JP7429408B2 - 酸化ガリウムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化ガリウムの製造方法に関する。
酸化ガリウムには、α、β、γ、δ、εの5種類の結晶多形が存在しており、β-酸化ガリウム(β-Ga)が最も安定した構造を有している。γ-酸化ガリウム(γ-Ga)は、酸化ガリウムの準安定構造の一つであり、β-Gaよりも優れた触媒特性を有しているが、β-Gaと比べて合成が困難であるとされている。
従来のγ-Gaの製造方法として、硝酸ガリウム水和物を尿素と共に蒸留水に溶解させた後、それを500℃で燃焼することにより、粒径が4~30 nmのγ-Gaナノ粒子を得る方法(例えば、非特許文献1参照)や、金属ガリウムとモノエタノールアミン溶媒とを用いて、240℃で72時間のソルボサーマル処理を行うことにより、粒径30 nmのγ-Gaナノ粒子を得る方法(例えば、非特許文献2参照)、Ga(NOと尿素とを脱イオン水に溶解させ、150℃で10分のマイクロ波水熱処理を行うことにより、5~7 nmのγ-Gaナノ粒子を得る方法(例えば、非特許文献3参照)が開発されている。
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しかしながら、非特許文献1に記載の方法では、前駆体を500℃まで燃焼するため、高温処理のための設備が必要となり、設備費などの製造コストが嵩むという課題があった。また、非特許文献2および3に記載の方法では、ソルボサーマル処理または水熱処理による生成物を分離・洗浄する必要があり、その工程が非常に複雑であるという課題があった。また、複雑な分離・洗浄の工程により、製造コストが嵩むという課題もあった。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、低温かつ比較的簡単な工程でγ-Gaを製造することができ、製造コストを低減することができる酸化ガリウムの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る酸化ガリウムの製造方法は、液体のガリウムと、ヒドラジン一水和物から成る還元剤とを含む原料溶液に対して超音波を照射することにより、少なくとも表面にγ-酸化ガリウム(γ-Ga)の結晶を有する粒子を形成することを特徴とする。
通常、液体のガリウムと水とを含む溶液に対して超音波を照射すると、水(HO)が分解されてラジカルが発生し、オキシ水酸化ガリウム(GaOOH)が得られる。本発明に係る酸化ガリウムの製造方法では、原料溶液に還元剤を加えることにより、オキシ水酸化ガリウム(GaOOH)の生成を抑制し、ガリウムと原料溶液中の水とを直接反応させて、γ-Gaを生成することができる。また、本発明に係る酸化ガリウムの製造方法では、原料溶液に超音波を照射することにより、ガリウムの粒子を微細化することができる。これにより、微細化されたガリウム粒子の表面からγ-Gaの結晶を成長させることができ、少なくとも表面にγ-Gaの結晶を有する粒子を形成することができる。
本発明に係る酸化ガリウムの製造方法は、燃焼工程や複雑な分離・洗浄工程が不要であり、原料溶液に超音波を照射するだけの低温かつ比較的簡単な工程でγ-Gaを製造することができ、製造コストを低減することができる。
本発明に係る酸化ガリウムの製造方法は、前記原料溶液に対して、20kHz乃至500kHzの超音波を、1乃至48時間照射することが好ましい。この場合、形成される粒子を、平均粒径が1nm~600nmに微細化することができる。また、超音波を10時間以上照射することが特に好ましい。この場合、形成される粒子の粒径を、さらに小さくすることができる。
本発明に係る酸化ガリウムの製造方法は、形成された粒子を、前記超音波を照射後の前記原料溶液からいかなる方法で回収してもよく、例えば、原料溶液を乾燥させることにより、形成された粒子を回収してもよい。乾燥は、真空乾燥であっても、常圧乾燥であってもよい。
本発明に係る酸化ガリウムの製造方法は、前処理として、前記液体のガリウムを含む溶液に対して超音波を照射した後、その溶液に前記還元剤を加えて前記原料溶液を調製してもよい。この場合、前処理により、あらかじめガリウムの粒子を微細化しておくことにより、形成される粒子を小さくすることができ、例えば、平均粒径が1nm~100nmのγ-酸化ガリウムのナノ粒子を形成することもできる。
本発明に係る酸化ガリウムの製造方法は、前記粒子に対して、300℃~500℃または700℃~900℃の熱処理を行ってもよい。この場合、300℃~500℃の熱処理を行うことにより、優れた光触媒能を有するγ-Gaの結晶を得ることができる。また、700℃~900℃の熱処理を行うことにより、優れた光触媒能を有するβ-Gaの結晶を得ることができる。
本発明によれば、低温かつ比較的簡単な工程でγ-Gaを製造することができ、製造コストを低減することができる酸化ガリウムの製造方法を提供することができる。
(a)~(c)本発明の実施の形態の酸化ガリウムの製造方法を示す斜視図である。 図1に示す酸化ガリウムの製造方法により、HO:N・HO=1:1、1:1.5、1:2の溶媒を用い、超音波照射時間を24時間として作製された各試験試料のXRDスペクトルである。 図1に示す酸化ガリウムの製造方法により、(a)HO:N・HO=1:1、(b)1:1.5、(c)1:2の溶媒を用い、超音波照射時間を24時間として作製された各試験試料の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である[(a)の挿入図は、一部を拡大したもの]。 図1に示す酸化ガリウムの製造方法により、N・HOの溶媒を用い、超音波照射時間を3時間、6時間、12時間、24時間として作製された各試験試料のXRDスペクトルである。 図1に示す酸化ガリウムの製造方法により、N・HOの溶媒を用い、超音波照射時間を(a)3時間、(b)6時間、(c)12時間、(d)24時間として作製された各試験試料のSEM写真である[(b)~(d)の挿入図は、1つの粒子を拡大したもの]。 図5に示す各試験試料の、超音波照射時間と平均粒径との関係を示すグラフである。 図1に示す酸化ガリウムの製造方法により、溶媒として水を用い、超音波照射時間を3時間、6時間、12時間、24時間として作製された各比較試料のXRDスペクトルである。 図1に示す酸化ガリウムの製造方法により、溶媒として水を用い、超音波照射時間を(a)3時間、(b)6時間、(c)12時間、(d)24時間として作製された各比較試料のSEM写真である。 本発明の実施の形態の酸化ガリウムの製造方法の、前処理を有する変形例により、試験試料を製造したときの、前処理後の粒子の(a)XRDスペクトル、(b)SEM写真である。 本発明の実施の形態の酸化ガリウムの製造方法の、前処理を有する変形例により、N・HOの溶媒を用い、超音波照射時間を3時間、6時間、12時間、24時間として作製された各試験試料のXRDスペクトルである。 本発明の実施の形態の酸化ガリウムの製造方法の、前処理を有する変形例により、N・HOの溶媒を用い、超音波照射時間を3時間、6時間、12時間、24時間として作製された各試験試料のSEM写真である。 図1に示す酸化ガリウムの製造方法により、N・HOの溶媒を用い、超音波照射時間を24時間として作製された試験試料に対して熱処理を行ったときの、熱処理前、ならびに、400℃、600℃および800℃の熱処理後のXRDスペクトルである。 図1に示す酸化ガリウムの製造方法により、N・HOの溶媒を用い、超音波照射時間を24時間として作製された試験試料に対して熱処理を行ったときの、(a)熱処理前、(b)400℃、(c)600℃、(d)800℃の熱処理後のSEM写真である。 図1に示す酸化ガリウムの製造方法により、N・HOの溶媒を用い、超音波照射時間を24時間として作製された試験試料に対して熱処理を行ったときの、(a)熱処理前、(b)400℃、(c)600℃、(d)800℃の熱処理後の、光触媒能試験の各紫外線照射時間での吸収スペクトルである。 図14に示す熱処理前後の各試験試料に対する光触媒能試験での、吸収スペクトルのピークの時間変化を示すグラフである。
以下、実施例等に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施の形態の酸化ガリウムの製造方法は、まず、液体のガリウムと還元剤とを含む原料溶液に対して超音波を照射する。このとき、例えば、超音波の周波数は20kHz乃至500kHzであり、照射時間は1乃至48時間である。また、還元剤は、例えば、エチレングリコール、ホルムアルデヒド、クエン酸、アスコルビン酸、水酸化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム、ヒドラジンなどである。
超音波の照射により、少なくとも表面にγ-酸化ガリウム(γ-Ga)の結晶を有する粒子を形成し、その後、原料溶液を真空乾燥させることにより、形成された粒子を回収する。形成された粒子は、平均粒径が1nm~600nmである。
次に、作用について説明する。
本発明の実施の形態の酸化ガリウムの製造方法では、原料溶液に還元剤を加えることにより、オキシ水酸化ガリウム(GaOOH)の生成を抑制し、ガリウムと原料溶液中の水とを直接反応させて、γ-Gaを生成することができる。また、本発明の実施の形態の酸化ガリウムの製造方法では、原料溶液に超音波を照射することにより、ガリウムの粒子を微細化することができる。これにより、微細化されたガリウム粒子の表面からγ-Gaの結晶を成長させることができ、少なくとも表面にγ-Gaの結晶を有する粒子を形成することができる。
本発明の実施の形態の酸化ガリウムの製造方法は、燃焼工程や複雑な分離・洗浄工程が不要であり、原料溶液に超音波を照射するだけの低温かつ比較的簡単な工程でγ-Gaを製造することができ、製造コストを低減することができる。
なお、本発明の実施の形態の酸化ガリウムの製造方法は、前処理として、液体のガリウムを含む溶液に対して超音波を照射した後、その溶液に還元剤を加えて原料溶液を調製してもよい。この場合、前処理により、あらかじめガリウムの粒子を微細化しておくことにより、形成される粒子を小さくすることができ、例えば、平均粒径が1nm~100nmのγ-酸化ガリウムのナノ粒子を形成することもできる。
本発明の実施の形態の酸化ガリウムの製造方法により、γ-Gaを製造し、X線回折(XRD)分析、顕微鏡観察などを行った。まず、図1(a)に示すように、三角フラスコ(容積;300 mL)に、溶媒50 mLとガリウム約1 gとを入れ、30℃の水槽中に固定してガリウムを液体にし、原料溶液を作製した。ガリウムが液体になったことを確認した後、図1(b)に示すように、原料溶液に対し超音波照射装置(本田電子株式会社製)により超音波照射を行った。超音波の出力は100 W、周波数は24 kHzとした。また、超音波照射中は、溶媒の温度を30℃に保持した。図1(c)に示すように、超音波照射後の原料液体を真空乾燥させて、粉末状の粒子を回収し、これを試験試料とした。
還元剤としてヒドラジン(N)を用い、溶媒を純水(HO)とヒドラジン一水和物(N・HO)との混合溶液とし、HO:N・HO=1:1、1:1.5、1:2の3種類の溶媒から、3種類の試験試料を作製した。超音波の照射時間は24時間とした。作製した各試験試料のXRDスペクトルおよび走査型電子顕微鏡(SEM)写真を、それぞれ図2および図3に示す。
図2に示すように、HO:N・HO=1:1の試験試料では、GaOOHおよびγ-Gaのピークが認められ、試験試料の粒子の表面に、GaOOHおよびγ-Gaが存在していることが確認された。また、HO:N・HO=1:1.5、1:2の2つの試験試料では、γ-Gaのピークのみが認められ、試験試料の粒子の表面に、γ-Gaが単相で存在していることが確認された。これらの結果から、還元剤としてヒドラジン(N)を用いることにより、γ-Gaを生成できることが確認された。
図3(a)に示すように、HO:N・HO=1:1の試験試料では、粒子状の部分と針状の部分とが確認された。また、図3(b)および(c)に示すように、HO:N・HO=1:1.5、1:2の2つの試験試料では、粒子状の生成物のみが確認された。図2の結果と合わせると、図3(a)~(c)の粒子状の部分はγ-Gaであり、図3(a)の針状の部分はGaOOHであると考えられる。また、γ-Gaの単相が得られた図3(b)および(c)の粒子の平均粒径(Dave)は、それぞれ318.4 nm、および、226.1 nmであった。このことから、還元剤の量が増えると粒子粒径が小さくなると考えられる。なお、図3(a)の粒子(粒子状の部分)の平均粒径は、209.1 nmであった。
図1に示す方法により、実施例1と同様にして試験試料を作製した。還元剤としてヒドラジン(N)を用い、溶媒をヒドラジン一水和物(N・HO)とし、超音波の照射時間が3時間、6時間、12時間、24時間の4種類の試験試料を作製した。作製した各試験試料のXRDスペクトルおよび走査型電子顕微鏡(SEM)写真を、それぞれ図4および図5に示す。
図4に示すように、超音波照射時間が3時間の試験試料では、Gaおよびγ-Gaのピークが認められ、試験試料の粒子の表面に、γ-Gaが存在しているが、ガリウムも残存していることが確認された。また、超音波照射時間が6時間~24時間の3つの試験試料では、γ-Gaのピークのみが認められ、試験試料の粒子の表面に、γ-Gaが単相で存在していることが確認された。また、超音波照射時間が長くなるに従って、γ-Gaのピークが鋭くなっており、結晶性が向上していることが確認された。
図5(a)~(d)に示すように、全ての試験試料で、粒子状の生成物が凝集している様子が確認された。また、超音波の照射時間が長くなるに従って、粒子の平均粒径(Dave)が小さくなっていることも確認された。また、超音波の照射時間が長くなるに従って、粒子表面の凸部が増加して大きくなっていることも確認された。このことから、ガリウム粒子の表面から酸化が進行しているものと考えられる。そこで、図5(a)~(d)の各試験試料の粒子を乳鉢ですり潰したところ、超音波照射時間が3時間~12時間のものは、金属ガリウム特有の延性と光沢を示すことが確認された。このため、これらの試験試料の粒子の内部にはガリウムが残存しており、γ-Gaによって被覆された構造を有していると考えられる。また、超音波照射時間が24時間のものは、金属ガリウム特有の延性や光沢は認められなかったため、粒子の内部にはガリウムがほとんど残存しておらず、粒子全体がほぼγ-Gaから成っていると考えられる。
超音波照射時間と平均粒径との関係を、図6に示す。図6に示すように、超音波の照射時間が長くなるに従って、粒子の平均粒径は小さくなるが、超音波照射時間が12時間より長くなっても、粒子の微細化が進行していないことが確認された。この原因としては、γ-Gaによる粒子の硬化が考えられる。すなわち、超音波照射を開始してから12時間までは、粒子の表面に生成されたγ-Gaの膜が薄いため、キャビテーション圧壊に伴う衝撃波により粒子の微細化が進行するが、超音波照射時間が12時間を超えると、粒子の表面のγ-Gaの厚みが大きくなるため、粒子が硬化して微細化が進行しなくなったと考えられる。
[比較例]
実施例1および実施例2と比較するため、溶媒を水のみとして、図1に示す方法により、超音波の照射時間が3時間、6時間、12時間、24時間の4種類の比較試料を作製した。作製した各比較試料のXRDスペクトルおよび走査型電子顕微鏡(SEM)写真を、それぞれ図7および図8に示す。
図7に示すように、全ての比較試料で、GaOOHのピークが認められ、γ-Gaのピークは全く認められなかった。このことから、比較試料の粒子の表面には、GaOOHのみが存在しており、γ-Gaは生成されていないことが確認された。また、図8(a)~(d)に示すように、全ての比較試料で、粒子状の生成物が凝集しており、超音波の照射時間が長くなるに従って、粒子の粒径が小さくなっている様子が確認された。このように、還元剤を用いない場合には、γ-Gaを生成することはできないことが確認された。
前処理を行ったガリウムを用いて、試験試料を作製した。前処理では、まず、三角フラスコ(容積;300 mL)に、トルエン100 mLとガリウム約1 gとを入れ、30℃の水槽中に固定してガリウムを液体にした。その溶液に対し超音波照射装置(本田電子株式会社製)により、窒素雰囲気で超音波を24時間照射した。超音波の出力は100 W、周波数は24 kHzとした。超音波照射後、その三角フラスコに還元剤を加えて原料溶液とし、図1に示す方法により、実施例1と同様にして試験試料を作製した。なお、還元剤としてヒドラジン(N)を用い、三角フラスコにヒドラジン一水和物(N・HO)を加えた。また、超音波の照射時間が3時間、6時間、12時間、24時間の4種類の試験試料を作製した。
前処理で超音波を24時間照射した後の溶液を、真空乾燥させて粉末状の粒子を回収し、その前処理後の粒子について、X線回折(XRD)分析、顕微鏡観察などを行った。また、各試験試料についても、X線回折(XRD)分析、顕微鏡観察などを行った。前処理後の粒子のXRDスペクトルおよび走査型電子顕微鏡(SEM)写真を、それぞれ図9(a)および(b)に示す。また、作製した各試験試料のXRDスペクトルおよび走査型電子顕微鏡(SEM)写真を、それぞれ図10および図11に示す。
前処理後の粒子では、図9(a)に示すように、Gaのピークと、2θ=30°~40°付近にブロードなγ-Gaのピークとが認められた。このブロードなピークは、空気や水蒸気、または溶媒に溶存した気体と反応して形成された酸化ガリウム被膜、あるいは、アモルファス状態のガリウムによりものと考えられる。また、図9(b)に示すように、粒子が凝集している様子が確認され、その平均粒径は約320 nmであった。
各試験試料では、図10に示すように、全ての試験試料で、γ-Gaのピークのみが認められ、試験試料の粒子の表面に、γ-Gaが単相で存在していることが確認された。また、超音波照射時間が長くなるに従って、γ-Gaのピークが鋭くなっており、結晶性が向上していることが確認された。また、図4の結果と異なり、超音波照射時間が3時間のときにも、γ-Gaの単相が得られていることが確認された。これは、前処理によりガリウム粒子が微細化され、比表面積が大きくなっていることから、酸化が迅速に進行したためであると考えられる。
図11(a)~(d)に示すように、全ての試験試料で、平均粒径が約320 nm~340 nmの粒子が凝集している様子が確認された。図9(b)に示すように、前処理後のガリウム粒子の平均粒径が約320 nmであることから、その粒子径を保持したまま、各試験試料が得られていることが確認された。このことから、前処理により、ガリウム粒子をさらに微細化しておくことにより、γ-Ga粒子を小さくすることができると考えられる。例えば、前処理により、平均粒径が1nm~100nmのガリウム粒子を作製することにより、γ-Gaのナノ粒子を得ることができると考えられる。
図5(d)に示す、実施例2の超音波照射時間が24時間の試験試料に対して、大気中で、400℃、600℃または800℃で3時間の熱処理を行った。熱処理前の試料および熱処理後の各試料の、XRDスペクトルおよび走査型電子顕微鏡(SEM)写真を、それぞれ図12および図13に示す。
図12に示すように、熱処理温度が400℃の試料では、γ-Gaのピークのみが認められ、熱処理前とほぼ同じパターンであることが確認された。熱処理温度が600℃の試料では、γ-Gaおよびβ-Gaのピークが認められたが、各ピークが小さく、結晶性が低いことが確認された。熱処理温度が800℃の試料では、β-Gaのピークのみが認められ、結晶性も高いことが確認された。これらの結果から、熱処理温度を高くすることにより、γ-Gaからβ-Gaへの相転移が進行することがわかる。また、図13(a)~(d)に示すように、熱処理温度にかかわらず、熱処理によって粒子の形状に大きな変化は認められなかった。
次に、熱処理前の試料および熱処理後の各試料に対して、光触媒能を調べる試験を行った。光触媒能試験では、まず、各試料の粒子50 mgをローダミンB(RhB)水溶液(濃度 50 mg/L) 50 mL中に入れて、暗所、室温で、500 rpmで撹拌した。撹拌後、その溶液に対して、波長254 nmの紫外線(UV)を照射し、30分照射後および60分照射後に、2 mLずつをサンプリングして吸収スペクトルおよび拡散反射スペクトルの測定を行った。なお、サンプリングは、紫外線照射前にも行った。
各試料の吸収スペクトルを、図14(a)~(d)に示す。また、各試料の紫外線照射前の吸収スペクトルのピーク値(A)に対する、紫外線照射後の各時間での吸収スペクトルのピーク値(A)の割合(A/A)を求め、その時間変化を図15に示す。また、図15には、各試料の拡散反射スペクトルから求めたバンドギャップエネルギー(Eg)も示す。図14および図15に示すように、熱処理後の全ての試料で、光触媒能を有していることが確認された。これは、熱処理によりEgが低下したためであると考えられる。また、光触媒能は、高い順に、熱処理温度が800℃の試料、400℃の試料、600℃の試料であることが確認された。これは、各試料の酸化ガリウムの結晶性の高さによるものと考えられ、600℃の試料は結晶性が低いために、熱処理後の他の試料と比べて光触媒能が低くなっていると考えられる。
これらの結果から、400℃の熱処理を行うことにより、優れた光触媒能を有するγ-Gaの結晶が得られ、800℃の熱処理を行うことにより、優れた光触媒能を有するβ-Gaの結晶が得られることが確認された。

Claims (7)

  1. 液体のガリウムと、ヒドラジン一水和物から成る還元剤とを含む原料溶液に対して超音波を照射することにより、少なくとも表面にγ-酸化ガリウム(γ-Ga)の結晶を有する粒子を形成することを特徴とする酸化ガリウムの製造方法。
  2. 前記原料溶液に対して、20kHz乃至500kHzの超音波を、1乃至48時間照射することを特徴とする請求項1記載の酸化ガリウムの製造方法。
  3. 前記粒子は、平均粒径が1nm~600nmであることを特徴とする請求項1または2記載の酸化ガリウムの製造方法。
  4. 前記粒子は、平均粒径が1nm~100nmのγ-酸化ガリウムのナノ粒子であることを特徴とする請求項1または2記載の酸化ガリウムの製造方法。
  5. 前記超音波を照射後の前記原料溶液を乾燥させることにより、前記粒子を回収することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の酸化ガリウムの製造方法。
  6. 前処理として、前記液体のガリウムを含む溶液に対して超音波を照射した後、その溶液に前記還元剤を加えて前記原料溶液を調製することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の酸化ガリウムの製造方法。
  7. 前記粒子に対して、300℃~500℃または700℃~900℃の熱処理を行うことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の酸化ガリウムの製造方法。
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