JP7369495B1 - 自動溶解検知システムおよび検知方法 - Google Patents

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Abstract

【要約】【課題】化合物の合成に用いられ、撹拌中に色が変化する反応物を生成する場合において、反応物の撹拌動作を適切なタイミングにて自動的に終了させることができ、化合物の合成の自動化にとって好適なものとする。【解決手段】化合物の合成に際し、試料と溶媒とを溶解させて、色の変化を伴う反応物18を生成するために、試料と溶媒とを反応容器17内にて撹拌する撹拌機20と、撹拌機20の撹拌動作に伴う、反応物18の色の変化を光学的に検出する検出器30と、検出器30の検出出力に基づいて、反応物18の色の変化が予め規定される規定時間内に規定値範囲から逸脱しないことが確認された場合に、撹拌機20による反応物18の撹拌動作が終了したと判断するPLC10と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、合成装置において化合物の合成に用いられ、撹拌中に色(色味)の変化を伴う反応物を生成するための自動溶解検知システムおよび検知方法に関する。
従来、化合物の合成を、コンピュータ制御により自動的に行うことが可能な自動合成装置が提案されている。この自動合成装置によれば、多種多様な任意の化合物の合成を全自動的に行うことが可能とされる。
特開平5-192563号公報
しかしながら、従来の、特に、有機系の化合物を合成する有機合成の分野において、化合物の合成に用いられる反応物の生成に際して、試薬固体または液体)が溶媒(液体)に完全に溶解したかどうかは、過剰な時間の撹拌を行うことでカバーしている。既知の反応であれば実績から必要な撹拌時間を予測することが可能であるが、未知の反応の場合は予測ができないため、反応物として十分に混ざり合う以上の長時間にわたって撹拌動作を継続させることで、完全に溶解したことを保証していた。
化合物を合成するための反応物として完全に溶解したかどうかは、目視により確認することも可能であるが、人が付いていないと次工程に移行できないなど、自動化を妨げる要因となる。
即ち、撹拌動作の終了のタイミングは目視することによって判断できるものの、撹拌動作を適切なタイミングにて自動的に終了させるのは困難であった。
自動化を補助する手法として、先行技術文献に挙げたようなpH値をモニタリングする手法や粘度をモニタリングすることで可能になる反応もあるが、pH値や粘度の変化がない反応には対応できない。また、それらのモニタリングには、容器内の液部にセンサを浸す必要があり、撹拌翼などとの干渉が問題になることがある。
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、化合物の合成に用いられ、撹拌中に色が変化する反応物を生成する場合において、撹拌動作を適切なタイミングにて自動的に終了させることができ、化合物の合成の自動化にとって好適な自動溶解検知システムおよび検知方法を提供することにある。
上記課題を達成するため、本発明の態様は、試薬と溶媒とを溶解させて、色の変化を伴う反応物を生成するために、前記試薬と前記溶媒とを反応容器内にて撹拌する撹拌機と、前記撹拌機の撹拌動作に伴う、前記反応物の色の変化を光学的に検出する検出器と、前記検出器の検出出力に基づいて、前記反応物の色の変化が予め規定される規定時間内に規定値範囲から逸脱しないことが確認された場合に、前記撹拌機による前記反応物の撹拌動作が終了したと判断する判断部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の他の態様は、試薬と溶媒とを溶解させて、色の変化を伴う反応物を生成するために、反応容器内にて、前記試薬と前記溶媒とを撹拌機により撹拌する工程と、前記撹拌機の撹拌動作に伴う、前記反応物の色の変化を検出器により光学的に検出する工程と、前記検出器の検出出力に基づいて、前記反応物の色の変化が予め規定される規定時間内に規定値範囲から逸脱しないことが確認された場合に、前記撹拌機による前記反応物の撹拌動作の終了を判断部によって判断する工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、化合物の合成に用いられ、撹拌中に色が変化する反応物を生成する場合において、撹拌動作を適切なタイミングにて自動的に終了させることができ、化合物の合成の自動化にとって好適な自動溶解検知システムおよび検知方法を提供できる。
本発明の実施形態に係る合成装置の構成例を示す概略図である。 本実施形態に係る合成装置の動作例を説明するために示す図である。 合成装置の他の動作例を説明するために示す図である。 合成装置の他の動作例を説明するために示す図である。 合成装置の他の動作例を説明するために示す図である。 本発明の他の実施形態に係る合成装置の構成例を示す概略図である。 各実施形態に係る合成装置の構成を対比して示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る自動溶解検知システムおよび検知方法について説明する。なお、実施の形態において、図面は、発明の概要を模式的に示すものであって、実際のものとは異なるものであることに留意すべきである。
実施形態
図1は、本発明の実施形態に係る自動溶解検知システムが適用される合成装置(第1のシステム)の概略構成を模式的に示すものである。ここでは、化合物を合成する有機(系)の合成装置において、試料(試薬)を溶媒に溶解させて、色の変化を伴う反応物(混合物)を撹拌により生成する際に、固液撹拌もしくは液液撹拌を適切なタイミングで自動的に終了できるように構成した場合について説明する。
本実施形態に係る合成装置は、例えば図1に示すように、判断部としてのPLC(Programmable Logic Controller)10、撹拌機20、検出器としての光電センサ(S)30、センサアンプ12、および、反応容器17などを備えて構成されている。
反応容器17は、撹拌中に色の変化を伴う反応物を生成するために試料と溶媒とが投入されるもので、撹拌により溶解させることによって試料と溶媒との反応物18を生成するためのものである。反応容器17は、図示せぬジャケット(ガラス窓を有する簡易蓋)付きのガラス容器や、側面または天井面にビューポートを備えた金属容器によって構成されている。
反応容器17は、撹拌時にヒータ14により加熱されるオイルバス15内のオイル16によって、例えば最大(max)で80℃まで加温されるようになっている。
反応容器17内の温度を測定するために、使用する溶媒に対して耐薬品性を有する温度センサを備えるようにしても良い。
撹拌機20は、モータ(M)22と、モータ22によって回転される回転軸24と、回転軸24の回転に伴って、反応容器17内の試料と溶媒とを撹拌する回転翼26と、から構成されている。回転翼26としては、翼径が反応容器17の半径程度のものが用いられる。
回転軸24および回転翼26には、使用する溶媒に対して耐薬品性を有するものが用いられる。
光電センサ30は、ガラス越しやガラス窓またはビューポートを介して反応容器17内に光を照射することによって、反応物18の色の変化を数値化するためのカラーセンサ(例えば、キーエンス社製のホワイトスポット光電センサ、LR-Wシリーズ)である。このカラーセンサは、外部において、反応物18からの赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のそれぞれの比率(受光比率)と受光量率とを検出するようになっている。
センサアンプ12は、光電センサ30の出力(センサ値)が初期登録値とどれだけ一致しているかの一致度を出力するものである。
PLC10は、センサアンプ12からの出力を監視するものである。このPLC10には、上述したヒータ14、撹拌機20、および、光電センサ30のほか、操作部(I/Oユニット)11、報知部13などが接続されている。また、PLC10は、内部メモリ(図示省略)を有している。
操作部11は、ユーザ(作業者)が操作するもので、撹拌工程の開始(溶解開始)の指示や、必要に応じて、撹拌工程の終了(溶解終了)の指示などが入力される。
報知部13は、溶解終了をランプの点灯もしくは点滅やブザー音の鳴動により作業者に報知するためのものである。この報知部13によって、次工程の開始、例えば反応容器17からの反応物18の取り出し、または、別の試料の反応容器17内への投入や、晶析の開始などを報知させることも可能である。
なお、内部メモリには、反応物18の色が初期登録値と一致しているかを判断する際の基準となる、例えば、「規定時間」および「規定値幅」に関するデータや初期登録値などが記憶される。
図2は、本実施形態に係る合成装置の動作例として、PLC10での溶解終了の自動検出方法(生成方法)について説明するために示すものである。ここでは、横軸を時間、縦軸をセンサ値とし、時間の経過に伴うセンサ値の変化を示している。
PLC10では、例えば図2に示すように、試料を溶媒に溶かす撹拌工程時において、光電センサ30の出力であるセンサ値が、予め規定される規定時間内に規定値幅の範囲から逸脱するか否かを確認する。
即ち、規定の時間(例えば、30秒間)に、センサ値が規定値幅(例えば、100ポイント)内に収まらない場合、PLC10は、溶解が終了していないと判断(NG)し、撹拌機20による撹拌動作を継続させる。
これに対し、規定の時間に、センサ値が規定値幅内に収まった場合、PLC10は、その時点において、反応物18の色の変化がなくなって、溶解が完全に終了したと判断(OK)する。そして、撹拌機20による撹拌動作を終了させるために、報知部13を制御して、溶解終了を作業者に報知させる。
なお、撹拌動作の終了は、報知部13によって溶解終了を知らされた作業者が操作部11を操作することによって手動で行うようにしても良いし、PLC10が撹拌機20を制御して自動的に行わせるようにすることも可能である。
よって、撹拌動作の終了を自動的に制御するようにした場合には、現場に人がいなくとも次工程への移行が可能となるなど、溶解時間を必要以上に長時間化させることなく、化合物の合成の自動化を容易に実現できるものである。
上記したように、本実施形態においては、撹拌動作の開始時(溶解前)と溶解後とで反応物18に色の変化が起きることを条件とし、光電センサ30からのセンサ値が予め規定される一定の規定時間内に規定値幅の範囲から逸脱するか否かを監視するようにしている。
即ち、撹拌中に色が変化する反応物18を生成する場合に、反応物18の色の変化がなくなって、センサ値が安定したタイミングを、溶解(撹拌動作)が終了した合図として自動的に検出するようにしている。
これにより、試料が溶媒に完全に溶解したことを、目視によらず、自動で確認できるようになる。したがって、現場に人がいないと次工程に進むことができず、自動化(無人化)するためには、撹拌動作の時間が必然的に長くなるといった従来の課題を解消することが可能となる。
なお、本実施形態の場合、反応物18の色の変化を監視する光電センサ30のセンサ値は、初期登録値とどれだけ一致しているかを数値化したものであるが、溶解終了の合図とするのは、規定時間内での色の変化がなくなったタイミングとなる。そのため、合成の都度、光電センサ30の初期時や終了時の値を調整などする必要がない。
即ち、例えば図3に示すように、センサ値が撹拌開始時よりも溶解後の方が高くなる(初期登録値に近くなる)場合にも、問題なく、撹拌終了のタイミング(OK)を検出することが可能である。
また、例えば図4に示すように、撹拌中に試料の偏りや化学反応などによって色の変化が二段階(多段階)で発生したとしても、最終的に安定した状態のみを、撹拌終了のタイミング(OK)として検知可能である。
図5は、本実施形態に係る合成装置の他の動作例として、複数のチャネル(ch)を同時に監視するようにした場合を例に示すものである。ここでは、横軸を時間、縦軸をセンサ値とし、時間の経過に伴うセンサ値(例えば、ch1=R系統色で登録,ch2=G系統色で登録,ch3=B系統色で登録)の変化を示している。
全てのチャネル(ch1,ch2,ch3)で数値の変化がなくなったタイミングを、撹拌終了のタイミングと見なすことができる。
なお、本図は、縦軸の数値の上限が異なるものの、後述する、第2のシステムにおけるセンサ値の変化(例えば、ch1=R,ch2=G,ch3=B)の説明や、第3のシステムにおけるセンサ値の変化(例えば、ch1=H,ch2=S,sh3=V)の説明にも適用できる。
図6は、本発明の実施形態に係る合成装置(第2のシステム)の概略構成を模式的に示すものである。ここでは、常時RGBのそれぞれの数値をPLC10で監視し、全ての要素について、規定期間内の変化量が規定値幅の範囲内に収まった状況を判断可能とするために、Webカメラ(検出器)31を備えた画像処理判断システムとして構築した場合を例示している。
即ち、本実施形態に係る合成装置は、例えば図6に示すように、判断部としての産業用PC(パーソナルコンピュータ)1、撹拌機20、Webカメラ31、および、反応容器(図示省略)用のヒータ14などを備えて構成されている。
本実施形態の場合、Webカメラ31によって撮影した反応物18の指定範囲内のRGB値(偏差や平均)をそれぞれ取得し、市販の画像処理ビジュアルプログラミングツールを用いて、反応物18の溶解終了のタイミングを検出するようにしたものである。
本実施形態によれば、産業用PC1により、特にPLC10を用いずとも、反応物18の溶解終了のタイミングを検出することが可能となる。
図7は、各実施形態に係る合成装置の構成を対比して示すものである。ここでは、第3のシステムとして、通信されたHSVのそれぞれの数値をPLCで監視し、全ての要素について、規定期間内の変化量が規定値幅の範囲内に収まった状況を判断可能とするために、画像判別センサを検出器として用い、反応物18のH(色相),S(彩度),V(明度)に基づいて、溶解終了のタイミングを検出するようにした合成装置を新たに追加している。
図7からも明らかなように、設置環境や試薬の特長を捉えて選定することで、第3のシステムのように、全ての要素において対応することも可能であるし、条件があえば第1のシステムのように安価に対応することも可能である。
以上、本実施形態によれば、撹拌中に色が変化する反応物18を生成する場合において、撹拌動作を適切なタイミングにて自動的に終了させることができ、化合物の合成の自動化にとって好適な合成装置および合成方法を提供できる。
特に、研究部門では、試料や溶媒の種類や条件を変えて化合物の合成を行うため、必要な撹拌時間を予想しづらく、人がいないと次の工程へ移れないという現状がある。このような場合にも、溶解終了のタイミングを見極めるのに人の判断が不要となるとともに、溶解終了後の操作(工程)を自動化することが可能となるなど、人の介入が不要となり、自動化に伴う省人化や無人化が可能となる。
しかも、必要以上に撹拌する時間を設ける必要がなくなり、時間の短縮化が容易に可能となる。
また、試料や反応容器17の構造によっては目視しづらいこともあり、作業者の感覚に頼る場合もある。このような場合にも、溶解終了の判断にセンサ値を利用することにより、反応物18の色の変化が数値化されるので、人の感覚ではなく、常に同じタイミングで溶解終了を判断することが可能となり、定量化できるとともに、再現性にも優れる。
なお、定量化に応じて数値化されたデータを履歴から参照できるようにすることで、分析時や評価時などにおいて、とても有益となる。
また、本実施形態によれば、大規模な装置に限らず、多様な条件下で行われる研究室レベルの実験装置にも応用可能である。
即ち、使用する試料ごとに初期値などを設定する必要があるセンサの場合、研究用としては使い勝手が悪いという欠点がある。このような場合にも、採用する光電センサ30によっては、初めて扱う試料であっても新たな設定などが不要となり、濃度の異なる同じ試料の場合にも容易に対応可能となる。
しかも、本実施形態によれば、反応容器17内に取り付けるセンサと比べて、取り付け場所に自由度があり、大きなスペースも不要のため、既存の装置への取り付けが容易であり、汎用性が高い。つまり、光電センサ30は、反応容器17の形状や材質に依存しないため、内部を覗ける窓(ビューポート)さえあれば、既存の装置への取り付けが容易で、汎用性に優れる。
また、非接触式であり、反応容器17の外部に取り付けることが可能であるため、回転翼26との干渉を考慮する必要がなく、交換が容易であり、メンテナンス性や流用性に優れる。例えば、反応物18のpH値の変化を検出するpH計や粘土の変化を検出する粘度計に比べ、部品コスト的に安価である。また、反応物18と直に接触しない分、耐薬品性を考慮する必要もないため、劣化がなく、長寿命である。また、メンテナンスが容易で、シビアな管理も必要なく、ランニングコストにおいても優位である。
よって、薬品などの化合物によらず、食品(飲料)やペンキ、化粧品など、様々な装置への適用が期待される。
以上、実施の形態を例示して本発明の態様について説明したが、一例であり、特許請求の範囲に記載される発明の範囲は、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更できるものである。
1 産業用PC
10 PLC(判断部)
11 操作部
12 センサアンプ
13 報知部
17 反応容器
18 反応物(混合物)
20 撹拌機
26 回転翼
30 光電センサ(検出器)
31 Webカメラ(検出器)

Claims (5)

  1. 試薬と溶媒とを溶解させて、色の変化を伴う反応物を生成するために、前記試薬と前記溶媒とを反応容器内にて撹拌する撹拌機と、
    前記撹拌機の撹拌動作に伴う、前記反応物の色の変化を光学的に検出する検出器と、
    前記検出器の検出出力に基づいて、前記反応物の色の変化が予め規定される規定時間内に規定値範囲から逸脱しないことが確認された場合に、前記撹拌機による前記反応物の撹拌動作が終了したと判断する判断部と、
    を備えたことを特徴とする自動溶解検知システム。
  2. 前記検出器は、前記反応物の色が初期登録値と一致しているかの差分を検出するものであって、前記反応物の色の変化を赤、緑、青の光量の比として検出する、センサアンプ付きのカラーセンサであることを特徴とする請求項1に記載の自動溶解検知システム。
  3. 前記検出器は、前記反応物の色の変化を赤、緑、青の要素として個別に認識可能なWebカメラであることを特徴とする請求項1に記載の自動溶解検知システム。
  4. 前記検出器は、前記反応物の色の変化を色相、彩度、明度として個別に認識可能な画像判別センサであることを特徴とする請求項1に記載の自動溶解検知システム。
  5. 試薬と溶媒とを溶解させて、色の変化を伴う反応物を生成するために、反応容器内にて、前記試薬と前記溶媒とを撹拌機により撹拌する工程と、
    前記撹拌機の撹拌動作に伴う、前記反応物の色の変化を検出器により光学的に検出する工程と、
    前記検出器の検出出力に基づいて、前記反応物の色の変化が予め規定される規定時間内に規定値範囲から逸脱しないことが確認された場合に、前記撹拌機による前記反応物の撹拌動作の終了を判断部によって判断する工程と、
    を備えたことを特徴とする自動溶解検知方法。
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