JP7389618B2 - 生物を含む土の処理方法、利用方法および広域利用可能な土の製造方法 - Google Patents

生物を含む土の処理方法、利用方法および広域利用可能な土の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、生物を含む土砂・浚渫土・建設発生土等の土の処理方法、利用方法および広域利用可能な土の製造方法に関する。
土砂、浚渫土、建設発生土等を広域利用する際に土砂等に含まれる生物が問題となる場合がある。特に離島等でこれらの材料を他の地域から運搬し使用する際に昆虫類や植物等の外来生物(特定外来生物および日本国内の他地域で生息していても当該地域では本来生息していなかった生物を含む)が含まれると、その地域の生態系を攪乱するおそれがある。また、利用先に生息する種であっても、地域によって遺伝子レベルでの差異がある場合には、遺伝子汚染とも呼ばれる遺伝子の多様性の低下が問題となる。また、たとえば小笠原諸島に生息する固有種の陸産貝類は、外来種による捕食のため父島では絶滅に瀕している。また、土砂等に病原性の微生物等が含まれる場合等も土砂等の広域利用の妨げとなる。
上述のような問題に対し、土壌中の生物を確実に処理する方法として熱処理や燻蒸処理が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献2は、酸化マグネシウムと増量材を含む雑草繁殖防止材が地面に供給されて、水と反応して硬化し、地表面に硬化層を形成して雑草の繁殖を防止することを提案する。特許文献3は、アルカリ刺激材、並びに、焼却灰、スラグ、石炭灰及び火山灰から選ばれた一種又は二種以上の粒子径0.1~50mmの骨材を含有してなる防草材を、地面に敷き詰め、その上に散水して被覆すること、また、水と練り混ぜ、地表面に敷き詰めて被覆することを提案している。
特開2017-63626号公報 特開2003-47388号公報 特開2018-78855号公報
「建設汚泥再生利用マニュアル」土木研究所 2008年 「植栽基盤の整備手順」国土交通省 www.mlit.go.jp/common/000205829.pdf 服部勉・宮下清貴・斎藤明広「土の微生物学」(養賢堂)2008年
特許文献1のような熱処理や燻蒸処理は、外来生物対策として確実な手法であるが、埋立事業等において大量の土砂を処理する場合、大型のプラントが必要となり、処理費用も高額となる等の問題が指摘されている。
特許文献2,3は、雑草繁殖防止材や防草材を単に対象地の地面に供給し数cm程度の層で被覆して雑草の侵入・繁殖を防止するもので、土砂、浚渫土、建設発生土等を広域利用する際にこれらの材料を他の地域から運搬し使用する場合の対策ではなく、また、植物の繁茂に対する対策で、土砂中に含まれる植物の種子や昆虫類等の動物に対するものではない。さらに、対象地域の地表面を固化したとしても、土砂中に存在する昆虫類や土壌動物等は、土砂中を移動し、固化されていない地表面から地表に移動することが可能である。周辺に生育する植物の根が伸長し、固化した地表面の弱部やクラックが発生した場合等、植物が固化層を突き抜けて生長する可能性がある。
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、土砂・浚渫土・建設発生土等の土に含まれる植物・昆虫類・土壌動物・微生物等の生物による影響を抑制し、土の広域利用を可能とするとともに、かかる生物を含む大量の土砂等を処理コストが嵩まずに処理可能である土の処理方法、利用方法および広域利用可能な土の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための生物を含む土の処理方法は、植物・昆虫・土壌動物・微生物の少なくともいずれか1つの生物を含む処理対象の土に改質材を混合し、界面活性剤および海水の少なくともいずれかを混合または浸透させる、生物を含む土の処理方法であって、
前記処理対象の土に含まれる前記生物による影響を抑制するために前記生物の種類を予め調査し、前記調査結果により含まれると判断された前記生物の種類に応じて、前記改質材の種類と添加量、前記界面活性剤と前記海水とのいずれか一方もしくは両方の使用、前記界面活性剤を使用する場合に前記界面活性剤の種類と添加量、および、前記海水を使用する場合に前記海水の添加量を設定し、
前記設定された条件により前記土を処理することで前記土に含まれる植物・昆虫・土壌動物・微生物の少なくともいずれか1つの生息・繁殖が困難な条件を形成するものである。
この生物を含む土の処理方法によれば、生物を含む処理対象の土に改質材を混合することで、改質材による土の固化による固定や空気が入り難くなって通気性がかなり低下すること等により、処理対象の土に含まれる植物・昆虫・土壌動物・微生物等に対して生息・繁殖が困難な条件を形成可能であり、土に含まれる生物による影響を抑制することができる。さらに界面活性剤を混合または浸透させることにより、処理対象の土に含まれる昆虫類や土壌動物等に対して生息・繁殖が困難な条件を形成可能であり、また、塩分濃度が高い海水を混合または浸透させることにより、陸生の植物・昆虫類・土壌動物・微生物等に対する生息や繁殖の抑制効果を高めることができ、これらの生物を含む処理対象の土に対して生息・繁殖が困難な条件を形成可能である。また、処理対象の土に改質材を混合し、界面活性剤・海水を混合または浸透させるだけでよいので、かかる生物を含む大量の土砂等を処理コストが嵩まずに処理可能である。
上記生物を含む土の処理方法において、前記改質材として、セメント、製鋼スラグ、製紙スラッジ焼却灰系改質材、および、アルカリ性の材料を単独で、または、少なくともいずれか2つを組み合わせて使用することが好ましい。
上記目的を達成するためのもう1つの生物を含む土の処理方法は、植物・昆虫・土壌動物・微生物の少なくともいずれか1つの生物を含む処理対象の土に界面活性剤および海水を混合または浸透させる、生物を含む土の処理方法であって、
前記処理対象の土に含まれる前記生物による影響を抑制するために前記生物の種類を予め調査し、前記調査結果により含まれると判断された前記生物の種類に応じて、前記界面活性剤の種類と添加量、および、前記海水の添加量を設定し、
前記設定された条件により前記土を処理することで前記土に含まれる植物・昆虫・土壌動物・微生物の少なくともいずれか1つの生息・繁殖が困難な条件を形成するものである。
この生物を含む土の処理方法によれば、処理対象の土に含まれる昆虫類や土壌動物等に対して生息・繁殖が困難な条件を形成可能であり、土に含まれる生物による影響を抑制することができる。また、処理対象の土に界面活性剤および海水を混合または浸透させるだけでよいので、かかる生物を含む大量の土砂等を処理コストが嵩まずに処理可能である。また、前記土にさらに海水を混合または浸透させることにより、処理対象の土に含まれる陸生の植物・昆虫類・土壌動物・微生物等に対する生息や繁殖の抑制効果を高めることができ、これらの生物を含む処理対象の土に対して生息・繁殖が困難な条件を形成可能である。
また、前記界面活性剤として、陰イオン界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、または、両性界面活性剤を使用することが好ましい。なお、界面活性剤は、必要に応じて希釈して使用することが好ましく、また、環境中での分解性の高いものが好ましい。
また、前記生物が植物・昆虫・土壌動物・微生物のいずれかである場合に応じて、前記処理後の土の一軸圧縮強さ、前記処理後の土のpH、前記処理後の土の酸化還元電位および前記処理後の土の塩素濃度の各条件のうちの少なくともいずれか1つをさらに設定することが好ましい。
また、前記生物は環境省により指定された特定外来生物に含まれる昆虫類、クモ・サソリ類、軟体動物等または植物であることができる。
なお、さらに事前の配合試験により土の処理方法の各種条件を決定することが好ましい。
上記目的を達成するための生物を含む土の利用方法は、上述の生物を含む土の処理方法により処理された前記土を前記処理対象の土の採取位置から離れた地域に搬送し前記地域で利用するものである。
この生物を含む土の利用方法によれば、処理対象の土に含まれる生物による影響を抑制できるので、処理対象の土の採取位置から離れた地域に処理後の土を搬送し、その地域で使用しても、その土に含まれる生物による影響を抑えており、土の広域利用を実現できる。
上記目的を達成するための広域利用可能な土の製造方法は、上述の生物を含む土の処理方法により生物を含む土を処理することで、前記処理対象の土の採取位置から離れかつ前記土に含まれる生物による影響のおそれがある地域において利用可能な土を製造するものである。
この広域利用可能な土の製造方法によれば、上記処理方法により土に含まれる生物による影響を抑制できるので、土の採取位置から離れた地域に処理し製造した土を搬送し、その地域で利用できる。このようにして広域利用可能な土を得ることができる。
本発明の土の処理方法および利用方法によれば、土砂・浚渫土・建設発生土等の土に含まれる植物・昆虫類等の生物による影響を抑制するとともに、かかる生物を含む大量の土砂等を処理コストが嵩まずに処理可能である。また、本発明の広域利用可能な土の製造方法によれば、土砂・浚渫土・建設発生土等の土に含まれる生物による影響を抑制できるので、かかる土の広域利用が可能である。
本実施形態による生物を含む土の処理方法・利用方法を説明するためのフローチャートである。 土の硬さと根の伸長土との関係を示すグラフである(非特許文献1参照)。 微生物と、微生物が増殖可能なpHとの関係を示すグラフである(非特許文献3参照)。 実験例1における各条件および実験結果を示す図である。 実験例2における各条件および実験結果を示す図である。 実験例3における各条件および実験結果を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態による生物を含む土の処理方法・利用方法を説明するためのフローチャートである。
本実施形態による生物を含む土の処理方法は、植物・昆虫・土壌動物・病原性微生物等が含まれる可能性がある処理対象の土砂・浚渫土・建設発生土・岩ずり等の土を採取等により用意し(S01)、適当な場所で土に改質材を添加し混合する(S02)。
改質材として、セメント、製鋼スラグ、製紙スラッジ焼却灰系改質材(PS灰系改質材)、薬液注入のグラウド材等のアルカリ性の材料を単独あるいは複数種を組み合わせて使用することができる。改質材の総添加量は、処理対象の土の単位体積(m3)当たり50kg以上が好ましい。
なお、工程S02の前に、処理対象とする土砂等にどの様な植物・昆虫・土壌動物・病原性微生物等が含まれているか調査し、対象とする生物等に応じて後述するように使用する改質材の種類、量等を設定することが好ましい。
次に、改質材を混合した土に界面活性剤および/または海水を混合する(S03)。なお、土に界面活性剤・海水を浸透させるようにしてもよく、また、浸透後に混合するようにしてもよい。また、界面活性剤・海水の土への混合量は、対象とする生物の種類、対象土の含水比、土質等を考慮して決定することが好ましい。
また、工程S03は工程S02と同時に行ってもよく、前後逆にしてもよい。また、工程S02,S03における混合では、ミキサ混合、バックホウ混合、管中混合等の工法を用いることができる。なお、改質材や界面活性剤等の混合時の撹拌は、対象の生物に損傷を与える効果もある。
界面活性剤として、陰イオン界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を使用することができるが、環境中での分解性の高いものが望ましい。すなわち、昆虫等に効果を発揮した後、速やかに分解するものが好ましい。界面活性剤の使用の際には必要に応じて希釈するが、水道水や海水等によって希釈した、たとえば1%程度の溶液を使用する。この希釈に海水を用いることで海水の混合をあわせて行うことができる。
改質材は、土の固化による固定や土の通気性の低下や土のpHの上昇等により、植物・昆虫・土壌動物・微生物等に対して生息や繁殖の抑制効果を発揮することができる。
また、改質材を混合する際に土砂等の含水比が低い場合等には、固化の水和反応等に必要な水分を補うために加水するが、この加水のために塩分濃度が高い海水を使用することにより、あわせて海水の混合を行うことができ、陸生の植物・昆虫・土壌動物・微生物等に対する抑制効果を高めることができる。
界面活性剤は昆虫の気門を塞ぐことから、昆虫類や土壌動物に対して生息や繁殖の抑制効果を即時的に発揮する。界面活性剤および海水を改質材とあわせて使用することで、植物・昆虫・土壌動物・微生物等に対して生息や繁殖の抑制効果を発揮する。
上述したように、処理対象の土砂等の土に改質材、界面活性剤および海水を混合することにより、処理対象の土に含まれる植物・昆虫・土壌動物・微生物等の生息・繁殖が困難な条件を形成する(S04)。
次に、生物の生息・繁殖が困難な条件を形成した土砂等を土砂等の採取位置から離れた地域に搬送し(S05)、その地域で打設し、たとえば地盤材料や埋立材料として使用する(S06)。
以上のように、本実施形態による生物を含む土の処理方法・利用方法によれば、処理対象の土に含まれる生物の生息・繁殖が困難な条件を形成するので、その生物による影響を抑制できる。このため、処理対象の土の採取位置から離れた地域に土を搬送し、その地域で地盤材料等として使用しても、その土に含まれる生物による影響が抑えられていることから、土の広域利用を実現できる。
また、本実施形態による生物を含む土の処理方法によれば、処理対象の土に改質材を混合し、界面活性剤および/または海水を混合または浸透させるだけでよいので、かかる生物を含む大量の土砂等を処理コストが嵩まずに処理できる。
なお、生物を含む処理対象の土に界面活性剤を単独で混合または浸透させることで、処理対象の土に含まれる生物の生息・繁殖が困難な条件を形成するようにしてもよい。この場合、さらに海水を混合または浸透させるようにしてもよい。
なお、土壌動物とは、土壌中に生活する動物の総称であり、このうち、数センチから1mm前後の中型土壌動物が本実施形態での主な対象である。中型土壌動物の代表的なものとしては、トビムシ目、カマアシムシ目、膜翅目のアリ類、ハエ目(幼虫)、クモ綱 クモ目、ダニ目のササラダニ・ヤドリダニ・イトダニなど、多足類 ムカデ・ヤスデ・コムカデ・エダヒゲムシ、甲殻綱 ワラジムシ・ダンゴムシ、軟体動物の陸産貝類などがあり、これらの卵や器官等も含む。また、微生物は、本実施形態での主な対象が土壌微生物であり、細菌、放線菌、糸状菌、藻類などがある。また、植物には種子も含む。
また、本実施形態において対象とする生物には、海外起源の外来種である外来生物も含まれ、特に、特定外来生物は、外来生物のうち、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から指定される。特定外来生物は、生きているものに限られ、個体だけではなく、卵、種子、器官等も含まれる(https://www.env.go.jp/nature/intro/1law/outline.html)。2019年10月現在、哺乳類や鳥類等に加えて指定された、昆虫類21種類、クモ・サソリ類7種類、軟体動物等5種類、植物16種類(https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/list.html)が本実施形態における生物として主な対象となる。
次に、処理対象の土砂・岩ずり等の土に混合等される改質材、界面活性剤、海水は、各種の組み合わせが可能である。主な組み合わせは以下の通りである。
(1) 土砂・岩ずり等 + 改質材(1種類)+ 界面活性剤
(2) 土砂・岩ずり等 + 改質材(2種類以上)+ 界面活性剤
(3) 土砂・岩ずり等+ 改質材(1種類)+ 海水
(4) 土砂・岩ずり等+ 改質材(2種類以上)+ 海水
(5) 土砂・岩ずり等+ 改質材(1種類)+ 界面活性剤 + 海水
(6) 土砂・岩ずり等+ 改質材(2種類以上)+ 界面活性剤 + 海水
(7) 土砂・岩ずり等 + 界面活性剤
(8) 土砂・岩ずり等 + 界面活性剤 + 海水
本実施形態による生物を含む土の処理方法・利用方法の実施に当たっては、処理対象の土に含まれる生物の種類を予め調査し、その調査結果により含まれると判断された生物の種類に応じて適切な土の処理方法および各種条件を設定することが好ましい。すなわち、上述の組み合わせ(1)~(8)から土の処理方法を選択し、改質材の種類(複数の組み合わせを含む)や添加量、界面活性剤の種類や添加量、海水混合等の種々の条件を設定する。また、事前の配合試験により処理対象の土に含まれる生物に対し効果的である土の処理方法の各種条件を決定することが好ましい。
次に、土の処理方法の選択・条件設定において考慮すべき各種生物に対する抑制原理および設定条件について説明する。
昆虫・土壌動物の場合
(a)昆虫や土壌動物の成長抑制原理
改質材の混合時の撹拌による損傷・死滅および土の固化により、昆虫等の生物の土中での移動や穿孔が困難となる。土の固化により通気性が低下し、昆虫の呼吸に必要な酸素供給を抑制する。昆虫類に対する即効性が必要な場合、界面活性剤を添加すると、昆虫の気門が塞がれて困窮困難になる。
(b)設定条件
以下のいずれか1項目または2項目以上を合わせた条件を設定する。
・処理後の土の一軸圧縮強さ:300KN/m 以上(植物の根の伸長条件と同等と想定)
・処理後の土の酸化還元電位:0mV以下
・界面活性剤:1%程度溶液
植物の場合
(c)植物の抑制原理
改質材の混合時の植物体や種子の損傷や土の固化により、種子の発芽や根、植物体の伸張を抑制する。土の固化によって通気性を低下させ、呼吸に必要な酸素供給を抑制する。また、土の塩分(海水中で通常の植物は発芽しない)やpH上昇(アルカリ土壌では通常の植物は生育困難となる)によって発芽生育が困難な条件を形成する。植物の根の伸張は、図2のように、土の一軸圧縮強さ300kN/m2が限界とされているが(非特許文献1参照)、塩分やpH等の植物の生育に不適な条件が合わさることにより、より低強度の条件で植物の生育を抑制することが可能となる。
(d)設定条件
以下のいずれか1項目または2項目以上を合わせた条件を設定する。
・処理後の土の一軸圧縮強さ:300kN/m2以上
・処理後の土のpH:9以上(非特許文献2参照)
・処理後の土の酸化還元電位:0mV以下
・処理後の土の塩素濃度:0.1%以上(非特許文献2参照)。
微生物の場合
(e)微生物の繁殖抑制原理
アルカリ条件により微生物の繁殖を抑制する。改質材の混合による土の固化により、土の通気性が低下し、微生物の呼吸に必要な酸素供給を抑制する(好気性微生物の場合)。強い殺菌能力が必要な場合、殺菌性の高い陽イオン性界面活性剤や両性界面活性剤を混合する。
(f)設定条件
以下のいずれか1項目または2項目以上を合わせた条件を設定する。
・処理後の土のpH:9以上(図3のように、一般の細菌等が対象の場合、好アルカリ菌を除く(非特許文献3参照))
・処理後の土の酸化還元電位:0mV以下(好気性微生物の場合)
・界面活性剤:1%程度溶液
次に、本発明についての実験例を説明するが、本発明は本実験例に限定されるものではない。
[実験例1]
土砂に対してコマツナ(アブラナ科)を播種し、セメント・製鋼スラグ・PS灰系改質材の内の1つずつ添加し混合した後、pH、一軸圧縮強さ(28日後)、発芽・生育個体数(N=20)、一般細菌数を確認した。セメント(100kg/m3混合)およびPS灰系改質材(100kg/m3混合)の場合、海水を混合した条件も設定した。それらの各条件および実験結果を図4に示す。
図4に示すように、土砂に対するセメント、製鋼スラグまたはPS灰系改質材の添加混合によりコマツナの発芽率・生残率(28日後)と一般細菌数は大きく低下し、海水を混合すると、発芽率・生残率は0%となる条件があった。すなわち、コマツナに対する抑制効果を期待する場合、生残率0%を指標とすると、セメント100kg/m3以上またはPS灰系改質材100kg/m3以上で、セメントの場合は海水の混合が配合条件となる。また、一般細菌数について、10個/g以下を指標とすると、セメント200kg/m3以上、製鋼スラグ300kg/m3以上、PS灰系改質材100kg/m3以上が配合条件となる。さらに、コマツナと一般細菌の両方を対象とする場合、セメント200kg/m3以上、PS灰系改質材100kg/m3以上、および海水の混合が配合条件となる。なお、本実験例では、入手が容易なコマツナを使用し、水質等で使用される一般細菌数を指標としたが、実際には現地条件に合わせて対象とする生物および指標を選定することが好ましい。
[実験例2]
コウライ芝のポット苗(400g程度)にセメントまたはPS灰系改質材および海水を添加し混合し、pH、土壌硬度(測定後一軸圧縮強さに変換)、芝の生育状況、土壌動物を確認した。セメント100kg/m3混合の場合界面活性剤1%溶液も混合した。また、海水の代わりに水道水を用いたケースについても同様の確認を行った。それらの各条件および実験結果を図5に示す。
図5に示すように、土砂に対する海水とセメントまたはPS灰系改質材との添加混合により芝が枯死状態(緑色の植物体が確認できない状態)となり、土壌動物の数が大きく低下した。すなわち、コウライシバを対象とした場合、コウライシバの28日後枯死は、セメント50kg/m3以上(水道水・海水ともに可)、PS灰系改質材100kg/m3(水道水・海水ともに可)が配合条件となる。土壌動物を対象とした場合、土壌動物の生存数0は、セメント200kg/m3以上(水道水・海水ともに可)、PS灰系改質材100kg/m3以上(水道水・海水ともに可)が配合条件となり、セメント100kg/m3の場合は海水と界面活性剤1%溶液を用いることが配合条件となる。また、コウライシバと土壌動物の両方を対象とする場合、セメント200kg/m3以上(水道水・海水ともに可)、PS灰系改質材100kg/m3以上(水道水・海水ともに可)が配合条件となり、セメント100kg/m3の場合は海水と界面活性剤1%溶液を用いることが配合条件となる。なお、本実験例では、入手が容易なコウライシバを使用したが。実際には現地条件に合わせて対象とする植物および指標を選定することが好ましい。
[実験例3]
土砂に対して海水または水道水を溶媒とした陰イオン界面活性剤1%溶液を混合した後、pH、土壌動物を確認した。それらの各条件および実験結果を図6に示す。図6に示すように、溶媒が海水、水道水のいずれの場合でも界面活性剤1%溶液により土壌動物の数が低下した。土壌動物を対象とした場合、界面活性剤1%溶液混合(溶媒は水道水・海水ともに可)が配合条件となる。なお、添加した界面活性剤は7日後には分解されることを確認した。
以上のように本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。たとえば、図1では、対象とする生物に応じて、界面活性剤と海水のいずれか一方の混合であってもよいことはもちろんである。
また、改質材を混合した改質土中の酸素を速やかに消費して嫌気的な条件を形成するために(動植物の呼吸が困難となる)、有機物や堆肥をさらに混合するようにしてもよい。
本発明によれば、処理対象の土に含まれる生物による影響を抑制できるため、離れた地域に土を搬送し、その地域で地盤材料等として使用でき、土の広域利用を実現できる。また、処理対象の土に改質材や界面活性剤を混合または浸透させるだけでよいので、生物を含む大量の土砂等を処理コストが嵩まずに処理できる。

Claims (8)

  1. 植物・昆虫・土壌動物・微生物の少なくともいずれか1つの生物を含む処理対象の土に改質材を混合し、界面活性剤および海水の少なくともいずれかを混合または浸透させる、生物を含む土の処理方法であって、
    前記処理対象の土に含まれる前記生物による影響を抑制するために前記生物の種類を予め調査し、前記調査結果により含まれると判断された前記生物の種類に応じて、前記改質材の種類と添加量、前記界面活性剤と前記海水とのいずれか一方もしくは両方の使用、前記界面活性剤を使用する場合に前記界面活性剤の種類と添加量、および、前記海水を使用する場合に前記海水の添加量を設定し、
    前記設定された条件により前記土を処理することで前記土に含まれる植物・昆虫・土壌動物・微生物の少なくともいずれか1つの生息・繁殖が困難な条件を形成する、生物を含む土の処理方法。
  2. 前記改質材として、セメント、製鋼スラグ、製紙スラッジ焼却灰系改質材、および、アルカリ性の材料を単独で、または、少なくともいずれか2つを組み合わせて使用する請求項1に記載の生物を含む土の処理方法。
  3. 植物・昆虫・土壌動物・微生物の少なくともいずれか1つの生物を含む処理対象の土に界面活性剤および海水を混合または浸透させる、生物を含む土の処理方法であって、
    前記処理対象の土に含まれる前記生物による影響を抑制するために前記生物の種類を予め調査し、前記調査結果により含まれると判断された前記生物の種類に応じて、前記界面活性剤の種類と添加量、および、前記海水の添加量を設定し、
    前記設定された条件により前記土を処理することで前記土に含まれる植物・昆虫・土壌動物・微生物の少なくともいずれか1つの生息・繁殖が困難な条件を形成する生物を含む土の処理方法。
  4. 前記界面活性剤として、陰イオン界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、または、両性界面活性剤を使用する請求項1乃至のいずれかに記載の生物を含む土の処理方法。
  5. 前記生物が植物・昆虫・土壌動物・微生物のいずれかである場合に応じて、前記処理後の土の一軸圧縮強さ、前記処理後の土のpH、前記処理後の土の酸化還元電位および前記処理後の土の塩素濃度の各条件のうちの少なくともいずれか1つをさらに設定する請求項1乃至4のいずれかに記載の生物を含む土の処理方法。
  6. 前記生物は環境省により指定された特定外来生物に含まれる昆虫類、クモ・サソリ類、軟体動物等または植物である請求項1乃至5のいずれかに記載の生物を含む土の処理方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の生物を含む土の処理方法により処理された前記土を前記処理対象の土の採取位置から離れた地域に搬送し前記地域で利用する、生物を含む土の利用方法。
  8. 請求項1乃至6のいずれかに記載の生物を含む土の処理方法により生物を含む土を処理することで、前記処理対象の土の採取位置から離れかつ前記土に含まれる生物による影響のおそれがある地域において利用可能な土を製造する、広域利用可能な土の製造方法。
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