JP7446381B2 - 冷却シミュレーション方法、冷却シミュレーションプログラム、冷却シミュレーション装置及びワークの冷却方法 - Google Patents

冷却シミュレーション方法、冷却シミュレーションプログラム、冷却シミュレーション装置及びワークの冷却方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、冷却シミュレーション方法、冷却シミュレーションプログラム、冷却シミュレーション装置及びワークの冷却方法に関する。
鋼部品の焼入処理においては、ワークをオーステナイト変態点以上の温度に加熱した後、冷却剤をワーク表面に接触させることによりワークを急速に冷却する。この冷却の挙動が、焼入後のワークの各部の硬さ、変形量及び残留応力等の特性に影響する。冷却挙動に影響を及ぼす因子としては、ワークの材質や形状、冷却手法、冷却時のワーク設置状況、冷却剤の種類や流量等、多数の因子が存在するため、実機での試行錯誤によって焼入処理に最適な冷却条件を決めようとすると、多大な時間とコストがかかる。このため、近年では有限体積法や差分法、粒子法などといった数値解析手法による熱流体シミュレーションにより、冷却挙動を予測することが試みられている。
しかしながら、実用上十分な精度で冷却をシミュレートしようとすると、冷却剤の沸騰現象を考慮する必要がある。沸騰現象は膜沸騰、核沸騰等が存在する複雑な現象であるため、冷却剤の沸騰現象も含めてワークの冷却挙動を厳密にシミュレートしようとすると、計算量が膨大になり、多大な計算時間が必要になってしまう。
特開2010-230331号公報
本発明の実施形態の目的は、計算時間を短縮できる冷却シミュレーション方法、冷却シミュレーションプログラム、冷却シミュレーション装置及びワークの冷却方法を提供することである。
本発明の実施形態に係る冷却シミュレーション方法は、加熱されたワークの表面に冷却剤を接触させた場合の前記ワークの内部の温度変化を予測する冷却シミュレーション方法である。前記冷却シミュレーション方法においては、熱流体シミュレーションによる冷却剤の流れ解析により前記ワークの表面における前記冷却剤の流速を計算し、前記ワークの表面の温度及び前記計算された流速に基づいて前記ワークの内部の温度変化を計算する。
本発明の実施形態に係る冷却シミュレーションプログラムは、ワークの表面に冷却剤を接触させた場合の前記ワークの内部の温度変化を予測する冷却シミュレーションプログラムである。前記冷却シミュレーションプログラムは、コンピューターに、熱流体シミュレーションにより前記ワークの表面における前記冷却剤の流速を計算させ、前記ワークの表面の温度及び前記計算された流速に基づいて前記ワークの内部の温度変化を計算させる。
本発明の実施形態に係る冷却シミュレーション装置は、ワークの表面に冷却剤を接触させた場合の前記ワークの内部の温度変化を予測する冷却シミュレーション装置である。前記冷却シミュレーション装置は、熱流体シミュレーションにより前記ワークの表面における前記冷却剤の流速を計算し、前記ワークの表面の温度及び前記計算された流速に基づいて前記ワークの内部の温度変化を計算する演算部を備える。
本発明の実施形態に係るワークの冷却方法は、前記冷却シミュレーション方法により冷却条件を決定する工程と、前記決定された冷却条件によりワークを冷却する工程と、を備える。
本発明の実施形態によれば、計算時間を短縮できる冷却シミュレーション方法、冷却シミュレーションプログラム、冷却シミュレーション装置及びワークの冷却方法を実現することができる。
図1(a)は第1の実施形態に係る冷却シミュレーション装置を示すブロック図であり、図1(b)は演算部を示すブロック図である。 図2(a)及び(b)は、第1の実施形態に係る冷却シミュレーション装置の動作を示す図であり、(a)は加熱工程のシミュレーションを示し、(b)は冷却工程のシミュレーションを示す。 図3は、横軸にワーク表面温度をとり、縦軸にワーク表面における熱伝達率をとって、ワーク表面温度と冷却剤の流速と熱伝達率との関係を示すグラフである。 図4は、第1の実施形態における加熱シミュレーション方法を示すフローチャートである。 図5は、第1の実施形態において想定する冷却装置を示す平面図である。 図6は、第1の実施形態において想定する冷却装置を示す端面図である。 図7は、第1の実施形態に係る冷却シミュレーション方法を示すフローチャートである。 図8は、第2の実施形態に係る冷却シミュレーション方法を示すフローチャートである。 図9は、第3の実施形態に係るワークの冷却方法を示すフローチャートである。 図10(a)は試験例において作製及び想定した冷却装置を示す斜視透過図であり、図10(b)はワーク表面温度の初期値を示す図である。 図11(a)は試験例において計算された冷却剤の外観を示す図であり、図11(b)は流速分布を示す図である。 図12(a)及び(b)は、横軸に時間をとり縦軸に温度をとって、ワーク表面温度の変化を示すグラフであり、図12(a)は実測値を示し、図12(b)は計算値を示す。
<第1の実施形態>
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
図1(a)は本実施形態に係る冷却シミュレーション装置を示すブロック図であり、図1(b)は演算部を示すブロック図である。
図2(a)及び(b)は、本実施形態に係る冷却シミュレーション装置の動作を示す図であり、(a)は加熱工程のシミュレーションを示し、(b)は冷却工程のシミュレーションを示す。
本実施形態に係る冷却シミュレーション装置1(以下、単に「装置1」ともいう)は、ワークに冷却剤を接触させた場合のワークの内部の温度変化を予測する装置であり、例えば、焼入処理の冷却工程をシミュレートする装置である。本明細書において、「ワーク」は焼入処理の対象となる鋼製品である。
図1(a)に示すように、装置1においては、入出力部10、演算部20、及び、記憶部30が設けられている。装置1には汎用のコンピューターを用いてもよく、専用のコンピューターを用いてもよい。
入出力部10には、例えば、信号端子又は通信装置が設けられており、外部からデータが入力されると共に、外部にデータを出力する。入出力部10に入力されるデータは、後述するデータ類であり、特に、冷却シミュレーションの諸条件を含み、例えば、ワークの形状、ワークの温度の初期値、冷却ジャケットの形状、冷却剤の物性、冷却剤の流量等を含む。冷却ジャケットの形状は、冷却剤を噴射する穴の大きさ、数及び配置も含む。入出力部10から出力されるデータは、冷却シミュレーションの結果を含む。入出力部10は、キーボード、マウス、ディスプレイ、外部記憶装置等の外部機器に接続されていてもよい。
演算部20には、例えば、CPU(central processing unit:中央演算処理装置)が設けられている。演算部20は、記憶部30に記憶された冷却シミュレーションのプログラムを読み出して実行する。具体的には、演算部20は、熱流体シミュレーションを行ってワークの表面における冷却剤の流速を計算し、ワークの表面の温度及び計算された冷却剤の流速に基づいて、熱伝達率を計算するか記憶部30から読み出して取得し、取得した熱伝達率を用いてワークの表面の温度変化を計算する。
記憶部30には、例えば、SSD(Solid State Drive)又はHDD(hard disk drive:ハードディスクドライブ)等の記憶手段が設けられている。記憶部30には、冷却シミュレーションのプログラムが記憶されている。冷却シミュレーションのプログラムは、熱流体シミュレーションのプログラムを含む。記憶部30には、磁場解析プログラム、熱解析プログラム、組織解析プログラム、応力・ひずみ解析プログラム、及び、回路解析プログラムが記憶されていてもよい。
また、記憶部30には、ワークの表面の温度Ts(以下、「ワーク表面温度Ts」ともいう)と冷却剤の流速vと熱伝達率hとの関係(以下、「Tvh関係」ともいう)が記憶されている。記憶部30は、Tvh関係をテーブルとして記憶していてもよく、数式として記憶していてもよく、他の形式によって記憶していてもよい。なお、「熱伝達率」とは、2種類の物体間の界面における単位面積、単位温度、単位時間あたりの伝熱量である。
図1(b)に示すように、演算部20は、制御部21と、磁場解析部22と、発熱量算出部23と、熱処理解析部24と、物性値更新部25と、回路解析部26と、熱流体解析部27と、を有する。制御部21、磁場解析部22、発熱量算出部23、熱処理解析部24、物性値更新部25、回路解析部26、及び、熱流体解析部27(以下、総称して「各部21~27」という)は、それぞれ独立したハードウェア資源によって構成されていてもよく、プログラムを実行することにより仮想的に構成してもよい。
制御部21は、各部22~27を制御し、各部22~27間で指令及びデータをやりとりすると共に、入出力部10及び記憶部30との間でデータをやりとりする。また、制御部21は、連成解析の繰り返し数及びステップ時間の制御や指定部位の温度の監視なども行う。なお、「連成解析」とは、複数の物理現象の複雑な相互影響を考慮しながら解析することをいう。
磁場解析部22は、マクスウェルの電磁方程式に基づいて、有限要素法により磁場解析を行う。具体的には、磁場解析部22は、有限要素法のうち周波数応答解析が可能なA法又はA-φ法を用いて、加熱コイル周辺に発生する磁束分布とその分布の時間的変化に伴いワークの表面近傍に生じるうず電流を算出する。
磁場解析部22は、ワーク、加熱コイル及びその周りの空間を複数の要素に分割する。そのため、磁場解析部22に入力されるデータ類は、例えば、以下のとおりである。
第1に、ワーク、加熱コイル、及び、それらの周りの空間を各節点で複数の要素に区分けした磁場解析用FEMモデルとして、座標で示す節点情報と、各要素を構成する節点情報の組み合わせ( 以下、単に「要素情報」という)とがある。
第2に、ワーク及び加熱コイルの各素材に関する材料物性情報として、金属組織毎の電気伝導率及び比透磁率があり、いずれも温度依存性を有する。
第3に、解析条件に関する情報として、高周波誘導加熱電源の周波数と、加熱コイル電流又は加熱コイル電圧がある。
第4に、磁場解析用FEMモデルにおける各節点での温度情報がある。なお、この温度情報の初期値には室温が入力され、制御部21より逐次書き直される。
磁場解析部22は、磁場解析用FEMモデルを用いて加熱コイルの断面に電流又は電圧の入出流面を設定し、この設定に基づいて磁束分布を求め、磁束分布に基づいてうず電流分布を求め、ジュール損失量(発熱密度量)を算出する。つまり、磁場解析部22は磁場解析用FEMモデルにおける要素毎にジュール損失量を算出する。そして、磁場解析部22は、要素毎のジュール損失量を示すデータを発熱量算出部23に対して出力する。
発熱量算出部23は、磁場解析部22から入力された各要素のジュール損失量から、各要素の発熱量を算出し、熱処理解析部24に対して出力する。
発熱量算出部23に入力される情報としては、ワークに設定されている座標で規定する節点情報と要素情報とであり、節点情報及び要素情報の何れも、磁場解析用FEMモデル及び熱処理解析用FEMモデル毎に定義する。発熱量算出部23は、磁場解析用FEMモデルにおける節点情報及び要素情報と、熱処理解析用FEMモデルにおける節点情報及び要素情報と、をマッピング処理する。発熱量算出部23は、熱処理解析用FEMモデルにおける各要素の発熱量を求め、直接又は制御部21を介して、熱処理解析部24に対して出力する。
図2(a)に示すように、ワークにおいては、各部の温度、組織、応力・ひずみが相互に関連しあっている。このため、熱処理解析部24は、その相互関係を連成解析することで、熱処理解析用FEMモデルに設定した各節点の温度やひずみ、要素毎の応力、金属組織などを予測する。例えば、ワークの任意の部分において温度が変化すると相変態が生じる。逆に、相変態が生じると潜熱の発生・吸収が生じる。ワーク内において相変態が不均一に生じると、局所的に体積が変化して応力が生じる。逆に、応力が生じると相変態の発生に影響を与える。ワークが変形すると変形部分が発熱又は吸熱する。ワーク内部で温度差が生じると応力が生じる。応力が生じるとひずみが生じる。
熱処理解析部24は、有限要素法を用いて、上記の相互関連を解析するためにワークを複数の要素に分割し、要素毎に、温度と弾塑性構造と相変態とを相互に関連させて解析を行う。熱処理解析部24は、発熱量算出部23から入力された要素毎の発熱量に基づいて、熱伝導方程式などを用いて解析し、熱処理解析用FEMモデルにおける各節点の温度、変形量、各要素の応力・ひずみ、金属組織(金属組織体積分率)を算出する。なお、金属組織体積分率とは、鋼の組織、例えば、フェライト、パーライト、オーステナイト、マルテンサイト、ベイナイトなどの割合を表したものである。応力・ひずみは要素毎でなく節点毎にデータ変換してもよい。
熱処理解析部24に入力されるデータ類は、例えば、以下のとおりである。
第1に、ワークの形状及び寸法に関する熱処理解析用FEMモデルとして、座標で示す節点情報と、各要素を構成する節点の組み合わせ(要素情報)とがある。
第2に、ワークを構成する鋼の物性情報として、等温変態線図(TTT:Time-Temperature-Transformation diagram)、連続冷却変態曲線(CCT:Continuous-Cooling-Transformation diagram)、オーステナイト変態温度情報(TTA:Time-Temperature-Austenization diagram)、マルテンサイト変態温度などの相変態特性情報と、熱伝導率、比熱、密度、潜熱に関する熱伝導特性情報と、ヤング率、ポアソン比、線膨張係数、降伏点、加工硬化係数、変態膨張率、変態塑性係数などの応力・ひずみ物性情報と、がある。
第3に、ワークの冷却工程を想定するための情報として、ワークの冷却面に熱的境界条件として熱伝達率hの値を定義する。熱伝達率hについては後述する。
第4に、熱処理解析用FEMモデルで定められる各節点での発熱量に関する情報がある。これは、発熱量算出部23から入力される。
第5に、解析条件としての情報として、加熱時間、冷却時間、連成回数などがある。
熱処理解析部24は、熱処理解析用FEMモデルにおける各節点の温度と各要素の金属組織体積分率を示すデータを直接又は制御部21を介して物性値更新部25に対して出力すると共に、ワークの変形を示すデータを直接又は制御部21を介して熱流体解析部27に対して出力する。
物性値更新部25は、熱処理解析用FEMモデルにおける各節点の温度と各要素の金属組織体積分率を示すデータが熱処理解析部24から入力され、これに基づいて、磁場解析用FEMモデルにおける各節点の温度と各要素の電気伝導率及び比透磁率とを算出し、直接又は制御部21を介して、磁場解析部22に対して出力する。各節点の温度と各要素の電気伝導率及び比透磁率は透過深度に影響する。
回路解析部26は、例えば、回路シミュレーションとして、高周波誘導加熱電源と整合器と高周波変成器と加熱コイルとの電気的な回路に関して回路方程式を用いた計算を行ってコイル電流又はコイル電圧を求め、その結果を磁場解析部22に対して出力する。これにより、加熱コイルとワークとの誘導加熱現象の時間的な変動についても評価することができる。
高周波焼入装置では、LCR共振回路を用いて一定条件の周波数の電力を加熱コイルに投入して、ワークを高周波誘導加熱している。しかしながら、ワークの温度分布の変化により、回路負荷が常時変動し、コイル電流、コイル電圧、共振周波数も変動する。高周波電源の制御方式としては、コイル電流、コイル電圧、投入電力のうちいずれかを一定に制御する方式がある。本実施形態においては、磁場解析部22の解析結果を回路解析部26の入力データとし、回路解析部26の解析結果を磁場解析部22の入力データとすることによって、磁場解析と回路解析とを連携させ、高周波焼入れシミュレーションの高精度化を図ることができる。
図2(b)に示すように、熱流体解析部27は、冷却装置の構成を表す構造モデルに基づいて、数値流体力学(Computational Fluid Dynamics)を用いた熱流体シミュレーションを行う。構造モデルは、冷却ジャケットの形状、ワークの形状、冷却ジャケットにおける冷却剤の噴射口とワークとの位置関係、冷却ジャケットから冷却剤が噴射される方向などの情報を含む。
熱流体解析部27には、入出力部10を介して冷却剤の物性及び流量を示すデータが入力される。また、熱処理解析部24から、ワーク表面温度を含む温度データ、及び、ワークの変形量を示すデータが入力される。入力データに基づき、熱流体解析部27は、熱流体シミュレーションにより、冷却剤の流れ解析を行い、ワークの表面における冷却剤の流速を算出する。なお、熱流体解析部27は、ワークの表面における冷却剤の流速に加えて、冷却剤の温度及び圧力を算出してもよい。
制御部21は、熱流体解析部27からワークの表面における冷却剤の流速が入力され、記憶部30に記憶されたワーク表面温度Tsと冷却剤の流速vと熱伝達率hとの関係(Tvh関係)を参照して熱伝達率hを取得し、熱処理解析部24に対して出力する。
図3は、横軸にワーク表面温度Tsをとり、縦軸にワーク表面における熱伝達率hをとって、ワーク表面温度Tsと冷却剤の流速vと熱伝達率hとの関係(Tvh関係)を示すグラフである。
図3は、冷却剤として水を用いた場合の例である。Tvh関係は、図3に示すものには限定されない。図3に示すようなTvh関係は実験によって取得してもよく、シミュレーションによって取得してもよく、モデル計算によって取得してもよい。各ワーク表面温度Ts及び各流速vにおける熱伝達率hは、冷却剤の沸騰現象を考慮して決定されている。
次に、本実施形態に係る冷却シミュレーション装置1の動作、すなわち、本実施形態に係る冷却シミュレーション方法について説明する。
ワークの焼入処理においては、加熱工程と冷却工程が連続して実施される。上述の如く、加熱工程においては、例えば高周波誘導加熱によってワークがオーステナイト変態点以上の温度に加熱され、冷却工程においては、例えば冷却剤が噴射されることによってワークが急冷される。
加熱シミュレーションによって、冷却シミュレーションの初期状態を決定することができる。例えば、ワークの表面の温度の初期値及びワークの内部の温度の初期値を、加熱シミュレーションによって決定することができる。なお、加熱シミュレーションは行わずに、冷却シミュレーションを行ってもよい。この場合は、冷却シミュレーションにおけるワークの表面の温度の初期値及びワークの内部の温度の初期値は、外部から入力する。
先ず、加熱工程のシミュレーションについて説明する。
図4は、本実施形態における加熱シミュレーション方法を示すフローチャートである。
図2(a)及び図4のステップS91に示すように、入出力部10を介して、演算部20に各種データを入力する。入力されたデータは記憶部30に記憶されてもよい。
次に、ステップS92に示すように、磁場解析部22が磁場解析を行い、要素毎のジュール損失量を示すデータを発熱量算出部23に対して出力する。このとき、回路解析部26が回路シミュレーションを行い、磁場解析部22と協働する。
次に、ステップS93に示すように、発熱量算出部23が各要素での発熱量を算出し、熱処理解析部24に対して出力する。
次に、ステップS94に示すように、熱処理解析部24が連成解析を行い、各節点の温度と各要素の金属組織体積分率を算出し、物性値更新部25に対して出力する。
次に、ステップS95に示すように、物性値更新部25が各節点の温度と各要素の電気伝導率及び比透磁率とを算出し、物性データを更新する。そして、更新後の物性データを磁場解析部22に対して出力する。
次に、ステップS96に示すように、連成回数が指定回数に達していなければ、ステップS92に戻る。連成回数が指定回数に達していたら、加熱シミュレーションを終了する。
このように、加熱シミュレーションを行うことにより、加熱工程の最終時点におけるワークの状態、すなわち、温度分布、金属組織体積分率分布、応力・ひずみ分布を推定することができる。このワークの状態を、次に説明する冷却シミュレーションの初期状態とすることができる。
次に、冷却工程のシミュレーションについて説明する。
先ず、本実施形態において想定する冷却方法について説明する。
図5は、本実施形態において想定する冷却装置を示す平面図である。
図6は、本実施形態において想定する冷却装置を示す端面図である。
図5及び図6に示すように、本実施形態において想定する冷却装置101においては、筐体110が設けられている。筐体110には給液管120が連結されている。給液管120の数は任意であるが、図5及び図6は4本である例を示している。筐体110内には、冷却ジャケット130が設けられている。冷却ジャケット130の形状は、例えば、上下方向に延びる筒状である。冷却ジャケット130には、多数の穴131が設けられている。穴131は規則的に配列されていてもよく、不規則に配置されていてもよい。
ワーク100に焼入処理を施す際には、上述の如く、高周波誘導加熱等の方法により、ワーク100をオーステナイト変態点以上の温度に加熱する。次に、ワーク100を冷却ジャケット130内に配置し、自転させる。この状態で、冷却剤200を給液管120を介して筐体110内に供給する。冷却剤200は例えば水である。冷却剤200は、筐体110と冷却ジャケット130との間のスペース140内を拡がりながら、冷却ジャケット130の穴131を通過して、ワーク100に対して噴射される。冷却剤200がワーク100に接触すると、ワーク100から熱を奪い、ワーク100を冷却する。
次に、冷却シミュレーション方法について説明する。
本実施形態においては、上述の冷却剤200がワーク100に接触してワーク100を冷却する工程をシミュレートし、ワーク100の各部の温度変化を計算する。
図7は、本実施形態に係る冷却シミュレーション方法を示すフローチャートである。
なお、図7は主として熱流体解析部27と熱処理解析部24の連携動作について示し、他の動作は省略している。
予め、装置1の入出力部10に冷却シミュレーション条件、例えば、ワークの初期状態、冷却ジャケットの形状、及び、冷却剤の情報を入力しておく。ワークの初期状態は、例えば、ワークの内部の温度分布の初期値、ワークの表面の温度分布の初期値、金属組織体積分率分布の初期値、及び、応力・ひずみ分布の初期値を含む。ワークの初期状態は上述の加熱シミュレーションによって決定してもよく、外部から入力してもよい。冷却剤の情報は、冷却剤の物性、温度、及び、流量を含む。冷却シミュレーション条件は、記憶部30に記憶される。演算部20が記憶部30に記憶された冷却シミュレーションプログラムを読み出し、これを実行する。このようにして、装置1は冷却シミュレーションを実施する。
先ず、図7のステップS1に示すように、演算部20は記憶部30からワーク表面温度Tsの初期値を読み込む。本シミュレーションにおいては、ワーク100の少なくとも一部、例えば、焼入対象部分について、多数の微小部分を設定し、各微小部分についてワーク表面温度Tsの初期値を読み込む。微小部分の一部はワーク100の表面を構成する。
次に、図2(b)及び図7のステップS2に示すように、演算部20の熱流体解析部27が熱流体シミュレーションを実施する。熱流体シミュレーションは、種々の方法により実施することができる。本実施形態においては、例えば、数値流体力学を用いた熱流体シミュレーションを行う。これにより、冷却装置101内における冷却剤200の流れ解析を行う。この結果、ワーク100の表面における冷却剤200の流速vが計算される。
本シミュレーションにおいては、ワーク100の表面を多数の微小領域に分割し、各微小領域について冷却剤200の流速vを計算する。すなわち、ワーク100の表面における冷却剤200の流速vの分布を計算する。流速vは、例えば、ワーク100の表面に平行な方向における冷却剤200の速度である。なお、ワーク100の微小部分と表面の微小領域は一対一で対応していてもよいが、必ずしも一対一で対応していなくてもよい。また、熱流体シミュレーションにより、ワーク100の表面における冷却剤200の流速vに加えて、ワーク100の表面における冷却剤200の温度Tq及び冷却剤200の圧力Pの分布を計算してもよい。
次に、ステップS3に示すように、演算部20が記憶部30に記憶されたTvh関係を参照することにより、ワーク表面温度Tsの初期値及び流速vに基づいて、熱伝達率hを取得する。例えば、記憶部30にTvh関係がテーブルとして記憶されている場合は、演算部20はこのテーブルにおいてワーク表面温度Tsの初期値及び流速vに対応するセルを特定し、このセルに記憶された値を読み出す。記憶部30にTvh関係が数式として記憶されている場合には、演算部20はこの数式にワーク表面温度Tsの初期値及び流速vを代入して熱伝達率hを算出する。熱伝達率hも微小領域毎に取得する。すなわち、演算部20はワーク100の表面における熱伝達率hの分布を取得する。
次に、ステップS4に示すように、演算部20の熱処理解析部24が、熱伝達率hに基づいて、ワーク100の温度変化を計算する。この計算は、例えば上述の如く、熱解析、組織解析、応力・ひずみ解析の連成解析によって行う。これにより、ワーク100全体の温度変化が計算され、その一部として、ワーク表面温度Tsの変化量ΔTsも計算される。但し、上述の連成解析以外の方法で温度変化を計算してもよい。
次に、ステップS5に示すように、温度変化後のワーク表面温度Tsを計算する。すなわち、(Ts+ΔTs)を新たなワーク表面温度Tsとする。
次に、ステップS6からステップS1に戻り、新たなワーク表面温度Tsを読み込む。このように、ステップS1~S6を繰り返すことにより、冷却シミュレーションを継続する。そして、連成回数が指定回数に達したら、冷却シミュレーションを終了する。
このようにして、冷却工程におけるワーク100の内部の温度分布の変化が計算され、冷却工程後のワーク100の金属組織(金属組織体積分率)分布、残留応力分布、硬さ分布、及び、変形量が計算される。この結果、焼入処理後のワーク100の特性が、要求される水準を満たしているかどうかを判断できる。
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、予め、ワーク表面温度Tsと冷却剤の流速vと熱伝達率hとの関係(Tvh関係)を取得し、これを利用して冷却シミュレーションを行うことにより、沸騰現象をモデル化して計算する必要がない。すなわち、予めTvh関係を取得しておくことにより、ワーク表面温度Ts及び流速vが与えられると、ワーク表面の熱伝達率hを直ちに取得することができる。これにより、短い計算時間で精度が高いシミュレーションを行うことができる。
図3に示すように、冷却剤の流速が高いほど熱伝達率は高くなる。また、各流速において、熱伝達率はワーク表面温度が100℃付近の場合に最大値をとり、温度がそれより高くても低くても熱伝達率は減少する。これは、ワーク表面温度が100℃よりも大幅に低い温度範囲では、冷却剤である水が沸騰しないため、温度が高いほど熱伝達率が増加するものと考えられる。
一方、ワーク表面温度が100℃付近になると、冷却剤の沸騰が始まる。ワーク表面温度が高くなるにつれて、沸騰の態様が核沸騰から遷移沸騰を経て膜沸騰に変化する。このため、ワーク表面温度が高いほど、ワークと冷却剤との接触が蒸気によって妨げられて、熱伝達率が低下するものと考えられる。上述の如く、沸騰現象のメカニズムは複雑であるが、本実施形態によれば、熱伝達率を沸騰現象を組み込んだ値としているため、冷却シミュレーションにおいて沸騰現象自体をシミュレートする必要はなく、計算時間を短縮できる。
また、本実施形態によれば、図7のステップS2に示す工程において、ワーク100の表面を多数の微小領域に区画し、微小領域毎にワーク表面温度Ts及び冷却剤の速度vを算出している。これにより、ステップS3に示す工程において、微小領域毎に熱伝達率hを取得することができる。この結果、熱伝達率として単一の値を用いる場合と比較して、ワーク100の内部の温度を精度良く計算することができ、冷却シミュレーションの精度を格段に向上させることができる。
さらに、本実施形態によれば、図2(b)に示すように、冷却剤200の熱流体解析と連動させて、ワーク100の熱処理解析を行っている。そして、熱流体解析と熱処理解析との間で、データを相互にフィードバックしている。また、熱処理解析は、熱解析、組織解析、応力・ひずみ解析の連成解析としている。これにより、焼入処理後のワークの硬さ、変形量、残留応力の予測が可能となる。また、冷却工程におけるワーク100の変形を熱流体解析にフィードバックすることにより、ワーク100の変形が冷却剤200の流通に及ぼす影響を考慮できる。この結果、冷却シミュレーションの精度がより向上する。
さらにまた、本実施形態によれば、冷却シミュレーションの初期値を加熱シミュレーションにより決定することができる。この結果、冷却シミュレーションの精度がより向上する。
<第2の実施形態>
図8は、本実施形態に係る冷却シミュレーション方法を示すフローチャートである。
図8に示すように、本実施形態においては、ステップS12に示すように、熱流体シミュレーションにより、ワーク表面における冷却剤の流速vに加えて、ワーク表面における冷却剤の温度Tq及び冷却剤の圧力Pも計算する。そして、ステップS13に示すように、ワーク表面温度Ts、冷却剤の流速v、冷却剤の温度Tq、及び、冷却剤の圧力Pに基づいて、熱伝達率hを取得する。記憶部30には、ワーク表面温度Tsと冷却剤の流速vと冷却剤の温度Tqと冷却剤の圧力Pと熱伝達率hとの関係を記憶しておく。
この関係は例えばテーブルとして記憶してもよく、数式として記憶してもよい。数式の場合は、以下のように、熱伝達率hを、ワーク表面温度Ts、冷却剤の流速v、冷却剤の温度Tq、及び、冷却剤の圧力Pの関数として記述する。
h=f(Ts,v,Tq,P)
なお、熱伝達率hをより精度良く計算するために、上述の関数において、パラメータを追加してもよい。
本実施形態における上記以外のステップは、第1の実施形態と同様である。
本実施形態によれば、ワーク表面温度Ts及び冷却剤の流速vに加えて、ワーク100の表面における冷却剤200の温度Tq及び圧力Pも加味して熱伝達率hを取得することにより、より高精度なシミュレーションが可能となる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第1の実施形態と同様である。
<第3の実施形態>
次に、上述した冷却シミュレーション方法、冷却シミュレーションプログラム又は冷却シミュレーション装置を用いたワークの冷却方法について説明する。
図9は、本実施形態に係るワークの冷却方法を示すフローチャートである。
先ず、図9のステップS21に示すように、形状が異なる複数の冷却ジャケットを想定して、各冷却ジャケットの形状を表すデータを作成する。想定する冷却ジャケットは、例えば、図5及び図6に示す冷却ジャケット130のような形状であってもよい。冷却ジャケットの形状を表すデータは、例えば、冷却ジャケットの直径及び軸方向の長さ、並びに、冷却剤を噴射する穴の大きさ、数及び配置を含む。
次に、図9のステップS22に示すように、ステップS21で作成したデータを用いて、冷却シミュレーションを行い、ワーク内部の温度変化を計算する。この冷却シミュレーションの方法は、前述の第1又は第2の実施形態で説明したとおりである。冷却シミュレーションは、第1の実施形態において説明した冷却シミュレーション装置を用いて行ってもよく、汎用のコンピューターに冷却シミュレーションプログラムを実行させることにより、行ってもよい。
冷却シミュレーションプログラムは、加熱されたワークの表面に冷却剤を接触させた場合の前記ワークの内部の温度変化を予測する冷却シミュレーションプログラムである。この冷却シミュレーションプログラムは、コンピューターに、熱流体シミュレーションによる冷却剤の流れ解析によりワークの表面における冷却剤の流速を計算させ、ワークの表面の温度及び計算された流速に基づいてワークの内部の温度変化を計算させる。
次に、図9のステップS23に示すように、ステップS22において実行した冷却シミュレーション結果に基づいて、冷却ジャケットの最適な形状を決定する。例えば、冷却後のワークの金属組織(金属組織体積分率)分布、残留応力分布、硬さ分布、及び、変形量の計算結果に基づいて、冷却後のワークの特性を評価し、ワークの特性が要求特性に最も近くなった冷却ジャケットを選定する。
次に、図9のステップS24に示すように、ステップS23において決定した最適な形状の冷却ジャケットを実際に作製する。
次に、図9のステップS25に示すように、ステップS24において作製した冷却ジャケットを用いて、ワークを冷却する。ワークは、例えば、冷却前にオーステナイト変態点以上の温度まで加熱しておく。これにより、ワークに焼入処理を施すことができる。
本実施形態によれば、冷却条件、例えば、冷却ジャケットの形状を、低コスト且つ短時間で最適化することができる。これにより、冷却後のワーク、例えば焼入処理後のワークの高精度化及び高品質化を図ることができる。例えば、冷却後のワークの形状を高精度化し、残留応力を制御することにより変形を抑制し、表面状態を所望の状態にすることができる。
なお、本実施形態においては、最適化する冷却条件が冷却ジャケットの形状である例を説明したが、最適化する冷却条件はこれには限定されず、例えば、冷却剤の物性、冷却剤の流量、冷却剤の温度、冷却ジャケットにおける冷却剤の噴射口とワークとの位置関係、冷却ジャケットから冷却剤が噴射される方向などであってもよい。
<試験例>
次に、第1の実施形態の効果を示す試験例について説明する。
図10(a)は本試験例において想定及び作製した冷却装置を示す斜視透過図であり、図10(b)はワーク表面温度Tsの初期値を示す図である。
図11(a)は本試験例において計算された冷却剤の外観を示す図であり、図11(b)は流速分布を示す図である。
図10(a)に示すように、本試験例において想定した冷却装置103の基本的な構成は、図5及び図6に示す冷却装置101と同様である。本試験例において想定した冷却装置103においては、筐体110に5本の給液管120が連結されている。冷却ジャケット130の形状は円筒状であり、その高さは68mmであり、内径は140mmである。穴131の数は330個であり、各穴131の直径は2mmである。
冷却ジャケット130と筐体110との間には、円筒形の整流板135が設けられている。整流板135には、24個の穴136が設けられている。穴136は、上下に2個、周方向に12個配列されている。ワーク100の形状はリング状とし、その高さは50mmとし、外径は100mmとし、内径は80mmとした。冷却剤200として水を用いた。冷却剤200の流量は200L/minとし、温度は20℃とした。
上述の条件により、第1の実施形態において説明した方法によって、熱流体シミュレーションを実施した。図11(a)に示すように、冷却剤200は冷却装置103から溢れ出し、ワーク100の側面全体に行き渡った。図11(b)に示すように、冷却剤200の流速vの分布は、冷却ジャケット130の穴131の分布を反映した分布となった。
また、本試験例においては、第1の実施形態において説明した冷却シミュレーションを行って、温度変化を計算した。また、実際に冷却処理を行って、温度変化を測定した。以下、シミュレーションの結果を「計算値」といい、実際の冷却処理による測定値を「実測値」という。
図12(a)及び(b)は、横軸に時間をとり縦軸に温度をとって、ワーク表面温度の変化を示すグラフであり、図12(a)は実測値を示し、図12(b)は計算値を示す。
図10(b)に示すように、ワーク100の中央部100bの初期温度を920℃とし、上部100a及び下部100cの初期温度を870℃とした。また、ワーク100の自転速度を200rpmとした。
図12(a)に示すように、実測値においては、冷却開始から0.5秒間は冷却速度が小さく、0.5秒を経過してから冷却速度が大きくなった。0.5秒経過後においては、各時点において、上部の温度が下部の温度よりも低かった。図12(b)に示すように計算値においても、冷却開始から0.5秒間は冷却速度が小さく、0.5秒を経過してから冷却速度が大きくなった。0.5秒経過後においては、各時点において、上部の温度が下部の温度よりも低かった。このように、本試験例によれば、実測値と計算値で冷却挙動は概ね一致した。
前述の各実施形態は、本発明を具現化した例であり、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、前述の各実施形態において、いくつかの構成要素を追加、削除又は変更したものも本発明に含まれる。
本発明は、以下の態様を含む。
(付記1)
加熱されたワークの表面に冷却剤を接触させた場合の前記ワークの内部の温度変化を予測する冷却シミュレーション方法であって、
熱流体シミュレーションによる前記冷却剤の流れ解析により前記ワークの表面における前記冷却剤の流速を計算し、前記ワークの表面の温度及び前記計算された流速に基づいて前記ワークの内部の温度変化を計算する冷却シミュレーション方法。
(付記2)
前記ワークの表面の温度及び前記流速に基づいて前記ワークの表面における熱伝達率を推定し、前記熱伝達率を用いて前記ワークの内部の温度変化を計算する付記1に記載の冷却シミュレーション方法。
(付記3)
前記熱伝達率の値は、前記冷却剤の沸騰現象を考慮して決定されたものである付記2に記載の冷却シミュレーション方法。
(付記4)
前記熱流体シミュレーションにより、前記ワークの表面における前記冷却剤の温度及び前記冷却剤の圧力も計算し、前記ワークの表面の温度、前記冷却剤の流速、前記冷却剤の温度及び前記冷却剤の圧力に基づいて前記ワークの内部の温度変化を計算する付記1に記載の冷却シミュレーション方法。
(付記5)
前記ワークの表面の温度、前記冷却剤の流速、前記冷却剤の温度及び前記冷却剤の圧力に基づいて、前記ワークの表面における熱伝達率を推定し、前記熱伝達率を用いて前記ワークの内部の温度変化を計算する付記4に記載の冷却シミュレーション方法。
(付記6)
前記ワークの内部の温度変化を計算するときに、前記ワークの組織、応力及びひずみも計算する付記1~5のいずれか1つに記載の冷却シミュレーション方法。
(付記7)
前記ワークの変形を前記熱流体シミュレーションにフィードバックする付記6に記載の冷却シミュレーション方法。
(付記8)
前記ワークの内部の温度変化を前記熱流体シミュレーションにフィードバックする付記1~7のいずれか1つに記載の冷却シミュレーション方法。
(付記9)
前記ワークの表面の温度の初期値及び前記ワークの内部の温度の初期値を、前記ワークを高周波誘導加熱した場合のシミュレーションにより求める付記1~8のいずれか1つに記載の冷却シミュレーション方法。
(付記10)
加熱されたワークの表面に冷却剤を接触させた場合の前記ワークの内部の温度変化を予測する冷却シミュレーションプログラムであって、
コンピューターに、熱流体シミュレーションによる前記冷却剤の流れ解析により前記ワークの表面における前記冷却剤の流速を計算させ、前記ワークの表面の温度及び前記計算された流速に基づいて前記ワークの内部の温度変化を計算させる冷却シミュレーションプログラム。
(付記11)
加熱されたワークの表面に冷却剤を接触させた場合の前記ワークの内部の温度変化を予測する冷却シミュレーション装置であって、
熱流体シミュレーションによる前記冷却剤の流れ解析により前記ワークの表面における前記冷却剤の流速を計算し、前記ワークの表面の温度及び前記計算された流速に基づいて前記ワークの内部の温度変化を計算する演算部を備えた冷却シミュレーション装置。
(付記12)
前記ワークの表面の温度、前記冷却剤の流速及び前記表面における熱伝達率の関係を記憶した記憶部をさらに備え、
前記演算部は、前記ワークの表面の温度及び前記計算された流速に基づいて前記記憶部から前記熱伝達率を取得し、読み出した前記熱伝達率を用いて前記ワークの内部の温度変化を計算する付記11に記載の冷却シミュレーション装置。
(付記13)
付記1~9のいずれか1つに記載の冷却シミュレーション方法により冷却条件を決定する工程と、
前記決定された冷却条件によりワークを冷却する工程と、
を備えたワークの冷却方法。
(付記14)
前記冷却条件は、冷却ジャケットの形状を含み、
前記ワークを冷却する工程において、前記冷却条件を決定する工程において決定された前記形状の冷却ジャケットを用いる付記13に記載のワークの冷却方法。
1:冷却シミュレーション装置
10:入出力部
20:演算部
21:制御部
22:磁場解析部
23:発熱量算出部
24:熱処理解析部
25:物性値更新部
26:回路解析部
27:熱流体解析部
30:記憶部
100:ワーク
100a:上部
100b:中央部
100c:下部
101、103:冷却装置
110:筐体
120:給液管
130:冷却ジャケット
131:穴
135:整流板
136:穴
140:スペース
200:冷却剤

Claims (12)

  1. 加熱されたワークの表面に冷却剤を接触させた場合の前記ワークの内部の温度変化を予測する冷却シミュレーション方法であって、
    熱流体シミュレーションによる前記冷却剤の流れ解析により前記ワークの表面における前記冷却剤の流速を計算し、前記ワークの表面の温度及び前記計算された流速に基づいて前記ワークの表面における熱伝達率を推定し、前記熱伝達率を用いて前記ワークの内部の温度変化を計算する冷却シミュレーション方法。
  2. 前記熱伝達率の値は、前記冷却剤の沸騰現象を考慮して決定されたものである請求項に記載の冷却シミュレーション方法。
  3. 加熱されたワークの表面に冷却剤を接触させた場合の前記ワークの内部の温度変化を予測する冷却シミュレーション方法であって、
    熱流体シミュレーションによる前記冷却剤の流れ解析により前記ワークの表面における前記冷却剤の流速、前記ワークの表面における前記冷却剤の温度及び前記冷却剤の圧力を計算し、前記ワークの表面の温度前記計算された流速、前記冷却剤の温度及び前記冷却剤の圧力に基づいて前記ワークの内部の温度変化を計算する冷却シミュレーション方法。
  4. 前記ワークの表面の温度、前記冷却剤の流速、前記冷却剤の温度及び前記冷却剤の圧力に基づいて、前記ワークの表面における熱伝達率を推定し、前記熱伝達率を用いて前記ワークの内部の温度変化を計算する請求項に記載の冷却シミュレーション方法。
  5. 前記ワークの内部の温度変化を計算するときに、前記ワークの組織、応力及びひずみも計算する請求項1に記載の冷却シミュレーション方法。
  6. 前記ワークの変形を前記熱流体シミュレーションにフィードバックする請求項に記載の冷却シミュレーション方法。
  7. 前記ワークの内部の温度変化を前記熱流体シミュレーションにフィードバックする請求項1~のいずれか1つに記載の冷却シミュレーション方法。
  8. 前記ワークの表面の温度の初期値及び前記ワークの内部の温度の初期値を、前記ワークを高周波誘導加熱した場合のシミュレーションにより求める請求項1に記載の冷却シミュレーション方法。
  9. 加熱されたワークの表面に冷却剤を接触させた場合の前記ワークの内部の温度変化を予測する冷却シミュレーションプログラムであって、
    コンピューターに、熱流体シミュレーションによる前記冷却剤の流れ解析により前記ワークの表面における前記冷却剤の流速を計算させ、前記ワークの表面の温度及び前記計算された流速に基づいて前記ワークの表面における熱伝達率を推定し、前記熱伝達率を用いて前記ワークの内部の温度変化を計算させる冷却シミュレーションプログラム。
  10. 加熱されたワークの表面に冷却剤を接触させた場合の前記ワークの内部の温度変化を予測する冷却シミュレーション装置であって、
    熱流体シミュレーションによる前記冷却剤の流れ解析により前記ワークの表面における前記冷却剤の流速を計算し、前記ワークの表面の温度及び前記計算された流速に基づいて前記ワークの内部の温度変化を計算する演算部と、
    前記ワークの表面の温度、前記冷却剤の流速及び前記表面における熱伝達率の関係を記憶した記憶部を、
    備え
    前記演算部は、前記ワークの表面の温度及び前記計算された流速に基づいて前記記憶部から前記熱伝達率を取得し、読み出した前記熱伝達率を用いて前記ワークの内部の温度変化を計算する冷却シミュレーション装置。
  11. 請求項1または3に記載の冷却シミュレーション方法により冷却条件を決定する工程と、
    前記決定された冷却条件によりワークを冷却する工程と、
    を備えたワークの冷却方法。
  12. 前記冷却条件は、冷却ジャケットの形状を含み、
    前記ワークを冷却する工程において、前記冷却条件を決定する工程において決定された前記形状の冷却ジャケットを用いる請求項11に記載のワークの冷却方法。
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