JP7382522B1 - 動的貯水容量の影響を考慮した貯水池の超短期水位予測方法、システムおよび記憶媒体 - Google Patents

動的貯水容量の影響を考慮した貯水池の超短期水位予測方法、システムおよび記憶媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】動的貯水容量の影響を考慮し、貯水池の高速かつ高精度な超短期水位予測を実現し、水力発電所の発電計画の策定と貯水池の安全な運用に、より良いサポートを提供するための動的貯水容量の影響を考慮した貯水池の超短期水位予測方法、システム及び記憶媒体を提供する。【解決手段】方法は、動的貯水容量の流入量、貯水域の水面線が上流水位に与える影響のヒステリシスを解析し、対応する時間スケールの貯水池運用データを収集し、設定されたパラメータおよび収集された貯水池運用データに従って、データセットを構築するステップS1と、構築されたデータセットに基づいて、前期水位、前期の貯水域の水面線特徴、予報流量、出力計画、放流計画などの変数を入力とする上流水位深層学習予報モデルを構築するステップS2と、構築された深層学習予報モデルに基づいて、さまざまな適用条件下での水位予測結果を生成するステップS3と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、貯水池ディスパッチングの技術分野に属し、特に動的貯水容量の影響を考慮した貯水池の超短期水位予測方法、システムおよび記憶媒体に関する。
貯水池の実際の運用中に、貯水池の流入情報と発電計画を考慮した貯水池の超短期水位予測は、水力発電所の発電計画の策定、貯水池の安全な運用に重要な意味を持ち、水位予測結果に基づき、ディスパッチング規制の枠組みの中で貯水池の出力計画を適切に修正し、ディスパッチング要件を満たし、発電効果を最大化する出力計画を策定することができる。
一般的な貯水池の場合、静的貯水容量の原理に基づく水収支法により貯水池の水位を予測することが多く、実際の使用中に良好な水位予測結果が得られる。該方法において、「流入量-流出量=貯水量の変化」の水収支関係に基づいて、貯水池の貯水量の変化を算出し、それにより、上流水位変化を算出し、流入量は、静的貯水容量の流入量を採用し、計算では貯水池の静的貯水容量の変化のみが考慮され、貯水池の水面が水平面であり、その水面の昇降が水平方向の動きであると仮定される。ただし、河川型貯水池の場合、貯水池の動的貯水容量(最も遠い背水区間からダム前までの総貯水量)の存在により、貯水池の水位予測は、2つの問題に直面する。
(1)河川型貯水池の水面には、一定の鉛直勾配があり、貯水池の実際の水面と上流水位の水平線との間にくさび状の貯水部が形成され、貯水池の貯水量の変化は、上流水位の変化に反映されるだけでなく、貯水域の水面線にも影響を及ぼし、貯水域の水面線の変化による流体力学的特徴が複雑であるため、貯水池の貯水量の変化に従って、上流水位の変化を直接計算することは困難である。
(2)貯水池の動的貯水容量の流入量は、貯水池の背水区間の水量のみを反映でき、これは、貯水域の水面線の変化を通じて上流水位の変化に反映する必要があり、したがって、動的貯水容量の流入量は、上流水位に与える影響が一定のヒステリシスがある。
公開番号がCN113256005Aである中国特許の出願は、ニューラルネットワークモデルに基づく発電所の水位過程予測方法および装置を開示し、上流の発電所の流出量から下流の発電所の流入量までの流出進化時間を下流の発電所の流入量の予測期間とし、前の予測期間における発電所運用データを一連の入力変数シーケンスとしてBPニューラルネットワークモデルに入力し、BPニューラルネットワークモデルによって、次の予測期間における下流の発電所のダム前の予測水位を出力し、BPニューラルネットワークネットワークモデルをトレーニングし、発電所の現在の運用データをトレーニングされたBPニューラルネットワークモデルに入力し、BPニューラルネットワークモデルを使用して、発電所の水位過程の予測結果を出力する。しかし、この方法は、モデルの学習データとして流入量と流出量を考慮しているだけであり、河川型貯水池の動的貯水容量の影響を具体的に考慮していないため、河川型貯水池の水位予測にうまく適応することはできない。
公開番号がCN114611778Bである中国特許は、流入量に基づく貯水池水位早期警告方法およびシステムを開示し、このシステムは、データ取得モジュール、データ伝送モジュール、貯水容量計算モジュール、貯水池水位予測モジュール、および早期警告モジュールを含み、手順は次のとおりであり、S1、貯水池の過去およびリアルタイムの貯水容量と水位データを収集し、S2、将来の貯水容量の値を計算し、S3、多層パーセプトロンモデルを介して貯水池水位予測モデルをトレーニングして構築し、S4、次の数日間の貯水池の水位値を予測し、S5、予測した貯水池の水位値を水位警報値と比較して早期警告を行う。しかし、この方法も、その後の水位予測のデータとして、流入量の静的な貯水容量を考慮しているだけであり、河川型貯水池の動的貯水容量の影響を具体的に考慮していないため、河川型貯水池の水位予測にうまく適応することはできない。
一般的に言えば、河川型貯水池の動的貯水容量の存在は、貯水池の貯水量の変化を正確に計算することを困難にし、貯水池の上流水位に対する動的貯水容量の影響のヒステリシスもまた、水位の予測を困難にする。
従来技術に存在する欠点を解決するために、本発明は、動的貯水容量の影響を考慮した貯水池の超短期水位予測方法を提供し、この方法は、貯水池の超短期水位の予測計算において、動的貯水容量の影響を考慮し、貯水池の高速かつ高精度な超短期水位予測を実現し、それによって、水力発電所の発電計画の策定と貯水池の安全な運用に、より良いサポートを提供することができる。
上述の技術的特徴を実現するために、本発明の目的は、次のように達成される。動的貯水容量の影響を考慮した貯水池の超短期水位予測方法であって、
対応する時間スケールの貯水池運用データを収集し、設定されたパラメータと収集された貯水池運用データに従って、データセット(X、X、Y)を構築し、ここでは、Xは、前期の水位特徴および貯水域の水面線による水位特徴を含み、Xは、将来の流出量情報とヒステリシスの影響を考慮した流入量情報を含み、Yは、出力情報である、データ分析処理ステップS1と、
ステップS1で構築されたデータセット(X、X、Y)に基づいて、出力Yと入力X=(X、X)との間の関係を反映する予報モデルを確立する予報モデル確立ステップS2と、
ステップS2で確立された予報モデルに基づいて、水位予測結果を生成する水位予測結果生成ステップS3とを含む。
前記ステップS1は、具体的には、
実際のビジネスニーズに応じて、時間ステップstepと予報期間fltを設定するステップS101と、
貯水域の水面線の水位が上流水位に与える影響の最大遅れ期間lagsと、流入量が上流水位に与える影響の遅れ時間QLagsを求めるステップS102と、
設定された時間ステップstepに従って、対応する時間スケールの貯水池運用データを収集し、
前記貯水池運用データは、発電所出力データN、貯水域の水面線の水位データWL、上流水位データWLUp、下流水位データWLDown、動的貯水容量の流入量データQ、および放流量データQOutを含み、同じ期間のデータを傍受し、傍受後のデータ長をnumと記す、ステップS103と、
設定されたパラメータおよび収集されたデータに従って、データセットを構築するステップにおいて、データセットには、num=num-lags-flt+1のサンプルデータが含まれるステップS104とを含み、ここでは、各サンプルポイントデータの構築方法として、特定の時点tでのサンプルデータの出力は、次のとおりであり、
は、flt×1のベクトルであり、将来のfltの時間ステップで予測すべき上流水位値を含み、サンプルデータの入力は、Xであり、予測時点tの前期の水位特徴データ、および将来の出力、放流量、およびヒステリシスを考慮した動的貯水容量の流入量データを含み、それぞれXt1およびXt2と記し、ここでは、
t1は、lags×mの行列であり、mは、貯水域の水面線の水位データ、上流水位データ、下流水位データの変数の総数であって、前期の水位状況および貯水域の水面線の特徴を反映し、
t2は、flt×3の行列であり、将来の出力と流量状況を反映し、すべてのサンプルを組み合わせて形成されるデータセットには、出力Yと入力X=(X、X)、即ち、データセット(X、X、Y)が含まれ、Yは、num×flt×1の行列であり、Xは、num×lags×mの行列であり、Xは、num×flt×3の行列である。
前記ステップS2は、具体的には、
正規化または標準化方法を使用して、構築されたデータセット(X、X、Y)を、標準データセット(SX、SX、SY)に処理するデータ前処理ステップS201と、
標準データセットを一定の比率に従って、ランダムにトレーニングセット(TrainSX、TrainSX、TrainSY)および検証セット(TestSX、TestSX、TestSY)に分割するデータ分割ステップS202と、
構築したデータセットの特徴に応じて、深層学習における長短期記憶層、畳み込み層、全結合層を用いて、貯水域の水面線の水位データ、流量データ、出力データ変化特徴を抽出できるモデル構造を設計し、モデルの最適化目標を設定し、初期のモデルハイパーパラメータセットを設定するモデル構造およびパラメータ設計ステップS203と、
与えられたモデル構造とハイパーパラメータセットの条件下で、トレーニングセット(TrainSX、TrainSX、TrainSY)に基づいて、モデルパラメータを最適化し、最適化目標を満たすモデルを取得するモデルトレーニングステップS204と、
トレーニング済みのモデルと最適化目標に基づいて、検証セット(TestSX、TestSX、TestSY)でのモデル効果を評価するモデル評価ステップS205と、
モデル評価結果が予測精度要件を満たすか否かを判断し、満たさない場合、モデル構造、最適化目標、およびハイパーパラメータを調整し、予測精度要件を満たす予報モデルが得られるまで、ステップS204およびS205を繰り返して実行する予報モデル決定ステップS206とを含む。
前記ステップS3は、具体的には、
予報時間Tで、ステップS103およびS104に従って対応するデータを収集し、該時間Tに対応するサンプルポイントの入力X=(XT1、XT2)を構築するステップS301と、
ステップS201でのデータ前処理方法を用いて、入力XをSXに処理するステップS302と、
ステップS206で決定された予報モデルを使用して予測し、予測結果SYHatを取得するステップS303と、
ステップS201で使用されたデータ前処理方法に従って、予測結果SYHatを、該予報時間に対応する実際の水位である実際の水位予測結果YHatに逆処理するステップS304とを含む。
動的貯水容量の影響を考慮した貯水池の超短期水位予測システムであって、メモリ、プロセッサ、およびメモリに記憶され、プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムを含み、プロセッサによってコンピュータプログラムを実行すると、前記動的貯水容量の影響を考慮した貯水池の超短期水位予測方法を実現する。
コンピュータプログラムが記憶された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、前記動的貯水容量の影響を考慮した貯水池の超短期水位予測方法を実現する。
一般的に言えば、本発明によって考案された上記の技術的解決手段を、従来技術と比較して、本発明によって提供される動的貯水容量の影響を考慮した貯水池の超短期水位予測方法は、主に以下の有益な効果を有する。
1.河川型貯水池の動的貯水容量の影響下での水位予測問題に鑑みて、本発明は、予報の入力に動的貯水容量の流入量、上流水位に対する貯水域の水面線の影響のヒステリシス、および前期の貯水域の水面線の水位特徴によって反映される貯水量を十分に考慮し、このようにして、上流水位変化の影響要因をより適切に反映することができ、予測の精度と信頼性を向上させることができる。
2.貯水域の水面線の変化により、貯水域の貯水量を求めることが困難であるという問題に鑑みて、本発明は、深層学習モジュールを構築して、過去の運用中のさまざまな条件下での貯水域の水面線の変化特徴を抽出することにより、複雑な流体力学的条件下での上流水位の予測と計算を実現する。
本発明は、添付の図面および実施例と併せて、以下でさらに説明される。
本発明によって提供される動的貯水容量の影響を考慮した貯水池の超短期水位予測方法の概略フローチャートである。 実施例における最適化されたモデル構造図である。 実施例におけるある予報の予報水位と実測水位との比較図である。 実施例における年間予報の全体誤差の予報期間による変化を示す図である。 実施例における年間予報の全体誤差分布図である。
本発明の実施形態は、添付の図面と併せて以下でさらに説明される。
実施例1:
一方、図1に示すように、本発明は、動的貯水容量の影響を考慮した貯水池の超短期水位予測方法を提供し、貯水域の水面線の時空間情報を抽出することにより、貯水池の動的貯水容量の影響を反映し、貯水池への流入を遅らせることにより、上流水位の変化に対する動的貯水容量の流入の影響のヒステリシスを反映する。所述方法は、以下のステップを含む。
ステップS1:対応する時間スケールの貯水池運用データを収集し、設定されたパラメータと収集された貯水池運用データに従って、データセット(X、X、Y)を構築するデータ分析処理ステップにおいて、Xは、前期の水位特徴および貯水域の水面線による水位特徴を含み、Xは、将来の流出量情報と影響のヒステリシスを考慮した流入量情報を含み、Yは、出力情報である。具体的には、以下のステップを含む。
ステップS101において、実際のビジネスニーズに応じて、時間ステップstepと予報期間flt(後続のfltステップを予測することを指す)を設定する。
本実施例において、時間ステップは、1時間に設定され、予報期間は、48時間に設定され、即ち、step=1、flt=48である。
ステップS102において、メカニズム解析またはデータ相関解析により、貯水域の水面線の水位が上流水位に与える影響の最大遅れ期間lagsと、流入量が上流水位に与える影響の遅れ時間QLagsを求める。
本実施例において、動的貯水容量の流体力学的特徴によれば、貯水域の水面線の水位がダムの前の水位に与える影響の最大遅れ期間lagsは、24時間であり、流入量が上流水位に与える影響の遅れ時間QLagsは、8時間で、即ち、lags=24、QLags=8である。
ステップS103において、設定された時間ステップstepに従って、対応する時間スケールの貯水池運用データを収集するステップにおいて、
前記貯水池運用データは、発電所出力データN、貯水域の水面線の水位データWL、上流水位データWLUp、下流水位データWLDown、動的貯水容量の流入量データQ、および放流量データQOutを含み、同じ期間のデータを傍受し、傍受後のデータ長をnumと記す。
本実施例において、ある水力発電所(A発電所とする)の2015年~2019年の運用期間中の発電所出力データN、貯水域の水面線の9つの点の水位データWL、上流水位データWLUp、下流水位データWLDown、動的貯水容量の流入量(予報流入量を使用可)データQ、放流量データQOutを収集し、データによって時間精度が異なるため、データ補間またはダウンスケーリング方法によって、1時間スケールのデータに処理され、処理されたデータ長がnum=43825行である。
ステップS104において、設定されたパラメータおよび収集されたデータに従って、データセットを構築する。データセットには、num=num-lags-flt+1のサンプルデータが含まれ、ここでは、各サンプルポイントデータの構築方法として、特定の時点tでのサンプルデータの出力は、次のとおりであり、
は、flt×1のベクトルであり、将来のfltの時間ステップ内で予測すべき上流水位値を含み、サンプルデータの入力は、Xであり、予測時点tの前期の水位特徴データ、および将来の出力、放流量、およびヒステリシスを考慮した動的貯水容量の流入量データを含み、それぞれXt1およびXt2と記し、ここでは、
t1は、lags×mの行列であり、mは、貯水域の水面線の水位データ、上流水位データ、下流水位データの変数の総数であって、前期の水位状況および貯水域の水面線の特徴を反映し、
t2は、flt×3の行列であり、将来の出力と流量状況を反映し、すべてのサンプルを組み合わせて形成されるデータセットには、出力Yと入力X=(X、X)、即ち、データセット(X、X、Y)が含まれ、Yは、num×flt×1の行列であり、Xは、num×lags×mの行列であり、Xは、num×flt×3の行列である。
本実施例において、2015~2019年の間の時点を選択し、例として2019年3月15日の0時を取り上げ、予報すべきデータは、2019年3月15日1時から2019年3月17日0時までの上流水位データ(48×1行列)であり、その入力は、前期の水位データと同時期の出力および流量データを含み、前期の水位データは、2019年3月14日1時から2019年3月15日0時までの水面線の9つの点の水位、上流水位、下流水位であって、24×11の行列であり、同時期の出力および流量データは、2019年3月15日1時から2019年3月17日0時までの出力データと放流量データ、および2019年3月14日17時から2019年3月16日16時までの流入量データであって、48×3の行列である。この構成方法によって形成されるデータセットには、合計43825-24-48+1=43754のサンプルポイントが含まれ、すべてのサンプルを組み合わせて形成されるデータセットには、出力Yと入力X=(X1、X2)が含まれ、ここでは、Yは、43754×48×1の行列であり、Xは、43754×24×11の行列であり、Xは、43754×48×3の行列である。
ステップS2において、構築されたデータセット(X、X、Y)に基づいて、出力Yと入力X=(X、X)との間の関係を反映する予報モデルを確立する。具体的なステップは、以下のとおりである。
ステップS201において、データ前処理を行う。本実施例において、過度のデータ差によるモデルトレーニングの問題を回避するために、正規化方法を使用して、データを0と1の間に処理し、処理方法は、次のとおりである。
式中、vは、14個の変数(11個の点の水位および出力、流入量、放流量)のいずれか1つであり、vは、該変数のある時点での元のデータであり、vminとvmaxは、それぞれ該データの最小値、最大値であり、zは、変換された値である。
正規化された後、データセット(X、X、Y)は、データがいずれも0と1の間の正規化されたデータ(SX、SX、SY)に変換される。
データ分割ステップS202において、データを一定の比率に従って、ランダムにトレーニングセット(TrainSX、TrainSX、TrainSY)および検証セット(TestSX、TestSX、TestSY)に分割する。本実施例において、データをシャッフルした後、3:1の比率で分割する。
ステップS203において、モデル構造およびパラメータ設計を行う。本実施例において、初期モデル構造は、最も単純なLSTMモデル構造を採用し、まず、入力データの構造が一致していることを確保するために、SXの各サンプルデータを24×6の行列に変換し、それをSXのデータと24×17の行列につなぎ合わせて、LSTMの入力として使用し、最後に全結合層を追加して48個の出力を形成する。モデルのハイパーパラメータには、LSTMブロックの数、毎回のトレーニングのデータ数、最大トレーニング回数などが含まれ、本実施例において、それぞれ50、72、および100に設定される。モデルの最適化目標は、二乗平均平方根誤差を最小化することであり、平均二乗誤差の計算方法は、以下の通りである。
式中、nは、データ数であり、Y
はそれぞれ、実測値と予測値である。
モデルトレーニングステップS204において、与えられたモデル構造とハイパーパラメータセットの条件下で、モデル設定トレーニングセット(TrainSX、TrainSX、TrainSY)に基づいて、モデルパラメータを最適化し、最適化目標を満たすモデルを取得する。本実施例において、モデルのトレーニング目的は、平均二乗誤差を最小化することであり、トレーニングされた後のトレーニングセットの平均二乗誤差は、2.94×10-5(正規化処理後の誤差)である。
ステップS205において、モデル評価を行う。トレーニング済みのモデルと最適化目標に基づいて、検証セット(TestSX、TestSX、TestSY)でのモデルの効果を評価する。本実施例において、検証セットのモデルの予測誤差は、3.09×10-5(正規化処理後の誤差)である。
ステップS206において、モデル評価結果が予測精度要件を満たすか否かを判断し、満たさない場合、モデル構造、最適化目標、およびハイパーパラメータを調整し、予測精度要件を満たす予報モデルが得られるまで、ステップS204およびS205を繰り返して実行する。本実施例において、実際の効果に応じて、図2に示すように、継続的な最適化の後にモデル構造が決定される。ここでは、Input1がステップS203の入力と一致し、Input2は、将来の出力と流量データ(48×3行列)であり、Outpt1の構造は、48×1のベクトルであって、後続の入力としてInput2の入力と48×4の行列につなぎ合わせて、最後に、TimeDistributedレイヤーを介して出力が形成される。最適化して調整された後、トレーニングセットと検証セットの平均二乗誤差は、それぞれ1.54×10-5、1.68×10-5である。
ステップS3において、ステップS2で確立された予報モデルに基づいて、水位予測結果を生成する。具体的には、以下のステップを含む。
ステップS301において、予報の時間Tで、ステップS103およびS104に記載の方法に従って対応するデータを収集し、該時間Tに対応するサンプルポイントの入力X=(XT1、XT2)を構築する。本実施例において、2022年5月1日0時を例にとると、予報すべきデータは、2022年5月1日1時から2022年5月3日0時までの上流水位データ(48×1行列)であり、その入力には、前期の水位データと同時期の出力および流量データが含まれ、前期の水位データは、2022年4月30日1時から2022年5月1日0時までの水面線の9つの点の水位および上流水位、下流水位であって、24×11の行列であり、同時期の出力、流量データは、2022年5月1日1時から2022年5月3日0時までの出力データ、放流量データおよび2022年4月30日17時から2022年5月2日16時までの流入量データであって、48×3の行列である。
ステップS302において、ステップS201でのデータ前処理方法を用いて、入力XをSXに処理する。本実施例において、ステップS201に記載の正規化方法を使用して、データに対して正規化処理を実行する。最大値と最小値は、ステップS201のデータを使用する。
ステップS303において、ステップS206で決定されたモデルを使用して予測し、予測結果SYHatを取得する。本実施例において、モデル構造は、図2に示されており、モデルパラメータは、ステップS206で決定されたパラメータである。
ステップS304において、ステップS201で使用されたデータ前処理方法に従って、SYHatを、YHatに逆処理する。本実施例において、準正規化法を使用し、計算式は、次のようになり、
ただし、Vmin、Vmaxは、それぞれ予報すべき量の最大値と最小値である。
該実施例の最終予報結果を図3に示す。
本発明によって提供される動的貯水容量の影響を考慮した貯水池の超短期水位予測方法の実際の適用効果をさらに説明するために、2020年通年のA発電所における該方法の予測効果をさらに分析する。誤差分析では、絶対誤差と平均絶対誤差が分析指標として使用され、平均絶対誤差の計算方法は、次のとおりである。
ただし、
は、絶対誤差であり、
および
は、それぞれ予測水位と実測水位であり、nは、予測用サンプルの数である。
図4は、2020年通年の、予報期間による該方法の全体予測誤差の変化を示している。全体予測の平均絶対誤差は、予報期間の増加とともに徐々に増加することが図からわかる。予報期間が48時間である場合、予報の平均絶対誤差は、0.063mである。図5は、2020年通年の予測の絶対誤差の分布を示し、予報期間が長くなるにつれて、誤差の大きいポイントの数が徐々に増加し、サンプルポイントの95%の絶対誤差が0.2以内にあることが図からわかる。平均絶対誤差であろうと絶対誤差の分布であろうと、予測精度が比較的小さく、基本的に精度要件を満たすことができることを示している。
実施例2
本発明の別の態様は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体およびプロセッサを含む、動的貯水容量の影響を考慮した貯水池の超短期水位予測システムを提供する。
さらに、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、実行可能な命令を記憶するために使用される。
さらに、前記プロセッサは、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された実行可能な命令を読み取り、第1の態様で説明した、動的貯水容量の影響を考慮した貯水池の超短期水位予測方法を実行するために使用される。
実施例3:
本発明の別の態様は、コンピュータプログラムが記憶された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、第1態様で説明した、動的貯水容量の影響を考慮した貯水池の超短期水位予測方法を実現する。

Claims (3)

  1. 動的貯水容量の影響を考慮した水力発電を行うダムの貯水池の超短期水位予測方法であって、
    所定の時間スケールであって水位を予測する際の離散化する時間間隔である時間スケールの貯水池運用データを収集し、設定されたパラメータと収集された貯水池運用データに従って、データセット(X1、X2、Y)を構築し、ここでは、X1は、予測時点よりも前の期間である前期の水位変化および貯水域の水面線の水位変化を含み、X2は、将来の流出量情報と水位変化のヒステリシスの流入量による影響を考慮した流入量情報を含み、Yは、出力情報である、データ分析処理ステップS1と、
    ステップS1で構築されたデータセット(X1、X2、Y)に基づいて、出力Yと入力X=(X1、X2)との間の関係を反映する予モデルを確立する予モデル確立ステップS2と、
    ステップS2で確立された予モデルに基づいて、水位予測結果を生成する水位予測結果生成ステップS3とを含み、
    前記ステップS1は、具体的には、
    実際のビジネスニーズに応じて、1時間に設定された時間ステップstepと48時間に設定された予測期間fltを設定するステップS101と、
    貯水域の水面線の水位が上流水位に与える影響の最大遅れ期間lagsと、流入量が上流水位に与える影響の遅れ時間QLagsを求めるステップS102と、
    設定された時間ステップstepに従って、所定の時間スケールの貯水池運用データを収集し、
    前記貯水池運用データは、前記貯水池の運用中に生成されるデータであって、発電所の出力データである発電量N、貯水域の水面線の水位データWL、上流水位データWLUp、下流水位データWLDown、動的貯水容量の流入量データQ、および放流量データQOutを含み、同じ期間のデータを傍受し、傍受後のデータ長をnum 0 と記すステップS103と、
    設定されたパラメータおよび収集されたデータに従って、データセットを構築し、データセットには、num=num 0 -lags-flt+1のサンプルデータが含まれるS104とを含み、ここでは、各サンプルポイントデータの構築方法として、特定の時点tでのサンプルデータの出力は、次のとおりであり、
    Figure 0007382522000015
    t は、flt×1のベクトルであり、将来のfltの時間ステップ内で予測すべき上流水位値を含み、サンプルデータの入力は、X t であり、予測時点tの前期の水位特徴データ、および将来の出力、放流量、およびヒステリシスを考慮した動的貯水容量の流入量データを含み、それぞれXt 1 およびXt 2 と記し、ここでは、
    Figure 0007382522000016
    t1 は、lags×mの行列であり、mは、貯水域の水面線の水位データ、上流水位データ、下流水位データの変数の総数であって、前期の水位状況および貯水域の水面線の特徴を反映し、
    t2 は、flt×3の行列であり、将来の出力と流量状況を反映し、すべてのサンプルを組み合わせて形成されるデータセットには、出力Yと入力X=(X 1 、X 2 )、即ち、データセット(X 1 、X 2 、Y)が含まれ、Yは、num×flt×1の行列であり、X 1 は、num×lags×mの行列であり、X 2 は、num×flt×3の行列であり、
    前記ステップS2は、具体的には、
    正規化または標準化方法を使用して、構築されたデータセット(X 1 、X 2 、Y)を、標準データセット(SX 1 、SX 2 、SY)に処理するデータ前処理ステップS201と、
    標準データセットを一定の比率に従って、ランダムにトレーニングセット(TrainSX 1 、TrainSX 2 、TrainSY)および検証セット(TestSX 1 、TestSX 2 、TestSY)に分割するデータ分割ステップS202と、
    構築したデータセットの特徴に応じて、深層学習における長短期記憶層、畳み込み層、全結合層を用いて、貯水域の水面線の水位データ、流量データ、出力データ変化特徴を抽出できるモデル構造を設計し、モデルの最適化目標を設定し、初期のモデルハイパーパラメータセットを設定するモデル構造およびパラメータ設計ステップS203と、
    与えられたモデル構造とハイパーパラメータセットの条件下で、トレーニングセット(TrainSX 1 、TrainSX 2 、TrainSY)に基づいて、モデルパラメータを最適化し、最適化目標を満たすモデルを取得するモデルトレーニングステップS204と、
    トレーニング済みのモデルと最適化目標に基づいて、検証セット(TestSX 1 、TestSX 2 、TestSY)でのモデルの効果を評価するモデル評価ステップS205と、
    モデル評価結果が予測精度要件を満たすか否かを判断し、満たさない場合、モデル構造、最適化目標、およびハイパーパラメータを調整し、予測精度要件を満たす予測モデルが得られるまで、ステップS204およびS205を繰り返して実行する予測モデル決定ステップS206とを含み、
    前記ステップS3は、具体的には、
    予測の時間Tで、ステップS103およびS104に従って対応するデータを収集し、該時間Tに対応するサンプルポイントの入力X T =(XT 1 、XT 2 )を構築するステップS301と、
    ステップS201でのデータ前処理方法を用いて、入力X T をSX T に処理するステップS302と、
    ステップS206で決定された予測モデルを使用して予測し、予測結果SYHat T を取得するステップS303と、
    ステップS201で使用されたデータ前処理方法に従って、予測結果SYHat T を、該予測時間に対応する実際の水位である実際の水位予測結果YHat T に逆処理するステップS304とを含むことを特徴とする水位予測方法。
  2. メモリ、プロセッサ、および、前記メモリに記憶されかつ前記プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムを含み、前記プロセッサによって前記コンピュータプログラムを実行すると請求項1に記載の水位予測方法実現されることを特徴とする水位予測システム。
  3. コンピュータプログラムが記憶された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると請求項1に記載の水位予測方法実現されることを特徴とする記憶媒体。

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