JP7368821B2 - 美容商品の推奨判別方法及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、ユーザに美容商品を推奨すべきか否かを機械学習を用いて判別する方法及びシステムに関する。
ユーザの肌状態を問診データに基づいて評価する肌状態判定を行う技術として、例えば、本発明者による特許文献1(特許第5419004号公報)に開示された技術が知られている。この技術は、あらかじめ多数の被検者から年齢別に問診して基礎データを収集し、基礎データから因子分析法により皮脂過剰因子と肌乾燥因子を抽出しておき、特定の年齢のユーザに問診したとき、その問診データに基づいてユーザの肌タイプを2次元的に分類する技術である。この技術により得られる肌タイプの分類の結果は、適切な美容商品、すなわち化粧品や美容サービス等を選択してユーザに提供するために用いることができる。
本発明者は、この特許発明を実施する過程で新たに、本明細書で初めて開示するところの3つの気付きを得た。
第一の気付きは、各ユーザに適切な美容商品を選択して提供するためには、設問セットを見直して、肌タイプに加えてユーザの美容意識を把握できるようにする必要があることである。上記の皮脂過剰因子と肌乾燥因子による肌タイプの2次元分類は、化粧品分類において、洗顔・クレンジング・化粧水・乳液・ミルクなどの基礎化粧品群と相関が大きい。化粧品には、基礎化粧品群の他に、美容液やクリーム等のエステティック化粧品群、ファンデーション等のベースメーク化粧品群、口紅等のポイントメーク化粧品群といった種類がある。これら基礎化粧品群以外の種類の化粧品の購買における顧客心理を把握する上で、上記の肌タイプの2次元分類のみでは完全とは言えない。設問セットを工夫して、ユーザの上記肌タイプに加えて、ベースメークやエステティックに関わるユーザの美容意識を的確に把握できることが望ましい。
第二の気付きは、ユーザの美容意識を把握する上で、問診の設問に対するユーザの回答を利用できることはもちろんであるが、それに加えて、ユーザが普段利用している美容商品が何であるかという情報が非常に有用であることである。
第三の気付きは、ビッグデータを用いた機械学習の手法を用いるならば、必ずしもユーザの肌タイプと美容意識の把握という段階を経なくても、設問に対するユーザの回答から直接に、ある美容商品がユーザにとって適切か否かを判別することが可能になることである。その際、機械学習の応用事例においてしばしば見受けられるように判別の根拠がブラックボックスに閉じこめられて不明となることを回避するために、後述のシグモイド協調フィルタリングの手法を利用又は併用することで、ユーザの肌タイプ及び美容意識を潜在特徴量として明らかにしつつ、美容商品がユーザに適切か否かを判別することができる。
特許文献2(特表2012-523947)には、年齢、性別、体感、肌の状態及び色つや、睡眠パターン、食習慣、エネルギレベル、ストレスレベル、身体の健康状態及び情緒的健康などの質問を含むアンケートに回答することで、伝統中国医学の原理に基づいたユーザの肌組成を分類するコンピュータシステムの技術が開示され、判定された当該肌組成に基づいて、ユーザに肌に効果のある製品を推奨することが記載されている。同文献には、上記肌組成の分類処理において弁別的分析を用いる実施例が開示され、また、実施例の記載はないものの、上記分類処理においてロジスティック回帰、サポートベクトルマシン、ニューラルネットワークなどを用い得ることが記載されている。しかし、同文献には
、ユーザの美容意識を知ることの重要性についての記載はなく、ユーザが普段利用している美容商品が何であるかという情報を用いることも記載されていない。また、同文献には、肌組成と効果のある製品を関連させる具体的な統計処理方法についての言及はなく、製品がユーザにとって適切であるか否かを機械学習の手法により、肌組成の分類という段階を経ずに、そのユーザのアンケートの回答から直接に判別することも記載されていない。
特許文献3(特開2002-157469号公報)には、年齢、性別、生活環境、肌の水分量、皮脂量、肌の悩み、肌の感度、肌の感触の好みに関するチェックリストに回答することで自動的にユーザの肌質を決定する手段を有する化粧品購入システムの発明が開示されている。ここで、ユーザの肌質は、敏感、すべての肌質、混合肌質、普通肌質、オイリー肌質、及び、乾燥肌質に分類される。また、当該システムは、ユーザの肌に関する情報と関連付けられた化粧品名を含む化粧品データを蓄積しており、この化粧品データをユーザ端末に送信することができる。しかし、同文献には、ユーザの美容意識を知ることの重要性についての記載はなく、ユーザが普段利用している美容商品が何であるかという情報を用いることも記載されず、肌タイプと化粧品を関連させる具体的な統計処理方法についても記載されていない。
特許文献4(特許第6404677号公報)には、肌に関する問診データと、角質および/または皮脂の画像データに、データ処理を施して診断データとし、これら診断データを演算して肌診断結果を出力する肌状態の判定システムが開示されている。しかし、この技術は肌状態の判定にとどまる。同文献には、肌状態と、肌状態に相応しい化粧品とを関連させる具体的な統計処理方法についての記載はない。
特許文献5(特開2017-120595号公報)には、化粧料の塗布状態をアンケートで評価する場合に、回答精度を向上させる方法の発明が開示されている。この発明においては、評価用語(上記の設問項目に対応)に対する回答である評価値に基づいて評価得点を算出し、総称的評価用語(上記の肌タイプに対応)の分類ごとに評価得点を集計し、集計結果を含む評価結果を出力する。しかしながら、発明の開示は化粧料の塗布状態の評価方法にとどまっており、ユーザの肌タイプや美容意識について評価したい場合に、どのような評価用語や総称的評価用語を採用すべきなのか、また、上記の場合に評価用語に基づいて評価得点はどのように設定すべきなのか、と言った点については全く不明である。また、同文献には、普段使用している化粧品の種類等の、化粧料の塗布状態以外の設問をアンケートに加えてもよい旨が記載されているが、そのような設問に対するユーザの回答が、ユーザの肌タイプ又は美容意識の評価や、化粧料がそのユーザに相応しいか否かの判別に、具体的にどのように利用されるのか、という点については一切言及されていない。
特許第5419004号公報 特表2012-523947 特開2002-157469号公報 特許第6404677号公報 特開2017-120595号公報
上述の通り、問診データ等に基づいてコンピュータにより、ユーザの肌タイプや美容意識を評価したり、美容商品がユーザに相応しいか否かを判別したりする従来の技術には、第一に、ユーザの肌タイプだけでなく美容意識を把握することの重要性を認識していないこと、第二に、肌タイプや美容意識の評価や、相応しい美容商品の判別に、ユーザが普段
利用している美容商品が何か、という情報を活用していないこと、第三に、美容商品がユーザに相応しいか否かを判別するためには、あらかじめユーザの肌タイプや美容意識の評価が必要であると暗黙のうちに仮定していること、第四に、ユーザの肌タイプや美容意識と、ユーザに相応しい美容商品と、をコンピュータによる統計処理を利用して関連させる方法が不明であること、等の課題があった。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、ビッグデータを用いた機械学習の手法によって、ユーザが普段利用している美容商品が何かという情報を含む問診データ等に基づいて、美容商品がユーザに相応しいか否かを判別することができる美容商品の推奨判別方法及びシステムを提供することである。本発明の更なる目的は、上記の機械学習の手法によって、前記情報を含む問診データ等に基づいて、ユーザの美容意識を評価することができる美容商品の推奨判別方法及びシステムを提供することである。
本発明は、係る課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の形態は、ユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かをコンピュータ制御プログラムの実行により判別する方法であり、前記コンピュータ制御プログラムは、機械学習を用いた美容商品の推奨判別プログラムを有し、あらかじめ用意した、多数のユーザのユーザ特徴量と、それらのユーザに対する美容商品の推奨度を表す数値と、を機械学習のための訓練用データとし、前記ユーザvの前記美容商品g以外のアイテムに係るユーザ特徴量を変数として、前記推奨判別プログラムを実行することによって、ユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かを判別することを特徴とする美容商品の推奨判別方法である。
本発明の第2の形態は、前記ユーザに対する美容商品の推奨度を表す数値が、当該ユーザによる当該美容商品の利用有無を表す数値である美容商品の推奨判別方法である。
本発明の第3の形態は、前記アイテムが、美容商品と、美容についての設問と、を含む美容商品の推奨判別方法である。
本発明の第4の形態は、前記推奨判別プログラムが、予測関数の出力値を計算するための予測関数出力値計算手段を有し、前記予測関数はパラメータで規定され、ユーザの前記美容商品g以外のアイテムに係るユーザ特徴量を入力値とし、当該ユーザに対する前記美容商品gの推奨度を表す数値の予測値を出力値とする美容商品の推奨判別方法である。
本発明の第5の形態は、前記推奨判別プログラムが、予測関数の出力値を計算するための予測関数出力値計算手段を有し、前記予測関数は、ユーザuのユーザ潜在特徴量p=p(u)及びアイテムiのアイテム潜在特徴量q=q(i)を入力値とし、ユーザuのアイテムiに係るユーザ特徴量y(u,i)の予測値を出力値とする美容商品の推奨判別方法である。
本発明の第6の形態は、前記推奨判別プログラムが、前記ユーザvのユーザ潜在特徴量を表示するためのユーザ潜在特徴量表示手段を有する美容商品の推奨判別方法である。
本発明の第7の形態は、前記推奨判別プログラムが、判別の適合率及び/又は再現率を表示するための判別精度表示手段を有する美容商品の推奨判別方法である。
本発明の第8の形態は、独立したコンピュータ、又は、互いに双方向に通信可能なサーバと端末からなり、ユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かをコンピュータ制御プログラムの実行により判別する美容商品の推奨判別システムであり、前記コンピュータ制御プログラムは、機械学習を用いた美容商品の推奨判別プログラムを有し、あらかじめ用意し
た、多数のユーザのユーザ特徴量と、それらのユーザに対する美容商品の推奨度を表す数値と、を機械学習のための訓練用データとして記憶するための訓練用データ記憶手段と、前記ユーザvの前記美容商品g以外のアイテムに係るユーザ特徴量を変数として記憶するための変数記憶手段と、を有し、前記推奨判別プログラムを実行することによって、前記訓練用データ及び前記変数に基づき、ユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かを判別することを特徴とする美容商品の推奨判別システムである。
本発明の第9の形態は、前記推奨判別プログラムが、予測関数の出力値を計算するための予測関数出力値計算手段を有し、前記予測関数はパラメータで規定され、ユーザの前記美容商品g以外のアイテムに係るユーザ特徴量を入力値とし、当該ユーザに対する前記美容商品gの推奨度を表す数値の予測値を出力値とする美容商品の推奨判別システムである。
本発明の第10の形態は、前記推奨判別プログラムが、予測関数の出力値を計算するための予測関数出力値計算手段を有し、前記予測関数は、ユーザuのユーザ潜在特徴量p=p(u)及びアイテムiのアイテム潜在特徴量q=q(i)を入力値とし、ユーザuのアイテムiに係るユーザ特徴量y(u,i)の予測値を出力値とする美容商品の推奨判別システムである。
本発明の第11の形態は、前記コンピュータ制御プログラムである。
本発明の第12の形態は、前記コンピュータ制御プログラム、及び/又は前記パラメータ、及び/又は前記アイテム潜在特徴量を記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
本発明の第13の形態は、生徒が、顧客に美容商品gを提供すべきか否かについて学ぶことができるeラーニングシステムであり、独立したコンピュータ、又は、互いに双方向に通信可能なサーバと端末からなり、前記訓練用データ記憶手段を有し、前記推奨判別プログラムを実行できるように構成され、現実の若しくは仮想的なユーザの美容商品g以外に係るユーザ特徴量と前記訓練用データに基づき、前記推奨判別プログラムを実行して得られる判別結果を表示する判別結果出力手段、及び/又は、当該判別結果と生徒自身による判別結果とを比較する判別結果比較手段、を有することを特徴とするeラーニングシステムである。
本発明の第1の形態によれば、ユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かをコンピュータ制御プログラムの実行により判別する方法であり、前記コンピュータ制御プログラムは、機械学習を用いた美容商品の推奨判別プログラムを有し、あらかじめ用意した、多数のユーザのユーザ特徴量と、それらのユーザに対する美容商品の推奨度を表す数値と、を機械学習のための訓練用データとし、前記ユーザvの前記美容商品g以外のアイテムに係るユーザ特徴量を変数として、前記推奨判別プログラムを実行することによって、ユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かを判別することを特徴とする美容商品の推奨判別方法を提供できる。
ここで「美容商品」とは、少なくとも1つの化粧品及び/又は美容サービスからなる群を意味する。1つの化粧品や1つの美容サービスはもちろん美容商品と呼ぶことができるが、一群の化粧品や美容サービスをまとめて、1つの美容商品と呼んでもよい。ユーザが美容商品を利用するとは、一群の化粧品や美容サービスのうち、少なくとも1つの化粧品を買い若しくは使用すること、又は、少なくとも1つの美容サービスの提供を受けることを意味する。
また「機械学習」とは、ユーザ特徴量xと重みwの関数であって、美容商品の推奨判別に用いるための関数f(x,w)における重みwを、訓練用データに基づいて好適化する学習手法をいう。訓練用データは限定されるものではないが、サンプル数が好ましくは1千件以上、より好ましくは1万件以上のビッグデータであることが望ましい。上記の「機械学習」には、順伝搬型ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、協調フィルタリング、等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
また「ユーザ特徴量」とは、数値化された、設問の回答、美容商品の利用有無、画像、計測値その他の情報、又は、これらの一部又は全部を用いて計算される集約量をいう。ここで「集約量」には、これらに限定されるものではないが、平均値、重み付き平均値、中央値、主成分分析における各主成分、因子分析における各因子得点、等が含まれる。また「アイテム」とは、設問、美容商品、画像、計測値その他の情報をいう。また「アイテムに係るユーザ特徴量」とは、アイテムが設問である場合には、数値化された設問の回答を、アイテムが美容商品である場合には、数値化された美容商品の利用有無を、アイテムが画像、計測値その他の情報である場合には、数値化された画像、計測値その他の情報を意味する。
また「ユーザに対する美容商品の推奨度を表す数値」とは、そのユーザにその美容商品がどの程度相応しいかを表す数値であれば何でもよい。本発明の1つの実施形態においては、上記推奨度を表す数値は、そのユーザがその美容商品を利用しているか否かに対応した数値(例えば1又は0)である。本発明の別の実施形態においては、上記推奨度を表す数値は、そのユーザにその美容商品がどの程度相応しいかを、美容に詳しい専門家が評価した評価値(例えば0、1、2、3のいずれか)である。
本発明の第1の形態によれば、訓練用データに基づく機械学習を行うことによって、肌タイプの診断結果を介することなく、ユーザ特徴量に基づいて、ユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かを直接に判別可能な、美容商品の推奨判別方法を提供することができる。
本発明の第2の形態によれば、前記ユーザに対する美容商品の推奨度を表す数値が、当該ユーザによる当該美容商品の利用有無を表す数値である美容商品の推奨判別方法を提供できる。本形態によれば、上記推奨度を表す数値を求めるために美容に詳しい専門家にユーザと美容商品の評価を依頼する必要がないから、肌タイプの診断結果を介することなく、ユーザ特徴量に基づいてユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かを直接に判別可能な、美容商品の推奨判別方法を、簡便かつ低コストで提供することができる。加えて、この判別方法は、ユーザによる美容商品の利用の有無という客観的なユーザ特徴量を利用するものであるから、信頼性と説得力を備える。
本発明の第3の形態によれば、前記アイテムが、美容商品と、美容についての設問と、を含む美容商品の推奨判別方法を提供できる。ユーザvに美容商品gを推奨するべきか否かを判別するために、美容商品g以外の他の美容商品のユーザvによる利用有無の情報を利用する発明は、従来技術には見いだせない。本形態によれば、肌タイプの診断結果を介することなく直接的で、かつ、上記の利用有無の情報を利用することにより暗黙のうちに従来技術に比べてユーザvの美容意識をより反映した、優れた推奨判別が可能な、美容商品の推奨判別方法を提供することができる。
本発明の第4の形態によれば、前記推奨判別プログラムが、予測関数の出力値を計算するための予測関数出力値計算手段を有し、前記予測関数はパラメータで規定され、ユーザの前記美容商品g以外のアイテムに係るユーザ特徴量を入力値とし、当該ユーザに対する
前記美容商品gの推奨度を表す数値の予測値を出力値とする美容商品の推奨判別方法を提供できる。本形態の予測関数は、好ましくは順伝搬型ニューラルネットワークにより、更に好ましくは深層型の順伝搬型ニューラルネットワークにより表現することができる。本形態においては、上記パラメータが予測関数の重みwに対応し、上記パラメータを訓練用データに基づいて好適化することで、判別精度が高い美容商品の推奨判別方法を提供できる。
本発明の第5の形態によれば、前記推奨判別プログラムが、予測関数の出力値を計算するための予測関数出力値計算手段を有し、前記予測関数は、ユーザuのユーザ潜在特徴量p=p(u)及びアイテムiのアイテム潜在特徴量q=q(i)を入力値とし、ユーザuのアイテムiに係るユーザ特徴量y(u,i)の予測値を出力値とする美容商品の推奨判別方法を提供できる。本形態の予測関数は、好ましくは後述するシグモイド協調フィルタリング(Sigmoid Collaborative Filtering, SCF)の手法により構成することができる。本形態においては、上記アイテム潜在特徴量が、予測関数の重みwに対応し、この重みwを訓練用データに基づいて好適化することで、判別精度が高い美容商品の推奨判別方法を提供できる。更に、本形態においては、若しくは本発明の他の形態と本形態を併用することで、ユーザ潜在特徴量によりユーザの美容意識を、アイテム潜在特徴量により美容商品や設問等の特徴を、それぞれ客観的に把握することが可能となるから、美容商品の推奨判別の根拠が明確となり、判別結果に説得力が備わる。
本発明の第6の形態によれば、前記推奨判別プログラムが、前記ユーザvのユーザ潜在特徴量を表示するためのユーザ潜在特徴量表示手段を有する美容商品の推奨判別方法を提供できる。本形態においては、ユーザ潜在特徴量表示手段が表示するユーザ潜在特徴量により、ユーザの美容意識を客観的に把握することが可能となるから、美容商品の推奨判別の根拠が明確となり、判別結果に説得力が備わる。
本発明の第7の形態によれば、前記推奨判別プログラムが、判別の適合率及び/又は再現率を表示するための判別精度表示手段を有する美容商品の推奨判別方法を提供できる。本形態においては、判別精度表示手段が表示する判別の適合率及び/又は再現率により、ユーザにある美容商品を推奨することがどの程度適切であるかという度合いを定量的に把握することができる。
本発明の第8の形態によれば、独立したコンピュータ、又は、互いに双方向に通信可能なサーバと端末からなり、ユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かをコンピュータ制御プログラムの実行により判別する美容商品の推奨判別システムであり、前記コンピュータ制御プログラムは、機械学習を用いた美容商品の推奨判別プログラムを有し、あらかじめ用意した、多数のユーザのユーザ特徴量と、それらのユーザに対する美容商品の推奨度を表す数値と、を機械学習のための訓練用データとして記憶するための訓練用データ記憶手段と、前記ユーザvの前記美容商品g以外のアイテムに係るユーザ特徴量を変数として記憶するための変数記憶手段と、を有し、前記推奨判別プログラムを実行することによって、前記訓練用データ及び前記変数に基づき、ユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かを判別することを特徴とする美容商品の推奨判別システムを提供できる。
本形態においては、訓練用データ記憶手段は、コンピュータ若しくはサーバ若しくは端末におけるRAMやROM等のメモリなどの内部記憶手段、又は、ハードディスクドライブ(HDD)若しくはソリッドステートドライブ(SSD)若しくはUSBメモリやSDカード等のリムーバブル記憶装置若しくはCD-R若しくはDVD等の外部記憶手段により構成される。端末は、デスクトップコンピュータ等の固定端末や、スマートフォンやノートパソコン等のモバイル端末のいずれをも含む。サーバと端末は、例えばLANやインターネット等の通信ネットワークを介して、互いに双方向に通信可能に構成される。変数
記憶手段は例えば、コンピュータ若しくはサーバ若しくは端末における、上記内部記憶手段に確保された領域、又は、CPUのレジスタにより構成される。本形態によれば、訓練用データに基づく機械学習を行うことによって、肌タイプの診断結果を介することなく、ユーザ特徴量に基づいてユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かを直接に判別可能な、美容商品の推奨判別システムを提供することができる。
本発明の第9の形態によれば、前記推奨判別プログラムが、予測関数の出力値を計算するための予測関数出力値計算手段を有し、前記予測関数はパラメータで規定され、ユーザの前記美容商品g以外のアイテムに係るユーザ特徴量を入力値とし、当該ユーザに対する前記美容商品gの推奨度を表す数値の予測値を出力値とする美容商品の推奨判別システムを提供できる。本形態においては、上記パラメータが予測関数の重みwに対応し、上記パラメータを訓練用データに基づいて好適化することで、判別精度が高い美容商品の推奨判別システムを提供できる。
本発明の第10の形態によれば、前記推奨判別プログラムが、予測関数の出力値を計算するための予測関数出力値計算手段を有し、前記予測関数は、ユーザuのユーザ潜在特徴量p=p(u)及びアイテムiのアイテム潜在特徴量q=q(i)を入力値とし、ユーザuのアイテムiに係るユーザ特徴量y(u,i)の予測値を出力値とする美容商品の推奨判別システムを提供できる。本形態においては、上記アイテム潜在特徴量が予測関数の重みwに対応し、この重みwを訓練用データに基づいて好適化することで、判別精度が高い美容商品の推奨判別システムを提供できる。更に、本形態においては、ユーザ潜在特徴量によりユーザの美容意識を、アイテム潜在特徴量により美容商品や設問等の特徴を、それぞれ客観的に把握することが可能となるから、美容商品の推奨判別の根拠が明確となり、判別結果に説得力が備わる。
本発明の第11の形態によれば、前記コンピュータ制御プログラムであることを特徴とするプログラムを提供できる。
本発明の第12の形態によれば、前記コンピュータ制御プログラム、及び/又は前記パラメータ、及び/又は前記アイテム潜在特徴量を記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供できる。
本発明の第13の形態によれば、顧客に美容商品gを提供すべきか否かについて学ぶことができるeラーニングシステムであり、独立したコンピュータ、又は、互いに双方向に通信可能なサーバと端末からなり、前記訓練用データ記憶手段を有し、前記推奨判別プログラムを実行できるように構成され、現実の若しくは仮想的なユーザの美容商品g以外に係るユーザ特徴量と前記訓練用データに基づき、前記推奨判別プログラムを実行して得られる判別結果を表示する判別結果出力手段、及び/又は、当該判別結果と生徒自身による判別結果とを比較する判別結果比較手段、を有することを特徴とするeラーニングシステムを提供できる。
本発明の一実施形態で使用するアンケートに含まれる、美容についての設問の内容を説明する表図である。 本発明の一実施形態における美容商品である化粧品の分類を説明する表図である。 本発明の一実施形態で使用するデータセットの分割を示す説明図である。 前記データセットを分割して得られる各データセットの統計分布の特徴を説明する表図である。 本発明の一実施形態で使用する順伝搬型ニューラルネットワークの一般的な構成を示す説明図である。 本発明の実施形態における、前記順伝搬型ニューラルネットワークの3種類の具体的な構成と、SCFモデルに使用されるネットワークの構成を示す説明図である。 推奨判別に用いるしきい値と、判別精度の一般的な関係を示す説明図である。 本発明の一実施形態における、美容商品の利用率とf1スコアの関係を示すグラフ図、及び、修正f1スコアの概念を説明する説明図である。 本発明の一実施形態における、ユーザに対する美容商品の推奨判別の結果と判別の適合率を示す表図である。 本発明の一実施形態における、コンピュータ制御プログラムの実行の流れを示すフロー図である。 本発明のSCFモデルに係る一実施形態における、各アイテムのアイテム潜在特徴量の、8つの成分を示す表図である。 本発明のSCFモデルに係る実施形態において、ユーザ潜在特徴量がユーザ潜在特徴量表示手段により出力装置に表示される様子を示す説明図である。 本発明のSCFモデルに係る一実施形態における、コンピュータ制御プログラムの実行の流れを示すフロー図である。 本発明の一実施形態における、システム構成を示す構成図である。 前記システム構成の一部を詳細に説明する構成図である。 本発明の別の一実施形態における、システム構成を示す構成図である。 本発明の更に別の一実施形態における、システム構成を示す構成図である。 本発明の一実施形態において、ユーザの、因子分析による各因子の得点をプロットするための2種類の識別面である。
本発明に係る美容商品の推奨判別方法及びシステムの実施形態を、図面を参照して以下に詳細に説明する。
Figure 0007368821000001
<1.データセット>
(データセットのデータ構造) 表1は、本発明のいくつかの実施形態で使用するデータセットのデータ構造を示す。20000人のユーザに問診して19468人分の有効回答を得た。各ユーザの回答には、美容についての設問(Q1~Q21)に対する2択(0,1)又は5択(-2,-1,0,1,2)の回答と、年齢を問う設問(Q22)に対する年齢を表す整数値の回答と、美容商品(G1~G12)の利用有無を示す2択(0,1)の回答が含まれている。ユーザの年齢は20歳から69歳にわたる。性別は皆、女性であるが、本発明の別の実施形態においては、性別は男女にわたってもよく、その場合には、性別を問う
設問に対する2択(0,1)の回答をデータセットに加えても良い。
(設問の内容) 図1は、前記データセットに係るアンケートに含まれる、美容についての設問の内容を説明する表図である。設問(Q1~Q13)は2択の、設問(Q14~Q21)は5択の設問である。前者は主にユーザの肌タイプに関わる設問であり、後者はユーザの美容意識に関わる設問である。なお、zを2以上の自然数として、これらの設問をz択の設問としてもよく、或いは、線分上に印をつけてもらったり、画面に表示された線分上にマウスでスライドバーを配置してもらうなどして、0以上1以下等の閉区間に含まれる実数値を回答する設問としてもよい。設問Q22はユーザの年齢を整数値で問う設問である。
(設問項目の選定) 本発明者による特許第54190004号公報(特許文献1)では、女性の美容と肌状態に関する年齢階層別の問診データから、因子分析法により、皮脂過剰因子と肌乾燥因子を抽出した。これら2つの因子は、低年齢層では逆相関の"一次元モデル"、中高年層ではほぼ無相関の"二次元モデル"で説明できる。図(18A)に示すように、被検者は、皮脂過剰に関するX軸と、肌乾燥に関するY軸と、を有する二次元面上に分布し、乾燥肌、普通肌、脂性肌(又は皮脂過剰肌)、及び皮脂過剰型乾燥肌(又は隠れ乾燥肌)の4つの象限に分類される。X軸及びY軸を原点の周りに反時計回りに45°だけ回転して得られる軸を順にA軸及びB軸とすると、B軸が低年齢層の一次元モデルに、A軸が中高年層の二次元モデルに対応し、かつ、A軸座標が皮脂および肌乾燥に関わる肌不満を示す。
上記特許発明を実施することで蓄積したデータを再解析した結果、皮脂過剰因子、肌乾燥因子の他に、独立した3番目の因子(No3)を見い出した。この因子は"化粧崩れ""化粧ノリが悪い""キメが粗い"といった、化粧不満(肌質不満)にかかわる設問項目と高い関連があることが見い出された。よって、この因子と対となる(=直交する)4番目の因子を見い出し、新たな識別面を得ることで、上記特許発明の知見を包含する、新しい美容判定方法の可能性を考え、検討を重ねた。具体的には、特許文献1で構築された設問項目セット(13項目)に、新たな設問項目のセットを組み合わせ、肌乾燥と脂性とともに、3番目、及び、その対となる4番目の因子を抽出することを繰り返した。結果として、新たに8個の設問項目を追加することで、上記目的を達成した。
すなわち、13+8=21項目の設問に対する被検者の回答の因子分析法により5因子が抽出された。5因子を順にEST因子、O1因子、O2因子、MB因子、D因子と呼ぶ。EST因子は、美容問診中では最も影響力の強い因子であり(∵固有値が最大)、目的とする4番目の因子である。O1因子は、ほぼ上記特許発明におけるX軸に相当する因子(皮脂過剰因子)である(∵因子得点の相関係数R=0.968)。O2因子も、上記特許発明におけるX軸に近い因子であり、脂性原因の肌満足度に関わっていると推定される。MB因子は、上記のNo3因子である。EST因子は、上記探索の目的であった4番目の因子である。D因子は、ほぼ上記特許発明のY軸の因子(肌乾燥因子)である。MB因子は、化粧品カテゴリーで括ると、ベースメイクにかかわる設問項目(化粧崩れ、化粧ノリが悪い、キメが粗い)との関連性が強いため、メイクベース因子(MB因子)と呼称する。MB因子は、潜在しているベースメイク不満を抽出・顕在化した因子であると解釈でき、肌の美観土台を整える商品・サービス群(ファンデーション、化粧下地など)と関係が深い。EST因子は、化粧品カテゴリーで括ると、エステティックにかかわる設問項目(ハリ弾力、明るさ透明感、肌のキメ、若々しさ)との関連性が強いため、エステティック因子(EST因子)と呼称する。EST因子は、潜在しているエステティックニーズを抽出・顕在化した因子であると解釈でき、肌の美容を向上させる商品・サービス群(美容液、クリームなど)と関係が深い。MB因子とEST因子は直交するため、問診回答結果から、各因子得点を求め、例えば、図(18B)に示すように、EST軸とMB軸とで展開される二次元面(識別面)の上に、当該人の因子得点をプロットして表現することができる。上記識別面上のプロットから、ユーザの来店・立ち寄りニーズ、具体的には、美容商品
(化粧品や美容サービス)に対する(1)ニーズの強さ、(2)重心(関心の在り処)、(3)購入・享受に対する心理的許容度、を迅速に分類し、効果的な顧客対応を実現することができる。それゆえ、上記の13+8=21項目の設問のセット(Q1~Q21)は、上記特許発明の知見を包含し、かつ、顧客の負担を最小限にして、迅速、的確、総合的な美容カウンセリングを行うことを可能とし、販売機会を増大し、ロイヤルカスタマー化を促進することのできる設問のセットである。
(美容商品の分類) 図2は、本発明の一実施形態における美容商品である化粧品の分類の一例を説明する表図である。最右欄には、前記データセットのユーザにおける各化粧品の利用率を示した。利用率が7%以上70%以下の12の化粧品に注目し、それぞれを美容商品の記号(G1~G12)で表す。本明細書においては、上記の12の美容商品を例として、本発明に係る美容商品の推奨判別方法の判別精度を検証するが、本発明はもちろん、他の美容商品についても適用可能であり、又、他の分類方法により分類した場合における、分類された美容商品についても適用可能である。
(データセットの分割) 機械学習の応用においてはしばしば、データセット全体を、訓練用データと交差検証用データとテスト用データと、の3つに分割することが行われる。図3は、本発明の前記実施形態におけるデータセットの、そのような3分割の一例を示す。分割されたデータセットのサンプル数はそれぞれ順に11868件、3800件、3800件である。データセット全体におけるサンプルをランダムに並べ替えたのちに、2つの仕切り棒により、3つのデータセットに分割した。一般に、訓練用データは予測関数のパラメータの決定に使用し、交差検証用データは正則化パラメータ等のハイパーパラメータの決定に使用し、テスト用データは判別精度や予測精度の検証に使用される。
(各データセットの統計) 図4は、上記の分割された各データセット及びデータセット全体についての統計を示す。設問(Q1~Q21)及び美容商品(G1~G12)の各欄に示された数字は、回答の頻度をパーセントで示す。例えば、訓練用データにおいて、2択の設問Q7に対して、16.7%のユーザが1(YES)と回答したことになる。また、交差検証用データにおいて、美容商品G4について、7.2%のユーザが利用していると回答したことになる。
<2.順伝搬型ニューラルネットワーク>
<2-1.一般的な順伝搬型ニューラルネットワークの構成>
図5は、本発明のいくつかの実施形態で使用する予測関数を表現する順伝搬型ニューラルネットワークの一般的な構成を示す説明図である。これらの実施形態において、予測関数fは、任意のユーザuのユーザ特徴量x=x(u)を入力値とし、ユーザuのアイテム(設問又は美容商品など)に係る値y=y(u)の予測値aを出力値とし、パラメータΘに依存する。パラメータΘは、ニューラルネットワークに存在するすべてのニューロンの重みをまとめて表したものである。式で書くと
(1) a=f(x,Θ)
である。
(入力層) 第1層(入力層)はn1個のニューロンからなり、各ニューロンはユーザuのユーザ特徴量x=x(u)の各成分を第2層の各ニューロン(バイアスニューロンを除く)に向けて出力する。ユーザ特徴量は、機械学習を行う前に、標準化しておくことが望ましい。標準化とは、例えば、ユーザ特徴量の各成分の平均値をゼロに、標準偏差を1に正規化することである。
(第2層) 第2層(中間層の1つ)はn2個のニューロンからなり、第2層のk番目のニューロンは入力層のニューロンの出力値xと自らの重みθ(1) kとの内積を計算し、その
内積の値をzとして、zに活性化関数gを施して得られる値a(2) k=g(z)を、第3層の各ニューロン(バイアスニューロンを除く)に向けて出力する。式で書くと
(2) a(2) k=g(z), z=x・θ(1) k
である。
(中間層と出力層) 第j層(j=3,・・,L)はnj個のニューロンからなり、第j層のk番目のニューロンは第j-1層のニューロンの出力値a(j-1)と自らの重みθ(j-1) kとの内積を計算し、それに自らのバイアス値θ(j-1) k,0を加えた値をzとして、zに活性化関数gを施して得られる値a(j) k=g(z)を、第j+1層の各ニューロン(バイアスニューロンを除く)に向けて出力する。式で書くと
(3) a(j) k=g(z), z=a(j-1)・θ(j-1) k+θ(j-1) k,0
である。
(出力層) 第L層(出力層)はnL個のニューロンからなり、上記の式(3)においてj=Lである場合の出力値a=a(L)を出力する。この場合の式(3)は、式(1)の内容を具体的に表現したものである。出力値aは、ユーザuのアイテムに係る値の予測値であり、美容商品の推奨判別に利用される。例えば、出力値aのk番目の成分akがある美容商品に係る値の予測値であるとき、ユーザuについて仮にakがほぼ1であれば、ユーザuにその美容商品を推奨すべきと判別し、仮にakがほぼ0であれば推奨すべきでないと判別する。
(活性化関数) 本実施形態では、各ニューロンの活性化関数gとしてシグモイド関数を用いる。しかし、活性化関数として、双曲線正接関数や正規化線形関数を用いることも可能であり、ニューロンによって異なる活性化関数を用いてもよい。ただし、美容商品の利用有無を0,1の2択の数値で表す場合には、出力層のニューロンであって、美容商品のアイテムに係る値の予測値を出力するニューロンについては、活性化関数としてシグモイド関数を用いることが望ましい。また、バイアス値を用いないニューロンを含む構成も可能である。更に、ニューラルネットワークに属するいくつかのニューロンをパススルーニューロンとする構成も可能である。パススルーニューロンとは、そのニューロンが属する層より後方のいずれかの層に属するいずれかのニューロンの出力値をそのまま、自らの出力値として、1つ前方の層の、いずれか若しくは一部若しくはすべてのニューロンへと出力するニューロンのことをいう。
<2-2.コスト関数>
(コスト関数) 各ニューロンの重みを表すパラメータΘは、訓練用データに基づく機械学習により好適化される。好適化は、次の式(4)で表されるコスト関数Jを極小化することを目指して、パラメータΘを逐次更新することにより行う。
Figure 0007368821000002
式(4)において、ユーザuについての和は訓練用データのm=11868件の全てにわたる。アイテムkについての和は、出力層においてアイテムkに係る値yk(u)の予測値ak(u)を出力するアイテム(設問又は美容商品)kの全てにわたる。ここで、予測値a(u)=f(x(u),Θ)は、ユーザ特徴量x(u)とパラメータΘの関数である。入力層のニューロンはユーザ特徴量x(u)を出力するが、このx(u)からは、出力層において予測値を出力するアイテムに係るユーザ特徴量は除かれている。出力層におけるアイテムkに係る値yk(u)は、機械学習の前にあらかじめ、最大値が1、最小値が0
となるように標準化しておくことが望ましい。たとえば5択の回答値-2, -1, 0, 1, 2は標準化により例えば順に0, 0.25 0.50, 0.75, 1.0となる。
(正則化パラメータ) λは正則化パラメータであり、Θのノルムの2乗||Θ||2は、ニューラルネットワークに存在するすべてのニューロンの重み(ただし、バイアス値を除く)の2乗和である。機械学習においては、正則化パラメータλを固定し、訓練用データに対して、コスト関数Jを最小化することを目指して、パラメータΘを繰り返し更新する。その結果、好適化されたΘ=Θ(λ)が得られる。これをあらかじめ選んだいくつかのλの値(例えば、0.1, 0.032, 0.001, 0.00032, 0.0001, ・・)について行う。次に、交差検証用データについて、パラメータΘ(λ)を用いたときに後述するf1スコア若しくは修正f1スコアを最大化するようにλを選択する。
(パラメータΘの初期値) パラメータΘの初期値は乱数で与えた。例えば、第j層のk番目のニューロンの重みθ(j-1) kは、nj-1個の成分θ(j-1) k,r(r=1,2,・・,nj-1)を持つが、この各成分を区間[-ε,ε](ただし、ε=0.5×nj-1 -1/2)を値域とする一様乱数で与えた。また、我々は主に中間層が3層の順伝搬型ニューラルネットワークを用いたが、さらに層数の多い順伝搬型ニューラルネットワークを用いる場合には、自己符号化器(autoencoder)による事前学習を行い、事前学習により得られる値をパラメータΘの初期値として用いても良い。
また、中間層が1層又は2層の順伝搬型ニューラルネットワークを用いることも可能である。その場合、パラメータΘの良好な好適化のためには、好ましくは、第2層(1つ目の中間層)のニューロンの数を多くして、例えば第1層(入力層)のニューロンの数の2倍以上として、上記の方法でパラメータΘの初期値を乱数で与える。
(パラメータΘの更新) 本実施形態においては、パラメータΘの更新はバッチ学習で行い、学習レートを自動的に調節できるADADELTA法(M.D.Zeiler, arXiv:1212.5701v1を参照)を用いた。しかし、ミニバッチ学習やオンライン学習でパラメータΘの更新を行うことも可能である。ミニバッチ学習やオンライン学習の場合には、訓練用データに追加データが追加された場合に、追加データだけを学習させてパラメータΘの更新を行うこともできる。また、ADADELTA法に限らず、確率的勾配降下法、共役勾配法、モーメンタム法、ADAGRAD法、又はこれらの2つ以上の組合せ、などの方法でパラメータΘの更新を行ってもよい。勾配∂J/∂Θの計算は誤差逆伝搬法により効率的に行うことができる。また、本実施形態においては、コスト関数Jが極小値(停留値)に達したと判断した場合にパラメータΘの更新を終了したが、コスト関数が停留しなくても、交差検証用データに対して計算されるコスト関数又は後述するf1スコア若しくは修正f1スコアが停留値に達し、差分の符号が反転したことが確認できた時点で過学習が始まったと判断して、パラメータΘの更新を打ち切ってもよい。本実施形態の、次に述べる3つの実施例における、訓練用データのバッチ学習の反復回数は2000~4000回であった。なお、本明細書の実施例における計算は、プログラム言語としてGNU Octave, version 4.4.1を使用し、市販のデスクトップコンピュータ(Dell Vostro 230, Pentium(R) Dual-Core CPU E5800 @ 3.20GHz)を用いて行った。
図5に示した本発明の一般的な実施形態の特殊な場合の例として、3つの実施例(Deepモデル、DeepPaモデル、及びDeepGoモデル)について順に説明する。
<2-3.Deepモデル>
図(6A)は、Deepモデルと呼ぶ本発明の実施例で使用する予測関数を表現する順伝搬型ニューラルネットワークの具体的な構成を示す説明図である。本実施例は、入力層に用いるユーザ特徴量が設問(Q1~Q22)に対する回答のみであって美容商品(G1~G12)の使用有無を含まないことと、出力層の予測値が、1つの美容商品(図の例ではG1)の使用有無の予測値のみであることに特徴がある。本実施例では、中間層が3層
で、全体が5層からなるニューラルネットワークを使用し、ニューロンの数は、入力層が22、第2層が16、第3層が8、第4層が4、出力層が1である。正則化パラメータλの好適値はλ=1.0×10-4であった。
<2-4.DeepPaモデル>
図(6B)は、DeepPaモデル(Paはparallelの意)と呼ぶ本発明の実施例で使用する予測関数を表現する順伝搬型ニューラルネットワークの具体的な構成を示す説明図である。本実施例は、入力層に用いるユーザ特徴量が設問(Q1~Q22)に対する回答のみであって美容商品(G1~G12)の使用有無を含まないことと、出力層の予測値が12の美容商品(G1~12)の使用有無の予測値であり、すべての美容商品の使用有無を同時に予測することに特徴がある。本実施例では、中間層が3層で、全体が5層からなるニューラルネットワークを使用し、ニューロンの数は、入力層が22、第2層が24、第3層が12、第4層が12、出力層が12である。正則化パラメータλの好適値はλ=1.0×10-5であった。
<2-5.DeepGoモデル>
図(6C)は、DeepGoモデル(Goはgoodsの意)と呼ぶ本発明の実施例で使用する予測関数を表現する順伝搬型ニューラルネットワークの具体的な構成を示す説明図である。本実施例は、入力層に用いるユーザ特徴量が設問(Q1~Q22)に対する回答と美容商品(図の例ではG2~G12)の使用有無の両方を含むことと、出力層の予測値が1つの美容商品(図の例ではG1)の使用有無の予測値であることに特徴がある。なお、入力層に用いるユーザ特徴量からは、出力層の予測値に係る美容商品(図の例ではG1)の使用有無が除かれている点に注意されたい。本実施例では、中間層が3層で、全体が5層からなるニューラルネットワークを使用し、ニューロンの数は、入力層が33、第2層が24、第3層が12、第4層が6、出力層が1である。正則化パラメータλの好適値はλ=1.0×10-4であった。
<3.判別精度>
<3-1.しきい値と判別精度>
(しきい値) 本発明においては、ユーザuに美容商品gを推奨すべきか否かを判別するためにしきい値hを用いる。しきい値hは例えば、出力層の活性化関数としてシグモイド関数を用いる場合には0以上1以下の値の実数であり、一般に美容商品gごとに異なった値に選ばれる。ニューラルネットワークの入力層にユーザuの、美容商品g以外のアイテムに係るユーザ特徴量を入力した場合に、出力層の美容商品gであるアイテムに係るニューロンの出力値(予測値)をaとする。a≧hであればユーザuに美容商品gを推奨すべきであると判別し、a<hであれば推奨すべきでないと判別するのである。
Figure 0007368821000003
(適合率、再現率、f1スコア) 判別精度を表す概念である適合率、再現率、f1スコアについて説明する。上記の予測値aに基づく判別値を、推奨すべしと判別するときは1、そうでないときは0とする。また、観測値を、ユーザuが美容商品gを利用していると
きは1、そうでないときは0とする。あるデータセット、例えばテスト用データに含まれるすべてのユーザは、表2に示す4つのケースTrue Positive, False Positive, False Negative, True Negativeのいずれかに分類される。データセットにおいてそれぞれのケースに当てはまるユーザの割合を順にTP,FP,FN,TNとする。このとき、適合率と再現率はそれぞれ次の式で定義される。
適合率 = TP/(TP+FP)
再現率 = TP/(TP+FN)
また、f1スコアは、適合率と再現率の調和平均であり、次式で定義される。
f1スコア = ((適合率-1+再現率-1)/2)-1
図7は、推奨判別に用いるしきい値と、判別精度の一般的な関係を示す説明図である。再現率と適合率はトレードオフの関係にある。一般にしきい値hを大きくしていくと適合率は増加するが再現率は減少する。図7では、しきい値h1に対しては再現率のほうが適合率より大きいが、しきい値h2に対しては再現率は適合率より小さい。しきい値をどのような値に設定するべきかは、推奨判別の性質と目的に依存する。推奨すべしと判別したのに実際には美容商品が利用されないという判別の誤りを減らしたいのであれば適合率を重視するべきであるし、推奨すべしと判別しなかったのに、実際には美容商品が利用されるという判別の漏れを減らしたいのであれば再現率を重視するべきである。図7の例では適合率の最小値が0.2となっているが、これはデータセットにおける美容商品gの利用率に等しい。本発明の実施形態においては、交差検証用データ又は訓練用データにおける予測値aに基づく判別値が1となるユーザの割合、言い換えれば予測値aがしきい値h以上となるユーザの割合が美容商品gの利用率と等しくなるようにしきい値hを定めた。
<3-2.f1スコアと修正f1スコア>
図(8A)は、本発明の実施例であるDeepGoモデルの、テスト用データに含まれるユーザにおける、美容商品の利用率とf1スコアの関係を示すグラフ図である。プロットされた12個の点はG1~G12の各美容商品を表す。美容商品の利用率が高いとf1スコアも大きくなる傾向があることがわかる。モデルの判別能力を計測するには、美容商品の利用率による違いを補正した判別精度を使うことが望ましい。そこで、「修正f1スコア」と呼ぶ量を考える。図(8B)は、修正f1スコアの概念を説明する説明図である。修正f1スコアは、粗くいうと、美容商品の利用率が仮に0.20であったらf1スコアはいくらになるか、を表す量である。0.20は、本実施例で取り上げた12種類の美容商品G1~G12の利用率のおよその平均値である。我々は上記補正に、図(8B)のグラフの曲線で示されるシグモイド関数σ及びその逆関数σ-1を用いる。一般に、あるモデルによる判別において、利用率がrの美容商品のf1スコアがsであるとき、修正f1スコアは
修正f1スコア = σ(x+Δx)
で定義される。ここで、σ(x)=0.20,Δx=σ-1(s) -σ-1(r)である。例えば、あるモデルによる判別において、利用率が0.90の美容商品のf1スコアが0.99であるとする(図の点Aおよび点A')。0.90=σ(2.2),0.99=σ(4.2)であるから、点Aと点A'のx座標(横軸の座標)の差はΔx=2.0である。ここでσ(x)=0.20となる点S(?1.4, 0.20)から右へΔxだけ進んだグラフ上の点S'の座標は(0.6, 0.65)である。そこで、当該モデルによる判別における、当該美容商品の修正f1スコアを0.65と定義するのである。同様に、利用率が0.05の美容商品のf1スコアが0.29であるときにも(図の点Bおよび点B')、修正f1スコアは0.65となる。
Figure 0007368821000004
<3-3.各モデルの判別精度>
表3は、本発明の実施例であるDeepモデル、DeepPaモデル、DeepGoモデル、及び後述するSCFモデルによる判別の判別精度であるf1スコア及び修正f1スコアを12種類の美容商品について示した表である。DeepモデルとDeepPaモデルの判別精度は平均値ではほぼ同じであるが、美容商品によっては後者は前者より判別精度が高い。この原因は、判別に係る美容商品以外の美容商品の利用有無の情報が、ニューラルネットワークの重みを好適化する過程で、誤差逆伝搬により反映されるからであると考えられる。そこで、積極的に美容商品の利用有無の情報を推奨判別に利用するために、美容商品の利用有無の情報を入力層に用いたのがDeepGoモデルである。予想通り、DeepGoモデルのf1スコアと修正f1スコアは、これらのモデル中で最も高くなった。DeepGoモデルによる判別の判別精度は、美容商品の利用有無の情報を入力層に用いないDeepモデル及びDeepPaモデルに比べて、f1スコアで計って約0.17、修正f1スコアで計って約0.17も向上した。
Figure 0007368821000005
<3-4.判別精度表示手段>
図9は、本発明の実施例であるDeepGoモデルによる、あるユーザに対する美容商品の推奨判別の結果と判別の適合率を示す表図である。ニューラルネットワークの入力層のニューロンに入力される当該ユーザの、標準化する前のユーザ特徴量(ただし判別に係る美容商品の利用有無の情報は入力層には入力されない)を表4に示した。このユーザのサンプルは、テスト用データ(データセット3)に属する。推奨判別プログラムは、順伝搬型ニューラルネットワークによる予測値aとしきい値を比較して、美容商品をユーザに
推奨すべきか否かを判別し、その判別結果は判別結果出力手段によりディスプレイやプリンタ等の出力装置に出力される。判別結果出力手段は好ましくは判別精度表示手段を有する。判別精度表示手段は当該ユーザによる各美容商品の利用有無、判別の適合率、判別の再現率を出力装置に表示する。判別の適合率は数値に加えて、棒グラフ等の視覚的にわかりやすい形態で表示されることが好ましい。また、表示される美容商品は、判別の適合率の大小関係により並び替えられていることが好ましい。
再現率は、しきい値を前記の利用率を元に定める方法で定めて計算する。又、適合率は原理的には、ε1,ε2を小さな正数として、当該ユーザの当該美容商品に係る予測値aを含む数直線上の区間[a-ε1,a+ε2)を考えて、交差検証用データ等の1つのデータセットにおける、予測値aが上記区間に属するサンプルについて、実際の観測値が1であるサンプルの割合(適合率)を計算することで求めることができる。しかし、計算の高速化のため、あらかじめ、例えばε1=ε2=0.05とし、予測値を0.0,0.1,0.2,・・,0.9,1.0等の複数の離散値に設定した場合の上記データセットにおける適合率をそれぞれ求めておき、予測値aの値に応じて線形又は多項式又はスプライン曲線等による補間により適合率を計算してもよい。
なお、本発明の別の実施形態である後述するSCFモデルにおいても同様にして、判別結果出力手段及び/又は判別精度表示手段は、出力装置に、美容商品の推奨判別の結果及び/又は判別の適合率や再現率を出力する。
図9の例では、判別結果出力手段及び判別精度表示手段の出力は、当該ユーザが利用していない美容商品G5(乳液・ミルク)とG7(美容液(美白))について、推奨判別の結果が1(推奨する)となっており、これらの判別の適合率も順に55%,40%とかなり高い。したがってこれらの美容商品をまず当該ユーザに推奨することが適切であると考えられる。
<3-5.フロー図>
図10は、DeepGoモデル等の順伝搬型ニューラルネットワークを用いる本発明の一実施形態における、コンピュータ制御プログラムの処理の流れを示すフロー図である。まず、ステップS11において、パラメータΘが、メモリ、HD、リムーバブルメモリ等の記憶手段やネットワークを介して接続されたサーバー等から読込可能であるかどうかが判断される。読込可能であれば、ステップS14でパラメータΘを読込み、ステップS15へ進む。読込可能でなければ、ステップS12へ進む。ステップS12では、機械学習によりパラメータΘの好適値を推定する。次いでステップS13では、推定されたパラメータΘを上記の記憶手段に保存し、及び/又はネットワークを介して接続されたサーバーや端末等に送信する。次いでステップS15では、順伝搬型ニューラルネットワークの入力層に当該ユーザのユーザ特徴量を入力して、出力層から予測値を得る。ステップS16では前記予測値と予め定めたしきい値に基づいて美容商品の推奨判別を行う。次いでステップS17では、前記予測値に基づいて適合率と再現率を計算する。最後にステップS18では、判別結果出力手段及び判別精度表示手段が、判別結果及び/又は適合率及び/又は再現率を出力装置に出力する。
<4.SCFモデル>
(SCFモデルの構成) 図(6D)は、SCFモデルと呼ぶ本発明の一実施形態で使用する予測関数を表現するニューラルネットワークの構成を示す説明図である。本実施形態において、予測関数fは、任意のユーザuのユーザ潜在特徴量p=p(u)と、任意のアイテム(設問又は美容商品など)kのアイテム潜在特徴量q=q(k)と、を入力値とし、ユーザuのアイテムkに係る値y=y(u,k)の予測値a=a(p,q)を出力値とする。ユーザ潜在特徴量pとアイテム潜在特徴量qはいずれもb次元数ベクトル空間に属するベクトルであり、訓練用データに基づいて推定される。ここで自然数bは本モデルのハ
イパーパラメータであり、後述する正則化パラメータλとともに、交差検証用データを用いて好適値に設定される。今回用いたデータセットについてはb=8であった。
(入力層) 入力層は、(b+b)個のニューロンからなり、各ニューロンはユーザuのユーザ潜在特徴量p=p(u)の各成分、又は、アイテムkのアイテム潜在特徴量q=q(k)の各成分を、出力層のニューロンに向けて出力する。
(出力層) 出力層は1つのニューロンからなり、当該ニューロンは前記ユーザ潜在特徴量pと前記アイテム潜在特徴量qの標準内積p・qを計算し、その内積の値をzとして、zに活性化関数gを施して得られる値g(z)を、ユーザuのアイテムkに係る値y(u,k)の予測値a=a(p,q)として出力する。式で書くと
(5) a=g(z), z=p・q=p(u)・q(k)
である。出力値aは、ユーザuのアイテムkに係る値の予測値であり、美容商品の推奨判別に利用される。例えば、アイテムkがある美容商品であるとき、仮にaが1に近い、より正確にはあらかじめ定めたしきい値をhとして、a≧hであればユーザuにその美容商品を推奨すべきと判別し、仮にaが0に近い、より正確にはa<hであれば推奨すべきでないと判別する。
(活性化関数) 本実施形態では、出力層のニューロンの活性化関数gとしてシグモイド関数を用いることが望ましい。活性化関数として、双曲線正接関数や正規化線形関数を用いることも可能であるが、その場合にはユーザ特徴量を活性化関数の値域に合わせて機械学習の前に予め変換しておく必要がある。また、本実施形態ではバイアス値は用いていないが、パラメータとしてバイアス値を導入して、バイアス値を上記内積に加えた値を上記のzとして用いる構成も可能である。
(コスト関数) 各ユーザuのユーザ潜在特徴量p(u)及び各アイテムkのアイテム潜在特徴量q(k)は、訓練用データに基づく機械学習により好適化される。好適化は、次の式(6)で表されるコスト関数Jを極小化することを目指して、潜在特徴量、すなわち、各ユーザuのユーザ潜在特徴量p(u)及び各アイテムkのアイテム潜在特徴量q(k)を逐次更新することにより行う。
Figure 0007368821000006
式(6)において、ユーザuについての和は訓練用データのm=11868件のユーザの全てにわたる。アイテムkについての和は、訓練用データのn=34個のすべてのアイテム(設問又は美容商品)にわたる。ここで、ユーザuのアイテムkに係る値y(u,k)は、機械学習の前にあらかじめ、最大値が1、最小値が0となるように標準化しておくことが望ましい。
(正則化パラメータ) λは正則化パラメータであり、b次元数ベクトル空間のベクトルであるp(u)及びq(k)の標準的な2乗ノルム|p(u)|及び|q(k)|の大きさに制限を課す働きをする。機械学習においては、正則化パラメータλを固定し、訓練用
データに対して、コスト関数Jを最小化することを目指して、潜在特徴量p(u)及びq(k)を繰り返し更新する。その結果、好適化されたアイテム潜在特徴量q(k)=q(k,λ)が得られる。これをあらかじめ選んだいくつかのλの値(例えば、0.1, 0.032, 0.001, 0.00032, 0.0001, ・・)について行う。次に、アイテム潜在特徴量を上記のq(k,λ)に固定して、訓練用データの代わりに交差検証用データ(m=3800)を用いて、各ユーザvと美容商品である各アイテムkについて、上記のコスト関数の交差検証用データ版である、後述する修正コスト関数を最小化するようにユーザ潜在特徴量p(v,λ;k)を定める。その上で、交差検証用データについてf1スコア若しくは修正f1スコアを最大化するようにλを選択する。正則化パラメータλの好適値はλ=0.032であった。
(潜在特徴量の初期値) ユーザ潜在特徴量の各成分及びアイテム潜在特徴量の各成分の初期値は、絶対値が小さな一様乱数、すなわち、区間[-ε,ε](ただし、ε=0.05)を値域とする一様乱数で与えた。
(潜在特徴量の更新) 本実施形態においては、潜在特徴量の更新はバッチ学習で行い、学習レートを自動的に調節できるADADELTA法を用いた。しかし、ミニバッチ学習やオンライン学習で潜在特徴量の更新を行うことも可能である。ミニバッチ学習やオンライン学習の場合には、訓練用データに追加データが追加された場合に、追加データだけを学習させて潜在特徴量の更新を行うこともできる。また、ADADELTA法に限らず、確率的勾配降下法、共役勾配法、モーメンタム法、ADAGRAD法、又はこれらの2つ以上の組合せ、などの方法で潜在特徴量の更新を行ってもよい。勾配∂J/∂p及び∂J/∂qの計算は容易である。また、本実施形態においては、コスト関数Jが極小値(停留値)に達したと判断した場合に潜在特徴量の更新を終了したが、コスト関数が停留しなくても、交差検証用データに対して計算される、f1スコア若しくは修正f1スコアが停留値に達し、差分の符号が反転したことが確認できた時点で過学習が始まったと判断して、潜在特徴量の更新を打ち切ってもよい。
(アイテム潜在特徴量) 図11は、本発明のSCFモデルに係る一実施形態において訓練用データを用いた機械学習で好適値に推定された、34個のアイテム(設問又は美容商品)kについての、8次元数ベクトルであるそれぞれのアイテム潜在特徴量q(k)の、8つの成分を示す表図である。本発明者は、ユーザ潜在特徴量の各成分と、設問に対する回答に因子分析法を適用して導かれる因子得点との相関係数や、図11の表図の数値等に基づいて、アイテム潜在特徴量の各成分が表現する美容意識をq1(美容関心)、q2(脂性)、q3(乾燥)、q4(積極美)q5(自然年齢)、q6(中間)、q7(自然美)、q8(カバー)と同定した。なお、アイテム潜在特徴量及びユーザ潜在特徴量の各成分が表現する美容意識のより詳細な説明については以下の表6を参照されたい。
Figure 0007368821000007
(ユーザ潜在特徴量) 表5は、訓練用データを用いた機械学習により上記アイテム特徴量と同時に推定された、訓練用データに属する各ユーザについての、8次元数ベクトルであるそれぞれのユーザ潜在特徴量p(k)の、8つの成分を、一部のユーザについて示した表図である。ユーザ潜在特徴量の各成分pjは、アイテム特徴量の対応する成分qjと同じ美容意識を表現している。
Figure 0007368821000008
(バリマックス回転) 図11に示したアイテム潜在特徴量qと表5に示したユーザ潜在特徴量pは、実は、機械学習で繰り返し更新することにより推定された好適値そのものではなく、因子分析法における手法に習って、それらを「バリマックス回転」したものである。この「バリマックス回転」について説明する。SCFモデルにおける予測値a=g(p・q)はb次元数ベクトル空間における回転R、ただし
p → p'=pR, q → q'=qR
に対して不変である。ここでRはb次元数ベクトルに作用する任意のb次元正方行列であり、pとqは行ベクトルとして表現している。このRの任意性を利用して、Rをうまく選んで、回転したアイテム潜在特徴量q'の各成分の意味の解釈を容易にすることができる。すなわち、図11の表図に示したのと同様なアイテム潜在特徴量(ただし、図11とは異なって機械学習で推定された好適値そのもの)において、各アイテムのアイテム潜在特徴量をq(k)(k=1,2,・・,n)(n=34)とするとき、まず、各アイテムを表す行ベクトルどうしの相関係数r=q(k)・q(l)/(|q(k)||q(l)|)を計算し、アイテムkの「共通性」を、アイテムkと他のアイテムlについての相関係数の2乗の和で定める。次に、各アイテムkのアイテム潜在特徴量をそのアイテムの共通性で割り算したスケール後アイテム潜在特徴量qs(k)(k=1,2,・・,n)を求める。次いで、スケール後アイテム潜在特徴量に対して、収束するまで繰り返しクォーティマックス回転R1,R2,・・,Rcを施す。これらの回転行列の積をR=R12・・Rcとして、行列Rによりp及びqを「バリマックス回転」したユーザ潜在特徴量p'及びアイテム潜在特徴量q'が得られる。なお、上記の「クォーティマックス回転」とは、各アイテムについてのスケール後アイテム潜在特徴量の各成分の2乗の値の分散の、すべてのアイテムについての総和を最大にするような、b次元数ベクトル空間における回転である。なお、上記のR1,R2,・・,Rcのそれぞれは通常、b次元数ベクトルの2つの成分のみを変換し、残りの(b-2)個の成分を保つような回転行列から選択される。
(各モデルの判別精度) 上記の表3に、本発明のSCFモデルに係る一実施形態において、テスト用データに属するサンプルから計算されるf1スコアと修正f1スコアを示した。SCFモデルの判別精度は、f1スコアと修正f1スコアともに、DeepモデルやDeepPaモデルより高く、DeepGoモデルより低くなっている。SCFモデルの
判別精度がDeepGoモデルより低いことは残念であるが、SCFモデルにはDeepGoモデルにはない利点がある。DeepGoモデルでは推奨判別の根拠がブラックボックスの中に閉じこめられてしまって不明になりがちであるが、SCFモデルではアイテム潜在特徴量及びユーザ潜在特徴量の形でアイテムの特徴とユーザの美容意識が明らかになるので、推奨判別の根拠が明確になり、推奨判別の結果に説得力を持たせることができる。
(ユーザ潜在特徴量の表示) 図12は、本発明のSCFモデルに係る一実施形態において、ユーザ潜在特徴量の8つの成分が、推奨判別プログラムのユーザ潜在特徴量表示手段により出力装置に表示される様子を示す説明図である。先に、あるユーザについての、DeepGoモデル等による推奨判別の結果や適合率、再現率等が、図9に示す表図の形式で、出力装置に出力されることを述べた。この出力装置がディスプレイやタッチパネルディスプレイである場合、例えば、美容商品G7(美容液(美白))のところにマウスポインタを合わせてクリックすると、図12に示すようなユーザ潜在特徴量の各成分を表示するサブウィンドウが開き、又は、画面表示が図12に示すようなユーザ潜在特徴量の各成分を表示する内容に変化して、ユーザの美容意識を読み取ることが可能となる。当該表示は、ユーザ潜在特徴量表示手段が行う。好ましくは、ユーザ潜在特徴量の各成分と共に、当該美容商品(この例ではG7)のアイテム潜在特徴量の各成分を出力装置に表示することが望ましく、更に好ましくは、推奨判別に直接的に関係する、ユーザ潜在特徴量の各成分と、対応するアイテム潜在特徴量の成分との積を出力装置に表示することが望ましい。当該表示は好ましくは棒グラフ等の視覚的に認識しやすい態様で行うことが望ましい。図12の表示内容からは、当該ユーザは脂性に関心が高いがゆえに、脂性意識と正に関係するアイテム潜在特徴量を有する美容商品であるG7が推奨されるとの判別結果になったのものと推測できる。図12に示されるような、ユーザ潜在特徴量表示手段による表示内容を見ることにより、ユーザ又は美容アドバイザは、ユーザの美容意識を客観的に認識できるから、本実施形態は、ユーザの美容意識に相応しい美容商品を選択して推奨することができる。
(因子得点の識別面への表示)なお、本発明の別の実施形態においては、ユーザ潜在特徴量表示手段は、図12に例示される態様等でのユーザ潜在特徴量の表示とともに、若しくは、図12に例示される態様等でのユーザ潜在特徴量の表示に替えて、因子分析法により、21項目からなる設問の回答から計算されたユーザの因子得点を識別面上に表示することができる。この場合には、図(18A)及び/又は図(18B)に示す識別面上にプロットされたユーザのO1因子、D因子、EST因子、MB因子等の因子得点から、ユーザ又は美容アドバイザは、ユーザの肌タイプや美容意識を客観的に認識できる。それゆえ、本実施形態は、美容アドバイザがユーザの肌タイプや美容意識に相応しい美容商品を選択して推奨したり、コンピュータ制御プログラムによる美容商品の推奨判別の判別結果をユーザや美容アドバイザが理解する上で、大いに助けとなる。
(SCFモデルのフロー図) 図13は、本発明のSCFモデルに係る一実施形態における、コンピュータ制御プログラムの処理の流れを示すフロー図である。まず、ステップS21において、アイテム潜在特徴量が、メモリ、HD、リムーバブルメモリ等の記憶手段やネットワークを介して接続されたサーバー等から読込可能であるかどうかが判断される。読込可能であれば、ステップS24でアイテム潜在特徴量及び正則化パラメータや潜在特徴量の次元b等のハイパーパラメータを読込み、ステップS25へ進む。読込可能でなければ、ステップS22へ進む。ステップS22では、機械学習により訓練用データに対してアイテム潜在特徴量及びユーザ潜在特徴量の好適値を推定する。また、交差検証用データを用いて、正則化パラメータλの好適値を推定する。次いでステップS23では、アイテム潜在特徴量及びハイパーパラメータを上記の記憶手段に保存し、及び/又はネットワークを介して接続されたサーバーや端末等に送信する。次いでステップS25では、ア
イテム潜在特徴量を固定して美容商品の推奨判別の対象とするユーザvと美容商品である各アイテムkについて、後述する修正コスト関数を最小化することを目的として、ユーザvのユーザ潜在特徴量を繰り返し更新し、ユーザvのユーザ潜在特徴量の好適値p(v,λ;k)を推定する。次いでステップS26では、前記アイテム潜在特徴量とユーザvの推定された前記ユーザ潜在特徴量に基づき、ユーザvの美容商品kに係るユーザ特徴量の予測値aを計算する。次いでステップS27では、前記予測値と予め定めたしきい値に基づいて美容商品の推奨判別を行う。次いでステップS28では、前記予測値に基づいて適合率と再現率を計算する。最後にステップS29では、判別結果出力手段及び判別精度表示手段が、例えば図9及び/又は図12に示される態様で、判別結果及び/又は適合率及び/又は再現率を出力装置に出力する。
(修正コスト関数) 修正コスト関数Jは、美容商品の推奨判別の対象とするユーザvのユーザ潜在特徴量p=p(v)の関数であり、式(6)とほぼ同じ式により定義される。ただし、式(6)とは異なり、第1項及び第2項のユーザuについての和はu=vの場合のただ一つの項からなる。また、ユーザ潜在特徴量を推定する際にはアイテム潜在特徴量q(k)は固定するので、第3項は無視してよい。第2項の正則化パラメータλは、先のステップS22において好適値に推定され、ステップS23において保存された値、又は、先のステップS24において読込まれた値を用いる。
<5.推奨判別システム及びeラーニングシステム>
<5-1.独立システム>
図14は、本発明の一実施形態における、システム構成を示す構成図である。本実施形態の推奨判別システムは、パソコン等の独立したコンピュータ1と、キーボード、マウス、タッチパネルディスプレイ等で構成される入力装置2と、ディスプレイ、プリンタ等で構成される出力装置3で構成される。本推奨判別システムは、ユーザが操作してもよく、ユーザに問診しながら美容用品店等の美容アドバイザが操作しても良い。入力装置2は、各ユーザのユーザ特徴量を入力するために用いられる。ここで各ユーザのユーザ特徴量は、美容に関する設問の回答、美容用品の利用有無、画像、計測値その他の情報などを含む。コンピュータ1は、コンピュータ制御プログラムを実行して、美容商品の推奨判別を行い、判別精度を計算する。出力装置3は、美容商品の推奨判別の結果を表示し、好ましくは判別の適合率や再現率などの判別精度を表示する。
図15は、前記推奨判別システムの構成の一部を詳細に説明する構成図である。コンピュータ1は、基本構成10を有する。基本構成10は、ユーザ特徴量を入力するためのユーザ特徴量入力手段4と、美容商品の推奨判別の結果を表示するための判別結果出力手段5と、訓練用データを記憶するための訓練用データ記憶手段6と、推奨判別の対象であるユーザvのユーザ特徴量を記憶するための変数記憶手段7と、コンピュータ制御プログラム8と、コンピュータ制御プログラム8、及び/又はパラメータΘ、及び/又はアイテム潜在特徴量、及び/又は正則化パラメータλを記録するためのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体9と、を有する。ここで、コンピュータ制御プログラム8は、推奨判別プログラム80を有し、推奨判別プログラム80は、予測関数の出力値を計算するための予測関数出力値計算手段81を有する。
また、本実施形態の推奨判別システムが、生徒が顧客に美容商品gを提供すべきか否かについて学ぶことができる美容商品のeラーニングシステムの機能を備える場合には、基本構成10は更に、ユーザによる判別結果を入力するためのユーザ判別結果入力手段101と、ユーザによる判別結果と推奨判別システムによる判別結果とを比較するための判別結果比較手段102と、を有する。
<5-2.サーバで判別を行うシステム>
図16は、本発明の別の一実施形態における、システム構成を示す構成図である。本実施形態においては原則として、美容商品の推奨判別はサーバ12が行い、入力と出力はユーザに近い端末11が行う。本実施形態の推奨判別システムは、インターネット等のネットワーク13等を介して双方向に通信可能な端末11とサーバ12とを含む。端末11は、パソコン、スマートフォン、タブレット等のコンピュータと、キーボード、マウス、タッチパネルディスプレイ等で構成される入力装置2と、ディスプレイ、プリンタ等で構成される出力装置3と、で構成される。サーバ12は、パソコン、サーバマシン等のコンピュータであり、前記基本構成10を備え、オプションでキーボード、マウス、タッチパネルディスプレイ等で構成される入力装置と、ディスプレイ、プリンタ等で構成される出力装置と、を有してもよい。本形態における端末11は、ユーザが操作してもよく、ユーザに問診しながら美容用品店等の美容アドバイザが操作しても良い。入力装置2は、各ユーザのユーザ特徴量を入力するために用いられる。端末11は、入力装置2により入力されたユーザ特徴量を、サーバ12に向けて送信するためのユーザ特徴量送信手段41を有する。サーバ12は、端末11のユーザ特徴量送信手段41により送信されたユーザ特徴量を、ユーザ特徴量受信手段42により受信する。サーバ12は、コンピュータ制御プログラムを実行して、美容商品の推奨判別を行い、判別精度を計算し、当該判別結果及び/又は判別精度を端末11に向けて送信するための判別結果送信手段51を有する。端末11は、サーバ12の判別結果送信手段51により送信された判別結果及び/又は判別精度を受信するための判別結果受信手段52を有する。端末11は、判別結果受信手段52が受信した判別結果及び/又は判別精度を出力装置3に表示する。
本実施形態においては、サーバ12は、ユーザ特徴量受信手段42が受信するユーザ特徴量を変数記憶手段7に保存し、保存されたユーザ特徴量の件数などが一定の基準を満たしたときに、それらのユーザ特徴量の全部又は一部を訓練用データに追加して訓練用データ記憶手段6に保存し、前記訓練用データに基づく機械学習を行い、学習済パラメータ、すなわち、パラメータΘ及び/又はアイテム特徴量及び/又は正則化パラメータ等のハイパーパラメータを更新し、更新された学習済パラメータを変数記憶手段7又は記憶媒体9又はその他の記憶手段に保存するように構成してもよい。
また、本実施形態の推奨判別システムが、前記eラーニングシステムの機能を備える場合には、端末11は更に、ユーザによる判別結果を入力するためのユーザ判別結果入力手段101と、ユーザ判別結果入力手段101により入力されたユーザによる判別結果をサーバ12に向けて送信するためのユーザ判別結果送信手段103を有する。また、サーバ12は更に、端末11のユーザ判別結果送信手段103により送信されたユーザによる判別結果を受信するためのユーザ判別結果受信手段104と、ユーザによる判別結果と推奨判別システムによる判別結果とを比較するための判別結果比較手段102と、を有する。
<5-3.端末で判別を行うシステム>
図17は、本発明の更に別の一実施形態における、システム構成を示す構成図である。一般に機械学習には高負荷の計算が必要となるが、モデルの学習済パラメータが既知であれば、予測値の計算や推奨判別の演算そのものは一般に軽負荷であって、モバイル端末等の端末でも十分に行うことができる。そこで、予測値の計算や推奨判別の演算を端末で行う構成が、本実施形態である。
本実施形態の推奨判別システムにおいては原則として、ユーザ特徴量等の入力と、推奨判別の結果の出力に加えて、美容商品の推奨判別は端末11が行う。本実施形態における端末11は、入力装置2と、出力装置3と、入力装置2により入力されたユーザ特徴量をサーバ12に向けて送信するためのユーザ特徴量送信手段41を有する。サーバ12は、前記基本構成10を備え、ユーザ特徴量受信手段42を有し、オプションで入力装置と、出力装置と、を有してもよい。サーバ12は、学習済パラメータ、すなわち、パラメータΘ及び/又はアイテム特徴量及び/又は正則化パラメータ等のハイパーパラメータを、端
末11に向けて送信するための学習済パラメータ送信手段43を有する。端末11は、サーバ12の学習済パラメータ送信手段43により送信された学習済パラメータを受信するための学習済パラメータ受信手段44を有する。端末11は、学習済パラメータ受信手段44により受信された学習済パラメータと入力装置2により入力されたユーザ特徴量に基づき、コンピュータ制御プログラムを実行して、美容商品の推奨判別を行い、判別精度を計算し、当該判別結果及び/又は判別精度を出力装置3に表示する。
本実施形態においても、サーバ12は、一定の基準に基づいて訓練用データにユーザ特徴量を追加し、追加更新された訓練用データに基づく機械学習を行って学習済パラメータを更新し、更新された学習済パラメータを変数記憶手段7又は記憶媒体9又はその他の記憶手段に保存するように構成してもよい。
また、本実施形態の推奨判別システムが、前記eラーニングシステムの機能を備える場合には、端末11は更に、ユーザによる判別結果を入力するためのユーザ判別結果入力手段101と、ユーザ判別結果入力手段101により入力されたユーザによる判別結果をサーバ12に向けて送信するためのユーザ判別結果送信手段103と、ユーザによる判別結果と推奨判別システムによる判別結果とを比較するための判別結果比較手段102と、を有する。また、サーバ12は更に、端末11のユーザ判別結果送信手段103により送信されたユーザによる判別結果を受信するためのユーザ判別結果受信手段104を有する。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
本発明によれば、ビッグデータを用いた機械学習の手法によって、ユーザが普段利用している美容商品が何かという情報を含む問診データ等に基づいて、肌タイプの判別を前提とすることなく直接に、美容商品がユーザに相応しいか否かを判別することができる美容商品の推奨判別方法及びシステムを提供することができる。更に本発明によれば、上記の機械学習の手法によって、前記情報を含む問診データ等に基づいて、ユーザの美容意識を評価することができる美容商品の推奨判別方法及びシステムを提供することができる。本発明によれば、美容室、化粧品販売店、クリニック、ドラッグストア、エステチックサロン等のオンライン店舗若しくはリアル店舗における化粧品や美容サービスの推奨、美容教育、美容アドバイザの育成等を従来より的確に行うことができる。本発明は幅広い産業上の利用可能性を有する。
1 コンピュータ
2 入力装置
3 出力装置
4 ユーザ特徴量入力手段
5 判別結果出力手段
6 訓練用データ記憶手段
7 変数記憶手段
8 コンピュータ制御プログラム
9 記憶媒体
10 基本構成
11 端末
12 サーバ
13 ネットワーク
41 ユーザ特徴量送信手段
42 ユーザ特徴量受信手段
43 学習済パラメータ送信手段
44 学習済パラメータ受信手段
51 判別結果送信手段
52 判別結果受信手段
80 推奨判別プログラム
81 予測関数出力値計算手段
101 ユーザ判別結果入力手段
102 判別結果比較手段
103 ユーザ判別結果送信手段
104 ユーザ判別結果受信手段
A,B,S シグモイド関数のグラフ上の点
G1~G12 美容商品
Q1~Q22 美容に関する設問

Claims (7)

  1. ユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かをコンピュータ制御プログラムの実行により判別する方法であり、
    前記コンピュータ制御プログラムは、機械学習を用いた美容商品の推奨判別プログラムを有し、
    あらかじめ用意した、多数のユーザのユーザ特徴量と、それらのユーザに対する美容商品の推奨度を表す0又は1の数値と、を機械学習のための訓練用データとし、
    前記ユーザvの前記美容商品g以外のアイテムに係るユーザ特徴量を変数として、前記推奨判別プログラムを実行することによって、ユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かを判別し、
    前記推奨判別プログラムは、予測関数の出力値を計算する予測関数出力値計算手順を有し、
    前記予測関数はパラメータで規定され、ユーザの前記美容商品g以外のアイテムに係るユーザ特徴量を入力値とし、当該ユーザに対する前記美容商品gの推奨度を表す数値の予測値を出力値とし、
    前記推奨判別プログラムは、ユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かをしきい値を用いて判別する判別の適合率を計算する手順と、当該適合率を表示する手順と、を有し、
    前記判別の適合率は、ユーザvの美容商品gに係る前記予測関数による予測値aを含む数直線上の区間[a-ε1,a+ε2)(ただし、ε1,ε2は小さな正数)を考えて、交差検証用のデータセットに含まれ、かつ、ユーザの美容商品gに係る前記予測関数による予測値が前記区間に属するユーザのうちで、実際に当該ユーザに対する前記美容商品gの推奨度を表す数値が1であるユーザの割合であることを特徴とする美容商品の推奨判別方法。
  2. ユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かをコンピュータ制御プログラムの実行により判別する方法であり、
    前記コンピュータ制御プログラムは、機械学習における協調フィルタリングの手法を用いた美容商品の推奨判別プログラムを有し、
    前記推奨判別プログラムは、あらかじめ用意した、多数のユーザに対する美容商品の推奨度を表す0又は1の数値を含む、多数の前記ユーザの各アイテムに係るユーザ特徴量を機械学習のための訓練用データとして、当該訓練用データに基づいて、各ユーザuのユーザ潜在特徴量p(u)、及び、各アイテムiのアイテム潜在特徴量q(i)を好適値に推定する手順と、
    前記訓練用データを用いて好適化された各アイテムiのアイテム潜在特徴量q(i)を固定して、ユーザvの各アイテムに係るユーザ特徴量に基づいて、当該ユーザvのユーザ潜在特徴量p(v)を好適値に推定する手順と、
    当該ユーザvのユーザ潜在特徴量p(v)と美容商品gのアイテム潜在特徴量q(g)を用いて、ユーザvに対する美容商品gの推奨度を表す数値y(v,g)の予測値aを計算して、ユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かをしきい値を用いて判別する判別の手順と、
    当該判別の適合率を計算する手順と、当該適合率を表示する手順と、を有し、
    前記判別の適合率は、ユーザvに対する美容商品gの推奨度を表す数値の予測値aを含む数直線上の区間[a-ε1,a+ε2)(ただし、ε1,ε2は小さな正数)を考えて、交差検証用データのデータセットに含まれ、かつ、ユーザの美容商品gに係る同様な予測値が前記区間に属するユーザのうちで、実際に当該ユーザに対する前記美容商品gの推奨度を表す数値が1であるユーザの割合であることを特徴とする美容商品の推奨判別方法。
  3. 前記推奨判別プログラムは、前記ユーザvのユーザ潜在特徴量を表示すユーザ潜在特徴量表示手順と、当該手順の前に、ユーザ潜在特徴量とアイテム潜在特徴量を同時に同じ回転行列を用いて回転する手順と、を有する請求項に記載の美容商品の推奨判別方法。
  4. 前記推奨判別プログラムは、前記ユーザvのユーザ潜在特徴量の各成分とともに、当該美容商品gのアイテム潜在特徴量の対応する各成分を表示する手順を有する請求項2又は3に記載の美容商品の推奨判別方法。
  5. 前記ユーザに対する美容商品の推奨度を表す数値は、当該ユーザによる当該美容商品の利用有無を表す数値である請求項1~4のいずれか一項に記載の美容商品の推奨判別方法。
  6. 前記アイテムは、美容商品と、美容についての設問と、を含む請求項1~5のいずれか一項に記載の美容商品の推奨判別方法。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の前記コンピュータ制御プログラム。
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