JP7423062B2 - 土壌地下水汚染域の推定方法 - Google Patents

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本発明は、汚染域と非汚染域の境界において、汚染濃度はより低く、微生物代謝活性はより高くなることに着目した、環境微生物工学的手法に立脚する土壌地下水汚染域の推定方法に関する。
揮発性有機塩素化合物や燃料油に由来する土壌地下水汚染は、専ら地表から地下に滲入して生じる。表層土壌ガス調査は、高濃度汚染が存在する汚染滲入地点を探査する為に開発された経緯を有し、日本国の環境法制下においては、土地区画単位の汚染の恐れを判定するための法定スクリーニング調査として広く利用されている。
特許4702669号公報
従来の表層土壌ガス調査の中でも、特に調査精度が高い技術として、特許文献1のマルチガスモニターを用いた汚染分布の推定方法を挙げる。
この方法は、燃料油汚染由来の揮発性汚染ガス濃度(IR検出器濃度、PID検出器濃度)と、燃料油の微生物代謝による発生ガス濃度(メタン検出器濃度、二酸化炭素検出器濃度)を分析し、各ガス中の炭素原子量の総和をもって、微生物代謝を被る以前の燃料油汚染の存在量に見立て、地下に存在する燃料油の汚染溜分布を半定量的に推定する。
GL-10mに存在する汚染溜を、GL-1m深度の表層土壌ガス調査で検知する精度や、1地点での調査時間が数分以内で完了する操作性等、測定精度と費用対効果に有効性が示される表層土壌ガス調査技術であった。また、検知できる汚染濃度範囲では、実油汚染濃度との比較的良い相関を有する調査であった。
しかしながら、この優れた表層土壌ガス調査技術をもってしても、汚染濃度が極めて薄い汚染域周縁や汚染流の推定までには至らず、これが、従前の表層土壌ガス調査に共通した技術的な限界であった。
利用頻度が特に高い日本国における法定スクリーニング調査も、同等かそれ以上の不完全性を有しており、この不完全性が故に生じる見逃し汚染は、汚染調査・浄化事業リスクを確実に増大させるため、特に排除されるべき対象であった。
従前の表層土壌ガス調査は、土壌や地下水に存在する汚染実態に対し、土壌間隙ガスを通じた間接的なアプローチで臨む調査である。汚染実態の検出限界領域に位置する汚染域周縁を、間接的なアプローチである表層土壌ガス調査にて検出する試みが極めて困難であることは、誰もが想像に難くない。
従来の表層土壌ガス調査方法の技術的限界は、対象汚染物質に対し定量の限界を究める分析化学的方法論の限界に由来する。
即ち、従前技術における課題の本質は、汚染域周縁等の低濃度汚染域の推定における、この分析化学的方法論からの脱却にある。
従来の法定スクリーニング調査等の不完全性を補完可能な、分析化学以外の方法論に立脚した、新しい表層土壌ガス調査方法の開発を、具体的な課題として挙げる。
前述の課題を解決するための本発明の要旨とするところは、次の発明に存する。
汚染境界を含めた汚染域の推定が要求される汚染調査対象地において、調査地点毎に、地下の表層土壌ガスを採取して、表層土壌ガス指標を測定する第1プロセスと、該表層土壌ガスの内、地中微生物の有機物代謝に由来するガス種に限定して、該ガス種に含まれる炭素原子の存在濃度の総和を該調査地点毎に求め、地下の微生物代謝強度を表す分布図を作成する工程と、該分布図上における極大と極小が散在するエリアを抽出する工程と、該極大と極小が交互に連なる形態が観察されるに至る迄、該エリアに対しメッシュ幅を減じた調査を設定し、第1プロセスの表層土壌ガス採取から繰り返し実施する反復工程を構成とする、地下の微生物代謝活性強度分布を詳らかにする第2プロセスと、該表層土壌ガス指標として、対象汚染成分のガス濃度、或いは、該対象汚染成分のガス濃度と有機系発酵ガス濃度の積を、該調査地点毎に求めて強度分布図を作成する工程と、該強度分布図と該微生物代謝強度分布図を合成する工程を構成とする、汚染溜の汚染種や存在位置を詳らかにする第3プロセスからなる、一連のプロセスを特徴とする土壌地下水汚染域の推定方法。
本発明に係る、表層土壌ガス調査と専用解析による土壌地下水汚染域と地下水流向の推定方法によれば、従前の表層土壌ガス調査における課題を解決する発明により、法定スクリーニング調査等の補完が可能な、汚染域周縁や汚染流等の低濃度汚染に対応した、土壌地下水汚染全域の推定と地下水流向の推定が可能となる。
各種メッシュ幅(10m:右下、5m:右上、5+2.5m:左)における、本発明であるところの調査・解析法で求めた代謝活性の極大と極小の出現の違いを示す図である。 本発明にて、クリーニング溶剤汚染を調査・解析した結果を示す図である。 本発明にて、ガソリン汚染を調査・解析した結果を示す図である。 本発明であるところの有機塩素化合物汚染の汚染溜の推定に用いる参照強度の極大を表す分布図を図2の解析図と重ねたものである。 前記の図2と図4で示された汚染サイトにおける観測井戸の地下水位から求めた現地の地下水流向を矢印で示すベクトル図である。 前記の図2と法定スクリーニング調査結果を重ね、法定スクリーニング調査にて検出されなかった汚染流の一部分を矢印で示した図である。
以下、本発明を代表する実施の形態を、開発経緯と実施事例を示し説明する。
本発明は、特許文献1の従前調査を数多く実施した経験を通じて、特許文献1で規定される「炭素総和濃度(:分解以前の燃料油存在量の指標)」で示される燃料油の汚染溜を示す明瞭な極大の近傍に、それよりも小さな極大や極小がしばしば散在する現象が見出されたことを端緒とする。
当初、この小さな極大に関しては、小規模な油汚染の地上からの滲入を想定していたが、ボーリング調査の結果、この極大ばかりでなく極小の双方共に、地上からの油汚染滲入の形跡が観察されず、地下水位付近にのみに燃料油汚染の痕跡たる油膜・油臭とベンゼンが観察される、成因不明の不可解な汚染現象が見出された。また、この極小で示される部分の不可解な汚染は、少なくとも特許文献1の従前調査では、汚染と識別されない汚染であることが分かった。
この不可解な汚染現象の成因究明を通じて、従来の汚染物質を対象として定量の限界を究める汚染調査・解析概念から脱却し、「微生物代謝強度分布から明示される汚染境界の形状認識により汚染分布域を推定する」という、環境微生物工学に立脚した汚染調査・解析概念が創成され、汚染流を含めた汚染全域を詳らかにする本発明に至った経緯がある。
汚染溜分布の近傍に、小さな極大や極小が散在する現象を詳細に検討した結果、この小さな極大や極小は、「炭素総和濃度」の構成ガス成分の内、メタン検出器、二酸化炭素検出器、PID検出器のガス成分にて構成されることが明らかとなった。
このPID検出器のガス成分であるが、特許文献1では、PID検出器ガス濃度を、有機塩素化合物や芳香族炭化水素等の汚染物質ガス濃度として捉え、イソブチレン換算値をもって「炭素総和濃度」を構成する汚染ガス成分の一つとしている。
一方、本発明に至る過程において、複数の表層土壌ガス調査現場のPID検出器濃度が顕著な地点で、このPID検出器濃度にカウントされるガス成分の詳細な分析を実施したところ、この主成分は一様の発酵性有機ガス成分であることが分かった。
よって、これ以降、特許文献1にて規定される「炭素総和濃度」の解析前提から脱却し、PID検出器濃度を発酵性有機ガス成分濃度として換算する、解析方法の変更を行った。
更に、汚染溜の近傍に散在する小さな極大や極小が、メタン検出器、二酸化炭素検出器、PID検出器の検出ガス成分たる微生物代謝に関係の深いガス成分にて構成され、地下の微生物代謝活性が強く反映された現象と解釈されたことから、特許文献1で規定される「炭素総和濃度(:分解以前の燃料油存在量の指標)」とは異なる、新たな解析手法として、本発明であるところの「総炭素原子(TAC)濃度(:地下の微生物代謝活性の指標)」を提唱するに至った。
その後、小さな極大や極小が汚染溜の近傍に散在する現象に関し、TAC濃度を用いた調査・解析を数多に重ね、更なる検討を推し進めたところ、この小さな極大や極小は、汚染溜に対して地下水流下方向に出現すること、またTAC濃度を対数で示すことにより、より明確に認知されることが分かった。
更に調査メッシュを通常の10mから2.5mと精度を高めた調査を実施した際に、TAC濃度の極大と極小が交互に分布して連なる一定の規則性を有する帯形状が見出されるに至った。
この調査メッシュ幅に関し、10mメッシュ幅にて調査を開始し、その後、メッシュ幅を5mに減じた再調査を実施したところ、TAC濃度分布にて極大と極小の散在が観察された。
この極大と極小の散在が観察されたエリアに対し、更にメッシュ幅を2.5mに減じて再調査を実施したところ、極大と極小が交互に連綿と配置された帯形状が、複数の汚染溜を起点として地下水流向に沿って幾重にも観察され、この帯形状の明確化には、係る調査メッシュ幅の最適化が寄与することが示された(図1)。
総じて、更なるボーリング調査の結果も踏まえ、この帯形状は、汚染溜を起源とする汚染流を示すものと考察された。
汚染流が、地下の微生物代謝活性分布にて極大と極小が交互に連綿と繋がって観察される現象は、以下で説明される。
汚染流に並流する地下水流中の溶存物質の一部が、あたかもリービッヒの最小律が示す様な、汚染流中に含まれる生分解性有機物を資化する微生物の代謝/増殖の律速要因となっている場合に、その「地下水流から汚染流への律速溶存物質の(地下水流向に対して垂直方向への)拡散による供給」と、「地下水流と汚染流との境界面での微生物代謝/増殖」とには、以下の関係性が示される。
即ち、並流する地下水流よりの汚染流への律速溶存物質の(地下水流向に対して垂直方向への)拡散によって、地下水流と汚染流との境界面での微生物代謝や増殖が高まるが、代謝や増殖が高じた結果、並流する地下水流中の律速溶存物質は、共に流下しながら徐々に枯渇し、遂に枯渇を迎えると、汚染流との境界面での微生物代謝や増殖は停止する。
汚染流に並流する律速溶存物質が枯渇した地下水流での律速溶存物質濃度の回復は、更にその外側に位置し並流する地下水流から、(地下水流向に対して垂直方向への)拡散によって図られる。よって、律速溶存物質濃度の回復迄には一定期間を要し、汚染流と隣接する地下水流は、この一定期間中に、微生物代謝や増殖を伴わずに、共に流下する。
一定期間を経て、汚染流と隣接する地下水流中の律速溶存物質の濃度が徐々に回復してくると、再び地下水流と汚染流との境界面での微生物代謝や増殖が高まるが、これも、しばらくすれば、再び枯渇に至る。
総じて、この一連の繰り返しにより、地下水流向に沿って微生物代謝の極大と極小が交互に連綿と配位される汚染地下水流に沿った反応帯が形成される。
また、TAC濃度分布にて、微生物代謝強度が高く明瞭な極大として示される汚染溜に関しても、その極大の形成を、地下水中の律速溶存物質の供給と汚染溜の相対的な動態から説明される。
即ち、地下水動態に比すれば不動態に近似される汚染溜には、地下水から絶え間なく律速溶存物質の供給が図られ、地下水と接する汚染溜の際では、常に高い微生物代謝強度が維持されて、明瞭な極大が形成される。
ところで、土壌地下水汚染の有効な浄化方法の一つとして、バイオスティミュレーション技術が知られ、この技術は、その環境中での微生物による汚染代謝を規定する律速物質を汚染エリアに積極的に供給し、その律速条件を解除することで、汚染を土着の微生物に積極的に代謝させて浄化を図る方法とされ、特に地下水汚染浄化で多用されている。
この様に、手つかずの状態にある地下水汚染エリアにおける土着微生物の増殖や汚染の代謝は、あたかもリービッヒの最小律が示す様に律速物質によって強力に支配されているのが常態であり、それ故、前記の汚染流や汚染溜における微生物代謝強度分布の前提が構築され、係る説明にも蓋然性が示される。
総じて、低濃度汚染域の推定において、分析化学に立脚した従来の汚染物質を対象として定量の限界を究める汚染調査・解析概念から脱却し、「微生物代謝強度分布から明示される汚染境界の形状認識により汚染分布域を推定する」という、環境微生物工学に立脚する表層土壌ガス調査・解析方法の基本概念が創成された。
以下、本発明によるところの調査・解析実績として、クリーニング溶剤汚染の調査・解析結果を図2に、ガソリン汚染の調査・解析結果を図3に示す。
一部のクリーニング溶剤は、法定有害物質のテトラクロロエチレンを主成分とするが、生分解性有機物として3%程度以下の生分解性有機添加物成分を含み、また、その廃液には、クリーニング対象である皮脂などから構成される汚垢を含む混合物であることが知られている。
また、ガソリンは、法定有害物質としてベンゼンを含み、生分解性有機物である種々の炭化水素成分を主成分とする混合物である。
いずれの汚染も、その成分に生分解性有機物を少なからず含有する混合物であり、図2と図3に示す様に、それらの汚染エリアの微生物代謝活性強度分布には、ひときわ顕著な代謝活性が示される汚染溜と、それから一方向に派生する代謝活性強度の極大と極小の規則的な複数の帯形状の分布が観察された。
また、これら帯形状部のボーリング調査において、いずれのケースにおいてもベンゼン或いはテトラクロロエチレンとその派生物質による地下水汚染が確認された。
なお、図2の図中の左上に広がる顕著な代謝活性が示される地点には、後の掘削調査によって、雑多な混合物で構成された廃棄物が埋設されていたことが判明した。
本発明における調査・解析方法は、有害物質で括られる狭義の汚染のみならず、人為により地中に胚胎するに至った混合物たる、広義の汚染を対象とする。
ところで、本発明における調査・解析方法は、微生物代謝活性強度分布の形状認識により、汚染溜や汚染流が存在する汚染域を推定するが、この推定された汚染域が、実際に汚染を伴う確認を行う必要がある。
この様な場合は、汚染ガスを確認可能な、特許文献1のIR検出器やガス検知管等を用いた汚染ガス濃度分布における極大、或いは汚染ガス濃度とPID検出器が示す有機系発酵ガス濃度の各調査地点における積から参照強度分布図を作成して極大を求め、これらを代謝活性強度分布図に重ねてプロットし、各分布図上の極大と代謝活性強度分布図に示される汚染溜の地点上の一致を確認する。
図4には、図2の代謝活性強度分布図で示される有機塩素化合物の汚染溜の近傍に、参照強度分布図上の極大が、高確率で存在している様子が示されている。
加えて、汚染溜から派生する汚染流は、代謝活性強度分布図上にて極大と極小を交互に示す帯形状を呈し、この帯形状が伸展する方向が、現地の地下水流向であることに蓋然性が示される。
図5は、調査対象地に5本の観測井戸を設置して地下水位を観測し、この地下水位から、現地の地下水流向を求めた結果であり、係る蓋然性を実証したものである。
図2で示される汚染溜を起点として派生する微生物代謝の極大と極小が周期的に連綿と配置された帯形状が示す汚染流の流下方向(汚染流向)と、図5の観測井戸から求めた地下水流向に一致が見られ、これより、係る解析によって導かれた汚染流向に基づいて地下水流向を推定可能であると判断された。
また、図6は、図2に示す調査・解析結果に、法定スクリーニング調査結果を重ねたものである。図中の矢印が示す様に、法定スクリーニング調査で見逃された有機塩素化合物を含む汚染流の一部が、随所に見られ、本発明によるところの調査・解析方法が、法定スクリーニング調査を補完している様子が明示されている。
以上に説明した実施の形態および実施事例より、次の発明概念が導かれる。
(1)汚染境界を含めた汚染域の推定が要求される汚染調査対象地において、調査地点毎に、地下の表層土壌ガスを採取して、表層土壌ガス指標を測定する第1プロセスと、前記表層土壌ガスの内、地中微生物の有機物代謝に由来するガス種に限定して、該ガス種に含まれる炭素原子の存在濃度の総和を該調査地点毎に求め、地下の微生物代謝強度を表す分布図を作成する工程と、該分布図上における極大と極小が散在するエリアを抽出する工程と、該極大と極小が交互に連なる形態が観察されるに至る迄、該エリアに対しメッシュ幅を減じた調査を設定し、前記第1プロセスの表層土壌ガス採取から繰り返し実施する反復工程を構成とする、地下の微生物代謝活性強度分布を詳らかにする第2プロセスと、前記表層土壌ガス指標として、対象汚染成分のガス濃度、或いは、該対象汚染成分のガス濃度と有機系発酵ガス濃度の積を、該調査地点毎に求めて強度分布図を作成する工程と、該強度分布図と前記微生物代謝強度分布図を合成する工程を構成とする、汚染溜の汚染種や存在位置を詳らかにする第3プロセスからなる、一連のプロセスを含むことを特徴とする土壌地下水汚染域の推定方法である。
(2)前記地中微生物の有機物代謝に由来するガス種が、少なくとも二酸化炭素検出器、メタン検出器、及びPID検出器で検出されるガス群で構成されることを特徴とする前記(1)に記載の土壌地下水汚染域の推定方法である。
(3)前記汚染が、生分解性を呈する有機物を含み、人為により地中に胚胎するに至った混合物であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の土壌地下水汚染域の推定方法である。
次に、前述した発明概念の作用効果について説明する。
本開示のうち(1)に係る土壌地下水汚染域の推定方法によれば、汚染域と非汚染域の境界では、汚染濃度はより低く、微生物代謝活性はより高くなることに蓋然性が示され、本発明であるところの微生物代謝活性に基づく汚染域の推定では、汚染域と非汚染域の境界を極めて精度高く明示することができる。
従来の土壌地下水汚染調査では、この汚染域と非汚染域の境界を見出すために、表層土壌ガス調査とボーリング調査を併用して、多大な費用と労力が費やされてきたが、本発明による技術を用いれば、表層土壌ガス調査と専用解析のみで、安価・簡便に、汚染域と非汚染域の境界を明示することが可能となり、更に、従来では複数のボーリングを実施して観測井戸を設置して求める必要のあった地下水流向を併せて推定することができる。
また、法定スクリーニング調査を含む、従前の表層土壌ガス調査方法で、汚染流を含めた汚染域を、この様に精度高く明確に示した調査・解析方法は無く、本発明によるところの調査・解析方法を、法定スクリーニング調査の補完、原位置浄化処理の設計緒元として有効に活用することができる。
一方、表層土壌ガス調査は、ボーリング調査等の深度別調査の前段として実施される調査でもあり、本発明によるところの調査・解析によって、汚染溜や汚染流の位置が明示されることにより、ボーリング調査における地点選定が容易となる。
また、本開示のうち(2)に係る土壌地下水汚染域の推定方法によれば、地中微生物の有機物代謝に由来するガス種として、少なくとも二酸化炭素検出器、メタン検出器、PID検出器で検出されるガス群を対象として表層土壌ガス調査を行うことで、地下の微生物代謝由来の代謝ガスをより良く網羅した信頼性の高い微生物活性強度分布図を作成して、汚染域と地下水流向を精度高く推定できる。
加えて、本開示のうち(3)に係る土壌地下水汚染域の推定方法によれば、有害物資で括られる狭義の汚染のみならず、人為により地中に至った生分解性を呈する有機物を含む混合物であれば、その存在域を、表層土壌ガス調査と専用解析のみで、安価・簡便に呈示することができる。
この様に、本開示によって、浅層の汚染域の推定が可能な費用対効果の高い表層土壌ガス調査ベースの解析技術を、土壌地下水汚染対策市場に提供できる。
特に、利用頻度が高い法定スクリーニング調査の不完全性を補完し、本来のスクリーニング調査に求められる網羅性を適切に改善して、汚染実態を正確に評価することにより、汚染調査・浄化に付帯する事業リスクの一層の低減を図ることができる。
以上、本発明の実施の形態および実施例を説明してきたが、具体的な構成は前述した開示に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは、言うまでもない。
本発明によるところの調査・解析方法は、土壌地下水汚染が、生分解性有機物を含むものであれば、その汚染域や地下水流向を推定可能であり、日本国における法定スクリーニング調査等の補完はもとより、PRTR制度等で規定される数百種に及ぶ有害物質汚染や廃棄物等、多くの汚染スクリーニング調査等にも適用できる。

Claims (3)

  1. 汚染境界を含めた汚染域の推定が要求される汚染調査対象地において、調査地点毎に、地下の表層土壌ガスを採取して、表層土壌ガス指標を測定する第1プロセスと、
    前記表層土壌ガスの内、地中微生物の有機物代謝に由来するガス種に限定して、該ガス種に含まれる炭素原子の存在濃度の総和を該調査地点毎に求め、地下の微生物代謝強度を表す分布図を作成する工程と、
    該分布図上における極大と極小が散在するエリアを抽出する工程と、
    該極大と極小が交互に連なる形態が観察されるに至る迄、該エリアに対しメッシュ幅を減じた調査を設定し、前記第1プロセスの表層土壌ガス採取から繰り返し実施する反復工程を構成とする、地下の微生物代謝活性強度分布を詳らかにする第2プロセスと、
    前記表層土壌ガス指標として、対象汚染成分のガス濃度、或いは、該対象汚染成分のガス濃度と有機系発酵ガス濃度の積を、該調査地点毎に求めて強度分布図を作成する工程と、
    該強度分布図と前記微生物代謝強度分布図を合成する工程を構成とする、汚染溜の汚染種や存在位置を詳らかにする第3プロセスからなる、
    一連のプロセスを含むことを特徴とする土壌地下水汚染域の推定方法。
  2. 前記地中微生物の有機物代謝に由来するガス種が、少なくとも二酸化炭素検出器、メタン検出器、及びPID検出器で検出されるガス群で構成されることを特徴とする請求項1に記載の土壌地下水汚染域の推定方法。
  3. 前記汚染が、生分解性を呈する有機物を含み、人為により地中に胚胎するに至った混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の土壌地下水汚染域の推定方法。
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