JP7381252B2 - 除濁ユニットと膜ユニットの可搬型水処理装置 - Google Patents

除濁ユニットと膜ユニットの可搬型水処理装置 Download PDF

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特許法第30条第2項適用 日本水道新聞 第5420号、第27面 平成30年9月27日発行、東京都千代田区九段南4丁目8番9号 日本水道会館1F 日本水道新聞社
本発明は、小規模水道施設での使用に好適な水処理装置に関し、詳しくは原水の濁度が上昇した際にも安定的に浄水処理の実施が可能なように除濁ユニットと膜ユニットを備えた可搬型水処理装置に関する。
日本全国の水道普及率は、平成23年には97.5%に達し、国民皆水道が略実現している。その一方で、我国の人口は平成22年をピークに減少に転じ、この人口減少に歩を合わせて全国の市町村面積の約半分を占める過疎地域の多くでは、少子高齢化による限界集落化が進んでいる。
水道事業は原則として水道料金で事業の運営経費をまかなう必要があるが、このような限界集落化が進んだ小規模集落では、水道利用者数の減少に伴って水道料金収入が激減し、事業効率が悪化している。小規模集落であっても衛生的な飲料水・生活用水の確保は必要不可欠であるが、このような小規模集落は険しい山間に点在し、浄水施設から遠く離れているため、既存施設の老朽化に伴う更新はおろか、既存施設の維持ですら経済的に困難になりつつある。
また、これらの小規模集落における一日当たりの所要水量は少量であり、従来の給水手法とは異なる新たな給水手法が求められるとともに、水源地の環境の悪化による原水濁度の上昇への対応も求められている。
原水濁度が高い場合に対応可能な浄水装置として、特許文献1には、濁度を低下させた原水を膜処理装置に供給することができるように、膜処理装置の前処理に繊維濾過器からなる除濁手段を備えた水処理システムが開示されている。
また、特許文献2には、膜処理装置の前処理に繊維濾過器からなる除濁手段を備え、トラックに搭載可能なサイズに構成された移動式浄水設備が開示されている。特許文献3には、枠体内に中空糸膜モジュールと逆洗タンクとを有する可搬型水処理装置が記載されている。
特許文献4には、薬液を逆洗タンクに注入することで、薬液タンクを省略して、設備の設置面積を低減させた膜処理装置が記載されている。
特許文献5には、洗浄運転と原水処理運転との間に濾材圧縮工程を設けた濁質除去装置の運転方法が開示されている。
特許文献6には、ベースユニットに回動機構を介して水平・垂直に位置変え可能とした支持台に膜モジュールを固定し、支持台とともに膜モジュールを水平から垂直に変えることができるようにした膜モジュール支持装置が記載されている。
特許第5866808号公報 特許第2755182号公報 特開2018-130682号公報 実開平7-37322号公報 特開2003-24718号公報 特開2006-218387号公報
しかしながら、特許文献1の水処理システムは、繊維濾過器で濁度を低下させた後に膜処理を行うため、安定的に浄水処理を行うことができるが、取水した原水を貯留する原水槽、繊維濾過水を貯留する前処理槽、膜濾過水を貯留する浄水槽、繊維濾過逆洗ポンプや膜濾過逆洗ポンプを備えた比較的に大規模なシステムであるので、険しい山間に点在する小規模集落用の水道施設としての採用は、用地確保の面からもまた経済的な面からも不可能である。
また、特許文献2の移動式浄水設備は、地震や台風等の災害時の非常用には有用であると考えられるものの、前述のように、限界集落化が進んだ小規模集落は険しい山間に点在しているために道路事情が悪く、特に浄水装置を設置する取水源付近においては、例え軽自動車であっても進入可能な道路は設けられておらず、細い山道を徒歩で接近する必要がある場合が大半であるため、トラックに搭載した移動式の浄水設備を小規模集落用の水道施設として採用することは困難である。
そこで、出願人は、特許文献3の可搬型水処理装置を提案したが、この可搬型水処理装置は、膜ユニットのみで原水の濾過処理を行っているため、水源地の環境の悪化、地震や台風等の災害の影響で原水濁度が上昇すると直ぐに膜モジュールに膜閉塞が発生し、膜モジュールの頻繁な逆洗や膜の薬品洗浄が必要となり、水処理装置の維持管理に手間やコストを要し、安定して浄水処理をすることができない。このため、小規模な水道施設で様々な原因により原水濁度が上昇した場合であっても、安定的に膜ユニットで浄水処理を実施することができる水処理装置が求められている。
また、特許文献4の膜処理装置は、除濁ユニットと膜モジュールに用いる次亜注入機構を共用する点については全く開示されていない。
また、特許文献5の除濁装置は、原水の流入量が極めて少ない小規模な浄水施設等で使用できるものではなく、しかも膜ユニットの目詰まりを抑制できるものではない。
また、特許文献6の膜モジュール支持装置では、回動機構を設けて重い膜モジュールを作業者1人で回転できるようにして、膜モジュールが水平から垂直状態に回動する点が開示されており、離脱や組立或いは膜モジュールを可搬する際については開示されていない。
本発明は以上の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、小型かつコンパクトに構成され、小規模浄水場や災害現場などへの搬送及び設置が容易であり、安定した膜濾過が可能であるとともに、膜モジュールが目詰まりしにくく維持管理が簡単であり、ひいては浄水コストの削減につながる可搬型水処理装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、可搬型で小型の枠体内に少なくとも膜モジュールと制御盤と次亜注入部と逆洗水槽を有し、膜モジュールの一次側に原水供給ラインから分岐部で切換え可能に接続した膜供給水ラインを、二次側に濾過水ラインを備えた膜ユニットを配設し、可搬型で小型の枠体内に少なくとも除濁濾過塔除濁濾過塔の一次側に前処理水供給ラインを、二次側に前処理水ラインを備えた除濁ユニットを配設し、原水供給ラインから分岐部を介した分岐ラインと前処理水供給ラインとを接続する接続部と、前処理水ラインと膜供給水ラインとを接続する接続部とを、膜ユニットと除濁ユニットのそれぞれに配設して両者を接続可能に設けると共に、除濁濾過塔を原水で逆洗する際に、膜ユニット内の原水供給ラインに接続した前処理水供給ラインに分岐部を介して逆洗水供給ラインを接続し、この逆洗水供給ラインを除濁濾過塔の二次側に接続し、除濁濾過塔の一次側に接続した前処理水供給ラインを分岐部で切換え可能に接続した逆洗水排水ラインに接続し、膜ユニット内の原水供給ラインから供給した原水で除濁濾過塔を逆洗する原水逆洗機構を構成した除濁ユニットと膜ユニットの可搬型水処理装置である。
請求項に係る発明は、原水濁度に応じて除濁ユニットの逆洗頻度を制御するようにした除濁ユニットと膜ユニットの可搬型水処理装置である。
請求項に係る発明は、原水供給ラインに原水を供給する取水ポンプによって膜ユニットから除濁ユニットに原水が供給され、取水ポンプによって膜ユニットから供給された原水を除濁濾過塔の2次側から逆洗水供給ラインを通して逆洗水として供給する除濁ユニットと膜ユニットの可搬型水処理装置である。
請求項に係る発明は、除濁濾過塔は繊維濾過材を収納した繊維濾過塔である除濁ユニットと膜ユニットの可搬型水処理装置である。
その他の発明は、可搬型で小型の枠体内に、少なくとも除濁濾過塔と逆洗器材と制御盤を有する除濁ユニット本体とを備え、除濁濾過塔の一次側に原水供給ラインを、二次側に除濁処理ラインを設けるとともに、除濁ユニット本体を膜ユニットに直列配置したことを特徴とする除濁ユニットと膜ユニットの可搬型水処理装置である。
その他の発明は、除濁ユニット本体に縦長状に配設した除濁濾過塔を枠体の側面側より取り出し可能に設けた除濁ユニットと膜ユニットの可搬型水処理装置である。
その他の発明は、次亜水を充水させた逆洗水槽から膜モジュールを経由して、除濁濾過塔内に次亜水を充水させた状態で除濁濾過塔内を洗浄消毒するようにした除濁ユニットと膜ユニットの可搬型水処理装置である。
その他の発明は、除濁濾過塔による濾過工程の後に、当該除濁濾過塔内の逆洗工程を経た後に、除濁濾過塔内の繊維濾過材の圧密工程を実施し、その後、処理水質が安定するまで濾過排水工程を経る、除濁ユニットと膜ユニットの可搬型水処理装置の水処理方法である。
その他の発明は、逆洗工程により除濁濾過塔内の繊維濾過材を復帰させた後に、圧密工程で所定の濾過流速で繊維濾過材を圧密するようにした除濁ユニットと膜ユニットの可搬型水処理装置の水処理方法である。
その他の発明は、可搬型の枠体内に少なくとも除濁濾過塔を有し、枠体の一部で除濁濾過塔を保持する保持枠体の下部に保持枠体と共に除濁濾過塔を回動させ、かつ離脱又は組立を可能とした回転軸を備えた可搬型水処理装置である。
その他の発明は、回転軸は、除濁濾過塔の下フランジの下側近傍位置の枠体に配置させ、回転軸に対し回転させ、かつ、離脱可能であるフック部材を保持枠体に設けた可搬型水処理装置である。
請求項1に係る発明によると、原水の濁度が高い場合には除濁ユニットで原水を除濁して濁度を低下させる前処理を行った後に膜ユニットで膜濾過することができるので、膜ユニットの膜モジュールが目詰まりしにくく、安定した濾過処理を行うことができので、水処理装置の維持管理が簡単となるとともに、造水コストを抑制することができる。
また、除濁ユニットと膜ユニットを結ぶラインが双方のユニットに設けた接続部で接続されているので、可搬型水処理装置を搬送する際には、除濁ユニットと膜ユニットを結ぶラインを双方のユニットに設けた接続部から取り外すだけで除濁ユニットと膜ユニットを個別に搬送することが可能となるため、可搬型水処理装置の小規模浄水場や災害現場などへの搬送及び設置を容易に行うことができる。
その他の発明によると、除濁ユニットに縦長状に配設した除濁濾過塔を枠体の側面側より取り出すことができるので、除濁濾過塔を取出すことにより除濁ユニットの高さを低くすることができ、除濁濾過塔を取出した状態の除濁ユニットは、既存の建屋の扉から搬入可能となり、可搬型水処理装置の小規模浄水場等への搬送及び設置を容易に行うことができる。
請求項に係る発明によると、原水濁度に応じて除濁ユニットの逆洗頻度を制御するので、除濁ユニットの目詰まりを防止しつつ、可搬型水処理装置の浄水量(濾過水量)を最大限確保することができる。
請求項に係る発明によると、膜ユニット又は除濁ユニットの一方又は双方に設けた制御盤やバルブ、ポンプなどの機器をユニット間で連動させることにより共用するようにしたので、双方のユニットで機器が重複することを防止し、ユニットをコンパクトに構成することができるとともに、コストを削減することができる。
その他の発明によると、可搬型で小型の枠体内に、少なくとも除濁濾過塔と逆洗器材と制御盤を有する除濁ユニット本体とを備え、除濁濾過塔の一次側に原水供給ラインを、二次側に除濁処理ラインを設けるとともに、除濁ユニット本体を膜ユニットに直列配置するので、除濁ユニット本体と膜ユニットに配する機器の重複配置を防止し、可搬型水処理装置をコンパクトに構成することができるとともに、製造コストを削減することができる。
その他の発明によると、除濁ユニット本体に縦長状に配設した除濁濾過塔を枠体の側面側より取り出すことができるので、除濁濾過塔を取出すことにより除濁ユニット本体の高さを低くすることができ、除濁濾過塔を取出した状態の除濁ユニット本体は、既存の建屋の扉から搬入可能となり、可搬型水処理装置の小規模浄水場等への搬送及び設置を容易に行うことができる。
請求項4に係る発明によると、除濁濾過塔は繊維濾過材を収納した繊維濾過塔であるので、高濁度原水であっても、高速で安定した浄水処理を行うことができる。
その他の発明によると、次亜水を充水させた逆洗水槽から膜モジュールを経由して、除濁濾過塔内に次亜水を充水させた状態で除濁濾過塔内を洗浄消毒するようにしているから、除濁濾過塔内を洗浄消毒するために別途の次亜注入機構を除濁ユニットに設けることなく、除濁濾過塔内に次亜水の充水を可能にし、除濁濾過塔内を洗浄消毒することができると共に、除濁ユニットと膜ユニットに用いる次亜注入部を共用できるので装置のコンパクト化に寄与することができる。
その他の発明によると、除濁濾過塔による濾過工程の後に、当該除濁濾過塔内の逆洗工程を経た後に、除濁濾過塔内の繊維濾過材の圧密工程を実施し、処理水質が安定するまで濾過排水工程を経ているので、原水の流速が少ない場合でも、濁質除去能力の変動がなく、安定した濾過能力を保持することができると共に、原水流入量が極めて少量の浄水施設等でも、除濁ユニットを現地に合わせた流量に設定可能とし、しかも、膜ユニットの目詰まりを抑制することができる。
その他の発明によると、逆洗工程により除濁濾過塔内の繊維濾過材を復帰させた後に、圧密工程で繊維濾過材を圧密状態にする所定の流速で圧密するので、逆洗するまで繊維濾過材は圧密状態を保持できる。このため、繊維濾過材は、充分に濁質除去できる圧密状態となっているので、原水の流入量に合わせた流量の調整が可能となり、膜流速を低く設定しても問題なく濁質除去できる。
その他の発明によると、可搬型の枠体内の除濁濾過塔を、枠体の一部で保持する保持枠体によって、保持枠体と共に除濁濾過塔を回動させ、かつ離脱又は組立を可能にする回転軸を備えたので、除濁濾過塔を回動させて離脱又は組立可能にし、作業者が1人でも安全に、可搬型の枠体から除濁濾過塔の取出又は組立が可能で、もって作業性の向上を図ることができる。
その他の発明によると、回転軸を下フランジの下側近傍位置に設け、かつ、保持枠体にフック部材を設けており、フック部材が回転軸に係合して回転軸に対して保持枠体を回動させることで、除濁濾過塔の回動が安定し、作業時に部材を損傷する心配がなく、安全に除濁濾過塔の取出又は組立が可能で、さらに、除濁濾過塔の仮置きやパッキンの位置合わせなどの確認ができる。
本発明における可搬型水処理装置の一実施形態を説明する模式図である。 図1の除濁ユニットの実装例の外観を示す図面であり、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。 図2の除濁ユニットに除濁濾過塔を着脱する状況を説明する模式図である。 図2の除濁ユニットを分解した状態を示す図面であり、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は取り外した除濁濾過塔である。 図1の可搬型水処理装置の濾過工程の運転を説明する図面である。 図1の可搬型水処理装置の膜ユニット逆洗水貯留工程の運転を説明する図面である。 図1の可搬型水処理装置の膜ユニット逆洗工程の運転を説明する図面である。 図1の可搬型水処理装置の除濁ユニット逆洗工程の運転を説明する図面である。 図1の可搬型水処理装置の除濁ユニット濾過排水工程の運転を説明する図面である。 他の発明における可搬型水処理装置の基本構成を説明する図である。 除濁ユニットの除濁濾過塔の取出・取付を説明する図面であり、(a)は一部切欠いた除濁ユニットの説明図、(b)は(a)の要部拡大図、(c)は除濁濾過塔の取出時の回動後の要部拡大図、(d)は取出又は取付途中の要部拡大図、(e)は除濁濾過塔の取付時の回動後の要部拡大図である。 除濁濾過塔の回動を説明する図面である。 他の実施形態における可搬型水処理装置の除濁濾過塔内の洗浄消毒方法のフロー図である。 図13の次亜水充水工程を説明する図面である。 図13の原水充水工程を説明する図面である。 図13の圧密工程を説明する図面である。 図13の濾過排水工程を説明する図面である。
以下に、本発明における除濁ユニットと膜ユニットの可搬型水処理装置について図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の可搬型水処理装置の一実施形態の模式図である。図1によると、可搬型水処理装置1は、除濁ユニット2と膜ユニット3とから構成され、除濁ユニット2と膜ユニット3との間は、前処理水供給ライン4と前処理水ライン5を双方のユニット2、3に設けた接続部6、7、8、9に接続して連絡されている。
除濁ユニット2は、取水した原水の濁度が高い場合に、膜ユニット3の安定した濾過処理を可能とするため、膜ユニット3の前処理として原水を除濁するユニットであり、また、膜ユニット3は、除濁ユニット2が除濁した原水を膜濾過して濾過水を供給するユニットである。
先ず、除濁ユニット2の構成を説明する。図1によると、除濁ユニット2内には、供給された原水を除濁する除濁濾過塔11と、除濁する原水に凝集剤(PAC)を注入する凝集剤注入機構12と、除濁濾過塔11を逆洗洗浄する逆洗機構13と、除濁濾過塔11の逆洗と同時に空洗(エアスクラビング洗浄)する空洗機構14と、除濁ユニット2の作動を制御する操作盤15とが、枠体16内に集約して配置されている。
接続部6と除濁濾過塔11の一次側との間は前処理水供給ライン21で接続されており、前処理水供給ライン21には、前処理水供給ライン21内を流れる原水の濁度を計測する濁度計22、原水に凝集剤を注入するPAC注入部23、注入されたPACを原水に十分に混合させるためのラインミキサー24、原水の流れを前処理水供給ライン21から逆洗水排水ライン49に切換えるためのバルブ(三方弁)25が設けられている。
除濁濾過塔11は、φ300で、G-FRP製の本体内に濁質捕捉能力が高いポリプロピレン製の繊維濾過材27を内蔵した軽量の高速繊維濾過装置であり、濁度100程度の原水を濁度10程度まで除濁することができる。濁度10程度の水であれば、膜ユニット3で濾過処理しても膜閉塞は発生せず、継続的に安定した濾過処理することができる。
除濁濾過塔11の二次側には前処理水ライン29が接続されており、前処理水ライン29の他の端部は、接続部8に接続されている。前処理水ライン29には流量計33とバルブ(二方弁)34と濁度計35が設けられている。なお、本例の場合、流量計33は、計測範囲が2.5~50L/minの超音波流量計であり、また、濁度計35の測定範囲は0~20度であり、膜ユニット3へ供給する除濁した原水の濁度を計測している。
これに加え、除濁濾過塔11には差圧計11a(測定範囲:0~1MPa)を設けており、繊維濾過材27の目詰まり異常を検知する。
凝集剤注入機構12は、原水中に含まれるコロイド粒子(粒子径1nm~1μm)の表面電荷を中和して粒子同士を結合させて沈殿させるために凝集剤(PAC:水道用ポリ塩化アルミニウム)を原水に供給するための装置であり、前処理水供給ライン21内を流れる原水の濁度を計測する濁度計22と、前処理水供給ライン21内を流れる原水に凝集剤を注入するPAC注入部23と、PACを貯留するPACタンク37と、PACタンク37と前処理水供給ライン21に設けたPAC注入部23との間を接続するPAC供給ライン38と、PAC供給ライン38に設けたPACタンク37からPAC注入部23にPACを圧送するPAC注入ポンプ39と、前処理水供給ライン21からPAC供給ライン38への逆流を防止する逆止弁40と、注入されたPACを原水中に均一に混合するラインミキサー24から構成されている。
本実施例の場合、濁度計22の測定範囲は0~100度であり、濁度計22の計測データによりPAC注入ポンプ39を制御してPACの注入量を調整している。また、PACタンク37は、水位計37aを備えた容量20Lのポリエチレン製角型であり、PAC注入ポンプ39はφ4×20Wのダイヤフラム式定量ポンプを使用して構成している。
逆洗機構13は、除濁濾過塔11内に収納されている繊維濾過材27を逆洗洗浄するための機構であり、PAC注入部23の上流側の分岐点43で前処理水供給ライン21から分岐して合流点44で前処理水ライン29に合流する逆洗水供給ライン45と、逆洗水供給ライン45に設けたバルブ(二方弁)46と、バルブ(三方弁)25と接続部48との間を接続する逆洗水排水ライン49と、除濁濾過塔11の下流側の合流点44から逆洗水排水ライン49に合流する濾過排水ライン50と、濾過排水ライン50に設けたバルブ(二方弁)47とから構成されている。また、接続部48に接続した排水ホース51を介してユニット外に逆洗水を排水することができる。
本発明の除濁ユニットでは、このように膜ユニットから供給される原水で除濁濾過塔11を逆洗する原水逆洗方式を採用することにより、除濁ユニット用の逆洗ポンプ、逆洗タンク等の洗浄設備を不要とし、除濁ユニットの小型化とコストの削減を図っている。
空洗機構14は、繊維濾過材27の逆洗洗浄と同時に空洗を行い、短時間で強力な洗浄効果を得るための機構であり、2台のエアブロワ52、52と、エアブロワ52、52から除濁濾過塔11内の繊維濾過材27の下部に空気を送り込む空気供給ライン53と、空気供給ライン53に設けた空気の供給を制御するバルブ(二方弁)54及び除濁濾過塔11内部からの逆流を防止する逆止弁55とから構成されている。
本例の場合、エアブロワには、除濁濾過塔の空洗に通常使用されるルーツブロワではなく、ダイヤフラムブロワを使用している。ダイヤフラムブロワを使用した理由は、ルーツブロワはAC200V電源が必要であるため、設置場所にAC200V電源を設ける必要が生じることと、ルーツブロワは、除濁ユニット内の設置スペースが大きくなり、除濁ユニットをコンパクトに構成することができないためである。そのため、コンパクトでAC100V電源を使用することができるダイヤフラムブロワ(0.35kW)を使用することとし、除濁濾過塔11の空洗に必要な風量を確保するため、2台のダイヤフラムブロワを設置している。
さらに、エアブロワを固定金具で、固定しておくとよい。固定金具にブロワのずれ防止柵を設けバンドでエアブロワを固定すれば、除濁ユニット可搬時にブロワの移動や落下を防ぐことができる。また、ブロワ固定用金具を枠体から引出せるようにしておくと、メンテナンスの際にブロワを上側から取出す必要がなくなり、ブロワ設置スペースを抑えることができるので、除濁ユニットをコンパクトにすることができる。
制御盤15は、除濁ユニット2を自動的に運転するための装置であり、PLC(Programmable Logic Controller)を使用したシーケンス制御により、予め設定した条件に従って除濁濾過塔11の逆洗洗浄と空洗を行い、除濁濾過塔11に収納した繊維濾過材27の濾過処理能力を回復させている。また、制御盤15は、濁度計22の計測データに基づいて、PAC注入ポンプ39の作動を制御し、供給される原水の濁度に連動したPAC量を注入することで、原水の濁度が変動しても除濁濾過塔11が安定した濾過性能を発揮できるようにしている。
このため、制御盤15は、制御シーケンス及び濁度計22、35、流量計33からの計測データに基づき、PAC注入ポンプ39、エアブロワ52、52の作動を制御するとともに、これらの制御に伴ってバルブ(三方弁)25の流路切換、バルブ(二方弁)46、47、34、52の開閉を制御する。
本例では、枠体16はステンレス鋼(SUS)のL型材を接合して製作されており、枠体の内部に各部を組み込んだ状態の外観は図2に示すとおりとなる。また、枠体16の底部には搬送手段としてキャスター56を設けている。この状態での除濁ユニット2の外形寸法は、幅650mm、奥行き800mm、高さ約2240mmであり、質量は約250kgである。
以上、除濁ユニット2の基本構成を説明したが、前述のとおり、除濁ユニット2に使用した除濁濾過塔11はφ300の繊維濾過塔であり、その全長は約2mである。このため、除濁濾過塔11を縦長状に枠体16内に取付けた状態では、除濁ユニット2の床面からの全高は2.2m以上となり、一般的な建物の片扉の高さ1.8mを超えているため、建屋の内部に搬入することができない。そのため、本発明の除濁ユニットは、建屋への搬入時には簡単に分解して除濁ユニットの高さを低くし、搬入後に簡単に再組立てができるように構成している。
その一つは、除濁濾過塔11の取外しが可能なように構成した点である。図2に示すように、除濁ユニット2の側面側(右側面)の枠体16に切欠き部60、60を設け、この切欠部60の幅を除濁濾過塔11の直径より大きくしているので、除濁濾過塔11のフランジ部61で除濁濾過塔11を上下に分解すると、図3に示すように、除濁濾過塔11のフランジ部61よりも上方の部分62は、矢印63が示すように、切欠き部60を通過して着脱することができる。
この切欠き部60を常時設けておくと枠体全体の強度が低下するので、除濁濾過塔11の取付けが完了した後は、図2に示すように、L型部材65をボルト66で枠体16に取付けて切欠き部60を閉鎖する。なお、図3に示すように、着脱する除濁濾過塔11の部分62にステンレス板67を巻き付け、このステンレス板をボルト68でL型部材65に固定しておくと、除濁濾過塔11の着脱作業が容易になる。
除濁ユニット2を簡単に分解し高さの低くするためのもう一つの構成は、制御盤15の上端より上方に延設したラインについては、制御盤15の上端の位置に接合部を設け、制御盤15の上端を超える部分を取外し可能としたことである。図2に示すように、制御盤15の上端を超えるラインについては、制御盤15の上端の位置にユニオン継手70を設け、ユニオン継手70より上方となる部分を取り外し可能としている。なお、本実施例では、ユニオン継手により接合部を設けたが、ラインに接合部を設ける方法はこれに限定されるものではなく、適宜な手段を用いることができる。
除濁濾過塔11のフランジ部61よりも上方の部分62を取り外した状態を図4に示すが、図4に示すように、この状態の除濁ユニットの最も高い部分は制御盤15の上端であり、この上端は床面から約1750mmとなる。また、この分解した状態での除濁ユニット2本体の質量は約210kgである。
このように除濁ユニット2を分解することにより、外形寸法は幅650mm、奥行き800mm、高さ約1750mm、質量は約210kgとなるので、高さ約1.8m、幅700mmの一般的は建物の片扉から人力により搬入し、内部で組立てることが可能であるので、既存の建屋を利用することができる。
続いて、図1により膜ユニット3の構成について説明する。 図1において、膜ユニット3内には、一次側に原水供給ライン80からバルブ(三方弁)81で切換え可能に接続した膜供給水ライン82を接続し、二次側には濾過水ライン83を接続した中空糸膜モジュール84と、濾過水ライン83に接続した逆洗水貯留ライン85を介して濾過水を流入させて貯留する逆洗水槽86と、この逆洗水槽86に貯留した逆洗水(濾過水)を逆洗ポンプ87を介して中空糸膜モジュール84に逆洗洗浄用の逆洗水として流出させる逆洗水供給ライン88と、中空糸膜モジュール84を逆洗した逆洗水をユニット外に排出するための逆洗水排水ライン89と、中空糸膜モジュール84を逆洗洗浄する際に同時に中空糸膜モジュール84を空洗(エアスクラビング)する空気を供給するコンプレッサ91と、原水供給ライン80内を流れる原水に消毒用次亜を注入する次亜注入機構92と、膜ユニット3の運転を制御する制御盤94と、取水ポンプ95とを備えている。また、接続部9と膜供給水ライン82との間は、接続ライン90により接続されている。なお、図1に示すように、取水ポンプ95を除いた各部は、枠体96内に収納されている。
また、膜ユニット3は、ワンタッチ継手を用いた接続部を接続部7、9の他に3個所備えており、接続部101には原水供給ライン80と取水ホース102が、接続部103には逆洗水排水ライン89と排水ホース104が、接続部107には濾過水ライン83と給水ホース108が接続されている。
原水供給ライン80は、接続部101とバルブ(三方弁)81とを接続する管路であり、ストレーナ111、バルブ(二方弁)112、次亜注入部113、流量計114を設けている。バルブ(三方弁)81は、原水供給ライン80内の原水の流れを、除濁ユニット2で前処理する場合には分岐ライン115へと、除濁ユニット2で前処理しない場合には中空糸膜モジュール84へと切り替えるためのバルブである。
ストレーナ111は、原水が除濁ユニット2又は中空糸膜モジュール84に流入するに先立って、原水に含まれるゴミ(土、砂、その他夾雑物)を除去するために設けてあり、本例では、目開き寸法200μmのディスク型ストレーナを使用している。ストレーナ111には差圧計111aが装備され、ストレーナ111の目詰まり異常を検知することができる。
本発明の可搬型水処理装置では、除濁ユニット2で前処理を行う場合でも、先ず原水がストレーナ111を通過するように構成しており、原水をストレーナ111、除濁ユニット2、中空糸膜モジュール84の順に直列処理することで、除濁ユニット2にストレーナを省略し、除濁ユニット2のコンパクト化を図っている。
流量計114は、原水供給ライン80を流れる原水の流量を測定し、バルブ(二方弁)112は流量計114の測定データに基づいて原水供給ライン80を流れる原水の流量を一定流量に制御するとともに、中空糸膜モジュール84又は除濁ユニット2への原水の供給を制御している。
中空糸膜モジュール84は、MF膜又はUF膜の中空糸膜フィルタ(濾過膜)を収納しており、デッドエンド方式により原水に含まれる一般細菌、病原菌、懸濁物質(SS)などを濾過除去する。本例では、公称孔径0.1μmで膜面積23mのMF膜フィルタを使用している。
中空糸膜モジュール84には、内部に収納されたMF膜又はUF膜のフィルタを逆洗洗浄及び空洗する際に、逆洗水等を中空糸膜モジュール84の外部に排水するための逆洗水排水ライン89が設けられており、中空糸膜モジュール84から排水された逆洗水等を接続部103に接続した排水ホース104を介して膜ユニット3の外部に排水している。また、この逆洗水排水ライン89には、制御盤94により開閉が制御されるバルブ(二方弁)117が設けられ、逆洗水等の中空糸膜モジュール84からの排水を制御している。また、中空糸膜モジュール84にも差圧計84aを装備し、MF膜又はUF膜のフィルタ目詰まり異常を検知する。
中空糸膜モジュール84の二次側には濾過水ライン83が接続され、この濾過水ライン83により中空糸膜モジュール84が濾過処理した濾過水を接続部107に接続した給水ホース108を介して膜ユニット3の外部に給水する。濾過水ライン83には、制御盤94により開閉が制御されるバルブ(二方弁)118が設けられ、可搬型水処理装置1の外部への濾過水の給水を制御している。
逆洗水貯留ライン85は、中空糸膜モジュール84が濾過処理した濾過水を濾過水ライン83から分岐させ、逆洗水槽86に供給するためのラインである。逆洗水貯留ライン85には、制御盤94により開閉が制御されるバルブ(二方弁)119が設けられ、逆洗水槽86への濾過水の供給等を制御している。
逆洗水槽86は、逆洗水貯留ライン85を介して供給される濾過水を貯留する容器であり、中空糸膜モジュール84に収納されたMF膜又はUF膜のフィルタを逆洗洗浄する際に、貯留した濾過水を逆洗水として供給する役割を有している。本例では、逆洗水槽86はポリエチレン樹脂製であり、容量60Lの角型に成形されている。
この逆洗水槽86の内部には、水位計86aが設けられており、この水位計86aによって、逆洗水槽86が逆洗水で満水になったこと、また逆洗水槽86が空になったことを検知し、制御盤94に送信している。
逆洗ポンプ87は、逆洗水槽86内に貯留した逆洗水を中空糸膜モジュール84の二次側に圧送し、中空糸膜モジュール84に収納されたMF膜又はUF膜のフィルタを逆洗洗浄するためのポンプであり、逆洗水槽86の流出口120と逆洗水貯留ライン85を連結する逆洗水供給ライン88に設けられている。本例では、逆洗ポンプ87として、ステンレス製の横軸渦巻ポンプ(0.4kW、32A)を使用している。可搬型水処理装置1で最も電力を消費するのはこの逆洗ポンプ87であるが、本例の逆洗ポンプ87の諸元は前記のとおりなので、電源として家庭用AC100Vコンセントの使用が可能である。
また、逆洗水供給ライン88の逆洗ポンプ87の二次側には逆止弁121を設け、逆洗水貯留ライン85から濾過水が流入することを防止している。
膜ユニット3では、枠体96内の縦方向空間スペースに長尺状の中空糸膜モジュール84を立てた状態で配設することにより、中空糸膜モジュール84の垂直方向の設置面積を最小化する様にしており、これにより枠体96の底面面積を最少化している。このように長尺状の中空糸膜モジュール84を縦方向に枠体96内に収納することにより、逆洗洗浄時に中空糸膜モジュール84の下部からエアを送り、中空糸膜モジュール84内の膜表面の懸濁物質を剥離させる空洗を実施することが可能となり、また逆洗効果も向上する。このため、膜ユニット3では、逆洗時に中空糸膜モジュール84に空気を供給して空洗(エアスクラビング洗浄)するコンプレッサ91と空気供給管123を設けている。また、空気供給管123に逆止弁124を設け、膜供給水ライン82からの逆流を防止している。
次亜注入機構92は、原水供給ライン80を流れる原水に消毒用の次亜を注入する装置であり、原水供給ライン80を流れる原水に次亜を注入する次亜注入部113と、次亜を貯留する次亜タンク127と、次亜タンク127と原水供給ライン80に設けた次亜注入部113との間を接続する次亜供給ライン128と、次亜供給ライン128に設けた次亜タンク127から次亜注入部113に次亜を圧送する次亜注入ポンプ129と、原水供給ライン80から次亜供給ライン128への逆流を防止する逆止弁130とから構成されている。本実施例では、次亜タンク127はポリエチレン樹脂製であり、容量25Lの角型に成形されており、次亜注入ポンプ129として、ダイヤフラム式定量ポンプ(20W、φ4×9)を使用している。次亜タンク127の内部には、水位計127aが設けられており、この水位計127aによって、次亜タンク127が空になったことを検知し、制御盤94に送信している。
以上の説明では、原水供給ライン80に次亜注入部113を設け、除濁ユニット2に原水を分岐する前に次亜を注入しているが、次亜注入部113を膜モジュール84の二次側に設け、濾過処理された濾過水に次亜を注入するように構成することもできる。
除濁ユニット2に原水を分岐する前に次亜を注入すると、除濁ユニット2内の細菌や微生物の繁殖を抑制できる効果がある反面、原水中の有機物や還元性無機物などにより遊離残留塩素が消費されるため、次亜の注入量が多くなるとともに、原水濁度が変動する場合には、濁度に応じて適切に次亜の注入量を調整しないと、遊離残留塩素濃度が低下するおそれがある。また、中空糸膜モジュール84の二次側で次亜を注入すると、次亜を濾過水に注入するため残留塩素の消費が少なく、安定した残留塩素濃度の確保ができる効果がある反面、除濁ユニット2内に遊離残留塩素が存在しないので、除濁ユニット2で細菌や微生物が繁殖するおそれがあるため、定期的に遊離残留塩素を含んだ水で逆洗する作業が必要となる。
制御盤94は、膜ユニット3を自動運転する装置であり、PLC(Programmable Logic Controller)を使用したシーケンス制御により、予め設定した時間間隔毎に中空糸膜モジュール84の逆洗洗浄とすすぎ洗浄を行い、中空糸膜モジュール84の濾過処理能力を回復させている。中空糸膜モジュール84では、デッドエンド濾過方式(全量濾過)により濾過処理を行っているため、中空糸膜モジュール84に収納された膜表面に濾過対象物質が堆積するので、定期的に中空糸膜モジュール84の逆洗洗浄とすすぎ洗浄を行って、堆積した濾過対象物質を除去し、濾過能力を回復させることが不可欠となる。
これに加え、制御盤94は、逆洗水槽86の内部に設置した水位計86aからの信号に基づき、取水ポンプ95の作動、濾過水(逆洗水)の逆洗水槽86への貯留、逆洗ポンプ87と次亜注入ポンプ129の作動を制御しており、これらの制御に伴ってバルブ(三方弁)81の流路切り替えとバルブ(二方弁)112、117、118、119の開閉操作を行っている。
取水ポンプ95は、図示しない取水源から原水を取水して膜ユニット3に供給する長尺状のポンプであり、取水源の原水中に完全に水没させた状態で使用する。取水ポンプ95と接続部101との間は、取水ホース102により連結されている。
枠体96は、中空糸膜モジュール84、逆洗水槽86、逆洗ポンプ87、次亜注入機構92、制御盤94、ストレーナ111及びこれらを連結するライン等を内包する部材であり本例では、枠体96はステンレス鋼(SUS)の型材を組み合わせて製作されている。
続いて、以上のように構成された可搬型水処理装置1の運転方法と作用を説明する。前述したように、可搬型水処理装置1では除濁ユニット2と膜ユニット3の機器を共用しているため、可搬型水処理装置1の運転においては、除濁ユニット2の制御盤15と膜ユニットの制御盤94により、除濁ユニット2と膜ユニット3を連動制御している。
可搬型水処理装置1の運転工程には、大別すると濾過工程、膜ユニット逆洗工程及び除濁ユニット逆洗工程の3工程がある。以下、図面により各工程を説明するが、図中、太い実線のラインは原水や濾過水等が流れていることを示し、矢印は流れの方向を示している。破線のラインは原水や濾過水等が流れていないことを示す。また、白色で表現されたバルブは開状態であることを示し、黒色で表現されたバルブは閉状態であることを示す。
図5は、可搬型水処理装置1の濾過工程の運転状況を示している。濾過工程は、取水した原水を除濁ユニット2で除濁した後に膜ユニット3に還流させ、膜ユニット3で濾過処理して清潔で安全な濾過水として可搬型水処理装置1の外部に給水する工程である。取水ポンプ95が取水源から取水した原水は、加圧されて取水ホース102を介して膜ユニット3内の原水供給ライン80に供給され、先ず原水供給ライン80に設けたストレーナ111を通過して原水中に含まれるゴミが除去される。次いで、次亜注入部113から消毒用の次亜が注入され、流量計114、バルブ(三方弁)81を通過した原水の流れは原水供給ライン80から分岐ライン115へ供給される。
分岐ライン115は、接続部7を介して前処理水供給ライン4に接続されているので、原水は前処理水供給ライン4を経由して接続部6より除濁ユニット2の前処理水供給ライン21に流れ込む。前処理水供給ライン21を流れる原水は濁度計22に濁度の計測が行われ、PAC注入部23から原水の濁度に応じた量の凝集剤(PAC)が注入された後、ラインミキサー24で原水中にPACが均一に含まれるように撹拌し、バルブ(三方弁)25を通過して一次側から除濁濾過塔11内に流入する。
除濁濾過塔11を通過する際に、原水は内部に収納されている繊維濾過材27により高速繊維濾過され、例えば、濁度100程度の原水を濁度10程度まで除濁することができる。濁度10程度の水であれば、膜ユニット3で濾過処理しても膜閉塞は発生せず、継続的に安定した濾過処理することができる。
除濁濾過塔11で除濁された原水は、二次側から前処理水ライン29に流れ込み、接続部8に接続された前処理水ライン5を経由して接続部9から接続ライン90を経て膜供給水ライン82に供給される。膜ユニット3に還流した除濁後の原水は、膜供給水ライン82から中空糸膜モジュール84に供給される。
中空糸膜モジュール84で濾過処理され、原水に含まれる一般細菌、病原菌、懸濁物質(SS)などが除去された濾過水は、濾過水ライン83を流れ、接続部107に接続された給水ホース108により可搬型水処理装置1の外部に給水される。この濾過工程での可搬型水処理装置1の運転は、図示しない配水池や水槽に設けた水位計からの信号に基づいて除濁ユニット2の制御盤15と膜ユニット3の制御盤94が連動して制御しており、配水池や水槽に設けた水位計が満水を検知すると取水ポンプ95の作動が停止されるとともに凝集剤注入機構12及び次亜注入機構92の作動が停止され、水面が一定レベルまで低下すると取水ポンプ95の作動が再開されるとともに凝集剤注入機構12及び次亜注入機構92の作動が再開される。
図5に示す濾過工程の運転状況からも分かるように、可搬型水処理装置1は、取水ポンプ95が取水した原水を膜ユニット3から除濁ユニット2に供給するように構成するとともに、除濁ユニット2の除濁濾過塔11の二次側と膜ユニット3の中空糸膜モジュール84の一次側とを直結し、除濁ユニット2と膜ユニット3とを直列配置にしているため、取水ポンプ95のみで取水した原水を除濁ユニット2と膜ユニット3に供給可能であり、除濁ユニット2には送水用のポンプが不要になる。
これに対して、除濁ユニット2と膜ユニット3とを直列配置することなく、除濁ユニットと膜ユニットを独立させて接続した場合には、除濁ユニット2に取水用のポンプが必要になるとともに、除濁ユニット2が除濁処理した原水を貯留して膜ユニットのポンプに取水させる前処理槽が必要となり、さらには、除濁ユニット2と膜ユニット3で個別に定量制御を行う必要があるので、制御機構が複雑になる。
このように、本発明の可搬型水処理装置では、除濁ユニットと膜ユニットとを直列配置した構成とすることで、除濁ユニットの送水ポンプと、除濁ユニットと膜ユニットとの間の前処理槽を不要とするとともに、双方のユニットの制御機構を簡単化することにより、可搬型水処理装置のコンパクト化、軽量化及びコストの削減を図っている。
可搬型水処理装置1では、除濁ユニット2の除濁濾過塔11と膜ユニット3の中空糸膜モジュール84を濾過工程が一定時間経過する毎に逆洗洗浄して濾過能力を回復させる必要があり、この逆洗洗浄は除濁ユニット2の制御盤15と膜ユニット3の制御盤94が連動制御している。
図6は、膜ユニット逆洗工程の準備として、中空糸膜モジュール84が濾過処理した濾過水を逆洗水槽86に貯留する工程を示している。濾過工程との違いは、濾過水ライン83に設けたバルブ(二方弁)118を閉状態にするとともに、逆洗水貯留ライン85に設けたバルブ(二方弁)11を開状態として、中空糸膜モジュール84が濾過処理した次亜を含む濾過水を外部に供給せずに逆洗水槽86に貯留するようにしている点である。逆洗水槽86への濾過水の貯留は、逆洗水槽86に設けた水位センサ86aが満水を検知するまで行われる。
逆洗水槽86に設けた水位センサ86aが満水を検知すると、膜ユニット逆洗工程に移行する。逆洗工程では、図7に示すように、逆洗水供給ライン88に設けた逆洗ポンプ87を作動させるとともに、逆洗水排水ライン89に設けたバルブ(二方弁)117を開状態とする。これにより、逆洗水槽86内に貯留した逆洗水は逆洗水排水ライン89を介して中空糸膜モジュール84の二次側からその内部に圧送され、中糸膜モジュール84に収納された中空糸膜を逆洗洗浄した後、逆洗水排水ライン89に接続した排水ホース104を介してユニット外に排出される。同時に、コンプレッサ91も作動し、洗浄エアを中空糸膜モジュール84の一次側からモジュール内に供給し、モジュール内に収納されている中空糸膜を空洗(エアスクラビング)する。
逆洗水槽86内の逆洗水が全て流出したことを水位センサ86aが検知すると逆洗ポンプ87とコンプレッサ91を停止させ膜ユニット逆洗工程は終了し、除濁ユニット逆洗工程に移行する。
除濁ユニット逆洗工程では、図8に示すように、膜ユニット3から次亜を注入した原水が逆洗水として前処理水供給ライン4を介して除濁濾過塔11の二次側から内部に供給され、収納されている繊維濾過材27を逆洗洗浄する。同時に、2台のエアブロワ52、52も作動して除濁濾過塔11内に洗浄エアを供給し、収納されている繊維濾過材27を空洗(エアスクラビング)する。
除濁ユニット逆洗工程は制御盤15で設定した時間継続され、設定された時間が経過すると除濁ユニット逆洗工程を終了し、除濁ユニット濾過排水工程に移行する。濾過排水工程では、図9に示すように、除濁ユニット2内の除濁濾過塔11で除濁した原水を合流点44から濾過排水ライン50、逆洗水排水ライン49、接続部48、排水ホース51を経由して排水する工程であり、水質の安定しない初期除濁水を膜ユニット3に送ることなく、外部に排水するために実施する。
このように、除濁ユニット2の除濁濾過塔11の逆洗工程等では、膜ユニット3から供給される次亜が注入された原水を使用して逆洗洗浄を行うため、除濁ユニット2内に逆洗水槽や逆洗ポンプを設ける必要がないので、除濁ユニット2をコンパクトかつコストを削減して構成することができる。
一方で、可搬型水処理装置1では、除濁ユニット2と膜ユニット3を連動させ、双方の機器を共用するようにしてコンパクトに構成されているため、除濁ユニット2又は膜ユニット3のどちらかが逆洗運転等を行う際には、図6、図8及び図9に示すように、他のユニットはその逆洗運転等を支援するように作動する必要があり、原水の濾過処理を行えない。除濁ユニット2と膜ユニット3の逆洗運転等を予め設定した運転時間毎に実施するように制御すると、除濁濾過塔11や中空糸膜モジュール84に十分な濾過能力が残っているにも係わらず制御シーケンスに従って逆洗運転を行い、可搬型水処理装置1の濾過処理時間を圧迫することになる。
このため、除濁ユニット2及び膜ユニット3の逆洗運転等の時間を必要最小限として可搬型水処理装置1の浄水量を確保するため、可搬型水処理装置1では、原水の濁度に応じて逆洗頻度を変更する制御を行っている。具体的には、取水した原水の濁度を除濁ユニット2の濁度計22で計測し、例えば、表1に示すように、原水濁度に対応した時間間隔で逆洗運転を実施するように可搬型水処理装置1を制御することにより必要のない逆洗運転の実施を防止し、可搬型水処理装置1の浄水量を確保している。なお、表1に示した原水濁度と洗浄頻度の関係はあくまでも一例であって、原水濁度と洗浄頻度の関係は、除濁濾過塔や中空糸膜の濾過性能により当然に異なるので、実際の装置を使用して設定する必要がある。
Figure 0007381252000001

次に、他の発明における可搬型水処理装置の基本構成を説明する。図10は、他の発明における可搬型水処理装置の模式図である。図10に示すように、可搬型水処理装置141は、除濁ユニット本体142と膜ユニット143とを直列に使用し、原水槽144からポンプ145により原水を取水し、原水供給ライン146で除濁ユニット142の一次側に供給して除濁処理した後、除濁ユニット142の二次側に設けた除濁処理ライン147を介して膜ユニット143に供給し、除濁処理と膜濾過処理した浄水を浄水槽148に供給するように構成されている。
このように、可搬型水処理装置141を構成することにより、除濁ユニット本体142と膜ユニット143とを直列配置しない場合に必要となる除濁ユニット本体142と膜ユニット143との間の前処理水槽とポンプとを不要とすることができるとともに、除濁ユニット本体142と膜ユニット143の各々で定量制御する必要がなくなる。
これにより、除濁ユニット本体142と膜ユニット143に重複して機器を配置する必要がなく、また制御機構の複雑化を避けることができるので、可搬型水処理装置141をコンパクトに構成することができるとともに、製造コストを削減することができる。
なお、除濁ユニット本体142と膜ユニット143の構成要素は、原水供給ライン146と除濁処理ライン147とを除き、概ね同一であるので、詳細な説明を省略する。また、可搬型水処理装置141の運転工程と各工程での運転状況は、可搬型水処理装置1と同様であるので、説明を省略する。
さらには、除濁ユニットのみ単独で使用してもよい。このとき、次亜タンクやポンプなどの機器を組込んだ装置ユニットを接続し、除濁ユニットのみ単独で使用してもよい。また、膜ユニット内に組み込まれた機器を利用して除濁ユニットのみ単独で使用してもよい。
以上の説明から明らかなように、本発明に係る除濁ユニットと膜ユニットの可搬型水処理装置は、小型かつコンパクトに構成され、小規模浄水場や災害現場などへの搬送及び設置が容易であり、安定した膜濾過が可能である。また、除濁ユニットと膜ユニットを切り離した状態であっても、各ユニットは独立してそれぞれの機能を発揮することができるので、原水の状態に応じて使い分けが可能であり、過疎化等により人口が減少した小規模集落の水道施設用の浄水装置としての利用価値は極めて大きいものがある。
次に、除濁ユニットの他の実施形態を説明する。本実施形態では、除濁ユニットの除濁濾過塔を枠体から安全に取出及び組立できるようにしている。
本例における除濁濾過塔11は、全長が約2mで重さが約40kgあり、除濁濾過塔11を持ち上げて、枠体16の側面側より取出又は組立する。また、除濁濾過塔11の下部にはフランジの下から、ストレーナ用パイプ部材が突出しているので、作業者はパイプ部材を破損しないように注意して作業することになる。
そして、除濁濾過塔11の胴体には持ち手がなく、除濁濾過塔11を持ち上げて安全に配慮しながら作業することから、作業性がよくない。
そこで、本実施形態では、除濁ユニットの除濁濾過塔11を回動させて容易に枠体から離脱又は組立可能にする回動機構を設けている。
以下の説明において、前述の実施形態と同一であるところは同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図11は、除濁ユニットの除濁濾過塔の取出・取付の説明図であり、(a)は一部切欠いた除濁ユニットの説明図、(b)は(a)の要部拡大図、(c)は除濁濾過塔の取出時の回動後の要部拡大図、(d)は取出又は取付途中の要部拡大図、(e)は除濁濾過塔の取付時の回動後の要部拡大図である。図12は、除濁濾過塔が回動するときの説明図である。
図11(a)に示すように、除濁濾過塔11は除濁ユニット2の枠体16に収容されており、枠体16には除濁濾過塔11を回動可能にする回転軸17を設けている。除濁濾過塔11は保持枠体18で保持されており、保持枠体18の下部にはフック部材19を有している。
フック部材19は切欠き部19aを有し、切欠き部19aには第1係合部19bと第2係合部19cを有している。このフック部材19が第1係合部19b又は第2係合部19cで回転軸17と係合して、保持枠体18を介して除濁濾過塔11を回動させて離脱及び組立を可能にする。
フック部材19の切欠き部19aは、略T字の溝に形成され、第1係合部19bと第2係合部19cとは、前記略T字の一部を構成するL字の溝を連続的に構成している。そして、図11(e)のように除濁濾過塔11が垂直状態に位置するときには、第1係合部19bは第2係合部19cの上方に位置するように配置している。
なお、フック部材19の切欠き部19aの形状や、切欠き部19aの係合部の位置や形状等は、回動軸17に対して除濁濾過塔が所定の回動範囲であれば任意に設定することができる。
ここで、第1係合位置とはフック部材19が第1係合部19bで回転軸17と係合するときの係合位置であり、第2係合位置とはフック部材19が第2係合部19cで回転軸17と係合するときの係合位置である。図中、破線で囲まれた部分において、フック部材19と回転軸17が係合している。
図11(b)に示すように、除濁濾過塔11が除濁ユニット2の枠体16内に収容されて取付及び固定されているとき、フック部材19と回転軸17は、第1係合位置で係合している。図に示すように、除濁濾過塔11の下フランジ61の下側近傍に回転軸17を配設している。
また、図12に示すように、回転軸17は、除濁濾過塔11が回動するときに、除濁濾過塔11から突き出したパイプ部材28が下フランジ61と当たらない位置に設けている。すなわち、除濁濾過塔11が回動するとき、回転軌道に対して内側のパイプ部材28及び外側のパイプ部材28が除濁濾過塔11の内壁に当たらないように回転軸17の位置を設定している。回転軸17の位置は、除濁濾過塔11の下フランジ61よりも下側で、下フランジ61に近い位置が好ましい。回転軸17の位置は、除濁濾過塔11が所定の回動範囲であれば任意に設定することができる。
このように、回転軸17を設定しているから、作業時にパイプ部材28や他の部材を損傷させる心配がなく、かつ、重い除濁濾過塔11を枠体16内で持ち上げる必要がないので、作業性の向上を図ることができる。
続けて、除濁濾過塔11の取出動作について説明する。図11(b)に示すように、第1係合位置で係合している状態で、ユニオン継手70を取り外してから、除濁濾過塔11のフランジ61の固定ボルトを外し、除濁濾過塔11を枠体16の側面側から回動させる。このとき、作業者は保持枠体18を掴みながら、除濁濾過塔11をゆっくり傾けて除濁濾過塔11を回動させるので1人でも安全である。図11(c)に示すように、除濁濾過塔11を取出できる位置まで回動させたとき、回転軸17とフック部材19は、第1係合位置で係合している。次に、図11(d)に示すように、回転軸17とフック部材19の係合位置を第2係合位置にしてから、除濁濾過塔11を取出す。第2係合位置のとき除濁濾過塔11を取出せば、回動途中に除濁濾過塔11がずり落ちるのを防止できる。また、フック部材19を設けているので、除濁濾過塔11を回動後に、仮置き状態にしてから、安全に、除濁ユニット2から取出しできる。
このように、フック部材19が回転軸17に係合して回転軸17に対して保持枠体18を回動させることで、除濁濾過塔11の回動が安定し、作業者1人でも安全に除濁濾過塔11を枠体16から取出できるので、作業性が向上する。
続けて、除濁濾過塔11の取付動作について説明する。図11(d)に示すように、フック部材19と回転軸17を第2係合位置で係合させる。次に、保持枠体18が枠体16に接触するまで側面方向から除濁濾過塔11を起こして回動させる。このとき、作業者は保持枠体18を掴んで除濁濾過塔11を回動させるので1人でも安全である。図11(e)に示すように、除濁濾過塔11が垂直状態になる位置まで回動させたとき、回転軸17とフック部材19は、第2係合位置で係合している。このとき、除濁濾過塔11の下フランジ61、61との間には隙間が形成されている。このため、パッキンの位置合わせや除濁濾過塔11の位置確認をすることができるので、除濁濾過塔11内部からの水漏れを確実に防止することができる。
そして、フック部材19を第1係合位置に移動させると、図11(b)に示すように、除濁濾過塔11の取付及び固定位置となり、下フランジ61の固定ボルトを取付けて除濁濾過塔11を固定して、除濁濾過塔11を組立てることができる。
このように、回転軸17に対し、保持枠体18と共に除濁濾過塔11を回動させて、枠体16から離脱又は組立できるようにしたので、除濁濾過塔11を枠体16内で持ち上げることなく作業者が1人でも安全に作業することができ、作業性の向上を図ることができる。
このような、回転軸を介した除濁濾過塔の回動機構は、除濁ユニットと膜ユニットが一体となった可搬型水処理装置に設けることができる。また、除濁ユニットと膜ユニットとを分離可能な可搬型水処理装置において、除濁濾過塔を有する除濁ユニットに設けてもよい。さらには、可搬型水処理装置以外の他の装置において、枠体に収容された濾過塔などを取出・組立するために、このような回動機構を設けてもよい。
次に、本発明おける他の実施形態の除濁ユニットと膜ユニットの可搬型水処理装置について説明する。本実施形態は、次亜注入部113を中空糸膜モジュール84の二次側にしているが、その他の構成は前述の実施形態の構成と同様である。
前述の実施形態では、次亜注入点を除濁ユニット2に原水が分岐する前としており、すなわち、図8の場合、除濁ユニット2の除濁濾過塔11内を洗浄消毒するには、逆洗工程において、水逆洗(工程)、水+空洗(工程)時に次亜注入し、除濁濾過塔11の洗浄消毒をするので次亜の消費量が多くなってしまう。
一方で、次亜注入点を膜ユニット3の中空糸膜モジュール84の二次側にしたときには、次亜の消費を減らし、濁質を含んだ原水と次亜の反応による生成物の発生を抑えることができるけれども、除濁ユニット2の逆洗水に直接次亜を注入することができない。
そこで、本実施形態では、除濁ユニットに新たに次亜注入機構を設けることなく、除濁ユニットの除濁濾過塔内に消毒用次亜を注入し、洗浄消毒できるようにした。以下の説明において、前述の実施形態と同一の構成は同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
図13は、本実施形態における除濁濾過塔11の洗浄消毒方法のフロー図である。本実施形態では、逆洗工程の後に除濁濾過塔11の洗浄消毒工程を実施し、さらに圧密工程を実施している。すなわち、前述の可搬型水処理装置の実施形態と同様の逆洗工程(図8)の後に、洗浄消毒工程と圧密工程を追加している。
図14を用いて説明すると、本例では、逆洗工程に入る前に、先ず、膜ユニット3の中空糸膜モジュール84の二次側に設けた次亜注入機構92から、膜ユニット3の逆洗水槽86に消毒用の次亜を注入し、前述の図6の膜ユニット3逆洗水貯留工程と同様の動作で逆洗水槽86に次亜を含んだ洗浄水(次亜水)を貯留する(S1)。ここで、予め次亜水を逆洗水槽86に貯めるので、次亜の消費量を減らすとともに所望の濃度に調整が可能になる。ただし、次亜水の濃度は、後述する次亜水充水工程(S4)後の原水充水工程(S5)による希釈と塩素消毒量を考慮して高い濃度に設定する必要がある。
次に、水逆洗(工程)、水+空洗(工程)、空洗(工程)を繰り返し、除濁ユニット2を逆洗する(S2)。除濁ユニット2逆洗工程の動作は、前述の図8と同様であるから説明は省略する。逆洗後、エアブロワ52、52で除濁濾過塔11内の逆洗水を、逆洗水排水ライン49から排水ホース51を経由させて強制的に排水する(S3)。
除濁ユニット2の逆洗工程が終わると、除濁濾過塔内の洗浄消毒工程に入る。図14に示すように、膜ユニット3の逆洗水槽86に貯留した次亜を含んだ洗浄水(次亜水)を逆洗ポンプ87で送水し、膜ユニット3の中空糸膜モジュール84を経由して、除濁ユニット2の除濁濾過塔11内に次亜水を充水する(S4)。
このとき、中空糸膜モジュール84を経由することで、除濁ユニット2に新たな次亜注入機構を設けなくても、除濁ユニット2の除濁濾過塔11内に次亜水の充水が可能となり、膜ユニット3の逆洗ポンプ87を利用して、除濁ユニット2の除濁濾過塔11内に次亜水を充水するから、除濁ユニット2と膜ユニット3に用いる次亜注入機構92を共用することができ、可搬型水処理装置のコンパクト化に寄与する。このように、次亜注入点を変更した場合でも、可搬型水処理装置内の既存の機器のみで対応することができる。
図15に示すように、除濁ユニット2の前処理水供給ライン4と逆洗水供給ライン45から原水を供給して、除濁濾過塔11内が満水になるように原水で充水する(S5)。除濁濾過塔11内が次亜水で満たされると、濾過塔内の全体を消毒可能になる。このとき、除濁ユニット2の前処理水供給ライン4と逆洗水供給ライン45を使用して原水を充水するので、中空糸膜モジュール84には原水が流入しない。
次に、除濁濾過塔11内の全体が次亜水で満たされた状態で、充水した次亜水をエアブロア52、52で所定時間、空気攪拌して除濁濾過塔11内の全体を洗浄消毒する(S6)。
空気攪拌工程後、前述の図8と同様の除濁ユニット2の逆洗機構13によって、除濁濾過塔11内を原水でリンス(水洗)して除濁濾過塔11内の汚れや充水した次亜水を排水する(S7)。なお、このとき除濁濾過塔11内の繊維濾過材27は逆洗によって復帰した状態、すなわち、繊維濾過材27が伸びた状態になっている。リンス工程が終ると濾過塔内の洗浄消毒工程は終了する。
除濁濾過塔11の洗浄消毒工程が終わると、圧密工程に入る。図16に示すように、所定の濾過流速で前処理水供給ライン4、21から原水を供給して除濁濾過塔11内の繊維濾過材27を圧密する(S8)。
このとき、原水は濾過排水ライン50と逆洗水排水ライン49を経由して排水ホース51より排水されるので、中空糸膜モジュール84には原水が流入することはない。所定の濾過流速とは、除濁ユニット2が十分に濁質除去することができるように除濁濾過塔11の繊維濾過材27を圧密状態にする濾過流速である。なお、流量調整弁112を制御して濾過流速の調整をする。
このように、繊維濾過材27を予め圧密状態にしてから、濾過排水工程に入るので、濾過排水が終れば濁質除去能力を発揮できる状態となりすぐに濾過をすることができると共に、原水流入量に依存することなく、濁質除去が可能となる。
圧密工程後、図17に示すように、原水を前処理水供給ライン4、21から供給するとともに、PAC供給ライン38からPACを注入して除濁ユニット2の原水を濁質除去し、処理水質が安定するまで、濾過排水する(S9)。逆洗工程、除濁濾過塔内の洗浄消毒工程、圧密工程が終わり、処理水質が安定するまで濾過排水した後、濾過工程を開始する。除濁ユニット2による濁質除去能力が安定してから濾過工程を再開するので、中空糸膜モジュール84の目詰まりを抑制できる。なお、濾過排水の流量は、浄水設備の取水量と同程度であることが好ましい。
よって、本実施形態では、除濁濾過塔11の洗浄消毒は膜ユニット3の逆洗水槽86に次亜水を貯留し、次亜水を膜ユニット3の逆洗ポンプ87を利用し、中空糸膜モジュール84を経由して、除濁ユニット2の除濁濾過塔11に次亜水を充水しているので、次亜注入点を変更しても除濁ユニット2に別途の次亜注入機構や逆洗機構を設ける必要はなく、除濁ユニット2をコンパクトにし、次亜の消費量を抑制しつつ、除濁ユニット2の逆洗と除濁濾過塔11の洗浄消毒ができる。
さらに、本実施形態では、除濁ユニット逆洗工程を経た後に、圧密工程を実施しているので、繊維濾過材を復帰させた後に圧密工程で繊維濾過材を圧密状態にして、繊維濾過材は逆洗されるまで圧密状態を保持することができる。
そして、繊維濾過材を圧密させた後に処理水質が安定してから膜ユニットで濾過するから、極めて少ない原水流量(例えば10m/日程度)の小規模の浄水施設等であっても、除濁ユニットを現地に合わせた流量に設定可能で、安定して濁質除去しつつ膜ユニットの膜モジュールの目詰りを抑制し、かつ、簡易に安定した濾過水を得ることができる。
なお、上記の説明では、逆洗工程と洗浄消毒工程後に圧密工程を実施しているが、洗浄消毒工程を省略して、逆洗工程後に圧密工程を実施してもよい。この場合でも、上記同様に、除濁ユニットは、原水流入量が極めて少ないときでも、流量に依存することなく安定して濁質除去することができる。
また、上記の洗浄消毒工程や圧密工程は、除濁ユニットと膜ユニットとが分離可能で一体となっている可搬型水処理装置に関して説明したが、除濁ユニットと膜ユニットとを分離できない可搬型水処理装置でも実施可能であり、さらには、除濁ユニットと膜ユニットとが別体として使用可能な可搬型水処理装置においても実施可能である。
本発明における除濁ユニットと膜ユニットの可搬型水処理装置の実施の一例を説明する。
除濁ユニットと膜ユニットの可搬型水処理装置で、設定時間になるまで(時間は濁度による)原水を濾過した(濾過工程)。次に、20分程度逆洗運転した(逆洗工程)。逆洗工程後、濾過流速を50m/hに調整してから40秒、除濁ユニットの除濁濾過塔の繊維濾過材を圧密した(圧密工程)。除濁ユニットの原水の処理水質が安定するまで約5分、処理水を浄水設備の取水量に合わせて、除濁ユニットを極めて少ない原水流量(10m/日程度)に調整してから、濾過排水した(濾過排水工程)。その後、原水の濾過を再開した(濾過工程)。十分に濁質除去された濾過水を得ることができた、さらに、膜モジュールの目詰まりを抑制することができた。
よって、原水流量が極めて少ない場合であっても(10m/日程度)、除濁ユニットと膜ユニットの可搬型水処理装置は、原水の濁質を除去しつつ、膜モジュールの目詰まりの抑制が可能である。そして、可搬型水処理装置の膜流速を低く設定することができるので、小規模の浄水設備等で現場に合わせた除濁ユニットの原水流量の設定が可能である。
1、141 可搬型水処理装置
2 除濁ユニット
3 膜ユニット
4 前処理水供給ライン
5 前処理水ライン
6、7、8、9 接続部
11 除濁濾過塔
15、94 制御盤
16、96 枠体
17 回転軸
18 保持枠体
19 フック部材
27 繊維濾過材
82 膜供給水ライン
83 濾過水ライン
84 中空糸膜モジュール
86 逆洗水槽
113 次亜注入部
115 分岐ライン
146 原水供給ライン
147 除濁ライン

Claims (4)

  1. 可搬型で小型の枠体内に少なくとも膜モジュールと制御盤と次亜注入部と逆洗水槽を有し、膜モジュールの一次側に原水供給ラインから分岐部で切換え可能に接続した膜供給水ラインを、二次側に濾過水ラインを備えた膜ユニットを配設し、可搬型で小型の枠体内に少なくとも除濁濾過塔と該除濁濾過塔の一次側に前処理水供給ラインを、二次側に前処理水ラインを備えた除濁ユニットを配設し、前記原水供給ラインから前記分岐部を介した分岐ラインと前記前処理水供給ラインとを接続する接続部と、前記前処理水ラインと前記膜供給水ラインとを接続する接続部とを、前記膜ユニットと前記除濁ユニットのそれぞれに配設して両者を接続可能に設けると共に、前記除濁濾過塔を原水で逆洗する際に、前記膜ユニット内の原水供給ラインに接続した前処理水供給ラインに分岐部を介して逆洗水供給ラインを接続し、この逆洗水供給ラインを前記除濁濾過塔の二次側に接続し、前記除濁濾過塔の一次側に接続した前記前処理水供給ラインを分岐部で切換え可能に接続した逆洗水排水ラインに接続し、前記膜ユニット内の原水供給ラインから供給した原水で前記除濁濾過塔を逆洗する原水逆洗機構を構成したことを特徴とする除濁ユニットと膜ユニットの可搬型水処理装置。
  2. 原水濁度に応じて前記除濁ユニットの逆洗頻度を制御するようにした請求項1に記載の除濁ユニットと膜ユニットの可搬型水処理装置。
  3. 前記原水供給ラインに原水を供給する取水ポンプによって前記膜ユニットから前記除濁ユニットに原水が供給され、前記取水ポンプによって前記膜ユニットから供給された原水を前記除濁濾過塔の2次側から前記逆洗水供給ラインを通して逆洗水として供給する請求項1又は2に記載の除濁ユニットと膜ユニットの可搬型水処理装置。
  4. 前記除濁濾過塔は、繊維濾過材を収納した繊維濾過塔である請求項1乃至3の何れか1項に記載除濁ユニットと膜ユニットの可搬型水処理装置。
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