JP7335717B2 - 防眩フィルム並びにその製造方法及び用途 - Google Patents

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本発明は、液晶表示装置(LCD)や有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどの各種表示装置に利用できる防眩フィルム並びにその製造方法及び用途に関する。
防眩フィルムは、LCDや有機ELディスプレイなどの画像表示装置における表示面での外景の映り込みを防止し、視認性を向上させるためのフィルムとして広く利用されている。防眩フィルムに求められる光学特性としては、高いヘイズを有することにより、防眩性を向上させる機能に加えて、高い透明性(全光線透過率)を有し、かつ黄色や赤色に偏った色ではなくニュートラルな白い色合いの光を視認側に与え、視認性を向上させる特性も挙げられる。このような機能を発現させるため、防眩性フィルムでは、従来から、微粒子とバインダー樹脂又は硬化性樹脂との混合物を基材に塗布し、表面に微細な凹凸を形成することにより正反射を防ぎ、防眩性を発現させる方法が知られている。しかし、微粒子を利用した防眩フィルムでは、粒子サイズにより透過散乱光の強度分布をコントロールするため、表示面でのギラツキや文字ボケを有効に防止できない。さらに、微粒子を分散させた防眩フィルムは、防眩フィルムを構成するマトリクス材料と分散する微粒子の屈折率差が大きいほどヘイズ値が上昇して光拡散性が高まるが、内部ヘイズの増加に従い短波長側の光が広角に散乱するため、表示装置を正面から視認した場合に黄色く、くすんで見え、視認性が低下する。また、後方散乱し易いため、透明性も低下する。
そこで、非相溶な樹脂成分のスピノーダル分解を利用して表面に凹凸形状を形成する方法も知られており、特開2014-85371号公報(特許文献1)には、複数の樹脂成分の相分離に伴って形成された長細状凸部を表面に有する防眩層を含む防眩フィルムであって、前記長細状凸部が、分岐構造を有し、かつ合計長さが100μm以上であるとともに、前記防眩層の表面に前記長細状凸部が1mm当たり1以上存在する防眩フィルムが開示されている。この防眩フィルムでは、ヘイズと鮮明性とのバランスに優れ、高精細表示装置(例えば、200ppi以上の解像度を有する液晶表示装置や、有機EL表示装置など)に配設しても、防眩性を向上でき、ギラツキを高度に抑制でき、かつ文字ボケも抑制できる。
しかし、この防眩フィルムでも、透明性を向上させると、防眩性が低下する場合がある。さらに、従来の方法では、防眩性を向上させるためには、高ヘイズの原因となる光散乱性を向上させる必要があり、防眩性と透明性(特に、黄色味の抑制)とはトレードオフの関係にあり、両立が困難であった。
特許第5531388号公報(特許文献2)には、コントラストの良い光学シートを安定して供給する方法として、透明基材の少なくとも一方の面に機能層を有し、この機能層の最表面及び/又は内部に拡散要素を有する光学シートの製造方法において、所定の角度で測定した拡散反射強度の総和に対する拡散正反射強度の比が0.19を超えるように制御することにより、コントラストに優れた光学シートを安定して製造する方法が開示されている。
しかし、この方法で得られる光学シートでも、透明性を向上するのは困難であった。
特開2014-85371号公報(請求項1、段落[0021]) 特許第5531388号公報(請求項1)
従って、本発明の目的は、黄色味が小さく、防眩性が高い防眩フィルム並びにその製造方法及び用途を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討の結果、透過光の色度bの絶対値が15以下であり、かつヘイズが30%以上である防眩フィルムを調製することにより、黄色味を抑制しつつ、防眩性を向上できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の防眩フィルムは、透過光の色度bの絶対値が15以下であり、かつヘイズが30%以上である。前記防眩フィルムは、透過光の色度bの絶対値が3以下であり、かつ60°グロスが25%以下であってもよい。前記防眩フィルムは、透明基材層と、この透明基材層の少なくとも一方の面に形成された防眩層とを含み、前記防眩層が、1種以上のポリマー成分及び1種以上の硬化樹脂前駆体成分を含む硬化性組成物の硬化物であってもよい。前記ポリマー成分及び前記硬化樹脂前駆体成分から選択される少なくとも2つの成分は、湿式スピノーダル分解により相分離可能であってもよい。前記ポリマー成分は、セルロースエステル類及び/又は重合性基を有していてもよい(メタ)アクリル系重合体を含んでいてもよい。前記硬化樹脂前駆体成分は、多官能(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート及びシリコーン(メタ)アクリレートから選択された少なくとも1種を含んでいてもよい。前記硬化樹脂前駆体成分は、シリカナノ粒子及び/又はフッ素原子を含んでいてもよい。
本発明には、硬化性組成物を熱又は活性エネルギー線で硬化させる硬化工程を含む前記防眩フィルムの製造方法も含まれる。この製造方法は、支持体の上に、1種以上のポリマー成分及び1種以上の硬化樹脂前駆体成分を含む硬化性組成物を塗布して乾燥することにより、ポリマー成分及び硬化樹脂前駆体成分から選択される少なくとも2つの成分を、湿式スピノーダル分解により相分離させる相分離工程をさらに含んでいてもよい。前記硬化工程は、相分離した硬化性組成物を熱又は活性エネルギー線で硬化させる硬化工程であってもよい。
本発明には、前記防眩フィルムを備えた表示装置も含まれる。この表示装置は、有機ELディスプレイ又は液晶表示装置であってもよい。
本発明には、透過光の色度bの絶対値及びヘイズを、それぞれ15以下及び30%以上の範囲に調整し、防眩フィルムの防眩性及び透明性を向上する方法も含まれる。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、(メタ)アクリレートは、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルの双方を含む。
本発明では、防眩フィルムの透過光の色度bの絶対値が15以下であり、かつヘイズが30%以上であるため、色合いと防眩性とを両立でき、特に、黄色度も低減でき、黄色味を抑制しながら、防眩性を向上できる。
[防眩フィルムの光学特性]
本発明の防眩フィルムは、透過光の色度bの絶対値及びヘイズが特定の範囲に調整されているため、防眩性と透明性(特に黄色味の抑制)とを両立できる。
本発明の防眩フィルムは、透過光の色度(透過色相)bの絶対値が15以下(例えば0~15)であればよいが、例えば10以下(例えば5以下)、好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下であってもよく、特に1以下(例えば0.1~1)であってもよい。色度bが15を超えると、黄色味や青色味が増してくすんで見え、透明性が低下する。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、透過色相bは、JIS Z8781に準拠して、分光光度計((株)日立ハイテクサイエンス製「U-3010」)を用いて測定できる。
本発明の防眩フィルムは、ヘイズが30%以上(例えば30~100%)であればよいが、防眩性を向上できる点から、例えば40%以上(例えば40~99%)、好ましくは50~98%(例えば70~97%)、さらに好ましくは80~96%(特に85~95%)程度である。ヘイズが低すぎると、防眩性が低下する虞がある。
本発明の防眩フィルムの全光線透過率は、例えば70%以上(例えば70~100%)、好ましくは80~99.9%、さらに好ましくは85~99%(特に90~98%)程度である。全光線透過率が低すぎると、透明性が低下する虞がある。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、ヘイズ及び全光線透過率は、JIS K7105に準拠して、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製「NDH-5000W」)を用いて測定できる。
[防眩層]
本発明の防眩フィルムは、前記光学特性を発現するための防眩層を含んでいればよく、材質や構造は限定されないが、通常、微細な凹凸形状が表面に形成された透明材料で形成されており、この凹凸形状によって表面反射による外景の映り込みを抑制して防眩性を向上できる。
前記防眩層表面(防眩フィルムが防眩層単独で形成されている場合、少なくとも一方の表面)の60°グロスが90%以下であってもよく、例えば0~25%、好ましくは0.1~20%(例えば0.2~10%)、さらに好ましくは0.3~5%(特に0.5~1%)程度である。60°グロスが大きすぎると、防眩性が低下する虞がある。
本明細書及び特許請求の範囲において、60°グロスは、JIS K8741に準拠して、グロスメーター((株)堀場製作所製「IG-320」)を用いて測定できる。
本発明の防眩フィルムは、防眩層単独で形成されていてもよく、透明基材層と、この透明基材層の少なくとも一方の面に形成された防眩層とを含んでいてもよい。
防眩層は、透明材料で形成されていればよく、有機材料及び無機材料のいずれの材料で形成されていてもよいが、生産性や取り扱い性などの点から、樹脂成分を含む組成物で形成された防眩層が好ましい。防眩層の表面は、前述のように、通常、凹凸形状を有しており、この凹凸形状は、特に限定されず、物理的な加工や型を用いた転写などによって形成された凹凸形状であってもよいが、生産性などの点から、樹脂成分を含む組成物で形成された防眩層において、樹脂成分の相分離構造によって形成された微細な凹凸形状や粒子の形状に対応した微細な凹凸形状であってもよい。なかでも、1種以上の硬化樹脂前駆体成分を含む硬化性組成物の硬化物において、液相からのスピノーダル分解(湿式スピノーダル分解)により形成された凹凸形状や、粒子(例えば、ポリアミド粒子などの熱可塑性樹脂粒子や、架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステル粒子、架橋ポリスチレン系粒子、架橋ポリウレタン粒子などの架橋高分子粒子など)を含有させて粒子形状によって形成された凹凸形状が好ましく、透明性と防眩性とを両立できる凹凸形状を形成し易い点から、湿式スピノーダル分解により形成された凹凸形状が特に好ましい。
湿式スピノーダル分解により形成された凹凸形状を有する防眩層は、1種以上のポリマー成分及び1種以上の硬化樹脂前駆体成分を含む硬化性組成物の硬化物であってもよい。詳しくは、防眩層は、1種以上のポリマー成分と1種以上の硬化樹脂前駆体成分と溶媒とを含む組成物(混合液)を用い、この組成物の液相から、溶媒を乾燥などにより蒸発又は除去する過程で、濃度の濃縮に伴って、スピノーダル分解による相分離が生じ、相間距離が比較的規則的な相分離構造を形成できる。より具体的には、前記湿式スピノーダル分解は、通常、前記組成物(均一溶液)を支持体にコーティングし、塗布層から溶媒を蒸発させることにより行うことができる。前記支持体として剥離性支持体を用いる場合には、防眩層を支持体から剥離することにより防眩層単独で構成された防眩フィルムを得ることができ、支持体として透明な非剥離性支持体(透明基材層)を用いることにより、透明基材層と防眩層とで構成された積層構造の防眩フィルムを得ることができる。
(ポリマー成分)
ポリマー成分としては、通常、熱可塑性樹脂が使用される。熱可塑性樹脂としては、透明性が高く、スピノーダル分解により前述の表面凹凸形状を形成できれば特に限定されないが、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系重合体、有機酸ビニルエステル系重合体、ビニルエーテル系重合体、ハロゲン含有樹脂、ポリオレフィン(脂環式ポリオレフィンを含む)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタン、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6-キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などが例示できる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのポリマー成分のうち、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系重合体、酢酸ビニル系重合体、ビニルエーテル系重合体、ハロゲン含有樹脂、脂環式ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂、ゴム又はエラストマーなどが汎用される。また、ポリマー成分としては、通常、非結晶性であり、かつ有機溶媒(特に複数のポリマー成分や硬化樹脂前駆体成分を溶解可能な共通溶媒)に可溶なポリマー成分が使用される。特に、成形性又は製膜性、透明性や耐候性の高いポリマー成分、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系重合体、脂環式ポリオレフィン、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類など)などが好ましく、(メタ)アクリル系重合体、セルロースエステル類が特に好ましい。
(メタ)アクリル系重合体としては、(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、(メタ)アクリル系単量体と共重合性単量体との共重合体などが使用できる。(メタ)アクリル系単量体には、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C1-10アルキル;(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリール;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;N,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル;トリシクロデカンなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートなどが例示できる。共重合性単量体には、スチレンなどのスチレン系単量体、ビニルエステル系単量体、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸などが例示できる。これらの単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(メタ)アクリル系重合体としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル-アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル-スチレン共重合体(MS樹脂など)などが例示できる。これらのうち、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1-6アルキル、特にメタクリル酸メチルを主成分(50~100重量%、好ましくは70~100重量%程度)とするメタクリル酸メチル系重合体が好ましい。
セルロースエステル類としては、例えば、脂肪族有機酸エステル(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート;セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのC1-6脂肪族カルボン酸エステルなど)、芳香族有機酸エステル(セルロースフタレート、セルロースベンゾエートなどのC7-12芳香族カルボン酸エステル)、無機酸エステル類(例えば、リン酸セルロース、硫酸セルロースなど)などが例示でき、酢酸・硝酸セルロースエステルなどの混合酸エステルであってもよい。これらのセルロースエステル類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースC2―4アシレートが好ましく、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースアセテートC3-4アシレートが特に好ましい。
ポリマー成分[特に(メタ)アクリル系重合体]は、硬化反応に関与する官能基(又は硬化樹脂前駆体成分と反応可能な官能基)を有するポリマーであってもよい。前記ポリマーは、官能基を主鎖に有していてもよく、側鎖に有していてもよい。前記官能基は、共重合や共縮合などにより主鎖に導入されてもよいが、通常、側鎖に導入される。このような官能基としては、縮合性基や反応性基(例えば、ヒドロキシル基、酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基又はイミノ基、エポキシ基、グリシジル基、イソシアネート基など)、重合性基(例えば、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、アリルなどのC2-6アルケニル基、エチニル、プロピニル、ブチニルなどのC2-6アルキニル基、ビニリデンなどのC2-6アルケニリデン基、又はこれらの重合性基を有する基[(メタ)アクリロイル基など)など]などが例示できる。これらの官能基のうち、重合性基が好ましい。
重合性基を側鎖に導入する方法としては、例えば、反応性基や縮合性基などの官能基を有する熱可塑性樹脂と、前記官能基との反応性基を有する重合性化合物とを反応させる方法などが例示できる。
官能基を有する熱可塑性樹脂において、官能基としては、カルボキシル基又はその酸無水物基、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基などが例示できる。
官能基を有する熱可塑性樹脂がカルボキシル基又はその酸無水物基を有する熱可塑性樹脂である場合、前記官能基との反応性基を有する重合性化合物としては、例えば、エポキシ基やヒドロキシル基、アミノ基、イソシアネート基などを有する重合性化合物などが例示できる。これらのうち、エポキシ基を有する重合性化合物、例えば、エポキシシクロヘキセニル(メタ)アクリレートなどのエポキシシクロC5-8アルケニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどが汎用される。
代表的な例としては、カルボキシル基又はその酸無水物基を有する熱可塑性樹脂とエポキシ基含有化合物、特に(メタ)アクリル系重合体((メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)とエポキシ基含有(メタ)アクリレート(エポキシシクロアルケニル(メタ)アクリレートやグリシジル(メタ)アクリレートなど)との組み合わせが例示できる。具体的には、(メタ)アクリル系重合体のカルボキシル基の一部に重合性不飽和基を導入したポリマー、例えば、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体のカルボキシル基の一部に、3,4-エポキシシクロヘキセニルメチルアクリレートのエポキシ基を反応させて、側鎖に重合性基(光重合性不飽和基)を導入した(メタ)アクリル系重合体(サイクロマーP、(株)ダイセル製)などが使用できる。
熱可塑性樹脂に対する硬化反応に関与する官能基(特に重合性基)の導入量は、熱可塑性樹脂1kgに対して、0.001~10モル、好ましくは0.01~5モル、さらに好ましくは0.02~3モル程度である。
これらのポリマー成分は、適宜組み合わせて使用できる。すなわち、ポリマー成分は、複数のポリマーで構成されていてもよい。複数のポリマーは、湿式スピノーダル分解により、相分離可能であってもよい。また、複数のポリマーは、互いに非相溶であってもよい。複数のポリマーを組み合わせる場合、第1のポリマーと第2のポリマーとの組み合わせは特に制限されないが、加工温度付近で互いに非相溶な複数のポリマー、例えば、互いに非相溶な2つのポリマーとして適当に組み合わせて使用できる。例えば、第1のポリマーが(メタ)アクリル系重合体(例えば、ポリメタクリル酸メチル、重合性基を有する(メタ)アクリル系重合体など)である場合、第2のポリマーは、セルロースエステル類(セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースアセテートC3-4アシレートなど)、ポリエステル(ウレタン変性ポリエステルなど)であってもよい。
さらに、硬化後の耐擦傷性の観点から、複数のポリマーのうち、少なくとも一つのポリマー、例えば、互いに非相溶なポリマーのうち一方のポリマー(第1のポリマーと第2のポリマーとを組み合わせる場合、少なくとも一方のポリマー)が硬化樹脂前駆体成分と反応可能な官能基(特に重合性基)を側鎖に有するポリマーであるのが好ましい。
第1のポリマーと第2のポリマーとの重量割合は、例えば、前者/後者=1/99~99/1、好ましくは5/95~95/5程度の範囲から選択でき、第1のポリマーが(メタ)アクリル系重合体であり、第2のポリマーがセルロースエステル類である場合、両ポリマーの重量割合は、前者/後者=50/50~99/1、好ましくは55/45~90/10、さらに好ましくは60/40~80/20(特に65/35~75/25)程度である。
なお、相分離構造を形成するためのポリマーとしては、前記非相溶な2つのポリマー以外にも、前記熱可塑性樹脂や他のポリマーが含まれていてもよい。
ポリマー成分のガラス転移温度は、例えば-100℃~250℃、好ましくは-50℃~230℃、さらに好ましくは0~200℃程度(例えば50~180℃程度)の範囲から選択できる。なお、表面硬度の観点から、ガラス転移温度は50℃以上(例えば70~200℃程度)、好ましくは100℃以上(例えば100~170℃程度)であるのが有利である。ポリマー成分の重量平均分子量は、例えば1,000,000以下、好ましくは1,000~500,000程度の範囲から選択できる。
(硬化樹脂前駆体成分)
硬化樹脂前駆体成分としては、熱や活性エネルギー線(紫外線や電子線など)などにより反応する官能基を有する化合物であり、熱や活性エネルギー線などにより硬化又は架橋して樹脂(特に硬化又は架橋樹脂)を形成可能な種々の硬化性化合物を使用できる。前記硬化樹脂前駆体成分としては、例えば、熱硬化性化合物又は樹脂[エポキシ基、重合性基、イソシアネート基、アルコキシシリル基、シラノール基などを有する低分子量化合物(例えば、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂など)など]、活性光線(紫外線など)により硬化可能な光硬化性化合物(光硬化性モノマー、オリゴマーなどの紫外線硬化性化合物など)などが例示でき、光硬化性化合物は、EB(電子線)硬化性化合物などであってもよい。なお、光硬化性モノマー、オリゴマーや低分子量であってもよい光硬化性樹脂などの光硬化性化合物を、単に「光硬化性樹脂」という場合がある。
光硬化性化合物には、例えば、単量体、オリゴマー(又は樹脂、特に低分子量樹脂)が含まれる。
単量体としては、例えば、単官能性単量体[(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系単量体、ビニルピロリドンなどのビニル系単量体、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどの橋架環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートなど]、少なくとも2つの重合性不飽和結合を有する多官能性単量体[エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アダマンタンジ(メタ)アクリレートなどの橋架環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレート;グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの3~6程度の重合性不飽和結合を有する多官能性単量体など]などが例示できる。
オリゴマー又は樹脂としては、ビスフェノールA-アルキレンオキサイド付加体の(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート[ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートなど]、ポリエステル(メタ)アクリレート[例えば、脂肪族ポリエステル型(メタ)アクリレート、芳香族ポリエステル型(メタ)アクリレートなど]、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート[ポリエステル型ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル型ウレタン(メタ)アクリレートなど]、シリコーン(メタ)アクリレートなどが例示できる。
これらの光硬化性化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、短時間で硬化できる光硬化性化合物、例えば、紫外線硬化性化合物(モノマー、オリゴマーや低分子量であってもよい樹脂など)、EB硬化性化合物が好ましい。特に、実用的に有利な樹脂前駆体は、紫外線硬化性樹脂である。さらに、耐擦傷性などの耐性を向上させるため、光硬化性樹脂は、分子中に2以上(好ましくは2~6、さらに好ましくは2~4程度)の重合性不飽和結合を有する化合物であるのが好ましい。
硬化樹脂前駆体成分の重量平均分子量は、特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、ポリマーとの相溶性を考慮して5000以下、好ましくは2000以下、さらに好ましくは1000以下程度である。
硬化樹脂前駆体成分は、その種類に応じて、透明性及び防眩性を向上させるために、フィラー及び/又はフッ素原子を含有していてもよい。
フィラーとしては、例えば、シリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子、アルミナ粒子などの無機粒子、架橋(メタ)アクリル系重合体粒子、架橋スチレン系樹脂粒子などの有機粒子を含んでいてもよい。これらのフィラーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのフィラーのうち、光学特性に優れ、スピノーダル分解により、透明性及び防眩性を両立できる凹凸形状を形成し易い点から、ナノメータサイズのシリカ粒子(シリカナノ粒子)が好ましい。シリカナノ粒子は、防眩フィルムの黄色度を抑制できる点から、中実のシリカナノ粒子が好ましい。また、シリカナノ粒子の平均粒径は、例えば1~800nm、好ましくは3~500nm、さらに好ましくは5~300nm程度である。
フィラー(特にシリカナノ粒子)の割合は、硬化樹脂前駆体成分全体に対して10~90重量%程度であってもよく、例えば10~80重量%、好ましくは15~70重量%、さらに好ましくは20~50重量%程度である。
フッ素原子を含有する前駆体成分(フッ素含有硬化性化合物又は重合性基を有するフッ素系化合物)としては、前記単量体及びオリゴマーのフッ化物、例えば、フッ化アルキル(メタ)アクリレート[例えば、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレートやトリフルオロエチル(メタ)アクリレートなど]、フッ化(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート[例えば、フルオロエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、フルオロポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、フルオロプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]、フッ素含有エポキシ樹脂、フッ素含有ウレタン系樹脂などが挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリロイル基を有するフルオロポリエーテル化合物が好ましい。フッ素含有硬化性化合物は、市販のフッ素系重合性レベリング剤であってもよい。
硬化樹脂前駆体成分は、その種類に応じて、さらに硬化剤を含んでいてもよい。例えば、熱硬化性樹脂では、アミン類、多価カルボン酸類などの硬化剤を含んでいてもよく、光硬化性樹脂では光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤としては、慣用の成分、例えば、アセトフェノン類又はプロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキシド類などが例示できる。光重合開始剤などの硬化剤の割合は、硬化樹脂前駆体成分全体に対して0.1~20重量%、好ましくは0.5~10重量%、さらに好ましくは1~8重量%程度である。
硬化樹脂前駆体成分は、さらに硬化促進剤を含んでいてもよい。例えば、光硬化性樹脂は、光硬化促進剤、例えば、第三級アミン類(ジアルキルアミノ安息香酸エステルなど)、ホスフィン系光重合促進剤などを含んでいてもよい。
これらの硬化樹脂前駆体成分のうち、多官能性(メタ)アクリレート(例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの2~8程度の重合性基を有する(メタ)アクリレートなど)、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートなどが好ましい。さらに、硬化樹脂前駆体成分は、シリカナノ粒子及び/又はフッ素原子を含むのが好ましく、シリカナノ粒子含有光硬化性化合物[特に、シリカナノ粒子を含む多官能性(メタ)アクリレート、シリカナノ粒子を含むウレタン(メタ)アクリレート、シリカナノ粒子を含むシリコーン(メタ)アクリレート]及びフッ素含有硬化性化合物を含むのが特に好ましい。
硬化樹脂前駆体成分の好ましい組み合わせは、例えば、シリカナノ粒子含有光硬化性化合物とシリコーン(メタ)アクリレートとの組み合わせ、ウレタン(メタ)アクリレートと3~6官能(メタ)アクリレートとシリコーン(メタ)アクリレートとフッ素含有硬化性化合物との組み合わせ、シリカナノ粒子含有光硬化性化合物とフッ素含有硬化性化合物との組み合わせであり、特に好ましい組み合わせは、シリカナノ粒子含有光硬化性化合物とフッ素含有硬化性化合物との組み合わせである。
本発明では、透明性と防眩性とを両立できる凹凸形状を形成し易い点から、シリカナノ粒子が硬化樹脂前駆体成分全体に対して前記割合となるように、硬化樹脂前駆体成分中に、シリカナノ粒子含有硬化樹脂前駆体成分を含むのが好ましい。また、フッ素含有硬化性化合物の割合は、硬化樹脂前駆体成分全体に対して例えば0.001~1重量%(例えば0.01~0.5重量%)、好ましくは0.02~0.3重量%(例えば0.03~0.2重量%)、さらに好ましくは0.05~0.1重量%程度である。
(ポリマー成分と硬化樹脂前駆体成分との組み合わせ)
本発明では、前記ポリマー成分及び前記硬化樹脂前駆体成分のうち、少なくとも2つの成分が、加工温度付近で互いに相分離する組み合わせで使用される。相分離する組み合わせとしては、例えば、(a)複数のポリマー成分同士が互いに非相溶で相分離する組み合わせ、(b)ポリマー成分と硬化樹脂前駆体成分とが非相溶で相分離する組み合わせ、(c)複数の硬化樹脂前駆体成分同士が互いに非相溶で相分離する組み合わせなどが挙げられる。これらの組み合わせのうち、通常、(a)複数のポリマー成分同士の組み合わせや、(b)ポリマー成分と硬化樹脂前駆体成分との組み合わせであり、特に(a)複数のポリマー成分同士の組み合わせが好ましい。相分離させる両者の相溶性が高い場合、溶媒を蒸発させるための乾燥過程で両者が有効に相分離せず、防眩層としての機能が低下する。
なお、ポリマー成分と硬化樹脂前駆体成分とは、通常、互いに非相溶である。ポリマー成分と硬化樹脂前駆体成分とが非相溶で相分離する場合に、ポリマー成分として複数のポリマー成分を用いてもよい。複数のポリマー成分を用いる場合、少なくとも1つのポリマー成分が硬化樹脂前駆体成分に対して非相溶であればよく、他のポリマー成分は前記硬化樹脂前駆体成分と相溶してもよい。また、互いに非相溶な2つのポリマー成分と硬化樹脂前駆体成分(特に、複数の硬化性官能基を有するモノマー又はオリゴマー)との組み合わせであってもよい。
ポリマー成分を互いに非相溶な複数のポリマー成分で構成して相分離する場合、硬化樹脂前駆体成分は、非相溶な複数のポリマーのうち、少なくとも1つのポリマー成分と加工温度付近で互いに相溶する組合せで使用される。すなわち、互いに非相溶な複数のポリマー成分を、例えば、第1のポリマーと第2のポリマーとで構成する場合、硬化樹脂前駆体成分は、第1のポリマー又は第2のポリマーのいずれかと相溶すればよく、両方のポリマー成分と相溶してもよいが、好ましくは一方のポリマー成分のみと相溶する方がよい。両方のポリマー成分に相溶する場合、第1のポリマー及び硬化樹脂前駆体成分を主成分とした混合物と、第2のポリマー及び硬化樹脂前駆体成分を主成分とした混合物との少なくとも二相に相分離する。
選択した複数のポリマー成分の相溶性が高い場合、溶媒を蒸発させるための乾燥過程でポリマー成分同士が有効に相分離せず、防眩層としての機能が低下する。複数のポリマー成分の相分離性は、双方の成分に対する良溶媒を用いて均一溶液を調製し、溶媒を徐々に蒸発させる過程で、残存固形分が白濁するか否かを目視にて確認することにより簡便に判定できる。
さらに、通常、ポリマー成分と、硬化樹脂前駆体成分の硬化により生成した硬化又は架橋樹脂とは互いに屈折率が異なる。また、複数のポリマー成分(第1のポリマーと第2のポリマー)の屈折率も互いに異なる。ポリマー成分と硬化又は架橋樹脂との屈折率の差、複数のポリマー成分(第1のポリマーと第2のポリマーと)の屈折率の差は、例えば0.001~0.2、好ましくは0.05~0.15程度であってもよい。
ポリマー成分と硬化樹脂前駆体成分との割合(重量比)は、特に制限されず、例えば、前者/後者=1/99~95/5程度の範囲から選択でき、例えば2/98~90/10、好ましくは3/97~80/20、さらに好ましくは5/95~70/30程度である。また、硬化樹脂前駆体成分がシリカナノ粒子含有光硬化性化合物を含む場合、ポリマー成分と硬化樹脂前駆体成分との割合(重量比)は、例えば2/98~30/70、好ましくは3/97~20/80、さらに好ましくは5/95~15/85程度であってもよい。さらに、硬化樹脂前駆体成分がシリカナノ粒子含有光硬化性化合物を含まない場合、例えば10/90~60/40、好ましくは20/80~50/50、さらに好ましくは30/70~40/60程度であってもよい。
(他の成分)
樹脂成分を含む組成物で形成された防眩層は、種々の添加剤、例えば、レベリング剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、界面活性剤、水溶性高分子、充填剤、架橋剤、カップリング剤、着色剤、難燃剤、滑剤、ワックス、防腐剤、粘度調整剤、増粘剤、消泡剤などを含んでいてもよい。添加剤の割合は、例えば、防眩層全体に対して、例えば0.01~10重量%(特に0.1~5重量%)程度である。
(防眩層の厚み)
防眩層の厚み(平均厚み)は、例えば0.3~20μm程度、好ましくは1~15μm(例えば1~10μm)程度であってもよく、通常3~12μm(特に4~10μm)程度である。なお、防眩層単独で防眩フィルムを構成する場合、防眩層の厚み(平均厚み)は、例えば1~100μm、好ましくは3~50μm程度である。
(透明基材層)
透明基材層は、透明材料で形成されていればよく、用途に応じて選択でき、ガラスなどの無機材料であってもよいが、強度や成形性などの点から、有機材料が汎用される。有機材料としては、例えば、セルロース誘導体、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、(メタ)アクリル系重合体などが例示できる。これらのうち、セルロースエステル、ポリエステルなどが汎用される。
セルロースエステルとしては、セルローストリアセテート(TAC)などのセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースアセテートC3-4アシレートなどが挙げられる。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリアルキレンアリレートなどが挙げられる。
これらのうち、機械的特性や透明性などのバランスに優れる点から、PETやPENなどのポリC2-4アルキレンアリレートが好ましい。
透明基材層も、防眩層の項で例示された慣用の添加剤を含んでいてもよい。添加剤の割合も防眩層と同様である。
透明基材層は、1軸又は2軸延伸フィルムであってもよいが、低複屈折率であり、光学的に等方性に優れる点から、未延伸フィルムであってもよい。
透明基材層は、表面処理(例えば、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾンや紫外線照射処理など)されていてもよく、易接着層を有していてもよい。
透明基材層の厚み(平均厚み)は、例えば5~2000μm、好ましくは15~1000μm、さらに好ましくは20~500μm程度である。
(粘着層)
本発明の防眩フィルムは、スマートフォンやPC(タブレットPCなど)などを含む各種のタッチパネル表示装置の保護フィルムとしても使用可能である。これらの用途では、前記透明基材層の他方の面の少なくとも一部に粘着層が形成されていてもよい。
粘着層は、慣用の透明な粘着剤で形成されている。粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、オレフィン系粘着剤(変性オレフィン系粘着剤など)、シリコーン系粘着剤などが例示できる。これらの粘着剤のうち、光学特性やリワーク性などの点から、シリコーン系粘着剤が好ましい。
粘着層の厚みは、例えば1~150μm、好ましくは10~100μm、さらに好ましくは20~70μm(特に25~50μm)程度である。
粘着層は、他方の面全体に形成してもよく、他方の面の一部(例えば、周縁部)に形成してもいずれでもよい。さらに、周縁部に形成する場合、貼着のための取り扱い性を向上させる目的で、防眩フィルムの周縁部に枠状部材(例えば、周縁部にプラスチックシートを積層)を形成し、枠状部材に粘着層を形成してもよい。
[防眩フィルムの製造方法]
本発明の防眩フィルムの製造方法は、特に限定されず、材料の種類に応じて、適宜選択でき、物理的な加工や型を用いた転写などにより形成してもよいが、生産性などの点から、硬化性組成物を熱又は活性エネルギー線で硬化させる硬化工程を経て製造する方法が好ましい。特に、湿式スピノーダル分解により形成された凹凸形状を有する防眩層を含む防眩フィルムでは、支持体(特に、透明基材層)の上に、1種以上のポリマー成分及び1種以上の硬化樹脂前駆体成分を含む硬化性組成物を塗布して乾燥することにより、ポリマー成分及び硬化樹脂前駆体成分から選択される少なくとも2つの成分を、湿式スピノーダル分解により相分離させる相分離工程、相分離した硬化性組成物を熱又は活性エネルギー線で硬化させる硬化工程を経る方法であってもよい。
相分離工程において、硬化性組成物は溶媒を含んでいてもよい。溶媒は、前記ポリマー成分及び硬化樹脂前駆体成分の種類及び溶解性に応じて選択でき、少なくとも固形分(例えば、複数のポリマー成分及び硬化樹脂前駆体成分、反応開始剤、その他添加剤)を均一に溶解できる溶媒であればよい。特に、ポリマー成分及び硬化樹脂前駆体に対する溶媒の溶解性を調整することにより、相分離構造を制御してもよい。そのような溶媒としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなど)、セロソルブ類[メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1-メトキシ-2-プロパノール)など]、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)などが例示できる。また、溶媒は混合溶媒であってもよい。
これらの溶媒のうち、メチルエチルケトンなどのケトン類を含むのが好ましく、ケトン類と、アルコール類(ブタノールなど)及び/又はセロソルブ類(1-メトキシ-2-プロパノールなど)との混合溶媒が特に好ましい。混合溶媒において、アルコール類及び/又はセロソルブ類(両者を混合する場合、総量)の割合は、ケトン類100重量部に対して、例えば10~150重量部、好ましくは15~100重量部、さらに好ましくは20~80重量部(特に25~50重量部)程度である。アルコール類とセロソルブ類とを組み合わせる場合、セロソルブ類の割合は、アルコール類100重量部に対して、例えば1~100重量部、好ましくは10~80重量部、さらに好ましくは30~70重量部(特に40~60重量部)程度である。本発明では、溶媒を適宜組み合わせることにより、スピノーダル分解による相分離を調整し、透明性と防眩性とを両立できる凹凸形状を形成できる。
混合液中の溶質(ポリマー成分、硬化樹脂前駆体成分、反応開始剤、その他添加剤)の濃度は、相分離が生じる範囲及び流延性やコーティング性などを損なわない範囲で選択でき、例えば1~80重量%、好ましくは10~70重量%、さらに好ましくは20~60重量%(特に30~55重量%)程度である。
塗布方法としては、慣用の方法、例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、リバースコーター、バーコーター、コンマコーター、ディップ・スクイズコーター、ダイコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、シルクスクリーンコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法などが挙げられる。これらの方法のうち、バーコーター法やグラビアコーター法などが汎用される。なお、必要であれば、塗布液は複数回に亘り塗布してもよい。
前記混合液を流延又は塗布した後、溶媒の沸点よりも低い温度(例えば、溶媒の沸点よりも1~120℃、好ましくは5~50℃、特に10~50℃程度低い温度)で溶媒を蒸発させることにより、スピノーダル分解による相分離を誘起することができる。溶媒の蒸発は、通常、乾燥、例えば、溶媒の沸点に応じて、30~200℃(例えば30~100℃)、好ましくは40~120℃、さらに好ましくは50~90℃(特に60~85℃)程度の温度で乾燥させることにより行うことができる。
このような溶媒の蒸発を伴うスピノーダル分解により、相分離構造のドメイン間の平均距離に規則性又は周期性を付与できる。
硬化工程では、乾燥した硬化性組成物を、活性光線(紫外線、電子線など)や熱などにより最終的に硬化させることにより、スピノーダル分解により形成された相分離構造を直ちに固定化できる。硬化性組成物の硬化は、硬化樹脂前駆体成分の種類に応じて、加熱、光照射などを組み合わせてもよい。
加熱温度は、適当な範囲、例えば、50~150℃程度から選択できる。光照射は、光硬化成分などの種類に応じて選択でき、通常、紫外線、電子線などが利用できる。汎用的な光源は、通常、紫外線照射装置である。
光源としては、例えば、紫外線の場合は、Deep UV ランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、レーザー光源(ヘリウム-カドミウムレーザー、エキシマレーザーなどの光源)などを利用できる。照射光量(照射エネルギー)は、塗膜の厚みにより異なり、例えば10~10000mJ/cm、好ましくは20~5000mJ/cm、さらに好ましくは30~3000mJ/cm程度である。光照射は、必要であれば、不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。
[表示装置]
本発明の防眩フィルムは、透明性と防眩性とを両立できるため、種々の表示装置、例えば、液晶表示装置(LCD)、有機ELディスプレイ、タッチパネル付き表示装置などの光学部材として利用でき、特に、LCD、有機ELディスプレイの光学要素として有用である。
詳しくは、LCDは、外部光を利用して、液晶セルを備えた表示ユニットを照明する反射型LCDであってもよく、表示ユニットを照明するためのバックライトユニットを備えた透過型LCDであってもよい。反射型LCDでは、外部からの入射光を、表示ユニットを介して取り込み、表示ユニットを透過した透過光を反射部材により反射して表示ユニットを照明できる。反射型LCDでは、前記反射部材から前方の光路内に本発明の防眩フィルムを配設できる。例えば、本発明の防眩フィルムは、表示ユニットの前面(視認側前面)などに配設又は積層でき、特に、コリメートバックライトユニットを有し、かつプリズムシートを有さないLCDの前面に配設してもよい。
透過型LCDにおいて、バックライトユニットは、光源(冷陰極管などの管状光源、発光ダイオードなどの点状光源など)からの光を一方の側部から入射させて前面の出射面から出射させるための導光板(例えば、断面楔形状の導光板)を備えていてもよい。また、必要であれば、導光板の前面側にはプリズムシートを配設してもよい。なお、通常、導光板の裏面には、光源からの光を出射面側へ反射させるための反射部材が配設されている。このような透過型LCDでは、通常、光源から前方の光路内に、本発明の防眩フィルムを配設できる。例えば、導光板と表示ユニットとの間、表示ユニットの前面などに前記、本発明の防眩フィルムを配設又は積層できる。
有機ELディスプレイにおいて、有機ELは、各画素ごとに発光素子が構成されており、この発光素子は、通常、金属などの陰電極/電子注入層/電子輸送層/発光層/正孔輸送層/正孔注入層/ITOなどの陽電極/ガラス板や透明のプラスチック板などの基板で形成されている。有機ELディスプレイにおいても、本発明の防眩フィルムを光路内に配設してもよい。
また、本発明の防眩フィルムは、LCD(タッチパネル付き表示装置でもあるLCDを含む)や有機ELディスプレイ(タッチパネル付き表示装置でもある有機ELディスプレイを含む)の傷つきを防止するためのアフターマーケット向け保護又はプロテクトフィルムとして利用してもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた原料は以下の通りであり、得られた防眩フィルムを以下の方法で評価した。
[原料]
重合性基を有するアクリル系重合体:ダイセル・オルネクス(株)製「サイクロマーP」
セルロースアセテートプロピオネート:イーストマン社製「CAP-482-20」、アセチル化度=2.5%、プロピオニル度=46%、ポリスチレン換算の数平均分子量75000
シリコーンアクリレート:ダイセル・オルネクス(株)製「EB1360」
シリコーン系ハードコート材:(株)トクシキ製「AS-201S」
ウレタンアクリレートA:新中村化学工業(株)製「U-15HA」
ウレタンアクリレートB:(株)トクシキ製「AU-230」
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:ダイセル・オルネクス(株)製「DPHA」
ナノシリカ含有アクリル系紫外線硬化性化合物:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製「XR39-C6210」
シリカ含有アクリル系紫外線硬化性化合物:アイカ工業(株)製「Z-757-4RL」
アクリル系紫外線硬化性化合物:アイカ工業(株)製「Z-757-4CL」
PMMAビーズA:積水化学工業(株)製「SSX-115」
PMMAビーズB:積水化学工業(株)製「SSX-105」
架橋スチレンビーズ:綜研化学(株)製「SX-130H」
重合性基を有するフッ素系化合物A:信越化学工業(株)製「KY-1203」
重合性基を有するフッ素系化合物B:(株)ネオス製「フタージェント602A」
光開始剤A:BASFジャパン(株)製「イルガキュア184」
光開始剤B:BASFジャパン(株)製「イルガキュア907」
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム:三菱樹脂(株)製「ダイアホイル」
セルローストリアセテート(TAC)フィルム:富士フイルム(株)製「フジタックTG60UL」。
[コート層の厚み]
光学式膜厚計を用いて、任意の10箇所を測定し、平均値を算出した。
[ヘイズ]
ヘイズメーター(日本電色(株)製「NDH-5000W」)を用いて、JIS K7136に準拠し、凹凸構造を有する表面が受光器側となるように配置して測定した。
[透過色相(b)]
JIS Z8781に準拠して、分光光度計((株)日立ハイテクサイエンス製「U-3010」)を用いて測定した。
[60°グロス]
JIS K7105に準拠してグロスメーター((株)掘場製作所製「IG-320」)を用いて角度60°で測定した。
[防眩性]
作製した防眩フィルムを市販の黒色アクリル板に光学糊で貼り付け、三波長蛍光灯を照らしたときの反射像を目視で確認し、以下の基準で評価した。
◎:蛍光灯が全く見えない
○:蛍光灯の輪郭がぼける
△:蛍光灯の形状が見えるが眩しさが抑えられている。
[色合い]
作製した防眩フィルムを三波長蛍光灯に向け、その透過光の色合いを目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:フィルムを蛍光灯越しに透過して観察すると無色透明に見える
△:わずかに黄色又は青っぽく見える
×:明らかに黄色又は青く見える。
[実施例1]
重合性基を有するアクリル系重合体15.0重量部、セルロースアセテートプロピオネート3重量部、ナノシリカ含有アクリル系紫外線硬化性化合物の150重量部、シリコーンアクリレート1重量部を、メチルエチルケトン101重量部と1-ブタノール24重量部との混合溶媒に溶解し、溶液を調製した。
この溶液を、ワイヤーバー(#20)を用いて、PETフィルム上に流延した後、80℃のオーブン内に1分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約9μmのコート層を形成した。
そして、高圧水銀ランプにより紫外線をコート層に約5秒間照射して(積算光量約100mJ/cm照射、以下同様)コート層を紫外線硬化処理し、防眩フィルムを得た。
[実施例2]
重合性基を有するアクリル系重合体12.5重量部、セルロースアセテートプロピオネート4重量部、ナノシリカ含有アクリル系紫外線硬化性化合物150重量部、シリコーンアクリレート1重量部を、メチルエチルケトン81重量部と1-ブタノール24重量部と1-メトキシ-2-プロパノール13重量部との混合溶媒に溶解し、溶液を調製した。
この溶液を、ワイヤーバー(#20)を用いて、PETフィルム上に流延した後、80℃のオーブン内に1分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約9μmのコート層を形成した。
そして、高圧水銀ランプにより紫外線をコート層に約5秒間照射してコート層を紫外線硬化処理し、防眩フィルムを得た。
[実施例3]
重合性基を有するアクリル系重合体45.6重量部、セルロースアセテートプロピオネート2.3重量部、ウレタンアクリレートA70.7重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート8.2重量部、シリコーンアクリレート0.6重量部、重合性基を有するフッ素系化合物B0.1重量部、光開始剤A1重量部、光開始剤B1重量部を、メチルエチルケトン128重量部と1-ブタノール25重量部とシクロヘキサノン31重量部との混合溶媒に溶解し、溶液を調製した。
この溶液を、ワイヤーバー(#16)を用いて、TACフィルム上に流延した後、80℃のオーブン内に1分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約7μmのコート層を形成した。
そして、高圧水銀ランプにより紫外線をコート層に約5秒間照射してコート層を紫外線硬化処理し、防眩フィルムを得た。
[実施例4]
重合性基を有するアクリル系重合体12.5重量部、セルロースアセテートプロピオネート5.5重量部、ナノシリカ含有アクリル系紫外線硬化性化合物149重量部、重合性基を有するフッ素系化合物B0.1重量部を、メチルエチルケトン129重量部と1-ブタノール24重量部と1-メトキシ-2-プロパノール13重量部との混合溶媒に溶解し、溶液を調製した。
この溶液を、ワイヤーバー(#14)を用いて、PETフィルム上に流延した後、80℃のオーブン内に1分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約5μmのコート層を形成した。
そして、高圧水銀ランプにより紫外線をコート層に約5秒間照射してコート層を紫外線硬化処理し、防眩フィルムを得た。
[実施例5]
重合性基を有するアクリル系重合体36.9重量部、セルロースアセテートプロピオネート3.0重量部、ウレタンアクリレートA55.0重量部、シリコーンアクリレート0.7重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート22.9重量部、重合性基を有するフッ素系化合物A0.1重量部、光開始剤A1重量部、光開始剤B1重量部を、メチルエチルケトン144重量部と1-ブタノール21重量部との混合溶媒に溶解し、溶液を調製した。
この溶液を、ワイヤーバー(#18)を用いて、TACフィルム上に流延した後、80℃のオーブン内に1分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約8μmのコート層を形成した。
そして、高圧水銀ランプにより紫外線をコート層に約5秒間照射してコート層を紫外線硬化処理し、防眩フィルムを得た。
[実施例6]
重合性基を有するアクリル系重合体50重量部、セルロースアセテートプロピオネート4重量部、ウレタンアクリレートA76重量部、シリコーンアクリレート1重量部、光開始剤A1重量部、光開始剤B1重量部を、メチルエチルケトン176重量部と1-ブタノール28重量部との混合溶媒に溶解し、溶液を調製した。
この溶液を、ワイヤーバー(#18)を用いて、TACフィルム上に流延した後、80℃のオーブン内に1分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約8μmのコート層を形成した。
そして、高圧水銀ランプにより紫外線をコート層に約5秒間照射してコート層を紫外線硬化処理し、防眩フィルムを得た。
[実施例7]
セルロースアセテートプロピオネート3重量部、ウレタンアクリレートA97重量部、PMMAビーズB90重量部、光開始剤A1重量部、光開始剤B1重量部を、メチルエチルケトン277重量部と1-ブタノール23重量部との混合溶媒に溶解し、溶液を調製した。
この溶液を、ワイヤーバー(#6)を用いて、PETフィルム上に流延した後、80℃のオーブン内に1分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約1μmのコート層を形成した。
そして、高圧水銀ランプにより紫外線をコート層に約5秒間照射してコート層を紫外線硬化処理し、防眩フィルムを得た。
[参考例1]
ウレタンアクリレートB39重量部、シリコーン系ハードコート材15.7重量部、PMMAビーズA0.3重量部、架橋スチレンビーズ6.1重量部をメチルエチルケトン38重量部に溶解、溶液を調製した。
この溶液を、ワイヤーバー(#14)を用いてPETフィルム上に流延した後、100℃のオーブン内に1分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約6μmのコート層を形成させた。
そして、高圧水銀ランプにより紫外線をコート層に約5秒間照射してコート層を紫外線硬化処理し、防眩フィルムを得た。
[参考例2]
シリカ含有アクリル系紫外線硬化性化合物50質量部とアクリル系紫外線硬化性化合物150質量部とを混合した溶液を調製した。この溶液を、ワイヤーバー(#14)を用いて、PETフィルム上に流延した後、80℃のオーブン内に1分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約7μmのコート層を形成した。
そして、紫外線ランプにより紫外線をコート層に約5秒間照射して紫外線硬化処理し、防眩フィルムを得た。
実施例及び参考例で得られた防眩フィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 0007335717000001
表1の結果から明らかなように、実施例の防眩フィルムは、防眩性が高く、色合い(無色透明性)も優れていた。
本発明の防眩フィルムは、種々の表示装置、例えば、LCD、陰極管表示装置、有機又は無機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、表面電界ディスプレイ(SED)、リアプロジェクションテレビディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネル付き表示装置などの表示装置に利用される防眩フィルムとして利用できる。
また、本発明の防眩フィルムは、各種サイズのスクリーンに対応でき、小型又は携帯型スクリーンの表示装置(例えば、カーナビゲーション用ディスプレイ、ゲーム機器、スマートフォン、タブレットPCなどのディスプレイ及びタッチパネル付き表示装置など)、中型スクリーンの表示装置(例えば、ノート型又はラップトップ型PCやデスクトップ型PCなどのPC、テレビなど)、大型スクリーンの表示装置(例えば、デジタルサイネージなど)などに利用できる。これらのうち、解像度の違いに応じて適宜選択できるが、透明性と防眩性とを両立できる点から、例えば、中型スクリーンや大型スクリーンの表示装置に好適に利用できる。
さらに、防眩層が硬化樹脂前駆体を含むフィルムは、耐擦傷性にも優れるため、LCDや有機ELディスプレイのアフターマーケット向け保護フィルム(プロテクトフィルム)としても利用できる。

Claims (9)

  1. 透明基材層と、この透明基材層の少なくとも一方の面に形成された防眩層とを含み、60度グロスが5%以下であり、透過光の色度bの絶対値が2以下であり、かつヘイズが50%以上である防眩フィルムであって、前記防眩層が、1種以上のポリマー成分及び1種以上の硬化樹脂前駆体成分を含む硬化性組成物の硬化物であり、かつ前記ポリマー成分及び前記硬化樹脂前駆体成分から選択される少なくとも2つの成分湿式スピノーダル分解により生じる相分離構造によって、表面に凹凸形状を形成した状態で、硬化されている防眩フィルム。
  2. ポリマー成分が、セルロースエステル類及び/又は重合性基を有していてもよい(メタ)アクリル系重合体を含む請求項1記載の防眩フィルム。
  3. 硬化樹脂前駆体成分が、多官能(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート及びシリコーン(メタ)アクリレートから選択された少なくとも1種を含む請求項1又は2記載の防眩フィルム。
  4. 下記要件(1)及び(2)の少なくとも一方を充足する請求項1~3のいずれかに記載の防眩フィルム。
    (1)硬化樹脂前駆体成分が、シリカナノ粒子を含む
    (2)硬化樹脂前駆体成分が、フッ素原子を含有する前駆体成分である
  5. 硬化性組成物を熱又は活性エネルギー線で硬化させる硬化工程を含む請求項1~4のいずれかに記載の防眩フィルムの製造方法。
  6. 支持体の上に、1種以上のポリマー成分及び1種以上の硬化樹脂前駆体成分を含む硬化性組成物を塗布して乾燥することにより、ポリマー成分及び硬化樹脂前駆体成分から選択される少なくとも2つの成分を、湿式スピノーダル分解により相分離させる相分離工程をさらに含み、硬化工程が、相分離した硬化性組成物を熱又は活性エネルギー線で硬化させる硬化工程である請求項5記載の防眩フィルムの製造方法。
  7. 請求項1~4のいずれかに記載の防眩フィルムを備えた表示装置。
  8. 有機ELディスプレイ又は液晶表示装置である請求項7記載の表示装置。
  9. 透明基材層と、この透明基材層の少なくとも一方の面に形成された防眩層とを含み、前記防眩層が、1種以上のポリマー成分及び1種以上の硬化樹脂前駆体成分を含む硬化性組成物の硬化物であり、かつ前記ポリマー成分及び前記硬化樹脂前駆体成分から選択される少なくとも2つの成分湿式スピノーダル分解により生じる相分離可能構造によって、表面に凹凸形状を形成した状態で、硬化されている防眩フィルムにおいて、60度グロス、透過光の色度bの絶対値及びヘイズを、それぞれ5%以下、2以下及び50%以上の範囲に調整し、防眩フィルムの防眩性及び透明性を向上する方法。
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