JP7292002B2 - 銅鉱石の評価方法及び銅の製錬方法 - Google Patents
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Description
(1)一定粒度に粉砕したサンプルに硫酸を加え一定時間撹拌。溶出した銅を定量。
(2)前記(1)の試料の固液分離で得られた固体部分にシアン化ナトリウム液を加え一定時間撹拌。溶出した銅を定量。
(3)前記(2)の試料の固液分離で得られた固体部分に硝酸及び過塩素酸を加え、ホットプレート上で乾固後、塩酸と蒸留水を加え、固体を溶解。溶出した銅を定量。
銅鉱石の評価方法であって、以下を含む方法:
銅鉱石から硫酸溶液により銅を浸出させて、浸出銅量Aを測定する第1工程;及び
銅鉱石から鉄(III)イオンを含む溶液により銅を浸出させて、浸出銅量Bを測定する第2工程;
ここで、上記第1~2工程は任意の順序で行ってもよい。
(発明2)
発明1の方法であって、銅鉱石中に含まれる全銅量Cを測定する第3工程を更に含む、該方法。
(発明3)
発明2の方法であって、前記第1~3工程を少なくとも部分的に並行して実施する、該方法。
(発明4)
発明3の方法であって、下記の関係に従って浸出量を見積もる工程を更に含む、該方法:
浸出銅量A及び全銅量Cの値に基づいて、浸出率aを見積もること;並びに
浸出銅量Bと浸出銅量Aとの差分、及び全銅量Cの値に基づいて、浸出率bを見積もること。
(発明5)
発明2の方法であって、
前記第1工程で得られた残渣に対して、前記第2工程を実施する、
該方法。
(発明6)
発明5の方法であって、下記の関係に従って浸出量を予測する工程を更に含む、該方法:
浸出銅量A及び全銅量Cの値に基づいて、浸出率aを見積もること;並びに
浸出銅量B及び全銅量Cの値に基づいて、浸出率bを見積もること。
(発明7)
電気銅を製造するための方法であって、以下を含む方法:
発明1~6いずれか1項の方法に従った銅鉱石を評価する工程:
銅鉱石から銅を浸出させる工程:
銅の浸出液から電気銅を精製する工程。
銅鉱石から鉄(III)イオンを含む溶液により銅を浸出させて、浸出銅量Bを測定する第2工程。
これにより、カラム試験での浸出量に、より近い見積もり値を得ることができる。そして、採用すべき適切な浸出方法を判定することができる。
本願明細書で述べる銅鉱石は、粗鉱であってもよい。当該粗鉱は、様々な鉱物(例:硫砒銅鉱、黄銅鉱、輝銅鉱など)が混合された状態であってもよい。あるいは、本願明細書で述べる銅鉱石は、1種類の鉱物(単体鉱物)からなるものであってもよい。
Atacamite;
Azurite;
Malachite;
Tenorite;
Chrysocolla;
Cuprite;
Native Copper
本発明は、一実施形態において、銅鉱石(例、粗鉱及び/又は単体鉱物)からの銅の浸出量を予測するための方法を包含する。前記方法は、少なくとも以下の工程を含むことができる:
銅鉱石のサンプルから硫酸溶液により銅を浸出させて、浸出銅量Aを測定する第1工程;
銅鉱石のサンプルから鉄(III)イオンを含む溶液により銅を浸出させて、浸出銅量Bを測定する第2工程。
前記第1工程は、主に酸化銅に該当する浸出量を見積もることを目的とする。上述したように、酸化銅は硫酸に溶解しやすい性質を有する。従って、酸化銅に関する浸出量を見積もることが可能となる。
温度:20~40℃(好ましくは、20~30℃)
成分:硫酸(1~10%v/v、好ましくは、4~6%v/v)
時間:0.5~2h(好ましくは、0.8h~1.5h)
振盪速度:100rpm~200rpm
鉱石量:10~70g/L(粗鉱の場合)、0.5~1.0g/L(単体鉱物の場合)
鉱物の粒度:50~150μm
前記第2工程は、主に二次硫化銅鉱に該当する浸出量を見積もることを目的とする。上述したように、二次硫化銅鉱は三価のFeイオンを含む溶液に溶解しやすい性質を有する。
Cu2S+4Fe3+→2Cu2++4Fe2++S
温度:20~65℃(好ましくは、45~55℃)
pH:1.6~2.0(好ましくは、1.7~1.9、調整は行わなくてもよい)
成分:Fe3+(1~10g/L、好ましくは、4~6g/L)
時間:0.5h~200h(好ましくは、0.5~2h、又は、20~30h、又は150~180h)
振盪速度:100rpm~200rpm
鉱石量:10~70g/L(粗鉱の場合)、0.5~1.0g/L(単体鉱物の場合)
鉱物の粒度:50~150μm
なお、溶液成分については、他の物質を添加してもよい。
一実施形態において、本発明の方法では、銅鉱石に含まれる銅の総量を測定する第3工程を含むことができる。銅鉱石に含まれる銅の総量については、浸出後液を濾過後、アルカリ溶融・湿式分析(ICP-OES)の手法により測定することができる。また、銅の総量は、粗鉱に含まれる銅の量を直接測定して得ることができる。或いは、銅の総量は、浸出後液と浸出残渣それぞれに含まれる銅の量を合計して得ることができる。そして、銅の総量を算出することで、浸出率を算出することが可能になる。従って、サンプルから得られた見積もり量に基づき、カラム試験での浸出量を見積もることができる。
銅鉱石のサンプルを用いて上記分析を行った後は、カラム試験での銅の浸出を行うことができる。
例えば、上記分析結果を通して、銅鉱石において、酸化銅鉱の割合が大きいと判断される場合には、酸化銅鉱に適した浸出方法を採用することができる。また、上記分析結果で、銅鉱石において、二次硫化銅鉱の割合が大きいと判断される場合には、二次硫化銅鉱に適した浸出方法を採用することができる。酸化銅鉱や二次硫化銅鉱に適した浸出方法としては、限定されるものではないが、ダンプリーチングやヒープリーチング等が挙げられる。
前記分析方法は、様々な形での応用が可能である。例えば、複数の候補となる銅鉱石が存在する場合に、上記分析方法の結果に基づいて、特定の浸出方法(例:ヨウ素法、ダンプリーチング、ヒープリーチングなど)に適した銅鉱石を選択することができる。別の例では、採取された銅鉱石に最適な浸出方法を選択する場合に、上記分析方法の結果に基づいて、浸出方法を選択することができる。別の例では、採取された銅鉱石が、特定の浸出方法(例:ヨウ素法、ダンプリーチング、ヒープリーチングなど)に適しているかどうかを、上記分析方法の結果に基づいて、判断することができる。
本発明は、一実施形態において、電気銅を製造するための方法を包含することができる。前記方法は、上述した予測方法(「2.浸出量の予測方法」の項で記載した方法)を実施することを含むことができる。また、電気銅を製造するための方法は、浸出量の予測を行った後に、実際に銅鉱石から銅を浸出させる工程を含むことができる。銅を浸出させる工程については、上述した浸出方法(「3.カラム試験での浸出方法」の項で記載した方法)を実施することを含むことができる。前記工程を経て、銅の浸出液を得ることができる。得られた浸出液から、銅イオンを溶媒抽出(SX、Solvent Extraction)によって選択的に回収-濃縮することができる。そして、銅液から電解採取(EW、Electrowinning)により電気銅を生産することができる。
銅鉱石中の酸化銅鉱、一次硫化銅鉱、二次硫化銅鉱の割合を測定するため、シーケンシャル分析(比較例として)、1mカラム試験(参考例として)、及び、鉄(III)イオンを用いた分析法(実施例として)を行った。
シーケンシャル分析は、以下の手順で実施した。
(1)酸化銅鉱:一定粒度に粉砕したサンプルに硫酸を加え一定時間撹拌。溶出した銅を定量(CuAS)。
(2)二次硫化銅鉱:酸化銅鉱分析の固液分離で得られた固体部分にシアン化ナトリウム液を加え一定時間撹拌。溶出した銅を定量(CuCN)。
(3)一次硫化銅鉱:二次硫化銅鉱の固液分離で得られた固体部分に硝酸及び過塩素酸を加え、ホットプレート上で乾固後、塩酸と蒸留水を加え、固体を溶解。溶出した銅を定量(CuIns)。
1mカラム試験は、実操業スケールで得られる浸出結果と近い結果を得ることができる試験方法である。ただし、結果を得るまでに数カ月も時間がかかるという欠点がある。
鉄(III)イオンを用いた分析法は、以下の手順で実施した。
銅鉱石サンプルを少なくとも3つに分けた。1つめの銅鉱石サンプルに含まれる銅の総量(CuT)の測定を、分析機関に委託した。2つめの銅鉱石サンプルについては、以下の条件で、浸出させ、Cuの浸出量を測定した(CuAS)。
温度:25℃
成分:硫酸(5%v/v)
時間:1h
振盪速度:180rpm
鉱石量:40g/L
鉱物の粒度:-100μm(即ち、メッシュサイズ100μmの篩を通過するサイズ、以下同様)
温度:50℃
成分:Fe3+(5g/L)
時間:24h
振盪速度:120rpm
鉱石量:40g/L(粗鉱)、0.8g/L(単体鉱物)
鉱物の粒度:-100μm
異なる鉱山からサンプルとして4種類(サンプルA~D)の粗鉱を採用した。
いずれの粗鉱(サンプルA、B、D)においても、1mカラム試験による分析および鉄(III)イオンを用いた分析法の結果は、シーケンシャル分析の結果と類似した。一方、1mカラム試験の結果とシーケンシャル分析の結果の乖離があったJarosite・炭酸塩を含む試料(サンプルC)では、鉄(III)イオンを用いた分析法の結果はシーケンシャル分析の結果よりも、1mカラム試験の結果と近い結果になった。
Claims (7)
- 銅鉱石からの酸化銅、及び/又は二次硫化銅鉱に該当する銅の浸出量の見積もり方法であって、以下を含む方法:
銅鉱石から硫酸溶液により銅を浸出させて、酸化銅としての浸出銅量Aを測定する第1工程であって、鉱物の粒度150μm以下の浸出条件で実施する工程;及び
銅鉱石又は前記第1工程の浸出残渣から鉄(III)イオンを含む溶液により銅を浸出させて、浸出銅量Bを測定する第2工程であって、鉱物の粒度150μm以下の浸出条件で実施する工程であり、銅鉱石から浸出させる場合には、前記浸出銅量Bは酸化銅及び二次硫化銅鉱の合計としての浸出量であり、前記第1工程の浸出残渣から浸出させる場合には、前記浸出銅量Bは二次硫化銅鉱としての浸出量である、工程;
ここで、上記第2工程が銅鉱石から浸出させる場合、上記第1~2工程は任意の順序で行ってもよい。 - 請求項1の方法であって、銅鉱石中に含まれる全銅量Cを測定する第3工程を更に含む、該方法。
- 請求項2の方法であって、前記第1~3工程を少なくとも部分的に並行して実施する、該方法。
- 請求項3の方法であって、下記の関係に従って浸出率を見積もる工程を更に含む、該方法:
浸出銅量A及び全銅量Cの値に基づいて、浸出率aを見積もること;並びに
銅鉱石から浸出させた浸出銅量Bと浸出銅量Aとの差分、及び全銅量Cの値に基づいて、浸出率bを見積もること。 - 請求項2の方法であって、
前記第1工程で得られた残渣に対して、前記第2工程を実施する、
該方法。 - 請求項5の方法であって、下記の関係に従って浸出率を見積もる工程を更に含む、該方法:
浸出銅量A及び全銅量Cの値に基づいて、浸出率aを見積もること;並びに
浸出銅量B及び全銅量Cの値に基づいて、浸出率bを見積もること。 - 電気銅を製造するための方法であって、以下を含む方法:
請求項1~6いずれか1項の方法に従った銅鉱石を評価する工程:
銅鉱石から銅を浸出させる工程:
銅の浸出液から電気銅を精製する工程。
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