JP7410019B2 - 臓器移植患者における臓器機能を改善するための方法 - Google Patents

臓器移植患者における臓器機能を改善するための方法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本願は、2017年9月15日に出願された米国仮出願第62/559,312号の優先権及び権益を主張し、その出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
発明の分野
本発明は、臓器移植を受けた対象における臓器機能を改善することに関する。
背景
本明細書における全ての刊行物は、個々の刊行物または特許出願が、参照により本明細書に組み入れられるように具体的かつ個別に示されているかのように、それと同程度まで、参照により組み入れられる。以下の説明は、本発明を理解するのに有用であり得る情報を含む。本明細書で提供される情報のいずれかが先行技術であるか、または本願特許請求の範囲に記載される発明に関連すること、または具体的または暗黙的に参照されるいずれかの出版物が先行技術であることを認めるものではない。
腎移植の結果に関する研究は、伝統的に移植片機能をほとんど考慮せずに患者と移植片の生存に焦点を合わせてきた。移植片の損失は最悪の結果であるが、機能が損なわれた移植片は最も強力な追跡が必要であり、経済的に費用がかかり、機能的完全性を維持するための厳格な臨床管理が必要である。リスクの高い腎臓を高齢のレシピエントに割り当てる全米臓器配分ネットワーク(UNOS)ポリシーの履行以来、これは大きな懸念事項となっている。これは、臓器移植後臓器機能障害(DGF)及びより貧弱な同種移植片機能のリスクを高める可能性がある。詳細は、米国保健福祉省による臓器調達及び移植ネットワークのウェブサイトで見ることができる。
Taberらによって最近報告されたデータは、腎移植における周術期の結果と費用に対する、新しい腎臓割り当てシステム(KAS)の影響を分析した。著者らは、3.8年の間に実施された38,016件の腎移植手順を分析した。彼らは、KASによりDGF率が有意に増加し(5.4%から7.4%)、病院の総費用と再入院率が増加したと結論付けている。Stewartらは、新しいKASの履行から1年後に、亡くなったドナーの移植の変化を調べた。これらの著者は、臓器割り当ての公平性を高めたにもかかわらず、システムは移植の費用、寒冷虚血時間、及びDGF率を増加させたと結論付けた。
DGFは、虚血再灌流障害(IRI)による可能性が高い、移植後の腎臓の許容可能な機能の欠如を記載するために使用される用語である。DGFは、移植後1年及び2年での腎移植組織の機能低下に関連している。DGFの存在下では、腎臓は機能的移植片の生存率の低下、患者の生存率、急性拒絶反応の増加などの有害事象をもたらす可能性が高くなる。現在、高腎疾患プロファイルインデックス(KDPI)と呼ばれている拡大適応死亡ドナー(extended criteria deceased donor:ECD)由来の腎臓も、DGFの高い割合及び低い長期生存率に関連している。心臓停止後のドナー(DCD)及び脳死ドナー腎の9,134人のレシピエントからの結果の分析では、60歳以上のドナー年齢が移植不全、及び低下した長期腎機能のリスク因子として同定された。これらの研究者は、ECD腎臓のレシピエントは、より若いドナーの腎臓のレシピエントと比較して、移植不全のリスクが2倍であることを発見した。
歴史的に、DGFは移植後最初の1週間の透析要求性として定義されてきたが、これは標準化されておらず、透析の決定はセンターごとに異なる。10mL/分のeGFRまでの時間の測定を含むDGFの様々な代替定義により、より厳密な方法でDGFを科学的に定量化する努力がなされてきた。米国食品医薬品局(FDA)は、IRI/DGFの予防のための新しい治療法の研究に関連する評価項目を定義するためのガイドラインを最近リリースした。FDAガイドラインは、これまで有効性を証明した治療法がないため、IRI/DGFでの関連する治療研究の必要性を強調する。さらに、30日での透析及び1年での同種移植の機能の必要性の評価を含む、関連する代替の評価項目の記載が推奨されている。
最近、Limらは、心臓停止(DCD)後のドナーからの腎移植のレシピエントにおけるDGFの影響の、より適切な評価を記載した。これらの研究者は、74組のDCD移植のデータを分析した。著者らは、DGFを経験するDCD腎臓のレシピエントは全体的な移植片機能損失の発生率が高いと結論付けている。したがって、DGFのリスクを低減する戦略は、DCD腎移植における移植片生存を改善する可能性がある。
概要
以下の実施形態及びその態様は、範囲を限定するものではなく、例示的かつ実例的であることが意図されるシステム、組成物、及び方法と併せて説明及び図示される。
対象において長期移植片機能を改善するか、または臓器移植後臓器機能障害の可能性を低減するもしくは治療するための方法が提供される。様々な実施形態は、対象が腎移植を受けたこと、及び/または拡大適応死亡ドナー、例えば、60歳以上のドナー、高血圧の病歴、1.5以上のクレアチニン(腎機能を示す血液検査)、または死因が脳卒中である、のうちの2つを伴う50歳以上のドナーから腎臓を受けたか、それを受けることを規定する。
種々の実施形態は、有効量の1種類または複数種類のC1エステラーゼインヒビターを対象に投与することを提供し、これは、特に移植後数ヶ月または約1年で、移植腎機能の改善または移植腎機能発現遅延(delayed kidney graft function)の低減をもたらす。C1エステラーゼインヒビター、またはC1インヒビターは、セルピンスーパーファミリーに属するプロテアーゼインヒビターである。それは、補体系を阻害して、自発的な活性化を防ぐ。天然に存在するC1インヒビターは、血液中を循環する急性期のタンパク質である。C1インヒビターは、補体の古典的経路のC1複合体のC1r及びC1sプロテアーゼに不可逆的に結合し、不活性化する。レクチン経路のMBL複合体のMASP-1及びMASP-2プロテアーゼも不活性化される。C1インヒビターは、線維素溶解、凝固、及びキニン経路のプロテアーゼも阻害する。本方法で使用するための例示的なC1エステラーゼインヒビターには、ヒト血液由来の精製C1エステラーゼインヒビター(CINRYZE(登録商標))、ヒト補体成分1エステラーゼインヒビターの組換え類似体(RUCONEST(登録商標))、トランスジェニックウサギのミルク中に産生された組換えヒト(rh)C1エステラーゼインヒビター(RHUCIN(登録商標))、及びヒト血漿由来、精製、低温殺菌、凍結乾燥のC1エステラーゼインヒビターの濃縮物(BERINERT(登録商標))が含まれる。
いくつかの実施形態では、方法は、対象の移植後1週間以内の腎機能と比較した、または腎移植を受けて臓器移植後臓器機能障害を経験した、治療有効量の1種類もしくは複数種類のC1エステラーゼインヒビターを投与されていない対照の対象と比較した、長期間(移植後3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12ヶ月)の腎移植片機能の改善を特徴とする。
一実施形態では、死亡した高リスクドナーから腎移植を受けている患者に、C1エステラーゼインヒビター(C1INH)及びプラセボが投与された。50単位/kgのC1エステラーゼインヒビターとプラセボを、移植の日と手術の24時間後に2回投与した。移植後最初の1週間以内の透析要求性として定義される臓器移植後臓器機能障害(DGF)に大きな差認められなかった。しかしながら、C1エステラーゼインヒビター治療群は、移植後2週目と4週目で透析要求性が有意に減少したことを示した。さらに、C1エステラーゼインヒビター治療群は、術後1年の腎機能測定である推定糸球体濾過率(eGFR)の有意な改善を示し、その値は健常人に匹敵した。これらの結果は、C1エステラーゼインヒビターまたは他のC1エステラーゼインヒビターによる治療が長期腎機能を著しく改善できることを示唆する。
この研究は、移植後2~4週間に透析を必要とする患者の数を減らす上でプラスの利点を示した。この急速な回復は、移植後1年での腎機能の大幅な改善とも関連していた。したがって、腎移植を受けた対象における長期腎移植片機能を改善するための方法が本明細書で提供される。頑健な管理された試験で開発された本発明は、C1INHが2~4週間で透析の量を低下させ、移植後1年で移植片機能を改善することを示す。今日まで、このような程度の恩恵を示した薬物は他にない。
[本発明1001]
腎移植を受けたかまたは受ける対象において移植腎機能を改善するかまたは移植腎機能発現遅延(delayed kidney graft function)の可能性を低減するもしくは治療するための方法であって、治療有効量の1種類または複数種類のC1エステラーゼインヒビターを前記対象に投与することを含む、前記方法。
[本発明1002]
前記C1エステラーゼインヒビターが、補体C1エステラーゼインヒビターである、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記C1エステラーゼインヒビターが、血漿由来のCINRYZE(登録商標)、組換えRUCONEST(登録商標)もしくはRHUCIN(登録商標)、または血漿由来のBERINERT(登録商標)である、本発明1001の方法。
[本発明1004]
前記治療有効量が約25~50単位/kg、約50~75単位/kg、または約75~100単位/kgである、本発明1001の方法。
[本発明1005]
前記治療有効量が対象1kgあたり約50単位である、本発明1001の方法。
[本発明1006]
前記治療有効量のC1エステラーゼインヒビターが、前記移植の日に投与される、本発明1001の方法。
[本発明1007]
前記治療有効量のC1エステラーゼインヒビターが、前記移植の約24時間後に投与される、本発明1001の方法。
[本発明1008]
前記治療有効量のC1エステラーゼインヒビターが、前記移植の日及び前記移植の約24時間後に投与される、本発明1001の方法。
[本発明1009]
前記治療有効量のC1エステラーゼインヒビターが、移植の前に前記対象に投与される、本発明1001の方法。
[本発明1010]
前記C1エステラーゼインヒビターが、静脈内または皮下に投与される、本発明1001の方法。
[本発明1011]
腎移植を受けた対象において臓器移植後臓器機能障害(DGF)が観察され、DGFが移植後7日以内の前記対象における透析の必要性を特徴とする、本発明1001の方法。
[本発明1012]
前記対象が10mL/分の推定糸球体濾過率(eGFR)を特徴とする、移植腎機能発現遅延の可能性を低減するまたは治療するための本発明1001の方法。
[本発明1013]
前記透析の必要性が、前記移植後約2週間、3週間、または4週間で減少する、本発明1009の方法。
[本発明1014]
前記透析の必要性が、前記移植後約2~4週間、1~3ヶ月、3~6ヶ月、6~9ヶ月、9~12ヶ月、または12~15ヶ月の時点で減少している、本発明1009の方法。
[本発明1015]
腎機能が、前記対象の移植後1週間以内の腎機能と比較して、または腎移植を受けて臓器移植後臓器機能障害を経験した、治療有効量の1種類もしくは複数種類のC1エステラーゼインヒビターを投与されていない対照の対象と比較して、移植後約1年の推定糸球体濾過率について改善される、本発明1001の方法。
[本発明1016]
前記腎機能が、移植後3~6ヶ月、6~9ヶ月、9~12ヶ月、12~15ヶ月、または15ヶ月以上改善される、本発明1010の方法。
[本発明1017]
腎機能の改善が、推定糸球体濾過率の増加、血清クレアチニンレベルの減少、クレアチニンクリアランスの増加、及び尿排出量の増加のうちの1つ以上を含む、本発明1001の方法。
[本発明1018]
腎移植を受ける対象の移植腎機能を改善するかまたは移植腎機能発現遅延の可能性を低減もしくは治療するための方法であって、移植される腎臓にエクスビボで治療有効量の1種類または複数種類のC1エステラーゼインヒビターを投与することを含む、前記方法。
[本発明1019]
移植される腎臓が、
60歳以上のドナーからのものである、または
高血圧の病歴、1.5以上のクレアチニン(腎機能を示す血液検査)、もしくは死因が脳卒中である、のうちの少なくとも2つを伴う50歳以上のドナーからのものである、
本発明1018の方法。
[本発明1020]
前記対象における腎機能が、移植後1週間以内の前記対象の腎機能と比較して、または腎移植を受けて臓器移植後臓器機能障害を経験した、治療有効量の1種類もしくは複数種類のC1エステラーゼインヒビターを投与されていない対照の対象と比較して、腎移植後3~6ヶ月、6~9ヶ月、9~12ヶ月、12~15ヶ月または15ヶ月以上改善される、本発明1018の方法。
例示的な実施形態は、参照される図面に示されている。本明細書で開示される実施形態及び図面は、限定的ではなく実例的であるとみなされることを意図している。
実施例で使用されるプロトコールを示す図である。簡潔に述べると、研究に適格な患者は、術中及び移植後1日目にC1INH(50単位/kg)対プラセボを投与されるように無作為化された。導入療法は、HLA非適合腎臓を受けた患者にはアレムツズマブ30mg皮下、非HLA感作死亡ドナーのレシピエントに対してはサイモグロブリン毎日1.5mg×4日間であった。全ての患者は、センタープロトコールに従って、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、及びステロイドで維持された。透析の必要性と糸球体濾過率の分析は、移植後1年まで実施された。全ての患者は、既存のドナー傷害の程度を判断するために、移植前の生検を受けた。 治療法(C1INH対プラセボ)に応じた、腎臓同種移植前の移植前生検の表現型を示す棒グラフである。ここでは、C1INH及びプラセボ群において、移植された腎同種移植片における、既存の糸球体硬化症の程度を調べた。簡潔に述べると、どのパラメーターにも有意な相違は見られなかった。Tバーは標準誤差を示す。略語:C1INH:C1エステラーゼインヒビター。 治療法(C1INH対プラセボ)に応じた、腎臓同種移植前の移植前生検の表現型を示す棒グラフである。ここでは、C1INH及びプラセボ群において、移植された腎同種移植片における、既存の萎縮線維症の程度を調べた。簡潔に述べると、どのパラメーターにも有意な相違は見られなかった。Tバーは標準誤差を示す。略語:C1INH:C1エステラーゼインヒビター。 治療法(C1INH対プラセボ)に応じた、腎臓同種移植前の移植前生検の表現型を示す棒グラフである。ここでは、C1INH及びプラセボ群において、移植された腎同種移植片における、既存の動脈硬化の程度を調べた。簡潔に述べると、どのパラメーターにも有意な相違は見られなかった。Tバーは標準誤差を示す。略語:C1INH:C1エステラーゼインヒビター。 治療法(C1INH対プラセボ)に応じた、腎臓同種移植前の移植前生検の表現型を示す棒グラフである。ここでは、C1INH及びプラセボ群において、移植された腎同種移植片における、既存の細動脈ヒアリン症の程度を調べた。簡潔に述べると、どのパラメーターにも有意な相違は見られなかった。Tバーは標準誤差を示す。略語:C1INH:C1エステラーゼインヒビター。 図6Aは、治療(C1INH対プラセボ)に応じた第1週の間、第2週の間、及び2週間後の平均透析数を示す。Tバーは標準誤差を示す。ここでは、移植後2~4週間のC1INH群で透析の必要性の有意な減少が見られた。略語:C1INH:C1エステラーゼインヒビター。 図6Bは、治療(C1INH対プラセボ)に応じた第1週の間、第2週の間、及び2週間後の平均透析数を示す。85未満のKDPIスコアのドナーから腎移植を受けた患者をここに示す。C1INH群とプラセボ群の間で平均透析数の有意ではない減少が見られた。Tバーは標準誤差を示す。C1INH:C1インヒビター;KDPI、腎臓ドナープロファイルインデックス。 図6Cは、治療(C1INH対プラセボ)に応じた第1週の間、第2週の間、及び2週間後の平均透析数、ならびにKDPIスコアを示す。85以上のKDPIスコアのドナーから腎移植を受けた患者は、移植後DGFのリスクが高い。ここで、移植後に必要な透析の平均数は、プラセボKDPI≧85群と比較してKDPI≧85腎臓を受けたC1INH患者で減少した。Tバーは標準誤差を示す。C1INH、C1インヒビター;KDPI、腎臓ドナープロファイルインデックス。 治療(C1INH対プラセボ)に応じた透析の可能性からの解放を示す。簡潔に述べると、C1INH群の患者は、いずれも移植後2週間以降は必要なかった。差異は統計的有意性に達しなかった。 最初の1年目の治療(C1INH対プラセボ)による平均eGFRを示す。C1INHを投与された患者は、移植時にプラセボを投与された患者よりも1年で有意により優れた腎機能を示した。Tバーは標準偏差を示す。略語:C1INH:C1インヒビター、eGFR:推定糸球体濾過率。 治療(C1INH対プラセボ)及び移植後最初の1週間の透析の必要性に応じた平均eGFRを示す。プラセボ透析群と比較して、両方のC1INH群で有意により高いeGFRが見られた。略語:C1INH:C1インヒビター、eGFR:推定糸球体濾過率。 治療(C1INH対プラセボ)及び2週間後の透析の必要性に応じた平均eGFRを示す。1年目でプラセボ透析なし及び透析群と比較して、C1INH群で有意により高いeGFRが見られた。プラセボ透析群の患者の平均eGFRは、1年目で29.95mL/分であったことに注目されたい。略語:C1INH:C1インヒビター、eGFR:推定糸球体濾過率。C1INH群では、2週間後に透析を受けた患者はいなかった。 最初の1週間の透析の必要性を予測するための臨床的及び免疫学的変数の相対的重要性のランダムフォレスト評価を示す。ここで、透析の必要性を予測する重要度の順での変数の分析は、DCDドナーの状態、KDPIスコア、C1INH療法である。略語:C1INH、C1インヒビター;KDPI、腎臓ドナープロファイルインデックス;DSA:ドナー特異的抗体;ATG:抗胸腺細胞グロブリン。 2週間後の透析の必要性を予測するための臨床的及び免疫学的変数の相対的重要性のランダムフォレスト評価を示す。C1INH療法の状態は、2週間後の透析からの解放を予測する最も重要な変数であった。赤(偽)で示された因子は、移植後に透析にとどまるリスクの影響を有しなかった。略語:C1INH、C1インヒビター;KDPI、腎臓ドナープロファイルインデックス;DSA:ドナー特異的抗体;ATG:抗胸腺細胞グロブリン。 治療(C1INH対プラセボ)及びKDPIスコアに応じた第1週の間、第2週の間、及び2週間後の平均透析数を示す。85を超えるKDPIスコアのドナーから腎移植を受けた患者は、移植後DGFのリスクが高い。ここで、移植後に必要な透析の平均数は、プラセボKDPI>85群と比較してKDPI>85腎臓を受けたC1INH患者で減少した。Tバーは標準誤差を示す。略語:C1INH、C1インヒビター;KDPI、腎臓ドナープロファイルインデックス。より高いKDPIは、より高齢のドナーおよびより高い損傷リスクを示す。 本発明の様々な実施形態による、治療(C1INH対プラセボ)による第1週の間、第2週の間、及び2週間後の透析患者数を示す。略語:C1INH:C1インヒビター。 本発明の様々な実施形態に従って、C1INH対プラセボ群の安全性実験を示し、次の安全性実験が分析された:C1エステラーゼインヒビター。C1エステラーゼインヒビターレベルは、予想どおり、プラセボ対照群よりも有意に高い(p<0.0001)。 本発明の様々な実施形態に従って、C1INH対プラセボ群の安全性実験を示し、次の安全性実験が分析された:補体3(C3)。C1INH対プラセボ対照群では、C3レベルに統計的な差は認められなかった。 本発明の様々な実施形態に従って、C1INH対プラセボ群の安全性実験を示し、次の安全性実験が分析された:補体4(C4)。C1INH対プラセボ対照群では、C4レベルに統計的な差は認められなかった。 本発明の様々な実施形態に従って、C1INH対プラセボ群の安全性実験を示し、次の安全性実験が分析された:国際標準化比(INR)。C1INH対プラセボ対照群では、INRレベルに統計的な差は認められなかった。 本発明の様々な実施形態に従って、C1INH対プラセボ群の安全性実験を示し、次の安全性実験が分析された:D-ダイマー。C1INH対プラセボ対照群では、D-ダイマーレベルに統計的な差は認められなかった。 本発明の様々な実施形態に従って、C1INH対プラセボ群の安全性実験を示し、次の安全性実験が分析された:フィブリノーゲン。C1INH対プラセボ対照群では、フィブリノーゲンレベルに統計的な差は認められなかった。 本発明の様々な実施形態に従って、C1INH対プラセボ群の安全性実験を示し、次の安全性実験が分析された:部分トロンボプラスチン時間(PTT)。C1INH対プラセボ対照群では、PTTレベルに統計的な差は認められなかった。
詳細な説明
本明細書で引用される全ての参照文献は、その全体が記述されるように、参照により本明細書に組み込まれる。別途定義されない限り、本明細書において使用される技術用語及び科学用語は、本発明の所属する技術分野における当業者によって一般に理解されるのと同一の意味を有する。Allen et al., Remington: The Science and Practice of Pharmacy 22nd ed., Pharmaceutical Press (September 15, 2012);Hornyak et al., Introduction to Nanoscience and Nanotechnology, CRC Press (2008);Singleton and Sainsbury, Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 3rd ed., revised ed., J. Wiley & Sons (New York, NY 2006);Smith, March’s Advanced Organic Chemistry Reactions, Mechanisms and Structure 7th ed., J. Wiley & Sons (New York, NY 2013);Singleton, Dictionary of DNA and Genome Technology 3rd ed., Wiley-Blackwell (November 28, 2012);及びGreen and Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual 4th ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press (Cold Spring Harbor, NY 2012)は、本願で使用される多くの用語の一般的なガイドを当業者に提供する。抗体を調製する方法に関する参照文献については、Greenfield, Antibodies A Laboratory Manual 2nd ed., Cold Spring Harbor Press (Cold Spring Harbor NY, 2013);Kohler and Milstein, Derivation of specific antibody-producing tissue culture and tumor lines by cell fusion, Eur. J. Immunol. 1976 Jul, 6(7):511-9;Queen and Selick, Humanized immunoglobulins, U. S. Patent No. 5,585,089 (1996 Dec);及び、Riechmann et al., Reshaping human antibodies for therapy, Nature 1988 Mar 24, 332(6162):323-7を参照されたい。
当業者であれば、本明細書に記載されているものと類似または均等の、本発明の実施に使用できる多くの方法及び材料を認識するであろう。本発明の他の特徴及び利点は、本発明の実施形態の様々な特徴を例として示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。実際、本発明は、記載された方法及び材料に決して限定されない。便宜上、明細書、実施例及び添付の特許請求の範囲中、本明細書において使用される特定の用語をここに集める。
他に述べられない限り、または文脈から黙示的でない限り、以下の用語及び語句は以下に提示される意味を含む。他に明示的に述べられていない限り、または文脈から明らかでない限り、以下の用語及び語句は、その用語または語句が関連する技術分野において獲得している意味を排除するものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定されるので、定義は特定の実施形態を説明するのを助けるために提供され、特許請求される発明を限定することを意図しない。別途定義されない限り、本明細書において使用される技術用語及び科学用語は、本発明の所属する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。
本明細書で使用されるとき、「含むこと」または「含む」という用語は、実施形態に有用であるが、有用かどうかにかかわらず不特定の要素の包含に対して非限定である、組成物、方法、及びそれぞれの成分(複数可)に関して使用される。一般に、本明細書で使用される用語は一般に「非限定」の用語として意図されていることを当業者は理解するであろう(例えば、「含む」という用語は「含むがこれに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」いう用語は「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む」という用語は、「含むがこれに限定されない」と解釈されるべきであるなどである)。本明細書では、含むこと、含有すること、または有するなどの用語の同義語としての「含むこと」という非限定の用語を使用して本発明を説明及び請求しているが、本発明またはその実施形態は、「からなる」または「から本質的になる」などの代替的な用語を使用して説明することもできる。
特に明記しない限り、「a」及び「an」、及び「the」という用語、ならびに出願の特定の実施形態を説明する文脈で(特に特許請求の範囲の文脈で)使用される類似の言及は、単数形と複数形の両方を包含すると解釈できる。本明細書における値の範囲の列挙は、単に、範囲内に入るそれぞれ個々の値を個別に参照する簡潔な表現の方法として機能することを意図している。本明細書で特に明記しない限り、個々の値は、本明細書で個々に引用されているかのように、明細書に組み込まれている。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書中で別の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書の特定の実施形態に関して本明細書で提供される任意の及び全ての例、または例示的な用語(例えば、「~など」)の使用は、単に本願をよりよく示すことを意図しており、他の請求がされた本発明の範囲の限定を提示するものではない。「e.g.」という略語はラテン語のexempli gratiaに由来し、非限定的な例を示すためにここで使用される。したがって、略語「e.g.」は、「例えば」という用語と同義である。本明細書中のいかなる文言も、本願の実施に不可欠なものとして、非請求の要素を示すとして解釈されるべきではない。
本明細書で使用する用語「治療する」、「治療」、「治療すること」、または「改善」は、疾患、障害、または病状に関して使用するとき、治療的治療と予防または予防措置の両方を指し、目的は症状または状態の進行または重症度を予防、逆転、緩和、改善、阻害、軽減、減速、または停止するためである。「治療すること」という用語は、状態の少なくとも1つの有害作用または症状を軽減または緩和することを含む。1つ以上の症状または臨床マーカーが減少した場合、治療は一般に「有効」である。代替的に、疾患、障害または病状の進行が減少または停止する場合、治療は「有効」である。すなわち、「治療」には、症状またはマーカーの改善だけでなく、治療がない場合に予想される症状の停止または少なくとも進行もしくは悪化の減速も含まれる。また、「治療」は、たとえ治療が最終的に失敗した場合でも、有益な結果を追求または取得すること、または個人が状態を発症する可能性を低下させることを意味する場合がある。治療の必要のあるものは、状態をすでに有するもの、及び状態を有する傾向にあるもの、または状態を予防すべきものを含む。
「有益な結果」または「望ましい結果」には、病状の重症度の軽減または緩和、病状の悪化の予防、病状の治癒、病状の進行の予防、患者が病状を進行させる可能性の低下、罹患率と死亡率の低下、患者の寿命または平均余命の延長が含まれるが、これらに限定されない。非限定的な例として、「有益な結果」または「望ましい結果」は、1つ以上の症状(複数可)の緩和、欠損の程度の減少、腎臓同種移植片機能の安定した(すなわち悪化しない)状態、腎機能の遅延または減速、及び末期腎疾患に関連する症状の改善または緩和であり得る。
「C1インヒビター」、「C1エステラーゼインヒビター」、「C1-INH」及び「C1INH」という用語は、補体系に関連するプロテアーゼ、好ましくはプロテアーゼC1r及びC1s、ならびにカリクレイン-キニン系、好ましくは血漿カリクレイン及びXIIa因子、及び凝固系、好ましくはXIa因子を含むMASP-1及びMASP-2を阻害するセリンプロテアーゼインヒビターとして機能するタンパク質またはそのフラグメントを指す。さらに、C1-INHは、内皮細胞へのセレクチンを介した白血球の接着を減少させる抗炎症分子として機能する。本明細書で使用されるC1-INHは、天然のセリンプロテアーゼインヒビターまたはその活性フラグメントであり得るか、または類似の機能特性、例えば、C1r及びC1s、及び/またはMASP-1及びMASP-2及び/または第XIIa因子及び/または第XIa因子の阻害を提供する組換えペプチド、合成ペプチド、ペプチド模倣物、またはペプチドフラグメントを含むことができる。C1インヒビターの構造と機能に関するさらなる開示については、米国特許第4,915,945号;米国特許第5,939,389号;米国特許第6,248,365号;米国特許第7,053,176号;及びWO2007/073186を参照されたい。
いくつかの実施形態では、インヒビターは、血漿由来または組換えC1インヒビターである。さらに好ましい実施形態では、該インヒビターは、天然に存在するヒトタンパク質またはそのバリアントと同一である。C1-INHは、C1インヒビターと同一の機能を有する全ての天然に存在する対立遺伝子を包含するものとする。一実施形態では、前記インヒビターはヒトC1エステラーゼインヒビターである。
別の実施形態では、本発明によるC1インヒビターは、バイオアベイラビリティ及び/または半減期を改善し、有効性を改善し、及び/または潜在的な副作用を低減するために修飾される。修飾は、組換えまたは他のステップにより実現できる。そのような修飾の例は、記載されたC1インヒビターのグリコシル化またはアルブミン融合であり得る。タンパク質のグリコシル化及びアルブミン融合に関するさらなる開示については、WO01/79271を参照されたい。
様々な実施形態では、C1インヒビターは、当業者に知られている方法に従って生成することができる。例えば、血漿由来のC1-INHは、数人のドナーから血漿を採取することで調製できる。血漿のドナーは、当該分野で定義されているように健康でなければならない。好ましくは、数人(1000人以上)の健康なドナーの血漿をプールし、必要に応じてさらに処理する。治療目的のためにC1インヒビターを調製するための例示的なプロセスは、米国特許第4,915,945号に開示され、その開示は、その全体が本明細書に組み込まれている。代替的に、いくつかの実施形態では、当該技術分野で知られている技術を使用して、天然組織源からC1-INHを収集及び濃縮することができる。C1インヒビターを含む市販の製品は、例えば、血漿由来CINRYZE(登録商標)(Viropharma)、組換えRUCONEST(登録商標)またはRHUCIN(登録商標)(両方ともPharming)、及び血漿由来BERINERT(登録商標)(CSL Behring)である。BERINERT(登録商標)は、遺伝性血管浮腫及び先天性欠損症の治療に適応されている。組換えC1-INHは、既知の方法で調製できる。
本明細書で使用されるとき、「投与すること」という用語は、所望の部位での薬剤または組成物の少なくとも部分的な局在化をもたらす方法または経路による、本明細書で開示される薬剤または組成物の対象への配置を指す。「投与経路」は、経口、局所、エアロゾル、経鼻、吸入、肛門、肛門内、肛門周囲、経粘膜、経皮、非経口、経腸、または局所などを含むがこれらに限定されない、当該技術分野で知られている任意の投与経路を指し得る。「非経口」は、腫瘍内、頭蓋内、脳室内、髄腔内、硬膜外、硬膜内、眼窩内、注入、嚢内、心臓内、皮内、筋肉内、腹腔内、肺内、脊髄内、胸骨内、髄腔内、子宮内、血管内、静脈内、動脈内、くも膜下、被膜下、皮下、経粘膜、または経気管を含む注射に一般的に関連する投与経路を指す。非経口経路を介して、薬剤または組成物は、注入または注射用の溶液または懸濁液の形態、または凍結乾燥粉末の形態であり得る。経腸経路を介して、薬剤または組成物は、制御放出を可能にする、カプセル、ゲルカプセル、錠剤、糖衣錠、シロップ、懸濁液、溶液、粉末、顆粒、エマルション、ミクロスフェアまたはナノスフェアまたは脂質小胞またはポリマー小胞の形態であり得る。局所経路を介して、薬剤または組成物は、エアロゾル、ローション、クリーム、ゲル、軟膏、懸濁液、溶液、またはエマルションの形態であり得る。一実施形態では、薬剤または組成物を粉末形態で提供し、水などの液体と混合して飲料を形成することができる。本発明によれば、「投与すること」は自己投与であり得る。例えば、対象が本明細書に開示される組成物を摂取することは「投与すること」とみなされる。
本明細書で使用されるとき、「対象」は、ヒトまたは動物を意味する。通常、動物は霊長類、げっ歯類、飼育または狩猟動物などの脊椎動物である。霊長類には、チンパンジー、カニクイザル、クモザル、及びマカク、例えばアカゲザルが含まれる。げっ歯類には、マウス、ラット、ウッドチャック、フェレット、ウサギ、ハムスターが含まれる。飼育及び狩猟動物には、ウシ、ウマ、ブタ、シカ、バイソン、バッファロー、ネコ種、例えば飼育ネコ、イヌ科の種、例えばイヌ、キツネ、オオカミが含まれる。「患者」、「個体」、及び「対象」という用語は、本明細書では互換可能に使用される。一実施形態では、対象は哺乳動物である。哺乳動物はヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、又はウシであり得るが、これらの例に限定されない。一実施形態では、対象はヒトである。さらに、本明細書に記載の方法は、飼育及び/またはペットを治療するために使用することができる。
本明細書で使用されるとき、「哺乳動物」は、ヒトならびにチンパンジー及び他の類人猿及びサル種などの非ヒト霊長類、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、及びウマなどの家畜;イヌ及びネコなどの飼育動物;マウス、ラット、モルモットなどのげっ歯類を含む実験動物を含むがこれらに限定されない哺乳綱のメンバーを指す。この用語は、特定の年齢や性別を示すものではない。したがって、成体または新生仔の対象、ならびにオスまたはメスの胎仔は、この用語の範囲内に含まれることが意図されている。
対象は、治療を必要とする状態(例えば腎不全)またはその状態に関連する1つ以上の合併症を患っているかまたは有すると以前に診断または同定された者、及び必要に応じてその状態または状態に関連する1つ以上の合併症の治療をすでに受けている者であり得る。代替的に、対象は、状態または状態に関連する1つ以上の合併症を有すると以前に診断されていない者でもあり得る。例えば、対象は、状態もしくは状態に関連する1つ以上の合併症に対する1つ以上のリスク因子を示す者、またはリスク因子を示さない対象であり得る。例えば、対象は、状態もしくは状態に関連する1つ以上の合併症に対する1つ以上の症状を示す者、または症状を示さない対象であり得る。特定の状態の診断または治療の「必要のある対象」は、その状態の疑いのある、その状態を有すると診断された、すでにその状態を治療されたかまたは治療を受けている、その状態の治療を受けていない、またはその状態を発症するリスクのある対象であり得る。
症状の治療的または予防的に大幅な減少は、対照または非治療対象またはC1エステラーゼインヒビターを投与する前の対象の状態と比較して、測定パラメーターにおいて、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、またはそれ以上である。測定された、または測定可能なパラメーターには、臨床的に検出可能な疾患マーカー、例えば生物学的マーカーのレベルの上昇または低下、ならびに線維症及び/または炎症の症状またはマーカーの臨床的に認められた尺度に関連するパラメーターが含まれる。しかしながら、本明細書に開示される組成物及び製剤の毎日の総使用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解されるであろう。必要とされる正確な必要量は、治療する疾患の種類、対象の性別、年齢、体重などの要因によって異なる。
C1エステラーゼインヒビターは、2つの異なる経路を介してヒト補体系の活性化をブロックするユニークなセリンプロテアーゼインヒビターである。第1に、C1エステラーゼインヒビターは、初期C3からC3a及びC3bへの変換に重要なC1q-r-s複合体(古典経路)の集合をブロックし、次いでC5bをC9に活性化して膜侵襲複合体を形成する。第2に、C1エステラーゼインヒビターは、通常細菌病原体によって活性化されるマンノース結合レクチン(MBL)/MBL-セリンプロテアーゼ経路を介して補体活性化を阻害する。C1エステラーゼインヒビターによる補体活性化の阻害は近位であり、複数の下流の活性化経路をブロックするのに特に価値があり得る。MBL/MBLSPは、特に腎臓における虚血性再灌流障害(IRI)の媒介に重要である。本発明者らは、プラセボ対照二重盲検試験でC1エステラーゼインヒビターを評価し、腎移植前のIRI及び臓器移植後臓器機能障害(DGF)の予防におけるC1エステラーゼインヒビター治療の潜在的恩恵を解明した。
一実施形態では、死亡した高リスクドナーから腎移植を受けている患者に、C1エステラーゼインヒビター及びプラセボが投与された。50単位/kgのC1エステラーゼインヒビターとプラセボを、移植の日と手術の24時間後に2回投与した。移植後1週間以内に観察された、透析要求性として定義される臓器移植後臓器機能障害(DGF)に大幅な差異はなかったが、C1エステラーゼインヒビター治療群は、移植後2週目と4週目の間に透析要求性の大幅な減少を示した。さらに、C1エステラーゼインヒビター治療群は、術後1年の腎機能測定である推定糸球体濾過率(eGFR)の大幅な改善を示し、その値は健常人に匹敵した。C1エステラーゼインヒビター治療法は、長期腎機能を大幅に改善できる。
したがって、実質臓器移植を受けた対象における移植臓器機能を改善するための方法が本明細書で提供される。方法は、治療有効量の1種類または複数種類のC1エステラーゼインヒビターを対象に投与することを含む。一実施形態では、方法は、移植前に、移植される臓器を有効量のC1エステラーゼインヒビターで治療することを含む。例示的な実施形態では、C1エステラーゼインヒビターには、C1インヒビターを含む市販の製品、例えば、血漿由来CINRYZE(登録商標)(Viropharma)、組換えRUCONEST(登録商標)またはRHUCIN(登録商標)(両方ともPharming)、及び血漿由来BERINERT(登録商標)が含まれる。一実施形態では、臓器は腎臓である。いくつかの実施形態では、実質臓器移植は、腎臓、心臓、肝臓、肺、小腸、膵臓、及び骨髄移植である。
腎移植を受け、DGF及び/またはIRIを有するリスクのある対象における移植腎機能を改善するための方法が本明細書でさらに提供される。方法は、治療有効量の1種類または複数種類のC1エステラーゼインヒビターを対象に投与することを含む。一実施形態では、方法は、腎臓の移植前に、移植される腎臓を有効量のC1エステラーゼインヒビターで治療することを含む。例示的な実施形態では、C1エステラーゼインヒビターには、C1インヒビターを含む市販の製品、例えば、血漿由来CINRYZE(登録商標)(Viropharma)、組換えRUCONEST(登録商標)またはRHUCIN(登録商標)(両方ともPharming)、及び血漿由来BERINERT(登録商標)が含まれる。
腎移植を受けた対象における移植腎機能を改善するための方法もまた本明細書で提供される。方法は、治療有効量の1種類または複数種類のC1エステラーゼインヒビターを対象に投与することを含む。一実施形態では、方法は、腎臓の移植前に、移植される腎臓を有効量のC1エステラーゼインヒビターで治療することを含む。例示的な実施形態では、C1エステラーゼインヒビターには、C1インヒビターを含む市販の製品、例えば、血漿由来CINRYZE(登録商標)(Viropharma)、組換えRUCONEST(登録商標)またはRHUCIN(登録商標)(両方ともPharming)、及び血漿由来BERINERT(登録商標)が含まれる。
いくつかの実施形態では、C1エステラーゼインヒビターの治療有効量は、約25~50単位/kg、約50~75単位/kg、約75~100単位/kg、または約50単位/kgである。
いくつかの実施形態では、治療有効量のC1エステラーゼインヒビターは、移植の日に投与される。いくつかの実施形態では、治療有効量のC1エステラーゼインヒビターは、移植の約24時間後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、治療有効量のC1エステラーゼインヒビターは、移植の日及び移植の約24時間後に対象に投与される。
いくつかの実施形態は、臓器(例えば腎臓)が、拡大適応死亡ドナー、例えば、60歳以上のドナー、高血圧の病歴、1.5以上のクレアチニン(腎機能を示す血液検査)、または死因が脳卒中である、のうちの2つを伴う50歳以上のドナーからのものであることを規定する。
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、臓器は、対象に臓器を移植する前にC1エステラーゼインヒビターで治療される。いくつかの実施形態では、臓器は、ドナーからの臓器調達時に有効量のC1エステラーゼインヒビターで治療される。いくつかの実施形態では、臓器は、対象への臓器の移植の前に、有効量のC1エステラーゼインヒビターで約36~30時間、約30~25時間、約25~20時間、約20~15時間、約15~10時間、約10~5時間、約5~1時間またはそれらの組み合わせの間、治療される。いくつかの実施形態では、臓器は、対象への臓器の移植の前に、有効量のC1エステラーゼインヒビターで約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、10~15時間、15~20時間、20~24時間、またはそれらの組み合わせの間、治療される。
いくつかの実施形態では、C1エステラーゼインヒビターは、対象に静脈内投与される。
いくつかの実施形態では、腎移植を受けた対象で臓器移植後臓器機能障害(DGF)が観察される。DGFは、移植後7日以内の対象での透析の必要性を含む。様々な実施形態では、透析要求性の低下は、移植後約2週間、3週間、または4週間で観察される。さらなる実施形態では、透析要求性の低下は、移植後約2~4週間、1~3ヶ月、3~6ヶ月、6~9ヶ月、9~12ヶ月、または12~15ヶ月で観察される。
様々な実施形態では、腎移植を受けた対象の腎機能は、長期間、例えば、移植後、約3~6ヶ月、6~9ヶ月、9~12ヶ月、12~15ヶ月、または15ヶ月以上改善される。様々な実施形態では、腎機能の改善には、推定糸球体濾過率の増加、血清クレアチニンレベルの減少、クレアチニンクリアランスの増加、及び/または尿排出量の増加が含まれる。
いくつかの実施形態では、腎移植を受けた対象において、HLA抗体のレベル、血清クレアチニンレベル及び/または推定糸球体濾過率(eGFR)は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、またはそれらの組み合わせで増加する。いくつかの実施形態では、腎移植を受けた対象において、HLA抗体のレベル、血清クレアチニンレベル及び/またはeGFRは、少なくとも約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、50倍、15倍、100倍、またはそれらの組み合わせで増加する。
本発明のいくつかの実施形態では、1種類または複数種類のC1エステラーゼインヒビターの治療有効量は、約10~50mg/日、50~100mg/日、100~150mg/日、150~200mg/日、100~200mg/日、200~300mg/日、300~400mg/日、400~500mg/日、500~600mg/日、600~700mg/日、700~800mg/日、800~900mg/日、900~1000mg/日、1000~1100mg/日、1100~1200mg/日、1200~1300mg/日、1300~1400mg/日、1400~1500mg/日、1500~1600mg/日、1600~1700mg/日、1700~1800mg/日 、1800~1900mg/日、1900~2000mg/日、2000~2100mg/日、2100~2200mg/日、2200~2300mg/日、2300~2400mg/日、2400~2500mg/日、2500~2600mg/日、2600~2700mg/日、2700~2800mg/日、2800~2900mg/日、または2900~3000mg/日の範囲であり得る。
本発明のさらなる実施形態では、本明細書に記載の方法で使用するための1種類または複数種類のC1エステラーゼインヒビターの治療有効量は、1~5単位/kg、5~10単位/kg、10~50単位/kg、50~100単位/kg、100~150単位/kg、150~200単位/kg、100~200単位/kg、200~300単位/kg、300~400単位/kg、または400~500単位/kgの範囲であり得る。
様々な実施形態では、本明細書に記載の方法で使用するための治療有効量の1種類または複数種類のC1エステラーゼインヒビターは、本明細書に記載の1種類または複数種類の投与量のいずれかで少なくとも1週間あたり1~7回、1ヶ月あたり1~7回、1ヶ月あたり5~10回またはそれらの組み合わせで、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、14ヶ月、16ヶ月、18ヶ月、20ヶ月、22ヶ月、24ヶ月、またはそれらの組み合わせの間、投与され得る。
有効量の1種類または複数種類のC1エステラーゼインヒビターの典型的な用量は、既知の治療化合物が使用される製造業者が推奨する範囲内であってよく、in vitro応答または動物モデルの応答により当業者に示される通りでもよい。例えば、補体C1エステラーゼインヒビター(BERINERT(登録商標))は現在、静脈内に50単位/kg(最も近い500単位に丸める)で推奨されている。本発明の様々な実施形態に従って、同一または類似の投与を使用することができ、または本発明の代替的な実施形態に関連して代替的な投与量を使用することができる。実際の投与量は、医師の判断、患者の状態、及び例えば関連する培養細胞または組織培養組織試料におけるin vitro応答性、または適切な動物モデルにおいて観察される応答性に基づく治療方法の有効性に依存し得る。
様々な実施形態では、1種類または複数種類のC1エステラーゼインヒビターの有効量は、臓器移植中、及び移植後最大1ヶ月、2ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月、または30ヶ月のうちのいずれか1つ以上投与される。
以下の実施例は、本発明に対する特許請求の範囲を限定することを意図するものではなく、特定の実施形態を例示することを意図するものである。当業者が想到する例示された方法のあらゆる変形は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
実施例1
実施例1において、C1INHは、BERINERT(登録商標)を指す。腎臓同種移植レシピエントにおける臓器移植後臓器機能障害(DGF)は、伝統的に、移植後の最初の1週間の透析の必要性として定義されている。DGFは、長期の同種移植の機能と生存率に影響を与える虚血再灌流障害(IRI)に関連する。IRI/DGFの予防のための承認された治療法は存在しない。IRIによって誘発される補体活性化はDGFを誘発し得る。ここでは、腎移植レシピエントのIRI/DGFを予防する補体インヒビターC1INHの能力を調査する。
DGFのリスクがある死体腎移植を受けた70人の患者は、術中及び24時間後にC1INHを50U/kg(35人)またはプラセボ(35人)を投与するよう無作為化された。主要評価項目は、移植後最初の1週間の血液透析の必要性であった。腎機能(1年)と透析依存(1ヶ月)の評価が行われた。治療の合併症と安全性も記録された。患者は1年間追跡された。
C1INHとプラセボに無作為化された患者は、冷虚血時間またはDGFの他のリスク因子に有意な差はなく、同様の特徴を示した。C1INHは、移植後1週間で透析セッションの回数を削減しなかったが、移植後2~4週間で透析を必要とする患者が有意に減少した(p=0.0232)。DGFのリスクが最も高い(KDPI>85)患者は、C1INH療法の恩恵を最も受けた。C1INH治療患者では、1年で有意に優れた腎機能が見られた(p=0.04)。C1INH群では、重大な有害事象は認められなかった。
主要評価項目は満たされなかったが、C1INH治療により、移植後2週間の透析の必要性の大幅な減少と長期同種移植機能の改善が見られた。
実施例2
実施例2において、C1INHは、BERINERT(登録商標)を指す。
虚血再灌流障害(IRI)のメディエーターとしての補体
補体は、虚血によって誘発される損傷関連分子パターン(DAMP)によって活性化されることが知られている自然免疫系の一部とみなされるタンパク質の系である。IRIは腎尿細管細胞において、局所活性化を増幅し得る局所C3産生も刺激する。レクチン及び/または古典経路による補体活性化は、虚血組織に白血球の付着を促進するC3断片を沈着させ、C5aなどの強力な化学誘引物質を生成し、細胞死及びサイトカイン放出を誘発するC5b-C9膜攻撃複合体(MAC)を形成する。したがって、補体活性化の阻害は、IRI/DGFの予防に潜在的な利益をもたらす可能性がある。
補体は、2つの異なるコンパートメント(中央及び局所)に存在する。中央コンパートメントは肝臓で生成され、全ての循環補体因子を担う。末梢コンパートメントには、CNS及び腎臓などの臓器で局所的に生成される補体が含まれていた。末梢コンパートメントでの補体の活性化は、主にIRIによって調節されているらしい。簡潔に述べると、IRIは腎尿細管細胞において、その後、マンノース結合レクチン/マンノース関連セリンプロテアーゼ(MBL/MASP)または代替経路によって切断される、C3の産生を刺激する。生成されたC3bは、C5をC5a及びC5bへと活性化する。C5bは、細胞死とサイトカイン放出を誘発するC5b-C9膜攻撃複合体(MAC)を形成する。したがって、補体活性化の阻害は、IRI/DGFの予防に潜在的な利益をもたらす可能性がある。
IRI及びDGFを予防するためのC1INHの使用の実証
C1エステラーゼインヒビター(C1INH)は、SERPING1遺伝子とセルピンスーパーファミリーのメンバーによってコードされる多機能プロテアーゼインヒビターである。C1INHは、補体の古典的な経路のC1s及びC1r、ならびにレクチン補体経路におけるマンナン結合レクチン関連セリンプロテアーゼ(MASP-1及びMASP-2)を含む複数の酵素を阻害する。C1INHは高度にグリコシル化されており、セレクチン結合をブロックすることにより白血球の付着を直接阻害できる。C1INHは、遺伝性血管浮腫の治療に対して承認されている。
IRIのいくつかの実験モデルは、C1INHによる治療後の機能的及び病理学的特性の改善を示している。これらの観察に基づいて、IRI誘発DGFのリスクが高い死亡ドナー腎移植を受けた患者でのC1INHの使用は、移植後のDGFの減少と結果の改善に有益であり得る。C1INHは、補体媒介IRIで重要であることが知られている古典的な経路及びMBL/MASP経路を阻害するため、利点がある可能性がある。ここでは、死亡ドナー腎移植におけるDGFの予防のためのC1INH対プラセボの二重盲検、フェーズI/II対照試験の結果を提示する。
患者及び方法
高リスクの死亡ドナー腎移植後のDGFを減らすためのC1INHの安全性と有効性を調査するフェーズI/II二重盲検プラセボ対照試験を実施した。研究は、カリフォルニア州ロサンゼルスのCedars-Sinai Medical Centerで全て実施された。プロトコールはIRBによって承認され、全ての患者は書面によるインフォームドコンセントを提供した。
適格な患者は、透析中の末期腎疾患(ESRD)の18~70歳で、臓器共有のための連合ネットワーク(UNOS)の待機リストで死亡ドナー腎移植を待機していた。その他の適格基準には、以下に基づくDGFのリスクが含まれる:ECD(またはKDPIスコア>85)ドナーからの腎臓同種移植のレシピエント、DCDドナーからの腎臓同種移植のレシピエント、ならびに表1に詳述されているリスクインデックスの基準に基づいて、DGFのリスクインデックスが3~8(最小3及び最大8)の、ECD及びDCD以外の腎臓同種移植のレシピエント。DGFのコンセンサス定義は、移植後最初の1週間の透析の要求性である。ここでは、DGFの修正された定義を使用し、高カリウム血症または体液量過多のために、移植後最初の24時間に行われた全ての透析セッションを除外した。
移植時に、誘導療法は、術後すぐのアレムツズマブ30mgの皮下への1回投与(高度に感作した患者の場合)、または非感作患者の場合は術後4日間毎日の、1日あたり1.5mg/kgのウサギ抗胸腺細胞グロブリンの投与からなる。全ての患者は、センタープロトコールに従って、移植後に、タクロリムスまたはシクロスポニン、ミコフェノール酸モフェチル、及びコルチコステロイドで維持された。現地施設の治療ガイドラインは、ウイルス、細菌、真菌感染症の予防に利用された。全ての患者は、移植前に髄膜炎菌ワクチン接種を受け、髄膜炎菌感染のリスクを予防及び軽減するために、移植後1ヶ月間予防的な抗生物質を投与された。
(表1)臓器移植後臓器機能障害に関する危険因子
Figure 0007410019000001
臨床評価
評価には、通常の臨床検査、移植前の生検、バイタルサイン、有害事象(AE)及び重大な有害事象(SAE)に関連するデータの収集が含まれる。全てのAE及びSAEは記録され、格付けされ、全てのセンター、試験依頼者、及び規制当局の施設内治験審査委員会(IRB)に報告された。C1INHレベル、補体レベル、凝固因子の分析のための試料は、プロトコールに従って収集された。移植後、移植後1ヶ月まで血液透析の必要性を評価し、高カリウム血症または体液量過多のために最初の24時間以内に行われる透析セッションを除外した。さらに、MDRD方程式を使用した推定糸球体濾過率(eGFR)が、移植後1年までの各患者で実施された。患者と移植片の生存も記録された。
研究の監視
この研究は、Cedars-Sinai Medical CenterのIRB(IRB#37068)によって承認され、ヘルシンキ宣言に従って、連邦の規制と一般的な規則に基づく倫理的ガイドラインに従って実施された。Cedars-Sinai Medical Centerには、連邦全体の保証もある。この研究は、研究者主導の研究であった(SC Jordan、MD、Principal Investigator、NCT02134314、FDA IND 15806)。この研究は、研究者のみによって設計、実施、評価された。CSL Behring、LLC(King of Prussia, PA)が資金及びC1INH(BERINERT(登録商標))を提供した。この研究のデータは、全ての結果を保証する調査員によって、収集され、分析され、原稿の準備が完全に完了した。
統計学的分析
連続変数は、平均と標準偏差(SD)または中央値と四分位範囲(IQR)を使用して記載される。公称データは、計数とパーセンテージとして表された。スチューデントのt検定(または適切な場合はマンホイットニー検定)とフィッシャーの正確検定を使用して、群間の平均と割合を比較した。治療(C1INH対プラセボ)による透析の可能性からの解放は、逆カプラン・マイヤー曲線を使用してプロットし、ログランク検定を使用して比較した。
ランダムフォレスト(RF)分析を採用して、移植後最初の1週間及び2週間後の透析の必要性を予測する予後因子を特定した。変数の重要度(VIMP)を計算したが、これは、変数が「ノイズアップ」した場合の予測誤差の増加を測定する。正の値は、予測共変量を示す。
記述分析には、STATA(バージョン14、データ分析及び統計ソフトウェア)、ならびにR(バージョン3.2.1、統計コンピューティングのR基礎)を使用した。全ての統計的検定は両側であり、確率値<0.05は有意とみなされた。
患者の特徴
臓器共有のためのユナイテッドネットワークから死亡ドナー腎移植の申し出を受けた透析中の末期腎疾患の患者70人を、研究参加について評価した。スコアが3≧である患者(表1)は、IRI/DGFのリスクがあるとみなされ、C1INH研究への参加が提案された。同意後、患者は、C1INH(N=35)またはプラセボ(生理食塩水)(N=35)を、同種移植片の再灌流の前に手術室で投与され、24時間後に繰り返されるように患者を無作為化した(図1)。患者は最初の1週間内にDGFについて、また移植後の最初の1週間内にeGFRの改善として定義された腎機能の改善についてモニターされた。研究に参加した患者の特徴を表2に示す。ここでは、2つの患者集団に有意な差異は認められなかった。腎臓ドナープロファイルインデックス(idney onor rofile ndex:KDPI)は、臓器移植後臓器機能障害と同種移植片喪失のリスクを予測する。KDPI>85%は、最高のリスクをもたらす。このスコアは、研究開始時に設定されていた古い「拡大適応ドナー(ECD)」及び「心臓死後ドナー(DCD)」の指定を置き換えた。遡及的に、平均KDPIスコアは、C1INH群で67.71±21.83、プラセボ群で64.63±25.39であると決定した(p=0.681)。KDPI>85%の患者数は、2つの群C1INH(n=10[28.57%]及びプラセボ(n=11[31.43%])で類似していた。全ての患者は、間質性線維症/尿細管萎縮の程度、移植前の全体的な硬化症及び血管の変化を調べるために移植前の生検を受けた(表2及び図2~5)。2つの群で病理学的特徴に有意な差異はなかった(図2~5)。
(表2)治療(C1INH対プラセボ)による患者の特徴
略語:ABMR、抗体媒介拒絶;C1INH、C1エステラーゼインヒビター;DCD、心臓死後のドナー;DSA、ドナー特異的抗体;KDPI、腎臓ドナープロファイルインデックス;MFI、平均蛍光強度;SD、標準偏差;TCMR、T細胞媒介拒絶。
Figure 0007410019000002
Figure 0007410019000003
主要評価項目
移植後最初の1週間の透析の必要性は、C1INH群とプラセボ群の間で差異がなかった(それぞれ、n=15[44.12%]対n=21[60.00%]、p=0.232、平均数=0.97±1.22対1.54±1.54、p = 0.115)(図6A)。さらに、eGFR(MDRDを使用)の推定値も、1週間の2つの群で類似していた(C1INH 20.39±17.16対プラセボ16.20±13.72、p=0.368)。したがって、主要評価項目は満たされなかった。また、85以下及び85を超えるKDPIスコアに基づいて透析の必要性を検討した。データを図6B及び6Cに示す。簡潔に述べると、C1INH治療患者の両方の群において、少ない透析セッション数を要求し、KDPI>85で最も少なく要求するという傾向があった。
しかしながら、C1INH群では、移植後15~30日に透析を続けている患者の分析を行ったとき、透析の必要性は有意に低かった(C1INHの透析の平均数=0[n=0]対プラセボの透析の平均数=0.54±1.65[n=5;14.29%](p=0.023)(図6A及び7)。次に、移植後1年間の患者のeGFR値を評価した。1年後、C1INH群のeGFR値は有意に高かった(C1INHでの57.33±15.77対プラセボでの44.90±20.52、p=0.006)(図8)。図9は、移植後最初の7日間の透析の要求性ごとにC1INH及びプラセボ群のeGFRを示す。患者は、C1INH+透析(n=15)、C1INH-透析(n=19)、プラセボ+透析(n=21)、及びプラセボ-透析(n=14)の4つの群に分けられる。C1INH+透析と-透析のeGFRは類似し、1年目のプラセボ-透析とは差異がない(C1INH-透析対プラセボ-透析、p=0.170)。しかしながら、12ヶ月のeGFRは、プラセボ+透析群での43.44±17.35に対してC1INH+透析群での57.69±16.58で有意に改善されている(p=0.019)。図10は、移植後15~30日の間の透析の要求性ごとにC1INH及びプラセボ群のeGFRを示す。ここでは、C1INH群に透析を受けた患者はいない。eGFRは、プラセボ-透析(n=30)群(47.39±19.71)に対してC1INH-透析(n=34)群(57.33±15.77)で有意に良好であった(p=0.029)。より重要なことに、プラセボ+透析群のeGFRは、1年で29.95±20.93mL/分であった。RF分析を使用して、透析の必要性に最も関連する変数を定義した。移植後の最初の2週間の間に、これらにはDCDドナー、KDPI≧85、及びC1INHの使用が含まれた(C1INHはより少ない透析に関連)。3週目と4週目の間の透析の必要性に関連する変数は、C1INH(より少ない透析に関連するC1INH)、ドナーの年齢、及びDCDドナーであった。
したがって、C1INHは、移植後の透析の必要性を軽減する利点をもたらし、対照と比較して移植後12ヶ月の時点での腎機能を改善したように見えた。透析からの解放に関連する要因の統計分析は、図11及び12に示す。死亡、移植片喪失、及び拒絶の複合評価項目の分析により、C1INHを投与された群の数値的により少ない事象で、統計的に有意でない差が明らかになった。ここで、C1INHは、患者が2~4週間透析を続けることを考慮すると、最も強い効果を発揮する。
副次評価項目
1年目での患者と移植片の生存に差異はなかった(p=0.493)。2つの移植片がプラセボ群で、及び1つの移植片がC1INH群で失われた。患者の死亡はなかった。1人の患者(C1INH)は、機能的な同種移植片において急性腎障害を引き起こした重大な移植後出血の発生により、研究分析から除外された。これはC1INHに関連するとはみなされなかった。いくつかの生化学的パラメーターもまた評価した。C1INHレベルは治療群で有意により高く、これは移植後1週間の時点で持続していた。C3、C4、フィブリノーゲン、PT=プロトロンビン時間/PTT=部分トロンボプラスチン時間、及びdダイマーのレベルは、2つの群で類似していた(図15~21)。C1エステラーゼインヒビター、補体3タンパク質(C3)、及び補体4タンパク質(C4)は、移植0日目から移植後7日目まで分析された。C1エステラーゼインヒビターレベルは、移植後1及び7日目で、C1INH対プラセボ群において有意に増加した(p<0.0001)。移植後7日目まで、C3及びC4レベルに有意な差異はなかった。国際標準化比(INR)、プロトロンビン時間(PTT)、Dダイマータンパク質(Dダイマー)、フィブリノーゲンを移植0日目から移植後7日目まで分析した。移植後7日目まで、INR、PTT、Dダイマー、及びフィブリノーゲンレベルは、C1INH対プラセボ群間において有意な差異がなかった。
安全性調査
20人の患者(28.6%)が重篤な有害事象(SAE)を経験し、10人がC1INH群からの患者であり、10人がプラセボ群からの患者であった。一部の患者は複数のSAEを経験した。16例のSAEがプラセボ群で認められたのに対し、C1INH群では11例であった。全てのSAEは治療で解決し、C1INHに関連していないとみなされた。SAEの完全な要約を表3に示す。
(表3)*同一の患者が列挙された重篤な有害事象の1つ以上を有する場合がある。
Figure 0007410019000004
Afib、心房細動;Aflutter、心房粗動;C1INH、C1エステラーゼインヒビター;Cr、クレアチニン;DVT、深部静脈血栓症;HTN、高血圧;pna、肺炎;SVC、上大静脈;UTI、尿路感染症;VTach、心室頻拍。同一の患者が列挙された重篤な有害事象の1つ以上を有する場合がある。
C1INHの追加の安全性の懸念は、髄膜炎菌感染と静脈血栓塞栓症のリスクであった。プロトコールに従う安全対策には、移植時の髄膜炎菌ワクチン接種、移植後30日間の予防的シプロフロキサシンの投与、Wellの基準を使用した試験期間中の静脈血栓塞栓症の評価が含まれる。髄膜炎菌感染は見られなかった。プラセボ群の1人の患者は、静脈血栓塞栓症を発症したが、これは治療で解消した。
1年間の評価では、3例の移植片損失があった。1例はプラセボ群で発生し(1例は抗体媒介拒絶による)、1例はC1INH群で発生した(外科的合併症)。C1INH群の移植片喪失は、腸骨動脈-腎動脈吻合部位の仮性動脈瘤からの出血による急性腎障害(AKI)を伴う繰り返しの後腹膜血腫によるものであった。治療後、患者は4ヶ月間正常な腎機能を回復したが、再びAKIエピソードを発症した。患者はその後、生検の合併症に関連して移植後9ヶ月で移植片を喪失した。
腎臓同種移植のコスト及び長期機能及び生存に対するIRI誘発DGFの有害な影響は十分に立証されている。これは、特に高齢のレシピエントでDGFのリスクが高まる新しいKASの履行により明確な焦点となっている。Kumarと同僚からの最近のデータは、虚血性腎障害後の腎修復を担う細胞及び分子経路を調査した。IRIのマウスモデルでは、これらの研究者は、単一の虚血エピソードにより、自然免疫及び適応免疫と線維症に関連する遺伝子が活性化され、IRI後1年で慢性腎臓病へと進行することを実証した。介入の複数の標的が特定されているにもかかわらず、IRIとDGFの自然歴を変更することは実現しにくいままである。ただし、動物モデルは、補体活性化の減少または阻害が介入の重要な治療標的を表す可能性があることを示している。
補体系は、自然免疫系の重要な構成要素であるが、虚血性傷害に関連する損傷関連分子パターン(DAMP)の認識にも重要な役割を果たす。他の報告は、C1INH治療が実験モデルでIRIを防ぐことができることを示す。Dalle Luccaらは、組換えヒトC1INH(rhC1INH)が、制御された出血による低血圧のブタモデルの組織損傷を改善することを示した。rC1INHの投与は、IRI誘発補体活性化に起因する腎臓へのIRI傷害を大幅に減少させた。治療動物は、免疫細胞浸潤とサイトカイン産生の低下も示した。腎臓へのIRI損傷のブタモデルを使用して、Delpachらは、IRIが、MBL/MASP-2経路を介して、C3の活性化に関連していることを見出した。C1INHの注入により、尿細管周囲毛細血管C4d沈着及びC5b-C9 MAC沈着が大幅に減少した。C1INHはまた、浸潤する免疫細胞も減少させた。C1INHで治療された動物は、間質性線維症/尿細管萎縮及び腎機能の喪失が大幅に少なかった。Danobeitiaらはまた、マウスモデルにおいて虚血誘発性AKI及び線維症に対するC1INHの大幅な抑制効果を実証した。ここで、研究者らは、虚血性傷害後のAKIの予防におけるC1INHによって媒介される保護効果を実証した。IRIの誘導前のC1INHでの前処理は、補体活性化を阻害し、C5a生成を防止し、その後の炎症反応を下方制御した。これには、サイトカイン放出の抑制(インターロイキン6)、マクロファージ及び好中球の浸潤の減少、及び線維化促進性サイトカインの産生の減少が含まれる。したがって、虚血後の線維症への進行は、初期炎症性損傷のC1INH誘発性の減少により制限された。この研究は、炎症性損傷から間質性線維症及び尿細管萎縮への移行において、主にMBL/MASP-2経路を介した早期補体活性化の中心的役割を支持するさらなる証拠を提供する。それはまた、尿細管間質性線維症の予防のための補体指向経路の早期阻害の重要性を示す。著者らは、彼らの研究が腎線維症の素因となる急性及び慢性虚血性腎疾患の管理のための魅力的な治療選択肢としてのC1INHについてのサポートを提供すると結論付けている。
バランスのとれたリスクのある患者集団における本明細書で示されるデータは、術中及び移植の24時間後にC1INH療法を行うと、移植後第2週以降の血液透析の必要性を減らす上で重要な利点を示し、さらに重要なことに、1年目での腎機能の有意な改善と関連した。部分集合分析により、移植後2~4週間透析を受けたプラセボ群の患者は、C1INH治療患者(60.32±14.75mL/分)と比較して1年で29.77±19.14の平均eGFRを示した(p=0.02)(図10)。
患者集団は2つの群間でバランスが取れており、移植生検を含むドナー臓器の特徴は類似していた。また、この研究は、移植後の最初の1週間の透析の必要性及び血清クレアチニンの変化などの初期の事象ではなく、1年目のeGFRなどの長期間の結果に焦点を当てる必要性を確立すると考えられる。
実施例3
米国食品医薬品局(FDAまたは機関)は、腎移植における臓器移植後臓器機能障害(DGF)の予防薬の臨床開発における治験依頼者を支援するためのガイダンス案を提供した。ガイダンスの目的は、腎移植における臓器移植後臓器機能障害(DGF)の予防薬の臨床開発における治験依頼者を支援することである。
A.一般的な考慮事項
1. 有効性の考慮事項
DGFの予防のための承認された薬物がなく、効果的であることが実証されている標準的なケアがないため、試験は積極的治療をプラセボと比較する優越性試験である必要がある。
薬物が新薬である場合(すなわち、FDAによっていずれかの使用が承認されていない場合)、有効性の証拠を提供するために、一般に2つの適切で十分に管理された試験が推奨される。密接に関連する適応症(例えば、作用機序、標的受容体に基づく)での試験など、他の独立した証拠によってサポートされた単一の適切かつ十分に管理された試験は、DGFの予防における有効性の証拠を提供する可能性がある。有効性の結果が非常に頑健な場合、単一の適切かつ十分に管理された試験が適切である場合がある。治験依頼者は、DGFの予防における適切かつ十分に管理された単一の試験からの非常に重要な発見をサポートするために使用される他の独立した確認についてFDAと議論する必要がある。
2. 安全性の考慮事項
一般に、治験薬に関する300人以上の患者の事前承認安全性データベースが推奨される。DGFを予防するための同じまたはそれ以上の投与量と治療期間が他の疾患適応症の臨床試験で使用された場合、それらの臨床試験の安全性情報は、全体の事前承認安全性データベースの一部となる。
現在の管理戦略と比較して重要な臨床的利益がある新薬の場合、実証された利益に応じて、より小さな事前承認安全性データベースで十分である可能性がある。治験依頼者は、臨床開発中にFDAと事前承認安全性データベースの適切なサイズについて議論する必要がある。
B.具体的な有効性試験の考慮事項
1. 研究デザイン、無作為化、層別化、及び盲検化
有効性試験の臨床試験集団には、人種、年齢、性別、及びその他のベースライン特性を含む、米国の患者集団を代表する男性及び女性のデノボの腎臓移植レシピエントを含める必要がある。
好ましくは、新しい腎臓割り当てシステムに実装された腎臓ドナープロファイルインデックスによって格付けされたドナーのタイプは、プロトコールにおいて特定する必要がある。例えば、研究センター及び/または導入治療のタイプ(1を超えて存在する場合)に基づいて、研究登録を層別化することを検討する必要がある。DCDドナー腎臓または機械灌流によって保存されたドナー腎臓のレシピエントを登録する予定がある場合は、ドナーのタイプ(DCD対DBD)及び臓器保存方法に基づく層別化が強く推奨される。
研究は無作為化され、盲検化されるべきである。
2. 研究集団と特定の集団
ヒト医薬品及び生物学的製剤の承認をサポートするための臨床試験の業界強化戦略のガイダンス草案で議論されているように、強化戦略を使用して、これらの臨床研究の腎臓移植レシピエント全体と比較して、DGFを発症するリスクが高い研究集団を選択できる。
3. エントリー基準
プロトコールは、任意の強化戦略を含む、臨床研究に参加する患者を選択するために使用される選択基準及び除外基準を指定する必要がある。
4. 臓器の保管条件と併用免疫抑制剤及びその他の薬物の使用
このプロトコールでは、臓器の回復、保管、及び輸送条件のタイプ:機械灌流(冷却もしくは保温)または静的冷蔵を指定する必要がある。
誘導剤(複数可)及び維持療法を含む、移植後の免疫抑制(IS)療法を指定する必要がある。DGFの臨床試験では、移植時の最初の静脈内コルチコステロイドボーラスを含む誘導の種類、及び維持IS療法を治療群全体にわたって標準化して、これらの因子の研究評価項目に対する潜在的な交絡効果を最小限に抑えることが強く推奨される。
プロトコールは、研究患者で使用されているIS及びその他の薬物に関するデータを、症例報告書(CRF)で収集する必要があることを明記する必要がある。治療薬モニタリングを使用して管理される薬物の場合、薬物トラフレベルをCRFで収集する必要がある。
5. 用量選択
用量範囲試験は、フェーズ1またはフェーズ2の試験中に実施する必要がある。一般に、DGF(及び他の形態の早期移植片機能不全)を予防するための研究は治療期間が短いと予想されるため、移植後の最初の1週間内に異なる投与計画を評価できる。
6. 比較基準の選択
現在、DGFの予防のための承認された治療法及び標準的な治療法がないため、プラセボ対照試験が推奨される。
7. 有効性評価項目
a. 有効性の主要評価項目
治験依頼者は、有効性の主要評価項目を選択する際に以下を考慮する必要がある。
・短期評価または複合評価項目
有効性についての移植片機能の短期評価
移植片機能の短期評価では、DGFの一般的な定義(すなわち、移植後最初の7日以内の血液透析治療の要求性)を主要評価項目として使用できる。文献でサポートされているDGFの他の定義も提案できる。
二元評価項目としてのDGFの発生の評価の代替として、DGF重症度スコアリングシステムを提案できる。これらには、腎機能の回復までに必要な血液透析セッションの回数、またはDGFの診断後の腎機能の回復までの時間を含むことができる。DGF重症度スコアリング評価項目が主要評価項目として選択された場合、提案されたスコアの差異の臨床的意義と関連性の正当性が提供される必要がある。
移植後最初の7日間のいずれかの血液透析セッションの記録に加えて、透析の理由に関係なく、7日目から移植後30日目までの血液透析セッションに関する情報を治療の持続性を評価するためにCRFで収集し、最終調査報告書で提出する必要がある。
SGF及びfDGFを使用した短期複合評価項目
別の選択肢は、DGF及びSGFまたはfDGFの一部の構成要素を含む短期の主要評価項目を選択することである。プロトコールには、SGF及びfDGFの具体的な定義を含める必要がある。上述のように、これらの結果に対して重症度スコアリングシステムの使用を指定する必要があり、将来的に定義されるスコアの差異は、臨床的に意味があるとの正当性を示す必要がある。
・長期的な有効性と腎機能の改善
臨床試験の目的が、プラセボと比較して薬物が腎機能の全体的な持続的改善をもたらすことを実証することである場合、腎機能データは全ての患者について最低12ヶ月間収集する必要がある。腎機能の臨床的に意味のある差異(血清クレアチニンレベルまたは糸球体濾過率を使用して評価される)は正当性を示す必要がある。
b. 有効性の副次的評価項目
治験依頼者は、有効性の副次的評価項目を選択する際に以下を考慮する必要がある。
・DGF
主要評価項目に対してDGF重症度スコアリング方法の1つを選択した場合、DGFの古典的な定義(すなわち、移植後最初の7日以内の透析の要求性)は、副次的評価項目に含まれる必要がある。
・30日目の分析
この分析の目的は、移植後最初の1週間後の治療効果の持続性を評価することである。
・腎機能
移植後12ヶ月間の事前に指定された時点での治療群とプラセボ群の腎機能(測定または計算)の比較は、副次的評価項目の1つであるべきである。
8. 安全性の考慮事項
投与は移植後の最初の1週間に行われると予想されるため、30日間の追跡で、通常の臨床検査と薬剤に起因する有害事象データの収集を評価することができる。薬物の薬物動態/薬力学(PK/PD)特性に応じて、薬物関連の有害事象の臨床的及び検査での長期にわたる追跡が必要になる場合がある。
上述のように、移植後最初の30日間のデータが利用できるとき、有効性の主要評価項目を評価できる。しかしながら、腎臓の同種移植片及び患者に対するDGFを予防する薬剤の長期的な効果を理解するには、追加の追跡が必要である。
この適応の場合、薬物の作用機序は傷害と炎症の予防に関連している。主な作用機序は免疫抑制剤としてではない(これらの薬物は主にT細胞とB細胞自体を抑制することを意図していない)。しかしながら、ISまたはその他の関連する効果(低白血球、サイトメガロウイルス肺炎)に関してDGFに対する薬物が中立的であると想定することはできない。したがって、急性拒絶、移植片喪失、及び死亡は有効性の評価項目ではなく、むしろ、それらはDGFを予防する薬剤の試験における安全性の評価項目である。長期にわたる追跡の理由は、DGF薬が腎臓同種移植片に何らかの意図しない効果(毒性)を有しているか否か、及びその毒性が腎臓の機能に影響を与え、腎臓が拒絶またはその他の損傷を受けやすくなり、生存に影響を与えているか否かを評価することである(有利または不利のいずれか)。安全性の追跡の一般的な期間は最低12ヶ月である必要があり、以下のような、移植片の生存と機能(拒絶反応のエピソードを含む)、入院の発生、及び最低3ヶ月目(約90日目)、6ヶ月目、12ヶ月目の患者の生存に関する情報を収集する必要がある。
・患者及び移植片の生存
患者及び移植片の生存データは安全性評価項目に含む必要があり、移植後少なくとも12ヶ月のデータを収集する必要がある。
・拒絶
急性細胞拒絶及び抗体媒介拒絶エピソードは、移植後少なくとも12ヶ月間CRFに記録し、安全性評価項目の一部として分析する必要がある。
・入院
入院に関するデータは、移植後少なくとも12ヶ月間収集し、安全性評価項目の一部として分析する必要がある。
9. 研究手順と評価のタイミング
主要評価項目は、移植後7日目に評価できる。治療効果の持続性を評価するために、CRFで記録された透析セッションの回数を含む、7日目~30日目の透析の必要性も評価する必要がある。
研究群の比較可能性を評価するために、移植の前の週の透析セッションをCRFで記録する必要がある。
同様に、安全性の評価については、半減期が短い薬物については、全ての有害事象及び臨床検査に関する情報を最大30日目まで収集する必要がある。しかしながら、PKの特性とPD効果の持続期間に応じて、臨床検査データの収集と有害事象の評価によるより長い追跡が必要になる場合がある。
次のタイプの深刻な有害事象に関するデータは、少なくとも12ヶ月間収集する必要がある:急性拒絶反応、移植片喪失、入院(例えば、感染症、移植後の新たな発症糖尿病、神経学的有害事象、悪性腫瘍に関して)、及び患者の死亡。これらのデータを収集するために全ての試みを行う必要があり、入院や急性拒絶に関する情報の欠落を最小限に抑える必要がある。長期の安全性評価は、少なくとも3ヶ月目、6ヶ月目、及び12ヶ月目に収集する必要がある。
10. 評価項目判定
評価項目の判定は存在しないはずであり、これは、治療意図(ITT)分析では、移植後最初の7日以内に行われた全ての透析セッションを分析に含める必要があることを意味する。しかしながら、治験依頼者は感受性分析を実行して、透析セッションの具体的な理由(例えば、血液量増加)が考慮されている患者の部分集合を調べることができる。これらの分析は、ITT集団分析に加えて行うことができるが、それに代わるものではない。
11. 統計学的考察
プロトコールは、情報の収集方法と分析方法を指定する必要がある。移植後7日以内の透析と定義されたDGFの患者は全て、分析において治療失敗として含める必要がある。移植片の喪失、または死亡、または最初の7日間で追跡ができなくなった患者は、治療の失敗とみなされるべきである。しかしながら、移植後最初の30日以内に患者の追跡ができなくなってはいけない。
有効性の主要評価項目は、腎移植を受ける無作為化された全ての患者として定義されるITT集団に基づいて分析されるべきである。
プロトコールが主要複合評価項目の一部としてSGFまたはfDGFを指定する場合、計画された分析は、プロトコール及び統計分析計画(SAP)で指定される必要がある。欠落データを処理する戦略を定義する必要があるが、(上述のように)、移植後最初の30日間にデータが欠落してはいけない。
重症度スコアまたは移植機能回復までの時間など、治療の成功の他の指標が主要評価項目として使用される場合、プロトコールとSAPは結果の分析方法を記載する必要がある。最初の30日間に移植片の喪失または死亡を経験した患者については、適切な分析戦略を定義する必要がある(例えば、実際のデータが利用できないとき、週に3回の透析セッションを考慮することを検討すべきである)。
副次的評価項目の場合、30日目の分析では、主要評価項目と同様の分析戦略を使用して、移植後最初の30日間に透析を受けた患者のパーセンテージを調べる必要がある。この分析は、治療の持続性を評価するためである。治療効果の方向と大きさは、主要評価項目にと同等である必要がある。
安全性は、少なくとも1用量の試験薬または対照薬(例えばプラセボ)を投与され、少なくとも3ヵ月目、6ヶ月目、及び12ヶ月目に急性拒絶反応、移植片喪失、重篤な副作用による入院、及び患者の死亡について評価されたITT患者で分析する必要がある。
12. 迅速承認(サブパートH)の考慮事項
迅速承認を検討するには、全ての患者の有効性データと少なくとも3ヶ月(90日)の安全性データとともに、新薬申請(NDA)または生物製剤ライセンス申請(BLA)を提出する必要がある。この最初の提出では、一部の患者はすでに90日以上追跡されている必要がある。急性拒絶反応、移植片喪失、重篤な副作用による入院、及び3ヶ月目から6ヶ月目の死亡に関して収集された安全性データは、6ヶ月目の安全性データの統合提示とともに、120日間の安全性更新で提出する必要がある(元のNDAまたはBLAの患者データ及び120日間の安全性更新の患者データ)。
完全な承認を得るには、急性拒絶反応、移植片喪失、重篤な副作用のための入院、及び移植後最低12ヶ月の死亡に関する情報を、元のNDAまたはBLAの提出の一部として、または迅速承認後の市販後要件として提出する必要がある。臨床試験デザインのさらなる詳細については、医薬品開発中に議論できる。
13. 危険度-有益性の考慮事項
DGFを予防することの初期の利点は、薬物の安全性と比較する必要があり、移植後の最初の30日間で直接評価し、もしあれば、急性拒絶反応、移植片喪失、入院を必要とする重篤な副作用の影響、移植後最低12ヶ月間の患者の死亡に対する影響と比較する必要がある。DGFを予防することの利点は、治療のリスクを上回る必要がある。上述の様々な方法と技術は、本願を実施するための多くの方法を提供する。当然のことながら、本明細書に記載された特定の実施形態に従って、記載された全ての目的または利点が必ずしも達成できるとは限らないことを理解されたい。したがって、例えば、当業者は、本明細書で教示または示唆される他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示される1つの利点または利点群を達成または最適化する方法で方法を実行できることを認識するであろう。様々な代替が本明細書に記載されている。いくつかの好ましい実施形態は1つ、別の、またはいくつかの特徴を具体的に含むが、他のものは1つ、別の、またはいくつかの特徴を具体的に除外し、さらに他のものは1つ、別の、またはいくつかの有利な特徴を含めることにより特定の特徴を緩和することを理解されたい。
さらに、当業者は、異なる実施形態からの様々な特徴の適用可能性を認識するであろう。同様に、上述の様々な要素、特徴、及びステップ、ならびにそのような各要素、特徴、またはステップの他の既知の均等物は、当業者によって様々な組み合わせで使用して、本明細書に記載の原理に従って方法を実行することができる。様々な要素、機能、及びステップの中で、いくつかは具体的に含まれ、他は様々な実施形態で具体的に除外される。
本願は、特定の実施形態及び実施例の文脈で開示されたが、当業者は、本願の実施形態が、具体的に開示された実施形態を超えて他の代替的な実施形態及び/またはその使用及び修正及び均等物に及ぶことを理解するであろう。
本願を実施するために本発明者らに知られている最良の形態を含む、本願の好ましい実施形態を本明細書に記載する。これらの好ましい実施形態に対する変形は、上述の説明を読むことにより当業者には明らかになるであろう。当業者は、そのような変形を適切に使用することができ、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で本願を実施できると考えられる。したがって、本願の多くの実施形態は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙される主題の全ての修正及び均等物を含む。さらに、本明細書中に別の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、それらの全ての可能な変形における上述の要素の任意の組合せが本願に包含される。
本明細書で参照される全ての特許、特許出願、特許出願の刊行物、及び記事、書籍、明細書、刊行物、文書、物品及び/またはそのようなものなどのその他の資料は、参照によりその全体は、全ての目的のために本明細書に組み込まれるが、それらと関連付けられているいずれかの審査ファイル経過、本願文書と矛盾するかもしくは対立するそのいずれか、または現在もしくは将来に本願文書に関連付けられる特許請求の範囲の最も広い範囲に関して限定的な影響を与える可能性のあるそのいずれかは除外される。例として、説明、定義、及び/または組み込まれた資料のいずれかに関連する用語の使用と、本願文書に関連するものとの間に不一致または矛盾がある場合、本願文書における説明、定義、及び/または用語の使用が優先するものとする。
本明細書に開示される本願の実施形態は、本願の実施形態の原理を例示するものであることを理解されたい。採用できる他の修正は、本願の範囲内であり得る。したがって、限定ではなく例として、本願の実施形態の代替的な構成を本明細書の教示に従って利用することができる。したがって、本願の実施形態は、示され記載されたものに正確に限定されない。
本発明の様々な実施形態は、発明を実施するための形態において上述されている。これらの説明は上述の実施形態を直接説明しているが、当業者は、本明細書に示され説明されている特定の実施形態に対する修正及び/または変形に想到し得ることが理解される。この説明の範囲内にあるそのような修正または変形は、その中に含まれることも意図されている。特に明記しない限り、明細書及び特許請求の範囲の単語及び語句には、適用可能な分野(複数可)の当業者に通常の慣習的な意味が与えられることが発明者の意図である。
本願の出願時に出願人に知られている本発明の様々な実施形態の前述の説明は提示されており、例示及び説明の目的のために意図されている。本説明は、網羅的であることも、開示された正確な形態に本発明を限定することも意図されておらず、上述の教示に照らして多くの修正及び変形が可能である。記載された実施形態は、本発明の原理及びその実際の応用を説明し、当業者が考えられる特定の用途に適した様々な実施形態及び様々な修正を加えて本発明を利用できるようにする。したがって、本発明は、本発明を実施するために開示された特定の実施形態に限定されないことが意図されている。
本発明の特定の実施形態を示して説明したが、本明細書の教示に基づいて、本発明及びそのより広い態様から逸脱することなく変更及び修正を行うことができることは当業者には明らかであり、したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨及び範囲内にある全てのそのような変更及び修正をその範囲内に包含するものである。

Claims (12)

  1. 腎移植を受けたかまたは受ける対象において移植腎機能を改善するかまたは移植腎機能発現遅延(delayed kidney graft function)の可能性を低減するための、治療有効量の1種類または複数種類の血漿由来のC1エステラーゼインヒビターを含む、医薬であって、前記治療有効量が、対象1kgあたり0単位であり、かつ前記腎移植の日の術中および前記移植の24時間後、の2回のみ投与される、医薬。
  2. 前記治療有効量のC1エステラーゼインヒビターが、前記移植の日の術中に前記対象における前記移植腎の再灌流の前に、および記移植の24時間後に前記対象に投与される、請求項1記載の医薬。
  3. 前記C1エステラーゼインヒビターが、静脈内または皮下に投与される、請求項1に記載の医薬。
  4. 腎移植を受けた対象において臓器移植後臓器機能障害(DGF)が観察され、DGFが移植後7日以内の前記対象における透析の必要性を特徴とする、請求項1に記載の医薬。
  5. 前記対象が10mL/分以下の推定糸球体濾過率(eGFR)を特徴とする、移植腎機能発現遅延の可能性を低減するための請求項1に記載の医薬。
  6. 前記透析の必要性が、前記移植後2週間、3週間、または4週間の時点で減少している、請求項に記載の医薬。
  7. 前記透析の必要性が、前記移植後2~4週間、1~3ヶ月、3~6ヶ月、6~9ヶ月、9~12ヶ月、または12~15ヶ月の時点で減少している、請求項に記載の医薬。
  8. 腎機能が、前記対象の移植後1週間以内の腎機能と比較して、または腎移植を受けて臓器移植後臓器機能障害を経験した、治療有効量の1種類もしくは複数種類のC1エステラーゼインヒビターを投与されていない対照の対象と比較して、移植後1年の時点で改善される、請求項1に記載の医薬。
  9. 前記腎機能が、移植後3~6ヶ月、6~9ヶ月、9~12ヶ月、12~15ヶ月、または15ヶ月以上改善される、請求項に記載の医薬。
  10. 腎機能の改善が、推定糸球体濾過率の増加、血清クレアチニンレベルの減少、クレアチニンクリアランスの増加、及び尿排出量の増加のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の医薬。
  11. 移植される腎臓が、
    60歳以上のドナーからのものである、または
    高血圧の病歴、1.5以上のクレアチニン(腎機能を示す血液検査)、もしくは死因が脳卒中である、のうちの少なくとも2つを伴う50歳以上のドナーからのものである、
    請求項1に記載の医薬。
  12. 前記対象における腎機能が、移植後1週間以内の前記対象の腎機能と比較して、または腎移植を受けて臓器移植後臓器機能障害を経験した、治療有効量の1種類もしくは複数種類のC1エステラーゼインヒビターを投与されていない対照の対象と比較して、腎移植後3~6ヶ月、6~9ヶ月、9~12ヶ月、12~15ヶ月または15ヶ月以上の間改善される、請求項1記載の医薬。
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