JP7291921B1 - α崩壊による放射エネルギー利用型電源装置及び発電方法 - Google Patents

α崩壊による放射エネルギー利用型電源装置及び発電方法 Download PDF

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Abstract

【課題】今までの大がかりなインフラ設備のエネルギー供給の形態とは全く異なる次世代型のエネルギー供給を可能とする電源装置及び発電方法を提供する【解決手段】ゼーベック効果を発生させる第1の金属300と第2の金属400の各一方の端部をホウ素からなる担体にウランとトリウムを担持させた一端側結合部100で繋ぐと共に、他方の端部を炭素からなる担体にウランとトリウムを担持させた他端結合部200で繋いだ接続構造を有し、一端側結合部を、ウラン(U)とトリウム(Th)のα崩壊により第1の温度まで上昇させ、他端結合部を、ウラン(U)とトリウム(Th)のα崩壊により第1の温度と異なる第2の温度まで上昇させ、第1の温度まで上昇した一端側結合部と第2の温度まで上昇した他端側結合部の相対的温度差に基づいてゼーベック効果によって電流を発生する電圧電源装置である。【選択図】図3

Description

本発明は、今までのいわゆる大がかりなインフラ設備としてのエネルギー供給の形態や近年利用の普及が考えられているいわゆる小型燃焼システムを利用したモジュール型のエネルギー供給の形態とは全く異なる次世代型のエネルギー供給を可能とするタイプの電源装置及びこれを用いた発電方法に関する。
図1は、従来技術及び本発明の範囲を含む電力供給の仕組みをシステマティックに示す概念図である。この概念図に含まれかつこの図の一部をなす従来技術の内容について説明する。この図1から分かるように、発電に必要なエネルギーは、自然界から得られる諸エネルギーを回転エネルギーに変換することによって得ることができる。
自然界で得られるエネルギーは、一度熱エネルギーに変換して活用・利用する方法と、自然界で得られる熱エネルギー及び石油・石炭のような熱エネルギー変換して動力エネルギーを得る方法とが一般的に活用・利用されている。
一方、近年利用の普及が考えられているいわゆる小型燃焼システムを利用したモジュール型のエネルギー供給の形態を有する電源モジュールが知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2010-135183号公報
上述した発電システムの内で例えば都市部から離れた場所に設置された原子力発電所や火力発電所、水力発電所で発電した電力を送電線で都市部に供給するシステムが現状では最も一般的となっている。しかしながら、このような大掛かりなインフラ設備は、一旦大地震や巨大台風の到来などの異常気象、テロ行為などによってシステム内の一部でも機能不全に陥ると、電力供給システムのインフラ全体が機能しなくなり重大な事態に陥る。
また、太陽光発電や風力発電、潮力発電、地熱発電などの自然エネルギーを利用した発電だけでは実際に必要とする発電量を到底まかなうことができず、その上発電した場所から前述のように同様に都市部等に送電線で電力を供給しなければならず、この過程で何かしらの問題が発生すると電力供給がストップして復旧に時間を要してしまう。
一方、上述したモジュール型の分散発電システムを利用して、このような大規模な電力供給の障害発生時に備えることも進められているが、このようなモジュール型の発電ユニットは通常燃料を燃焼して大量の熱エネルギーとして発生させてからこれを回転エネルギーに変換して電力として取り出す必要があるため、近年の地球温暖化の低減という重要な社会的課題に反してしまう。そのため、上述のようなそれぞれの発電システムの有する不都合な点を生じさせることのない画期的な電源装置の開発が喫緊の解決すべき課題となっている。
本発明の目的は、今までのいわゆる大がかりなインフラ設備としてのエネルギー供給の形態や近年利用の普及が考えられているいわゆる小型燃焼システムを利用したモジュール型のエネルギー供給の形態とは全く異なる次世代型のエネルギー供給を可能とするタイプの電源装置及びこれを用いた発電方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明の請求項1に係るα崩壊による放射エネルギー利用型電源装置は、
それぞれが一方の端部と他方の端部を有する形態をなし、かつゼーベック効果を発生させるのに適した異なる種類からなる第1の金属と第2の金属の各一方の端部をホウ素(B)からなる担体にウラン(U)とトリウム(Th)を担持させた一端側結合部を介して導通させた状態でつなぐと共に、他方の端部を炭素(C)からなる担体にウラン(U)とトリウム(Th)を担持させた他端結合部を介して導通させた状態でつないだ接続構造を有し、
前記ホウ素(B)からなる担体にウラン(U)とトリウム(Th)を担持させた一端側結合部は、ウラン(U)とトリウム(Th)のα崩壊により発熱させて第1の温度まで上昇するように形成されており、
前記炭素(C)からなる担体にウラン(U)とトリウム(Th)を担持させた他端結合部は、ウラン(U)とトリウム(Th)のα崩壊により発熱させて前記第1の温度と異なる第2の温度まで上昇するように形成されており、
前記第1の金属には第1の出力端子部が備わり、かつ前記第2の金属には前記第1の出力端子部とは異なる第2の出力端子部が備わり、
前記第1の温度まで上昇した一端側結合部と前記第2の温度まで上昇した他端側結合部の相対的温度差に基づいてゼーベック効果によって発生する電流を前記第1の出力端子部と第2の出力端子部を介して原子誘起電圧電源装置として出力可能な構造を有することを特徴としている。
また、本発明の請求項2に係るα崩壊による放射エネルギー利用型発電方法は、
それぞれが一方の端部と他方の端部を有する形態をなし、かつゼーベック効果を発生させるのに適した異なる種類からなる第1の金属と第2の金属を用意し、
前記第1の金属と第2の金属の各一方の端部をホウ素(B)からなる担体にウラン(U)とトリウム(Th)を担持させた一端側結合部を介して導通させた状態でつなぐと共に、他方の端部を炭素(C)からなる担体にウラン(U)とトリウム(Th)を担持させた他端結合部を介して導通させた状態でつなぎ、
前記ホウ素(B)からなる担体にウラン(U)とトリウム(Th)を担持させた一端側結合部を、ウラン(U)とトリウム(Th)のα崩壊により発熱させて第1の温度まで上昇させ、
前記炭素(C)からなる担体にウラン(U)とトリウム(Th)を担持させた他端結合部を、ウラン(U)とトリウム(Th)のα崩壊により発熱させて前記第1の温度と異なる第2の温度まで上昇させ、
前記第1の金属に第1の出力端子部を導通接続し、かつ前記第2の金属に第2の出力端子部を導通接続し、
前記第1の温度まで上昇した一端側結合部と前記第2の温度まで上昇した他端側結合部の相対的温度差に基づいてゼーベック効果によって発生する電流を前記第1の金属に導通接続した第1の出力端子部と前記第2の金属に導通接続した前記第1の出力端子部とは異なる第2の出力端子部を介して原子誘起電圧電源装置として利用することを特徴としている。
また、本発明の請求項3に係るα崩壊による放射エネルギー利用型電源装置は、請求項1に記載のα崩壊による放射エネルギー利用型発電方法において、
前記ウラン(U)は、当該ウラン(U)の同位体の核種である質量数238の天然放射性元素からなり、前記トリウム(Th)は、質量数232の天然放射性元素からなることを特徴としている。
また、本発明の請求項4に係るα崩壊による放射エネルギー利用型発電方法は、請求項2に記載のα崩壊による放射エネルギー利用型発電方法において、
前記ウラン(U)は、当該ウラン(U)の同位体の核種である質量数238の天然放射性元素からなり、前記トリウム(Th)は、質量数232の天然放射性元素からなることを特徴とすることを特徴としている。
また、本発明の請求項5に係るα崩壊による放射エネルギー利用型電源装置は、
請求項1又は請求項3に記載のα崩壊による放射エネルギー利用型電源装置を複数備え、各α崩壊による放射エネルギー利用型電源装置の第1の出力端子部と第2の出力端子部を直列接続や並列接続によって前記複数のα崩壊による放射エネルギー利用型電源装置で発生した電力をα崩壊による放射エネルギー利用電源発電ユニットやα崩壊による放射エネルギー利用型発電デバイスとして外部にまとめて供給可能な出力端子部を備えたことを特徴としている。
また、本発明の請求項6に係るα崩壊による放射エネルギー利用型電源方法は、
請求項2又は請求項4に記載のα崩壊による放射エネルギー利用型発電方法を実施するにあたって、それぞれのα崩壊による放射エネルギー利用型発電方法における第1の出力端子部と第2の出力端子部を直列接続や並列接続によって前記複数のα崩壊による放射エネルギー利用型電源装置で発生した電力を外部にまとめて供給することを特徴としている。
本発明によると、今までのいわゆる大がかりなインフラ設備としてのエネルギー供給の形態や近年利用の普及が考えられているいわゆる小型燃焼システムを利用したモジュール型のエネルギー供給の形態とは全く異なる次世代型のエネルギー供給を可能とするタイプの電源装置及びこれを用いた発電方法であるα崩壊による放射エネルギー利用型電源装置及び発電方法を提供することができる。
従来技術及び本発明の範囲を含む電力供給の仕組みをシステマティックに示す概念図である。 本発明に係るα崩壊による放射エネルギー利用型電源装置及び発電方法を実施するにあたって必要な原理となる説明図であり、本発明の構成する閉回路において電流の流れと電子の流れを説明する図である。 本発明に係るα崩壊による放射エネルギー利用型電源装置及び発電方法の実施例としての概略構成図である。 図3に側面視で示したモジュール型の実施例に関して、その左半分を図3における高温発熱側接点より上側に位置する鉄でてきた導体パネルの上側面に沿って示した平面図、その右半分を低温発熱側接点の上面側に沿って示した平面図である。 上述した実施例に係る電源モジュールを互いに直列接続することで発電ユニットや発電デバイスの形態とした応用変形例を概略的に示す説明図である。 上述した実施例に係る電源モジュールを互いに並列接続することで発電ユニットや発電デバイスの形態とした応用変形例を概略的に示す説明図である。
以下、本発明の一実施形態に係るα崩壊による放射エネルギー利用型電源装置及び発電方法について図面に基づいて説明する。なお、本実施形態は、あくまで本発明の一例を示したものに過ぎず、本発明がこの形態に限定されるものでは無い。即ち、本発明の作用を発揮し得る範囲内であれば、その各構成要素の形状、寸法、材質、個数を適宜変更可能である。
図2は、本発明に係るα崩壊による放射エネルギー利用型電源装置及び発電方法を実施するにあたって必要な原理となる説明図であり、本発明の構成する閉回路において電流の流れと電子の流れを説明する図である。
本発明の一実施形態に係るα崩壊による放射エネルギー利用型電源装置は、金属パネルの形態をなし、電気の導通に伴う発熱に対して長期にわたって十分に耐え得ると共に、機械的変形にも十分に耐え得る第1の金属である銅(Cu)と第2の金属部材である鉄(Fe)を有している。なお、金属パネルの形態の代わりに、各金属の抵抗値を勘案した適当な太さとして寸法決めしたいわゆる公知の金属の撚り線の形態をなす電線の形態を成していても良い。
そして、第1の金属部材と第2の金属部材のそれぞれの一方の端部(図2における左側の端部)は、ホウ素(B)からなる担体にウラン(U)とトリウム(Th)を担持させた一端側結合部を介して導通させた状態でつないだ接続構造となっている。なお、ホウ素(B)からなる担体にウラン(U)とトリウム(Th)を担持させた一端側結合部は、ウラン(U)とトリウム(Th)のα崩壊により発熱させて第1の温度まで上昇するように形成されている。
また、第1の金属部材と第2の金属部材のそれぞれの他方の端部(図2における右側の端部)は、炭素(C)からなる担体にウラン(U)とトリウム(Th)を担持させた他端結合部を介して導通させた状態でつないだ接続構造となっている。
なお、炭素(C)からなる担体にウラン(U)とトリウム(Th)を担持させた他端結合部は、ウラン(U)とトリウム(Th)のα崩壊により発熱して一端側結合部において上昇する第1の温度と異なる第2の温度まで上昇するように形成されている。
そして、このように、一端接続部と他端接続部を導通させることで、本発明において重要な部分をなす他には見られない特徴的構造である電気的な閉回路を形成するようになっている。
また、銅(Cu)でできた第1の金属部材の所定部分には、図2に示すようにこの金属部材と電気的導通した第1の出力端子部が備わっている。
また、鉄(Fe)でできた第2の金属部材の所定部分には、図2に示すようにこの金属部材と電気的導通した第2の出力端子部が備わっている。
図2に示す内容から分かるように、一端側結合部が上昇する第1の温度と他端側結合部が上昇する第2の温度との間で温度差が生じることで、ゼーベック効果を発生させるのに適した異なる種類からなる第1の金属部材である銅(Cu)と第2の金属部材である鉄(Fe)の閉回路の中で図2における時計回り方向に電流(反時計回り方向に電子の流れ)を生じさせるようになっている。
このように第1の温度まで上昇した第1の金属部材と第2の金属部材の一端側結合部と、第2の温度まで上昇した第1の金属部材と第2の金属部材の他端側結合部の相対的温度差に基づいてゼーベック効果によってこの第1の金属部材と第2の金属部材で形成される閉回路において発生する電流を第1の出力端子部と第2の出力端子部を介して電気的に取り出して電源として活用するようになっている。
なお、本発明において必要なゼーベック効果を生じさせる第1の金属部材と第2の金属部材の組み合わせは、上述した銅(Cu)と鉄(Fe)に限定されず、以下のような組み合わせも本発明の範囲に含まれる。具体的には、中性原子の核外電子配置から核外電子数が1と2の組み合わせが望ましい。例えば、47Ag(銀)と40Zr(ジルコニウム)若しくは47Ag(銀)と26Fe(鉄):など様々な組み合わせが考えられる。しかしながら、29Cu(銅)と26Fe(鉄)の組み合わせがコスト面で最も優れており、地球上に豊富であることから最適と本発明の発明者は考える。
続いて、本発明に係るα崩壊による放射エネルギー利用型電源装置(原子誘起電圧電源装置)についてのより具体的部な構成を以下に説明する。本実施形態においては、上述したゼーベック効果を生じさせるため、一端側結合部が高い温度まで発熱する高温接点となっており、他端側結合部が常温よりも発熱するが高温接点ほど高い温度までは発熱しない低温接点となっている。高温接点と低温接点の具体的構成は以下の通りとなっている。
高温接点は、原子番号5、質量数11のホウ素(B)からなる担体に原子番号92のウラン(ウラニウム:U)の同位体のうち最も半減期(寿命)が長くかつ自然界において99.2742%の比率で最も多く存在する質量数238の核種を担持させると共に、原子番号90のトリウム(Th)の同位体のうち実質的に自然界に100%の比率で存在する質量数232の核種を担持させたパネル状の形態を有している。
一方、低温接点は、原子番号6、質量数12の炭酸(C)からなる担体に原子番号92のウラン(ウラニウム:U)の同位体のうち最も半減期(寿命)が長くかつ自然界において99.2742%の比率で最も多く存在する質量数238の核種を担持させると共に、原子番号90のトリウム(Th)のうち実質的に自然界に100%の比率で存在する質量数232の核種を担持させたパネル状の形態を有している。
そして、原子番号26の鉄(Fe)と原子番号29の銅(Cu)のそれぞれの一端側を一方の接続部とし、この一方の接続部である一端側接続部に上述した構成からなる高温接点を配置すると共に、他方の接続部を上述した構成からなる他端側接続部とし、この他方が接続部である他端側接続部に低温接点を配置することにより、図2に示すような閉回路を形成させる。
そして、図2に示す高温接点と低温接点のそれぞれに生じる常温よりも温度が高いが相対的に温度上昇の異なる現象を利用して、ゼーベック効果により閉回路の一端側接続部と図2の閉回路において時計方向周りに電流の流れ、即ち反時計方向周りに電子の流れを生じさせる。この画期的な構成を着想した発明者の知見は以下の通りとなる。
(1)鉄(Fe)から銅(Cu)へ電子(e-)が流れる。(2)また、電子(e-)の数は、高温接点の方が低温接点より多い。(3)また、鉄(Fe)の薄膜パネル導体中では、高温(T)の部分が低温(To)の部分より「高電位」となり、電流(I)は、高温接点から低温接点の方向に流れる。
以上の(1)乃至(3)に基づくゼーベック効果を利用して、両接点間の原子誘起電圧ΔV=(ゼーベック係数)×(T-To)を生じさせる。
このように、本発明の原点としては、熱エネルギーを(本発明においては原子番号92、それぞれホウ素(B)の担体及び炭素(C)の単体に別々に担持させた質量数238のウラン(U:ウラニウム)及び原子番号90、質量数232のトリウム(Th)の一方の接点及び他方の接点において生じる天然放射性元素のいわゆる「α崩壊」による放射エネルギーを熱エネルギーに各接点において半永久的に変換せしめることに特徴がある。なお、ここでいう「半永久的」の意味は、238Uの半減期が約45億年であることに基づいている。
つまり、上述の担体の種類の相違に基づくこれら各接点における発熱量の違いを利用して、一方の接点をなす一方の導体結合部と他方の導体結合部においてのみ電気的に導通し、それ以外は互いに電気的に絶縁することで、いわゆるゼーベック効果の発生に適した2つの導電体のうち一方の導電体として鉄(Fe)を用い、他方の導電体として銅(Cu)を用いることで効率的かつ半永久に熱起電力を発生させるようにしたことを発明者が発見した画期的な原理に基づいている。
即ち、上述の原理を活用・利用して「熱電発電」に必要な熱エネルギーであって例えば半減期が約45億年という半永久的な時間の238Uや、同じく半減期が約140億年という半永久的な時間の232Thを用いると共に、これらの担体であるホウ素(B)及び炭素(C)パネルの形態として上述の自然放射性物質の担持することによって、現状の大規模設備とならざるを得ない原子力発電、燃料燃焼型の発電システムや、同じく大規模設備となるが天候などの自然条件に左右されて十分な量の電力の安定的供給を行うことができない水力発電、風力発電、太陽光発電、潮力発電、地熱発電等に遥かにまさる原子誘起発電装置(電源モジュール、発電ユニットや発電デバイス)を本発明の発明者が着想したことに顕著なる技術的意義があると言える。
なお、上述したように一方の導電体として鉄(Fe)を用い、他方の導電体として銅(Cu)を用いたが、この理由としては、それぞれの電気抵抗値(Ωm)が、鉄(Fe)の場合、9.71×10-8Ωm、銅(Cu)の場合、1.71×10-8Ωmであり、ゼーベック効果を利用した極めて効率的な発電装置(電源モジュールや発電ユニット、発電デバイス)として最も優れた形態とすることができるためである。
しかしながら、ゼーベック効果を利用して上述の説明と同等の発電を行えるものであれば、これらの導電体と異なる種類であるが本発明の効果を発揮する面で等価的な材質の導電体を利用可能であることは言うまでもない。
ここで、一方の接点である一端側接続部における発熱量及び他方の接点である他端側接続部における発熱量について説明する。最初に、一方の接点である一端側接続部における発熱量について述べる。
Figure 0007291921000002
続いて、他方の接点である他端側接続部における発熱量について述べる。
Figure 0007291921000003
そして、上述した通り、本発明に係る原子誘起型発電装置の好ましい各構成要素の質量や含有量の目安としては、以下の内容が考えられる。具体的には、高温発熱接点及び低温発熱接点を構成するにあたって、合計4種類の原子(高温発熱接点においては、2種類の天然放射性元素+これを担持する担体となる1種類の原子からなり、低温発熱接点においては、高温発熱接点と同一の2種類の天然放射性元素+これを担持する担体であって高温発熱接点とは異なる1種類の原子)を含有し、粉末或いは微粉、超微粉の混合したパネル、薄膜シート、紙シート、塗布材である放射性元素を含有したパネルなどの様々な形態が考えられる。
なお、より好ましくは、高温接点側の発熱パネル、即ち、238U及び原子番号90、232Thの放射性元素を担持した原子番号5、質量数11のホウ素原子(B)の担体からなる発熱パネルは、それぞれの量が以下の範囲内の含有量となっているのが良い。
・ウラニウム(238U)・・・・・・・・・1000ppm~1g
・トリウム(232Th)・・・・・・・・・・・・1000ppm~1g
・ホウ素(B)・・・・・・・・・・・・・500ppm~10g
また、低温接点側の発熱パネル、即ち、原子番号92、質量数238のウラン原子(U:ウラニウム)及び原子番号90、質量数232のトリウム原子(Th)の放射性元素を担持した原子番号6の炭素原子(C)の担体からなる発熱パネルは、それぞれの量が以下の範囲内の含有量となっているのが良い。
・ウラニウム(238U)・・・・・・・・・1000ppm~1g
・トリウム(232Th)・・・・・・・・・・・・1000ppm~1g
・炭素(C)・・・・・・・・・・・・・・500ppm~10g
即ち、本実施形態においては、好ましい物質の組み合わせの一例として、以下の通りとなっている。具体的には、「α崩壊」による放射エネルギー源の放射性元素として、原子番号92のウラン(U)と原子番号90のトリウム(Th)の2原子とし、より具体的には、ウラン(U)については、自然界において同位体としての存在比が最も大きく、廉価で入手容易な質量数238の核種を用い、トリウム(Th)についても、同位体として実質的にほぼ100%の存在率となる質量数232の核種を用いる。
また、熱エネルギーを電気エネルギーに変換される場合に活用・利用する原子、即ち上記のウラン(U)とトリウム(Th)を担持する担体として、高温発熱接点側に使用する物質は原子番号5のホウ素(B)を使用し、低温発熱接点側に使用する物質は原子番号6の炭素(C)を用いてこれら4つの原子を活用するようになっている。
更に好ましくは、装置内に内蔵される放射性元素の量は、1装置当り10Kg前後の含有量を有した状態で発電装置に内蔵されている形態であるのが良い。
以下に、本発明の発明者が上述した優れた発明を着想するに至った根拠となる科学技術内容について説明する。最初に、α崩壊による放射性元素の活用・利用を図ることが、例えばβ線(β粒子)や宇宙線と比較して以下に大きな放射エネルギーを発生するかについて説明する。
(i)α粒子及びβ粒子の最大エネルギーは以下の通りである。
・α-Ray・・・1.83~11.7MeV
・β-Ray・・・0.2~8MeV
(ii)なお、宇宙線の最大のエネルギーは、>50MeVである。
これによって、本発明に係る原子誘起発電装置(電源モジュール、発電ユニットや発電デバイス)が極めて小型ながら、如何に効率良くエネルギーを達成できることが理解できる。
以上に加えて、本発明の発明者が上述の実施形態で説明した2種類の金属、鉄(Fe)、銅(Cu)の薄膜パネルを接続して作った閉回路の接点に放射し、「熱電効果」を活用・利用し「原子誘起電圧」発生を達成することを図るようにすることで効率良くエネルギーを発生させて供給する。
図1は、上述した背景技術及び解決すべき課題で説明した図であり、従来技術及び本発明の範囲を含む電力供給の仕組みをシステマティックに示す概念図である。そして、本発明の位置付けとしては、同図面の右上に示す原子力エネルギーに基づき、右下の原子核変換による質量損失をエネルギーとして取り出すことで図面の下側に示す電力供給に結び付ける位置付けとなっている。
即ち、この図面及び従来例としての背景技術や解決すべき課題で説明した欠点を全て回避し、自然界の影響を受けることなく特定の諸元素からなる物質の特性や・性質を利用し熱エネルギーを電力エネルギーに変換する発電装置と発電方法を発見(着想)するに至ったことに画期的な技術的意義を有するものである。
本発明の位置付けとしては、同図面の右上に示す原子力エネルギーに基づき、右下の原子核変換による質量損失をエネルギーとして取り出すことで図面の下側に示す電力供給に結び付ける位置付けとなっている。即ち、この図面及び従来例としての背景技術や解決すべき課題で説明した欠点を全て回避し、自然界の影響を受けることなく特定の諸元素からなる物質の特性や・性質を利用し熱エネルギーを電力エネルギーに変換する発電装置と発電方法を発見(着想)するに至ったことに画期的な技術的意義を有するものである。
これを言い換えると、従来からのエネルギーの発生及び供給に伴う発電システムにおいては、自然界から得られる諸エネルギーを回転エネルギーに変換することが必須であり、この自然界の諸エネルギーを回転エネルギーに変換するために極めて規模の大きい発電設備に頼らなければならず、発電設備自体の製造コストは莫大なものとなってしまう。
また、風力発電や水力発電、太陽光発電、地熱発電、潮力発電極等に関しては、その自然エネルギーを効率的に利用するために設置場所が限定されるとともに、極めて規模が大きい発電設備となるが故に都市部や地方の人口密集地、工業地帯とはかなり離れた地域に設置してこれら都市部や地方の人口密集地、工業地帯に電力を送電する大がかりで設置コストが巨額になる送電設備も合わせて設置しなければならない。
また、原子力発電に関する設備については、その燃料制御棒の冷却システムが大がかりになるために海岸に隣接させて設置しなければならず、ユーラシアプレートと太平洋プレートとフィリピン海プレートと北米プレートの境界領域に位置する我が国にとっては、いつ何時発生するか分からない巨大地震とそれに伴う津波による冷却システムの突然の作動不能とこれに伴う燃料制御棒による核燃料の燃焼制御不能、ウラン(U)235の臨界状態の維持喪失という重大かつ深刻な問題を常に抱えている。これは、地震に基づく津波に限らず、近年の国際情勢の変化に伴うテロ行為や地域紛争、国家間の紛争としての戦争等の予期せぬ偶発的なできごとによっても生じる危険性が考えられる。
更には、このような原子力発電においては、核燃料としてのウラン(U)235の海外からの入手及び核廃棄物の処理等の二次的であるが極めて重要な問題が伴っている。一方、地域分散型の発電システムとして例えば住宅の屋根に太陽光パネルを設置して電力を書く過程である程度自給自足することも普及しつつあるが、上述と同様に太陽光による良好な日照状態などの自然環境によってその発電効果かなり左右されることに加え、そもそも個人の住宅においてこのような太陽光パネルを屋根に設置して良好な発電状態を維持し続けるためのコストがかなり嵩んでしまう上に、近年の異常気象に伴う巨大台風の到来や線状降水帯による集中豪雨、突発的な竜巻の襲来などによってコストをかけてせっかく設置太陽光パネルが一気に損壊して発電装置としての役割を果たさなくなる恐れを常に抱えている。
また、同様の地域分散型の発電システムの1つとして、ガス燃料の燃焼によるモジュール型の小型発電装置が知られているが、小型といってもそれなりに大きいものとなり、廉価な値段で住宅地や商業ビル、工場等に簡単に設置することができるものではない。
これに加えて、メンテナンスにかなり費用を要してしまい、かつ上述と同様に発電のために常に調達し続けなければならないガス燃料の入手が国際情勢の変化等によって突発的に困難になったり、ガス燃料の入手コストが急激に上昇してこの燃料装置を稼働させても燃料コストに見合う発電量を得ることができなくなったりするという予見不可能な想定外のリスクを常に抱えていなければならない。
しかしながら、本発明に係る画期的な発電装置及び発電方法によると、上述のような様々な問題を一気に解決することが可能となる。つまり、本発明の実施をきっかけとして、エネルギー新時代の幕開けを迎えることができる。具体的には、物質(諸原子)の特性・性質を活用・利用し、直流の「原子誘起発電」を発生し、電力を供給する方法及び装置について利用可能な時代となる。
続いて、以上説明した本発明の基本的概念とその基本的構成に基づいて、本発明に係るα崩壊による放射エネルギー利用型電源装置を単体の発電デバイスとして若しくは例えば積層させて発電ユニットとして実現できる具体的な概略寸法の一例を示した実施例について説明する。
この実施例を通して、本発明に係るα崩壊による放射エネルギー利用型発電装置が従来とは全く異なる、即ち従来では存在し得ない例えば人々が日常的に使っているノートパソコン、手提げかばん、より小型では弁当箱程度の使う非常に小型の発電装置を可能であることが理解できる。
具体的には、図3及び図4に示す形状及び寸法からなるモジュールを本発明において使用するようになっている。図3及び図4は、本発明に係るα崩壊による放射エネルギー利用型電源装置及び発電方法の実施例としての概略構成図である。より具体的には、図3は、本発明の発明者が今までにない画期的な発電装置として名づけた「原子誘起発電型電源装置」の最小単位をなすモジュールの実施例をその長手方向に沿って側面視で示した概略構成図である。また、図4は、図3に側面視で示したモジュール型の実施例に関して、その左半分を図3における高温発熱側接点より上側に位置する鉄でてきた導体パネルの上側面に沿って示した平面図、その右半分を低温発熱側接点の上面側に沿って示した平面図である。
この原子誘起発電型電源装置10(以下、単に「電源モジュール10」とする)は、高温側発熱接点100と、低温側発熱接点200と、ゼーベック効果を発生させる一方の導電体300と、一方の導電体300と異なる金属からなる他方の導電体400のそれぞれが厚さの薄いパネル形状をなしている。また、一方の導電体300には一方の出力端子部301が備わり、他方の導電体400には他方の出力端子部401が備わっている。そして、本実施例における電源モジュール10全体及びこれらを構成する各要素について寸法は以下の通りとなっている。
電源モジュール全体の大きさは、長さ40cm、幅20cmをなし、厚みについては以下に説明する各要素の厚みの合計にほぼ等しい極めて薄い厚みとなっている。
一方の導電体300は、長さ30cm、幅20cm、厚さ1mmの寸法を有する矩形状の鉄(Fe)でできた薄板パネルからなる。また、他方の導電体400も、一方の導体パネルと同一寸法である長さ30cm、幅20cm、厚さ1mmの寸法を有する矩形状の銅(Cu)でできた薄板パネルからなる。なお、図5においては、これら一方の導体パネル及び他方が導体パネルの長手方向は、図面上の左右方向に合致し、幅方向は図面をなす紙面を直交する方向に合致している。
また、高温側発熱接点100は、長さ20cm、幅5cm、厚さ1mmの外径寸法をなし、ホウ素(B)を担体として上述した原子番号92のウラン(U)の同位体のうち、質量数238の核種、及び原子番号90のトリウム(Th)の同位体のうち、質量数232の核種を担持している薄板パネル形状をなしている。
そして、高温発熱側接点100は、一方の導体パネル300及び他方の導体パネル400の一端側(図3及び図4における左側)において電気的に導通接続され、低温発熱側接点200は、一方の導体パネル300及び他方の導体パネル400の他端側(図3及び図4における右側)において電気的に導通接続されている。
また、低温発熱側接点200についても、高温発熱側接点100と同様の寸法、即ち、長さ20cm、幅5cm、厚さ1mmの外径寸法をなし、炭素(C)を担体として高温発熱側接点100と同様に原子番号92のウラン(U)の同位体のうち、質量数238の核種、及び原子番号90のトリウム(Th)の同位体のうち、質量数232の核種を担持している薄板パネル形状をなしている。
なお、図3及び図4においては、これら高温発熱側接点及び低温発熱側接点の双方とも、それらの長手方向は図面をなす紙面を直交する方向に合致し、幅方向は図面上の左右方向に合致している。
以上の説明から分かるように、一方の導体パネル300及び他方の導体パネル400と、高温発熱側接点100及び低温発熱側接点200は、互いの長手方向が直交している。そして、図3及び図4から分かるように、高温側発熱接点300と低温側発熱接点400のそれぞれの幅方向が一方及び他方の導体パネルの両端部からこのパネルの長手方向に沿って更に延在する形態をなしており、これらを組み合わせたモジュールの長手方向の長さが40cmとなっている。
なお、上述の実施例に係るα崩壊による放射エネルギー利用型電源装置を複数備え、各α崩壊による放射エネルギー利用型電源装置の一方の出力端子部301と他方の出力端子部401を直列接続や並列接続によって複数のα崩壊による放射エネルギー利用型電源装置で発生した電力をα崩壊による放射エネルギー利用電源発電ユニットやα崩壊による放射エネルギー利用型発電デバイスとして外部にまとめて供給可能としても良い。即ち、本発明に係る原子誘起発電型発電装置の大きさは、その発電量に応じて以下のような幾つかの種類の形態として適宜選択して決定することができる。
上述した発電ユニットや発電デバイスの構成の基本的考え方を図面に基づいて説明する。図5及び図6は、本発明の実際の使用形態に適したこの幾つかの種類の形態を概略的に示す説明図である。即ち、図5は、上述した実施例に係る電源モジュール10A(1),10A(2),10A(3),・・・10A(n-1),10A(n) (nは2以上の自然数)を互いに直列接続することで発電ユニットや発電デバイスの形態とした応用変形例を概略的に示す説明図である。また、図6は、上述した実施例に係る電源モジュール10B(1),10B(2),10B(3),・・・10B(n-1),10B(n) (nは2以上の自然数)を互いに並列接続することで発電ユニットや発電デバイスの形態とした応用変形例を概略的に示す説明図である。
つまり、最も小型のものとしてはモジュールタイプのもので、上述した図2で示した薄膜パネルを適当な枚数積層させたモジュール集合体(薄膜パネルアセンブリ)の形態をなす。そして、より発電量の大きいものとしては、このモジュール集合体からなり、モジュール集合体は、モジュール数をn個電気的に直列に接続したタイプ(図5参照)や、同じくモジュール数をn個並列接続したタイプ、もしくはこれらの組み合わせの構成として実現可能である。
即ち、図4に示す直列モジュール接続の形態の場合、その個数に応じて例えばモジュールが1つの場合、1×モジュール単体出力電圧(V)~モジュールがn個の場合、n×モジュール単体出力電圧(V)まで出力電圧を変えることができる。なお、直列モジュール接続の場合、出力電流は、モジュール数によらずモジュール単体出力電流(A)として一定である。
一方、図5に示す並列モジュール接続の形態の場合、その個数に応じてモジュールが1個の場合からn個の場合まで組み合わせた場合、出力電圧は×モジュール単体出力電圧(V)として一定であるが、出力電流はモジュール数n×I(A)となる。
更に発電量の大きいものとしては、上述したモジュール集合体を更に直列接続又は並列接続もしくはこれらの組み合わせからなるユニット集合体の形態をなす発電デバイスが考えられる。つまり、本発明に係る原子誘起電源装置は、その様々な組み合わせによってTPOに合わせたオーダーメイドの電源装置をタイムリーに供給することが可能である。
具体的には、大きさ及び発電量の小さいモジュールタイプの電源装置でであれば、例えば図3に示す構成で出力が1ボルトの場合、これを5個直列につなぐことで非常時のライトの電源や携帯電話、防災無線通信の傍受用機器、パソコンやテレビ・ラジオなどの独立した電源として通常のバッテリーの電源消費量などを気にせずに使用し続けることができる。また、これより規模が大きいユニットタイプで出力が100ボルト程度のユニットタイプのものであれば、1つの家庭の消費電力を賄う独立した電源装置として半永久的に使用し続けたり、電気自動車や電動式オートバイ、バッテリーアシスト自転車等の充電ステーションに設置して半永久的に使用し続けることができる。
更には、より規模が大きいデバイスタイプで出力が1,000ボルト程度のデバイスタイプのものであれば、これを降圧してこの電源を設置した周囲の地域の独立した電力として半永久的に供給することが可能となる。また、このデバイスタイプの程度の規模の電源であれば、工場やビルなどに電力を供給する独立した電源として使用することも可能となる。更には、大規模災害時において電力供給インフラが機能不全に陥って復旧9のめどが立たなくなった場合であっても、バックアップ電源として半永久的に使用し続けることが可能となる。
なお、本実施形態は、あくまで本発明の一例を示したものに過ぎず、本発明がこの形態に限定されるものでは無い。即ち、本発明の作用を発揮し得る範囲内であれば、その各構成要素の形状、寸法、材質、個数を適宜変更可能であることは言うまでもない。
最後に、現状の地球環境の急激な変化、即ち燃焼エネルギーによって発生する地球温暖化の問題に関する根本的対策、電力供給に必要なエネルギーの元となる燃料資源の枯渇化の問題の解決、異常気象に伴う巨大台風や規模の大きい低気圧の通過、線状降水帯による集中豪雨の発生、竜巻等の発生や襲来、大地震等の突発的かつ深刻な自然災害に基づく既存の大規模の発電エネルギーインフラの突然の瓦解及び喪失を解決するため今後の地球規模のエネルギー供給に必要な発明者の知見について以下に記載する。
2100年に向かって、我々はエネルギー問題について、次の視点で考え方とエネルギー確保・維持に変革を求める時代となった。今後の動力エネルギーの方向性は、以下の通りになると本発明の発明者は考えている。
(a)交流(AC)利用から直流(DC)利用の時代へ
(b)小口電力利用、大口電力利用の考え方、変革時代へ
(c)電力の送電・配電のしくみ変革時代へ
(d)交流電力発電の考え方、変革時代へ
(e)化学反応に伴う電池、バッテリー、無用時代へ
(f)高電圧、高電力無用時代へ
今後の進み具合としては以上のような指向性を持ち、時代の変革を求める考え方に進みつつあるように見えてきたようである。このようなことから、時代の流れは本発明の発明者が先陣を切って提案した原子誘起電源装置の期待が高まり、「費用対効果」の所見が期待できるものと本発明の発明者は確信してやまない。
以下に本発明の技術的意義について再確認の意味合いで記載する。実際のところ現状では世界中の様々な国々で235U(ウラン)を燃料として利用した原子力発電所にエネルギーの供給元としての役目を果たすことに頼っている。しかしながら、原子力発電で使用される235U(ウラン)は同位体としての天然ウランのうち0.7%しか含まれておらず、この含有量を3%から5%まで高めて燃料として使用することが必要である。
これに伴いウラン(U)235の核分裂連鎖反応を制御するために中性子を吸収する制御棒や中性子の速度を弱める中性子の減速材としての水、核分裂の連鎖反応によって生じた膨大な熱エネルギーを原子炉の外に取り出すための冷却水、予期せぬ外的要因により核分裂反応を制御不能にならないようにするための非常用電源や減速材供給のためのバックアップ設備、即ち非常時や緊急時に必ず作動させなければならない緊急炉心冷却装置を備えた極めて大がかりな原子炉及びその周辺設備の設置が必要になる。これに加えて、この原子力発電所から得られた電力を都市部等に供給するための大がかりな送電設備が必要になってくる。
以上のことから分かるように、今日の原子力発電所の活用・利用は「自然界の気象環境変化」の影響を受けることはないようであるが、放射能による「環境問題」及び「費用対効果」の問題を露呈しているようである。本発明の発明者はこのような現状及び近い将来に求められる要望に完全に応じることができる発明を提案するに至った次第である。
以下に、本発明の理解を助けるために本発明に関連した発明者の提供する補足説明について追記しておく。
(1)核変換反応に基づく発熱量について
(1-1)反応機構に関して
「化学反応」では、変化に関係した元素がそのまま残り、原子間の結合だけ変わる。「各化学反応」では新しい核種が生成するが、その核種は必ずしも同一の元素とは限らない。
(1-2)反応内容に関して
原子番号92(質量数238)U、1g当り、12,300個/Sの「α粒子」を放出する。2gであれば、2倍の「α粒子」を放出する。238Uの7.7%は4.195(MeV)23%は4.147(MeV)となる。
(1-3)化学反応において
熱の吸収発生は「反応物質」1モル当り(数千~数万カロリー程度)となる。この値は、238Uの「核」の「α崩壊」において。これは、放射されるエネルギーの100万分の一に過ぎない。
(1-4)92(238)Uの核化学反応において
熱の吸収発生に関して、1(MeV)=3.83×10-14(cal)となる。10,000(cal)=104/3.83×10-14≒2.6×1017(MeV)となる。1モル(mol)当たり・10,000(cal)の反応熱は、10,000(cal/mol)=2.6×1017/6.02×1023=4.34×10-7(MeV/mol)となる。
原子核反応に関して、多くの核反応で「複合核」が作られ、「複合核」は高いエネルギーに励起されて、10-12~10-14/S程度の時間には壊変すると考えられている。具体的には以下の通りとなる。
(2)天然放射性物質の壊変について
(2-1)原子番号7、質量数14の窒素原子(N):(標的核種)+α粒子(入射粒子)→原子番号1、質量数1の水素原子(H):(放出粒子)+原子番号8、質量数17の酸素原子(O):(生成核種)
(2-2)原子番号7、質量数14の窒素原子(N):(標的核種)+中性子(n)(入射粒子)→原子番号6、質量数14の炭素原子(C)+原子番号1、質量数1の水素原子(H):(放出粒子)
(2-3)「化学反応」と「核化学反応」の比較を行う。物質量とエネルギーの変化においては、「化学反応」では秤(しょう)量できる物質の量(mol)の変化が観察できる。一方、「核化学反応」では、一個一個の原子の原子変換を取り扱う。即ち、エネルギー変化は、電子ボルト(eV)で表す。
(2-4)原子核反応による発熱反応としては以下の通りとなる。
原子番号92、質量数238のウラン(U:ウラニウム)の崩壊→原子番号90、質量数232のトリウム(Th)+α粒子(ヘリウム(He)の原子核)
(2-5)崩壊による質量損失は以下の通りとなる。
(i)上記ウラン(U)の質量(mass)は、238.0289
(ii)上記トリウム(Th)の質量(mass)は、232.0381
(iii)上記α粒子の質量(mass)は、4.0026
(iv)以上に基づいて、崩壊による質量損失を計算すると以下の通りとなる。
238.0289(上記ウランの質量)-(232.0381(上記トリウムの質量)+4.0026(上記α粒子の質量))=(+)1.9882・・・・発熱反応である。(ここで、(+):発熱反応、(-):吸熱反応となる)
(3)その他の一般的事項
核変換反応に関して、1919年、ラザフォードは原子番号7、質量数14の窒素原子(N)の破壊実験を「α粒子」を使って、原子核から陽子(H)が飛び出したことを確認発表した。この核変換反応は以下の通りとなる。
(核変換反応式)
原子番号7、質量数14の窒素原子(N)+α粒子(2(4)He)→陽子(1(1))H)+原子番号8、質量数17の酸素原子(O)+エネルギーE
即ち、元素変換された反応が「核変換反応」であり、核反応によりエネルギー(E)が放出される。
ここで(+)Eの場合、発熱反応となり、(-)Eの場合、吸熱反応となる。そして、Eは質量欠損を示している。なお、いわゆる化学反応においても発熱反応や吸熱反応があるが、本発明の原理とは全く異なるものとなっている。
以上説明したように本発明の発明者が、自然界において豊富に存在している天然放射性元素について、原子番号92のウラン(U)の同位体のうち、存在比が99.2742%と極めて高くかつ半減期が約45億年と半永久的な質量数238の核種である238Uに着目すると共に、同じく天然放射性元素であって、天然に見出される存在比がほぼ100%でありかつ半減期が約140億年に着目し、これらに物質の特性の1つであるゼーベック効果を適用することで、簡単な構成を有し廉価でかつ大量生産可能なエネルギー源を着想したことに極めて優れた技術的意義が見出される。
そして、この発明を実施することによって、いわゆるスタンドアローンタイプの原子誘起型電圧電源装置として実際に実現することができ、この電源装置を個人レベルで携帯可能なモジュールタイプや、ユニットタイプ、特定の施設や地域の電力を単独で賄うことが可能なデバイスタイプなどの様々な形式で供給することが可能となる。
これによって、異常気象などの天災や、社会情勢の悪化などの人災による壊滅的な被害を受けて復帰不能な機能不全に陥る大規模なインフラの発電装置に代わる小型で携帯可能であり、それ自体で永続的に発電ができる原子誘起型発電装置を必要に応じて迅速かつ大量に生産して供給することができる。
また、大地震の発生やこれに伴う津波の到来、大型台風の襲来、大規模な竜巻の発生などの天災や原子力発電所に対するテロ行為や突発的に発生する地域紛争や国家間の戦争などの人災に基づく大規模災害によって、既存の巨大インフラをなす発電設備と送電システムが機能不全になった場合であっても、このような事態で孤立してしまった避難民の生活を助け、ひいては避難民の生命を守ることが可能となる。
更に付け加えると、上述したように238Uに関しては、存在比及び半減期の点で他のウラン(U)の同位体に比べて非常に勝っているが、現状では高速増殖炉において原子番号94のプルトニウム(239Pu)を包んだ形で燃料を作って核反応させているが、冷却材として1族元素のナトリウム(Na)とカリウム(K)の合金を液化した冷却材を使用することが必須となるため、ナトリウム(Na)が外部に漏れ出して空気中に触れて大惨事に生じてしまう根本的な問題があり、未だ実現化に様々な問題を含む大規模インフラの発電システムである。そのため、実際のところ、様々な国が莫大なコストをかけて実現化を試みて結局のところ頓挫してしまっている。
事実、わが国においても、高速増殖炉「もんじゅ」についてもナトリウム(Na)の漏出が問題となって、結局2016年に廃炉が決定されている。即ち、この巨大インフラをなす高速増殖炉については、開発の進捗どころか、それ自体の既存の廃炉処理に伴う問題を解決し続けていることが現状となっている。
上述の説明から、本発明によると、このような238Uを有効利用して地球規模で喫緊の解決すべき課題となっている地球温暖化や環境破壊を防ぎながら十分な量のエネルギーを供給して地球全体の人々の生活や社会活動をまかなっていく廉価で大量生産及びこれに基づく迅速な大量供給が可能な極めて斬新で優れた発明であることが理解できる。
10 原子誘起発電型電源装置(電源モジュール)
10A(1),10A(2),10A(3),・・・ 電源モジュール
10B(1),10B(2),10B(3),・・・ 電源モジュール
100 高温側発熱接点
200 低温側発熱接点
300 一方の導電体
301 一方の出力端子部
400 他方の導電体
401 他方の出力端子部

Claims (6)

  1. それぞれが一方の端部と他方の端部を有する形態をなし、かつゼーベック効果を発生させるのに適した異なる種類からなる第1の金属と第2の金属の各一方の端部をホウ素(B)からなる担体にウラン(U)とトリウム(Th)を担持させた一端側結合部を介して導通させた状態でつなぐと共に、他方の端部を炭素(C)からなる担体にウラン(U)とトリウム(Th)を担持させた他端結合部を介して導通させた状態でつないだ接続構造を有し、
    前記ホウ素(B)からなる担体にウラン(U)とトリウム(Th)を担持させた一端側結合部は、ウラン(U)とトリウム(Th)のα崩壊により発熱させて第1の温度まで上昇するように形成されており、
    前記炭素(C)からなる担体にウラン(U)とトリウム(Th)を担持させた他端結合部は、ウラン(U)とトリウム(Th)のα崩壊により発熱させて前記第1の温度と異なる第2の温度まで上昇するように形成されており、
    前記第1の金属には第1の出力端子部が備わり、かつ前記第2の金属には前記第1の出力端子部とは異なる第2の出力端子部が備わり、
    前記第1の温度まで上昇した一端側結合部と前記第2の温度まで上昇した他端側結合部の相対的温度差に基づいてゼーベック効果によって発生する電流を前記第1の出力端子部と第2の出力端子部を介して原子誘起電圧電源装置として出力可能な構造を有することを特徴とするα崩壊による放射エネルギー利用型電源装置。
  2. それぞれが一方の端部と他方の端部を有する形態をなし、かつゼーベック効果を発生させるのに適した異なる種類からなる第1の金属と第2の金属を用意し、
    前記第1の金属と第2の金属の各一方の端部をホウ素(B)からなる担体にウラン(U)とトリウム(Th)を担持させた一端側結合部を介して導通させた状態でつなぐと共に、他方の端部を炭素(C)からなる担体にウラン(U)とトリウム(Th)を担持させた他端結合部を介して導通させた状態でつなぎ、
    前記ホウ素(B)からなる担体にウラン(U)とトリウム(Th)を担持させた一端側結合部を、ウラン(U)とトリウム(Th)のα崩壊により発熱させて第1の温度まで上昇させ、
    前記炭素(C)からなる担体にウラン(U)とトリウム(Th)を担持させた他端結合部を、ウラン(U)とトリウム(Th)のα崩壊により発熱させて前記第1の温度と異なる第2の温度まで上昇させ、
    前記第1の金属に第1の出力端子部を導通接続し、かつ前記第2の金属に第2の出力端子部を導通接続し、
    前記第1の温度まで上昇した一端側結合部と前記第2の温度まで上昇した他端側結合部の相対的温度差に基づいてゼーベック効果によって発生する電流を前記第1の金属に導通接続した第1の出力端子部と前記第2の金属に導通接続した前記第1の出力端子部とは異なる第2の出力端子部を介して原子誘起電圧電源装置として利用することを特徴とするα崩壊による放射エネルギー利用型発電方法。
  3. 前記ウラン(U)は、当該ウラン(U)の同位体の核種である質量数238の天然放射性元素からなり、前記トリウム(Th)は、質量数232の天然放射性元素からなることを特徴とする請求項1に記載のα崩壊による放射エネルギー利用型電源装置。
  4. 前記ウラン(U)は、当該ウラン(U)の同位体の核種である質量数238の天然放射性元素からなり、前記トリウム(Th)は、質量数232の天然放射性元素からなることを特徴とする請求項2に記載のα崩壊による放射エネルギー利用型発電方法。
  5. 前記原子誘起電圧電源装置を複数有し、それぞれの原子誘起電圧電源装置を互いに電気的に直列接続又は並列接続することによって所望の電力を発電可能としたことを特徴とする請求項1又は請求項3に記載のα崩壊による放射エネルギー利用型電源ユニット。
  6. 前記原子誘起電圧電源装置を複数有し、それぞれの原子誘起電圧電源装置を互いに電気的に直列接続又は並列接続することによって所望の電力を発電可能としたことを特徴とする請求項2又は請求項4に記載のα崩壊による放射エネルギー利用型発電方法。
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