図1は、この発明の実施例を示すもので、スコア算出システムの電気的構成を示すブロック図である。図1は、ニューロフィードバックを用いた脳の活動の検出システムであり、被験者1の脳波が検出される。
被験者1の頭部の第1の箇所に脳波計10の第1の脳波導出電極11が取り付けられ、被験者1の頭部の第2の箇所に脳波計10の第2の脳波導出電極12が取り付けられる。これにより被験者1の脳波が得られ、脳波は脳波計10を構成する増幅回路13に入力する。増幅回路13において脳波が増幅され、フィルタ回路14において不要なノイズ成分が除去される。脳波はアナログ/ディジタル変換回路15においてディジタル・データ(脳波データという)に変換される。
脳波計10から出力される脳波データはコンピュータ20(被験者1の脳波スコア算出装置の一例である)に入力し、コンピュータ20において、被験者1の脳波のスコアが算出される。
この実施例では、被験者1をオープン・アイ状態、クローズ・アイ状態、0-BACK状態(集中状態の一例である)、2-BACK状態(ワーキング・メモリ課題の実行状態の一例である)、REST状態{DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)状態の一例である}、TASK状態(被験者1の脳波のスコアを算出する状態である)とし、それぞれの状態において被験者1の脳波が検出される。連続して、被験者1をこれらの状態としてもよいし、時間を空けて被験者1をこれらの状態としてもよい。
検出された脳波データは、たとえば、1秒単位で周波数分析が行われ、周波数バンドごとに分類される。たとえば、1Hz以上4Hz未満の周波数バンドの脳波データをδ波の脳波データ、4Hz以上8Hz未満の周波数バンドの脳波データをθ波の脳波データ、8Hz以上13Hz未満の周波数バンドの脳波データをα波の脳波データ、13Hz以上15Hz未満の周波数バンドの脳波データをSMR(Sensory Motor Rhythm)波の脳波データ、15Hz以上20Hz未満の周波数バンドの脳波データをβ1波の脳波データ、20Hz以上30Hz未満の周波数バンドの脳波データをβ2波の脳波データ、13Hz以上30Hz未満の周波数バンドの脳波データをβ波の脳波データとする。これらの周波数バンドの分類は固定ではなく、他の周波数バンドの分類に応じて脳波データをδ波、θ波、α波、β波などの脳波データに分類してもよい。
周波数バンドごとに分類された脳波データは積分され、たとえば、1秒単位で時系列に周波数バンドごとに波形化される。このようにして周波数バンドごとに波形化された脳波データにおいて、被験者1がTASK状態にあるときの、その周波数バンドでの脳波データがスコア化される。
オープン・アイ状態は、表示装置29の表示画面に、たとえば、バツ印、丸印などの記号を含むオープン・アイ状態用の画像などを表示し、被験者1にそのオープン・アイ状態用の画像を見せるものである(被験者1をオープン・アイ状態とする)。実験の結果、被験者1がオープン・アイ状態にあるときは、α波を鎮めることが分かった。クローズ・アイ状態は、表示装置29の表示画面に、たとえば、「目を閉じてください」と表示し、被験者1の目を閉じさせるものである(被験者1をクローズ・アイ状態とする)。実験の結果、被験者1がクローズ・アイ状態にあるときは、リラックスでき、α波が多く出て、θ波を鎮めることが分かった。
0-BACK状態(集中状態の一例である)は、表示装置29の表示画面に、一定間隔で数字、文字などの記号、符号などを表示し、あらかじめ決められている数字、文字などが表示画面に表示された場合に被験者1がボタンなどを押して知らせる状態とするものである。この状態は、被験者1を集中させる状態にすればよく、0-BACK状態以外の状態でもよい。実験の結果、被験者1が集中状態にあるときは、β波、β2波が多く出ることが分かった。2-BACK状態(ワーキング・メモリ課題の実行状態の一例である)は、0-BACK状態と同様に表示装置29の表示画面に、一定間隔で数字、文字などの記号、符号などを表示するが、2つ前に表示された記号、符号などと同じ記号、符号などが表示された場合に被験者1がボタンなどを押して知らせる状態とするものである。この状態は、被験者1を、情報を一時記憶させる状態にすればよく、2-BACK状態以外の状態でもよい。実験の結果、被験者1がワーキング・メモリ課題の実行状態にあるときは、θ波が多く出ることが分かった。
REST状態{DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)状態の一例である}は、表示装置29の表示画面にDMN刺激を与える画像(覚醒スコアが少ない画像の一例である)を表示し、被験者1がその画像をぼーっとした状態で見ている状態である。この状態は、被験者1をデフォルト・モード・ネットワーク状態にすればよく、DMN刺激を与える画像を見ている状態以外の状態でもよい。
0-BACK状態(集中状態)、2-BACK状態(ワーキング・メモリ課題の実行状態)およびREST状態(DMN状態)の少なくとも一つの状態を、表示装置29の表示画面に何等かの画像を表示して、被験者1の視覚に刺激を与えて被験者1をそれらの状態とするのではなく、被験者1に音を聞かせることで被験者1の聴覚に刺激を与えて被験者1をそれらの状態とするものでもよい。たとえば、0-BACK状態のときには数字などを音で被験者1に聞かせる状態として、あらかじめ決められた数字が聞こえたときに被験者1が知らせてもよいし、2-BACK状態のときにも数字などを音で被験者1に聞かせる状態として、2つ前に聞こえた数字と同じ数字が聞こえたときに被験者1が知らせてもよい。REST状態のときには、被験者1がぼーっとする音楽を聞かせてもよい。
TASK状態は、被験者1の脳波データをスコア化するときの被験者1の状態である。TASK状態は、スコア化する目的に応じてどのような状態でもよい。たとえば、被験者1が集中する訓練をするときには、何も見なかったり、聞かなかったりする状態で集中度を高め、そのときの脳波データ(集中度を表すβ波、β2波)のスコアを算出する。また、被験者1の五感に何等かの刺激を与え、その刺激が与えられたときの被験者1の脳波データをスコア化し、その刺激が被験者1に与える程度を検出してもよい。たとえば、音楽を聞かせている状態をTASK状態とし、そのTASK状態での脳波データのα波をスコア化し、得られたスコアから、その音楽がどの程度リラックスさせることができるかを知ることができるし、特定の匂いを被験者1に嗅がせている状態をTASK状態とし、そのTASK状態での脳波データのβ波をスコア化し、得られたスコアから、その匂いがどの程度集中させることができるかを知ることができる。被験者1の五感が検知できる刺激(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚で検知できる刺激)などを被験者1に与え、得られた脳波データ(特定の周波数バンドの脳波データ、または特定の2つの周波数バンドの脳波データの比率)のスコアから、被験者1に与えられた刺激がどの程度、被験者1にリラックスさせることができるか、集中させることができるか、創造力を増加させることができるかなどを知ることができる。
また、脳波計10とコンピュータ20とが有線接続されていなくとも無線接続されていてもよいし、脳波計10とコンピュータ20とがインターネット、LAN(Local Area Network)などにより互いに通信できるようにして、脳波データなどの生体信号を表す生体データがコンピュータ20に送信できるようにしてもよい。
図2は、コンピュータ20の電気的構成を示すブロック図である。
コンピュータ20の全体の動作は、CPU21によって統括される。
コンピュータ20には、キーボードなどの入力装置22、脳波計10と電気的に接続するためのインターフェイス23、データを一時的に記憶するメモリ24、ハードディスク26、ハードディスク26にアクセスするためのハードディスク・ドライブ25、インターネットなどのネットワークを介して通信するための通信回路27および音を出力するスピーカ28が含まれている。また、CPU21にはカウンタ21Aおよびタイマ21Bが含まれている。
さらに、CPU21には、コンパクト・ディスク6(記録媒体の一例である)にアクセスするコンパクト・ディスク・ドライブ5が接続されている。
コンパクト・ディスク6には後述する処理を行うプログラムが格納されており、コンパクト・ディスク・ドライブ5によりそのプログラムが読み取られコンピュータ20にインストールされる。プログラムはインターネットなどのネットワークを介して受信しコンピュータ20にインストールされるようにしてもよい。
さらに、コンピュータ20には、表示装置29が接続されている。
図3から図5は、被験者1を、オープン・アイ状態、クローズ・アイ状態、0-BACK状態(集中状態の一例である)、2-BACK状態(ワーキング・メモリ課題の実行状態の一例である)、REST状態{DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)状態の一例である}、TASK状態とするためのコンピュータ20の処理手順を示すフローチャートである。図6(A)から図6(E)は、表示装置29の表示画面に表示される画像の一例であり、図7は、脳波の一例であり、実際に被験者1を、オープン・アイ状態、クローズ・アイ状態、0-BACK状態、2-BACK状態、REST状態およびTASK状態としたときの脳波を示している。
被験者1は、表示装置29の表示画面が見える状態でいる。脳波計10がオンされ、かつコンピュータ20のプログラムが開始されると表示装置29の表示画面上にはオープン・アイ状態用の画像が表示される(図3ステップ31)。図6(A)は、オープン・アイ状態用の画像51の一例である。この画像51には、「この画像を見てください」という文字列の下にバツ印が表示されている。被験者1は目を開けた状態で画像51を見ることで、オープン・アイ状態となる。タイマ21Bによる計時が開始され(図3ステップ32)、所定の時間が経過するまで(図3ステップ33)被験者1は目を開けた状態でオープン・アイ状態用の画像51を見続ける。
図7を参照して、横軸は時間であり、縦軸は電圧である。時間t0からt1となるまで被験者1はオープン・アイ状態にあり、その間の脳波が脳波計10において検出されており、脳波データがコンピュータ20に入力する。
所定の時間が経過して時間t1となると(図3ステップ33でYES)、タイマ21Bはリセットされ、スピーカ28から「目を閉じてください」という目を閉じる指示の音が出力される(図3ステップ34)。表示装置29に表示される画像が画像51から、「目を閉じてください」という文字列が表されている画像が表示されるように切り替わってもよい。被験者1は目を閉じ時間t1からクローズ・アイ状態となる。再びタイマ21Bによる計時が開始され(図3ステップ35)、所定の時間が経過するまで(図3ステップ36)被験者1は目を閉じており、クローズ・アイ状態が続けられる。
図7を参照して、時間t1からt2となるまで被験者1はクローズ・アイ状態にあり、その間の脳波が脳波計10において検出されており、脳波データがコンピュータ20に入力する。
所定の時間が経過して時間t2となると(図3ステップ36でYES)、スピーカ28から「目を開けてください」という目を開ける指示の音が出力される(図4ステップ37)。被験者1は目を開ける。時間t3となると、表示装置29の表示画面には図6(B)に示す0-BACK状態用の動画52が表示され(図4ステップ38)、タイマ21Bの計時が開始する(図4ステップ39)。0-BACK状態用の動画52(数字などの記号を示す静止画の数字などの記号を順次切り替えて表示してもよい)には、「同じ数字が表示されたらボタンを押して下さい」という文字列が表示され、その文字列の下に一定間隔で変わる数字が表示される。被験者1は目を開け、表示装置29の表示画面に表示される0-BACK状態用の動画52を見ることで0-BACK状態となる。被験者1は、0-BACK状態用の動画52を見ながら、あらかじめ決められている数字が表示されると、コンピュータ20の入力装置22に含まれているボタンを押す(集中状態)。所定の時間が経過するまで被験者1は0-BACK状態用の動画52を見ながら、あらかじめ決められた数字が表示されるとボタンを押す動作を繰り返す。
図7を参照して、時間t3からt4となるまで被験者1は0-BACK状態にあり、その間の脳波が脳波計10において検出されており、脳波データがコンピュータ20に入力する。
所定の時間が経過して時間t4となると(図4ステップ40でYES)、0-BACK状態用の動画52は停止する。その後、時間t5となると、図6(C)に示す2-BACK状態用の動画53(数字などの記号を表す静止画が切り替わるものでもよい)が表示装置29の表示画面に表示される(図4ステップ41)。2-BACK状態用の動画53には、「2つ前の数字と同じ数字が表示されたらボタンを押して下さい」という文字列が表示され、その文字列の下に一定間隔で変わる数字が表示される。タイマ21Bの計時が開始する(図4ステップ42)。被験者1は、2-BACK状態用の動画53を見ながら2つ前に表示された数字と同じ数字が表示されると、コンピュータ20の入力装置22に含まれているボタンを押す(ワーキング・メモリ状態)。所定の時間が経過するまで(図4ステップ43)、被験者1は2-BACK状態用の動画53を見ながら、2つ前に表示された数字と同じ数字が表示されるとボタンを押す動作を繰り返す。
図7を参照して、時間t5からt6となるまで被験者1は2-BACK状態にあり、その間の脳波が脳波計10において検出されており、脳波データがコンピュータ20に入力する。
所定の時間が経過して時間t6となると(図4ステップ43でYES)、動画53の表示が停止し2-BACK状態が終わる。その後、時間t7となると図6(D)に示すREST状態用の画像54が表示される(図5ステップ44)。REST状態用の画像54には「この画像を見て下さい」という文字列の下に、見たときの閲覧者の覚醒スコアが低い画像が表示されている。タイマ21Bの計時が開始され(図5ステップ45)、被験者1は所定の時間が経過するまで(図5ステップ46)、ぼーっとした状態でREST状態用の画像54を見る(REST状態)。
図7を参照して、時間t7からt8となるまで被験者1はREST状態にあり、その間の脳波が脳波計10において検出されており、脳波データがコンピュータ20に入力する。
所定の時間が経過して時間t8となると(図5ステップ46でYES)、図6(E)に示すTASK状態の開始を示す画像55が表示装置29の表示画面に表示される(図5ステップ47)。
TASK状態は、被験者1の周波数バンドごとの脳波がどのくらいでているかを測定するものである。TASK状態において被験者1の周波数バンドごとに被験者1の脳波のレベルを測定しスコアが算出される。図6(E)を参照して、TASK状態においては検出された脳波のレベルが、たとえば、棒グラフ55Aによって表される。たとえば、棒グラフ55AはTASK状態での被験者1のα波の脳波のレベルを示している。α波以外の周波数バンドの脳波のレベルを表示してもよい。時間の経過とともに、これらの周波数バンドごとの脳波の出具合が変わるので、棒グラフ55Aの高さは時間とともに変化する。棒グラフ55Aとともに後述するようにして算出されるスコアも表示される。スコアが分かればよいので棒グラフ55Aは必ずしも表示されなくともよい。またスコアは表示されずにスピーカ28から出力されてもよい。
時間t9となりTASKが終了すると図3から図5の処理は終了する(図5ステップ48でYES)。
図7を参照して、時間t8からt9となるまで被験者1はTASK状態にあり、その間の脳波が脳波計10において検出されており、脳波データがコンピュータ20に入力する。
図8は、コンピュータ20において主として周波数バンドごとの脳波データを生成する処理手順を示すフローチャートである。図8に示す処理は、図3から図5に示す処理と並行してCPU21において開始指令を発生させ、発生した開始指令に応じて行ってもよいし、図3から図5に示す処理が終了してCPU21において開始指令を発生させ、発生した開始指令に応じて行っても良い。
脳波計10から出力した脳波データがコンピュータ20に入力し(図8ステップ61)、入力した脳波データがコンピュータ20のメモリ24に記憶されていく(図8ステップ62)。
メモリ24に記憶された脳波データが読みだされ、CPU21によって、たとえば、1秒単位で周波数分析が行われ、周波数バンドごとに脳波データが分類される(図8ステップ63)。たとえば、上述ように、1Hz以上4Hz未満の周波数バンドの脳波データをδ波の脳波データ、4Hz以上8Hz未満の周波数バンドの脳波データをθ波の脳波データ、8Hz以上13Hz未満の脳波データをα波の脳波データ、13Hz以上15Hz未満の脳波データをSMR波の脳波データ、15Hz以上20Hz未満の脳波データをβ1波の脳波データ、20Hz以上30Hz未満の脳波データをβ2波の脳波データ、13Hz以上30Hz未満の脳波データをβ波の脳波データとして、これらの周波数バンドごとに脳波データが分類される。脳波データの分類の仕方、周波数バンドの分類の仕方は、これらに限られず、他の分類の仕方でもよい。周波数バンドごとの分類は、図3から図7を用いて説明したように被験者1をオープン・アイ状態からTASK状態のすべての状態が終了してから行ってもよいし、脳波データがコンピュータ20に入力してメモリ24に順次記憶され始めたら開始してもよい。
周波数バンドごとに分類された脳波データはCPU21によって周波数バンドごとに積分され、得られた周波数積分値が、たとえば、1秒単位の時系列で波形化される(図8ステップ64)。
図9は、周波数バンドごとの周波数積分値を波形化したものである。
図9においては、δ波、θ波、α波、SMR波、β1波、β2波およびβ波の周波数バンドごとに周波数積分値を波形化したものが示されている。図9において横軸は時間であり、縦軸はパワー値(この場合、図7の縦軸が電圧なので電圧値の2乗)である。
図7を参照して説明したように、被験者1は、順にオープン・アイ状態、クローズ・アイ状態、0-BACK状態、2-BACK状態、REST状態およびTASK状態になり、それぞれの状態において脳波データが検出されているから、図9に示すように、被験者1が、オープン・アイ状態、クローズ・アイ状態、0-BACK状態、2-BACK状態、REST状態およびTASK状態のときのδ波、θ波、α波、SMR波、β1波、β2波およびβ波の周波数バンドごとの波形が得られる。
オープン・アイ状態のときには、α波、SMR波、β1波、β2波、およびβ波のパワー値はいずれも小さいことが分かった。クローズ・アイ状態のときには、α波のパワー値が大きくなっていることが分かった。0-BACK状態のときには、δ波およびθ波のパワー値が小さく、β2波およびβ波のパワー値が大きくなっていることが分かった。2-BACK状態のときには、δ波およびθ波のパワー値が大きくなっていることが分かった。REST状態のときには、比較的すべての周波数バンドの脳波のパワー値が大きくなっているが、とくにθ波、SMR波、β1波、β2波、β波のパワー値が大きくなっていることが分かった。図9から、被験者1をオープン・アイ状態、クローズ・アイ状態、0-BACK状態、2-BACK状態およびREST状態とすれば、いずれかの状態で、被験者1のδ波、θ波、α波、SMR波、β1波、β2波、およびβ波のパワー値を小さくすることができ、いずれかの状態で、被験者1のδ波、θ波、α波、SMR波、β1波、β2波、およびβ波のパワー値を大きくできることが分かった。
図8に戻って、δ波、θ波、α波、SMR波、β1波、β2波、およびβ波の周波数バンドごとの波形(波形を表す波形データ)が得られると、被験者1がTASK状態にあるときのスコアが周波数バンドごとに(必要な周波数バンドでのスコア)算出される(図8ステップ65)。算出されたスコアが表示装置29の表示画面に表示される。
図10および図11は、コンピュータ20によって行われるスコア算出処理手順を示すフローチャートである。
スコアを算出する特定の周波数バンドの脳波が大きくなりやすい状態がCPU21によって第1の状態と決定される(図10ステップ71)。周波数バンドに対応してあらかじめ第1の状態が定められており、第1の状態が決定されるとよい。実験の結果、図9を参照して説明したように、特定の周波数バンドがδ波のときに脳波が大きくなりやすい状態は2-BACK状態、特定の周波数バンドがθ波のときに脳波が大きくなりやすい状態は2-BACK状態およびREST状態、特定の周波数バンドがα波のときに脳波が大きくなりやすい状態はクローズ・アイ状態、特定の周波数バンドがSMR波およびβ1のときに脳波が大きくなりやすい状態はそれぞれREST状態、特定の周波数バンドがβ2波のときに脳波が大きくなりやすい状態は0-BACK状態、特定の周波数バンドがβ波のときに脳波が大きくなりやすい状態は0-BACK状態およびREST状態であることが分かった。これらのことから、スコアを算出する特定の周波数バンドがδ波のときには、2-BACK状態が第1の状態と決定され、スコアを算出する特定の周波数バンドがθ波のときには、2-BACK状態またはREST状態と決定され、スコアを算出する特定の周波数バンドがα波のときには、クローズ・アイが第1の状態と決定され、スコアを算出する特定の周波数バンドがSMR波およびβ1波のときには、REST状態が第1の状態と決定され、スコアを算出する特定の周波数バンドがβ2波のときには、0-BACK状態が第1の状態と決定され、スコアを算出する特定の周波数バンドがβ波のときは0-BACK状態またはREST状態が第1の状態と決定される。いずれかの状態を、入力装置22(設定手段の一例である)を用いて第1の状態と設定できるようにしてもよい。
また、スコアを算出する特定の周波数バンドの脳波が小さくなりやすい状態がCPU21によって第2の状態と決定される(図10ステップ72)。周波数バンドごとに第2の状態があらかじめ定められており、第2の状態が決定されるとよい。実験の結果、図9を参照して説明したように、特定の周波数バンドがδ波およびθ波のときに脳波が小さくなりやすい状態はクローズ・アイ状態、特定の周波数バンドがα波、SMR波、β1波、β2波およびβ波のときに脳波が小さくなりやすい状態はいずれもオープン・アイ状態であることが分かった。これらのことから、スコアを算出する特定の周波数バンドがδ波およびθ波のときには、クローズ・アイ状態が第2の状態と決定され、スコアを算出する特定の周波数バンドがα波、SMR波、β1波、β2波およびβ波のときには、いずれもオープン・アイ状態が第2の状態と決定される。いずれかの状態を、入力装置22(設定手段の一例である)を用いて第2の状態と設定できるようにしてもよい。
つづいて、決定された第1の状態の特定の周波数バンドの最大レベルが第1のレベルとCPU21(第1の検出手段の一例である)によって決定(検出)され(図10ステップ73)、検出された第2の状態の特定の周波数バンドの最小レベルがCPU21(第2の検出手段の一例である)によって第2のレベルと決定(検出)され(図10ステップ74)、かつTASK状態での特定の周波数バンドの最大レベルがCPU21(第3の検出手段の一例である)によって第3のレベルと決定(検出)される(図10ステップ75)。
決定された第1のレベルと第2のレベルとが比較され(図11ステップ76)、第1のレベル<第2のレベルのときには第1式にしたがって特定の周波数バンドのスコアがCPU21(算出手段の一例である)によって算出される(図11ステップ77)。
スコア={(第3のレベル-第1のレベル)/(第2のレベル-第1のレベル)}×100・・・第1式
逆に、第1のレベル>第2のレベルのときには第2式にしたがって特定の周波数バンドのスコアがCPU21(算出手段の一例である)によって算出される(図11ステップ78)。
スコア={(第3のレベル-第2のレベル)/(第1のレベル-第2のレベル)}×100・・・第2式
第1式において、100を乗じているのは第2のレベルと第3のレベルとが等しいときにスコアを100とするためであり、第2のレベルと第3のレベルとが等しいときにスコアを1とする場合には、100を乗じる必要は必ずしもない。同様に、第2式において、100を乗じているのは第1のレベルと第3のレベルとが等しいときにスコアを100とするためであり、第1のレベルと第3のレベルとが等しいときにスコアを1とする場合には、100を乗じる必要は必ずしもない。
第1のレベル=第2のレベルのときには、第1の状態、第2の状態などを変更して、第1のレベル、第2のレベルなどを変更して図11ステップ76からの処理を行ってもよい。変更した場合には、周波数バンドに対応して変更した第1の状態、第2の状態を記憶しておくとよい。第1のレベル=第2のレベルのときにはエラー処理としてもよい。
算出されたスコアが表示装置29の表示画面に表示される(図11ステップ79)。
たとえば、特定バンドの周波数がδ波の場合において、第1の状態が0-BACK状態と決定され、第2の状態がクローズ・アイ状態と決定され、第1の状態での最大レベルが32(μV2)、第2の状態での最小レベルが1(μV2)、第3の状態(TASK状態)での最大レベルが20(μV2)とすると、その場合のδ波のスコアは第1式を用いて{(20-1)/(32-1)}×100=(19/31)×100=61.3となる。同様に、特定バンドの周波数がθ波の場合において、第1の状態がREST状態と決定され、第2の状態が0-BACK状態と決定され、第1の状態での最大レベルが18(μV2)、第2の状態での最小レベルが0(μV2)、第3の状態(TASK状態)での最大レベルが10(μV2)とすると、その場合のθ波のスコアは第1式を用いて{(10-0)/(18-0)}×100=(10/18)×100=55.5となる。特定バンドの周波数がα波の場合において、第1の状態がクローズ・アイ状態と決定され、第2の状態がオープン・アイ状態と決定され、第1の状態での最大レベルが25(μV2)、第2の状態での最小レベルが1(μV2)、第3の状態(TASK状態)での最大レベルが1(μV2)とすると、その場合のα波のスコアは第1式を用いて{(15-1)/(25-1)}×100=(14/24)×100=58.3となる。特定バンドの周波数がβ波の場合において、第1の状態がREST状態と決定され、第2の状態がオープン・アイ状態と決定され、第1の状態での最大レベルが35(μV2)、第2の状態での最小レベルが3(μV2)、第3の状態(TASK状態)での最大レベルが22(μV2)とすると、その場合のβ波のスコアは第1式を用いて{(22-3)/(35-3)}×100=(19/32)×100=59.3となる。その他のSMR波、β1波、β2波などについても同様にしてスコアが算出される。第3の状態の最大レベルが第1の状態または第2の状態の最大レベルを超えるとスコアは100点を超えることがあるが問題はない。とくに、スコアの変化を比較する場合にはスコアがどのように変化したかが重要であるのでスコアが100点を超えても問題ない。第1の状態での特定の周波数バンドの脳波の大きさと第2の状態の特定の周波数バンドの脳波の大きさに対して第3の状態での特定の周波数バンドの大きさがスコア化されるので客観的なスコアが得られる。
第1の状態、第2の状態および第3の状態を同じ状態とし、たとえば、スコアの算出を毎日繰り返すと、被験者1の体調にかかわらず、特定の周波数バンドの脳波についての客観的なスコアの変化を得ることができるようになる。TASK状態における特定の周波数バンドでの被験者1の脳波のレベルの変化が客観的にわかるようになる。TASK状態が被験者1に与える程度をスコアとして得ることもできることとなる。たとえば、TASK状態として被験者1に音楽を聞かせているときに特定の周波数バンドのスコアを算出すると、その音楽を被験者1に聞かせることにより得られるスコアが分かる。音楽ごとにスコアが異なると、その被験者1のスコアを高くする音楽を決定することもできる。また、TASK状態に被験者1に特定の周波数バンドの脳波を出す訓練すれば、訓練の効果がスコアから客観的にわかるようになる。
図11に戻って、検出された第1のレベルと第2のレベル、第1のレベルと第2のレベルとのレベル差および算出されたスコアが、測定年月日に対応づけられて特定の周波数バンドごとにHD26(記憶装置の一例である)に記憶される(図11ステップ80)ようにCPU21(記憶制御手段の一例である)によって制御される。
図12は、特定の周波数バンドがα波についてのテーブルの一例である。図12に示す例はα波についてのものであるが、その他の周波数バンド、δ波、θ波、SMR波、β1波、β2波、β波についても同様に記憶される。
測定年月日に対応づけられて、第1レベル、第2のレベル、レベル差およびスコアが記憶されている。第1の状態、第2の状態も記憶されているとよい。第1の状態での第1のレベル、第2の状態での第2のレベルおよびスコアが記憶されるので、測定年月日ごとの特定の周波数バンドの脳波のスコアの変化が分かるようになる。
また、第1のレベルと第2のレベルとのレベル差が以前に得られたレベル差との間に、しきい値以上の開きがあるかどうかがCPU21によって判定される(図11ステップ81)。しきい値以上の開きがある場合には、レベル差が大きくなったことが表示装置29(第1の報知手段の一例である)の表示画面に表示される(図11ステップ82)。レベル差が大きくなったことをスピーカ28から出力するようにしてもよい。第1の状態および第2の状態が変わらないときに、レベル差が大きくなると、その特定の周波数バンドの脳波を大きく出すことができるようになったと考えられる。たとえば、TASK状態においてα波を出す訓練をしているとすると、被験者1はレベル差が大きくなったことにより、α波を多くだすことができるようになってきたことが分かる。α波だけでなく他の周波数バンドの脳波についても同様である。
上記ステップ71から82までの処理を繰り返すようにCPU21(制御手段の一例である)によって制御するようにしてもよい。
上述の実施例においては、図10ステップ71に示したようにスコアを算出する特定の周波数バンドの脳波が大きくなりやすい状態を第1の状態とし、図10ステップ72に示したようにスコアを算出する特定の周波数バンドの脳波が小さくなりやすい状態を第2の状態としているが、必ずしもそれらの状態を第1の状態とし、第2の状態としなくてもよい。オープン・アイ状態、クローズ・アイ状態、0-BACK状態、2-BACK状態およびREST状態のうち、任意の状態を第1の状態、第1の状態と異なる状態を第2の状態としてもよい。
上述の実施例では、第1の状態での特定の周波数バンドの最大レベルを第1のレベルとしているが、第1の状態での特定の周波数バンドのレベルの平均レベル、中央レベル(中央値、第1の状態での特定の周波数バンドのレベルを大きさの順に並べ替えたときに丁度順番が真ん中になる値、レベル)、TOTレベル(第1の状態での特定の周波数バンドのレベルを大きさの順に並べ替えたときに含まれる割合。たとえば、TOTレベル90であれば90%のレベルが含まれ、TOTレベル50であれば中央レベルと同じとなる)のどの決定方法でもよい。上記第1のレベルを検出する条件を同じにして第1のレベルの検出処理が繰り返されるように入力装置22により設定(たとえば、最大レベル、平均レベルまたは中央レベルを第1のレベルとして検出するように設定する、第1の状態となった時間から所定の時間が経過したときのレベルを第1のレベルとして検出するように設定する)し、上記第2のレベルを検出する条件を同じにして第2レベルの検出処理が繰り返されるように入力装置22により設定(たとえば、最小レベル、平均レベルまたは中央レベルを第2のレベルとするように設定する、第2の状態となった時間から所定の時間が経過したときのレベルを第2のレベルとて検出するように設定する)してもよい。
また、上述の実施例では、第2の状態での特定の周波数バンドの最小レベルを第2のレベルとしているが、第1のレベルが平均レベル、中央レベルまたはTOTレベルであれば、第2のレベルは、第1のレベルの決定方法に対応して平均レベル、中央レベルまたはTOTレベルのそれぞれでもよい。たとえば、第1のレベルが平均レベルなら第2のレベルも平均レベルとし、第1のレベルが中央レベルなら第2のレベルも中央レベルとし、第2のレベルがTOTレベルなら第2のレベルもTOTレベルとするとよい。第1のレベルの検出および第2のレベルの検出が繰り返される場合には、第1のレベルを検出するときには例えば同じ決定方法(検出条件)で繰り返され、第2のレベル検出するときにも同じ決定方法(検出条件、第1のレベルを検出する条件と同じでも異なってもよい)で繰り返されるように設定されるとよい。あらかじめ定められた条件で第1のレベルを決定し、第2のレベルについてもあらかじめ定められた条件で決定してもよいし、与えられる条件にしたがって第1のレベルを決定し、第2のレベルについても与えられる条件にしたがって決定してもよい。第1のレベルを検出するときの条件は変わらず、第2のレベルを検出するときの条件は変わらないので、繰り返し、第1のレベルおよび第2のレベルを検出した場合に、第1のレベルおよび第2のレベルを用いて算出されたスコア、レベル差などを比較することで、それらのスコアの変化、レベル差の変化を客観的に知ることができる。
さらに、オープン・アイ状態、クローズ・アイ状態、0-BACK状態、2-BACK状態およびREST状態のうち、任意の一つの状態を第1の状態および第2の状態としてもよい。オープン・アイ状態、クローズ・アイ状態、0-BACK状態、2-BACK状態およびREST状態のうち、いずれか一つの状態を第1の状態および第2の状態と決定したときには、決定された状態における最大レベル(最大値)を第1レベルとし、最小レベル(最小値)を第2レベルとするとよい。
さらに、上述の実施例では、δ波、θ波、α波、SMR波、β1波、β2波およびβ波の周波数バンドの脳波について述べているが、これらの周波数バンドのうち特定の2つの周波数バンドの脳波の比率(たとえば、δ波/θ波、δ派/α波、δ波/β波、θ波/α波、θ波/β波、α波/β波、またはこれらの逆の比率など)についても同じようにしてスコアなどを算出してもよい。
図13は、この発明の他の実施例を示すもので、スコア算出システムの電気的構成を示すブロック図である。図13は、ニューロフィードバックを用いた脳の活動の訓練のシステムであり、被験者1の脳波が検出される。図13において、図1に示すものと同一物については同一符号を付して説明を省略する。
脳波計10から出力される脳波データはコンピュータ20(スコア算出装置の一例である)に入力し、コンピュータ20において、被験者1の訓練の成功の度合いを表す図形などを表すデータが生成される。生成された図形を表すデータは表示装置29に送信され、表示装置29の表示画面に図形などが表示される(図19参照)。
この実施例では、被験者1に刺激を与えて集中させたり散漫させたりする集中/散漫時と被験者1に刺激を与えることなく(刺激を取り除いて)集中させたり散漫させたりする訓練時とに分かれる。集中/散漫時と訓練時とは時間的に連続してもよいし、時間の間隔が開いていてもよい。
集中/散漫時には、最初に被験者1は集中できると考えられている集中画像2を見る。これにより被験者1は集中状態(第1の状態の一例である)となる。被験者1が集中画像2を見ているときに被験者1の脳波が脳波計10によって検出される。集中/散漫時において、次に被験者1は集中できないと考えられている散漫画像3を見る。これにより被験者1は散漫状態(第2の状態の一例である)被験者1が散漫画像3を見ているときにも被験者1の脳波が脳波計によって検出される。たとえば、訓練時には、被験者1は集中画像2も散漫画像3も見ない状態(第3の状態の一例である)で集中したり散漫の状態にしたりする。訓練時において被験者1の脳波が脳波計10によって検出される。
この実施例では被験者1に集中させたり、散漫させたりして集中と散漫について脳波を検出しているが、集中と散漫でなくとも被験者1に少なくとも2種類の刺激を与えて第1の状態と第2の状態とし、それらの2種類の刺激が与えられたときの被験者1の特定の周波数バンドの脳波の大きさまたは特定の2種類の周波数バンドの脳波の比率の大きさを検出して脳波のレベルが変化する範囲(第1のレベルと第2のレベル)を決定し、被験者1に与えられていた少なくとも2種類の刺激を取り除いて第3の状態とし、脳波のレベルを測定し、スコアを算出するとよい。
また、脳波計10とコンピュータ20とが有線接続されていなくとも無線接続されていてもよいし、脳波計などのような生体信号検出装置とコンピュータとがインターネット、LAN(Local Area Network)などにより互いに通信できるようにして、脳波データがコンピュータ20に送信できるようにしてもよい。
図14は、集中/散漫時に被験者1から得られる脳波データについてのコンピュータ20の処理手順を示すフローチャートである。
図14においてステップ91から94までの処理が集中画像2を見ている状態(第1の状態)での集中時に被験者1から得られる脳波データについての処理であり、図14においてステップ95から98までの処理が散漫画像3を見ている状態(第2の状態)での散漫時に被験者1から得られる脳波データについての処理である。図15は、縦軸を電圧レベル、横軸を時間としたときの脳波データの一例であり、図16は縦軸を電圧レベル、横軸を周波数としたときの単位時間当たりの脳波データの一例である。
集中画像2(被験者1に与えられる第1の刺激、視覚刺激の一例である)を被験者1に見せると、被験者1は第1の状態となり、図15に示すような脳波データが得られる。被験者1に集中画像2を見せたときに得られた脳波データがCPU21によって周波数分析される(ステップ91)。すると、図16に示す脳波データが得られる。この実施例では、4Hz未満程度の周波数をもつ脳波がδ波であり、4Hz以上8Hz未満程度の周波数をもつ脳波がθ波であり、8Hz以上13Hz未満程度の周波数をもつ脳波がα波であり、13Hz以上40Hz未満程度の周波数をもつ脳波がβ波である。単位時間当たりで、脳波はδ波、θ波、α波およびβ波が混在していることとなる。また、脳波は周波数に応じて種類分けができる。脳波のδ波の周波数積分絶対値、θ波の周波数積分絶対値、α波の周波数積分絶対値、βの周波数積分絶対値などの周波数積分絶対値や、含有率(脳波全体に対するδ波、θ波、α波、β波の比率)は、同一の刺激であっても個人差や毎日の体調による変化による影響を受ける。客観的なスコア算出のためには、それらの影響を考慮する必要がある。
コンピュータ20のCPU21によって所定の時間の間に得られる脳波データについてδ波、θ波、α波またはβ波の種類(成分)ごとに積分が行われ(ステップ92)、δ波、θ波、α波またはβ波の種類ごとに周波数積分絶対値(周波数バンド積分値)が算出される。
つづいて、時間の経過に対するβ波/θ波(β波とθ波との比率の一例であり、集中画像2を見ている時の脳波の第1のレベルの一例である)=(β波の周波数積分絶対値)/(θ波の周波数積分絶対値)がCPU21(検出手段の一例である)によって算出される(ステップ93)。一定時間が経過するまでステップ91から93までの処理が繰り返される(ステップ94)。
図18(A)は、集中/散漫時におけるβ波/θ波と時間との関係を示している。縦軸が上にいくほどβ波/θ波の値が大きい。
β波は集中しているときに出現しやすくθ波はリラックスしているときに出現しやすい。したがって集中しているときにはβ波/θ波が大きくなり散漫しているときにはβ波/θ波は小さくなる。
時間t0から被験者1が集中画像2を見ることにより集中を始めて時間t1においてβ波/θ波のレベルが最大のレベルL4(第1のレベルの一例である)となりCPU21(第1の検出手段の一例である)によって検出される。時間t2においてβ波/θ波のレベルがレベルL3となるとする。集中を始めて一定時間が経過すると、被験者1は集中画像2を見るのを止めて散漫画像3(被験者1に与えられる第2の刺激、視覚刺激の一例である)を見るようになる。被験者1は第2の状態となる。
図14に戻って、被験者1が散漫画像3を見ている場合も集中画像2を見ているときと同様に図15に示すような脳波データが得られ、脳波データの周波数分析がCPU21によって行われる(ステップ96)。
被験者1が散漫画像3を見ているときにもコンピュータ20のCPUによって所定の時間の間に得られる脳波データについてδ波、θ波、α波またはβ波の種類(成分)ごとに積分が行われ(ステップ97)、δ波、θ波、α波またはβ波の種類ごとに周波数積分絶対値が算出される。
被験者1が散漫画像3を見ているときにも集中画像2を見ているときと同様に、時間の経過に対するβ波/θ波(散漫画像3を見ている時のβ波/θ波のレベルが生体信号の第2のレベルの一例である)=(β波の周波数積分絶対値)/(θ波の周波数積分絶対値)がCPU21(検出手段の一例である)によって算出される(ステップ98)。被験者1が散漫画像3を見ているときも一定時間経過するまで(たとえば、刺激に対する脳波の信号検出が正しく行われるまで)ステップ95から97までの処理が繰り返される。
再び、図18(A)を参照して、時間t2において被験者1が集中画像2を見るのを止めて散漫画像3を見始めるとβ波/θ波のレベルは徐々に下がり、時間t3にはほぼレベルL2となったとし、時間t4にはβ波/θ波のレベルが最小のレベルL1(第2のレベルの一例である)がCPU21(第2の検出手段の一例である)によって検出される。さらに時間が経過し時間t5になるとβ波/θ波のレベルはレベルL2となる。
一定時間が経過すると(ステップ98でYES)、被験者1のβ波/θ波の振れる範囲など(第1のレベル、第2のレベル、第1のレベルと第2のレベルとのレベル差)がコンピュータ20のCPU21によって決定される(ステップ99)。
図18(A)を参照して、第1のレベルを最大レベルL4、第2のレベルを最小レベルL1としてもよいし、第1のレベルを、集中画像2を見ているときの刺激区間の平均値(平均レベル)L3としてもよいし、第2のレベルを、散漫画像3を見ているときの刺激区間の平均値(平均レベル)L2としてもよい。その他の方法で第1のレベル、第2のレベルを決定してもよい。
図17は被験者1の訓練時におけるコンピュータ20の処理手順を示すフローチャートである。
上述したように訓練時では被験者1は集中画像2も散漫画像3も見ないで(第1の刺激および第2の刺激が取り除かれた状態であり、第3の状態の一例である)被験者1の脳波が測定される。この実施例では被験者1が集中する訓練を行うものとするが、他の訓練(精神的な訓練を含むが訓練でなくてもよい)などをしてもよい。
図15に示すような脳波データが得られ、被験者1の脳波データ(脳波)がコンピュータ20に入力し、コンピュータ20のCPU21によって周波数分析が行われる(ステップ101)。集中/散漫時と同様に脳波の種類ごとに積分が行われ(ステップ102)、時間の経過に対するβ波/θ波が算出される(ステップ103)。
図18(B)は、訓練時におけるβ波/θ波と時間との関係を示している。縦軸がβ波/θ波のレベルを示し、横軸が時間を示している。縦軸が上にいくほどβ波/θ波の値が大きい。
図18(B)から時間t0からt10に時間が経過するにつれてβ波/θ波のレベルが上がっていることが分かる。
図18(B)において、グラフP1、P2およびP3は、いずれも図18(A)に示す集中/散漫時のグラフが得られた被験者1と同じものとする。
被験者1は集中時の状態(第1の状態)のβ波/θ波の第1のレベルはレベルL4とし(レベルL3でもよい)、散漫時の状態(第2の状態)のβ波/θ波の第2レベルはレベルL1とし(レベルL2でもよい)、訓練時の状態(第3の状態)のβ波/θ波の最大レベルはほぼレベルL3(第3のレベルの一例である)となっている。
第1のレベル>第2のレベルであるから、第2式からスコアを算出すると、スコア={(第3のレベル-第2のレベル)/(第1のレベル-第2のレベル)}×100={(レベルL3-レベルL1)/(レベルL4-レベルL1)}×100となるから、L1=10、L3=90、L4=100とすると、スコア={(90-10)/(100-10)}×100=(80/90)×100=88.9となる。
これに対してグラフP2の最大のレベルL5はレベルL3よりも低い。被験者1の集中/散漫時におけるβ波/θ波の振れ幅が図18(A)に示す状態と同じであったし、グラフP2が表す最大のレベルがレベルL5(=75)とすると、第2式からスコアは、スコア={(第3のレベル-第2のレベル)/(第1のレベル-第2のレベル)}×100={(レベルL5-レベルL1)/(レベルL4-レベルL1)}×100となるから、L1=10、L4=100、L5=75とすると、スコア={(75-10)/(100-10)}×100=(65/90)×100=72.2となる。
グラフP3の最大のレベルL6はレベルL5よりもさらに低い。被験者1の集中/散漫時におけるβ波/θ波の振れ幅が図18(A)に示す状態と同じであったし、グラフP3が表す最大のレベルがレベルL6(=65)とすると、第2式からスコアは、スコア={(第3のレベル-第2のレベル)/(第1のレベル-第2のレベル)}×100={(レベルL6-レベルL1)/(レベルL4-レベルL1)}×100となるから、L1=10、L4=100、L6=65とすると、スコア={(65-10)/(100-10)}×100=(55/90)×100=61.1となる。
上述した例では、グラフP1、P2およびP3が得られたときの集中時の最大レベルはいずれもレベルL4=100であり、散漫時の最小レベルはいずれもレベルL1=10とした結果、グラフP1のときのスコアは88.9、グラフP2のときのスコアは72.2、グラフP3のときのスコアは61.1である。
しかしながら、グラフP2が得られたときの集中時の最大レベルをLmax1=90、散漫時の最小レベルをLmin1=15とすると、スコア={(第3のレベルであるレベルL5-最小レベルLmin1)/(最大レベルLmax1-最小レベルLmin1)}×100={(75-15)/(90-15)}×100=(60/75)×100=80となる。但し、レベルL5=75。
同様に、グラフP3が得られたときの集中時の最大レベルをLmax1=80、散漫時の最小レベルをLmin1=20とすると、スコア={(第3のレベルであるレベルL6-最小レベルLmin1)/(最大レベルLmax1-最小レベルLmin1)}×100={(65-20)/(80-20)}×100=(45/60)×100=75となる。但し、レベルL6=65。
被験者1の体調の変化により、集中時の最大レベル、散漫時の最小レベルが変化することがある。この実施例によると、最大レベル、最小レベルが変化しても、その変化を考慮したスコアを算出できるようになる。
図17に戻って、このように集中時のβ波/θ波の最大レベルと散漫時のβ波/θ波の最小レベルを考慮してCPU21(算出手段の一例である)によってスコアが算出されるので客観的なスコアが得られるようになる(ステップ104)。
スコアが算出されるとそのスコアに応じた大きさの円が表示装置29の表示画面に表示される(ステップ105)。
図19は、表示装置29の一例である。
表示装置29表示画面29A円Cが表示されている。この円Cの大きさ(径)が、スコアが大きいほど大きくなる。スコアが0点から100点までの間とすると、スコアが100点の場合には円Cは円C2となる。逆にスコアが小さいと小さい円C1となる。このようにスコアに応じて円Cの大きさが変わるので、被験者1は円Cの大きさを大きくするように(円Cの大きさを小さくするように)訓練のやりがいが起きるので訓練を継続できるようになる。スコアが100点より大きくなってもよい。
訓練が終了するまでステップ101から106の処理が繰り返される(ステップ106)。
上述の実施例においては被験者1に集中させるために集中画像2を見せているが集中画像2(視覚刺激の一例である)を見せる代わりに集中できるような音楽(聴覚刺激の一例である)を被験者1に聞かせてもよいし、他の集中媒体による刺激を被験者1に与え被験者1に集中させてもよい。同様に、被験者1に散漫させるために散漫画像3を見せているが散漫画像3(視覚刺激の一例である)を見せる代わりに散漫できるような音楽(聴覚刺激の一例である)を被験者1に聞かせてもよいし、他の散漫媒体による刺激を被験者1に与え被験者1に散漫させてもよい。視覚刺激と聴覚刺激とを同時に被験者1に与えてもよい。
また、第1の刺激が被験者1にリラックスを促して被験者1を第1の状態としてもよいし、第2の刺激が被験者1に緊張を促して被験者1を第2の状態としてもよいし、第1の刺激が被験者1に1点への注意を促して被験者1を第1の状態としてもよいし、第2の刺激が被験者1に全く注意を払わない状態を促して被験者1を第2の状態としてもよいし、第1の刺激が被験者1に覚醒を促して被験者1を第1の状態としてもよいし、第2の刺激が被験者1に睡眠を促して被験者1を第2の状態としてもよいし、第1の刺激が被験者1に快適を促して第1の状態としてもよいし、第2の刺激が被験者1に不快を促して被験者1を第2の状態としてもよいし、または第1の刺激が被験者1に興奮を促して第1の状態としてもよいし、第2の刺激が被験者1に鎮静を促して第2の状態としてもよい。どのような刺激がリラックスを促したり、緊張を促したりできるかは予め定められている。
図20は、変形例を示すもので、スコア算出システムの電気的構成を示すブロック図である。図20において図1、図13に示すものと同一物については同一符号を付して説明を省略する。
図1、図13に示す訓練スコア算出システムにおいてはコンピュータ20によってソフトウエアを用いて訓練スコアを算出しているが、図20に示すものではハードウエアを用いて訓練スコアを算出する。
まず、被験者1の集中/散漫時の動作を説明する。集中/散漫時においては上述したのと同様に被験者1は集中画像2を見て、その後散漫画像3を見る。
脳波計10から出力した脳波データは訓練スコア算出装置110に含まれる周波数分析回路111に入力する。周波数分析回路111において単位時間当たりの脳波データの周波数が分析される。上述したのと同様にδ波、θ波、α波またはβ波(SMR波、β1波、β2波)のどの種類の脳波に該当するかの分析が行われる。周波数分析された脳波データは積分回路112に入力し、δ波、θ波、α波またはβ波(SMR波、β1波、β2波)の脳波の種類(成分)ごとに上述したのと同様に積分が行われる。単位時間においてδ波、θ波、α波またはβ波の脳波の種類ごとに積分された脳波データは除算回路113に入力する。除算回路113において上述したように(β波の周波数積分絶対値)が(θ波の周波数積分絶対値)によって除算され、β波/θ波=(β波の周波数積分絶対値)/(θ波の周波数積分絶対値)が算出される。除算回路113により、図18(A)に示すグラフを表すデータが得られる。
除算回路113から出力されたデータは、スコア算出回路114に入力する。スコア算出回路114に含まれるメモリ114Aにおいて、第1のレベルおよび第2のレベルが記憶される。
次に訓練時の動作について説明する。
訓練時において除算回路113から出力されるβ波/θ波のレベル(第3のレベルの一例である)を表すデータはスコア算出回路114に入力する。スコア算出回路114において、第1式または第2式にしたがってスコアが随時算出される。たとえば、図18(B)に示す例では時間t0から時間t10までの間は時間の経過とともに徐々に訓練スコアの値が大きくなる。
算出された訓練スコアを表すデータは表示制御装置115に入力し、図19に示したようにスコアの値が大きい(被験者1の振れ幅の上限に近い)ほど大きな円が表示装置29の表示画面29Aに表示されるようになる。
図20に示す変形例においても脳波計10から出力された脳波データは有線により訓練スコア算出装置110に入力しているが無線により脳波データが訓練スコア算出装置110に入力してもよいし、脳波計10から出力されたデータをインターネットなどのようなネットワークを利用して訓練スコア算出装置110に送信し、訓練スコア算出装置110において受信するようにしてもよい。その場合には訓練スコア算出装置110においてネットワークと接続するための通信回路が設けられ、その通信回路によって受信した脳波データが周波数分析回路111に入力することとなる。
上述した実施例(変形例)においては被験者1に2つの脳波導出電極11および12を取り付けているが、必ずしも2つに限らず、1または3つ以上の電極を被験者1に取り付けてもよい。
脳波は左脳の脳波と右脳の脳波とに分かれる。左脳はロジックを司り、右脳は感情を司ると一般的に考えられている。このために、計算のように集中する作業は左脳が働き、リラックスするときのように散漫時は右脳が働く。β波の出現頻度は左脳から得られるものの方が多くなりθ波の出現頻度は右脳から得られるものの方が多くなる。これらのことからβ波は左脳から得られるものを用い、θ波は右脳から得られるものを用いて上述したβ波/θ波=(β波の周波数積分絶対値)/(θ波の周波数積分絶対値)を算出することで、β波/θ波の振れ幅を大きくできる。振れ幅を大きくできることにより、訓練時に算出されるスコアがより正確になる。
図21は、さらに他の変形例を示すものでスコア算出システムの電気的構成を示すブロック図である。図21はβ波/θ波の振れ幅を大きくするものである。
第1の脳波導出電極11は被験者1の右脳に対応する位置(第2の箇所の一例である)に取り付けられ、第2の脳波導出電極12は被験者1の左脳に対応する位置(第1の箇所の一例である)に取り付けられる。第1の脳波導出電極11から得られる右脳の脳波は第1の脳波計10Aに入力し右脳から得られる脳波データが得られる。第2の脳波導出電極12から得られる左脳の脳波は第2の脳波計10Bに入力し左脳から得られる脳波データが得られる。
第1の脳波計10Aおよび第2の脳波計10Bからそれぞれ得られる右脳の脳波データおよび左脳の脳波データはコンピュータ20に入力する。コンピュータ20において、右脳から得られる脳波データおよび左脳から得られる脳波データのそれぞれにおいて周波数分析、積分などが行われ、左脳から得られるβ波(β波の周波数積分絶対値)および右脳から得られるθ波(θ波の周波数積分絶対値がそれぞれ算出される。その後、β波は左脳から得られるものを用い、θ波は右脳から得られるものを用いて上述したβ波/θ波=(β波の周波数積分絶対値)/(θ波の周波数積分絶対値)が算出される。算出されたβ波/θ波から最大レベルと最小レベルが算出される。最大レベルと最小レベルとの差が大きくなる。
このように第1の箇所から得られる脳波の種類と第2の箇所から得られる脳波の種類が異なっていてもよい。脳波の種類が異なっていたり、脳波を検出する箇所が異なっていたりしても、集中画像2を見ているときに得られる脳波の比率であるβ波/θ波のレベルの平均値であるL3または最大値であるL4と、散漫画像3を見ているときに得られる脳波の比率であるβ波/θ波のレベルの平均値であるL2または最小値であるL1などを第1式または第2式からスコアを算出できる。
図20に示すようにスコア算出装置50を用いても同様に第1の脳波計10Aおよび第2の脳波計10Bからそれぞれ得られる右脳の脳波データおよび左脳の脳波データを利用してβ波/θ波の振れ幅(最大レベルと最小レベルとの差)が大きなものが得られる。また、脳波計は必ずしも2つ使用する必要は無い。2つの脳波計10Aおよび10Bの代わりに一つ脳波計10を利用してもよい。時間的にずらして得られる右脳から得られる脳波と左脳から得られる脳波を1つの脳波計で利用してもよいし、右脳から得られる脳波を表す脳波データと左脳から得られる脳波データとを同時に出力できる脳波計を利用してもよい。
上述の実施例では、スコアの算出などにβ波/θ波=(β波の周波数積分絶対値)/(θ波の周波数積分絶対値)を利用しているが、θ波/β波=(θ波の周波数積分絶対値)/(β波の周波数積分絶対値)を利用してもよいし、これらのような比率のパラメータだけでなく、α波(α波の周波数積分絶対値)、β波(β波の周波数積分絶対値)、θ波(θ波の周波数積分絶対値)、δ波(δ波の周波数積分絶対値)などをパラメータとして利用してもよい。たとえば、集中画像のような第1の刺激が被験者1に与えられたときの第1のレベルとして、脳波のβ波とθ波との比率の平均値もしくは最大値、脳波のβ波の平均値もしくは最大値、脳波のθ波の平均値もしくは最大値、脳波のα波の平均値もしくは最大値脳波のδ波の平均値もしくは最大値、心拍数の平均値もしくは最大値、または心拍に関する後述のRMSSD値の平均値もしくは最大値を用いてもよい。また、散漫画像のような第2の刺激が被験者1に与えられたときの第2のレベルが、脳波のβ波とθ波との比率の平均値もしくは最小値、脳波のβ波の平均値もしくは最小値、脳波のθ波の平均値もしくは最小値、脳波のα波の平均値もしくは最大値脳波のδ波の平均値もしくは最大値、心拍数の平均値もしくは最小値または心拍に関するRMSSD値の平均値もしくは最小値を用いてもよい。
図10および図11を参照して説明したように、第1のレベルと第2のレベルとが得られた場合に、得られた第1のレベルと第2のレベルとの差を算出し、算出された差があらかじめ定められている差よりも小さいと、その旨をスピーカ28(第2の報知手段の一例である)から出力したり、表示装置29(第2の報知手段の一例である)に表示したりして報知してもよい。たとえば、あらかじめ定められている差を、健常者に対して上述のように脳波のスコア算出する場合に得られる差とすると、被験者1は健常者であれば得られるであろう差よりも小さいことが分かり、これらの差を広げるように、特定の周波数バンド脳波、2つの特定の周波数バンドの脳波の比率のレベルを上げる訓練を行うことができるようになる。
図22から図24は、変形例を示すもので、コンピュータ20の処理手順を示すフローチャートである。図22から図24に示す処理は、図8に示す処理においてスコアを表示(ステップ66)した後に続いて行なわれてもよいし、スコア算出処理(ステップ65)およびスコアを表示する処理(ステップ66)の代わりに行われてもよい。
まず、レベルの検出条件が入力装置22によって設定される(図22ステップ121)。レベルの検出条件は、上述のように、例えば、最大レベルであるが他の条件で検出してもよい。また、レベルの検出条件はあらかじめ設定されていてもよい。
図9に示したように、被験者1がオープン・アイ状態、クローズ・アイ状態、0-BACK状態、2-BACK状態およびREST状態のそれぞれの状態とされ、それぞれの状態でのδ波のレベルが検出される(図22ステップ122)。同様に、被験者1がオープン・アイ状態、クローズ・アイ状態、0-BACK状態、2-BACK状態およびREST状態のそれぞれの状態でのθ波のレベル、α波のレベル、SMR波のレベル、β1波のレベル、β2波のレベルおよびβ波のレベルがCPU21(第4の検出手段の一例である)によってそれぞれ検出される(図22ステップ123-128)。
δ波は通常は2-BACK状態のときにレベルが高くなる。2-BACK状態のときに得られた被験者1のδ波のレベルが、2-BACK状態のときに得られるであろう、あらかじめ定められているδ波の所定のレベル(検出条件はステップ121で設定されたものと同じである)以上かどうかがCPU21によって判定される(図23ステップ129)。得られた被験者1のδ波のレベルが、あらかじめ定められているδ波の所定のレベル未満の場合には(図23ステップ129でNO)、被験者1のδ波のレベルが弱いことが表示装置29(第3の報知手段の一例である)に表示される(図23ステップ130)。被験者1のδ波のレベルが弱いことが分かる。
同様に、θ波は通常は2-BACK状態、REST状態のときにレベルが高くなる。2-BACK状態またはREST状態のときに得られた被験者1のθ波のレベルが、2-BACK状態またはREST状態のときに得られるであろう、あらかじめ定められているθ波の所定のレベル(検出条件はステップ121で設定されたものと同じである)以上かどうかがCPU21によって判定される(図23ステップ131)。得られた被験者1のθ波のレベルが、あらかじめ定められているθ波の所定のレベル未満の場合には(図23ステップ131でNO)、被験者1のθ波のレベルが弱いことが表示装置29(第3の報知手段の一例である)に表示される(図23ステップ132)。被験者1のθ波のレベルが弱いことが分かる。
同様に、α波は通常はクローズ・アイ状態のときにレベルが高くなる。クローズ・アイ状態のときに得られた被験者1のα波のレベルが、クローズ・アイ状態のときに得られるであろう、あらかじめ定められているα波の所定のレベル(検出条件はステップ121で設定されたものと同じである)以上かどうかがCPU21によって判定される(図23ステップ133)。得られた被験者1のα波のレベルが、あらかじめ定められているα波の所定のレベル未満の場合には(図23ステップ133でNO)、被験者1のα波のレベルが弱いことが表示装置29(第3の報知手段の一例である)に表示される(図23ステップ134)。被験者1のα波のレベルが弱いことが分かる。
同様に、SMR波は通常はREST状態のときにレベルが高くなる。REST状態のときに得られた被験者1のSMR波のレベルが、REST状態のときに得られるであろう、あらかじめ定められているSMR波の所定のレベル(検出条件はステップ121で設定されたものと同じである)以上かどうかがCPU21によって判定される(図24ステップ135)。得られた被験者1のSMR波のレベルが、あらかじめ定められているSMR波の所定のレベル未満の場合には(図24ステップ135でNO)、被験者1のSMR波のレベルが弱いことが表示装置29(第3の報知手段の一例である)に表示される(図24ステップ136)。被験者1のSMR波のレベルが弱いことが分かる。
同様に、β1波も通常はREST状態のときにレベルが高くなる。REST状態のときに得られた被験者1のβ1波のレベルが、REST状態のときに得られるであろう、あらかじめ定められているβ1波の所定のレベル(検出条件はステップ121で設定されたものと同じである)以上かどうかがCPU21によって判定される(図24ステップ137)。得られた被験者1のβ1波のレベルが、あらかじめ定められているβ1波の所定のレベル未満の場合には(図24ステップ137でNO)、被験者1のβ1波のレベルが弱いことが表示装置29(第3の報知手段の一例である)に表示される(図24ステップ138)。被験者1のβ1波のレベルが弱いことが分かる。
同様に、β2波は通常は0-BACK状態のときにレベルが高くなる。0-BACK状態のときに得られた被験者1のβ2波のレベルが、0-BACK状態のときに得られるであろう、あらかじめ定められているβ2波の所定のレベル(検出条件はステップ121で設定されたものと同じである)以上かどうかがCPU21によって判定される(図24ステップ139)。得られた被験者1のβ2波のレベルが、あらかじめ定められているβ2波の所定のレベル未満の場合には(図24ステップ139でNO)、被験者1のβ2波のレベルが弱いことが表示装置29(第3の報知手段の一例である)に表示される(図24ステップ140)。被験者1のβ2波のレベルが弱いことが分かる。
同様に、β波は通常は0-BACK状態およびREST状態のときにレベルが高くなる。0-BACK状態またはREST状態のときに得られた被験者1のSMR波のレベルが、0-BACK状態またはREST状態のときに得られるであろう、あらかじめ定められているβ波の所定のレベル(検出条件はステップ121で設定されたものと同じである)以上かどうかがCPU21によって判定される(図24ステップ141)。得られた被験者1のβ波のレベルが、あらかじめ定められているβ波の所定のレベル未満の場合には(図24ステップ141でNO)、被験者1のβ波のレベルが弱いことが表示装置29(第3の報知手段の一例である)に表示される(図24ステップ142)。被験者1のβ波のレベルが弱いことが分かる。
被験者1の脳波がどの周波数バンドで弱いかどうかが分かるようになる。特定の2つの周波数バンドの比率についても同様にして、どのような2つの周波数バンドの比率が弱いかどうかが分かるようになる。
図22から図24に示す変形例においては、5つの状態のそれぞれのδ波のレベル、θ波のレベル、α波のレベル、SMR波のレベル、β1波のレベル、β2波のレベルおよびβ波のレベルを検出しているが(図22ステップ122-128)、δ波、θ波、α波、SMR波、β1波、β2波およびβ波のレベルが高くなる状態は分かるので、5つの状態のそれぞれのδ波のレベル、θ波のレベル、α波のレベル、SMR波のレベル、β1波のレベル、β2波のレベルおよびβ波のレベルを検出しないで、それぞれの周波数バンドのレベルが高くなる状態でのレベルのみを検出して所定のレベルと比較してもよい。たとえば、θ波の場合には2-BACK状態のレベルを検出し、あらかじめ定められている2-BACK状態で得られるであろうレベルと比較する。θ波、α波、SMR波、β1波、β2波およびβ波についても同様である。
上述の処理を実行する処理部には,ソフトウエアを実行して各種の処理部として機能するCPU21のほかに,FPGA(field-programmable gate array)などのように製造後に回路構成を変更可能なプログラマブル・ロジック・ディバイス,ASIC(application specific integrated circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
1つの処理部は,これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし,同種または異種の2つ以上のプロセッサの組合せ(たとえば,複数のFPGA,CPUとFPGAの組合せ)で構成されてもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては,第1に,クライアント・コンピュータやサーバなどのコンピュータに代表されるように,1つ以上のCPUとソフトウエアの組合せで1つのプロセッサを構成し,このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に,システム・オン・チップなどに代表されるように,複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(integrated circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように,各種の処理部は,ハードウエア的な構造として各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
さらに,これらの各種のプロセッサのハードウエア的な構造は,より具体的には,半導体素子などの回路素子を組合せた電気回路である。