JP7368821B2 - 美容商品の推奨判別方法及びプログラム - Google Patents
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Description
第一の気付きは、各ユーザに適切な美容商品を選択して提供するためには、設問セットを見直して、肌タイプに加えてユーザの美容意識を把握できるようにする必要があることである。上記の皮脂過剰因子と肌乾燥因子による肌タイプの2次元分類は、化粧品分類において、洗顔・クレンジング・化粧水・乳液・ミルクなどの基礎化粧品群と相関が大きい。化粧品には、基礎化粧品群の他に、美容液やクリーム等のエステティック化粧品群、ファンデーション等のベースメーク化粧品群、口紅等のポイントメーク化粧品群といった種類がある。これら基礎化粧品群以外の種類の化粧品の購買における顧客心理を把握する上で、上記の肌タイプの2次元分類のみでは完全とは言えない。設問セットを工夫して、ユーザの上記肌タイプに加えて、ベースメークやエステティックに関わるユーザの美容意識を的確に把握できることが望ましい。
、ユーザの美容意識を知ることの重要性についての記載はなく、ユーザが普段利用している美容商品が何であるかという情報を用いることも記載されていない。また、同文献には、肌組成と効果のある製品を関連させる具体的な統計処理方法についての言及はなく、製品がユーザにとって適切であるか否かを機械学習の手法により、肌組成の分類という段階を経ずに、そのユーザのアンケートの回答から直接に判別することも記載されていない。
利用している美容商品が何か、という情報を活用していないこと、第三に、美容商品がユーザに相応しいか否かを判別するためには、あらかじめユーザの肌タイプや美容意識の評価が必要であると暗黙のうちに仮定していること、第四に、ユーザの肌タイプや美容意識と、ユーザに相応しい美容商品と、をコンピュータによる統計処理を利用して関連させる方法が不明であること、等の課題があった。
た、多数のユーザのユーザ特徴量と、それらのユーザに対する美容商品の推奨度を表す数値と、を機械学習のための訓練用データとして記憶するための訓練用データ記憶手段と、前記ユーザvの前記美容商品g以外のアイテムに係るユーザ特徴量を変数として記憶するための変数記憶手段と、を有し、前記推奨判別プログラムを実行することによって、前記訓練用データ及び前記変数に基づき、ユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かを判別することを特徴とする美容商品の推奨判別システムである。
前記美容商品gの推奨度を表す数値の予測値を出力値とする美容商品の推奨判別方法を提供できる。本形態の予測関数は、好ましくは順伝搬型ニューラルネットワークにより、更に好ましくは深層型の順伝搬型ニューラルネットワークにより表現することができる。本形態においては、上記パラメータが予測関数の重みwに対応し、上記パラメータを訓練用データに基づいて好適化することで、判別精度が高い美容商品の推奨判別方法を提供できる。
記憶手段は例えば、コンピュータ若しくはサーバ若しくは端末における、上記内部記憶手段に確保された領域、又は、CPUのレジスタにより構成される。本形態によれば、訓練用データに基づく機械学習を行うことによって、肌タイプの診断結果を介することなく、ユーザ特徴量に基づいてユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かを直接に判別可能な、美容商品の推奨判別システムを提供することができる。
(データセットのデータ構造) 表1は、本発明のいくつかの実施形態で使用するデータセットのデータ構造を示す。20000人のユーザに問診して19468人分の有効回答を得た。各ユーザの回答には、美容についての設問(Q1~Q21)に対する2択(0,1)又は5択(-2,-1,0,1,2)の回答と、年齢を問う設問(Q22)に対する年齢を表す整数値の回答と、美容商品(G1~G12)の利用有無を示す2択(0,1)の回答が含まれている。ユーザの年齢は20歳から69歳にわたる。性別は皆、女性であるが、本発明の別の実施形態においては、性別は男女にわたってもよく、その場合には、性別を問う
設問に対する2択(0,1)の回答をデータセットに加えても良い。
上記特許発明を実施することで蓄積したデータを再解析した結果、皮脂過剰因子、肌乾燥因子の他に、独立した3番目の因子(No3)を見い出した。この因子は"化粧崩れ""化粧ノリが悪い""キメが粗い"といった、化粧不満(肌質不満)にかかわる設問項目と高い関連があることが見い出された。よって、この因子と対となる(=直交する)4番目の因子を見い出し、新たな識別面を得ることで、上記特許発明の知見を包含する、新しい美容判定方法の可能性を考え、検討を重ねた。具体的には、特許文献1で構築された設問項目セット(13項目)に、新たな設問項目のセットを組み合わせ、肌乾燥と脂性とともに、3番目、及び、その対となる4番目の因子を抽出することを繰り返した。結果として、新たに8個の設問項目を追加することで、上記目的を達成した。
すなわち、13+8=21項目の設問に対する被検者の回答の因子分析法により5因子が抽出された。5因子を順にEST因子、O1因子、O2因子、MB因子、D因子と呼ぶ。EST因子は、美容問診中では最も影響力の強い因子であり(∵固有値が最大)、目的とする4番目の因子である。O1因子は、ほぼ上記特許発明におけるX軸に相当する因子(皮脂過剰因子)である(∵因子得点の相関係数R=0.968)。O2因子も、上記特許発明におけるX軸に近い因子であり、脂性原因の肌満足度に関わっていると推定される。MB因子は、上記のNo3因子である。EST因子は、上記探索の目的であった4番目の因子である。D因子は、ほぼ上記特許発明のY軸の因子(肌乾燥因子)である。MB因子は、化粧品カテゴリーで括ると、ベースメイクにかかわる設問項目(化粧崩れ、化粧ノリが悪い、キメが粗い)との関連性が強いため、メイクベース因子(MB因子)と呼称する。MB因子は、潜在しているベースメイク不満を抽出・顕在化した因子であると解釈でき、肌の美観土台を整える商品・サービス群(ファンデーション、化粧下地など)と関係が深い。EST因子は、化粧品カテゴリーで括ると、エステティックにかかわる設問項目(ハリ弾力、明るさ透明感、肌のキメ、若々しさ)との関連性が強いため、エステティック因子(EST因子)と呼称する。EST因子は、潜在しているエステティックニーズを抽出・顕在化した因子であると解釈でき、肌の美容を向上させる商品・サービス群(美容液、クリームなど)と関係が深い。MB因子とEST因子は直交するため、問診回答結果から、各因子得点を求め、例えば、図(18B)に示すように、EST軸とMB軸とで展開される二次元面(識別面)の上に、当該人の因子得点をプロットして表現することができる。上記識別面上のプロットから、ユーザの来店・立ち寄りニーズ、具体的には、美容商品
(化粧品や美容サービス)に対する(1)ニーズの強さ、(2)重心(関心の在り処)、(3)購入・享受に対する心理的許容度、を迅速に分類し、効果的な顧客対応を実現することができる。それゆえ、上記の13+8=21項目の設問のセット(Q1~Q21)は、上記特許発明の知見を包含し、かつ、顧客の負担を最小限にして、迅速、的確、総合的な美容カウンセリングを行うことを可能とし、販売機会を増大し、ロイヤルカスタマー化を促進することのできる設問のセットである。
<2-1.一般的な順伝搬型ニューラルネットワークの構成>
図5は、本発明のいくつかの実施形態で使用する予測関数を表現する順伝搬型ニューラルネットワークの一般的な構成を示す説明図である。これらの実施形態において、予測関数fは、任意のユーザuのユーザ特徴量x=x(u)を入力値とし、ユーザuのアイテム(設問又は美容商品など)に係る値y=y(u)の予測値aを出力値とし、パラメータΘに依存する。パラメータΘは、ニューラルネットワークに存在するすべてのニューロンの重みをまとめて表したものである。式で書くと
(1) a=f(x,Θ)
である。
内積の値をzとして、zに活性化関数gを施して得られる値a(2) k=g(z)を、第3層の各ニューロン(バイアスニューロンを除く)に向けて出力する。式で書くと
(2) a(2) k=g(z), z=x・θ(1) k
である。
(中間層と出力層) 第j層(j=3,・・,L)はnj個のニューロンからなり、第j層のk番目のニューロンは第j-1層のニューロンの出力値a(j-1)と自らの重みθ(j-1) kとの内積を計算し、それに自らのバイアス値θ(j-1) k,0を加えた値をzとして、zに活性化関数gを施して得られる値a(j) k=g(z)を、第j+1層の各ニューロン(バイアスニューロンを除く)に向けて出力する。式で書くと
(3) a(j) k=g(z), z=a(j-1)・θ(j-1) k+θ(j-1) k,0
である。
(出力層) 第L層(出力層)はnL個のニューロンからなり、上記の式(3)においてj=Lである場合の出力値a=a(L)を出力する。この場合の式(3)は、式(1)の内容を具体的に表現したものである。出力値aは、ユーザuのアイテムに係る値の予測値であり、美容商品の推奨判別に利用される。例えば、出力値aのk番目の成分akがある美容商品に係る値の予測値であるとき、ユーザuについて仮にakがほぼ1であれば、ユーザuにその美容商品を推奨すべきと判別し、仮にakがほぼ0であれば推奨すべきでないと判別する。
(コスト関数) 各ニューロンの重みを表すパラメータΘは、訓練用データに基づく機械学習により好適化される。好適化は、次の式(4)で表されるコスト関数Jを極小化することを目指して、パラメータΘを逐次更新することにより行う。
となるように標準化しておくことが望ましい。たとえば5択の回答値-2, -1, 0, 1, 2は標準化により例えば順に0, 0.25 0.50, 0.75, 1.0となる。
また、中間層が1層又は2層の順伝搬型ニューラルネットワークを用いることも可能である。その場合、パラメータΘの良好な好適化のためには、好ましくは、第2層(1つ目の中間層)のニューロンの数を多くして、例えば第1層(入力層)のニューロンの数の2倍以上として、上記の方法でパラメータΘの初期値を乱数で与える。
<2-3.Deepモデル>
図(6A)は、Deepモデルと呼ぶ本発明の実施例で使用する予測関数を表現する順伝搬型ニューラルネットワークの具体的な構成を示す説明図である。本実施例は、入力層に用いるユーザ特徴量が設問(Q1~Q22)に対する回答のみであって美容商品(G1~G12)の使用有無を含まないことと、出力層の予測値が、1つの美容商品(図の例ではG1)の使用有無の予測値のみであることに特徴がある。本実施例では、中間層が3層
で、全体が5層からなるニューラルネットワークを使用し、ニューロンの数は、入力層が22、第2層が16、第3層が8、第4層が4、出力層が1である。正則化パラメータλの好適値はλ=1.0×10-4であった。
図(6B)は、DeepPaモデル(Paはparallelの意)と呼ぶ本発明の実施例で使用する予測関数を表現する順伝搬型ニューラルネットワークの具体的な構成を示す説明図である。本実施例は、入力層に用いるユーザ特徴量が設問(Q1~Q22)に対する回答のみであって美容商品(G1~G12)の使用有無を含まないことと、出力層の予測値が12の美容商品(G1~12)の使用有無の予測値であり、すべての美容商品の使用有無を同時に予測することに特徴がある。本実施例では、中間層が3層で、全体が5層からなるニューラルネットワークを使用し、ニューロンの数は、入力層が22、第2層が24、第3層が12、第4層が12、出力層が12である。正則化パラメータλの好適値はλ=1.0×10-5であった。
図(6C)は、DeepGoモデル(Goはgoodsの意)と呼ぶ本発明の実施例で使用する予測関数を表現する順伝搬型ニューラルネットワークの具体的な構成を示す説明図である。本実施例は、入力層に用いるユーザ特徴量が設問(Q1~Q22)に対する回答と美容商品(図の例ではG2~G12)の使用有無の両方を含むことと、出力層の予測値が1つの美容商品(図の例ではG1)の使用有無の予測値であることに特徴がある。なお、入力層に用いるユーザ特徴量からは、出力層の予測値に係る美容商品(図の例ではG1)の使用有無が除かれている点に注意されたい。本実施例では、中間層が3層で、全体が5層からなるニューラルネットワークを使用し、ニューロンの数は、入力層が33、第2層が24、第3層が12、第4層が6、出力層が1である。正則化パラメータλの好適値はλ=1.0×10-4であった。
<3-1.しきい値と判別精度>
(しきい値) 本発明においては、ユーザuに美容商品gを推奨すべきか否かを判別するためにしきい値hを用いる。しきい値hは例えば、出力層の活性化関数としてシグモイド関数を用いる場合には0以上1以下の値の実数であり、一般に美容商品gごとに異なった値に選ばれる。ニューラルネットワークの入力層にユーザuの、美容商品g以外のアイテムに係るユーザ特徴量を入力した場合に、出力層の美容商品gであるアイテムに係るニューロンの出力値(予測値)をaとする。a≧hであればユーザuに美容商品gを推奨すべきであると判別し、a<hであれば推奨すべきでないと判別するのである。
きは1、そうでないときは0とする。あるデータセット、例えばテスト用データに含まれるすべてのユーザは、表2に示す4つのケースTrue Positive, False Positive, False Negative, True Negativeのいずれかに分類される。データセットにおいてそれぞれのケースに当てはまるユーザの割合を順にTP,FP,FN,TNとする。このとき、適合率と再現率はそれぞれ次の式で定義される。
適合率 = TP/(TP+FP)
再現率 = TP/(TP+FN)
また、f1スコアは、適合率と再現率の調和平均であり、次式で定義される。
f1スコア = ((適合率-1+再現率-1)/2)-1
図(8A)は、本発明の実施例であるDeepGoモデルの、テスト用データに含まれるユーザにおける、美容商品の利用率とf1スコアの関係を示すグラフ図である。プロットされた12個の点はG1~G12の各美容商品を表す。美容商品の利用率が高いとf1スコアも大きくなる傾向があることがわかる。モデルの判別能力を計測するには、美容商品の利用率による違いを補正した判別精度を使うことが望ましい。そこで、「修正f1スコア」と呼ぶ量を考える。図(8B)は、修正f1スコアの概念を説明する説明図である。修正f1スコアは、粗くいうと、美容商品の利用率が仮に0.20であったらf1スコアはいくらになるか、を表す量である。0.20は、本実施例で取り上げた12種類の美容商品G1~G12の利用率のおよその平均値である。我々は上記補正に、図(8B)のグラフの曲線で示されるシグモイド関数σ及びその逆関数σ-1を用いる。一般に、あるモデルによる判別において、利用率がrの美容商品のf1スコアがsであるとき、修正f1スコアは
修正f1スコア = σ(x+Δx)
で定義される。ここで、σ(x)=0.20,Δx=σ-1(s) -σ-1(r)である。例えば、あるモデルによる判別において、利用率が0.90の美容商品のf1スコアが0.99であるとする(図の点Aおよび点A')。0.90=σ(2.2),0.99=σ(4.2)であるから、点Aと点A'のx座標(横軸の座標)の差はΔx=2.0である。ここでσ(x)=0.20となる点S(?1.4, 0.20)から右へΔxだけ進んだグラフ上の点S'の座標は(0.6, 0.65)である。そこで、当該モデルによる判別における、当該美容商品の修正f1スコアを0.65と定義するのである。同様に、利用率が0.05の美容商品のf1スコアが0.29であるときにも(図の点Bおよび点B')、修正f1スコアは0.65となる。
表3は、本発明の実施例であるDeepモデル、DeepPaモデル、DeepGoモデル、及び後述するSCFモデルによる判別の判別精度であるf1スコア及び修正f1スコアを12種類の美容商品について示した表である。DeepモデルとDeepPaモデルの判別精度は平均値ではほぼ同じであるが、美容商品によっては後者は前者より判別精度が高い。この原因は、判別に係る美容商品以外の美容商品の利用有無の情報が、ニューラルネットワークの重みを好適化する過程で、誤差逆伝搬により反映されるからであると考えられる。そこで、積極的に美容商品の利用有無の情報を推奨判別に利用するために、美容商品の利用有無の情報を入力層に用いたのがDeepGoモデルである。予想通り、DeepGoモデルのf1スコアと修正f1スコアは、これらのモデル中で最も高くなった。DeepGoモデルによる判別の判別精度は、美容商品の利用有無の情報を入力層に用いないDeepモデル及びDeepPaモデルに比べて、f1スコアで計って約0.17、修正f1スコアで計って約0.17も向上した。
図9は、本発明の実施例であるDeepGoモデルによる、あるユーザに対する美容商品の推奨判別の結果と判別の適合率を示す表図である。ニューラルネットワークの入力層のニューロンに入力される当該ユーザの、標準化する前のユーザ特徴量(ただし判別に係る美容商品の利用有無の情報は入力層には入力されない)を表4に示した。このユーザのサンプルは、テスト用データ(データセット3)に属する。推奨判別プログラムは、順伝搬型ニューラルネットワークによる予測値aとしきい値を比較して、美容商品をユーザに
推奨すべきか否かを判別し、その判別結果は判別結果出力手段によりディスプレイやプリンタ等の出力装置に出力される。判別結果出力手段は好ましくは判別精度表示手段を有する。判別精度表示手段は当該ユーザによる各美容商品の利用有無、判別の適合率、判別の再現率を出力装置に表示する。判別の適合率は数値に加えて、棒グラフ等の視覚的にわかりやすい形態で表示されることが好ましい。また、表示される美容商品は、判別の適合率の大小関係により並び替えられていることが好ましい。
なお、本発明の別の実施形態である後述するSCFモデルにおいても同様にして、判別結果出力手段及び/又は判別精度表示手段は、出力装置に、美容商品の推奨判別の結果及び/又は判別の適合率や再現率を出力する。
図10は、DeepGoモデル等の順伝搬型ニューラルネットワークを用いる本発明の一実施形態における、コンピュータ制御プログラムの処理の流れを示すフロー図である。まず、ステップS11において、パラメータΘが、メモリ、HD、リムーバブルメモリ等の記憶手段やネットワークを介して接続されたサーバー等から読込可能であるかどうかが判断される。読込可能であれば、ステップS14でパラメータΘを読込み、ステップS15へ進む。読込可能でなければ、ステップS12へ進む。ステップS12では、機械学習によりパラメータΘの好適値を推定する。次いでステップS13では、推定されたパラメータΘを上記の記憶手段に保存し、及び/又はネットワークを介して接続されたサーバーや端末等に送信する。次いでステップS15では、順伝搬型ニューラルネットワークの入力層に当該ユーザのユーザ特徴量を入力して、出力層から予測値を得る。ステップS16では前記予測値と予め定めたしきい値に基づいて美容商品の推奨判別を行う。次いでステップS17では、前記予測値に基づいて適合率と再現率を計算する。最後にステップS18では、判別結果出力手段及び判別精度表示手段が、判別結果及び/又は適合率及び/又は再現率を出力装置に出力する。
(SCFモデルの構成) 図(6D)は、SCFモデルと呼ぶ本発明の一実施形態で使用する予測関数を表現するニューラルネットワークの構成を示す説明図である。本実施形態において、予測関数fは、任意のユーザuのユーザ潜在特徴量p=p(u)と、任意のアイテム(設問又は美容商品など)kのアイテム潜在特徴量q=q(k)と、を入力値とし、ユーザuのアイテムkに係る値y=y(u,k)の予測値a=a(p,q)を出力値とする。ユーザ潜在特徴量pとアイテム潜在特徴量qはいずれもb次元数ベクトル空間に属するベクトルであり、訓練用データに基づいて推定される。ここで自然数bは本モデルのハ
イパーパラメータであり、後述する正則化パラメータλとともに、交差検証用データを用いて好適値に設定される。今回用いたデータセットについてはb=8であった。
(5) a=g(z), z=p・q=p(u)・q(k)
である。出力値aは、ユーザuのアイテムkに係る値の予測値であり、美容商品の推奨判別に利用される。例えば、アイテムkがある美容商品であるとき、仮にaが1に近い、より正確にはあらかじめ定めたしきい値をhとして、a≧hであればユーザuにその美容商品を推奨すべきと判別し、仮にaが0に近い、より正確にはa<hであれば推奨すべきでないと判別する。
データに対して、コスト関数Jを最小化することを目指して、潜在特徴量p(u)及びq(k)を繰り返し更新する。その結果、好適化されたアイテム潜在特徴量q(k)=q(k,λ)が得られる。これをあらかじめ選んだいくつかのλの値(例えば、0.1, 0.032, 0.001, 0.00032, 0.0001, ・・)について行う。次に、アイテム潜在特徴量を上記のq(k,λ)に固定して、訓練用データの代わりに交差検証用データ(m=3800)を用いて、各ユーザvと美容商品である各アイテムkについて、上記のコスト関数の交差検証用データ版である、後述する修正コスト関数を最小化するようにユーザ潜在特徴量p(v,λ;k)を定める。その上で、交差検証用データについてf1スコア若しくは修正f1スコアを最大化するようにλを選択する。正則化パラメータλの好適値はλ=0.032であった。
p → p'=pR, q → q'=qR
に対して不変である。ここでRはb次元数ベクトルに作用する任意のb次元正方行列であり、pとqは行ベクトルとして表現している。このRの任意性を利用して、Rをうまく選んで、回転したアイテム潜在特徴量q'の各成分の意味の解釈を容易にすることができる。すなわち、図11の表図に示したのと同様なアイテム潜在特徴量(ただし、図11とは異なって機械学習で推定された好適値そのもの)において、各アイテムのアイテム潜在特徴量をq(k)(k=1,2,・・,n)(n=34)とするとき、まず、各アイテムを表す行ベクトルどうしの相関係数r=q(k)・q(l)/(|q(k)||q(l)|)を計算し、アイテムkの「共通性」を、アイテムkと他のアイテムlについての相関係数の2乗の和で定める。次に、各アイテムkのアイテム潜在特徴量をそのアイテムの共通性で割り算したスケール後アイテム潜在特徴量qs(k)(k=1,2,・・,n)を求める。次いで、スケール後アイテム潜在特徴量に対して、収束するまで繰り返しクォーティマックス回転R1,R2,・・,Rcを施す。これらの回転行列の積をR=R1R2・・Rcとして、行列Rによりp及びqを「バリマックス回転」したユーザ潜在特徴量p'及びアイテム潜在特徴量q'が得られる。なお、上記の「クォーティマックス回転」とは、各アイテムについてのスケール後アイテム潜在特徴量の各成分の2乗の値の分散の、すべてのアイテムについての総和を最大にするような、b次元数ベクトル空間における回転である。なお、上記のR1,R2,・・,Rcのそれぞれは通常、b次元数ベクトルの2つの成分のみを変換し、残りの(b-2)個の成分を保つような回転行列から選択される。
判別精度がDeepGoモデルより低いことは残念であるが、SCFモデルにはDeepGoモデルにはない利点がある。DeepGoモデルでは推奨判別の根拠がブラックボックスの中に閉じこめられてしまって不明になりがちであるが、SCFモデルではアイテム潜在特徴量及びユーザ潜在特徴量の形でアイテムの特徴とユーザの美容意識が明らかになるので、推奨判別の根拠が明確になり、推奨判別の結果に説得力を持たせることができる。
イテム潜在特徴量を固定して美容商品の推奨判別の対象とするユーザvと美容商品である各アイテムkについて、後述する修正コスト関数を最小化することを目的として、ユーザvのユーザ潜在特徴量を繰り返し更新し、ユーザvのユーザ潜在特徴量の好適値p(v,λ;k)を推定する。次いでステップS26では、前記アイテム潜在特徴量とユーザvの推定された前記ユーザ潜在特徴量に基づき、ユーザvの美容商品kに係るユーザ特徴量の予測値aを計算する。次いでステップS27では、前記予測値と予め定めたしきい値に基づいて美容商品の推奨判別を行う。次いでステップS28では、前記予測値に基づいて適合率と再現率を計算する。最後にステップS29では、判別結果出力手段及び判別精度表示手段が、例えば図9及び/又は図12に示される態様で、判別結果及び/又は適合率及び/又は再現率を出力装置に出力する。
<5-1.独立システム>
図14は、本発明の一実施形態における、システム構成を示す構成図である。本実施形態の推奨判別システムは、パソコン等の独立したコンピュータ1と、キーボード、マウス、タッチパネルディスプレイ等で構成される入力装置2と、ディスプレイ、プリンタ等で構成される出力装置3で構成される。本推奨判別システムは、ユーザが操作してもよく、ユーザに問診しながら美容用品店等の美容アドバイザが操作しても良い。入力装置2は、各ユーザのユーザ特徴量を入力するために用いられる。ここで各ユーザのユーザ特徴量は、美容に関する設問の回答、美容用品の利用有無、画像、計測値その他の情報などを含む。コンピュータ1は、コンピュータ制御プログラムを実行して、美容商品の推奨判別を行い、判別精度を計算する。出力装置3は、美容商品の推奨判別の結果を表示し、好ましくは判別の適合率や再現率などの判別精度を表示する。
図16は、本発明の別の一実施形態における、システム構成を示す構成図である。本実施形態においては原則として、美容商品の推奨判別はサーバ12が行い、入力と出力はユーザに近い端末11が行う。本実施形態の推奨判別システムは、インターネット等のネットワーク13等を介して双方向に通信可能な端末11とサーバ12とを含む。端末11は、パソコン、スマートフォン、タブレット等のコンピュータと、キーボード、マウス、タッチパネルディスプレイ等で構成される入力装置2と、ディスプレイ、プリンタ等で構成される出力装置3と、で構成される。サーバ12は、パソコン、サーバマシン等のコンピュータであり、前記基本構成10を備え、オプションでキーボード、マウス、タッチパネルディスプレイ等で構成される入力装置と、ディスプレイ、プリンタ等で構成される出力装置と、を有してもよい。本形態における端末11は、ユーザが操作してもよく、ユーザに問診しながら美容用品店等の美容アドバイザが操作しても良い。入力装置2は、各ユーザのユーザ特徴量を入力するために用いられる。端末11は、入力装置2により入力されたユーザ特徴量を、サーバ12に向けて送信するためのユーザ特徴量送信手段41を有する。サーバ12は、端末11のユーザ特徴量送信手段41により送信されたユーザ特徴量を、ユーザ特徴量受信手段42により受信する。サーバ12は、コンピュータ制御プログラムを実行して、美容商品の推奨判別を行い、判別精度を計算し、当該判別結果及び/又は判別精度を端末11に向けて送信するための判別結果送信手段51を有する。端末11は、サーバ12の判別結果送信手段51により送信された判別結果及び/又は判別精度を受信するための判別結果受信手段52を有する。端末11は、判別結果受信手段52が受信した判別結果及び/又は判別精度を出力装置3に表示する。
図17は、本発明の更に別の一実施形態における、システム構成を示す構成図である。一般に機械学習には高負荷の計算が必要となるが、モデルの学習済パラメータが既知であれば、予測値の計算や推奨判別の演算そのものは一般に軽負荷であって、モバイル端末等の端末でも十分に行うことができる。そこで、予測値の計算や推奨判別の演算を端末で行う構成が、本実施形態である。
本実施形態の推奨判別システムにおいては原則として、ユーザ特徴量等の入力と、推奨判別の結果の出力に加えて、美容商品の推奨判別は端末11が行う。本実施形態における端末11は、入力装置2と、出力装置3と、入力装置2により入力されたユーザ特徴量をサーバ12に向けて送信するためのユーザ特徴量送信手段41を有する。サーバ12は、前記基本構成10を備え、ユーザ特徴量受信手段42を有し、オプションで入力装置と、出力装置と、を有してもよい。サーバ12は、学習済パラメータ、すなわち、パラメータΘ及び/又はアイテム特徴量及び/又は正則化パラメータ等のハイパーパラメータを、端
末11に向けて送信するための学習済パラメータ送信手段43を有する。端末11は、サーバ12の学習済パラメータ送信手段43により送信された学習済パラメータを受信するための学習済パラメータ受信手段44を有する。端末11は、学習済パラメータ受信手段44により受信された学習済パラメータと入力装置2により入力されたユーザ特徴量に基づき、コンピュータ制御プログラムを実行して、美容商品の推奨判別を行い、判別精度を計算し、当該判別結果及び/又は判別精度を出力装置3に表示する。
2 入力装置
3 出力装置
4 ユーザ特徴量入力手段
5 判別結果出力手段
6 訓練用データ記憶手段
7 変数記憶手段
8 コンピュータ制御プログラム
9 記憶媒体
10 基本構成
11 端末
12 サーバ
13 ネットワーク
41 ユーザ特徴量送信手段
42 ユーザ特徴量受信手段
43 学習済パラメータ送信手段
44 学習済パラメータ受信手段
51 判別結果送信手段
52 判別結果受信手段
80 推奨判別プログラム
81 予測関数出力値計算手段
101 ユーザ判別結果入力手段
102 判別結果比較手段
103 ユーザ判別結果送信手段
104 ユーザ判別結果受信手段
A,B,S シグモイド関数のグラフ上の点
G1~G12 美容商品
Q1~Q22 美容に関する設問
Claims (7)
- ユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かをコンピュータ制御プログラムの実行により判別する方法であり、
前記コンピュータ制御プログラムは、機械学習を用いた美容商品の推奨判別プログラムを有し、
あらかじめ用意した、多数のユーザのユーザ特徴量と、それらのユーザに対する美容商品の推奨度を表す0又は1の数値と、を機械学習のための訓練用データとし、
前記ユーザvの前記美容商品g以外のアイテムに係るユーザ特徴量を変数として、前記推奨判別プログラムを実行することによって、ユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かを判別し、
前記推奨判別プログラムは、予測関数の出力値を計算する予測関数出力値計算手順を有し、
前記予測関数はパラメータで規定され、ユーザの前記美容商品g以外のアイテムに係るユーザ特徴量を入力値とし、当該ユーザに対する前記美容商品gの推奨度を表す数値の予測値を出力値とし、
前記推奨判別プログラムは、ユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かをしきい値を用いて判別する判別の適合率を計算する手順と、当該適合率を表示する手順と、を有し、
前記判別の適合率は、ユーザvの美容商品gに係る前記予測関数による予測値aを含む数直線上の区間[a-ε1,a+ε2)(ただし、ε1,ε2は小さな正数)を考えて、交差検証用のデータセットに含まれ、かつ、ユーザの美容商品gに係る前記予測関数による予測値が前記区間に属するユーザのうちで、実際に当該ユーザに対する前記美容商品gの推奨度を表す数値が1であるユーザの割合であることを特徴とする美容商品の推奨判別方法。 - ユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かをコンピュータ制御プログラムの実行により判別する方法であり、
前記コンピュータ制御プログラムは、機械学習における協調フィルタリングの手法を用いた美容商品の推奨判別プログラムを有し、
前記推奨判別プログラムは、あらかじめ用意した、多数のユーザに対する美容商品の推奨度を表す0又は1の数値を含む、多数の前記ユーザの各アイテムに係るユーザ特徴量を機械学習のための訓練用データとして、当該訓練用データに基づいて、各ユーザuのユーザ潜在特徴量p(u)、及び、各アイテムiのアイテム潜在特徴量q(i)を好適値に推定する手順と、
前記訓練用データを用いて好適化された各アイテムiのアイテム潜在特徴量q(i)を固定して、ユーザvの各アイテムに係るユーザ特徴量に基づいて、当該ユーザvのユーザ潜在特徴量p(v)を好適値に推定する手順と、
当該ユーザvのユーザ潜在特徴量p(v)と美容商品gのアイテム潜在特徴量q(g)を用いて、ユーザvに対する美容商品gの推奨度を表す数値y(v,g)の予測値aを計算して、ユーザvに美容商品gを推奨すべきか否かをしきい値を用いて判別する判別の手順と、
当該判別の適合率を計算する手順と、当該適合率を表示する手順と、を有し、
前記判別の適合率は、ユーザvに対する美容商品gの推奨度を表す数値の予測値aを含む数直線上の区間[a-ε1,a+ε2)(ただし、ε1,ε2は小さな正数)を考えて、交差検証用データのデータセットに含まれ、かつ、ユーザの美容商品gに係る同様な予測値が前記区間に属するユーザのうちで、実際に当該ユーザに対する前記美容商品gの推奨度を表す数値が1であるユーザの割合であることを特徴とする美容商品の推奨判別方法。 - 前記推奨判別プログラムは、前記ユーザvのユーザ潜在特徴量を表示するユーザ潜在特徴量表示手順と、当該手順の前に、ユーザ潜在特徴量とアイテム潜在特徴量を同時に同じ回転行列を用いて回転する手順と、を有する請求項2に記載の美容商品の推奨判別方法。
- 前記推奨判別プログラムは、前記ユーザvのユーザ潜在特徴量の各成分とともに、当該美容商品gのアイテム潜在特徴量の対応する各成分を表示する手順を有する請求項2又は3に記載の美容商品の推奨判別方法。
- 前記ユーザに対する美容商品の推奨度を表す数値は、当該ユーザによる当該美容商品の利用有無を表す数値である請求項1~4のいずれか一項に記載の美容商品の推奨判別方法。
- 前記アイテムは、美容商品と、美容についての設問と、を含む請求項1~5のいずれか一項に記載の美容商品の推奨判別方法。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の前記コンピュータ制御プログラム。
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