JP7476137B2 - 岩盤評価方法 - Google Patents
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Description
ボーリング孔やロックボルト孔等を事前に削孔する場合には、深度毎の削孔データとして、削孔時の削孔エネルギー、打撃圧、回転圧、削孔速度等を得ることができる。削孔エネルギーは対象となる岩盤の一軸圧縮強さに関連するとされている。削孔エネルギーが高ければ岩盤の一軸圧縮強さは大きく硬いと評価され、削孔エネルギーが低ければ岩盤の一軸圧縮強さは小さく軟らかいと評価される。
ところが、掘削ズリ(スライム)が孔底に溜まった状態で削孔すると、見かけ上の削孔エネルギーが高くなり、岩盤が実際とは異なり硬いと誤評価してしまうおそれがある。
そのため、本出願人は、岩盤の評価を定量的かつ高精度に実施できる岩盤評価方法として、削孔エネルギーと併せて、岩盤の穿孔に伴って発生した穿孔岩屑(掘削ズリ)の成分と、色彩値もしくは磁性率とに基づいて評価する方法を開示している。成分、色彩値、帯磁率の測定は、それぞれ成分分析計、色彩計、帯磁率計により測定する。特許文献1の岩盤評価方法では、削孔時に採取された深度毎の穿孔岩屑に対して測定を行うものである。
かかる岩盤評価方法では、削孔エネルギーによる評価と、ハイパースペクトル画像による評価を組み合わせることで、高精度な評価が可能となる。また、掘削孔内に挿入したハイパースペクトルカメラにより撮影した画像から得られる各種データにより評価を行うため、岩盤内部の実情を確認することができる。すなわち、地中での風化状況や亀裂の状況を適切に把握することができ、より高精度な岩盤評価が可能となる。
また、前記第一分類作業において、鉱物種、風化の程度および割れ目間隔について、それぞれ所定深度毎に数値分類すれば、岩盤内部の鉱物種、支障鉱物の有無、風化の程度などを定量的に評価できる。
さらに、複数の前記掘削孔において取得された前記ハイパースペクトル画像から得られる各種データおよび前記削孔エネルギーを利用して岩級区分の3次元分布図を作成する総合評価工程をさらに備えていれば、視覚的に岩盤状況を把握することができる。
本実施形態の岩盤評価方法は、図1に示すように、削孔データ取得工程S1と、画像データ取得工程S2と、岩盤評価工程S3と、総合評価工程S4とを備えている。
本実施形態の掘削孔は、施工領域に対して削孔した複数のボーリング孔である。ボーリング孔を削孔する際には、削孔データとして、深度毎に削孔エネルギー、打撃圧、回転圧、削孔速度等を取得する。
ハイパースペクトルカメラは、掘削孔1内を撮影することで、スペクトル画像を取得する。本実施形態のハイパースペクトルカメラは、縦軸(ボーリング孔の軸)を中心に回転する回転機構と、掘削孔1を進退(昇降)できる進退機工とを備えている。ハイパースペクトルカメラは、掘削孔1の断面形状(掘削孔1の内径)よりも小さな外形形状(外径)を有している。ハイパースペクトルカメラは、掘削孔1の削孔後、掘削孔1内の水(地下水等)を除去してから掘削孔1内に挿入する。
ハイパースペクトル画像は、掘削孔1内においてハイパースペクトルカメラを360°回転させることにより撮影した孔壁の画像であって、図2に示すように、展開図として保存する。
岩盤評価工程S3では、図1に示すように、第一分類作業S31と、第二分類作業S32と、評価作業S33とを行う。
第一分類作業S31では、ハイパースペクトル画像から得られる各種データに基づいて所定深度毎に数値分類する。具体的には、鉱物種、風化の程度および割れ目間隔について、それぞれ所定深度毎に数値分類する。ここで、ハイパースペクトル画像は、位置情報とともに、スペクトルと呼ばれる波長毎の反射率または吸光度の情報を含んでおり、ハイパースペクトル画像内の小領域(画素)ごとに、横軸に波長、縦軸に反射率または吸光度を示したスペクトル曲線(スペクトル画像)を取得できる。鉱物は、固有のスペクトルを有しているため、スペクトル曲線(スペクトル画像)を解析すれば、鉱物を同定することができる。そのため、ハイパースペクトル画像から得られる各種データにより、鉱物の組み合わせから岩種を推測するとともに、位置情報から分布を推測できる。また、風化の程度と割れ目間隔に基づいて分類を行う。図3に、ハイパースペクトル画像から得られる各種データを用いた数値分類の例を示す。
図3(a)に示すように、ハイパースペクトル画像から展開図を作成する。展開図を所定の深度(本実施形態では10cm)毎に区分し、区分された画像内に占める岩種の面積の頻度分布を作成する。岩種毎に数値を設定しておき、図3(b)に示すように、最も多く占める岩種を当該深度の代表値とする。
また、ハイパースペクトル画像から得られる各種データに基づいて、風化の程度および割れ目の間隔についても深度毎に数値区分する。図4(a)に風化の程度、(b)に割れ目の間隔で数値区分された模式図を示す。
図5(a)に示すように、掘削孔の掘削に伴い、深度毎の削孔エネルギーを取得したら、図5(b)に示すように、取得した削孔エネルギーを、所定の深度(本実施形態では10cm)毎に平均値を算出し、この平均値により数値分類を行う。削孔エネルギーは、所定の閾値により分類する(例えば、硬い(E≧70MJ/m3)、やや硬い(45≦E<70MJ/m3)、軟らかい(E<45MJ/m3))。
図6に示すように、評価作業では、ハイパースペクトル画像から得られる各種データに基づいて設定した鉱物種の深度毎の数値(岩種を示す指標)と、風化の程度に基づいて設定した深度毎の数値(風化の程度を示す指標)と、割れ目の間隔に基づいて設定した深度毎の数値(割れ目の間隔の大きさを示す指標)と、削孔エネルギーに基づいて設定した深度毎の数値(硬さの程度を示す指標)とを利用して、深度毎の岩級区分を決定する。
表1に示すように、岩種および硬さの指標毎に、風化の程度および割れ目間隔に基づく岩級区分の表を作成しておく。岩種および硬さに対応した表を選択し、選択した表において風化の程度および割れ目間隔の数値を当てはめることで、岩級区分を行う。例えば、硬さが1の玄武岩(岩種指標4)について風化の程度が2で割れ目間隔が3の場合、表1から、岩級はCMに区分される。なお、例えば、風化の程度が3、割れ目間隔が2の場合には、あてはまる岩級がないため、岩種または強度を選定し直す。
図7(a)に示すように、複数の掘削孔毎に岩級区分を行ったら、図7(b)に示ように3次元モデル化を行う。このとき、掘削孔同士の間の領域は、ハイパースペクトル画像から得られる各種データを参照して、岩種の境界や割れ目の向き等に基づいて補完する。
削孔エネルギー(岩盤の硬さ)による評価に加え、風化度合や割れ目を含めて評価を行うため、より高精度な評価が可能である。また、削孔時の掘削ズリ(スライム)が掘削孔の孔底に滞留することで見かけ上の削孔エネルギーが高くなった場合であっても、ハイパースペクトル画像により撮影されたスペクトル画像のデータと組み合わせて岩級区分の判定を行うため、岩種や岩盤強度の誤判定を抑制できる。
また、数値的に岩盤評価を行うことで、定量的な評価ができる。
また、前記第一分類作業では、鉱物種、風化の程度および割れ目間隔について、それぞれ所定深度毎に数値分類しているため、岩盤内部の岩種、支障鉱物の有無、風化の程度などを定量的に評価できる。
さらに、岩級区分の3次元分布図を作成することで、視覚的に岩盤状況を把握できる。また、掘削孔において採取した岩盤表面(掘削孔の孔壁)のデータだけではなく、地盤内部の硬さ、支障鉱物の有無、岩種、風化状況、亀裂状況等を把握して、本施工に活用できる。
岩盤を対象とした掘削工事とは、例えば、山岳トンネルにおける掘削、ダムの堤体基礎の岩盤掘削、ダムを構成する岩石採取のための岩盤掘削等がある。
掘削孔は、ボーリング孔に限定されるものではなく、例えば、トンネル工事における先進ボーリング孔、装薬孔、ロックボルト孔、グラウンドアンカー孔等であってもよい。掘削孔の削孔に使用する装置は、限定されるものではなく、例えば、ボーリングマシン、ドリルジャンボ、クローラドリル等を使用すればよい。トンネル工事における先進ボーリングや装薬孔を利用すれば、日常の施工サイクルで得られる削孔データを使用することができ、効率的である。
また、掘削孔は、縦方向に掘削してもよいし、横方向に掘削してもよく、また、水平に対して傾斜していてもよい。
前記実施形態では、ハイパースペクトルカメラが回転機構と進退機構とを備えている場合について説明したが、パイパースペクトルカメラの構成は限定されるものではない。例えば、ハイパースペクトルカメラが撮影する掘削孔が横向きの場合には、昇降機構に代えて横移動するための機構を備えるものとする。また、回転機構に代えて、360°カメラと組み合わせて使用してもよい。
総合評価工程は、必要に応じて行えばよい。
Claims (4)
- 岩盤を削孔して掘削孔を形成するとともに削孔時の削孔エネルギーを取得する削孔データ取得工程と、
前記掘削孔内にハイパースペクトルカメラを挿入してハイパースペクトル画像を取得する画像取得工程と、
前記削孔エネルギーおよび前記ハイパースペクトル画像から得られる各種データにより岩級区分を行う岩盤評価工程と、を備えることを特徴とする、岩盤評価方法。 - 前記岩盤評価工程では、
前記ハイパースペクトル画像から得られる各種データに基づいて所定深度毎に数値分類する第一分類作業と、
前記削孔エネルギーの所定深度毎の平均値を算出して前記平均値を数値分類する第二分類作業と、
前記ハイパースペクトル画像から得られる各種データに基づく数値分類と、前記削孔エネルギーに基づく数値分類とにより岩級区分を行う評価作業と、を行うことを特徴とする請求項1に記載の岩盤評価方法。 - 前記第一分類作業では、鉱物種、風化の程度および割れ目間隔について、それぞれ所定深度毎に数値分類することを特徴とする、請求項2に記載の岩盤評価方法。
- 複数の前記掘削孔において取得された前記ハイパースペクトル画像から得られる各種データおよび前記削孔エネルギーを利用して岩級区分の3次元分布図を作成する総合評価工程をさらに備えていることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の岩盤評価方法。
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