JP7308084B2 - 多自由度鉗子 - Google Patents

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本発明は、操作部、後端側リンク部、シャフト、先端側リンク部、及び作動部を直列に連結して複数のワイヤで規制され、シャフトに対して後端側リンク部を介して操作部を回動させることにより、シャフトに対して先端側リンク部を介して作動部が回動して首振り動作を行う多自由度鉗子に関する。
多自由度鉗子は、患者の肉体的負担が少ない低侵襲手術の1つである鏡視下手術で使用される専用の医療用器具である。多自由度鉗子では、外科手術を実行する作動部が先端側リンク部を介してシャフトの一端に連結され、作動部を遠隔操作する操作部が後端側リンク部を介してシャフトの他端に連結されている。操作者は、患者の体内に挿入された高精細カメラが撮影したビデオ画像の観察下、患者の体外で操作部を操作して、患者の体内に挿入された作動部を遠隔操作することにより、体内組織を挟む、切る、移動させる、加熱する、照明及び撮影する等、多自由度鉗子の用途に応じた動作を実行させる。
特許文献1に記載された多自由度鉗子は、操作部、後端側リンク部、シャフト、先端側リンク部、及び作動部を直列に連結して複数のワイヤで規制し、シャフトに対して後端側リンク部を介して操作部を回動させることにより、シャフトに対して先端側リンク部を介して作動部が回動して首振り動作を行う。
特許文献2に記載された関節機構は、後端側リンク部、シャフト、及び先端側リンク部を直列に連結して複数のワイヤで規制し、シャフトに対して後端側リンク部を円弧状に湾曲させることにより、シャフトに対して先端側リンク部が円弧状に湾曲するものである。
米国特許第8105350号公報 特表2007-502198号公報
特許文献1に記載された多自由度鉗子は、シャフトに対する後端側リンク部を介した操作部の回動の多自由度に起因して操作部の誤操作が発生する可能性がある。例えば、1人の患者に対して複数の多自由度鉗子を同時に用いる外科手術において、複数の多自由度鉗子の複数の操作部が近接した位置に設置されている場合がある。このような場合、操作者が1個の操作部を回動させた際に、その操作部や手指が別の多自由度鉗子の操作部に誤って接触してしまい、別の多自由度鉗子の作動部が患者の体内で意図しない動作をする可能性がある。
特許文献2に記載された関節機構は、先端側リンク部と後端側リンク部とが同一のリンク部材を用いて構成されているため、操作部の回動範囲を十分に規制することができない。したがって、特許文献2の関節機構に操作部と作動部を連結して特許文献1のような多自由度鉗子を構成した場合、操作者が操作部を回動させた際に、その操作部や手指が近接した別の多自由度鉗子の操作部に誤って接触する可能性がある。
また、特許文献1に記載された多自由度鉗子では、後端側リンク部の直径を先端側リンク部の直径よりも大きくすることで、シャフトに対して作動部を所定角度回動させる際にシャフトに対して操作部を回動させる角度を抑制している。しかし、後端側リンク部の直径を大きくすると、他の多自由度鉗子の設置を妨げたり、後端側リンク部が隣接する別の多自由度鉗子の操作部に誤って接触したりする可能性が出てくる。
本発明は、後端側リンク部の直径を大きくしなくても、シャフトに対する後端側リンク部材を介した操作部の回動領域を規制して、複数の多自由度鉗子を使用する外科手術において操作部の誤操作が発生し難くなる多自由度鉗子を提供することを目的としている。
本発明は、上記の課題を解決する発明であって下記の通りである。
[1]先端側が患者の体内に挿入されるシャフトと、前記シャフトの先端側に連結され、複数のワイヤ経路が放射状に配置された先端側リンク部材をボールジョイント又はローラジョイントで直列に連結してなる先端側リンク部と、前記シャフトの後端側に連結され、複数のワイヤ経路が放射状に配置された後端側リンク部材をボールジョイント又はローラジョイントで直列に連結してなる後端側リンク部と、前記先端側リンク部材のワイヤ経路と前記シャフトと前記後端側リンク部材のワイヤ経路とを貫通して、前記先端側リンク部の先端側と前記後端側リンク部の後端側とに両端を固定した複数のワイヤと、前記先端側リンク部を介して前記シャフトに連結され、患者の体内で所定の機能を実行する作動部と、前記後端側リンク部を介して前記シャフトに連結され、患者の体外で操作されて前記作動部を遠隔操作する操作部と、を有し、連結されて対向する前記先端側リンク部材の対向面に形成された、中心から外周に向かって後退する傾斜面の後退角度は、連結されて対向する前記後端側リンク部材の対向面に形成された、中心から外周に向かって後退する傾斜面の後退角度よりも小さい、多自由度鉗子である。
[2]前記先端側リンク部において前記先端側リンク部材が直列に連結された個数が、前記後端側リンク部において前記後端側リンク部材が直列に連結された個数よりも多い、[1]に記載の多自由度鉗子である。
[3]前記シャフトの中心軸線を挟む一対のワイヤを前記シャフトに対してロックして前記シャフトに対する前記操作部の二軸回動を一軸回動に切替え可能であると共に、当該一対のワイヤの間に位置する別の一対のワイヤをさらに前記シャフトに対してロックして、前記シャフトに対する前記操作部の回動を固定可能である自由度切替装置を有する、[1]に記載の多自由度鉗子である。
[4]前記自由度切替装置は、前記シャフトに固定された前記後端側リンク部材に設けられ、当該後端側リンク部材のワイヤ経路にワイヤをロックする、[3]に記載の多自由度鉗子である。
[5]前記自由度切替装置は、前記シャフトに固定された前記後端側リンク部材のワイヤ経路のワイヤを外側から押圧して当該ワイヤ経路に圧接させる押圧部と、当該押圧部が当該ワイヤ経路のワイヤを押圧した状態を保持する保持機構と、を有する、[3]に記載の多自由度鉗子である。
[6]前記保持機構は、前記シャフトに固定された前記後端側リンク部材に外挿され、複数のワイヤ経路のワイヤを1回の手動操作でロックして前記操作部の二軸回動と一軸回動と回動の固定とを切替え可能な外挿部材を有する、[5]に記載の多自由度鉗子である。
[7]先端側が患者の体内に挿入されるシャフトと、前記シャフトの先端側に連結され、複数のワイヤ経路が放射状に配置された先端側リンク部材をボールジョイント又はローラジョイントで直列に連結してなる先端側リンク部と、前記シャフトの後端側に連結され、複数のワイヤ経路が放射状に配置された後端側リンク部材をボールジョイント又はローラジョイントで直列に連結してなる後端側リンク部と、前記先端側リンク部材のワイヤ経路と前記シャフトと前記後端側リンク部材のワイヤ経路とを貫通して、前記先端側リンク部の先端側と前記後端側リンク部の後端側とに両端を固定した複数のワイヤと、前記先端側リンク部を介して前記シャフトに連結され、患者の体内で所定の機能を実行する作動部と、前記後端側リンク部を介して前記シャフトに連結され、患者の体外で操作されて前記作動部を遠隔操作する操作部と、を有し、前記シャフトの中心軸線を挟む一対のワイヤを前記シャフトに対してロックして前記シャフトに対する前記操作部の二軸回動を一軸回動に切替え可能であると共に、当該一対のワイヤの間に位置する別の一対のワイヤをさらに前記シャフトに対してロックして、前記シャフトに対する前記操作部の回動を固定可能である自由度切替装置を有する、多自由度鉗子である。
[8]前記自由度切替装置は、前記シャフトに固定された前記後端側リンク部材に設けられ、当該後端側リンク部材のワイヤ経路にワイヤをロックする、[7]に記載の多自由度鉗子である。
[9]前記自由度切替装置は、前記シャフトに固定された前記後端側リンク部材のワイヤ経路のワイヤを外側から押圧して当該ワイヤ経路に圧接させる押圧部と、当該押圧部が当該ワイヤ経路のワイヤを押圧した状態を保持する保持機構と、を有する、[7]に記載の多自由度鉗子である。
[10]前記保持機構は、前記シャフトに固定された前記後端側リンク部材に外挿され、複数のワイヤ経路のワイヤを1回の手動操作でロックして前記操作部の二軸回動と一軸回動と回動の固定とを切替え可能な外挿部材を有する、[9]に記載の多自由度鉗子である。
本発明の多自由度鉗子によれば、後端側リンク部材の直径を大きくしなくても、シャフトに対する後端側リンク部材を介した操作部の回動領域を規制して、複数の多自由度鉗子を操作する際に操作部の誤操作が発生し難くなる。
具体的には、[1]の多自由度鉗子では、ボールジョイント又はローラジョイントで連結された先端側リンク部材の対向する傾斜面の後退角度をボールジョイント又はローラジョイントで連結された後端側リンク部材の対向する傾斜面の後退角度よりも小さくする。これにより、先端側リンク部を所定角度回動させる際に必要な後端側リンク部の回動角度が小さくなって、作動部を所定角度回動させるために必要な操作部の回動角度が小さくなる。したがって、操作部の回動範囲を抑制して、他の多自由度鉗子の操作部に接触することを回避できる。
[2]の多自由度鉗子では、ボールジョイント又はローラジョイントで連結された後端側リンク部材の対向する傾斜面の間隔を有効に活用できる。[1]では後端側リンク部材の対向する傾斜面の間隔は、先端側リンク部材の対向する傾斜面の間隔よりも、大きくなってリンク部材間のより大きな回動を許容できる。このため、後端側リンク部材の連結個数を減らしても、先端側リンク部全体の回動の妨げとなり難い。後端側リンク部材を減らすことで、後端側リンク部全体の剛性が高まる。また、後端側リンク部材の1個当たりの回動量が大きくなって、作動部を所定角度回動させるために必要な操作部の回動角度をさらに小さくすることができる。
[3]の多自由度鉗子では、自由度切替装置を操作して、操作部の後端側リンク部材を介した二軸回動を、必要に応じて一軸回動に切り替えることにより、操作部の回動範囲を規制して近接する別の多自由度鉗子の操作部への干渉を抑制できる。また、必要に応じて自由度切替装置を操作して、操作部の後端側リンク部材を介した一軸回動を回動の固定に切り替えることにより、操作部の回動範囲をさらに規制して別の多自由度鉗子の操作部への干渉をさらに抑制できる。
[4]の多自由度鉗子では、複数の後端側リンク部材のうちで先端側に位置する後端側リンク部材がシャフトに固定され、当該後端側リンク部材に自由度切替装置を設けている。このため、シャフトそのものには自由度切替装置を設ける必要がなく、複雑な構造の自由度切替装置でも容易にシャフトに取り付けることができる。
[5]の多自由度鉗子では、押圧部を外側から押圧してワイヤ経路にワイヤをロックした状態を保持部が保持するという具体的で簡単な機構構造によって自由度切替装置を実現できる。
[6]の多自由度鉗子では、外挿部材を操作して、操作部の二軸回動と一軸回動と回動の固定とを容易かつ間違えることなく切替え可能である。
[7]の多自由度鉗子では、自由度切替装置を操作して、操作部の後端側リンク部材を介した二軸回動を、必要に応じて一軸回動に切り替えることにより、操作部の回動範囲を規制して近接する別の多自由度鉗子の操作部への干渉を抑制できる。また、必要に応じて自由度切替装置を操作して、操作部の後端側リンク部材を介した一軸回動を回動の固定に切り替えることにより、操作部の回動範囲をさらに規制して別の多自由度鉗子の操作部への干渉をさらに抑制できる。
[8]の多自由度鉗子では、複数の後端側リンク部材のうちで先端側に位置する後端側リンク部材がシャフトに固定され、当該後端側リンク部材に自由度切替装置を設けている。このため、シャフトそのものには自由度切替装置を設ける必要がなく、複雑な構造の自由度切替装置でも容易にシャフトに取り付けることができる。
[9]の多自由度鉗子では、押圧部を外側から押圧してワイヤ経路にワイヤをロックした状態を保持部が保持するという具体的で簡単な機構構造によって自由度切替装置を実現できる。
[10]の多自由度鉗子では、外挿部材を操作して、操作部の二軸回動と一軸回動と回動の固定とを容易かつ間違えることなく切替え可能である。
本発明の実施の形態の一例に係る実施の形態1の多自由度鉗子の全体の外観構造を示す斜視図である。 実施の形態1の多自由度鉗子に組み込まれた開閉機構を模式的に図示した開閉機構の説明図である。 実施の形態1の多自由度鉗子に組み込まれた首振り機構における操作部の操作と作動部の動作の説明図である。(a)は作動部を直線状に位置決めた状態、(b)は作動部を90度曲げた状態である。 多自由度鉗子の分解斜視図である。(a)は多自由度鉗子全体、(b)は多自由度鉗子のシャフトよりも先端側の部分、(c)はシャフトよりも後端側の部分である。 多自由度鉗子の先端側リンク部を拡大して図示した首振り機構の構成の説明図である。(a)は側面図、(b)は側断面図である。 先端側リンク部材の構成の説明図である。(a)は先端側から見た斜視図、(b)は後端側から見た斜視図、(c)は側断面図で見た後退角度の説明図である。 多自由度鉗子の後端側リンク部を拡大して図示した首振り機構の構成の説明図である。(a)は側面図、(b)は側断面図である。 後端側リンク部材の構成の説明図である。(a)は先端側から見た斜視図、(b)は後端側から見た斜視図、(c)は側断面図で見た後退角度の説明図である。 先端側リンク部材及び後端側リンク部材の傾斜面の後退角度と後端側リンク部材の傾き角度の関係の説明図である。(a)は先端側リンク部の模式図、(b)は後端側リンク部の模式図、(c)は後端側リンク部材の傾き角度の模式図である。 先端側リンク部材及び後端側リンク部材の傾斜面の後退角度と後端側リンク部材の傾き角度の関係を示す数式の説明図である。(a)は一般的なリンク部の模式図、(b)は数式で用いるパラメータの曲線である。 後端側リンク部材の後退角度を先端側リンク部材の後退角度よりも大きくした効果の説明図である。 実施の形態1の多自由度鉗子における自由度切替装置のシャフトに固定された後端側リンク部材であるシャフト固定部の軸垂直断面で見たスイッチ部材の配置の説明図である。 実施の形態1の多自由度鉗子における自由度切替装置の構成の説明図である。(a)はスイッチ部材を背面側から見た斜視図、(b)はスイッチ部材を中心軸線側から見た斜視図、(c)は自由度切替装置に対するスイッチ部材の取付方法の説明図である。 実施の形態1の多自由度鉗子における自由度切替装置の動作の説明図である。(a)はスイッチ部材がワイヤをロックしていない状態の側断面図、(b)はスイッチ部材がワイヤをロックしている状態の側断面図である。 ローラジョイントを用いて先端側リンク部材を連結した先端側リンク部の構成の説明図である。(a)は側面図、(b)は側断面図である。 先端側リンク部材の構成の説明図である。(a)は先端側から見た斜視図、(b)は後端側から見た斜視図、(c)は側断面図、(d)は側面図で見た後退角度の説明図である。 実施の形態2の多自由度鉗子における自由度切替装置の構成の説明図である。(a)は後端側リンク部の側面図、(b)はシャフトに固定される後端側リンク部材に装備された自由度切替装置の側断面図である。 実施の形態2の多自由度鉗子における自由度切替装置の構成の説明図である。(a)は自由度切替装置の正面図、(b)は自由度切替装置の軸垂直断面図である。 実施の形態2の多自由度鉗子における自由度切替装置の動作の説明図である。(a)は二軸回動、(b)は一軸回動、(c)は回動の固定である。
以下、添付した図面を参照して、本発明の多自由度鉗子の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1に示すように、鏡視下手術に使用される多自由度鉗子1は、シャフト4の先端側に患者の体内へ挿入される作動部(エンドエフェクタ)2が設けられ、シャフト4の後端側に操作者が手動操作する操作部6が設けられている。鏡視下手術では、操作者(術者)は、高解像度カメラを搭載した内視鏡カメラと複数の多自由度鉗子を患者の体内に挿入し、撮影した体内画像を手術室内のモニタ画面に表示させつつ、複数の多自由度鉗子1を患者の体外から遠隔操作して作動部2による外科手術を実行する。
操作者は、多自由度鉗子1の作動部2を患者の体内に挿入して作動部2を手術位置へ届かせた状態で、患者の体外で操作部6を手動操作して作動部2を自在に作動させる。操作部6には、操作者が親指と人差し指を挿入して操作する指掛け6b、6cが設けられている。作動部2には、患者の体内で開閉及び首振り回動して手術を行う第1鉗子片2b及び第2鉗子片2cが設けられている。
図2は図1に記載された多自由度鉗子1の操作/作動に係る構成を抽象化して取り出し、模式的に図示している。
図2に示すように、多自由度鉗子1の開閉機構7は、作動部2と操作部6との間に架け渡したワイヤーケーブル7e、7fを用いて、作動部2の第1及び第2鉗子片2b、2cの相対的な回動と操作部6の指掛け6b、6cの相対的な回動とを連動させている。開閉機構7は、指掛け6b、6cに手指を挿入して開閉操作することにより、第1鉗子片2bと第2鉗子片2cの開閉動作を行う。操作者が指掛け6b、6cを開くように操作すると、開閉機構7を介して第1及び第2鉗子片2b、2cが開くように動作する。そして、操作者が指掛け6b、6cを閉じるように操作すると、開閉機構7を介して第1及び第2鉗子片2b、2cが閉じるように動作する。
作動部2の回転軸2aには先端側プーリ7a、7bが回転自在に支持される。先端側プーリ7aには第1鉗子片2bが固定され、先端側プーリ7bには第2鉗子片2cが固定されている。また、操作部6の回転軸6aには後端側プーリ7c、7dが回転自在に支持される。後端側プーリ7cには指掛け6bが固定され、後端側プーリ7dには指掛け6cが固定されている。
先端側プーリ7aと後端側プーリ7cとの間にはワイヤーケーブル7eが張架されている。ワイヤーケーブル7eを介して先端側プーリ7aと後端側プーリ7cは連動して、同一方向に回転する。また、先端側プーリ7bと後端側プーリ7dとの間にはワイヤーケーブル7fが張架されている。ワイヤーケーブル7fを介して先端側プーリ7bと後端側プーリ7dは連動して、同一方向に回転する。ワイヤーケーブル7e、7fは、図1に示す先端側リンク部3、シャフト4、及び後端側リンク部5の中心軸線を貫通する空間に収容されている。
なお、本発明は、開閉機構に関するものではないため、開閉機構及び多自由度鉗子の作動部(エンドエフェクタ)は任意に選択して変更可能である。また、開閉機構は、ワイヤーケーブルを使用するものである必要は無く、例えば、特許文献1に示されるように可撓性のロッドを用いたものを採用してもよい。また、本発明は、作動部に関するものでもないため、作動部は、機械的な動作を行うものである必要はなく、例えば特許文献2に示されるように、照明装置や撮像装置であってもよい。
本発明は、首振り機構8に関するものであるため、図面の複雑化を回避するために、図3以下では、開閉機構7、作動部2、操作部6に関する図示を意図的に簡略化もしくは省略している。そして、以下の説明では、開閉機構7、作動部2、操作部6に関する構造及び動作の説明を省略している。
(首振り機構)
多自由度鉗子1は、先端側リンク部3、シャフト4、及び後端側リンク部5を介して、作動部2と操作部6の傾き姿勢を連動させる首振り機構8を有する。首振り機構8は、シャフト4の先端側に可撓性のある先端側リンク部3を介して作動部2を連結し、シャフト4の後端側に可撓性のある後端側リンク部5を介して操作部6を連結している。首振り機構8は、先端側リンク部3、シャフト4、及び後端側リンク部5を貫通させたワイヤ8a、8b、8c、8dの両端がそれぞれ先端側リンク部3の先端側と後端側リンク部5の後端側とに固定されている。首振り機構8は、ワイヤ8a、8b、8c、8dを用いて、先端側リンク部3の湾曲状態と後端側リンク部5の湾曲状態とを連動させる。これにより、図3(a)、(b)に示すように、手動操作された操作部6の傾きに応じて、作動部2の第1及び第2鉗子片2b、2cを一体に首振り回動させる。
図3(a)に示すように、操作部6が斜め下向きに回動した状態では、先端側リンク部3及び後端側リンク部5はいずれも直線状である。図3(b)に示すように、(a)から操作部6をほぼ水平まで回動した状態では、先端側リンク部3は90度湾曲して作動部2が90度下向きに回動している。しかし、後端側リンク部5の湾曲はほぼ45度に抑制され、操作部6の回動角度は作動部2の回動の半分程度に抑制されている。このため、後述するように、作動部2を所定角度回動させるために必要な操作部6の回動角度を小さくして、同時に用いられる他の多自由度鉗子の操作部に手指や操作部6が接触することを回避できる。
図4~図8に示すように、シャフト4は、先端側が患者の体内に挿入される。先端側リンク部3は、シャフト4の先端側に連結され、複数のワイヤ経路4a、4b、4c、4dが放射状に配置された複数の先端側リンク部材3a、3b、3b、3cをボールジョイントBで直列に連結してなる。後端側リンク部5は、シャフト4の後端側に連結され、複数のワイヤ経路4a、4b、4c、4dが放射状に配置された複数の後端側リンク部材5a、5b、5cをボールジョイントBで直列に連結してなる。複数のワイヤ8a、8b、8c、8dは、先端側リンク部材3a、3b、3b、3cのワイヤ経路4a、4b、4c、4dとシャフト4と後端側リンク部材5a、5b、5cのワイヤ経路4a、4b、4c、4dとを貫通して、先端側リンク部3の先端側と後端側リンク部5の後端側とに両端を固定されている。作動部2は、先端側リンク部3を介してシャフト4に連結され、患者の体内で所定の機能を実行する。操作部6は、後端側リンク部5を介してシャフト4に連結され、患者の体外で操作されて作動部2を遠隔操作する。そして、連結されて対向する先端側リンク部材3a、3b、3b、3cの対向面に形成されたところの中心から外周に向かって後退する傾斜面3m、3nの後退角度αは、連結されて対向する後端側リンク部材5a、5b、5cの対向面に形成されたところの中心から外周に向かって後退する傾斜面5m、5nの後退角度βよりも小さい。
図4(a)に示すように、多自由度鉗子1は、作動部2、先端側リンク部3、シャフト4、後端側リンク部5、及び操作部6を4本のワイヤ8a、8b、8c、8dで連結して、シャフト4に対する操作部6の回動と、シャフト4に対する作動部2の回動とを連動させている。
シャフト4は、ステンレスパイプ材料で形成されている。図4(b)に示すように、シャフト4の先端側端部には、シャフト固定部材としての先端側リンク部材3cが固定され、図4(c)に示すように、シャフト4の後端側端部には、シャフト固定部材としての後端側リンク部材5cが固定されている。多自由度鉗子1は、シャフト固定部材を介してシャフト4の両端に先端側リンク部3と後端側リンク部5を連結するので、円管材料を使用して安価にシャフトを製造できる。両端のシャフト固定部材にワイヤ経路4a、4b、4c、4dを設けることで、円管材料のシャフトにはワイヤ経路となる構造を設ける必要がなくなるからである。
図4(b)に示すように、作動部2は、本体2hの軸受孔2f、2gに回転軸2aを圧入している。作動部2に固定された回転軸2aは、第1鉗子片2bの軸受孔2d及び第2鉗子片2cの軸受孔2eに挿入されて第1鉗子片2b及び第2鉗子片2cを回転自在に支持している。図4(c)に示すように、操作部6の本体6hに回転軸6aが固定されている。本体6hに固定された回転軸6aは、指掛け6bの軸受孔6d及び指掛け6cの軸受孔6eに挿入されて、指掛け6b、6cを回転自在に支持している。
図4、図5、(図12:参考)に示すように、先端側リンク部3は、作動部2に固定された作動部固定部材としての先端側リンク部材3a、中継回動部材としての先端側リンク部材3b、3b、及びシャフト4に固定されたシャフト固定部材としての先端側リンク部材3cを、ボールジョイントBで直列に連結している。
先端側リンク部材3a、3b、3b、3cには、軸垂直断面において放射状に配置されたワイヤ8a、8b、8c、8dに対応させて、それぞれ軸垂直断面において放射状に配置されたワイヤ経路4a、4b、4c、4dが形成されている。先端側リンク部3において、先端側リンク部材3a、2個の先端側リンク部材3b、3b、及び先端側リンク部材3cは、相互間のボールジョイントBと共通の4本のワイヤ8a、8b、8c、8dとを用いて直列に連結されている。ボールジョイントBは、回転中心3kを有する球状の凸部3iを、回転中心3kを有する球面状の凹部3jに保持させて、回動自在な関節構造を形成している。
図5(b)に示すように、4本のワイヤ8a、8b、(8c、8d:図示略)の先端側の終端は、先端側リンク部3の先端側に位置する先端側リンク部材3aに固定している。ワイヤ8a、8b、8c、8dの終端は、先端側リンク部材3aのワイヤ経路4a、4b、4c、4dの出口で抜け止め処理することにより、先端側リンク部材3aに固定されている。なお、抜け止め処理の方法は、かしめ、溶接、蝋付け、金属リング装着等、任意に選択可能である。
先端側リンク部材3a、3b、3b、3cは、それぞれボールジョイントBの回転中心3kから外周に向かって後退する傾斜面3m、3nを対向させて、回転中心3kの周りで回動可能となるように直列に連結されている。図6(a)に示すように、先端側リンク部材3bの先端側には球状の凸部3iと円錐面状の傾斜面3mが形成されている。図6(b)に示すように、先端側リンク部材3bの後端側には球面状の凹部3jと円錐面状の傾斜面3nが形成されている。先端側リンク部材3bの中心を軸線方向に貫通させて、上述した開閉機構(7)を配置するための貫通孔3hが形成されている。
図4、図7、図12に示すように、後端側リンク部5は、操作部6に固定された操作部固定部材としての後端側リンク部材5a、中継回動部材としての後端側リンク部材5b、及びシャフト4に固定されたシャフト固定部材としての後端側リンク部材5cを、ボールジョイントBで直列に連結している。
後端側リンク部材5a、5b、5cには、軸垂直断面において放射状に配置されたワイヤ8a、8b、8c、8dに対応させて、それぞれ軸垂直断面において放射状に配置されたワイヤ経路4a、4b、4c、4dが形成されている。後端側リンク部5において、後端側リンク部材5a、1個の後端側リンク部材5b、及び後端側リンク部材5cは、相互間のボールジョイントBと4本のワイヤ8a、8b、8c、8dとを用いて直列に連結されている。ボールジョイントBは、回転中心5kを有する球状の凸部5iを、回転中心5kを有する球面状の凹部5jに保持させて、回動自在な関節構造を形成している。
図7(b)に示すように、4本のワイヤ8a、8b、(8c、8d:図示略)の後端側の終端は、後端側リンク部5の後端側に位置する後端側リンク部材5aに固定している。ワイヤ8a、8b、8c、8dの終端は、後端側リンク部材5aのワイヤ経路4a、4b、4c、4dの出口で抜け止め処理することにより、後端側リンク部材5aに固定されている。なお、抜け止め処理の方法は、かしめ、溶接、蝋付け、金属リング装着等、任意に選択可能である。
後端側リンク部材5a、5b、5cは、それぞれボールジョイントBの回転中心5kから外周に向かって後退する傾斜面5m、5nを対向させて、回転中心5kの周りで回動可能となるように直列に連結されている。図8(a)に示すように、後端側リンク部材5bの先端側には球状の凸部5iと円錐面状の傾斜面5mが形成されている。図8(b)に示すように、後端側リンク部材5bの後端側には球面状の凹部5jと円錐面状の傾斜面5nが形成されている。後端側リンク部材5bの中心を軸線方向に貫通させて、上述した開閉機構7(図2参照)を配置するための貫通孔5hが形成されている。
図4~図8、図12に示すように、先端側リンク部材3a、3b、3b、3c及び後端側リンク部材5a、5b、5cには、軸垂直断面の90度ごとの位置を貫通する4本のワイヤ経路4a、4b、4c、4dが位置を揃えて設けられている。ワイヤ8a、8b、8c、8dは、先端側リンク部材3a、3b、3b、3cのそれぞれのワイヤ経路4a、4b、4c、4dと、シャフト4と、後端側リンク部材5bのワイヤ経路4a、4b、4c、4dとを貫通している。ワイヤ8a、8b、8c、8dは、ステンレスの素線を撚り合わせて製造され、先端側リンク部3及び後端側リンク部5における湾曲に対して容易に屈曲して抵抗少なく追従し、操作部6で実行された首振り移動の操作内容を作動部2へ応答性高く伝達する。ワイヤ8a、8b、8c、8dは、シャフト4を長手方向に貫通して、操作部6と作動部2との間に張架され、先端側リンク部3と後端側リンク部5の湾曲を連動させることにより、シャフト4に対する操作部6の傾きに応じてシャフト4に対する作動部2を傾けるように作動部2を遠隔操作する。図3(a)、(b)に示すように、操作部6においてシャフト4に対して指掛け6b、6cを一体に回動させると、作動部2において、シャフト4に対して第1鉗子片2b及び第2鉗子片2cが一体に首振り回動する。
(傾斜面の後退角度)
図6(c)及び図8(c)に示すように、先端側リンク部材3bの回転中心3kから外周に向かって後退する傾斜面3m、3nの後退角度αは、後端側リンク部材5bの回転中心5kから外周に向かって後退する傾斜面5m、5nの後退角度βよりも小さい。これにより、先端側リンク部材3bを所定角度回動させる際の後端側リンク部材5bの回動角度が小さくなって、作動部2を所定角度回動させる操作に必要な操作部6の回動角度を小さくすることができる。したがって、操作部6の操作に必要な回動角度を小さくして、操作部6や手指が誤って他の多自由度鉗子の操作部に干渉することを回避できる。
図9(a)に示すように、先端側リンク部3は、先端側リンク部材3a、3b、3b、3cをボールジョイントB及びワイヤ8a、8bで直列に連結している。図9(b)に示すように、後端側リンク部5は、後端側リンク部材5a、5b、5cをボールジョイントB及びワイヤ8a、8bで直列に連結している。そして、後端側リンク部材5bの傾斜面4m、4nの後退角度βは、先端側リンク部材3bの傾斜面4m、4nの後退角度αよりも大きい。後端側リンク部材5bと先端側リンク部材3bは、これ以外の条件を等しく設計されている。そして、ワイヤ8a、8bの長さは等しく一定であるから、後端側リンク部5をシャフト4に対して回動させてシャフト4に対して作動部2を回動させるとき、後端側リンク部5に位置するワイヤ8a、8bの長さの差は、先端側リンク部3に位置するワイヤ8a、8bの長さの差と等しくなる。
図9(c)に示すように、等しい長さの差を持たせたワイヤ8a、8bを用いて先端側リンク部材3a、3bと後端側リンク部材5a、5bを作図して重ね合わせると、後端側リンク部材5bの傾きは先端側リンク部材3bの傾きよりも小さくなって、角度差δが発生している。
これは、後退角度βを大きくしたことで、傾斜面5m、5n間の隙間が大きくなって、ワイヤ経路4a’、4a’を結ぶ経路がワイヤ経路4a、4aで折れ曲がる経路よりもショートカットになるためと考えられる。
図10を参照してより詳しく説明する。複数のリンク部材が連結されて一般的なリンク部Lを形成し、その中のリンク部材a、bがボールジョイントeで連結され、ワイヤdにより接続されているとする。このとき、リンク部材a、b間の角度を2θとし、リンク部の中心軸からワイヤcの中心までの半径をrとする。
このとき、リンク部材a、b間のワイヤ長さFは、次式となる。
F=r×2tanθ
リンク部Lを90度湾曲させた場合に狭くなるリンク部材の間隔の数nは次式となる。
n=(π/2)/2θ=π/4θ
したがって、リンク部Lを90度湾曲させた場合にリンク部L全体でワイヤ長さを短くする合計長さGは次式となる。
G=(r×2tanθ)×(π/4θ)=(πr/2)×(tanθ/θ)・・(1)
ここで、(1)式中の変数(tanθ/θ)は、図10(b)に示すように、θが大きいほど大きな数値となる。したがって、図10(a)に示すリンク部材a、b間の角度2θが大きいほど、リンク部を90度湾曲させるために必要なリンク部全体でワイヤ長さを短くする合計長さGは大きくなる。言い換えれば、図6に示す小さい後退角度αの先端側リンク部材3bで連結された作動部2を90度回動させた場合のワイヤ長さを短くする合計長さGでは、図8に示す大きな後退角度βの後端側リンク部材5bで連結された操作部6の回動角度は90度よりも小さくなる。
図11に示すように、実施の形態1の多自由度鉗子において、先端側リンク部材3a、3b、3b、3cの後退角度αを15度、後端側リンク部材5a、5b、5cの後退角度βを22.5度と設定して、CADソフトを用いてシミュレーションしてみた。このとき、操作部6を位置P0から位置P1へ約45度回動させることによって、作動部2を90度回動させることができた。
一方、先端側リンク部材3a、3b、3b、3cと同じものを後端側リンク部材5a、5b、5cでも使用して同様にシミュレーションしてみた。このとき、操作部6を位置P0から位置P2へ約90度回動させることによって、作動部2を90度回動させることができた。
図5(b)及び図7(b)に示すように、実施の形態1の多自由度鉗子1は、先端側リンク部材3a、3b、3b、3cが直列に連結された個数「4」が、後端側リンク部材5a、5b、5cが直列に連結された個数「3」よりも多い。このため、多自由度鉗子1では、ボールジョイントBで連結された後端側リンク部材5a、5b、5cの対向する傾斜面5m、5nの間隔を有効に活用できる。後端側リンク部材5a、5b、5cの対向する傾斜面5m、5nの間隔は、先端側リンク部材3a、3b、3b、3cの対向する傾斜面3m、3nの間隔よりも、大きくなってリンク部材a、b間のより大きな回動を許容できる。このため、後端側リンク部材5a、5b、5cの連結個数を減らしても、先端側リンク部3全体の回動の妨げとなり難い。後端側リンク部材5a、5b、5cの連結個数を減らすことで、直列に連結された複数のボールジョイントBに起因する後端側リンク部5の座屈変形が少なくなって全体の剛性が増し、先端側リンク部3の動作も安定する。後端側リンク部全体の剛性が高まる。また、図9(c)に示すように、後端側リンク部材5a、5b、5cの1個当たりの回動量が大きくなって、作動部2を所定角度回動させるために必要な操作部6の回動角度をさらに小さくすることができる。
(自由度切替装置)
図4、図7に示すように、実施の形態1の多自由度鉗子1は、後端側リンク部5を介した操作部6の回動領域を規制するために、上記の構成に加えて、自由度切替装置10を有する。自由度切替装置10は、シャフト4の中心軸線を挟む一対のワイヤ8c、8dをシャフト4に対してロックしてシャフト4に対する操作部6の二軸回動を一軸回動に切替え可能であると共に、一対のワイヤ8c、8dの間に位置する別の一対のワイヤ8a、8bをさらにシャフト4に対してロックして、シャフト4に対する操作部6の回動を固定可能である。
図12は図14のB-B断面の位置で先端側から見た多自由度鉗子1の軸垂直断面である。図13、図14は図12のA-A断面の位置で側面側から見た多自由度鉗子1の断面の一部である。図12に示すように、操作部6の二軸回動を一軸回動に切替える場合には、スイッチ部材13C、13Dを押圧保持してワイヤ経路4c、4dにワイヤ8c、8dをロックする。また、操作部6の回動を固定する場合には、スイッチ部材13A、13Bをさらに押圧保持して、別の一対のワイヤ経路4a、4bにワイヤ8a、8bをさらにロックする。
図7(a)に示すように、自由度切替装置10は、シャフト4の後端側に固定された後端側リンク部材5cに設けられている。シャフト4は、後端側リンク部材5cの先端側に形成された不図示の段差に圧入して、又は接着により後端側リンク部材5cに固定されている。
図12に示すように、後端側リンク部材5cは、ワイヤ経路4a、4b、4c、4dが形成されたワイヤ経路部材12の円柱部12dの外側に、環状のスリーブ11を軸線方向に圧入して構成される。ワイヤ経路部材12は、軸垂直断面の90度ごとの位置に外側へ向かって開いたU字溝のワイヤ経路4a、4b、4c、4dを形成されている。ワイヤ経路4a、4b、4c、4dには、ワイヤ8a、8b、8c、8dが長手方向へ移動可能に収容されている。ワイヤ経路4a、4b、4c、4dのワイヤ8a、8b、8c、8dに対応させて、後端側リンク部材5cにスイッチ部材13A、13B、13C、13Dが取り付けられている。スイッチ部材13C、13Dは、ワイヤ8c及びワイヤ8dをロックして操作部6のX方向の回動を規制することが可能である。スイッチ部材13A、13Bは、ワイヤ8a及びワイヤ8bをロックして操作部6のZ方向の回動をさらに規制することが可能である。
図13(a)、(b)に示すように、スイッチ部材13A、13B、13C、13Dは、同一に構成され、後端側リンク部材5cに対して同様に取り付けられている。スイッチ部材13B、13C、13Dについても、それぞれの位置でスイッチ部材13Aと同様に組み立てられており、それぞれ同様に操作してスイッチ部材13Aと同様に機能させることができる。スイッチ部材13Aは、押圧部13bの下面から突起13hを突出させている。図14(b)に示すように、押圧部13bは、突起13hがワイヤ8aをワイヤ経路4aに押圧して、ワイヤ8aの長手方向の移動をロックすることが可能である。
図13(a)、(b)に示すように、スイッチ部材13Aは、押圧部13bの両方の側面から回転軸13cを両外側へ突出させている。図13(c)に示すように、スリーブ11の貫通孔11dに、ワイヤ経路部材12の円柱部12dを圧入して、スリーブ11にワイヤ経路部材12が固定されている。このとき、スイッチ部材13Aの保持溝11bとワイヤ経路部材12の保持溝12bとが連続して開口を形成して、スイッチ部材13Aの押圧部13bの側面を保持する。同時にスイッチ部材13Aの回転軸13cがワイヤ経路部材12の軸受凹所12cとスリーブ11の端面11cとの間に回転自在に保持される。このようにして、スイッチ部材13Aは、保持溝11b、12b内で回動可能に保持される。
図13(a)、(b)に示すように、スイッチ部材13Aは、押圧部13bの回転軸13cを設けられた反対側に、押圧部13bと一体に樹脂成型された弾性部13g、係合部13f、解除操作部13eを有する。弾性部13gは、樹脂材料の弾性で係合部13fを先端側へ付勢して、係合部13fをスリーブ11の係合突起11fに押し付けている。スイッチ部材13Aは、この状態から、押圧部13bを中心軸側へ押し込んで、係合部13fを係合突起11fに係合させた状態で、スイッチ部材13Aの回動位置を保持できる。スイッチ部材13Aは、解除操作部13eを弾性部13gの付勢に抗して後端部側へ移動させることで、係合突起11fに対する係合部13fの係合を解除できる。
図14(a)は、スイッチ部材13Aがワイヤ8aをロックしていないロック解除状態である。ロック解除状態では、スイッチ部材13Aの係合部13fがスリーブ11の係合突起11fに乗り上げて、スイッチ部材13Aの突起13hはワイヤ8aに対して非接触に保たれる。このようなロック解除状態からスイッチ部材13Aの押圧部13bを押し下げて、スイッチ部材13Aの係合部13fをスリーブ11の係合突起11fに係合させることにより、スイッチ部材13Aがワイヤ8aをロックしているロック状態へ移行する。
図14(b)に示すように、ロック状態では、スイッチ部材13Aの係合部13fがスリーブ11の係合突起11fに係合して、スイッチ部材13Aの突起13hはワイヤ8aに食い込んだ状態に保持され、ワイヤ8aはワイヤ経路4aのU字溝の底面に押圧されている。
多自由度鉗子1では、スイッチ部材13A、13B、13C、13Dを設けることにより、シャフト4に対する操作部6の後端側リンク部5を介した回動領域を規制して、複数の多自由度鉗子1を操作する際に操作部6の誤操作を発生し難くすることができる。多自由度鉗子1では、自由度切替装置10を操作して、操作部6の後端側リンク部5を介した二軸回動を、必要に応じて一軸回動に切り替えることにより、操作部6の回動範囲を規制して、近接する別の多自由度鉗子の操作部に干渉することを回避できる。多自由度鉗子1では、必要に応じて自由度切替装置10を操作して操作部6の後端側リンク部5を介した一軸回動を回動の固定に切り替えることにより、操作部6の回動範囲をさらに規制して近接する別の多自由度鉗子の操作部に干渉することをさらに回避できる。言い換えれば、二軸回動と回動の固定との間に一軸回動という回動軌跡の固定ステップを設けて、回動軌跡の固定機能を用いた用途の追加を可能にしている。そして、回動の固定と回動軌跡の固定とは同じ機構を兼用して実現されている。
多自由度鉗子1では、押圧部13bを押圧して突起13hによりワイヤ経路4aにワイヤ8a等をロックした状態を保持機構Hが保持するという具体的で簡単な機構構造によって自由度切替装置10を実現できる。
なお、実施の形態1の多自由度鉗子1は、後端側リンク部5を介した操作部6の回動領域を規制すると同時に、先端側リンク部3を介した作動部2の回動領域を規制することができる。多自由度鉗子1において作動部2が挟んだ体内組織を体内で移動させる場合、自在な経路で作動部2を首振り回動させると、周囲の体内組織や体内に挿入された別の機器に干渉する場合がある。このような場合、先端側リンク部3の回動の自由度を一時的に減少させて円運動や直線運動といった単純な軌跡に沿って作動部2を首振り回動させることが望ましい場合がある。単純な軌跡に沿って作動部2の移動速度を精密に制御することが望ましい場合もある。先端側リンク部3を棒状に硬直化させて、負荷がかかった際の作動部2の首振り移動を抑制することが望ましい場合もある。実施の形態1の多自由度鉗子1は、このような要求に応えることができる。後端側リンク部5及び先端側リンク部3を三次元的に首振り移動自在な多自由度鉗子において、操作者が任意のタイミングで簡単な操作を行うことにより、後端側リンク部5及び先端側リンク部3の首振り移動の自由度を一時的に減らして、単純な軌跡に沿って作動部を移動させることが可能である。
(ローラジョイント)
実施の形態1では、回転中心が一点で回動自在なボールジョイントBを用いて先端側リンク部材3a、3b、3b、3c及び後端側リンク部材5a、5b、5cを連結した実施の形態を説明した。しかし、先端側リンク部材3a、3b、3b、3c及び後端側リンク部材5a、5b、5cを連結する機構は、回転中心が線状で一軸回動を直交する二方向で行わせるローラジョイントであってもよい。ローラジョイントを用いた先端側リンク部23の例を図15、図16を参照して説明する。
図5と対比させて図15に示すように、変形例の多自由度鉗子1Bは、シャフト4の先端側と作動部2の後端側とをローラジョイントRを用いた先端側リンク部23により連結している。先端側リンク部23は、作動部2に固定された作動部固定部材としての先端側リンク部材23a、中継回動部材としての5個の先端側リンク部材23b、及びシャフト4に固定されたシャフト固定部材としての先端側リンク部材23cを、ローラジョイントRにより直列に連結している。ローラジョイントRは、対向する一対の先端側リンク部材23bを、貫通孔23hを左右に挟む一対の円柱状の凸部23iで支持するので、ボールジョイントBの場合に比較して先端側リンク部23の剛性が高くなる。一方、二軸回動を一軸ずつ分担して二段のローラで別々に行うため、ボールジョイントBの場合に比較して先端側リンク部材23bの段数が2倍必要である。
図15(b)に示すように、先端側リンク部材23a、23b、23b、23b、23b、23b、23cは、それぞれローラジョイントRの回転中心23kから外周に向かって後退する傾斜面23m、23nを対向させている。
先端側リンク部材23b、23b、23b、23b、23b、23cの先端側には円柱状の凸部23iと平面状の傾斜面23mが形成されている。先端側リンク部材23a、23b、23b、23b、23b、23bの後端側には円柱状の凹部23jと平面状の傾斜面23nが形成されている。
図6と対比させて図16に示すように、先端側リンク部材23bは、中心を囲む放射状に配置されたワイヤ経路4a、4b、4c、4dを有し、中心を軸線方向に貫通させて、上述した開閉機構(7)を配置するための貫通孔23hが形成されている。
同様にして、図7に示す後端側リンク部5も、ローラジョイントRを使用して後端側リンク部材を直列に連結するものに置き換えることができる。このようにして、実施の形態1の多自由度鉗子1をローラジョイントの先端側リンク部及び後端側リンク部を使用した実施の形態に構成することができる。先端側リンク部材の傾斜面の後退角度よりも後端側リンク部材の傾斜面の後退角度を大きくし、先端側リンク部材の連結個数よりも後端側リンク部材の連結個数を少なくし、シャフトに固定された後端側リンク部材に実施の形態1と同様な自由度切替装置10を設けることで、実施の形態1と同様な効果を奏することができる。
なお、ローラジョイント及びボールジョイントは、対向する2つのリンク部材がボールやローラで対向距離を保って回動し得る関節構造であればよく、実施の形態1のように対向するリンク部材の一方にボールやローラを固定したものには限らない。対向するリンク部材の間に独立したボールやローラを回転可能に挟持したものであってもかまわない。
(実施の形態2)
実施の形態1では、独立して操作される4個のスイッチ部材を後端側リンク部材に位置決めて設けた自由度切替装置10を説明した。これに対して実施の形態2では、連動して操作される6個のスイッチ部材を後端側リンク部材に対して回転可能に設けた自由度切替装置10Bを説明する。実施の形態2では、自由度切替装置10B以外の構成は実施の形態1と基本的に同一に構成される。このため、実施の形態1と共通する構成部材には図1~図14と共通の符号を付して重複する説明を省略する。
図17(a)に示すように、後端側リンク部5は、操作部固定部材としての後端側リンク部材5aと、中継回動部材としての後端側リンク部材5bと、シャフト固定部材としての後端側リンク部材5cと、がボールジョイントBを用いて直列に連結されている。
図17(b)、図18(b)に示すように、シャフト固定部材としての後端側リンク部材5cは、ワイヤ経路部材12Bの円柱部12dに円筒状のスリーブ11Bを挿入して組み立てられ、ワイヤ経路部材12Bのフランジ12eとスリーブ11Bの段差11eとの間に外挿部材30を挟み込んで回転可能に保持している。スリーブ11Bには、U字溝のワイヤ経路4a、4b、4c、4dを周方向に挟んで、押圧部材34を押し上げてスリーブ11Bに対する外挿部材30の回転を可能にするための傾斜面が形成されている。
自由度切替装置10Bは、ワイヤ経路4a、4b、4c、4d、スリーブ11B、及び外挿部材30を有し、外挿部材30は、その内周面に6つの押圧部31A、31B、31C、31D、31E、31Fを設けられている。押圧部31A、31B、31C、31D、31E、31Fは同一に構成されているので、押圧部31Aの構成を説明する。押圧部31Aは、圧縮コイルばね33に付勢された押圧部材34がシリンダー32に収容されている。押圧部31A、31B、31C、31D、31E、31Fは、シャフト4に固定された後端側リンク部材5cのU字溝のワイヤ経路4a、4b、4c、4dに位置するワイヤ8a、8b、8c、8dを6個の押圧部材34のうちの所定の組み合わせにより外側から押圧して、ワイヤ経路4a、4b、4c、4dの底面に圧接させることが可能である。
外挿部材30は、押圧部31A、31B、31C、31D、31E、31Fによるワイヤ経路4a、4b、4c、4dのワイヤ8a、8b、8c、8dの押圧/非押圧の状態を保持する保持機構Hになっている。外挿部材30は、シャフト4に固定された後端側リンク部材5cに外挿される。外挿部材30は、ワイヤ経路4a、4b、4c、4dのワイヤ8a、8b、8c、8dの任意の組み合わせを1回の操作でロック/ロック解除して、操作部6の二軸回動/一軸回動/回動の固定を自在に切替え可能である。
図19(a)に示すように、二軸回動では、ワイヤ経路4a、4b、4c、4dのワイヤ8a、8b、8c、8dを、押圧部31A、31B、31C、31D、31E、31Fが押圧しない位相位置へ外挿部材30が位置決められている。図19(b)に示すように、Z軸の一軸回動では、ワイヤ経路4c、4dのワイヤ8c、8dを、押圧部31C、31Fが押圧する位相位置へ外挿部材30が位置決められている。図19(c)に示すように、回動の固定では、ワイヤ経路4a、4b、4c、4dのワイヤ8a、8b、8c、8dを、押圧部31A、31B、31C、31D、31E、31Fがそれぞれ押圧する位相位置へ外挿部材30が位置決められている。
以上説明したように、実施の形態2の多自由度鉗子によれば、外挿部材30を回転させて後端側リンク部材5cに対する位相位置を位置決めすることで、二軸回動/一軸回動/回動の固定の中から選んだ所望の自由度を多自由度鉗子に設定することができる。なお、実施の形態2では、開口を設けたスリーブ11Bの周りで外挿部材を回転させて必要な開口に押圧部31A、31B、31C、31D、31E、31Fを位置決める実施の形態を説明した。しかし、開口を設けたスリーブに沿って軸線方向にスライド可能な非回転の外挿部材を使用することも可能である。すなわち、外挿部材を軸線方向にスライドさせて必要な開口を選択することにより、軸方向に一体にスライドする4つの押圧部によるワイヤ8a、8b、8c、8dの押圧/非押圧の組み合わせを変更する実施の形態としてもよい。
実施の形態1、2では、鏡視下手術に用いられる多自由度鉗子の関節機構における本発明の実施の形態を説明した。しかし、本発明は、鏡視下手術に用いられる多自由度鉗子の実施の形態には限らない。実施例1、2に係る発明を利用可能な多自由度鉗子は、先端側リンク部を介してシャフトの先端側に取り付けられた作動部(エンドエフェクタ)の種類に応じて多くのバリエーションがある。患者の体内に挿入される作動部の鉗子形状は、作動部の用途に応じて多種多様に選択可能である。作動部は、体内組織を把持するための把持鉗子以外に、組織を剥離するための剥離鉗子、組織を切断するためのハサミ鉗子、組織を縫合するための縫合鉗子、ニードルドライバ、電気メス、ヒータ、電極、ステイプラ、拡張器、薬品注入器、照明装置、撮像カメラ等、多様に設計され得る。
実施の形態1、2では、多自由度鉗子の軸垂直断面において4本のワイヤが放射状に配置される実施の形態を説明した。しかし、多自由度鉗子の軸垂直断面に配置されるワイヤは4本以上でもよい。また、二軸回動を一軸回動に切替える際には、先端側リンク部及び後端側リンク部の剛性を高めるために、4本以上のワイヤをロックするものであってもよい。
先端側リンク部及び後端側リンク部の中心軸線上に配置された貫通孔は、種々の機械的な動力伝達手段に加えて、モータや照明を作動させるための電線を配置してもよく、通信を行うための光ケーブル、映像を伝達するための光ケーブル、可撓性の内視鏡導光ケーブルを配置してもよい。
先端側リンク部における先端側リンク部材の連結個数、及び後端側リンク部における後端側リンク部材の連結個数は3以上とすることが望ましいが、任意に設定可能である。先端側リンク部材及び後端側リンク部材は、任意の生体適合性物質(ステンレス鋼;チタニウム、タンタル、任意の合金、ポリエチレンもしくはそのコポリマー、ポリエチレンテレフタレートもしくはそのコポリマー、ナイロン、シリコーン、ポリウレタン、フルオロポリマー、ポリ塩化ビニル等から製造され得る。ワイヤの材料は、ニッケルとチタニウムの合金、ステンレス鋼、その他の任意の合金、炭素繊維、ポリ塩化ビニル、ポリオキシエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリプロピレン、これらのコポリマー、ナイロン、シルク等が挙げられる。ワイヤは、接着剤、ろう付け、ハンダ付け、溶接などによってリンク部材に固定することができる。
1 多自由度鉗子
2 作動部
2a 回転軸
2b 第1鉗子片
2c 第2鉗子片
2d、2e 軸受孔
2f、2g 軸受孔
2h 本体
3、23 先端側リンク部
3a、23a 先端側リンク部材(作動部固定部材)
3b、23b 先端側リンク部材(中継回動部材)
3c、23c 先端側リンク部材(シャフト固定部材)
3h 貫通孔
3i、23i 凸部
3j、23j 凹部
3k、23k 回転中心
3m、23m 傾斜面
3n、23n 傾斜面
4 シャフト
4a、4b、4c、4d ワイヤ経路
5 後端側リンク部
5a 後端側リンク部材(操作部固定部材)
5b 後端側リンク部材(中継回動部材)
5c 後端側リンク部材(シャフト固定部材)
5d、5e、5f、5g ワイヤ経路
5h 貫通孔
5i 凸部
5j 凹部
5k 回転中心
5m 傾斜面
5n 傾斜面
6 操作部
6a 回転軸
6b、6c 指掛け
6d、6e 軸受孔
7 開閉機構
7a、7b、7c、7d プーリ
7e、7f ワイヤーロープ
8 首振り機構
8a、8b、8c、8d ワイヤ
10、10B 自由度切替装置
11、11B スリーブ
11b 保持溝
11c 端面
11d 貫通孔
12、12B ワイヤ経路部材
12b 保持溝
12c 軸受凹所
12d 円柱部
13A、13B、13C、13D スイッチ部材
13b 押圧部
13c 回動軸
13e 解除操作部
13f 係合部
13g 弾性部
13h 突起
30 外挿部材(保持機構)
31A、31B、31C、31D、31E、31F 押圧部
32 シリンダー
33 圧縮コイルばね
34 押圧部材
B ボールジョイント
H 保持機構
R ローラジョイント

Claims (6)

  1. 先端側が患者の体内に挿入されるシャフトで、その軸方向に貫通しているワイヤ経路が配置されているシャフトと、
    前記シャフトの先端側に連結され、複数のワイヤ経路が放射状に配置された先端側リンク部材をボールジョイント又はローラジョイントで直列に連結してなる先端側リンク部と、
    前記シャフトの後端側に連結され、複数のワイヤ経路が放射状に配置された後端側リンク部材をボールジョイント又はローラジョイントで直列に連結してなる後端側リンク部と、
    前記先端側リンク部を介して前記シャフトに連結され、前記シャフトに対して回動可能であり、回動することで患者の体内で首振り動作を実行する作動部と、
    前記後端側リンク部を介して前記シャフトに連結され、前記シャフトに対して回動可能であり、患者の体外で回動されて前記作動部を遠隔操作する操作部と、
    前記先端側リンク部材のワイヤ経路と前記シャフトのワイヤ経路と前記後端側リンク部材のワイヤ経路とを貫通して、前記操作部と前記作動部とを連結する複数のワイヤと、を有する多自由度鉗子であって
    連結されて対向する前記先端側リンク部材の対向面に形成されており、中心から外周に向かって前記対向面が互いに離れる方向へ傾斜している傾斜面の後退角度は、連結されて対向する前記後端側リンク部材の対向面に形成された、中心から外周に向かって前記対向面が互いに離れる方向へ傾斜している傾斜面の後退角度よりも小さ
    前記先端側リンク部と前記後端側リンク部とが湾曲する際に、短くなるあるいは長くなるワイヤ経路の長さ分は、前記先端側リンク部と前記後端側リンク部との両方で同じとなるように構成されている、多自由度鉗子。
  2. 前記先端側リンク部において前記先端側リンク部材が直列に連結された個数が、前記後端側リンク部において前記後端側リンク部材が直列に連結された個数よりも多い、
    請求項1に記載の多自由度鉗子。
  3. 前記シャフトの中心軸線を挟む一対のワイヤを前記シャフトに対してロックして前記シャフトに対する前記操作部の二軸回動を一軸回動に切替え可能であると共に、当該一対のワイヤの間に位置する別の一対のワイヤをさらに前記シャフトに対してロックして、前記シャフトに対する前記操作部の回動を固定可能である自由度切替装置を有する、
    請求項1に記載の多自由度鉗子。
  4. 前記自由度切替装置は、前記シャフトに固定された前記後端側リンク部材に設けられ、当該後端側リンク部材のワイヤ経路にワイヤをロックする、
    請求項3に記載の多自由度鉗子。
  5. 前記自由度切替装置は、前記シャフトに固定された前記後端側リンク部材のワイヤ経路のワイヤを外側から押圧して当該ワイヤ経路に圧接させる押圧部と、当該押圧部が当該ワイヤ経路のワイヤを押圧した状態を保持する保持機構と、を有する、
    請求項3に記載の多自由度鉗子。
  6. 前記保持機構は、前記シャフトに固定された前記後端側リンク部材に外挿され、複数のワイヤ経路のワイヤを1回の操作でロックして前記操作部の二軸回動と一軸回動と回動の固定とを切替え可能な外挿部材を有する、
    請求項5に記載の多自由度鉗子。
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