JP7285428B2 - 拡散経路の探索方法 - Google Patents

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Description

本発明は、拡散経路の探索方法に関する。
各種材料について更なる性能向上を目的として、新規材料の探索や、物質を構成する元素の一部を置換する置換元素の選択・探索等が盛んに行われている。
例えば特許文献1にはリチウム複合酸化物の置換元素の選択方法として、候補元素によりリチウム複合酸化物LiMO(Mはニッケルを含む)のニッケルを置換した際に、候補元素がニッケルサイトに収容されるかを判定する固溶可否判定工程と、
候補元素によりリチウム複合酸化物のニッケルを置換した際の結晶表面における水分子の吸着エネルギーEaが、候補元素で置換する前のリチウム複合酸化物の結晶表面における水分子の吸着エネルギーEbよりも小さいかを判定する吸着エネルギー判定工程と、
固溶可否判定工程で、候補元素がニッケルサイトに収容されると判定され、かつ吸着エネルギー判定工程で、Ea<Ebと判定された場合に、候補元素をリチウム複合酸化物のニッケルを置換する置換元素として選択する選択工程と、を有するリチウム複合酸化物の置換元素の選択方法が開示されている。
特開2018-140917号公報
上述のように新規材料や、置換元素等の選択・探索を行う上で、目的とする物質の結晶内において、目的とする反応、機能等に影響を与える原子がどのような経路を通って移動、拡散するかを正確に把握することが好ましい。
しかしながら、結晶内は元素が密に詰まっていることが多く、結晶を構成する原子間には僅かな隙間しかないように見える。このため、拡散経路を調べたい原子である拡散原子について、原子半径やvan der Waals半径で原子の大きさを見積もると、結晶内の複数の隙間の大きさを比較して、拡散原子の拡散経路を特定することは困難であった。
また、拡散原子と周囲の原子との静電相互作用のため、拡散原子が結晶内の広い空間を通るとは限らない。このため、上述のように拡散原子の原子半径等と、結晶内の隙間の大きさとから、拡散原子の拡散経路を特定することは困難であった。
そこで上記従来技術が有する問題に鑑み、本発明の一側面では、結晶内における原子の拡散経路を効率的に探索することができる拡散経路の探索方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
拡散経路探索に用いる結晶に含まれる、拡散原子以外の複数の原子の位置を設定する初期構造設定工程と、
前記初期構造設定工程で位置を設定した、複数の前記原子を用いて分子動力学計算を行い、複数の前記原子の平均構造を算出する参照系計算工程と、
前記参照系計算工程で得られた複数の前記原子の平均構造に3次元の格子を設定し、前記格子の格子点に前記拡散原子を配置した場合の、前記拡散原子と、前記拡散原子の周囲の前記原子との相互作用エネルギーを求める相互作用エネルギー算出工程と、
前記拡散原子を配置する、前記格子の格子点を変更した場合の、前記拡散原子と、前記拡散原子の周囲の前記原子との相互作用エネルギーを求める繰り返し工程と、
前記相互作用エネルギー算出工程、および前記繰り返し工程で求めた前記拡散原子と、前記拡散原子の周囲の前記原子との相互作用エネルギーから、前記拡散原子と、前記拡散原子の周囲の前記原子との間の自由エネルギーに対応した値を算出し、前記拡散原子の座標と、前記自由エネルギーに対応した値とをプロットしたマップを作成し、前記拡散原子の拡散経路を探索する拡散経路探索工程と、を有する拡散経路の探索方法を提供する。

本発明の一態様によれば、結晶内における原子の拡散経路を効率的に探索することができる拡散経路の探索方法を提供することができる。
実施例1において拡散経路の探索を行ったLiMnの初期構造を示す模式図。 実施例1において求めたLiMnのLi原子の拡散経路を示す模式図。 比較例1において求めたLiMnのLi原子の拡散経路を示す模式図。
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
本実施形態の拡散経路の探索方法は、以下の工程を有することができる。
拡散経路探索に用いる結晶に含まれる、拡散原子以外の複数の原子の位置を設定する初期構造設定工程。
初期構造設定工程で位置を設定した、複数の原子を用いて分子動力学計算を行い、複数の原子の平均構造を算出する参照系計算工程。
参照系計算工程で得られた複数の原子の平均構造に3次元の格子を設定し、格子の格子点に拡散原子を配置した場合の、拡散原子と、拡散原子の周囲の原子との相互作用エネルギーを求める相互作用エネルギー算出工程。
拡散原子を配置する、格子の格子点を変更した場合の、拡散原子と、拡散原子の周囲の原子との相互作用エネルギーを求める繰り返し工程。
相互作用エネルギー算出工程、および繰り返し工程で求めた拡散原子と、拡散原子の周囲の原子との相互作用エネルギーから、拡散原子の拡散経路を探索する拡散経路探索工程。
本発明の発明者は、結晶内における原子の拡散経路の効率的な探索方法について鋭意検討を行った。
拡散経路を調べたい原子である拡散原子が、拡散経路内の点にある場合、該点における拡散原子の自由エネルギーは、該拡散原子が拡散経路外にある場合の自由エネルギーよりも小さくなる。このため、本発明の発明者は、拡散原子の自由エネルギーが小さくなる経路を探索することで、拡散原子の拡散経路を探索できることに着目した。
そこで、本発明の発明者は、拡散原子の自由エネルギーが小さくなる経路を効率的に探索する方法についてさらに検討を行った。その結果、拡散経路を調べたい原子である拡散原子と周囲の原子との相互作用を摂動、すなわち補正項として取扱うことで、拡散原子が含まれない結晶系を参照系とすることが可能になり、分子動力学法を実行する際のコストを抑制し、効率的に拡散経路を導き出せることを見い出し、本発明を完成させた。
各工程について以下に説明する。
(初期構造設定工程)
初期構造設定工程では、拡散経路探索に用いる結晶に含まれる、拡散原子以外の複数の原子の位置を設定することができる。すなわち、参照系計算工程で用いる結晶の初期座標を設定することができる。
初期構造設定工程において、拡散経路探索に用いる結晶に含まれる拡散原子以外の複数の原子の位置を設定する具体的な方法は特に限定されない。例えば実験的に求めた、もしくは文献等に開示されている、該結晶の結晶構造に基いて各原子の原子配置を設定し、初期構造とすることができる。
(参照系計算工程)
参照系計算工程では、初期構造設定工程で位置を設定した、複数の原子を用いて分子動力学計算を行うことができる。そして、分子動力学計算の結果から、複数の原子の平均構造を算出できる。
分子動力学計算は、原子の物理的な動きのコンピューターシミュレーション手法であり、ニュートンの運動方程式を数値的に解くことにより、原子の位置の時間発展を求めることができる。従って、参照系計算工程を実施することで、初期構造設定工程で設定した複数の原子の座標の時系列変化を求めることができる。
分子動力学計算では、原子と原子間相互作用の情報は、ポテンシャルエネルギーを記述するための関数形と、そのパラメータセット(力場)で表される。
参照系計算工程において分子動力学計算で用いる力場の種類は特に限定されるものではなく、各種力場を用いることができる。例えば金属/合金系ではEAMやMEAM等、無機化合物系ではBuckingham、BKS、Clay-FF、CVFF_aug等、半導体系ではTersoff等、有機化合物系ではPCFF、Compass、MMFF、OPLS-AA、AMBER、CHARMM、UFF等を用いることができる。また、分極力場であるX-Pol、AMBER分極力場、CHARMM分極力場等や、反応力場であるReaxFF等の既存の力場や、必要に応じて自作した力場から選択された力場を用いることができる。
既存の力場では対象となる原子の電荷が規定されていない場合がある。その場合、RESP(Restrained ElectroStatic Potential)電荷やAM1-BCC(Bond Charge Correction)電荷等を用いることもできる。
分子動力学計算に用いるプログラム(ソフトウエア)についても特に限定されないが、例えば、LAMMPSやDL_POLY、Gromacs(Groningen Machine for Chemical Simulations)、AMBER、CHARMM、NAMD等の既存のプログラムや自作のプログラムから選択されたプログラムを用いることができる。
分子動力学計算を行う際の設定環境としては、例えば真空中や、溶媒が含まれる場合には周期境界条件下とすることができる。
分子動力学計算を行う際のニュートンの運動方程式を解くための数値積分法についても特に限定されないが、例えばベルレ法や、速度ベルレ法、Leap-frog法、予測子-修飾子法等から選択された方法を用いることができる。
分子動力学計算を行う時間幅は特に限定されるものではないが、結晶を構成する複数の原子の動きやすい方向が把握でき、かつ計算コストを抑制できるように選択することが好ましい。分子動力学計算を行う時間幅としては、例えば0.5fs以上2fs以下とすることができる。
また、温度の制御方法としても特に限定されないが、例えば、速度スケーリング法、Nose-Hoover熱浴法、Nose-Hoover chain法、Berendsen熱浴法、Andersen熱浴法、Langevin動力学法等から選択された方法を用いることができる。
周期境界条件下における圧力の制御方法についても特に限定されないが、例えば、Berendsen法、Parinello-Rahman法等から選択された方法を用いることができる。
静電相互作用やvan der Waals相互作用といった長距離相互作用の計算にはカットオフ法を用いることができる。特に、周期境界条件下での静電相互作用の計算にParticle-Mesh Ewald法や多重極展開法等を用いることができる。
参照系計算工程における分子動力学計算は、例えば、CPU(Central Processing Unit)や、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク等の各種記憶媒体、ディスプレイ等の出力装置、キーボード等の入力装置、各種周辺機器等を備えた通常のコンピューターシステムを用いて実施することができる。なお、コンピューターシステムとしては、例えばネットワークサーバ、ワークステーション、パーソナルコンピュータ等が挙げられる。
具体的には、例えば記憶媒体等に既述の分子動力学計算のプログラムを格納しておき、係るプログラムをCPUにより実行すると共に、RAM等の記憶媒体に格納された、またはキーボード等の入力装置から入力された初期構造や、条件を読み込むことにより実現することができる。
分子動力学計算を実施することで、初期構造設定工程で設定した複数の原子の位置を経時的に変化させることができる。そこで、参照系計算工程で分子動力学法を用いて求めた複数の原子の位置の変化から、複数の原子の平均構造を算出できる。具体的には例えば、分子動力学法で求めた複数の原子の位置の経時的変化について、所定の時間毎に複数の原子の位置を記録し、各原子の位置情報を平均化することで、複数の原子の平均構造、具体的には平均座標を求めることができる。
(相互作用エネルギー算出工程)
相互作用エネルギー算出工程では、まず参照系計算工程で得られた複数の原子の平均構造に3次元の格子を設定できる。設定する3次元の格子は仮想的なものであり、相互作用エネルギー算出工程や、後述する繰り返し工程において、拡散原子を配置する位置を決めるために設けている。
そして、設定した格子の格子点に拡散原子を配置した場合の、拡散原子と、拡散原子の周囲の原子との相互作用エネルギーを求められる。
複数の原子の平均構造に設定する3次元の格子の格子間隔や、格子の形状は特に限定されない。複数の原子の平均構造や、求める拡散制度に求められる精度等に応じて任意に選択できる。
そして、設定した格子が有する複数の格子点のうち、任意の1点に拡散原子を配置し、拡散原子を係る格子点に配置した場合の拡散原子と、拡散原子の周囲の原子との間の距離から、相互作用エネルギー(ポテンシャルエネルギー)を求められる。
相互作用エネルギーは、拡散原子と、拡散原子の周囲の原子との間の静電相互作用と斥力相互作用のポテンシャルエネルギーであり、その算出方法は特に限定されない。相互作用エネルギーは、例えば拡散原子から予め定めたカットオフ半径内にある原子と、拡散原子との間の原子間距離を用いて、以下の式(1)により求めることが好ましい。
Figure 0007285428000001
なお、上記式(1)中のZ、Zはそれぞれ原子i、原子jの実効電荷、eは電気素量、rijは原子iと原子jとの間の距離、fは定数、aとbは、それぞれ、原子iの大きさと剛性に関連するパラメータ、aとbは、それぞれ、原子jの大きさと剛性に関連するパラメータである。
(繰り返し工程)
繰り返し工程では、相互作用エネルギー算出工程で設定した、3次元の格子の格子点のうち、既に相互作用エネルギーを求めた格子点とは異なる格子点に拡散原子を配置し、相互作用エネルギー算出工程の場合と同様にして相互作用エネルギーを算出できる。
繰り返し工程では、例えば設定した3次元の格子の全ての格子点について、それぞれ拡散原子を配置し、相互作用エネルギーを算出するまで繰り返し実施できる。また、例えば3次元の格子の格子点のうち、選択した格子点について、それぞれ拡散原子を配置し、相互作用エネルギーを算出するまで繰り返し実施することもできる。
(拡散経路探索工程)
拡散経路探索工程では、相互作用エネルギー算出工程、および繰り返し工程で求めた拡散原子と、拡散原子の周囲の原子との相互作用エネルギーから、原子の拡散経路を探索できる。
既述の様に、本実施形態の拡散経路の探索方法では、拡散原子と周囲の原子との間の自由エネルギーが小さくなる経路を探索することで、拡散原子の拡散経路を探索する。そして、自由エネルギーG(x)は、相互作用エネルギーV(r)と以下の式(2)の関係を有している。
exp(-G(x)/kT) ∝ <exp(-V(r)/kT)>・・・(2)
ここで、式(2)中のxは反応座標、rは全原子の位置ベクトル、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、<…>はx以外の自由度に対するアンサンブル平均を表わす。
このため、相互作用エネルギーV(r)を算出し、上記式(2)を用いて、自由エネルギーG(x)に対応した値を求めることができる。
そして、拡散原子を配置した格子点の座標と、上記式(2)を用いて相互作用エネルギーから算出した自由エネルギーに対応した値とをマッピング、すなわち3次元プロットすることができる。得られたマップから、自由エネルギーG(x)に対応した値が小さく、連続した領域を拡散原子の拡散経路として認定できる。
以上に説明した本実施形態の拡散経路の探索方法によれば、拡散原子と、拡散原子の周囲の原子との相互作用を摂動として扱うことで、拡散原子が含まれない結晶を参照系とすることができ、分子動力学計算を実行する際の計算コストを抑制できる。
また、分子動力学計算により求めた参照系の平均構造に3次元の格子を設定し、その格子点に拡散原子を配した際の相互作用エネルギーから自由エネルギーを導き出し、該結晶内における拡散原子の自由エネルギーに対応した値を結晶全体で求めることができる。その結果、自由エネルギーが小さく、連続した領域を拡散経路として認定でき、効率的に拡散経路を探索できる。
以下、実施例を参照しながら本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
以下の手順により、LiMnにおけるLi原子の拡散経路の探索を行った。
(初期構造設定工程)
LiMnの初期構造の設定を行った。具体的には、図1に示すようにセル内に、リチウム原子11と、マンガン原子12と、酸素原子13とが配置されたLiMnの構造10を設定した。そして拡散原子となる、セルの中央部に配置したリチウム原子111については削除し、初期構造とした。なお、図1中、同じハッチングの原子は同種類の原子であることを示している。
(参照系計算工程)
次に、分子動力学計算を用いて、初期構造設定工程で位置を設定した、リチウム原子11、マンガン原子12、および酸素原子13の座標の時系列変化を求めた。
分子動力学計算は、ソフトウエアとしてLAMMPSを用い、力場は東北大学鈴木らの開発した力場を用いて行った。そして、各原子の座標を入力し、結晶中の環境設定とした。
また、分子動力学計算を行う際の速度の計算方法として速度ベルレ法を用い、時間幅を1fsとした。温度の制御方法としてNose-Hoover chain法を用い、設定温度を300Kとした。
長距離相互作用の計算はParticle-Mesh Ewald法を用いた。
上記条件下で10nsの分子動力学計算を行い、1psごとに各原子の位置を保存した。
そして、保存した各原子の位置を平均し、参照系、すなわち上記複数の原子の平均構造を算出した。
(相互作用エネルギー算出工程)
参照系計算工程で得られた、複数の原子の平均構造に、格子間隔が0.2Åの格子、すなわち一辺の長さが0.2Åの立方体のセルを複数配置した3次元の格子を設定した。そして、係る格子の任意の1つの格子点に拡散原子であるリチウムを配置した際の、リチウム原子と、該リチウム原子から予め定めたカットオフ半径内に位置する原子との相互作用エネルギーを既述の式(1)により算出した。
既述の式(1)により、相互作用エネルギーを算出する際、東北大学鈴木らの開発したパラメータを使用している。具体的にはf=4.1868[kJ/molÅ]とし、各原子(イオン)のパラメータとして、以下の表1に示す値を用いた。
Figure 0007285428000002
(繰り返し工程)
相互作用エネルギー算出工程で設定した3次元の格子の格子点のうち、既に拡散原子であるリチウム原子を配置し、相互作用エネルギーを算出した点とは異なる格子点にリチウム原子を1個配置した。そして、係るリチウム原子と、該リチウム原子の周囲の原子との相互作用エネルギーを相互作用エネルギー算出工程の場合と同様にして算出した。
拡散原子であるリチウム原子を配置する格子点を変更する点以外は、上述の場合と同様にして、全ての格子点にそれぞれリチウム原子を配置し、相互作用エネルギーを算出するまで繰り返し実施した。
(拡散経路探索工程)
相互作用エネルギー算出工程、および繰り返し工程で求めた拡散原子と、拡散原子の周囲の原子との相互作用エネルギーから、既述の式(2)により自由エネルギーに対応した値を算出した。
そして、拡散原子の座標と、上記自由エネルギーに対応した値とをマッピングし、得られたマップから、自由エネルギーが小さく、連続した領域を探索し、拡散経路とした。
拡散経路探索工程で得られた拡散原子の拡散経路を図2に示す。
図2に示すように、リチウム原子111の拡散経路として、拡散経路211~214が見出された、係る拡散経路はセルの中央部に配置された拡散原子であるリチウム原子111(図1を参照)と、該リチウム原子111の周囲に配置されたリチウム原子との間をつなぐように形成されている。
係る拡散経路211~214は、これまでに報告されているLiMnにおけるリチウム原子の拡散経路とも一致しており、本実施例で用いた拡散経路の探索方法が実際の現象に即したものであることを確認できた。
[比較例1]
(初期構造設定工程)
実施例1の場合と同様に、LiMnの初期構造の設定を行った。具体的には、図1に示すようにセル内に、リチウム原子11と、マンガン原子12と、酸素原子13とが配置されたLiMnの構造10を設定し、初期構造とした。なお、本比較例では、拡散原子であるリチウム原子111も配置した。
(拡散経路探索工程)
各原子の位置と、拡散原子であるリチウム原子111の原子半径とから、拡散経路の探索を行った。
その結果、図3に示すように拡散経路31を探索できた。
上記実施例の結果と比較すると明らかなように、本比較例では全ての拡散経路を探索することはできなかった。また、各原子の位置と、リチウム原子111の原子半径とから拡散経路を探索するため、拡散経路の探索に多くの時間を要し、実施例1の様に効率的に拡散経路を探索することはできなかった。

Claims (1)

  1. 拡散経路探索に用いる結晶に含まれる、拡散原子以外の複数の原子の位置を設定する初期構造設定工程と、
    前記初期構造設定工程で位置を設定した、複数の前記原子を用いて分子動力学計算を行い、複数の前記原子の平均構造を算出する参照系計算工程と、
    前記参照系計算工程で得られた複数の前記原子の平均構造に3次元の格子を設定し、前記格子の格子点に前記拡散原子を配置した場合の、前記拡散原子と、前記拡散原子の周囲の前記原子との相互作用エネルギーを求める相互作用エネルギー算出工程と、
    前記拡散原子を配置する、前記格子の格子点を変更した場合の、前記拡散原子と、前記拡散原子の周囲の前記原子との相互作用エネルギーを求める繰り返し工程と、
    前記相互作用エネルギー算出工程、および前記繰り返し工程で求めた前記拡散原子と、前記拡散原子の周囲の前記原子との相互作用エネルギーから、前記拡散原子と、前記拡散原子の周囲の前記原子との間の自由エネルギーに対応した値を算出し、前記拡散原子の座標と、前記自由エネルギーに対応した値とをプロットしたマップを作成し、前記拡散原子の拡散経路を探索する拡散経路探索工程と、を有する拡散経路の探索方法。
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