JP7288272B2 - 評価方法、及び評価装置 - Google Patents

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Description

本発明は、評価方法、及び評価装置に関する。
化粧料等の皮膚塗布剤を塗布する際に使用者が感じる触感は、皮膚塗布剤を評価するための重要な要素の1つである。しかしながら、人の五感は互いに影響を及ぼし合うこと(クロスモーダル効果、又はクロスモダリティ効果)が知られており、皮膚塗布剤の触感も、触覚以外の視覚や嗅覚といった感覚機能を通じて得られる情報の影響を受けて変化し得る。
上記のような、触覚以外の感覚機能を通じて得られる情報が触感に及ぼす影響については様々な研究が進められている。そして、その影響を評価するための手法として、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)や脳電図記録法(EEG)等を利用して、様々な条件で脳の反応を測定する試みが知られている。例えば、非特許文献1では、被験者の腕に保湿クリームが塗布される際に、被験者に保湿クリームの触感を表現する異なる言葉を画面上で見せ、脳の所定領域の反応を機能的磁気共鳴法により測定したことが記載されている。
一般に、例えば使用者が皮膚塗布剤を実際に使用する際には、通常、皮膚塗布剤を、容器内にある状態若しくは容器外に出された状態で見ながら又は見た後で、身体の所望の部位に塗布することが多い。よって、このような実際の使用状況を考慮すると、触覚以外の感覚機能を通じて得られる情報が触感に及ぼす影響を判断する上では、皮膚塗布剤の見た目に関する情報の影響は重要であると考えられる。
しかしながら、非特許文献1で脳の測定の際に被験者に付与するのは、皮膚塗布剤に関する言葉の情報(言語情報)である。よって、非特許文献1に開示されているような方法では、皮膚塗布剤の見た目等の視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響を評価することはできない。
本発明の一態様による課題は、視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響を評価する方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の一態様は、中身を視認可能な容器に入った状態の第1皮膚塗布剤の外観である第1視覚情報を被験者に付与し、前記被験者の皮膚に第3皮膚塗布剤が塗布されている時の前記被験者の脳血流量を測定して第1測定値を得て、前記第1視覚情報とはレオロジー的特性が異なる、中身を視認可能な容器に入った状態の第2視覚情報を付与し、前記被験者の皮膚に前記第3皮膚塗布剤が塗布されている時の前記被験者の脳血流量を測定して第2測定値を得て前記第1測定値及び前記第2測定値が、下頭頂小葉及び/又は後頭極における血流量の測定により得られた値であり、前記第1測定値と前記第2測定値との間の差が大きい場合に、皮膚塗布剤の外観である視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響が大きいと評価する、視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響を評価する方法である
本発明の一形態によれば、視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響について評価する方法を提供することができる。
本発明の一形態による評価方法で用いられる評価装置の概略図である。 データ処理装置の機能構成を示す図である。 データ処理装置のハードウェア構成例を示す図である。 本発明の第1実施形態による評価方法を示すフロー図である。 本発明の第2実施形態による評価方法を示すフロー図である。 実施例で行ったタイムスケジュールを示す図である。 実施例での被験者に対する皮膚塗布剤の塗布方法について説明する図である。 提示(塗布なし)時期で測定されたfMRI画像の一部である。 提示・塗布時期で測定されたfMRI画像の一部である。 提示画像による官能評価スコアの相違を示す図である。
本発明者らは、同じ皮膚塗布剤を被験者の皮膚に塗布する際に、皮膚塗布剤の外観に関する視覚情報を付与した場合Aと、場合Aの視覚情報とは異なる別の視覚情報を被験者に付与した場合Bとを比較したとき、被験者の脳活性に有意な差が生じることが分かった。このような脳活性の差は、脳血流量の測定によって調べることができる。また、このような脳活性の差の傾向は、触感に関する官能評価スコアで生じる差の傾向とも同様であることが分かった。よって、皮膚塗布剤が塗布されている時の被験者の脳血流量を測定することで、視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響を評価することができる。
上記知見に基づく本発明の一実施形態は、第1皮膚塗布剤の外観に関する第1視覚情報を被験者に付与し、被験者の皮膚に第3皮膚塗布剤が塗布されている時の被験者の脳血流量を測定して得られる第1測定値と、第1視覚情報とは異なる第2視覚情報を付与し、被験者の皮膚に第3皮膚塗布剤が塗布されている時の被験者の脳血流量を測定して得られる第2測定値とに基づき、視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響を評価するものである。
本明細書において、「皮膚塗布剤」とは、化粧料、医薬部外品、外用医薬品等の、皮膚(毛髪を含む)に塗布することによって使用される組成物を意味する。皮膚塗布剤の形態は、皮膚に塗布可能なものであれば特に限定されず、例えば、サスペンション、エマルション等の分散体、溶液、スラリー、粉体等であってよく、ローション、クリーム、ゲル、バーム等と呼ばれる形態を含む。また、噴射剤等と共に充填されエアゾールとして塗布される形態であってもよい。
上述の皮膚塗布剤のうち、本実施形態による評価方法は、特に化粧料の触感の評価のために好適に用いることができる。化粧料の具体例としては、化粧水、乳液、クリーム、美容液等の基礎化粧品、化粧下地、ファンデーション等のメーキャップ化粧品、日焼け止め剤等のパーソナルケア製品(衛生日用品)等が挙げられる。本形態による評価方法で用いられる化粧料は、通常、顔に塗布されるものであってもよいし、顔以外の身体の部位に塗布されるものであってもよい。
本明細書において、「触感」とは、被験者が皮膚塗布剤を自らの身体に塗布することによって、又は被験者以外の他者が皮膚塗布剤を被験者の身体に塗布することによって、被験者に生じる主観的な感覚である。「触感」は、主として、被験者の身体表面(皮膚表面、毛髪等の毛の表面を含む)の被塗布領域で感じられる感覚であってよい。なお、触感は、しっとり、べたつき、さっぱり、さらさら、ざらつき、なめらか、やわらか、とろみの1以上で表現される触感である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
<評価装置の概要>
図1に、本形態による評価方法で用いることのできる評価装置100の構成を模式的に示す。図示の形態では、評価装置100は、機能的磁気共鳴画像装置(fMRI装置)として構成されており、主として、被験者Sの頭部を走査して脳血流量を測定して磁気共鳴信号(MR信号)を生成することのできる走査装置1と、走査装置1に接続されているデータ処理装置10とを備えている。図示のような評価装置100によって、所定条件下で被験者の脳血流量を測定して複数の測定値を得ることができ、複数の測定値に基づき、視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響を評価することができる。
図1に示すように、走査装置1は、磁場印加機構2、寝台3、スクリーン4、反射板5、及び塗布手段6を備えていてよい。磁場印加機構2は公知の機構を用いることができ、例えば、静磁場磁石、傾斜磁場コイル、及び高周波コイルを備えたものであってよい。静磁場磁石は、中空の、水平方向に中心軸を有する略円筒形状を有し、その内部に静磁場を発生させることができる。静磁場磁石としては、永久磁石や超電導磁石等を使用することができる。傾斜磁場コイルは、静磁場磁石の内側に配置されており、データ処理装置10から供給される制御信号に従って傾斜磁場を発生させることができる。また、高周波コイル(RFコイル)は、傾斜磁場コイルの内側に配置されており、送信用コイル及び受信用コイルを備えている。高周波コイルの送信用コイルは、データ処理装置10から供給される制御信号に従って、被験者Sに対して高周波パルスを照射し、高周波コイルの受信用コイルは、被験者Sから放出されるMR信号を受信することができる。
寝台3は、寝台3の長手方向に被験者Sの身体の上下方向が沿うよう寝台3上に横たわることができるように構成されている。被験者Sは、例えば、仰臥状態で横たわることができる。さらに、寝台3は、円筒状の磁場印加機構2の内側で、少なくとも寝台3の長手方向に移動可能になっている。これにより、被験者Sの少なくとも頭部を、磁場印加機構2の円筒形状の内側において走査することができる。なお、図2では、磁場印加機構2によって生じる静磁場の方向(磁場印加機構2の円筒形状の中心軸方向)をz方向、鉛直方向をy方向、z方向及びy方向に直交する方向をx方向とする。x方向、y方向、及びz方向は、それぞれ、脳の左右方向、前後方向、及び上下方向に相当する。
磁場印加機構2から得られた、MR信号を含むfMRIデータは、データ処理装置10に送られ、処理される。データ処理装置10の機能構成については後述する(図2)。
スクリーン4には、被験者Sに対する指示や、皮膚塗布剤の外観に関する視覚情報を、所定のタイミングで表示することができる。そして、被験者Sは、スクリーン4の内容を、反射板5を介して見ることができるようになっている。また、反射板5に代えてプリズムメガネ等を利用することもできる。被験者Sがスクリーン4の内容を直接見ることができるよう走査装置1を構成することもできる。
塗布手段6は、被験者Sの皮膚に皮膚塗布剤を塗布するための手段である。塗布手段6は、人の手や指等であってよいし、布、綿、刷毛等の塗布具であってもよい。また、塗布手段6は、被験者S以外の人によって動作させることができる。ただし、測定時に高磁場印加が想定されない場合(fMRI以外)は、被験者S自身が動作させることもできる。
<データ処理装置の機能構成>
図2に、データ処理装置10の機能構成を示す。データ処理装置10は、図3に示すように、入力手段11、出力手段12、記憶手段13、データ取得手段14、解析手段15、評価手段16、及び制御手段17を備えていてよい。
入力手段11は、視覚情報の付与、脳血流の測定、及び評価等の指示をユーザ等から受け付けることができる。入力手段11は、タッチパネル、キーボード、マウス等の入力インターフェースとすることができる。入力手段11は、上述の入力を、例えば音声等によって可能にするマイク等の音声入力デバイスであってもよい。
出力手段12は、入力手段11により入力された内容や、入力内容に基づいて実行された内容等の出力を行うことができる。例えば、出力手段12は、解析手段15のデータ解析手段15aによる処理の結果や、画像生成手段15bによって生成された画像を出力(表示)することができる。出力手段12は、例えば、ディスプレイやスピーカであってよく、プリンタ等の印刷デバイスを有していてもよい。また、本形態では、この出力手段12を介して、走査装置1へ各種信号を送信して、磁場印加機構2を含む走査装置1を駆動させることもできる。
記憶手段13は、データ取得手段14によって取得されたデータ、解析手段15によって解析された結果(生成された画像を含む)、及び評価手段16による評価結果等のデータを記憶することができる。
データ取得手段14は、磁場印加機構2を含む走査装置1からのデータを取得することができる。このデータには、磁場印加機構2における高周波コイルの受信用コイルから得られる、被験者Sから放出されたMR信号も含む。データ取得手段14によって取得されたデータは、記憶手段13に記憶される。
解析手段15は、データ取得手段14にて取得されたデータを解析するデータ解析手段15a、及び解析されたデータに基づきfMRI画像を生成する画像生成手段15bを有していてよい。
評価手段16は、データ取得手段14により取得され、解析手段15によって解析されて得られた測定値に基づき、視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響を評価することができる。評価手段16によって、視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響があるか否かを判定したり、視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響を2種の皮膚塗布剤間で比較したり、視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響を定量的に判定したりすることができる。
制御手段17は、評価装置100の上述の各手段の制御を行うことができる。
上述の各手段10~17(図2)は、コンピュータによって実行させるプログラムとして生成することができ、これを汎用のパーソナルコンピュータ、サーバ等にインストールすることにより、評価装置100を実現することができる。本形態では、上記プログラムをデータ処理装置1にインストールすることにより評価装置100を実現することができる。
<データ処理装置のハードウェア構成例>
図3に、データ処理装置1のハードウェア構成例を示す。データ処理装置1は、入力装置21、出力装置22、ドライブ装置23、補助記憶装置24、メモリ装置25、及び各種制御を行うCPU(Central Processing Unit)26、ネットワーク接続装置27等を有しており、これらはシステムバスで相互に接続されている。
入力装置21及び出力装置22は、上述の入力手段11及び出力手段12に相当するものである。補助記憶装置24は、ハードディスク等のストレージ手段であり、本形態における実行プログラムや、データ処理装置1に設けられた制御プログラム等を記憶し、必要に応じて入出力を行うことができる。
メモリ装置25は、CPU26により補助記憶装置24から読み出されたプログラム等を格納する。なお、メモリ装置25は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなる。
CPU26は、OS(Operating System)等の制御プログラム、及びメモリ装置25に格納されている各種実行プログラムに基づいて、各種演算や各ハードウェア構成部とのデータの入出力等、コンピュータ全体の処理を制御して、化粧肌評価処理等の各処理を実現することができる。なお、プログラム実行中に必要な各種情報等は、補助記憶装置24から取得することができ、また実行結果等を格納することもできる。
ネットワーク接続装置27は、インターネット又はLAN等の通信ネットワーク等と接続することにより、通信ネットワークに接続されている他の装置等から実行プログラムを取得することができる。また、ネットワーク接続装置27は、プログラムを実行することで得られた実行結果又は本形態における実行プログラム自体を他の装置等に提供することができる。
記録媒体28は、実行プログラム等を格納するコンピュータで読み取り可能な記録媒体である。記録媒体28は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型の記録媒体とすることができる。記録媒体28は、ドライブ装置23にセット可能であり、プログラムは、記録媒体からドライブ装置23を介して補助記録装置24にインストールされる。
<評価方法>
本形態による評価方法は、第1皮膚塗布剤の外観に関する第1視覚情報を被験者に付与し、被験者の皮膚に第3皮膚塗布剤が塗布されている時の被験者の脳血流量を測定して得られる第1測定値と、第1視覚情報とは異なる第2視覚情報を付与し、被験者の皮膚に第3皮膚塗布剤が塗布されている時の被験者の脳血流量を測定して得られる第2測定値とに基づき、視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響を評価するものである。
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態では、第2視覚情報を、第1皮膚塗布剤と外観が異なる第2皮膚塗布剤の外観に関する視覚情報とする。
図4Aに、第1実施形態による具体的な評価方法のフロー図を示す。図4Aに示すように、本例では、第1皮膚塗布剤の外観に関する第1視覚情報を被験者に付与する第1視覚情報付与ステップ(S11)と、被験者の皮膚に第3皮膚塗布剤(以下、塗布用皮膚塗布剤ともいう)が塗布されている際の被験者の脳血流量を測定する第1測定ステップ(S12)と、第2皮膚塗布剤に関する第2視覚情報を被験者に付与する第2視覚情報付与ステップ(S13)と、被験者の皮膚に第3皮膚塗布剤が塗布されている際の被験者の脳血流量を測定する第2測定ステップ(S14)と、第1測定ステップ(S12)で得られた第1測定値と、第2測定ステップ(S14)で得られた第2測定値とに基づいて、視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響を評価する評価ステップ(S15)とを含む。
(視覚情報の付与)
上記の第1視覚情報付与ステップ(S11)及び第2視覚情報付与ステップ(S13)における視覚情報の付与の手法(静止画なのか動画なのか、表示のタイミング等)は、付与する視覚情報の内容を除いて同じとすることが好ましい。
本形態において被験者に付与する視覚情報は、皮膚塗布剤の外観に関する情報である。ここで、「皮膚塗布剤の外観に関する視覚情報」とは、皮膚塗布剤そのものの外観を認識できる情報である。このような情報には、皮膚塗布剤の色、表面の反射率、及び皮膚塗布剤が被塗布領域や塗布動作体上に吐出された後の形状等が含まれる。
この「皮膚塗布剤の外観に関する視覚情報」は、視覚を通じて取得される情報ではあるが、皮膚塗布剤に関する記述等の文字情報(言語情報)は含まない。また、「皮膚塗布剤の外観に関する視覚情報」は、その情報に基づいて皮膚塗布剤のレオロジー的特性、すなわち、皮膚塗布剤の流動・変形のしやすさを認識又は推測できる情報であると好ましい。ここで、皮膚塗布剤のレオロジー的特性とは、皮膚塗布剤の流動・変形といった挙動に関する特性であり、例えば、皮膚塗布剤の粘性、弾性、硬さ、流体のタイプ(ニュートン流体、並びに非ニュートン流体、例えば擬塑性流体、ダイラタント流体、及びビンガム流体)等である。
「皮膚塗布剤の外観に関する視覚情報」の形態としては、皮膚塗布剤の外観を示す静止画(写真及び絵を含む)若しくは動画、又はその両方であってよい。このような静止画や動画は、カラーであってもよいし、白黒であってもよい。また、上述のように被験者が皮膚塗布剤の外観を認識できるのであれば、皮膚塗布剤は露出状態又は容器に入った状態での撮影又は描画されたものであってよい。さらに、「皮膚塗布剤の外観に関する視覚情報」が動画である場合、皮膚塗布剤を被塗布面(人の皮膚や人工皮膚を含む)に塗布している動作を撮影した動画であってもよい。その際、被験者Sに実際に塗布用皮膚塗布剤が塗布される条件と同様の条件で、皮膚塗布剤が塗布されている様子を撮影した動画であると好ましい。すなわち、被験者Sの皮膚に実際に皮膚塗布剤が塗布される場所、及び皮膚塗布剤が塗布される手法と同様の場所及び手法で皮膚塗布剤が塗布されている状態を撮影した動画を、第1視覚情報及び第2視覚情報として用いることができる。
本形態では、例えば、第1視覚情報付与ステップと第2視覚情報付与ステップとでそれぞれ、粘性が相違し、その相違が見た目で認識可能である2つの皮膚塗布剤を用いることができる。具体的には、第1視覚情報付与ステップで、水っぽいさらさらした第1皮膚塗布剤の静止画を用い、第2視覚情報付与ステップで、第1皮膚塗布剤よりも粘性(粘度)の高い第2皮膚塗布剤の静止画を用いることができる。この場合、第2皮膚塗布剤に含まれている気泡や表面のテカリ等によって、粘性の高さが視覚的に認識できることが好ましい。また、視覚情報として、第1視覚情報付与ステップ及び第2視覚情報付与ステップのそれぞれで、第1皮膚塗布剤及び第2皮膚塗布剤を容器から出している様子を撮影した動画を用い、これにより被験者が第1皮膚塗布剤及び第2皮膚塗布剤の粘性の違いを視認することもできる。
視覚情報の付与は、図1を参照して説明したように、評価装置100における走査装置1のスクリーン4及び反射板5を介して行うことができるが、被験者に、皮膚塗布剤の外観が表された写真や絵、実物等を手持ちで見せることもできる。
(脳血流量の測定)
本形態における第1測定ステップ(S11)及び第2測定ステップ(S13)での脳血流量の測定条件(装置の運転条件、測定室内の環境、被験者の状態等)は、同じであることが好ましい。図1を参照して説明した形態では、脳血流量の測定は、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて行っているが、fMRI以外に、機能的近赤外分光分析法(NIRS)、陽電子放射断層撮像法(PET)、単一光子放射断層撮影法(SPECT)等によっても行うことができる。
fMRIを用いた場合、脳血流量は、例えば、血中酸素濃度依存(blood oxgenation level dependent:BOLD)法に基づき、非酸素型ヘモグロビン(deoxygenated hemoglobin:Deoxy-Hb)の増減による信号強度の変化として測定することができる。また、被験者に造影剤を投与することもできる。
fMRIを用いた場合、被験者Sの脳の断層像を撮像することができる。図1に示すように、走査装置1においては、傾斜磁場によって撮像位置をずらしながら、複数枚の2次元断層画像を撮像することができる。上述のデータ取得手段14は、このような複数枚の2次元断層画像から3次元の立体画素(ボクセル)を得ることができる。すなわち、走査装置1によって、各ボクセルのMR信号強度のデータが、時間情報及びボクセルの位置情報とともに生成され、データ処理装置10に送られ、データ処理装置10のデータ取得手段14によって取得される。
第1測定ステップ及び第2測定ステップのいずれにおいても、測定の際に、被験者の皮膚に同じ皮膚塗布剤を塗布することを条件としている。被験者の皮膚への皮膚塗布剤の塗布は、脳血流量の測定期間の開始から終了までを通じて、或いは脳血流量の測定期間中の一部の期間にわたり、行うことができる。
本明細書では、測定ステップ(第1測定ステップ及び第2測定ステップの両方を含む)において被験者に塗布される第3皮膚塗布剤(塗布用塗布剤)は、第1視覚情報付与ステップで用いられた第1皮膚塗布剤及び第2視覚情報付与ステップで用いられた第2皮膚塗布剤のいずれかと同じであってもよいし、いずれとも異なっていてよい。但し、第1皮膚用塗布剤、第2皮膚用塗布剤、及び第3皮膚塗布剤は、同種であることが好ましい。ここで、同種であるとは、通常、同様の使用方法及び同様の目的で使用される皮膚塗布剤の分類を指す。皮膚塗布剤の種としては、化粧水、乳液、美容液、ボディクリーム、ハンドクリームといったクリーム等の分類を挙げることができる。
なお、第1測定ステップ及び第2測定ステップはそれぞれ、1人の被験者に対して1回又は複数回行い、一人の被験者について第1測定値及び第2測定値をそれぞれ1又は複数得ることができる。また、第1測定ステップ及び第2測定ステップはそれぞれ、複数の被験者に対して1回又は複数回行い、複数の被験者について第1測定値及び第2測定値をそれぞれ1又は複数得ることができる。前者の場合には、一人の被験者についての、触覚以外の感覚機能を通じて得られる情報が触感に及ぼす影響について評価をすることができる。一方、後者の場合、所定の被験者群(例えば、所定の年齢層、所定の地域群、所定の習慣を持つ者の群等)の被験者について脳血流量の測定を行うことで、所定の被験者群について、第1測定値及び第2測定値をそれぞれ1又は複数得ることができる。
(データ解析・評価)
走査装置1によって得られた測定値(BOLD信号等のfMRIデータ)は、データ処理装置10における解析手段15にて解析される(図2)。解析手段15のデータ解析手段15aでは、まずデータを前処理することができる。前処理には、位置補正処理、標準化処理、及び平滑化処理が含まれていてよい。
位置補正処理は、脳血流量測定中に被験者Sの頭が動くため、その動きによるノイズを除去するものである。また、標準化処理は、脳の大きさや形の個人差のバラツキを抑えるために、データを標準脳に合せる処理を指す。標準化処理において利用される標準脳としては、MNI(Montreal Neurological Institute)標準脳、又はTalairach標準脳等の座標系を用いることができる。平滑化処理には、ガウスフィルター等を用いることができる。
上述のように前処理されたfMRIデータは、一般線形モデル(general linear model:GLM)を利用してモデル化することができる。その際、血流動態反応関数(hemodynamic response function:HRF)、より具体的には、デルタ関数と血流動態反応関数(HRF)との畳み込みにより得られた関数を用いることができる。このようなモデル化関数に基づいて、β値を求めることができ、β値から統計量を求め、測定ステップの測定値とすることができる。
本形態の評価に利用される脳血流量の測定値は、脳の全領域に対する測定値とすることもできるし、脳の一部の領域に対する測定値とすることもできる。但し、測定値の対象とする脳の領域には、大脳新皮質、大脳辺縁系、大脳基底核の1以上が含まれると好ましい。大脳新皮質においては頭頂葉(parietal lobe)が含まれるとより好ましく、下頭頂小葉(inferior parietal lobule)が含まれるとより好ましい。さらに、縁上回(supramarginal gyrus)、角回(angular gyrus)、及び後頭極(occipital pole)の1以上の領域に対応する脳血流量の測定値を得ることが好ましい。大脳辺縁系においては、海馬(hippocampus)、扁桃体(amygdala)、帯状回(cingulate gyrus)の1以上の領域が含まれるとより好ましい。大脳基底核においては線条体(striatum)、淡蒼球(globus pallidus)の1以上の領域が含まれるとより好ましい。さらに、尾状核(caudate nucleus)、被殻(putamen)の1以上の領域に対応する脳血流量の測定値を得ることが好ましい。上記の所定の領域においては、皮膚塗布剤の外観に関する異なる視覚情報を付与した場合の脳活性の度合いの差が比較的顕著に現れるため、視覚情報が触覚に及ぼす影響をより的確に評価することができる。
fMRIを用いた場合、解析手段15の画像生成手段15b(図2)によって、脳が活性化した部位を解剖学的画像上に示した画像を生成することが可能である。これにより、ユーザが、脳の活性部位を容易に把握することができる。
なお、解析は、ボクセル毎に行うこともできるし、また隣接する複数のボクセルからなるクラスターを単位として行うこともできる。また、被験者が複数の場合には、解析を個人レベルで行い、その後、個人レベルでの解析結果を元に集団レベルでの解析を行うことができる。
上述のように、視覚情報の付与の条件を相違させて少なくとも2回の測定を行うことで、それぞれの測定値、すなわち、第1測定ステップにより得られたデータ(第1測定値)と、第2測定ステップにより得られたデータ(第2測定値)とを得ることができる。そして、両者を比較することによって、例えば所定の被験者若しくは所定の被験者群について、又は所定の皮膚塗布剤若しくは所定の皮膚塗布剤種について、視覚情報の影響を判定することができる。そして、その結果を利用して、被験者間若しくは被験者群間で、又は皮膚塗布剤種間で、視覚情報の影響の大小を判定したり、影響の大きさを定量的に求めたりすることができる。
上述のデータ解析及び評価には、データ解析ツールとして、SPM(Statistical Parametric Mapping)12、Freesurfer、FSL、nilearn、Brain Voyager等のソフトウェアを用いることができる。
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態では、第2視覚情報は、皮膚塗布剤の外観に関する視覚情報を含まない。すなわち、第2実施形態においては、被験者に対する皮膚塗布剤の塗布及び脳血流量の測定を少なくとも2回行う点は、第1実施形態と同様であるが、その一方の測定に際して被験者に付与する情報が、皮膚塗布剤の外観に関する視覚情報を含まない点が、第1実施形態と異なっている。第2実施形態の説明では、皮膚塗布剤の塗布、脳血流量の測定等の具体的な形態については、第1実施形態で説明したものと同様であるので省略する。
図4Bに、第2実施形態による具体的な評価方法のフロー図を示す。図4Bに示すように、本例では、第1皮膚塗布剤の外観に関する第1視覚情報を被験者に付与する第1視覚情報付与ステップ(S21)と、被験者の皮膚に第3皮膚塗布剤(塗布用皮膚塗布剤)が塗布されている際の被験者の脳血流量を測定する第1測定ステップ(S22)と、皮膚塗布剤の外観に関する情報なしで、被験者の皮膚に第3皮膚塗布剤が塗布されている際の被験者の脳血流量を測定する第2測定ステップ(S23)と、第1測定ステップ(S22)で得られた第1測定値と、第2測定ステップ(S23)で得られた第2測定値とに基づいて、視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響を評価する評価ステップ(S24)とを含む。
このように、第2実施形態では、第2測定ステップ(S23)は、皮膚塗布剤の外観に関する情報なしで行う。例えば、第2測定ステップ(S23)に際しては、視覚情報を全く提示しなくてもよいし、皮膚塗布剤の外観の関する視覚情報を含まない視覚情報を提示してもよい。例えば、皮膚塗布剤の外観に関する第1視覚情報を、容器に収容された皮膚塗布剤の画像とした場合、第2測定ステップで、画像を全く見せないようにすることができる。また、第2測定ステップで、第1視覚情報で提示した画像において皮膚塗布剤が収容された容器と同じ容器を空の状態で撮影した画像を提示することもできる。
以上の通り説明した第1及び第2実施形態の評価方法は、次のように利用することができる。2種の皮膚塗布剤種、例えば第1皮膚塗布剤種(例えば「化粧水」)及び第2皮膚塗布剤種(例えば「乳液」)についてそれぞれ本形態による評価を行い、両塗布剤種の間で、視覚情報からの影響の受けやすさを比較することができる。このような評価・比較は、塗布剤種の特性の把握に役立ち、視覚情報からの影響を受けやすいと評価された皮膚塗布剤種の塗布剤を処方する際に役立つ。
具体的には、特定の塗布剤種について、特定の年齢層の使用者群に好まれる触感があれば、その触感と関連するレオロジー特性等(例えば粘度の高さ)が、できるだけ使用者に視覚的に認識できるよう処方を工夫することができる。例えば、化粧水について「しっとり」という触感が特定の年齢層に対して好まれる場合には、「しっとり」という触感に関連するレオロジー的特性、例えば粘度の高さ等が化粧水の外観に現れるような処方を考えることができる。すなわち、粘性は同等でも外観に泡やツヤ、色等が観察されやすい成分aと、観察されにくい成分bとがあった場合、成分aを選択して添加又は増量することができる。或いは、容器の設計を工夫して、皮膚塗布剤の流体タイプ等が視認できるようにポンプ式にしたり、逆に視認できないように容器を不透明にしたりすることができる。
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態についてさらに詳細に説明する。本実施例では、図1を参照して説明したようなMRI装置を組み込んだ評価装置100を利用した。
(実験手続き)
24人の女性(25~34歳、平均年齢29.7歳)の各被験者に対し、以下の手順で実験を行った。空のボトルを示す画像P1、化粧水Cが入ったボトルを示す画像P2、及び化粧水Cとは異なる化粧水CIIが入ったボトルを示す画像P3を準備し、これらを視覚情報(視覚刺激)とした。化粧水C及びCIIはいずれも透明であったが、化粧水Cは水っぽいさらさらとした化粧水である一方、化粧水CIIは化粧水Cに比べて粘性のある化粧水であった。
画像P1~P3では、中身を視認可能な透明の同じボトルを使用した。画像P1~P3はいずれも、一般の人が見て、ボトルの中身を確認できるようなものであった。すなわち、画像P1は、ボトルの中身が空であることを認識できるものであり、画像P2及び画像P3はそれぞれの化粧水C及びCIIの存在、及び両者の外観が相違することを認識できるものであった。
また、塗布用の化粧水として、化粧水C及び化粧水CIIのいずれとも異なる化粧水Capを準備した。但し、塗布用化粧水Capが化粧水C及び化粧水CIIのいずれとも異なることについては、被験者には実験終了まで知らせなかった。また、被験者が真剣に課題に取り組んでいるかどうかを評価する目的で、塗布用化粧水Capに代えて、塗布用の水を用意した。水を塗布する試行があることについては、被験者に実験説明時に説明した。また、塗布用水を用いて測定されたデータは、後述のデータ解析においては使用しなかった。
図5に、本実験で行ったタイムスケジュールを示す。図5に示すように、本実験では、一人の被験者に対して、画像P1~P3をランダムに12回提示し、うち10回は塗布用化粧水Capを塗布し、2回は水を塗布した。塗布順序はランダムである。これら12試行をセットとして1セッションとする。練習の試行を除き、1人の被験者につき6セッションの測定を行った。
まず、被験者を、MRI装置の寝台に仰臥状態で横たわらせた。そして、実験者(被験者でない者)は6秒間の準備期間において、コットンに塗布用化粧水Cap(又は塗布用水)を染み込ませた。その後、表示画面(図1のスクリーン4)に、画像P1~P3のいずれかを6秒間提示した。そして、画像の提示を続けながら、実験者はコットンで、化粧水Cap(又は塗布用水)を被験者の左下腕の内側に塗布した。塗布は6秒間にわたって行い、被験者の下腕内側を、図6に示すような大きな楕円を2秒間に1つ描くようにコットンで撫でることによって行った。
被験者は、画像の提示及び化粧水Cap又は水の塗布を停止した後、官能評価を行った。官能評価された項目は、「しっとり」(項目1)及び「効果がありそう」(項目2)という2項目であった。いずれの項目についても評価時間は6秒間とし、評価においては、左端を「とても感じる」との最大評価、右端を「全く感じない」との最小評価とし、中央をどちらでもないとの評価とした線分状の視覚的評価スケール(Visual Analog Scale:VAS)を利用した。
なお、測定後の定量的な分析においては、左端の「とても感じる」をVAS値=300、「全く感じない」をVAS値=-300とした。2項目の評価を終えた後、6秒間で残った化粧水を実験者が拭き取った。官能評価は、被験者の右手元に置かれたトラックボール型マウスによって、被験者により入力された。
各セッションの間には休憩時間をとったが、各セッションの開始から終了にわたって(第1試行から第12試行にわたって)は、連続してfMRI測定を行った。
(脳血流量の測定)
本実施例における脳血流量測定には、MRI装置である、3T MAGNETOM(登録商標)Verio(SIEMENS社製)を用いた。本測定では、グラジエントエコー系エコープラナー(Gradient Echo-Echo Planar Imaging;GE-EPI)法によって、3mm×3mm×3mmの解像度の画像を得ることができた。すなわち、3mm×3mm×3mmのボクセル毎に、脳血流量に関するデータを取得することができた。1セッションでは、151ボリュームに加え、ダミーである2ボリュームを含む計153ボリュームを得ることができ、その場合、1セッションにかかる時間は7分39秒となる。
(データ解析)
得られたfMRIデータを、(Statistical Parametric Mapping:SPM)12ソフトウェア(Wellcome Trust Centere for Neuroimaging)を利用して解析した。まず、各セッションにおいて、最初の4ボリュームを破棄し、残りのボリュームについて解析を行った。残りの全ボリュームについて、頭部の動きによる歪みを補正するために、解剖学的に位置合せを行った。座標中心を前交連(AC)の位置とした。その後、脳の個人差を最小にするために、各画像を、3mm×3mm×3mmの解像度を維持したまま、MNI152の標準空間に対して標準化した。さらに、標準化された画像に対して、半値全幅8mmのガウシアン・カーネルによる平滑化を行った。各ボクセルの時系列データは、ハイパスフィルター(1/128Hzカットオフ)によって、低周波数ノイズ及びドリフトを除去した。
続いて、上記のように前処理された全セッションのデータを、各被験者について、ボクセル毎に、一般線形モデル(GLM)を用いて解析した。解析においては、デルタ関数と標準血流動態反応関数(canonical hemodynamic response function:cHRF)とを畳み込むことによってモデル化された関数をリグレッサとした。具体的には、1試行における各期間(準備期間、提示(塗布なし)期間、提示・塗布期間、官能評価(項目1)期間、官能評価(項目2)期間、及び後処理期間、図5に図示)についてそれぞれモデル化関数を生成し、それらをリグレッサとして、fMRIデータに回帰させた。これにより、各期間に対応するパラメータ(回帰係数)を推定した。
提示(塗布なし)期間に対応する推定パラメータに基づき、各被験者について個人レベルで、第1試行(空のボトルの画像P1を提示、Capを塗布)、第2試行(さらさらの化粧水Cの画像P2を提示、Capを塗布)、及び第3試行(粘性のある化粧水CIIの画像P3を提示、Capを塗布)の試行間での対比を行った。すなわち、視覚情報の条件間での検定を行った。同様に、提示・塗布期間に対応する推定パラメータに基づき、3つの試行間での対比を多重検定により行った。
次に、全被験者の上記個人レベル解析に基づき、提示(塗布なし)期間及び提示・塗布期間の両期間それぞれについて、さらに統計的な検定を行った。検定のための有意水準(p)としては、ファミリーワイズエラー(Familywise Error:FWE)を用いた。
表1に、提示(塗布なし)期間についての、クラスターレベルでの検定の結果を示す。表1には、第2試行(化粧水Cの視覚情報を付与、Capを塗布)と、第3試行(化粧水CIIの視覚情報を付与、Capを塗布)との比較において、p値が比較的低かった領域及びその領域内でp値が最小となるMNI座標を示す。また、図7に、本検定結果でp値が低かった領域をおおよそ表示した脳断面画像(冠状面)を示す。
Figure 0007288272000001
一方、表2に、提示・塗布期間についての、クラスターレベルでの検定の結果を示す。表2には、第2試行(化粧水Cの視覚情報を付与、Capを塗布)と、第3試行(化粧水CIIの視覚情報を付与、Capを塗布)との比較において、p値が比較的低かった領域及びその領域内でp値が最小となるMNI座標を示す。また、図8に、本検定結果でp値が低かった領域をおおよそ表示した脳断面画像を示す。図8(a)は矢状面を、図8(b)は横断面を示す。
Figure 0007288272000002
表1及び表2より、提示(塗布なし)期間及び提示・塗布期間のいずれにおいても、第2試行(化粧水Cの視覚情報を付与)と、第3試行(化粧水CIIの視覚情報を付与、Capを塗布)とで脳活性の差が顕著に認められる領域があった。特に、表2より、提示・塗布期間においては、p値が0.05を下回っており、第2試行及び第3試行の間での脳活性の度合いの差は、提示(塗布なし)期間より提示・塗布期間の方が顕著に現れることが分かった。このことから、本形態による評価方法では、視覚情報を付与しつつ塗布期間での脳血流量の測定を行った方が、視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響をより的確に評価することができることが分かった。
また、図9に、第1~第3試行のそれぞれの、「しっとり」についての官能評価値(スコア)を示す。図9における各試行の官能評価値は、全被験者の平均値である。全試行において被験者に実際に塗布した塗布用皮膚塗布剤Capは同じであったにもかかわらず、図9に示すように、第1試行(空のボトルの画像を提示、Capを塗布)に比べ、化粧水が入った画像を提示した第2試行及び第3試行の方が、評価値は高かった。また、第2試行(さらさらの化粧水Cの画像を提示、Capを塗布)の評価値よりも、第3試行(粘性の高い化粧水CIIの画像を提示、Capを塗布)の評価値の方が高くなっていた。よって、脳活性(脳血流量の大きさ)の傾向は、官能評価のスコアの傾向と同様であることが分かった。
1 走査装置
2 磁場印加機構
3 寝台
4 スクリーン
5 反射板
6 塗布手段
10 データ処理装置
11 入力手段
12 出力手段
13 記憶手段
14 データ取得手段
15 解析手段
15a データ解析手段
15b 画像生成手段
16 評価手段
17 制御手段
21 入力装置
22 出力装置
23 ドライブ装置
24 補助記憶装置
25 メモリ装置
26 CPU
27 ネットワーク接続装置
28 記録媒体
100 評価装置
S 被験者

Claims (7)

  1. 中身を視認可能な容器に入った状態の第1皮膚塗布剤の外観である第1視覚情報を被験者に付与し、前記被験者の皮膚に第3皮膚塗布剤が塗布されている時の前記被験者の脳血流量を測定して第1測定値を得て、
    前記第1皮膚塗布剤とはレオロジー的特性が異なる、中身を視認可能な容器に入った状態の第2皮膚塗布剤の外観である第2視覚情報を前記被験者に付与し、前記被験者の皮膚に前記第3皮膚塗布剤が塗布されている時の前記被験者の脳血流量を測定して第2測定値を得て、
    前記第1測定値及び前記第2測定値が、下頭頂小葉及び/又は後頭極における血流量の測定により得られた値であり、
    前記第1測定値と前記第2測定値との間の差が大きい場合に、皮膚塗布剤の外観である視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響が大きいと評価する、視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響を評価する、評価方法。
  2. 中身を視認可能な容器に入った状態の第1皮膚塗布剤の外観である第1視覚情報を被験者に付与し、前記被験者の皮膚に第3皮膚塗布剤が塗布されている時の前記被験者の脳血流量を測定して第1測定値を得て、
    中身を視認可能な空の容器を前記被験者に提示し、前記被験者の皮膚に前記第3皮膚塗布剤が塗布されている時の前記被験者の脳血流量を測定して第2測定値を得て、
    前記第1測定値及び前記第2測定値が、下頭頂小葉及び/又は後頭極における血流量の測定により得られた値であり、
    前記第1測定値と前記第2測定値との間の差が大きい場合に、皮膚塗布剤の外観である視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響が大きいと評価する、視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響を評価する、評価方法。
  3. 前記容器は、前記被験者が皮膚塗布剤のレオロジー的特性を認識可能な容器である、請求項1又は2に記載の評価方法。
  4. 前記触感は、しっとり、べたつき、さっぱり、さらさら、ざらつき、なめらか、やわらか、とろみの1以上で表現される触感である、請求項1からのいずれか一項に記載の評価方法。
  5. 中身を視認可能な容器に入った状態の第1皮膚塗布剤の外観である第1視覚情報を被験者に付与し、前記被験者の皮膚に第3皮膚塗布剤が塗布されている時の前記被験者の脳血流量を測定して得られる第1測定値と、
    前記第1視覚情報とはレオロジー的特性が異なる、中身を視認可能な容器に入った状態の第2皮膚塗布剤の外観である第2視覚情報を前記被験者に付与し、前記被験者の皮膚に前記第3皮膚塗布剤が塗布されている時の前記被験者の脳血流量を測定して得られる第2測定値とを測定する測定手段と、
    前記第1測定値及び前記第2測定値に基づき、視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響を評価する評価手段とを備え
    前記第1測定値及び前記第2測定値が、下頭頂小葉及び/又は後頭極における血流量の測定により得られた値であり、
    前記第1測定値と前記第2測定値との間の差が大きい場合に、皮膚塗布剤の外観である視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響が大きいと評価する、視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響を評価する、評価装置。
  6. 中身を視認可能な容器に入った状態の第1皮膚塗布剤の外観である第1視覚情報を被験者に付与し、前記被験者の皮膚に第3皮膚塗布剤が塗布されている時の前記被験者の脳血流量を測定して得られる第1測定値と、
    中身を視認可能な空の容器を前記被験者に提示し、前記被験者の皮膚に前記第3皮膚塗布剤が塗布されている時の前記被験者の脳血流量を測定して得られる第2測定値とを測定する測定手段とを備え、
    前記第1測定値及び前記第2測定値が、下頭頂小葉及び/又は後頭極における血流量の測定により得られた値であり、
    前記第1測定値と前記第2測定値との間の差が大きい場合に、皮膚塗布剤の外観である視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響が大きいと評価する、視覚情報が皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響を評価する、評価装置。
  7. 第1種の皮膚塗布剤及び第2種の皮膚塗布剤の、視覚情報からの影響の受けやすさを比較する方法であって、
    第1種の皮膚塗布剤について、当該皮膚塗布剤の外観である視覚情報が当該皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響を評価して第1評価結果を得て、
    第2種の皮膚塗布剤について、当該皮膚塗布剤の外観である視覚情報が当該皮膚塗布剤の触感に及ぼす影響を評価して第2評価結果を得て、
    前記第1評価結果と前記第2評価結果とを比較することを含み、
    前記第1評価結果及び前記第2評価結果を、請求項1から4のいずれか一項に記載の評価方法によって得る、方法。
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