以下、第1~第4実施形態等を、図面を用いて詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る紙葉類識別装置1の構成を示すブロック図である。紙葉類識別装置1は、紙幣や有価証券、商品券等の紙葉類を撮像した画像から、紙葉類の種類を識別し、紙葉類の所定領域に印字される固有番号を読み取る。ここでは、紙葉類識別装置1が、紙幣の所定領域(例えば、紙幣の右上の領域)に印字される固有番号である記番号を読み取る場合について説明する。なお、ここでは、紙葉類が、紙幣である場合について説明するが、これに限定されるものではなく、同一の種類の紙葉類(例えば、同じ大きさの紙葉類)であって、異なるフォントパターンで固有番号が印字される紙葉類であれば、本願の開示内容を適用することができる。
紙葉類識別装置1は、制御部10、画像取得部11、金種識別部12、記番号識別部13および記憶部14を備える。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)などであり、紙葉類識別装置1を構成する画像取得部11、金種識別部12、記番号識別部13、記憶部14を制御する。画像取得部11は、カメラやイメージセンサなどであり、識別しようとしている紙幣全体の画像を撮像する。金種識別部12は、記番号を識別しようとしている紙幣の金種を識別する。
図2(a)~(c)は、紙葉類識別装置1が取り扱う紙幣の一例を示す図である。図2(a)は、紙幣価値が100通貨単位の紙幣B11を示している。紙幣B11の中央の領域には、紙幣B11が100通貨単位の価値を有することを示す“100”という数字B12が印字されている。紙幣B11の右上および左下の2箇所の領域には、紙幣B11を固有のものとするための記番号B14が印字されている。記番号B14は、英数字の組み合わせからなり、ここでは、紙幣B11の記番号B14は、“1AB234567”の9文字を含む場合を示している。紙幣B11では、記番号B14に含まれる複数の文字のそれぞれの大きさが、紙幣B11の短手方向に変化せず、一定である。
図2(b)は、紙幣価値が500通貨単位の紙幣B21を示している。紙幣B21の中央の領域には、紙幣B21が500通貨単位の価値を有することを示す“500”という数字B22が印字されている。紙幣B21の右上および左下に印字された記番号B24は、英数字の組み合わせからなり、ここでは、紙幣B21の記番号B24は、“1AB234567”の9文字を含む場合を示している。紙幣B21では、記番号B24に含まれる複数の文字のそれぞれの大きさが、紙幣B21の短手方向に変化せず、一定である。なお、図2(a)に示す紙幣B11と、図2(b)に示す紙幣B21は、紙幣価値が異なるため、異なる金種である。
図2(c)は、紙幣価値が100通貨単位の紙幣B31を示している。紙幣B31の中央の領域には、紙幣B31が100通貨単位の価値を有することを示す“100”という数字B32が印字されている。ここでは、紙幣B31の記番号B34は、“1AB234567”の9文字を含む。紙幣B31では、記番号B34に含まれる複数の文字の下端を結んだ線は、紙幣B31の長辺と平行になっているが、記番号B34に含まれる複数の文字のそれぞれの大きさは、左端(つまり、“1”)から右端(つまり、“7”)に向かうにつれて、大きくなっている。なお、図2(a)に示す紙幣B11と、図2(c)に示す紙幣B31は、紙幣価値が同じであるため、同じ金種である。
図1に戻り、金種識別部12は、例えば、画像取得部11が撮像した紙幣の全体の画像のうち、中央の領域の画像に基づき、画像取得部11が撮像した紙幣の金種を識別する。例えば、金種識別部12は、画像取得部11が撮像した紙幣の全体の画像のうち、中央部分に“100”という文字が印字されていることを検出した場合には、金種識別部12は、その紙幣が100通貨単位の価値を有する紙幣B11(図2(a)参照)または紙幣B31(図2(c)参照)であると判定する。一方、金種識別部12は、画像取得部11が撮像した紙幣の全体の画像の中央部分に“500”という文字が印字されていることを検出した場合には、金種識別部12は、その紙幣が500通貨単位の価値を有する紙幣B21(図2(b)参照)であると判定する。
図1の記番号識別部13は、判定部131と、文字検出部132とを備える。判定部131は、画像取得部11が撮像した紙幣の記番号が、複数のフォントパターンを有する紙幣である場合には、紙幣の記番号が複数のフォントパターンのうち、いずれのフォントパターンであるかを判定する。文字検出部132は、判定部131で判定されたフォントパターンに対応するテンプレートを用いて、画像取得部11が撮像した紙幣の記番号に含まれる各文字を検出する。
図1の記憶部14は、メモリなどであり、紙葉類識別装置1の処理で用いられる各種データを記憶する。例えば、記憶部14は、フォントパターンデータD11、テンプレートデータD12および文字認識用データD13などを記憶する。
図3は、第1実施形態に係る記憶部14が記憶するフォントパターンデータD11の一例を示す図である。フォントパターンデータD11では、金種とフォントパターンとが関連付けられて、予め記憶される。図3では、金種C11とフォントパターンF11とが関連付けられている場合を示している。また、図3では、金種C12とフォントパターンF11およびF12とが関連付けられている場合を示している。
ここで、金種C11は、500通貨単位の価値を有する紙幣B21の金種である(図2(b)参照)。金種C12は、100通貨単位の価値を有する紙幣B11およびB31の金種である(図2(a)、図2(c)参照)。フォントパターンF11では、記番号B14に含まれる複数の文字のそれぞれの大きさが、紙幣B11の短手方向に変化せず、一定である。フォントパターンF12では、記番号B34に含まれる複数の文字の下端を結んだ線は、紙幣B31の長辺と平行であるが、記番号B34に含まれる複数の文字のそれぞれの大きさは、左端(つまり、“1”)から右端(つまり、“7”)に向かうにつれて大きくなるものとする。
図4は、第1実施形態に係る記憶部14が記憶するテンプレートデータD12の一例を示す図である。テンプレートデータD12では、フォントパターンとテンプレートとが関連付けられて記憶されている。図4では、フォントパターンF11とテンプレートT11とが関連付けられている場合を示している。また、図4では、フォントパターンF12とテンプレートT12とが関連付けられている場合を示している。
図5(a)および(b)は、第1実施形態に係る記番号と、テンプレートとの関係の一例を示す図である。図5(a)では、図2(a)の紙幣B11の右上の領域に印字される記番号B14を示している。記番号B14には、複数の文字(つまり、1、A、B、2、3、4、5、6、7)が含まれているが、それらの複数の文字のそれぞれが内部に含まれる枠t11、t12、t13、t14、t15、t16、t17、t18、t19が予め設定される。テンプレートT11は、この枠t11~t19により構成される。なお、フォントパターンF11は、例えば、テンプレートT11の外周を囲むように設定した領域を標準の記番号領域とした場合に、この標準の記番号領域の外部の領域で、記番号が検出されない場合には、フォントパターンF11であると判定される。
図5(b)では、図2(c)の紙幣B31の右上の領域に印字される記番号B34を示している。記番号B34には、複数の文字(つまり、1、A、B、2、3、4、5、6、7)が含まれているが、それらの複数の文字のそれぞれが内部に含まれる枠t21、t22、t23、t24、t25、t26、t27、t28、t29が予め設定される。テンプレートT12は、この枠t21~t29により構成される。なお、フォントパターンF12は、例えば、標準の記番号領域の外部の右上の領域で、記番号が検出された場合には、フォントパターンF12であると判定される。
図1の記憶部14が記憶する文字認識用データD13(図示省略)は、紙幣B11、B21、B31(図2(a)~図2(c)参照)の記番号B14、B24、B34に含まれる複数の文字のそれぞれを認識するために用いられるデータである。例えば、図1の文字検出部132は、図5(a)や図5(b)の枠t11~t19、t21~t29のそれぞれに、どの文字が含まれるかを、文字認識用データD13が記憶する各文字の字体の画像データと照合することにより、記番号B14、B24、B34に含まれる各文字を識別する。
図6は、第1実施形態に係る紙葉類識別装置1の処理を示すフローチャートである。始めに、画像取得部11は、識別しようとしている紙幣を撮像することにより、紙幣の画像を取得する(ステップS11)。
次に、金種識別部12は、ステップS11で取得した画像に基づき、紙幣の金種を識別する(ステップS12)。例えば、金種識別部12は、取得した画像の中央に印字されている数字を識別することにより、金種を特定する。例えば、紙幣の中央部分に100という数字が印字されている場合には、金種識別部12は、画像を撮像した紙幣の金種が、通貨価値が100通貨単位の紙幣(つまり、図2(a)の紙幣B11、または、図2(c)の紙幣B31)の金種C12であると判定する。一方、紙幣の中央部分に500という数字が印字されている場合には、金種識別部12は、画像を撮像した紙幣の金種が、通貨価値が500通貨単位の紙幣(つまり、図2(b)の紙幣B21)の金種C11であると判定する。
次に、判定部131は、記憶部14が記憶しているフォントパターンデータD11(図3参照)に基づいて、ステップS12で金種を識別した紙幣には、複数のフォントパターンが存在するか否かを判定する(ステップS13)。例えば、ステップS11で画像を撮像した紙幣の金種が、金種C11である場合には、判定部131は、フォントパターンデータD11を参照することにより、金種C11には複数のフォントパターンは存在せず、1つのフォントパターンF11のみが存在すると判定する。つまり、画像を撮像した紙幣の金種が、金種C11である場合には、判定部131は、フォントパターンは、フォントパターンF11であると判定する。一方、画像を撮像した紙幣の金種が、金種C12である場合には、判定部131は、フォントパターンデータD11を参照することにより、金種C12には複数のフォントパターンF11およびF12が存在すると判定する。
ステップS13で、金種を識別した紙幣に、複数のフォントパターンが存在しないと、判定部131が判定した場合には(ステップS13でNO)、後述するステップS15の処理を行う。一方、ステップS13で、金種を識別した紙幣に、複数のフォントパターンが存在すると、判定部131が判定した場合には(ステップS13でYES)、判定部131は、ステップS11で画像を撮像した紙幣の記番号のフォントパターンを判定する(ステップS14)。このステップS14の処理については、図7を参照して後述する。
次に、文字検出部132は、判定されたフォントパターンに対応するテンプレートを、記憶部14が記憶しているテンプレートデータD12(図4参照)から読み出す(ステップS15)。例えば、ステップS13でNOと判定された場合(つまり、金種C11のフォントパターンが、フォントパターンF11であると判定された場合)、または、ステップS14で、金種C12のフォントパターンが、フォントパターンF11であると判定された場合には、文字検出部132は、テンプレートデータD12(図4参照)を参照することにより、テンプレートT11(図5(a)参照)を読み出す。一方、ステップS14で、金種C12のフォントパターンが、フォントパターンF12であると判定された場合には、文字検出部132は、テンプレートデータD12(図4参照)を参照することにより、テンプレートT12(図5(b)参照)を読み出す。
その後、文字検出部132は、ステップS15で読み出したテンプレートを用いて、ステップS11で画像を取得した紙幣の記番号に含まれる複数の文字のそれぞれを認識し(ステップS16)、図6のフローチャートの処理を終了する。例えば、ステップS11で画像を取得した紙幣の記番号B14は、フォントパターンF11であるため、その記番号B14に含まれる複数の文字の位置を、テンプレートT11(図5(a)参照)で特定し、文字認識用データD13と照合することにより、記番号B14に含まれる複数の文字のそれぞれを識別する。一方、ステップS11で画像を取得した紙幣の記番号B34は、フォントパターンF12であるため、その記番号B34に含まれる複数の文字の位置を、テンプレートT12(図5(b)参照)で特定し、文字認識用データD13と照合することにより、記番号B34に含まれる複数の文字のそれぞれを識別する。
図7は、図6のステップS14のフォントパターン判定処理であって、第1実施形態に係るフォントパターン判定処理の詳細を示すフローチャートである。始めに、判定部131は、図6のステップS11で画像取得部11が取得した紙幣の全体画像のうち、記番号が印字されている所定領域の画像を取得する(ステップS21)。例えば、図6のステップS11で画像取得部11が取得した紙幣が、紙幣B11(図2(a)参照)である場合には、図7のステップS21では、図8(a)に示すような、記番号B14を含む画像G11が取得される。一方、図6のステップS11で画像取得部11が取得した紙幣が、紙幣B31(図2(c)参照)である場合には、図7のステップS21では、図9(a)に示すような、記番号B34を含む画像G21が取得される。
なお、ここでは、ステップS21で、画像取得部11が取得した紙幣の全体画像の右上領域の画像だけが取得される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、紙幣の全体画像の右上領域および左下領域の画像が取得されるようにしてもよいし、紙幣の全体画像の左下領域の画像だけが取得されるようにしてもよい。また、記番号の読み取りを誤ったり、フォントパターンの判定を誤ったりする可能性を低くするために、記番号が印字されている領域に印刷されている模様等の背景を、画像処理により除去するようにしてもよい。
次に、判定部131は、ステップS21で取得した画像を短手方向に走査し、記番号に対応する画素分布から記番号の中央位置を探索する(ステップS22)。例えば、図7のステップS21で取得した画像が、紙幣B11(図2(a)参照)のものである場合には、図7のステップS22では、図8(b)に示すように、画像G11における中央位置L11が探索される。一方、図7のステップS21で取得した画像が、紙幣B31(図2(c)参照)のものである場合には、図7のステップS22では、図9(b)に示すように、画像G21における中央位置L11が探索される。
次に、判定部131は、ステップS22で探索した記番号の中央位置L11をもとに標準の記番号領域となる第1領域を設定する(ステップS24)。例えば、図7のステップS21で取得した紙幣が、紙幣B11(図2(a)参照)のものである場合には、図7のステップS24では、図8(c)に示すような、矩形状の第1領域R11が設定される。一方、図7のステップS21で取得した紙幣が、紙幣B31(図2(c)参照)のものである場合には、図7のステップS24では、図9(c)に示すような、矩形状の第1領域R11が設定される。
次に、判定部131は、ステップS24で設定した第1領域の右上の外部に、フォントパターンを判定するための第2領域を設定する(ステップS25)。例えば、図7のステップS21で取得した画像が、紙幣B11(図2(a)参照)のものである場合には、図7のステップS25では、図8(d)に示すように、第1領域R11の右上の外部に、第2領域R12が設定される。一方、図7のステップS21で取得した紙幣が、紙幣B31(図2(c)参照)のものである場合には、図7のステップS25では、図9(d)に示すように、第1領域R11の右上の外部に、第2領域R12が設定される。
次に、判定部131は、ステップS25で設定した第2領域R12で、記番号に対応する画素分布に基づいて、記番号が検出されたか否かについて判定する(ステップS26)。例えば、判定部131は、第2領域R12内において、記番号に対応する画素の面積が、所定の面積(例えば、第2領域R12の面積の1%)以上存在する場合には、記番号が検出されたと判定することができる。
図7のステップS21で取得した紙幣が、紙幣B11(図2(a)参照)のものである場合には、図8(d)に示すように、第2領域R12に記番号に対応する画素が所定値以上存在しないため、判定部131は、第2領域R12では、記番号が検出されないと判定する(図7のステップS26でNO)。そして、判定部131は、図7のステップS21で画像を取得した紙幣(つまり、図6のステップS11で画像を取得した紙幣)の記番号のフォントパターンは、フォントパターンF11であると判定する(ステップS27)。その後、図6のステップS15の処理が行われる。
一方、図7のステップS21で取得した画像が、紙幣B31(図2(c)参照)のものである場合には、図9(d)に示すように、第2領域R12に記番号に対応する画素が所定値以上存在するため、判定部131は、第2領域R12で、記番号が検出されたと判定する(図7のステップS26でYES)。そして、図7のステップS21で画像を取得した紙幣(つまり、図6のステップS11で画像を取得した紙幣)の記番号のフォントパターンは、フォントパターンF12であると判定する(ステップS28)。その後、図6のステップS15の処理が行われる。
上述した第1実施形態によれば、同一の金種の紙幣の記番号が、第1フォントパターンF11(つまり、図5(a)に示すように、記番号B14に含まれる複数の文字の高さが全て同じのもの)と、第2フォントパターンF12(つまり、図5(b)に示すように、記番号B34に含まれる複数の文字の高さが末尾に向かって大きくなるもの)であっても、紙幣の記番号が、第1フォントパターンF11と第2フォントパターンF12とのいずれであるかを正しく判定することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態における紙葉類識別装置の構成や処理が、第1実施形態に係る紙葉類識別装置1の構成や処理と同様である部分については、それらの説明を省略する。
図10は、第2実施形態に係る紙葉類識別装置が取り扱う紙幣の一例を示す図である。なお、第1実施形態では、紙幣B11(図2(a)参照)と、紙幣B31(図2(c)参照)を識別する場合について説明した。しかし、第2実施形態では、紙幣B11(図2(a)参照)および紙幣B41(図10参照)の記番号を読み取る場合について説明する。
図10は、紙幣価値が100通貨単位の紙幣B41を示している。紙幣B41の中央の領域には、紙幣B41が、100通貨単位の価値を有することを示す“100”という数字B42が印字されている。ここでは、紙幣B31の記番号B44は、“1AB234567”の9文字を含む。紙幣B41では、記番号B44に含まれる複数の文字の上端を結んだ線は、紙幣B41の長辺と平行になっているが、記番号B44に含まれる複数の文字のそれぞれの大きさは、左端(つまり、“1”)から右端(つまり、“7”)に向かうにつれて、大きくなっている。なお、図2(a)に示す紙幣B11と、図10に示す紙幣B41は、紙幣価値が同じであるため、同じ金種である。
図11は、第2実施形態に係る記憶部14が記憶するフォントパターンデータD21の一例を示す図である。図11では、金種C11とフォントパターンF11とが関連付けられ、また、金種C12とフォントパターンF11およびF13とが関連付けられている場合を示している。フォントパターンF13では、記番号B44に含まれる複数の文字の上端を結んだ線は、紙幣B41の長辺と平行であるが、記番号B34に含まれる複数の文字のそれぞれの大きさは、左端(つまり、“1”)から右端(つまり、“7”)に向かうにつれて大きくなる。
図12は、第2実施形態に係る記憶部14が記憶するテンプレートデータD22の一例を示す図である。図12では、フォントパターンF11とテンプレートT11とが関連付けられ、また、フォントパターンF13とテンプレートT13とが関連付けられている場合を示している。
図13は、第2実施形態に係る記番号と、テンプレートとの関係の一例を示す図である。図13では、図10の紙幣B41の右上および左下の領域に印字される記番号B44を示している。記番号B44には、複数の文字(つまり、1、A、B、2、3、4、5、6、7)が含まれているが、それらの複数の文字のそれぞれが内部に含まれる枠t31、t32、t33、t34、t35、t36、t37、t38、t39が予め設定される。テンプレートT13は、この枠t31~t39により構成される。なお、フォントパターンF13は、例えば、テンプレートT11の外周を囲むように設定した領域を標準の記番号領域とした場合に、標準の記番号領域の外部の右下の領域で、記番号が検出された場合には、フォントパターンF13であると判定される。
図14は、図6のステップS14のフォントパターン判定処理であって、第2実施形態に係るフォントパターン判定処理の詳細を示すフローチャートである。始めに、判定部131は、図6のステップS11で画像取得部11が取得した紙幣の全体画像のうち、記番号が印字されている所定領域の画像を取得する(ステップS31)。例えば、図6のステップS11で画像取得部11が取得した紙幣が、紙幣B11(図2(a)参照)である場合には、図14のステップS31では、図15(a)に示すような、記番号B14を含む画像G31が取得される。一方、図6のステップS11で画像取得部11が取得した紙幣が、紙幣B41(図10参照)である場合には、図14のステップS31では、図16(a)に示すような、記番号B44を含む画像G41が取得される。
次に、判定部131は、ステップS31で取得した画像を短手方向に走査し、記番号に対応する画素分布から記番号の中央位置を探索する(ステップS32)。例えば、図14のステップS31で取得した画像が、紙幣B11(図2(a)参照)のものである場合には、図14のステップS32では、図15(b)に示すように、画像G31における中央位置L21が探索される。一方、図14のステップS31で取得した画像が、紙幣B41(図10参照)のものである場合には、図14のステップS32では、図16(b)に示すように、画像G41における中央位置L21が探索される。
次に、判定部131は、ステップS32で探索した記番号の中央位置L21をもとに標準の記番号領域となる第1領域を設定する(ステップS34)。例えば、図14のステップS31で取得した紙幣が、紙幣B11(図2(a)参照)のものである場合には、図14のステップS34では、図15(c)に示すような、矩形状の第1領域R21が設定される。一方、図14のステップS31で取得した紙幣が、紙幣B41(図10参照)のものである場合には、図14のステップS34では、図16(c)に示すような、矩形状の第1領域R21が設定される。
次に、判定部131は、ステップS34で設定した第1領域の右下の外部に、フォントパターンを判定するための第2領域を設定する(ステップS35)。例えば、図14のステップS31で取得した画像が、紙幣B11(図2(a)参照)のものである場合には、図14のステップS35では、図15(d)に示すように、第1領域R21の右下の外部に、第2領域R22が設定される。一方、図14のステップS31で取得した紙幣が、紙幣B41(図10参照)のものである場合には、図14のステップS35では、図16(d)に示すように、第1領域R21の右下の外部に、第2領域R22が設定される。
次に、判定部131は、ステップS35で設定した第2領域R22で、記番号に対応する画素分布に基づいて、記番号が検出されたか否かについて判定する(ステップS36)。例えば、判定部131は、第2領域R22内において、記番号に対応する画素の面積が、所定の面積(例えば、第2領域R22の面積の1%)以上存在する場合には、記番号が検出されたと判定することができる。
図14のステップS31で取得した紙幣が、紙幣B11(図2(a)参照)のものである場合には、図15(d)に示すように、第2領域R22に記番号に対応する画素が所定値以上存在しないため、判定部131は、第2領域R22では、記番号が検出されないと判定する(図14のステップS36でNO)。そして、判定部131は、図14のステップS31で画像を取得した紙幣(つまり、図6のステップS11で画像を取得した紙幣)の記番号のフォントパターンは、フォントパターンF11であると判定する(ステップS37)。その後、図6のステップS15の処理が行われる。
一方、図14のステップS31で取得した画像が、紙幣B41(図10参照)のものである場合には、図16(d)に示すように、第2領域R22に記番号に対応する画素が所定値以上存在するため、判定部131は、第2領域R22で、記番号が検出されたと判定する(図14のステップS36でYES)。そして、図14のステップS31で画像を取得した紙幣(つまり、図6のステップS11で画像を取得した紙幣)の記番号のフォントパターンは、フォントパターンF13であると判定する(ステップS38)。その後、図6のステップS15の処理が行われる。
上述した第2実施形態によれば、同一の金種の紙幣の記番号が、第1フォントパターンF11(つまり、図5(a)に示すように、記番号B14に含まれる複数の文字の高さが全て同じもの)と、第2フォントパターンF13(つまり、図13に示すように、記番号B44に含まれる複数の文字の高さが末尾に向かって大きくなるもの)であっても、紙幣の記番号が、第1フォントパターンF11と第2フォントパターンF13とのいずれであるかを正しく判定することができる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態における紙葉類識別装置の構成や処理が、第1実施形態に係る紙葉類識別装置1の構成や処理と同様である部分については、それらの説明を省略する。
図17は、第3実施形態に係る紙葉類識別装置が取り扱う紙幣の一例を示す図である。なお、第1実施形態では、紙幣B11(図2(a)参照)と、紙幣B31(図2(c)参照)を識別する場合について説明した。しかし、第3実施形態では、紙幣B11(図2(a)参照)および紙幣B51(図17参照)の記番号を読み取る場合について説明する。
図17は、紙幣価値が100通貨単位の紙幣B51を示している。紙幣B51の中央の領域には、紙幣B51が、100通貨単位の価値を有することを示す“100”という数字B52が印字されている。ここでは、紙幣B51の記番号B54は、“1AB234567”の9文字を含む。紙幣B51では、記番号B54に含まれる複数の文字の上端を結んだ線は、紙幣B51の長辺と平行になっているが、記番号B54に含まれる複数の文字のそれぞれの大きさは、左端(つまり、“1”)から右端(つまり、“7”)に向かうにつれて、小さくなっている。なお、図2(a)に示す紙幣B11と、図17に示す紙幣B51は、紙幣価値が同じであるため、同じ金種である。
図18は、第3実施形態に係る記憶部14が記憶するフォントパターンデータD31の一例を示す図である。図18では、金種C11とフォントパターンF11とが関連付けられ、また、金種C12とフォントパターンF11およびF14とが関連付けられている場合を示している。フォントパターンF14では、記番号B54に含まれる複数の文字の上端を結んだ線は、紙幣B51の長辺と平行であるが、記番号B54に含まれる複数の文字のそれぞれの大きさは、左端(つまり、“1”)から右端(つまり、“7”)に向かうにつれて小さくなる。
図19は、第3実施形態に係る記憶部14が記憶するテンプレートデータD32の一例を示す図である。図19では、フォントパターンF11とテンプレートT11とが関連付けられ、また、フォントパターンF14とテンプレートT14とが関連付けられている場合を示している。
図20は、第3実施形態に係る記番号と、テンプレートとの関係の一例を示す図である。図20では、図17の紙幣B51の右上および左下の領域に印字される記番号B54を示している。記番号B54には、複数の文字(つまり、1、A、B、2、3、4、5、6、7)が含まれているが、それらの複数の文字のそれぞれが内部に含まれる枠t41、t42、t43、t44、t45、t46、t47、t48、t49が予め設定される。テンプレートT14は、この枠t41~t49により構成される。なお、フォントパターンF14は、例えば、テンプレートT11の外周を囲むように設定した領域を標準の記番号領域とした場合に、標準の記番号領域の外部の左下の領域で、記番号が検出された場合には、フォントパターンF14であると判定される。
図21は、図6のステップS14のフォントパターン判定処理であって、第3実施形態に係るフォントパターン判定処理の詳細を示すフローチャートである。始めに、判定部131は、図6のステップS11で画像取得部11が取得した紙幣の全体画像のうち、記番号が印字されている所定領域の画像を取得する(ステップS41)。例えば、図6のステップS11で画像取得部11が取得した紙幣が、紙幣B11(図2(a)参照)である場合には、図21のステップS41では、図22(a)に示すような、記番号B14を含む画像G51が取得される。一方、図6のステップS11で画像取得部11が取得した紙幣が、紙幣B51(図17参照)である場合には、図21のステップS41では、図23(a)に示すような、記番号B54を含む画像G61が取得される。
次に、判定部131は、ステップS41で取得した画像を短手方向に走査し、記番号に対応する画素分布から記番号の中央位置を探索する(ステップS42)。例えば、図21のステップS41で取得した画像が、紙幣B11(図2(a)参照)のものである場合には、図21のステップS42では、図22(b)に示すように、画像G51における中央位置L31が探索される。一方、図21のステップS41で取得した画像が、紙幣B51(図17参照)のものである場合には、図21のステップS42では、図23(b)に示すように、画像G61における中央位置L31が探索される。
次に、判定部131は、ステップS42で探索した記番号の中央位置L31をもとに標準の記番号領域となる第1領域を設定する(ステップS44)。例えば、図21のステップS41で取得した紙幣が、紙幣B11(図2(a)参照)のものである場合には、図21のステップS44では、図22(c)に示すような、矩形状の第1領域R31が設定される。一方、図21のステップS41で取得した紙幣が、紙幣B51(図17参照)のものである場合には、図21のステップS44では、図23(c)に示すような、矩形状の第1領域R31が設定される。
次に、判定部131は、ステップS44で設定した第1領域の左下の外部に、フォントパターンを判定するための第2領域を設定する(ステップS45)。例えば、図21のステップS41で取得した画像が、紙幣B11(図2(a)参照)のものである場合には、図21のステップS45では、図22(d)に示すように、第1領域R31の左下の外部に、第2領域R32が設定される。一方、図21のステップS41で取得した紙幣が、紙幣B51(図17参照)のものである場合には、図21のステップS45では、図23(d)に示すように、第1領域R31の左下の外部に、第2領域R32が設定される。
次に、判定部131は、ステップS45で設定した第2領域R32で、記番号に対応する画素分布に基づいて、記番号が検出されたか否かについて判定する(ステップS46)。例えば、判定部131は、第2領域R32内において、記番号に対応する画素の面積が、所定の面積(例えば、第2領域R32の面積の1%)以上存在する場合には、記番号が検出されたと判定することができる。
図21のステップS41で取得した紙幣が、紙幣B11(図2(a)参照)のものである場合には、図22(d)に示すように、第2領域R32に記番号に対応する画素が所定値以上存在しないため、判定部131は、第2領域R32では、記番号が検出されないと判定する(図21のステップS46でNO)。そして、判定部131は、図21のステップS41で画像を取得した紙幣(つまり、図6のステップS11で画像を取得した紙幣)の記番号のフォントパターンは、フォントパターンF11であると判定する(ステップS47)。その後、図6のステップS15の処理が行われる。
一方、図21のステップS41で取得した画像が、紙幣B51(図17参照)のものである場合には、図23(d)に示すように、第2領域R32に記番号に対応する画素が所定値以上存在するため、判定部131は、第2領域R32で、記番号が検出されたと判定する(図21のステップS46でYES)。そして、図21のステップS41で画像を取得した紙幣(つまり、図6のステップS11で画像を取得した紙幣)の記番号のフォントパターンは、フォントパターンF14であると判定する(ステップS48)。その後、図6のステップS15の処理が行われる。
上述した第3実施形態によれば、同一の金種の紙幣の記番号が、第1フォントパターンF11(つまり、図5(a)に示すように、記番号B14に含まれる複数の文字の高さが全て同じもの)と、第2フォントパターンF14(つまり、図20に示すように、記番号B54に含まれる複数の文字の高さが末尾に向かって小さくなるもの)であっても、紙幣の記番号が、第1フォントパターンF11と第2フォントパターンF14とのいずれであるかを正しく判定することができる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態における紙葉類識別装置の構成や処理が、第1実施形態に係る紙葉類識別装置1の構成や処理と同様である部分については、それらの説明を省略する。
図24は、第4実施形態に係る紙葉類識別装置が取り扱う紙幣の一例を示す図である。なお、第1実施形態では、紙幣B11(図2(a)参照)と、紙幣B31(図2(c)参照)を識別する場合について説明した。しかし、第4実施形態では、紙幣B11(図2(a)参照)および紙幣B61(図24参照)の記番号を読み取る場合について説明する。
図24は、紙幣価値が100通貨単位の紙幣B61を示している。紙幣B61の中央の領域には、紙幣B61が、100通貨単位の価値を有することを示す“100”という数字B62が印字されている。ここでは、紙幣B61の記番号B64は、“1AB234567”の9文字を含む。紙幣B61では、記番号B64に含まれる複数の文字のそれぞれの縦方向の中心を結んだ線は、紙幣B61の長辺と平行になっているが、記番号B64に含まれる複数の文字の大きさは、左端(つまり、“1”)から中央(つまり、“3”)に向かうにつれて、大きくなるとともに、中央(つまり、“3”)から右端(つまり、“7”)に向かうにつれて小さくなる。なお、図2(a)に示す紙幣B11と、図24に示す紙幣B61は、紙幣価値が同じであるため、同じ金種である。
図25は、第4実施形態に係る記憶部14が記憶するフォントパターンデータD41の一例を示す図である。図25では、金種C11とフォントパターンF11とが関連付けられ、また、金種C12とフォントパターンF11およびF15とが関連付けられている場合を示している。フォントパターンF15では、記番号B64に含まれる複数の文字のそれぞれの縦方向中央を結んだ線は、紙幣B61の長辺と平行であるが、記番号B64に含まれる複数の文字のそれぞれの大きさは、左端(つまり、“1”)から中央(つまり、“3”)に向かうにつれて大きくなり、中央(つまり、“3”)から右端(つまり、“7”)に向かうにつれて小さくなる。
図26は、第4実施形態に係る記憶部14が記憶するテンプレートデータD42の一例を示す図である。図26では、フォントパターンF11とテンプレートT11とが関連付けられ、また、フォントパターンF15とテンプレートT15とが関連付けられている場合を示している。
図27は、第4実施形態に係る記番号と、テンプレートとの関係の一例を示す図である。図27では、図24の紙幣B61の右上および左下の領域に印字される記番号B64を示している。記番号B64には、複数の文字(つまり、1、A、B、2、3、4、5、6、7)が含まれているが、それらの複数の文字のそれぞれが内部に含まれる枠t51、t52、t53、t54、t55、t56、t57、t58、t59が予め設定される。テンプレートT15は、この枠t51~t59により構成される。なお、フォントパターンF15は、例えば、テンプレートT11の外周を囲むように設定した領域を標準の記番号領域とした場合に、標準の記番号領域の外部の左右方向中央の上下の領域で、記番号が検出された場合には、フォントパターンF15であると判定される。
図28は、図6のステップS14のフォントパターン判定処理であって、第4実施形態に係るフォントパターン判定処理の詳細を示すフローチャートである。始めに、判定部131は、図6のステップS11で画像取得部11が取得した紙幣の全体画像のうち、記番号が印字されている所定領域の画像を取得する(ステップS51)。例えば、図6のステップS11で画像取得部11が取得した紙幣が、紙幣B11(図2(a)参照)である場合には、図28のステップS51では、図29(a)に示すような、記番号B14を含む画像G71が取得される。一方、図6のステップS11で画像取得部11が取得した紙幣が、紙幣B61(図24参照)である場合には、図28のステップS51では、図30(a)に示すような、記番号B64を含む画像G81が取得される。
次に、判定部131は、ステップS51で取得した画像を短手方向に走査し、記番号に対応する画素分布から記番号の中央位置を探索する(ステップS52)。例えば、図28のステップS51で取得した画像が、紙幣B11(図2(a)参照)のものである場合には、図28のステップS52では、図29(b)に示すように、画像G71における中央位置L41が探索される。一方、図28のステップS51で取得した画像が、紙幣B61(図24参照)のものである場合には、図28のステップS52では、図30(b)に示すように、画像G81における中央位置L41が探索される。
次に、判定部131は、ステップS52で探索した記番号の中央位置L41をもとに標準の記番号領域となる第1領域を設定する(ステップS54)。例えば、図28のステップS51で取得した紙幣が、紙幣B11(図2(a)参照)のものである場合には、図28のステップS54では、図29(c)に示すような、矩形状の第1領域R41が設定される。一方、図28のステップS51で取得した紙幣が、紙幣B61(図24参照)のものである場合には、図28のステップS54では、図30(c)に示すような、矩形状の第1領域R41が設定される。
次に、判定部131は、ステップS54で設定した第1領域の横方向中央の上下の外部に、フォントパターンを判定するための第2領域および第3領域を設定する(ステップS55)。例えば、図28のステップS51で取得した画像が、紙幣B11(図2(a)参照)のものである場合には、図28のステップS55では、図29(d)に示すように、第1領域R41の横方向中央の上側かつ外部に、第2領域R42が設定されるとともに、第1領域R41の横方向中央の下側かつ外部に、第3領域R43が設定される。一方、図28のステップS51で取得した紙幣が、紙幣B61(図24参照)のものである場合には、図28のステップS55では、図30(d)に示すように、第1領域R41の横方向中央の上側かつ外部に、第2領域R42が設定されるとともに、第1領域R41の横方向中央の下側かつ外部に、第3領域R43が設定される。
次に、判定部131は、ステップS55で設定した第2領域R42および第3領域R43で、記番号に対応する画素分布に基づいて、記番号が検出されたか否かについて判定する(ステップS56)。例えば、判定部131は、第2領域R42内において、記番号に対応する画素の面積が、所定の面積(例えば、第2領域R42の面積の1%)以上存在するとともに、第3領域R43内において、記番号の印字に用いられるインクの色で印字された領域の面積が、所定の面積(例えば、第3領域R43の面積の1%)以上存在する場合には、記番号が検出されたと判定することができる。
図28のステップS51で取得した紙幣が、紙幣B11(図2(a)参照)のものである場合には、図29(d)に示すように、第2領域R42および第3領域R43に記番号に対応する画素が所定値以上存在しないため、判定部131は、第2領域R42および第3領域R43では、記番号が検出されないと判定する(図28のステップS56でNO)。そして、判定部131は、図28のステップS51で画像を取得した紙幣(つまり、図6のステップS11で画像を取得した紙幣)の記番号のフォントパターンは、フォントパターンF11であると判定する(ステップS57)。その後、図6のステップS15の処理が行われる。
一方、図28のステップS51で取得した画像が、紙幣B61(図24参照)のものである場合には、図30(d)に示すように、第2領域R42および第3領域R43に記番号に対応する画素が所定値以上存在するため、判定部131は、第2領域R42および第3領域R43で、記番号が検出されたと判定する(図28のステップS56でYES)。そして、図28のステップS51で画像を取得した紙幣(つまり、図6のステップS11で画像を取得した紙幣)の記番号のフォントパターンは、フォントパターンF15であると判定する(ステップS58)。その後、図6のステップS15の処理が行われる。
上述した第4実施形態によれば、同一の金種の紙幣の記番号が、第1フォントパターンF11(つまり、図5(a)に示すように、記番号B14に含まれる複数の文字のそれぞれの高さが全て同じもの)と、第2フォントパターンF15(つまり、図27に示すように、記番号B54に含まれる複数の文字の高さが中央に向かって大きくなり、末尾に向かって小さくなるもの)であっても、紙幣の記番号が、第1フォントパターンF11と第2フォントパターンF15とのいずれであるかを正しく判定することができる。また、第4実施形態によれば、図28のステップS56で、第2領域R42内に記番号が含まれているかを判定するだけでなく、第3領域R43内に記番号が含まれているかを判定するため、フォントパターンの判定処理の精度を高めることができる。
[第1変形例]
次に、第1変形例について説明する。図31は、第1変形例に係る記番号とフォントパターン判定処理の一例を示す図である。第1変形例では、図31(a)および(b)に示される記番号のフォントパターンF21と、図31(c)および(d)に示される記番号のフォントパターンF22とを判定できるようにする。
図31(b)に示すように、第1変形例で識別する紙幣の記番号B71には、複数の文字(つまり、1、A、B、2、3、4、5、6、7)が含まれている。記番号B71に含まれる複数の文字の縦方向中央を結んだ線L51は、紙幣の長辺と平行である。記番号B71に含まれる複数の文字は、左端(つまり、“1”)から右端(つまり、“7”)に向かうにつれて、文字の大きさが小さくなっている。フォントパターンF21は、例えば、記番号を含む所定の矩形状領域R50の外部の左端部の上下の領域R51、R52で記番号が検出され、この矩形状領域R50の外部の右端部の上下の領域R53、R54で記番号が検出されなかった場合には、フォントパターンF21であると判定される。この判定により、文字検出部132は、フォントパターンF21に対応するテンプレートを用いて、記番号B71に含まれる複数の文字のそれぞれの位置を特定する。なお、図31(b)において、文字“1”を囲う枠の左上の角を、上記矩形状領域R50の左上の頂点とした場合は、矩形状領域R50の外部の左端部の下の領域R52で記番号が検出され、この矩形状領域R50の外部の右端部の下の領域R54で記番号が検出されなかった場合に、フォントパターンF21であると判定してもよい。また、図31(b)において、文字“1”を囲う枠の左下の角を、上記矩形状領域R50の左下の頂点とした場合は、矩形状領域R50の外部の右端部の上の領域R51で記番号が検出され、この矩形状領域R50の外部の右端部の上の領域R53で記番号が検出されなかった場合に、フォントパターンF21であると判定してもよい。このようにすると、さらに判定処理の負荷を小さくすることができる。
また、図31(d)に示すように、第1変形例で識別する紙幣の記番号B72には、複数の文字(つまり、1、A、B、2、3、4、5、6、7)が含まれている。記番号B72に含まれる複数の文字の縦方向中央を結んだ線L51は、紙幣の長辺と平行である。記番号B72に含まれる複数の文字は、左端(つまり、“1”)から右端(つまり、“7”)に向かうにつれて、文字の大きさが大きくなっている。フォントパターンF22は、例えば、記番号を含む所定の矩形状領域R50の外部の左端部の上下の領域R51、R52で記番号が検出されず、この矩形状領域R50の外部の右端部の上下の領域R53、R54で記番号が検出された場合には、フォントパターンF22であると判定される。この判定により、文字検出部132は、フォントパターンF22に対応するテンプレートを用いて、記番号B72に含まれる複数の文字のそれぞれの位置を特定する。
第1変形例では、フォントパターンF21とフォントパターンF22とを判定するために、紙葉類識別装置1は、図7のフローチャートのステップS25において、第2領域R12の代わりに、領域R51、R52、R53、R54を設定する。そして、紙葉類識別装置1は、図7のフローチャートのステップS26において、領域R51、R52、R53、R54で、記番号が検出されたか否かについて判定する。領域R51およびR52で記番号が検出され、領域R53およびR54で記番号が検出されなかった場合には、紙葉類識別装置1は、処理対象の紙幣の記番号は、図31(a)に示すフォントパターンF21であると判定する。また、領域R51およびR52で記番号が検出されず、領域R53およびR54で記番号が検出された場合には、紙葉類識別装置1は、処理対象の紙幣の記番号は、図31(c)に示すフォントパターンF22であると判定する。
第1変形例によれば、紙幣の記番号が、フォントパターンF21およびフォントパターンF22のいずれであっても、両者を正しく識別することができる。第1変形例によれば、紙幣の記番号に含まれる複数の文字の大きさが、所定方向(例えば、紙幣の長手方向)に、徐々に変化する場合であっても、そのフォントパターンを正しく識別することができる。
[第2変形例]
次に、第2変形例について説明する。図32は、第2変形例に係る記番号とフォントパターン判定処理の一例を示す図である。第2変形例では、図32(a)および(b)に示される記番号のフォントパターンF31と、図32(c)および(d)に示される記番号のフォントパターンF32とを判定できるようにする。
図32(b)に示すように、第2変形例で識別する紙幣の記番号B81には、複数の文字(つまり、1、A、B、2、3、4、5、6、7)が含まれている。記番号B81に含まれる文字6、7の大きさは、他の文字1、A、B、2、3、4、5の大きさよりも小さくなっている。フォントパターンF31は、例えば、記番号を含む所定の矩形状領域R60の外部の左右方向の所定位置(ここでは、左から3番目と4番目の文字位置)の上下の領域R61、R62で記番号が検出され、この矩形状領域R60の外部の右端部の上下の領域R63、R64で記番号が検出されなかった場合には、フォントパターンF31であると判定される。この判定により、文字検出部132は、フォントパターンF31に対応するテンプレートを用いて、記番号B81に含まれる複数の文字のそれぞれの位置を特定する。
また、図32(d)に示すように、第2変形例で識別する紙幣の記番号B82には、複数の文字(つまり、1、A、B、2、3、4、5、6、7)が含まれている。記番号B82に含まれる文字B、2の大きさは、他の文字1、A、3、4、5、6、7の大きさよりも小さくなっている。フォントパターンF32は、例えば、記番号を含む所定の矩形状領域R50の外部の領域R61、R62で記番号が検出されず、この矩形状領域R60の外部の領域R63、R64で記番号が検出された場合には、フォントパターンF32であると判定される。この判定により、文字検出部132は、フォントパターンF32に対応するテンプレートを用いて、記番号B82に含まれる複数の文字のそれぞれの位置を特定する。
第2変形例では、フォントパターンF31とフォントパターンF32とを判定するために、紙葉類識別装置1は、図7のフローチャートのステップS25において、第2領域R12の代わりに、領域R61、R62、R63、R64を設定する。そして、紙葉類識別装置1は、図7のフローチャートのステップS26において、領域R61、R62、R63、R64で、記番号が検出されたか否かについて判定する。領域R61およびR62で記番号が検出され、領域R63およびR64で記番号が検出されなかった場合には、紙葉類識別装置1は、処理対象の紙幣の記番号は、図32(a)に示すフォントパターンF31であると判定する。また、領域R61およびR62で記番号が検出されず、領域R63およびR64で記番号が検出された場合には、紙葉類識別装置1は、処理対象の紙幣の記番号は、図32(c)に示すフォントパターンF32であると判定する。
第2変形例によれば、紙幣の記番号に含まれる複数の文字の一部が、他の文字よりも小さい場合であっても、そのフォントパターンを正しく識別することができる。
[第3変形例]
次に、第3変形例について説明する。図33は、第3変形例に係る記番号とフォントパターン判定処理の一例を示す図である。第3変形例では、図33(a)および(b)に示される記番号のフォントパターンF41と、図33(c)および(d)に示される記番号のフォントパターンF42とを判定できるようにする。
図33(b)に示すように、第3変形例で識別する紙幣の記番号B91には、複数の文字(つまり、1、A、B、2、3、4、5、6、7)が含まれている。記番号B91に含まれる文字1、Aの大きさは、他の文字B、2、3、4、5、6、7の大きさよりも大きくなっている。フォントパターンF41は、例えば、記番号を含む所定の矩形状領域R70の外部の左端部の上下の領域R71、R72で記番号が検出され、この矩形状領域R70の外部の左右方向の所定位置(図33(a)では、“4”、“5”の文字位置)の上下の領域R73、R74で記番号が検出されなかった場合には、フォントパターンF41であると判定される。この判定により、文字検出部132は、フォントパターンF41に対応するテンプレートを用いて、記番号B91に含まれる複数の文字のそれぞれの位置を特定する。
また、図33(d)に示すように、第3変形例で識別する紙幣の記番号B92には、複数の文字(つまり、1、A、B、2、3、4、5、6、7)が含まれている。記番号B92に含まれる文字4、5の大きさは、他の文字1、A、B、3、6、7の大きさよりも大きくなっている。フォントパターンF42は、例えば、記番号を含む所定の矩形状領域R70の外部の領域R71、R72で記番号が検出されず、この矩形状領域R70の外部の領域R73、R74で記番号が検出された場合には、フォントパターンF42であると判定される。この判定により、文字検出部132は、フォントパターンF42に対応するテンプレートを用いて、記番号B92に含まれる複数の文字のそれぞれの位置を特定する。
第3変形例では、フォントパターンF41とフォントパターンF42とを判定するために、紙葉類識別装置1は、図7のフローチャートのステップS25において、第2領域R12の代わりに、領域R71、R72、R73、R74を設定する。そして、紙葉類識別装置1は、図7のフローチャートのステップS26において、領域R71、R72、R73、R74で、記番号が検出されたか否かについて判定する。領域R71およびR72で記番号が検出され、領域R73およびR74で記番号が検出されなかった場合には、紙葉類識別装置1は、処理対象の紙幣の記番号は、図33(a)に示すフォントパターンF41であると判定する。また、領域R71およびR72で記番号が検出されず、領域R73およびR74で記番号が検出された場合には、紙葉類識別装置1は、処理対象の紙幣の記番号は、図33(c)に示すフォントパターンF33であると判定する。
第3変形例によれば、紙幣の記番号に含まれる複数の文字の一部が、他の文字よりも大きい場合であっても、そのフォントパターンを正しく識別することができる。
以上の通り、本願では、
(1) 例えば、第1~第4実施形態では、紙葉類識別装置1は、紙葉類(例えば、紙幣)の固有番号(例えば、記番号)が紙葉類にどのように印字されているかを示す少なくとも1つのフォントパターンF11、F22と、少なくとも1つのフォントパターンF11、F12において固有番号に含まれる複数の文字が記載される位置を示すテンプレートT11、T12とを関連付けて、紙葉類の種類(金種C11、C12)ごとに予め記憶する記憶部14と、紙葉類の種類を識別する識別部12(金種識別部12とも称する)と、紙葉類を撮像した画像において、固有番号の少なくとも一部を含む第1領域R11の外部に設定される第2領域R12に基づいて、記憶部14が記憶している少なくとも1つのフォントパターンF11、F12の中から、識別部12が種類を識別した紙葉類のフォントパターンを判定する判定部131と、判定部131が判定したフォントパターンに対応付けられたテンプレートを、記憶部14から読み出して、固有番号に含まれる複数の文字を検出する文字検出部132と、を備える。これにより、同一の種類の紙葉類に、異なるフォントパターンで固有番号が印字される場合であっても、フォントパターンを正しく識別することができる。
(2) 例えば、第1~第4実施形態では、判定部131は、第2領域R12に、固有番号の少なくとも一部が含まれるか否かを判定することにより、識別部12が種類を識別した紙葉類のフォントパターンを判定する。これにより、第2領域R12に、固有番号の少なくとも一部が含まれるか否かに基づいてフォントパターンを判定するため、記番号領域全体を対象にしてフォントパターンを判定する場合と比較して、判定処理の負荷を小さくすることができる。
(3) 例えば、第1~第4実施形態では、判定部131は、第1領域R11及び第2領域R12の背景を除去した後で、フォントパターンを判定する。これにより、固有番号に含まれる複数の文字と、背景とが同じ領域に印刷されている場合であっても、フォントパターンを正しく判定することができ、複数の文字を正しく認識することができる。
(4) 例えば、第4実施形態では、判定部131は、紙葉類を撮像した画像において、第1領域の外部に設定される第3領域に更に基づいて、記憶部14が記憶している少なくとも1つのフォントパターンの中から、識別部12が種類を識別した紙葉類のフォントパターンを判定する。これにより、紙幣の複数の領域(例えば、図30(d)の第2領域R42および第3領域R43)に基づいて、フォントパターンを判定することができるため、フォントパターンの判定が誤る可能性を低くすることができる。
なお、第1実施形態などでは、紙幣の記番号が、紙幣の右上及び左下の領域に印字される場合について説明したが(図2(a)~(c)、図10、図17、図24参照)、これに限定されるものではない。例えば、紙幣の記番号は、紙幣の特定の領域(例えば、紙幣の左上、右下などの領域)に印字されてもよい。
また、第1実施形態では、図7のステップS26で、処理対象の紙幣に用いられているフォントパターンが、2つのフォントパターンF11、F12のいずれであるかについて判定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1実施形態では、図7のステップS25において、第2実施形態に関する図14のステップS35の処理も同時に行うことにより、つまり、図8(d)に示す第2領域R12とともに、図16(d)に示す第2領域R22を設定して、それらの第2領域R12、R22で記番号が検出されたか否かに基づいて、処理対象のフォントパターンが、フォントパターンF11、F12、F13のいずれであるかを判定するようにしてもよい。
なお、上述した例では、紙幣の全体画像の右上領域の画像だけを取得して、その画像に基づいて、紙幣の印字に用いられているフォントパターンを判定するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、紙幣の全体画像の右上領域の画像と左下領域の画像を取得して、それらの2つの画像に基づいて、紙幣の印字に用いられているフォントパターンを判定するようにしてもよい。また、紙幣の全体画像の左下領域の画像を取得して、その画像に基づいて、紙幣の印字に用いられているフォントパターンを判定するようにしてもよい。
なお、図1のブロック図で示す紙葉類識別装置1の各部の機能や、図6、図7、図14、図21、図28のフローチャートで示す紙葉類識別装置1による各処理を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、それらの処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含む。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうる様々な変更、改良が含まれる。