JP7282370B2 - マニピュレータ機能付き原子間力顕微鏡 - Google Patents
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Description
このような高速原子間力顕微鏡にあっては、ナノメートルオーダーの高い解像度で試料の観察が可能である。
タンパク質や核酸などの生体分子にあっては、張力や圧縮力等の外力を加えることで、機能発現や反応速度の変調が生じることが知られている。
例えば、線維状のアクチンは引かれるとミオシンがより結合するようになり、コフィリンが結合しなくなると言われている。
一方、コフィリンは引かれていないアクチンに結合すると言われている。
しかし、従来の高速原子間力顕微鏡は、生体分子の形態等の観察が可能であっても、生体分子にいろいろな外力を加えることはできなかった。
例えば、相互作用量が一定になるように試料の表面を相対的に走査すると、カンチレバーの変位量に基づく試料表面の情報が得られる。
この変位量は、光学式の変位センサー等を用いて検出される。
例えば、前記スキャンステージは、スキャンX,Y,Z軸方向の位置制御手段を有し、前記マニピュレータステージは、マニピュレータX,Y,Z軸方向の移動制御手段を有し、前記スキャンX軸と前記マニピュレータX軸とが対向配置する形態例が挙げられる。
ここで、スキャンX軸とスキャンY軸とは、試料の表面に沿ったX-Y面を表現し、この面に対して直交する方向をスキャンZ軸と表現する。
マニピュレータステージは、スキャンX軸に対向配置されたマニピュレータX軸を有し、スキャンY軸と同じ方向に配置したマニピュレータY軸とスキャンZ軸と同じ方向に配置したマニピュレータZ軸を設けることができる。
よって、本発明はこの同期制御とオフセット制御が切り替え可能になっている。
また、試料に外力を加える上記ナノニードルは1つに限定する必要はなく、観察する試料の性質によっては、複数のナノニードルであっても良い。
ナノニードルの構造は極細の線材でも良く、例えば、ナノピペット構造にしても良い。
ナノピペット構造にするとその内側の細孔を利用して、吸引や払い出し等の外力を加えることもできる。
ここで外力とは、圧縮方向,引張り方向等の力のみならず、ターゲットとなる対象物を押したり,吸ったり,出したり,引き延ばしたり等の動作も含まれる。
スキャンステージ11とマニピュレータステージ12とが、セットとして配置されている。
スキャンステージ11は、試料Sを載置する基材11aを有し、この基材11aの位置をX軸方向に制御するXピエゾ素子(圧電素子)11Xと、これと直交するY軸方向に制御するYピエゾ素子(圧電素子)11Yと、X-Y面に直交する方向に制御するZピエゾ素子(圧電素子)11Zを有する。
これらを本明細書では、スキャンX,Y,Z軸と表現する。
試料の表面との相互作用量を検出するのに探針13aを自由端にするカンチレバー13を有する。
図示を省略したが、このカンチレバー13の背面に反射面等を形成することで、この変位量を光学式に検出するセンサーを有する。
本明細書では、これらとスキャンステージX,Y,Z軸と区別するために、マニピュレータX,Y,Z軸と表現する。
なお、図1に示すようにスキャンステージ11及びマニピュレータステージ12は、左右対称に一体的に形成され、Xピエゾ素子11x,12xは弾性片10cにて復帰方向に付勢力を有し、Yピエゾ素子11Y,12Yも同様に弾性片10a,10bにて復帰方向の付勢力が作用している。
Zピエゾ素子も同様に復帰方向の付勢力が作用している。
ナノニードル14の先端部14aの直径は、生体分子の観察に対応できるように100nm以下になっていて、好ましくは10~60nmである。
また、ナノニードル14の接着部15から先端部14aまでの長さは、マニピュレータY軸方向の移動の際の撓みを小さくするために1mm以下が好ましく、さらに短くする例として、図9に示すようにベース片12bに第2ベース片12cを接着部15にて接着し、この第2ベース片12cに接着部15aを介して、ナノニードル14を取り付けることもできる。
このようにすると、接着部15aから先端部14aまでの長さを200μm以下にすることができた。
この場合に、図5を用いてスキャンステージ11のXI軸,YI軸,ZI軸及びマニピュレータステージ12のXM軸,YM軸,ZM軸の動きを説明する。
試料(ターゲット)Sに外力を加えない通常のイメージング時は、XI,XMを同一方向に同期して動かし、YI,YM及びZI,ZMも同期動作させる。
これに対して、例えば図4に矢印の長さで示すように、スキャンX軸とマニピュレータX軸とでピエゾ素子に印加する電圧に逆方向以外の差を設けて制御することで、オフセット力による外力が試料Sに加わる。
また、図7はアクチンを切る前後やアクチンが移動する態様を観察した例を示す。
また、(c),(d)に示すように例えば、脂質膜に生体内に近い凹凸をつけることもできる。
11a 基材
12 マニピュレータステージ
12a 基部
13 カンチレバー
13a 探針
14 ナノニードル
15 接着部
Claims (3)
- 探針を有するカンチレバーと、前記探針と生体分子からなる試料の表面との間の原子間力によって生ずる相互作用量に基づいて、前記試料に関する情報を取得する原子間力顕微鏡であって、
前記探針と試料表面との相対的位置を制御するスキャンステージと、
前記試料に外力を加えるマニピュレータステージとを有し、
前記マニピュレータステージは先端径の直径が100nm以下のナノニードルを有し、前記ナノニードルにて生体分子からなる試料に外力を加えることで、前記生体分子の機能発現や反応速度の変調を観察することができることを特徴とするマニピュレータ機能付き原子間力顕微鏡。 - 前記スキャンステージは、スキャンX,Y,Z軸方向の位置制御手段を有し、
前記マニピュレータステージは、マニピュレータX,Y,Z軸方向の移動制御手段を有し、前記スキャンX軸と前記マニピュレータX軸とが対向配置されていることを特徴とする請求項1記載のマニピュレータ機能付き原子間力顕微鏡。 - 前記スキャンX,Y,Z軸とマニピュレータX,Y,Z軸とは、同期制御とオフセット制御の切り替え可能になっていることを特徴とする請求項2記載のマニピュレータ機能付き原子間力顕微鏡。
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Non-Patent Citations (1)
Title |
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中村 史 他,AFMを利用したナノニードルによる単一細胞操作と計測,Electrochemistry,78巻,2010年10月05日,841-845,https://www.jstage.jst.go.jp/article/electrochemistry/78/10/78_10_841/_pdf/-char/ja,2023年3月14日検索, DOI:10.5796/electrochemistry.78.841 |
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