波数範囲をスキャンし、他方で770~1010MHzの周波数範囲をスキャンするようにしても良い(当該他方の選局/検波部で検波した偏波で伝送波について周波数変換処理が施されている場合)。TMCC情報のシステム識別および周波数変換処理識別に基づいて、このように制御すれば、不要な周波数範囲におけるスキャンを省くことが可能となり、チャンネル設定に要する時間を縮減することが可能となる。さらに、この場合、選局/検波部131Hと選局/検波部131Vの双方で図11Aの動作シーケンスを並行して進めて、図11Aの動作シーケンスにおける周波数アップS112のループを同期させても良い。このとき、図11Aの動作シーケンスにおける周波数アップのループにおける同タイミングのループにおいて、同一物理チャンネルで伝送されていた水平偏波信号と垂直偏波信号のペアについて、それぞれ並行して受信するように構成すれば、当該水平偏波信号と垂直偏波信号のペアで伝送される高度地上デジタルサービスのパケットストリーム内部の制御情報等をデコードして、当該ループ処理中に取得可能になる。これにより、効率良くスキャンとサービスリストの作成が進むため、好適である。
同様に、放送受信装置100が図8Bに示した構成でさらにチューナ/復調部(選局/検波部)が複数備えられた所謂ダブルチューナの構成(例えば、第三チューナ/復調部130Lを複数備える構成)であって、階層分割多重伝送方式の高度地上デジタル放送サービスを受信している場合、前記ダブルチューナの一方で470~770MHzの周波数範囲をスキャンし、他方で770~1010MHzの周波数範囲をスキャンするようにしても良い(周波数変換増幅処理が施されている場合)。このように制御すれば、前述と同様にチャンネル設定に要する時間を縮減することが可能となる。
なお、図8A、図8B、図8Cで説明したとおり、図8Bに示した構成で、上側階層または下側階層のいずれか一方で伝送される地上デジタル放送サービスは、現行の地上デジタル放送サービスである。よって、例えば、470~770MHzの周波数範囲と770~1010MHzの周波数範囲のうち、現行の地上デジタル放送サービスが伝送される周波数範囲について第一チューナ/復調部130Cでスキャンを行い、他方の周波数範囲について並行して第三チューナ/復調部130Lでスキャンを行っても良い。この場合も、上述の第三チューナ/復調部130Lのダブルチューナによる並行スキャンと同様に、チャンネル設定に要する時間を縮減することが可能となる。470~770MHzの周波数範囲と770~1010MHzの周波数範囲のうちいずれにおいて、現行の地上デジタル放送サービスが伝送されているか、高度な地上デジタル放送サービスが伝送されているかは、初期スキャン/再スキャンの動作シーケンスを始める前に、それぞれの周波数範囲について1点ずつ合計2点、例えば、470~476MHz(中心周波数473MHz)と770~776MHz(中心周波数773MHz)の2点について、第三チューナ/復調部130Lで受信を行い、それぞれの周波数で伝送されるTMCC情報を取得して、当該TMCC情報に格納されるパラメータ(例えば、システム識別のパラメータ)を参照することにより識別可能である。
なお、偏波両用伝送方式の高度地上デジタル放送サービスで、例えば、図7Aの階層分割例(1)に示したC階層の4K放送番組のような、水平偏波信号と垂直偏波信号の両方を使用して伝送を行う放送番組を有するチャンネルの場合、470~770MHzの周波数範囲と770~1010MHzの周波数範囲の双方のスキャンで同一のトランスポートIDを検出するが、これは1つのチャンネルとしてサービスリストに記載する。また、同図に示したB階層の2K放送番組の場合、水平偏波信号のB階層と垂直偏波信号のB階層とで同一の放送番組が伝送されている場合には、同一のトランスポートIDを検出しても1つのチャンネルとしてサービスリストに記憶すれば良い。即ち、異なる偏波で伝送される同一階層において、同一の放送番組が伝送されている場合には、1つのチャンネルにマージして認識し、別々のチャンネルとは認識しない。このようにすれば、サービスリストを用いた選局処理において、別チャンネルで全く同一の放送番組が存在することによるユーザの混乱等を回避することができる。
これに対し、偏波両用伝送方式の高度地上デジタル放送サービスで、水平偏波信号のB階層と垂直偏波信号のB階層とで異なる放送番組が伝送されている場合(垂直偏波信号のB階層を仮想D階層として扱う場合)には、異なるチャンネルとしてサービスリストに記憶する。水平偏波信号のB階層と垂直偏波信号のB階層とで同一の放送番組が伝送されているか否かは、放送受信装置100において、TMCC情報の追加階層伝送識別パラメータ等を参照することにより判断すれば識別できる。
[放送受信装置の選局処理]
本発明の実施例の放送受信装置100は、番組選局の機能として、リモコンのワンタッチキーによるワンタッチ選局や、リモコンのチャンネルアップ/ダウンキーによるチャンネルアップ/ダウン選局や、リモコンの10キーを用いた3桁番号の直接入力によるダイレクト選局等の機能を有する。いずれの選局機能も、上述した初期スキャン/再スキャンで生成したサービスリストに記憶される情報を用いて行えば良い。また、選局後は、バナー表示等により選局したチャンネルの情報(ダイレクト選局に用いる3桁番号、枝番、TS名、サービス名、ロゴ、映像解像度情報(UHDやHDやSDの区別等)、映像解像度アップ/ダウンコンバートの有無、音声チャンネル数、音声ダウンミックスの有無、等)を表示する。このようにすれば、ユーザは、選局後のチャンネルの情報を視覚的に得ることができ、所望のチャンネルに選局できたか否かを確認することができる。以下に、各選局方法における処理の一例を記述する。
<ワンタッチ選局の処理例>
(1)リモコンのワンタッチキー押下により、『remote_control_key_id』で指定される『service_id』のサービスを選局する。
(2)ラストモードを設定し、選局後のチャンネル情報表示を行う。
<チャンネルアップダウンボタンによるアップダウン選局の処理例>
(1)リモコンのチャンネルアップ/ダウンキー押下により、ダイレクト選局に用いる3桁番号順の選局を行う。
(1-1)アップキーが押下された場合は、3桁番号の上側隣接サービスを選局する。但し、現在の3桁番号の値がサービスリスト最大値の場合には、最小値の番号のサービスを選局する。
(1-2)ダウンキーが押下された場合は、3桁番号の下側隣接サービスを選局する。但し、現在の3桁番号の値がサービスリスト最小値の場合には、最大値の番号のサービスを選局する。
(2)ラストモードを設定し、選局後のチャンネル情報表示を行う。
<ダイレクト選局の処理例>
(1)ダイレクト選局が選択されると、3桁番号の入力待ち状態となる。
(2-1)所定時間(5秒程度)に3桁番号の入力が完了しない場合は、通常モードに復帰し、現在選局されているサービスのチャンネル情報表示を行う。
(2-2)3桁番号の入力が完了した場合には、受信可能周波数テーブルのサービスリストにそのチャンネルが存在するかを判定し、無ければ『このチャンネルは存在しません』等のメッセージを表示する。
(3)チャンネルが存在する場合には選局処理を行い、ラストモードを設定し、選局後のチャンネル情報表示を行う。
なお、選局動作はSIに基づいて行われるものであり、放送休止中と判断した場合には、その旨を表示してユーザに報知する機能も有して良い。
<放送受信装置のリモコン>
図12Aに、本発明の実施例の放送受信装置100に対する操作指示の入力に使用するリモコン(リモートコントローラー)の外観図の一例を示す。
リモコン180Rは、放送受信装置100の電源オン/オフ(スタンバイオン/オフ)を行うための電源キー180R1と、カーソルを上下左右に移動させるためのカーソルキー(上、下、左、右)180R2と、カーソル位置の項目を選択項目として決定するための決定キー180R3と、戻るキー180R4と、を備える。
また、リモコン180Rは、放送受信装置100が受信する放送ネットワークを切り替えるためのネットワーク切替キー(高度地デジ、地デジ、高度BS、BS、CS)180R5を備える。また、リモコン180Rは、ワンタッチ選局に使用するワンタッチキー(1~12)180R6と、チャンネルアップ/ダウン選局に使用するチャンネルアップ/ダウンキー180R7と、ダイレクト選局の際に3桁番号の入力に使用する10キーと、を備える。なお、同図に示した例では、10キーはワンタッチキー180R6と兼用され、ダイレクト選局の際には直接キー180R8の押下後にワンタッチキー180R6を操作することで3桁番号の入力が可能となる。
また、リモコン180Rは、番組表を表示するためのEPGキー180R9と、システムメニューを表示するためのメニューキー180RAと、を備える。番組表やシステムメニューは、カーソルキー180R2や決定キー180R3や戻るキー180R4により詳細操作が可能である。
また、リモコン180Rは、データ放送サービスやマルチメディアサービス等に用いるdキー180RBと、放送通信連携サービスやその対応アプリの一覧等の表示のための連携キー180RCと、カラーキー(青、赤、緑、黄)180RDと、を備える。データ放送サービスやマルチメディアサービスや放送通信連携サービス等では、カーソルキー180R2や決定キー180R3や戻るキー180R4やカラーキー180RDにより詳細操作が可能である。
また、リモコン180Rは、関連する映像を選択するための映像キー180REと、音声ESの切り替えや二か国語の切り替えのための音声キー180RFと、字幕のオン/オフの切り替えや字幕言語の切り替えのための字幕キー180RGと、を備える。また、リモコン180Rは、音声出力の音量アップ/ダウンのための音量キー180RHと、音声出力のオン/オフの切り替えのための消音キー180RIと、を備える。
<高度地デジキーによるネットワーク切り替えの処理例>
本発明の実施例の放送受信装置100のリモコン180Rは、ネットワーク切替キー180R5として、『高度地デジキー』と『地デジキー』と『高度BSキー』と『BSキー』と『CSキー』を備える。ここで、『高度地デジキー』と『地デジキー』は、高度地上デジタル放送サービスにおいて、例えば、異なる階層で4K放送番組と2K放送番組のサイマル放送が実施されている場合に、『高度地デジキー』押下状態ではチャンネル選択時に4K放送番組の選局を優先し、『地デジキー』押下状態ではチャンネル選択時に2K放送番組の選局を優先するように構成しても良い。このように制御することにより、例えば、4K放送番組の受信が可能な状況下で4K放送番組の伝送波にエラーが多いような場合、『地デジキー』押下を行うことにより、強制的に2K放送番組を選局できる等の制御が可能となる。
<選局時の画面表示例>
前述のように、本発明の実施例の放送受信装置100は、ワンタッチ選局やチャンネルアップ/ダウン選局やダイレクト選局等によるチャンネル選択を実行した際に、バナー表示等により選局したチャンネルの情報を表示する機能を有する。
図12Bに、選局時のバナー表示の一例を示す。バナー表示192A1は2K放送番組を選局した際に表示されるバナー表示の例であり、例えば、番組名と番組の開始時間/終了時間とネットワーク種別とリモコンのダイレクト選局キーの番号とサービスロゴと3桁番号と、を表示すれば良い。また、バナー表示192A2は4K放送番組を選局した際に表示されるバナー表示の例であり、例えば、前述のバナー表示192A1と同様の各情報の他、受信中の番組が4K放送番組であることを示す『高度』を記号化したマークがさらに表示される。また、解像度変換処理やダウンミックス処理等が行われた場合には、その旨を示す表示を行っても良い。バナー表示192A2の例では、一例として、UHD解像度からHD解像度へのダウンコンバート処理および22.2chから5.1chへのダウンミックス処理が行われたことを表示している。
放送受信装置100において、これらの表示を行うことにより、サイマル放送等により同一コンテンツが、2K放送番組と4K放送番組などの異なる品質の放送番組として、同時に放送されている場合に、いずれの放送番組を表示しているかが、ユーザが好適に把握できるようになる。
以上説明した本発明の実施例に係る各機能の一部または全部の機能を有する高度デジタル放送サービスのシステムによれば、現行のデジタル放送サービスとの互換性も考慮した、より高機能な高度デジタル放送サービスの送信技術および受信技術を提供することが可能となる。即ち、高度デジタル放送サービスをより好適に送信または受信する技術を提供することができる。
(実施例2)
本発明の実施例2について、説明する。本発明の実施例2は実施例1に係るデジタル放送システムにおいて、インジェクションレベルを変更することが可能なように構成したものである。以下、実施例1と相違する点について説明する。以下で説明する点以外のその他の構成、処理、動作は、実施例1と同様であるため再度の説明は省略する。
実施例1において、現行の地上デジタル放送サービスの視聴環境を維持しつつ、4K放送を実現するための伝送方式の一例として、図8Aに示す階層分割多重伝送方式を説明した。上述のとおり、上側階層の変調波レベルと下側階層の変調波レベルの差(送信電力の差)をインジェクションレベル(IL:Injection Level)と呼び、放送局側で規定する値である。上述のとおり、インジェクションレベルは、変調波レベルの差(電力の差)を対数表現の相対比(dB)で示すのが一般的である。下側階層変調波の受信範囲は、上側階層変調波の変調波レベルとインジェクションレベルに応じて変動し、インジェクションレベルを小さくすると、下側階層変調波の受信範囲が拡大することが知られている。インジェクションレベルと変調波レベルの関係の詳細は後述する。なお、インジェクションレベルの変更とは、上側階層変調波と下側階層変調波の送信電力差の変更と表現することもできる。
図13に、本実施例に係る階層分割多重伝送方式を用いた高度地上デジタル放送サービスの受信範囲の一例を示す。図13(1)において、電波塔30300から階層分割多重方式の伝送波が送信されており、放送受信装置100と同一構成の放送受信装置30101、30102、30103および30104が設置されている。上側階層受信範囲30910の内側では、上側階層変調波を受信し放送番組の表示が可能である。同様に、下側階層受信範囲30900の内側では下側階層変調波を受信し放送番組の表示が可能である。下側階層受信範囲30900の内側は、上側階層受信範囲30910に包含されているので、上側階層変調波についても受信および放送番組の表示が可能である。上側階層で2K放送番組、下側階層で4K放送番組を伝送している場合、放送受信装置30101は下側階層変調波を受信し4K放送番組の表示が可能である。また、放送受信装置30101は上側階層変調波を受信し2K放送番組の表示が可能である。しかし、放送受信装置30102および30103は上側階層変調波しか受信することができず、下側階層変調波は正しく受信できない。よって、2K放送番組しか表示できず、4K放送番組を表示できない。また、放送受信装置30104は上側階層も下側階層も受信範囲外であり、上側階層の2K放送番組は受信不可であり、下側階層の4K放送番組も受信不可である。
図13(2)に、インジェクションレベルを小さく変更した場合の受信範囲の一例を示す。インジェクションレベルを小さくすると、下側階層受信範囲30900は変更後下側階層受信範囲30901に拡大する。したがって、放送受信装置30102は下位階層変調波で伝送する4K放送番組を新たに受信可能となる。一方、受信装置30101、30103および30104の受信状態は変化しない。このとき、放送受信装置30102が4K放送番組を表示するには、受信設定の設定処理である再スキャンを行って新たに4K放送番組の受信に関する制御情報を取得し受信装置のメモリ等に記憶する必要がある。
図14に、本実施例に係る階層分割多重伝送方式の変調波の一例を示す。
まず、図14(1)は電波塔30300から送信される変調波の一例を示しており、上側階層変調波30110と下側階層変調波30120が多重されており、このときのインジェクションレベルはインジェクションレベル30112である。上側階層変調波所要C/N30111および下側階層変調波所要C/N30121は、放送受信装置100が誤りなく放送番組を受信、表示することが可能なC/Nであり、各変調波の変調パラメータ、即ちキャリア変調マッピング方式、誤り訂正方式、符号化率、およびコンスタレーション形式等から導出される値である。放送受信装置100が誤りなく放送番組を受信、表示するために、インジェクションレベル30112は、上側階層変調波所要C/N30111にマージンを加算した値が規定される。また、下層階層変調波C/N30122は、下側下層変調波30120の変調波レベルとノイズフロア30000の差で定義され、下層階層変調波所要C/N30121より大きな値を有する。
図14(3)に放送受信装置30101が受信する変調波の一例を示す。放送受信装置30101の位置は電波塔30300から離れた位置にある。そのため、電波塔30300から送信された変調波は減衰し、上側階層変調波30310および下側階層変調波30320となる。インジェクションレベル30112、上側階層変調波所要C/N30111および下側階層変調波所要C/N30121は図14(1)と同一である。減衰により、下側階層変調波30320の変調波レベルは図14(1)の下側階層変調波30120の変調波レベルよりも低下している。同様に、下側階層変調波C/N30322は図14(2)の下側階層変調波C/N30122より小さくなる。しかしながら、インジェクションレベル30112は上側階層変調波所要C/N30111より大きいため、放送受信装置30101は上側階層変調波30310で伝送される2K放送番組を受信、表示することができる。また、下側階層変調波C/N30322は減衰するものの依然として下側階層変調波所要C/N30121より大きいため、放送受信装置30101は下側階層変調波30320で伝送される4K放送番組を受信、表示することができる。
図14(5)に放送受信装置30102が受信する変調波の一例を示す。放送受信装置30102の位置は、放送受信装置30101の位置よりもさらに電波塔30300から離れた位置にある。そのため、電波塔30300から送信された変調波は減衰し、上側階層変調波30510および下側階層変調波30520となる。インジェクションレベル30112、上側階層変調波所要C/N30111および下側階層変調波所要C/N30121は図14(1)と同一である。減衰により下側階層変調30520の変調波レベルは図14(3)の下側階層変調波30320の変調波レベルよりも低下している。同様に、下側階層変調波C/N30522は下側階層変調波C/N30322よりさらに小さくなる。ここで、インジェクションレベル30112は上側階層変調波所要C/N30111より大きいため、放送受信装置30102は上側階層変調波30310で伝送される2K放送番組を受信、表示することができる。しかしながら、下側階層変調30520の変調波レベルの上記減衰の結果、下側階層変調波C/N30522は下側階層変調波所要C/N30121より小さくなってしまう。そのため、放送受信装置30102は下側階層変調波30520で伝送される4K放送番組を受信、表示することができない。
次に、図14(2)に、放送局側でインジェクションレベルを変更した場合の電波塔30300から送信される変調波の一例を示す。図14に示すインジェクションレベルの変更を行うときには、上側階層変調波30210はインジェクションレベルの変更前の図14(1)の上側階層変調波30110と変調波レベルは同一であるが、変調波の変調パラメータを変更し、上側階層変調波所要C/N30211がインジェクションレベルの変更前の図14(1)の上側階層変調波所要C/N30111より小さくなるように変更する。また、下側階層変調波C/N30222は下側階層変調波C/N30122より大きく設定される。さらに、インジェクションレベル30212はインジェクションレベル30112より小さくするように設定される。
図14(4)に、図14(2)の変調波を送信した場合に放送受信装置30101が受信する変調波の一例を示す。放送受信装置30101の位置は電波塔30300から離れた位置にある。そのため電波塔30300から送信された変調波は減衰し、上側階層変調波30410および下側階層変調波30420となる。ここで、インジェクションレベル30212は上側階層変調波所要C/N30211より大きいため、放送受信装置30101は上側階層変調波30410で伝送される2K放送番組を受信、表示することができる。また、下側階層変調波C/N30422は減衰するものの依然として下側階層変調波所要C/N30221より大きいため、放送受信装置30101は下側階層変調波30420で伝送される4K放送番組を受信、表示することができる。
図14(6)に、図14(2)の変調波を送信した場合に放送受信装置30102が受信する変調波の一例を示す。放送受信装置30102の位置は、放送受信装置30101の位置よりもさらに電波塔30300から離れた位置にある。そのため、電波塔30300から送信された変調波は減衰し、上側階層変調波30610および下側階層変調波30620となる。ここで、インジェクションレベル30212は上側階層変調波所要C/N30211より大きいため、放送受信装置30102は上側階層変調波30610で伝送される2K放送番組を受信、表示することができる。また、下側階層変調波C/N30622は図14(4)の下側階層変調波C/N30422よりさらに小さくなる。しかしながら、図14(6)の例では、インジェクションレベル変更前の図14(5)と異なり、電波塔30300から送信される変調波の下側階層変調波C/N30222が、インジェクションレベル変更前の下側階層変調波C/N30122よりも高くなっている。このため、下側階層変調波C/N30622は下側階層変調波所要C/N30221より大きいまま維持されている。つまり、放送受信装置30102は、上述のインジェクションレベル変更により、下側階層変調波30520で伝送される4K放送番組が受信、表示ができなかった状態から、下側階層変調波30620で伝送される4K放送番組を受信、表示可能な状態に移行したこととなる。したがって、放送受信装置装置30102は、再スキャンを行うことで4K放送番組を新たに表示することが可能となる。
以上図13および図14を用いて説明したように、インジェクションレベル変更により、下側階層変調波で伝送される放送番組を受信可能な受信装置の設置範囲を拡大することができる。また所定の位置に設置される受信装置を中心に考えれば、インジェクションレベル変更により、下側階層変調波で伝送される放送番組を受信・表示できなかった状態から、下側階層変調波で伝送される放送番組を受信および表示が可能な状態に遷移することが可能となる。
<インジェクションレベル識別の伝送>
次に、上記インジェクションレベル変更による、受信装置における放送番組の受信状態の遷移をより好適に行うための技術を説明する。まず、インジェクションレベル識別の伝送について説明する。
まず、変調波の伝送制御に関する付加情報を伝送するAC信号に、インジェクションレベルのパラメータ等を含めて伝送する技術について説明する。
図15に伝送パラメータ付加情報の具体的な一例を示す。実施例1において、図6Hを用いて誤り訂正方式のパラメータ、コンスタレーション形式のパラメータを伝送する例を示した。実施例2の図15は、伝送パラメータ付加情報の具体例の実施例1の図6Hとは異なる例である。図15の例では、インジェクションレベルのパラメータ等を含めることができる。
次に、図16Aおよび図16Bにインジェクションレベル状態識別のビット割り当て例を示す。図16Aと図16Bとは、いずれもインジェクションレベルの状態が複数の異なる状態のうちいずれの状態であるかを識別するものである。しかし、図16Aの例と図16Bの例では、インジェクションレベルの各状態を互いに異なる定義にした例を示している。
まず、図16Aの例を説明する。このパラメータが『000』の場合、階層分割多重伝送を適用していない。このパラメータが『001』~『111』のいずれかである場合、階層分割多重伝送が適用されており、インジェクションレベルの状態がそれぞれ第一状態から第七状態のいずれの状態であるかを示している。インジェクションレベル自体の単位はdBで表される。図16Aの例では、対象となる伝送波のインジェクションレベルが図中に示す範囲のいずれに含まれるかに応じてインジェクションレベル識別ビットを設定して伝送することとなる。放送受信装置は、図16Aのインジェクションレベル状態識別ビットを取得し、これに基づいて、当該対象となる伝送波のインジェクションレベルがどの範囲にあるのかを把握することができる。
次に、図16Bの例を説明する。このパラメータが『000』の場合、階層分割多重伝送を適用していない。このパラメータが『001』~『111』のいずれかである場合、階層分割多重伝送が適用されており、インジェクションレベルの状態がそれぞれ第一状態から第七状態のいずれの状態であるかを示している。ここで図16Bの例では、図16Aの例とは異なり、第一状態から第七状態が示すインジェクションレベルがdBで示されるレンジではなくそれぞれ所定のdBのレベルを示している。この場合、放送局側が設定可能な伝送波のインジェクションレベルがこれら複数の選択肢に限られることになるが、図16Bの識別ビットが示すインジェクションレベルの値の精度は高くなる。放送受信装置装置は、当該インジェクションレベル状態識別ビットを取得し、これに基づいて、当該対象となる伝送波のインジェクションレベルがどの値であるのかを把握することができる。
なお、図16Aの例においても図16Bの例においても、インジェクションレベルの状態の第一状態から第七状態の意味は、必ずしも第一状態が一状態ずつ遷移することを意味するものではない。例えば、下側階層変調波により新たに4K放送番組のデジタル放送サービスを開始した場合に、必ずしもインジェクションレベル状態を第一状態から開始する必要はなく、例えば、第二状態から開始しても良い。また、インジェクションレベル状態の変更も一状態ずつ変更しても良いが、第一状態から第三状態や第五状態などに変更しても良い。これらは放送局側の方針で設定すれば良い。ただし、第五状態から第四状態に変更するなど、インジェクションレベルが大きくなるような変更は避けるべきである。これは下側階層変調波により伝送される4K放送番組の受信範囲が狭まる変更に当たるので、ユーザへの不利益を生じる恐れがあるためである。即ち、図16Aの例および図16Bの例に示されるインジェクションレベル状態である第一状態から第七状態は、デジタル放送システムにおいて不可逆的に遷移する状態といえる。
なお、図16Aの例および図16Bの例では、ビット効率を考慮して、インジェクションレベルを7状態程度の分解能で表現した。これに対し、インジェクションレベル状態の識別ビットの別の変形例としては、識別ビットのビット数を増やして、インジェクションレベルを、直接的に変調波レベル差を示すdB単位の値を表現しても良い。この場合、放送局側が設定可能な伝送波のインジェクションレベルの選択肢を多くでき、かつ、放送受信装置側で把握できるインジェクションレベルの値の精度は高くなる。
また、インジェクションレベル状態の識別ビットのさらに別の変形例としては、伝送したビットの値を変数とする予め規定した計算式を用いて、変調波レベル差を計算する手法を用いても良い。
また、インジェクションレベル状態の識別ビットをTMCC情報に含めて伝送しても良い。
以上説明したインジェクションレベル状態の識別ビットを用いれば、インジェクションレベルの変更を、放送局側から放送受信装置側に好適に伝えることができる。
<再スキャン>
本発明の実施例2の放送受信装置100は、インジェクションレベルの変更に好適に対応するため、新たな再スキャン機能を有する。以下にこれを説明する。
なお、以下の説明で、「インジェクションレベル」と説明している点は、いずれも「インジェクションレベル状態」と読み替えても良い。この理由は以下のとおりである。図16のインジェクションレベル状態の識別ビットの説明で既に説明したとおり、放送受信装置100において、インジェクションレベルの値がそのまま識別可能な場合と、ある程度値の幅をもって状態識別が可能な場合がある。後者の場合は、インジェクションレベルが変更されても、ある程度の幅の間であれば、インジェクションレベルの状態は「変化がない」と判断される。よって、放送受信装置100において、インジェクションレベルの値がそのまま識別可能な場合は、以下の説明において、「インジェクションレベルの変更」はそのままの表現と考えれば良い。また、放送受信装置100において、インジェクションレベルの変化がある程度の幅をもった「状態」単位での変化を識別するものである場合は、以下の説明において、「インジェクションレベル」とは、「インジェクションレベル状態」と読み替えるものとする。
図17に、本発明の実施例2の放送受信装置100の再スキャンの動作シーケンスの一例を示す。なお、同図ではメディアトランスポート方式としてMPEG-2 TSを採用する場合の例を示すが、MMT方式を採用した場合も基本的に同様の処理となる。
まず前提となる処理として、初期スキャン処理においてサービスリストの作成を行う際に、チューナ/復調部で本実施例のAC情報を取得し、AC情報に含まれるインジェクションレベルをROM103の不揮発性メモリまたはストレージ部110の各種情報記憶領域1019にチャンネルごとに記憶しておく。なお、インジェクションレベルがTMCCを用いて伝送される場合は、AC情報をTMCC情報と読み替えれば良い。
放送受信装置100は、チューナ/復調部においてAC情報を取得する(S30001)。次に、ROM103の不揮発性メモリまたは各種情報記憶領域1019に記憶されているインジェクションレベル(初期スキャン時または最新の再スキャン時に記憶されたインジェクションレベル)と、取得したAC情報に含まれているインジェクションレベルを比較し、変更の有無を検出し再スキャンの必要性を判断する(S30002)。インジェクションレベルが同一であった場合は、インジェクションレベルの変更は行われていないため処理を終了する。インジェクションレベルが小さく変更されていることを検出した場合は、下側階層受信範囲が拡大していることを意味する。この場合、下側階層変調波で伝送されている放送番組を受信可能な状態に遷移している可能性があるため、再スキャンの必要性があると判断しS30003の処理に進む。
S30003の処理では、受信したチャンネルにおいて、既に4K放送のサービスリストが存在するかどうかを確認する。存在している場合は、下側階層受信範囲の拡大以前から放送受信装置100は下位階層変調波が受信可能であることを示しており、再スキャンは不要なため処理を終了する。4K放送サービスリストが存在しない場合は、放送受信装置100が新たに下位階層受信範囲内に含まれる可能性があるため、S30004の処理に進む。なお、S30002の処理とS30003の処理の順序を入れ替えても良い。なお、S30003の処理による分岐判断処理は、4K放送サービスリストが既に存在する場合に、新たな再スキャンを省略してインジェクションレベルの変更に基づく再スキャンの頻度を下げるという効果がある。しかしながら、S30003の処理を用いず、インジェクションレベルの変更がある場合には、4K放送サービスリストが既に存在する場合でも、毎回、再スキャンを行うように構成しても良い。この場合は、現在の4K放送の受信状況をより正確にサービスリストに反映することができるという効果がある。
次に、S30004の処理では、再スキャンが可能な状態になるまで待機する。具体的には、第三チューナ/復調部130Lについて、ユーザが視聴中もしくは録画状態でチューナ/復調部が動作中の場合は再スキャンを行わない。チューナ/復調部が動作を行っていない状態、例えばスタンバイ状態に移行した場合、S30005の処理に進む。なお、放送受信装置100に第三チューナ/復調部130Lが複数ある場合は、ユーザが視聴中であったり録画状態であるなどして動作中のチューナ/復調部があっても、その他のチューナ/復調部が動作しておらずスタンバイ状態である場合には、当該スタンバイ状態のチューナ/復調部を用いて再スキャンを行えば良い。次に、S30005の処理においては、第三チューナ/復調部130Lを用い下側階層変調波で伝送される4K放送サービスのスキャンを実施する。なお、スキャンを行う時刻は放送受信装置100が予め規定しておいても良いし、ユーザがスキャン時刻を設定可能としても良い。
続いて、スキャンの結果、新しい4K放送サービスリストが追加されたか(新しい4K放送サービスが追加されたか)を確認する(S30006)。サービスリストが追加されていない場合(新しい4K放送サービスが追加されていない場合)は、当該放送受信装置100は、インジェクションレベルの変更による下位階層受信範囲拡大後も、新たな受信範囲内には含まれていないということになる。よって、処理を終了する。サービスリストが追加された場合は、再スキャンの結果として追加されたサービスリストをユーザに提示する(S30007)。スタンバイ状態中にスキャンを実行してサービスリストが追加された場合、ユーザがON状態にした際に4K放送サービス受信が可能となった旨を最初に表示し、さらに追加サービスリストを表示しても良い。なお、4K放送のサービスリストが作成できれば、4K放送の受信は可能となるため、S30007の処理は必ずしも必要ではない。
図17を用いて説明した例によれば、放送受信装置100がインジェクションレベルの変更を検出して、これを再スキャン開始のトリガーとすることができる。これにより、より好適に再スキャンを開始することが可能となる。なお、「再スキャン開始のトリガー」との表現における「再スキャン開始」とは、S30005の処理による再スキャン開始を意味しても良いが、S30004の処理における再スキャンが可能な状態になるまで待機を開始することを意味しても良い。これは、以下に説明する「再スキャン開始のトリガー」の変形例の説明の全てにおいて同様である。また、図17の例および以降に説明する他の例のいずれにおいても、「再スキャン開始のトリガー」が生じる状況とは、放送受信装置100が「再スキャン」が必要であることを認識または識別したということと同様の意味である。よって、図17の例および以降に説明する他の例のいずれの説明においても、「再スキャン開始のトリガー」が生じた状況において、放送受信装置100が「再スキャン」が必要であることを認識または識別していることになる。
<上側階層変調パラメータ変更の検出による再スキャン>
なお、上述の図17の説明では、処理S30002においてインジェクションレベルの変更を検出し、これをトリガーにして再スキャンを開始した。これに対し、別の変形例として、再スキャンの開始のトリガーをインジェクションレベルの変更の検出ではなく、上側階層変調波の変調パラメータの変更の検出としても良い。これは、インジェクションレベルの変更を行う際に必ず上側階層変調波所要C/Nも変更する必要があるためである。例えば、図14(1)と図14(2)の例では、インジェクションレベルをインジェクションレベル30112からレベル30212に変更するために、上側階層変調波所要C/Nを上側階層変調波所要C/N30111から30211に変更している。上側階層変調波の変調パラメータの変更の検出を、再スキャン開始のトリガーとする場合、初期スキャン時や再スキャン時にTMCC情報および/またはAC情報から上側階層変調波の変調パラメータを取得し、ROM103の不揮発性メモリまたはストレージ部110の各種情報記憶領域1019に記憶する。その後、新たに受信したTMCC情報および/またはAC情報から新たに取得した上側階層変調波の変調パラメータと、ROM103の不揮発性メモリまたはストレージ部110の各種情報記憶領域1019に記憶されている上側階層変調波の変調パラメータとを比較し、変更の有無を検出する。当該検出処理の結果、上側階層変調波の変調パラメータに変更があった場合に、再スキャンを開始すれば良い。
以上説明したように、放送受信装置100が上側階層変調波の変調パラメータの変更を検出して、これを再スキャン開始のトリガーとすることができる。これにより、より好適に再スキャンを開始することが可能となる。
<変調波レベル上昇の検出による再スキャン>
なお、上述の図17の説明では、処理S30002においてインジェクションレベルの変更を検出し、これをトリガーにして再スキャンを開始した。これに対し、「再スキャン開始のトリガー」の別の変形例として、放送受信装置100が受信する変調波レベルの上昇を検出することで再スキャンの必要性を判断しても良い。放送受信装置100の受信する変調波は、電波塔30300から送信される変調波レベル出力を上げると上昇する。もしくは、電波塔30300と放送受信装置100間の伝送環境が改善されても上昇する場合がある。
図18に変調波レベルが上昇した場合の、上昇前後の変調波の一例を示す。図18(1)は図14(1)と同一の変調波である。図18(2)に変調パラメータやインジェクションレベルを変化させず、変調波レベルのみを上昇させた場合の変調波を示す。上側階層変調波30110は変調波レベルが上がって上側階層変調波30710になっている。下側階層変調波30120は変調波レベルが上がって下側階層変調波30720になっている。また、下側階層変調波C/N30122は大きくなり、下側階層変調波C/N30722になっている。一方、上側階層変調波所要C/N30111および下側階層変調波所要C/N30121は変化しない。信号レベルの差を相対比(dB)で示す値であるインジェクションレベル30112も原則として変化しない。
図18(3)は放送受信装置30102が受信する変調波を示し、当該変調波は図14(5)と同一である。前述したように、図14(5)の状態では、下側階層変調波C/N30522は下側階層変調波所要C/N30121より小さくなってしまっており、放送受信装置30102は下側階層変調波30520で伝送される4K放送番組を受信、表示することができない。
図18(4)に、変調波レベルが上がった図18(2)の変調波を送信した場合の放送受信装置30102が受信する変調波を示す。上側階層変調波30810および下側階層変調波30820は、それぞれ図18(3)の上側階層変調波30510および下側階層変調波30520より変調波レベルが上昇する。またインジェクションレベル30112は原則として変化しないが、下側階層変調波C/N30822は図18(3)の下側階層変調波C/N30522よりも増大する。図18(4)の例では、下側階層変調波C/N30822が下側階層変調波所要C/N30121より大きくなっている。つまり、図18(4)の例では、放送受信装置30102は下側階層変調波30520で伝送される4K放送番組が受信、表示ができなかった状態から、下側階層変調波30820で伝送される4K放送番組を受信、表示可能な状態に遷移したことを示している。この状態では、放送受信装置装置30102は、再スキャンを行うことで、4K放送番組を新たに表示することが可能となる。よって、当該状態遷移を検出して再スキャン開始のトリガーとすれば良い。
具体的には、図17の処理S30002においてインジェクションレベルの変更を検出する代わりに、下側階層変調波C/N30822が下側階層変調波所要C/N30121より大きくなったことを検出し、再スキャン開始のトリガーとすれば良い。当該検出を行うために放送受信装置装置100が、下側階層変調波C/N30822と下側階層変調波所要C/N30121の両者を把握する必要がある。
まず、下側階層変調波C/N30822は直接検出できないため、検出可能な他の値を用いて下側階層変調波C/N30822を算出する。下側階層変調波C/N30822の算出方法の一例を以下に説明する。まず第三チューナ/復調部130Lにおいて上側階層変調波C/N30832を検出する。上側階層変調波C/N30832は上側階層変調波30810の変調波レベルとノイズフロア30000との差であるので、インジェクションレベル30112と下側階層変調波C/N30822の和に等しい。したがって、検出した上側階層変調波C/N30832からインジェクションレベル30112を差し引くことで下側階層変調波C/N30822を算出できることができる。
次に、下側階層変調波所要C/N30121は直接取得できない。そこで、例えば4K放送番組を伝送するために必要な下側階層変調波所要C/N30121を予め想定して放送受信装置100内のROM103の不揮発性メモリまたは各種情報記憶領域1019に記憶しておけば良い。
なお、下側階層変調波所要C/N30121を取得する別の例としては、上位階層変調波のTMCC信号、AC信号またはパケットストリーム内の空き領域等を用いて、下位階層変調波所要C/N30121の値を伝送して、放送受信装置100がこれを取得しても良い。このとき、下位階層変調波所要C/N30121を直接伝送せず、下位階層変調波の変調パラメータを伝送して、放送受信装置100において取得した変調パラメータに基づいて、下位階層変調波所要C/N30121を導出しても良い。この場合、放送受信装置100では、予め備えている演算式やルックアップテーブルと、取得した変調パラメータとを用いて下位階層変調波所要C/N30121を導出すれば良い。
そして、このようにして取得または予めROM103の不揮発性メモリまたは各種情報記憶領域1019に記憶された下側階層変調波所要C/N30121と、上述の算出処理で算出した下側階層変調波C/N30822と比較し、下側階層変調波C/N30822が下側階層変調波所要C/N30121より大きくなったことを検出すれば良い。
図18を用いて説明した例によれば、放送受信装置100が受信する変調波レベルの上昇を検出して、これを再スキャン開始のトリガーとすることができる。これにより、より好適に再スキャンを開始することが可能となる。
<4K放送の検出による再スキャン>
また、図17の処理S30002における判断手法の別の変形例として、インジェクションレベルの変更の有無にかかわらず、4Kサービスリストが存在しない場合に、間欠的に第三チューナ/復調部130Lで下層階層変調波の受信処理を繰り返し行い、下層階層変調波の受信可否で再スキャンの必要性を判断しても良い。下層階層変調波の受信が確認された場合は、放送受信装置100が新たに受信可能範囲内に含まれたと判断し、処理S30004に移行し、再スキャン可能な状態になるまで待機すれば良い。間欠的に繰り返す下層階層変調波の受信処理は、1日おきなど周期的に行っても良いし、非周期的な条件で行っても良い。
<変更期日情報または変更時刻情報に基づいた再スキャン>
図17の処理S30002における判断手法の別の変形例として、インジェクションレベル変更期日(またはインジェクションレベル変更期日を含むインジェクションレベル変更時刻)を放送受信装置100が取得し、インジェクションレベル変更期日(またはインジェクションレベル変更時刻)に達した場合に再スキャンを実施しても良い。これも「再スキャン開始のトリガー」の別の変形例となる。まず、TMCC情報および/またはAC情報にインジェクションレベル変更期日を格納して伝送する。例えば、図15に示した伝送パラメータ付加情報の未定義領域を用いて、インジェクションレベル変更期日情報(またはインジェクションレベル変更期日情報を含むインジェクションレベル変更時刻情報)を伝送すれば良い。伝送された情報を放送受信装置100の第三チューナ/復調部130Lで取得する。放送受信装置100は、現在時刻情報等で管理する現在日付(または現在時刻)がインジェクションレベル変更期日(またはインジェクションレベル変更時刻)に達した場合に、再スキャン必要と判断すれば良い。当該処理により再スキャン必要と判断された場合に、処理S30004を開始すれば良い。
以上説明したように、放送受信装置100が取得したインジェクションレベル変更期日と現在日付とを比較することにより、現在日付がインジェクションレベル変更期日に達したことを再スキャン開始のトリガーとすることができる。または放送受信装置100が取得したインジェクションレベル変更時刻と現在時刻と比較することにより、現在時刻がインジェクションレベル変更時刻に達したことを再スキャン開始のトリガーとすることができる。これにより、より好適に再スキャンを開始することが可能となる。
なお、放送受信装置100は、放送波で伝送されるMH-TOT等から現在日付や現在時刻を取得すれば良い。
このように、インジェクションレベル変更期日またはインジェクションレベル変更時刻を再スキャン開始のトリガーとすることができる。これにより、放送受信装置100は事前にインジェクションレベル変更期日またはインジェクションレベル変更時刻を把握することができ、より好適に再スキャンを開始することが可能となる。
<ユーザへの再スキャン開始可否問い合わせ表示>
図17の処理S30004の変形例として、再スキャン可能状態を待機せず、ユーザに再スキャンの必要性を即座に通知する処理に変更することも可能である。具体的には、処理S30004で待機状態に入る代わりに、4K放送番組の受信可能性および再スキャンの必要性を説明する表示を行う。これにより再スキャンの開始可否をユーザに選択させるように構成しても良い。ユーザが再スキャン開始を選択した場合は即座に再スキャン処理を開始し、開始を選択しなかった場合は、再スキャン可能状態待機処理S30004に戻れば良い。
このように、ユーザに提示した再スキャン開始可否問い合わせに対する、ユーザの選択結果を再スキャン開始のトリガーとすることができる。これにより、ユーザの都合を反映してより好適に再スキャンを開始することが可能となる。
(実施例3)
<放送局側システムにおける周波数インターリーブ>
本発明の実施例3について、説明する。本発明の実施例3は実施例1に係るデジタル放送システムにおいて、周波数インターリーブおよびデインターリーブの動作設定を変更することが可能なように構成したものである。以下、実施例1と相違する点について説明する。以下で説明する点以外のその他の構成、処理、動作は、実施例1と同様であるため再度の説明は省略する。
図4Dの伝送路符号化部416に含まれる周波数インターリーブの構成を図19Aに示す。セグメント分割において、部分受信部、セグメント形式1の変調部、セグメント形式2の変調部の順に、データセグメント番号0から12が割り当てられる。なお、セグメント形式1の変調部は、従来の周波数インターリーブの構成では差動変調専用の差動変調部(キャリア変調がDQPSKに指定されたセグメント)であったものを、本実施例において、差動変調と同期変調に対応可能なように拡張したものである。なお、セグメント形式2の変調部は、同期変調専用の同期変調部(キャリア変調がQPSK、16QAMおよび64QAM、または256QAM、1024QAMおよび4096QAMに指定されたセグメント)である。部分変調部はセグメント内キャリアローテーションとセグメント内キャリアランダマイズ、即ちセグメント内インターリーブが施される。セグメント形式1の変調部とセグメント形式2の変調部は、それぞれセグメント間インターリーブとセグメント内インターリーブが施される。
なお、階層構成とデータセグメントの関係については、各階層のデータセグメントは番号順に連続的に配置されるものとし、データセグメントの小さい番号を含む階層から、A階層、B階層、C階層とする。また、従来の周波数インターリーブの構成では、階層が異なる場合でも、同じ種類の変調部に属するデータセグメントには、セグメント間インターリーブが施される。通常は、B階層およびC階層は2K以上の解像度の放送番組を伝送するため、伝送容量の大きい同期変調が用いられる。よって、従来の周波数インターリーブの構成では、この場合、B階層とC階層はともに同期変調部の処理が施されるので、B階層とC階層とが混在した状態で、セグメント間でインターリーブが施されてしまうことになる。
図20(1)に階層伝送の一例を示す。A階層が部分受信のデータ、B階層が5セグメントを使用する同期変調データ、C階層が7セグメントを使用する同期変調データとする。この場合、A階層はセグメント番号0の1セグメントにおいてセグメント内インターリーブのみが施され、B階層とC階層は、セグメント番号1から12の12セグメントにおいてセグメント間およびセグメント内インターリーブが施された伝送スペクトルを持つ信号が生成される。この伝送スペクトルは、図7A(2)に示した、偏波両用伝送方式における13セグメントの割り当て例の水平偏波に相当する。一方、図7A(2)に示した垂直偏波について、階層伝送のイメージを図20(3)に示す。図7A(2)に示した例では、垂直偏波は5セグメントを用いるB階層のみで構成されており、セグメント番号1から12の12セグメントにB階層のキャリアがインターリーブされた伝送スペクトルを持つ信号となる。
図20(1)と図20(3)に示した伝送スペクトルより、垂直偏波のB階層は、水平偏波のB階層およびC階層と、同一セグメントかつ同一周波数を使用することがわかる。このため、従来の周波数インターリーブを施した場合、水平偏波と垂直偏波間で干渉が発生するという課題がある。特に現行の地上デジタル放送受信機は、水平偏波で伝送される2K放送のC階層のみを受信するが、垂直偏波からの干渉を想定しておらず、C階層の受信性能が劣化する。
そこで、本発明の実施例では、B階層とC階層が同期変調であっても、B階層とC階層のセグメント間インターリーブを施さず、階層内のみのインターリーブを施すように構成する。即ち、図19Aに示した周波数インターリーブにおいて、B階層とC階層がともに同期変調であるとき、B階層はセグメント形式1の変調部を用いて同期変調を行い、C階層はセグメント形式1の変調部とは異なるセグメント形式2の変調部を用いて同期変調を行う。セグメント間インターリーブは、セグメント形式1の変調部とセグメント形式2の変調部の変調部とで独立して行う。このようにすれば、B階層とC階層とが混在したセグメント間インターリーブが行われなくなる。
図20(2)に、図20(1)と同一のデータについて、B階層をセグメント形式1の変調部における変調(同期変調)、C階層をセグメント形式2の変調部における変調(同期変調)として処理を施した場合の階層伝送のイメージを示す。セグメント形式1の変調部とセグメント形式2の変調部とは、それぞれ独立してセグメント間インターリーブが施されるので、セグメント番号1から5にB階層が割り当てられ、セグメント番号6から12にC階層が割り当てられた伝送スペクトルが生成される。この伝送スペクトルが、図7A(2)に示した、偏波両用伝送方式における13セグメントの割り当て例の水平偏波に相当する。一方、図7A(2)に示した垂直偏波について同様の処理を施した場合の階層伝送のイメージを図20(4)に示す。垂直偏波はセグメント番号1から5の5セグメントにB階層が割り当てられた伝送スペクトルを持つ信号となる。
このように、本実施例に係る周波数インターリーブでは、B階層とC階層で異なる周波数インターリーブ処理部を用いることにより、B階層とC階層は完全に異なる周波数帯域を用いて伝送される。よって、水平偏波で伝送されるC階層は垂直偏波からの干渉を受けることがなく、水平偏波で伝送される2K放送のC階層のみを受信する現行の地上デジタル放送受信機のC階層の受信性能が劣化することがない。
本発明の実施例では、上記動作を実現するために、図4Dに示した伝送路符号化部416において、周波数インターリーブ部では、B階層をセグメント形式1の変調部における変調(同期変調)、C階層をセグメント形式2の変調部における変調(同期変調)として処理を施す。また、マッピング部では、B階層およびC階層はそれぞれ同期変調として処理を施す。さらに、この処理を実現するために、本実施例では、図5Aに示した、TMCC情報に含まれるビット割り当てB17-B19のセグメント形式識別の値の定義を図5Lに示すように拡張する。そして、B階層とC階層で異なる値を割り当てる。
図5LのB17-B19のセグメント形式識別の値の定義では、「111」は、セグメント形式1を意味し、セグメント形式1は偏波両用伝送方式を用いた高度地上デジタル放送サービス(4K放送)が含まれる放送では同期変調を意味し、現行の2K放送などの他の放送では差動変調を意味する。「000」は、セグメント形式2を意味し、偏波両用伝送方式で偏波両用伝送方式を用いた高度地上デジタル放送サービス(4K放送)が含まれる放送では同期変調を意味し、現行の2K放送などの他の放送でも同期変調を意味するようにする。このように構成することで、図7A(2)のように偏波両用伝送方式で、B階層で水平偏波と垂直偏波を両用して伝送する場合は、図5Lに示したビット割り当てB17-B19のセグメント形式識別にセグメント形式1を示す「111」を設定する。
これにより、偏波両用伝送方式を用いた高度地上デジタル放送サービス(4K放送)に対応した受信機であれば、セグメント形式識別「111」は、高度地上デジタル放送サービス(4K放送)が含まれる放送におけるセグメント形式1を意味し、変調方式は同期変調であると判断することができる。また、現行の地上デジタル放送サービス(2K放送)専用受信機や現行の地上デジタル放送サービス(2K放送)専用受信部では、ビット割り当てB17-B19のセグメント形式識別は図5Aにしたがって判断するので、「111」は差動変調であると判断する。よって、このようにすれば従来方式の機器や従来方式で動作する受信部に影響を与えることはない。
一方、水平偏波のみで伝送するC階層は、セグメント形式2を示す「000」を設定する。これにより、偏波両用伝送方式を用いた高度地上デジタル放送サービス(4K放送)に対応した受信機であれば、セグメント形式識別「000」は、高度地上デジタル放送サービス(4K放送)が含まれる放送におけるセグメント形式2を意味し、変調方式は同期変調であると判断することができる。また、現行の地上デジタル放送サービス(2K放送)専用受信機や現行の地上デジタル放送サービス(2K放送)専用受信部では、ビット割り当てB17-B19のセグメント形式識別は図5Aにしたがって判断するので、「000」は同期変調であると判断する。このように、現行の地上デジタル放送サービス(2K放送)専用受信機や現行の地上デジタル放送サービス(2K放送)専用受信部でも、ビット割り当てB17-B19のセグメント形式識別は「000」は同期変調であると判断する。よって、このようにすれば従来方式の機器や従来方式で動作する受信部に影響を与えることはない。
<受信機における周波数デインターリーブ>
次に、本発明の実施例に係る伝送信号を受信する放送受信装置の動作を説明する。図21Aは、現行の地上デジタル放送サービス(2K放送)専用受信部である図2Bに示した復調部133Cおよび階層処理/エネルギー逆拡散/誤り訂正復号/ストリーム再生部134Cの詳細構成を示すブロック図であり、水平偏波で伝送される現行の2K放送番組を受信する機能を有する。
復調部133Cにおいて、選局/検波部131Cから入力された信号は、直交復調を行い、同期再生によりOFMDシンボル同期およびFFTサンプル周波数を再生する。OFMDシンボルの有効期間についてFFTを実施するとともに、フレーム同期信号を抽出する。TMCC復号部132Cで抽出したTMCC情報に応じ、キャリア復調部で差動復調または同期復調を行う。続いてTMCC情報に応じ、周波数デインターリーブ、時間デインターリーブを施し、デマッピングを実施してビット情報を抽出する。
続いて、階層処理/エネルギー逆拡散/誤り訂正復号/ストリーム再生部134Cにおいて、階層伝送実施の場合は各階層に分割し、分割された階層ごとにビットデインターリーブおよびデパンクチャ処理を行う。階層合成後にビタビ復号を実施し、再び階層分割して階層ごとにバイトデインターリーブおよびエネルギー逆拡散を行い、トランスポートストリーム再生後にリードソロモン復号を行ってパケットストリームを出力する。
図19Cに、復調部133Cの周波数デインターリーブ部30030の詳細構成を示す。周波数デインターリーブは図19Aに示した周波数インターリーブと逆の処理を行うため、キャリア復調後のセグメントについて、部分受信部、差動変調部および同期変調部に分けて処理する。部分変調部はセグメント内キャリアデランダマイズと、セグメント内キャリアローテーション、即ちセグメント内デインターリーブが施される。差動変調部と同期変調部は、それぞれセグメント内デインターリーブとセグメント間デインターリーブとが施される。
ここで、図19Cでは、TMCC情報に含まれる部分受信フラグならびにセグメント形式識別に応じて、周波数デインターリーブ部30030で実施する処理を選択する。具体的には、図5Bに示したビット割り当てB27の部分受信フラグが「1」即ち「伝送帯域中央のセグメントが部分受信」と設定されていれば、セグメント0のキャリアは部分変調部の処理を行う。図19Cは、現行の地上デジタル放送サービス(2K放送)専用受信部では現行の地上波デジタル放送のみを受信する復調部133Cに含まれるであるので、セグメント1から12については、図5Aに示したビット割り当てB17-B19のセグメント形式識別に従って判断する。即ち、ビット割り当てB17-B19のセグメント形式識別が「111」と設定されていれば差動変調と判断し差動変調部の処理を行う。ビット割り当てB17-B19のセグメント形式識別が「000」と設定されていれば同期変調と判断し、同期変調部の処理を行う。
既に説明したように、本発明の実施例に係る偏波両用伝送方式を用いた高度地上デジタル放送サービス(4K放送)の伝送符号化部では、図5Lに従って、TMCC情報として、B階層にはビット割り当てB17-B19のセグメント形式識別にセグメント形式1かつ同期変調を示す「111」が設定されている。また、C階層にはセグメント形式2かつ同期変調を示す「000」が設定されている。
したがって、復調部133Cが、偏波両用伝送方式を用いた高度地上デジタル放送サービス(4K放送)を含む本実施例の放送波に含まれる、水平偏波で伝送される現行の地上デジタル放送サービス(2K放送)を復調する場合であっても、C階層のみが同期変調としての周波数デインターリーブが施されるため、C階層で伝送される2K放送番組のストリームを出力することが可能となる。また、B階層とC階層は完全に異なる周波数帯域を用いて伝送されているため、水平偏波で伝送されるC階層は垂直偏波からの干渉を受けず、C階層の受信性能の劣化をより好適に防止することができる。
なお、偏波両用伝送方式を用いた高度地上デジタル放送サービス(4K放送)のB階層は実際には同期変調がなされているが、セグメント形式識別は「111」に設定されている。現行の地上デジタル放送サービス(2K放送)専用の受信部に含まれる復調部133Cでは、図5Aに従って、セグメント形式識別「111」を差動変調と判断するため、B階層を正しくキャリア復調することはできない。しかし、復調部133Cは、現行の地上デジタル放送サービス(2K放送)専用の受信機能であるので、4K放送がキャリア復調できなくとも問題とはならない。このように、本発明の実施例に係る周波数インターリーブを施した高度地上デジタル放送の伝送波は、現行の地上デジタル放送を受信する受信部の受信性能の劣化を好適に防止することができる。
また、現行の地上デジタル放送サービス(2K放送)専用の放送受信機は、図21Aおよび図19Cと同じ構成を有する。現行の地上デジタル放送サービス(2K放送)専用の放送受信機が、偏波両用伝送方式を用いた高度地上デジタル放送サービス(4K放送)を含む本実施例の放送波に含まれる水平偏波で伝送される現行の地上デジタル放送サービス(2K放送)を復調する場合は、上述の復調部133Cの例と同様となる。即ち、C階層のみが同期変調としての周波数デインターリーブが施されるため、C階層で伝送される2K放送番組のストリームを出力することが可能となる。
また、B階層とC階層は完全に異なる周波数帯域を用いて伝送されているため、水平偏波で伝送されるC階層は垂直偏波からの干渉を受けず、C階層の受信性能の劣化をより好適に防止することができる。ここで、偏波両用伝送方式を用いた高度地上デジタル放送サービス(4K放送)のB階層は実際には同期変調がなされているが、セグメント形式識別が「111」が設定されている。現行の地上デジタル放送サービス(2K放送)専用の放送受信機では、図5Aに従ってセグメント形式識別「111」を差動変調と判断するため、B階層を正しくキャリア復調することはできない。しかし、現行の地上デジタル放送サービス(2K放送)専用の放送受信機が、4K放送をキャリア復調できなくとも問題とはならない。このように、本発明の実施例に係る周波数インターリーブを施した高度地上デジタル放送の伝送波は、現行の地上デジタル放送サービス(2K放送)専用の放送受信機の受信性能の劣化を好適に防止することができる。
<偏波両用受信機の受信動作>
次に、本発明の実施例に係る偏波両用地上デジタル放送受信装置の動作を説明する。図21Bに、図2Cに示した第二チューナ/復調部130Tの異なる構成例を示す。図2Cと異なり、復調部30133Vには、水平偏波の選局/検波部131Hと垂直偏波の選局/検波部131Vの両方の検波信号が入力される。また、階層処理/エネルギー逆拡散/誤り訂正復号/ストリーム再生部30134Vは復調部30133Vの出力信号を用いて処理を行う。
図21Cは、復調部30133Vおよび階層処理/エネルギー逆拡散/誤り訂正復号/ストリーム再生部30134Vの詳細構成を示すブロック図である。選局/検波部131Hから入力された信号は、水平偏波処理部31133Hにおいて、直交復調を行い同期再生によりOFMDシンボル同期およびFFTサンプル周波数を再生する。OFMDシンボルの有効期間についてFFTを実施するとともに、フレーム同期信号を抽出する。さらにTMCC復号部132Hで抽出したTMCC情報に応じ、キャリア復調部で同期復調を行う。同様に、選局/検波部131Vから入力された信号は、垂直偏波処理部31133Vにおいて、直交復調、同期再生、FFT、フレーム抽出を行い、TMCC復号部132Vで抽出したTMCC情報に応じキャリア復調部で同期復調を行う。
次に、MIMO検出部30010において、水平偏波処理部31133Hと垂直偏波処理部31133Vの出力信号を用いて、2×2のMIMO検出を行う。続いてデインターリーブ部30020において、TMCC復号部132Hおよび132Vで抽出したTMCC情報に応じ時間デインターリーブおよび周波数デインターリーブを施す。なお、デインターリーブ部30020において偏波間デインターリーブを施しても良い。
階層処理/エネルギー逆拡散/誤り訂正復号/ストリーム再生部30134Vは、LLR(Log-Likelihood Ratio)算出、ビットデインターリーブ、LDPC復号およびBCH復号を行い、水平偏波と垂直偏波で伝送された4K放送番組のパケットストリームを出力する。
既に説明したように、本発明の実施例に係る放送局側の伝送路符号化部では、TMCC情報として、図5Lに従って、B階層にはビット割り当てB17-B19のセグメント形式識別に「111」が設定されており、C階層には同期変調を意味する「000」が設定されている。本発明の実施例に係る放送受信装置の図21Bの構成では、B階層のセグメント形式識別「111」の場合、セグメント形式1を意味し、セグメント形式1は、偏波両用伝送方式を用いた高度地上デジタル放送サービス(4K放送)が含まれる放送では同期変調を意味すると判断する。よって、水平偏波処理部31133Hおよび垂直偏波処理部31133Vにおけるキャリア復調では、は、B階層に対して同期変調を行う。
また、別の処理例としては、水平偏波処理部31133Hおよび垂直偏波処理部31133Vでキャリア復調を行う場合には、TMCCのB17-B19のセグメント形式識別を用いずに、キャリア変調マッピング方式のみに従って処理を行っても良い。具体的には、図5Eに示したTMCC情報のキャリア変調マッピング方式が、B階層について同期変調を示す場合、水平偏波処理部31133Hおよび垂直偏波処理部31133VでB階層の同期復調を行えば良い。図5Eに示したTMCC情報のキャリア変調マッピング方式が、B階層についてQPSK,16QAM,64QAM、256QAM、1024QAMまたは4096QAMに設定されている場合は、水平偏波処理部31133Hおよび垂直偏波処理部31133VでB階層について同期復調を行えば良い。
さらに、デインターリーブ部30020は、同一階層内のみでセグメント間周波数デインターリーブを行う。即ち、B階層内のみのセグメント間デインターリーブを行うことにより、水平偏波と垂直偏波で伝送されたB階層の4K放送ストリームを出力することができる。
図19Bにデインターリーブ部30020の具体的な構成の一例を示す。図19Bの構成では、TMCC情報のB17-B19のセグメント形式識別を図5Lに従って判断する。上述のとおり、本実施例に係る放送局側の伝送路符号化部では、TMCC情報のB17-B19のセグメント形式識別について、B階層は「111」が設定されており、C階層は「000」が設定されており、両者の値は異なっている。B階層は、セグメント形式識別「111」が設定されており、図19Bの構成では図5Lに従って、セグメント形式1を意味すると判断される。よって、セグメント形式1用の経路で処理が行われ、セグメント間デインターリーブはB階層内のみで行われる。その結果、水平偏波と垂直偏波で伝送されたB階層の4K放送ストリームを取得することができる。なお、C階層は「000」が設定されており、図19Bの構成では図5Lに従って、セグメント形式2を意味すると判断されるため、C階層のセグメントが、セグメント形式1用の経路で処理されることはなく、C階層のセグメントがB階層のセグメント間デインターリーブ処理に含まれることはない。
なお、図19Bの構成例には、部分変調セグメントの処理経路と、セグメント形式2の処理経路を図示したが、B階層の4K放送ストリームのみを取得する目的で構成するのであれば、部分変調セグメントの処理経路と、セグメント形式2の処理経路は特に必要はない。ただし、A階層の部分変調セグメントの復調結果や、C階層のセグメント形式2のセグメントの復調結果を他の何らかの制御に用いる場合や、A階層やC階層の復調機能の共用回路として構成する場合は、これらの処理経路を備えていても構わない。
以上説明した構成により、本発明の実施例に係る偏波両用地上デジタル放送受信装置は、現行の地上デジタル放送受信機の受信性能を劣化させないように生成した高度地上デジタル放送の伝送波から、水平偏波と垂直偏波で伝送される放送サービスを受信することができる。
(実施例4)
<BS/CS放送との混合配線>
図22に、本発明の実施例に係る偏波両用伝送方式を用いた高度地上デジタル放送サービスの放送システムの構成例の一例を示す。これは、高度地上デジタル放送サービスの送信側のシステム、高度BS/CSデジタル放送サービスの送信側のシステム、および放送受信システム(中間設備2200および放送受信装置100を含む)を共に示したものである。本実施例に係る高度地上デジタル放送システムの構成は、図7Bや図7Cの構成をベースにさらに改良した構成であり、放送局の設備である衛星30300Bは高度BS/CSデジタル放送を送出可能な送信アンテナとなる。また、図22の例では、放送受信装置100は第二チューナ/復調部130Tの選局/検波部131Hと選局/検波部131V、ならびに第四チューナ/復調部130Bの選局/検波部131Bのみを抜粋して記載し、他の動作部は記載を省略している。
衛星30300Bから送出された高度BS/CSデジタル放送信号は、衛星受信アンテナ200Bで受信され、変換部201Bにおいて周波数変換され、同軸ケーブル30202Bを介して、混合部30400に入力される。一方、高度地上デジタル放送の水平偏波信号と垂直偏波信号は、アンテナ200Tで受信され、変換部201T1において周波数変換され、同軸ケーブル30202Tを介して混合部30400に入力される。混合部30400は水平偏波信号、垂直偏波信号および高度BS/CSデジタル放送信号を混合し、同軸ケーブル30204を介して分波部30401に入力される。一本の同軸ケーブル30204で全ての受信信号を配信できるため、設備のコスト面およびケーブル配線時の取り扱いに好適となる。
分波部30401は水平偏波信号および垂直偏波信号と、高度BS/CSデジタル放送信号を分波し、水平偏波信号および垂直偏波信号は同軸ケーブル202T3を介して分波部30203Tに入力される。高度BS/CSデジタル放送信号は同軸ケーブル30201Bを介してコネクタ部100Bから選局/検波部131Bに入力される。分波部30203Tは水平偏波信号と垂直偏波信号を分波し、水平偏波信号は同軸ケーブル202T1を介してコネクタ部100F1から選局/検波部131Hに、垂直偏波信号は同軸ケーブル202T2を介してコネクタ部100F2から選局/検波部131Vに入力される。
電源部30135Bは、コネクタ部100Bに接続されており、同軸ケーブル30201B,分波部30401、同軸ケーブル30204、混合部30400および同軸ケーブル30202Bを介して、変換部201Bに対して動作用電力を供給する。同様に、電源部30135Tは、コネクタ部100F2に接続されており、同軸ケーブル202T2,分波部30203T,同軸ケーブル202T3、分波部30401、同軸ケーブル30204、混合部30400および同軸ケーブル30202Tを介して変換部201T1に動作用電源を供給する。電源部30135Tは、コネクタ100F1に接続されても良い。また、電源部30135Tまたは電源部30135Bのいずれかのみで変換部201Tおよび変換部201Bに同時に電源供給を行っても良い。この場合、変換部201Tと変換部201Bの電源電圧は同一とし、変換部201Tと変換部201Bの合計の消費電力よりも電源部30135Tまたは電源部30135Bの供給電力を大きくすれば良い。
また、コネクタ部100F2に接続される通信部30136Tを有し、変換部201T1と通信を行うことによって、変換部201T1で行う変換処理を切り替え可能としても良い。例えば、図7Dに示した例では垂直偏波信号に対して周波数変換処理を行っているが、通信部30136Tから変換切替信号を送信し、変換部201T1で変換切替信号を受信した場合は水平偏波信号に対して周波数変換処理を行うように切り替える処理を行う。この処理により、垂直偏波が主たる偏波である場合においても、主たる偏波の信号を選局/検波部131Hに入力することが可能となる。また、変換部201T1を使用しない構成の場合に備えて、電源部30135Tからの電源供給または停止を選択する機能をシステムメニュー内に準備しておけば良い。さらに、電源部30135Tからの電源供給が選択されている場合でも、選局/検波部131Hと選局/検波部131Vの選局周波数が同一である場合は、変換部201T1を使用しない構成と判断し、電源部30135Tからの電源供給を停止しても良い。この動作を行った場合、電源部30135Tからの電源供給選択機能のメニュー選択肢を電源停止側に自動的に変更しても良い。以上説明したように、本発明の実施例に係る放送受信システムは、設備のコスト面およびケーブル配線時の取り扱いに好適となる一本の同軸ケーブルを用いて、全ての放送信号を配信することができる。
以上、本発明の実施形態の例を、実施例1~4を用いて説明したが、本発明の技術を実現する構成は前記実施例に限られるものではなく、様々な変形例が考えられる。例えば、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成と置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。これらはすべて本発明の範疇に属するものである。また、文中や図中に現れる数値やメッセージ等もあくまでも一例であり、異なるものを用いても本発明の効果を損なうことはない。
前述した本発明の機能等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良い。また、マイクロプロセッサユニット等がそれぞれの機能等を実現する動作プログラムを解釈して実行することによりソフトウェアで実現しても良い。ハードウェアとソフトウェアを併用しても良い。
なお、放送受信装置100を制御する前記ソフトウェアは、製品出荷の時点で予め放送受信装置100のROM103および/またはストレージ部110等に格納された状態であっても良い。製品出荷後にインターネット200上のその他のアプリケーションサーバ500等からLAN通信部121を介して取得するものであっても良い。また、メモリカードや光ディスク等に格納された前記ソフトウェアを、拡張インタフェース部124等を介して取得しても良い。同様に、携帯情報端末700を制御する前記ソフトウェアは、製品出荷の時点で予め携帯情報端末700のROM703および/またはストレージ部710等に格納された状態であっても良い。製品出荷後にインターネット200上のその他のアプリケーションサーバ500等からLAN通信部721若しくは移動体電話網通信部722等を介して取得するものであっても良い。また、メモリカードや光ディスク等に格納された前記ソフトウェアを、拡張インタフェース部724等を介して取得しても良い。
また、図中に示した制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、必ずしも製品上のすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆どすべての構成が相互に接続されていると考えても良い。