JP7420369B2 - 定量化方法、演算装置、及び、コンピュータプログラム - Google Patents

定量化方法、演算装置、及び、コンピュータプログラム Download PDF

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Description

本開示は、定量化方法、演算装置、及び、コンピュータプログラムに関する。
色などの、感覚刺激で表される概念は、人ごとに、合致していると感じる感覚刺激の物理量が異なる。例えば、特表2002-510991号公報(以下、特許文献1)には、言葉や音楽のフレーズなどの対象に合致する香りを特定するために、対象と香りとの組み合せを評価する試験を行うことが開示されている。
特表2002-510991号公報
しかしながら、特許文献1の試験は、製品等にふさわしい香りを選択するために行われるものであるため、個人の感覚のばらつきが排され、複数の被験者による試験から試験結果が得られている。そのため、特許文献1では人ごとの感覚を定量的に知ることができない。そこで、人ごとに、概念に対する感覚を定量的に知ることができる定量化方法を提案する。
ある実施の形態に従うと、定量化方法は、感覚刺激で表現される概念に対応付けられた記号のユーザに対する出力である第1の出力を行うことと、第1の出力に関連付けて、ユーザに対する感覚刺激の出力である第2の出力を行うことと、第2の出力に対してユーザから得られた生体情報に基づいて、ユーザについての、概念と、第2の出力で出力された感覚刺激の物理量との関係を定量化することと、を含む。
他の実施の形態に従うと、演算装置は、感覚刺激で表現される概念に対応付けられた記号のユーザに対する出力である第1の出力と、第1の出力に関連付けた、ユーザに対する感覚刺激の出力である第2の出力とを、出力装置に行わせる処理と、第2の出力に対してユーザから得られた生体情報に基づいて、ユーザについての、概念と、第2の出力で出力された感覚刺激の物理量との関係を定量化する処理と、を実行する。
他の実施の形態に従うと、コンピュータプログラムは、コンピュータに定量化方法に従う演算を実行させるプログラムであって、演算は、感覚刺激で表現される概念に対応付けられた記号のユーザに対する出力である第1の出力と、第1の出力に関連付けた、ユーザに対する感覚刺激の出力である第2の出力とを、出力装置に行わせる処理と、第2の出力に対してユーザから得られた生体情報に基づいて、ユーザについての、概念と、第2の出力で出力された感覚刺激の物理量との関係を定量化する処理と、を含む。
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
図1は、実施の形態に係る定量化方法による演算を行う演算装置の構成を示す概略図である。 図2は、第1の実施の形態に係る定量化方法に基づく処理を表したフローチャートである。 図3は、発明者らの行った、第1の実施の形態に係る定量化方法を検証するための実験結果を表した図である。 図4は、発明者らの行った、第1の実施の形態に係る定量化方法を検証するための実験結果を表した図である。 図5は、発明者らの行った、第1の実施の形態に係る定量化方法を検証するための実験結果を表した図である。 図6は、発明者らの行った、第1の実施の形態に係る定量化方法を検証するための実験結果を表した図である。 図7は、発明者らの行った、第1の実施の形態に係る定量化方法を検証するための実験結果を表した図である。 図8は、発明者らの行った、第1の実施の形態に係る定量化方法を検証するための実験結果を表した図である。 図9は、発明者らの行った、第1の実施の形態に係る定量化方法を検証するための実験結果を表した図である。 図10は、発明者らの行った、第1の実施の形態に係る定量化方法を検証するための実験結果を表した図である。 図11は、発明者らの行った、第1の実施の形態に係る定量化方法を検証するための実験結果を表した図である。 図12は、発明者らの行った、第1の実施の形態に係る定量化方法を検証するための実験結果を表した図である。 図13は、第2の実施の形態に係る定量化方法に基づく処理を表したフローチャートである。 図14は、発明者らの行った、第2の実施の形態に係る定量化方法を検証するための実験結果を表した図である。 図15は、発明者らの行った、第2の実施の形態に係る定量化方法を検証するための実験結果を表した図である。 図16は、発明者らの行った、第2の実施の形態に係る定量化方法を検証するための実験結果を表した図である。 図17は、発明者らの行った、第2の実施の形態に係る定量化方法を検証するための実験結果を表した図である。 図18は、発明者らの行った、第2の実施の形態に係る定量化方法を検証するための実験結果を表した図である。 図19は、発明者らの行った、第2の実施の形態に係る定量化方法を検証するための実験結果を表した図である。 図20は、発明者らの行った、第2の実施の形態に係る定量化方法を検証するための実験結果を表した図である。 図21は、発明者らの行った、第2の実施の形態に係る定量化方法を検証するための実験結果を表した図である。 図22は、発明者らの行った、第2の実施の形態に係る定量化方法を検証するための実験結果を表した図である。 図23は、発明者らの行った、第2の実施の形態に係る定量化方法を検証するための実験結果を表した図である。
<1.定量化方法、演算装置、及び、コンピュータプログラムの概要>
(1)本実施の形態に含まれる定量化方法は、感覚刺激で表現される概念に対応付けられた記号のユーザに対する出力である第1の出力を行うことと、第1の出力に関連付けて、ユーザに対する感覚刺激の出力である第2の出力を行うことと、第2の出力に対してユーザから得られた生体情報に基づいて、ユーザについての、概念と、第2の出力で出力された感覚刺激の物理量との関係を定量化することと、を含む。この方法によって、概念と、第2の出力で出力された感覚刺激の物理量との関係が、定量化される。定量化されることによって、従来、ユーザごとの感覚であった上記関係が客観的に示されるようになる。それにより、比較したり統計をとったりカスタマイズしたりする処理に用いることが可能になる。
(2)好ましくは、生体情報は、第2の出力からのユーザの動作の反応時間を含む。発明者らの実験によって、ユーザの動作の反応時間が、概念と第2の出力で出力された感覚刺激の物理量との関係を表していることが検証された。そのため、ユーザの動作の反応時間を用いることで、概念と、第2の出力で出力された感覚刺激の物理量との関係が、定量化されるようになる。
(3)好ましくは、生体情報は、第2の出力の際のユーザから測定された脳波を含む。発明者らの実験によって、ユーザから測定された脳波が、概念と第2の出力で出力された感覚刺激の物理量との関係を表していることが検証された。そのため、ユーザから測定された脳波を用いることで、概念と、第2の出力で出力された感覚刺激の物理量との関係が、定量化されるようになる。
(4)好ましくは、概念は色であり、第1の出力は色の名前の出力であり、第2の出力は、色に対応した可視光の出力であり、感覚刺激を示す物理量は色に関する値である。色に関する値は、色空間における当該色の位置を示す座標値に相当し、例えば、HUE値などと呼ばれる色相値、RGB値、XY色度、などである。これにより、色の名前と出力した可視光の色値との関係を定量化することができる。
(5)好ましくは、定量化方法は、記号を指定されることによって記号に対応付けられた概念を感覚刺激によって出力する出力装置の、記号に応じて出力する感覚刺激の物理量を、定量化された関係に基づいて変更することをさらに含む。これにより、出力装置から出力される感覚刺激がユーザに概念に応じて変更される。その結果、ユーザの使い勝手を向上させたり、出力の注目度合を向上させたりできる。
(6)好ましくは、定量化方法は、定量化された関係に基づいて、ユーザについての、概念に対応した感覚刺激の物理量を決定することをさらに含む。これにより、決定されたユーザについての概念に対応した感覚刺激の物理量を、下のような様々な処理に用いることができる。
(7)好ましくは、定量化方法は、記号を指定されることによって記号に対応付けられた概念を感覚刺激によって出力する出力装置の、記号に応じて出力する感覚刺激の物理量を、記号に対応した概念について決定された物理量に変更することをさらに含む。これにより、出力装置がユーザに概念に対応した感覚刺激を出力するものにカスタマイズされ、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
(8)本実施の形態に含まれる演算装置は、感覚刺激で表現される概念に対応付けられた記号のユーザに対する出力である第1の出力と、第1の出力に関連付けた、ユーザに対する感覚刺激の出力である第2の出力とを、出力装置に行わせる処理と、第2の出力に対してユーザから得られた生体情報に基づいて、ユーザについての、概念と、第2の出力で出力された感覚刺激の物理量との関係を定量化する処理と、を実行する。これにより、演算装置によって(1)~(7)の定量化方法を実現させることができる。
(9)本実施の形態に含まれるコンピュータプログラムは、コンピュータに定量化方法に従う演算を実行させるプログラムであって、演算は、感覚刺激で表現される概念に対応付けられた記号のユーザに対する出力である第1の出力と、第1の出力に関連付けた、ユーザに対する感覚刺激の出力である第2の出力とを、出力装置に行わせる処理と、第2の出力に対してユーザから得られた生体情報に基づいて、ユーザについての、概念と、第2の出力で出力された感覚刺激の物理量との関係を定量化する処理と、を含む。これにより、コンピュータを(8)の演算装置として機能させることができる。
<2.定量化方法、演算装置、及び、コンピュータプログラムの例>
[第1の実施の形態]
図1に示された演算装置1は、第1の実施の形態に係る定量化方法による演算を行う。実施の形態に係る定量化方法は、特定の概念と感覚刺激の物理量との関係を定量化する方法である。特定の概念は、人の五感によって表され、かつ、記号によって表現され得る概念であって、例えば、色である。他の例として、温度、音程、などが挙げられる。
記号は、文字又はその他の符号である。ここで用いられる記号は、感覚刺激で表現される概念に対応付けられたものである。1つの記号に対しては1つの感覚刺激が対応付けられている。
特定の概念は、例えば、色である。この場合、記号は、例えば色名「赤」である。感覚刺激は視覚刺激であって、物理量は色に関する値である。色に関する値、すなわち、色値は、色空間における当該色の位置を示す座標値に相当し、例えば、HUE値などと呼ばれる色相値、RGB値、XY色度、などである。また、視覚で認識されることから可視光の周波数に基づく値であってもよい。以降の説明では、視覚刺激の物理量を色相値とする。色相値は、360[度]が標準的な赤色、240[度]が標準的な青色に相当するように規定された色値である。
演算装置1は、プロセッサ11とメモリ12とを有するコンピュータで構成される。メモリ12は、一次記憶装置であってもよいし、二次記憶装置であってもよい。メモリ12は、候補色データベース(DB)122と、結果テーブル123と、を有する。また、メモリ12は、プロセッサ11によって実行されるプログラム121を記憶している。
候補色DB122は、演算装置1に接続された表示装置3に候補色を表示するためのデータを登録しておくデータベースである。データは、候補色の色相値を含む。候補色は、特定の色名を表す色の候補であって、1つの色名に対して色相値の異なる複数の色が用意されている。
演算装置1では、特定の色名についての候補色ごとに色名との関係を定量化する演算が行われる。結果テーブル123は、ユーザごとに演算結果を登録するためのテーブルである。
プロセッサ11は、メモリ12に記憶されているプログラム121を実行することによって、第1出力処理111を実行する。第1出力処理111は、概念を表す記号をユーザに対して出力するための処理である。この例では、概念を表す記号として色名を出力する。出力は、一例として表示である。記号は、文字又はその他の符号を含む。すなわち、第1出力処理111は、一例として、図1に示されたように演算装置1に接続された表示装置3に色名を表すテキストを表示する処理である。出力は、他の例として音声出力であってもよい。
プロセッサ11はプログラム121を実行することによって、第2出力処理112を実行する。第2出力処理112は、第1出力処理111による色名の出力に関連付けて視覚刺激を出力するための処理である。この例では、候補色を表示装置3に表示するための処理である。
第1出力処理111による色名の出力に関連付けて視覚刺激を出力することは、出力を受けたユーザが関連付いていると認識できるような出力のさせ方を指す。例えば、位置的に近傍に表示させること、時間的に近接して出力すること、それらの組み合わせ、などである。視覚刺激の出力と、色名の出力との順は特定の順に限定されない。一例として、視覚刺激は、色名の出力と同時、又は、色名の出力よりも後に出力されてもよい。他の例として、視覚刺激は、色名の出力の後に出力されてもよい。
一例として、第1出力処理111による色名の出力に関連付けて感覚刺激を出力することは、色名を表すテキストを候補色で表示装置3に表示させることである。これは、第1出力処理111と第2出力処理112とを同時に実行するものとも言える。図1では、表示装置3に表示31を表示させる例が示されている。表示31は、色名「赤」を表すテキスト「赤」を、赤色に対応付けられた候補色で表示していることを表している。これにより、ユーザは、色名「赤」に関連付けて赤色に対応付けられた候補色が表示されていることが認識できる。
プロセッサ11はプログラム121を実行することによって、測定処理113を実行する。測定処理113は、第2出力処理112によって候補色を表示した後にユーザから生体情報を取得するための処理である。生体情報は、生体反応に基づく情報を指し、一例として、候補色の表示からユーザが動作するまでの反応時間である。ユーザの動作は、例えば、演算装置1に接続された入力装置2に対する操作である。
入力装置2は、一例として複数のボタンを有する。複数のボタンは、色に対応付けられたボタンを含む。例えば、図1に示されたように、色名「赤」に対応付けられたボタン21、「青」に対応付けられたボタン22、及び、いずれの色にも対応付けられていないボタン23を含む。
ユーザの動作は、一例として、ボタンを押下する操作である。すなわち、ユーザは、表示された色が提示された色名に合致していると感じた場合に、色名に対応付けられたボタンを押下する。
反応時間は、候補色が表示されてから提示された色名に対応付けられたボタンが押下されるまでの時間である。図1の例では、表示31が表示装置3に表示されてから色名「赤」に対応付けられたボタン21が押下されるまでの時間である。
測定処理113は、候補色が表示装置3に表示されてから対応付けられているボタンが押下されるまでの時間を測定する処理を含む。これにより、ユーザの生体情報を容易に取得することができる。
入力装置2のボタンの押下はユーザの動作の一例である。他の例として、音声入力や入力装置2を用いない所定の動作であってもよい。音声入力の場合、一例として、測定処理113は、演算装置1に接続された図示しないマイクから入力された音声データを解析し、規定された音声の入力を特定する処理を含む。入力装置2を用いない所定の動作である場合、一例として、測定処理113は、演算装置1に接続された図示しないカメラから入力された画像データを画像解析し、規定された動作を特定する処理を含む。
プロセッサ11はプログラム121を実行することによって、定量化処理114を含む。定量化処理114は、測定処理113によって得られた生体情報に基づいて、ユーザについて、概念と、第2出力処理112によって出力された感覚刺激の物理量との関係を定量化する処理である。すなわち、定量化処理114は、対象のユーザについて、色名と表示装置3に表示した候補色の色相値との関係を定量化する処理である。
具体的に、定量化処理114では、表示装置3に表示した候補色の色相値に上記の反応時間に基づく値を対応付ける。反応時間に基づく値は、反応時間そのものであってもよいし、反応時間から算出される指標値であってもよい。指標値の場合、定量化処理114は、反応時間から指標値を算出する処理を含む。
例えば、色名「赤」が表示された後に表示された色が、表示された色名「赤」に合致している場合にボタンを押下する、という動作を規定しておく。その場合、ユーザは、表示された候補色が色名「赤」に近いと感じるほどボタンを素早く押下し、逆に、色名「赤」から乖離していると感じるほどボタンの押下が遅くなる。つまり、反応時間が、色名「赤」を表す記号に対するユーザの持つ色の概念と、表示された候補色との感覚的な乖離度合いを表している。そのため、反応時間を測定することによって、色名に対するユーザの色の概念と表示された候補色の色相値との間の感覚的な乖離度合いを指標化できる。この関係が指標化されることで、主観的なユーザの感覚が客観的に評価されることになり、後述する処理に用いることが可能になる。
定量化処理114によって指標化された候補色ごとの反応時間の関係は、結果テーブル123にユーザごとに登録される。これにより、後述する処理に上記関係を用いることができるともに、サーバで収集するなどして様々な処理に用いることが可能になる。
好ましくは、プロセッサ11はプログラム121を実行することによって、さらに、決定処理115を実行する。決定処理115は、定量化処理114によって定量化された関係に基づいて、ユーザについての、概念に対応した感覚刺激の物理量を決定する。すなわち、決定処理115は、対象のユーザについて、色名に対応した色相値を決定する。これにより、ユーザについて、様々な視点での色名に対応した色相値を得ることができる。そのため、後述の変更処理116なども可能になる。
好ましくは、プロセッサ11はプログラム121を実行することによって、さらに、変更処理116を実行する。変更処理116は、出力装置の、概念を表す感覚刺激の物理量を、決定処理115によって決定された物理量に変更する処理である。例えば、変更処理116は、演算装置1に接続された表示装置3が表示する色を表す記号に対して表示する色の色相値を、決定処理115によって決定された色相値に変更する。
より具体的には、色名「赤」で指定されたときに表示する色を、決定された色相値に変更する。これにより、表示装置3などの出力装置をユーザごとに上記の様々な視点でカスタマイズすることができる。例えば、表示装置3で表示させる色としてユーザが「赤」という記号を選択した場合に、ユーザの「赤」の概念により近い色相値の色を表示させることができる。
演算装置1では、図2に示される、本実施の形態に係る定量化方法に基づく処理が行われる。図2のフローチャートに示される一連の処理は、定量化を行う色名を選択するユーザ操作に基づく操作信号が入力装置2から入力される、などによって開始される。
すなわち、図2を参照して、処理を開始するとプロセッサ11は、対象の色名を出力する第1の出力を行う(ステップS101)。また、プロセッサ11は、色名「赤」について登録されている候補色を出力する第2の出力を行う(ステップS103)。ステップS101,S103では、プロセッサ11は、例えば、図1に示されたように、テキスト「赤」を、候補色DB122に色名「赤」について登録されている候補色のうちの1つの色で表す表示31を表示装置3に出力させる。
ステップS101,S103の後、プロセッサ11は、入力装置2からユーザ操作を示す操作信号の入力を待機し、入力されると(ステップS105でYES)、操作信号の入力までの時間である反応時間を測定する(ステップS107)。図1の例の場合、色名「赤」に対応付けられたボタン21が押下されると、表示31を出力してからボタン21が押下されるまでの時間を反応時間として測定する。
プロセッサ11は、ステップS107で得られた反応時間に基づく値をステップS103で表示した候補色の色相値に関係付けることによって、ユーザについての色名と候補色との関係を指標化する。上記関係を示す値は、メモリ12の結果テーブル123に、ユーザに対応付けて格納される(ステップS111)。
プロセッサ11は、候補色DB122に対象の色について登録されているすべての候補色について、上記ステップS101~S111を実行する。これにより、すべての候補色について、ユーザごとの色名との関係が指標化され、結果テーブル123に格納される。なお、ステップS101~S111は、間に異なる色についての処理を挟んで繰り返されてもよい。これにより、直近に表示された候補色の影響が排され、より精度よく関係を指標化できる。
対象のユーザについてすべての候補色について色名との関係が指標化されると(ステップS113でNO)、プロセッサ11は、結果テーブル123に格納された結果を用いて、特定の色の色名についてユーザの感覚に対応した色を決定し(ステップS115)、表示装置3のその色名で表示する色を決定された色に変更する(ステップS117)。
例えば、同じ色名「赤」であっても、ユーザの受け取り方は主観的であるために該当する色はユーザによって異なる。上記の処理が行われることによって、対象のユーザについての「赤」の候補色それぞれの色名「赤」との関係が定量化した結果が得られる。つまり、定量化されることによって概念と感覚刺激の物理量との関係が客観的に示される。そのため、その関係を用いて様々な処理を行ったり、統計して各種情報を得たりすることができる。
一例として、定量化された結果に基づいて、複数の候補色の中から色名「赤」の概念に最も該当した候補色を、その対象ユーザについての色名「赤」の概念を表す色と決定することができる。表示装置3の表示色が決定された色相値に変更されることによって、表示装置3で色名が指定されたときの表示色がユーザがその色名に対して持つ感覚に近いものとなる。そのため、表示装置3の表示に対するユーザの違和感を抑え、使い勝手を向上させることができる。
逆に、上記の処理によって、対象のユーザについて色名「赤」の概念に最も該当しない候補色が決定されてもよい。この場合、表示装置3で色名「赤」が指摘されたときの表示色は、ユーザがその色名に対して持つ感覚から離れたものとなる。そのため、ユーザに意外性を与えることができる。例えば、商品の広告など、ユーザの注意を引きたい表示などに用いることで注目を集める効果が得られる。
また、概念が色名に対するもの以外の場合、例えば、照明器具の照度をユーザの照度のラベルに対する概念に対応する照度に変更するような使い方も想定される。すなわち、ユーザごとに、照度のラベルと照度との関係を定量化することが考えられる。定量化された関係を用いることで、照明装置の照度を、ラベルごとに、ユーザの概念に対応した照度とすることができる。すなわち、ラベルで指定して感覚刺激を出力する装置において、定量化した結果に基づいて、ラベルごとの刺激の物理量を、そのラベルに対して持つユーザの感覚に近い物理量とすることができる。これにより、出力装置でラベルを指定したときの出力がユーザの感覚に近いものとすることができる。
<変形例>
なお、上の説明では、候補色DBに色名ごとに候補色が予め用意されている。そのため、第2出力処理112は、候補色DBから出力する色名に応じた候補色を読み出して出力する処理である。しかしながら、第2出力処理112はこの処理に限定されず、候補色が出力される他の処理であってもよい。
他の例として、第2出力処理112は、候補色を生成する処理を含んでもよい。候補色を生成する処理は、例えば、予め規定された基準色相値から所定の色相値ごとに変化させて候補色を生成する処理であってもよいし、基準色相値に対してランダムに発生させた色相値分変化させて候補色を生成する処理であってもよい。また、基準色相値は色名ごとに規定されていてもよいし、色名に関わらず1つ、規定されていてもよい。なお、この場合、演算装置1のメモリ12には候補色DB122が含まれていなくてもよい。
第2出力処理112が候補色を生成する処理を含む場合、本実施の形態に係る定量化方法に基づく処理において、ステップS101,S103でプロセッサ11は、基準色相値に基づいて候補色を生成し、生成した候補色でテキスト「赤」を表す表示31を表示装置3に出力させる。プロセッサ11は、候補色を生成する処理を、予め規定された回数、又は、予め規定された色相値に達するまで繰り返し実行して、ステップS101~S111を繰り返す。
このようにすることでも、候補色を出力することが可能になる。なお、プロセッサ11が候補色を生成する処理を実行してもよいことは、後述する第2の実施の形態に係る定量化方法による演算でも同様である。
(検証実験)
発明者らは、第1の実施の形態に係る定量化方法を検証するための実験を行った。入力装置としては、図2に示された入力装置2を用いて、演算装置1で上記の演算を行った。
被験者は、日本人40代男性である被検者1、共に日本人20代男性である被験者2,3を対象とした。各被験者は入力装置2を用いて、表示された候補色が表示された色名に対する感覚に近いときに、表示された色名に対応付けられたボタン21~22を押下する方法で行った。
色名「赤」と「青」とを提示する色名とし、各色名に対して、標準的な青色に相当する色相値240[度]から標準的な赤色に相当する360[度]の間の候補色を複数用意した。図1に示されたように、色名を表すテキスト「赤」又は「青」を、それぞれの候補色で表した表示31を表示装置3に表示させた。複数の候補色それぞれでの表示31を、候補色の色相値の順に関わらずにランダムに繰り返し、それぞれ、候補色の表示からの反応時間を測定した。
図3、図4、及び、図5は、被験者1、2、3の色名「赤」についての、候補色の色相値と反応時間との関係を示している。図6、図7、及び、図8は、被験者1、2、3の色名「青」についての、候補色の色相値と反応時間との関係を示している。いずれも、縦軸は反応時間[ms]、横軸は色相値[度]を表している。図3~図8の結果は、各候補色について、色相値250[度]、270[度]、290[度]、310[度]、330[度]、及び350[度]を統計上の指標値として、最も近い指標値で統計処理を行った結果である。
図3~図8において、実線は反応時間の平均値を示している。箱ひげ図は、第一及び第三四分位から1.5IQR以上離れた値を外れ値としている。反応時間は上が大きく下が小さいため、測定値に応じたプロットが上方であるほど、表示された候補色の被験者の感覚からの乖離が大きいことを示している。
図9は、色名「赤」についての被験者1、2、3の移動平均値を重ねたものである。図10は、色名「赤」についての被験者1、2、3の移動中央値を重ねたものである。図11は、色名「青」についての被験者1、2、3の移動平均値を重ねたものである。図12は、色名「青」についての被験者1、2、3の移動中央値を重ねたものである。いずれも、縦軸は反応時間[ms]、横軸は色相値[度]を表している。また、いずれも、区間を40[度]として移動平均値、及び、移動中央値を算出した。
移動平均値及び移動中央値は、区間を40[度]として算出したものであって、各区間の値M[ms]は、下の式によって算出される。
M[ms]=A[度]/T[度]
ただし、A[度]は各区間の統計量、基準値T[度]は対象の色の色相値である。
上の式は、色名「赤」及び「青」について、ユーザごとに、360[度]である標準的な赤色、240[度]である標準的な青色で表示した時の反応時間を基準としたときの、候補色で表示したときの反応時間の比率を表している。従って、図9~図12では、各区間の値M[ms]の絶対値が大きいほど、表示された候補色の被験者の感覚からの乖離が大きいことを示している。
色名「赤」については、図3~図5及び図9、図10より、いずれの被験者も候補色の色相値が標準的な赤色である360[度]に近づくと反応時間が短くなっている。色名「青」についても同様である。このことから、反応時間が被験者の感覚からの乖離度合いを表していると言える。
詳しくは、被験者1については、図3の結果からは350[度]で反応時間の平均値が最も低く、330[度]で平均値が高い。また、図9及び図10からは、360[度]直近で移動平均値及び移動中央値ともに標準値に近くなり、安定して反応時間が短くなっていることがわかる。これより、被験者1については、標準的な赤色である360[度]に近い色相値の候補色が「赤」の感覚に近いと考えられる。
被験者2については、図4の結果からは350[度]で反応時間の平均値が最も低く、310[度]で平均値が高い。また、図9及び図10からは、300~330[度]程度の区間では、移動平均値も移動中央値も大きいため、反応時間が均等にばらついていると考えられる。一方で、330[度]以降は移動平均値も移動中央値も基準値に向けて収束し、350[度]付近で基準値に近くなっている。これより、被験者2については、標準的な赤色であるより少し青色に近い350[度]の色相値の候補色が「赤」の感覚に近いと考えられる。
被験者3については、図5の結果からは310[度]で反応時間の平均値が最も低く、250[度]及び290[度]で平均値が高い。各区間でのばらつきは概ね一様である。図9及び図10からは、標準的な青色である240[度]で移動平均値及び移動中央値ともに最大で、以降、310[度]に向けて収束している。また、310[度]以降は概ね基準値付近の値となっている。これより、被験者3については、標準的な赤色より青色に近い310[度]から標準的な赤色の360[度]までの色相値に相当する候補色が「赤」の感覚に近いと考えられる。
図9及び図10より、同じ候補色を表示しても、ユーザによって色相値による反応時間の変化の傾向が異なることがわかる。これより、同じ色名であっても、ユーザの感覚ごとに適していると感じる色の色相値が異なり、反応時間によってその異なりが表されていることがわかる。
色名「青」に関して、被験者1については、図6の結果からは250[度]で反応時間の平均値が最も低く、270[度]及び310[度]で平均値が高い。図11及び図12からは、240[度]付近、例えば、240~245[度]の範囲では、移動平均値も移動中央値も基準値に近く、それ以上の色相値では移動平均値も移動中央値も基準値から大きく乖離している。これより、被験者1については、標準的な青色、又は、標準的な青色からやや赤色に近い240~245[度]の色相値に相当する候補色が「青」の感覚に近いと考えられる。
被験者2については、図7の結果からは反応時間のばらつきは一様で小さい。その中では、240~270[度]で反応時間の平均値が最も低く、290[度]で平均値が高い。図11及び図12からは、240~270[度]の範囲では、移動平均値も移動中央値も基準値に近く、それ以上の色相値では、基準値からの乖離が大きくなっている。これより、被験者2については、標準的な青色より少し赤色に近い270[度]の色相値に相当する候補色が「青」の感覚に近いと考えられる。
被験者3については、図8の結果からは250~270[度]の範囲で反応時間の平均値が低く、その後、290[度]で平均値が急激に高まっている。ただし、250[度]ではばらつきが大きい。図11及び図12からは、標準的な青色である240~250[度]の範囲でいったん、移動平均値及び移動中央値ともに大きくなった後、250~270[度]の範囲で移動平均値も移動中央値も基準値に近くなっている。そして、270[度]以上の色相値では、基準値からの乖離が大きくなっている。これより、被験者3については、標準的な青色より少し赤色に近い250~270[度]の色相値に相当する候補色が「青」の感覚に近いと考えられる。
以上の実験より、色名「赤」でも「青」でも、反応時間が表示された候補色のユーザの感覚からの乖離を表していることがわかった。そのため、生体情報としてユーザの反応時間を用いて、色名と表示した候補色の色相値との関係を定量化できることが検証された。定量化することで、ユーザごとに、色名に対して想起される色の概念が異なっていることがわかる。その結果、定量化した関係を、表示装置3の表示を変更するなどに利用することが可能となる。
なお、定量化に用いる統計値は平均値に限定されず、他の統計値であってもよい。発明者らは、この実験結果から平均値の他の統計値も算出し、図に平均値に併せて表示している。
色名「赤色」の実験結果を例に考察する。各被験者について、反応時間のばらつきもまた、その区間の色相値に相当する表示された候補色が、色名に対する当該被検者の感覚との乖離が大きいことを示している可能性がある。ばらつきは、箱図の長さで示されている。
ばらつきが大きいことは、複数回、同じ候補色が表示されたときに、反応時間の差が大きいことを意味している。表示された候補色が、当該被検者が表示された文字によって想起している色の概念に一致していると確信的に反応できない場合もあるため、ばらつきが大きくなる可能性が考えられる。
従って、図3~図5の結果より、各被験者について、反応時間の平均値のみならず、ばらつきも考慮して定量化してもよいと考えられる。すなわち、反応時間の平均値に替えて、又は、加えて、ばらつきを用いて定量化してもよい。
例えば、被験者1の場合、270[度]、310[度]、330[度]でばらつきが大きくなっている。これら区間では、反応時間の平均値も大きく、反応時間との相関性もある程度はある可能性がある。従って、ばらつきをファクタとして定量化する場合も、その区間の色相値に相当する候補色は、被験者1の感覚と乖離していると考えられる。
さらに、図9及び図10を参照して、移動中央値もまた、表示された候補色と色名に対する当該被検者の概念との関係を示している可能性がある。中央値は、反応時間の偏りを表すものであり、中央値が大きいと反応時間が長く測定された回数が多く、中央値が小さいと反応時間が短く測定された回数が多い。そのため、中央値が大きい方が反応時間が長い可能性が高く、小さい方が反応時間が短い可能性が高い。
特に、図9と図10とを比較すると、同一の被験者であっても、移動平均値と移動中央値との変化の傾向が異なる場合がある。そのため、被験者によっては、中央値を用いて定量化することも有用な場合があり得る。従って、平均値に替えて中央値を用いて、又は、平均値に加えて中央値を用いて定量化してもよい。
[第2の実施の形態]
定量化に用いる生体情報はユーザの反応時間に限定されず、ユーザが候補色を表示されたことに対して示した生体反応に基づく情報であれば他の情報であってもよい。他の生体情報は、例えば、脳波であってもよい。そこで、生体情報として脳波を用いる方法について、第2の実施の形態として説明する。
第2の実施の形態に係る定量化方法による演算を行う場合、演算装置1は、図示しない脳波測定装置から測定結果を取得する。ユーザの脳波は、少なくとも表示装置3に候補色を表示した後の所定期間を含む期間、測定される。
プロセッサ11が実行する測定処理113は、入力された脳波から脳波事象関連電位を測定する。脳波事象関連電位は、脳に刺激を与えてから所定時間後に発生する電圧変位を表し、例えば、N400は刺激提示から約400ミリ秒後に発生する陰性の電圧変位を表す。第2の実施の形態に係る定量化方法では、入力された脳波から刺激提示から550~650ミリ秒間に発生する陰性の電圧変位を測定する。複数回、同じ測定を行う場合には、その期間の電圧変位の平均値などの統計値を演算に用いる。なお、以下の説明では、脳波事象関連電位を「N400」とも表記する。この場合の「N400」の表記は、上の例によって得られた値を指す。
定量化処理114では、表示装置3に表示した候補色の色相値にN400に基づく値を対応付ける。N400に基づく値は、N400そのものであってもよいし、N400から算出される指標値であってもよい。指標値の場合、定量化処理114は、N400から指標値を算出する処理を含む。
第2の実施の形態に係る定量化方法に基づく処理は、図13を参照して、ステップS201で色名を表示し、ステップS203で候補色を表示する処理を行う。これら処理は、図2のステップS101,S103と同じである。
第2の実施の形態に係る処理では、ステップS203の後に、ユーザのN400を測定する(ステップS207)。そして、第2の実施の形態に係る処理では、N400に基づく値をステップS203で表示した候補色の色相値に関係付けることによって、色名と候補色との関係を指標化する。
(検証実験)
発明者らは、第2の実施の形態に係る定量化方法についても、検証するための実験を行った。被験者や実験条件は第1の実施の形態に係る定量化方法を検証する上記の実験と同じである。
図14、図15、及び、図16は、被験者1、2、3の色名「赤」についての、候補色の物理量とN400との関係を示している。図17、図18、及び、図19は、被験者1、2、3の色名「青」についての、候補色の物理量とN400との関係を示している。いずれも、縦軸はN400[μV]、横軸は色相値[度]を表している。
また、図20は、色名「赤」についての被験者1、2、3の移動平均値を重ねたものである。図21は、色名「赤」についての被験者1、2、3の移動中央値を重ねたものである。図22は、色名「青」についての被験者1、2、3の移動平均値を重ねたものである。図23は、色名「青」についての被験者1、2、3の移動中央値を重ねたものである。いずれも、縦軸は反応時間[ms]、横軸は色相値[度]を表している。
色名「赤」については、図14~図16及び図20、図21より、いずれの被験者も候補色の色相値が標準的な赤色である360[度]に近づくとN400が0に近くなっている。色名「青」についても同様である。このことから、N400が被験者の感覚からの乖離度合いを表していると考えられる。
詳しくは、被験者1については、図14の結果からは350[度]でN400が0に近く、その他の範囲でも大きくは変化していない。全体的にばらつきは小さい。図20及び図21からも、350[度]付近で移動平均値及び移動中央値ともに0に近くなり、以下の色相値では0から乖離している。これより、被験者1については、標準的な赤色である360[度]よりも少し青に近い350[度]の色相値の候補色が「赤」の感覚に近いと考えられる。
被験者2については、図15の結果からは270[度]付近、及び、310[度]付近でN400が0に近く、それ以外の色相値では0から乖離している。また、全体的にばらつきが大きく、特に、310[度]でばらつきが大きくなっている。図20及び図21からは、320[度]付近で移動平均値及び移動中央値ともに0に近くなり、それ以外の色相値では0から乖離している。これより、被験者2については、標準的な赤色であるより少し青色に近い320[度]の色相値の候補色が「赤」の感覚に近いと考えられる。
被験者3については、図16の結果からは260[度]付近、及び、350[度]付近でN400が0に近く、それ以外の色相値では0から乖離している。ばらつきは330[度]以下が大きく、330[度]を超えると小さい。図20及び図21からは、350[度]以上の範囲で移動平均値及び移動中央値ともに0に近くなり、それ以下の範囲では0より乖離してばらつきが見られる。これより、被験者3については、標準的な赤色より少し青色に近い350[度]から標準的な赤色の360[度]までの色相値の候補色が「赤」の感覚に近いと考えられる。
ここで、同一の被験者についての反応時間を用いた実験結果と比較すると、被験者によっては同じ傾向を示すものもみられる。例えば、図5と図16とを比較すると、反応時間の変化と、N400の0からの乖離との、標準的な赤色の360[度]付近の変化に同じような傾向が見られる。従って、必ずしも同一の結果は得られないものの、生体情報として脳波などの他の生体情報を用いても同様に候補色とユーザの感覚との乖離を定量化することができることが分かった。
色名「青」に関して、被験者1については、図17の結果からは250[度]でN400が0に近く、その他の範囲でも大きくは変化していない。全体的にばらつきは小さい。図22及び図23からも、250[度]付近で移動平均値及び移動中央値ともに0に近くなり、その他の色相値では0から乖離している。これより、被験者1については、標準的な青色、又は、標準的な青色からやや赤色に近い250[度]付近の色が「青」の感覚に近いと考えられる。
被験者2については、図18の結果からはN400のばらつきは一様に大きい。その中では、270[度]付近、及び、330[度]付近でN400が0に近く、それ以外の色相値では0から乖離している。図22及び図23からは、250[度]付近で移動平均値及び移動中央値ともに0に近くなり、それ以外の色相値では0から大きく乖離している。これより、被験者2については、標準的な青色より少し赤色に近い250[度]付近の色が「青」の感覚に近いと考えられる。
被験者3については、図8の結果からはN400のばらつきは一様に大きい。その中では、250~270[度]の範囲でN400が0に近く、それ以外の色相値では0から乖離している。図22及び図23からは、250[度]付近で移動平均値及び移動中央値ともに0に近くなり、それ以外の色相値では0から乖離している。これより、被験者3については、標準的な青色より少し赤色に近い250[度]付近の色が「青」の感覚に近いと考えられる。
以上の実験の結果を、生体情報としてユーザの反応時間を用いた実験と比較すると、各ユーザの色名に対して適していると感じる候補色の傾向が概ね同じである。そのため、生体情報としてユーザの脳波を用いても、色名と表示した候補色の色相値との関係を定量化できることが検証された。
<3.付記>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
1 :演算装置
2 :入力装置
3 :表示装置
11 :プロセッサ
12 :メモリ
21 :ボタン
22 :ボタン
23 :ボタン
31 :表示
111 :第1出力処理
112 :第2出力処理
113 :測定処理
114 :定量化処理
115 :決定処理
116 :変更処理
121 :プログラム
122 :候補色DB
123 :結果テーブル

Claims (9)

  1. 感覚刺激で表現される概念に対応付けられた記号のユーザに対する出力である第1の出力を行うことと、
    前記第1の出力に関連付けて、前記ユーザに対する感覚刺激の出力である第2の出力を行うことと、
    前記第2の出力に対する前記ユーザの生体反応を測定して得られた生体情報に基づいて、前記ユーザについての、前記概念と、前記第2の出力で出力された前記感覚刺激の物理量との関係を定量化することと、を含む
    定量化方法。
  2. 前記生体情報は、前記第2の出力からの前記ユーザの動作の反応時間を含む
    請求項1に記載の定量化方法。
  3. 前記生体情報は、前記第2の出力の際の前記ユーザから測定された脳波を含む
    請求項1に記載の定量化方法。
  4. 前記概念は色であり、
    前記第1の出力は色の名前の出力であり、
    前記第2の出力は、前記色に対応した可視光の出力であり、
    前記感覚刺激を示す物理量は前記色に関する値である
    請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の定量化方法。
  5. 記号を指定されることによって前記記号に対応付けられた概念を感覚刺激によって出力する出力装置の、前記記号に応じて出力する前記感覚刺激の物理量を、前記定量化された前記関係に基づいて変更することをさらに含む
    請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の定量化方法。
  6. 前記定量化された前記関係に基づいて、前記ユーザについての、前記概念に対応した前記感覚刺激の物理量を決定することをさらに含む
    請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の定量化方法。
  7. 記号を指定されることによって前記記号に対応付けられた概念を感覚刺激によって出力する出力装置の、前記記号に応じて出力する前記感覚刺激の物理量を、前記記号に対応した前記概念について決定された前記物理量に変更することをさらに含む
    請求項6に記載の定量化方法。
  8. 感覚刺激で表現される概念に対応付けられた記号のユーザに対する出力である第1の出力と、前記第1の出力に関連付けた、前記ユーザに対する感覚刺激の出力である第2の出力とを、出力装置に行わせる処理と、
    前記第2の出力に対する前記ユーザの生体反応を測定して得られた生体情報に基づいて、前記ユーザについての、前記概念と、前記第2の出力で出力された前記感覚刺激の物理量との関係を定量化する処理と、を実行する
    演算装置。
  9. コンピュータに定量化方法に従う演算を実行させるプログラムであって、
    前記演算は、
    感覚刺激で表現される概念に対応付けられた記号のユーザに対する出力である第1の出力と、前記第1の出力に関連付けた、前記ユーザに対する感覚刺激の出力である第2の出力とを、出力装置に行わせる処理と、
    前記第2の出力に対する前記ユーザの生体反応を測定して得られた生体情報に基づいて、前記ユーザについての、前記概念と、前記第2の出力で出力された前記感覚刺激の物理量との関係を定量化する処理と、を含む
    コンピュータプログラム。
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