以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1~図18は、一実施の形態およびその変形例を説明するための図である。このうち図1~図15に示された例では、光制御装置を表示装置に適用している。一方、図16に示された例では、光制御装置を区画部材に適用している。
本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「シート」はフィルムや板と呼ばれ得るような部材も含む概念であり、したがって、「光学シート」は、「光学フィルム」や「光学板」と呼ばれる部材と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「シート面(フィルム面、板面)」とは、対象となるシート状(フィルム状、板状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状(フィルム状、板状)の部材の平面と一致する面のことを指す。また、シート状(フィルム状、板状)の部材に対する法線方向とは、当該シート状(フィルム状、板状)の部材のシート面(フィルム面、板面)への法線方向のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
光制御装置15は、光の進行方向を制御するための部材であって、第1方向(一方向)D1に配列された可視光遮光性を有する複数の遮光部30を含んだ光学シート20を有している。とりわけ、本実施の形態による光制御装置15には、透過光の出射角度範囲を変更可能とするための工夫が成されている。具体的には、光学シート20と重ねて調光装置40が配置され、調光装置40は、第1方向(一方向)D1に配列された複数の調節領域41における可視光透過率を調節可能となっている。各遮光部30に対応して一つの調節領域41が設けられている。本実施の形態では、光学シート20とともに調光装置40を用いることにより、透過光の出射角度範囲を変更可能としている。これにより、例えば表示装置10への適用においては、表示装置10の表示を有効に視認できる角度範囲、すなわち視野角を調節することができる。
なお、第1方向D1は、光学シート20のシート面の沿った方向である。そして、図面間での方向関係を明確化するため、いくつかの図面には、第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3を図面間で共通する方向として矢印で示している。矢印の先端側が、各方向D1,D1,D1の一側S1A,S2A,S3Aとなる。また、図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面の奥に向かう矢印を、例えば図2に示すように、円の中にXを設けた記号により示した。図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面から手前に向かう矢印を、例えば図4に示すように、円の中に点を設けた記号により示した。さらに、光制御装置15に組み込まれる光学シート20及び調光装置40については、光制御装置15に組み込まれた状態での方向および向きを示している。
まず、図1~図15に示された一具体例を参照して本実施の形態について説明する。図13及び図14は、光制御装置15が組み込まれた表示装置10の構成を模式的に示す側断面図である。図13及び図14に示すように、表示装置10は、画像を形成する画像形成装置12と、画像形成装置12と重ねられた光制御装置15と、を有している。この例において、光制御装置15が、画像を形成する光の進行方向を特定の方向を中心とした特定の角度範囲に絞る。観察者は、表示装置10から射出する画像光を所定の角度範囲の視野角内において観察することができる。その一方で、表示装置10によって表示される画像は、視野角以外の角度範囲からは視認され得ないようになる。このような表示装置10において、光制御装置15は、覗き見を防止する機能を発揮する。
そして、とりわけ本実施の形態においては、光制御装置15は、透過光の出射角度範囲を変更することができる。これにより、状況に応じて視野角を狭めて覗き見を効果的に防止することが可能となり、また別の状況では、表示装置10によって表示される画像を複数人によって観察することができる程度に視野角を広げることができる。
光制御装置15が適用される表示装置10の型式は特に限定されない。図13及び図14に示された例において、表示装置10は、液晶表示パネルとしての画像形成装置12を有している。そして、図13及び図14に示された表示装置10は、面状に光を発光する面光源装置11を更に有している。面光源装置11は、いわゆるバックライトとして画像形成装置12を背面側から面状に照明する。面光源装置11は、エッジライト型や直下型等の種々の型式を採用することができる。図13に示された例において、光制御装置15は、画像形成装置12の面光源装置11とは反対側に配置されている。図13に示された例において、画像形成装置12から射出した画像光は、光制御装置15を透過する際に進行方向を所定の角度範囲に絞り込まれる。また、図14に示された例において、光制御装置15は、面光源装置11と画像形成装置12との間に配置されている。図14に示された例において、面光源装置11から射出した照明光は、光制御装置15を透過する際に進行方向を狭い角度範囲に絞り込まれる。
上述したように、光制御装置15は、光学シート20及び調光装置40を有している。調光装置40は平たいシート状の部材として形成されている。光制御装置15は、光学シート20の法線方向に沿って光制御装置15に対面して配されている。さらに、光学シート20及び調光装置40は、互いにシート面が平行となるよう、重ねて配置されている。
このうち、光学シート20について先に説明する。
図1に示すように、光学シート20は、互いに対向する一対の第1主面20A及び第2主面20Bを有したシート状の部材として形成されている。光学シート20は、そのシート面に沿った第1方向D1に配列された複数の遮光部30を有している。遮光部30は、可視光遮光性を有している。すなわち、遮光部30は、可視光を透過させない機能を有している。遮光部30は、典型的には、可視光を吸収する可視光吸収性を有している。図示された例において、各遮光部30は、第1方向D1と非平行な方向に延びている。とりわけ図示された各遮光部30は、第1方向D1と直交し且つ光学シート20のシート面に沿った第2方向D2に直線状に延びている。
光学シート20は、可視光透過性を有した透過部25を有している。そして、透過部25は、シート状に形成されている。透過部25は、光学シート20の第1主面20Aの全部と第2主面20Bの一部分とを形成している。透過部25は、第2主面20Bを形成する面に複数の凹部25aを形成されている。言い換えると、透過部25は、第1主面20Aを形成するシート状のベース部分26と、ベース部分26上に設けられた複数の突出部分29と、を有している。第1方向D1に隣り合う二つの突出部分29の間に凹部25aが設けられている。突出部分29は、光学シート20の法線方向である第3方向D3に、ベース部分26から突出している。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2の両方に対して直交している。
なお、後述する製造方法に起因して、ベース部分26は、互いに積層された第1ベース部27及び第2ベース部28を有している。第1ベース部27は、第1主面20Aを形成している。第1ベース部27は、一例として、透明な樹脂製フィルムから構成され得る。第2ベース部28は、第1ベース部27と突出部分29との間に位置し、突出部分29と一体的に成形されている。すなわち、第2ベース部28は、複数の突出部分29を支持するランド部として機能する。ただし、光学シート20から第2ベース部28を省いてもよいし、光学シート20から第1ベース部27を省いてもよい。
透過部25の各凹部25a内に遮光部30が充填されている。すなわち、光学シート20は、一方の面に複数の凹部25aを形成された透過部25と、凹部25a内に設けられた複数の遮光部30と、を有している。図2に示すように、各遮光部30は、光学シート20の厚み方向(第3方向D3)に厚み(高さH)を有した部位として形成されている。そして、遮光部30及び突出部分29は、第1方向D1に交互に配置されている。したがって、各突出部分29及び各凹部25aは、遮光部30と同様に、第1方向D1と非平行な方向に線状に延び、とりわけ第1方向D1に直交する第2方向D2に直線状に延びている。
後述する調光装置40は、図2に二点鎖線で概略的に示すように、光学シート20の第3方向D3における一側S3Aに位置している。したがって、透過部25は、第1方向D1に隣り合う二つの遮光部30の間と、第3方向D3において複数の遮光部30及び後に詳述する複数の調節領域41の間とに、位置するようになる。つまり、第3方向D3における遮光部30及び調節領域41の間には、透過部25のベース部分26が介在している。したがって、複数の調節領域41は、光学シート20の法線方向である第3方向D3において、複数の遮光部30から離間している。なお、図示されて例において、各調節領域41は、対応する遮光部30の第3方向D3における一側S3Aに位置している。
図2には、光学シート20の主切断面として、遮光部30の配列方向である第1方向D1及び光学シート20の法線方向である第3方向D3の両方に平行となる断面にて、光学シート20が示されている。光学シート20が光制御装置15や表示装置10に組み込まれた状態において、光学シート20の主切断面を通過する光制御装置15や表示装置10の断面を、光制御装置15や表示装置10の主切断面と呼ぶ。
図2に示すように、光学シート20の主切断面において、遮光部30は、透過部25とともに光学シート20の第2主面20Bを形成する底面(第2底面)32と、底面32から延び出た第1側面33及び第2側面34と、を含んでいる。図示された例において、第1方向D1に沿った第1側面33及び第2側面34の離間間隔は、第3方向D3に沿って底面32から離間して一側S3Aに向かうにつれて、互いに接近していく。図示された例において、第1側面33及び第2側面34は、光学シート20の主切断面において、直線状に形成されているが、折れ線状に形成されていてもよいし、曲線状に形成されていてもよいし、或いは、直線と曲線との組み合わせとして形成されていてもよい。
とりわけ図示された例において、第1側面33及び第2側面34は、第3方向D3における一側S3Aにおいて、共に第1底面31に接続している。図示された例において、第1底面31は、第2底面32とともに、光学シート20のシート面に沿って延びている。遮光部30は、光学シート20の主切断面において、台形形状を有している。図示された例において、遮光部30の断面形状である台形の幅狭の上底31Aが、第3方向D3において調光装置40に近接する一側S3Aに位置している。遮光部30の断面形状である台形の幅広の下底32Aが、第3方向D3において調光装置40から離間する他側に位置している。すなわち、遮光部30の第2底面32よりも第1方向D1に沿った幅が狭い第1底面31が、遮光部30の断面形状がなす台形の上底31Aを形成している。遮光部30の第1底面31よりも第1方向D1に沿った幅が広い第2底面32が、遮光部30の断面形状がなす台形の下底32Aを形成している。このような遮光部30は比較的容易に形成することができ、また後述するように、視野角を有効に狭めながら、透過光量を確保することが可能となる。
また、図示された遮光部30は、光学シート20の主切断面において、等脚台形形状を有している。このような遮光部30によれば、光学シート20の法線方向(第3方向)D3を中心として第1方向D1に対称的な配向特性を実現することができる。
図示された例において、遮光部30は、第1方向D1に沿って等間隔に配置されている。また、遮光部30は、断面形状を変化させることなく、第2方向D2に延びている。さらに、光学シート20に含まれる多数の遮光部30は、互いに同一に構成されている。以上の遮光部30の構成にともない、図示された例では、光学シート20に含まれる透過部25の突出部分29も、第1方向D1に沿って等間隔に配置され、断面形状を変化させることなく第2方向D2に延び、且つ、互いに同一に構成されている。
なお、図示された光学シート20における以上に説明した構成は、単なる例示であり、例えば後述する光学シート20の機能を考慮して適宜変更することが可能である。例えば、遮光部30の断面形状を、種々の形状に変更することができる。また、光学シート20に含まれる多数の遮光部30の間で、形状や配列が異なるようにしてもよい。
次に、光学シート20に用いられる材料について説明する。まず、光学シート20の透過部25は、可視光透過性を有しており、透明である。なお、可視光透過性を有するとは、当該部材(または当該部分)を介して当該部材の一方の側から他方の側を透視し得る程度の透明性を有していることを意味している。光学シート20の法線方向に沿ってベース部分26及び突出部分29を透過する光の透過率は、例えば、30%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上とすることができる。ここで、可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV-3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm~780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。
透過部25の第2ベース部28及び突出部分29は、同一の材料を用いて一体的に成形されていてもよい。第2ベース部28及び突出部分29に用いられる材料として、例えば、樹脂材料、とりわけ電離放射線の照射により硬化する電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。電離放射線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、可視光線硬化性樹脂、近赤外線硬化性樹脂等が挙げられる。樹脂材料の具体例としては、アクリル樹脂が挙げられる。一方、透過部25の第1ベース部27は、樹脂性のフィルム、例えばポリエチレンテレフタレート製のフィルムを用いることができる。
遮光部30は、可視光遮光性を有している。光学シート20の法線方向に沿って遮光部30を透過する光の透過率は、例えば、5%以下、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.1%以下とすることができる。遮光部30は、バインダーとして機能する主部36と、主部36中に分散された可視光吸収材37と、を有するようにしてもよい。可視光吸収材37は、可視光吸収性を有する。遮光部30の主部36に用いられる材料として、例えば、樹脂材料、とりわけ電離放射線の照射により硬化する電離放射線硬化性樹脂の硬化物を用いることができる。電離放射線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、可視光線硬化性樹脂、近赤外線硬化性樹脂等が挙げられる。樹脂材料の具体例としては、アクリル樹脂を例示することができる。一方、可視光吸収材37として、可視光を吸収可能な種々の材料、例えば、顔料、染料等の色材を用いることができる。遮光部30は、カーボンブラックやチタンブラック等の黒色顔料を可視光吸収材37として含むようにしてもよいし、吸収スペクトルが互いに異なる複数種類の顔料を可視光吸収材37として含むようにしてもよい。
なお、主部36及び可視光吸収材37は、図2における一つの遮光部30においてのみ図示しており、その他において図示を省略している。
以上のような構成からなる、光学シート20は次のようにして製造され得る。まず、光学シート20のうちの透過部25を作製する。最初に、第2ベース部28及び突出部分29を、例えば、電子線、紫外線等の電離放射線の照射により硬化する特徴を有するエポキシアクリレート等の硬化性材料を用いて、第1ベース部27上に作製する。具体的には、透過部25の凹部25aの構成(配置、形状等)に対応した凸部を有する型ロール、言い換えると、突出部分29の構成(配置、形状等)に対応した凹部を有する型ロールを準備する。
当該型ロールとニップロールとの間に第1ベース部27をなすようになるフィルム、例えばポリエチレンテレフタレート製のフィルムを送り込み、該フィルムの送り込みに合わせて、硬化性材料を型ロールとフィルムとの間に供給する。その後、フィルム上に供給された未硬化状態で液状の硬化性材料が型ロールの凹部に充填されるように、型ロールおよびニップロールで該硬化性材料を加圧する。このとき、型ロールの凹部の深さより厚くなるように、すなわち、型ロールとフィルムとが接触しないように、硬化性材料をフィルム上に供給しておくことによって、上述した第2ベース部(ランド部)28が、突出部分29と一体的に硬化性材料から形成されるようになる。
以上のようにしてフィルムと型ロールとの間に未硬化で液状の硬化性材料を充填した後、光を照射して該硬化性材料を硬化(固化)させる。この結果、フィルムからなる第1ベース部27上に、第2ベース部28及び突出部分29を一体的に成形することができる。このようにして上述した透過部25が得られる。
次に、硬化することによって主部36をなすようになる硬化性材料と、可視光吸収材37と、を含んだ未硬化で液状の組成物を用いて遮光部30を作製する。硬化することによって主部36をなすようになる硬化性材料として、電離放射線により硬化する特徴を有するウレタンアクリレート等の硬化性材料を用いることができる。まず、先に形成された透過部25上に組成物を供給する。その後、隣り合う突出部分29の間に位置する凹部25a、すなわち型ロールの凸部に対応していた部分の内部に、ドクターブレードを用いながら、組成物を充填しつつ、該凹部25a外に溢出した余剰分の組成物を掻き落としていく。その後、凹部25a内の組成物に電離放射線を照射して硬化させることにより、遮光部30が形成される。これにより、透過部25および透過部25の凹部25a内に設けられた遮光部30を有する光学シート20が作製される。
次に、調光装置40について説明する。
調光装置40は、上述したように、光学シート20に積層されている。調光装置40は、第1方向(一方向)D1に配列された複数の調節領域41における可視光透過率を調節することができる。調光装置40は、調節領域41の透過率を少なくとも二段階に、典型的には遮光状態と透過状態とを切り換えることができる。遮光状態における調節領域41の透過率を、遮光部30と同様に、例えば、5%以下、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.1%以下とすることができる。一方、透過状態における調節領域41の透過率を、例えば、30%以上、より好ましくは40%以上とすることができる。
調節領域41は、光学シート20の各遮光部30に対応して設けられている。一つの遮光部30に対して一つの調節領域41が設けられており、他の一つの遮光部30に対して他の一つの調節領域41が設けられている。図示された例において、各調節領域41は、第1方向D1と非平行な方向に延びている。とりわけ図示された各調節領域41は、第1方向D1と直交し且つ光学シート20のシート面に沿った第2方向D2に直線状に延びている。図示された例において、各調節領域41は、対応する遮光部30の第3方向D3における一側S3Aに位置している。
図2に示された例では、光制御装置15の主切断面において、各調節領域41の第1方向D1に沿った長さLが、当該調節領域41に対応する光学シート20の遮光部30の第1方向D1に沿った長さ(最大幅)と同一となっている。ただし、この例に限られず、各調節領域41の第1方向D1に沿った長さLを、当該調節領域41に対応する遮光部30の第1方向D1に沿った長さよりも短くてもよいし、当該調節領域41に対応する遮光部30の第1方向D1に沿った長さよりも長くてもよい。さらに、後述する例のように、複数の調節領域41の第1方向D1に沿った長さLが、一括して又は個別に調節可能となっていてもよい。
また、図示された例において、透過光の出射角度範囲に光学シート20の法線方向(光制御装置15の法線方向)を含める場合、各遮光部30と当該遮光部30に対応する調節領域41が、光学シート20の法線方向への投影において、少なくとも部分的に重なることが好ましい。さらに、透過光の出射角度範囲に光学シート20の法線方向を含める場合、第1方向D1に隣り合う二つの遮光部30の間の空間(突出部分29)と、第1方向D1に隣り合う二つの調節領域41の間の隙間が、第1方向D1において少なくとも部分的に重複する領域に位置していること好ましい。このような構成によれば、光学シート20の法線方向に進む光が、少なくとも部分的に、光制御装置15を法線方向に透過することが可能となる。
図示された例において、各調節領域41と当該調節領域41に対応する遮光部30が、第1方向D1において同一の領域内に位置している。ただし、この例に限られず、互いに対応する調節領域41及び遮光部30が、第1方向D1において部分的に同一の領域に位置するようにしてもよい。また、互いに対応する遮光部30及び調節領域41が、第1方向D1において完全にずれた領域に位置するようにしてもよい。
調光装置40による可視光透過率の調節は、機械的に行ってもよいし、或いは、後述する例のように光学的に行ってもよい。調光装置40は、調節領域41に追加遮光部42を生成した遮光状態と、調節領域41に追加遮光部42を生成しない透過状態と、を切り換えるようにしてもよい。或いは、調光装置40は、追加遮光部42を生成した遮光状態と透過状態との間において、透過率を連続的に又は段階的に変化させ得るようにしてもよい。
以下において、調光装置40の二つの具体例について説明する。図3~図5に示された第1の例において、調光装置40は調光セル50を用いて構成されている。図6~図9Bに示された第2の例において、調光装置40は第1調光制御パネル60A及び第2調光制御パネル60Bを含んで構成されている。
まず、図3~図5を主として参照し、調光装置40の第1例について説明する。図3に示すように、調光装置40をなす調光セル50は、第3方向D3に対向して配置された第1基板51A及び第2基板51Bと、第1基板51A及び第2基板51Bの間に封止された液晶層56と、を有している。第1基板51A及び第2基板51Bの間には、複数のスペーサ57が設けられている。スペーサ57によって、第1基板51A及び第2基板51Bの第3方向D3に沿った離間間隔が一定となり、液晶層56の第3方向D3への厚みも一定となっている。この調光セル50では、一対の基板51A,51Bの少なくとも一方が電極を有している。そして、電極への電圧印加の程度によって、調光セル50を透過する光の透過率を変化させること、とりわけ連続的に変化させることができる。
図示された例において、調光セル50の法線方向は第3方向D3と平行になっている。同様に、第1基板51Aの法線方向および第2基板51Bの法線方向も第3方向D3と平行になっている。第1基板51Aは、第2偏光板52Bの第3方向D3における他側に配置されている。調光セル50は、例えば、第3方向D3への平面視において、光学シート20と同一の形状を有している。例えば、調光セル50の第1基板51A、第2基板51B、液晶層56は、光学シート20と同様の矩形形状の外輪郭を、平面視において有するようになる。
第1基板51A及び第2基板51Bは、外部の図示しないコントローラからの電圧印加により、液晶層56をなす液晶材料中に含まれる液晶分子の配向を変化させることを可能とする構成を有している。液晶分子の駆動方式は、特に限定されることなく、例えば、VA(Vertical Alignment)方式、TN(Twisted Nematic)方式、IPS(In Plane Switching)方式、GH(Guest Host)方式、或いはこれらの方式の応用方式を採用することができる。
第1基板51A及び第2基板51B、並びに、液晶層56は、採用された液晶分子の駆動方式にともなって、適宜選択され得る。例えば、IPS方式が採用された場合、第1基板51A及び第2基板51Bの一方だけが、電極を有するようにすればよい。また、GH方式が採用された場合、液晶層56をなす液晶材料は、液晶分子とともに二色性色素を含む。さらに、GH方式が採用された場合、第1基板51A及び第2基板51Bの一方或いは両方が、偏光板を含まなくてもよい。
図3は、VA方式を採用した調光セル50の具体的な構成例を示している。図3に示された調光セル50において、第1基板51Aは、液晶層56に離間する側から順に、第1偏光板52A、第1基材53A、第1電極54A及び第1配向膜55Aを有している。同様に、第2基板51Bは、液晶層56に離間する側から順に、第2偏光板52B、第2基材53B、第2電極54B及び第2配向膜55Bを有している。この例において、第1基材53A及び第2基材53Bを、透明なガラス又は透明な樹脂板とすることができる。また図示された例において、第1偏光板52A及び第2偏光板52Bを、互いの透過軸が直交するクロスニコル又は互いの透過軸が平行となるパラレルニコルにて配置された吸収型の偏光子とすることができる。
このような調光セル50を透過する可視光の透過率は、電極54A,54Bへの電圧印加の有無によって、変化する。さらに、調光セル50を透過する可視光の透過率は、電極54A,54Bへ印される電圧値によって、調節される。例えば、電圧印加を行わない状態を遮光状態として、調光セル50の透過率を、5%以下、より好ましくは1%以下とすることができる。その一方で、電圧印加を行った状態を透過状態として、調光セル50の透過率を、30%以上、より好ましくは40%以上とすることができる。
ところで、調光セル50での透過率調節機能は、一対の偏光板52A,52Bのうちの一方を透過した光の偏光状態を、電圧印加によって制御された液晶層56の液晶分子の配向により変化または維持することで、一対の偏光板52A,52Bのうちの他方を透過し得る又は遮光され得る偏光状態とすることにある。したがって、液晶層56に電場が形成され得る領域が、調節領域41となる。図3に示された例において、第1電極54Aは、共通電極として、液晶層56の全域に広がっている。一方、第2電極54Bは、互いから離間して配置された複数の画素電極54Pを含んでいる。図4に示すように、複数の画素電極54Pは第1方向D1に配列されている。各画素電極54Pは、第1方向D1と非平行な方向に線状に延びている。とりわけ図示された例において、各画素電極54Pは、第1方向D1と直交し且つ光学シート20のシート面に沿った第2方向D2に直線状に延びている。このような調光セル50を用いることで、上述した配置の調節領域41が形成されるようになる。
なお、図3及び図4に示された調光セル50において、複数の画素電極54Pに一括して電圧が印加されるようにしてもよいし、各画素電極54Pに対して独立して電圧が印加されるようにしてもよい。各画素電極54Pに対して独立して電圧が印加される場合、各調節領域41の透過率の調節を他の調節領域41から独立して制御することが可能となる。
また、調光セル50の他の例として、第2電極54Bが、第1方向D1に配列された多数の画素電極54Pを有し、複数の隣り合う画素電極54Pによって一つの調節領域41を形成するようにしてもよい。図5に示された例において、液晶層56に対面する領域が、第1方向D1に多数に分割され、分割された各領域に一つの画素電極54Pが他の画素電極54Pから絶縁されて設けられている。図5の例によれば、一つの調節領域41を形成する画素電極54Pの数を制御することで、調節領域41の第1方向D1に沿った幅Lを調節することができる。図5に示された例において、隣り合う二つの画素電極54Pによって、一つの調節領域41が形成されている。
次に、図6~図10Bを参照して、調光装置40の第2例について説明する。図6に示された調光装置40は、第1調光制御パネル60A及び第2調光制御パネル60Bを含んでいる。この調光装置40では、第1調光制御パネル60A及び第2調光制御パネル60Bの相対位置に依存して、第1調光制御パネル60A及び第2調光制御パネル60Bの両方を透過する光の透過率を調整し得るようになっている。図示を省略するが、調光セル50は、調光制御パネル60A,60Bを相対移動可能に保持するフレームを有している。
図示された例において、調光制御パネル60A,60Bの法線方向は第3方向D3と平行になっている。そして、調光制御パネル60A,60Bを第1方向D1に相対移動させることで、第1方向D1に配列された複数の調節領域41の透過率を調節することができるようになっている。
図6に示された例において、第1調光制御パネル60Aは、第2調光制御パネル60Bに離間する側から近接する側へ向けて、第1基材61A、第1偏光板62A及び第1偏光制御シート63Aを、この順番で有している。同様に、第2調光制御パネル60Bは、第1調光制御パネル60Aに離間する側から近接する側へ向けて、第2基材61B、第1偏光板62A及び第2偏光制御シート63Bを、この順番で有している。図示された例において、第1基材61A及び第2基材61Bは、透明なガラス又は透明な樹脂板となっている。また図示された例において、第1偏光板62A及び第2偏光板62Bは、互いの透過軸が直交するクロスニコルにて配置された吸収型の偏光子となっている。
第1偏光制御シート63A及び第2偏光制御シート63Bは、透過光の偏光状態を制御可能となっている。図6及び図7に示すように、第1偏光制御シート63Aは、互いに異なる光学特性を有した第1領域Z1及び第2領域Z2を含んでいる。第1偏光制御シート63Aは、第1領域Z1及び第2領域Z2において、透過光の偏光状態を互いに異なる状態に制御する。とりわけ本実施の形態において、第1偏光制御シート63Aは、位相差フィルムとして形成され、第1領域Z1と第2領域Z2との間で、異なる位相変調を透過光に生じさせる。具体的には、第1領域Z1及び第2領域Z2は、共に、リタデーションがλ/4の位相差フィルムからなり、ただし、当該位相差フィルムは、遅相軸が互いに直交するようにして配置されている。結果として、第1偏光制御シート63Aは、第1領域Z1を透過する光に対して「λ/4」の位相変調を引き起こし、第2領域Z2を透過する光に対して「-λ/4」の位相変調を引き起こすことができる。
第2偏光制御シート63Bは、第1偏光制御シート63Aと同様に構成され得る。すなわち、第2偏光制御シート63Bは、互いに異なる光学特性を有した第3領域Z3及び第4領域Z4を含んでいる。第2偏光制御シート63Bは、第3領域Z3及び第4領域Z4において、透過光の偏光状態を互いに異なる状態に制御する。第2偏光制御シート63Bは、位相差フィルムとして形成され、第3領域Z3と第4領域Z4との間で、異なる位相変調を透過光に生じさせる。具体的には、第3領域Z3及び第4領域Z4は、共に、リタデーションがλ/4の位相差フィルムからなり、ただし、当該位相差フィルムは、遅相軸が互いに直交するようにして配置されている。そして、第2偏光制御シート63Bは、第3領域Z3を透過する光に対して「λ/4」の位相変調を引き起こし、第4領域Z4を透過する光に対して「-λ/4」の位相変調を引き起こす起こすことができる。
図7に示すように、第1偏光制御シート63Aの第1領域Z1及び第2領域Z2は、第1方向D1に交互に隙間なく配置され、第1方向D1に沿って同一な幅を有している。したがって、第1領域Z1及び第2領域Z2は、各領域の幅の二倍となる一定ピッチでそれぞれ第1方向D1に配列されている。同様に、第2偏光制御シート63Bの第3領域Z3及び第4領域Z4は、第1方向D1に交互に隙間なく配置され、第1方向D1に沿って同一な幅を有している。第3領域Z3及び第4領域Z4は、各領域の幅の二倍となる一定ピッチでそれぞれ第1方向D1に配列されている。図6に示すように、第3領域Z3及び第4領域Z4の第1方向D1における幅は、第1領域Z1及び第2領域Z2の第1方向D1における幅と同一となっている。
このような第1偏光制御シート63A及び第2偏光制御シート63Bは、例えば国際公開第2013-054673号パンフレット、特開2012-137725号公報、または特開2012-198522号公報等に開示されたパターン位相差フィルムとして作製され得る。
第1偏光制御シート63A及び第2偏光制御シート63Bを第1方向D1に相対移動させることが可能となっている。これにより、第1領域Z1と第3領域Z3が第3方向D3に対面し且つ第2領域Z2と第4領域Z4が第3方向D3に対面する図6に示された状態に第1偏光制御シート63A及び第2偏光制御シート63Bを配置することができる。また、第1偏光制御シート63A及び第2偏光制御シート63Bを第1方向D1に相対移動させることで、図9Aや図9Bに示された状態に第1偏光制御シート63A及び第2偏光制御シート63Bを配置することができる。
ここで、図8を参照して、調光装置40での透過率調節機能について説明する。図8に示すように、一方の直線偏光成分の光のみが第2偏光板62Bを透過することができる。第2偏光板62Bを透過した光は、第2偏光制御シート63Bの第3領域Z3を透過することで、一方の直線偏光成分から一方の円偏光成分に変換される。一方の円偏光成分の光は、第2調光制御パネル60Bから出射して第1調光制御パネル60Aに入射する。第1調光制御パネル60Aの第1領域Z1に入射した光の偏光状態は、第1領域Z1を透過することで、一方の円偏光成分から他方の直線偏光成分の光に変換される。すなわち、第2偏光板62Bを透過した光の偏光状態は、第1領域Z1及び第3領域Z3の両方を透過することで、1/2波長分位相をずらされ、一方の直線偏光成分から他方の直線偏光成分へと変換される。一方、第1調光制御パネル60Aの第2領域Z2に入射した光の偏光状態は、第2領域Z2を透過することで、一方の円偏光成分から一方の直線偏光成分の光に戻される。すなわち、第2偏光板62Bを透過した光の偏光状態は、第2領域Z2及び第3領域Z3の両方を透過することで、元の状態に維持される。
この結果、図9A及び図9Bに示すように、一対の偏光板62A,62Bがクロスニコルで配置されている場合、第1偏光制御シート63Aの第1領域Z1と第2偏光制御シート63Bの第3領域Z3が第3方向D3に対面する領域および第1偏光制御シート63Aの第2領域Z2と第2偏光制御シート63Bの第4領域Z4が第3方向D3に対面する領域を可視光が透過することができる。一方、第1偏光制御シート63Aの第1領域Z1と第2偏光制御シート63Bの第4領域Z4が第3方向D3に対面する領域および第1偏光制御シート63Aの第2領域Z2と第2偏光制御シート63Bの第3領域Z3が第3方向D3に対面する領域を可視光は透過することができない。
したがって、図6に示された状態において、調光装置40の全領域が透過状態となる。一方で、図9A及び図9Bに示された状態で、第1領域Z1と第4領域Z4が対面している領域および第2領域Z2と第3領域Z3が対面する領域が、遮光状態となる。図6に示された状態と図9Aに示された状態との間で一対の調光制御パネル60A,60Bが第1方向D1に相対移動する場合、図9Aにおける第1領域Z1と第4領域Z4が第3方向D3に対面している領域および第2領域Z2と第3領域Z3が第3方向D3に対面する領域が、複数の調節領域41となる。また、図6に示された状態と図9Bに示された状態との間で一対の調光制御パネル60A,60Bが第1方向D1に相対移動する場合、図9Bにおける第1領域Z1と第4領域Z4が第3方向D3に対面している領域および第2領域Z2と第3領域Z3が第3方向D3に対面する領域が、複数の調節領域41となる。図9A及び図9Bに示された状態において、調節領域41に追加遮光部42が形成されている。
図6~図9Bに示された例では、一対の調光制御パネル60A,60Bの第1方向D1への相対移動量を制御することで、複数の調節領域41の第1方向D1に沿った長さを調節することができる。なお、一対の調光制御パネル60A,60Bの両方を同期して第1方向D1における逆向きに移動させることによって一対の調光制御パネル60A,60Bの相対位置を変化させると、各遮光部30の第1方向D1における中心位置と、調節領域41の第1方向D1における中心位置とを、一定の相対位置に維持することができる。
なお、一対の偏光板62A,62Bがパラレルニコルで配置されている場合、第1偏光制御シート63Aの第1領域Z1と第2偏光制御シート63Bの第3領域Z3が第3方向D3に対面する領域および第1偏光制御シート63Aの第2領域Z2と第2偏光制御シート63Bの第4領域Z4が第3方向D3に対面する領域を可視光が透過することができない。一方、第1偏光制御シート63Aの第1領域Z1と第2偏光制御シート63Bの第4領域Z4が対面する領域および第1偏光制御シート63Aの第2領域Z2と第2偏光制御シート63Bの第3領域Z3が対面する領域を可視光は透過することができる。
また、上述した第2の具体例の変形例として、図10A及び図10Bに示された調光制御パネル60A,60Bを有した調光装置40を用いることもできる。図10A及び図10Bに示された例において、第1調光制御パネル60Aは、第1偏光制御シート63A及び第1基材61Aを、第2調光制御パネル60Bに近接する側からこの順番で有している。第2調光制御パネル60Bは、第2偏光制御シート63B及び第2基材61Bを、第1調光制御パネル60Aに近接する側からこの順番で有している。
第1偏光制御シート63Aは、上述した例と同様に、第1方向D1に沿って交互に隣接して配列された第1領域Z1及び第2領域Z2を有している。第1領域Z1及び第2領域Z2は、吸収軸の方向が非平行である偏光板(典型的には直交する偏光板)となっている。第2偏光制御シート63Bは、上述した例と同様に、第1方向D1に沿って交互に隣接して配列された第3領域Z3及び第4領域Z4を有している。第3領域Z3及び第4領域Z4は、吸収軸の方向が非平行である偏光板(典型的には直交する偏光板)となっている。典型的には、第1領域Z1の吸収軸は、第3領域Z3の吸収軸は平行となっており、第4領域Z4と直交している。第2領域Z2の吸収軸は、第4領域Z4の吸収軸は平行となっており、第3領域Z3と直交している。
したがって、図10A及び図10Bに示す例においては、上述した図9A及び図9Bに示す例と同様の、透過率制御機能が発現される。すなわち、第1偏光制御シート63Aの第1領域Z1と第2偏光制御シート63Bの第3領域Z3が第3方向D3に対面する領域および第1偏光制御シート63Aの第2領域Z2と第2偏光制御シート63Bの第4領域Z4が第3方向D3に対面する領域を可視光が透過することができる。一方、第1偏光制御シート63Aの第1領域Z1と第2偏光制御シート63Bの第4領域Z4が第3方向D3に対面する領域および第1偏光制御シート63Aの第2領域Z2と第2偏光制御シート63Bの第3領域Z3が第3方向D3に対面する領域を可視光は透過することができない。図10A及び図10Bにおける第1領域Z1と第4領域Z4が第3方向D3に対面している領域および第2領域Z2と第3領域Z3が第3方向D3対面する領域が、複数の調節領域41となる。図10A及び図10Bに示された状態において、調節領域41に追加遮光部42が形成されている。
次に、以上のような表示装置10及び光制御装置15の作用について説明する。
図13及び図14に示された例において、光制御装置15は、表示装置10に適用されている。表示装置10への適用において、図1及び図2に示された光制御装置15によれば、光学シート20の法線方向である第3方向D3に対して大きく傾斜した方向に進む光は、光制御装置15によって吸収される。第3方向D3に対して大きく傾斜した方向に進む光を遮光することによって、光制御装置15を透過する光の出射方向を、第3方向D3を中心とした狭い角度範囲に絞ることができる。表示装置10への適用においては、画像光の出射方向を狭い角度範囲に制限することで、画像を有効に観察することができる角度範囲、すなわち視野角を狭い範囲に制限することができる。これにより、光制御装置15は、視野角制御機能を発揮し、覗き見を効果的に防止することができる。
本実施の形態の光制御装置15は、遮光部30を有した光学シート20に加えて、調光装置40を更に有している。そして、調光装置40は、光学シート20と重ねて配置されている。調光装置40は、第1方向D1に配列された複数の調節領域41における可視光透過率を調節可能となっている。各遮光部30に対応して一つの調節領域41が設けられている。
まず、調光装置40が調節領域41を透過状態としている場合について考える。この場合、光制御装置15を透過する光の出射角度範囲は、専ら光学シート20の遮光部30による角度調節機能に依存する。そこでまず、複数の遮光部30による透過光の出射角度範囲を絞る機能について説明する。図11に示すように、第3方向D3に延びる遮光部30によれば、光路LP3よりも第3方向D3に対して大きな角度で第3方向D3における一側S3Aで第1方向D1における一側S1Aに傾斜した光路を進む光は、遮光部30に入射して遮光、典型的には吸収されるようになる。ここで、光路LP3は、一つの遮光部30のうちの第1方向D1における一側S1Aかつ第3方向D3における他側に位置する一側他側端部1ABと、当該一つの遮光部30に第1方向D1における一側S1Aから隣り合う他の一つの遮光部30のうちの第1方向D1における他側かつ第3方向D3における一側に位置する他側一側端部1BAと、を通過している。
同様に、図11に示すように、第3方向D3に延びる遮光部30によれば、光路LP4よりも第3方向D3に対して大きな角度で第3方向D3における一側S3Aで第1方向D1における他側に傾斜した光路を進む光は、遮光部30に入射して遮光、典型的には吸収されるようになる。ここで、光路LP4は、一つの遮光部30のうちの第1方向D1における他側かつ第3方向D3における他側に位置する他側他側端部1BBと、当該一つの遮光部30に第1方向D1における他側から隣り合う他の一つの遮光部30のうちの第1方向D1における一側S1Aかつ第3方向D3における一側S3A他側に位置する一側一側端部1AAと、を通過している。
以上の結果、第1方向D1に配列された複数の遮光部30によれば、透過光の出射角度範囲を、光路LP3及び光路LP4の間となる第1角度範囲RAに絞り込むことができる。
なお、図11並びに後に参照する図12、図17及び図18は、光制御装置15における遮光部30及び調節領域41(追加遮光部42)による光学的作用を説明するための図であり、遮光部30及び調節領域41(追加遮光部42)以外の光制御装置15の構成要素については、省略または概略的に示している。
次に、調光装置40が調節領域41を遮光状態としている場合について説明する。この場合、調節領域41には、追加遮光部42が形成されていることになる。そして、遮光部30及び追加遮光部42の組み合わせによれば、透過光の出射角度範囲を極めて狭い範囲RBに絞ることが可能となっている。遮光部30及び追加遮光部42の組み合わせにより実現される透過光の出射角度範囲RBは、遮光部30のみにより実現される光路LP3及び光路LP4で規定された角度範囲RAよりも格段に狭くなる。実際に、図11に示すように、光路LP3及び光路LP4に沿って進む光は、調節領域41に入射して遮光、典型的には吸収されている。
図11に示すように、遮光部30及び追加遮光部42の組み合わせによれば、光路LP1よりも第3方向D3に対して大きな角度で第3方向D3における一側S3Aで第1方向D1における一側S1Aに傾斜した光路を進む光を、遮光部30又は追加遮光部42によって効果的に遮光、典型的には吸収することができる。ここで、光路LP1は、一つの追加遮光部42のうちの第1方向D1における他側に位置する他側端部2Bと、当該一つの追加遮光部42に対応する遮光部30に対して第1方向D1における他側から隣り合う他の一つの遮光部30のうちの第1方向D1における一側S1Aかつ第3方向D3における他側に位置する一側他側端部1ABと、を通過している。光路LP1が第3方向D3に対してなす角度は、上述した光路LP3が第3方向D3に対してなす角度よりも格段に小さくなる。
同様に、図11に示すように、遮光部30及び追加遮光部42の組み合わせによれば、光路LP2よりも第3方向D3に対して大きな角度で第3方向D3における一側S3Aで第1方向D1における他側に傾斜した光路を進む光を、遮光部30又は追加遮光部42によって効果的に遮光、典型的には吸収することができる。ここで、光路LP2は、一つの追加遮光部42のうちの第1方向D1における一側S1Aに位置する一側端部2Aと、当該一つの追加遮光部42に対応する遮光部30に対して第1方向D1における一側S1Aから隣り合う他の一つの遮光部30のうちの第1方向D1における他側かつ第3方向D3における他側に位置する他側他側端部1BBと、を通過している。光路LP2が第3方向D3に対してなす角度は、上述した光路LP4が第3方向D3に対してなす角度よりも格段に小さくなる。
以上の結果、遮光部30及び調節領域41(追加遮光部42)の組み合わせによれば、透過光の出射角度範囲を、光路LP1及び光路LP2の間となる極めて狭い角度範囲RBに効果的に絞り込むことが可能となる。
なお、例えば液晶表示装置等の表示装置10は偏光板を含み、当該偏光板を透過した偏光成分の光によって画像光を形成する。この画像光は、その後、光制御装置15を透過する。上述の図3~図5に示された調光装置40は、第1偏光板52A及び第2偏光板52Bを有している。また、上述の図6~図9Bに示された調光装置40は、第1偏光板62A及び第2偏光板62Bを有している。そして、画像光の透過率を高くする観点において、表示装置10に含まれる最出光側の偏光板の透過軸と、調光装置40に含まれる最入光側の偏光板の透過軸とがなす角度は、45°未満であることが優位な条件であり、10°未満であることが好ましく、0°であることが最も好ましい。
以上のように、本実施の形態では、調光装置40によって複数の調節領域41に透過率を調節することで、典型的には、調節領域41への追加遮光部42の有無によって、透過光の出射角度範囲を第1の角度範囲RAと第2の角度範囲RBとで切り換えることができる。したがって、調節領域41に追加遮光部42を形成することで、透過光の出射角度範囲を極めて狭い角度範囲RBに制限することができる。これにより、光制御装置15を表示装置10に適用した場合、覗き見防止を効果的に防止することができる。その一方で、調節領域41から追加遮光部42を消失させることで、透過光の出射角度範囲を極めて比較的広い角度範囲RBとすることができる。したがって、光制御装置15を表示装置10に適用した場合、表示装置10に表示される画像を複数人で十分明るく観察することができる。また、図13及び図14に示された例とは異なり、光制御装置15をセンサの入光面上に配置した場合、当該センサへ入射する光の角度範囲の大きさを調節することができる。
なお、以上においては、遮光部30及び調節領域41に生成される追加遮光部42が画像光を遮光して視野角を狭めることに言及した。しかしながら、遮光部30及び追加遮光部42は、画像光だけでなく、環境光等の外光を吸収することもできる。環境光を遮光、とりわけ吸収することで、表示装置10によって表示される画像のコントラストを改善することも可能となる。
ところで、光学シート20と、調節領域41に追加遮光部42を形成し得る調光装置40との組み合わせによれば、透過光の出射角度範囲を極めて狭い角度範囲に絞ることができる、といった顕著な作用効果を享受することもできる。この点、図17や図18に示すように、調光装置40を設けることなく光学シート20の遮光部30の断面形状を変更することにより、透過光の出射角度範囲を同程度に絞ることも理論的に可能である。しかしながら、図17や図18に示された遮光部30については以下に説明する別の不具合が存在する。
図17に示された光学シートでは、第1方向D1に沿った隣り合う二つの遮光部30Xの離間間隔LSの長さを維持しながら、光学シートの主切断面における遮光部30Xの断面形状を相似的に大きくしている。図17に示された例においても、図17に示された遮光部30及び調節領域41に形成された追加遮光部42の組み合わせによって実現される透過光の出射角度範囲RBと同程度にまで、透過光の出射角度範囲を狭くすることができる。
しかしながら、図17に示すように、遮光部30Xが極端に大型化する。結果として、第3方向D3に沿った遮光部30Xの高さHXが極端に大きくなり、第1方向D1に沿った遮光部30Xの最大幅(第2底面32の幅WBX)も極端に大きくなる。高さHXが極端に大きくなることで、光学シート20の厚みが厚くなってしまう。また、第1方向D1に沿った遮光部30Xの最大幅(第2底面32の幅WBX)が大きくなると、光学シート20の第2主面20B上における遮光部30Xが占める割合が大きくなる。すなわち、第3方向D3からの観察における遮光部30Xが設けられていない領域の割合、言い換えると第3方向D3からの観察における透過部25が設けられている領域の割合(開口率)は、極端に小さくなる。したがって、光学シート20の透過率が大幅に低下してしまうという不具合が生じる。
また、図18に示された光学シートでは、第1方向D1に沿った隣り合う二つの遮光部30Yの離間間隔LSの長さや第1方向D1に沿った遮光部30Yの第1底面31の幅WBYを維持しながら、第3方向D3に沿った遮光部30Yの高さHYを高くしている。図18に示された例においても、図11に示された遮光部30及び調節領域41に生成される追加遮光部42の組み合わせによって実現される透過光の出射角度範囲RBと同程度にまで、透過光の出射角度範囲を狭くすることができる。
図18に示された例では、第3方向D3からの観察における透過部25が設けられている領域の割合(開口率)を維持することができる。したがって、光学シート20の透過率を概ね維持することができる。しかしながら、図18に示された例では、遮光部30Yのアスペクト比、すなわち幅WBYに対する高さHYの比(HY/WBY)が極端に大きくなる。そして、遮光部30の製造が極めて困難になってしまう。
図17及び図18に示された例と比較して、本実施の形態によれば、遮光部30及び調節領域41に生成される追加遮光部42を組み合わせて用いることで、透過光の出射角度範囲RBを効果的に狭くすることができる。とりわけ、開口率を維持して光学シート20の透過率を大きく低下させることなく、さらに遮光部30のアスペクトが大きくなり過ぎることを効果的に回避しながら、透過光の出射角度範囲RBを効果的に狭くすることができる。
さらに、次に説明するように構成することで、遮光部30と調節領域41に生成された追加遮光部42との組み合わせによって透過光の出射角度範囲RBを有効に狭い範囲とすることができる。
まず、次の条件Aが満たされることが好ましい。
(条件A):光制御装置15の主切断面において、各調節領域41に生成された追加遮光部42の第1方向D1における一側S1Aとなる一側端部2Aと、当該追加遮光部42に対応する一つの遮光部30に第1方向D1における他側から隣り合う他の一つの遮光部30のうちの第1方向D1における最も一側であり且つ第3方向D3における追加遮光部42から最も離間する他側となる位置(一側他側端部1AB)と、を通過する直線LL1(図11参照)が、当該追加遮光部42に対応する一つの遮光部30と交差する。
上述したように、遮光部30及び追加遮光部42の組み合わせによれば、第1方向D1に隣り合う二つの遮光部30の間と、当該二つの遮光部30に対応する二つの追加遮光部42の間と、を通過する光の進行方向を制限することで、透過光の出射角度範囲を狭めることができる。しかしながら、第1方向D1に隣り合う二つの遮光部30の間と、当該二つの遮光部30に対応する二つの追加遮光部42とは異なる組み合わせの二つの追加遮光部42の間と、を通過する光が生じることも考えられる。このような光は僅かであり、例えば光制御装置15を表示装置10に適用して視野角制御を行う場合には、大きな不具合とはなりにくい。ただし、条件Aを満たすことにより、このような光を遮光部30及び追加遮光部42のいずれかに入射させて遮光することが可能となる。すなわち、条件Aが満たされることで、開口率を維持して透過率を大きく低下させることなく、透過光の出射角度範囲を有効に狭めることができる。光制御装置15を表示装置10に適用した場合には、画像の明るさを大きく低下させることなく、視野角を有効に狭めることができる。
また、次の条件Bが満たされることが好ましい。
(条件B):光制御装置15の主切断面において、第1方向D1に沿った遮光部30なす台形形状の上底31Aの幅をWA〔μm〕とし、第1方向D1に沿った遮光部30をなす台形形状の下底32Aの幅をWB〔μm〕とし、第3方向D3に沿った遮光部30をなす台形形状の高さをH〔μm〕とし、第1方向D1に沿った調節領域41の幅をL〔μm〕とし、第3方向D3に沿った遮光部30および調節領域41の離間距離をD〔μm〕とし、第1方向D1に沿った遮光部30の配列ピッチをP〔μm〕として、次の式が成り立つ。
(P-WA/2-WB/2)/H≦(WA+L)/(2×D)
条件Bの式の左辺「(P-WA/2-WB/2)/H」は、図12における角度θBに関する「tanθB」の値となる。また、条件Bの式の右辺「(WA+L)/(2×D)」は、図12における角度θCに関する「tanθC」の値となる。そして、条件Bの式が満たされることは、角度θCが角度θB以上となることを意味している。すなわち、条件Bが満たされることで、条件Aが満たされる場合と同様に、第1方向D1に隣り合う二つの遮光部30の間と、当該二つの遮光部30に対応する二つの調節領域41(追加遮光部42)とは異なる組み合わせの二つの調節領域41(追加遮光部42)の間と、を通過する光を、遮光部30又は調節領域41に生成された追加遮光部42によって効果的に遮光することが可能となる。したがって、条件Bが満たされることで、開口率を維持して透過率を大きく低下させることなく、透過光の出射角度範囲を有効に狭めることができる。光制御装置15を表示装置10に適用した場合には、画像の明るさを大きく低下させることなく、視野角を有効に狭めることができる。
なお、図示された例において、遮光部30を含む光学シート20と調節領域41を含む調光装置40との間には、隙間が形成されることが想定され得る。したがって、光学シート20と調光装置40との間で光が屈折し得る。また、遮光部30及び調節領域41の間に位置する透過部25は、第1ベース部27、第2ベース部28及び突出部分29を有している。透過部25内において、異なる屈折率の部分があれば、当該異なる屈折率を有した二つの部分の界面で光が屈折する。そこで、条件A及び条件Bでも実際上十分に有用であるが、厳密に評価すると条件A及び条件Bに代えて、次の条件Cが満たされることが好ましい。
(条件C):光制御装置15の主切断面において、各調節領域41の第1方向D1における一側S1Aとなる一側端部2Aに接するように進み、当該調節領域41に対応する一つの遮光部30が存在しないとの仮定で、当該調節領域41に対応する一つの遮光部30に第1方向D1における他側から隣り合う他の一つの遮光部30のうちの第1方向D1における最も一側であり且つ第3方向D3における調節領域41から最も離間する他側となる位置(一側他側端部1AB)に向かう光の光路LP5(図11参照)と交差するように、当該調節領域41に対応する一つの遮光部30が配置されている。
条件Cにおける「当該調節領域41に対応する一つの遮光部30が存在しないとの仮定で」とは、対象となる一つの遮光部30が存在せずに、当該一つの遮光部30と第1方向D1(一方向)に隣り合う他の遮光部30との間に存在する部分と同一の屈折率を有する部分が代わりに存在することを仮定している。図示された例においては、対象となる一つの遮光部30に代えて突出部分29と同一の屈折率を有する材料が設けられていると仮定して二つの位置2A,1ABを通過する光の光路が、対象となる一つの遮光部30と交差することになる。この条件Cが満たされる場合には、第1方向D1に隣り合う二つの遮光部30の間と、当該二つの遮光部30に対応する二つの調節領域41(追加遮光部42)とは異なる組み合わせの二つの調節領域41(追加遮光部42)の間と、を通過する光を、遮光部30又は調節領域41によって形成される追加遮光部42によってより効果的に遮光することが可能となる。したがって、条件Cが満たされることで、開口率を維持して透過率を大きく低下させることなく、透過光の出射角度範囲を有効に狭めることができる。光制御装置15を表示装置10に適用した場合には、画像の明るさを大きく低下させることなく、視野角を有効に狭めることができる。
さらに、条件Dが満たされることが好ましい。
(条件D):光制御装置15の主切断面において、各調節領域41の第1方向D1における一側S1Aとなる一側端部2Aに接するようにして調光装置40を通過し、光学シート20に向けて、光学シート20の法線方向(図示された例において、第3方向D3)に対して第1方向D1における他側に傾斜した方向に進む光は、当該調節領域41に対応する一つの遮光部30、又は、この一つの遮光部30に第1方向D1における他側から隣り合う他の一つの遮光部30に入射する。
条件Dが満たされる場合、各調節領域41(追加遮光部42)の一側S1Aに接するようにして調光装置40を通過し、光学シート20に向けて、光学シート20の法線方向に対して第1方向D1における他側に傾斜した方向に進む光は、当該調節領域41(追加遮光部42)に対応する一つの遮光部30と、この一つの遮光部30に第1方向D1における他側から隣り合う他の一つの遮光部30と、の間を通過することができない。すなわち、条件Dが満たされることで、第1方向D1に隣り合う二つの遮光部30の間と、当該二つの遮光部30に対応する二つの調節領域41(追加遮光部42)とは異なる組み合わせの二つの調節領域41(追加遮光部42)の間と、を通過する光を、遮光部30又は調節領域41に生成された追加遮光部42によって効果的に遮光することが可能となる。これにより、条件Dが満たされることで、透過光の出射角度範囲を有効に狭めることができる。
なお、透過光の出射角度範囲RBを狭くする観点から、第3方向D3に沿った遮光部30と調節領域41との間の離間距離は長く設定されることが好ましい。例えば、条件Eが満たされるようにしてもよい。
(条件E):光制御装置15の主切断面において、第1方向D1に沿った遮光部30がなす台形形状の上底31Aの幅をWA〔μm〕とし、光学シートの法線方向(図示された例において、第3方向D3)に沿った遮光部30及び調節領域41(追加遮光部42)の離間距離をD〔μm〕として、次の式が成り立つ。
WA/2≦D
条件Eが満たされる場合、調節領域41(追加遮光部42)を遮光部30から離間させることで、透過光の出射角度範囲RBを効果的に狭めることができる。
さらに、透過光の出射角度範囲RBを狭く絞る観点から、条件Fが満たされるようにしてもよい。
(条件F):光制御装置15の主切断面において、第1方向D1に沿った調節領域41の幅をL〔μm〕とし、光学シート20の法線方向(図示された例において、第3方向D3)に沿った遮光部30及び調節領域41(追加遮光部42)の離間距離をD〔μm〕として、次の式が成り立つ。
L/2≦D
条件Fが満たされる場合、調節領域41(追加遮光部42)を遮光部30から離間させることで、透過光の出射角度範囲RBを効果的に狭めることができる。
以上に説明してきたように、本実施の形態において、光制御装置15は、一方向(図示された例において、第1方向D1)に配列された可視光遮光性を有する複数の遮光部30を有した光学シート20と、光学シート20と重ねて配置された調光装置40と、を有している。調光装置40は、一方向に配列された複数の調節領域41における可視光透過率を調節することができる。各遮光部30に対応して一つの調節領域41が設けられている。このような光制御装置15によれば、調光装置40によって複数の調節領域41の透過率を制御することで、透過光の出射角度範囲を調節することができる。より具体的には、複数の調節領域41の透過率を低下させることで、透過光の出射角度範囲を狭い角度範囲に制限することができる。その一方で、複数の調節領域41の透過率を増大することで、透過光の出射角度範囲を広げることができる。したがって、光制御装置15を表示装置10に適用する場合には、表示装置10を使用する状況に応じて、覗き見防止を効果的に防止することや、複数人で表示画像を観察することが可能となる。また、図13及び図14に示された例とは異なり、光制御装置15をセンサの入光面上に配置した場合、当該センサへ入射する光の角度範囲の大きさを調節することができる。
また本実施の形態において、光制御装置15は、一方向(図示された例において、第1方向D1)に配列された可視光遮光性を有する複数の遮光部30と、一方向に配列された可視光遮光性を発現し得る複数の調節領域41と、を有している。各遮光部30に対応して一つの調節領域41が設けられ、複数の調節領域41は、光学シート20の法線方向(図示された例において、第3方向D3)に複数の遮光部30から離間している。このような本実施の形態によれば、遮光部30及び調節領域41を組み合わせて用いることで、調節領域41が設けられていない場合と比較して、光制御装置15を透過する光の出射方向の角度範囲RBを大幅に狭めることができる。とりわけ、光制御装置15の法線方向からの観察において、遮光部30が設けられていない面積の割合(開口率)を維持して透過率の低下を回避しながら、透過光の出射角度範囲RBを大幅に狭めることができる。例えば光学シート20を表示装置10に適用した場合には、明るさの低下を防止しながら、有効に画像を視認することができる視野角の大きさを大幅に狭めることができる。すなわち、意図しない方向から画像が観察されることを効果的に回避することができる。
具体例を参照しながら一実施の形態を説明してきたが、上述の具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
上述した一実施の形態の一具体例において、各遮光部30の一方向D1に沿った長さ(最大幅)は、当該遮光部30に対応する調節領域41の一方向(第1方向)D1に沿った長さと同一となっている。このような構成によれば、調節領域41に追加遮光部42を生成した際に視野角を効果的に狭めることができるとともに、透過光量も十分に確保することができる。
ただし、各遮光部30の一方向(第1方向)D1に沿った長さ(最大幅)は、当該遮光部30に対応する調節領域41の一方向D1に沿った長さより長くなっていてもよい。このような構成によれば、遮光部30を大きくすることができるので、遮光部30を高アスペクト化しやすくなる。これにより、有効に視野角を狭めることができる。
また、各遮光部30の一方向(第1方向)D1に沿った長さ(最大幅)は、当該遮光部30に対応する調節領域41の前記一方向に沿った長さより短くなっていてもよい。このような構成によれば、調節領域41に追加遮光部42を生成した際に、所望の視野角を確保しやすくなる。
また、上述の一具体例において、遮光部30は、第1方向D1に等間隔に配置されていたが、この例に限られず、遮光部30の第1方向D1に沿った配置ピッチが一定でないようにしてもよい。また、上述の一具体例において、遮光部30は、第2方向D2に沿って一定の断面形状を有する例を示したが、遮光部30の断面形状が第2方向D2における位置に応じて変化するようにしてもよい。さらに、上述の一具体例において、光学シート20に含まれる多数の遮光部30が互いに同一に構成されていたが、この例に限られず、光学シート20に含まれる多数の遮光部30が互いに異なる構成を有するようにしてもよい。
同様に、調節領域41の第1方向D1に沿った配置ピッチが一定でないようにしてもよい。また、調節領域41の幅が第2方向D2における位置に応じて変化するようにしてもよい。さらに、光制御装置15に含まれる複数の調節領域41が互いに異なる構成を有するようにしてもよい。
さらに、上述した一具体例において、各遮光部30と、当該遮光部30に対応する調節領域41は、第1方向D1において揃えて配置されている例を示した。より具体的には、上述した一具体例において、各遮光部30の第1方向D1における中心と、当該遮光部30に対応する調節領域41の第1方向D1における中心が、第1方向D1において一致するよう、遮光部30及び調節領域41が位置決めされていた。しかしながら、図15に示すように、各遮光部30の第1方向D1における中心と、当該遮光部30に対応する調節領域41の第1方向D1における中心が、第1方向D1においてずれるようにしてもよい。
図15に示された例において、各遮光部30の第1方向D1における中心に対して、当該遮光部30に対応する調節領域41の第1方向D1における中心は、第1方向D1において一側S1Aにずれている。このような例において、調節領域41に追加遮光部42が生成された状態において、光制御装置15を透過する光の出射方向の角度範囲RBは、第1方向D1における一方の側よりも他方の側により広く広がる。図15に示された例において、光学シート20の法線方向である第3方向D3に沿った調節領域41の側(一側S3A)における透過光の出射角度範囲は、第3方向D3に対して第1方向D1における一側S1Aに広がっている。また図15に示された例において、光学シート20の法線方向である第3方向D3に沿った遮光部30の側(他側)における透過光の出射角度範囲は、第3方向D3に対して第1方向D1における他側に広がっている。
その一方で、図15に示された例において、各遮光部30は第3方向D3に平行な軸線を中心とした線対称性を有している。したがって、調節領域41に追加遮光部42が生成されていない透過状態では、光制御装置15を透過する光の出射方向の角度範囲RAも、第3方向D3に平行な軸線を中心とした線対称性を有するようになる。
また、光制御装置15は、表示装置10への適用に限定されない。光制御装置15は、例えば、二つの空間を区画するために用いられる区画部材70に適用することができる。このような区画部材70として、建物や移動体の窓を例示することができる。また、図16に示すように、パーテーションとして用いられる区画部材70に光制御装置15を適用することも可能である。