したがって、本発明の目的は、追加的な光学的機能を有する透明基材を提供することである。
本発明は特許請求の範囲の独立項において定義される。有利な構成は従属項に明記されている。
本発明による機能化された導波路によれば、部分的に透明な入力結合領域と、そこから第一の方向に離間された出力結合領域とが透明基材内に提供され、又は埋め込まれる。部分的に透明な入力結合領域は回折構造を含むことができ、これはそれを通じた直視中に入力結合領域の透明性を大きい角度及び波長範囲にわたって保持するために使用される。それゆえ、透明基材の前面に衝突した放射の一部のみを透明な入力結合領域によって偏向させることができ、それによって偏向部分は基材内へと入力結合された放射を反射によって出力結合領域まで伝搬し、出力結合領域に衝突する。
この場合、入力結合領域の透明性は放射の入力結合の効率に依存する。入力結合効率が向上すると、機能化された導波路の入力結合領域の透明性が低下することにもなる。可能な限り高い透明性を得るために、例えば回折構造(特に少なくとも1つの体積ホログラム)による放射の入力結合は、十分な放射パワーが出力結合領域に衝突する程度に正確に効率的であり得る。部分的に透明な入力結合領域は、入力結合効率が、例えば2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%であるように具現化できる。特に、入力結合効率は2%~50%の範囲とすることができ、それによって入力結合領域の透明性は50%~98%の範囲となる。別の例示的な実施形態の入力結合領域もまた、このような入力結合効率又はこのような透過特性を含むことができる。
透明な入力結合領域は好ましくは、透明基材の前面に衝突した放射の偏向部分の偏向が、画像生成光学機能を持たない(例えば、合焦効果を持たない)純粋な偏向としてなされるように具現化される。
反射は特に、透明基材の前面及び/又は後面での全内部反射とすることができる。しかしながら、反射層若しくはコーティング又は部分反射層若しくはコーティングをこの目的のために提供することも可能である。
部分的に透明基材の前及び後面は、平坦表面として具現化できる。この点において、部分的に透明基材は例えば平行平面板として具現化できる。
しかしながら、前面及び/又は後面を湾曲させて具現化することも可能である。
部分的に透明基材は、ガラス及び/又はプラスチックで構成できる。これは一体とすることも、又は多層構造を含むこともできる。
特に、透明基材は、可視波長範囲の放射又は光に対して透明とすることができる。さらに、近赤外及び/又は赤外範囲に対する透明性を有することもできる。
透明基材の出力結合領域は、入力結合され、そこに衝突した放射の少なくとも一部を偏向させることができ、それによって偏向部分が基材から発出される。これは好ましくは、透明基材の前面又は後面を介してなされる。
出力結合領域は、部分的に透明となるように具現化できる。特に、出力結合領域の出力結合効率は、例えば2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%とすることができる。特に、出力結合領域の出力結合効率は、2%~50%の範囲とすることができ、それによって出力結合領域の透明性は50%~98%の範囲となる。別の例示的な実施形態の出力結合領域は、このような出力結合効率又はこのような透過特性を有することができる。
部分的に透明な実施形態は、例えば入力結合領域及び出力結合領域が回折構造(例えば、体積ホログラム)として具現化されると有利である。入力結合領域と出力結合領域は、例えばフィルムに具現化でき、これは製造技術の観点から有利である。
しかしながら、出力結合領域は最大出力結合効率を有することも可能である。これは、例えば反射コーティング(好ましくは、完全反射コーティング)によって実現できる。
入力結合領域と出力結合領域は、これらが偏向以外に光学画像生成機能をもたらさないように具現化できる。しかしながら、入力結合領域及び/又は出力結合領域は、偏向に加えて光学画像生成機能を提供し、それゆえ光学画像生成をもたらすようにすることもできる。この点において、光学画像生成機能は、例えば収束レンズ素子又は発散レンズ素子、凹面若しくは凸面ミラーの機能を実現でき、湾曲表面は(中心を合わせた、又は偏心の)球面状の湾曲又は非球面の湾曲表面とすることができる。
入力結合領域の回折構造は、埋込み式回折構造として、2つの基板間の回折構造として、又は前若しくは後面上に具現化された回折構造として実現できる。
さらに、出力結合領域は回折構造を含むことができる。出力結合領域の回折構造は、埋込み式回折構造として、又は前面若しくは後面上の回折構造として具現化できる。
反射型又は透過型体積ホログラムは、入力結合領域及び/又は出力結合領域の回折構造として提供できる。さらに、出力結合及び/又は入力結合領域の回折構造は、透過型又は反射型レリーフ格子とすることも可能である。
出力結合領域はさらに、鏡面、プリズム、及び/又は反射型若しくは透過型フレネル構造を含むことができる。これらの変形型は出力結合領域の回折構造の代わりとしても、又は回折構造に追加しても提供できる。
さらに、本発明による機能化された導波路(全ての発展型を含む)を含む検出器システムが提供される。検出器システムは、本明細書においては検出システムとも呼ばれるが、検出器を含むことができ、そこに放射のうち出力結合領域により偏向された部分が衝突する。検出器は、基材の前面又は後面に接続できる。特に、直接接続させることができる。検出器は、デジタルイメージセンサ(例えば、CCDセンサ若しくはCMOSセンサ)、検出器アレイ、又は例えばソーラセルとすることができる。
さらに、検出器システムは、少なくとも1つの光学画像生成素子が検出器と前面及び/又は後面との間の領域に配置されるように具現化できる。少なくとも1つの光学画像生成素子は、例えばレンズとして、屈折レンズとして、又は屈折カメラレンズとして具現化できる。また、検出器と前面及び/又は後面との間の領域には画像生成光学素子を設けないようにすることも可能である。換言すれば、出力結合領域から出力結合された放射はそれゆえ、別の光学画像生成素子を通過することなく検出器に衝突する。この場合、出力結合領域が偏向のほかに光学画像生成特性を有していれば有利である。
機能化された導波路は、それが無限-無限画像生成を実行するように具現化できる。しかしながら、前記導波路が有限-無限画像生成、無限-有限画像生成、又は有限-有限画像生成を実行することも可能である。
検出器システムは勿論、少なくとも1つの光学画像生成素子も検出器と前面及び/又は後面との間に配置されるように具現化することもできる。少なくとも1つの光学画像生成素子は、特に放射のうち出力結合領域により偏向される部分を案内するのに役立ち、例えばレンズ素子として具現化できる。少なくとも1つの光学画像生成素子は、例えばレンズとして、屈折レンズとして、又は屈折カメラレンズとして具現化できる。
機能化された導波路の場合、入力結合領域の、第一の方向を横断する第二の方向への範囲は出力結合領域の第二の方向への範囲より大きくすることができる。入力結合領域の範囲(又は、例えば幅)とは、本明細書では、特に所期の通りに有効に使用される範囲、すなわち光学的に使用される範囲を意味すると理解されたい。これは例えば、入力結合領域のうち、検出器システムに衝突した偏向された放射が発せられた区域の範囲である。出力結合領域の範囲(又は、例えば幅)とは、本明細書では、特に所期の通りに有効に使用される範囲、すなわち光学的に使用される範囲を意味すると理解されたい。これは例えば、出力結合領域のうち、検出器システムに衝突した偏向された放射が発せられた区域の範囲である。
さらに、入力結合領域と出力結合領域は、第二の方向に互いに対して中心を合わせるように配置できる。
しかしながら、入力結合領域と出力結合領域は第二の方向に互いに対して中心をずらすように配置することも可能である。
複数の出力結合領域が第二の方向に相互に隣り合わせに配置されるようにすることもできる。出力結合領域の少なくとも1つはそれに加えて、第一の方向を横断するように偏向の機能(function of deflection)を含むことができる。
機能化された導波路の視野(以下、「FoV」と呼ぶ)を検出器の(又は、少なくとも1つの光学画像生成素子、例えばレンズを有する検出器の)FoVに適応させるようにすることが可能である。これは、特に第一の方向に沿った入力結合領域と出力結合領域との間及び、第一の方向を横断する入力結合領域の範囲と第一の方向を横断する出力結合領域の範囲との間の距離の適応によって実行できる。検出器の(又は少なくとも1つの光学画像生成素子を有する検出器の)FoVを機能化された導波路のFoVに適応させることは、レンズの焦点距離及び/又は検出器の大きさの適応によって行うことができる。好ましくは、機能化された導波路のFoVは検出器の(又は少なくとも1つの光学画像生成素子を有する検出器の)FoVに対応する。これは、機能化された導波路のFoVの標的設定及び/又は検出器の(又は少なくとも1つの光学画像生成素子を有する検出器の)FoVの標的設定によって行うことができる。
照明及び/又は投射システムのための機能化された導波路がさらに提供され、導波路は前面及び後面を有する透明基材を含む。原則として、透明基材は、検出器システムのための機能化された導波路の透明基材と同様に具現化し、発展させることができる。
この点において、基材は入力結合領域と、第一の方向にそれから離間された出力結合領域を含むことができ、入力結合領域は、照明及び/又は投射システムの光源又は画像源から入射され、入力結合領域に衝突した放射の少なくとも一部を偏向させ、それによって偏向された部分は、基材への入力結合された放射として、反射により出力結合領域まで伝搬し、出力結合領域に衝突する。出力結合領域は、そこに衝突した入力結合された放射を偏向させる構造、例えば回折構造を含むことができ、それによって偏向された部分は基材から前面及び後面を介して発せられる。回折構造は、光源又は画像源から入射される放射の波長に適応させて、できるだけ多くの放射が反射されるようにすることができる。それでもなお、回折構造は依然として、例えばそれを通じて見たときの所望の透明性を有することができる。さらに、回折構造は光源又は画像源からの放射の一部のみを偏向させることも可能である。
出力結合領域の構造は、透過型若しくは反射型回折構造、透過型若しくは反射型体積ホログラム、鏡面、プリズム、又は透過型若しくは反射型レリーフ格子とすることができる。
それゆえ、透明な出力結合領域が提供される。第一の方向を横断する第二の方向への出力結合領域の範囲は、第二の方向への入力結合領域の範囲より大きくすることができる。
照明及び/又は投射システムがさらに提供され、これはそのような照明及び/又は投射システムのための機能化された導波路を有し、光源及び/又は画像源も追加的に提供され、そこからの光が出力結合領域に衝突する。
検出器システムのための機能化された導波路の場合、入力結合領域は少なくとも2つの体積ホログラムを含むことができ、その各々が検出対象の物体から入射され、前面に衝突した放射の一部のみを偏向させ、それによって偏向部分は、基材への入力結合された放射として反射によって出力結合領域まで伝搬し、出力結合領域に衝突する。入力結合領域の体積ホログラムは、これらの偏向関数が異なるスペクトル角度特性を有するという点で異なることがある。その結果、同じ入射角度で異なる波長を偏向させることができる。出力結合領域は、そこに衝突した入力結合された放射の少なくとも一部を偏向させ、それによって偏向部分は基材から(好ましくは前又は後面を介して)出て、検出器システムに衝突する。
このような導波路によって、より多くの色を透過させることができ、それは、入力結合領域の体積ホログラムが異なるスペクトル角度特性を有するからであり、したがって、同じ入射角の異なる波長を偏向させ、それによってこれらは基材への入力結合された放射の一部となる。
入力結合領域の体積ホログラムは隣接して(相互間にスペースがあってもなくてもよい)配置でき、すなわち、特にこれらは第一の方向に隣接して配置できる。しかしながら、入力結合領域の体積ホログラムは、相互に上下に重ねて、又は相互に上下に積み重ねて(すなわち好ましくは第一の方向を横断し、且つ、第二の方向を横断する積み重ね方向に)配置することも可能であり、それによってあたかも体積ホログラムの積層体が存在するかのようになる。代替的又は追加的に、入力結合領域の体積ホログラムの幾つか又は全部の機能は、1つの体積ホログラムに実装できる。このような実装は多重化とも呼ばれる。入力結合領域のこれらの考え得る構成は、説明されている例示的な実施形態の全部において提供できる。
出力結合領域は、入力結合領域の各体積ホログラムについて、割り当てられた体積ホログラムを含むことができ、これは偏向中に入力結合領域の対応する体積ホログラムと同じスペクトル角度特性を提供する。このようにして入力結合領域の体積ホログラムの分散を補償できる。
出力結合領域の体積ホログラムは隣接して(相互間にスペースがあってもなくてもよい)配置でき、すなわち、特にこれらは第一の方向に隣接して配置できる。しかしながら、出力結合領域の体積ホログラムは、相互に上下に重ねて、又は相互に上下に積み重ねて(すなわち好ましくは第一の方向を横断し、且つ、第二の方向を横断する積み重ね方向に)配置することも可能であり、それによってあたかも体積ホログラムの積層体が存在するかのようになる。代替的又は追加的に、出力結合領域の体積ホログラムの幾つか又は全部の機能は、1つの体積ホログラムに実装できる。このような実装は多重化とも呼ばれる。出力結合領域のこれらの考え得る構成は、説明されている例示的な実施形態の全部において提供できる。
入力結合領域の体積ホログラムは、反射型又は透過型体積ホログラムとして具現化できる。同じことが出力結合領域の体積ホログラムにも当てはまる。
入力結合領域は、少なくとも、又は正確に2、3、4、5、6、7、8、9、10から最大40、最大50、又は最大100(又は1~100のいずれかの値)の体積ホログラムを含むことができる。
検出器システムのための機能化された導波路の場合、入力結合領域は複数の回折入力結合構造を含むことができ、これは第一の方向に隣接し、これらが前面への垂直線と第一の方向を横断する第二の方向との間にわたる平面内で異なる水平視野を有する点で異なり、それによってこれらは放射を異なる水平視野から出力結合領域に向かって偏向させる。
それゆえ、より大きな水平視野を捕捉し、検出器に案内することができる。
入力結合回折構造は、これらが異なる水平視野からの放射を出力結合領域に向かって偏向させるように具現化できる。
それゆえ、より大きい水平視野を捕捉し、検出器に案内することができる。
入力結合回折構造は、これらが偏向中に異なる水平視野からの放射を異なる偏向波長によってエンコードするように具現化でき、それによって出力結合及び/又は検出を異なる水平視野について選択的に行うことができる。
出力結合領域は、入力結合回折構造について、割り当てられた出力結合回折構造を含むことができ、これは割り当てられた入力結合回折構造の波長の放射を選択的に偏向させる。
出力結合回折構造は、割り当てられた入力結合構造の放射を偏向させることができ、それによって前記放射は検出器システムの局所的に異なる領域に衝突する。
検出器の少なくとも1つの局所的に異なる領域にカラーフィルタを設けることができ、これは対応する波長範囲のみを検出器へと案内する。
入力結合回折構造は、これらが異なる偏向角度範囲からの放射をエンコードするように具現化でき、それによって出力結合及び/又は検出は異なる水平視野について選択的に行うことができる。
入力結合領域は、各入力結合回折構造の前にラメラ構造の遮光絞りを含むことができ、これは、各入力結合回折構造について、前面に対する垂直線と第一の方向との間にわたる平面内の異なる垂直視野を画定する。
出力結合領域は、各入力結合回折構造について、割り当てられた出力結合回折構造を含むことができ、これは割り当てられた入力結合回折構造の異なる偏向角度範囲からの放射を選択的に偏向させる。出力結合回折構造は、第一の方向に隣接して配置できる。
出力結合回折構造は、それぞれの場合で、反射型又は透過型体積ホログラムとして具現化できる。
検出器システムのための機能化された導波路は、入力結合領域が第二の方向に沿って少なくとも2つの異なる入力結合回折構造を含むように具現化し、又は発展させることができ、これは、それらが第二の方向に異なる偏向コンポーネントを含むという点で異なる。
それゆえ、入力結合された放射の利用に関する効率がより高い。
第二の方向への偏向コンポーネントは入力結合回折構造の各々について選択でき、これらは第二の方向に沿って、出力結合領域に関してずらされて、入力結合された放射についての現在のオフセットを補償する。
出力結合領域は、異なる入力結合回折構造によって入力結合された放射を同じ角度範囲に偏向させるように具現化できる。
検出器システムのための機能化された導波路は、入力結合領域が入力結合レリーフ格子を含み、出力結合領域が出力結合レリーフ格子を含むように具現化し、又は発展させることができる。
特に、入力結合レリーフ格子と出力結合レリーフ格子は同じ格子間隔を有することができる。
機能化された導波路はまた、透明基材を有するスクリーンとして具現化することもできる。この場合、透明基材はスクリーンの一部とすることができる。
スクリーンは例えば、ポータブル機器(例えば、スマートフォン又はラップトップ等)、定置スクリーン、又は例えば自動車に据え付けられた他のいずれかのスクリーンとすることができる。
出力結合領域は、第一の方向に沿って入力結合領域より基材の縁辺に近付けて配置できる。
さらに、入力結合領域は後面に配置できる。
さらに、スクリーンは基材の後面に配置された発光層を含むことができ、入力結合領域は、基材と発光層との間に配置できる。
イメージセンサは、基材の後面の、スクリーンの表示領域としての役割を果たし、イメージセンサによる記録中にブランクとされる領域に配置できる。
スクリーンは物体を記録する追加のカメラを含むことができ、カメラにより行われた記録は、後に物体の記録をイメージセンサにより色付けするために使用される。
スクリーンは基材の後面に配置される発光層を含むことができ、この層は実画像を生成する。この目的のために、発光層は例えば発光ピクセルを含むことができる。この場合、実画像はピクセルの平面内で生成される。ピクセルは各々、少なくとも50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°~180°未満の発光角度を有することができる。
このピクセル化された発光層は基材の後面に配置されるため、ピクセルにより発せられた光は基材中を透過し、観察者に到達する。
発光層から発せられた光が入力結合領域の回折構造で回折されないように、及びそれゆえ、観察者に到達しないようにするために、入力結合領域の回折構造は、特定の偏光の光だけが回折され、それゆえ基材(又は導波路)内を案内されるように設計できる。発光層により発せられる光は、入力結合領域の回折構造にとって不効率な偏光を有し、入力結合領域の回折構造による妨害を受けずに透過できる。それゆえ、発光層はもはや迷光の根源となることはなく、イメージセンサによる記録中の迷光の入力結合を回避するために入力結合領域のその領域内のピクセル化された発光層をブランクにし、又は省く必要がなくなる。
規定された偏光として考えられるものは、とりわけ、LCDディスプレイ又は、発光層と基材との間に偏光フィルムを適用することであろう。
機能化された導波路(又は前述の検出器システム)は、それが車両用の機能化された窓として(又は検出器システムとして)提供されるように具現化し、又は発展させることができる。車両は、自動車、トラック、飛行機、発動機付き若しくは発動機を持たない車両、又は他のいずれかの車両とすることができる。窓は、車両の任意の窓、例えばフロントガラス、サイドウィンドウ、又はリアウィンドウ等とすることができる。特に、車両のための複数の窓(又は検出器システム)を提供できる。これらは、例えば車両内の人又は物体の位置を検出するために使用できる。さらに、1つ又は複数のこのような機能化された窓を含む(又は1つ又は複数の検出器システムを含む)車両が提供される。
出力結合領域は、第一の方向に沿って入力結合領域より基材の縁辺に近付けて配置できる。
このように機能化された窓は、前述のような方法で具現化し、発展させることのできる検出器システム(又は検出システム)において使用できる。特に、放射のうち出力結合領域により偏向された部分が衝突する検出器を提供できる。出力結合領域と検出器との間に、検出システムは少なくとも1つの光学画像生成素子を含むことができる。少なくとも1つの光学画像生成素子は、例えばレンズとして、屈折レンズとして、又は屈折カメラレンズとして具現化できる。
基材は、別の入力結合領域と、第一の方向にそれから離間される別の出力結合領域とを含むことができ、別の入力結合領域は、光源又は画像源から入射し、別の入力結合領域に衝突した放射の少なくとも一部を偏向させ、それによって偏向部分は基材内で、入力結合された別の放射として別の出力結合領域まで反射によって伝搬し、別の出力結合領域に衝突する。別の出力結合領域は、そこに衝突した入力結合された別の放射を偏向させる構造、例えば回折構造を含むことができ、それによって偏向部分は、所望の照明及び/又は投射をもたらすために、基材から前面又は後面を通じて出る。回折構造は、光源又は画像源からの放射の波長に適応させることができ、それによってできるだけ多くの放射が反射される。それでもなお、回折構造は依然として、例えばそれを通じて見たときの所望の透明性を有することができる。さらに、回折構造が光源又は画像源からの放射の一部のみを偏向させることも可能である。
別の出力結合領域の構造は、透過型若しくは反射型回折構造、透過型若しくは反射型体積ホログラム、鏡面、プリズム、又は透過型若しくは反射型レリーフ格子とすることができる。
それゆえ、2つの追加的な光学機能を有する窓が提供される。
入力結合された放射及び入力結合された別の放射は例えば、基材の同じ領域内の少なくとも一部の区域で反対方向に伝搬する可能性がある。それゆえ、同じ透過チャネルが異なる方向に使用される。
勿論、入力結合された放射と入力結合された別の放射はまた、完全に基材の異なる領域に伝搬する可能性もある。
入力結合領域と別の出力結合領域は、少なくとも部分的に基材の同じ領域に具現化できる。これらは一体化された方法で一緒に具現化でき、例えばこれらは相互に上下に積み重ねるように具現化でき、及び/又はこれらは部分的に重ねることができる。
さらに、入力結合領域と別の出力結合領域を基材の異なる領域内に具現化することが可能である。
さらに、機能化された導波路は、照明及び/又は投射のための機能化された窓として具現化し、又は発展させることができ、基材は入力結合領域と、第一の方向にそれから離間された出力結合領域を含む。入力結合領域は、光源又は画像源から入射して入力結合領域に衝突した放射の少なくとも一部を偏向させ、それによって偏向部分は入力結合された放射として基材内を反射によって出力結合領域まで伝搬し、出力結合領域に衝突する。出力結合領域は構造、例えば回折構造を含むことができ、これはそこに衝突した入力結合された放射を偏向させ、それによって偏向部分は基材から(好ましくは前面又は後面を介して)出て、所望の照明及び/又は投射をもたらす。出力結合領域の回折構造は好ましくは部分的に透明である。回折構造は、光源又は画像源から入射する放射の波長に適応させることができ、それによってできるだけ多くの放射が反射される。それでもなお、回折構造は依然として、例えばそれを通して見た時の所望の透明性を有することができる。さらに、回折構造は光源又は画像源からの放射の一部のみを偏向させることができる。
出力結合領域の構造は、透過型若しくは反射型回折構造、透過型若しくは反射型体積ホログラム、鏡面、プリズム、又は透過型若しくは反射型レリーフ格子とすることができる。
さらに、検出のための第一の入力結合領域は、検出のための第一の出力結合領域より大きい水平範囲を有することができ、投射及び/又は照明のための第二の出力結合領域は、投射及び/又は照明のための第二の入力結合領域より大きい水平範囲及びそれより大きい垂直範囲を有することができる。
この点において、検出のためのホログラフィックストリップ(瞳の複製は不要)と投射及び/又は照明のためのホログラフィック表面を透明基材のうち上側の目に見える領域に位置付けることができ、ホログラフィック表面は一般に、水平及び垂直方向に、透明基材の目に見えない領域の第二の入力結合領域より目の位置決めのためにより大きい範囲を有することができる。
第一の入力結合領域と第二の出力結合領域は、透明基材のうち目に見える領域にあってよい(特に、機能化された導波路が検出器システム並びに照明及び/又は投射システムの一部である場合)。
照明及び/又は投射のための機能化された窓を含む照明及び/又は投射システムがさらに提供される。照明及び/又は投射システムは、光源又は画像源をさらに含むことができる。
機能化された導波路は、それが検出器システムだけでなく、照明及び/又は投射システムにも適しているように具現化し、又は発展させることができる。この目的のために、基材は第二の出力結合領域を含むことができ、これは、照明放射として第二の出力結合領域に衝突した光源又は画像源からの光の少なくとも一部を偏向させ、それによって偏向部分は照明及び/又は投射に役立つ。
第二の出力結合領域は、前述の出力結合領域及びそれぞれ第一の出力結合領域と同様に具現化し、発展させることができる。
導波路は、基材が第二の入力結合領域を含むように具現化でき、これは光源又は画像源からの光を偏向し、それによって偏向された光は基材中を、反射によって第二の出力結合領域まで伝搬し、前記第二の出力結合領域に衝突する。
代替的又は追加的に、光源又は画像源からの光はフリービームとして基材に衝突することができ、及びその結果、その光は第二の出力結合領域に衝突することができ、それによってこれは基材中で反射によって案内されない。
検出器システム並びに照明及び/又は投射システムのための機能化された導波路を有する検出システム並びに照明及び/又は投射システムがさらに提供される。システムは、光源又は画像源を含むことができる。
機能化された導波路の、機能化されたスクリーンの、及び機能化された窓の前述の異なる実施形態は、技術的に好都合であるかぎり、相互に組み合わせることができる。また、個々の特徴群を相互に交換することも可能である。
本発明による検出システムはカメラ(例えば、デジタルカメラ又はビデオカメラ)として具現化できる。
前述の特徴及びこれから説明される特徴は明記された組合せにおいてだけでなく、その他の組合せにおいても、又はそれら自体でも使用でき、それも本発明の範囲から逸脱しないと理解されたい。
以下に、本発明を例示的な実施形態に基づいて、同じく本発明の本質的な特徴を開示している添付の図面を参照しながらさらに詳しく説明する。これらの例示的な実施形態は例示のためにすぎず、限定的と解釈されるべきではない。例えば、複数の要素又はコンポーネントを有するある例示的な実施形態の説明は、これらの要素又はコンポーネントの全てが実施のために必要であることを意味すると解釈されるべきではない。むしろ、他の例示的な実施形態はまた、代替的な要素及びコンポーネント、それより少ない要素若しくはコンポーネント、又は追加の要素若しくはコンポーネントも含むことができる。異なる例示的な実施形態の要素又はコンポーネントは、特に別段のことわりがないかぎり、相互に組み合わせることができる。例示的な実施形態の1つについて説明された改良及び変更はまた、他の例示的な実施形態にも適用可能である。反復を避けるために、異なる図面中の同じ要素又は対応する要素は同じ参照符号で示され、何度も説明されない。
図1~3による図は、カメラ3を実現するための検出器システム2と共に本発明による導波路1のある実施形態を示す。
この目的のために、導波路1は、入力結合領域4と、そこから離間された出力結合領域5を含み、図1~3に示されるように平坦な前面7と平坦な後面8を有する平面平行板6上に具現化できる。平面平行板6は、基材6とも呼ぶことができるが、例えばガラス又はプラスチック等で形成される。
検出器システム2及び出力結合領域5を有する板6の下側部分は、ハウジングGの中に配置でき、これは図1では単に概略的に示されているため、一見、ユーザにとってカメラ3が関わっていることは明らかではない。
カメラ3によって、物体9は、物体9から発せられる光ビームL1、L2、L3が前面7を介して板6に入射し、入力結合領域4によって偏向されて、これらが前面7に全内部反射が起こる角度で衝突するような方法で画像生成できる。光ビームL1、L2、及びL3はそれゆえ、前面7及び後面8での全内部反射によって出力結合領域5まで案内され、前記出力結合領域は前面7に向かう方向への偏向をもたらし、それによって光ビームL1~L3は前面7を介して板から発せられる。光ビームL1~L3はそれゆえ、導波路1の中を入力結合領域4から出力結合領域5へと第一の方向R1(ここではy方向)に沿って伝搬する。
検出器システム2のレンズ10によって、光ビームL1~L3はその後、検出器システム2の検出器11上に集光され、それによって物体9の所望の像を検出器11によって記録できる。
入力結合領域4は、入射角依存波長選択性を有する反射型体積ホログラムとして具現化され、それによって大きい角度及び波長範囲について高い透過性を有する(図1の透過光ビームL1’により示されているが、他の透過光ビームは説明を簡単にするために図示されていない)。これは、物体9から出て、入力結合領域4に衝突した光ビームL1~L3の一部のみが説明されているように偏向されることを意味する。物体9からの他の光ビームは、入力結合領域4を通って伝搬し、板6から後面8を介して出る。入力結合領域4はそれゆえ、部分的に透明と呼ぶことができる。
図4は、入力結合領域4の反射型体積ホログラムに関する、対応する光ビームの入射角に応じたスペクトル分解角度依存偏向効率を概略的に示しており、μmを単位とする波長がx軸に沿ってプロットされ、°を単位とする入射角がy軸に沿ってプロットされている。図5は、+20°、0°、及び-20°の入射角に関する偏向効率を示しており、nmを単位とする波長がx軸に沿ってプロットされ、効率がy軸に沿ってプロットされている。
図4及び5から、入力結合領域4の反射型体積ホログラムは、-20°の入射角について、392nm~398nm(λ中心=395nm±3nm)のスペクトル範囲の放射を高い効率で偏向させ、それゆえ、それを平面平行板6へと入力結合しうることがわかる。0°の入射角について、高い効率は528nm~536nm(λ中心=532nm±4nm)のはスペクトル範囲について存在し、+20°の入射角について、高い入力結合効率は600nm~610nm(λ中心=605nm±5nm)のスペクトル範囲について存在する。
図1~3による導波路1は入力結合領域4と出力結合領域5のいずれも画像生成機能を持たないように具現化されるため、導波路1の無限-無限構成が存在する。導波路1は無限-無限画像生成を行う、と言うこともできる。図4及び図5を参照して説明した通り、入力結合領域4の反射型体積ホログラムのスペクトル及び角度依存偏向効率はそれゆえ、各視野角(及びそれゆえ、画像生成される物体9の各点)が、入力結合領域4によって入力結合された後、狭いスペクトル範囲からのみ構成されるという効果を有する。その結果、スペクトル分解された角度分布が得られ、検出器11上で最終的にあるスペクトルプロファイル(又はカラープロファイル)像が得られる。出力結合領域5によって出力結合された光ビームL1~L3はそれゆえ、ある角度スペクトルで出力結合され、これはレンズ10によって検出器11上の位置分布に変換される。検出器11は、例えばCCD検出器又はCMOS検出器とすることができる。
入力結合領域4は反射型体積ホログラムを含むため、反射型体積ホログラムによる入力結合は、各角度に関する入力結合スペクトル範囲内の分散につながる。出力結合領域5が入力結合領域4と同様に具現化された反射型体積ホログラムを含む場合、入力結合領域4によって生じた分散は補償され、全てのスペクトル成分が再び対応する角度に偏向される。
導波路1の上述の無限-無限構成の代替案として、入力結合領域4及び/又は出力結合領域5は、例えばレンズ素子機能又は凹面鏡機能の形態の画像生成機能を有することができる。その結果、有限-無限、無限-有限、又は有限-有限画像生成構成を導波路1によって実現できる。入力結合領域4の場合、これは例えば、導波路1に近すぎて、無限遠にある物体を光学的に想定できなくなるように位置付けられた物体9を記録するために使用できる。出力結合領域5の場合、このようなレンズ素子又は凹面鏡機能の実装により、出力結合された角度スペクトルをこのように実装されたレンズ素子又は鏡機能の焦点平面内の位置分布に直接変換することが可能である。この場合、例えばレンズ9は省くことができる。この場合、検出器システム2が検出器11と出力結合領域5のレンズ素子及び/又は凹面鏡機能とを含む、と言うことができる。レンズ10を省くことができるため、検出器11は導波路1の前面7上に位置付け、及び/又は例えば直接固定することができ、それによって非常に高い集積度、最小限の体積、及び高い堅牢性を実現できる。
すでに説明したように、出力結合領域5による出力結合の後にスペクトル分解された角度分布は、レンズ10又は出力結合領域5に組み込まれた画像生成機能によって検出器11上の位置分布に変換される。このような検出器11はピクセルの形態の離散化を含む。検出器側の展開された導波路システムを図解する図6の例示によれば、各ピクセルPXはここではピクセルサイズPG、光軸APからのその距離、及びレンズ10の、又は出力結合領域5の画像生成機能の焦点距離FAKにより与えられる規定の角度範囲にわたる平均である。
図4及び5の例示によれば、角度範囲の記録はまた、スペクトル範囲にわたる積分にも関連付けられる。この場合、スペクトルバンド幅は、あるピクセルにより記録される最大角度(図4のα2)と最小角度(図4のα1)により与えられ、これらの角度は以下のように計算できる:
式中、nはそれぞれのピクセルの数を示し(0→光軸上、n<0→光軸より下、n>0→光軸より上)、PGはピクセルサイズを示し、fは光学システムの焦点距離を示す。
これらの限界角度を利用して、各ピクセルが積分するバンド幅はすると、例えばコゲルニクの結合波理論に基づいて計算できる。あるピクセルにより検出されるスペクトル全体はそれゆえ、検出された角度範囲内のスペクトルで構成され、その結果、図5に示される例示のスペクトルの幅広化が得られる。検出器11が1つのピクセルのみからなり、そこに全角度範囲が透過される限定的な場合では、全てのスペクトル成分を有する画像形成が記録されるであろう。
瞳(ビーム制限絞り、すなわち全ての視野角の主要光線が交差する箇所)の位置は、導波路1の無限-無限構成の場合、入力結合領域4の幅B1(第一の方向R1を横断して、ここではx方向に対応する第二の方向R2に沿って延びる)(図2)と、出力結合領域5の幅B2との比により特定されるが、方向R2への導波路1の視野はそれに加えて、伝搬方向R1、すなわち導波路1内の第一の方向R1に沿った入力結合領域4と出力結合領域5との間の距離Dにも依存する。
勿論、入力結合領域4と出力結合領域5の寸法は絞りにより限定される可能性がある。ここでは常に、光学的に使用される寸法又は光学的に使用される幅が想定される。これらはまた、以下、有効幅とも呼ばれる。
図7A、7B、及び7Cは、3つの基本的に異なる入力結合領域4と出力結合領域5との幅の比を図解している。瞳の位置の解析においては、ビネッティングが発生しない視野角だけが考慮される。
図7Aは、比B1/B2>1の場合、導波路1の出力結合領域5が瞳として機能することを明らかにしている。それゆえ、全ての角度が出力結合領域5の各位置にある。
B1/B2=1の特殊な場合(図7B)、中央の視野角だけがビネッティングを発生させずに導波路1内を伝搬する。この場合、入力結合領域4と出力結合領域5の両方が瞳を形成する。
比B1/B2<1の場合(図7C)、入力結合領域4が導波路1の瞳であり、それによって出力結合領域5の各位置に異なる角度範囲があり、出力結合される。
さらに、原則として、導波路1の視野(以下、FoVとも呼ばれる)と検出器システム2の視野(以下、FoVとも呼ばれる)との違いを描画することができる。ここで、2つの視野の(すなわち2つのFoVの)小さい方がシステム全体の視野を特定する。
導波路1により捕捉され、再び出力結合される水平FoV(x方向)は、導波路1の無限-無限構成の場合、入力結合領域4と出力結合領域5の幅B1、B2及び、これらの領域間の距離Dにより特定される(瞳が入力結合領域4及び/又は出力結合領域5内にあるか否かに関係ない)。検出器システム2のFoVは、レンズ10の(又は、出力結合領域5に含まれるレンズ素子機能の)焦点距離と、水平FoVの方向への検出器11の大きさによって第一の近似まで付与される。
理想的な場合では、導波路1と検出器システム2のFoVは同じである。その結果、導波路1のFoV全体にわたり最適な分解能が得られる。検出器システム2のFoVが導波路1のFoVより大きいかぎり、システム全体の水平FoVは入力結合領域4の幅、出力結合領域5の幅、及び入力結合領域4と出力結合領域5との間の距離Dにより与えられる。有利な点として、それゆえFoV全体が捕捉される。しかしながら、分解能は低減する。検出器システム2の水平FoVが導波路1のFoVより小さい場合、システム全体のFoVは検出器システムのFoVによって限定される。その結果、分解能の向上という利点が得られ、導波路1のFoVの一部のみが捕捉される。レンズ10が使用されると、特定の状況では、検出器システム2と導波路1との間の距離がFoVを制限するということが起こる可能性があり、それは、外側の角度範囲をレンズ10によって捕捉できなくなるからであり、これは図7Dに示されている。
導波路1のFoVと検出器システム2のFoVとの所望の調整は、B1、B2、及びDの適応によって行うことができる。導波路1のFoVに合わせた検出器システム2のFoVの所望の適応は、レンズの焦点距離及び/又は検出器のサイズの適応によって行うことができる。
すでに説明したように、導波路1の瞳の位置は、入力結合領域4の幅B1と出力結合領域5の幅B2との比により画定される。したがって、出力結合領域5に存在する角度分布の形態が変化する。その結果、特定の配置及び用途の有利な特性が得られる。
B1/B2>1の場合、出力結合領域5は導波路1の瞳を形成する。ビネッティングを生じさせないビームの全てを考慮すると、出力結合領域5の各位置に全ての視野角が存在する。したがって、全ての視野角、すなわち導波路1の完全なFoVが、十分に大きいFoVの、十分に大きい入射瞳としての1つの検出器システム2だけで捕捉できる。導波路1の大きいFoVを実現するために、それゆえ、入力結合領域4を出力結合領域5より広くすることが有利である。さらに、入力結合領域4と出力結合領域5との間の小さい距離が有利である。
図7Aによる例示は入力結合領域4と出力結合領域5が水平に対称に配置されることを前提としており、その結果、導波路1の対称のFoVが得られる。しかしながら、図8Aに示されるように、出力結合領域5を横方向に(x方向に)ずらすことも可能である。その結果、水平FoVもずれる。出力結合領域5に相応の補正を行わないと、変位の結果としてそれに対応してずれたこの角度分布もまた、検出器11に変位されて生成される。これは、検出器システム2のFoVを超え、それゆえ全体的なFoVが制約されるという結果を招く可能性がある。これは、出力結合領域5内に追加の(例えば、プリズム、傾斜鏡、又は線形格子等の)偏向関数を実装することによって変えられる。したがって、出力結合された角度スペクトルのオフセットを補償(又は対称化)することができ、出力結合FoVはここでも検出器システム2のFoVと一致させることができる。代替的に、検出器システム2を角度オフセットに応じて傾けることも可能である。変位した出力結合領域5が1つのみ設けられるのではなく、むしろ複数の出力結合領域51、52が隣り合わせに、対応する補償及び適応された検出システム2を含めて提供されると、複数の個々のFoVから成る拡大された水平FoVを生成できる(図8B)。
この構成の場合、出力結合領域5の全部の幅が合わせて入力結合領域4の幅と等しい限定的な場合を実現することも可能とも言える。しかしながら、重要なのは、個々の出力結合領域5の各々を入力結合領域4に関して別々に考慮すべきであることである。個々の出力結合領域5の各々について幅の比がB1/B2>1であるかぎり、各出力結合領域5はシステムの瞳のままであり、そのため、前述の関係が依然として正しく保たれる。
瞳の水平位置及び水平FoVの例に基づいて説明した関係は瞳の垂直位置及び垂直FoVにも同様に関係している可能性があり、この場合、この方向へのビーム経路の折り畳みを考慮すべきである。しかしながら、垂直方向では、以下の特別な特性が得られ、この場合ビネッティングが生じたビーム(vignetted beams)も考慮される。
導波路1の無限-無限構成の場合、無限範囲の仮定上の導波路システムにより捕捉され、出力結合面へと送られる垂直FoVは、導波路1内の全内部反射の臨界角及び導波路の界面、すなわち前面7及び後面8に対する垂直線に関して90°未満の伝搬角度により与えられる。しかしながら、有限範囲の現実的な導波路1では、大きい角度範囲からのビームL1~L3が確実に出力結合領域5まで伝搬し、それを超えないようにするために、前面7又は後面8に対する垂直線に関して80°未満の伝搬角度を実現すべきである。通常の屈折率1.5の場合、それゆえ、前面7又は後面8に対する垂直線に関して40°~80°の角度範囲が導波路1内を伝搬し、出力結合領域5によって再び出力結合される。
水平FoVと同じく、システム全体(導波路1と検出器システム2)の垂直FoVもまた、検出器システム2の垂直FoVにより制約される可能性がある。再び入力及び出力結合されるスペクトル分割による角度範囲から、検出器11のスペクトル感度がさらに垂直FoVに対する制約効果を有する可能性がある。例えば、検出器11が特に長い波長及び/又は短い波長の放射に対する感受性を持たない場合、検出器11の有効範囲は減少し、それゆえ、検出器システム2の垂直FoVも同様となる(図8C)。
前述の例示的な実施形態において、検出器上の画像は前述のカラープロファイルを含み、それによって導波路1によりフルカラー画像を送信し、記録することができない。
入力結合領域4及び出力結合領域5のための前述の反射型体積ホログラムは例えば、図9Aに示されるように、導波路1に組み込まれた感光性の体積ホログラフィック材料12が、前面7に入射角0°で入射する532nmの波長を有する参照波13と、後面8に入射角60°で入射する同じ波長の信号波14とにさらされるように製作でき、参照波13と信号波14は同じレーザから発せられ、それによって感光性の体積ホログラフィック材料に干渉場又は干渉体積が発生し、そこでそれに対応する屈折率変調を形成できる。
感光性ガラス、重クロム酸ゼラチン、又はフォトポリマを感光性の体積ホログラフィック材料として使用できる。これらは例えば、PCフィルム(ポリカーボネートフィルム)に堆積させ、そこで相応に露出させることができる。フィルムを導波路1のための基板に積層させることによって、導波路1を製作できる。この場合、フィルムは例えば入力結合領域4及び出力結合領域5の領域にのみ積層させることができる。代替的に、導波路表面全体への全面積層が可能であり、この場合、対応する入力及び出力結合機能は入力及び出力結合領域の中にのみ露出させられる。体積ホログラムを保護するために、積層された体積ホログラムに別の基板を堆積させることが好都合である。このようにして、以下の基本的構造を有する積層体が実現される:透明基板、セメント又は接着剤層、体積ホログラム、セメント又は接着剤層、透明基板。
前述のスペクトル角度依存性から、+20°の角度で材料内の反射型体積ホログラムに衝突する入射平面波W1(図9B)から、605nm±5nmのスペクトル範囲は前面7に向かって偏向され、それによって偏向された波W1は前面7に約40°の角度β1で衝突する。入力結合領域4の反射型体積ホログラムは平面波W1の残りの波長を透過させる。
反射型体積ホログラムに0°の角度で衝突する平面波W2の場合、532nm±4nmの範囲からの波長は反射され、それによってこれらは前面7に約60°の角度β2で衝突する。平面波W2の残りの波長は反射型体積ホログラムを通過し、それによって反射型体積ホログラムを平面波W2のこれらの波長を透過させる。
材料内の反射型体積ホログラムに-20°の角度で衝突する平面波W3から、395nm±3nmの波長が前面へと反射され、それによってこれらは前面に約80°の角度β3で衝突する。平面波W3の残りの波長は反射型体積ホログラムを通過し、それによって反射型体積ホログラムはこれらの波長を透過させる。
可能な限り最大のスペクトル範囲で導波路1を通じた角度情報(無限からの画像情報)の透過を実現するために、図4に示される角度依存スペクトルは、反射型体積ホログラムを1つしか含まないのではなく、図10及び図11A~Fに示されるように、下へ下へと配置される複数の反射型体積ホログラム41、42、43、44、及び45を含む入力結合領域4によって改善できる。体積ホログラム41~45は、これらが異なるスペクトル角度選択性を含む点で異なり、その結果、同じ入射角について、異なる波長が体積ホログラム41~45によって反射される。この角度選択性により、例えば体積ホログラム41によって、前面7への反射により導波路1に入力結合された放射は、その下のホログラム42~45によって影響を受けず(又は、わずかな影響しか受けず)、それによって入力結合された放射は影響を受けることなく出力結合領域5まで(可能な限り最大範囲まで)伝搬することができる。
体積ホログラム41~45はまた、z方向に相互に上下に配置することもでき、それゆえ導波路上に積層体ができる。さらに、5つのホログラムの全ての機能を1つのホログラム(又は体積ホログラム)に実装することもでき、これは多重化と呼ばれる。
異なるスペクトル角度特性は、例えば、図9Aと同じ角度設定として、参照波12と信号波13について異なる波長を使用することによって実現できる。代替的に、全ての体積ホログラム41~45について同じ波長を使用することも可能であり、この場合、参照波12と信号波13の入射角は適切に変化させられる。
反射型体積ホログラム41~45は、図9Aによる露光構成を用いて異なる波長で記録された。これに関して、露光波長は、体積ホログラム41では900nm(黒)であり、体積ホログラム42では660nm(赤)であり、体積ホログラム43では532nm(緑)であり、体積ホログラム44では400nm(青)であり、体積ホログラム45では370nm(紫)である。
図11B~11Fは、体積ホログラム41~45の各々に関する、最小角度-20°、最大角度+20°、及び中心入射角0°にわたる角度範囲の入力結合を概略的に示す。0°で、この場合、各反射型体積ホログラム41~45はそれぞれ、それぞれの反射型体積ホログラム41~45が露光される中心波長の周囲のスペクトル範囲で偏向と結合を行った。
図12は、図4と同様に、5つの反射型体積ホログラム41~45により導波路1に結合される、シミュレーションによる全スペクトルを示す。したがって、それぞれの反射型体積ホログラム41~45は各入射角で異なるスペクトル範囲について寄与する。全反射型体積ホログラム41~45の全体を考えると、結果として個々の角度でのスペクトルバンド幅が増大し、広帯域の画像情報が最終的に全体として全ての入射角について確保される。
さらに、図12から、入射角が増大したときのより短い波長の方向への入力結合スペクトルのシフトと、入射角が減少した場合のより長い波長の方向への入力結合スペクトルのシフトがわかる。
図13Aは、例として、入射角0°で入力結合されるスペクトルを示す。図13Bは、入射角+20°の場合の対応するスペクトルを示し、入射角-20°の場合の入力結合スペクトルは図13Cに示される。図13A~13Cによる例示の全てにおいて、μmを単位とする波長がx軸に沿って表され、0(入力結合なし)~1(完全な入力結合)の範囲内での入力結合効率はy軸に沿って表されている。図5による例示との比較により、1つの反射型体積ホログラムと比べて、標的を定めて記録されたより多くの体積ホログラム(1つの反射型体積ホログラムに対して5つの反射型体積ホログラム)を使用することにより入力結合スペクトルのサンプリングが有意に改善されることがわかる。
図14は、出力結合のための対応する反射型体積ホログラム51~55を示す。反射型体積ホログラム51~55の全高は好ましくは、検出器システム2の入射瞳14と同程度となるように選択し、できるだけ多くの光を検出できるようにする。
入力結合ホログラムの場合と同じく、出力結合のための体積ホログラム51~55はまた、z方向に相互に上下に配置でき、それによって導波路上の積層体が得られる。さらに、1つのホログラム又は1つの体積ホログラム中に5つのホログラム全ての機能を実装することが可能であり、これは多重化とも呼ばれる。
仮想的に連続するスペクトルを、例えば各角度で導波路1に入力結合し、それによってフルカラー画像情報の伝送を確実にするために、例えば、標的を定めて露光される40の反射型体積ホログラムを相互に上下に配置できる。角度依存入力結合スペクトルの対応するシミュレーションが図15に示されている。図9Aの露光構成による個々の反射型体積ホログラムを記録するための露光波長は、例えば以下のように選択でき、波長はそれぞれnmの単位で示されている:358、368、378、389、400、411、421、432、443、454、464、474、487、498、509、519、532、544、556、568、583、598、613、629、645、662、679、696、715、735、755、775、795、815、835、855、875、896、917、及び940。
代替的に、反射型体積ホログラムはまた、1つの波長で、参照波12及び信号波13の適応された露光角度でも記録できる。
放射が導波路1内で出力結合領域5まで伝搬した後、一般に、そこには、比較的広い面積において、全ての角度とこの広い出力結合領域5の各位置における完全なスペクトルが存在する。出力結合はすると、前述のように、対応する反射型体積ホログラムで実行できる。入力結合領域4の中にあるものと同じ40の体積ホログラムが好ましくは生成される。
しかしながら、出力結合領域5はまったく透過性を持つ必要がないことが多いため、出力結合領域5まで伝搬した放射の他のいずれの種類の出力結合も可能である。この点で、傾斜鏡面、プリズム、反射コーティングを有する格子、透過格子、及び/又は透過若しくは反射系の多次フレネル構造を使用することができる。不透過性光学面の使用は導波路1のこの地点で可能であるが、これは、不透過性検出器11がいずれにしても提供されることになるからである。
出力結合領域5の実施形態に関するこの可能性はまた、勿論、前述の例示的な実施形態及びこれから説明する例示的な実施形態にも当てはまる。
傾斜鏡面及び反射若しくは透過系の多次フレネル構造は、有利な点として、高い効率を有し、偏向中にさらに分散を生じさせることがない。しかしながら、これらは分散補償にもつながらない。出力結合のための反射コーティングを有する格子及び透過格子は、所望の分散補正を行うことができる。しかしながら、これらはより効率が低い。プリズムは高い効率を有するが、不利な点として、分散を増幅させる可能性がある。反射型体積ホログラムの実施形態の場合、有利な点として、所望の分散補正が存在し、これは、各波長チャネルが別々の反射型体積ホログラムを介して出力結合されるからである。しかしながら、効率は比較的低く、それは、出力結合領域5の面積を個々の反射型体積ホログラムの数で割らなければならないからである。
図16~18Bは、水平FoV(すなわち、x-z平面内のFoV)が拡大される導波路1の例示的な実施形態を示す。ここでは、検出器システム2のFoVが導波路1のFoVを制約しないことを前提としている。
入力結合領域4は、同じ幅の3つの反射型体積ホログラム41、42、及び43を含み、これらは相互に上下に(y方向に)配置され、異なる角度範囲、及びそれゆえ、x-z平面内の異なる水平視野をカバーしており、これは特に図17の上面図において角度空間(angle space)内に示されている。
y方向に相互に上下に重ねられるホログラム41、42、及び43の配置の代替案として、これらはz方向にも相互に上下に配置でき、このようにして導波路の上に積層体が得られる。さらに、3つ全てのホログラムの個々のホログラム機能を1つのホログラム(又は体積ホログラム)に実装することも可能であり、これは多重化とも呼ばれる。
これに関して、例えば、第二の反射型体積ホログラム42は、x-z平面において角度範囲γ0±γ1、及びそれゆえ、γ0=0の中心視野をカバーすることができる。この場合、中心視野は例えば、第二の体積ホログラム42の幅、それに対応して割り当てられる第二の出力結合ホログラム52の幅、及び2つの体積ホログラム42、52間の距離によって与えられる。
第二の反射型体積ホログラム42と比較して、第一の反射型体積ホログラム41は、水平方向に(x-z平面内で)追加の1次元の偏向関数を有する。第一の体積ホログラム41に割り当てられた水平視野はそれゆえ、その角度範囲における適用された偏向関数の絶対値だけ変位され(角度オフセット)、γ0-2・γ1±γ1となる。第三の反射型体積ホログラム43に関する、それに対応する適用された偏向関数の結果、水平視野はγ0+2・γ1+γ1となる。異なる水平FoVはそれゆえ、各体積ホログラム41~43と出力結合のための対応する体積ホログラム51~53との組合せによって伝送できる。絶対値及びそれぞれに適用される偏向関数(角度オフセット)の方向を利用して、標的を定めて全FoVに影響を与えることができる。これに関して、例えば対称又は非対称の全FoV及び重複する部分的FoV又は部分的FoV間のギャップを有するFoVを生じさせることが可能である。
図17による、可能な限り最大の、対称の、且つギャップのない水平FoVを実現するために、実装された偏向関数は前項の仕様に従って、角度範囲が相互に隣接し、できるだけ重複が小さくなるような方法で選択されるべきである。
本明細書で説明する例示的な実施形態の場合、全ての水平角度範囲は、図16に示されるように、入力結合の後も同じ水平チャネルで伝搬する。これはまた、1つの検出システム2のみによる検出を確実にするためにも必要である。全ての入力結合ホログラム41~43が偏向関数以外には同様に記録される場合、さらに、図18Aにより、垂直方向への重ね合わせも起こる。したがって、出力結合の後、全ての水平FoVが検出器11上に重ね合わせられるであろう。個々の水平角度範囲を区別するために、本明細書に記載の例示的な実施形態では、図18Bに従って、水平角度範囲を対応する数の垂直角度範囲にエンコードするようになされる。この場合、入力結合領域4がそれを通じた直視のために、大きい角度及び波長範囲で透明のままであることが確実となるように注意した。垂直角度範囲への水平角度範囲のエンコードは、反射型体積ホログラム41~43が、これらが導波路1内で異なる垂直伝搬角度範囲に偏向されるように具現化されるように行うことができる。この目的のために、対応する偏向特性を有する反射型体積ホログラムを使用できる。代替的に、それぞれの垂直FoVを制約するためのラメラ構造(ウェブ)-図示せず-を各反射型体積ホログラム41~43の前に取り付けることができる。しかしながら、入力結合領域4の透明性はその結果として大幅に制約される。
異なる垂直伝搬角度範囲をこのように区別することで、各入力結合体積ホログラム41~43からの放射及び、それゆえ各水平FoVは異なる垂直FoV内を伝搬する。出力結合の後、異なる垂直FoVはその後、検出器11上で横方向に相互に上下に位置する相互に隣接した位置分布に変換される。それゆえ、拡大された水平FoVを捕捉でき、垂直FoVは水平FoVの倍率だけ縮小される。
代替的な変形型では、垂直FoVにエンコードされる水平FoVの検出器側でのスペクトル及び角度依存分離を使用でき、前記分離について、以下により詳しく説明する。
各水平FoVが偏向関数(角度オフセット)以外に同様に具現化された体積ホログラムで入力結合されると、各水平FoVは導波路1を通じて同じ垂直角度範囲及びスペクトル範囲内を伝搬する。例えば、各水平FoVについて、ほぼ図4に示される入射角依存スペクトルが結果として得られる。検出器側分離はすると、起こり得なくなる。
しかしながら、代替的に、各水平FoVは特定の体積ホログラムで導波路1内を異なる方向に入力結合でき、各体積ホログラム41~43は、異なる構成(露光角度及び/又は波長)で記録された。
図19A、19B及び19Cは、横方向に相互にずれた入力結合体積ホログラム41、42、及び43(図18B)の入射角依存及びスペクトル依存効率を示す。以下の考察は、垂直に入力結合される角度範囲が導波路内の全内部反射により±20°に制約されることを前提としている。さらに、検出器11は400nm~700nmのスペクトル感度のみ有する。手順は勿論、その他の垂直角度範囲及び検出器感度にも当てはまる。
図19Bの例示によれば、第一の体積ホログラム41は、400nm~440nmのスペクトル範囲で6.67°~20°の入射角範囲を導波路1内へと結合する。第一の体積ホログラム41とは異なり、第二の体積ホログラム42は400nm~650nmのスペクトルにわたり全入射角範囲からの放射を導波路1内に結合する。第三の体積ホログラム43は、565nm~700nmのスペクトル範囲において-6.67°~-20°の入射角範囲を導波路1内に結合する。各水平視野はそれゆえ、異なる特性を有する特定の体積ホログラム41~43によって導波路1内に結合される。これらの特性は、出力結合後に水平FoVを分離するために使用される。
ホログラム41、42、及び43はまた、z方向に相互に上下に配置することもでき、それゆえ、導波路上に積層体が得られる。さらに、3つ全てのホログラムの個々のホログラム機能を1つのホログラム(又は体積ホログラム)に実装することも可能であり、これは多重化とも呼ばれる。
出力結合領域5において、入力結合体積ホログラム41~43の全てにより入力結合されるスペクトル角度スペクトルが各地点に存在すると予想すべきである。出力結合領域5には、垂直入力結合と同じ挙動を有する体積ホログラム51、52、53が横方向にずらして相互に上下に配置される。前記ホログラム51~53の各々はすると、対応する入力結合体積ホログラム41~43により入力結合された放射の出力結合を、図19A~19Cにより示されるスペクトル角度分布で提供する。
入力結合領域と同じく、ホログラム51、52、53は代替的に、z方向に相互に上下に配置でき、それゆえ、導波路の上に積層体が得られる。さらに、3つ全てのホログラムの個々のホログラム機能を1つのホログラム(又は体積ホログラム)に実装することも可能であり、これは多重化とも呼ばれる。
出力結合後、視野全体が分離され、それによって異なる水平FoVを個々に検出できる。この目的のために、まず、検出器11の検出器面積が垂直に分割される。この場合、このような面積部分の各々は垂直角度範囲に対応する。この場合、面積部分(垂直角度範囲)の数は異なる水平FoVの数と同じである。通常の場合では、検出器面積(垂直角度範囲全体)は、同じサイズの面積部分に細分される(異なるサイズの面積部分への細分も可能である)。しかしながら、図19Cによれば個々の角度範囲内での反射型体積ホログラムにおける典型的な挙動により、スペクトルの重なり合いが発生し、それによって最終的に異なる水平FoVが同じ垂直FoVと重なり合うであろう。これを回避するために、スペクトルフィルタを検出器11の各部分的領域について、すなわち各垂直部分角度範囲について提供でき、このスペクトルフィルタは、対応する角度範囲のための意図されないスペクトル成分の抑制を実現する。その結果、異なる水平FoVは、検出器上の異なる領域(すなわち、垂直角度範囲/FoV)に一意的に割り当てることができる。その結果、異なる水平FoVの異なる垂直FoVへの一意的な割当ては図18bに従って実現される。
スペクトルフィルタの使用の代替案として、必要なスペクトル範囲でのみ出力結合を実現する特定の出力結合体積ホログラムを使用することも可能である。
スペクトルフィルタの適用後、又はスペクトルが適応された出力結合体積ホログラムの使用の結果、図20に示される角度依存スペクトルが得られる。したがって、異なる水平FoVの重なり合いは発生しなくなり、したがって、水平FoVの対応する垂直FoVへの一意的な割当てが行われる。
このようにして、検出可能な水平FoVは拡大される。しかしながら、それと同時に、これは垂直FoVの縮小につながる。
上述の垂直FoVへの水平FoVのスペクトルエンコーディングの、垂直FoVへの水平FoVの角度エンコーディングと比較した場合の利点は主として、入力結合領域4を通した直視時の大きい角度及びスペクトル範囲での高い透明性にある。
スペクトルエンコーディングの欠点は、各水平FoVが異なるスペクトルバンドを捕捉し、その結果、例えば特定の水平FoVの中で対応するスペクトル範囲内の放射がない、又はわずかしかない場合に、情報が失われる可能性があることである。この欠点は、その入力結合スペクトルが異なる水平FoVのためにスペクトルの点で相応にシフトされた複数の出力結合領域を提供することによって補償できる。しかしながら、検出器システム2も対応する数だけ必要となる。
導波路1のシステム全体の一般的設計並びに、具体的に入力及び出力結合体積ホログラムの設計において、以下の点を考慮すべきである。
n個の異なる水平FoVの実現には、n個の異なる入力及び出力結合体積ホログラムと、対応するバンドパス又はエッジフィルタ機能を含むn個の角度範囲(検出器領域)が必要となる。n個の水平角度範囲はn個の垂直角度範囲に変換される。
体積ホログラムの個々の効率プロファイルは、同じ角度範囲内でいずれのスペクトル重複も含んではならず、これは、そうでなければ垂直FoVの、及びそれゆえ同じく水平FoVのスペクトル分離が不可能となるからである。異なる水平FoVの放射成分の重なり合いは、スペクトルフィルタリングに関係なく発生するであろう。
できるだけ多くの放射パワーを捕捉するために、各体積ホログラムは、それぞれカバーされる角度範囲内で可能な限り最大のスペクトル範囲がカバーされるように設計すべきある。しかしながら、ここでは検出器のスペクトル感度もまた考慮すべきである。図19B及び19Cの角度依存及び波長依存効率プロファイルを比較することにより、40nmの放射のバンド幅のみが+6.67°~+20°の角度範囲で使用されることが明らかとなる。体積ホログラムの相応に最適化された設計により、このバンド幅を大きくし、それゆえ、おそらくより高い放射パワーを入力結合することが可能となる。+6.67°~+20°の角度範囲と異なり、-6.67°~-20°の角度範囲では、135nmのスペクトル範囲が入力結合される。
水平FoVの細分は、体積ホログラムのスペクトル特性に関連付けられる。通常の場合では、全ての垂直部分FoVは同じ大きさである。しかしながら、用途に応じて、異なる水平FoVのために異なる大きさの垂直FoVも実現できる。これには、個々の検出器領域の上流のフィルタリングと組み合わせた体積ホログラムの相応の設計が必要となる。
図21は、入力結合領域4が出力結合領域5より広く、入力結合領域4が反射型体積ホログラムによって実現されている導波路1の例示的な実施形態を示す。出力結合領域5も反射型体積ホログラムを含むことができる。この場合、FoVはこれらの面積の大きさとそれらの間の距離により与えられる。図22に関連して説明する例示的な実施形態の場合、検出器システム2のFoVが導波路11のFoVを制約しないことが前提とされる。
検出効率を高めるための図22による方法は、入力結合領域4を垂直に(第二の方向に沿って)3つの入力結合サブエリア41、42、及び43に細分する。中央の入力結合エリア(すなわち、中央の反射型体積ホログラム41)は放射を第一の方向(y方向のみで、x成分を持たない)に出力結合領域5へと偏向させる機能のみを含むが、第二の方向(中央の体積ホログラム41に向かう)に沿った水平偏向関数(又は、偏向のx成分)は、図22に概略的に示されるように、右側の入力結合サブエリア42に統合される。第二の方向(中央の体積ホログラム41に向かう)に沿った対応する水平偏向関数もまた、左側の入力結合サブエリア43に統合される。
この偏向関数がないと、入力結合エリア42及び出力結合領域5のためのFoVは、これらのエリアの大きさ、それらの間の距離、及び出力結合領域5に関する入力結合42の(第二の方向に沿った)偏心から得られる(同じことが左側の入力結合エリア43と出力結合領域との組合せにも当てはまる)。このFoVは、中央FoV(中央の入力結合エリア41と出力結合エリア5によって与えられる)に関する角度オフセットを有する。全体として、2つの入力結合エリアの全幅により与えられる拡大されたFoVが得られる。
前述の角度オフセットは、前述の偏向関数を2つの横方向の入力結合エリア42及び43に組み込むことによって補償できる。すると、偏心入力結合体積ホログラム42、43は出力結合体積ホログラム5と組み合わせて、中央の入力結合体積ホログラム41と同じFoVをカバーする。しかしながら、偏心入力結合体積ホログラム42、43から出た放射はその後、導波路中を水平角度オフセットを有する状態で水平方向に伝搬し、前記オフセットを有する状態で導波路1から出力結合される。それゆえ、出力結合後、同じFoVが相互に隣り合わせに存在する。相互に隣り合わせにあるこれらの同じFoVは、十分に大きいFoVを有する検出器システム2を使って捕捉できる。それゆえ、水平FoVに関する検出される放射パワーは増大するが、信号対ノイズ比に関するパワー密度は増大しない。
これを実現するために、出力結合エリア5は、体積ホログラムを利用して、それが中央の入力結合体積ホログラム41により入力結合された放射及び偏心入力結合体積ホログラム42、43により入力結合された放射を同じ角度範囲へと出力結合するような方法で構成される。
これは、出力結合領域5が露光の中に含められる異なる出力結合機能を含むことによって実現される。この場合、各出力結合機能は、対応する入力結合体積ホログラム41~43の放射についてのみ効率的であり(体積ホログラムの角度選択性)、それによって最終的に、異なる方向から出力結合領域5まで伝搬する放射は対応する出力結合機能によって同じ角度範囲へと出力結合される。角度選択性の強さは、体積ホログラフィック材料の厚さ及び屈折率変調並びに露光構成によって設定できる。
これらの機能の1つは当初の出力結合機能に対応し、放射の垂直出力結合のみを行う。実装される他の機能は全て、特定の、適応された角度選択性を有し、それによってこれらはそれぞれの水平角度オフセットの周囲の水平角度範囲についてのみ効率的であり、これは対応する偏心入力結合エリア42、43から出力結合エリア5の方向に伝搬する。この出力結合機能は、垂直出力結合機能のほかに水平角度オフセットの補償を含み、それによって偏心入力結合エリア42、43により生成されるFoVは中央の入力結合エリア41により生成されるFoVに重ね合わされる。その結果、これによってFoV内のパワー密度が高くなり、それゆえ信号対ノイズ比が改善される。
本明細書に記載の方法はまた、光学的意味で瞳の縮小(画像生成中の瞳の複製又は瞳の拡張=反対の光路参照)と呼ぶこともできる。このようにして、パワーは入力結合領域4において大きい面積にわたって収束させることができ、出力結合領域5において小さい面積にわたって出力結合できる。
それゆえ、非常に効率が低く、それゆえ高い透過率の入力結合領域4を実現することが可能である。したがって、これによって可能な限り高い透過率を有する入力結合エリア4により、高い光強度で画像情報を捕捉することが可能となる。他方で、入力結合領域は、例えば容認可能ぎりぎりの透過率で、すなわち高い入力結合効率で実現でき、それによってできるだけ多くの放射パワーを非常に小さい出力結合領域のみに収束させることができる。例えば、放射エネルギを電気エネルギに変換するための非常に小型のソーラセルを出力結合領域に取り付けることができる。また、検出器アレイへの出力結合を実行することも可能である。
異なる出力結合機能の実装は、十分に高い屈折率の倍率を有する十分に厚い体積ホログラフィック材料を用いて可能となる。異なる機能を1つのホログラフィックエリアのみに実装することはまた、機能多重化とも呼ばれる。代替的に、個々の出力結合機能はまた、相互に上下に積み重ねられる複数の体積ホログラフィックフィルム内で露光させることもできる。
垂直方向と同じく、水平方向にも、これには角度依存スペクトル入力結合が伴い、それゆえ、水平方向にも角度依存スペクトルプロファイルが発生することを考慮に入れるべきである。しかしながら、垂直方向へのスペクトル分布を考えると、スペクトル情報はいずれにしても失われるため、このカラープロファイルはこの方法の大きな欠点にはならない。
しかしながら、図22から明らかであるように、入力結合領域の幅は一定のまま、入力結合領域4を垂直に細分することによる効率の向上には、水平FoVの縮小が伴う。この欠点は、図16~18による変形型との組合せにより補償できるが、その結果、垂直FoVが減少する。
それに対して、図21の入力結合エリアが図16に従って水平方向に細分された場合、1つのみの入力結合体積ホログラム(図21)の当初のFoVを拡大できる。しかしながら、入力結合体積ホログラムの面積が一定であると、全体としてこの場合、入力結合された放射パワーは増大されない。しかしながら、各入力結合体積ホログラムの面積が拡大されると、システムの効率は前述の手順を利用して向上させることができる。
基本的に、入力結合体積ホログラムは導波路1上で自由に分散させることができる。すると、入力結合体積ホログラムに関するそれぞれのFoVに対する影響と、出力結合角度範囲の相応に適応された補正を考慮に入れる必要がある。
図23は、入力結合領域4と出力結合領域5の両方にレリーフ格子が具現化される例示的な実施形態を示す。格子間隔を規定するためのルールは、体積ホログラムの場合と実質的に同じである。導波路1の全内部反射を確実にする回折角度が求められる。さらに、対称格子は有利な点として、入力及び出力結合のために使用される。さらに、任意選択より、希望に応じて、画像生成機能は入力結合レーティング及び/又は出力結合格子に適用できる。したがって、導波路1から例えば50cmの距離にある物体であっても鮮鋭に結像できる。
体積ホログラムと対向するレリーフ構造としての入力及び出力結合格子の実施形態の利点は、角度及び波長選択性が低いことである。前述のように、体積ホログラムが使用される場合、観察角度は制約された波長範囲に関連付けられる。図11による実施形態を用いなければ、照明スペクトル内のギャップが垂直観察角度の死角の原因となる。これらの失敗は、レリーフ構造の、より高い波長及び角度受容性によって防止できる。
入力結合格子20は、例えばエポキシ樹脂又はUV硬化性ポリマによって、図23の厚さd1の左側の板22の右側表面に成型できる。この場合、典型的なポリマは約1.5の屈折率nを有する。
入力結合格子20はその後、薄い高屈折率絶縁層23で被覆される。そのための典型的な屈折率はn>2.0である。例えば、10~100nmの値を層23の厚さとして使用できる。この場合、特に入力結合格子20だけでなく、左側の板22の全体を薄い高屈折率層23で被覆することによって、全面積にわたり均一な透過の印象(transmission impression)を実現することが有利である。
第二の板24(厚さd2を有する)はその後、入力結合格子20及び、厚さd1の関連する板22にエポキシ樹脂又はUV硬化性ポリマによって接着結合される。入力結合レリーフ格子20はそれゆえ、2つの板22及び24により形成される基板内に埋め込まれ、その薄い高屈折率層によって、5%~20%の回折効率を有する反射格子20として機能する。
出力結合格子25に関して、同じ数の線(格子間隔)を有する格子が使用されるが、これは左側の板22の外面7上又は第二の板24の外面8上に成型される。図23に示される例示的な実施形態の場合、出力結合格子25は前面7上に成型される。アルミニウムが成型後のこの格子25に蒸着され、それによって高い出力結合効率が得られる。約50%の効率の数値がここで、広い波長及び角度スペクトルにわたり実現可能である。
入力結合格子20と出力結合格子25を有する導波路1には2つの絞りがあり、それは、入力結合格子20の縁辺と出力結合格子25の縁辺が各々、絞りとして機能するからであり、これらの絞りがビーム経路をトリミングする。図23による例示は、正確に1つの波長につき1つのビームだけを示している。同じ物体点から出るその他の波長は、入力結合格子20によって導波路1内の別の角度に偏向される。波長と導波路1内の伝搬角度との間のこの関係は連続的であるが線形ではない。
その結果、何度も(例えば、10、20回等)反射される長い導波路1の場合、入力結合格子20の面積(縦断面で見た場合)が出力結合格子25の真上になる可能性がある。すると、大量の光が透過される。しかしながら、入力結合格子20の絞りが出力結合格子25の下で1回及びその上で1回結像され、光が出力結合格子25で出力結合されないということも起こり得る。
その結果、透過したスペクトルは効率的範囲と不効率の範囲に分割され、これらはほとんど周期的に交互に配置される。このように純粋に幾何学的に決定される透過スペクトルが図24に示されており、nmを単位とする波長がx軸に沿ってプロットされ、0(入力結合格子20に入射する光が全く透過されない)~1(入力結合格子20に入射した光が全て、格子の回折効率に関係なく、出力結合格子25を介して出力結合される)の透過効率がy軸に沿ってプロットされている。前記透過効率は、400~530nmの波長範囲をカバーする-15°の入射角について(破線)、440~645nmの波長範囲をカバーする0°の入射角について(実線)、及び555nm~690nmの波長範囲をカバーする+15°の入射角について(点線)示されている。この場合、スペクトルの限定は、第一に、全内部反射の条件によって、第二に、入力結合後に、出力結合格子への衝突が依然として起こる(外側エリアでの全内部反射がない)偏向角度から生じる。このことから、透過スペクトルのインタバルが入射角と共にシフトすることが明らかである。透過スペクトルのインタバルは、導波路1の屈折率が高くなると大きくなる。
図25は、検出器システム2の入射瞳EPにより生じるビネッティングを概略的に示す。その結果、出力結合された光線の一部は検出器11に衝突しないかもしれず、それによって、図26に概略的に示されるような幾何学的に決定される透過スペクトルが得られる。図26の図は、図24の図に対応する。予想通り、このビネッティングによって-15°及び+15°の入射角について透過スペクトルが低下する。
入力結合格子20は鋸歯状格子として、すなわち各格子間隔のプロファイル形状が、少なくとも概ね鋸歯の形状を辿るように構成できる。図27は、埋め込まれた入力結合格子の格子間隔のシミュレーションによる断面図を示しており、この格子についてはわずかなプロファイル丸め処理がなされた。0~430nmの横方向の範囲がx軸に沿ってプロットされ、0~300nmの範囲のプロファイル断面がy軸に沿ってプロットされており、その結果、層厚は約60nm、ブレーズの深さは約120nmである。このような構造により、広い波長範囲を約10~15%の効率で導波路1内に結合することが可能となる。その結果得られる回折効率(反射率)は、図28において400~650nmの波長範囲(これはx軸に沿ってプロットされる)でプロットされている。曲線RE0及びRM0は、s偏光場(RE)とp偏光場(RM)の0次反射に関する反射率を示す。曲線RM1及びRE1は、s偏光場(RE)とp偏光場(RM)のマイナス1次の回折に関する反射率を示す。
図27のそれと似たプロファイル形状を出力結合格子25に使用できる。しかしながら、ここでは高反射率絶縁体の代わりに金属コーティングが使用される。
図29及び30は、導波路1がディスプレイ30に組み込まれた例示的な実施形態を示す。ディスプレイ30は、移動型消費者デバイス(例えば、携帯電話又はラップトップ等)のディスプレイとすることができる。それはまた、定置コンピュータのディスプレイとすることもできる。
図29及び30の例示において明らかであるように、反射型体積ホログラムを有する入力結合領域4は後面8に具現化され、前記ホログラムはビーム偏向をもたらし、それによって偏向された光線はディスプレイ内で例えば全内部反射によって案内されて、最終的に出力結合体積ホログラムを有する出力結合領域5に衝突し、これはカメラセンサ11に向かう方向への偏向をもたらす。このように記録された画像は、そのままで、現在入力結合領域4を見ているユーザBの正面視である。それゆえ、画像は入力結合領域4の領域内に位置付けられたカメラセンサによる記録に対応する。したがって、図29及び30による解決策は、透明なイメージセンサとして設計でき、これはディスプレイに組み込まれ、ディスプレイの表示機能はそれによる不利な影響を受けない。それゆえ、ディスプレイ30の位置で画像又は画像シーケンスの記録を行うことが可能であり、それゆえ、画像生成されるべきシーンの正面視が実現される。
この特性は有利な点として、例えばテレビ電話又は自画像(いわゆるセルフィ)の記録等の用途に使用でき、これは、ディスプレイに向かうユーザBの視線方向がカメラにより記録される画像の中心と一致するからである。したがって、例えばテレビ電話中、ある通話の両当事者が多かれ少なかれアイコンタクトを保つことができ、それはこれまで、対応するカメラが常にディスプレイの縁に取り付けられていたため不可能であった。前記アイコンタクトの結果、より自然で、より没入感のある会話体験が得られる。自画像を撮影する場合、ユーザは例えば、記録される画像のライブプレビューを追跡でき、カメラから目を離し、ディスプレイのほうを見る必要がない。
偏向関数に加えて、例えば出力結合格子5は画像生成機能を含むことができ、それによってカメラセンサ11の上流の追加の光学ユニットが不要となる。このようにして、カメラをディスプレイ30に組み込む程度を最大化できる。
体積ホログラムに典型的な優れた波長及び角度選択性を有する回折効率によって、また、回折効率をカスタマイズされた方法で設定できることによって、ディスプレイ30の、入力結合格子で覆われる部分は大部分が透明に見え、ディスプレイ上に表示されるコンテンツは観察者から見えるままである。そのために、一方で、入力結合格子4の効率は、カメラセンサ11のその部分での画像取得が可能となるように十分に高くなければならない。他方で、入力結合格子の効率は、透明性が保持され、観察者にとって邪魔な効果が生じないように十分に低くなければならない。したがって、入力結合領域内に適用される体積ホログラムの結果的な透明性はまた、使用されるカメラセンサ11の光に対する感度にも依存する。
図1~3の実施形態による入力結合領域4及び出力結合領域5の最も単純な構造において、異なる波長範囲は各角度について検出器11又はカメラセンサ11へと透過され、それゆえ垂直のカラープロファイルを有する画像が得られる。前記画像はその後、モノクロ画像に変換できる。自然な多色画像を取得するためには、例えばモノクロ画像をその後、別の前方カメラにより記録される画像情報を使ってリアルタイムで色付けすることができる。このようにして、前述の正面視の利点を有する体積ホログラムにより実装されるカメラ機能により、自然な画像を提供できる。
代替的に、体積ホログラムにより実装されるカメラ機能のカラー機能は、図10~15の例示的な実施形態に従って実現できる。それゆえ、追加の前方カメラ及びその後の色付けが不要となるであろう。
図29及び30に示される例示的な実施形態では、出力結合領域5及び、カメラセンサ11もディスプレイ30の非表示領域31の下にあることが前提であり、それは、そうでなければディスプレイから発せられた光もカメラセンサ11に当たってしまうからである。これは画像の記録の障害となる。
しかしながら、通電していないときに透明であるディスプレイ30が使用される場合、カメラセンサも、ディスプレイにより実際に使用される領域の下に配置でき、これは、図31及び32による例示的な実施形態の場合に示されている。
画像の記録中は、ディスプレイ30のうち関連する領域がブランクとされ、出力結合領域5からの光だけがカメラセンサ11に当たる。このようにして、ディスプレイ30は、カメラ機能が作動されていない時には表示の目的のためだけに使用できる。カメラ機能が作動されると、ディスプレイ30の一部のみがブランクとなる。したがって、表示エリアは必要な程度しか、さらには縁の付近しか制約されない。
多くの用途において、追加的に放射を導入でき、及び/又は放射を光学システムのビームチャネル内で検出できれば、光学システムの実際の光学機能に大きな影響を与えずに、多大な付加価値を生むことができる。放射検出の場合、放射は適当な地点でビーム経路から反射され、センサへと向けられる。放射がシステムに導入される場合、反対の光路が使用されて、追加の放射成分が導入される。これは例えば、物体空間を照明するため、又は追加の情報を導入するために使用できる。
既知の方法で、部分的に反射コーティングされた基板40がこの目的のために使用され、これは図33に概略的に示されており、この場合、光学システムのための2つのレンズ素子41及び42が概略的に描かれている。これはいわゆるコンバイナの原理である。しかしながら、これには光学システムに十分な構造的空間が必要であり、前記構造的空間は傾斜基板40の大きさ又は入力及び/又は出力反射の位置における投射ビーム径によって与えられる。さらに、ビーム経路の同じ位置での放射の導入及び検出は、高いコスト(特別なコーティング、放射の重ね合わせのための複雑な光学系)を払わないかぎり不可能である。
前述の本発明による導波路1はこの場合も使用でき、前記導波路によって、構造的空間に対するわずかな要求だけで、放射の導入及び/又は検出が可能となり、これは図34に概略的に示されている。
放射の導入及び検出に加えて、この方法はまた、フィルタ処理により、内外に反射される放射のスペクトル特性に故意に影響を与えることも可能となる。導波路1の高い透明性により、これらの多機能コンポーネントは、光学システムの事実上いずれの位置においても(必要であれば、光軸上でも)使用できる。さらに、体積ホログラムの特定の物性によって、事実上同じ位置にこれらの機能を実装することが可能である。
前述の光学システムは、技術的な光学的システムだけでなく、例えば窓、自動車の窓等の透明表面であると理解されたい。多くの場合、傾斜させた、部分的に反射コーティングを有する基板によって内外に情報を反射させることは、容認可能な解決策とはならない。しかしながら、前述の導波路1の原理によれば、これらの機能性を透明基板(窓、自動車の窓等)そのものに直接実装することができ、それを通じた視界、すなわち当初のビーム経路に大きな影響を与えない。その結果、これによって、通常であれば例えば人又は物体を風、温度、粒子、又は放射等の環境影響から保護するためだけの表面に、全く新規な用途が生まれる。
これに関して、導波路1の前述の原理はまた、照明及び/又は投射のためにも使用できる。この目的のためには、導波路1内の光路は反対方向に使用されて、静的又は動的光源(又は、それに対応する発光画像源)が検出器の代わりに使用される。その結果、図35、36、及び37に示されるように、前述の出力結合領域は入力結合領域4となり、前述の入力結合領域は出力結合領域5となる。光源32からの放射は、入力結合領域4を通じて導波路1に入力結合され、前記導波路内で出力結合領域5まで案内され、それを介して、相応に下流に配置された空間又は光学システムへの出力結合が行われる。
投射と照明は、物理的観点からは基本的な違いがないため、いずれの場合も、一般に放射は空間又はビーム経路内で所定の形態(角度及び/又は位置分布)で提供される。ある物体の照明が図38に概略的に示されている。図39は、観察者Bのための仮想画像の投射を概略的に示す。図40は、実画像(ここでは、文字F)の投射を概略的に示す。実画像の投射は照明と同じである。
入力結合領域4と出力結合領域5は、体積ホログラム(好ましくは、反射型体積ホログラム)で実現できるため、仮想的に透明な光源又は仮想的に透明な投射装置が、体積ホログラムの高い角度及び波長選択性によって実現できる。この場合、入力結合から出力結合への高い伝達効率、規定の発光特性(すなわち、角度又は位置分布)の生成、及び所望のスペクトル組成を実現できる。
検出システムの場合、入力及び出力結合エリア4、5の水平方向の範囲は、必要なFoVに適応させることができる。垂直方向において(又は、第一の方向において)、エリアの大きさは検出システムのアパーチャの大きさにより与えられる。広いFoVを実現するためには、好ましくは、入力結合エリア4の水平方向への(又は第二の方向への)、出力結合エリア5の範囲より広い範囲を選択すべきである。入力結合ストリップが得られる。
投射システムに関して、広い面積(アイボックス)にわたる画像情報又は照明を提供するために、瞳の2D複製が好ましい。この場合、基板に結合される瞳は水平及び垂直方向に複製される。出力結合エリアはそれゆえ、その水平及び垂直方向への範囲が入力結合エリアの範囲とは異なる(前述の検出システムに関する違いである)エリアである。
検出及び投射システムを接続すると、前述の範囲での検出の入力結合領域と前述の範囲での投射の出力結合領域はそれゆえ、波長の可視範囲内に置かれる。
勿論、投射及び/又は照明のための導波路1の場合も、光学画像生成機能は入力結合及び/又は出力結合領域4、5に割り当てることができる。その結果、導波路1の有限-無限、無限-有限、有限-有限、又は無限-無限構成を再び実現できる。したがって、入力及び/又は出力結合中に、放射伝搬に、及び角度分布及び/又は既定の位置における分布にも故意に影響を与えることができる。例えばレンズ素子及び/又は凹面鏡機能の形態の光学画像生成機能に加えて、又はその代わりに、ディフューザ又はビーム変換機能も入力結合及び/又は出力結合エリアに導入することができ、それによって同様に放射の伝搬にも故意に影響を与えることが可能となる。
検出構成の場合のように、照明/投射構成の場合も、入力及び出力結合エリア4、5の有効な大きさは、機能化された導波路1により輸送され、受け入れられ、それぞれ発せられる角度範囲に大きな影響を与える。
LED、レーザ等を光源32として使用でき、ディスプレイ(例えば、DMDディスプレイ、LCDディスプレイ等)を画像源として使用できる。時間的に変化する角度又は位置分布は、動的光源又は動的画像源の使用によって生成できる。したがって、照明のための適応型の解決策を例えば顕微鏡において実現でき、又は可変情報(仮想画像又は実画像コンテンツ)をビーム経路内に導入できる。
導波路を利用する解決策の代替案として、図41A、41B、及び41Cによる反射型体積ホログラムに基づく、又は図42A、42B、及び42Cによる透過型体積ホログラムに基づくフリービームのセットアップにも、それを通じた直視での広い角度及び波長範囲で高い透明性を有する照明及び/又は投射機能を実現することが可能である。
すでに何度も説明したように、体積ホログラムは角度依存スペクトル感度を示す。この特性により、例えば、特定の角度において規定の波長範囲内の放射は依然として効率的に偏向され、導波路1に入力結合される。この効果は一般的な検出及び照明用途にはむしろ不利であるが、これは、例えばスペクトル検出又は照明用途には有利に使用することもできる。
照明の分野では、体積ホログラムのこの挙動は、指向性入射放射の場合に規定のスペクトル範囲をフィルタにより排除するために利用できる。これに関して、仮想画像又は実画像コンテンツのホログラフィによる投射に特に適したレーザと異なり、例えば部分的にコヒーレントな狭帯域光源を実現することができる。収束又は発散放射の場合、相応に記録された体積ホログラムを用いて、体積ホログラムにより偏向された波長スペクトルに体積ホログラムに存在する角度分布によって影響を与えることが可能である。
体積ホログラムの角度依存スペクトル感度は、検出用途にも利用できる。図4によるシミュレーションによる入射角依存及びスペクトル依存効率によれば、各入射角について、異なるスペクトル範囲は、例えば垂直に効率的に偏向されて、導波路1へと入力結合される。図1~3に示されるようなカメラの最も単純なセットアップでは、入力結合体積ホログラム4に対応する出力結合体積ホログラム5が使用され、導波路1内で伝搬する角度の出力結合を提供し、各角度はフィルタ処理又は入力結合の結果として、規定のスペクトル範囲で構成される。角度分布はその後、出力結合体積ホログラム5の中の画像生成機能によって、又はレンズによって、検出器11上の位置分布に変換され、垂直方向への各位置はすると、規定のスペクトル範囲に対応する。垂直方向への角度スキャン及び検出器11の強度の同時検出によって、角度依存スペクトル情報を水平方向にも並列化された方法で特定できる。
このようなシステムは、例えば航空機の下面に取り付けることができる。検出システム2の知識を通じて、飛行速度及び航空機の位置、上空飛行領域(overflown region)に関するスペクトル情報を特定でき、データは並列化された方法で水平に記録される。
前述の例示的な実施形態は透明表面を機能化する可能性を提示しており、前記表面の高い透明性は、それを通じた直視中に広い角度及び波長範囲において保持できる。この場合、透明領域における放射は、特定の体積ホログラム4によって、検出の場合は導波路1の中、照明/投射の場合は導波路1の外へと結合される。この透明な検出及び/又は発光エリア間の伝搬は、基板又は導波路内の全内部反射に基づいて行われる。しかしながら、反射はまた、適当な反射コーティングに基づいても可能である。すると、光電子(検出器及び制御源)を設計又は機能の点で有利な位置に導入できる。その結果、放射検出及び/又は放射発出の位置は、光電子部品の位置に縛られなくなる。
前述の体積ホログラムを使って導入される機能の高い透明性により、これらの機能は事実上同じ位置に実現することができ、これは、体積ホログラムの適当な設計によって、これらの機能は相互に影響を与えないか、又はわずかにしか相互に影響を与えないからである。
これは、実際には、例えば個々の機能が相互に上下に(スタックとして)適用されて実装される体積ホログラムによって実現できる。代替的に(体積ホログラフィック材料の最大反射率の調整を十分に行って)複数の光学的機能を体積ホログラムの中に露出させることもできる。ここで、体積ホログラム4、5の適当な設計により、機能化された導波路1の透明性が保たれる。導波路に基づくビーム輸送及びそれに関連付けられる小型の設計との組合せにおいて、第一に、例えば窓等の高機能化された透明表面を実現することが可能である。第二に、この方式によって、光学システムの機能性を比較的小さいビーム経路の干渉によって、大幅に拡張できる。
図43Dは、照明機能(図43A)、検出機能(図43B)、及び投射機能(図43C)が体積ホログラムによって導入され、放射輸送が導波路に基づく方法で実現されている窓40の機能化の例を示す。入力結合領域と出力結合領域のための異なる体積ホログラムは、反射率:41、42等、51、52等により区別されている。
代替的に、個々の機能はまた、導波路を利用しない方法でも(すなわち、フリービーム伝搬方式によって)実装できる。
図44Aは照明について概略的に示しており、図44Bは検出について概略的に示しており、図44Cは投射について概略的に示している。しかしながら、導波性により生成される構造的空間の利点は、これらの例示的な実施形態では(少なくとも部分的に)再び失われる。図44A~44Cは、反射型体積ホログラムを用いたそれぞれのフリービーム構成による前述の実装例を示している。これは、図44D、44E、及び44Fの透過型体積ホログラムと共に示されている。図44A~44Fにおいて、フリービーム伝搬により実現されない機能は全て、導波路に基づく方法で実装されている。
光学システムの機能の拡張は、図45において、サンプルの概観を記録するための顕微鏡45における照明と検出に基づいて示されている。この場合、放射は導波路1へと入力結合され、体積ホログラムによる出力結合エリア5へと案内され、それがすると、投射空間(サンプルキャリア46)への放射の出力結合を提供する。サンプル47から後方散乱した放射はその後、再び別の体積ホログラム4’によって導波路1に入力結合され、すると前記導波路は検出器11まで放射を輸送する。
顕微鏡45の照明システムが適当な設計であれば、導波路に基づくシステム1は、例えばビーム経路内のサンプルファインダのままとすることができ、透過光照明ビーム経路を妨害しない。図45に示される配置の代替案として、導波路に基づく照明及び画像生成システム(導波路1)はまた、サンプル47の上方に取り付けることもできる。しかしながら、顕微鏡の場合、一般に顕微鏡45の対物レンズ48とサンプル47との間の構造的空間は大きく制約される。
いずれの変形型においても、照明及び検出が同じ位置に、及び顕微鏡45の光軸上に位置付けられるという特性には、システムの全体的機能性に対してプラスの影響を有する。サンプル47の垂直照明及び放射の垂直検出の結果として、比較的高い効率(検出パワー/照明パワー)を実現できる。投射機能は同時に提供される。これは、高いコストを支払い、及び/又は従来の光学システム内に大きな構造的空間がなければ実現できない。機能化された窓40又は機能化された導波路1の場合、同等の特性は、透明な放射源及び検出器だけで可能となるであろう。
導波路1の前述の実施形態は、車両(例えば、自動車、トラック、オートバイ等)の分野でも使用できる。
車両の外部の周囲及び内部をモニタ又は観察できるようにするために、例えばカメラ等の光学投射システムが内部と外部の両方に取り付けられることがますます増えている。人による車両の純粋なマニュアル制御から補助運転を通じて自動運転へと変化する過程で、総合的で安全なセンサシステムを保証するために、将来、自動車分野ではさらに多くの強力な検出器が使用されることになると想定すべきである。しかしながら、これらの検出器は、特に自動車の分野においては、審美面の要求を満たす上での障害となってはならない。理想的には、センサシステムは自動車の顧客又は観察者から見えない。
現在、光学検出システムは、例えばBピラ等の不透明領域に統合される。すると、後者はレンズのための小さい開口だけを有する。設計の自由度を高め、乗員が車外をよりよく見ることができるようにするために、将来、車体構造の不透明領域は縮小されるであろう。すると、従来の方式に基づいて必然的に特定の領域に取り付けなければならないセンサは、事実上見えないように統合できなくなる。この現象はすでに現在でも道路標識及び斜線認識のための光学システム上に現れており、これらは、正確な測定データを特定できるようにするために必然的にフロントガラスの上部中央領域に取り付けなければならない。従来の光学システムを用いると、それによってフロントガラス内に不透明領域ができ、これは運転者の視界を制約することがあり、自動車の外観にマイナスの影響を与える。前述の導波路を使用すれば、将来、自動車の全ての窓に透明性を大きく損なうことなく検出器エリアを設けることができる。この場合、放射は窓に設けられた入力結合領域により窓に結合でき、導波路を通じて検出器へと透過させることができ、するとこれは自動車の不透明領域に位置付けることができる。
図46A、46B、46C、及び46Dは、自動車両51のフロントガラス50に導波路1を実現する各種の変形型を概略的に示している。入力結合領域4は、フロントガラス50の所望の位置に位置付けることができ、これは、それがこの位置におけるフロントガラスの透明性に大きな影響を与えないからである。入力結合領域4を介して入力結合された放射はすると、フロントガラス50内の反射によって出力結合領域5まで案内され、この出力結合領域は、そこを通じて見るために使用されなくなる領域に位置付けることができる。すると、検出器システム2(図示せず)もまた、この領域に位置付けることができる。
図46Aによる変形型において、出力結合領域5は自動車の屋根の領域内にある。図46Bによる変形型において、出力結合領域はボンネット又はダッシュボードの領域にある。勿論、図46C及び46Dに示されるように、側方に向かう入力結合も可能であり、それによって出力結合領域5は、例えば右(図46C)又は左(図46D)のAピラの領域に位置付けられる。その結果、フロントガラス50(又は、他のいずれかの透明エリア)は、それを通じた直視中に広い波長及び角度範囲でのこのエリアの透明性に大きな影響を与えないようにするために、(体積)ホログラフィック構造及び/又は微小光学レリーフ構造を利用して機能化できる。前述の機能的実装によって、周囲からの、又は自動車両の内部からの放射はフロントガラス50へと入力結合される。後者はすると、導波路としての役割を果たし、例えば全内部反射によって放射が出力結合領域へと伝搬されるようにし、これはその後、放射を検出器システム2へと出力結合する。その結果、フロントガラスの実質的に透明な表面は検出エリアとして使用でき、他方で検出器11は、設計及び/又は機能の点で有利な位置に取り付けることができる。その結果、放射検出及び/又は放射捕捉の位置は検出器11の位置により縛られなくなる。これは、放射検出が必然的に特定の位置において行われなければならないが、後者がそれと同時に高い透明性を持つことが意図される場合に特に有利である。
図46A~46Dに関連して説明した波長システムはまた、物体空間を照明するため、及び/又は投射の目的のために反対の光路で使用することもできる。この構成では、静的又は動的発生源(例えば、光源及び/又は画像源)から出た放射は、出力結合領域を介して導波路、すなわち窓50へと入力結合され、この出力結合領域はこの場合、入力結合領域として機能し、車両の不透明領域に位置付けられ、入力結合領域4を利用して再び出力結合され、入力結合領域はこの場合、出力結合領域として機能し、透明領域に位置付けられる。
勿論、前述の検出及び前述の投射及び/又は照明を組み合わせ、その後、すでに述べたように、フロントガラスの透明領域に配置される入力結合及び出力結合領域を相互に近付けて、又は相互に上下に具現化することも可能である。特にスペクトルの点で、及び角度に依存する方法で、照明を検出に合わせて標的とする適応を行うために最適化された検出を実現できる。
導波路1の最も単純な構造(1つの波長で記録される無限-無限構成)では、各角度における折り畳み/導波方向において、特定のスペクトルバンドだけが導波路に入力結合され、最終的に再び出力結合されることを考慮すべきである。入力結合及び出力結合領域4、5が例えば図46A及び46Bに示されるように相互に上下に配置される場合、その結果として、道路に関して垂直方向への角度及び/又は位置依存カラープロファイルが得られる。この配置を±90°回転させると(図46C及び46Dに示される)、カラープロファイルは水平方向に(すなわち、道路に平行に)向けられる。したがって、出力結合領域5に関する入力結合領域4の方位は、それぞれの目的に応じて慎重に選択すべきである。この場合、相互に垂直な2つの方向のFoVの異なる出現(入力結合領域4と出力結合領域5の大きさの比及びそれらの間の距離と、検出器のスペクトル感度により与えられる)を考慮することも必要である。
さらに、それぞれの窓50の傾きと検出対象物体の予想位置も、入力結合領域の設計において考慮すべきである。これに関して、例えば、フロントガラスに導入された入力結合領域4を利用して運転者を観察する場合、垂直FoVの角度偏位を対応する偏向関数の形態で導入することにより、垂直方向の光軸が運転者の顔の領域にほぼ対応し、例えば運転者の胴部は検出されないようにする必要がある。予想される物体及びその投射に合わせた適応はそれゆえ、入力結合領域4の特定の設計によって行うことができる。同じ関係が、照明としての導波路システムの使用についても得られる。ここで、出力結合領域5はすると、物体空間の所望の照明に適応させるべきである。
図10~15に従って説明したRGB機能性を提供する実施形態は、自動車分野のセンサシステムにとって、スペクトル成分がないことによる個々の角度範囲における検出の失敗を回避するために有利である。このようにして、規定のスペクトル範囲(理想的には検出器のスペクトル感度)において、信号が各角度で信号を検出できることが確実となる。さらに、入力結合領域4のスペクトルに対する非感受性による検出の失敗の点での安全性もまた、入力結合及び出力結合領域4、5を前述の表面レリーフ構造を用いて実装することにより向上させることもできる。
図16~20に関して説明した水平FoVを拡大するための導波路の変形型は、水平FoVが垂直FoVのエンコーディングにより増大され、有利な点として、自動車分野で使用でき、これは、そこでは垂直FoVより非常に大きい水平FoVが必要となることが多いからである。
図21及び22に関して説明した検出効率を高めるための変形型は、有利な点として、自動車分野で使用でき、それは窓の形態の大きい面積が入力結合領域4のために利用可能であるからである。それゆえ、できるだけ多くのビームパワーを検出器システム2へと案内でき、不十分な照明条件で画像情報を取得することもできる。
さらに、可視スペクトル範囲外の放射、特に近赤外からの放射を入力結合する可能性もある。相応に適当な検出システムを使用すれば、それゆえ、人にとっては不十分な照明条件下でも画像情報を取得できる。
図33~45に関して説明したように、機能化された導波路1は、放射を捕捉するためだけでなく、物体空間の照明のため、又は投射のためにも機能化できる。この目的のためには、導波路1による前述の検出装置と比べて反対の光路が使用される。このようにして、車両の外部及び/又は内部領域を標的を定めて照明することができ、不十分な照明条件の下でも信頼性の高い検出が確実に行われる。これに関して、例えば個々のスペクトル範囲がない場合に、導波路1の最も単純な実施形態の場合に起こり得るような個別の角度範囲での検出の失敗を回避できる。この場合、人工的な照明と、入力結合エリアの角度依存スペクトル感度を相互に調整すべきである。
自動車両のフロントガラス50とリアウィンドウの場合、今日すでに、規定の位置にある検出エリアをできるだけ透明にすること及び対応する検出器又は検出システム2を車体の不透明領域に移動させることに対して特に高い要求がある。これは運転者にとっての自由な視野を可能にし、運転支援システムのための光学センサが同時に組み込まれて、それによって道路交通の安全性を向上させることができる。外部領域の検出のほかに、前述の機能化により、車両内部の画像情報を取得することも可能である。このように取得された画像シーケンスにより、相応のデータ処理と組み合わせて、例えば疲労認識又はジェスチャ制御等の別の安全システムを実装できる。このようにして、カメラのための目に見える開口がなくても、運転者及び/又は乗員の識別も可能である。
フロントガラス及びリアウィンドウの場合と同様に、固定されたサイドウィンドウの場合にも、車体の枠組み領域に出力結合エリアと検出器を含めることができる。ここでも、追加の機能化は、内部及び外部領域に関する画像情報を取得する役割を果たすことができ、その際、表面の透明性に実質的に影響を与えない。
複数の検出システムを車両の異なる窓に統合することも可能である。このようにして、空間内の人及び物体の3次元座標系の場合のように位置を特定できる(キーワード:断層写真、及びそれゆえ複数の視点からの測定)。
機能化されたエリア及び検出器の配置は、照明の設計にも同様に適用できる。しかしながら、この場合、出力結合エリア、すなわち発光エリアは透明領域内に位置付けられ、放射源を含む入力結合エリアは不透明領域に位置付けられる。
検出及び/又は照明システムの適当な設計により、照明システムの出力結合エリアは検出システムの入力結合エリアと一致させることができる。
固定された窓と比較して、好ましくは変位可能な窓の場合の出力結合エリアの配置は、移動中又は移動後であっても、それが車体内に位置付けられない、又は不透明領域内に位置付けられない領域にあるように選択される。それに加えて、検出システムは、可動式の窓に固定して接続することにより、移動中又は移動後であっても検出機能が保証されるようにしなければならない。図47A~47Cは、可動式のサイドウィンドウの例に基づく入力結合及び出力結合領域の各種の配置を示している。