JP7452934B2 - 慢性肝不全の急性憎悪の治療のための成人肝前駆細胞 - Google Patents

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Description

本発明は、慢性肝不全の急性憎悪の治療に使用するために、初代肝細胞を用いて作成される成人肝前駆細胞に関するものである。
肝臓は身体の恒常性の制御において重要な器官であり、多くの重要な代謝経路の場所である。複雑な代謝経路内のたった1つのタンパク質の障害が、非常に有害となる。重要な肝酵素が多数存在することは、多様な肝疾患の発生リスクを大幅に高める。合計すると、200種類の先天性肝代謝異常が存在し、2500人に1人の割合で発症する。現在の治療や長期的な管理では十分な効果が得られない。同浮く所性肝移植(OLT)は、非常に侵襲的で不可逆的であり、ドナーの移植片の不足によって制限され、最新の手術を必要とする。肝細胞移植(LCT)は、肝細胞調製物の質により、短期から中期的な効果しか得られない場合がある。凍結保存への耐性、永久的な生着、および注入した細胞の高い機能性などがさらに改善されれば、大きなブレークスルーとなるだろう(Sokal EM, 2011; Russo FP and Parola M, 2012; Allameh A and Kazemnejad S, 2012; Parveen N et al., 2011)。
この改善は、幹細胞または前駆細胞、特に、さまざまな生物の肝組織や、胎児または成人の肝組織を用いた文献で同定されている肝前駆細胞の使用によってもたらされる(Schmelzer E et al,2007; Sahin MB et al., 2008; Azuma H et al., 2003; Herrera MB et al., 2006; Najimi M et al., 2007; Darwiche H and Petersen BE, 2010; Shiojiri N and Nitou M, 2012; Tanaka M and Miyajima A, 2012)。このような細胞は、in vitroで肝刺激にさらされた後、および/またはin vivoでの投与の後に、第I/II相酵素活性などの肝分化に典型的に関連する形態的および機能的特徴を有する細胞を提供することができる。
これらの肝前駆細胞またはそれから作成される肝細胞様細胞は、細胞移植に使用でき、薬物代謝およびin vitroでの薬理学的または毒性学的スクリーニングにおいて、ヒト初代肝細胞の代替となるため、新薬開発の薬物試験にも利用できる(Dan YY, 2012; Hook LA, 2012)。
特許文献1は、特定の発現プロファイルと改善された生物学的特徴を有するヒト成人肝由来前駆細胞(HALPC)を得ることを可能にする特定の細胞培養条件を開示している。このような条件は、肝疾患の治療のために投与することができる細胞ベースの医薬組成物、または化合物の有効性、代謝、および/もしくは毒性を特徴付けるために使用することができる代謝および肝活性細胞のいずれかを製造するために使用することができる。
慢性肝不全の急性憎悪(ACLF)は、臓器不全および高い短期死亡率と関連する慢性肝疾患の急性代償不全(AD)を特徴とする症候群である。ACLFを呈していないAD患者(ACLFグレード0)の中で、完全ACLFに進行するリスクがより高く、その結果、死亡リスクがより高いサブグループが特定された。
HALPCの患者への投与は、いくつかの臨床試験で評価され、数名の患者で治療により誘発された血栓が観察された。これらの細胞の多くは、組織因子の発現に関連した凝固促進活性を発現しており、これが凝固カスケードを活性化し、凝固因子の消費につながるため、重篤な出血を引き起こす。このような状況下では、ヘパリンおよび/またはビバリルジンなどの抗凝固剤を治療法に加えることにより、血栓形成リスクをコントロールすることが提案された。
国際公開第2016/030525号パンフレット
本発明は、ヒト同種肝前駆細胞(HALPC)とも呼ばれる、異種ヒト成人肝由来前駆細胞(HHALPC)などのヒト成人肝由来前駆細胞を含む組成物の、慢性肝不全の急性憎悪(ACLF)を発症した、または発症するリスクのある患者の治療のための使用に関し、前記治療は、体重1kg当たり25万~250万個の用量の前記前駆細胞を含んだ量の前記組成物を前記患者に投与するステップを含み;前記組成物は、有効量の抗凝固剤を実質的に含まず、前記患者は抗凝固剤を用いた任意の併用治療を受けない。
本発明者らは、このような低用量の前駆細胞は、ACLFやACLFを生じさせる病気、例えば急性代償不全(AD)などの治療において、患者に1回または2回投与するだけであっても著しく効果的であり、患者のビリルビン値およびMELDスコアを劇的に低下させることを見出した。
また、本発明によれば、抗凝固剤併用療法なしでも、HALPCなどのヒト成人肝由来前駆細胞をACLFまたはAD患者に投与可能であることは、全く予想外だった。一般に、HALPCなどの凝固カスケードに作用することが知られている幹細胞を投与することは、血栓形成リスクが重大であると考えられており、そのコントロールには、通常、血栓症や出血を防ぐために抗凝固剤を用いた併用治療が必要となることから、これは驚くべきことである。しかし、本発明者らは、抗凝固剤を用いた併用治療なしでも著しい副作用なくACLF患者に安全に投与できる、効果が非常に高いHALPC量を特定した。
本発明に従ってHALPCで治療したACLFおよびAD患者のMELDスコア(左)およびChild Pughスコア(右)の推移を、投与前のベースライン(プレ1)から初回投与を受けた3ヵ月後(3)まで描いた図である。バーは、平均値と標準偏差(SD)を示す。 本発明に従ってHALPCで治療したACLFおよびAD患者のビリルビン値の推移を、投与前のベースライン(プレ1)から最初の投与を受けてから3ヶ月後(3)まで描いた図である。バーは、平均値と標準偏差(SD)を示す。
本発明は、慢性肝不全の急性憎悪(ACLF)を発症した、または発症するリスクのある患者の治療に使用するための、成人ヒト肝由来前駆細胞を含む組成物であって、前記治療は、体重1kg当たり25万~250万個の用量のかかる前駆細胞を含んだ量の前記組成物を前記患者に投与するステップを含み;前記組成物は有効量の抗凝固剤を実質的に含まず、前記患者は抗凝固剤を用いた併用治療を受けない、組成物に関するものである。好ましい実施形態の1つでは、成人ヒト肝由来前駆細胞は、異種ヒト成人肝由来前駆細胞(HALPC)である。
ACLFは、慢性肝疾患患者における肝機能の急性かつ急激な悪化を特徴とする状態または症候群であり、肝不全および肝外臓器不全を伴うとともに、例えば、発症から28日以内などの高い短期死亡リスクを伴う(例えば、Hernaez, et al. Gut, 2017 (66) 541-553参照)。ACLFは、例えば、黄疸の発生およびINR(国際標準化比)の延長を含む急性代償不全(AD)、ならびに、腹水および/または肝性脳症などのさらなる合併症によって特徴付けられることがある。
慢性的な肝臓の病気または疾患を持つ患者のACLFの原因または誘因は必ずしも完全には解明されているわけではないが、ACLFは、限定するわけではないが、例えば、細菌感染(敗血症に誘発されるACLFなど)、ウイルス感染(B型肝炎またはA型もしくはE型などの他の肝臓指向性ウイルス)、急性アルコール性肝炎、手術、虚血などの肝障害、肝毒性薬剤、および全身性炎症などのいずれか一つまたはそれらの組み合わせなどの要因による場合がある。また、慢性肝疾患を有し、ACLFを発症しているか、またはACLFを発症するリスクがある個人または患者は、任意に以下のグループに分類することができる:非硬変性慢性肝疾患患者、代償性肝硬変患者、および以前または同時に硬変性代償不全を伴う非代償性肝硬変患者。
一実施形態では、本発明による組成物は、ACLFを発症した、または発症するリスクのある患者の治療に使用することができ、前記患者は、非硬変性慢性肝疾患、肝硬変、代償性肝硬変、非代償性肝硬変(DC)もしくは急性非代償性肝硬変、および急性代償不全(AD)から選択される肝臓の病気もしくは疾患を有するか、または該病気もしくは疾患を有すると診断されている。
ACLFは、CLIF(Chronic Liver Failure、慢性肝不全)研究コンソーシアムにより、死亡率スコアにリンクした重症度のデータの遡及的な当てはめに基づいて、3つのグレードに定義されている(Moreau et al.2013)。これらのグレードは、単一の腎不全または腎臓機能障害のある単一の腎以外の臓器不全と定義される「グレード1」;2つの不全と定義される「グレード2」;および、3つ以上の臓器不全と定義される「グレード3」(急性代償不全で入院した患者の4.4%)である。
一般的に、プレACLFまたはACLFグレード0にも分類されるAD患者は、典型的にはACLF発症のリスクがある個人である。例えば、このような患者は、診断された慢性肝疾患の特徴および症状の短期間での悪化を経験している可能性がある。プレACLFまたはACLFグレード0の患者は、臓器不全をまだ発症していないか、または単一の臓器不全(例えば、肝不全、凝固不全、循環不全、もしくは呼吸不全)のみで、クレアチニンが1.5mg/dL未満で肝性脳症を発症していないか、もしくは血清クレアチニン値が1.5mg/dL未満で脳不全を発症している場合がある。ACLF-1に分類される患者は、軽度または中等度の肝性脳症を伴わない単一の腎不全、または血清クレアチニンが1.5~1.9mg/dLおよび/もしくは軽度~中等度の肝性脳症(例:グレード1または2)を伴う、単一の非腎不全例えば、肝不全、凝固循環不全、もしくは肺不全、または血清クレアチニン値が1.5-1.9mg/dLの単一の脳不全のいずれかの、少なくとも1つの臓器不全を有している。ACLF-2に分類される患者は2つの臓器不全を有しており、ACLF-3に分類される患者は3つ以上の臓器不全を経験している。ACLFのグレードが高いほど、典型的には死亡率の上昇と相関する。
本発明の一実施形態では、使用のための組成物は、ACLFグレードがプレACLFまたはACLFグレード0である患者に投与される。さらなる実施形態では、本組成物は、ACLF-1およびACLF-2から選択されるACLFグレードレベルの患者に投与される。
さらに別の実施形態では、本発明は、ADでACLFを発症するリスクのある患者および/またはACLFを発症した肝硬変患者の治療のためのHALPCを含む組成物の使用に関し、前記治療は、体重1kgあたり25万~250万個の用量のHALPC細胞を含んだ量の前記組成物を前記患者に投与するステップを含み;前記組成物は有効量の抗凝固剤を実質的に含まず、前記患者は抗凝固剤を用いた併用治療を受けない。
本明細書で理解されるように、「有効量の抗凝固剤を実質的に含まない」組成物とは、抗凝固剤を含まない組成物、または、ある程度の量の抗凝固剤を含むとしても、その量は薬理学的に効果がないか、もしくは、患者の凝固状態に対する影響が無視できる組成物と定義される。言い換えれば、ヘパリンなどの抗凝固剤が組成物中に存在する場合、当該抗凝固剤は賦形剤としてのみ存在し、抗凝固剤として患者に薬理学的効果を与えない。例えば、ヘパリンの場合、成人患者に有効な抗凝固療法には、5,000I.U.(国際単位)の初期大量投与が必要である。したがって、例えば500I.U.の量は、抗凝固剤の有効量とはみなされない。一実施形態では、本発明による組成物は、有効量の抗凝固剤を実質的に含まない。
したがって、いくつかの実施形態では、組成物は1用量あたり5,000I.U.未満のヘパリンを含む。この文脈において、1用量あたりとは、組成物が、単一用量のHALPCを含む組成物の体積において、5,000I.U.未満のヘパリンを含むことを意味する。他の実施形態では、組成物は、HALPCの1用量あたり約1,000I.U.以下のヘパリン、例えば、1用量あたり約0.1I.U.~約1,000I.U.のヘパリンを含む。
さらなる実施形態では、組成物は賦形剤としてヘパリンを有効でない量、例えば、患者が本発明による単一用量のHALPC細胞とともに10I.U./体重kg超のヘパリンを受け取らない量で含む。したがって、本発明は、慢性肝不全の急性憎悪(ACLF)を発症した、または発症するリスクのある患者の治療に使用するための、成人ヒト肝由来前駆細胞を含む組成物を提供し、前記治療は、25万~250万個の用量の前記前駆細胞を含んだ量の前記組成物を前記患者に投与するステップを含み;前記組成物は、単一用量あたり約10I.U./体重kg以下のヘパリンを含み、前記患者は抗凝固剤を用いた併用治療を受けない。
さらに別の実施形態では、患者は、本発明によるHALPC細胞の単一用量あたり、500I.U.以下のヘパリンを受け取る。したがって、本発明は、慢性肝不全の急性憎悪(ACLF)を発症した、または発症するリスクのある患者の治療に使用するための、成人ヒト肝由来前駆細胞を含む組成物を提供し、前記治療は、前記患者に、25万~250万個の用量の前記前駆細胞を含んだ量の前記組成物を投与するステップを含み;前記組成物は、単一用量あたり約500I.U.以下のヘパリンを含み、前記患者は抗凝固剤を用いた併用治療を受けない。
本明細書で定義されているように、抗凝固剤を用いた併用治療を受けていない患者とは、HALPC組成物を用いた治療の開始時、または本発明による治療期間中に、薬学的に有効な量の抗凝固剤を服用していない患者と理解されるべきである。前記期間は、組成物の最初の投与後、少なくとも24時間、または少なくとも48時間であり得る。別の実施形態では、抗凝固剤を用いた併用治療を受けていない患者は、組成物の最初の投与から最大約14日、または約28日の期間、抗凝固剤を受け取らない。
本発明による組成物のHALPCは、以下の方法により調製することができる。
一実施形態では、HALPCおよびその組成物を調製する方法は、以下の:
(a)成人の肝臓またはその一部を分離させて、初代肝細胞集団を形成するステップと;
(b)(a)の初代肝細胞の調製物を作成するステップと;
(c)(b)の調製物に含まれる細胞を、細胞の付着と成長、および細胞集団の出現を可能にする支持体上で培養するステップと;
(d)(c)の細胞を少なくとも1回継代するステップと;
(e)(d)の継代後に得られる、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つで特定されるマーカーが陽性である細胞集団を分離するステップとを含む。
本方法のステップ(a)に関して、分離ステップは、完全に分化した肝細胞とともに、肝前駆細胞または幹細胞の生成に使用できる量の初代細胞を含む肝臓またはその一部を得ることを含む。用語「肝前駆細胞」は、肝臓から単離された細胞を培養することにより生成される特殊化されてなく増殖可能な細胞であり、少なくとも1つの相対的により特殊化された細胞型を生じさせることができる細胞またはその子孫を意味する。肝前駆細胞は、1つ以上の系譜に沿って分化して、次第により特殊化した細胞(ただし好ましくは肝細胞または肝活性細胞)を生成することができる子孫(斯かる子孫はそれ自体が前駆細胞であってもよい)、または最終的に分化した肝細胞(例えば、完全に特殊化された細胞、特に、初代ヒト肝細胞と同様の形態的および機能的特徴を示す細胞)までも生成することができる子孫を生じさせる。用語「幹細胞」は、自己再生が可能な前駆細胞、すなわち分化せずに増殖し、これにより、幹細胞の子孫またはその少なくとも一部は、母幹細胞の特殊化されていないまたは相対的にあまり特殊化されていない表現型、分化能、および増殖能を実質的に保持する前駆細胞を意味する。この用語は、実質的に無制限の自己再生が可能な幹細胞、すなわち、子孫またはその一部の更なる増殖能力が母細胞と比較して実質的に低下していない幹細胞と、限定的な自己再生を示す幹細胞、すなわち、子孫またはその一部の更なる増殖能力が母細胞と比較して明らかに低下している幹細胞を包含する。
前駆細胞または幹細胞は、多様な種類の細胞を生み出す能力に基づいて、通常、全能性、多能性、複能性、または一能性といわれている。「全能性」単一細胞は、生物全体に成長する、つまり発展することができると定義されている。「多能性」細胞は、生物全体に成長することはできないが、3つの胚葉すべて、すなわち中胚葉、内胚葉、および外胚葉に起源をもつ細胞型を生じさせることができ、生物のすべての細胞型を生じさせることができる可能性がある。「複能性」細胞は、生物の2つ以上の異なる器官または組織のそれぞれから少なくとも1つの細胞型を生じさせることができ、ここで、前記細胞型は、同じまたは異なる胚葉に起源をもつものであってもよいが、生物のすべての細胞型を生じさせることはできない。「一能性」細胞は、1つの細胞系譜の細胞にのみ分化することができる。
肝臓またはその一部は、脊椎動物、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトを互換的に意味する「対象」、「ドナー対象」または「ドナー」から得られる。肝臓の一部は、肝臓の任意の部分に由来する組織サンプルとすることが可能で、肝臓に存在する異なる細胞型を含んでいてもよい。用語「肝臓」は、肝器官官を意味する。用語「肝臓の一部」は、一般に、肝器官官の任意の部分に由来する組織サンプルを意味し、前記部分の量またはそれが起源をもつ肝器官官の領域については、いかなる制限もない。好ましくは、肝器官官に存在するすべての細胞型が、肝臓の前記部分に表れていてもよい。肝臓の一部の量は、少なくとも部分的には、本発明の方法を合理的に実施するのに十分な初代肝細胞を得る必要性への実用的な考慮に従ったものであってもよい。したがって、肝臓の一部は、肝器官官の割合(例えば、少なくとも1%、10%、20%、50%、70%、90%またはそれ以上、典型的にはw/w)を表してもよい。他の非限定的な例では、肝臓の一部分は、重量(例えば、少なくとも1g、10g、100g、250g、500g、またはそれ以上)で定義されてもよい。例えば、肝臓の一部は、肝葉、例えば、右葉もしくは左葉、または、分割肝臓手術中または肝生検で切除された多数の細胞を含む任意のセグメントまたは組織サンプルであってもよい。
本発明による細胞は、好ましくは、哺乳類の肝臓または肝臓の一部から単離された細胞から作成される。ここで、用語「哺乳類」は、限定するわけではないが、ヒト、家畜および農場動物、動物園動物、スポーツ動物、ペット動物、コンパニオン動物および実験動物を含む、哺乳類に分類される任意の動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタならびに霊長類、例えば、サルおよび類人猿などを意味する。
より好ましくは、肝前駆細胞または幹細胞は、ヒトの肝臓またはその一部、好ましくはヒトの成人の肝臓またはその一部から単離された細胞から作成される。用語「成人の肝臓」は、生後、すなわち出生後の任意の時期、好ましくは満期である対象、例えば、出生後少なくとも1日、1週間、1ヶ月、または1ヶ月超の年齢であってもよいし、少なくとも1年、5年、10年、またはそれ以上であってもよい対象の肝臓を指す。それゆえ、「成人の肝臓」、すなわち成熟肝臓は、普通なら「乳児」、「子供」、「青年」、または「成人」という従来の用語で記述されるヒト対象に見出され得る。当業者は、肝臓は、異なる動物種では異なる生後時間間隔で実質的な発達成熟を達成し得ることを理解し、各種を参照して「成人の肝臓」という用語を適切に解釈することができる。
本発明の代替的な実施形態では、成人の肝臓またはその一部は、非ヒト動物対象、好ましくは非ヒト哺乳動物対象からのものであってもよい。本明細書に記載されているように非ヒト動物または非ヒト哺乳動物対象の肝臓に由来する前駆細胞、幹細胞、もしくは細胞株、またはその子孫は、有利に使用され得る。限定されない例として、ヒトの治療法に使用するための特に適切な非ヒト哺乳動物細胞は、ブタに由来し得る。
例えば、「心肺」基準(通常、循環および呼吸機能の不可逆的な停止を伴う)または「脳死」基準(通常、脳幹を含む脳全体のすべての機能の不可逆的な停止を伴う)など、当業界で認められている基準で判断すると、ドナー対象は生死を問わない。摘出には、例えば、生検、切除、または摘出など、当技術分野で既知の手順が必要となる場合がある。
当業者であれば、ドナーから肝臓またはその一部を摘出することの少なくともいくつかの態様は、それぞれの法的および倫理的規範の対象となりうることを理解しよう。限定されない例として、生きているヒトドナーから肝臓組織を摘出することは、ドナーの更なる生命の維持と両立する必要があり得る。
したがって、一般的には、生きているヒトドナーから、例えば生検または切除を用いて肝臓の一部だけを取り出し、ドナーにおいて十分なレベルの生理的肝機能が維持されるようにする。一方、非ヒト動物から肝臓またはその一部を摘出することは、非ヒト動物のさらなる生存と両立していてもよいが、両立している必要はない。例えば、非ヒト動物は、組織の摘出後、人道的に処分されてもよい。これらおよび類似の検討事項は、当業者にとって明らかであり、法的および倫理的基準を反映しているものである。
肝臓またはその一部は、持続的な循環、例えば鼓動する心臓と、持続的な呼吸機能、例えば呼吸する肺または人工呼吸を有するドナー、好ましくはヒトドナーから得ることができる。倫理的および法的規範に従って、ドナーは脳死状態である必要がある場合もあるし、ない場合もある(例えば、脳死状態のヒトでは、ヒトドナーであればさらなる生存と両立しないような肝臓全体またはその一部の除去が許容される場合がある)。このようなドナーから肝臓またはその一部を摘出することは、組織が、通常、虚血(循環の停止)に起因する実質的な無酸素症(酸素の欠如)に陥らないので、有利である。
代わりに、肝臓またはその一部を、組織を摘出する時点で循環が停止している、例えば心臓が、および/または呼吸機能が停止している、例えば肺が呼吸しておらず人工呼吸が行われていないドナー、好ましくはヒトのドナーから得てもよい。このようなドナーの肝臓またはその一部は、少なくともある程度の無酸素症に陥っている可能性があるが、このような組織からも生存可能な前駆細胞または幹細胞を単離することができる。肝臓またはその一部は、ドナーの循環(例えば、心拍)の停止後約24時間以内、例えば、ドナーの循環(例えば、心拍)の停止後約20時間以内、例えば、約16時間以内、より好ましくは約12時間以内、例えば、約8時間以内、さらに好ましくは約6時間以内、例えば、約5時間以内、約4時間以内、または約3時間以内、さらにより好ましくは2時間以内、最も好ましくは約1時間以内、例えば、約45分、30分、または15分以内に摘出することができる。
摘出した組織は、室温程度に冷却してもよいし、室温より低い温度まで冷却してもよいが、通常、特に、凍結によって核生成または氷晶成長が起こる場合には組織またはその一部の凍結は避ける。例えば、組織は、約1℃~室温の間、約2℃~室温の間、約3℃~室温の間、または約4℃~室温の間の任意の温度で維持されてもよく、有利には約4℃で維持されてもよい。組織はまた、当技術分野で知られているように「氷上」で維持されてもよい。組織は、阻血時間、すなわち、ドナーにおける循環停止後の時間のすべてまたは一部の間冷却してもよい。すなわち、組織は、温阻血、冷阻血、または温阻血と冷阻血の組み合わせに供することが可能である。摘出した組織は、処理の前に、例えば最大48時間、好ましくは24時間未満、例えば16時間未満、より好ましくは12時間未満、例えば10時間未満、6時間未満、3時間未満、2時間未満、または1時間未満の間、そのように維持されてよい。
摘出した組織は、その組織をさらに加工する前に、適切な培地の中に、例えば、完全にまたは少なくとも部分的に沈めておくことが好都合であるが、その必要はなく、および/または、適切な培地で灌流することができるが、その必要はない。当業者は、処理前の期間に組織の細胞の生存を支えることができる適切な培地を選択することができる。
肝臓または肝臓の一部からの前駆細胞または幹細胞の単離は、当技術分野で既知の方法、例えば、欧州特許第1969118号明細書、欧州特許第3039123号明細書、欧州特許出願公開第3140393号明細書または国際公開第2017149059号パンフレットに記載されている方法に従って行われる(実施例1参照)。
肝臓初代細胞の集団は、まず、肝臓またはその一部を分離させて、前記肝臓またはその一部から初代細胞の集団を形成することにより得られる。本明細書で使用される用語「分離」は、組織または器官の細胞組織体を部分的にまたは完全に破壊すること、すなわち、組織または器官の細胞と細胞成分の間の関連性を部分的または完全に破壊して、前記組織または器官から細胞の懸濁液(細胞集団)を得ることを意味する。懸濁液は、孤立したまたは単一の細胞、および物理的に付着して2つ以上の細胞のクラスターまたは塊を形成する細胞を含んでいてもよい。分離は、好ましくは、細胞の生存率の低下を引き起こさないか、可能な限り低下させない。肝臓またはその一部を分解してそこから初代細胞の集団(懸濁液)を得るための好適な方法は、限定するわけではないが、酵素消化、機械的分離、ろ過、遠心分離、およびそれらの組み合わせを含む、当技術分野で周知の任意の方法であってよい。特に、肝臓またはその一部を分離させる方法は、肝細胞を放出するための肝臓組織の酵素消化および/または肝細胞を放出するための肝臓組織の機械的破壊もしくは分離を含んでいてもよい。肝生検によって得られた肝組織の小さくて薄い断片は、酵素的または機械的な破壊を行わずに、次のステップ(c)による細胞培養を追求するために直接使用してもよい。
上記のような肝臓またはその一部を分離させる方法は、広く使用されている2つ以上のステップのコラゲナーゼ灌流法として文献に記載されており、肝臓全体または肝臓のセグメントで実行するために様々に適合および修正されている。肝臓組織は、カチオンキレート剤(例えば、EDTAまたはEGTA)を含む、37℃に予熱された2価のカチオンを含まない緩衝液で灌流される。緩衝液は、塩類溶液(例えば、HEPES、Williams E培地)、または特にNaCIおよびKCIなどの塩類も含むことができる他の任意の平衡塩類溶液を含むことができる。これは、細胞を一緒に保持するデスモソーム構造の崩壊につながる。
続いて、Ca2+およびMg2+などの2価のカチオンと、組織を消化するように作用するマトリックス分解酵素を含む緩衝液で組織を灌流する。初代肝細胞は、通常、穏やかな機械的破壊および/またはフィルターを介したプレスによって放出されて、細胞の分離プロセスを機械的に完了する。このようなフィルターは、約0.1mm、0.25mm、0.50mm、1mm、またはそれ以上の細胞を通過させることができるふるいサイズを有していてもよい。徐々により小さいふるいサイズのフィルターを連続して使用して、組織を徐々に分離させ、細胞を放出させることができる。分離した細胞は、プロテアーゼ阻害剤、血清および/または血漿を含む緩衝液で洗浄して、灌流工程で使用したコラゲナーゼおよび他の酵素を不活性化した後、低速遠心分離(例えば、10×g~500×g)でペレット化して混合物から分離させる。すべてではないにしても、ほとんどの生存細胞をペレット化することができ、一方、死んだ細胞と細胞破片は実質的に排除され、その後、氷冷した緩衝液で洗浄して、細胞懸濁液を精製する。初代肝細胞の数と質は、組織の質、使用するさまざまな溶液の組成、および酵素の種類と濃度に応じて変化する。酵素は、しばしばコラゲナーゼであるが、プロナーゼ、トリプシン、ヒアルロニダーゼ、サーモライシン、およびそれらの組み合わせも使用することができる。コラゲナーゼは、精製度の低い酵素のブレンドで構成されている場合もあるし、および/または、プロテアーゼ活性を示す場合もある。これは、生細胞の質と量に影響を与える不要な反応を引き起こす可能性があるが、十分な純度と品質の酵素調製物を選択することで回避できる。一次肝細胞を採取する他の方法は、酵素消化技術を除外し、スクロースを含む溶液で肝臓を灌流した後、機械的に破壊することを含む場合がある。
本方法のステップ(b)に関して、肝臓またはその一部を分離させることによって本明細書で定義され得られる初代細胞の集団は、典型的には異種であってもよく、すなわち、肝実質および/または肝非実質画分に存在していた可能性のある、前駆細胞または幹細胞を含む任意の肝構成細胞型に属する1つまたは複数の細胞型に属する細胞を含んでいてもよい。本明細書では、用語「初代細胞」は、対象の外植された組織または器官、例えば肝臓から、そのような組織または器官中に存在する細胞を適切な技術で分離させることによって得られる細胞の懸濁液中に存在する細胞を含む。
例示的な肝臓を構成する細胞型には、肝細胞、胆管細胞(胆管細胞)、クッパー細胞、肝星細胞(伊東細胞)、卵巣細胞、および肝内皮細胞が含まれるが、これらに限定されない。上記の用語は、技術的に確立された意味を持ち、本明細書では、そのように分類される任意の細胞型を包含するものとして、広く解釈される。
用語「肝細胞」は、上皮性および実質性の肝細胞を包含し、異なるサイズまたは倍数性(例えば、二倍体、四倍体、八倍体)の肝細胞を含むが、これに限定されない。初代細胞集団は、肝臓を分離させる方法、および/または、任意の適切な技術を適用することにより、物理的特性(寸法、形態)、生存率、細胞培養条件、または細胞表面マーカーの発現に基づいて、肝細胞および/または他の細胞型について初期調製物を分画または濃縮するための任意の方法に従って、異なる割合(総細胞の0.1%、1%、10%、またはそれ以上)で肝細胞を含んでいてもよい。
肝臓(またはその一部)を分離させることによって本明細書で定義され、得られた初代細胞の集団は、新鮮な初代肝細胞として細胞培養の確立に直ちに使用することができ、また、好ましくは、初代肝細胞の凍結保存された調製物として、その長期保存のための一般的な技術を用いて保存することができる。
ステップ(c)に関して、ステップ(b)で得られた肝臓初代細胞の調製物を、次に、完全合成支持体(例えば、プラスチックもしくは任意のポリマー物質)、またはフィーダー細胞、タンパク質抽出物、もしくは生物学的由来の任意の他の物質でプレコーティングされた合成支持体上で直接培養する。これにより、同様の初代細胞が接着および増殖し、所望のマーカーを持つ成人肝前駆細胞の集団が出現する。このようなマーカーは、免疫組織化学、フローサイトメトリー、または他の抗体ベースの技術によって、好ましくはタンパク質レベルで同定される。初代細胞は、その接着性、および、均質な細胞集団の増殖と出現を維持する細胞培養培地で培養する。上記で定義した初代肝細胞を培養するこのステップは、培養物において肝前駆細胞の出現および増殖をもたらし、肝前駆細胞または幹細胞が十分に増殖するまで継続することができる。例えば、細胞集団がある程度のコンフルエント(例えば、少なくとも50%、70%、少なくとも90%、またはそれ以上のコンフルエント)になるまで培養を続けることができる。一例として、細胞は、少なくとも7日間、少なくとも10日間、または少なくとも12日間培養される。実施形態では、初代細胞集団の細胞は、7日および12日以内で培養される。本明細書で使用される用語「コンフルエント」は、細胞が互いに接触し、成長に利用可能な表面の実質的にすべてが覆われている(すなわち、完全コンフルエント)、培養細胞の密度を意味する。
ステップ(c)で得られた肝前駆細胞または幹細胞は、欧州特許出願公開第3140393号明細書または国際公開第2017149059号パンフレットに記載されているように、この段階ですでに(つまり、ステップ(d)で示されるように細胞を継代する前に)関連するマーカーを検出することができる技術によって、さらに特徴づけることができる。このようなマーカーを同定し、陽性または陰性であることを判定するために使用される技術のうち、ウエスタンブロット、フローサイトメトリー免疫細胞化学、およびELISAは好ましい。これらは、このステップで利用可能な低量の肝前駆細胞であってもタンパク質レベルでのマーカー検出が可能であるためである。
肝前駆細胞の単離または採取は、細胞の同一性、すなわちマーカープロファイル、形態および/または活性の確認に基づいて行うことができる。例えば、肝前駆細胞は、少なくとも1つの間葉系マーカーについて陽性である。間葉系マーカーとしては、ビメンチン、CD13、CD90、CD73、CD44、CD29、α平滑筋アクチン(ASMA)、CD140-bなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、肝前駆細胞は、HGFおよび/またはPGE2を分泌してもよい。さらに、それらは任意で、少なくとも1つの肝マーカーについて陽性である、および/または、少なくとも1つの肝特異的活性を示すことができる。一実施形態では、細胞は、少なくとも1つの肝マーカーについて陽性であり、および/または少なくとも1つの肝特異的活性を示す。例えば、肝マーカーには、HNF-3B、HNF-4、CYP1A2、CYP2C9、CYP2E1、CYP3A4およびα-1アンチトリプシンが含まれるが、これらに限定されず、アルブミン(ALB)を含んでもよい。肝特異的活性としては、尿素分泌、ビリルビン抱合、α-1-アンチトリプシン分泌、およびCYP3A4活性が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
一実施形態では、肝前駆細胞は、CD90、CD44、CD73、CD13、CD140b、CD29、ビメンチンおよびα平滑筋アクチン(ASMA)から選択される少なくとも1つの間葉系マーカーを発現し、HGFも分泌する異種のヒト成人肝由来前駆細胞(HALPC)である。さらなる実施形態では、肝前駆細胞は、CD90、CD44、CD73、CD13、CD140b、CD29、ビメンチンおよびα平滑筋アクチン(ASMA)から選択される少なくとも1つの間葉系マーカーを発現し、HGFおよびPGE2も分泌する異種のヒト成人肝由来前駆細胞(HALPC)である。
本方法のステップ(d)に関して、初代細胞は、その接着および均質な細胞集団の増殖と出現を維持する細胞培養培地で培養され、少なくとも1回の継代を経て、肝前駆細胞または幹細胞が徐々に濃縮される。これらの肝前駆細胞は、例えば欧州特許出願公開第3140393号明細書または国際公開第2017149059号パンフレットに記載されているように、所望の特性を有する子孫を得るための十分な細胞を作成するために迅速に増やすことができ、細胞倍加は48-72時間以内に得られ、少なくとも2、3、4、5またはそれ以上の継代にわたって所望の特性を有する肝前駆細胞が維持される。
用語「継代する」または「継代」は、当技術分野では一般的であり、培養細胞を培養基質から、および互いに引き離し、分離させることを意味する。簡略化のため、本発明の方法では、付着培養条件下で細胞を初めて成長させた後に行われる継代を、本明細書では「第1継代」(または継代1、P1)と呼ぶ。細胞は、少なくとも1回、好ましくは2回以上継代してもよい。継代1に続く各継代は、本明細書では、1ずつ増加する番号、例えば、継代2、3、4、5、またはP1、P2、P3、P4、P5で呼ぶ。
単離された肝前駆細胞は、細胞の付着を可能にする基質に蒔き、さらに増殖を持続させる培地、一般的には液体培養培地で培養する。一般的に、細胞の付着を可能にする基質は、任意の実質的に親水性の基質であればよい。付着細胞を成長させるための現在の標準的技法は、ウシ、ヒト、または他の動物の血清を加えた、または加えない、定義された化学的培地を使用することを含む。これらの培地には、有機または無機化合物の適切な混合物を補うことができ、栄養分および/または成長促進剤を提供する以外に、特定の細胞型の成長/付着または除去/剥離を促進することもできる。添加された血清は、栄養分および/または成長促進剤を提供する以外にも、処理されたプラスチック表面を、細胞がより良好に付着可能なマトリックスの層でコーティングすることにより、細胞の付着を促進することができる。当業者には理解されるように、所望の密度でのその後の細胞プレーティングを容易にするために、細胞を数えることができる。
用語「血清」は、従来から定義されているように、全血のサンプルから、まずサンプル内で凝固を起こさせ、その後、形成された凝固物および血液サンプルの細胞成分を、適切な技術、典型的には遠心分離によって液体成分(血清)から分離することによって得られる。ガラスビーズまたは粉末などの不活性な触媒は、血液凝固を促進し得る。哺乳類にとって不活性な触媒を含む血清分離容器(SST)を使用して血清を調製可能であることが好ましい。
細胞を蒔くことができる環境は、少なくとも細胞培地を含んでいればよく、本発明の方法では、典型的には、単離された肝前駆細胞の生存および/または成長をサポートする液体培地である。液体培養培地は、細胞の導入前、導入と同時に、または導入後にシステムに加えてもよい。
用語「細胞培地」または「細胞培養培地」または「培地」とは、細胞の維持または成長に使用できる栄養分を含む水性の液体またはゲル状の物質を指す。細胞培養培地は、血清を含んでも、血清を含まなくてもよい。
典型的には、培地は、当技術分野で知られている基礎培地製剤を含む。本明細書では、多くの基礎培地製剤を初代細胞の培養に使用することができ、イーグル最小必須培地(MEM)、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、α変法最小必須培地(α-MEM)、必須基礎培地(BME)、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、BGJb培地、F-12 Nutrient Mixture(Ham)、ライボビッツL-15、DMEM/F-12、必須改変イーグル培地(EMEM)、RPMI-1640、培地199、ウェイマウスMB752/1またはウィリアムス培地E、ならびにそれらの改変および/または組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。上記の基礎培地の組成は当技術分野で一般的に知られており、培養する細胞のため、必要に応じて培地および/または培地補助剤の濃度を修正または変更することは当業者の技術の範囲内である。好ましい基礎培地製剤は、成人肝細胞のin vitro培養を維持することが報告されているウィリアムス培地E、IMDM、DMEMなどの商業的に利用可能であるものの一つで、それらの適切な成長、増殖、所望のマーカーおよび/もしくは生物学的活性の維持、または長期保存のための増殖因子の混合物を含むものでよい。別の好ましい培地は、Miltenyi社のStemMac(商標)など、肝前駆細胞の成長をサポートする商業的に利用可能な無血清培地である。
本明細書で使用する用語「増殖因子」とは、様々な細胞型の増殖、成長、分化、生存、および/または遊走に影響を与える生物学的に活性な物質を意味し、単独で、または他の物質によって修飾された場合に、生物の発生、形態、および機能の変化に影響を与える可能性がある。増殖因子は、典型的には、リガンドとして、細胞内に存在する受容体(例えば、表面受容体または細胞内受容体)に結合することによって作用し得る。本明細書において、増殖因子は、特に、1つまたは複数のポリペプチド鎖を含むタンパク質性実体であってもよい。用語「増殖因子」には、線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリー、骨形成タンパク質(BMP)ファミリー、血小板由来増殖因子(PDGF)ファミリー、形質転換増殖因子β(TGF-β)ファミリー、神経増殖因子(NGF)ファミリー、上皮増殖因子(EGF)ファミリー、インスリン関連増殖因子(IGF)ファミリー、肝細胞増殖因子(HGF)ファミリー、インターロイキン-6(IL-6)ファミリー(例えば、オンコスタチンM)、造血増殖因子(HeGF)、血小板由来内皮細胞増殖因子(PD-ECGF)、アンジオポエチン、血管内皮増殖因子(VEGF)ファミリー、またはグルココルチコイドといったメンバーが包含される。本方法がヒト肝細胞に対して用いられる場合、本方法で用いられる増殖因子は、ヒトまたは組換え増殖因子であってもよい。このような増殖因子は、細胞機能に対し望ましい効果を引き出すことが期待されるので、本方法ではヒトおよび組換え増殖因子を使用することが好ましい。
このような基礎培地製剤は、哺乳類の細胞の発生に必要な成分を含んでおり、それ自体は既知のものである。限定するものではないが例示として、これらの成分には、無機塩(特に、Na、K、Mg、Ca、Cl、P、および場合によってはCu、Fe、Se、Znを含む塩)、生理的緩衝剤(例えば、HEPES、炭酸水素)、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび/または核酸塩基、リボース、デオキシリボース、アミノ酸、ビタミン、抗酸化物質(例えばグルタチオン)、ならびに炭素源(例えばグルコース、ピルビン酸、例えばピルビン酸ナトリウム、酢酸、例えば酢酸ナトリウム)などが含まれる。また、多くの培地が、ピルビン酸ナトリウムを含むまたは含まない低グルコース製剤として利用可能であることも明らかであろう。
培養に使用するために、基礎培地には1つまたは複数の追加成分を補うことができる。例えば、最適な成長と増殖のために必要な微量元素および物質を細胞に補うために、追加の補充物を使用することができる。このような補充物には、インスリン、トランスフェリン、セレン塩、およびこれらの組み合わせが含まれる。これらの成分は、限定するわけではないが、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)、Earle塩溶液などの塩溶液に含まれている。さらに、β-メルカプトエタノールなどの抗酸化補充物を加えてもよい。多くの基礎培地にはすでにアミノ酸が含まれているが、溶液中での安定性が低いことが知られているL-グルタミンなど、一部のアミノ酸は後から補ってもよい。培地にはさらに、抗生物質および/または抗真菌化合物を補ってもよく、例えば、典型的には、ペニシリンとストレプトマイシンの混合物、および/または他の化合物、例えば、限定するわけではないが、アンフォテリシン、アンピシリン、ゲンタマイシン、ブレオマイシン、ハイグロマイシン、カナマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ナリジクス酸、ネオマイシン、ナイスタチン、パロマイシン、ポリミキシン、ピューロマイシン、リファンピシン、スペクチノマイシン、テトラサイクリン、タイロシン、およびゼオシンが例として挙げられる。
ホルモンも細胞培養に有利に用いることができ、D-アルドステロン、ジエチルスチルベストロール(DES)、デキサメタゾン、エストラジオール、ヒドロコルチゾン、インスリン、プロラクチン、プロゲステロン、ソマトスタチン/ヒト成長ホルモン(HGH)、チロトロピン、チロキシン、L-チロニン、上皮増殖因子(EGF)、および肝細胞増殖因子(HGF)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、肝細胞は、トリヨードサイロニン、α-トコフェロールアセテート、およびグルカゴンを用いて培養すると効果的である。
また、細胞培養培地を補うために、脂質および脂質担体を使用することもできる。そのような脂質および担体としては、中でもシクロデキストリン、コレステロール、アルブミンに共役したリノール酸、アルブミンに共役したリノール酸およびオレイン酸、共役していないリノール酸、アルブミンに共役したリノール酸-オレイン酸-アラキドン酸、アルブミンに共役していないおよび共役したオレイン酸などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。アルブミンも同様に、脂肪酸を含まない製剤に使用することができる。
また、細胞培養培地に哺乳類の血漿または血清を補うことも考えられる。血漿または血清には、生存率および増殖に必要な細胞因子および成分が含まれていることが多い。適切な血清代替物の使用も考えられる。本明細書に記載の培地で使用するための適切な血清または血漿には、ヒト血清または血漿、または非ヒト動物、好ましくは非ヒト哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類(例えば、キツネザル、サル、類人猿)、胎仔もしくは成体のウシ、ウマ、ブタ、ラム、ヤギ、イヌ、ウサギ、マウス、またはラットの血清または血漿などの清または血漿が含まれ得る。別の実施形態では、上記の血漿および/または血清の任意の組み合わせを細胞培地に使用することができる。
継代する際には、培養細胞を培養基材からおよび互いに剥離および分離させる。細胞の剥離および分離は、当技術分野で一般的に知られているように行うことができ、例えば、タンパク質分解酵素(例えば、トリプシン、コラゲナーゼ、例えばタイプI、II、IIIもしくはIV、ディスパーゼ、プロナーゼ、パパインなどから選ばれる)による酵素処理、二価イオンキレーター(例えば、EDTAもしくはEGTA)による処理、機械的処理(例えば、小口径ピペットもしくはピペットチップを用いたピペッティングの繰り返し)、またはこれらの処理の任意の組み合わせによって行うことができる。
細胞の剥離および分散の適切な方法は、培養物中の大部分の細胞を保存しつつ、所望の程度の細胞の剥離および分散を確実に行うものであるべきである。好ましくは、培養細胞の剥離および分離により、かなりの割合の細胞(例えば、少なくとも50%、70%、90%、またはそれ以上の細胞)が単一の生存可能な細胞として得られるであろう。残りの細胞は、それぞれが比較的少数の細胞(例えば、平均して1~100個の細胞)を含む細胞クラスター中に存在していてもよい。
このようにして剥離および分離させた細胞(典型的には、等張緩衝液または培地中の細胞懸濁液)を、細胞の接着が可能な基質に再度蒔き、その後、上記のような培地で培養し、HALPCおよびHALPC子孫のさらなる増殖を維持することができる。その後、これらの細胞を、10~105細胞/cm2の密度で、約1/16~1/2、好ましくは約1/8~1/2、より好ましくは約1/4~1/2の分割比で再度蒔くことにより培養することができる。分割率とは、継代した細胞のうち、細胞を得た容器と同じ表面積の空の(通常は新しい)培養容器に播種される割合を示す。培養容器の種類および培養容器内への細胞の付着を可能にする表面の種類と細胞培養培地は、上述の最初に使用したものと同じであってもよいし、異なっていてもよい。好ましくは、細胞は、細胞外マトリックスタンパク質(コラーゲン、好ましくはI型コラーゲンなど)またはGMP条件で許容される合成ペプチドでコーティングされたCellBind(登録商標)または任意の他の適切な支持体上で維持される。
上記ステップ(e)に関して、HALPCの集団の単離は、リストアップしたマーカーについて陽性の細胞に適用される。これは、上記ステップ(c)でHALPCを最初に同定するための基準をさらに検証するものだが、継代後に得られる細胞の量が多い場合は、より簡単に確立することができる。
本明細書では用いる場合、用語「単離された細胞」は、一般的に、1つもしくは複数の細胞と関連していない、または細胞がin vivoで関連している1つもしくは複数の細胞成分と関連していない細胞を指す。例えば、単離された細胞は、本来の環境から取り除かれたものであってもよいし、本来の環境から取り除かれた細胞の増殖、例えばex vivo増殖から生じたものであってもよい。
用語「細胞集団」および「細胞の集団」とは、一般的に細胞のグループを意味する。他に示されていない限り、この用語は、本明細書で定義されている細胞から本質的に構成される、またはそれを含む細胞群を意味する。細胞集団は、共通の表現型を有する細胞から本質的に構成されていてもよいし、共通の表現型を有する少なくとも一部の細胞を含んでいてもよい。細胞は、限定するわけではないが、形態学的外観、特定の細胞成分もしくは生成物(例えば、RNAもしくはタンパク質)の発現レベル、特定の生化学経経路の活性、増殖能力および/もしくは動態、分化の可能性および/もしくは分化シグナルへの反応、またはインビトロ培養中の挙動(例えば、接着もしくは単層成長)を含む、1つまたは複数の実証可能な特徴において実質的に類似または同一である場合に、共通の表現型を有すると言われる。したがって、このような実証可能な特徴により、細胞集団またはその一部を定義することができる。実質的に大多数の細胞が共通の表現型を有する場合、細胞集団は「実質的に均質」であり得る。「実質的に均質な」細胞集団は、特に言及された表現型(例えば、本発明の肝前駆細胞もしくは幹細胞の表現型、または本発明の肝前駆細胞もしくは幹細胞の子孫の表現型)のような共通の表現型を有する細胞を、少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはさらには少なくとも99%含んでいてもよい。さらに、細胞集団は、集団内に存在する任意の他の細胞が、細胞集団の全体的な特性を変化させない、または重大な影響を与えない場合、本発明の肝前駆細胞または幹細胞の表現型などの共通の表現型を有する細胞(すなわち、本発明の肝前駆細胞または幹細胞の子孫)から本質的に構成されてもよく、したがって、それは細胞株として定義することができる。
細胞計数は、適用される方法にかわらず、最終採取時の細胞懸濁液に対して、または患者に投与する医薬組成物の製剤を準備する過程で、または品質管理試験中に行うことができる。ビルケルチャンバー(Burker Chamber)を用いた手集計法および自動Nucleocounter「NC-200」など、当技術分野で知られている任意の方法を用いることができる。これらの方法の目的は、細胞の総量および生存している細胞の量を測定することである。
ビルケルチャンバーを用いた手集計
ビルケルチャンバーを用いた手集計法は、トリパンブルー色素排除試験法に基づいている。
細胞懸濁液をPBSで希釈し、1チャンバーあたり100~200個の生存細胞を数える。トリパンブルーを1:1の割合で細胞懸濁液に加える。顕微鏡とセルカウンターで細胞を数える。白い細胞が生存細胞で;青い細胞が死細胞である。その後、生存細胞と死細胞の割合を算出する。2回の細胞計数を行う。両方のカウントの間のデルタ?が15%以上の場合、3回目の計数を行う。
自動Nucloecounter「NC-200」
Nucleocounter NC-200 1-ステップは、蛍光顕微鏡に基づいた高精度の自動細胞計数装置と、死細胞と総細胞の画像サイトメトリー排除を行う高度な画像解析を提供する。このワンステップ法では、総細胞と死細胞の集団をそれぞれ自動的に染色する固定化した蛍光色素、すなわちアクリジンオレンジやDAPI(4′,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール)を含んだVia1-Cassette(商標)を使用する。
細胞懸濁液は、7x105~2x106総細胞/mLとなるように希釈する。Via1-Cassette(商標)により較正した容量をピペッティングし、NC-200により総細胞と死細胞の濃度、および生存率を自動で測定する。すべてのカウントは3連で行う。報告値は、独立して採取した3つのサンプルの3つの有効な結果の平均値である。有効であるためには、総細胞数が7x10 5 ~2x10 6 総細胞/mLの範囲内になければならず、総細胞濃度および生細胞率の変動係数(CV)が15.0%を超えてはならない。
いくつかの好ましい実施形態では、本発明に従って提供される投与量および用量範囲は、自動化された細胞計数法、特に、Nucleocounter NC-200、または同等の機器を用いる、上述の自動化された方法に従って決定される。例えば、体重1kg当たり25万~250万個のHALPCの用量は、好ましくは、細胞数が自動化された細胞計数法に従って決定される、好ましくは、Nucleocounter NC-200などの機器またはその技術的に同等の代替品を使用して決定される、投与量範囲として解釈されるべきである。この文脈において、技術的に同等の代替品とは、細胞計数法内および細胞計数法の間で典型的に観察される変動性を考慮して、本明細書に記載されているNucleocounter NC-200に基づく方法と実質的に同等の結果をもたらす装置または細胞計数システムを意味する。
これらの同様の選好が、体重1kgあたり50万~150万個のHALPC、体重1kgあたり50万~100万個のHALPC、または体重1kgあたり60万、80万、100万、120万個のHALPCの投与量などの他の投与量範囲にも適用される:これらは、上述の自動化された方法で決定されることが好ましい。さらに、本方法の典型的な技術的変動性を考慮すると、特定の細胞数は、そのような変動性を考慮して合理的なマージンを持ったその数として理解されるべきである。
例えば、上記のように得られたHALPCは、ACLFを発症した、または発症するリスクのある患者を治療するために、例えばそのような細胞を含む医薬組成物の形で、in vivo投与に使用することができる。これらの医薬組成物は、HALPC製品として、任意にHALPCを所望の治療方法、選択された投与経路、および/または保存に適した液体担体(例えば、細胞培養液または緩衝液)と組み合わせて、また、このような医薬組成物を提供するための好ましい手段(例えば、キット内)で提供することができる。任意の他の有用な効果をもたらし得る生物学的(例えば、抗体もしくは増殖因子)または化学的起源の他の薬剤(例えば、薬剤、保存もしくは標識化合物)も、このような組成物に組み合わせることができる。
一実施形態では、HALPC製品および/またはHALPCを含む医薬組成物は、例えば、静脈内、筋肉内、もしくは腹腔内への注射、または静脈内への注入によって全身に投与することができる。
任意で、HALPC製品または組成物の投与または治療的使用は、別の製品(例えば、薬剤、治療薬、別の細胞型、または他の生物学的材料であってもよい)の投与または使用を含んでいてもよい。HALPC製品は、本明細書に記載された治療方法に使用されてもよく(または使用のためのものであってよく)、その場合、患者はその方法の一部としてそのような別の製品も投与される。他の製品は、例えば同一の組成物の一部として、HALPC製品と組み合わせて投与されてもよいし、別々に、同時に、または順次(任意の順序で)投与されてもよい。他の製品は、HALPC製品の効果(特に治療効果)と互換性のある効果、または、相乗的ですらある効果を有していてもよい。
一実施形態では、組成物に含まれる肝前駆細胞は、少なくとも1つの間葉系マーカーについて陽性である。間葉系マーカーには、ビメンチン、CD13、CD90、CD73、CD44、CD29、α平滑筋アクチン(ASMA)およびCD140-bが含まれるが、これらに限定されない。さらに、肝前駆細胞は、HGFおよび/またはPGE2を分泌してもよい。さらに、それらは任意に、少なくとも1つの肝マーカーについて陽性であり、および/または、少なくとも1つの肝特異的活性を示すことができる。例えば、肝マーカーには、HNF-3B、HNF-4、CYP1A2、CYP2C9、CYP2E1、CYP3A4、およびα-1アンチトリプシンが含まれるが、これらに限定されず、アルブミン(ALB)を含んでいてもよい。肝臓特異的な活性としては、尿素分泌、ビリルビン抱合、α-1アンチトリプシン分泌、およびCYP3A4活性が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の別の実施形態では、組成物に含まれるHALPCは、CD90、CD44、CD73、CD13、CD140b、CD29、ビメンチンおよびα平滑筋アクチン(ASMA)から選択される少なくとも1つの間葉系マーカーを発現しており、HGFも分泌する。
本発明の別の実施形態では、組成物に含まれるHALPCは、CD90、CD44、CD73、CD13、CD140b、CD29、ビメンチンおよびα平滑筋アクチン(ASMA)から選択される少なくとも1つの間葉系マーカーを発現しており、HGFおよびPGE2も分泌する。
本発明の別の実施形態では、組成物に含まれるHALPCは、CD90、CD44、CD73、CD13、CD140b、CD29、ビメンチンおよびα平滑筋アクチン(ASMA)から選択された少なくとも1つの間葉系マーカーを発現しており、任意に少なくとも1つの肝マーカーも発現しており、および/または肝特異的な活性を示し、および/または肝特異的な活性を示す。
一実施形態では、細胞は、少なくとも1つの肝マーカーについて陽性であり、および/または少なくとも1つの肝特異的活性を示す。例えば、肝マーカーには、HNF-3B、HNF-4、CYP1A2、CYP2C9、CYP2E1、CYP3A4およびα-1アンチトリプシンが含まれるが、これらに限定されるものではなく、アルブミン(ALB)を含んでもよい。肝特異的な活性には、尿素分泌、ビリルビン抱合、α-1アンチトリプシン分泌、およびCYP3A4活性が含まれるが、これらに限定されるものではない。
本発明の別の実施形態では、HALPCは、ステップ(c)に関して上述したように、少なくとも1つの間葉系マーカーを共発現しており;または、そのマーカーは、CD90、CD44、CD73、CD13、CD140b、CD29、ビメンチン、およびα平滑筋アクチン(ASMA)から選択されてもよく;1つまたは複数の肝マーカーは、アルファフェトプロテイン(AFP)、α-1アンチトリプシン、HNF-4、MRP2トランスポーターから選択され、任意に肝マーカーのアルブミン(肝細胞マーカーと呼ばれることもある)である。それらは任意に、尿素分泌、ビリルビン抱合、α-1アンチトリプシン分泌およびCYP3A4活性から選択される肝特異的な活性も示す。さらに、HALPCは、HGFおよびPGE-2を発現していることが好ましい。
本発明の別のまたはさらなる実施形態では、HALPCは:
(a)α平滑筋アクチン(ASMA)、CD140b、および任意にアルブミン(ALB)について陽性であり;
(b)サイトケラチン-19(CK-19)について陰性であり;
(c)任意に、Sushiドメイン含有タンパク質2(SUSD2)について陰性であると判定される。
本発明の別の実施形態では、HALPC細胞は:
(a)α平滑筋アクチン(ASMA)、CD140b、および任意にアルブミン(ALB)について陽性であり;
(b)Sushiドメイン含有タンパク質2(SUSD2)およびサイトケラチン-19(CK-19)について陰性であると判定される。
本発明のさらに別のまたはさらなる実施形態では、HALPC細胞は、さらに、
(a)HNF-3B、HNF-4、CYP1A2、CYP2C9、CYP2E1およびCYP3A4から選択される少なくとも1つの肝機能マーカー、ならびに任意にアルブミンと;
(b)ビメンチン、CD90、CD73、CD44、およびCD29から選択される少なくとも1つの間葉系マーカーと
(c)尿素分泌、ビリルビン抱合、α-1アンチトリプシン分泌およびCYP3A4活性から選択される少なくとも1つの肝特異的活性と;
(d)ATP2B4、ITGA3、TFRC、SLC3A2、CD59、ITGB5、CD151、ICAM1、ANPEP、CD46、およびCD81から選択される少なくとも1つのマーカーと;
(e)MMP1、ITGA11、FMOD、KCND2、CCL11、ASPN、KCNK2、およびHMCN1から選択される少なくとも1つのマーカーとについて、陽性であると判定される。
さらなる実施形態では、前記細胞はHLA-DRについて陰性である。
さらなる実施形態では、HALPCは、CD133、CD45、CK19および/またはCD31などの特定のマーカーにについて陰性である。
さらなる実施形態では、HALPCは、国際公開第2016/030525号パンフレットの表6にリストアップされている酵素活性のうちの1つまたは複数について陽性と判定される場合もある。いくつかの実施形態では、このタイプの成人肝前駆細胞は、一連の陰性マーカー、特にITGAM、ITGAX、IL1R2、CDH5、およびNCAM1からなる群の1つまたは複数について陰性であることによりさらに特徴付けられ得る。さらに、HALPCは、HP、CP、RBP4、APOB、LBP、ORM1、CD24、CPM、およびAPOC1からなる群の1つまたは複数について陰性と判定されることもある。
上記にリストアップした生物学的活性、マーカー、および形態学的/機能的特徴は、以下のような異なる組み合わせでHALPCに存在することができる:
(a)α平滑筋アクチン、ビメンチン、CD90、CD73、CD44、CD29、CD140b、およびCYP3A4活性、ならびに任意にアルブミンについて陽性であり;
(b)Sushiドメイン含有タンパク質2、サイトケラチン-19、およびCD271について陰性である。
上記実施形態のHALPCについては、例えば、ATP2B4、ITGA3、TFRC、SLC3A2、CD59、ITGB5、CD151、ICAM1、ANPEP、CD46、およびCD81から選択される少なくとも1つの更なるマーカーについて陽性であると判定されることによって、任意の機能的および技術的な組み合わせでさらなる特徴を決定することもできる。そのような実施形態の一部では、HALPCは、ITGAM、ITGAX、IL1R2、CDH5、およびNCAM1からなる群から選択される少なくとも1つのさらなるマーカーについて陰性と判定され得る。そのような実施形態の一部では、HHALPCは、HP、CP、RBP4、APOB、LBP、ORM1、CD24、CPM、およびAPOC1のうちの少なくとも1つについて陰性と判定され得る。
さらなる実施形態では、本発明による組成物が患者に投与され、その場合、患者は治療の前のMELDスコアが40未満、例えば10~40の範囲にある。さらなる実施形態では、患者のMELDスコアが13~35の範囲であり、および/または、少なくとも1つの臓器不全を経験したことがあるか、または経験している。
さらなる実施形態では、治療前の患者のベースラインMELDスコアは、約20~35である。別の実施形態では、治療前の患者のベースラインMELDスコアは、それぞれ、17~35の範囲内、または17~30の範囲内である。さらに別の実施形態では、治療前の患者は肝移植の候補者であり、すなわち、患者は肝移植の標準的な要件を満たしている。
MELDとは、Model for End-stage Liver Diseaseの頭文字であり、末期肝疾患の重症度を評価するために使用される。MELDスコアは、死亡率を予測する技術、および、患者(12歳超)の肝移植の必要性に関する層別化に用いられている。このスコアリングは、患者の血清クレアチニン、ビリルビン、INR(プロトロンビン時間の国際標準化比)の値に基づいており、次の式で求められる:9.57 x log e (クレアチニンmg/dL) + 3.78 x log e (ビリルビンmg/dL) + 11.2 x log e (INR) + 6.43。結果として得られるスコアは、通常、最も近い整数に丸められる。
別の実施形態では、本発明による組成物の投与を含む治療により、患者のMELDスコアの低下が生じる。例えば、MELDスコアは、治療の過程で10%以上減少する場合がある。さらなる実施形態では、MELDスコアは、組成物の最初の用量の投与後、好ましくは28日の期間内に、または代替的に、好ましくは約1ヶ月、もしくはは3ヶ月の期間内に、少なくとも20%減少する。さらなる実施形態では、MELDスコアは、それぞれ少なくとも25%、または少なくとも30%減少する。MELDスコアの減少率は、治療を受けた患者のMELDスコアを、治療前、すなわち患者への組成物の最初の注入または提供の前に患者から得たMELDスコアと比較することによって求められる。
さらに、本治療の効果は、患者のChild-Pughスコアの改善によって示される場合がある。Child-Pughスコアは、Child-Turcotte-PughスコアまたはChild Criteriaとも呼ばれ、慢性肝疾患の予後を評価するために使用される。いくつかの実施形態では、本発明によるHALPC治療は、治療前に、Child-Pughスコアがそれぞれ約5~約15、または約6~約14の範囲にある患者、特にACLFを患っている患者に投与される。いくつかの実施形態では、本発明による治療を受けた患者のChild-Pughスコアは、本発明による治療の開始から1ヶ月以内に、すなわち投与前のベースライン値から、HALPCの投与(またはそれぞれ最初の投与)から1ヶ月後に推定されるChild-Pughスコアまで、少なくとも約10%減少する。さらなる実施形態では、少なくとも約10%のChild-Pughスコアの減少が、細胞の(最初の)投与後、2ヶ月以内、または3ヶ月以内に起こる。またさらなる実施形態では、本発明に従って治療を受けた患者のChild-Pughスコアは、細胞の(最初の)投与後、2ヶ月以内、または3ヶ月以内に少なくとも約20%減少する。
さらなる実施形態では、本組成物は、治療開始前、すなわち本組成物の最初の注入前に、少なくとも5mg/dLの総ビリルビン血清濃度を示す患者に投与される。さらなる実施形態では、最初の注入の前の総ビリルビン血清濃度は、少なくとも約6mg/dLである。
前述のように、本発明による治療は、体重1kgあたり25万~250万個のHALPC細胞を投与することを含む。好ましい実施形態の一つでは、患者に投与される用量は、体重1kgあたり約25万~約200万個の細胞の範囲内である。別の好ましい実施形態では、用量は、1kgあたり約25万~約150万個の細胞の範囲内、または1kgあたり約25万~約125万個の細胞の範囲内、または1kgあたり約50万~約120万個の細胞の範囲内であり、例えば、それぞれ1kgあたり約50万、60万、64万~80万、100万、または120万個の細胞の範囲内である。このような比較的低用量のHALPC、特に、発現するマーカーに関連して上述したような好ましい特徴の一部または全部を有するHALPCが、患者の肝機能および全体的な状態を改善するのに著しく有効であると同時に、かなりの量の幹細胞の投与に典型的に関連する副作用を回避できることが、本発明者らによって驚くべきことに発見された。いくつかの実施形態では、これらの範囲は、上述したような自動細胞計数法を用いて決定される。
さらなる実施形態では、患者に投与される組成物は、体重1kgあたり約25万~約150万個の細胞、体重1kgあたり約25万~約125万個の細胞、体重1kgあたり約50万~約120万個の細胞、または体重1kgあたり約50万~約100万個のHALPC細胞という用量を含んでいる。
特定の実施形態では、本発明は、AD患者でACLFを発症するリスクがある患者および/またはACLFを発症した肝硬変患者の治療に使用するためのHALPCを含む組成物に関し、この治療は、前記患者に、体重1kg当たり約25万~約150万個の細胞、体重1kgあたり約25万~約150万個の細胞、体重1kgあたり約25万~約125万個の細胞、体重1kgあたり約50万~約120万個の細胞、または体重1kgあたり約50万~約100万個のHALPC細胞という用量を含んだ量の前記組成物を前記患者に投与するステップを含み、前記組成物は有効量の抗凝固剤を実質的に含まず、前記患者は抗凝固剤を用いた任意の併用治療を受けない。
さらなる実施形態では、本発明による使用のための組成物は、ACLFを発症した、または発症のリスクがある患者に投与されてもよい。組成物は、患者の体重1kg当たり約25万個のHALPC細胞、体重1kg当たり約50万個のHALPC細胞、または体重1kg当たり約100万個のHALPC細胞という用量を含んでいる。別の実施形態では、組成物は、体重1kgあたり約150万個以下の細胞、または体重1kgあたり約250万個以下の細胞という用量を含んでいる。
さらなる実施形態によると、患者に投与される用量は、約5000万~約2億個のHALPC、または約5000万~約1億5000万個のHALPC、例えば約1億個のHALPCである。
前述のいずれの実施形態においても、HALPCを含む組成物は、無菌液体の形態で患者に投与されてもよい。
前記無菌液体は、例えば、解凍した濃縮HALPC細胞懸濁液を、患者と生理学的に適合し、静脈内注入に適合した、pH調整剤および/またはヒト血清アルブミンなどの賦形剤を任意に含む無菌水溶液などの無菌希釈剤で希釈することにより調製した、HALPC細胞の再構成懸濁液から調製することができる。
一実施形態では、組成物は、任意に末梢カテーテルを用いて静脈内注入により投与される。あるいは、組成物は、中心ラインを介して患者に投与されてもよい。
HALPC細胞を含む無菌液体の形態の組成物の体積および濃度は、静脈内注入に適合しているのが好ましい。一実施形態では、最終調節後にHALPC細胞を、1mLあたり最大約1000万個の細胞、特に1mLあたり約50万~500万個の細胞という濃度で含む無菌液体の形態で、組成物は患者に投与され得る。別の実施形態では、患者は、1mLあたり50万~200万個のHALPC細胞、例えば1mLあたり約100万個のHALPCという濃度の無菌液体組成物を投与され得る。あるいは、組成物の細胞濃度は、それぞれ1mLあたり約100万~約500万個の細胞、または1mLあたり約200万~500万個の細胞範囲であってもよい。これらの最終細胞濃度は、より高濃度のHALPC組成物を適切に希釈することによって得ることができる。
患者に1回の注入で投与する組成物の体積は、患者の体重に応じて適応させることが好ましい。一実施形態では、細胞濃度の最終調整後に1回の注入につき投与される組成物の体積は、それぞれ約5~約500mL、好ましくは約10~約200mL、または約20~約150mLの範囲であってよい。
さらに別の実施形態では、本発明を実行するために使用される組成物は、滅菌された液体組成物であり、それぞれ毎分約0.1~約5mL、または毎分約0.5~2mLの注入速度で患者に静脈内注入される。また、単一用量の投与に必要な全体の注入時間が約4時間以下、またはさらには約1時間以下になるように注入速度を選択することが好ましい。例えば、毎分約1mLの注入速度で組成物を患者に静脈内注入することができる。さらに好ましいのは、毎分約1~2mL、例えば毎分約1.5mLの注入速度である。本明細書で用いる場合、注入速度という用語は、1回の投与で注入される組成物の総体積を注入期間で割ったものなど、平均的な注入速度を含むと理解すべきである。
さらに好ましい実施形態では、注入速度は、それぞれ毎分約50~約1000万個の細胞、または毎分約100~約750万個の細胞の範囲で選択される。
組成物は、最終濃度の組成物を保持するエチレンビニルアセテート(EVA)製の150mL混合注入バッグ、例えばMIB150(Hegewald社またはHemedis社製)などの注入バッグを用いて患者に投与してもよい。注入バッグは、血液投与用チューブ、フィルターセット(フィルター孔径約200μm)、および流量調整器などのチューブに接続することができる。
別の好ましい実施形態では、組成物は、シリンジポンプを用いて投与される。適切な装置の例は、CA-700携帯型シリンジポンプ(Canafusion Technology Inc)である。しかし、所望の内部体積容量(例えば50mL)を有し、流量が調整可能なシリンジと互換性のある、任意の他のシリンジポンプも使用することができる。シリンジポンプは、シリンジが垂直方向になるように取り付けるのが好ましい。本発明者らは、好ましい注入速度では、垂直方向にすることにより、注入時間中にHALPCはより均一に患者に供給され、注入プロセス中の組成物の撹拌が不要になることを見出した。したがって、好ましい実施形態では、組成物は、垂直に取り付けられた注入ポンプを用いて、毎分約0.1~約5mL、または毎分約0.5~2mL、例えば毎分1.5mLの速度で患者に投与される。
本発明者らはさらに、少なくとも2回のHALPCの投与を含む投与レジメンによって、特に効果的な治療が達成されることを発見した。したがって、本発明のさらなる実施形態は、ACLFを発症した、または発症するリスクのある患者の治療に使用するためのHALPCを含む組成物であって、
a)前記治療は、体重1kgあたり25万~250万個の用量のHALPC細胞を含む第1の量の前記組成物を投与するステップを含み、前記組成物は有効量の抗凝固剤を実質的に含まず、前記患者は抗凝固剤を用いた任意の併用治療を受けず;
b)前記治療は、前記患者に第2の量の前記組成物を投与するステップをさらに含み、前記第2の量は、体重1kg当たり25万~250万個のHALPC細胞という第2の用量を含み、前記組成物は、有効量の抗凝固剤を実質的に含まず、前記患者は抗凝固剤を用いた任意の併用治療を受けず;
前記第2の量は、前記第1の量の5~21日後に投与される、組成物に関する。
本発明者らは、驚くべきことに、第1回目の投与と第2回目の投与の間の5日~21日の時間間隔は、治療の耐用性に実質的に寄与し、より短い間隔は避けるべきであることを発見した。特に、患者における出血または血栓症などの有害事象の発生や重症度を大幅に低減することができる。
一実施形態では、第1の量の組成物の投与と第2の量の組成物の投与との間の時間間隔は、4日超、例えば5日~21日である。別の実施形態では、HALPC組成物の第2の量は、第1の量の6~8日後に投与される。さらに別の実施形態では、第2の量の組成物は、前記第1の量の7日後に投与される。
さらなる実施形態では、患者に投与される第2の量は、体重1kg当たり50万~100万個の用量のHHLAPC細胞を含んでいる。別の実施形態では、患者に投与される第2の量の組成物は、体重1kgあたり100万~250万個の用量のHHLAPC細胞を含んでいる。
またさらなる実施形態では、患者に投与される組成物の第1の量と第2の量が同じであってもよい。あるいは、患者に投与される第1の量の組成物は、第2の量の組成物から独立して選択されてもよい。
本発明はさらに、ACLFを発症した、または発症するリスクのある患者を治療する方法であって、前記治療は、前記患者の体重1kgあたり25万~250万個の用量のヒト成人肝由来前駆細胞、例えばHALPC細胞などを含んだ量の組成物を前記患者に投与するステップを含み;前記組成物は有効量の抗凝固剤を実質的に含まず、前記患者は抗凝固剤を用いた任意の併用治療を受けない、方法として記載することができる。
さらに、本発明は、ACLFの治療および/または予防のための医薬品の製造のための、HALPCなどのヒト成人肝由来前駆細胞の使用であって、前記治療は、体重1kgあたり25万~250万個の用量のそのような前駆細胞を含んだ量の前記組成物を患者に投与するステップを含み、前記組成物は有効量の抗凝固剤を実質的に含まず、前記患者は抗凝固剤を用いた任意の併用治療を受けない、使用に関するものである。
さらなる定義
用語「成人ヒト肝由来前駆細胞」は、「ヒト成人肝由来前駆細胞」または「ヒト同種肝前駆細胞」と同義的に使用され;「HHALPC」または「HHALPC」または「HALPC」または「HALPC」と略記される「異種ヒト成人肝由来前駆細胞」は、本明細書の上述のようにして得られる、特定のタイプの成人ヒト肝由来前駆細胞を表す。関連する技術分野の当業者であれば、これらの細胞は、ヒトの肝臓に由来しているにもかかわらず、一般的に「異種」と名付けられていることを理解するであろう。したがって、これらの細胞は、治療のために細胞を受け取る人と同じ種の異なる個体に由来しているという含意を伝えるために、「異種」ではなく「同種」と名付けることも可能である。
本明細書で使用する用語「in vitro」は、動物またはヒトの体の外側または体外にあることを意味する。本明細書で使用する用語「in vitro」は、「ex vivo」を含むと理解すべきである。用語「ex vivo」は、典型的には、動物またはヒトの体から取り出し、体外、例えば培養容器内で維持または増殖させた組織または細胞を意味する。
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される担体」は、対象に著しい刺激を与えず、投与される組成物の生物学的活性および特性を抑止しない担体または希釈剤を意味する。担体の例としては、限定するわけではないが、プロピレングリコール、生理食塩水、有機溶媒と水のエマルジョンおよび混合物が挙げられる。
用語「十分な量」とは、所望の測定可能な効果をもたらすのに十分な量を意味し、例えば、タンパク質の発現プロファイルを変化させるのに十分な量を意味する。
用語「治療上有効な量」とは、疾患の症状を寛解させるのに有効な量である。治療上有効な量は、予防が治療とみなされ得るため、「予防上有効な量」とすることができる。
用語「治療」とは、治療的な処置と予防または防止的な処置の両方を意味し、目的は、対象となる病理学的な状態または障害を予防する、または遅らせる(軽減する)ことである。治療を必要とする人には、すでに障害を持つ人だけでなく、障害を持ちやすい人または障害を予防すべき人も含まれる。
本明細書で使用する用語「同種」とは、提供された材料がレシピエントとは異なる個体から来たものであることを意味する。同種幹細胞移植とは、人が、遺伝的に似ているが同一ではないドナーから幹細胞の提供を受ける手順を意味する。
本明細書で使用する用語「線維症」とは、器官や組織において、修復または反応の過程で過剰な線維性結合組織が形成されることを意味する。
用語「肝線維症」とは、急性または慢性の肝損傷後に、間質性または「瘢痕」細胞外マトリックスが蓄積することを指す。進行性の繊維症の最終段階である肝硬変は、肝細胞の結節を囲む隔壁の形成と瘢痕の輪が特徴である。典型的には、繊維症が臨床的に明らかになるまでには数年から数十年を要しますが、数ヶ月で肝硬変に至る顕著な例外として、小児肝疾患(例えば、胆道閉鎖症)、薬剤性肝疾患、および肝移植後の免疫抑制に伴うウイルス性肝炎などが挙げられる。
以下の例は、本発明を説明するのに役立つが、本発明の範囲を制限するものとして理解されるべきではない。
実施例1:HALPCの調製
HALPCを、欧州特許出願公開第3140393号明細書または国際公開第2017/149059号パンフレットに記載されているように、健康な屍体ドナーまたは心拍停止ドナーの肝臓から調製した。簡単に言うと、肝細胞の調製物を、10%FBS、10mg/mlのINS、1mMのDEXを補ったウィリアムスE培地に再懸濁する。初代細胞をCorning(登録商標)CellBIND(登録商標)フラスコ上で培養し、5%CO2を含む完全加湿環雰囲気内で、37℃で培養する。24時間後、非付着細胞を除去するために培地を交換し、その後週に2回培地を新しくし、一方で培養物を毎日顕微鏡で経過観察した。培養培地は12-16日後に9%FBSを補った高グルコースDMEMに変更する。間葉系細胞のような形態の細胞型が現れ、増殖する。70-95%コンフルエントに達した時点で、組換えトリプシンと1mMのEDTAを用いて細胞をトリプシン処理し、1-10×103個の細胞/cm2の密度で再播種する。各継代において、80-90%コンフルエントになった時点で細胞をトリプシン処理した。
この細胞を検査し、特に以下のマーカーを発現していることが見出された:CD90、CD73、ビメンチン、およびASMA。また、この細胞を検査し、以下のマーカーについては、陰性または非常に低い発現を示すことも見出された:CD133、CD45、CK19、およびCD31。このHALPCを各バイアルに、10~50x106個の細胞/mLを含む5mLのアリコート(1バイアルあたり50~250x106個の細胞に相当)で充填し、凍結した。
実施例2:HALPCの患者への投与(中間結果)
慢性肝不全の急性憎悪(ACLF)が確認された8名の患者と、ACLF発症のリスクがある急性代償不全(AD)の7名の患者を、本発明による投与レジメンを用いて、実施例1に従って調製したHALPCで治療した。細胞は、上述の手作業による方法で計数した。治療前の患者のMELDスコアは、18~35の範囲で、平均は約27であった。各患者の総ビリルビン血清濃度は6mg/dL(≧100umol/L)より高く;患者間では約7~約43mg/dLの範囲で、平均約22mg/dLであった。すべての患者は、臨床状態により必要とされる標準的治療を受けたが、抗凝固剤の併用療法は受けなかった。
HALPCの各投与のために、実施例1で調製した細胞を入れたバイアルを解凍し、炭酸水素ナトリウムとヒト血清アルブミンを含み、薬理学的に効果のない微量のヘパリン(500I.U./患者以下)を賦形剤として有する45mLの滅菌液体担体で希釈した。指定された用量の細胞を含むように計算された体積の組成物を、静脈内注入によって投与した。
最初に登録した患者には、技術的な問題で細胞を与えなかった。15人の患者のうち3名には25万個の細胞/体重kgの単一用量でHHALPCを与え、9人の患者は50万個の細胞/kgの用量を与えた。50万個の細胞/kgの細胞を与えた患者のうち7人には、最初の投与から7日後に50万個の細胞の第2用量を投与した。
低用量の細胞を投与したにもかかわらず、これらの投与レジメンは、肝機能や全身の炎症を改善するという点で患者にとって非常に効果的な治療介入であることがわかった。患者のMELDスコアだけでなくビリルビン値も著しく低下した。さらに、患者の改善は全経過観察期間を通じて持続し:無移植生存率がM3(治療開始後3カ月目)の患者では、ビリルビン値が約60-80%低下し、MELDスコアが40~55%低下した。
さらに、2人の患者(いずれもACLF)を、体重1kgあたり100万個の細胞という単一用量を一回の投与につき投与した以外は、上記のように治療した。1人の患者は治療直後にビリルビンとMELDスコアの明確な改善を示し、もう1人の患者も多少の遅れはあったものの治療効果を示した。全員が基礎疾患および併存疾患に関連する有害事象を経験した。
また、抗凝固剤併用療法がない場合でも、HALPCの患者への投与が成功した事実も注目に値する。凝固カスケードを活性化し得る組織因子を発現するHALPCを含む一般的な幹細胞の投与は、典型的には血栓症のリスクが高まると考えられており、このため通常は血栓症や出血を防ぐために抗凝固剤を用いた併用治療が必要であると考えられているため、これは特に驚くべきことである。しかし、これらの結果は、ACLF患者またはACLF発症リスクのある患者に対して、効果が非常に高い量のHALPCを安全に投与できることを示している;これらの患者は、実質的な危険にさらされたものの、治療に非常によく耐え、細胞治療に関連した重大な副作用はなかった。特に、血小板、フィブリノゲン、または凝固因子の臨床的に有意な低下は認められなかった。これらの患者に報告された任意の有害事象(AE)は、基礎疾患および併存疾患に関連するものだった。
なお、この実施例2は、臨床試験の中間結果であり、その完全な結果は以下の実施例3で提供する。
実施例3:HALPCの患者への投与(完全な結果)
実施例2の臨床試験を、合計22人の患者が本発明による治療を受けるまで続けた。本実施例の細胞数および投与量は、Nucleocounter NC-200を用いて、上述の自動化された方法によって決定されたものとして提供される。要約すると、患者は以下のように治療した。
1人の患者には、技術的な問題により細胞を与えなかった。3人の患者に約60万個の細胞/kgを1回注入した。さらに3人の患者には、約60万個の細胞/kgを約7日の間隔で2回注入した。さらに3人の患者に約80万個の細胞/kgを1回注入した。4人の患者に約120万個の細胞/kgを1回注入した。8人の患者には、約120万個の細胞/kgを約7日の間隔で2回注入した。すべてのケースにおいて、注入した細胞は、薬理学的に重要でない量、すなわち、体重1kgあたり10I.U.以下のヘパリンを含む組成物に含ませた。どの患者も抗凝固剤の同時薬物療法を受けていない。
その結果、HALPCの患者に投与された投与量は、良好な耐用性を示した。これらの患者について報告された有害事象は、基礎疾患および併存疾患に関連するものだった。
有効性の点では、生存している患者の予後スコアの平均は、1日目よりも3カ月目の方が概して低く、3カ月目にACLFを発症した患者はいなかった。予後スコアの改善は、図1に示すように、患者のMELDスコア(特に移植の優先順位決定に関係する)とChild-Pughスコア(特に死亡リスクの評価に関係する)の推移に示されている。1ヵ月目、2ヵ月目、および3ヵ月目の平均MELDスコアは、それぞれ21(標準偏差(SD)=7.9)、15(SD=5.2)、14(SD=5.0)で、それぞれベースライン時(27;SD=4.2)よりも低かった。3ヵ月目には、生存患者12/13人(92%)のMELDスコアがそれぞれのベースラインよりも低くなり、患者8/13人(61%)のMELDスコアが≦15となった。1ヵ月目、2ヵ月目、3ヵ月目のChild-Pughスコアの平均は、それぞれ8.8(SD=1.7)、7.6(SD=1.6)、および6.8(SD=2.0)で、それぞれベースライン時(11;SD=1.6)よりも低かった。3カ月目には、生存患者12/13人(92%)のChild-Pughスコアがそれぞれのベースラインより低くなり、患者7/13人(53%)のChild-Pughスコアが≦6となった。
血液学的および血清生化学的数値は、MELDおよびChild-Pughスコアに寄与した値を含め、3ヵ月間で肝機能の安定または改善を示唆した。例えば、図2に示すように、2ヵ月目および3ヵ月目のビリルビン値はそれぞれ3.0mg/dl(SD=1.8)および2.9mg/dl(SD=2.0)で、平均値は通常の基準範囲(0~1.2mg/dl)を超えているものの、ベースライン時(18mg/dl、SD=9.6)よりも大幅に低下していた。クレアチニンとナトリウムの値は、試験期間中、おおむね安定していると見受けられ、腎臓の状態が悪化していないことが示唆した。
要約すると、本試験で得られた結果は注入後に肝機能および全身性炎症の改善を示した。また、臨床的に有意なMELDおよびビリルビンの改善は、有効性を示す励みになると考えられる。
実施例4:ACLF患者におけるHALPCの有効性と安全性
慢性肝不全の急性憎悪(ACLF)患者において、HALPCの有効性および安全性を評価するため、無作為化、プラセボ対照、二重盲検、多施設第IIb相試験を実施する。最近、ACLFグレード1または2と診断された患者に、試験参加のためのスクリーニング検査を受けることを提案した。ACLFのグレード付けはCLIF臓器不全(CLIF-OF)スコアに基づく。患者は少なくとも18歳で、ビリルビン値が少なくとも5mg/dLである。さらに、本試験に登録される患者は、MELDスコアが35以下であり、胆道系疾患または自己免疫性肝炎による基礎的な肝硬変がない。
その後、試験に参加した患者を無作為に割り振って、最良の標準治療とプラセボを与えるか、または、最良の標準治療と約1週間の間隔でHALPCを2回注入し、各注入は体重1kg当たり約100万個の細胞のHALPC用量を含めた。HALPCの注入は、薬理学的に関連する量の抗凝固剤、特に1回の注入につき10I.U./kg超のヘパリンを含まない組成物として投与する。
投与後3ヶ月間の評価期間を処置レジメンの後に設け、その期間中に安全性と有効性のデータを患者から取得する。
先に得られた臨床データ(実施例2および3参照)に照らし合わせると、今回のさらなる研究では、本発明による投与レジメンを用いてACLF患者におけるHALPCの有効性が確認されることが期待される。具体的には、1回目の投与から90日後の患者の全生存率にプラスの効果があるという点で、それぞれ100万個の細胞/kgを含む2回のHALPC注入(i.v.)を7日間の間隔で投与した場合の有効性が実証される。
比較例
ACLFを患っている2人の患者に、1回の投与で2億5000万個のHALPCという単一用量を投与すること、すなわち体重1kgあたり約400~550万個の細胞を投与することを除いて、実施例2に記載したように治療した。患者の1人は、1回目の投与から4日後に2億5000万個の細胞の第2用量を与えた。患者は治療に関連した副作用を経験した。両方の患者は、重度の鼻出血を含む重度の末梢出血を伴う凝固因子の強い低下を経験した。1人の患者は、経頸動脈生検の挿入側で出血した。
理論に縛られるつもりはないが、細胞注入後に重度の出血を引き起こす可能性のある作用機序は、細胞による凝固カスケードの活性化に関連していると考えられる。おそらく、HALPCによる組織因子の発現により、肝不全のためにこれらの因子の蓄えが限られている患者では、凝固因子が消費され;凝固因子の減少により出血が起こると考えられる。

Claims (18)

  1. 慢性肝不全の急性憎悪(ACLF)を発症した、または発症するリスクのある患者の治療に使用するための、成人ヒト肝由来前駆細胞を含む組成物であって、
    前記細胞は、CD90、CD44、CD73、CD13、CD140b、CD29、ビメンチンおよびα平滑筋アクチン(ASMA)から選択される少なくとも1つの間葉系マーカーを発現する異種のヒト成人肝由来前駆細胞(HALPC)であり、
    前記治療は、体重1kg当たり25万~250万個の用量の前記前駆細胞を含んだ量の前記組成物を前記患者に投与するステップを含み;前記組成物は有効量の抗凝固剤を実質的に含まず、前記患者は抗凝固剤を用いた任意の併用治療を受けない、組成物。
  2. 前記細胞は、少なくとも1つの肝マーカーを発現し、および/または肝特異的活性を示す、請求項1に記載の使用のための組成物。
  3. 前記細胞は、HGFを分泌する、請求項1に記載の使用のための組成物。
  4. 前記細胞は、HGFおよびPGE2を分泌する、請求項1に記載の使用のための組成物。
  5. 前記細胞は:
    a. α平滑筋アクチン(ASMA)、CD140b、および任意でアルブミン(ALB)について陽性であり;
    b. サイトケラチン19(CK-19)、および任意でSushiドメイン含有タンパク質2(SUSD2)について陰性であると判定される、請求項1~4の何れか一項に記載の使用のための組成物。
  6. 前記細胞は、さらに、
    a. HNF-3B、HNF-4、CYP1A2、CYP2C9、CYP2E1およびCYP3A4から選択される少なくとも1つの肝マーカー、ならびに任意にアルブミンと;
    b. ビメンチン、CD90、CD73、CD44、およびCD29から選択される少なくとも1つの間葉系マーカーと;
    c. 尿素分泌、ビリルビン抱合、α-1アンチトリプシン分泌およびCYP3A4活性から選択される少なくとも1つの肝特異的活性と;
    d. ATP2B4、ITGA3、TFRC、SLC3A2、CD59、ITGB5、CD151、ICAM1、ANPEP、CD46およびCD81から選択される少なくとも1つのマーカーと;
    e. MMP1、ITGA11、FMOD、KCND2、CCL11、ASPN、KCNK2およびHMCN1から選択される少なくとも1つのマーカーとについて陽性であると判定される、請求項1~5の何れか一項に記載の使用のための組成物。
  7. 体重1kgあたり50万~100万個の用量のHALPC細胞を含む、請求項~6の何れか一項に記載の使用のための組成物。
  8. 前記患者は、非硬変性慢性肝疾患、肝硬変、代償性肝硬変、非代償性肝硬変(DC)、急性非代償性肝硬変、急性代償不全(AD)から選択される疾患もしくは状態であるか、または該疾患もしくは状態を有すると診断されており、任意に、前記患者はプレACLFもしくはACLFグレード0であるか、またはACLF-1およびACLF-2から選択されるACLFグレードレベルを有している、請求項1~7の何れか一項に記載の使用のための組成物。
  9. 前記患者は、前記治療の前に、MELDスコアが13~35の範囲にあると診断されており、および/または、少なくとも1つの臓器不全を経験しているか、もしくは経験したことがある、請求項1~8の何れか一項に記載の使用のための組成物。
  10. 前記患者は、前記治療の前に、少なくとも5mg/dL、または少なくとも6mg/dLの総ビリルビン血清濃度を示す、請求項1~9の何れか一項に記載の使用のための組成物。
  11. 1mLあたり50万~500万個の細胞という濃度でHALPC細胞を含んだ滅菌液体の形態で前記患者に投与される、請求項~10の何れか一項に記載の使用のための組成物。
  12. 前記滅菌液体の組成物は、毎分約0.1~約5mL、または毎分約0.5~約2mL、例えば毎分約1.5mLの注入速度で、前記患者に静脈内注入される、請求項11に記載の使用のための組成物。
  13. 垂直に取り付けられた注入ポンプを用いて患者に投与される、請求項12に記載の使用のための組成物。
  14. 前記治療は:
    前記患者に第2の量の前記組成物を投与するステップをさらに含み、
    前記第2の量は、体重1kg当たり25万~250万個のHALPC細胞という第2の用量を含み;前記第2の量は前記第1の量の5~21日後に投与され;
    前記組成物は、有効量の抗凝固剤を実質的に含まず、前記患者は、抗凝固剤を用いた任意の併用治療を受けない、請求項~13の何れか一項に記載の使用のための組成物。
  15. 前記第2の量は前記第1の量の6~8日後に投与される、請求項14に記載の使用のための組成物。
  16. 前記第2の量は、体重1kg当たり50万~100万個のHLAPC細胞という第2の用量を含む、請求項15に記載の使用のための組成物。
  17. 前記第2の量は前記第1の量の7日後に投与される、請求項15または16に記載の使用のための組成物。
  18. 前記治療は、前記組成物が前記患者に最初に投与された後、好ましくは28日以内に、前記患者のMELDスコアを少なくとも20%減少させる、請求項1~17の何れか一項に記載の使用のための組成物。
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