JP7367463B2 - 医療用気体供給装置 - Google Patents

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Description

本発明は、医療機器に対して気体を供給するための、医療用気体供給装置に関する。
従来、開心術や補助循環療法に伴って行われる体外循環処置では、人工肺が広く用いられている。
人工肺は、ガスブレンダから供給される酸素を含んだガスと、生体の血液に含まれる二酸化炭素とのガス交換を行なうことにより、生体の肺の機能を代行する医療機器である。このガス交換は、生体の酸素需要に応じて行なう必要がある。そのため、実際の臨床現場では、ガスブレンダが人工肺に対して供給する酸素と圧縮空気の比率やガスの流量を、状況に応じて適宜調整している。
これに関連して、近年は、このような適宜の調整を人手ではなく、自動制御で行なう機能を備えた電子式ガスブレンダも普及している。電子式ガスブレンダは、この調整機能以外にも、ガスの供給圧力が低下した場合に警報を出力する機能や、人工肺の結露の防止のために一定時間毎に高流量のガスを吹送するガスフラッシュ機能等の多様な機能を備えている。すなわち、電子式ガスブレンダは、機械式のガスブレンダと比較して、安全性と機能性が向上している。
このような、電子式ガスブレンダは、例えば、特許文献1に開示されている。
特開2017-018618号公報
上述したように、電子式ガスブレンダは、安全性や機能性の観点で機械式のガスブレンダよりも優れている。しかしながら、電子式ガスブレンダを駆動させるためには、安定した電源供給が必須となる。そのため、仮に、災害や設備トラブル等が発生して電源供給が途絶えてしまうと、電子式ガスブレンダはガスの供給をすることができなくなってしまう。また、電子ブレンダ内部の電動エアレギュレータ等が故障した場合にも、電子式ガスブレンダはガスの供給をすることができなくなってしまう。
この点、電子式ガスブレンダのような医療用気体供給装置は、生体が必要とする酸素等を含んだガスの供給を担う重要装置であることから、ガスが供給できないという事態の発生はもっとも避けるべきである。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、医療用気体供給装置において、停電等の問題が発生した場合であってもガスの供給を継続することを目的とする。
本発明は、医療機器に対して第1の気体を供給する第1の経路と、前記医療機器に対して第2の気体を供給する第2の経路と、前記第1の経路を主経路と、副経路とに分岐する分岐部と、前記主経路、前記副経路、及び前記第2の経路を、前記分岐部よりも後段で合流する合流部と、前記第1の経路における主経路及び前記第2の経路が開放されると共に前記第1の経路における副経路が遮断され前記医療機器に対して前記第1の気体と前記第2の気体の混合気体が供給される状態である第1の状態と、前記第1の経路における副経路が開放されると共に前記第2の経路及び前記第1の経路における主経路が遮断され前記医療機器に対して前記第1の気体が供給される状態である第2の状態と、を切り替える制御をする制御部と、を備える医療用気体供給装置に関する。
本発明によれば、医療用気体供給装置において、停電等の問題が発生した場合であってもガスの供給を継続することが可能となる。
本発明の実施形態に係る医療用気体供給装置の基本的構成を表すブロック図である。 本発明の実施形態に係る医療用気体供給装置が行なう気体供給処理における、平常時の気体の流れを説明する模式図である。 本発明の実施形態に係る医療用気体供給装置が行なう気体供給処理における、異常時の気体の流れを説明する模式図である。 本発明の実施形態に係る医療用気体供給装置が行なう気体供給処理の流れを説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
[全体構成]
本実施形態の構成について図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る医療用気体供給装置1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、医療用気体供給装置1は、液晶タッチパネル11、制御用基板12、ニッケル水素電池13、ニッケル水素電池14、AC電源15、AC-DCコンバータ16、酸素21、酸素経路22、空気圧センサ23、分岐部24、主経路25、副経路26、減圧弁27、電動エアレギュレータ28、電磁弁29、手動エアレギュレータ30、圧縮空気31、圧縮空気経路32、空気圧センサ33、減圧弁34、電動エアレギュレータ35、圧縮空気31、合流部41、及び空気圧センサ42を含んで構成される。
医療用気体供給装置1は、医療機器に対してガスを供給する電子式ガスブレンダとして機能する装置である。本実施形態では、説明のための一例として、ガスを供給する対象の医療機器は、人工肺であることを想定する。
この人工肺に対するガスの供給用の経路(すなわち、ガスの流路)として、医療用気体供給装置1は、人工肺に対して酸素を供給する酸素経路22を備える。また、医療用気体供給装置1は、人工肺に対して圧縮空気を供給する圧縮空気経路32を備える。更に、医療用気体供給装置1は、酸素経路22を主経路25と、副経路26とに分岐する分岐部24を備える。更に、医療用気体供給装置1は、主経路25、副経路26、及び圧縮空気経路32を、分岐部24よりも後段で合流する合流部41を備える。なお、図中において、これら経路内に示した矢印は、酸素や圧縮空気といった気体が流れる方向を示している。
このようなガスの供給経路を有する医療用気体供給装置1は、気体供給処理を実行する。ここで、気体供給処理は、停電等の問題が発生した場合であってもガスの供給を継続するための一連の処理である。
具体的に、気体供給処理において、制御用基板12は、酸素経路22における主経路25及び圧縮空気経路32が開放されると共に酸素経路22における副経路26が遮断され人工肺に対して酸素と圧縮空気の混合気体(すなわち、混合ガス)が供給される状態である第1の状態と、酸素経路22における副経路26が開放されると共に圧縮空気経路32及び酸素経路22における主経路25が遮断され人工肺に対して酸素が供給される状態である第2の状態と、を切り替える制御をする。
このような気体供給処理によれば、例えば、停電等の問題が発生しておらず、電動エアレギュレータ28や電動エアレギュレータ35が制御可能な場合には、第1の状態によって、人工肺に対して酸素と圧縮空気の混合気体を供給することができる。一方で、仮に停電等の問題が発生して、電動エアレギュレータ28や電動エアレギュレータ35が制御不能となった場合でも、第2の状態に切り替えることにより、人工肺に対して酸素を供給することができる。すなわち、気体供給処理によれば、停電等の問題が発生した場合であってもガスの供給を継続することが可能となる、という効果を奏する。
以下、このような気体供給処理を実現するために医療用気体供給装置1が備える各部の詳細と、気体供給処理の詳細について説明をする。
[各部の詳細]
液晶タッチパネル11は、液晶パネル等の表示装置と、抵抗膜方式等の操作位置検出装置とを組み合わせた装置である。液晶タッチパネル11は、ユーザ(例えば、体外循環処置を行なう医療関係者)に対して、ガスの供給状況に関する情報や、異常が発生した場合の警告情報等を表示する。また、液晶タッチパネル11は、操作位置を検出することにより、ユーザからのガスの供給に関する指示操作等を受け付ける。液晶タッチパネル11は、制御用基板12の制御に基づいて表示を実行する。また、液晶タッチパネル11は、受け付けたユーザからの操作指示等を制御用基板12に対して通知する。
制御用基板12は、医療用気体供給装置1に含まれる各部と信号を送受することにより、医療用気体供給装置1全体を制御する。制御用基板12は、例えば、プログラムを実行するための演算処理機能と、プログラムを格納する補助記憶機能と、演算処理装置がプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納する主記憶機能といった、各機能に対応する集積回路を搭載した基板により実現される。
そして、制御用基板12は、一般的な電子式ガスブレンダとしての機能を実現するための制御を行なう。例えば、制御用基板12は、電動エアレギュレータ28や電動エアレギュレータ35から出力される流量信号S4及びS7に基づいて、酸素や圧縮空気の流量を監視する。そして、制御用基板12は、監視結果に基づいて、コントロール信号S3及びS6によって電動エアレギュレータ28や電動エアレギュレータ35を制御することにより、人工肺に対して提供する混合ガスの酸素と圧縮空気の比率や、流量を適宜調整する。この場合に、制御用基板12は、人工肺の結露の防止のために一定時間毎に高流量のガスを吹送するように制御することにより、ガスフラッシュ機能も更に実現する。
他にも、制御用基板12は、空気圧センサ23、空気圧センサ33、及び空気圧センサ42から出力される空気圧信号S1、S2及びS9に基づいて、酸素や圧縮空気や混合ガスの供給圧力を監視する。そして、制御用基板12は、監視結果に基づいて、供給圧力の低下を検出した場合に、警告を出力する。また、制御用基板12は、電動エアレギュレータ28や電動エアレギュレータ35から出力されるエラー信号S5及びS8に基づいて、電動エアレギュレータ28や電動エアレギュレータ35の故障に伴うエラーを検出した場合や、制御用基板12自身の故障に伴うエラーを検出した場合や、停電等により医療用気体供給装置1に対する電源供給が途絶えた場合にも警告を出力する。制御用基板12は、この警告の出力を、例えば、液晶タッチパネル11への表示や、スピーカ(図示省略)からの警告音等の出力や、LED(Light Emitting Diode)等(図示省略)の点灯や点滅により実現する。
更に、制御用基板12は、コントロール信号S10により、電磁弁29の開閉状態を切り替えることにより、上述した気体供給処理における第1の状態と、第2の状態との切り替えに関する制御も実行する。この気体供給処理における切り替えについては、図2及び図3を参照して後述する。
ニッケル水素電池13及び14は、AC電源15に代わって医療用気体供給装置1に対する電源供給を行なうための予備バッテリである。
AC電源15からの医療用気体供給装置1に対する電源供給が正常に行われている場合、AC電源15から供給されてAC-DCコンバータ16により変換された電源にてニッケル水素電池13及び14に対する充電が行われる。一方で、停電等によりAC電源15からの医療用気体供給装置1に対する電源供給が途絶えた場合、ニッケル水素電池13及び14は、放電を行なうことにより、AC電源15に代わって医療用気体供給装置1に対して電源供給を行なう。
ここで、AC電源15から供給されてAC-DCコンバータ16により変換された電源の電圧は、直流24[V]である。これに対して、ニッケル水素電池13及び14の定格電圧は、それぞれが直流12[V]である。そして、充電時には、AC-DCコンバータ16により変換された電源をニッケル水素電池13及び14に対して並列に接続することにより充電を行なう。一方で、放電時には、ニッケル水素電池13及び14を、直列接続することにより電源供給を行なう。
このようにニッケル水素電池13及び14という2つのバッテリを用意して、充電時と放電時で接続の切り替えを行なう理由は、AC-DCコンバータ16により変換された、医療用気体供給装置1の動作用の電圧の電源をそのまま利用して充電を行なうためである。この点について、より詳細に説明する。
仮に、定格電圧が直流24[V]のバッテリを1つ用意するとした場合、このバッテリを充電するためには、定格電圧の直流24[V]以上の電圧(例えば、直流30[V])が必要となる。そのため、AC-DCコンバータ16により変換後の電源の電圧を、直流24[V]以上としなくてはならない。しかしながら、医療用気体供給装置1の各部が、直流24[V]で十分動作するのであれば、本来それ以上の電圧での電源供給は不要である。
そこで、上述するように、2つのバッテリを用意し充電時は並列接続とすることにより、直流24[V]という電圧で、定格電圧が直流12[V]の2つのバッテリを充電する。一方で、放電時には、ニッケル水素電池13及び14を、直列接続することにより、直流24[V]での電源供給を行なう。これにより、バッテリの充電のためだけに、AC-DCコンバータ16により変換後の電源の電圧を、直流24[V]以上としなくてはならないという問題を解消することができる。
このような充放電に関する制御は、制御用基板12や、直列接続と並列接続を切り替えるための回路等によって実現することができる。なお、上述の説明における電圧の値は説明のための一例に過ぎず、必ずしもこの値に限定されない。
AC電源15は、商用電源であり、電圧交流100[V]の電源をAC-DCコンバータ16に対して供給する。
AC-DCコンバータ16は、AC電源15から供給された電圧交流100[V]の電源を、AC-DC変換することにより、電圧直流24[V]の電源に変換する。そして、AC-DCコンバータ16は、変換した電圧直流24[V]の電源を、医療用気体供給装置1の各部に対して供給する。
なお、図示の都合上、AC-DCコンバータ16、ニッケル水素電池13及び14が、制御用基板12以外の各部に対して電源を供給するための電源供給線については図示を省略する。
酸素21は、酸素ボンベから供給される酸素である。酸素ボンベには、空気を深冷液化して精製分離して得られた酸素が充填されており、酸素21として、酸素経路22に供給される。この酸素ボンベからの酸素の供給は、電気制御を伴うことなく行われるので、仮に、停電が発生しても問題なく継続する。
圧縮空気31は、空気ボンベから供給される圧縮空気である。空気ボンベには、コンプレッサーで圧縮された後、水分や不純物を取り除いた圧縮空気が充填されており、圧縮空気31として、圧縮空気経路32に供給される。この空気ボンベからの圧縮空気の供給は、酸素ボンベと同様に電気制御を伴うことなく行われるので、仮に、停電が発生しても問題なく継続する。
酸素経路22、分岐部24、主経路25、副経路26、及び合流部41については、ガスの供給用経路(すなわち、ガスの流路)の説明として、一度上述しているので、再度の説明を省略する。
空気圧センサ23は、酸素経路22の空気圧を検出し、検出した空気圧を示す空気圧信号S1を制御用基板12に対して出力する。同様に、空気圧センサ33は、圧縮空気経路32の空気圧を検出し、検出した空気圧を示す空気圧信号S2を制御用基板12に対して出力する。同様に、空気圧センサ42は、人工肺に接続された経路の空気圧を検出し、検出した空気圧を示す空気圧信号S9を制御用基板12に対して出力する。制御用基板12が、これら空気圧信号S1、S2及びS9に基づいて、酸素や圧縮空気や混合ガスの供給圧力を監視する点については、上述した通りである。
減圧弁27は、主経路25における酸素の圧力を適正な圧力に減圧する。
電動エアレギュレータ28は、自身が備える流量センサにより主経路25における酸素の流量を検出する。そして、電動エアレギュレータ28は、検出した流量が、制御用基板12から出力されるコントロール信号S3により指示された流量になるように、電動エアレギュレータ28自身が備える弁の開閉状態を調整することにより、主経路25における酸素の流量を調整する。また、電動エアレギュレータ28は、電動エアレギュレータ28自身が検出した流量を流量信号S4として制御用基板12に対して通知する。更に、電動エアレギュレータ28は、電動エアレギュレータ28自身の故障に伴うエラーを検出した場合に、その旨をエラー信号S5として制御用基板12に対して通知する。
減圧弁34及び電動エアレギュレータ35は、処理の対象が主経路25ではなく圧縮空気経路32である点のみ相違し、その他の点については、減圧弁27及び電動エアレギュレータ28と同様である。
このように制御用基板12の制御に基づいて、電動エアレギュレータ28と、電動エアレギュレータ35とが動作することにより、第1の状態において、酸素と圧縮空気の比率やガスの流量の自動調整が実現できる。
電磁弁29は、制御用基板12が出力するコントロール信号S10に基づいて、電磁弁29の開閉状態を切り替える電磁弁である。具体的に、電磁弁29は、制御用基板12がコントロール信号S10を出力している間は閉弁する共に、制御用基板12がコントロール信号S10を出力していない間は開弁する。制御用基板12は、コントロール信号S10を出力しないことにより、第2の状態への切り替えを実現できる。
手動エアレギュレータ30は、ユーザによる手動操作に基づいて、手動エアレギュレータ30自身が備える弁の開閉状態を調整することにより、副経路26における酸素の流量を調整する。この調整は、制御用基板12による制御とは関わりなく行なうことができる。また、医療用気体供給装置1に電源が供給されているか否かとも関わりなく行なうことができる。そのため、ユーザは、第2の状態に切り替わる前の第1の状態のときや、第2の状態のときに、任意のタイミングで調整を行なうことができる。これにより、第2状態の場合における、人工肺への酸素の供給量を、手動で調整することが可能となる。
なお、手動エアレギュレータ30は、ユーザが調整を行なうために、副経路26における酸素の流量を測定するセンサと、この流量の測定結果を示す目盛り等を備えていると想定する。
以上、気体供給処理を実現するために医療用気体供給装置1が備える各部の詳細について説明した。なお、医療用気体供給装置1は、本発明の「医療用気体供給装置」に相当する。また、酸素21は、本発明の「第1の気体」に相当する。更に、酸素経路22は、本発明の「第1の経路」に相当する。更に、圧縮空気31は、本発明の「第2の気体」に相当する。更に、圧縮空気経路32は、本発明の「第2の経路」に相当する。更に、主経路25は、本発明の「主経路」に相当する。更に、副経路26は、本発明の「副経路」に相当する。更に、分岐部24は、本発明の「分岐部」に相当する。更に、合流部41は、本発明の「合流部」に相当する。更に、制御用基板12は、本発明の「制御部」に相当する。更に、電磁弁29は、本発明の「電磁弁」に相当する。更に、電動エアレギュレータ28、及び電動エアレギュレータ35は、本発明の「気体の流量を電動で調整する機構」に相当する。更に、手動エアレギュレータ30は、本発明の「気体の流量をユーザが手動で調整する機構」に相当する。
次に、気体供給処理の詳細について説明をする。
[気体供給処理の詳細]
気体供給処理の詳細を図2及び図3を参照して説明する。図2及び図3は、気体供給処理により切り替えられる気体の流れを示す模式図である。なお、図2及び図3における医療用気体供給装置1の構成は、図1を参照して上述した構成と同様である。
以下の説明において、AC電源15及びAC-DCコンバータ16からの電源供給が途絶えたという問題や、制御用基板12や電動エアレギュレータ28や電動エアレギュレータ35にエラーが発生したといった問題が発生せず、電動エアレギュレータ28や電動エアレギュレータ35を問題なく制御可能な状況にある場合を「平常時」と称する。
一方で、AC電源15及びAC-DCコンバータ16からの電源供給が途絶えたという問題や、制御用基板12や電動エアレギュレータ28や電動エアレギュレータ35にエラーが発生したといった問題が発生してしまい、電動エアレギュレータ28や電動エアレギュレータ35を制御不能(制御不能になるおそれのある場合も含む)な状況にある場合を「異常時」と称する。
そして、制御用基板12は、平常時に第1の状態になるように切り替えを行い、異常時に第2の状態になるように切り替えを行なう。
まず、図2を参照して平常時の気体の流れについて説明をする。平常時において、制御用基板12は、第1の状態に切り替えるために電磁弁29を閉弁する。そのために、制御用基板12は、コントロール信号S10(例えば、電磁弁29の閉弁のために必要となる、電磁弁29に対して印加される電圧信号)を電磁弁29に対して出力する。電磁弁29は、このコントロール信号S10の出力が継続している間は閉弁する。
他方で、制御用基板12は、コントロール信号S3及びS6によって電動エアレギュレータ28や電動エアレギュレータ35を制御することにより、人工肺に対して提供する混合ガスの酸素と圧縮空気の比率や、流量を適宜調整する。また、制御用基板12は、一定時間毎にガスフラッシュ機能を実現する。
このような制御用基板12による制御により、図2に示すように、酸素経路22における主経路25及び圧縮空気経路32が開放されると共に酸素経路22における副経路26が遮断され医療機器(ここでは、人工肺)に対して酸素と圧縮空気の混合気体(すなわち、混合ガス)が供給される状態である第1の状態となる。この場合、酸素経路22における主経路25を流れて供給される酸素と、圧縮空気経路32を流れて供給される圧縮空気とは、合流部41で合流して混合ガスとして人工肺に供給される。
なお、図2及び図3では、医療機器に対して供給される気体を経路内に図示したハッチングにて表現する。
次に、図3を参照して異常時の気体の流れについて説明をする。異常時において、制御用基板12は、第2の状態に切り替えるために電磁弁29を開弁する。そのために、制御用基板12は、コントロール信号S10の電磁弁29に対する出力を停止する。電磁弁29は、このコントロール信号S10の出力が停止している間は開弁する。
そして、制御用基板12は、コントロール信号S3及びS6による電動エアレギュレータ28や電動エアレギュレータ35に対する制御も停止する。そのため、電動エアレギュレータ28や電動エアレギュレータ35による、電動エアレギュレータ28や電動エアレギュレータ35それぞれが備える弁に対する制御も停止する。これによって、制御を受けなくなった電動エアレギュレータ28や電動エアレギュレータ35それぞれが備える弁は閉弁する。
このような制御用基板12による制御により、図3に示すように、酸素経路22における副経路26が開放されると共に圧縮空気経路32及び酸素経路22における主経路25が遮断され医療機器に対して酸素が供給される状態である第2の状態となる。この場合、酸素経路22における副経路26を流れて供給される酸素は、合流部41を介して人工肺に供給される。一方で、酸素経路22における主経路25を流れて供給される酸素と、圧縮空気経路32を流れて供給される圧縮空気のそれぞれは、電動エアレギュレータ28と、電動エアレギュレータ35それぞれが備える弁にて遮断される。
なお、これらコントロール信号S10の出力の停止や電動エアレギュレータ28や電動エアレギュレータ35に対する制御の停止は、制御用基板12による制御という能動的な原因に基づいて実現される場合もあるが、停電や制御用基板12等の故障に伴うエラー発生という受動的な原因に起因して実現される場合もある。すなわち、制御用基板12がエラー発生等を検出した場合に第2の状態に切り替えてもよいが、仮に制御用基板12がこのような切り替えを行なうことができなくても、停電等に伴いコントロール信号S10が消失して電磁弁が開弁するので、自動的に第2の状態へと切り替えることができる。
以上図2及び図3を参照して説明したように、気体供給処理によれば、異常時となった場合であっても制御用基板12の制御により(あるいは、停電等に伴う、コントロール信号S10の消失により)第2の状態に切り替えることができる。そのため、医療用気体供給装置1において、停電等の問題が発生した場合であってもガスの供給を継続することが可能となる。
以上、気体供給処理の詳細について説明した。次に、気体供給処理が行われる場合の動作の詳細について説明をする。
[動作]
次に、医療用気体供給装置1が実行する、気体供給処理における動作について図4を参照して説明をする。図4は、気体供給処理の流れを説明するフローチャートである。気体供給処理は、医療用気体供給装置1の起動やユーザの開始指示操作に伴って開始され、継続的に実行される。
ステップS11において、制御用基板12は、第1の状態になるように電磁弁29を閉弁する。
ステップS12において、制御用基板12は、電動エアレギュレータ28や電動エアレギュレータ35を制御することにより、人工肺に対して提供する混合ガスの酸素と圧縮空気の比率や、流量を適宜調整する。あるいは、制御用基板12は、電動エアレギュレータ28や電動エアレギュレータ35を制御することにより、ガスフラッシュ機能を実現する。
ステップS13において、制御用基板12は、停電等が発生して異常時となったか否かを判定する。異常時となった場合は、ステップS13においてYesと判定され、処理はステップS14に進む。一方で、異常時となっていない場合(すなわち、正常時のままの場合)は、ステップS13においてNoと判定され、処理はステップS12に戻る。そして、戻ったステップS12において、制御用基板12は、電動エアレギュレータ28や電動エアレギュレータ35に対する制御を継続する。
ステップS14において、制御用基板12は、第2の状態になるように電磁弁29を開弁する。これにより、酸素経路22における副経路26が開放され、酸素の供給が継続する。
ステップS15において、制御用基板12は、停電等の問題が解消して異常時が終了したか否かを判定する。異常時が終了した場合は、ステップS15においてYesと判定され、本処理は終了する。そして、再度ステップS11から処理が開始される。一方で、異常時が終了していない場合(すなわち、異常時のままの場合)は、ステップS15においてNoと判定され、処理はステップS15の判定を継続する。
以上説明した動作により、気体供給処理を実現することができる。そして、上述したように、医療用気体供給装置1において、停電等の問題が発生した場合であってもガスの供給を継続することが可能となる、という効果を奏する。
[変形例]
上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。例えば、以下に例示するように変形することが可能である。
例えば、上述した実施形態では、医療用気体供給装置1がガスを供給する対象の医療機器は人工肺であると想定した。これに限らず、医療用気体供給装置1が人工肺以外の他の医療用機器に対して、ガスを供給してもよい。例えば、医療用気体供給装置1が、生体の呼吸を補助するために生体に対して所定の酸素濃度で酸素を供給する酸素マスクや鼻カニュラに対して、ガスを供給してもよい。
また、他にも、上述した実施形態では、副経路26において、前段に電磁弁29を配置し、その後段に手動エアレギュレータ30を配置していた。これに限らず、副経路26において、前段に手動エアレギュレータ30を配置し、その後段に電磁弁29を配置してもよい。
更に、他にも、上述した実施形態では、停電等が発生し、AC電源15及びAC-DCコンバータ16による電源供給ではなく、ニッケル水素電池13及び14による電源供給となった場合に、第2の状態に切り替えていた。これに限らず、ニッケル水素電池13及び14による電源供給により駆動可能な間は、第1の状態のままとしてもよい。そして、ニッケル水素電池13及び14に充電されていた電力が消費され、ニッケル水素電池13及び14による駆動ができなくなった場合に、第2の状態に切り替えるようにしてもよい。
更に、他にも、上述した実施形態では、制御用基板12は、平常時であるか異常時であるかに基づいて、第1の状態と第2の状態とを切り替えていた。これに限らず、例えば、制御用基板12は、液晶タッチパネル11等を用いたユーザの切り替え操作に応じて、第1の状態と第2の状態とを切り替えるようにしてもよい。
以上説明した医療用気体供給装置1は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記の医療用気体供給装置1により行なわれる電源制御方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
11 液晶タッチパネル
12 制御用基板
13、14 ニッケル水素電池
15 AC電源
16 AC-DCコンバータ16
21 酸素
22 酸素経路
23、33、42 空気圧センサ
24 分岐部
25 主経路
26 副経路
27、34 減圧弁
28、35 電動エアレギュレータ
29 電磁弁
30 手動エアレギュレータ
31 圧縮空気
32 圧縮空気経路
41 合流部

Claims (4)

  1. 医療機器に対して第1の気体を供給する第1の経路と、
    前記医療機器に対して第2の気体を供給する第2の経路と、
    前記第1の経路を主経路と、副経路とに分岐する分岐部と、
    前記主経路、前記副経路、及び前記第2の経路を、前記分岐部よりも後段で合流する合流部と、
    前記第1の経路における主経路及び前記第2の経路が開放されると共に前記第1の経路における副経路が遮断され前記医療機器に対して前記第1の気体と前記第2の気体の混合気体が供給される状態である第1の状態と、前記第1の経路における副経路が開放されると共に前記第2の経路及び前記第1の経路における主経路が遮断され前記医療機器に対して前記第1の気体が供給される状態である第2の状態と、を切り替える制御をする制御部と、
    前記副経路に配置され、前記制御部が所定の制御を行なうことにより閉弁すると共に、前記制御部が前記所定の制御を行なわないことにより開弁する電磁弁と、備え
    前記制御部は、前記第1の状態において前記電磁弁を閉弁するために前記電磁弁に対する前記所定の制御を行い、前記第2の状態において前記電磁弁を開弁するために前記電磁弁に対する前記所定の制御を行わず、
    前記副経路には、気体の流量をユーザが手動で調整する機構が前記電磁弁の後段に配置され、
    前記手動で調整する機構は、前記制御部の制御と関わりなく前記ユーザが任意に調整可能である、医療用気体供給装置。
  2. 前記主経路及び前記第2の経路のそれぞれには、気体の流量を電動で調整する機構が配置され、
    前記制御部は、前記制御部が前記電動で調整する機構を制御可能な場合に前記第1の状態への切り替えを行い、前記制御部が前記電動で調整する機構を制御不能な場合に前記第2の状態への切り替えを行なう、
    請求項1に記載の医療用気体供給装置。
  3. 前記制御部が前記電動で調整する機構を制御不能な場合とは、当該医療用気体供給装置に対する電源の供給の遮断、前記電動で調整する機構の故障、及び前記制御部の故障の何れか又はこれらの組み合わせが発生した場合である請求項に記載の医療用気体供給装置。
  4. 前記第1の気体とは、酸素であり、
    前記第2の気体とは、圧縮空気であり、
    前記医療機器とは、人工肺である、
    請求項1からまでの何れか1項に記載の医療用気体供給装置。
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