以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
図1は、企業買収又は企業連携先検索装置における処理概要図の一例である。
企業買収又は企業連携先検索装置(以下、検索装置と称することがある)は、特定テーマに関連する複数の特許出願に関する特許データと、特許出願の出願人である企業の財務状況に関する財務データとを記憶している。財務データの一例は、売上高である。特定テーマは、自企業が他企業の買収又は他企業との連携により強化又は補完を図る事業領域を示し、例えば、スマートファクトリーである。特許データは、各特許出願の特許出願人を示すデータと、各特許出願に付与されたIPC分類を示すデータとを含む。図1に示す例において、特許出願の数(n)及び各特許出願に付与されたIPC分類の種類の総数(m)は、ともに3である。
最初に、検索装置は、特許出願毎に、m個のIPC分類のそれぞれが付与されているか否かを示すm次元のデータを生成する。m次元のデータの各次元は、IPC分類のそれぞれと1:1に対応し、当該IPC分類が特許出願に付与されていれば1、付与されていなければ0の値をとる。例えば、特許1には、IPC分類としてA41D及びG07Gが付与されており、G06Qは付与されていない。この0又は1の値を、IPCフラグと称することがある。
次に、検索装置は、各特許出願に対応するn個のm次元のデータを主成分分析して主成分を算出し、算出した主成分に基づいて各特許出願の特許スコアを算出する。特許スコアは、特許出願の評価値を示し、各特許出願に対応するm次元のデータをk次元(k<m)に変換して算出される。図1の例では、3次元のデータを2次元の特許スコアに変換している。
次に、検索装置は、各特許出願に対応する特許スコアを利用して特許出願を分類し、分類された特許出願からなる特許クラスタを複数個生成する。
次に、検索装置は、特許クラスタ毎に、特許クラスタ情報を生成する。特許クラスタ情報は、各特許出願の特徴を示す特徴データを含む。
次に、検索装置は、特許クラスタ毎に、各特許クラスタに含まれる特許出願と、母集団データとに基づいて、特許出願の出願人である企業の評価値を示す企業スコアを企業毎に算出する。母集団データは、特定テーマに関連する複数の特許出願に関するデータを含むデータであり、少なくとも特許出願の出願人を示す企業名称データを含む。
次に、検索装置は、特許クラスタ毎に算出された企業スコアを集計して、特定テーマにおいて企業買収先又は企業連携先を判断するための判断用データが掲載されたリストを作成し、出力する。判断用データの一例は、後述する占有率である。
判断用データは、企業スコアを集計して算出され、企業スコアは、特許出願に付与されたIPC分類と、少なくとも特許出願の出願人を示す企業名称データを含む母集団データとに基づいて算出される。したがって、検索装置は、IPC分類、特許出願の出願人等の特許データを元にして潜在的な買収先又は提携先のリストを作成することができる。
<第1実施形態>
図2は、企業買収又は企業連携先検索システム1の概略構成図の一例である。
企業買収又は企業連携先検索システム1は、端末10及び検索装置40等を有する。端末10及び検索装置40は、インターネット等の通信ネットワーク50を介して接続される。
端末10は、ユーザが検索装置40を操作するために使用する端末である。端末10は、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)等の通信方式により、通信ネットワーク50を介して検索装置40と通信し、通信の内容に応じた表示を実行する。また、端末10は、入力部(不図示)から入力されたユーザの指示を、通信ネットワーク50を介して検索装置40に送信する。
図3は、検索装置40の概略構成図の一例である。
検索装置40は、通信部41と、記憶部42と、処理部43とを有する。
通信部41は、有線LAN(Local Area Network)等の有線の通信インターフェース回路、又は、無線LAN等の無線の通信インターフェース回路を有する。通信部41は、通信ネットワーク50を介して、端末10等とTCP/IP等の通信方式により通信を実行する。通信部41は、端末10等から受信したデータを処理部43に供給する。通信部41は、処理部43から供給されたデータを端末10等に送信する。
記憶部42は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。記憶部42は、処理部43による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。
例えば、記憶部42は、ドライバプログラムとして、通信部41を制御する通信デバイスドライバプログラム等を記憶する。また、記憶部42は、オペレーティングシステムプログラムとして、TCP/IP等の通信方式による接続制御プログラム等を記憶する。また、記憶部42は、アプリケーションプログラムとして、各種データの送受信を実行するデータ処理プログラム等を記憶する。コンピュータプログラムは、例えばCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部42にインストールされてもよい。
記憶部42には、特許DB及び出資・財務DB等が記憶される。特許DB及び出資・財務DBの詳細については後述する。
処理部43は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有し、検索装置40の全体的な動作を統括的に制御する。処理部43は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。なお、処理部43は、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)等でもよい。
処理部43は、検索装置40の各種処理が記憶部42に記憶されているプログラム等に応じて適切な手順で実行されるように、通信部41等の動作を制御する。処理部43は、記憶部42に記憶されているプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、処理部43は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行できる。
処理部43は、母集団データ作成部431、m次元データ生成部432、特許スコア算出部433、特許クラスタ生成部434、特許クラスタ情報生成部435、企業スコア算出部436及びリスト作成出力部437等を有する。処理部43が有するこれらの各部は、処理部43が有するプロセッサ上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、処理部43が有するこれらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、又はファームウェアとして検索装置40に実装されてもよい。
図4(A)は、特許DBのデータ構造図の一例である。
特許DBには、特定テーマに関連する特許出願を一意に識別するための出願ID、特許出願人の名称を示す出願人名称、特許出願の優先日、特許出願の抄録、特許出願に係る発明の用途、特許出願に付与されたIPC分類等が互いに関連付けられて記憶される。出願IDの一例は、出願番号である。優先日は、出願IDで識別される特許出願の最先の優先日である。IPC分類は、当該特許出願に付与されたIPC分類を示すIPC分類データを一つ以上含む。IPC分類データは、セクション、クラス及びサブクラスからなる(例えばG01D)が、さらにグループを含むもの(例えばG01D1/00)であってもよい。特許DBには、さらに、特許出願のタイトル(名称)、特許出願の新規な構成を説明する文章等が記憶されてもよい。
図4(B)は、出資・財務DBのデータ構造図の一例である。
出資・財務DBには、企業名称、企業が属する業界を示す業界区分、企業の会計期間、年度毎の企業の売上高、企業の出資先に関する出資データ、企業が受けたマイノリティ出資の額(不図示)、企業のEBITDA(不図示)等が互いに関連付けられて記憶される。会計期間は、企業会計における財務諸表作成対象の期間を示し、1月~12月、4月~3月等である。出資データには、出資先名称、出資先の企業における出資比率等が互いに関連付けられて記憶される。EBITDAは、Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの略語である。
図5は、検索装置40の動作の一例を示すフローチャートである。
以下、図5に示したフローチャートを参照しつつ、検索装置40の動作の例を説明する。以下に説明する動作は、予め記憶部42に記憶されているプログラムに基づき、主に処理部43により各要素と協働して実行される。
最初に、母集団データ作成部431は、端末10から受信した指示と、特許DB及び出資・財務DBの記憶内容とに基づいて、母集団データ作成処理を実行する(S11)。母集団データ作成部431は、母集団データ作成処理において、母集団テーブルを生成し、記憶部42に記憶する。母集団データ作成処理の詳細については後述する。
次に、m次元データ生成部432は、出願ID毎に、IPC分類データの有無を示すm次元のデータを生成する(S12)。m次元データ生成部432は、特許DBから全ての出願IDとIPC分類データとの組を読み出し、出願ID毎に各IPC分類に対応するIPCフラグを設定したm次元のデータを生成する。m次元データ生成部432は、出願IDに対応する出願人名称及び優先日を特許DBから取得し、出願人名称に対応する会計期間を企業DBから取得して、出願IDによって識別される特許出願が属する会計年度を判定する。m次元データ生成部432は、出願ID、出願人名称、会計年度及びIPCフラグからIPCテーブルを生成し、記憶部42に記憶する。
図6は、IPCテーブルのデータ構造図の一例である。
IPCテーブルには、出願ID、出願人名称、会計年度、IPCフラグ等が互いに関連付けられて記憶される。出願IDによって識別される特許出願が属する会計年度は、例えば、会計期間が4月~3月、特許出願の優先日が2017年3月21日のとき、2016年度である。なお、会計年度は、年度に代えて西暦、和暦等の年であってもよい。
次に、特許スコア算出部433は、IPCテーブルに記憶された複数のm次元のデータを主成分分析した結果に基づいて、特許スコアを算出する(S13)。特許スコア算出部433は、複数のm次元のデータを主成分分析して第1~第k主成分(但しm>k)を算出し、第1~第k主成分と出願ID毎のm次元のデータとを用いて、出願ID毎に第1~第k主成分スコアを算出する。第1~第k主成分スコアは、m次元のデータが各主成分に対応する座標軸上でとる値を示す。特許スコア算出部433は、第1~第k主成分スコアを成分とするk次元のベクトルを生成し、特許スコアとする。特許スコア算出部433は、出願ID、IPCテーブルに記憶された出願人名称及び会計年度、及び特許スコアから特許スコアテーブルを生成し、記憶部42に記憶する。
図7は、特許スコアテーブルのデータ構造図の一例である。
特許スコアテーブルには、出願ID、出願人名称、会計年度、特許スコア等が互いに関連付けられて記憶される。例えば、「特許1」の特許スコアは、(Y11、Y12、...、Y1k)であり、Y1kは、特許1のm次元データの、第k主成分に対応する主成分スコアを示す。
次に、特許クラスタ生成部434は、特許スコアを利用して特許出願を分類し、特許出願を含む特許クラスタを複数個生成する(S14)。特許クラスタ生成部434は、非階層型クラスタリング手法であるk-means法を各特許スコアに適用して、特許クラスタを生成する。特許クラスタ生成部434は、他の非階層型クラスタリング手法又は階層型クラスタリング手法を用いて特許クラスタを生成してもよい。特許クラスタ生成部434は、特許クラスタIDを各特許クラスタに割り当て、出願ID、特許スコアテーブルに記憶された出願人名称及び会計年度、特許クラスタID及び特許スコアから特許クラスタテーブルを生成し、記憶部42に記憶する。特許クラスタIDは、特許クラスタの識別子である。
図8は、クラスタリングの概念図の一例である。
図8の概念図は、特許出願が4個、主成分が2個、特許クラスタが3個の場合の例である。特許スコアの各成分の値は、0~1に正規化されているが、正規化されていない値であってもよい。
図9は、特許クラスタテーブルのデータ構造図の一例である。
特許スコアテーブルには、出願ID、出願人名称、会計年度、特許クラスタID、特許スコア等が互いに関連付けられて記憶される。
次に、特許クラスタ生成部434は、特許クラスタ毎に、特許クラスタ情報生成処理を実行する(S15)。特許クラスタ情報生成処理の詳細については後述する。
次に、企業スコア算出部436は、特許クラスタ毎に、各特許クラスタに含まれる特許出願と、母集団データとに基づいて、企業スコア算出処理を実行する(S16)。企業スコアとは、特許スコアのベクトルを特許クラスタID毎、出願人名称毎かつ会計年度毎に合計し、ノルム(長さ)をとった値である。企業スコア算出処理の詳細については後述する。
次に、リスト作成出力部437は、リスト作成出力処理を実行する(S17)。リスト作成出力部437は、リスト作成出力処理において、特許クラスタ毎に算出された企業スコアを集計して、特定テーマにおいて企業買収先又は企業連携先を判断するための判断用データが掲載されたリストを作成及び出力する。リスト作成出力処理の詳細については後述する。以上により、図5に示す一連の処理を終了する。
図10は、母集団データ作成処理の一例を示すフローチャートである。母集団データ作成処理は、図5のS11で実行される。
最初に、母集団データ作成部431は、特許DBに記憶された出願人名称に対応する特許出願人毎に、特定テーマに限定した全特許出願件数を算出する(S21)。母集団データ作成部431は、出願人名称をキーとして出資・財務DBから会計期間を取得し、外部の特許データベース(不図示)から、特許出願人の会計期間毎の特定テーマに限定した全特許出願件数を取得してもよい。外部の特許データベースは、例えば、DWPI(Derwent World Patents Index。登録商標)である。
次に、母集団データ作成部431は、母集団テーブルを生成し、記憶部42に記憶する(S22)。母集団データ作成部431は、特許DBに記憶された各出願人名称をキーとして出資・財務DBを検索し、業界区分、会計期間、売上高等を取得する。母集団データ作成部431は、出願人名称、S21の処理で取得した全特許出願件数、業界区分、会計年度、会計期間、売上高等を互いに関連付けて母集団テーブルを生成し、記憶部42に記憶する。以上により、母集団データ作成処理を終了する。
図11は、母集団テーブルのデータ構造図の一例である。
母集団テーブルには、企業名称(出願人名称)、業界区分、会計年度、会計期間、売上高、特許出願件数(全特許出願件数)等が互いに関連付けられて記憶される。母集団テーブルには、売上高以外の財務データがさらに関連付けられて記憶されてもよい。母集団テーブルに記憶されるデータを母集団データと称し、母集団データのうち、企業名称(出願人名称)と、出資・財務DBから取得された業界区分、会計期間、売上高等とを、企業データと称することがある。また、母集団テーブルに記憶される企業名称(出願人名称)は、企業名称データの一例である。
図12は、特許クラスタ情報生成処理の一例を示すフローチャートである。特許クラスタ情報生成処理は、図5のS15で実行される。
最初に、特許クラスタ情報生成部435は、特許クラスタに含まれる特許出願に付与された各IPC分類の出現回数を算出する(S91)。特許クラスタ情報生成部435は、特許クラスタIDと関連付けられた出願IDを特許クラスタテーブルから取得し、出願IDに対応するIPC分類を出願ID毎に特許DBから取得する。特許クラスタ情報生成部435は、取得した各IPC分類の出現回数を、IPC分類の上位4桁(サブクラス)及び全桁(サブグループ)のそれぞれについて算出する。
次に、特許クラスタ情報生成部435は、IPC分類に関する説明文を取得する(S92)。特許クラスタ情報生成部435は、取得したIPC分類のうち出現回数が多い所定数のIPC分類について、WIPO(World Intellectual Property Organization)、日本特許庁等が提供するIPC分類の説明文を取得する。
次に、特許クラスタ情報生成部435は、特許クラスタに含まれる特許出願の特徴を示す特徴データを取得する(S93)。特許クラスタ情報生成部435は、特許クラスタIDと関連付けられた出願IDを特許クラスタテーブルから取得し、出願IDに対応する発明の用途を特許DBから取得する。特許クラスタ情報生成部435は、TF-IDF(Term Frequency - Inverse Document Frequency)等の手法を用いて、発明の用途から所定数の頻出語及び特徴語を取得して特徴データとする。特徴データの一例は、「分散制御」、「パワーグリッド」等の単語である。特許クラスタ情報生成部435は、特許DBに記憶された特許出願の名称、特許出願の新規な構成及び特許出願の抄録から、同様に所定数の頻出語及び特徴語を取得して特徴データとする。
次に、特許クラスタ情報生成部435は、取得したIPC分類及び特徴データを用いて、特許クラスタ情報テーブルを生成する(S94)。特許クラスタ情報生成部435は、特許クラスタIDと、当該特許クラスタに含まれる特許出願の件数と、IPC分類、その説明文及び出現回数の順位と、特徴データ、その取得元及び出現回数の順位とを関連付けて特許クラスタ情報テーブルを生成する。特許クラスタ情報テーブルは、特許クラスタ情報の一例である。特許クラスタ情報生成部435は、特許クラスタテーブルに記憶された情報及び特許クラスタ情報テーブルに記憶された情報を、ユーザに提示できるように通信部41を介して端末10に出力する。これにより、ユーザは、特許クラスタ情報テーブルに記憶された情報を参照して、特許クラスタテーブルに記憶された各特許クラスタに対して任意の名称を入力したシートを生成することができる。
図13は、特許クラスタ情報テーブルのデータ構造図の一例である。
特許クラスタ情報テーブルには、特許クラスタID、特許クラスタに含まれる特許出願の件数、IPC分類、出現回数の順位及び説明文、発明の用途中の単語と出現回数の順位、新規な構成中の単語と出現回数の順位等が互いに関連付けられて記憶される。発明の用途中の単語及び新規な構成中の単語は、特徴データの一例である。なお、図13では、特許出願の名称及び特許出願の抄録についての記載を省略している。
図14は、企業スコア算出処理の一例を示すフローチャートである。企業スコア算出処理は、図5のS16で実行される。
最初に、企業スコア算出部436は、特許クラスタテーブルに記憶された特許クラスタ毎、出願人名称毎かつ会計年度毎に、特許スコアから企業スコアを算出する(S32)。企業スコア算出部436は、特許クラスタ、出願人名称及び会計年度のすべてが同一の特許出願について、各特許出願の特許スコアを主成分毎に合計してベクトルを算出する。企業スコア算出部436は、算出したベクトルのノルムを算出して、当該特許クラスタ、出願人名称及び会計年度における企業スコアとする。企業スコア算出部436は、同一出願人の各会計年度の企業スコアを合計した企業スコアを算出してもよい。
次に、企業スコア算出部436は、算出した企業スコアを特許クラスタID、出願人名称及び会計年度と互いに関連付けて企業スコアテーブルを生成し、記憶部42に記憶する(S33)。以上により、企業スコア算出処理を終了する。
図15は、企業スコアテーブルのデータ構造図の一例である。
企業スコアテーブルには、特許クラスタ毎に、出願人名称、会計年度毎の企業スコア、各会計年度の合計の企業スコア等が互いに関連付けられて記憶される。
図16は、リスト作成出力処理の一例を示すフローチャートである。リスト作成出力処理は、図5のS17で実行される。
最初に、リスト作成出力部437は、特定テーマにおいて企業買収先又は企業連携先を判断するための判断用データを生成する(S41)。判断用データは、後述する(1)~(7)の指標を含む。各指標の分子及び分母の値は、特許クラスタ毎かつ会計年度毎の値であり、各指標は、特許クラスタ毎かつ会計年度毎に算出される。
(1)親和性
親和性=出願人Aのある特許クラスタにおける特許出願件数/出願人Aの特定テーマにおける全特許出願件数。
親和性は、ターゲットとなる特許クラスタにおける出願人Aの専業度を示し、値が大きいほど出願人Aが良い買収又は連携対象であることを示す。リスト作成出力部437は、特許クラスタテーブル及び母集団テーブルに記憶されたデータに基づいて、親和性の値を算出する。
(2)占有率
占有率=出願人Aの企業スコアの合計/全出願人の企業スコアの合計。
占有率は、ターゲットとなるクラスタの全出願人の企業スコアに占める出願人Aの企業スコアの割合を示し、値が大きいほど出願人Aが良い買収又は連携対象であることを示す。リスト作成出力部437は、企業スコアテーブルに記憶されたデータに基づいて、占有率の値を算出する。
(3)競合率
競合率=出願人Aの特許出願と、出願人Aと同一の業界区分に属する出願人の特許出願に共通に付与されたIPC分類の数/IPCテーブルに記憶された出願人AのIPC分類の数。
競合率は、ターゲットとなるクラスタにおける同業界でのポジションの優位性を示し、値が小さいほど出願人Aが良い買収又は連携対象であることを示す。リスト作成出力部437は、IPCテーブル、母集団テーブル及び特許クラスタテーブルに記憶されたデータに基づいて、競合率の値を算出する。
(4)強み度
強み度=(親和性×占有率)/(1+競合率)。
強み度は、値が大きいほど出願人Aが良い買収又は連携対象であることを示す。リスト作成出力部437は、上述した親和性、占有率及び競合率の値から、強み度の値を算出する。
(5)共創性
共創性=出願人Aと異なる業界区分に属する出願人の特許出願のうち出願人Aの特許出願とに共通に付与されたIPC分類の数/IPCテーブルに記憶された出願人AのIPC分類の数。
共創性は、他業界の企業による特許出願に付与されたIPC分類と、出願人Aによる特許出願に付与されたIPC分類との重複率を示し、値が大きいほど出願人Aが良い買収又は連携対象であることを示す。リスト作成出力部437は、IPCテーブル、母集団テーブル及び特許クラスタテーブルに記憶されたデータに基づいて、共創性の値を算出する。
(6)第1市場魅力度
第1市場魅力度=各特許クラスタの年間特許出願件数
第1市場魅力度は、各特許クラスタの魅力度を示し、値が大きいほど魅力的であることを示す。リスト作成出力部837は、特許クラスタテーブルに基づいて、第1市場魅力度の値を算出する。
(6′)第2市場魅力度
第2市場魅力度=各特許クラスタのマイノリティ出資額
第2市場魅力度は、各特許クラスタの魅力度を示し、値が大きいほど魅力的であることを示す。マイノリティ出資額は、各特許クラスタに含まれる特許出願の特許出願人が受けたマイノリティ出資の総額である。リスト作成出力部437は、特許クラスタテーブル及び出資・財務DBに基づいて、第2市場魅力度の値を算出する。
(7)トレンド
トレンド=特許出願件数の経年変化率(=当該会計年度の特許出願件数/前会計年度の特許出願件数)
トレンドは、各特許クラスタに関連する特許出願の増減の傾向を示し、値が大きいほど特許出願件数の増加の割合が高いことを示す。リスト作成出力部437は、特許クラスタテーブルに基づいて、トレンドの値を算出する。
次に、リスト作成出力部437は、判断用データが掲載されたリストを作成する(S42)。リスト作成出力部437は、算出した判断用データの値が所定の基準を満たす特許出願人を選択し、選択した特許出願人の出願人名称と判断用データの値とを関連付けて表示するリストを作成する。
次に、リスト作成出力部437は、判断用データが掲載されたリストを、端末10に表示させるために通信部41を介して端末10に出力する(S43)。以上により、リスト作成出力処理を終了する。
図17は、端末10に表示されたリストの一例である。
リストには、会計年度毎かつ出願人名称毎に、出願人名称、親和性、占有率、競合率、強み度、共創性等の値が表示されている。リストには、企業スコアをさらに表示してもよい。ユーザは、リストに記載されている強み度、共創性等の値を参照して、潜在的な買収先又は提携先を検討することができる。
このように、検索装置40は、特定テーマに関連する複数の特許出願のIPC分類データに基づいて、特許出願を含む特許クラスタを複数個生成する。検索装置40は、各特許クラスタに含まれる特許出願と、企業データとに基づいて、企業スコアを企業毎に算出する。企業スコアは、特許出願のIPC分類データに基づいて生成されているため、特許出願の出願人の研究開発の方向性を示していることが多い。このため、検索装置40は、特許データを元にして潜在的な買収先又は提携先のリストを作成することができる。
また、検索装置40は、IPC分類データに基づいて特許出願をクラスタリングするため、特許出願の抄録等を言語解析した結果に基づいてクラスタリングすることと比べて、抄録等に使用されている用語の揺らぎの影響を少なくすることができる。
なお、特許DB、出資・財務DB、母集団テーブル等は、一つのテーブルではなく、リレーショナルデータベースのように複数のテーブルを関連付けたものであってもよい。また、特許DBと出資・財務DBは、特許出願人等のデータによって互いに関連付けられていてもよい。
また、同一企業に対応する、出資・財務DBに記憶された企業名称と、特許DBに記憶された出願人名称とが異なり、データを適切に取得できないことがある。これを防止するため、記憶部42は、企業名称と出願人名称とを対応付けたテーブルを予め記憶してもよい。母集団データ作成部431は、母集団テーブル作成処理S22において、出願人名称に代えて出願人名称に対応付けられた企業名称をキーとして出資・財務DBを検索することにより、出資・財務DBに記憶されたデータを適切に取得することができる。
また、特許クラスタ生成部434は、特許クラスタを生成した後、図8の概念図、図9のデータ構造図等の特許クラスタの特徴を示す情報を、検索装置40の表示部(不図示)等に表示してもよい。検索装置40は、表示内容に基づいて決定された各特許クラスタの名称を、キーボード等の入力部(不図示)から取得し、特許クラスタIDと関連付けて、又は特許クラスタIDに代えて、特許スコアテーブルに記憶してもよい。また、特許クラスタ生成処理(S14)より後の処理において、企業スコア算出部436、リスト作成出力部437等は、特許クラスタIDに代えて、特許クラスタの名称を用いて各処理を実行してもよい。例えば、リスト作成出力部437は、判断用データが掲載されたリストを作成する処理(S42)において、判断用データに対応させて特許クラスタの名称を表示できるようにリストを作成してもよい。
また、リスト作成出力部437は、判断用データが掲載されたリストを作成する処理(S42)において、さらに特許出願人の属する業界、特許出願人の活動の拠点等の条件に合致した特許出願人のみを選択し、選択した出願人に関するリストを作成してもよい。特許出願人の活動の拠点の情報は、出資・財務DB等に記憶され、リスト作成出力部437により使用されてもよい。
また、リスト作成出力部437は、判断用データとして、特定テーマに係る市場の規模及び成長率の推計値、各出願人のEBITDA等を算出又は入手し、リストに掲載してもよい。
<第1変形例>
図18は、第1変形例に係る検索装置60の概略構成図の一例である。
検索装置60は、母集団データ作成部431に代えて母集団データ作成部631を、企業スコア算出部436に代えて企業スコア算出部636を有し、マイノリティ取得部638をさらに有することが検索装置40と相違する。母集団データ作成部631、企業スコア算出部636及びマイノリティ取得部638以外の検索装置60の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された検索装置40の構成要素の構成及び機能と同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
図19は、第1変形例に係る検索装置60の動作の一例を示すフローチャートである。
第1変形例に係る検索装置60の動作は、母集団データ作成処理S11の代わりに母集団データ作成処理S11′が実行され、企業スコア算出処理S16の代わりに企業スコア算出処理S16′が実行されることが、実施形態における検索装置40の動作と相違する。母集団データ作成処理S11′及び企業スコア算出処理S16′以外の第1変形例に係る検索装置60の動作は、同一符号が付された実施形態に係る検索装置40の動作と同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
図20は、第1変形例に係る母集団データ作成処理の一例を示すフローチャートである。
第1変形例に係る母集団データ作成処理S11′は、さらにS41~S44の処理が実行されることが、実施形態における母集団データ作成処理S11と相違する。S41~S44の処理以外の第1変形例に係る母集団データ作成処理S11′は、同一符号が付された実施形態に係る母集団データ作成処理S11と同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
最初に、母集団データ作成部631は、S21及びS22の処理を実行し、母集団テーブルを生成する。
次に、マイノリティ取得部638は、出資・財務DBから、マイノリティデータを取得する(S41)。マイノリティデータは、マイノリティ出資を行っている出資企業と、その出資企業からマイノリティ出資を受けている被出資企業とが関連付けられたデータであり、出資企業名、被出資企業名等を含むデータである。マイノリティ取得部638は、出資・財務DBに記憶された各企業のデータのうち、0%より大きく50%より小さな出資比率を含む企業のデータから、マイノリティデータを取得する。マイノリティデータの出資企業名及び被出資企業名は、それぞれ、出資・財務DBの企業名称及び出資先名称で識別される企業名である。例えば、図4(B)の出資・財務DBから取得されるマイノリティデータは、出資企業名がA社で被出資企業名がB社のデータ、及び出資企業名がC社で被出資企業名がD社のデータである。
次に、母集団データ作成部631は、マイノリティデータの被出資企業名が、母集団テーブル中の企業名称(出願人名称)と一致するか否かを判定する(S42)。被出資企業名が母集団テーブル中の企業名称と一致する場合(S42-Y)、母集団データ作成部631は、マイノリティデータから被出資企業名に対応する出資企業名を特定し、母集団テーブルにおいて出資企業名に対応する特許件数を更新する(S43)。母集団データ作成部631は、母集団テーブル中の出資企業名に対応する特許件数を、出資企業名に対応する特許件数に被出資企業名に対応する特許件数を加えた件数に更新する。被出資企業名が母集団テーブル中の企業名称と一致しない場合(S42-N)、母集団データ作成部631は、S43の処理を行わない。母集団データ作成部631は、S42及びS43の処理をマイノリティデータの被出資企業名毎に実行する。
次に、母集団データ作成部631は、母集団テーブルから企業名称が被出資企業名と一致するデータを削除する(S44)。以上により、第1変形例に係る母集団データ作成処理を終了する。
図21は、第1変形例に係る母集団テーブルの一例である。
第1変形例に係る母集団テーブルの構造は、図11に示す母集団テーブルの構造と同一である。また、第1変形例に係る母集団テーブルのデータは、B社及びD社のデータがなく、A社の特許出願件数にB社の特許出願件数が、C社の特許出願件数にD社の特許出願件数がそれぞれ加えられている点が、図11に示す母集団テーブルのデータと異なる。第1変形例に係る母集団テーブルのその他の点は、図11に示す母集団テーブルと同一である。
図22は、第1変形例に係る企業スコア算出処理の一例を示すフローチャートである。
第1変形例に係る企業スコア算出処理S16′は、さらにS41′~S43′の処理が実行されることが、実施形態における企業スコア算出処理S16と相違する。S41′~S43′の処理以外の第1変形例に係る企業スコア算出処理S16′は、同一符号が付された実施形態に係る企業スコア算出処理S16と同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
最初に、マイノリティ取得部638は、出資・財務DBから、マイノリティデータを取得する(S41′)。マイノリティ取得部638は、母集団データ作成処理S11′のマイノリティデータ取得処理(S41)と同様な処理を行ってマイノリティデータを取得する。マイノリティ取得部638は、この処理に代えて、母集団データ作成処理S11′のマイノリティデータ取得処理(S41)で取得したマイノリティデータを記憶部42に記憶し、記憶したマイノリティデータを以後の処理に使用してもよい。
次に、企業スコア算出部636は、マイノリティデータの被出資企業名が、特許クラスタテーブル中の出願人名称と一致するか否かを判定する(S42′)。被出資企業名が特許クラスタテーブル中の出願人名称と一致する場合(S42′-Y)、企業スコア算出部636は、マイノリティデータから被出資企業名に対応する出資企業名を特定し、特許クラスタテーブルにおいて、出願人名称を変更する(S43′)。企業スコア算出部636は、特許クラスタテーブル中の出願人名称を、被出資企業名から出資企業名に変更する。被出資企業名が特許クラスタテーブル中の出願人名称と一致しない場合(S42′-N)、企業スコア算出部636は、S43′の処理を行わない。企業スコア算出部636は、S42′及びS43′の処理をマイノリティデータの被出資企業名毎に実行する。
次に、企業スコア算出部636は、S32及びS33の処理を行う。以上により、企業スコア算出処理S16′の処理を終了する。
図23は、第1変形例に係る企業スコアテーブルの一例である。
第1変形例に係る企業スコアテーブルは、B社及びD社のデータがなく、A社の企業スコアにB社の特許出願が、C社の企業スコアにD社の特許出願がそれぞれ反映されている点が、図15に示す特許スコアテーブルと異なる。第1変形例に係る企業スコアテーブルのその他の点は、図15に示す企業スコアテーブルと同一である。
検索装置60は、マイノリティ出資の被出資企業が特許出願人である場合、特許出願の出願人が被出資企業に関連付けられた出資企業を示すように母集団データ及び企業スコアを作成する。この結果、企業スコア算出処理S16′において、被出資企業による特許出願は、出資企業による特許出願として処理され、出資企業の企業スコアは、被出資企業の特許出願を反映したものとなる。また、リスト作成出力処理S17において、企業買収先又は企業連携先を判断するための判断用データは、被出資企業の特許出願を出資企業に反映したものとなる。このようにして、検索装置60は、マイノリティ出資を買収とみなした場合の判断用データを、企業買収又は企業連携を検討するユーザに提供することができる。
なお、企業スコア算出部636がS41′~S43′の処理を行うことに代えて、m次元データ生成部432、特許スコア算出部433及び特許クラスタ生成部434のいずれかが、S41′~S43′と同様な処理を行い、出願人名称の変更を行ってもよい。例えば、m次元データ生成部432は、特許DBから取得した出願人名称に対してS41′~S43′と同様な処理を行うことにより、マイノリティ出資の被出資企業による特許出願を、マイノリティ出資の出資企業による特許出願としてもよい。あるいは、検索装置60は、母集団データ作成処理S11′より前に、特許DBに記憶されたデータに対して、S41′~S43′と同様な処理を行ったデータを生成してもよい。この場合、検索装置60は、生成したデータに対して第1実施形態と同様な処理を行うことにより、第1変形例と同様な結果を得ることができる。
また、リスト作成出力部437は、第1変形例に記載の処理によって生成された判断用データと、実施形態に記載の処理によって生成された判断用データの両方を、同一のリストに掲載してもよい。
<第2変形例>
図24は、第2変形例に係る検索装置70の概略構成図の一例である。
検索装置70は、母集団データ作成部431に代えて母集団データ作成部731を、企業スコア算出部436に代えて企業スコア算出部736を有し、企業リスト出力部739及び買収候補企業データ取得部740をさらに有することが検索装置40と相違する。母集団データ作成部731、企業スコア算出部736、企業リスト出力部739及び買収候補企業データ取得部740以外の検索装置70の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された検索装置40の構成要素の構成及び機能と同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
図25は、第2変形例に係る検索装置70の動作の一例を示すフローチャートである。
第2変形例に係る検索装置70の動作は、母集団データ作成処理S11の代わりに母集団データ作成処理S11′′が実行されることが、実施形態における検索装置40の動作と相違する。また、第2変形例に係る検索装置70の動作は、企業スコア算出処理S16の代わりに企業スコア算出処理S16′′が実行されることが、実施形態における検索装置40の動作と相違する。母集団データ作成処理S11′′及び企業スコア算出処理S16′′以外の第2変形例に係る検索装置70の動作は、同一符号が付された実施形態に係る検索装置40の動作と同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
図26は、第2変形例に係る母集団データ作成処理の一例を示すフローチャートである。
第2変形例に係る母集団データ作成処理S11′′は、さらにS51~S55の処理が実行されることが、実施形態における母集団データ作成処理S11と相違する。S51~S55の処理以外の第2変形例に係る母集団データ作成処理S11′′は、同一符号が付された実施形態に係る母集団データ作成処理S11と同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
最初に、母集団データ作成部731は、S21及びS22の処理を実行し、母集団データを作成する。
次に、企業リスト出力部739は、企業買収候補となる企業リストを母集団データから取得し、取得した企業リストを、通信部41を介して端末10に出力する(S51)。企業リスト出力部739は、企業リストを母集団テーブルの企業名称欄に記憶された出願人名称から取得する。企業リスト出力部739は、取得した企業リストに同一の企業名が重複して記載されている場合、同一の企業名を一つのみにする処理を実行する。
次に、買収候補企業データ取得部740は、端末10から、企業リストから選択された買収企業及び被買収企業を示す買収候補データを取得する(S52)。買収候補データは、買収を検討している買収企業と、その買収企業が買収対象として検討している被買収企業とが関連付けられたデータであり、買収企業名、被買収企業名等を含むデータである。買収候補企業データ取得部740は、取得した買収候補データを記憶部42に記憶する。
次に、母集団データ作成部731は、買収候補データの被買収企業名が、母集団テーブル中の企業名称(出願人名称)と一致するか否かを判定する(S53)。被買収企業名が母集団テーブル中の企業名称と一致する場合(S53-Y)、母集団データ作成部731は、買収候補データから被買収企業名に対応する買収企業名を特定し、母集団テーブルにおいて買収企業名に対応する特許件数及び財務データを更新する(S54)。母集団データ作成部731は、母集団テーブル中の買収企業名に対応する特許件数を、買収企業名に対応する特許件数に被買収企業名に対応する特許件数を加えた件数に更新する。また、母集団データ作成部731は、各財務データについて、母集団テーブル中の買収企業名に対応する財務データを、買収企業名に対応する財務データに被買収企業名に対応する財務データを加えた件数に更新する。被買収企業名が母集団テーブル中の企業名称と一致しない場合(S53-N)、母集団データ作成部731は、S54の処理を行わない。母集団データ作成部731は、S53及びS54の処理を買収候補データの被買収企業名毎に実行する。
次に、母集団データ作成部731は、母集団テーブルから企業名称が被買収企業名と一致するデータを削除する(S55)。以上により、第2変形例に係る母集団データ作成処理を終了する。
第2変形例に係る母集団テーブルの構造は、図21に示す母集団テーブルの構造と同様である。また、第1実施形態と同様なデータを使用し、A社がB社を買収し、C社がD社を買収したことを示す買収候補データが取得された場合、第2変形例に係る母集団テーブルのデータは、図21に示す母集団テーブルのデータと同様である。
図27は、第2変形例に係る企業スコア算出処理の一例を示すフローチャートである。
第2変形例に係る企業スコア算出処理S16′′は、さらにS52′~S54′の処理が実行されることが、実施形態における企業スコア算出処理S16と相違する。S52′~S54′の処理以外の第2変形例に係る企業スコア算出処理S16′′は、同一符号が付された実施形態に係る企業スコア算出処理S16と同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
最初に、買収候補企業データ取得部740は、母集団データ作成処理S11′′の買収候補データ取得処理(S52)で取得した買収候補データを、記憶部42から取得する(S52′)。
次に、企業スコア算出部736は、買収候補データの被買収企業名が、特許クラスタテーブル中の出願人名称と一致するか否かを判定する(S53′)。被買収企業名が特許クラスタテーブル中の出願人名称と一致する場合(S53′-Y)、企業スコア算出部736は、買収候補データから被買収企業名に対応する買収企業名を特定し、特許クラスタテーブルにおいて、出願人名称を変更する(S54′)。企業スコア算出部736は、特許クラスタテーブル中の出願人名称を、被買収企業名から買収企業名に変更する。被買収企業名が特許クラスタテーブル中の出願人名称と一致しない場合(S53′-N)、企業スコア算出部736は、S54′の処理を行わない。企業スコア算出部736は、S53′及びS54′の処理を買収候補データの被買収企業名毎に実行する。
次に、企業スコア算出部736は、S32及びS33の処理を行う。以上により、企業スコア算出処理S16′′の処理を終了する。
第2変形例に係る企業スコアテーブルの構造は、図23に示す企業スコアテーブルの構造と同様である。また、第1実施形態と同様なデータを使用し、A社がB社を買収し、C社がD社を買収したことを示す買収候補データが取得された場合、第2変形例に係る企業スコアテーブルのデータは、図23に示す企業スコアテーブルのデータと同様である。
検索装置70は、被買収企業が特許出願人である場合、特許出願の出願人が被買収企業に関連付けられた買収企業を示すように母集団データを作成する。この結果、企業スコア算出処理S16′′において、被買収企業による特許出願は、買収企業による特許出願として処理され、買収企業の企業スコアは、被買収企業の特許出願を反映したものとなる。また、リスト作成出力処理S17において、企業買収先又は企業連携先を判断するための判断用データは、被買収企業の特許出願を買収企業に反映したものとなる。このようにして、検索装置70は、買収企業が被買収企業を買収した場合の判断用データを、企業買収又は企業連携を検討するユーザに提供することができる。
<第3変形例>
図28は、第3変形例に係る検索装置80の概略構成図の一例である。
検索装置80は、リスト作成出力部437に代えてリスト作成出力部837を有し、さらにS投資データ生成部841を有することが検索装置40と相違する。リスト作成出力部837及びS投資データ生成部841以外の検索装置80の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された検索装置40の構成要素の構成及び機能と同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
図29は、第3変形例に係る検索装置80の動作の一例を示すフローチャートである。
第3変形例に係る検索装置80の動作は、リスト作成出力処理S17の代わりにリスト作成出力処理S17′が実行され、S投資データ生成処理S16-1がさらに実行されることが、実施形態における検索装置40の動作と相違する。リスト作成出力処理S17′及びS投資データ生成処理S16-1以外の第3変形例に係る検索装置80の動作は、同一符号が付された実施形態に係る検索装置40の動作と同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
図30は、第3変形例に係るS投資データ生成処理の一例を示すフローチャートである。
最初に、S投資データ生成部841は、各特許クラスタに関連付けられた特徴データを特許クラスタ情報テーブルから取得する(S61)。
次に、S投資データ生成部841は、各特許クラスタに対応するスタートアップ企業名を取得する(S62)。S投資データ生成部841は、特徴データを使用して企業買収又は企業連携先検索システム1の外部のデータベースを検索する。外部のデータベースは、スタートアップ企業の名称、資金調達額及びスタートアップ企業に関連した記事等を記憶するデータベースであり、一例は、TechHarbor(登録商標)が提供するデータベースである。スタートアップ企業の名称、資金調達額及び記事を含むデータを、スタートアップデータと称することがある。S投資データ生成部841は、検索により抽出されたスタートアップデータを外部のデータベースから取得してスタートアップテーブルを生成し、記憶部42に記憶する。S投資データ生成部841は、生成したスタートアップテーブルを通信部41を介して端末10に出力する。
図31は、第3変形例に係るスタートアップテーブルのデータ構造図の一例である。
スタートアップテーブルには、スタートアップ企業と関連付けられた特許クラスタID、スタートアップ企業の企業名称、当該スタートアップ企業による年度毎の資金調達額、当該企業に関する記事等が互いに関連付けられて記憶される。特許クラスタIDの値は、後述する処理において入力される。
次に、S投資データ生成部841は、スタートアップ企業への投資状況を示すスタートアップ投資データを特許クラスタ毎に生成する(S63)。端末10のユーザは、特許クラスタ情報生成部435が端末10に出力した特許クラスタ情報テーブル等を参照して、端末10に出力されたスタートアップテーブルに特許クラスタIDを入力する。端末10は、特許クラスタIDが入力されたスタートアップテーブルを検索装置80に出力する。S投資データ生成部841は、通信部41を介してスタートアップテーブルを受信し、受信したスタートアップテーブルに記憶されたデータを用いて記憶部42に記憶されているスタートアップテーブルを更新する。S投資データ生成部841は、各スタートアップ企業名に対応する資金調達額をスタートアップテーブルから取得し、資金調達額を特許クラスタ毎かつ会計年度毎に合計した額を含むスタートアップ投資データを生成する。以上により、第3変形例に係る投資データ生成処理を終了する。
図32は、第3変形例に係るリスト作成出力処理の一例を示すフローチャートである。
第3変形例に係るリスト作成出力処理17′は、判断用データ生成処理S41の代わりに判断用データ生成処理S41′が実行されることが、実施形態におけるリスト作成出力処理17と相違する。判断用データ生成処理S41′以外の第3変形例に係るリスト作成出力処理17′は、同一符号が付された実施形態に係るリスト生成出力処理S17と同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
最初に、リスト作成出力部837は、特定テーマにおいて企業買収先又は企業連携先を判断するための判断用データを生成する(S41′)。判断用データは、前述した(1)~(7)の指標の他、後述する(6′′)の指標を含む。各指標の分子の値は、特許クラスタ毎かつ年毎の値であり、分母の値は、年毎に算出される値である。各指標は、特許クラスタ毎かつ年毎に算出される。
(6′′)第3市場魅力度
第3市場魅力度=各特許クラスタのスタートアップ年間投資額、全スタートアップ年間投資額、又は各特許クラスタのスタートアップ年間投資額/全スタートアップ年間投資額
第3市場魅力度は、各特許クラスタの魅力度を示し、値が大きいほど魅力的であることを示す。各特許クラスタのスタートアップ年間投資額は、S投資データ生成処理S16-1により算出された、特許クラスタ毎の資金調達額である。全スタートアップ年間投資額は、S投資データ生成処理S16-1により算出された資金調達額の合計額である。リスト作成出力部837は、スタートアップ投資データに基づいて、第3市場魅力度の値を算出する。
次に、リスト作成出力部837は、S42及びS43の処理を実行して、第3市場魅力度の値を含むリストを、通信部41を介して端末10に出力する(S43)。以上により、第3変形例に係るリスト作成出力処理を終了する。
スタートアップ企業は、特許を出願していないことも多いため、企業買収又は企業連携を検討するユーザにとって特許出願以外のデータも有用である。検索装置80は、出力する判断用データにスタートアップ投資データを反映させることにより、より適切な判断用データを企業買収又は企業連携を検討するユーザに提供することができる。
なお、リスト作成出力部837は、第3変形例に係る第3市場魅力度と共に、第1実施形態に係る第1市場魅力度及び第2市場魅力度の値を算出し、リストの作成に用いてもよい。
<第2実施形態>
図33は、第2実施形態に係る検索装置における処理回路の概略構成を示すブロック図である。
処理回路93は、検索装置40の処理部43の代わりに用いられ、処理部43の代わりに、母集団データ作成処理、m次元データ生成処理、特許スコア算出処理、特許クラスタ生成処理、企業スコア算出処理及びリスト作成出力処理を実行する。処理回路93は、母集団データ作成回路931、m次元データ生成回路932、特許スコア算出回路933、特許クラスタ生成回路934、特許クラスタ情報生成回路935、企業スコア算出回路936及びリスト作成出力回路937等を有する。なお、処理回路93として、LSI、DSP、ASIC又はFPGA等が用いられてよい。
母集団データ作成回路931は、母集団データ作成部の一例であり、母集団データ作成部431と同様の機能を有する。母集団データ作成回路931は、端末10から通信部41を介して受信した指示に基づいて、特許DB、出資・財務DB等に記憶されたデータから、特許出願人を示す企業名称データを含む母集団テーブルを生成する。
m次元データ生成回路932は、m次元データ生成部の一例であり、m次元データ生成部432と同様の機能を有する。m次元データ生成回路932は、特許DBに記憶されたデータから、各特許出願に特定のIPCデータが付与されているか否かを示すm次元のデータを含むIPCテーブルを生成する。
特許スコア算出回路933は、特許スコア算出部の一例であり、特許スコア算出部433と同様の機能を有する。特許スコア算出回路933は、IPCテーブルに記憶されたm次元のデータを主成分分析した結果に基づいて、各特許出願の特許スコアを算出する。特許スコア算出回路933は、算出した特許スコアを含む特許スコアテーブルを生成する。
特許クラスタ生成回路934は、特許クラスタ生成部の一例であり、特許クラスタ生成部434と同様の機能を有する。特許クラスタ生成回路934は、各特許出願の特許スコアを利用して特許出願を分類し、特許出願を含む特許クラスタを複数個生成する。特許クラスタ生成回路934は、生成した特許クラスタに関するデータを含む特許クラスタテーブルを生成する。
特許クラスタ情報生成回路935は、特許クラスタ情報生成部の一例であり、特許クラスタ情報生成部435と同様の機能を有する。特許クラスタ情報生成回路935は、特許クラスタに含まれるIPC分類、特徴データ等に基づいて、特許クラスタテーブルを生成する。
企業スコア算出回路936は、企業スコア算出部の一例であり、企業スコア算出部436と同様の機能を有する。企業スコア算出回路936は、特許クラスタテーブルと母集団データとに基づいて、企業スコア算出処理を実行し、算出した企業スコアを含む企業スコアテーブルを生成する。
リスト作成出力回路937は、リスト作成出力部の一例であり、リスト作成出力部437と同様の機能を有する。リスト作成出力回路937は、企業買収先又は企業連携先を判断するための判断用データを掲載したリストを作成し、通信部41を介して端末10に出力する。
以上詳述したように、検索装置は、処理回路93を用いる場合も、特許データを元にして潜在的な買収先又は提携先のリストを作成することが可能である。
当業者は、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。