JP7468952B1 - 差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法 - Google Patents

差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法 Download PDF

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Abstract

【課題】差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法を提供する。【解決手段】方法は、差厚金属帯材に使用される材料の種類、グレード、幾何学的外形寸法及び板厚の非均一な分布状況を確定して基準延伸率を得て、製造技術に基づいて板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係及び対応する載荷荷重-変位関係を確定し、板厚が異なる各エリアにおける材料の延伸率に基づいて延伸率の調節可能な範囲を確定し、基準延伸率及び異なる服務目標の需要に基づいて目標均一延伸率を選定し、さらに目標均一延伸率に基づいて板厚が異なる各エリアにおける材料の目標構成関係を把握し、最後に板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係と目標構成関係の間の差異に基づいて差別化の熱処理技術及び工程で差厚金属帯材の性能調節を行って、差厚金属帯材の高度加工の難易度を下げ、設計者の設計可能な範囲及び設計の柔軟性を向上させる。【選択図】図1

Description

本発明は、金属構造の性能設計の技術分野に関し、特に差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法に関する。
外部環境の作用で、構造の載荷荷重はよく非線形分布になるが、従来の等厚構造では板厚が均一に分布することが多い。従って、最大荷重位置が先に塑性崩壊段階に入ることを防ぐために、従来の等厚構造の均一な板厚は最大荷重に基づいて設計して構造の安全性を確保する必要があるが、最大荷重位置以外のエリアに大きな負荷余裕が生じ、材料の無駄をもたらす。新型差厚構造は、板厚の変化という特徴があり、載荷荷重分布に応じて異なる位置の板厚を柔軟に調整できるなどのメリットがあるので、多くの業界で注目されている。現在の新型差厚構造は、主に差厚板帯材を後続で成形することによって得られたものであるが、それが板厚変化の特性を有するため、後続成形時の金属流動パターン、変形速度及び応力ひずみ分布などの成形特徴が従来の等厚板帯材よりも復雑で、制御が極めて困難である。差厚板帯材を所望的な差厚構造部材に成形するために、国内外の学者らにより、例えばフレキシブルモジュール化金型システムを用いて異なるエリアの金型の高さを柔軟に調整して成形性を高め、シミュレーションと最適化方法を用いて差厚板帯材の成形工程を最適化するなどの多くの研究がなされている。上記の方法は、差厚板帯材の成形性を向上させることができるが、成形システム全体を大きく変更する必要があり、ある特定の規格寸法が一定の差厚板帯材のみを対象とするため、差厚構造の普及応用を妨げている。また、差厚板帯材の薄いエリアは載荷が弱いエリアになることが多いため、塑性崩壊が生じやすくなり、差厚板帯材が全体の引張応力を受けるとき、薄いエリアが塑性段階に入るのは早すぎて、全体の延伸率が低下し、これも差厚板帯材の後続の成形能力不足の主な原因となる。従って、本発明では、差厚板帯材の固有特性に基づいて、差厚板帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の構成関係を再設計して製造することにより、弱いエリアにおける塑性崩壊の過程を遅らせ、差厚板帯材全体の延伸率を向上させるだけでなく、製造工程の難易度を下げることができ、差厚板帯材の後続の成形性を向上させることができる。
上記の従来方法によれば、成形システム全体を大きく変更する必要があり、且つある特定の規格寸法が一定の差厚板帯材のみを対象としたものであるため、変厚構造の普及応用を妨げていることは、明らかである。また、差厚板帯材の薄いエリアは載荷が弱いエリアになることが多いため、塑性崩壊が生じやすくなり、差厚板帯材が全体の引張応力を受けるとき、薄いエリアが塑性段階に入るのは早すぎて、全体の延伸率が低下し、これも差厚板帯材の後続の成形能力不足の主な原因となる。本発明は上記の技術的課題に鑑みてなされたもので、差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法を提供する。本発明は、主に差別化の熱処理技術及び工程を利用して、差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の構成関係が設計目標を満たすようにすることで、板厚が異なる各エリアにおける材料に同じ載荷荷重-ひずみ関係を有させることが可能となり、全体の延伸率及び後続の成形時の成形性能を向上させる。
本発明の技術的手段は、以下の通りである。
差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法は、
差厚金属帯材に使用される材料の種類、グレード及び幾何学的外形寸法である第1モデルと差厚金属帯材の板厚の非均一な分布状況である第2モデルを作成するステップS1と、
第1モデルと第2モデルに基づいて得られた差厚金属帯材の基準延伸率である第3モデルを作成するステップS2と、
第2モデルと3モデルに基づいて製造技術で得られた差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係及び対応する載荷荷重-変位関係である第4モデルと第5モデルを作成し、そのうち、板厚が異なる各エリアは板厚の変化区間において等分位で離散的に選択されたN個の板厚位置であるステップS3と、
第3モデル、第5モデル及び板厚が異なる各エリアにおける材料の延伸率状況に基づいて得られた差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲である第6モデルを作成するステップS4と、
第6モデル及び異なる服務目標の需要に基づいて得られた差厚金属帯材の目標延伸率である第7モデルを作成するステップS5と、
第4モデルと第7モデルに基づいて得られた差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の目標構成関係である第8モデルを作成するステップS6と、
第2モデル、第4モデル及び第8モデルに基づいて板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係と目標構成関係の間の差異を取得し、差別化の熱処理工程を作成し、差別化の熱処理技術で差厚金属帯材の性能を調節し、目標延伸率のレベルを調節することで差厚金属帯材の延伸率と後続の成形時の全体の変形能力の向上程度を制御するステップS7と、を含み、
前記差厚金属帯材の板厚の変化範囲は0.5mm~4.5mmであり、
前記構成関係は、真応力-真ひずみ関係であり、前記初期構成関係は初期真応力-真ひずみ関係であり、前記目標構成関係は目標真応力-真ひずみ関係であり、
前記延伸率は均一延伸率である。
さらに、以下のステップにより、前記差厚金属帯材の基準延伸率が得られる。
ステップ一:構造の幾何学的外形寸法及び板厚の非均一な分布状況に基づいて、差厚の一軸引張の標準試料の幾何学的寸法を設計し、幾何学的寸法は試料の全長、最初ゲージ長、平行段の長さ、平行段の最初幅、挟持端の幅及び遷移円弧半径を含む。
ステップ二:ワイヤカット放電加工技術を用いて差厚の一軸引張の標準試料を切り取り、一軸引張の力学的性能試験を少なくとも3組繰り返し行い、載荷荷重が極めて高い位置における試料の伸長率をその試料の均一延伸率とし、各組の試料引張試験により得られた均一延伸率を平均化処理して差厚金属帯材の基準延伸率を得て、その中で、差厚の一軸引張の標準試料の板厚遷移エリアが試料の平行段の最初ゲージ長内に含まれ、差厚の一軸引張の標準試料の平行段の幅が均一で、板厚の変化によって変化しない。
ステップ三:有限要素シミュレーションソフトウェアを利用して差厚金属帯材の標準引張過程試料モデルを作成し、その一軸引張過程を模擬して、模擬結果と試験結果を比較して検証して、有限要素モデルの精確性を確保する。
さらに、以下のステップにより、前記差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係及び対応する載荷荷重-変位関係が得られる。
ステップ1:構造の板厚の非均一な分布状況に基づいて最大板厚と最小板厚を選択し、それを上下限としてN個の板厚を等分位数で離散的に選択し、製造技術により対応するN個の等厚金属板帯材を製造し、そのN個の等厚数値は等分位数で離散的に選択したN個の板厚と一対一に対応し、なお、N個の等厚金属板帯材の製造技術は差厚金属帯材を製造するための製造技術と同じで、N個の等厚金属板帯材の製造技術が同じであり、前記Nは等分位数の離散数で、N≧2であり、需要の結果の精度が高いほど、N値は大きい。
ステップ2:ステップ一に従い、N個の板厚に対応する等厚一軸引張標準試料を設計し、それぞれに対して一軸引張力学的性能試験を行い、N個の板厚の力学的性能データを取得し、対応するN個の等厚一軸引張標準試料の載荷荷重-変位関係及び初期真応力-真ひずみ関係を抽出する。
さらに、以下のステップにより、前記差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲及び目標延伸率が得られる。
ステップ1.1:ステップ2により得られたN個の等厚一軸引張標準試料の載荷荷重-変位データに基づいて、載荷荷重が極めて高い位置における試料の伸長率を対応する板厚の試料の均一延伸率として選択し、N個の等厚一軸引張標準試料の均一延伸率のうちの最大均一延伸率を差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲の上限とし、N個の等厚一軸引張標準試料の均一延伸率のうちの最小均一延伸率を差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲の下限とし、上下限を差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲とする。具体的に以下の三つの状況に分けられる。
(1)差厚金属帯材の基準延伸率が延伸率の調節可能な範囲の下限より低い場合、最大均一延伸率と最小均一延伸率は差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲の上下限である。
(2)差厚金属帯材の基準延伸率が延伸率の調節可能な範囲の下限より高く、延伸率の調節可能な範囲の上限より低い場合、最大均一延伸率と基準延伸率は差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲の上下限である。
(3)差厚金属帯材の基準延伸率が延伸率の調節可能な範囲の上限より高い場合、その差厚金属帯材の延伸率は調節により向上させることができない。
ステップ2.1:差厚金属帯材の目標延伸率は、必要に応じて、N個の等厚一軸引張標準試料の均一延伸率の結果から選定され、具体的に以下の三つの状況に分けられる。
(1)差厚金属帯材の性能要求が延伸率を大幅に向上することであれば、目標延伸率は延伸率の調節可能な範囲の上限又は上限付近に選定される。
(2)差厚金属帯材の性能要求が延伸率をわずかに向上することであれば、目標延伸率は延伸率の調節可能な範囲の下限又は下限付近に選定される。
(3)差厚金属帯材の性能要求が延伸率を適切に向上することであれば、目標延伸率は延伸率の調節可能な範囲の中位線又は中位線付近に選定される。
さらに、以下のステップにより、前記差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の目標構成関係が得られる。
ステップ1.2:得られたN個の等厚一軸引張標準試料の初期真応力-真ひずみ関係データに基づいて、目標延伸率が対応する板厚の試料の初期真応力-真ひずみデータを基準として、下式(1)により、その板厚の載荷荷重-ひずみ関係を作成し、
=σ×t (1)
式中、tは目標延伸率が対応する板厚値を表し、且つ引張の全体過程で一定のままであり、σは目標延伸率が対応する板厚の試料の引張過程における真応力を表し、Fは目標延伸率が対応する板厚の試料の引張過程における載荷荷重を表す。
ステップ2.2:目標延伸率が対応する板厚試料の載荷荷重-ひずみデータを基準として、残りのN-1個の等厚一軸引張標準試料の載荷荷重-ひずみデータと目標延伸率が対応する板厚の試料の載荷荷重-ひずみデータを同様に設計し、下式(2)により残りのN-1個の等厚一軸引張標準試料の目標真応力-真ひずみ関係曲線のデータが得られ、
σ =F/t (2)
式中、Nは選択された異なる板厚の番号を表し、tは選択された異なる板厚の値を表し、かつ引張の全体過程で一定のままであり、σ は異なる板厚の試料の引張過程における真応力を表し、Fは目標延伸率が対応する板厚の試料の引張過程における載荷荷重を表す。
ステップ3.2:応力をY軸に、ひずみをX軸にして平面直角座標系をプロットし、得られたN個の等厚一軸引張標準試料の目標真応力-真ひずみ関係曲線のデータを平面直角座標系において、各曲線が対応する初期板厚値を明確にマークして、差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の目標真応力-真ひずみ関係曲線のデータを得る。
さらに、以下のステップにより、差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係と目標構成関係の間の差異状況が得られる。
ステップ1.3:ステップ一とステップ三に従い、差厚金属帯材の標準引張試料の有限要素モデルを作成し、ステップ2.2における目標構成関係と板厚の非均一な分布状況をモデルに付与し、その一軸引張過程を模擬し、荷重が極めて高い位置における試料の伸長率をその試料の均一延伸率として、目標延伸率と比較して検証する。
ステップ2.3:真応力をY軸に、真ひずみをX軸にして平面直角座標系をプロットし、ステップ2とステップ3.2で得られたある板厚の試料の初期真応力-真ひずみ関係曲線のデータと対応する板厚の試料の目標真応力-真ひずみ関係曲線データを当該平面直角座標系に置いて、すべてのひずみエリア内の同一ひずみ位置での目標真応力と初期真応力を減算して、当該板厚での初期真応力-真ひずみ関係曲線と目標真応力-真ひずみ関係曲線の間の差異分布を得る。
ステップ3.3:ステップ2.3の方法に従い、残りのN-1個の等厚一軸引張標準試料に対して同じデータ処理を行い、最終に差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係と目標構成関係の間の差異状況が得られ、それを目標にして差別化の熱処理工程を設定する。
前記差別化の熱処理工程の設定は、以下のいくつかの状況に分けられる。
(1)製品のある板厚のひずみ位置の目標真応力が初期真応力より高い場合、当該位置の熱処理工程の設定は、選択された金属材料の熱処理性能変化パターンに基づいて調節されて、当該位置の真応力を目標真応力に高める。
(2)製品のある板厚のひずみ位置の目標真応力が初期真応力より低い場合、当該位置の熱処理工程の設定は、選択された金属材料の熱処理性能変化パターンに基づいて調節されて、当該位置の真応力を目標真応力に下げる。
(3)製品のある板厚のひずみ位置の目標真応力が初期真応力に等しい場合、当該位置に関する熱処理工程の設定を行わない。
前記初期応力と目標応力は、選択した金属材料の熱処理調節可能な範囲内にある。
さらに、前記板厚の非均一な分布状況は、以下のいくつかの状況に分けられる。
(1)板厚の変化方向は縦方向又は横方向でもよく、あるいは縦横方向に同時に変化してもよい。
(2)板厚変化の特徴は連続変化と突然変化を含み、前記連続変化は板厚が線形変化してもよく、又は板厚が非線形変化してもよい。
(3)0個の板厚遷移エリア又は0個の等厚エリアを少なくとも含み、その中で、複数の板厚遷移エリアと等厚エリアを含み、又は互いに組み合わせた複雑な差厚製品であり、前記等厚エリアは板厚が同じである薄いエリア又は厚いエリアを含む。
(4)板厚の変化形態は、少なくとも、単調増加、単調減少、減少してから増加、増加してから減少又は突然変化等のうちの1つの簡単な形態、または複数の簡単な形態の組み合わせを含む。
さらに、前記製造技術は動的変化ロールギャップ圧延技術、横方向差厚圧延技術、遊星圧延技術、連続鋳造圧延技術、フレキシブルリング圧延技術、レーザ溶接技術、パッチパネル技術、3Dプリント技術又は鋳造技術等のうちの少なくとも1つを含む。
さらに、前記差別化の熱処理技術は、差別化の加熱技術と差別化の冷却技術を含み、前記差別化の加熱技術は一体型差別化の加熱技術又は局所型差別化の加熱技術、または一体型差別化の加熱技術と局所型差別化の加熱技術の組み合わせであり、前記一体型差別化の加熱技術は少なくとも動的誘導加熱制御技術、勾配誘導加熱コイル技術、パーティション自己阻止加熱技術、レーザ熱処理技術、温度制御接触加熱技術又はパーティション加熱型熱処理炉等を含み、前記局所型差別化の加熱技術は少なくとも局所誘導加熱技術、局所抵抗加熱技術、選択性レーザ熱処理技術、部分接触加熱技術又は塩浴炉等を含み、前記差別化の冷却技術は少なくとも動的媒体冷却技術、勾配媒体冷却技術、パーティション媒体冷却技術、勾配接触冷却技術又はパーティション接触冷却技術等を含み、前記媒体は少なくとも空気、保護雰囲気、水、塩水、アルカリ水又はオイル等を含む。
さらに、前記材料の種類は熱処理により力学的性能を調節できる従来の金属材質であり、少なくとも炭素鋼、合金鋼、アルミニウムおよびアルミニウム合金、銅および銅合金、マグネシウムおよびマグネシウム合金又はチタンおよびチタン合金等を含む。
本発明は従来技術と比べて以下のメリットを有する。
本発明は、板厚が均一でない差厚金属帯材について、その均一延伸率及び後続の成形能力を向上させる性能分布の設計方法を提供するものである。その方法は、主に実際の必要に応じて、差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料が引張過程において同じ載荷荷重-ひずみ関係を有するように設計して実現する。その方法によれば、差厚金属帯材の薄いエリアの塑性崩壊の発生及び進化過程を著しく遅くらせることができるだけではなく、板厚が異なる各エリアにおける材料が引張過程において全体の調和変形能力を強化することができる。本発明により設計且つ製造された差厚金属帯材は、その均一延伸率が著しく向上されるだけでなく、その後続の成形能力も著しく改善され、差厚金属帯材の成形性能の低下という現実的な問題を解決するための実現可能な対策を提供する。
上記理由により、本発明は金属構造性能の設計などの分野で広く普及することができる。
本発明の実施例または従来技術の技術手段をより一層明らかに説明するため、以下、実施例または従来技術に対する説明における図面について、簡単に説明する。以下の図面は本発明の実施例に関したものであり、当業者にとって、創造的な労働を行うことなく、これらの図面に基づいて、他の図面が得られることは明らかである。
本発明に係る差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計及び製造のフローチャートである。 本発明の縦方向、横方向及び三次元の差厚金属帯材を示す模式図で、その中で、(a)は縦方向の差厚であり、(b)は横方向の差厚であり、(c)は三次元の差厚である。 本発明の実施例1に係る差厚鋼板の幾何学的形状を示す模式図で、その中で、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。 本発明の実施例1に係る差厚鋼板の一軸引張標準試料の幾何学的寸法を示す模式図である。 本発明の実施例2に係るレーザ溶接板の幾何学的形状を示す模式図で、その中で、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。 本発明の実施例2に係るレーザ溶接の一軸引張標準試料の幾何学的寸法を示す模式図である。 本発明の実施例1に係る差厚鋼板の一軸引張載の載荷荷重-変位曲線を示す図である。 本発明の実施例1に係る差厚鋼板の板厚が異なる各エリアにおける初期構成関係を示す図である。 本発明の実施例1に係る差厚鋼板の板厚が異なる各エリアにおける載荷荷重-変位関係を示す図である。 本発明の実施例1に係る、目標延伸率が対応する板厚2mmの試料の載荷荷重-ひずみ曲線を示す図である。 本発明の実施例1に係る差厚鋼板の板厚が異なる各エリアにおける目標構成関係を示す図である。 本発明の実施例1に係る目標差厚の一軸引張試料の載荷荷重-変位曲線を示す図である。 本発明の実施例1に係る板厚1mmの試料の初期構成関係曲線と目標構成関係曲線の差異分布を示す図である。 本発明の実施例1に係る板厚が異なる各エリアにおける目標構成関係の分布を実現するための差別化の熱処理工程を示す模式図で、その中で、(a)は差別化の加熱及び保温であり、(b)は差別化の冷却である。 本発明の実施例2に係るレーザ溶接板の一軸引張の載荷荷重-変位曲線を示す図である。 本発明の実施例2に係るレーザ溶接板の板厚が異なる各エリアにおける初期構成関係を示す図である。 本発明の実施例2に係るレーザ溶接板の板厚が異なる各エリアにおける載荷荷重-変位関係を示す図である。 本発明の実施例2に係る目標延伸率が対応する板厚1.5mmの試料の載荷荷重-ひずみ曲線を示す図である。 本発明の実施例2に係るレーザ溶接板の板厚が異なる各エリアにおける目標構成関係を示す図である。 本発明の実施例2に係る目標レーザ溶接板の一軸引張試料の載荷荷重-変位曲線を示す図である。 本発明の実施例2に係る板厚2.5mmの試料の初期構成関係と目標構成関係の間の差異分布を示す図である。 本発明の実施例2に係る、板厚が異なる各エリアにおける目標構成関係分布を実現するための差別化の熱処理工程を示す模式図で、その中で、(a)は差別化加熱及び保温であり、(b)は差別化冷却である。
相互に衝突しない限り、本発明の実施例及び実施例における特徴を互いに組み合わせてもよい。以下、図面を参照しながら、実施例に関連した本発明を詳細に説明する。
本発明に係る実施例の目的、技術手段及びメリットをより明らかにするために、以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術手段を明らか且つ完全に説明し、説明される実施例が全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例に過ぎないことはいうまでもない。以下の少なくとも1つの例示的実施例に対する説明は実際に説明するためのものに過ぎず、本発明及びその応用や使用が限定されるものではない。当業者が本発明における実施例に基づいて創造的労動を行うことなく得た他の実施例は、全て本発明が保護する範囲に含まれるものとする。
ここで使用されている用語はただ具体的な実施形態を説明するためのものであり、本発明による例示的な実施形態の制限になることを意図しない。コンテキストによりはっきり指摘されていない限り、ここで使用されている単数形は複数形も含むとのことを理解すべきである。なお、本明細書において用語である「含み」又は/及び「備え」を使用すると、それは特徴、ステップ、操作、部品、構成部品及び/又はそれらの組合せがあることを意味するということを理解すべきである。
本発明は、差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法を提供し、金属構造の性能設計の分野に属する。該方法は、まず差厚金属帯材に使用される材料の種類、グレード、幾何学的外形寸法、板厚の非均一な分布状況を明らかにし、試験により差厚金属帯材の基準延伸率を得て、製造技術と工程に基づいて差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係及び対応する載荷荷重-変位関係を決定し、板厚が異なる各エリアにおける材料の延伸率の状況に基づいて差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲を明確し、基準延伸率及び異なる服務目標の需要に応じて差厚金属帯材の目標均一延伸率を選定し、さらに目標均一延伸率に基づいて板厚が異なる各エリアにおける材料の目標構成関係を把握し、最後に板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係と目標構成関係の間の差異状況に基づいて差別化の熱処理技術及び工程で板厚が異なる各エリアにおける材料の目標構成関係を実現し、目標均一延伸率のレベルを調節することによって差厚金属帯材の延伸率の向上程度及び後続の成形時の全体変形能力の向上程度を制御し、これにより差厚金属帯材の高度加工の難易度を下げ、設計者の設計可能な範囲及び設計の柔軟性を高め、差厚金属帯材の普及に協力する。
本願の差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法は、以下のステップを含む。
差厚金属帯材に使用される材料の種類、グレード、幾何学的外形寸法及び板厚の非均一な分布状況を明らかにし、試験により差厚金属帯材の基準延伸率を得て、製造技術と工程に基づいて差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係及び対応する載荷荷重-変位関係を確定し、板厚が異なる各エリアにおける材料の延伸率の状況に基づいて差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲を確定し、基準延伸率及び異なる服務目標の需要に応じて差厚金属帯材の目標延伸率を選定し、さらに目標延伸率に基づいて差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の目標構成関係を把握し、最後に板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係と目標構成関係の間の差異状況に基づいて差別化の熱処理技術と工程で板厚が異なる各エリアにおける材料の目標構成関係を実現し、目標延伸率のレベルを調整することによって差厚金属帯材の延伸率及び後続の成形時の全体変形能力の向上程度を制御し、その設計全体のフローチャートを図1に示す。
前記差厚金属帯材の板厚の変化範囲は0.5mm~4.5mmであり、
前記構成関係は真応力-真ひずみ関係であり、
前記延伸率は均一延伸率であり、
前記板厚が異なる各エリアは板厚の変化区間において等分位で離散的に選択されたN個の板厚の位置である。
好ましい実施形態として、前記材料の種類は、炭素鋼、合金鋼、アルミニウムおよびアルミニウム合金、銅および銅合金、マグネシウムおよびマグネシウム合金、チタンおよびチタン合金等を含む、熱処理により力学的性能を制御可能な従来の金属材質である。
好ましい実施形態として、前記板厚の非均一な分布状況は、以下のいくつかの状況がある。
(1)板厚の変化方向は、図2に示すように、縦方向又は横方向でもよく、あるいは縦横方向に同時に変化してもよい。
(2)板厚変化の特徴は連続変化と突然変化を含み、前記連続変化は板厚が線形変化してもよく、又は板厚が非線形変化してもよい。
(3)0個の板厚遷移エリア又は0個の等厚エリアを少なくとも含み、複数の板厚遷移エリアと等厚エリアを含んでもよいし、又は互いに組み合わせて複雑な差厚製品になることができ、前記等厚エリアは板厚が同じである薄いエリア又は厚いエリアを含む。
(4)板厚の変化形態は、単調増加、単調減少、減少してから増加、増加してから減少又は突然変化等の簡単な形態、または複数の簡単な形態の組み合わせを含む。
好ましい実施形態として、前記製造技術は動的変化ロールギャップ圧延技術、横方向差厚圧延技術、遊星圧延技術、連続鋳造圧延技術、フレキシブルリング圧延技術、レーザ溶接技術、パッチパネル技術、3Dプリント技術、鋳造技術等を含む。
好ましい実施形態として、前記差厚金属帯材の基準延伸率は、以下のステップにより得られる。
ステップ一:幾何学的外形寸法及び板厚の非均一な分布状況に基づいて、GB/T 228.1-2021「金属材料の引張試験の第1部分:室温試験方法」に従い、差厚の一軸引張の標準試料の幾何学的寸法を設計し、前記幾何学的寸法は、試料全長、最初ゲージ長、平行段の長さ、平行段の最初幅、挟持端の幅、遷移円弧半径を含み、板厚遷移エリアが試料の平行段の最初ゲージ長内に含まれる。
ステップ二:ワイヤカット放電加工技術で差厚の一軸引張の標準試料を切り取り、一軸引張の力学的性能試験を少なくとも3組繰り返し行い、載荷荷重が極めて高い位置で生じた試料の伸長率をその試料の均一延伸率とし、各組の試料引張試験により得られた均一延伸率を平均化処理して、差厚金属帯材の基準延伸率を得る。
ステップ三:有限要素シミュレーションソフトウェアを利用して差厚金属帯材の標準引張試料モデルを作成して、一軸引張過程を模擬し、模擬結果と試験結果を比較して検証し、有限要素モデルの精確性を確保する。
前記引張標準試料の平行段の幅が均一で、板厚の変化によって変化しない。
好ましい実施形態として、前記差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係及び対応する載荷荷重-変位関係は、以下のステップにより得られる。
ステップ1:構造の板厚の非均一な分布状況に基づいて最大板厚と最小板厚を選択し、それを上下限としてN個の板厚を等分位数で離散的に選択し、製造技術及び工程で対応するN個の等厚金属板帯材を製造し、そのN箇の等厚数値は、等分位数で離散的に選択されたN箇の板厚と一対一に対応する。
前記製造技術及び工程は、差厚金属帯材を製造するための製造技術及び工程と同様であり、
前記N個の等厚金属板帯材の製造技術及び工程は同様である。
前記Nは、等分位数の離散数で、かつN≧2であり、需要の結果精度が高いほど、Nの値は大きい。
ステップ2:ステップ1に従い、N個の板厚に対応する等厚一軸引張標準試料を設計し、ぞれぞれに対して一軸引張力学的性能試験を行って、N個の等厚一軸引張標準試料の力学的性能データを得て、N個の等厚一軸引張標準試料の対応する載荷荷重-変位関係及び初期真応力-真ひずみ関係を抽出する。
好ましい実施形態として、前記差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲及び目標延伸率は、以下のステップにより得られる。
ステップ1.1:ステップ2で得られたN個の等厚一軸引張標準試料の載荷荷重-変位データに基づいて、載荷荷重が極めて高い位置における試料の伸長率を選択して対応する板厚の試料の均一延伸率とし、N個の等厚一軸引張標準試料の均一延伸率のうちの最大均一延伸率を差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲の上限とし、N個の等厚一軸引張標準試料の均一延伸率のうちの最小均一延伸率を差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲の下限とし、上下限を差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲とする。具体的に以下の三つの状況がある。
(1)差厚金属帯材の基準延伸率が延伸率の調節可能な範囲の下限より低い場合、最大均一延伸率と最小均一延伸率は差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲の上下限である。
(2)差厚金属帯材の基準延伸率が延伸率の調節可能な範囲の下限より高く、延伸率の調節可能な範囲の上限より低い場合、最大均一延伸率と基準延伸率は差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲の上下限である。
(3)差厚金属帯材の基準延伸率が延伸率の調節可能な範囲の上限より高い場合、その差厚金属帯材の延伸率は、本発明の調節により向上させることができない。
ステップ2.1:差厚金属帯材の目標延伸率は、必要に応じてN個の等厚一軸引張標準試料の均一延伸率の結果から選定され、具体的に以下の状況がある。
(1)差厚金属帯材の性能要求が延伸率を大幅に向上することであれば、目標延伸率は延伸率の調節可能な範囲の上限又は上限付近に選定される。
(2)差厚金属帯材の性能要求が延伸率をわずかに向上することであれば、目標延伸率は延伸率の調節可能な範囲の下限又は下限付近に選定される。
(3)差厚金属帯材の性能要求が延伸率を適切に向上することであれば、目標延伸率は、延伸率の調節可能な範囲の中位線又は中位線付近に選定される。
好ましい実施形態として、前記差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の目標構成関係は、以下のステップにより得られる。
ステップ1.2:得られたN個の等厚一軸引張標準試料の初期真応力-真ひずみ関係データに基づいて、目標延伸率が対応する板厚試料の初期真応力-真ひずみデータを基準として、下式(1)によりその板厚の載荷荷重-ひずみ関係を作り出す。
=σ×t (1)
式中、tは、目標延伸率が対応する板厚値を表し、かつ引張の全体過程で一定のままであり、σは目標延伸率が対応する板厚の試料の引張過程における真応力を表し、Fは目標延伸率が対応する板厚の試料の引張過程における載荷荷重を表す。
ステップ2.2:目標延伸率が対応する板厚の試料の載荷荷重-ひずみデータを基準とし、残りのN-1個の等厚一軸引張標準試料の載荷荷重-ひずみデータと目標延伸率が対応する板厚試料の載荷荷重-ひずみデータを同様に設計し、下式(2)により残りのN-1個の等厚一軸引張標準試料の目標真応力-真ひずみ関係曲線のデータが得られる。
σ =F/t (2)
式中、Nは、選択された異なる板厚の番号を表し、tは、選択された異なる板厚値を表し、且つ引張の全体過程で一定のままであり、σ σは異なる板厚試料の引張過程における真応力を表し、Fは目標延伸率が対応する板厚試料の引張過程における載荷荷重を表す。
ステップ3.2:真応力をY軸とし、真ひずみをX軸として、平面直角座標系をプロットして、得られたN個の等厚一軸引張標準試料の目標真応力-真ひずみ関係曲線データを当該平面直角座標系に置いて、各曲線に対応する初期板厚値を明確にマークして、差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の目標真応力-真ひずみ関係曲線のデータを得る。
前記目標構成関係は目標応力-ひずみ関係である。
好ましい実施形態として、差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係と目標構成関係の間の差異状況は、以下のステップにより得られる。
ステップ1.3:ステップ一とステップ三に従い、差厚金属帯材の標準引張試料の有限要素モデルを作成し、ステップ2.2での目標構成関係及び板厚の非均一な分布状況をモデルに付与して、その一軸引張過程を模擬し、荷重が極めて高い位置における試料の伸長率を試料の均一延伸率として、目標延伸率と比較して検証する。
ステップ2.3:真応力をY軸とし、真ひずみをX軸として平面直角座標系をプロットし、ステップ2及びステップ3.2で得られたある板厚の試料の初期真応力-真ひずみ関係曲線データと対応する板厚試料の目標真応力-真ひずみ関係曲線のデータを当該平面直角座標系に置いて、すべてのひずみエリア内の同一ひずみ位置での目標真応力と初期真応力を減算して、当該板厚での初期真応力-真ひずみ関係曲線と目標真応力-真ひずみ関係曲線との間の差異分布を得る。
ステップ3.3:ステップ2.3の方法で残りのN-1個の等厚一軸引張標準試料に対して同様のデータ処理を行い、最終に差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係と目標構成関係の差異状況を得て、それを目標にして差別化の熱処理工程を設定する。
前記差別化の熱処理工程の設定は、以下の状況がある。
(1)製品のある板厚のひずみ位置の目標真応力が初期真応力より高い場合、当該位置の熱処理工程の設定は、選択された金属材料の熱処理性能変化パターンに基づいて調節されて、当該位置の真応力を目標真応力までに高める。
(2)製品のある板厚のひずみ位置の目標真応力が初期真応力より低い場合、当該位置の熱処理工程の設定は、選択された金属材料の熱処理性能変化パターンに基づいて調節されて、当該位置の真応力を目標真応力までに下げる。
(3)製品のある板厚のひずみ位置の目標真応力が初期真応力に等しい場合、当該位置で熱処理工程の設定を行わない。
前記初期真応力と前記目標真応力は、選択された金属材料の熱処理の調節可能な範囲内にある。
好ましい実施形態として、前記差別化の熱処理技術は、差別化の加熱技術と差別化の冷却技術の2種類を含み、前記差別化の加熱技術は、動的誘導加熱制御技術、勾配誘導加熱コイル技術、パーティション自己阻止加熱技術、レーザ熱処理技術、温度制御接触加熱技術、パーティション加熱型熱処理炉等の一体型差別化の加熱技術、又は局所誘導加熱技術、局所抵抗加熱技術、選択性レーザ熱処理技術、部分接触加熱技術、塩浴炉等の局所型差別化の加熱技術、又は一体型差別化の加熱技術と局所型差別化の加熱技術との組み合わせを含み、前記差別化の冷却技術は、動的媒体冷却技術、勾配媒体冷却技術、パーティション媒体冷却技術、勾配接触冷却技術、パーティション接触冷却技術等を含み、前記媒体は、空気、保護雰囲気、水、塩水、アルカリ水、オイル等を含む。
(実施例1)
本実施例は、動的変化ロールギャップ圧延技術で製造された差厚鋼板に対して、差別化の熱処理技術で板厚が異なる各エリアにおける材料の構成関係及び載荷荷重-ひずみ関係を設計して調整することで、差厚鋼板の延伸率を向上させる。差厚鋼板の材質はHC340LAで、圧延した後に熱処理を行わず、その板厚の変化方向は縦方向で、板厚の変化特徴は線形的な連続変化であり、1個の板厚遷移エリア及び2個の等厚エリアを含み、その中で、板厚遷移エリアは中間位置にあり、両側は等厚エリアである。差厚鋼板のパラメータは、図3に示すように、薄いエリアの板厚(D1)が1mm、薄いエリアの縦方向長さ(L3)が120mm、厚いエリアの板厚(D2)が2mm、厚いエリアの縦方向長さ(L1)が450mm、板厚遷移エリアの縦方向長さ(L2)が100mm、板材の幅が(W)310mmである。
差厚鋼板の延伸率を向上させる設計方法は、以下の通りである。
ステップ1:差厚鋼板の幾何学的外形寸法及び板厚の非均一な分布状況に基づいて、GB/T 228.1-2021「金属材料の引張試験の第1部分:室温試験方法」に従い、一部の薄いエリア、厚いエリア及び全部の板厚遷移エリアを含む差厚一軸引張の標準試料の幾何学的寸法を設計し、その中で、薄いエリア及び厚いエリアの縦方向長さはいずれも44.5mmにし、板厚遷移エリアの縦方向長さは100mmにし、薄いエリア及び厚いエリアが板厚遷移エリアの両側に位置する。引張試料の寸法は、図4に示すように、試料全長が189mm、最初ゲージ長が80mm、平行段の長さ(L4)が100mm、平行段の最初幅(W1)が12.5mm、挟持端の幅(W2)が25mm、挟持端長さ(L5)が30mm、遷移円弧半径Rが20mmになるように設計する。
ステップ2:図7に示すように、位置を選択してから、ワイヤカット放電加工技術で差厚の一軸引張の標準試料を切り取り、一軸引張試験を3組繰り返し行い、載荷荷重が極めて高い位置における試料の伸長率を均一延伸率とし、3組の試料引張試験により得られた均一延伸率を平均化処理して得られた差厚板の基準延伸率が4.50%となる。有限要素シミュレーションソフトウェアを利用して差厚鋼板の一軸引張標準試料の引張過程でのシミュレーションモデルを作成し、その試料幾何学的寸法と実際の一軸引張試料とは同様で、模擬結果と試験結果を比較して検証した結果、誤差率が5%以下であるので、当該シミュレーションモデルは正確である。
ステップ3:構成の板厚の非均一な分布状況に基づいて最大板厚と最小板厚を選択し、最大板厚が2mm、最小板厚が1mmであり、それを上下限として等分位数で1mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2mmの11個の板厚を順次に離散的に選択し、圧延技術で11個の等厚鋼板を製造し、11箇の板厚数値は、等分位点で離散的に選択された11箇の板厚と一対一に対応する。
ステップ4:GB/T 228.1-2021「金属材料の引張試験の第1部分:室温試験方法」に従い、11個の等厚一軸引張試料に対応する等厚一軸引張標準試料を製造し、それぞれに対して一軸引張力学的性能試験を行い、11個の等厚一軸引張試料の力学的性能データを得て、11個の等厚一軸引張試料に対応する初期真応力-真ひずみ関係曲線データ(図8に示すように)と載荷荷重-変位関係曲線データ(図9に示すように)を抽出する。
ステップ5:得られた11個の等厚一軸引張試料の載荷荷重-変位データに基づいて、載荷荷重が極めて高い位置における試料の伸長率を対応する板厚試料の均一延伸率として選択し、11個の等厚一軸引張試料のうちの板厚が2mmである試料から得られた最大均一延伸率20.24%を差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲の上限とし、11個の等厚一軸引張試料のうちの板厚が1mmである試料から得られた最小均一延伸率12.50%を差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲の下限とし、その上下限を差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲とし、延伸率の上下限はいずれも4.50%の基準延伸率より高い。該差厚鋼板の性能は延伸率を大幅に向上させるように要求されるため、目標延伸率を延伸率の調節可能な範囲上限として選択し、即ち、板厚が2mmである場合に得られた最大均一延伸率20.24%を上限として選択する。
ステップ6:得られた11個の等厚一軸引張試料の初期真応力-真ひずみ関係曲線データに基づいて、目標延伸率20.24%が2mmの板厚試料に対応する場合の初期真応力-真ひずみデータを基準として、下式(1)により、その板厚の載荷荷重-ひずみ関係を作成する。
=σ×t (1)
式中、tは、目標延伸率が対応する板厚値を表し、かつ引張の全体過程で一定のままであり、σは目標延伸率が対応する板厚試料の引張過程における真応力を表し、Fは目標延伸率が対応する板厚試料の引張過程における載荷荷重を表す。
ステップ7:図10に示すように、目標延伸率が2mmの等厚一軸引張標準試料に対応する場合の載荷荷重-ひずみ関係データを基準とし、残りの10個の等厚一軸引張標準試料(1mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm)の載荷荷重-ひずみデータと目標延伸率が2mmの等厚一軸引張標準試料に対応する場合の載荷荷重-ひずみデータを同様に設計し、下式(2)により、残りの10個の等厚一軸引張試料試料の目標真応力-真ひずみ関係曲線データを得る。
σ =F/t (2)
式中、Nは、選択された異なる板厚番号を表し、tは、選択された異なる板厚値を表し、且つ引張の全体過程で一定のままであり、σ は異なる板厚試料の引張過程における真応力を表し、Fは目標延伸率が対応する板厚試料の引張過程における載荷荷重を表す。
ステップ8:図11に示すように、真応力をY軸とし、真ひずみをX軸として、平面直角座標系をプロットして、得られた11個の等厚一軸引張標準試料の目標真応力-真ひずみ関係曲線データを平面直角座標系に置いて、各曲線に対応する初期板厚値を明確にマークして、差厚金属帯材の厚い各エリア位置における材料の目標真応力-真ひずみ関係曲線データを得る。
ステップ7で算出された目標真応力-真ひずみ関係と、ステップ1での幾何学的寸法と。対応する板厚の分布状況とを、それぞれ差厚鋼板の一軸引張標準試料の有限要素モデルに付与し、有限要素シミュレーションソフトウェアを利用して、差厚の一軸引張の標準試料の引張過程を計算して予測し、該試料の幾何学的寸法と実際の一軸引張試料とは同様である。図12の結果からわかるように、目標真応力-真ひずみ関係が付与された差厚鋼板の一軸引張の均一延伸率は20.59%であって、基準延伸率に比べて358%向上し、目標延伸率の20.24%との偏差はわずか1.73%である。
ステップ9:図13に示すように、真応力をY軸とし、真ひずみをX軸として平面直角座標系をプロットし、ステップ4で得られた11個の等厚一軸引張試料の初期真応力-真ひずみ関係曲線データと対応する11個の等厚一軸引張試料目標真応力-真ひずみ関係曲線データを当該平面直角座標系に置いて、すべてのひずみエリア内の同一真ひずみ位置での目標真応力と初期真応力を減算して、当該板厚での初期真応力-真ひずみ関係曲線と目標真応力-真ひずみ関係曲線との間の差異分布を得る。
ステップ10:該差異分布に基づいて、差別化の熱処理工程を設定する。製品のある板厚のひずみ位置の目標真応力が初期真応力より高い場合、当該位置の熱処理工程の設定は、選択された金属材料の熱処理性能変化パターンに基づいて調節されて、当該位置の応力数値を目標真応力までに高める。製品のある板厚の位置の目標真応力が初期真応力より低い場合、当該位置の熱処理工程の設定は、選択された金属材料の熱処理性能変化パターンに基づいて調節されて、当該位置の真応力数値を目標真応力までに下げる。製品のある板厚位置の目標真応力が初期真応力に等しい場合、当該位置で熱処理工程の設定を行わない。
ステップ11:図14に示すように、選択した勾配誘導加熱コイル技術を選択して圧延された差厚鋼板の昇温及び保温段階での板厚が異なる各エリアの温度経路差異の制御を実現し、勾配媒体冷却技術を選択して圧延された差厚鋼板の冷却段階での板厚が異なる各エリアの温度経路差異の制御を実現し、これにより圧延された差厚鋼板の板厚が異なる各エリアの目標構成関係を実現し、その延伸率及び後続の成形性を向上させる。
(実施例2)
本実施例は、図2に示すようなレーザ溶接技術で製造されたレーザ溶接鋼板に対して、差別化の熱処理技術で板厚が異なる各エリアにおける材料の構成関係及び載荷荷重-ひずみ関係を設計して調節することで、差厚鋼板の延伸率を向上する。レーザ溶接鋼板の材質はDP590/DP780で、その板厚の変化方向は縦方向で、板厚の変化特徴は突然変化で、板厚の突然変化エリアと二つの等厚エリアを含み、その中で、板厚突然変化エリアが中間位置にあり、両側が等厚エリアである。該差厚鋼板のパラメータは、図5に示すように、薄いエリアの板厚(D4)が1.5mm、材質がDP780で、薄いエリアの縦方向長さ(L7)が370mm、厚いエリアの板厚(D3)が2.5mm、材質がDP590、厚いエリアの縦方向長さ(L6)が540mm、板材の幅が(W3)220mmである。
該差厚鋼板の延伸率を向上させる設計方法は、以下の通りである。
ステップ1:差厚鋼板の幾何学的外形寸法及び板厚の非均一な分布状況に基づいて、GB/T 228.1-2021「金属材料の引張試験の第1部分:室温試験方法」に従い、一部の薄いエリア、厚いエリア及び板厚突然変化エリアを含む差厚一軸引張の標準試料の幾何学的寸法を設計し、その中で、薄いエリア及び厚いエリアの縦方向長さはいずれも55mmにし、板厚突然変化エリアは1mmにし、薄いエリアと厚いエリアが板厚突然変化エリアの両側に位置する。引張試料の寸法は、図6に示すように、試料全長(L8)が110mm、最初ゲージ長が25mm、平行段の長さ(L9)が30mm、平行段の最初幅(W4)が10mm、挟持端の幅(W5)が15mm、遷移円弧半径(R2)が20mmになるように設計する。
ステップ2:図15に示すように、位置を選択してから、ワイヤカット放電加工技術で差厚の一軸引張の標準試料を切り取り、一軸引張試験を3組繰り返し行い、載荷荷重が極めて高い位置における試料の伸長率を均一延伸率とし、3組の試料引張試験により得られた均一延伸率を平均化処理して得られた差厚板の基準延伸率が8.17%である。有限要素シミュレーションソフトウェアを利用して差厚鋼板の一軸引張標準試料の引張過程でのシミュレーションモデルを作成し、その試料の幾何学的寸法と実際の一軸引張試料とは同様で、模擬結果と試験結果を比較して検証した結果、誤差率が3%以下であるので、該シミュレーションモデルは正確である。
ステップ3:構造の板厚の非均一な分布状況に基づいて最大板厚と最小板厚を選択し、最大板厚が2.5mm、最小板厚が1.5mmであり、それを上下限として等分位数で1.5mm、2.5mmの2個の板厚を順次に離散的に選択し、圧延技術で2個の等厚鋼板を製造し、2箇の板厚数値は、等分位数で離散的に選択された2箇の板厚と一対一に対応する。
ステップ4:GB/T 228.1-2021「金属材料の引張試験の第1部分:室温試験方法」に従い、2個の板厚に対応する等厚一軸引張標準試料を製造し、それぞれに対して一軸引張力学的性能試験を行い、2個の等厚一軸引張試料の力学的性能データを得て、2個の等厚一軸引張試料に対応する初期真応力-真ひずみ関係曲線データ(図16に示すように)と載荷荷重-変位関係曲線データ(図17に示すように)を抽出する。
ステップ5:得られた2個の等厚一軸引張試料の載荷荷重-変位データに基づいて、載荷荷重が極めて高い位置における試料の伸長率を対応する板厚の試料の均一延伸率として選択し、2個の等厚一軸引張試料のうちの、板厚が2.5mm、材質がDP590である場合に得られた最大均一延伸率15%を差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲の上限とし、2個の等厚一軸引張試料のうちの、板厚が1.5mm、材質がDP780である場合に得られた最小均一延伸率13.33%を差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲の下限とし、その上下限を差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲とし、延伸率の上下限はいずれも8.17%の基準延伸率より高い。該差厚鋼板の性能は延伸率をわずかに向上させるように要求されるため、目標延伸率を延伸率の調節可能な範囲の下限として選択し、即ち、板厚が1.5mmである場合に得られた最大均一延伸率13.33%を下限として選択する。
ステップ6:得られた2個の等厚一軸引張試料の初期真応力-真ひずみ関係曲線データに基づいて、目標延伸率13.33%が、板厚が1.5mmで材質DP780である試料に対応する場合の初期真応力-真ひずみデータを基準として、下式(1)により、その板厚の載荷荷重-ひずみ関係を作成する。
=σ×t (1)
式中、tは、目標延伸率が対応する板厚の値を表し、かつ引張の全体過程で一定のままであり、σは目標延伸率が対応する板厚試料の引張過程における真応力を表し、Fは目標延伸率が対応する板厚試料の引張過程における載荷荷重を表す。
ステップ7:図18に示すように、目標延伸率が、板厚が2mmで材質がDP780の等厚一軸引張標準試料に対応する場合の載荷荷重-ひずみ関係データを基準とし、残りの1個の等厚一軸引張標準試料(2.5mm)の載荷荷重-ひずみデータと目標延伸率が1.5mmの等厚一軸引張標準試料に対応する場合の載荷荷重-ひずみデータを同様に設計し、下式(2)により、残りの1個の等厚一軸引張試料試料の目標真応力-真ひずみ関係曲線データを得る。
σ =F/t (2)
式中、Nは、選択された異なる板厚の番号を表し、tは、選択された異なる板厚値を表し、且つ引張の全体過程で一定のままであり、σ は異なる板厚の試料の引張過程における真応力を表し、Fは目標延伸率が対応する板厚試料の引張過程における載荷荷重を表す。
ステップ8:図19に示すように、真応力をY軸とし、真ひずみをX軸として、平面直角座標系をプロットして、得られた2個の等厚一軸引張試料の目標真応力-真ひずみ関係曲線データを当該平面直角座標系に置いて、各曲線に対応する初期板厚値を明確にマークして、差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の目標真応力-真ひずみ関係曲線データを得る。
ステップ7で算出された目標真応力-真ひずみ関係と、ステップ1での幾何学的寸法と、板厚に対応する分布状況とを、それぞれ差厚鋼板の一軸引張標準試料の有限要素モデルに付与し、有限要素シミュレーションソフトウェアを利用して、差厚の一軸引張の標準試料の引張過程を計算して予測し、該試料幾何学的寸法と実際の一軸引張試料と同様である。図20の結果からわかるように、目標真応力-真ひずみ関係が付与された差厚鋼板の一軸引張の均一延伸率は13.33%であって、基準延伸率に比べて63.16%向上し、目標延伸率13.33%と偏差がない。
ステップ9:図21に示すように、真応力をY軸とし、真ひずみをX軸として平面直角座標系をプロットし、ステップ4で得られた2個の等厚一軸引張試料の初期真応力-真ひずみ関係曲線データと2個の等厚一軸引張試料に対応する目標真応力-真ひずみ関係曲線データを当該平面直角座標系に置いて、すべてのひずみエリア内の同一真ひずみ位置での目標真応力と初期真応力を減算して、当該板厚での初期真応力-真ひずみ関係曲線と目標真応力-真ひずみ関係曲線との間の差異分布を得る。
ステップ10:該差異分布に基づいて、差別化の熱処理工程を設定する。製品のある板厚のひずみ位置の目標真応力が初期真応力より高い場合、当該位置の熱処理工程の設定は、選択された金属材料の熱処理性能変化パターンに基づいて調節されて、当該位置の真応力の数値を目標真応力までに高める。製品のある板厚の位置の目標真応力が初期真応力より低い場合、当該位置の熱処理工程の設定は、選択された金属材料の熱処理性能変化パターンに基づいて調節されて、当該位置の真応力数値を目標真応力までに下げる。製品のある板厚位置の目標真応力が初期真応力に等しい場合、当該位置で熱処理工程の設定は行わない。前記初期真応力と目標真応力は選択された金属材料の熱処理調節可能な範囲内にある。
ステップ11:図22に示すように、パーティション加熱型熱処理炉技術を選択して、圧延された差厚鋼板の昇温及び保温段階での板厚が異なる各エリアの温度経路差異の制御を実現し、パーティション媒体冷却技術を選択して、圧延された差厚鋼板の冷却段階での板厚が異なる各エリアの温度経路差異の制御を実現し、これにより圧延された差厚鋼板の厚い各エリアの目標構成関係を実現し、その延伸率及び後続の成形性を向上させる。
本発明の実施例における差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法は、処理装置、記憶装置又はその他の回路を備えるコンピュータがプログラムを実行することによって実行され得る。即ち、本発明の実施例に記載されたモデルの作成、制御、計算、処理、又は設計はコンピュータによりなされ得る。
最後に以下の通り、説明すべきである。上記の各実施例は、本発明の技術手段に対する説明にすぎなく、技術手段を限定するものではない。本発明について、上述した各実施例を参照して詳しく説明したが、上述した各実施例に記載の技術手段を修正し、またはその中の一部や全部の技術的特徴を同等切替してもよく、これら修正や切替を行ってもよく、対応する技術手段の本質は本発明の実施例における技術手段の範囲から逸脱することはないとのことは、当業者に理解されよう。
(付記)
(付記1)
差厚金属帯材に使用される材料の種類、グレード及び幾何学的外形寸法である第1モデルと差厚金属帯材の板厚の非均一な分布状況である第2モデルを作成するステップS1と、
第1モデルと第2モデルに基づいて得られた差厚金属帯材の基準延伸率である第3モデルを作成するステップS2と、
第2モデルと第3モデルに基づいて製造技術で得られた差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係及び対応する載荷荷重-変位関係である第4モデルと第5モデルを作成するステップS3と、
第3モデル、第5モデル及び板厚の異なる各エリアにおける材料の延伸率に基づいて得られた差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲である第6モデルを作成するステップS4と、
第6モデル及び異なる服務目標の需要に基づいて得られた差厚金属帯材の目標延伸率である第7モデルを作成するステップS5と、
第4モデルと第7モデルに基づいて得られた差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の目標構成関係である第8モデルを作成するステップS6と、
第2モデル、第4モデル及び第8モデルに基づいて板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係と目標構成関係の間の差異を取得し、差別化の熱処理工程を設定し、差別化の熱処理技術で差厚金属帯材の性能調節を行い、目標延伸率のレベルを調節することによって差厚金属帯材の延伸率及び後続の成形時の全体の変形能力の向上程度を制御するステップS7と、を含み、
前記ステップS3において、前記板厚が異なる各エリアは、板厚変化の区間を等分位で離散的に選択したN箇の板厚位置であり、
前記差厚金属帯材の板厚の変化範囲は0.5mm~4.5mmであり、
前記構成関係は真応力-真ひずみ関係であり、その中で、前記初期構成関係は初期の真応力-真ひずみ関係であり、前記目標構成関係は目標の真応力-真ひずみ関係であり、
前記延伸率は均一延伸率である、ことを特徴とする差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法。
(付記2)
前記差厚金属帯材の基準延伸率は、以下のステップにより得られ、
ステップ一:構造の幾何学的外形寸法と板厚の非均一な分布状況に基づいて、差厚一軸引張標準試料の、全長、最初ゲージ長、平行段の長さ、平行段の最初幅、挟持端の幅及び遷移円弧半径を含む幾何学的寸法を設計し、
ステップ二:ワイヤカット放電加工技術で差厚一軸引張標準試料を切り取り、一軸引張の力学的性能試験を少なくとも3組繰り返し行い、載荷荷重が極めて高い位置における試料の伸長率を当該試料の均一延伸率とし、各組の試料引張試験により得られた均一延伸率を平均化処理して差厚金属帯材の基準延伸率を得て、その中で、差厚一軸引張標準試料の板厚遷移エリアが試料の平行段の最初ゲージ長内に含まれ、差厚一軸引張標準試料の平行段の幅が均一で、板厚の変化によって変化しない、
ステップ三:有限要素シミュレーションソフトウェアを利用して差厚金属帯材の標準引張試料モデルを作成してその一軸引張過程を模擬し、模擬結果と試験結果を比較して検証し、有限要素モデルの精確性を確保する、ことを特徴とする付記1に記載の差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法。
(付記3)
前記差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係と対応する載荷荷重-変位関係は、以下のステップにより得られ、
ステップ1:構造の板厚の非均一な分布状況に基づいて最大板厚と最小板厚を選択し、最大板厚と最小板厚を上下限として等分位数で離散的にN個の板厚を選択し、製造技術により対応するN個の等厚金属板帯材を製造し、そのN箇の等厚数値は、等分位数で離散的に選択されたN箇の板厚と一対一に対応し、N個の等厚金属板帯材の製造技術は差厚金属帯材の製造技術と同じで、N個の等厚金属板帯材の製造技術が同じであり、前記Nは、等分位の離散数で、N≧2であり、需要の結果の精度が高いほど、Nの値は大きく、
ステップ2:ステップ一に従いN個の板厚に対応する等厚一軸引張標準試料を設計し、ぞれぞれ一軸引張の力学的性能試験を行い、N個の板厚の力学的性能データを得て、N個の等厚一軸引張標準試料の載荷荷重-変位関係及び初期真応力-真ひずみ関係を抽出する、ことを特徴とする付記2に記載の差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法。
(付記4)
前記差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲及び目標延伸率は、以下のステップにより得られ、
ステップ1.1:ステップ2により得られたN個の等厚一軸引張標準試料の載荷荷重-変位データに基づいて、載荷荷重が極めて高い位置における試料の伸長率を対応する板厚の試料の均一延伸率とし選択し、N個の等厚一軸引張標準試料の均一延伸率のうちの最大均一延伸率を差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲の上限とし、N個の等厚一軸引張標準試料の均一延伸率のうちの最小均一延伸率を差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲の下限とし、上下限を差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲とし、具体的に以下の(1)~(3)の状況があり、
(1)差厚金属帯材の基準延伸率が延伸率の調節可能な範囲の下限より低い場合、最大均一延伸率と最小均一延伸率は差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲の上下限であることと、
(2)差厚金属帯材の基準延伸率が延伸率の調節可能な範囲の下限より高く、延伸率の調節可能な範囲の上限より低い場合、最大均一延伸率と基準延伸率は差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲の上下限であることと、
(3)差厚金属帯材の基準延伸率が延伸率の調節可能な範囲の上限より高い場合、その差厚金属帯材の延伸率は、調節して向上させることができないことであり、
ステップ2.1:差厚金属帯材の目標延伸率は、必要に応じてN個の等厚一軸引張標準試料の均一延伸率の結果から選定され、具体的に以下の(1)~(3)の状況があり、
(1)差厚金属帯材の性能要求が延伸率を大幅に向上することであれば、目標延伸率は延伸率の調節可能な範囲の上限又は上限付近に選定されることと、
(2)差厚金属帯材の性能要求が延伸率をわずかに向上することであれば、目標延伸率は延伸率の調節可能な範囲の下限又は下限付近に選定されることと、
(3)差厚金属帯材の性能要求が延伸率を適切に向上することであれば、目標延伸率は、延伸率の調節可能な範囲の中位線又は中位線付近に選定されることである、ことを特徴とする付記3に記載の差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法。
(付記5)
前記差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の目標構成関係は、以下のステップにより得られ、
ステップ1.2:得られたN個の等厚一軸引張標準試料の初期真応力-真ひずみ関係のデータに基づいて、目標延伸率が対応する板厚の試料の初期真応力-真ひずみデータを基準として、下式(1)によりその板厚の載荷荷重-ひずみ関係を作り出し、
=σ×t (1)
式中、tは、目標延伸率が対応する板厚の値を表し、かつ引張の全体過程で一定のままであり、σは目標延伸率が対応する板厚の試料の引張過程における真応力を表し、Fは目標延伸率が対応する板厚の試料の引張過程における載荷荷重を表し、
ステップ2.2:目標延伸率が対応する板厚の試料の載荷荷重-ひずみデータを基準とし、残りのN-1個の等厚一軸引張標準試料の載荷荷重-ひずみデータと目標延伸率が対応する板厚の試料の載荷荷重-ひずみデータを同様に設計し、下式(2)により残りのN-1個の等厚一軸引張標準試料の目標真応力-真ひずみ関係曲線のデータを得て、
σ =F/t (2)
式中、Nは、選択された異なる板厚の番号を表し、tは、選択された異なる板厚値を表し、且つ引張の全体過程で一定のままであり、σ は異なる板厚の試料の引張過程における真応力を表し、Fは目標延伸率が対応する板厚の試料の引張過程における載荷荷重を表し、
ステップ3.2:応力をY軸とし、ひずみをX軸として、平面直角座標系をプロットして、得られたN個の等厚一軸引張標準試料の目標真応力-真ひずみ関係曲線のデータを当該平面直角座標系に置いて、各曲線に対応する初期板厚値を明確にマークして、差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の目標真応力-真ひずみ関係曲線データを得る、ことを特徴とする付記4に記載の差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法。
(付記6)
差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係と目標構成関係の間の差異状況は、以下のステップにより得られ、
ステップ1.3:ステップ一とステップ三に基づいて差厚金属帯材の標準引張試料の有限要素モデルを作成し、ステップ2.2での目標構成関係及び板厚の非均一な分布状況をモデルに付与して、その一軸引張過程を模擬し、荷重が極めて高い位置における試料の伸長率を試料の均一延伸率として、目標延伸率と比較して検証し、
ステップ2.3:真応力をY軸とし、真ひずみをX軸として平面直角座標系をプロットし、ステップ2及びステップ3.2で得られたある板厚試料の初期真応力-真ひずみ関係曲線データと対応する板厚試料の目標真応力-真ひずみ関係曲線データを当該平面直角座標系に置いて、すべてのひずみエリア内の同一ひずみ位置での目標真応力と初期真応力を減算して、当該板厚での初期真応力-真ひずみ関係曲線と目標真応力-真ひずみ関係曲線との間の差異分布を得て、
ステップ3.3:ステップ2.3の方法で残りのN-1個の等厚一軸引張標準試料に対して同様のデータ処理を行い、最終に差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係と目標構成関係の間の差異状況を得て、それを目標にして差別化の熱処理工程を設定し、
前記差別化の熱処理工程の設定は、以下の(1)~(3)の状況があり、
(1)製品のある板厚のひずみ位置の目標真応力が初期真応力より高い場合、当該位置の熱処理工程の設定は、選択された金属材料の熱処理性能変化パターンに基づいて調節されて、当該位置の真応力を目標真応力までに高め、
(2)製品のある板厚のひずみ位置の目標真応力が初期真応力より低い場合、当該位置の熱処理工程の設定は、選択された金属材料の熱処理性能変化パターンに基づいて調節されて、当該位置の真応力を目標真応力に下げ、
(3)製品のある板厚のひずみ位置の目標真応力が初期真応力に等しい場合、当該位置の熱処理工程の設定を行わず、
前記初期応力と前記目標応力は、選択された金属材料の熱処理の調節可能な範囲内にある、ことを特徴とする付記5に記載の差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法。
(付記7)
前記板厚の非均一な分布状況は、以下の(1)~(4)の状況があり、
(1)板厚の変化方向は縦方向または横方向、または縦横方向に同時に変化し、
(2)板厚変化の特徴は連続変化と突然変化を含み、前記連続変化は、板厚の線形変化又は板厚の非線形変化であり、
(3)少なくとも0個の板厚遷移エリアまたは0個の等厚エリアを含み、その中で、複数の板厚遷移エリアおよび等厚エリアを含み、または互いに組み合わせた複雑な差厚製品であり、前記等厚エリアは板厚が同じである薄いエリアまたは厚いエリアを含み、
(4)板厚の変化形態は、少なくとも、単調増加、単調減少、減少してから増加、増加してから減少又は突然変化の中の1つの簡単な形態、または複数の簡単な形態の組み合わせを含む、ことを特徴とする付記1~6のいずれか一つに記載の差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法。
(付記8)
前記製造技術は、少なくとも、動的変化ロールギャップ圧延技術、横方向差厚圧延技術、遊星圧延技術、連続鋳造圧延技術、フレキシブルリング圧延技術、レーザ溶接技術、パッチパネル技術、3Dプリント技術又は鋳造技術を含む、ことを特徴とする付記1又は3に記載の差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法。
(付記9)
前記差別化の熱処理技術は差別化の加熱技術と差別化の冷却技術を含み、
前記差別化の加熱技術は一体型差別化の加熱技術又は局所型差別化の加熱技術、又は一体型差別化の加熱技術と局所型差別化の加熱技術との組み合わせであり、
前記一体型差別化の加熱技術は、少なくとも動的誘導加熱制御技術、勾配誘導加熱コイル技術、パーティション自己阻止加熱技術、レーザ熱処理技術、温度制御接触加熱技術又はパーティション加熱型熱処理炉を含み、
前記局所型差別化の加熱技術は、少なくとも局所誘導加熱技術、局所抵抗加熱技術、選択性レーザ熱処理技術、部分接触加熱技術又は塩浴炉を含み、
前記差別化の冷却技術は、少なくとも動的媒体冷却技術、勾配媒体冷却技術、パーティション媒体冷却技術、勾配接触冷却技術又はパーティション接触冷却技術を含み、
前記媒体は、少なくとも空気、保護雰囲気、水、塩水、アルカリ水又はオイルを含む、ことを特徴とする付記1又は6に記載の差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法。
(付記10)
前記材料の種類は、熱処理により力学的性能を調節できる通常の金属材質であり、少なくとも炭素鋼、合金鋼、アルミニウムおよびアルミニウム合金、銅および銅合金、マグネシウムおよびマグネシウム合金、又はチタンおよびチタン合金を含む、ことを特徴とする付記1に記載の差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法。

Claims (10)

  1. 差厚金属帯材に使用される材料の種類、グレード及び幾何学的外形寸法である第1モデルと差厚金属帯材の板厚の非均一な分布状況である第2モデルを作成するステップS1と、
    第1モデルと第2モデルに基づいて得られた差厚金属帯材の基準延伸率である第3モデルを作成するステップS2と、
    第2モデルと第3モデルに基づいて製造技術で得られた差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係及び対応する載荷荷重-変位関係である第4モデルと第5モデルを作成するステップS3と、
    第3モデル、第5モデル及び板厚の異なる各エリアにおける材料の延伸率に基づいて得られた差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲である第6モデルを作成するステップS4と、
    第6モデル及び異なる服務目標の需要に基づいて得られた差厚金属帯材の目標延伸率である第7モデルを作成するステップS5と、
    第4モデルと第7モデルに基づいて得られた差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の目標構成関係である第8モデルを作成するステップS6と、
    第2モデル、第4モデル及び第8モデルに基づいて板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係と目標構成関係の間の差異を取得し、差別化の熱処理工程を設定し、差別化の熱処理技術で差厚金属帯材の性能調節を行い、目標延伸率のレベルを調節することによって差厚金属帯材の延伸率及び後続の成形時の全体の変形能力の向上程度を制御するステップS7と、を含み、
    前記ステップS3において、前記板厚が異なる各エリアは、板厚変化の区間を等分位で離散的に選択したN箇の板厚位置であり、
    前記差厚金属帯材の板厚の変化範囲は0.5mm~4.5mmであり、
    前記構成関係は真応力-真ひずみ関係であり、その中で、前記初期構成関係は初期の真応力-真ひずみ関係であり、前記目標構成関係は目標の真応力-真ひずみ関係であり、
    前記延伸率は均一延伸率である、ことを特徴とする差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法。
  2. 前記差厚金属帯材の基準延伸率は、以下のステップにより得られ、
    ステップ一:構造の幾何学的外形寸法と板厚の非均一な分布状況に基づいて、差厚一軸引張標準試料の、全長、最初ゲージ長、平行段の長さ、平行段の最初幅、挟持端の幅及び遷移円弧半径を含む幾何学的寸法を設計し、
    ステップ二:ワイヤカット放電加工技術で差厚一軸引張標準試料を切り取り、一軸引張の力学的性能試験を少なくとも3組繰り返し行い、載荷荷重が極めて高い位置における試料の伸長率を当該試料の均一延伸率とし、各組の試料引張試験により得られた均一延伸率を平均化処理して差厚金属帯材の基準延伸率を得て、その中で、差厚一軸引張標準試料の板厚遷移エリアが試料の平行段の最初ゲージ長内に含まれ、差厚一軸引張標準試料の平行段の幅が均一で、板厚の変化によって変化しない、
    ステップ三:有限要素シミュレーションソフトウェアを利用して差厚金属帯材の標準引張試料モデルを作成してその一軸引張過程を模擬し、模擬結果と試験結果を比較して検証し、有限要素モデルの精確性を確保する、ことを特徴とする請求項1に記載の差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法。
  3. 前記差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係と対応する載荷荷重-変位関係は、以下のステップにより得られ、
    ステップ1:構造の板厚の非均一な分布状況に基づいて最大板厚と最小板厚を選択し、最大板厚と最小板厚を上下限として等分位数で離散的にN個の板厚を選択し、製造技術により対応するN個の等厚金属板帯材を製造し、そのN箇の等厚数値は、等分位数で離散的に選択されたN箇の板厚と一対一に対応し、N個の等厚金属板帯材の製造技術は差厚金属帯材の製造技術と同じで、N個の等厚金属板帯材の製造技術が同じであり、前記Nは、等分位の離散数で、N≧2であり、需要の結果の精度が高いほど、Nの値は大きく、
    ステップ2:ステップ一に従いN個の板厚に対応する等厚一軸引張標準試料を設計し、ぞれぞれ一軸引張の力学的性能試験を行い、N個の板厚の力学的性能データを得て、N個の等厚一軸引張標準試料の載荷荷重-変位関係及び初期真応力-真ひずみ関係を抽出する、ことを特徴とする請求項2に記載の差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法。
  4. 前記差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲及び目標延伸率は、以下のステップにより得られ、
    ステップ1.1:ステップ2により得られたN個の等厚一軸引張標準試料の載荷荷重-変位データに基づいて、載荷荷重が極めて高い位置における試料の伸長率を対応する板厚の試料の均一延伸率とし選択し、N個の等厚一軸引張標準試料の均一延伸率のうちの最大均一延伸率を差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲の上限とし、N個の等厚一軸引張標準試料の均一延伸率のうちの最小均一延伸率を差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲の下限とし、上下限を差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲とし、具体的に以下の(1)~(3)の状況があり、
    (1)差厚金属帯材の基準延伸率が延伸率の調節可能な範囲の下限より低い場合、最大均一延伸率と最小均一延伸率は差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲の上下限であることと、
    (2)差厚金属帯材の基準延伸率が延伸率の調節可能な範囲の下限より高く、延伸率の調節可能な範囲の上限より低い場合、最大均一延伸率と基準延伸率は差厚金属帯材の延伸率の調節可能な範囲の上下限であることと、
    (3)差厚金属帯材の基準延伸率が延伸率の調節可能な範囲の上限より高い場合、その差厚金属帯材の延伸率は、調節して向上させることができないことであり、
    ステップ2.1:差厚金属帯材の目標延伸率は、必要に応じてN個の等厚一軸引張標準試料の均一延伸率の結果から選定され、具体的に以下の(1)~(3)の状況があり、
    (1)差厚金属帯材の性能要求が延伸率を大幅に向上することであれば、目標延伸率は延伸率の調節可能な範囲の上限又は上限付近に選定されることと、
    (2)差厚金属帯材の性能要求が延伸率をわずかに向上することであれば、目標延伸率は延伸率の調節可能な範囲の下限又は下限付近に選定されることと、
    (3)差厚金属帯材の性能要求が延伸率を適切に向上することであれば、目標延伸率は、延伸率の調節可能な範囲の中位線又は中位線付近に選定されることである、ことを特徴とする請求項3に記載の差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法。
  5. 前記差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の目標構成関係は、以下のステップにより得られ、
    ステップ1.2:得られたN個の等厚一軸引張標準試料の初期真応力-真ひずみ関係のデータに基づいて、目標延伸率が対応する板厚の試料の初期真応力-真ひずみデータを基準として、下式(1)によりその板厚の載荷荷重-ひずみ関係を作り出し、
    =σ×t (1)
    式中、tは、目標延伸率が対応する板厚の値を表し、かつ引張の全体過程で一定のままであり、σは目標延伸率が対応する板厚の試料の引張過程における真応力を表し、Fは目標延伸率が対応する板厚の試料の引張過程における載荷荷重を表し、
    ステップ2.2:目標延伸率が対応する板厚の試料の載荷荷重-ひずみデータを基準とし、残りのN-1個の等厚一軸引張標準試料の載荷荷重-ひずみデータと目標延伸率が対応する板厚の試料の載荷荷重-ひずみデータを同様に設計し、下式(2)により残りのN-1個の等厚一軸引張標準試料の目標真応力-真ひずみ関係曲線のデータを得て、
    σ =F/t (2)
    式中、Nは、選択された異なる板厚の番号を表し、tは、選択された異なる板厚値を表し、且つ引張の全体過程で一定のままであり、σ は異なる板厚の試料の引張過程における真応力を表し、Fは目標延伸率が対応する板厚の試料の引張過程における載荷荷重を表し、
    ステップ3.2:応力をY軸とし、ひずみをX軸として、平面直角座標系をプロットして、得られたN個の等厚一軸引張標準試料の目標真応力-真ひずみ関係曲線のデータを当該平面直角座標系に置いて、各曲線に対応する初期板厚値を明確にマークして、差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の目標真応力-真ひずみ関係曲線データを得る、ことを特徴とする請求項4に記載の差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法。
  6. 差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係と目標構成関係の間の差異状況は、以下のステップにより得られ、
    ステップ1.3:ステップ一とステップ三に基づいて差厚金属帯材の標準引張試料の有限要素モデルを作成し、ステップ2.2での目標構成関係及び板厚の非均一な分布状況をモデルに付与して、その一軸引張過程を模擬し、荷重が極めて高い位置における試料の伸長率を試料の均一延伸率として、目標延伸率と比較して検証し、
    ステップ2.3:真応力をY軸とし、真ひずみをX軸として平面直角座標系をプロットし、ステップ2及びステップ3.2で得られたある板厚試料の初期真応力-真ひずみ関係曲線データと対応する板厚試料の目標真応力-真ひずみ関係曲線データを当該平面直角座標系に置いて、すべてのひずみエリア内の同一ひずみ位置での目標真応力と初期真応力を減算して、当該板厚での初期真応力-真ひずみ関係曲線と目標真応力-真ひずみ関係曲線との間の差異分布を得て、
    ステップ3.3:ステップ2.3の方法で残りのN-1個の等厚一軸引張標準試料に対して同様のデータ処理を行い、最終に差厚金属帯材の板厚が異なる各エリアにおける材料の初期構成関係と目標構成関係の間の差異状況を得て、それを目標にして差別化の熱処理工程を設定し、
    前記差別化の熱処理工程の設定は、以下の(1)~(3)の状況があり、
    (1)製品のある板厚のひずみ位置の目標真応力が初期真応力より高い場合、当該位置の熱処理工程の設定は、選択された金属材料の熱処理性能変化パターンに基づいて調節されて、当該位置の真応力を目標真応力までに高め、
    (2)製品のある板厚のひずみ位置の目標真応力が初期真応力より低い場合、当該位置の熱処理工程の設定は、選択された金属材料の熱処理性能変化パターンに基づいて調節されて、当該位置の真応力を目標真応力に下げ、
    (3)製品のある板厚のひずみ位置の目標真応力が初期真応力に等しい場合、当該位置の熱処理工程の設定を行わず、
    前記初期応力と前記目標応力は、選択された金属材料の熱処理の調節可能な範囲内にある、ことを特徴とする請求項5に記載の差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法。
  7. 前記板厚の非均一な分布状況は、以下の(1)~(4)の状況があり、
    (1)板厚の変化方向は縦方向または横方向、または縦横方向に同時に変化し、
    (2)板厚変化の特徴は連続変化と突然変化を含み、前記連続変化は、板厚の線形変化又は板厚の非線形変化であり、
    (3)少なくとも0個の板厚遷移エリアまたは0個の等厚エリアを含み、その中で、複数の板厚遷移エリアおよび等厚エリアを含み、または互いに組み合わせた複雑な差厚製品であり、前記等厚エリアは板厚が同じである薄いエリアまたは厚いエリアを含み、
    (4)板厚の変化形態は、少なくとも、単調増加、単調減少、減少してから増加、増加してから減少又は突然変化の中の1つの簡単な形態、または複数の簡単な形態の組み合わせを含む、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法。
  8. 前記製造技術は、少なくとも、動的変化ロールギャップ圧延技術、横方向差厚圧延技術、遊星圧延技術、連続鋳造圧延技術、フレキシブルリング圧延技術、レーザ溶接技術、パッチパネル技術、3Dプリント技術又は鋳造技術を含む、ことを特徴とする請求項1又は3に記載の差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法。
  9. 前記差別化の熱処理技術は差別化の加熱技術と差別化の冷却技術を含み、
    前記差別化の加熱技術は一体型差別化の加熱技術又は局所型差別化の加熱技術、又は一体型差別化の加熱技術と局所型差別化の加熱技術との組み合わせであり、
    前記一体型差別化の加熱技術は、少なくとも動的誘導加熱制御技術、勾配誘導加熱コイル技術、パーティション自己阻止加熱技術、レーザ熱処理技術、温度制御接触加熱技術又はパーティション加熱型熱処理炉を含み、
    前記局所型差別化の加熱技術は、少なくとも局所誘導加熱技術、局所抵抗加熱技術、選択性レーザ熱処理技術、部分接触加熱技術又は塩浴炉を含み、
    前記差別化の冷却技術は、少なくとも動的媒体冷却技術、勾配媒体冷却技術、パーティション媒体冷却技術、勾配接触冷却技術又はパーティション接触冷却技術を含み、
    前記媒体は、少なくとも空気、保護雰囲気、水、塩水、アルカリ水又はオイルを含む、ことを特徴とする請求項1又は6に記載の差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法。
  10. 前記材料の種類は、熱処理により力学的性能を調節できる通常の金属材質であり、少なくとも炭素鋼、合金鋼、アルミニウムおよびアルミニウム合金、銅および銅合金、マグネシウムおよびマグネシウム合金、又はチタンおよびチタン合金を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の差厚金属帯材の延伸率を向上させる設計方法。
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