JP7301239B1 - 生成装置、生成方法、および生成プログラム - Google Patents

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Abstract

生成装置は、プログラムを実行するプロセッサと、プログラムを記憶する記憶デバイスと、を有する生成装置であって、プロセッサは、客観的な事象を示すデータに基づいて複数の価値を予測する第1モデルにより第1予測を実行し、前記第1予測による前記複数の価値の第1予測結果と、前記第1予測において前記第1モデルに用いられたパラメータ集合である施策と、を取得し、前記第1予測結果と前記施策とを関連付けた関連情報を生成し、前記客観的な事象に関連する対象者集合の各対象者に関する説明変数を取得し、前記説明変数に対応する前記各対象者に関する目的変数を取得し、前記説明変数と前記目的変数とに基づいて、前記目的変数の予測値を算出可能な第2モデルを生成し、前記関連情報から、特定の価値の特定の係数の選択を受け付け、前記特定の係数に基づいて前記第2モデルにより第2予測を実行し、前記第2予測によって予測された目的関数又は前記関連情報を出力する。

Description

本発明は、情報を生成する生成装置、生成方法、および生成プログラムに関する。
様々な国、地域、コミュニティにおいて、富の格差や処遇の不平等、環境汚染や文化崩壊などが社会問題となっている。これらの社会問題を扱うためには、経済価値だけではなく、個人や対人関係に関わる社会価値、環境や文化に関わる環境価値などの多元的な価値に配慮する必要がある。そして、社会問題を解決するためには、様々な施策や状況に対する客観的データで表される社会、環境、経済的な指標と、主観的データで表される社会、環境、経済的な価値観とを結合し、多元的な価値に配慮した施策を検討する必要がある。
下記特許文献1は、評価対象とするアプリGUI(グラフィックユーザインターフェース)のユーザビリティを評価する評価システムを開示する。この評価システムは、予め評価対象以外のアプリGUIに対して主観評価項目毎に付けた点数を主観評価値として蓄積した主観評価結果記憶部と、前記アプリGUIに使用されているGUI物理パラメータに対する計測値を蓄積したGUI物理パラメータ計測結果記憶部と、前記主観評価結果記憶部及びGUI物理パラメータ計測結果記憶部から読み出し、GUI物理パラメータと主観評価項目との相関関係を分析して、主観評価項目と相関の高いGUI物理パラメータの組を選出した分析モデルを出力する相関関係分析部と、前記GUI物理パラメータに対して前記分析モデルを適用して、主観評価結果を予測するアプリGUI評価部を備える。
また、下記非特許文献1は、Life Satisfaction Approach(LSA)という非市場財評価手法を開示する。このLSAは、アンケート調査から得られた主観的ウェルビーイングのモデルに基づいて、市場財と非市場財の要因に関する推定係数を算出し、非市場財に対する市場財の感度係数、すなわち限界支払意思額を計算する。
特開2013-89018号公報
Frey, B. S., Luechinger, S., Stutzer, A. The life satisfaction approach to environmental valuation. CESifo Working Paper. 2009; 2836.
非特許文献1のLSAは、第一のモデル(SWB式)の多項式の2つの項の偏微分を算出するが、第二のモデルの客観的データを有しない。したがって、非特許文献1は、客観的データを基に、主観的データを算出する方法、すなわち、客観的データを基に主観的データを複数算出することや、それを最大化することで最善策を提示することについては考慮されていない。また、特許文献1は、客観的なGUIの計測値に対して主観的なGUIの評価値を算出しており、主観的な第一のモデルと客観的な第二のモデルが異なる場合における計測値と評価値を結び付ける方法は開示されていない。したがって、複数種類の計測値や評価値から算出される施策を求めることについては考慮されていない。
本発明は、主観的データと客観的データに基づく複数の価値に配慮した施策の選定の容易化を図ることを目的とする。
本願において開示される発明の一側面となる生成装置は、プログラムを実行するプロセッサと、前記プログラムを記憶する記憶デバイスと、を有する生成装置であって、前記プロセッサは、客観的な事象を示すデータに基づいて複数の価値を予測する第1モデルにより第1予測を実行し、前記第1予測による前記複数の価値の第1予測結果と、前記第1予測において前記第1モデルに用いられたパラメータ集合である施策と、を取得し、前記第1予測結果と前記施策とを関連付けた関連情報を生成し、前記客観的な事象に関連する対象者集合の各対象者に関する説明変数を取得し、前記説明変数に対応する前記各対象者に関する目的変数を取得し、前記説明変数と前記目的変数とに基づいて、前記目的変数の予測値を算出可能な第2モデルを生成し、前記関連情報から、特定の価値の特定の係数の選択を受け付け、前記特定の係数に基づいて前記第2モデルにより第2予測を実行し、前記第2予測によって予測された目的関数又は前記関連情報を出力する、ことを特徴とする。
本発明の代表的な実施の形態によれば、複数の価値に配慮した施策の選定の容易化を図ることができる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。また、本明細書等における「第1」、「第2」等の表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数又は順序を限定するものではない。
図1は、実施例1にかかる計算機システムの構成例を示すブロック図である。 図2は、実施例1にかかる計算処理手順例を示すフローチャートである。 図3は、主観的モデルの目的変数と説明変数とに関する表を示す説明図である。 図4は、三元グラフの一例を示す説明図である。 図5は、三元価値と目的関数の説明変数との関係を示す関係テーブルの一例を示す説明図である。 図6は、棒グラフの一例を示す説明図である。 図7は、三元グラフの更新例を示す説明図である。 図8は、三元グラフ、棒グラフおよび現状と仮説の対比情報の表示例を示す説明図である。 図9は、実施例2にかかる社会的インパクト評価に用いるロジックモデルを示す説明図である。 図10は、客観的データのセットとロジックモデルのインプットとの関係を示す行列の一例を示す説明図である。 図11は、計算結果例1を示す説明図である。 図12は、計算結果例2を示す説明図である。 図13は、実施例3にかかるポジティブ・コンピューティングに用いるニューラルネットワークモデルを示す説明図である。 図14は、2人の囚人の行動と主観的な利得の関係を表す利得表モデルを示す説明図である。 図15は、実施例6にかかる計算機システムの構成例を示すブロック図である。
<主観的データと客観的データとの結合>
まず、主観的データと客観的データとの結合について数式を用いて簡潔に説明する。主観的データとは、対象者集合の各個人の価値観によって決定された内容を示すデータであり、たとえば、アンケート調査の回答内容である。客観的データとは、一般的な指標によって規定された内容を示すデータであり、たとえば、環境や経済、社会現象のような対象者集合に関連する客観的な事象について実行されたシミュレーション結果である。
主観的データから計算される第2モデルである主観的モデルを下記式(1)に示す目的関数で規定する。下記式(1)において、yは目的変数、x(i=1,2,…)は説明変数である。主観的データ(y,x)がアンケート調査の回答内容である場合、目的変数yが回答者の個人の価値観(たとえば、幸福度)であり、説明変数xが回答者が選択する各選択項目(幸福度と相関性がある項目)である。
Figure 0007301239000001
つぎに、客観的モデルから計算される客観的データの集合を下記式(2)で規定する。ここで、Aは客観的データの集合、ajk(j=1,2,…)は客観的データ、kは施策の施策番号である。客観的モデルとは、環境や経済、社会現象のような客観的な事象に基づいて複数の価値を予測する第1モデルであり、シミュレータやニューラルネットワークなどにより実現される。実施例1では、シミュレータが用いられる。
Figure 0007301239000002
続いて、上記式(1)の主観的モデル(目的関数)の説明変数xと客観的データajkとの関係式を下記式(3)で規定する。ここで、χikは施策番号kについて客観的データajkと関係づけられた説明変数である。
Figure 0007301239000003
上記式(3)で表される主観的データ(y,x)と客観的データajkとの関係を組み込んだ目的関数yは下記式(4)のように設定される。
Figure 0007301239000004
目的変数yが所定の範囲となる場合として、たとえば、最適化する場合、上記式(1)の目的関数yは下記式(5)のように表現され、客観的データajkのセットは下記式(6)のように表される。ここで、mは所定の条件を満たす施策の施策番号、pnm(n=1,2,…)は客観的データajkのセットを計算する際のシミュレーションパラメータとする。客観的データやシミュレーションパラメータは、施策の内容を表すものである。
Figure 0007301239000005
このように、主観的データ(y,x)で表される価値観と客観的データajkで表される指標とを結合することにより、多元的な価値に配慮した施策と当該施策の内容とを提示することが可能になる。
なお、ここでは主観的データ(y,x)における目的変数yの予測値の計算方法として、目的関数を上記式(1)および(4)に示したような主観的モデルとしたが、社会的インパクト評価のロジックモデル、ゲーム理論の利得表や状態遷移グラフモデル、選好関係を表す序数やグラフモデル、特徴量と目的変数をつなぐニューラルネットワークモデルなどでも同様の原理を適用することができる。
また、客観的データajkの計算方法としては、気象予測や環境設計などの数値シミュレーションや金融や交通などのエージェントシミュレーションの他、確率過程シミュレーションや離散事象シミュレーションなども含まれる。以下、各実施例を図面を用いて説明する。
<計算機システムの構成例>
図1は、実施例1にかかる計算機システムの構成例を示すブロック図である。計算機システム100は、ネットワーク170を介して互いに接続されたコンピュータ110、データベース180、パーソナルコンピュータやスマートフォンのような個人デバイス190、センサ191により構成される。コンピュータ110は、プロセッサ120、メモリ130、ストレージ140、ユーザインターフェース150を有する生成装置である。コンピュータ110は、ネットワークインターフェース160を介してネットワーク170に接続され、データを送受信する。
プロセッサ120は、コンピュータ110を制御する。ストレージ140は、各種プログラムやデータを記憶する非一時的なまたは一時的な記録媒体である。ストレージ140としては、たとえば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)がある。
具体的には、ストレージ140は、主観的データ計算プログラム131、客観的データ計算プログラム132、データ関係付けプログラム133、データ結合プログラム1343、データ出力プログラム135や、個人デバイス190を介して収集された主観的データや客観的データを格納する。ユーザインターフェース150は、データを入出力する。ユーザインターフェース150としては、たとえば、キーボード、マウス、タッチパネル、テンキー、スキャナ、マイク、センサ、ディスプレイ、プリンタ、スピーカがある。ネットワークインターフェース160は、ネットワーク170と接続し、データを送受信する。
コンピュータ110では、ストレージ140に格納された主観的データ計算プログラム131、客観的データ計算プログラム132、データ関係付けプログラム133、データ結合計算プログラム134、データ出力プログラム135がメモリ130に読み出され、プロセッサ120により実行される。
これらのプログラムにより、上記式(1)、(4)、(5)に示した主観的モデルを生成して目的変数yと説明変数xとの関係を示す変数を設定する処理(S1)、客観的モデルに基づいて客観的データajkを計算する処理(S2)、計算された客観的データajkを変数に関係づける処理(S3)、客観的データajkを上記式(1)、(4)、(5)に示した主観的モデルの変数に代入して主観的データ(y,x)の予測値を計算する処理(S4)、計算された主観的データ(y,x)の予測値や客観的データajkを出力する処理(S5)が実行され、S5の処理結果がユーザインターフェース150に表示される。
図2は、実施例1にかかる計算処理手順例を示すフローチャートである。まず、ステップ223(S1)の前処理として、ステップ222(S01)では、コンピュータ110は、個人デバイス190から主観的データ(y,x)を収集してストレージ140またはデータベース180に格納する。
ステップ223(S1)では、コンピュータ110は、主観的データ計算プログラム131によって、収集した主観的データ(y,x)に基づいて、たとえば、線形回帰により、第2モデルである主観的モデルを生成する。
他方、ステップ225(S2)の前処理として、ステップ224(S02)では、コンピュータ110は、センサ191から客観的な検出データを収集してストレージ140またはデータベース180に格納する。
ステップ225(S2)では、コンピュータ110は、客観的データ計算プログラム132によって収集された客観的な検出データを第1モデルである客観的モデルに入力し、シミュレーションパラメータである施策を設定して、客観的データajkのシミュレーションである第1予測を行う。
つぎに、ステップ227(S4)の前処理として、ステップ226(S3)では、コンピュータ110は、データ関係付けプログラム133によって、主観的データ(y,x)と客観的データajkとに関する相関解析や学術的な知見に基づいて、主観的モデルの説明変数xと客観的データajkとの関係の候補を、ユーザインターフェース150を介してユーザに提示する。ユーザは、提示されたこれらの候補の中から主観的モデルの説明変数xと客観的データajkとの関係を選択する。
また、ステップ227(S4)では、コンピュータ110は、データ結合計算プログラム134によって、ステップ226(S3)でユーザが選択した主観的モデルの変数と客観的データajkとの関係に基づいて、ステップ225(S2)で算出された客観的データajkを、ステップ223(S1)で生成された主観的モデルの変数に代入する。この代入により、コンピュータ110は、目的変数yの予測値を計算する。
最後に、ステップ228(S5)では、コンピュータ110は、データ出力プログラム135によって、ステップ227(S3)で計算された目的変数yの予測値、客観的データajkおよびシミュレーションパラメータを、ユーザインターフェース150を介して出力する。なお、シミュレーションパラメータは、ステップ225(S2)でのシミュレーションの計算に用いられる値(施策)である。
付加的に、ステップ229(S6)では、ユーザは、ステップ228(S5)で出力された内容を評価する。必要に応じてステップ226(S3)では、ユーザは、主観的モデルの変数と客観的データajkとの関係を再度設定する。これにより、コンピュータ110は、再びステップ227(S4)とステップ228(S5)を繰り返し実行可能になる。
ここで、或る地域を例題として、上述した計算処理を具体的に説明する。まず、コンピュータ110は、対象者集合である約400人の地域住民の個人デバイス190との通信により、当該地域住民に対して幸福、社会関係、風土、職業など関する約170項目のアンケート調査を実行する。
そして、コンピュータ110は、それら約170項目のうち、人間、社会、環境および経済の各々について、幸福度と有意な相関のある項目(有意水準p<0.05)を2つずつ選び出し、図3の表300に示すように幸福度を目的変数y、選択した項目を説明変数xに設定する。
図3は、主観的モデルの目的変数yと説明変数xとに関する表300を示す説明図である。コンピュータ110は、目的変数yおよび説明変数xの各項目(幸福、人間1、人間2、社会1、社会2、環境1、環境2、経済1および経済2)における尺度の値を1に規格化する。コンピュータ110は、主観的データ計算プログラム131を用いて、主観的データ計算処理S1を実行し、線形回帰によって下記式(7)に示す目的関数である主観的モデルとして第2モデルを生成する。表300の最下行に目的変数yおよび説明変数xの平均値を示す。
Figure 0007301239000006
つぎに、コンピュータ110は、地域における再生可能エネルギーの利用に関して、客観的データ計算プログラム132を用いて客観的データ計算処理S2を実行し、エージェントシミュレーションを行う。エージェントシミュレーションとは、一定のルールに基づいて、自律的に行動するエージェントの振る舞いや、それらの相互作用から現れる、複雑な社会現象をシミュレーションする既知技術である。エージェントとは、人間や生物の行動を上述した一定のルールとして模擬して自律的に振る舞う行動主体であり、具体的には、たとえば、人間や生物である。実施例1では、太陽光や水力による発電設備、送配電網、蓄電設備、電力会社、地域事業者、地域住民(消費者)をエージェントとする。
エージェントシミュレーションにより、シミュレーション結果として、たとえば、社会価値を示す域内経済循環率、環境価値を示す再生可能エネルギー利用率、および経済価値を示す電気エネルギーコスト比が算出される。
コンピュータ110は、上述したエージェントをモデル化し、センサ191から得られた日照量や水量などの検出データを用いつつ、各エージェントを表すシミュレーションパラメータの組み合わせである施策を変更することにより、客観的データajkの集合Aである約2万通りのシミュレーション結果を第1予測結果として生成し、ストレージ140またはデータベース180に格納する。
コンピュータ110は、ストレージ140またはデータベース180に格納された約2万通りのシミュレーション結果を整理して、関連情報として三元グラフを生成する。
図4は、三元グラフの一例を示す説明図である。三元グラフ400は、複数の価値(本例では社会価値、環境価値、経済価値)で規定された空間であり、それぞれの施策(各エージェントを表すシミュレーションパラメータの組み合わせ)に対応する社会価値(域内経済循環率)、環境価値(再生可能エネルギー利用率)、経済価値(電気エネルギーコスト比)の値のプロット401を有する。三元グラフ400は、ユーザインターフェース150を介して表示可能に出力される。社会価値(域内経済循環率)、環境価値(再生可能エネルギー利用率)、および経済価値(電気エネルギーコスト比)を三元価値と称す。
続いて、コンピュータ110は、データ関係付けプログラム133を用いてデータ関係付け処理S3を実行し、客観的データajkである三元価値と目的関数の説明変数xとの関係を、ユーザインターフェース150を介して表示可能に出力する。
図5は、三元価値と目的関数の説明変数xとの関係を示す関係テーブルの一例を示す説明図である。関係テーブル500は、説明変数xに掛かる三元価値の各価値の係数を有する。「-」は係数が存在しないことを示す。この係数が、上述した主観的モデルの説明変数xと客観的データajkとの関係である。
どの価値がどの説明変数と関係があるかについては、あらかじめ設定される。具体的には、たとえば、データ関係付け処理S3では、三元価値が社会価値の場合は、コンピュータ110は、社会価値と説明変数x(社会1:地域住民への信頼)、x(経済2:経済的豊かさ)の各々との関係について、係数501,502を設定する。三元価値が環境価値の場合は、コンピュータ110は、環境価値と説明変数x(社会1:地域住民への信頼)、x(社会2:地域への愛着)およびx(環境2:環境配慮への誇り)の各々との関係について、係数503~505を設定する。三元価値が経済価値の場合は、コンピュータ110は、経済価値と説明変数x(経済2:経済的豊かさ)との関係について、係数506を設定する。
ここで、rとrをそれぞれ域内経済循環率の現状値とシミュレーション値、uとuをそれぞれ再生可能エネルギー利用率の現状値とシミュレーション値、cとcをそれぞれ電気エネルギーコストの現状値とシミュレーション値とする。現状値は、シミュレーション値の比較対象となる値であり、たとえば、実際に測定された値でもよく、シミュレーション結果に対応する特定の客観的な検出データの値を0または所定の定数として実行したシミュレーション値でもよい。特定の客観的データajkとは、たとえば、再生可能エネルギー利用率であれば、発電設備、送配電網、蓄電設備、電力会社に関する客観的な検出データの値を0または所定の定数に設定して実行されたシミュレーション結果が再生可能エネルギー利用率の現状値となる。
ユーザは、関係テーブル500の中から三元価値と説明変数xとの関係を示す係数を選択して仮説を立てる。たとえば、ユーザは、下記の三つの仮説A~Cを立てたとする。
仮説Aでは、経済価値(電気エネルギーコスト比)が経済2:経済的豊かさ(上記式(7)のxの項)に影響すると考え、ユーザは、関係テーブル500から説明変数x(経済2:経済的豊かさ)の係数506を選択したとする。これにより、コンピュータ110は、下記式(8)に示すように、主観的モデルである目的関数を修正する。
ここで、下記式(8)において、添え字のavはその説明変数xiavが説明変数xの平均値であることを意味する。また、説明変数xの係数である関係テーブル500および下記式(8)の「0.037」という値は、電気料金が家計に占める割合である。
Figure 0007301239000007
仮説Bは、仮説Aに加えて、社会価値(域内経済循環率)が経済2:経済的豊かさ(式(7)のxの項)に影響するとともに、環境価値(再生可能エネルギー利用率)が環境2:環境配慮への誇り(式(7)のxの項)に影響すると考え、ユーザは、関係テーブル500からさらに説明変数x(経済2:経済的豊かさ)の係数502と説明変数x(環境2:環境配慮への誇り)の係数505を選択したとする。これにより、コンピュータ110は、下記式(9)に示すように目的関数を修正する。
なお、現状の再生可能エネルギー利用率uが0、および、その利用による域内経済循環率rが0であることを考慮し、説明変数xの項および説明変数xの係数が、関係テーブル500および下記式(9)において、分母が0にならないようデータ関係付けプログラム133により工夫されている。
Figure 0007301239000008
仮説Cは、仮説Bに加えて、さらに社会価値(域内経済循環率)と環境価値(再生可能エネルギー利用率)が相互運用を通じて社会1:地域住民への信頼に影響するとともに、環境価値(再生可能エネルギー利用率)が社会2:地域への愛着に影響すると考え、ユーザは、関係テーブル500からさらに説明変数x(社会1:地域住民への信頼)の係数501、503と説明変数x(社会2:地域への愛着)の係数504を選択したとする。これにより、コンピュータ110は、下記式(10)に示すように目的関数を修正する。
Figure 0007301239000009
このように、3つの仮説A~Cにより、アンケート調査結果に基づく主観的モデルの説明変数xと客観的データajkであるシミュレーション値が関係付けられる。コンピュータ110は、データ結合計算プログラム134を用いてデータ結合計算処理S34を実行し、上記式(8)~(10)に示したように、客観的データajkを主観的モデルに結合して、予測対象の説明変数を説明変数xiavに代入することにより、目的変数yである幸福度の予測値を計算する。そして、コンピュータ110は、仮説A(式(8))、仮説B(式(9))、仮説C(式(10)のそれぞれに対して、目的変数である幸福度yを最大化する場合の客観的データajkとそのシミュレーションパラメータと施策番号kを求める。
予測対象の説明変数は、図3に示した説明変数の平均値でもよく、個人デバイス190から新たに取得した説明変数xiでもよく、既存の説明変数xiでもよい。
ここでは、コンピュータ110は、データ出力プログラム135を用いてデータ出力処理S5を実行して棒グラフを作成し、三元グラフ400を更新する。これにより、仮説A~Cそれぞれの幸福度(目的変数y)を最大化する施策(各エージェントを表すパラメータの組み合わせ)およびその価値が特定される。
図6は、棒グラフの一例を示す説明図である。棒グラフ600は、現状と仮説A~Cで選ばれた施策に対応する幸福度、社会価値(域内経済循環率)、環境価値(再生可能エネルギー利用率)、経済価値(電気エネルギーコスト比)を示す。図6によれば、仮説A~Cの中で仮説Cが最も幸福度が最大化され、仮説Cの社会価値(域内経済循環率)、環境価値(再生可能エネルギー利用率)、および経済価値(電気エネルギーコスト比)を客観的データとして出力するような施策(各エージェントを表すパラメータの組み合わせ)が特定されることになる。
図7は、三元グラフ400の更新例を示す説明図である。データ出力処理S5により、三元グラフ400には、仮説A~Cに対応する点701~703がプロットされる。
図8は、三元グラフ400、棒グラフ600および現状と仮説の対比情報の表示例を示す説明図である。三元グラフ400、棒グラフ600および現状と仮説の対比情報801は、ユーザインターフェース150を介して、ディスプレイ800に表示される。
三元グラフ400には、仮説A~Cに対応する施策(各エージェントを表すパラメータの組み合わせ)と客観的データajk(域内経済循環率、再生可能エネルギー利用率、電気エネルギーコスト比)が表示される。棒グラフ600には、主観的データの目的変数yである幸福度と客観的データajk(域内経済循環率、再生可能エネルギー利用率、電気エネルギーコスト比)が表示される。
現状と仮説の対比情報801には、幸福度とともに域内循環率、再生可能エネルギー利用率、エネルギーコスト比などのシミュレーション結果である客観的データajk、それらのシミュレーションパラメータ(施策)である太陽光発電量および水力発電量が表示される。
ユーザがこれらの結果に対しての評価S6を行うと、仮説Aでは、コスト比が仮説B、Cに比べて小さく、経済価値に重きを置いた施策が選択されていることがわかる。ただし、現状の幸福度0.702に対して仮説Aの幸福度は0.704であるため、ほとんど向上していない。
仮説Bでは、仮説Aよりも社会価値と環境価値が高い施策が選択されている。仮説Bの幸福度は0.768であるため、現状の幸福度0.702よりも向上していることがわかる。このことは、域内経済循環を高めることが、経済だけでなく、社会と環境に好影響を及ぼすことを示している。
仮説Cでは、仮説Bに対して社会価値、環境価値および経済価値がほぼ変わらないが、現状に対して幸福度が約1.4倍に向上していることがわかる。このことは、域内経済循環と再生可能エネルギー利用が地域住民への信頼を高めることができ、施策によって地域住民の信頼や社会関係資本を高めるような協同運営を行うことが幸福度の向上に大いに寄与することを示唆している。
以上説明したように、実施例1の計算機システム100によれば、アンケート調査から得られた主観的モデルである目的関数と、エージェントシミュレーションから得られた客観的データajkである価値指標とを結合し、幸福度を向上させる施策の選択肢を具体的に提供することができる。これにより、多元的な価値を有する主観的データ(y,x)と、多元的な価値を有する客観的データajkとを結合し、社会問題の解決を支援することが可能となる。
なお、実施例1では、コンピュータ110は、S1~S5の計算処理を順次実行したが、S1とS2の処理を並行して実行したり、S2をS1より先に実行したりしてもよい。ここでは扱いやすさのため幸福度に関する目的関数を線形回帰を用いて求めたが、幸福度の非線形性を考慮してロジスティック回帰や他の統計的回帰を用いてもよい。
また、コンピュータ110は、ユーザが設定した仮説A~Cの仮説ごとに、目的変数yである幸福度を最大化する施策を求めたが、目的変数yや説明変数xが所定の範囲となる条件の下で施策を求めることも可能である。そのような場合には、たとえば、図7における施策のプロットは、点ではなく、軌跡または分布として出力されることになる。
さらに、ここでは幸福度を目的変数yとしたが、アンケート調査の内容に応じてウェルビーイング、クオリティ・オブ・ライフ(QoL)、生活満足度などに関する心理的測定尺度を目的変数yにしてもよく、社会関係資本、自然資本、文化資本などに関わる変数を目的変数yとしてもよい。場合によっては、複数の目的関数yを立てて、多目的最適化を行うことも可能である。また、実施例1では主観的データ(y,x)をアンケート調査によって取得したが、他の方法により取得してもよい。
実施例2では、実施例1にロジックモデルを適用した例を示す。ロジックモデルは、主観的に決定した、人材、資金、製品、設備投資などの投入資源をインプット901、それらを用いた実際のアクティビティ902、それらが生む一次的なアウトプット903、それらがもたらすステークホルダにとってのアウトカム904、そしてそれらが社会、環境、経済に与えるインパクト905から成る有向グラフである。実施例2では、実施例1との相違点を中心に説明するため、実施例1と共通部分については説明を省略する。
図9は、実施例2にかかる社会的インパクト905評価に用いるロジックモデルを示す説明図である。ロジックモデル900において、実線の矢印は、それらの間の互いの関係を示し、矢印の始点から終点への影響度が定量的、定性的、または主観的データに基づいて割り付けられている。
たとえば、障害者支援を例題にとると、対象者集合が障害者、ロジックモデル900のインプットが職員、アドバイザ、教材、助成金申請であり、アクティビティ902が教育プログラム、教材改訂、セミナー開催であり、アウトプット903が情動改善、行動改善、支援拡大であり、アウトカム904が自己の確立、進路の拡大、社会保障であり、インパクト905が障害者の社会参加、社会的負担である。
客観的データajkのセット910(a,a,a,a,a,a、施策番号kは省略)は、ロジックモデル900が対象とする社会問題に関して客観的モデルを立てることにより、様々な施策に関するシミュレーションを行った結果である。すなわち、客観的データajkのセット910は、実施例1のようなシミュレーション結果であり、実施例2では、そのようなシミュレーション結果をロジックモデル900に入力する。
また、1つのセットが1つの施策に対応する。たとえば、上述した例題では、客観的データajkのセット910はシミュレーションパラメータによって変化する予算の調達と配分、人材の調達と配分、資材の調達と配分などに相当する。インプット901は主観的データの説明変数(x,x,x,x)とする。
図10は、客観的データajkのセット910とロジックモデル900のインプット901との関係を示す行列の一例を示す説明図である。行列1000は、ディスプレイ800に表示される。
行列1000において、rijは、説明変数xと客観的データaとの関係を示す要素である。また、xは、その行の要素rijを重みとする重み付き客観的データaの線形和である。たとえば、xの行には、要素r33、r35が存在するため、
=r33+r35
という線形変換になる。
図9に示した点線矢印は、図10の行列1000の線形変換に対応する。ユーザは、デフォルトで設定された行列1000の要素rijをそのまま設定するか、ユーザ自身が要素rijの値を新たに設定してもよい。
客観的データajkのセット910をインプット901に代入すると、ロジックモデル900に基づいてインパクト905であるX,Yが計算される。たとえば、上述した例題では、Xが障害者の社会参加、Yが社会的負担に相当する。様々な施策に対して同様の計算処理をコンピュータ110が実行すると、図11および図12に示すような計算結果が得られる。
図11は、計算結果例1を示す説明図である。グラフ1100における1つのプロットが1つの施策に対応する(図12も同様)。図11のグラフ1100では、インパクト905(X,Y)が逆相関を示す。すなわち、インパクト905(X,Y)に対応する施策の間にトレードオフがあることを示す。このため、たとえば、ユーザは、インパクト905(X,Y)をどのようにバランスさせるか(X:Yの比例式をどう設定するか)の判断に基づいて、図11中のX:Yの直線上で最もX,Yの値が大きいプロット1101(黒丸の点)を選択する。
そして、コンピュータ110は、選択したプロット1101に対応する客観的データajkのセット910とシミュレーションパラメータとを特定することにより、ロジックモデル900に対する最善な施策の内容が明らかになる。
図12は、計算結果例2を示す説明図である。図12は、たとえば、インパクト905X,YがaX+bY≧cという制約条件を満たす施策を選択する場合を示す。この条件に基づいて、ユーザは、図12中のY≧c/b―(a/b)・Xという直線から上のプロットの分布1200(複数の黒丸の点)を選択する。
コンピュータ110は、選択した分布1200に対応する客観的データajkのセット910とシミュレーションパラメータとを特定することにより、ロジックモデル900に対する最善な施策の内容が明らかになる。なお、コンピュータ110は、主観的データであるインパクト905(X,Y)の条件式と同様に、客観的データajkやシミュレーションパラメータを数式や数値の範囲で示してもよい。
実施例2によれば、主観的データ(y,x)に基づいて作成されたロジックモデル900に対して、実施例1で示したような様々な施策に関するシミュレーションから得られた客観的データajkを結合することで、社会的インパクト905を向上させる施策を選択することができる。
なお、実施例2で示したようなロジックモデル900は、複数のインパクト905を目的変数yとし、アクティビティ902からアウトカム904までを説明変数xとする多目的関数と見なすことができる。すなわち、実施例1の目的関数と実施例2のロジックモデル900はモデルの形式が異なるものの、基本構成は共通する。また、実施例2では、客観的データajkのセット910がインプット901だけに関係づけられていたが、アクティビティ902やアウトプット903などにも関係づけられてもよい。
実施例3では、実施例1にポジティブ・コンピューティングを適用した例を示す。ポジティブ・コンピューティングとは、ポジティブ心理学に基づいてウェルビーイングを向上するためのテクノロジーを意味する。実施例3では、実施例1との相違点を中心に説明するため、実施例1と共通部分については説明を省略する。
図13は、実施例3にかかるポジティブ・コンピューティングに用いるニューラルネットワークモデルを示す説明図である。ニューラルネットワークモデル1300は、入力層1301と出力層1302をネットワークで結合した数理モデルであり、出力層1302を目的変数y、入力層1301を説明変数xとする非線形な多目的関数である。
ここでは、社会的ジレンマ問題を対象に選び、入力層1301を便益、コスト、リスク、責任帰属、社会規範、対処有効性、実現可能性に関連する特徴量とする。出力層1302を、主観的データ(y,x)であるウェルビーイング因子のうち、快楽、報酬などの個人的因子Xと共感、利他性などの社会的因子Yとする。ニューラルネットワークモデル1300は、様々な心理学実験のメタアナリシスに基づいて学習された学習モデルである。
客観的データajkのセット1310は、社会的ジレンマ問題に関する環境行動デザインやメカニズムデザインなどに基づいて客観的モデルを立て、様々な施策のデザインを行ったシミュレーション結果である。施策には、たとえば、ナッジ、アフォーダンス、仕掛け、ゲームフォームなどのアプローチが適用され、個人の心理や行動の変容が促される。
客観的データajkのセット1310とニューラルネットワークモデル1300の入力層1301の特徴量との関係は、たとえば、実施例2と同様に行列でユーザにより設定される。図13の破線矢印は、客観的データajkのセット1310からニューラルネットワークモデル1300の入力層1301の特徴量への影響関係を示す。
客観的データajkのセット1310の設定値をニューラルネットワークモデル1300の入力層1301に与えると、出力層1302では個人的因子Xと社会的因子Yの値が計算される。ユーザである施策立案者は、様々な施策のデザインに対して同様の計算処理を実行することにより、施策が個人的因子Xと社会的因子Yに与える影響を比較することができる。
社会的ジレンマを解消するためには、単純に社会的因子Yが最大となる施策を選択すれば良いということではなく、個人的因子Xと社会的因子Yとの両立を考えて施策を選択することが求められる。施策に対応する特徴量や環境行動デザインやメカニズムデザインを併せて表示することにより、施策同士を比較し、社会的ジレンマ問題に関するデザインの改良に結びつけることが可能になる。
実施例3によれば、主観的データ(y,x)に基づいて作成された心理的なニューラルネットワークモデル1300対して、環境行動デザインやメカニズムデザインなどに基づいた客観的データajkを結合することで、社会的ジレンマを解消するための様々な施策を検討することができる。
実施例4では、実施例1に合意形成における主観的な選好関係モデルを適用した例を示す。実施例4では、実施例1との相違点を中心に説明するため、実施例1と共通部分については説明を省略する。
実施例4では、簡単のため、或る施策の初期案における4つの価値(a,b,c,d)の優先順序に関する3人(A、B、C)の選好関係を取り上げる。たとえば、はじめに3人の選好関係モデルが下記式(11)のように表されるとする。
Figure 0007301239000010
つぎに、初期案に対して客観的モデルに基づいて様々な条件の下でシミュレーションを行うことにより、それぞれの条件に対して客観的データajkのセット(u,u,・・・)が得られ、それらと4つの価値との関係式が、ユーザ、たとえば、ここでは合意形成のファシリテータによって下記式(12)のように設定される。
Figure 0007301239000011
こうして、施策の初期案に対して条件を変えた場合の4つの価値(a,b,c,d)が得られるとする。すなわち、4つの価値をa→a、b→b、c→c、d→dのように置換し、ファシリテータがそれらをA、B、Cの3人に提示することにより選好関係を変えていくことができる。たとえば、或る条件mのセット(a,b,c,d)に対して、A、B、Cの3人の選好関係が下記式(13)に示すように一致したとする。
Figure 0007301239000012
上記式(11)と上記式(13)を比較すると、AとBでは初期案に対する選好関係から条件mの選好関係に至るには1回の順序入替え、Cでは2回の順序入替えが起きたことになる。すなわち、客観的データajkによる4つの価値(a,b,c,d)の転換により、3人が合意に至ったことになる。
ファシリテータは、3人の初期の選好関係に対してなるべく順序の入替え回数を少なくできる一致選好関係を想定しつつ、様々な施策の中から4つの価値を転換した施策、ここでは、(a,b,c,d)を提示すればよい。
実施例4によれば、合意形成プロセスにおける主観的な選好関係モデルに対して客観的データに基づいて選好関係の転換を行うことで、合意形成を支援することができる。なお、実施例4で示したような選好関係は目的関数の形式ではないものの、合意形成は、選好関係の入替えによって、一致する選好関係を探索するという目的を持った離散最適化問題の一つとして捉えられる。すなわち、明示的な関数形を持つ問題だけでなく、主観が関わる様々な問題に実施例1を適用することができる。
実施例5では、実施例1に囚人のジレンマを適用した例を示す。囚人のジレンマとは、互いに協力する方が良いことが分かっていても、非協力者が利益を得る状況では互いに協力しなくなるというジレンマであり、環境問題や共有資源管理などの様々な社会問題の典型である。実施例5では、基本的な2人の囚人のジレンマについて説明する。また、実施例5では、実施例1との相違点を中心に説明するため、実施例1と共通部分については説明を省略する。
図14は、2人の囚人A、Bの行動と主観的な利得の関係を表す利得表モデルを示す説明図である。利得表モデル1400は、コンピュータ110に読み取り可能なデータである。利得表モデル1400において、RはReward(協力の報酬)、SはSuker(お人好し)、TはTemptation(非協力の誘惑)、PはPunishment(非協力の懲罰)である。右下の2×2のセルにおいて、左側の2つのセルの(R,R)、(T,S)がAの利得、右側の2つのセルの(S,T)、(P,P)がBの利得を示す。4つの利得の間にはT>R>P>Sおよび2×R>(S+T)という関係が成り立っている。
ジレンマを解消するためには、コンピュータ110は、何らかの施策に基づく客観的データajkを主観的な利得に関係づけることによってT→T、R→R、P→P、S→Sに置換する。様々な施策に関する客観的データajkを(v,v,・・・)として、ユーザ、たとえば、ここでは施策立案者によって客観的データajkと4つの利得との関係が下記式(14)のように設定される。
Figure 0007301239000013
施策立案者は、様々な施策の中から、たとえば、利得の関係をT<RまたはP<Sに変えられる施策を選択し、互いに協力することが両者の利益になるように導いていけばよい。たとえば、比較制度分析では、共同体規範に基づく将来利益や社会的排除による損失を導入することでコモンズの悲劇が回避可能であるが、このアプローチを主観的な利得に対する施策に応用することができる。
実施例5によれば、コンピュータ110は、主観的なジレンマを扱う利得表モデル1400と、何らかの施策に基づく客観的データajkを結合することで、囚人のジレンマの解消を促し、社会問題の解決を支援することができる。なお、実施例5で示したような利得表は関数形式で示されていないものの、利得間の関係を入れ替えるという目的を持った問題として捉え直せば、或る制約条件下での連立不等式問題であり、本発明の基本要件に沿うものである。
また、実施例5で示した方法は、囚人のジレンマだけでなく、集団意思決定問題におけるコンフリクト解消のためのグラフモデル(GMCR)にも適用することができる。GMCRでは、利得表に基づいた状態遷移グラフによって合理分析、効率分析、提携分析などを行っている。GMCRにおいて主体の利得や選好に介入することで状態遷移グラフを変えることにより、集団意思決定を協力的な合意へ導くことができる。
実施例6は、実施例1~実施例5の計算機システム100の分散処理例を示す。また、実施例6では、実施例1~実施例5との相違点を中心に説明するため、実施例1と共通部分については説明を省略する。
図15は、実施例6にかかる計算機システムの構成例を示すブロック図である。計算機システム1500は、ネットワーク1520を介して接続されたコンピュータ1501~1508、それらにそれぞれ接続されたディスプレイ1511~1518、データベース1530などから成る。コンピュータ1501~1508では、それぞれ主観的データ収集処理、主観的データ計算処理、客観的データ収集処理、客観的データ計算処理、データ関係付け処理、データ結合処理、データ出力処理、評価処理が分散して実行される。
実施例6では、図2に示した処理の並列実行が可能である。また、データベース1530を共有しながら、コンピュータ1501~1508は並列実行してもよい。いずれかのコンピュータをサーバ、他のコンピュータをクライアントとして分散処理を行うことも可能である。実施例6によれば、社会問題を解決するための施策を検討するうえで作業効率を向上することができる。
このように、上述した実施例1~実施例6によれば、複数の価値を有する主観的データと、複数の施策や状況に関する客観的データと、を結合することができる。これにより、複数の価値に配慮した施策の選定の容易化を図ることができ、社会問題の解決を支援することが可能となる。
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。たとえば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、または置換をしてもよい。
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、たとえば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、IC(Integrated Circuit)カード、SDカード、DVD(Digital Versatile Disc)の記録媒体に格納することができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。

Claims (11)

  1. プログラムを実行するプロセッサと、前記プログラムを記憶する記憶デバイスと、を有する生成装置であって、
    前記プロセッサは、
    客観的な事象を示すデータに基づいて複数の価値を予測する第1モデルにより第1予測を実行し、
    前記第1予測による前記複数の価値の第1予測結果と、前記第1予測において前記第1モデルに用いられたパラメータ集合である施策と、を取得し、
    前記第1予測結果と前記施策とを関連付けた関連情報を生成し、
    前記客観的な事象に関連する対象者集合の各対象者に関する説明変数を取得し、
    前記説明変数に対応する前記各対象者に関する目的変数を取得し、
    前記説明変数と前記目的変数とに基づいて、前記目的変数の予測値を算出可能な第2モデルを生成し、
    前記関連情報から、特定の価値の特定の係数の選択を受け付け、
    前記特定の係数に基づいて前記第2モデルにより第2予測を実行し、
    前記第2予測によって予測された目的関数又は前記関連情報を出力する、
    ことを特徴とする生成装置。
  2. 請求項1に記載の生成装置であって、
    前記関連情報は、前記複数の価値で規定された空間内における前記第1予測の前記施策の分布を示す情報である、
    ことを特徴とする生成装置。
  3. 請求項1に記載の生成装置であって、
    前記プロセッサは、
    前記説明変数を取得し、
    前記複数の価値の各々について、前記第1予測結果と前記第1予測結果の比較対象となる比較値とを取得し、
    前記複数の価値の各々について、前記第1予測結果および前記比較値に基づいて、前記価値と前記説明変数との関係を示す前記係数を前記関連情報として生成する、
    ことを特徴とする生成装置。
  4. 請求項3に記載の生成装置であって、
    前記プロセッサは、
    前記特定の係数に基づいて前記第2モデルを修正する、
    ことを特徴とする生成装置。
  5. 請求項4に記載の生成装置であって、
    前記プロセッサは、
    前記特定の係数の選択を、前記目的変数の予測に関する仮説ごとに受け付け、
    前記仮説ごとに、前記特定の係数に基づいて前記第2モデルを修正する、
    ことを特徴とする生成装置。
  6. 請求項4に記載の生成装置であって、
    前記プロセッサは、
    修正後の第2モデルに予測対象の説明変数を入力することにより、前記目的変数の予測値を算出し、
    前記目的変数の予測値を出力する、
    ことを特徴とする生成装置。
  7. 請求項6に記載の生成装置であって、
    前記目的変数の予測値とともに前記複数の価値の第1予測結果を出力する、
    ことを特徴とする生成装置。
  8. 請求項5に記載の生成装置であって、
    前記プロセッサは、
    前記仮説ごとの修正後の第2モデルに予測対象の説明変数を入力することにより、前記目的変数の予測値を前記仮説ごとに算出し、
    前記目的変数の予測値を前記仮説ごとに出力する、
    ことを特徴とする生成装置。
  9. 請求項8に記載の生成装置であって、
    前記プロセッサは、
    前記目的変数の予測値とともに前記複数の価値の第1予測結果を前記仮説ごとに出力する、
    ことを特徴とする生成装置。
  10. 請求項9に記載の生成装置であって、
    前記プロセッサは、
    前記目的変数の予測値が最大となる仮説の前記第1予測結果を前記第1モデルが出力したときの前記施策を特定する、
    ことを特徴とする生成装置。
  11. プログラムを実行するプロセッサと、前記プログラムを記憶する記憶デバイスと、を有する生成装置による生成方法であって、
    前記プロセッサは、
    客観的な事象を示すデータに基づいて複数の価値を予測する第1モデルにより第1予測を実行し、
    前記第1予測による前記複数の価値の第1予測結果と、前記第1予測において前記第1モデルに用いられたパラメータ集合である施策と、を取得し、
    前記第1予測結果と前記施策とを関連付けた関連情報を生成し、
    前記客観的な事象に関連する対象者集合の各対象者に関する説明変数を取得し、
    前記説明変数に対応する前記各対象者に関する目的変数を取得し、
    前記説明変数と前記目的変数とに基づいて、前記目的変数の予測値を算出可能な第2モデルを生成し、
    前記関連情報から、特定の価値の特定の係数の選択を受け付け、
    前記特定の係数に基づいて前記第2モデルにより第2予測を実行し、
    前記第2予測によって予測された目的関数又は前記関連情報を出力する、
    ことを特徴とする生成方法。
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