JP7473121B2 - 単相誘導電動機 - Google Patents

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本発明は、単相誘導電動機に関する。
コンデンサラン単相誘導電動機は、主巻線と並列に補助巻線とコンデンサからなる直列回路が接続された構成を有し、コンデンサを介して補助巻線に電流が常時(即ち始動時及び定常運転時のいずれにおいても)流れるようにその動作が制御される。コンデンサラン単相誘導電動機の性能は、定常運転効率は良いが始動トルクが低いという特徴がある。特許文献1には、補助巻線と直列に接続されたトライアックを用いて補助巻線に流れる電流を制御することで、始動トルクを増大させることが可能な制御方法が開示されている。
特開2019-041546号公報
コンデンサラン単相誘導電動機の始動時には、ある特定の回転数の範囲でトルクが低下し、回転子の回転数が上がりにくくなるクローリング現象が生じることが知られている。
したがって、迅速に始動を完了して定常運転に移ることが可能な単相誘導電動機が望まれる。
[形態1]形態1によれば、主巻線と、前記主巻線と並列に接続された補助巻線と、前記補助巻線と直列に接続されたコンデンサと、前記主巻線と直列に接続された第1スイッチング素子と、前記補助巻線及び前記コンデンサと直列に接続された第2スイッチング素子と、前記主巻線及び前記補助巻線に流れる電流を制御するために、電源電圧の半周期毎に前記第1スイッチング素子への第1制御信号と前記第2スイッチング素子への第2制御信号を生成する制御回路と、を備える単相誘導電動機であって、前記単相誘導電動機の第1回転数範囲において、前記制御回路は、前記主巻線が連続的に導通状態となるように前記第1制御信号を生成するとともに、前記補助巻線が所定の第1タイミングで非導通状態から導通状態に遷移するように前記第2制御信号を生成し、前記単相誘導電動機の前記第1回転数範囲と異なる第2回転数範囲において、前記制御回路は、前記主巻線が所定期間の非導通状態の後に導通状態に遷移するように前記第1制御信号を生成するとともに、前記補助巻線が前記第1タイミングよりも遅い第2タイミングで非導通状態から導通状態に遷移するように前記第2制御信号を生成する、単相誘導電動機が提供される。形態1の単相誘導電動機によれば、第2回転数範囲において、主巻線を流れる電流が小さくなることによって、主巻線から発生する磁界の空間高調波成分が低減するとともに、補助巻線を流れる電流が大きくなり且つ主巻線を流れる電流と補助巻線を流れる電流の位相差が90°に近くなることによって、主巻線から発生する磁界と補助巻線から発生する磁界による回転磁界の対称性が向上する。したがって、第2回転数範囲におけるトルク低下を抑えクローリング現象を防止又は軽減することができ、これにより、単相誘導電動機は迅速に始動を完了して定常運転に移ることができる。
[形態2]形態2によれば、形態1の単相誘導電動機において、前記第1回転数範囲は、前記単相誘導電動機の始動開始から所定の第1回転数までの範囲と、前記第1回転数よ
りも高い所定の第2回転数から前記単相誘導電動機の定常運転の回転数までの範囲を含み、前記第2回転数範囲は、前記第1回転数から前記第2回転数までの範囲である。形態2の単相誘導電動機によれば、第1回転数から第2回転数までの範囲においてトルク低下を抑え、クローリング現象を防止又は軽減することができる。
[形態3]形態3によれば、形態1又は2の単相誘導電動機において、前記第1タイミングは、前記単相誘導電動機から発生するトルクが最大となるように選択される。形態3の単相誘導電動機によれば、第1回転数範囲において大きなトルクを得ることができる。
[形態4]形態4によれば、形態1から形態3のいずれか1つの形態の単相誘導電動機において、前記第2タイミングは、前記主巻線を流れる電流の基本波成分と前記補助巻線を流れる電流の基本波成分との位相差がほぼ90°となるように設定される。形態4の単相誘導電動機によれば、主巻線から発生する磁界と補助巻線から発生する磁界による回転磁界の対称性が向上する。これにより、第2回転数範囲におけるトルク低下を抑え、クローリング現象を防止又は軽減することができる。
[形態5]形態5によれば、形態1から形態4のいずれか1つの形態の単相誘導電動機において、前記第1及び第2スイッチング素子はトライアックであり、前記第1及び第2制御信号は前記トライアックのゲートに供給されるゲート信号である。形態5の単相誘導電動機によれば、トライアックのゲートをゲート信号で制御することによって、主巻線電流及び補助巻線電流を制御することができる。
[形態6]形態6によれば、形態1から形態5のいずれか1つの形態の単相誘導電動機において、前記制御回路は、前記補助巻線の非導通状態における端子電圧に基づいて前記第1回転数範囲及び前記第2回転数範囲を識別する。形態6の単相誘導電動機によれば、第1回転数範囲における制御と第2回転数範囲における制御を適切に切り替えることができる。
[形態7]形態7によれば、主巻線と、前記主巻線と並列に接続された補助巻線と、前記補助巻線と直列に接続されたコンデンサと、前記主巻線と直列に接続された第1スイッチング素子と、前記補助巻線及び前記コンデンサと直列に接続された第2スイッチング素子と、前記主巻線及び前記補助巻線に流れる電流を制御するために、電源電圧の半周期毎に前記第1スイッチング素子への第1制御信号と前記第2スイッチング素子への第2制御信号を生成する制御回路と、を備える単相誘導電動機であって、前記制御回路は、前記主巻線が所定期間の非導通状態の後に導通状態に遷移するように前記第1制御信号を生成するとともに、前記補助巻線が所定のタイミングで非導通状態から導通状態に遷移するように前記第2制御信号を生成し、前記所定のタイミングは、前記主巻線を流れる電流の基本波成分と前記補助巻線を流れる電流の基本波成分との位相差がほぼ90°となるように設定される、単相誘導電動機が提供される。形態7の単相誘導電動機によれば、主巻線から発生する磁界の空間高調波成分が低減するとともに、主巻線から発生する磁界と補助巻線から発生する磁界による回転磁界の対称性が向上する。したがって、トルク低下を抑え、クローリング現象を防止又は軽減することができ、これにより、単相誘導電動機は迅速に始動を完了して定常運転に移ることができる。
一実施形態による単相誘導電動機の構成を示す図である。 制御回路によって実施される始動制御を説明するためのタイミングチャートである。 制御回路によって実施される第1モードの始動制御を説明するためのタイミングチャートである。 制御回路によって実施される第2モードの始動制御を説明するためのタイミングチャートである。
以下に、本発明に係る単相誘導電動機の実施形態を添付図面とともに説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
図1は、一実施形態による単相誘導電動機10の構成を示す図である。単相誘導電動機10は、主巻線1、補助巻線2、コンデンサ3、第1トライアック(第1スイッチング素子)4A、第2トライアック(第2スイッチング素子)4B、回転子5、固定子(不図示)、及び制御回路6を備える。単相誘導電動機10は、単相商用電源20に接続される。
図1に示されるように、第1トライアック4Aの一方の端子は、単相商用電源20の一方の電源端子に接続され、第1トライアック4Aの他方の端子は、主巻線1の一方の端子に接続され、主巻線1の他方の端子は、単相商用電源20の他方の電源端子に接続される。また、第1トライアック4Aの一方の端子は更に、第2トライアック4Bの一方の端子にも接続される。第2トライアック4Bの他方の端子は、コンデンサ3の一方の端子に接続され、コンデンサ3の他方の端子は、補助巻線2の一方の端子に接続され、補助巻線2の他方の端子は、主巻線1の他方の端子及び単相商用電源20の他方の電源端子に接続される。このように、主巻線1及び第1トライアック4Aは第1の直列回路を構成し、補助巻線2、コンデンサ3、及び第2トライアック4Bは第2の直列回路を構成し、第1の直列回路と第2の直列回路は並列に接続されている。
主巻線1は、ドーナツ形状を有した鉄心からなる不図示の固定子に巻回され、補助巻線2は、主巻線1に対して所定角度(例えば直角)を有する向きに当該固定子に巻回される。この固定子の内側の円筒状の空洞には、回転軸が当該空洞を貫く向きに回転子5が配置される。コンデンサ3の容量は、単相誘導電動機10の運転効率が定常運転時に最大となるような値に選択される。
制御回路6は、第1トライアック4Aのゲートに第1制御信号Sp1を、また第2トライアック4Bのゲートに第2制御信号Sp2を、それぞれ供給する。制御回路6は、単相商用電源20の出力電圧(以下、電源電圧と称する)Vsを監視し、この電源電圧Vsのゼロクロス点(交流の電圧の値がゼロになる瞬間)をタイミングの基準として、第1制御信号Sp1と第2制御信号Sp2を生成する。制御回路6からの第1制御信号Sp1に応答して、第1トライアック4Aがターンオンし、主巻線1が導通状態となる。これにより、主巻線1に、第1トライアック4Aを介して電流が流れる。また、制御回路6からの制御信号Sp2に応答して、第2トライアック4Bがターンオンし、補助巻線2が導通状態となる。これにより、補助巻線2に、コンデンサ3及び第2トライアック4Bを介して電流が流れる。このように、制御回路6は、主巻線1及び補助巻線2に流れる電流を、第1制御信号Sp1及び第2制御信号Sp2によって制御する。
制御回路6による電流制御は、単相誘導電動機10の始動時に回転子5の回転が所定の回転数に達するまでの始動制御と、単相誘導電動機10の始動が完了した後、即ち回転子5の回転が所定の回転数に達した後の定常運転制御とを含む。
また始動制御は、単相誘導電動機10の回転子5の回転数が第1範囲(以下、第1回転数範囲と称する)にある場合に行う第1モードの始動制御と、当該回転数が第2範囲(以
下、第2回転数範囲と称する)にある場合に行う第2モードの始動制御とを含む。第2モードの始動制御における第1制御信号Sp1及び第2制御信号Sp2は、第1モードの始動制御における第1制御信号Sp1及び第2制御信号Sp2と異なる。したがって、主巻線1と補助巻線2に流れる電流の波形は、後述するように、単相誘導電動機10の回転子5が第1回転数範囲にある場合と第2回転数範囲にある場合とで、異なるものとなる。
第1回転数範囲は、単相誘導電動機10の回転子5が回転数ゼロ(停止)から所定の第1回転数R1までの範囲と、所定の第2回転数R2から定常運転に対応する第3回転数R3までの範囲を含む。ただし、0<R1<R2<R3である。第2回転数範囲は、単相誘導電動機10の回転子5が第1回転数R1から第2回転数R2までの範囲である。例えば、第2回転数範囲は、本実施形態による第2モードの始動制御を行わなかった場合に単相誘導電動機10にクローリング現象(始動トルクの落ち込み)が発生することとなる回転数の範囲であってよい。
制御回路6は、補助巻線2が非導通状態の時にその両端電圧(逆起電圧)を計測することによって単相誘導電動機10の回転子5の回転数を検出し、この検出した回転数に基づいて、第1モードの始動制御と第2モードの始動制御の切り替え、及び始動制御から定常運転制御への切り替えを制御する。例えば、制御回路6は、単相誘導電動機10が始動すると、まず第1モードの始動制御を実施する(図2の期間T1を参照)。制御回路6は、回転子5が加速し、補助巻線2の両端電圧に基づき検出された回転子5の回転数が予め決められた第1回転数R1を超えると、第2モードの始動制御を実施する(図2の期間T2を参照)。制御回路6は更に、その後回転子5の加速が進み、補助巻線2の両端電圧に基づき検出された回転子5の回転数が予め決められた第2回転数R2を超えると、再び第1モードの始動制御を実施する(図2の期間T3を参照)。更に、当該検出された回転数が予め決められた第3回転数R3に達すると、制御回路6は定常運転制御を実施する。
図2は、制御回路6によって実施される始動制御を説明するためのタイミングチャートである。図2において、期間T1、T2、T3を順次経ることで単相誘導電動機10の回転数が次第に上昇していく。期間T1及びT3では、第1モードの始動制御が行われ、期間T2では、第2モードの始動制御が行われる。図2には、単相商用電源20から供給される電源電圧Vsが正弦波として示されている。また図2には、矩形のパルス信号である第1制御信号Sp1及び第2制御信号Sp2、並びに主巻線1を流れる電流Im及び補助巻線2を流れる電流Iaの各波形も示されている。図3は、期間T1及びT3における第1モードの始動制御の詳細なタイミングチャートであり、また図4は、期間T2における第2モードの始動制御の詳細なタイミングチャートである。以下、図2から図4を参照して、i)第1モードの始動制御における第1制御信号Sp1と主巻線電流Im、ii)第1モードの始動制御における第2制御信号Sp2と補助巻線電流Ia、iii)第2モードの始動制御における第1制御信号Sp1と主巻線電流Im、及びiv)第2モードの始動制御における第2制御信号Sp2と補助巻線電流Iaについて、それぞれ説明する。
i)第1モードの始動制御における第1制御信号Sp1と主巻線電流Im
単相誘導電動機10において仮に第1トライアック4Aが存在していない場合、主巻線1には、電源電圧Vsに対して位相が遅れた正弦波の主巻線電流Imが流れる。このとき、もし主巻線1がインダクタンス成分のみを有し、且つ回転子5から主巻線1への相互誘導が存在しないのであれば、主巻線電流Imと電源電圧Vsとの位相差は90°である。しかしながら実際には、主巻線1はインダクタンス成分に加えて抵抗成分も有し、また回転子5からの相互誘導も受ける。したがって、これらの影響により、主巻線電流Imと電源電圧Vsとの位相差は、90°-αとなる。ここで、αは、電源電圧Vsのピークと主巻線電流Imのゼロクロス点との位相差である。
第1トライアック4Aを備えた本実施形態の単相誘導電動機10では、第1モードの始動制御において、制御回路6は、第1トライアック4Aが存在しない場合の主巻線電流Imのゼロクロス点のタイミングを含む所定の時間幅を有したパルス信号を、第1制御信号Sp1として生成する。即ち、パルス幅に相当する位相の幅を2Wとすると、この第1制御信号Sp1は、電源電圧Vsのゼロクロス点に対して位相90°-α-Wだけ遅れたタイミングで立ち上がり、電源電圧Vsのゼロクロス点に対して位相90°-α+Wだけ遅れたタイミングで立ち下がる。これにより、本実施形態による第1モードの始動制御では、主巻線電流Imは、第1トライアック4Aが存在しない場合と実質的に同じ電流波形、即ち、電源電圧Vsから位相90°-αだけ遅れた連続的な正弦波の電流波形となる。
ii)第1モードの始動制御における第2制御信号Sp2と補助巻線電流Ia
図2及び3に示されるように、電源電圧Vsのゼロクロス点から位相がΔだけ遅れたタイミングで信号レベルがローからハイに立ち上がるパルス信号を第2制御信号Sp2として第2トライアック4Bのゲートに入力すると、補助巻線2には、コンデンサ3の容量と補助巻線2のインダクタンスによる共振に起因するインパルス的な電流Iaが、第2制御信号Sp2の立ち上がりと同期して(即ち補助巻線電流Iaの開始が第2制御信号Sp2の立ち上がりと一致したタイミングで)流れる。補助巻線電流Iaの持続時間(補助巻線電流Iaが発生してから消失するまでの時間)に相当する位相を2βとおくと、補助巻線電流Iaのピークは、電源電圧Vsのゼロクロス点から位相がΔ+βだけ遅れた位置にある。
したがって、一例として、第2制御信号Sp2の立ち上がりのタイミングΔを
Δ=90°-α-β ……(1)
となるように設定すれば、補助巻線電流Iaのピークのタイミングは、主巻線電流Imのゼロクロス点のタイミングと一致する。言い換えると、補助巻線電流Iaと主巻線電流Imの位相差は90°となる。
ここで、主巻線電流Imの振幅を|Im|、補助巻線電流Iaの振幅を|Ia|、主巻線電流Imと補助巻線電流Iaとの位相差をγとすると、単相誘導電動機10に発生する始動トルクTsは、次式のように表されることが知られている。
Ts∝|Im|・|Ia|・sinγ ……(2)
上記の式(1)を満たすように第2制御信号Sp2の位相Δが設定されている場合には、γ=90°であるから、式(2)の右辺におけるsinの項は最大値1をとる。したがって、このような第2制御信号Sp2を第2トライアック4Bのゲートに供給することによって、大きな始動トルクを得ることができる。
別の例として、第2制御信号Sp2の立ち上がりのタイミングΔを
Δ=90°-β ……(3)
となるように設定することを考える。この場合、上述の説明から、補助巻線電流Iaのピークは、電源電圧Vsのゼロクロス点から位相がちょうど90°遅れることが理解される。言い換えると、補助巻線電流Iaと電源電圧Vsは同相となり、したがって、補助巻線電流Iaのピークのタイミングは、電源電圧Vsのピークのタイミングと一致する。ここで、補助巻線2を流れる電流Iaの大きさ(振幅)|Ia|は、単相商用電源20から供給される電源電圧Vsの瞬時電圧値が大きいほど大きくなる。よって、式(3)が満たされる場合には、単相商用電源20からピーク電圧が供給されることにより、補助巻線電流Iaの大きさ|Ia|は最大化される。上記の式(3)が満たされる場合は、主巻線電流Imと補助巻線電流Iaとの位相差γが90°からずれるため、式(1)が満たされる場合と比較すると式(2)の右辺のsinの項は小さくなっているが、補助巻線電流Iaの大きさ|Ia|が最大化されることによって、大きな始動トルクを得ることができる。
上述のとおり、式(1)が満たされる場合には、補助巻線電流Iaのピークのタイミングが主巻線電流Imのゼロクロス点のタイミングと一致するため、式(2)の右辺の|Ia|の項は最大とならないがsinの項が最大となり、一方、式(3)が満たされる場合には、補助巻線電流Iaのピークのタイミングが電源電圧Vsのピークのタイミングと一致するため、式(2)の右辺のsinの項は最大とならないが|Ia|の項が最大となる。このように、式(2)の右辺の|Ia|の項とsinの項はトレードオフの関係にある。よって、第2制御信号Sp2の立ち上がりのタイミングΔを
90°-α-β<Δ<90°-β ……(4)
の範囲に設定すれば、式(1)又は(3)が満たされる場合における始動トルクよりも更に大きな始動トルクを得ることが可能である。
第2制御信号Sp2の立ち上がりのタイミングΔを式(4)の範囲内で変化させると、補助巻線電流Iaのピークのタイミングは、主巻線電流Imのゼロクロス点のタイミングと電源電圧Vsのピークのタイミングとの間を移動し、また始動トルクの値は、Δが式(4)の最小値と最大値の間のある特定の値をとったときに極大となる。したがって、補助巻線電流Iaのピークのタイミングが主巻線電流Imのゼロクロス点のタイミングと電源電圧Vsのピークのタイミングとの中間的な位置にくるように第2制御信号Sp2の立ち上がりのタイミングΔを設定した場合に、始動トルクが最大化される点を見出すことができる。
したがって、本実施形態による第1モードの始動制御において、制御回路6は、電源電圧Vsのゼロクロス点からの位相Δが上記のように設定された第2制御信号Sp2を、電源電圧Vsの半周期毎に生成し、第2トライアック4Bのゲートに供給する。これにより、大きな始動トルクを用いて単相誘導電動機10を確実に始動させることができる。
以上説明した第1モードの始動制御における主巻線電流Im及び補助巻線電流Iaは、例えば特開2019-041546号公報に開示された、補助巻線側の回路にのみトライアックを備える単相誘導電動機の始動制御における主巻線電流及び補助巻線電流と実質的に等価である。換言すれば、本実施形態の第1モードの始動制御による単相誘導電動機10の動作は、主巻線電流Imを制御することなく、補助巻線側の回路に設けられたトライアックを用いて補助巻線電流Iaのみを制御することで、大きなトルクが得られるように最適化されている。
しかしながら、このような第1モードの始動制御を行った場合においては、単相誘導電動機10の回転子5がある特定の回転数に入ると、主巻線1から発生する磁界の空間高調波成分(例えば3次高調波)や、主巻線1から発生する磁界と補助巻線2から発生する磁界による回転磁界の空間的な非対称性に起因して、トルクが低下し回転子5の回転数が上がりにくくなるクローリング現象が生じることがある。そこで、以下に詳しく説明するように、本実施形態の単相誘導電動機10は、このような回転子5の特定回転数範囲(第2回転数範囲)におけるトルク低下の改善及びクローリング現象の防止又は軽減のために、回転子5が第2回転数範囲にある場合に、第1トライアック4A及び第2トライアック4Bを用いて主巻線電流Imと補助巻線電流Iaの両方を制御する第2モードの始動制御を行うように構成されている。
iii)第2モードの始動制御における第1制御信号Sp1と主巻線電流Im
上述したように、クローリング現象を生じさせる一つの要因は、主巻線1から発生する磁界に空間高調波成分が含まれることにある。クローリング現象を防止又は軽減するためには、主巻線1から発生する磁界の空間高調波成分を低減することが必要である。
図2及び4に示されるように、第2モードの始動制御において、制御回路6は、電源電圧Vsのゼロクロス点から位相が90°-α+δ1だけ遅れたタイミングで信号レベルがローからハイに立ち上がるパルス信号を、第1制御信号Sp1として生成する。ただしδ1は正の値である。前述した第1モードの始動制御では、主巻線電流Imは、電源電圧Vsから位相90°-αだけ遅れた連続的な正弦波の電流波形であった。よって、第2モードの始動制御における上記の第1制御信号Sp1は、第1モードの始動制御における主巻線電流Imのゼロクロス点から位相δ1だけ遅れたタイミングで立ち上がるパルス信号であると言い換えることもできる。
第2モードの始動制御では、このような第1制御信号Sp1が第1トライアック4Aのゲートに供給されることにより、主巻線1は、電源電圧Vsのゼロクロス点からの位相が90°-αと90°-α+δ1の間の期間において非導通状態となり、それ以外の期間において導通状態となるように制御される。したがって、第2モードの始動制御における主巻線電流Imは、図2及び4に示されるように、当該電流Imがゼロクロスしてから位相δ1に相当する時間期間では電流ゼロとなり、その後、電源電圧Vsの波形に位相が遅れて追従していく電流波形となる。そのため、この主巻線電流Imは、前述した第1モードの始動制御における主巻線電流Imよりも小さくなっている。
したがって、第2モードの始動制御では、主巻線電流Imが第1モードの始動制御の場合に比べて小さくなったことにより、主巻線1から発生する磁界の空間高調波成分を低減することができる。その結果、回転子5の第2回転数範囲(即ち図2の期間T2)におけるトルクの低下を改善し、クローリング現象を軽減することができる。
iv)第2モードの始動制御における第2制御信号Sp2と補助巻線電流Ia
上述したように、第2モードの始動制御においては、主巻線電流Imが小さくなることにより主巻線1から発生する磁界の空間高調波成分が低減するが、本来必要な、主巻線1から発生する磁界の空間基本波成分も小さくなってしまう。そこで、この基本波成分の減少による影響を補償することが必要となる。
図2及び4に示されるように、第2モードの始動制御において、制御回路6は、電源電圧Vsのゼロクロス点から位相がΔ+δ2だけ遅れたタイミングで信号レベルがローからハイに立ち上がるパルス信号を、第2制御信号Sp2として生成する。ただしδ2は正の値である。また、Δは、前述した第1モードの始動制御における第2制御信号Sp2の立ち上がりタイミングを表す位相(即ち前述の式(4)を満たす位相)である。即ち、第2モードの始動制御における第2制御信号Sp2は、第1モードの始動制御における第2制御信号Sp2に対して位相がδ2だけ遅れるように設定される。
このような第2制御信号Sp2が第2トライアック4Bのゲートに供給されることにより、第2モードの始動制御における補助巻線電流Iaは、図2及び4に示されるように、第1モードの始動制御における補助巻線電流Iaよりも位相がδ2だけ遅れたインパルス波形の電流となる。第2モードの始動制御では、補助巻線電流Iaの位相がこのように第1モードの始動制御の場合よりも遅れることになるので、補助巻線電流Iaのピークのタイミングが、電源電圧Vsのピークにより近いタイミングに移動する。そのため、単相商用電源20からピーク電圧に近い電圧が供給されることにより、補助巻線電流Iaの大きさは、第1の始動制御の場合に比べて増大する。したがって、上述した主巻線電流Imの基本波成分の減少による影響を、補助巻線電流Iaの増大によって補償することで、クローリング現象を軽減することができる。
前述したように、クローリング現象を生じさせる別の要因として、主巻線1からの磁界と補助巻線2からの磁界によって作られる回転磁界が空間的な非対称性を持つということ
がある。上記の位相δ1及びδ2を最適化することで、この回転磁界の空間的な対称性を改善することができる。具体的に、第2モードの始動制御における上述の主巻線電流Imの基本波成分が、電源電圧Vsを基準として位相90°-α+δ1/2の遅れを有していると仮定する(なお、この仮定は、電流ゼロでない期間における主巻線電流Imの波形を正弦波と近似することに相当する)。一方、第2モードの始動制御における補助巻線電流Iaのピークのタイミングは、電源電圧Vsのゼロクロス点から位相Δ+δ2+βだけ遅れた位置にある。補助巻線電流Iaの基本波成分のピークのタイミングも、これと同じであると仮定する。ただし、βは、前述したように、補助巻線電流Iaの持続時間の半分に相当する位相である。したがって、次式
90°-α+δ1/2=Δ+δ2+β ……(5)
が成り立つように位相δ1及びδ2を設定した場合には、補助巻線電流Iaの基本波成分のピークのタイミングが、主巻線電流Imの基本波成分のゼロクロス点のタイミングと一致することになる。即ち、主巻線電流Imの基本波成分と補助巻線電流Iaの基本波成分との位相差は90°となる。
したがって、式(5)又は式(5)に近い条件が満たされるように位相δ1及びδ2を設定することによって、主巻線1から発生する磁界と補助巻線2から発生する磁界の空間的な直交性を確保することができる。これにより、主巻線1からの磁界と補助巻線2からの磁界が作る回転磁界の対称性を高め、クローリング現象を防止又は軽減することができる。
以上のように、単相誘導電動機10の回転子5が第2回転数範囲にある間に第2モードの始動制御が行われることで、この回転数範囲におけるトルクの低下が抑えられ、回転子5は迅速に定常運転の回転数まで加速される。こうして単相誘導電動機10の始動が完了すると、制御回路6は、始動制御を終了し、定常運転制御を実施する。定常運転制御では、制御回路6は、第1モードの始動制御と同様の第1制御信号Sp1を第1トライアック4Aのゲートに供給し、また常時オン(ハイレベル)の第2制御信号Sp2を第2トライアック4Bのゲートに供給する。これにより、主巻線1に加えて補助巻線2とコンデンサ3を併用した、単相誘導電動機10の定常運転が行われる。前述したようにコンデンサ3の容量は定常運転用に最適化されているので、良好な運転効率を実現することができる。
以上、いくつかの例に基づいて本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明には、その均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
1 主巻線
2 補助巻線
3 コンデンサ
4A 第1トライアック(第1スイッチング素子)
4B 第2トライアック(第2スイッチング素子)
5 回転子
6 制御回路
10 単相誘導電動機
20 単相商用電源

Claims (6)

  1. 主巻線と、
    前記主巻線と並列に接続された補助巻線と、
    前記補助巻線と直列に接続されたコンデンサと、
    前記主巻線と直列に接続された第1スイッチング素子と、
    前記補助巻線及び前記コンデンサと直列に接続された第2スイッチング素子と、
    前記主巻線及び前記補助巻線に流れる電流を制御するために、電源電圧の半周期毎に前記第1スイッチング素子への第1制御信号と前記第2スイッチング素子への第2制御信号を生成する制御回路と、
    を備える単相誘導電動機であって、
    前記単相誘導電動機の第1回転数範囲において、前記制御回路は、前記主巻線が連続的に導通状態となるように前記第1制御信号を生成するとともに、前記補助巻線が所定の第1タイミングで非導通状態から導通状態に遷移するように前記第2制御信号を生成し、
    前記単相誘導電動機の前記第1回転数範囲と異なる第2回転数範囲において、前記制御回路は、前記主巻線が所定期間の非導通状態の後に導通状態に遷移するように前記第1制御信号を生成するとともに、前記補助巻線が前記第1タイミングよりも遅い第2タイミングで非導通状態から導通状態に遷移するように前記第2制御信号を生成する、
    単相誘導電動機。
  2. 前記第1回転数範囲は、前記単相誘導電動機の始動開始から所定の第1回転数までの範囲と、前記第1回転数よりも高い所定の第2回転数から前記単相誘導電動機の定常運転の回転数までの範囲を含み、
    前記第2回転数範囲は、前記第1回転数から前記第2回転数までの範囲である、
    請求項1に記載の単相誘導電動機。
  3. 前記第1タイミングは、前記単相誘導電動機から発生するトルクが最大となるように選択される、請求項1又は2に記載の単相誘導電動機。
  4. 前記第2タイミングは、前記主巻線を流れる電流の基本波成分と前記補助巻線を流れる電流の基本波成分との位相差がほぼ90°となるように設定される、請求項1から3のいずれか1項に記載の単相誘導電動機。
  5. 前記第1及び第2スイッチング素子はトライアックであり、
    前記第1及び第2制御信号は前記トライアックのゲートに供給されるゲート信号である、
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の単相誘導電動機。
  6. 前記制御回路は、前記補助巻線の非導通状態における端子電圧に基づいて前記第1回転数範囲及び前記第2回転数範囲を識別する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の単相誘導電動機。
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